JP2016100905A - 路面判定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 車両が走行している路面の状態を判定する路面判定装置を提供すること。
【解決手段】
路面判定装置20はモータ12及び減速機構13を有するユニット10を備えた車両Aに搭載される。装置20は、判定部21、モータ回転速度出力部22、車輪回転速度出力部23及び車速出力部24を備える。判定部21は、出力部22、23により出力されたモータ12の実回転速度Vm及び実車輪回転速度Vwを用いて機構13のバックラッシにより生じる速度Vm及び速度Vwの速度差ΔVを算出する。判定部21は、時系列の差ΔVを周波数解析して差ΔVの変動周波数及び変動振幅を算出し、更に、差ΔVの変動周波数及び変動振幅を出力部24により出力された車速Vvで除算して空間周波数及びパワースペクトラム密度を算出する。判定部21は空間周波数及びパワースペクトラム密度に基づいて車両Aが走行している路面の状態を判定する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、車両が走行している路面の種類(路面の状態)を判定する路面判定装置に関する。
従来から、車輪の内部又はその近傍にモータを備えた車両が知られている。この車両においては、モータを力行制御又は回生制動制御することにより、車輪に制駆動力(制動力及び駆動力)を発生させることができる。このような車両の典型例はインホイールモータ形式の車両である。
このようなインホイールモータ形式の車両に関連する技術として、例えば、特許文献1に提案された車両の制御装置(以下、「従来装置」と称呼する。)が知られている。従来装置は、車輪の回転速度(車輪回転速度)を車輪回転速度センサ又はモータ回転速度センサから求め、その車輪回転速度に、車両が進行する際の車輪の回転方向と逆方向であって閾値を超えるような大きさの回転速度変化が生じた場合、過大なトルクが走行路面から車輪に入力されたと判断するようになっている。
特開2011−217516号公報
しかしながら、従来装置は、路面に存在する単発的な凹凸を認識することができるが、車両が走行している路面がどのような種類の路面であるのか(例えば、凹凸の少ない舗装路、非舗装路、敷石路及び非舗装路であり且つ凹凸の多い悪路等のうちのどの路面であるのか)を区別できない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的の一つは、車両が走行している路面の種類(路面の状態)を判定することができる路面判定装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の路面判定装置(20)は、
モータ(12)と、
前記モータ(12)により回転させられる複数のギア(13a、13b、13d、13e)を含み同モータ(12)の回転を同複数のギア(13a、13b、13d、13e)を介して車輪(W)に伝達する減速機構(13)と、
を有するインホイールモータユニット(10)を備えた車両(A)に適用される。
本発明の路面判定装置(20)は、
前記モータ(12)の回転軸(12a)の回転角度に基づいて前記モータ(12)の回転速度(Vm)を検出して出力するモータ回転速度出力部(22)と、
前記車輪(W)の回転角度に基づいて前記車輪(W)の車輪回転速度(Vw)を検出して出力する車輪回転速度出力部(23)と、
前記車両(A)の車速(Vv)を検出して出力する車速出力部(24)と、を備えるように構成される。
更に、本発明の路面判定装置(20)は、
前記モータ回転速度出力部(22)により出力された前記モータ(12)の実回転速度(Vm)及び前記減速機構(13)の減速比を用いて算出された前記車輪(W)の車輪回転速度(Vw’)と、前記車輪回転速度出力部(23)により出力された前記車輪(W)の実車輪回転速度(Vw)と、の間の速度差(ΔV)、又は、
