JP2016101039A - 電線保護部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】末端まで容易に樹脂を流動させることができる電線保護部材を提供する。
【解決手段】電線保護部材11は、可撓性を有する筒状の電線保護管13と、電線保護管13の外周面にモールド成形される筒状被覆部材15と、筒状被覆部材15と一体に成形されて車体パネルの取付孔に係止される係止具17と、を備える。筒状被覆部材15は、側面に少なくとも一本のリブ19が側面から突出して軸線27に沿う方向に連続して形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電線保護部材に関する。
自動車等に設けられるワイヤハーネスには、電線が他部材と接触して傷つかないようにするための保護管が使用される。そして、合成樹脂材料からなり可撓性を有する保護管の外周面には、電線が配索される車体パネルの取付孔に係止される係止具が緊縛される。ところが、保護管は、係止具を結束バンド等で緊縛した箇所が潰れることがある。保護管の潰れた箇所には電線が噛み込まれる。また、潰れた箇所は、電線収容空間が減少し、電線保護機能が低下する不具合が生じる。
そこで、車体パネルの取付孔に係止可能な係止具が、保護管に一体成形された係止具付保護管(電線保護部材)が提案されている(特許文献1参照)。図10に示すように、ワイヤハーネス501は、係止具付保護管503を有する。この係止具付保護管503は、電線505が配索される車体パネルの取付孔に係止される係止具507が、電線束509を収容する筒状に形成された保護管(電線保護管)511の外周面に設けられる。
係止具付保護管503は、円筒状に形成された筒状被覆部材である筒状部513が、保護管511の外周面に設けられる。合成樹脂製の保護管511は、複数の大径部515及び小径部517が交互に連なることで可撓性(容易な曲げ性)を有するように構成されている。保護管511の外周面に設けられた筒状部513は、小径部517を挟み隣接する大径部同士の間の凹状の外周溝519に、内側成形部が充填されて保護管511と一体となる。この筒状部513に設けられた係止具507は、一対の係止爪521をつぼめて軸部523が車体パネルの取付孔に挿入される。係止具507は、当接板525が車体パネルに当接すると、車体パネルの裏側で一対の係止爪521が開き、係止爪521と当接板525とで車体パネルを挟んで、車体パネルに係止される。
この係止具付保護管503によれば、係止具507が保護管511に一体成形されるので、上述したように結束バンドで係止具を保護管に緊縛する必要がない。そのため、保護管511が結束バンドによる緊縛によって潰されることがない。
日本国特開2012−217295号公報
しかしながら、上記従来の係止具付保護管503は、保護管511の外周面に、筒状部513を一体に成形する際、交互に連なる複数の大径部515及び小径部517が、樹脂の流れの抵抗となって、筒状部(筒状被覆部材)513や係止具507の末端まで樹脂が流動しない不具合が生じる可能性がある。一方、樹脂の流れを良好にする目的で、筒状部513の厚みを大きくすると、係止具付保護管503の重量が大きくなると共に、樹脂量が多くなり不経済となる。また、樹脂が充分に流動しないことは、保護管511と筒状部513に剥がれを生じさせる要因ともなる。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、成形時に末端まで容易に樹脂を流動させることができる電線保護部材を提供することにある。
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 可撓性を有する筒状の電線保護管と、前記電線保護管の外周面にモールド成形される筒状被覆部材と、前記筒状被覆部材と一体に成形されて車体パネルの取付孔に係止される係止具と、を備え、前記筒状被覆部材は、側面に少なくとも一本のリブが前記側面から突出して軸線に沿う方向に連続して形成されていることを特徴とする電線保護部材。
