JP2017042984A5 - - Google Patents
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しかしながら、このような射出成形金型207を使用して射出成形されたメッシュフィルタ200は、射出成形金型207のキャビティ212内から取り出される際に、内筒201の周方向の複数箇所及び外筒202の周方向の複数箇所がエジェクタピン217の先端面で押されるが、フィルタ部203の開口部分206を形作る開口部分形成ピン216が細くなればなる程、フィルタ部203の開口部分206と射出成形金型207の開口部分形成ピン216との離型抵抗が大きくなる傾向にある。このような場合、メッシュフィルタ200は、フィルタ部203がエジェクタピン217の突き出し方向と逆方向に凸となるように撓み変形し、細長い開口部分形成ピン216に大きな応力を生じさせる傾向がある(図12(d)参照)。そのため、従来のメッシュフィルタ200の射出成形金型207は、メッシュフィルタ200の離型時における作動制御に高度な工夫が施されていた。
そこで、本発明は、射出成形品であるフィルタ部の開口部分と射出成形金型の開口部分形成ピンとの離型抵抗を軽減し、開口部分形成ピンに作用する応力を低減し得るメッシュフィルタの射出成形方法、射出成形金型、及びメッシュフィルタを提供する。
第2金型13の第3キャビティ部17は、第1キャビティ部15の中心軸18に直交する仮想平面をX−Y平面とすると、このX−Y平面に沿って形成され、フィルタ部4の表裏に開口する貫通孔である複数の正八角形の開口部分6を形作るための開口部分形成ピン21が開口部分6と同数形成されている(図4(b)、図5参照)。この第3キャビティ部17に形成された開口部分形成ピン21は、X−Y平面に対して直立し、X−Y平面に投影した形状(平面視した形状)が正八角形であり、X−Y平面のX軸方向に沿って等間隔で複数形成されると共にX−Y平面のY軸方向に沿って等間隔で複数形成されている。この開口部分形成ピン21は、正八角形の内接円22の直径D1がX軸方向に沿って隣合う開口部分形成ピン21,21間の寸法L2と等しく且つY軸方向に沿って隣合う開口部分形成ピン21,21間の寸法L3と等しく形成されることにより、X軸方向とのなす角が45°の方向に沿って等間隔で複数形成されると共に、X軸方向とのなす角が135°の方向に沿って等間隔で複数形成されている。そして、45°の方向に沿って等間隔で複数形成された開口部分形成ピン21の第1の列とこの第1の列と隣合う第2の列の間隔L4は、135°の方向に沿って等間隔で複数形成された開口部分形成ピン21の第3の列とこの第3の列と隣合う第4の列の間隔L5と同一になっている。また、開口部分形成ピン21は、その高さ寸法L6(図4(b)、図5(b)〜図5(c)のZ軸方向に沿った寸法L6)がフィルタ部4の厚さ寸法L6となるように形成されている。なお、本実施形態において、キャビティ14に開口するゲート20は、第1キャビティ部15の周方向に沿って等間隔で6箇所設けられる態様を例示したが、これに限られず、第1キャビティ部15の外径寸法等に応じて2箇所以上の複数箇所に設けられる。また、複数のゲート20に代えてリングゲートを設けるようにしてもよい。
このような構造の射出成形金型11は、図4(a)に示すように、第1金型12と第2金型13とを型締めした状態で、溶融状態の合成樹脂材料が複数のゲート20から第1キャビティ部15内に射出される。第1キャビティ部15内に射出された溶融状態の合成樹脂材料は、第1キャビティ部15内に充填された後、第1キャビティ部15から第3キャビティ部17内へ放射状に流動する。第3キャビティ部17内に流入した溶融状態の合成樹脂材料は、開口部分形成ピン21,21間の隙間を流動し、第3キャビティ部17内に充填される。この際、第3キャビティ部17内の溶融状態の合成樹脂材料は、図5に示すように、横溝23、縦溝24、第1の斜め溝25、及び第2の斜め溝26に沿った方向に迅速に流動する。これに対し、図12(c)に示すように、開口部分形成ピン216の断面形状が四角形状である従来の射出成形金型207の第3キャビティ部215は、横溝220及び縦溝221方向に溶融状態の合成樹脂材料が迅速に流動するものの、本実施形態に係る射出成形金型11における第3キャビティ部17のような第1の斜め溝25及び第2の斜め溝26に対応する溝が形成されていないため、溶融状態の合成樹脂材料が開口部分形成ピン216の間をジグザグ状に斜め方向へ流動する。その結果、図4及び図5に示す本実施形態に係る射出成形金型11は、図12に示す従来の射出成形金型207と比較し、第3キャビティ部17内における溶融樹脂の流動距離が短くなり、第3キャビティ部17内への溶融状態の合成樹脂材料の充填速度が速くなるため、ショートショットが生じ難く、フィルタ部4の面積が大きなメッシュフィルタ1の射出成形が可能になる。