前記車輪回転速度出力部(23)により出力された前記車輪(W)の実車輪回転速度(Vw)及び前記減速機構(13)の減速比に基づいて算出された前記モータ(12)の回転速度(Vm’)と、前記モータ回転速度出力部(22)により出力された前記モータ(12)の実回転速度(Vm)と、の間の速度差(ΔV)、を算出し(ステップS12)、
走行している車両(A)において生じる前記速度差(ΔV)を周波数解析して前記速度差(ΔV)の変動周波数及び前記速度差(ΔV)の変動振幅を算出し(ステップS13)、
前記速度差(ΔV)の変動周波数及び前記速度差(ΔV)変動振幅を前記車速出力部(24)により出力された前記車速(Vv)で除算することにより、前記速度差(ΔV)の変動周波数を空間周波数(F)に変換するとともに前記速度差(ΔV)の変動振幅をパワースペクトラム密度(P)に変換し(ステップS14)、
前記空間周波数(F)及び前記パワースペクトラム密度(P)に基づいて、前記車両(A)が走行している路面の状態を判定する(ステップS15)判定部(21)を備えるように構成される。
本発明の路面判定装置は、モータ及び減速機構を有するインホイールモータユニットを備えた車両に適用される。減速機構は複数のギアを有しており、各ギアの噛み合わせにおいてバックラッシが設定される。これにより、インホイールモータユニットにおいては、減速機構に設定されたバックラッシを合計した回転角度の範囲でモータと車輪は互いに自由に相対回転する。このため、モータの回転速度及び車輪の車輪回転速度は路面の状態(凹凸)の影響を受けて変動するので、減速機構の減速比を考慮して変換した後の両者間に速度差が生じる。
そこで、判定部は、モータ回転速度出力部により出力されたモータの実回転速度及び減速機構の減速比を用いて算出された車輪の車輪回転速度と、車輪回転速度出力部により出力された車輪の実車輪回転速度と、の間の速度差、又は、車輪回転速度出力部により出力された車輪の実車輪回転速度及び減速機構の減速比に基づいて算出されたモータの回転速度と、モータ回転速度出力部により出力されたモータの実回転速度と、の間の速度差、を算出する。速度差は路面の状態を反映して変動するので、判定部は、速度差を周波数解析することにより、路面からの入力として速度差の変動周波数及び速度差の変動振幅を算出する。加えて、判定部は、速度差の変動周波数を車両が単位距離進む際の変動周期を表す空間周波数に変換し、速度差の変動振幅を空間周波数に対応し、且つ、車両が単位距離進む際の変動量を表すパワースペクトラム密度に変換する。更に、判定部は、空間周波数及びパワースペクトラム密度に基づいて、路面の種類(路面の状態)を判定する。これにより、本発明の路面判定装置は、車両が走行している路面の種類(路面の状態)として舗装路面、非舗装路面、敷石路面及び非舗装悪路面のうちの何れであるかを判定することができる。
尚、車両が走行している路面の状態を正確に判定することができることにより、例えば、路面の状態(舗装路面か非舗装悪路面か)に応じて車両のサスペンション装置における減衰力を制御することができる。これにより、サスペンション装置は路面の状態に応じた適切な減衰力を発生することができ、その結果、車両の乗員は良好な乗り心地を知覚することができる。
尚、上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は上記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る路面判定装置が搭載された4輪車両の一つの車輪及びその周辺の概略構成図である。 図1に示した、インホイールモータユニット及び路面判定装置の構成を示す概略構成図である。 図2に示した判定部(マイクロコンピュータ)により実行される路面判定プログラムを表すフローチャートである。 図2の車輪の車輪回転速度及びモータの回転速度間の時系列の速度差を説明するための図である。 判定部(マイクロコンピュータ)が図3のプログラムを実行する際に参照する路面判定マップである。
