JP2015223794A - 金型部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バリの無い高品質の金型部品を製造する。
【解決手段】複数の凹凸構造体が形成された面を有する金型部品の製造方法であって、被切削面Mを、頂角が角度θで先端部の幅がw1の第1のバイトで、所定の第1の深さd1まで切削して第1の溝g1を形成する第1の工程と、第1の溝の谷底部mを、頂角が角度θで先端部の幅がw1よりも小さいw2の第2のバイトで、所定の第2の深さd2まで切削して、第1の溝の内面に連続する内面を有する第2の溝g2を形成する第2の工程とを含む。
【選択図】図7
【解決手段】複数の凹凸構造体が形成された面を有する金型部品の製造方法であって、被切削面Mを、頂角が角度θで先端部の幅がw1の第1のバイトで、所定の第1の深さd1まで切削して第1の溝g1を形成する第1の工程と、第1の溝の谷底部mを、頂角が角度θで先端部の幅がw1よりも小さいw2の第2のバイトで、所定の第2の深さd2まで切削して、第1の溝の内面に連続する内面を有する第2の溝g2を形成する第2の工程とを含む。
【選択図】図7
Description
本発明は、平板成形品を製造するための金型部品の製造方法に関する。
液晶表示素子に用いられる光拡散板や有機EL照明パネルに用いられる光取出部材(光取出フィルム)等の平板成形品(フィルムまたはシートを含む)を成形するための金型は、製造する平板成形品に付与する光学特性に従って、凹凸状のプリズム条列やプリズムレンズ等のパターンに対応するパターン(凹凸構造体)が形成された面を有する金型部品を備えている。凹凸構造体は、被加工材(金型母材)の被切削面に切削工具としてのバイト(ダイヤモンドバイト等)を用いて、複数の溝を一方向にまたは直交する方向に切削することにより形成される(例えば、下記特許文献1参照)。
凹凸構造体を形成するための溝の形成は、目的とする溝を構成する一対の内面のなす角度に対応する頂角および先端形状を有する単一のバイトを用い、回を重ねる毎に深さを徐々に深く(大きく)しつつ、バイトを一方向に複数回移動させて、所望の深さまで切削することにより行われる。
しかしながら、近時においては、金型部品に形成される凹凸構造体として、従来よりも溝を構成する一対の内面のなす角度が小さく、且つ溝の深さが深い(大きい)ものを製造する必要が生じてきており、このような溝を単一のバイトを用いて切削すると、溝の肩部またはその近傍にバリが発生し、高い品質の金型部品を製造することができない場合があるという問題があった。
ここで、本願発明者らは、試験的に、目的とする溝を構成する一対の内面のなす角度に対応する頂角(例えば、40°)を有するバイト(鋭角バイト)と、当該頂角よりも大きい頂角(例えば、60°)を有するバイト(鈍角バイト)の2本のバイトを用意し、鈍角バイトである程度の深さまで切削して、バリのない肩部を形成した後に、鋭角バイトで目的とする深さまで切削してみたところ、溝の肩部のバリは生じないが、溝の内面(斜面)にバリが生じ、満足な結果を得ることはできなかった。
本発明はこのような点に鑑み、バイトの頂角、1回で加工する切削の深さ、被削材の被膜硬度を変化させて切削加工面を調べた結果、それぞれの値を特定の関係を満たすように設定することにより、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。本発明は、高い品質を有する金型部品を製造することができる金型部品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明によると、凹凸構造体が形成された面を有する金型部品の製造方法であって、被切削部材の被切削面を、頂角が所定の角度に設定されるとともに、先端部の幅が所定の第1の寸法に設定された第1のバイトで、所定の第1の深さまで切削して第1の溝を形成する第1の工程と、前記被切削面の前記第1の工程で形成された前記第1の溝の谷底部を、頂角が前記第1のバイトの頂角と実質的に同一に設定されるとともに、先端部の幅が前記第1の寸法よりも小さい第2の寸法に設定された第2のバイトで、所定の第2の深さまで切削して、前記第1の溝の内面に連続する内面を有する第2の溝を形成する第2の工程とを含むことを特徴とする金型部品の製造方法が提供される。
