JP2010236883A - 摩擦円推定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 摩擦円の推定精度を高くすることができる摩擦円推定装置を提供すること。
【解決手段】 タイヤから車体に伝達する振動伝達特性が減衰特性となる周波数を有する同定トルクを車輪に付与するようにした。
【選択図】 図5
【解決手段】 タイヤから車体に伝達する振動伝達特性が減衰特性となる周波数を有する同定トルクを車輪に付与するようにした。
【選択図】 図5
Description
本発明は、摩擦円を推定する摩擦円推定装置に関する。
この種の技術としては、下記の特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報では、車輪のブレーキ液圧を微少量だけ上昇および下降させることにより、車体への衝撃を少なくしつつ摩擦円を推定するものが開示されている。
上記従来技術においては、車輪のトルク変動量が小さいため、摩擦円の推定精度が低下する問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、摩擦円の推定精度を高くすることができる摩擦円推定装置を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明においては、タイヤから車体に伝達する振動伝達特性が減衰特性となる周波数を有するトルクを車輪に付与するようにした。
よって、タイヤから車体に伝達する振動を抑制することができるため、車輪に付与するトルクを大きくすることが可能となり、摩擦円の推定精度を向上させることができる。
[実施例1]
〔モデルについて〕
まず実施例1の説明で用いるタイヤモデルについて説明する。図1はタイヤ10が回転運動している状態を示す図である。ここで、r[m]はタイヤ10の回転半径、ω[rad/s]は車輪回転速度、Vv[m/s]は車体速度(車軸の並進速度)、W[N]は輪荷重、μは路面摩擦係数、Tg[N]はタイヤ10が発生する駆動力(タイヤ駆動トルク)をそれぞれ表す。ここでタイヤスリップ率λは次の式(1)により表される。
〔モデルについて〕
まず実施例1の説明で用いるタイヤモデルについて説明する。図1はタイヤ10が回転運動している状態を示す図である。ここで、r[m]はタイヤ10の回転半径、ω[rad/s]は車輪回転速度、Vv[m/s]は車体速度(車軸の並進速度)、W[N]は輪荷重、μは路面摩擦係数、Tg[N]はタイヤ10が発生する駆動力(タイヤ駆動トルク)をそれぞれ表す。ここでタイヤスリップ率λは次の式(1)により表される。
図2は、タイヤ駆動トルクTgとタイヤスリップ率λとの関係を示すグラフである。図2に示すように、タイヤスリップ率λが大きくなるに従って、タイヤ駆動トルクTgは大きくなる。タイヤ駆動トルクが最大値Tg_MAXを超えると、タイヤスリップ率λが大きくなるに従って、タイヤ駆動トルクTgは小さくなる。タイヤ駆動トルクの最大値Tg_MAXは路面摩擦係数と輪荷重の掛け算で表され、タイヤ駆動トルクTgはこの値を超えることはできない。
タイヤ10の高精度な駆動力制御においては、タイヤ駆動トルクの最大値Tg_MAXを精度良く推定することが重要である。実施例1においてはこのタイヤ駆動トルクTg_MAX=μWをタイヤ10の摩擦円と定義する。
タイヤ10の高精度な駆動力制御においては、タイヤ駆動トルクの最大値Tg_MAXを精度良く推定することが重要である。実施例1においてはこのタイヤ駆動トルクTg_MAX=μWをタイヤ10の摩擦円と定義する。