以下、本発明の実施形態に係る路面判定装置について図面を参照しながら説明する。この実施形態に係る路面判定装置20が適用される車両(以下、「車両A」と称呼する。)は4輪車両である。図1は、4輪のうちの「一つの車輪Wと、その車輪Wに対するサスペンション装置Sと」を示す。他の車輪及びサスペンション装置も同様な構造を有する。
車輪Wは、車輪Wの内部に組み込まれたインホイールモータユニット10(以下、単に「ユニット10」とも称呼する。)を介して、サスペンション装置Sにより車体Boに懸架されている。サスペンション装置Sは、サスペンションリンク機構、上下方向の荷重を支え衝撃を吸収するためのサスペンションバネ、及び、バネ下(車輪W)を介して路面からバネ上(車体B)に入力される振動を減衰させるショックアブソーバを備えている。尚、サスペンション装置Sのショックアブソーバは、車体Boに入力される振動を減衰させるための減衰力(減衰係数)が可変となるように構成されている。
更に、車両Aは、モータ制御装置M及びバッテリBaを備えている。モータ制御装置Mは、ユニット10の作動を制御する。モータ制御装置Mは、バッテリBaから供給される直流電力を交流電力に変換するインバータを備える。これにより、モータ制御装置Mはインバータで変換された交流電力をユニット10に供給する。
図2に示したように、ユニット10は、ハウジング11、モータ12及び減速機構13を備える。ハウジング11は、モータ12及び減速機構13を収容している。モータ12はハウジング11に固定されている。モータ12はモータ制御装置Mに接続されており、力行制御されて駆動トルクを発生するとともに回生制御されて回生制動トルクを発生する。モータ12はモータ出力シャフト12aを備える。モータ出力シャフト12aはベアリングによりハウジング11に対して回転自在に軸支されている。
減速機構13は、第1小径ギア13a、第1カウンタギア13b、カウンタシャフト13c、第2小径ギア13d、第2カウンタギア13e及び駆動出力シャフト13fを備える。第1小径ギア13aはモータ出力シャフト12aの先端側に固定される。第1カウンタギア13bは第1小径ギア13aに歯合する。カウンタシャフト13cは、第1カウンタギア13bに固定されており、ベアリングによりハウジング11に対して回転自在に軸支される。第2小径ギア13dはカウンタシャフト13cの先端側に固定される。第2カウンタギア13eは第2小径ギア13dに歯合する。駆動出力シャフト13fは、第2カウンタギア13eに固定されており、ベアリングによりハウジング11に対して回転自在に軸支される。駆動出力シャフト13fは、その先端側にて、ハブHを介して車輪Wに連結される。これにより、ユニット10は、モータ12の回転及びモータ12の発生トルクを、減速機構13を介して、車輪Wに伝達する。尚、本例において、減速機構13の減速比βは「1」である。即ち、モータ出力シャフト12aが1回転すると、駆動出力シャフト13f(従って、車輪W)は1回転する。
路面判定装置20は、判定部21、モータ回転速度出力部22、車輪回転速度出力部23及び車速出力部24を備える。判定部21は、CPU、ROM及びRAM等からなるマイクロコンピュータを主要部として備え、後述する路面判定プログラムを実行して車両Aが走行している路面の種類(路面の状態)を判定する。具体的に、判定部21は、車両Aが走行している路面が、舗装路面、非舗装路面、敷石路面及び非舗装悪路面のうちの何れであるか判定する。判定部21は、モータ回転速度出力部22、車輪回転速度出力部23及び車輪回転速度出力部24と接続されて、これら各部22、23及び24により出力された各検出値を表す電気信号を入力する。
モータ回転速度出力部22は、ユニット10のハウジング11内にてモータ12のモータ出力シャフト12aの基端側に固定される。モータ回転速度出力部22はレゾルバを含んで構成される。モータ回転速度出力部22は、レゾルバが高精度で検出するモータ出力シャフト12aの回転角を用いて、モータ出力シャフト12a(即ちモータ12)の回転速度(モータ回転速度)Vmを算出する。モータ回転速度出力部22は、算出したモータ出力シャフト12aの回転速度Vmを表す電気信号を判定部21に出力する。