本発明において、前記所定の第1および第2の深さは、それぞれ下記の式(1)で表される切削パラメータPが1未満となるように設定される。
ここで、dは切削深さ(μm)、αはバイトの頂角(°)、hは被切削面のビッカース硬度(HV)、eはネピア数を示す。
本発明によれば、頂角が同一の角度で先端部の幅が大きい第1のバイトと先端部の幅が小さい第2のバイトを用い、第1のバイトで切削して形成された溝の谷底部を、第2のバイトで切削してさらに深い溝を形成するようにしたので、その肩部や内面にバリの無い溝を形成することができ、高い品質を有する金型部品を製造することができるという効果がある。
本発明に係る製造方法を用いて製造される金型部品は、凹凸構造体が形成された面を有し、平板成形品を成形するために用いられる。凹凸構造体は、複数の並列して形成された溝を含んでいる。このような金型部品は、切削刃を有する複数種類の切削工具(バイト)を適宜用いて、被加工材を切削加工することにより製造される。
金型部品は、主に射出成形用の金型、圧縮成形用の金型、2P法の金型等に用いることができるが、フィルム表面に連続的に賦形を行うためのロール等に用いてもよい。この中でも、金型部品は、2P法の金型等の金型に用いられるスタンパーとすることが好ましい。
被加工材を構成する材料としては、例えば、鉄、鋼、ニッケル、チタン、クロム、アルミニウム、モリブデン、タンタル、シリコン、金、銀、およびタングステン等の金属や、これらの合金である、プリハードン鋼、析出硬化鋼、およびステンレス鋼等を挙げることができる。
この中でも、入手の容易さ、寿命、耐食性等の観点から、金型部品の材料としてはステンレス鋼が好ましい。ステンレス鋼としては、応力腐食割れに強いフェライト系ステンレス鋼と、耐食性が特に良いオーステナイト系ステンレス鋼とを用いることができる。また、被加工材としては、ピンホール、地傷、および偏析等のない真空溶解や真空鋳造等により製造されたものを採用できる。さらに、前記被加工材としては、その表面に、電着もしくは無電解メッキ等のウェットプロセスまたは蒸着等のドライプロセスにより金属層が設けられたものでもよい。
前記金属層としては、アモルファス構造を有するメッキ層であることが好ましい。メッキ層の材料は、非鉄金属を用いることができ、好ましくはアルミニウム、ニッケル、又は銅の1種以上を含む材料を用いることができ、さらに好ましくはニッケル(合金を含む)を用いることができ、特に好ましくはニッケルリンを用いることができる。前記ニッケルリンを用いる場合において、リンの含有割合は、通常5〜20質量%が好ましく、9〜16質量%とすることがさらに好ましく、11質量%以上とすることが特に好ましい。前記金属層の厚みとしては、例えば0.01μm〜5,000μmとすることができるが、要するに、表面に形成される凹凸構造体の切削深さよりも厚ければよい。
なお、本金型部品により成形される平板成形品としては、プリズムシート、光拡散板、導光板、反射板および光取出フィルム等の光学部品を挙げることができる。なお、本願明細書において、板または平板とは、ある程度の厚みを有する板状体のみならず、薄いフィルムやシートが含まれる。
平板成形品を構成する材料としては、例えば、脂環式構造を有する樹脂、紫外線硬化性樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、芳香族ビニル系単量体と低級アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレートなどを挙げることができ、また、これらを組み合わせたものを挙げることもできる。
凹凸構造体としては、例えば、断面多角形状であって線状に延びる凹部または凸部(線状凹部または線状凸部)が互いに略平行に複数並んだ条列とすることができる。また、凹凸構造体としては、少なくとも3つの平面を有する多角錐体(三角錐や四角錐など)や多角錐台(四角錐台など)等が複数並んだものであってもよい。
