JP2016107484A5 - - Google Patents
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Description
即ち、本発明にかかる微細溝を備えた成形用金型は、成形面によって物体を成形するための成形用金型であって、当該成形面の一部または全部にはメッキ加工が施されており、当該メッキ加工によって形成された均一な厚さのメッキ層には、ピッチが400nm以下の溝部が、切削加工によって複数形成されており、当該溝部、又は当該溝部同士の間に存在する突起部の形状は、溝部の延伸方向に交差する向きの縦断面形状において、端部を尖らせて形成している。
本発明にかかる成形用金型は、ピッチが400nm以下、望ましくは380nm以下、特に望ましくは350nm以下の溝部が、切削加工によって複数形成されている。かかる溝部、又は当該溝部同士の間に存在する突起部の形状は、溝部の延伸方向に交差する向きの縦断面形状において、端部が尖っている。即ち、溝部の形状は、溝部の延伸方向に交差する向きの縦断面形状における下端部が尖った「V」字状に形成され、又は突起部の形状は、溝部の延伸方向に交差する向きの縦断面形状における上端部が尖った「Λ」字状に形成されている。その結果、当該金型を用いた射出成型等により製品を成形すれば、微細な凹凸形状(溝部又は突起部で形成される凹凸形状)からなる反射防止構造を有する成型品を製造することができる。即ち、成型後に反射防止膜をコーティングする等の作業は必要が無く、成型のみで反射防止機能を有する製品を製造できる。よって、反射防止膜のコーティングに要していたコストを削減することができ、また工期においても大幅に短縮することができる。また、この成形用金型は、射出成型のみならずナノインプリントなどのプレス成形にも使用することができる。この時、成形対象は特に制限されるものでは無いが、成形精度等を考慮すれば薄肉状態に形成されたフィルム材であることが望ましい。
そして、メッキ加工を施した成形駒の表面に対して、目的となる微細な凹凸形状からなる溝部、即ちピッチが400nm以下、望ましくは380nm以下の溝からなる溝部を、切削加工によって複数形成する。当該金型による成形品が、数百nm周期又は間隔の凹凸構造(いわゆるモスアイ構造)備える事により、射防止機能を果たすことができる。さらに、高密度で高アスペクト比構造であれば、より一層、滑らかな屈折率分布の形成が可能になり、より高い反射防止効果を発揮することができる。
上記した成型用金型の製造に際して、切削加工工具の刃先先端の角度、及び切削の送り速度、振動条件(周波数、振動速度、振動直径、速度比等)等に関しては、目的となる切削形状の要求精度に応じて任意に設定できる。これらの加工条件は、目的となる切削形状の加工難度及びその後の成形難度を加味して設定するのが望ましい所、反射防止機能を発揮する為には、形成される角錐或いは円錐状の凹凸形状のピッチは400nm以下(より特に380nm以下)を確保して形成するのが望ましい。さらにはアスペクト比を1以上確保するのが望ましく、極力凹凸形状にバリや倒れ等が生じないように、加工条件を微調整し、凹凸形状の斜面の表面粗さをRa100nm以下に形成するのが望ましい。
また、前記金型の製造に際しては、切削加工工具の耐久性を考慮して、前記した微細な溝部及び突起部が形成された小さいマスターチップを複数形成し、この複数のマスターチップを組み合わせて形成しても良い。
即ち、前記本発明にかかる、微細溝を備えた成型用金型の製造方法であって、複数のマスターチップを組み合わせて形成されており、当該マスターチップは、一辺が2mm以上、5mm以下であって、基板上に形成したメッキ面に対して、ピッチが400nm以下の溝部が、切削加工によって複数形成されており、当該溝部、又は当該溝部同士の間に存在する突起部は、溝部の延伸方向に交差する向きの縦断面形状において、端部が尖っているように形成する微細溝を備えた成形用金型の製造方法とすることができる。
即ち、前記本発明にかかる、微細溝を備えた成型用金型の製造方法であって、複数のマスターチップを組み合わせて形成されており、当該マスターチップは、一辺が2mm以上、5mm以下であって、基板上に形成したメッキ面に対して、ピッチが400nm以下の溝部が、切削加工によって複数形成されており、当該溝部、又は当該溝部同士の間に存在する突起部は、溝部の延伸方向に交差する向きの縦断面形状において、端部が尖っているように形成する微細溝を備えた成形用金型の製造方法とすることができる。
次に図1(B)に示すように、メッキ加工を施した金型10の成形駒の表面に対して、微細な溝部16を複数切削加工して、成形品に反射防止構造を形成する為の突起部12を形成する。切削加工には、人工単結晶ダイヤモンドバイトで形成された加工工具11を使用する。本実施の形態では、当該バイトは刃先が剣形状であり、刃先角度が120°〜40°のものを使用することができる。かかるバイトを使用した切削工程では、成形用金型(より具体的にはメッキ皮膜14)に対して、ピッチが400nm以下の溝部16を格子状に形成している。その結果、金型10上には、溝部と同じピッチの高さを有する四角錐形状の突起部12が複数形成される。
以上のように形成した成形用金型を用いて成形する事により、反射防止構造を有する成形品13を製造することができる。図2は、上記の成型用金型を用いて樹脂を射出成型する成型品の製造工程を示す(A)射出成型工程を示す要部縦断面図、(B)成型して得られた製品13を示す斜視図である。この図2(A)に示す様に、上記の成形用金型10を使用して樹脂の射出成型を行う事で、成形面に形成した溝部16及び突起部12に相応する突起部16R及び溝部12Rが形成された成型品を製造することができる。特に前記成形用金型には、ピッチが400nm以下の溝部16が格子状に形成されていることから、成型品には、これと同じピッチの四角錐形状の突起部16Rが整列した状態で形成される。かかる突起部16Rが表面に形成された成型品では、光(可視光)の反射が抑えられ、よって反射防止構造を有する成形品となる。
Claims (5)
- 成形面によって物体を成形するための成形用金型であって、
当該成形面の一部または全部にはメッキ加工が施されており、
当該メッキ加工によって形成された均一な厚さのメッキ層には、ピッチが400nm以下の溝部が、切削加工によって複数形成されており、当該溝部、又は当該溝部同士の間に存在する突起部の形状は、溝部の延伸方向に交差する向きの縦断面形状において、端部が尖っている事を特徴とする、微細溝を備えた成形用金型。 - 前記複数形成されている溝部は、溝角度が120°〜40°のV字溝であって、相互に交差する向きに形成されおり、前記突起は錐体形状であって、ブレーズ角が30°〜70°に形成されている、請求項1に記載の成形用金型。
- 請求項1又は2に記載の微細溝を備えた成形用金型の製造方法であって、
前記溝部は、切削工具における切削部を、超音波によって楕円振動させながら切削加工する超音波楕円振動切削加工によって形成することを特徴とする、微細溝を備えた成型用金型の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の微細溝を備えた成型用金型の製造方法であって、
複数のマスターチップを複数組み合わせて形成されており、
当該マスターチップは、一辺が2mm以上、5mm以下であって、基板上に形成したメッキ面に対して、ピッチが400nm以下で、且つ溝角度が120°〜40°のV字溝からなる溝部が、切削加工によって複数形成されており、当該溝部、又は当該溝部同士の間に存在する突起部は、溝部の延伸方向に交差する向きの縦断面形状において、端部が尖っている事を特徴とする、微細溝を備えた成形用金型の製造方法。 - 反射防止部分を有する成形品であって、
当該反射部分は、請求項1又は2に記載された金型を用いて形成されており、微細溝で成形された領域は、可視光に対して反射防止効果を有する、成形品。
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