車輪回転速度出力部23は、ユニット10のハウジング11内にて減速機構13の駆動出力シャフト13fの先端側に固定される。車輪回転速度出力部23はパルスセンサを含んで構成される。パルスセンサは、駆動出力シャフト13fが一定角度回転する毎にパルスを発生する。の回転に伴って発生するパルスの数を検出し、検出したパルスの数をパルス信号として出力する。車輪回転速度出力部23は、単位時間あたりにパルスセンサが発生したパルスの数を計測し、計測したパルスの数を表す電気信号を判定部21に出力する。この電気信号は、駆動出力シャフト13fに固定された車輪Wの車輪回転速度Vwを表す。
車速出力部24は、4輪それぞれの車輪回転速度出力部23から車輪回転速度Vwを表す電気信号を入力し、それらの平均値を車速Vvとして算出し、その算出した車速Vvを表す電気信号を判定部21に出力する。尚、4輪のそれぞれの車輪回転速度Vwを表す電気信号から車速Vvを算出する方法は、上記に限定されない。
次に、本発明の路面判定装置20の作動を説明する。判定部21は、常時、車速出力部24から入力している電気信号に基づいて車両Aの車速Vvを取得している。判定部21は、取得した車速Vvが所定時間以上に亘って予め設定された速度範囲(Vv0−α〜Vv0+α、αは微小値)内にある場合、即ち、車速Vvが一定車速Vv0であると見做すことができる場合に、図3に示した路面判定プログラムの実行をステップS10にて開始する。尚、判定部21は、取得した車速Vvが所定時間以上に亘って予め設定された速度範囲内である場合、路面判定プログラムを所定の短い時間間隔で繰り返し実行する。尚、前述したように、減速機構13の減速比βは「1」である。
ステップS11において、判定部21は、モータ回転速度出力部22から入力した電気信号に基づき、モータ出力シャフト12aの実回転速度Vmを取得する。加えて、判定部21は、車輪回転速度出力部23から入力した電気信号に基づき、車輪Wの実車輪回転速度Vwを取得する。判定部21は、実回転速度Vm及び実車輪回転速度Vwを取得すると、ステップS12を実行する。
ステップS12において、判定部21は、下記式1に従い、実回転速度Vm及び実車輪回転速度Vw間の速度差ΔVを算出する。尚、減速機構13の減速比βが「1」であるので、「実回転速度Vm」は「実車輪回転速度Vw」と減速比β(=1)を用いて算出される「回転速度Vm’」と一致し、「実車輪回転速度Vw」は「実回転速度Vm」と減速比β(=1)を用いて算出される「車輪回転速度Vw’」と一致する。加えて、判定部21は、速度差ΔVの有無、即ち、算出した速度差ΔVが所定時間以上に亘って実質的に「0」でないか否かを判定する。尚、速度差ΔVが所定時間以上に亘って実質的に「0」であるとは、速度差ΔVが所定時間以上に亘って微小な値Δと−Δとの間にあることである。
ΔV=Vw-Vm …式1
更に、判定部21は、算出した速度差ΔVを識別可能な速度差ΔVnとして、自身のRAMの所定記憶位置に記憶する。尚、「n」は、車速Vvが予め設定された速度範囲内(Vv0−α〜Vv0+α)となった後に判定部21が本プログラムを実行した回数を表す。以下、速度差ΔVについて説明する。
前述したように、ユニット10は、モータ12(モータ出力シャフト12a)の回転及びモータ12の発生トルクを減速機構13を介して車輪Wに伝達する。減速機構13は、第1小径ギア13a、第1カウンタギア13b、第2小径ギア13d及び第2カウンタギア13eを備えているので、これら各ギア13a、13b、13d及び13eのそれぞれの噛み合わせには所定の大きさのバックラッシが設定される。これにより、モータ出力シャフト12aと駆動出力シャフト13fとは、各ギア13a、13b、13d及び13eのそれぞれの間に設定されたバックラッシを合計した回転角度の範囲において、互いに自由に相対回転する。