次に、凹凸構造体(プリズム条列)が形成された面を有する金型部品としてのスタンパーの製造方法について詳細に説明する。まず、ステンレス鋼(SUS404等)からなる被加工材(金型母材)の表面(凹凸構造体が形成される側の面)に無電界メッキ処理により、厚み100μm程度のニッケルリンメッキ層(被切削面)を形成する。
次いで、バイト(ダイヤモンドバイト等)を用いて、被加工材の被切削面を切削加工して複数の溝を並列して形成することにより、凹凸構造体を形成する。この切削加工は、第1のバイトを用いて切削する第1の工程と、該第1の工程の後に実行され、該第1のバイトとは諸元が異なる第2のバイトを用いて切削する第2の工程とを含んでいる。
第1の工程に用いる第1のバイトB1は、図2に示されているように、頂角が所定の角度θ(最終的に形成すべき溝Gを構成する一対の内面のなす角度と実質的に同一の角度)に設定されるとともに、先端部(ここでは、平坦部)の幅(切削方向に対して略直交する方向の寸法)がw1(第1の寸法)に設定されている。
第2の工程に用いる第2のバイトB2は、図3に示されているように、頂角が所定の頂角θ(最終的に形成すべき溝Gを構成する一対の内面のなす角度と実質的に同一の角度)に設定される、即ち、第1のバイトB1の頂角と実質的に同一の角度に設定されるとともに、先端部(ここでは、平坦部)の幅(切削方向に対して略直交する方向の寸法)がw2(第2の寸法)に設定されている。
第2のバイトB2の先端部の幅w2は、第1のバイトB1の先端部の幅w1よりも小さい寸法であって、最終的に形成すべき溝Gの谷底部の幅Wと実質的に同一の寸法に設定されている。即ち、第1のバイトB1の先端部の幅w1は、第2のバイトB2の先端部の幅w2(最終的に形成すべき溝Gの谷底部の幅W)よりも大きい寸法に設定されている。
第1の工程では、図4に示されているように、第1のバイトB1を用いて、被加工材の被切削面Mを、所定の第1の深さd1まで切削して、図5に示されているように、第1の溝g1を形成する。第1の深さd1は、最終的に形成すべき溝Gの深さDよりも小さい値であって、溝g1の肩部にバリが発生しない範囲で設定される。特に限定されないが、第1の深さd1は、溝g1の肩部にバリが発生しない範囲で最大の深さ(寸法)に設定することができる。
第2の工程では、図6に示されているように、第2のバイトB2を用いて、第1の工程で形成された第1の溝g1の谷底部mを、第2の深さd2まで切削して、図7に示されているように、第1の溝g1の内面に連続する内面を有する第2の溝g2を形成する。第1の深さd2と第2の深さd2を加算した深さが、最終的に形成すべき溝Gの深さDとなる。この第2の工程では、バリの発生を抑制するため、第1の工程で形成した第1の溝g1の内面の切削は行わず、または第1の溝g1と第2の溝g2のそれぞれの内面同士を滑らかに連続させるために、第1の溝g1の内面の切削を行う場合であっても僅かとすることが好ましい。
上述した第1の深さd1および第2の深さd2は、バリが発生しない範囲で設定される。バリが発生しない範囲は、本願発明者により実験的に求められている。即ち、第1の深さd1および第2の深さd2は、それぞれ下記の式(1)で表される切削パラメータPが1未満となるように設定される。
ここで、dは切削深さ(μm)、αはバイトの頂角(°)、hは被切削面のビッカース硬度(HV)、eはネピア数を示す。
バリが発生しない深さは、切削に用いる切削工具としてのバイトの頂角(α°)、1回の工程で切削する切削深さ(dμm)、被切削面のビッカース硬度(HV)を元に求められる。バイトの頂角は、例えば、デジタルマイクロスコープを用いてバイト先端を観察して求めることができる。また、1回の工程で切削する切削深さは、例えば切削後の加工面をレーザー顕微鏡で測定し求めることができる。さらに、被切削面のビッカース硬度は、ダイヤモンド圧子を用いた硬さ試験機を用いて求めることができる。上記3つの値を元に、上記の式(1)の左辺により求められる値を、バリが発生しない深さの指標としうる。この数値が1未満であれば、良好な切削面を得ることができ、1以上になると切削面にバリが生じるといった不具合が発生する。