タイヤ10の摩擦円の推定において、モデルを同定するためにタイヤ10を装着した車輪11に同定トルクTiを付与する。図3は、モータロータを含む駆動軸の回転慣性I1、タイヤ10の回転慣性I2からなる二慣性系のモデルを示す図である。実施例1では車輪11にモータ2を直接接続した、所謂インホイールモータを用いている。ここで、Vwはタイヤ10の回転速度、Vgはタイヤ10と地面と接地面の速度、I1はモータロータを含む駆動軸の回転慣性、K1はタイヤ10のばね定数、C1はタイヤ10の粘性抵抗、I2はタイヤ10の回転慣性、K2はタイヤ10と地面の間のばね定数、C2はタイヤ10と地面の間の粘性抵抗をそれぞれ表す。
タイヤ10と地面との特性であるタイヤ10と地面の間のばね定数K2、タイヤ10と地面の間の粘性抵抗C2はタイヤ10のみならず路面や走行状態でも変化するため、測定することが非常に困難である。実施例1の摩擦円推定装置12は、タイヤ10と地面の間のばね定数K2や、タイヤ10と地面の間の粘性抵抗C2を用いずに摩擦円Tg_MAXを推定するものである。
〔構成〕
図4は実施例1の摩擦円推定装置12の制御ブロック図である。同定トルクTiを演算する同定トルク演算部(同定トルク演算手段)1と、同定トルクTiと運転者のアクセルペダル操作により決まる要求トルクTbとを加算する加算部8と、摩擦円Tg_max(=μW)を演算する摩擦円推定部5と、タイヤ10と地面と接地面の接地面速度Vgを演算する接地面速度演算部4、車輪11の回転速度Vwを検出する回転速度検出器3とを有している。
図4は実施例1の摩擦円推定装置12の制御ブロック図である。同定トルクTiを演算する同定トルク演算部(同定トルク演算手段)1と、同定トルクTiと運転者のアクセルペダル操作により決まる要求トルクTbとを加算する加算部8と、摩擦円Tg_max(=μW)を演算する摩擦円推定部5と、タイヤ10と地面と接地面の接地面速度Vgを演算する接地面速度演算部4、車輪11の回転速度Vwを検出する回転速度検出器3とを有している。
同定トルク演算部1は、モータ(トルク付与手段)2により車輪11に付与する同定トルクTiを演算して、加算部8に出力する。加算部8は、同定トルクTiと要求トルクTbとを加算して、モータ2に出力するモータトルク指令値Tmを演算する。実施例1では、説明の簡単のため要求トルクTb=0と設定し、モータトルク指令値Tm=同定トルクTiとして演算している。このモータトルク指令値Tmはモータ2に出力されるとともに、摩擦円推定部5と接地面速度演算部4に出力される。
回転速度検出器(回転速度検出手段)3は車輪11の回転速度Vwを検出し、この回転速度Vwは摩擦円推定部(摩擦円推定手段)5と接地面速度演算部(接地面速度演算手段)4に出力される。接地面速度演算部4は、モータトルク指令値Tmと車輪11の回転速度Vwとを入力して、タイヤ10と地面と接地面の速度(接地面速度)Vgを演算する。この接地面速度Vgを摩擦円推定部5に出力する。摩擦円推定部5は、接地面速度Vgと車輪11の回転速度Vwと、モータトルク指令値Tmとを入力し、摩擦円μWを演算する。
(同定トルク演算部)
図5は、同定トルク演算部1の制御ブロック図である。同定トルク演算部1は、タイヤ10から車体へ伝達する前後方向の振動の振動伝達特性G(s)を演算する振動伝達トルク演算部1aと、振動伝達特性G(s)から同定トルクTiの周波数fiを演算する同定トルク周波数決定部1bと、初期タイヤ駆動トルクTg *の初期振幅Aを決定する同定トルク振幅決定部1cと、同定トルクTiの周波数fi及び初期タイヤ駆動トルクTg *の初期振幅Aから初期タイヤ駆動トルクTg *を演算する正弦波演算部1dと、初期タイヤ駆動トルクTg *から初期同定トルクTi *を演算するトルク伝達特性演算部1eと、初期の同定トルクTi *の振幅を増加させる同定トルク増幅演算部1fを有している。ここで振動伝達特性G(s)はタイヤ10が発生する駆動力の周波数s=j2πfを変数としている。