上記(1)の構成の電線保護部材によれば、リブが、筒状被覆部材の軸線に沿って連続して側面から突出している。筒状被覆部材及び係止具は、成形型のキャビティに樹脂を射出することによって成形される。この際、キャビティには、電線保護管が配置される。即ち、筒状被覆部材は、電線保護管とキャビティとの間隙に流入した樹脂によって成形される。この間隙は、筒状被覆部材の肉厚を形成する。肉厚の薄い成形品は、成形時、狭くて長い間隙や、電線保護管の凹凸によって射出時の樹脂の流れが阻害されるので、樹脂が成形品の末端まで流動しにくくなる。これに対し、上記構成の電線保護部材は、筒状被覆部材の側面にリブが設けられたことで、リブを成形する部分のキャビティの内壁面に、間隙を厚くする方向の溝が形成されている。この溝が、射出された樹脂の良好な流動経路となる。溝を流動した樹脂は、即座に筒状被覆部材の軸線方向の両端まで到達する。この状態となれば、樹脂は、溝から周方向の短い距離の間隙を通って成形品の末端まで、容易に到達することができる。
(2) 前記筒状被覆部材における周方向の異なる位置で複数本の前記リブが設けられていることを特徴とする上記(1)の構成の電線保護部材。
上記(2)の構成の電線保護部材によれば、複数本のリブが設けられることで、筒状被覆部材は、屈曲方向の規制が制御可能となる。例えば、3本のリブが円筒状の筒状被覆部材の外周方向に等間隔に配置されると、筒状被覆部材は、全方向への屈曲、振動が等しく抑制される。また、例えば、2本のリブが円筒状の筒状被覆部材の外周方向に等間隔に配置されると、筒状被覆部材は、一対のリブを含む面内方向の屈曲、振動が抑制される。
(3) 前記電線保護管は、複数の大径部及び小径部が交互に連なり、前記小径部を挟み隣接する前記大径部同士の間が凹状の外周溝となるように形成され、前記筒状被覆部材は、複数の前記外周溝にそれぞれ少なくとも外周方向の一部分でモールド成形される複数の環状部が前記リブによって連結されていることを特徴とする上記(1)又は(2)の構成の電線保護部材。
上記(3)の構成の電線保護部材によれば、電線保護管の複数の外周溝に、複数の環状部がモールド成形されてそれぞれ固着する。これら環状部は、周方向の一部分がリブによって連結されており、環状部同士の周方向の殆どは相互に分離されている。これにより、樹脂の使用量を少なくできる。
(4) 前記筒状被覆部材は、周方向において少なくとも前記係止具が突設される他の外周部よりも半径方向の肉厚が厚く成形された厚肉部と、前記厚肉部の外表面に形成されて前記電線保護管の軸線を通る平面と略平行な平面又は緩やかな曲面と、を有することを特徴とする(1)〜(3)の何れか1つの電線保護部材。
上記(4)の構成の電線保護部材によれば、厚肉部が設けられた筒状被覆部材は、その部分が耐力壁となって径方向へ潰れ難くなる。また、筒状被覆部材に設けられた厚肉部は、その部分のみが他の外周部よりも筒状被覆部材の外周面から突出する。そこで、筒状被覆部材の周方向の全てを厚肉とした場合に比べ、筒状被覆部材の肥大化が抑制される。更に、厚肉部の外表面には、電線保護管の軸線を通る平面と略平行な平面又は緩やかな曲面が形成される。そこで、厚肉部が半径方向外方へ必要以上に突出した外形状となることはない。そして、平面又は緩やかな曲面は、係止具を車体パネルの取付孔に押し込む際の押面や、電線保護部材を車体パネルに配索する際の座面として利用することができる。
本発明に係る電線保護部材によれば、成形時に末端まで容易に樹脂を流動させることができる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
本発明の一実施形態に係る電線保護部材の斜視図である。 (a)及び(b)は図1に示した係止具及び筒状被覆部材の斜視図及び側面図である。 (a)及び(b)は図1に示した係止具及び筒状被覆部材の正面図及び平面図である。 電線保護管と中子の斜視図である。 電線保護管及び中子が下型にセットされた成形型の型開き状態を示す斜視図である。 電線保護部材が成形された後の成形型の型開き状態を示す斜視図である。 マイクロ成形機の斜視図である。 本実施形態の第1変形例に係る電線保護部材の斜視図である。 本実施形態の第2変形例に係る電線保護部材の斜視図である。 従来の係止具付保護管の斜視図である。
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る電線保護部材11の斜視図である。
本発明の一実施形態に係る電線保護部材11は、電線保護管13と、筒状被覆部材15と、係止具17と、リブ19と、を有する。