なお、第2の工程で用いるバイトとして、図8に示されているようなバイトB3を用いてもよい。このバイトB3は、その頂角および先端部の幅が上述した第2のバイトB2と実質的に同一に設定され、傾斜部の寸法がd2に設定されている。第2の工程において、第2のバイトB2に代えてこのようなバイトB3を用いることにより、第1のバイトB1により形成された第1の溝g1の内面を切削してしまうことが効果的に防止される。
なお、第1の工程および第2の工程では、振動変位を50μm以下、好ましくは20μm以下に制御して、且つ温度変位を±0.5℃以内で制御した条件下で切削加工を行うことが好ましい。振動変位および温度変位をこの範囲内とすることにより、精密な加工を施すことができる。振動変位は、切削工具に対する金型部品の変位であるが、通常は切削工具に対する、金型部品が固定されたステージの振動変位として測定することができる。また、温度変位は、少なくとも切削が行われる箇所において前記範囲内に制御されていればよい。また、これに加えて、金型部品の被加工面全体およびそれに接触する切削工具においても、温度変位が上記範囲に制御されていることが好ましい。さらに、これらに加えて、適用する切削油においても、温度変位が前記範囲内に制御されていることがより好ましい。
また、切削加工は、精密加工を効率的に実施できる点で、100〜50,000mm/分の切削速度で行うことが好ましい。
さらに、前記切削時の切り屑を除去するために、粘度0.01〜50Pa S、好ましくは1.0〜20Pa Sの切削油を、流量1L/分以上、好ましくは3.0〜20.0L/分で流出させることが好ましい。切削油は、加工点から1mm〜被加工材対角線長さの範囲の所定長さ分だけ離れた位置、好ましくは10mm〜被加工材対角線長さの60%以内の範囲の所定長さ分だけ離れた位置で流出することが好ましい。ここで、加工点から注油位置までの距離は、これらを金型部品上に投影した際の距離とすることができる。このような位置での切削油の流出は、切削工具から所定距離離隔した位置に連結したノズルから切削油を流出させることにより行うことができる。振動変位が上記の通り制御されている条件下において、このような態様で切削油を適用することにより、切削屑が効率的に除去され、微細な加工を効率的に行うことが可能となる。
切削油としては、JISK2241−2000に規定される不水溶性切削油剤、水溶性切削油剤ともに使用することができる。主成分としては、不水溶性切削油剤では鉱油、脂肪油、合成油あるいはそれらの混合物を、水溶性切削油剤では前述油類と界面活性剤と水との混合物を挙げられる。また、好適な粘度を得るための手段として、油類の分子量、界面活性剤の種類と混合量を調整することを挙げることができる。
第1のバイトB1および第2のバイトB2としては、加工点における剛性が0.1kg/μm以上の切削工具を用いることが好ましく、0.5kg/μm以上である切削工具を用いることがより好ましい。剛性をこの範囲とすることにより、精密な加工を施すことができる。
上記剛性を満たす切削工具の加工点部分の材料には、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、コランダム等とコバルト含有炭化タングステン等の超硬合金などを用いることができ、これらの材料は、単結晶、多結晶、または焼結体のものを用いることができる。加工精度と工具寿命の点で、これらの材料の単結晶のものを用いることが好ましい。また、高硬度である点で、単結晶ダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素が好ましく、特に単結晶ダイヤモンドが好ましい。焼結体としては、例えば、コバルト、スチール、タングステン、ニッケル、およびブロンズなどを焼結剤とするメタルボンドや、長石、可溶性粘土、耐火粘土、およびフリットなどを焼結剤とするビトリファイドボンドなどを挙げることができる。これらの中でも、ダイヤモンドメタルボンドが好ましい。さらに、切削能力の向上(例えば、耐摩耗性、耐欠損性、耐溶着性、耐熱性、面平滑性等)の観点から、前記材料からなる切削工具の表面にダイヤモンドライクカーボン等のコーティングを施してもよい。切削工具の加工点部分の材料は、加工精度、工具寿命の観点からRaの小さい切削工具として単結晶ダイヤモンドバイト、Raの大きい切削工具として焼結体ダイヤモンドバイトが好ましい。