図5は、同定トルク演算部1の制御ブロック図である。同定トルク演算部1は、タイヤ10から車体へ伝達する前後方向の振動の振動伝達特性G(s)を演算する振動伝達トルク演算部1aと、振動伝達特性G(s)から同定トルクTiの周波数fiを演算する同定トルク周波数決定部1bと、初期タイヤ駆動トルクTg *の初期振幅Aを決定する同定トルク振幅決定部1cと、同定トルクTiの周波数fi及び初期タイヤ駆動トルクTg *の初期振幅Aから初期タイヤ駆動トルクTg *を演算する正弦波演算部1dと、初期タイヤ駆動トルクTg *から初期同定トルクTi *を演算するトルク伝達特性演算部1eと、初期の同定トルクTi *の振幅を増加させる同定トルク増幅演算部1fを有している。ここで振動伝達特性G(s)はタイヤ10が発生する駆動力の周波数s=j2πfを変数としている。
〈振動伝達特性演算部〉
振動伝達トルク演算部1aでは、タイヤ10から車体へ伝達する前後方向の振動の振動伝達特性G(s)を演算する。この振動伝達特性G(s)は、次の式(3)の伝達関数で表すことができる。
ここでa0〜an,b0〜bnは時間変化する変数であり、n≦mである。図6は振動伝達特性G(s)を示すグラフである。この振動伝達特性G(s)は事前に測定しても良いし、車体に重力センサを設置して、モータトルク指令値Tmと車輪11の回転速度Vwからオンラインでモデル化しても良い。これにより、振動伝達特性の変化によらず同定トルクTiを演算することができ、摩擦円μWの推定精度を向上させることができる。
振動伝達トルク演算部1aでは、タイヤ10から車体へ伝達する前後方向の振動の振動伝達特性G(s)を演算する。この振動伝達特性G(s)は、次の式(3)の伝達関数で表すことができる。
ここでa0〜an,b0〜bnは時間変化する変数であり、n≦mである。図6は振動伝達特性G(s)を示すグラフである。この振動伝達特性G(s)は事前に測定しても良いし、車体に重力センサを設置して、モータトルク指令値Tmと車輪11の回転速度Vwからオンラインでモデル化しても良い。これにより、振動伝達特性の変化によらず同定トルクTiを演算することができ、摩擦円μWの推定精度を向上させることができる。
〈同定トルク周波数決定部〉
同定トルク周波数決定部1bでは、振動伝達特性G(s)から同定トルク周波数fiを演算する。図6は振動伝達特性G(s)を示すグラフである。図6に示すように、振動伝達特性G(s)は周波数が大きくなるほど減衰特性を示す。減衰特性を示す周波数をfL(例えば10[Hz])以上とし、モータ2が出力可能な周波数をfM(例えば500[Hz])以下とすると、同定トルク周波数fiは次の式(4)によって決定される。
同定トルク周波数fiを上記のように設定することにより、同定トルクの発生による車体の振動を抑制せいしつつ、同定トルクを大きく設定することが可能となる。
同定トルク周波数決定部1bでは、振動伝達特性G(s)から同定トルク周波数fiを演算する。図6は振動伝達特性G(s)を示すグラフである。図6に示すように、振動伝達特性G(s)は周波数が大きくなるほど減衰特性を示す。減衰特性を示す周波数をfL(例えば10[Hz])以上とし、モータ2が出力可能な周波数をfM(例えば500[Hz])以下とすると、同定トルク周波数fiは次の式(4)によって決定される。
同定トルク周波数fiを上記のように設定することにより、同定トルクの発生による車体の振動を抑制せいしつつ、同定トルクを大きく設定することが可能となる。
〈同定トルク振幅決定部〉