ところで、通常、車両Aが走行している場合、モータ12は減速機構13を介して車輪Wに回転及び発生トルクを伝達しているので、前述したように設定されたバックラッシは詰まった状態になる。この状態において、例えば、車輪Aが路面に存在する凸に乗り上げた瞬間では、車輪Wに路面からトルクが加わるとともに、減速機構13のバックラッシが詰まっているからモータ12にも路面からトルクが加わる。その結果、モータ12の回転速度Vm及び車輪回転速度Vwは遅くなる。次いで、車輪Aが路面に存在する凸を乗り越えると、バックラッシが逆方向に詰まるまで車輪回転速度Vwが速くなる。この場合、車輪回転速度Vwが速くなるとモータ12のモータ出力シャフト12aにはトルクが加わらなくなるからモータ12の回転速度Vmも速くなる。従って、図4に示したように、減速機構13にバックラッシが存在する場合、車両Aが凹凸のある路面を走行すると、モータ12の回転速度Vmも変動し、且つ、車輪Wの車輪回転速度Vwも変動して、両者間に速度差ΔVが生じる。
このため、判定部21は、算出した速度差ΔVが「0」でなければ「Yes」と判定してステップS13を実行する。ステップS13において、判定部21は、前記ステップS12にて算出して記憶した速度差ΔVの数(サンプリング数に相当)が後述する周波数解析に十分な数となっているか否かを判定する。判定部21は、速度差ΔVのサンプリング数が周波数解析に十分な数となっていれば「Yes」と判定してステップS14を実行する。一方、判定部21は、速度差ΔVのサンプリング数が周波数解析に十分な数でなければ「No」と判定してステップS18に進み、本プログラムの実行を一旦終了する。
ステップS14において、判定部21は、車速Vv0で走行している車両Aに対する路面からの入力を解析する。具体的に、判定部21は、前記ステップS12にて算出して記憶した速度差ΔVを周波数解析(例えば、FFT等)する。この周波数解析において、判定部21は、本プログラムの実行周期をサンプリング周期とする。このような周波数解析により、車両Aが走行することにより生じる速度差ΔVから、速度差ΔVの変動周波数及び速度差ΔVの変動振幅が算出される。
前述したように、速度差ΔVは、モータの回転速度Vm及び車輪回転速度Vwが路面の凹凸の影響を受けて増減変動することにより生じる。従って、速度差ΔVの周波数解析で得られた速度差ΔVの変動周波数及び変動振幅は路面からの入力を表しており、これらは車速Vvで車両Aが走行している路面の状態、具体的には路面の凹凸の周期及び凹凸の大きさを表す。判定部21は、速度差ΔVの周波数解析を行い、速度差ΔVの変動周波数及び変動振幅を算出するとステップS15を実行する。
ステップS15において、判定部21は、前記ステップS14の周波数解析で得られた速度差ΔVの変動周波数(Hz)及び速度差ΔVの変動振幅(m)を車両Aの車速Vv(m/s)で除算する。これにより、速度差ΔVの変動周波数(Hz:1/s)は空間周波数F(1/m=m-1)に変換され、速度差ΔVの変動振幅(m)はパワースペクトラム密度P(PSD)(m2/Hz=m2/1/m=m3)に変換される。空間周波数F(m-1)は、車両Aが単位長さ(m)を進む際の路面に存在する変動周期(凹凸の数)を表すものである。空間周波数F(m-1)に対するパワースペクトラム密度P(m3)は、車両Aが単位長さ(m)を進む際の変動量(凹凸の大きさ)を表す。判定部21は、速度差ΔVの変動周波数及び速度差ΔVの変動振幅を空間周波数F及びパワースペクトラム密度Pにそれぞれ変換すると、ステップS16を実行する。
ステップS16においては、判定部21は、前記ステップS15にて算出した空間周波数F及びパワースペクトラム密度Pに基づき、路面の状態を判定する。具体的に、判定部21は、図5に示した空間周波数F及びパワースペクトラム密度Pにより路面の状態を決定するための路面状態マップを参照する。判定部21は、路面状態マップに基づき、前記ステップS15にて算出した空間周波数F及びパワースペクトラム密度Pで定まる点(F,P)に対応する路面の状態を判定する。