上述した実施形態によれば、頂角が互いに同一の角度θで先端部の幅w1が大きい第1のバイトB1と先端部の幅w2が小さい第2のバイトB2を用い、第1のバイトB1で切削した溝g1の谷底部mを、第2のバイトB2で切削してその内面が溝g1の内面に連続する溝g2を形成するようにしたので、その肩部や内面にバリの無い溝を形成することができ、その結果、高い品質を有する金型部品(スタンパー)を製造することができる。
上述した実施形態では、第1のバイトB1を用いて切削する第1の工程と、第2のバイトB2を用いて切削する第2の工程との2つの工程を経て、所望の深さDの溝Gを形成するようにしたが、第1の工程と第2の工程との間に1つまたは2つ以上の工程を追加して、所望深さの溝を形成するようにしてもよい。この場合には、第1の工程と第2の工程との間に追加する工程では、バイトとして、頂角は第1のバイトB1または第2のバイトB2と実質的に同一とし、先端部の幅を第1のバイトB1の先端部の幅w1よりも小さく、第2のバイトB2の先端部の幅w2よりも大きい寸法とし、切削する深さは上記の式(1)の関係を満たすように設定することが好ましいのは、第1のバイトB1で切削する深さd1、第2のバイトB2で切削する深さd2の場合と同様である。
上述した凹凸構造体を有する金型部品(スタンパー)は、例えば、有機ELパネルの表面に貼付することにより、光の取り出し効率を向上させるフィルム(光取出フィルム)を製造するために用いられる。ここで、このような金型部品を用いる光取出フィルム(凹凸構造層および基材フィルムを有する複層体)の製造について、簡単に説明する。
光取出フィルムの製造の具体的な方法としては、例えば、基材フィルムの上に、液体状態の樹脂組成物を塗布し、塗布された樹脂組成物の層に金型部品を当て、その状態で樹脂組成物を硬化させ、凹凸構造層を形成する方法を例示することができる。
凹凸構造層を構成する樹脂組成物としては、紫外線等のエネルギー線により硬化しうる組成物を用いることが好ましい。かかる樹脂組成物を、基材フィルム上に塗布し、金型部品を当てた状態で、塗布面の裏側(基材フィルムの、樹脂組成物を塗布した面とは反対側)に位置する光源から、紫外線等のエネルギー線を照射し、樹脂組成物を硬化させ、その後、金型部品を剥離することにより、樹脂組成物の塗膜を凹凸構造層とし、複層体を得ることができる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上述した実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
(実施例1)
第1のバイトB1および第2のバイトB2の各頂角θを40°とし、第1のバイトB1の先端部の幅w1を7.0μmとし、第1のバイトB1による切削深さ(第1の寸法)d1を10.0μmとし、第2のバイトB2の先端部の幅w2を4.0μmとし、第2のバイトB2による切削深さ(第2の寸法)d2を4.1μmとし、切削深さの合計が14.1μmとなるように設定し、第1の工程および第2の工程を実施して、ニッケルリンメッキ層(ビッカース硬度HVが500)に溝を形成したところ、表1に示すように、その肩部や内面にバリの無い良好な溝を形成することができた。第1のバイトB1による切削における切削パラメータおよび第2のバイトB2による切削における切削パラメータは、表1に示されているように、それぞれ1未満である。