同定トルク振幅決定部1cにおいて、初期タイヤ駆動トルクTg *の初期振幅Aを演算する。初期振幅Aの設定を大きくしすぎると車輪11のタイヤスリップ率λが大きくなり、タイヤ駆動トルクTgが摩擦円Tg_MAXを超えて低下して、車両挙動を不安定にしてしまうおそれがある。ここでタイヤスリップ率λが大きくなり、タイヤ駆動トルクTgが摩擦円Tg_MAXを超えて低下することをタイヤ駆動トルクTgが飽和すると表現する。一方、初期振幅Aの設定を小さくしすぎると、正弦波信号を正確に再現できないおそれがある。前述のことを考慮して、初期振幅Aを例えば10[N]程度の値に設定する。また、初期振幅Aは車輪11の回転速度Vwによって決めても良い。図7は、車輪11の回転速度Vwに対して設定する初期振幅Aを示すグラフである。このようして初期振幅Aを設定することによって、高い車速領域でも安全に摩擦円推定が可能である。
同定トルク振幅決定部1cにおいて、初期タイヤ駆動トルクTg *の初期振幅Aを演算する。初期振幅Aの設定を大きくしすぎると車輪11のタイヤスリップ率λが大きくなり、タイヤ駆動トルクTgが摩擦円Tg_MAXを超えて低下して、車両挙動を不安定にしてしまうおそれがある。ここでタイヤスリップ率λが大きくなり、タイヤ駆動トルクTgが摩擦円Tg_MAXを超えて低下することをタイヤ駆動トルクTgが飽和すると表現する。一方、初期振幅Aの設定を小さくしすぎると、正弦波信号を正確に再現できないおそれがある。前述のことを考慮して、初期振幅Aを例えば10[N]程度の値に設定する。また、初期振幅Aは車輪11の回転速度Vwによって決めても良い。図7は、車輪11の回転速度Vwに対して設定する初期振幅Aを示すグラフである。このようして初期振幅Aを設定することによって、高い車速領域でも安全に摩擦円推定が可能である。
〈正弦波演算部〉
正弦波演算部1dにおいて、同定トルクTiの周波数fi及び初期振幅Aから初期タイヤ駆動トルクTg *を演算する。初期タイヤ駆動トルクTg *は、次の式(5)により演算される。
ここで、tは時間を表す。式(5)において、時間平均値が0(ゼロ)となるため、車体速度に変化を生じさせることなく、摩擦円μWを推定することが可能となる。
この式(5)に関わらず、初期タイヤ駆動トルクTg *を複数周波数の信号を合成しても良い。この場合、複数周波数で同時に測定が可能となる。
正弦波演算部1dにおいて、同定トルクTiの周波数fi及び初期振幅Aから初期タイヤ駆動トルクTg *を演算する。初期タイヤ駆動トルクTg *は、次の式(5)により演算される。
ここで、tは時間を表す。式(5)において、時間平均値が0(ゼロ)となるため、車体速度に変化を生じさせることなく、摩擦円μWを推定することが可能となる。
この式(5)に関わらず、初期タイヤ駆動トルクTg *を複数周波数の信号を合成しても良い。この場合、複数周波数で同時に測定が可能となる。
〈トルク伝達特性演算部〉
トルク伝達特性演算部1eにおいて、初期タイヤ駆動トルクTg *から初期同定トルクTi *を逆算する。図3の二慣性系モデルより、同定トルクTiとタイヤ駆動トルクTgは微分方程式により次の式(6)で示すことができる。
トルク伝達特性演算部1eにおいて、初期タイヤ駆動トルクTg *から初期同定トルクTi *を逆算する。図3の二慣性系モデルより、同定トルクTiとタイヤ駆動トルクTgは微分方程式により次の式(6)で示すことができる。
この式(6)から初期タイヤトルクTg *から初期同定トルクTi *の間のトルク伝達特性を演算する。このトルク伝達特性をH(s)とすると、初期同定トルクTi*は次の式(7)で計算することができる。
ここでΓ-1[H-1(s)]はH-1(s)の逆ラプラス変換を表し、演算子「*」は時間領域での畳み込み積分を表す。このトルク伝達特性演算部1eにおける計算精度は摩擦円μWの推定精度に直接関係しないため、タイヤ10と地面の間のばね定数K2、タイヤ10と地面の間の粘性抵抗C2の値は概算で良い。これによりタイヤ特性によらず正確にタイヤ駆動トルクTgを発生することでき、さらに摩擦円μWの推定精度を向上させることができる。