次いで、第3キャビティ部17内に充填された溶融状態の合成樹脂材料は、第2キャビティ部16内に流入し、第2キャビティ部16に充填される。そして、キャビティ14の全体に溶融状態の合成樹脂材料が充填された射出成形金型11は、キャビティ14内の圧力が所定圧に保持された状態で冷却される。その後、第2金型13が第1金型12から−C方向へ離され(型開きされ)、キャビティ14内のメッシュフィルタ1が図示しないエジェクタピンでキャビティ14内から押し出され、射出成形品であるメッシュフィルタ1が射出成形金型11から取り出される(図1参照)。この際、本実施形態に係る射出成形金型11は、図12に示す従来の射出成形金型207と比較し、開口部分形成ピン21とメッシュフィルタ1の開口部分6との間に作用する離型抵抗が小さいため、開口部分形成ピン21に生じる応力が小さくなり、耐久性が向上する。
図4(c)は、フィルタ部4の開口部分6を形作るための開口部分形成ピン21の第1変形例を示す図である。この図4(c)に示すように、フィルタ部4の開口部分6を形作るための開口部分形成ピン21は、第2金型13の第3キャビティ部17を形作る部分に形成せず、第1金型12の第3キャビティ部17を形作る部分にのみ形成するようにしてもよい。
図4(d)は、フィルタ部4の開口部分6を形作るための開口部分形成ピン21の第2変形例を示す図である。この図4(d)に示すように、フィルタ部4の開口部分6を形作るための開口部分形成ピン21は、第1金型12の第3キャビティ部17を形作る部分と、第2金型13の第3キャビティ部17を形作る部分とに分けて形成するようにしてもよい。この第2変形例において、第1金型12と第2金型13の各々の開口部分形成ピン21A,21Bの高さ寸法は、上記実施形態及び上記第1変形例における開口部分形成ピン21の高さ寸法L6の1/2の高さ寸法(L6/2)に形成される。そして、第1金型12と第2金型13の型締め時において、開口部分形成ピン21Aの頂面と開口部分形成ピン21Bの頂面が突き合わされる。
また、本実施形態に係る射出成形金型11は、フィルタ部4を形作る第3キャビティ部17内の溶融状態の合成樹脂材料が横溝23、縦溝24、第1の斜め溝25、及び第2の斜め溝26に沿った方向に迅速に流動するようになっているため(図5参照)、図12に示す従来の射出成形金型207と比較し、第3キャビティ部17内における溶融樹脂の流動距離が短くなる。その結果、本実施形態に係る射出成形金型11は、図12に示す従来の射出成形金型207と比較し、第3キャビティ部17内への溶融状態の合成樹脂材料の充填速度が速く、ショートショットが生じ難くなるため、フィルタ部4の面積が大きなメッシュフィルタ1の射出成形が可能になる。
本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、内筒2の径方向内方側に、内筒2の中心軸5から内筒2の内周面2dに至る内側フィルタ部27が形成されている。この内側フィルタ部27は、上記第1実施形態に係るメッシュフィルタ1のフィルタ部4と同様に形成されている(図2(a)及び図3(a)参照)。そして、図6(a)に示すメッシュフィルタ1のフィルタ部4は、B1部の拡大図が図2(a)と同様である。また、図6(a)に示すメッシュフィルタ1の内側フィルタ部27は、B3部の拡大図が図2(a)と同様である。なお、本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、内側フィルタ部27で濾し取るべき異物の粒径とフィルタ部4で濾し取るべき異物の粒径とが異なる場合、その濾し取るべき異物の粒径に応じて、内側フィルタ部27の開口部分(内側開口部分)6とフィルタ部4の開口部分6の開口面積を変えてもよい。
この図7に示す射出成形金型11は、円筒状の内筒2を形作るための第1キャビティ部15の径方向内方側に、内側フィルタ部27を形作るための第4キャビティ部28が形成されている。そして、第4キャビティ部28には、図5に示したフィルタ部4の開口部分6を形作るための開口部分形成ピン21と同様に、内側フィルタ部27の開口部分6を形作るための開口部分形成ピン(内側開口部分形成ピン)21が複数形成されている。
このような本実施形態に係る射出成形金型11によれば、第1キャビティ部15に開口するゲート20から溶融状態の合成樹脂材料が射出されると、溶融状態の合成樹脂材料が第1キャビティ部15から第3キャビティ部17と第4キャビティ部28へ向けて流動し、全体(円筒状の内筒2、円筒状の外筒3、フィルタ部4、及び内側フィルタ部27)が一体に且つ高精度に射出成形される。