判定部21は、路面状態マップを参照することにより、空間周波数Fの値が小さく(即ち、路面の凹凸が少なく)なり、且つ、パワースペクトラム密度Pの値が小さく(即ち、路面の凹凸が小さく)なる程、舗装路(良路)であると判定する。一方、判定部21は、路面状態マップを参照することにより、空間周波数Fの値が大きく(即ち、路面の凹凸が多く)なり、且つ、パワースペクトラム密度Pの値が大きく(即ち、路面の凹凸が大きく)なる程、非舗装悪路であると判定する。
判定部21は、ステップS16にて路面の状態を判定すると、ステップS18にて路面判定プログラムの実行を終了する。判定部21は、車速出力部24からの電気信号に基づき取得した車速Vvが予め設定された速度範囲内であれば、路面判定プログラムの終了後、所定の短い時間の経過後に再びステップS10にて本プログラムの実行を開始する。
一方、判定部21は、前記ステップS12にて算出した速度差ΔVが所定時間以上に亘って実質的に「0」であれば、そのステップS12にて「No」と判定してステップS17を実行する。前記式1に従って算出された速度差ΔVが所定時間以上に亘って実質的に「0」となる場合には、路面の状態(舗装路面であるか未舗装悪路面であるか)に拘わらず、車輪回転速度Vwを増減変動させるような外乱(凹凸)の存在しない路面を車両Aが走行している。従って、判定部21は、ステップS17にて、現在車両Aが走行している路面の状態は、凹凸の極めて少ない滑らかな路面であると判定する。
判定部21は、ステップS17を実行すると、ステップS18にて路面判定プログラムの実行を終了する。判定部21は、車速出力部24からの電気信号に基づき取得した車速Vvが予め設定された速度範囲内であれば、路面判定プログラムの終了後、所定の短い時間の経過後に再びステップS10にて本プログラムの実行を開始する。
路面判定装置20の判定部21が判定した路面の状態は、例えば、サスペンション装置Sにおけるショックアブソーバの減衰力(減衰係数)を変更することに利用される。この場合、判定部21は、判定した路面の状態を表す電気信号を、サスペンション装置Sの作動を制御するサスペンション制御装置(図示省略)に出力する。サスペンション制御装置は、判定部21により出力された電気信号を入力する。サスペンション制御装置は、入力した電気信号により表される路面の状態に基づいて、ショックアブソーバの減衰力(減衰係数)を変更する。具体的に、サスペンション制御装置は、車両Aが平滑な舗装路面(良路)を走行している場合にはショックアブソーバの減衰力を高めに設定し、車両Aが凹凸の多い非舗装悪路面を走行している場合にはショックアブソーバの減衰力を低めに設定する。これにより、車両Aが走行している路面の状態に応じて良好な乗り心地を得ることができる。
以上、説明したように、本実施形態の路面判定装置20は、減速機構13のバックラッシにより生じる速度差ΔVを算出することができる。本実施形態の路面判定装置20は、算出した速度差ΔVを周波数解析した後に更に車速Vvで除算することで、空間周波数F及びパワースペクトラム密度Pを算出することができる。算出された空間周波数F及びパワースペクトラム密度Pは、速度差ΔVに基づいて得られるので、車両Aが走行している路面の種類(路面の状態)を適切に表すことができる。従って、本実施形態の路面判定装置20は、空間周波数F及びパワースペクトラム密度Pに基づくことにより、車両Aが走行している路面の種類(路面の状態)を判定することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変更例を採用することができる。
例えば、上記実施形態では、減速機構13の減速比βが「1」であった。しかしながら、減速機構13の減速比βが「1」以外に設定される場合には、速度差ΔVは以下の何れかのように算出される。