ここでΓ-1[H-1(s)]はH-1(s)の逆ラプラス変換を表し、演算子「*」は時間領域での畳み込み積分を表す。このトルク伝達特性演算部1eにおける計算精度は摩擦円μWの推定精度に直接関係しないため、タイヤ10と地面の間のばね定数K2、タイヤ10と地面の間の粘性抵抗C2の値は概算で良い。これによりタイヤ特性によらず正確にタイヤ駆動トルクTgを発生することでき、さらに摩擦円μWの推定精度を向上させることができる。
〈同定トルク振幅増幅部〉
同定トルク増幅演算部1fにおいて、初期同定トルクTi *の振幅を増加させて、同定トルクTiを演算する。同定トルクTiは振幅増幅率Bを用いて次の式(8)で表される。
図8は、時間tと振幅増幅率Bとの関係を示すグラフである。振幅増幅率Bの初期値は1より大きい値とする。振幅増幅率Bを、図8に示すように時間に対してランプ状に変化する関数とする。この傾きは運転者のアクセルペダル操作速度より大きくする。これにより、運転者のアクセルペダル操作により増加するタイヤ駆動トルクよりも早く同定トルクTiを増加させることができ、タイヤ駆動トルクTgを飽和させるようにすることができ、正確な摩擦円推定を行うことが可能となる。
同定トルク増幅演算部1fにおいて、初期同定トルクTi *の振幅を増加させて、同定トルクTiを演算する。同定トルクTiは振幅増幅率Bを用いて次の式(8)で表される。
図8は、時間tと振幅増幅率Bとの関係を示すグラフである。振幅増幅率Bの初期値は1より大きい値とする。振幅増幅率Bを、図8に示すように時間に対してランプ状に変化する関数とする。この傾きは運転者のアクセルペダル操作速度より大きくする。これにより、運転者のアクセルペダル操作により増加するタイヤ駆動トルクよりも早く同定トルクTiを増加させることができ、タイヤ駆動トルクTgを飽和させるようにすることができ、正確な摩擦円推定を行うことが可能となる。
(接地面速度演算部)
接地面速度演算部4では、タイヤ10の回転速度Vwとモータトルク指令値Tmとからタイヤ10の接地面速度Vgを演算する。接地面速度Vgは式(6)から求めた次の式(9)によって表すことができる。
接地面速度演算部4では、タイヤ10の回転速度Vwとモータトルク指令値Tmとからタイヤ10の接地面速度Vgを演算する。接地面速度Vgは式(6)から求めた次の式(9)によって表すことができる。
図3の二慣性系モデルにおけるタイヤ10と地面との特性であるタイヤ10と地面の間のばね定数K2、タイヤ10と地面の間の粘性抵抗C2といった、タイヤ10のみならず路面や走行状態でも変化するパラメータを用いずに接地面速度Vgを求めることができるため、正確にモデル化することが可能となる。
(摩擦円推定部)
図9は、摩擦円推定部5の制御ブロック図である。摩擦円推定部5は、タイヤ駆動トルクTgを演算するタイヤ駆動トルク演算部5aと、タイヤ駆動トルクTgの最大値を検出する駆動トルク最大値検出部5bとを有している。
図9は、摩擦円推定部5の制御ブロック図である。摩擦円推定部5は、タイヤ駆動トルクTgを演算するタイヤ駆動トルク演算部5aと、タイヤ駆動トルクTgの最大値を検出する駆動トルク最大値検出部5bとを有している。
〈タイヤ駆動トルク演算部〉
タイヤ駆動トルク演算部5aにおいて、タイヤ駆動トルクTgを演算する。タイヤ駆動トルクTgは、図3の二慣性系モデルから求めた次の式(10)から演算できる。
図3の二慣性系モデルにおけるタイヤ10と地面との特性であるタイヤ10と地面の間のばね定数K2、タイヤ10と地面の間の粘性抵抗C2といった、タイヤ10のみならず路面や走行状態でも変化するパラメータを用いずにタイヤ駆動トルクTgを求めることができるため、正確にモデル化することが可能となる。
タイヤ駆動トルク演算部5aにおいて、タイヤ駆動トルクTgを演算する。タイヤ駆動トルクTgは、図3の二慣性系モデルから求めた次の式(10)から演算できる。