電線保護管13は、絶縁性の合成樹脂材料よりなり、材質的及び構造的に可撓性を有する。電線保護管13は、複数の大径部21及び小径部23が交互に連なり、小径部23を挟み隣接する大径部同士の間が凹状の外周溝25となるように形成されて可撓性を有する蛇腹状とされている。即ち、大径部21及び小径部23のそれぞれは、材質的に弾性変形可能であると共に、大径部21と小径部23との間に形成される外周溝25の側壁部が曲げ荷重に対して脆弱となることにより、構造的にも可撓性を有する。この電線保護管13としては、所謂コルゲートチューブが好適に用いられる。勿論、本実施形態に係る電線保護管には、長尺の円筒状に形成された弾性チューブを用いることもできる。
また、本実施形態に係る電線保護管13には、電線(図示略)を挿入するためのスリットが形成されていないが、軸線27に沿う方向で電線保護管13の全長に渡ってスリットが形成されていてもよいことは云うまでもない。
図2(a)〜図3(b)に示すように、筒状被覆部材15は、絶縁性の合成樹脂材料よりなり、電線保護管13の外周面にモールド成形され、内側成形部29(図2(a)参照)が外周溝25に充填されて電線保護管13と一体となっている。本実施形態において、筒状被覆部材15は、外周溝25と共に隣接する大径部21を覆って電線保護管13の所望部分の外周面にモールド成形される。筒状被覆部材15は、電線保護管13と共に、後述の成形型31(図5参照)に入れられることでモールド成形される。なお、筒状被覆部材15は、少なくとも2つ以上の大径部21に亘りモールドされる。また、電線保護管13にスリットが形成される場合には、この筒状被覆部材15にもスリットが形成される。これにより、筒状被覆部材15は、断面がC字状となって開放される。
筒状被覆部材15には、連結部33が一体に成形される。連結部33は、筒状被覆部材15の半径方向外側に突出し、電線保護管13の軸線27に沿う方向に延在する起立壁状に形成される。つまり、筒状被覆部材15は、円周方向の僅かな距離で連結部33に接続されている。連結部33の両側面には補強片35が垂直に突設される。補強片35の下端は、筒状被覆部材15の外周の一部分に固着される。
そして、筒状被覆部材15の連結部33には、クリップ等の係止具17が一体に成形されている。本実施形態において、係止具17は、車体パネル(図示略)に穿設される取付孔の周縁に当接する当接板37と、当接板37から垂直に突出する軸部39と、軸部39の先端側から当接板37に向かって拡開する一対の係止爪41と、からなる。係止具17は、当接板37が連結部33の上端に一体に成形されている。
係止具17は、一対の係止爪41をつぼめて軸部39が取付孔に挿入される。係止具17は、当接板37が車体パネルに当接すると、車体パネルの裏側で一対の係止爪41が開き、係止爪41と当接板37とで車体パネルを挟んで、車体パネルに係止される。
筒状被覆部材15は、側面にリブ19が形成されている。リブ19は、少なくとも一本が、側面から突出して、軸線27に沿う方向で連続して形成される。本実施形態では、リブ19は、一対の直線状の凸条として形成されている。本実施形態において、リブ19は、軸線27に直交する断面形状が矩形に形成されている。この他、リブ19の断面形状は、三角形、半円、五角形、六角形、八角形等とすることができる。リブ19は、成形型31のキャビティ43(図5参照)の内壁面に設けられる溝(図示略)によって成形される。この溝は、成形時に、キャビティ43に射出される樹脂の流動を促進するよう働く。リブ19は、断面形状が四角形状の場合、横縦比が、1:1〜1:5程度が好ましい。この横縦比を維持することによって、射出時の樹脂が接触する溝内壁面の面積を小さくできる。すなわち、溶融樹脂は、溝内壁面との接触摩擦が小さくなる。これにより、樹脂は、溝による良好な流動性が確保される。
なお、横縦比の横縦方向は、例えば図3(a)に示す横方向(X方向)と縦方向(Y方向)とすることができるが、これには限定されない。すなわち、リブ19の断面形状は、上記程度の横縦比が維持されれば、図3(a)の横方向に長い例えば矩形状であってもよい。
本実施形態において、電線保護部材11は、周方向の異なる位置で複数本(本実施形態では2本)のリブ19が設けられている。複数とは、例えば2つ、3つ、4つ等が挙げられる。本実施形態では、2本のリブ19が設けられている。2本のリブ19は、円筒状の筒状被覆部材15の外周方向に等間隔に配置される。より具体的に、2本のリブ19は、軸線27を含み、係止具17の挿脱中心線45(図3(a)参照)に垂直な面と、筒状被覆部材15とが交わる周方向の2箇所に設けられている。
なお、本発明に係る電線保護部材は、一本のリブ19が形成されるものであっても勿論よい。
次に、上記した電線保護部材11の製造方法を説明する。