第1のバイトB1および第2のバイトB2の各頂角θを40°とし、第1のバイトB1の先端部の幅w1を7.0μmとし、第1のバイトB1による切削深さ(第1の寸法)d1を10.0μmとし、第2のバイトB2の先端部の幅w2を4.0μmとし、第2のバイトB2による切削深さ(第2の寸法)d2を4.1μmとし、切削深さの合計が14.1μmとなるように設定し、第1の工程および第2の工程を実施して、ニッケルリンメッキ層(ビッカース硬度HVが500)に溝を形成したところ、表1に示すように、その肩部や内面にバリの無い良好な溝を形成することができた。第1のバイトB1による切削における切削パラメータおよび第2のバイトB2による切削における切削パラメータは、表1に示されているように、それぞれ1未満である。
(実施例2)
第1のバイトB1および第2のバイトB2の各頂角θを50°とし、第1のバイトB1の先端部の幅w1を9.4μmとし、第1のバイトB1による切削深さ(第1の寸法)d1を15.0μmとし、第2のバイトB2の先端部の幅w2を0μmとし、第2のバイトB2による切削深さ(第2の寸法)d2を10.0μmとし、切削深さの合計が25.0μmとなるように設定し、第1の工程および第2の工程を実施して、ニッケルリンメッキ層(ビッカース硬度HVが450)に溝を形成したところ、表1に示すように、その肩部や内面にバリの無い良好な溝を形成することができた。第1のバイトB1による切削における切削パラメータおよび第2のバイトB2による切削における切削パラメータは、表1に示されているように、それぞれ1未満である。
第1のバイトB1および第2のバイトB2の各頂角θを50°とし、第1のバイトB1の先端部の幅w1を9.4μmとし、第1のバイトB1による切削深さ(第1の寸法)d1を15.0μmとし、第2のバイトB2の先端部の幅w2を0μmとし、第2のバイトB2による切削深さ(第2の寸法)d2を10.0μmとし、切削深さの合計が25.0μmとなるように設定し、第1の工程および第2の工程を実施して、ニッケルリンメッキ層(ビッカース硬度HVが450)に溝を形成したところ、表1に示すように、その肩部や内面にバリの無い良好な溝を形成することができた。第1のバイトB1による切削における切削パラメータおよび第2のバイトB2による切削における切削パラメータは、表1に示されているように、それぞれ1未満である。
(実施例3)
第1のバイトB1、第2のバイトB2および第3のバイトB3の各頂角θを40°とし、第1のバイトB1の先端部の幅w1を8.8μmとし、第1のバイトB1による切削深さ(第1の寸法)d1を8.0μmとし、第2のバイトB2の先端部の幅w2を4.0μmとし、第2のバイトB2による切削深さ(第2の寸法)d2を6.0μmとし、第3のバイトB3の先端部の幅w3を0μmとし、第3のバイトB3による切削深さ(第3の寸法)d3を6.0μmとし、切削深さの合計が20.0μmとなるように設定し、第1の工程、第2の工程および第3の工程を実施して、銅メッキ層(ビッカース硬度HVが100)に溝を形成したところ、表1に示すように、その肩部や内面にバリの無い良好な溝を形成することができた。第1のバイトB1による切削における切削パラメータ、第2のバイトB2による切削における切削パラメータおよび第3のバイトB3による切削における切削パラメータは、表1に示されているように、それぞれ1未満である。
第1のバイトB1、第2のバイトB2および第3のバイトB3の各頂角θを40°とし、第1のバイトB1の先端部の幅w1を8.8μmとし、第1のバイトB1による切削深さ(第1の寸法)d1を8.0μmとし、第2のバイトB2の先端部の幅w2を4.0μmとし、第2のバイトB2による切削深さ(第2の寸法)d2を6.0μmとし、第3のバイトB3の先端部の幅w3を0μmとし、第3のバイトB3による切削深さ(第3の寸法)d3を6.0μmとし、切削深さの合計が20.0μmとなるように設定し、第1の工程、第2の工程および第3の工程を実施して、銅メッキ層(ビッカース硬度HVが100)に溝を形成したところ、表1に示すように、その肩部や内面にバリの無い良好な溝を形成することができた。第1のバイトB1による切削における切削パラメータ、第2のバイトB2による切削における切削パラメータおよび第3のバイトB3による切削における切削パラメータは、表1に示されているように、それぞれ1未満である。