図3の二慣性系モデルにおけるタイヤ10と地面との特性であるタイヤ10と地面の間のばね定数K2、タイヤ10と地面の間の粘性抵抗C2といった、タイヤ10のみならず路面や走行状態でも変化するパラメータを用いずにタイヤ駆動トルクTgを求めることができるため、正確にモデル化することが可能となる。
〈駆動トルク最大値検出部〉
駆動トルク最大値検出部5bにおいて、摩擦円μWを推定する。タイヤ駆動トルクTgが飽和しない範囲で増加させたときには、同定トルクTiの振幅増加に対しタイヤ駆動トルクTgも増加する傾向を示す。一方、タイヤスリップ率λが摩擦円の飽和した範囲に達したときには同定トルクTiの振幅増加に対しタイヤ駆動トルクTgは減少若しくは増加しない傾向を示す。この現象を利用し、タイヤ駆動トルクTgの最大値を検出することで摩擦円の飽和を検知し、次の式(11)を用いて摩擦円μWを推定する。
これにより実際に摩擦円μWを飽和させることができ、さらに推定精度の向上をはかることが可能となる。さらに同定トルクTiをモータ2によって発生させるため、車両の停止状態でも摩擦円μWの推定を可能にできる。
駆動トルク最大値検出部5bにおいて、摩擦円μWを推定する。タイヤ駆動トルクTgが飽和しない範囲で増加させたときには、同定トルクTiの振幅増加に対しタイヤ駆動トルクTgも増加する傾向を示す。一方、タイヤスリップ率λが摩擦円の飽和した範囲に達したときには同定トルクTiの振幅増加に対しタイヤ駆動トルクTgは減少若しくは増加しない傾向を示す。この現象を利用し、タイヤ駆動トルクTgの最大値を検出することで摩擦円の飽和を検知し、次の式(11)を用いて摩擦円μWを推定する。
これにより実際に摩擦円μWを飽和させることができ、さらに推定精度の向上をはかることが可能となる。さらに同定トルクTiをモータ2によって発生させるため、車両の停止状態でも摩擦円μWの推定を可能にできる。
〔作用〕
摩擦円の推定精度を高くするためには、同定トルクを大きくする必要がある。しかし、同定トルクが大きくなると、同定トルクの変化によって車両に振動が伝達しまい、運転者に違和感を与えるおそれがあった。一方、車両の振動を抑制するために同定トルクを小さくすると摩擦円の推定精度が低くなる。
摩擦円の推定精度を高くするためには、同定トルクを大きくする必要がある。しかし、同定トルクが大きくなると、同定トルクの変化によって車両に振動が伝達しまい、運転者に違和感を与えるおそれがあった。一方、車両の振動を抑制するために同定トルクを小さくすると摩擦円の推定精度が低くなる。
そこで実施例1の摩擦円推定装置12では、同定トルクTiをタイヤ10から車体に伝達する振動伝達特性が減衰特性となる周波数を有するようにした。そのため、同定トルクTiを大きく設定しても車体に伝達する振動を抑制することが可能となる。
また実施例1の摩擦円推定装置12では、同定トルクTiの振幅増幅率Bを、タイヤ駆動トルクTgが飽和するまで時間の経過に応じて大きくするようにした。そのため、タイヤ駆動トルクTgを実際に飽和させることが可能となる。
また実施例1の摩擦円推定装置12では、同定トルクTiの振幅増幅率Bを、タイヤ駆動トルクTgが飽和するまで時間の経過に応じて大きくするようにした。そのため、タイヤ駆動トルクTgを実際に飽和させることが可能となる。
また実施例1の摩擦円推定装置12では、同定トルクTiの振幅を大きくする速度を、運転者のアクセルペダル操作により増加する要求トルクの増加速度よりも速くするようにした。そのため、摩擦円推定において、運転者のアクセルペダル操作による要求トルクの変化の影響を抑制することが可能となる。
また実施例1の摩擦円推定装置12では、同定トルクTiの時間平均値を略ゼロとした。そのため、車体速度に変化を生じさせることなく、摩擦円μWを推定することが可能となる。