(1)モータ回転速度出力部22により出力されたモータ12の実回転速度Vm及び減速機構13の減速比βを用いて車輪Wの車輪回転速度Vw’を算出し(Vw’=Vm/β)、算出された車輪回転速度Vw’と車輪回転速度出力部22により出力された車輪Wの実車輪回転速度Vwとの間の差を速度差ΔVとすることができる。
(2)車輪回転速度出力部22により出力された車輪Wの実車輪回転速度Vw及び減速機構13の減速比βを用いてモータ12の回転速度Vm’を算出し(Vm’=Vw・β)、算出されたモータ12の回転速度Vm’とモータ回転速度出力部22により出力されたモータ12の実回転速度Vmとの間の差を速度差ΔVとすることができる。
上記実施形態では、モータ回転速度出力部22がレゾルバを含むように構成した。これにより、モータ回転速度出力部22は、レゾルバによって検出されたモータ出力シャフト12aの回転角を用いてモータ出力シャフト12aの回転速度Vmを演算する。この場合、モータ回転速度出力部22が、レゾルバに代え、例えば、モータ出力シャフト12aが一定角度回転する毎にパルスを発生するパルスセンサを含むように構成され、単位時間あたりに発生するそのパルス数に基づいてモータ出力シャフト12aの回転速度Vmを直接検出するようにしても良い。
上記実施形態では、ユニット10が車輪Wの内部に配置されるようにした。この場合、ユニット10が車輪10を駆動させることができるのであれば、ユニット10を車輪Wの近傍に配置してもよい。
更に、上記実施形態では、1つの車輪Wを例示して、路面判定装置20が路面の状態を判定することを説明した。この場合、路面の20が車両Aの複数の車輪Wにおいてそれぞれの路面の状態を判定することも可能である。
10…インホイールモータユニット、11…ハウジング、12…モータ、12a…モータ出力シャフト、13…減速機構、13a…第1小径ギア、13b…第1カウンタギア、13c…カウンタシャフト、13d…第2小径ギア、13e…第2カウンタギア、13f…駆動出力シャフト、20…路面判定装置、21…判定部、22…モータ回転速度出力部、23…車輪回転速度出力部、24…車速出力部、A…車両、W…車輪、S…サスペンション装置、Bo…車体、M…モータ制御装置、Ba…バッテリ、H…ハブ。

Claims (1)

  1. モータと、
    前記モータにより回転させられる複数のギアを含み同モータの回転を同複数のギアを介して車輪に伝達する減速機構と、
    を有するインホイールモータユニットを備えた車両に適用され、
    前記車両が走行している路面の状態を判定する路面判定装置であって、
    前記モータの回転軸の回転角度に基づいて前記モータの回転速度を検出して出力するモータ回転速度出力部と、
    前記車輪の回転角度に基づいて前記車輪の車輪回転速度を検出して出力する車輪回転速度出力部と、
    前記車両の車速を検出して出力する車速出力部と、
    前記モータ回転速度出力部により出力された前記モータの実回転速度及び前記減速機構の減速比を用いて算出された前記車輪の車輪回転速度と、前記車輪回転速度出力部により出力された前記車輪の実車輪回転速度と、の間の速度差、又は、
    前記車輪回転速度出力部により出力された前記車輪の実車輪回転速度及び前記減速機構の減速比に基づいて算出された前記モータの回転速度と、前記モータ回転速度出力部により出力された前記モータの実回転速度と、の間の速度差、を算出し、
    走行している車両において生じる前記速度差を周波数解析して前記速度差の変動周波数及び前記速度差の変動振幅を算出し、
    前記速度差の変動周波数及び前記速度差の変動振幅を前記車速出力部により出力された前記車速で除算することにより、前記速度差の変動周波数を空間周波数に変換するとともに前記速度差の変動振幅をパワースペクトラム密度に変換し、
    前記空間周波数及び前記パワースペクトラム密度に基づいて、前記車両が走行している路面の状態を判定する判定部と、
    を備える、路面判定装置。
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