(比較例)
上記実施例1〜3との対比のため、頂角40°で先端部の幅を4.0μmとしたバイト(上述の実施例における第2のバイトB2と実質的に同一の構成のバイト)のみを用いて、深さ15.0μmまで切削した場合には、溝の肩部にバリが発生し、表1に示すように、十分な品質は得られなかった。なお、ここでは、バイトによる切削を、深さ5.0μmで行った後にさらに5.0μmの深さで行い、さらに5.0μmの深さで行うことにより、即ち深さを深くしつつ切削を3回実施することにより、深さ15.0μmまで切削した。この場合における切削パラメータは、表1に示されているように、1以上である。
上記実施例1〜3との対比のため、頂角40°で先端部の幅を4.0μmとしたバイト(上述の実施例における第2のバイトB2と実質的に同一の構成のバイト)のみを用いて、深さ15.0μmまで切削した場合には、溝の肩部にバリが発生し、表1に示すように、十分な品質は得られなかった。なお、ここでは、バイトによる切削を、深さ5.0μmで行った後にさらに5.0μmの深さで行い、さらに5.0μmの深さで行うことにより、即ち深さを深くしつつ切削を3回実施することにより、深さ15.0μmまで切削した。この場合における切削パラメータは、表1に示されているように、1以上である。
B1…第1のバイト、
B2…第2のバイト、
D…凹凸構造体の溝の深さ、
d1…第1の深さ、
d2…第2の深さ、
G…凹凸構造体の溝、
g1…第1の溝、
g2…第2の溝、
M…被加工材の被切削面、
m…第1の溝の谷底部、
W…凹凸構造体の溝の谷底部の幅、
w1…第1のバイトの先端部の幅、
w2…第2のバイトの先端部の幅、
θ…頂角(谷角)、
B2…第2のバイト、
D…凹凸構造体の溝の深さ、
d1…第1の深さ、
d2…第2の深さ、
G…凹凸構造体の溝、
g1…第1の溝、
g2…第2の溝、
M…被加工材の被切削面、
m…第1の溝の谷底部、
W…凹凸構造体の溝の谷底部の幅、
w1…第1のバイトの先端部の幅、
w2…第2のバイトの先端部の幅、
θ…頂角(谷角)、
Claims (2)
- 凹凸構造体が形成された面を有する金型部品の製造方法であって、
被切削部材の被切削面を、頂角が所定の角度に設定されるとともに、先端部の幅が所定の第1の寸法に設定された第1のバイトで、所定の第1の深さまで切削して第1の溝を形成する第1の工程と、
前記被切削面の前記第1の工程で形成された前記第1の溝の谷底部を、頂角が前記第1のバイトの頂角と実質的に同一に設定されるとともに、先端部の幅が前記第1の寸法よりも小さい第2の寸法に設定された第2のバイトで、所定の第2の深さまで切削して、前記第1の溝の内面に連続する内面を有する第2の溝を形成する第2の工程とを含むことを特徴とする金型部品の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2014111208A JP2015223794A (ja) | 2014-05-29 | 2014-05-29 | 金型部品の製造方法 |
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JP2014111208A JP2015223794A (ja) | 2014-05-29 | 2014-05-29 | 金型部品の製造方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019188616A (ja) * | 2018-04-18 | 2019-10-31 | 株式会社吉野工業所 | 撥液性合成樹脂製品 |
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2014
- 2014-05-29 JP JP2014111208A patent/JP2015223794A/ja active Pending
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