図4は電線保護管と中子の斜視図、図5は電線保護管及び中子が下型にセットされた成形型の型開き状態を示す斜視図、図6は電線保護部材が成形された後の成形型の型開き状態を示す斜視図、図7はマイクロ成形機の斜視図である。
図4に示すように、上述した電線保護部材11を成形するには、先ず、電線保護管13に中子47が挿入される。
中子47は、電線保護管13の内径に略同一で挿入可能となった軸体49で構成される。中子47は、成形型31にセットされる前の電線保護管13に軸体49が挿入される。これにより、高温となった成形樹脂の注入圧力によっても電線保護管13が潰れなくなる。
図5に示すように、成形型31は、合成樹脂製の上型51と下型53とからなる。上型51と下型53の電線保護管収容部55には、中子47が挿入された電線保護管13が配置される。上型51と下型53とは、電線保護管13を挟んで型締装置により型締めされる。そこで、内方に配置された電線保護管13と、電線保護管収容部55の内面との間には、筒状被覆部材15、連結部33及び係止具17に応じたキャビティ43が配置される。この状態で溶融した熱可塑性樹脂が上型51の供給路57からゲート59を介してキャビティ43に低圧射出される。所定量の熱可塑性樹脂が供給されることで、キャビティ43には熱可塑性樹脂が充満する。熱可塑性樹脂は、硬化することで、キャビティ43の内面形状を外形状とする筒状被覆部材15、連結部33及び係止具17を電線保護管13の外周にモールド成形する。
そして、図6に示すように、成形型31の型開きされた上型51と下型53から成形品を取り出して、ゲート59からスプルー61及びランナー63を除去することで、電線保護部材11の製造が完了する。なお、本実施形態においては、キャビティ43に熱可塑性樹脂を低圧射出するゲート59が係止具17の先端に設定された場合について説明したが、ゲート59は筒状被覆部材15の平坦面に設定されてもよい。
成形型内のキャビティ43への熱可塑性樹脂の注入には、図7に示すマイクロ成形機65が使用される。マイクロ成形機65は、電動機等の外部動力なしに作業員一人で操作できる樹脂成形機であって、上型51と、下型53を開閉する型締装置(図示せず)と、成形型31に溶融樹脂を加圧注入する低圧射出装置67と、から構成されている。
低圧射出装置67は、ポリプロピレン等の合成樹脂等を加熱して溶融するヒータが設けられた加熱筒69と、加熱筒69の溶融樹脂を図示しないノズルから射出するプランジャ71と、プランジャ71を前進させる射出シリンダ73と、射出シリンダ73を駆動するハンドル75と、加熱筒69の加熱温度を所望の温度に保持する温調器77と、を有し、これらが台座79に立設する支柱81に支持される。
なお、本実施形態におけるマイクロ成形機65とは、一回の射出成形で成形できる樹脂の量が最大で数十g程度のものであって、且つ、成形型31の型締め時に、エアシリンダまたはリンク等を用いて手動で行うことができるものをいう。なお、低圧射出装置67は、電動機やエア等の外部動力によって射出シリンダ73を駆動するものであってもよい。より具体的には、マイクロ成形機65としては、例えば、日本国特開2010−260297号公報、日本国特開2012−30429号公報及び日本国特開2013−103492号公報などに開示された公知の「射出成形装置」を用いることができる。
本実施形態の成形型31は、台座79に配置される。成形型31は、上型51と下型53とが、電線保護管収容部55に電線保護管13を収容するように挟んで合わせられることで、キャビティ43が成形可能な空洞となる。そして、この空洞にスプルー61、ランナー63及びゲート59を介して供給路57から溶融した熱可塑性樹脂を供給することで、筒状被覆部材15が電線保護管13の外周に射出成形され、電線保護部材11が形成される。
次に、上記した構成を有する電線保護部材11の作用を説明する。
本実施形態に係る電線保護部材11では、筒状被覆部材15の側面に、リブ19が設けられる。リブ19は、筒状被覆部材15の軸線27に沿って連続して側面から突出している。筒状被覆部材15及び係止具17は、成形型31のキャビティ43に樹脂を射出することによって成形される。この際、キャビティ43には、電線保護管13が配置される。即ち、筒状被覆部材15は、電線保護管13とキャビティ43との間隙に流入した樹脂によって成形される。この間隙は、筒状被覆部材15の肉厚を形成する。