図9に示すように、射出成形金型11は、第1金型12と第2金型13の型合わせ面側に、メッシュフィルタ1を射出成形するためのキャビティ14が形成されている。キャビティ14は、メッシュフィルタ1の中央部30を形作るための円板状の第1キャビティ部15と、メッシュフィルタ1の外筒3を形作るための円筒状の第2キャビティ部16と、メッシュフィルタ1のフィルタ部4を形作るための中空円板状の第3キャビティ部17と、を有している。そして、第1金型12は、第1キャビティ部15の中心軸18に沿った方向の一端面15a側に開口するゲート31が第1キャビティ部15の中央に1箇所設けられている(図8(c)のゲート痕31a参照)。また、第2金型13の第3キャビティ部17を形作る部分は、正八角形の開口部分6を形作るための開口部分形成ピン21が複数(開口部分6と同数)形成されている(図5参照)。開口部分形成ピン21は、図5に示した第1実施形態に係る射出成形金型11の開口部分形成ピン21と同様に、平面視した形状(図9(b)のF2方向から見た形状)が正八角形であり、正八角形の開口部分6を形成できる寸法に形成されている。なお、本実施形態において、第3キャビティ部17は、図5に示すように、第1実施形態に係る射出成形金型11の第3キャビティ部17と同様に形成されており、開口部分形成ピン21も第1実施形態に係る射出成形金型11の開口部分形成ピン21と同様に形成されている。また、本実施形態において、キャビティ14に開口するゲート31は、第1キャビティ部15の中央に1箇所だけ設置する態様を例示したが、これに限られず、第1キャビティ部15の外径寸法等に応じて2箇所以上の複数箇所に設けてもよい。
図9(c)は、開口部分6を形作るための開口部分形成ピン21の第1変形例を示す図である。この図9(c)に示すように、開口部分6を形作るための開口部分形成ピン21は、第2金型13の第3キャビティ部17を形作る部分に形成せず、第1金型12の第3キャビティ部17を形作る部分にのみ形成するようにしてもよい。
Claims (2)
- 前記第1キャビティ部の径方向内方側には、前記メッシュフィルタの内側フィルタ部を形作るための第4キャビティ部を有し、
前記第4キャビティ部は、前記X−Y平面に沿って前記中心軸まで形成されており、前記内側フィルタ部の表裏に開口する貫通孔である複数の正八角形の内側開口部分を形作るための内側開口部分形成ピンが前記内側開口部分と同数形成され、
前記内側開口部分形成ピンは、前記X−Y平面に対して直立し、前記X−Y平面に投影した形状が正八角形であり、前記X−Y平面のX軸方向に沿って等間隔で複数形成されると共に前記X−Y平面のY軸方向に沿って等間隔で複数形成され、前記正八角形の内接円の直径が前記X軸方向に沿って隣合う前記内側開口部分形成ピン間の寸法と等しく且つ前記Y軸方向に沿って隣合う前記内側開口部分形成ピン間の寸法と等しく形成されることにより、前記X軸方向とのなす角が45°の方向に沿って等間隔で複数形成されると共に、前記X軸方向とのなす角が135°の方向に沿って等間隔で複数形成され、
前記45°の方向に沿って等間隔で複数形成された前記内側開口部分形成ピンの第1の列とこの第1の列と隣合う第2の列の間隔は、前記135°の方向に沿って等間隔で複数形成された前記内側開口部分形成ピンの第3の列とこの第3の列と隣合う第4の列の間隔と同一になっており、
前記第1キャビティ部内に射出された溶融樹脂は、前記第4キャビティ部の前記内側開口部分形成ピン間の隙間に充填される、
ことを特徴とする請求項1に記載メッシュフィルタの射出成形方法。 - 前記第1キャビティ部の径方向内方側には、前記メッシュフィルタの内側フィルタ部を形作るための第4キャビティ部を有し、
前記第4キャビティ部は、前記X−Y平面に沿って前記中心軸まで形成されており、前記内側フィルタ部の表裏に開口する貫通孔である複数の正八角形の内側開口部分を形作るための内側開口部分形成ピンが前記内側開口部分と同数形成され、
前記内側開口部分形成ピンは、前記X−Y平面に対して直立し、前記X−Y平面に投影した形状が正八角形であり、前記X−Y平面のX軸方向に沿って等間隔で複数形成されると共に前記X−Y平面のY軸方向に沿って等間隔で複数形成され、前記正八角形の内接円の直径が前記X軸方向に沿って隣合う前記内側開口部分形成ピン間の寸法と等しく且つ前記Y軸方向に沿って隣合う前記内側開口部分形成ピン間の寸法と等しく形成されることにより、前記X軸方向とのなす角が45°の方向に沿って等間隔で複数形成されると共に、前記X軸方向とのなす角が135°の方向に沿って等間隔で複数形成され、
前記45°の方向に沿って等間隔で複数形成された前記内側開口部分形成ピンの第1の列とこの第1の列と隣合う第2の列の間隔は、前記135°の方向に沿って等間隔で複数形成された前記内側開口部分形成ピンの第3の列とこの第3の列と隣合う第4の列の間隔と同一になっており、
前記第1キャビティ部内に射出された溶融樹脂が前記第4キャビティ部の前記内側開口部分形成ピン間の隙間に充填される、
ことを特徴とする請求項6に記載メッシュフィルタの射出成形金型。
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