肉厚の薄い成形品は、成形時、狭くて長い間隙や、電線保護管13の凹凸によって射出時の樹脂の流れが阻害されるので、樹脂が成形品の末端まで流動しにくくなる。これに対し、本実施形態の電線保護部材11は、筒状被覆部材15の側面にリブ19が設けられたことで、リブ19を成形する部分のキャビティ43の内壁面に、間隙を厚くする方向の溝が形成されている。この溝が、射出された樹脂の良好な流動経路となる。溝を流動した樹脂は、即座に筒状被覆部材15の軸線方向の両端まで到達する。この状態となれば、樹脂は、溝から周方向の短い距離の間隙を通って成形品の末端まで、容易に到達することができる。
また、本実施形態の電線保護部材11では、複数本のリブ19が設けられることで、筒状被覆部材15は、屈曲方向の規制が制御可能となる。例えば、3本のリブ19が円筒状の筒状被覆部材15の外周方向に等間隔に配置されると、筒状被覆部材15は、全方向への屈曲、振動が等しく抑制される。また、例えば、一対のリブ19が円筒状の筒状被覆部材15の外周方向に等間隔に配置されると、筒状被覆部材15は、一対のリブ19を含む面内方向の屈曲、振動が抑制される。
次に、上記した本実施形態の第一変形例に係る電線保護部材を説明する。
図8は本実施形態の第一変形例に係る電線保護部材の斜視図である。なお、以下の各変形例において、上記した電線保護部材11の構成と同一の構成には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
電線保護部材83は、筒状被覆部材15Aに、厚肉部85を有する。厚肉部85は、平面又は曲面を有する。厚肉部85は、筒状被覆部材15Aの周方向において、少なくとも係止具17が突設される他の外周部よりも半径方向の肉厚が厚く成形される。平面又は曲面は、厚肉部85の外表面に形成されて、電線保護管13の軸線27を通る平面と略平行な平面又は緩やかな曲面として形成される。
この電線保護部材83では、厚肉部85が設けられた筒状被覆部材15Aは、その部分が耐力壁となって径方向へ潰れ難くなる。また、筒状被覆部材15Aに設けられた厚肉部85は、その部分のみが他の外周部よりも筒状被覆部材15Aの外周面から突出する。そこで、筒状被覆部材15Aの周方向の全てを厚肉とした場合に比べ、筒状被覆部材15Aの肥大化が抑制される。更に、厚肉部85の外表面には、電線保護管13の軸線27を通る平面と略平行な平面又は緩やかな曲面が形成される。そこで、厚肉部85が半径方向外方へ必要以上に突出した外形状となることはない。そして、平面又は緩やかな曲面は、係止具17を車体パネルの取付孔に押し込む際の押面や、電線保護部材83を車体パネルに配索する際の座面として利用することができる。
次に、上記した本実施形態の第二変形例に係る電線保護部材を説明する。
図9は本実施形態の第二変形例に係る電線保護部材の斜視図である。
電線保護部材87は、2本のリブ19を有している。また、この電線保護部材87にも、上記同様の厚肉部85が設けられる。なお、電線保護部材87は、厚肉部85が省略されてもよい。
電線保護部材87の筒状被覆部材89は、電線保護管13の複数の外周溝25にそれぞれ少なくとも外周方向の一部分でモールド成形される複数の環状部91を有する。複数の環状部91は、一対のリブ19によって連結されている。一対のリブ19は、電線保護管13の軸線27を含み、係止具17の挿脱中心線45に垂直な面と、筒状被覆部材89とが交わる周方向の2箇所に設けられている。
一対のリブ19は、長手方向の一端側が、押さえ部93によって連結される。押さえ部93は、複数の外周溝25にそれぞれ少なくとも外周方向の一部分でモールド成形される。本実施形態では、押さえ部93は、図9に示す筒状被覆部材89の外周方向の上半分に設けられる。なお、押さえ部93は、筒状被覆部材89の下半分、或いは上下に形成されてもよい。これにより、押さえ部93は、一対のリブ19が腕部となって、筒状被覆部材89から所定距離だけ離れた部分の電線保護管13を、筒状被覆部材89に支持している。また、これにより、押さえ部93と筒状被覆部材89との間に配置される複数の環状部91は、肉抜き部を構成している。
この電線保護部材87では、電線保護管13の複数の外周溝25に、複数の環状部91がモールド成形されてそれぞれ固着する。これら環状部91は、周方向の一部分がリブ19によって連結されており、環状部91同士の周方向の殆どは相互に分離されている。これにより、樹脂の使用量を少なくできる。
また、電線保護部材87は、一対のリブ19の先端に形成された押さえ部93によって、電線保護管13を固定している。一対のリブ19は、上記のように、軸線27を含み、挿脱中心線45に垂直な面と、筒状被覆部材89とが交わる周方向の2箇所に設けられる。この電線保護部材87によって固定された電線保護管13は、係止具17の挿脱方向に沿う方向の縦振れが、リブ19で抑制される。また、電線保護管13は、係止具17の挿脱方向と直交する向きの横振れは、押さえ部93によって抑制される。なお、縦、横の方向は、例えば図9に示す縦方向(Y方向)と横方向(X方向)とすることができる。
これにより、電線保護部材87によれば、リブ19を延在させた側の電線保護管13から伝搬する振動を抑制することができる。
従って、本実施形態に係る電線保護部材11、電線保護部材83、電線保護部材87によれば、成形時に末端まで容易に樹脂を流動させることができる。
ここで、上述した本発明に係る電線保護部材の実施形態の特徴をそれぞれ以下に簡潔に纏めて列記する。
[1] 可撓性を有する筒状の電線保護管(13)と、
前記電線保護管(13)の外周面にモールド成形される筒状被覆部材(15,15A,89)と、
前記筒状被覆部材(15,15A,89)と一体に成形されて車体パネルの取付孔に係止される係止具(17)と、を備え、
前記筒状被覆部材(15,15A,89)は、側面に少なくとも一本のリブ(19)が前記側面から突出して軸線(27)に沿う方向に連続して形成されていることを特徴とする電線保護部材(11,83,87)。
[2] 前記筒状被覆部材における周方向の異なる位置で複数本の前記リブ(19)が設けられていることを特徴とする上記[1]に記載の電線保護部材(11,83,87)。
[3] 前記電線保護管(13)は、複数の大径部(21)及び小径部(23)が交互に連なり、前記小径部(23)を挟み隣接する前記大径部(21)同士の間が凹状の外周溝となるように形成され、
前記筒状被覆部材(89)は、複数の前記外周溝にそれぞれ少なくとも外周方向の一部分でモールド成形される複数の環状部(91)が前記リブ(19)によって連結されていることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の電線保護部材(87)。
[4] 前記筒状被覆部材(15A,89)は、周方向において少なくとも前記係止具(17)が突設される他の外周部よりも半径方向の肉厚が厚く成形された厚肉部(85)と、前記厚肉部(85)の外表面に形成されて前記電線保護管の軸線を通る平面と略平行な平面又は緩やかな曲面と、を有することを特徴とする上記[1]〜[3]の何れか1つに記載の電線保護部材(83,87)。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
11、83、87…電線保護部材
13…電線保護管
15,15A,89…筒状被覆部材
17…係止具
19…リブ
21…大径部
23…小径部
25…外周溝
27…軸線
85…厚肉部
91…環状部

Claims (4)

  1. 可撓性を有する筒状の電線保護管と、
    前記電線保護管の外周面にモールド成形される筒状被覆部材と、
    前記筒状被覆部材と一体に成形されて車体パネルの取付孔に係止される係止具と、を備え、
    前記筒状被覆部材は、側面に少なくとも一本のリブが前記側面から突出して軸線に沿う方向に連続して形成されていることを特徴とする電線保護部材。
  2. 前記筒状被覆部材における周方向の異なる位置で複数本の前記リブが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電線保護部材。
  3. 前記電線保護管は、複数の大径部及び小径部が交互に連なり、前記小径部を挟み隣接する前記大径部同士の間が凹状の外周溝となるように形成され、
    前記筒状被覆部材は、複数の前記外周溝にそれぞれ少なくとも外周方向の一部分でモールド成形される複数の環状部が前記リブによって連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電線保護部材。
  4. 前記筒状被覆部材は、周方向において少なくとも前記係止具が突設される他の外周部よりも半径方向の肉厚が厚く成形された厚肉部と、前記厚肉部の外表面に形成されて前記電線保護管の軸線を通る平面と略平行な平面又は緩やかな曲面と、を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電線保護部材。
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