また実施例1の摩擦円推定装置12では、同定トルクTiの時間平均値を略ゼロとした。そのため、車体速度に変化を生じさせることなく、摩擦円μWを推定することが可能となる。
また実施例1の摩擦円推定装置12では、同定トルクTiをモータ2により付与することとした。そのため、車両停止中であっても車輪11に同定トルクTiを付与することができ、摩擦円μWの推定を行うことが可能となる。
〔効果〕
次に、実施例1の摩擦円推定装置12の効果について以下に列記する。
(1)タイヤ10から車体に伝達する振動伝達特性が減衰特性となる周波数を有するトルクであって、タイヤ10の摩擦円推定において同定するためにタイヤ10を装着した車輪11に付与する同定トルクTiを演算する同定トルク演算部1と、車輪11の回転速度Vwを検出する回転速度検出器3と、同定トルクTiと車輪11の回転速度Vwとからタイヤ10と地面との相対速度である接地面速度Vgを演算する接地面速度演算部4と、車輪11に同定トルクTiを付与するモータ2と、同定トルクTiと車輪11の回転速度Vwと接地面速度Vgとからタイヤ10の摩擦円μWを推定する摩擦円推定部5と、を設けた。
よって、同定トルクTiを大きく設定しても車体に伝達する振動を抑制することが可能となるため、摩擦円μWの推定精度を向上させることができる。
次に、実施例1の摩擦円推定装置12の効果について以下に列記する。
(1)タイヤ10から車体に伝達する振動伝達特性が減衰特性となる周波数を有するトルクであって、タイヤ10の摩擦円推定において同定するためにタイヤ10を装着した車輪11に付与する同定トルクTiを演算する同定トルク演算部1と、車輪11の回転速度Vwを検出する回転速度検出器3と、同定トルクTiと車輪11の回転速度Vwとからタイヤ10と地面との相対速度である接地面速度Vgを演算する接地面速度演算部4と、車輪11に同定トルクTiを付与するモータ2と、同定トルクTiと車輪11の回転速度Vwと接地面速度Vgとからタイヤ10の摩擦円μWを推定する摩擦円推定部5と、を設けた。
よって、同定トルクTiを大きく設定しても車体に伝達する振動を抑制することが可能となるため、摩擦円μWの推定精度を向上させることができる。
(2)同定トルク演算部1は、同定トルクTiの振幅をタイヤ10の摩擦円が飽和するまで、時間の経過に応じて大きくするようにした。
よって、タイヤ駆動トルクTgを実際に飽和させることが可能となり、摩擦円μWの推定精度を向上させることができる。
よって、タイヤ駆動トルクTgを実際に飽和させることが可能となり、摩擦円μWの推定精度を向上させることができる。
(3)モータ2は、同定トルクTiと運転者のアクセルペダル操作に基づいた要求トルクTbに基づいて車輪11に駆動トルクを付与する手段であって、同定トルク演算部1は、同定トルクTiの振幅を大きくする速度を、要求トルクTbが増加する速度よりも速くなるように設定した。
よって、摩擦円推定において、要求トルクTbの変化の影響を抑制することが可能となり、摩擦円μWの推定制度を向上させることができる。
よって、摩擦円推定において、要求トルクTbの変化の影響を抑制することが可能となり、摩擦円μWの推定制度を向上させることができる。
(4)同定トルク演算部1は、同定トルクTiの時間平均値を略ゼロとするようにした。
よって、車体速度に変化を生じさせることなく、摩擦円μWを推定することができる。
よって、車体速度に変化を生じさせることなく、摩擦円μWを推定することができる。
(5)モータにより同定トルクTiを付与することとした。
よって、車両停止中であっても車輪11に同定トルクTiを付与することができ、摩擦円μWの推定を行うことができる。
よって、車両停止中であっても車輪11に同定トルクTiを付与することができ、摩擦円μWの推定を行うことができる。
[実施例2]
実施例1の摩擦円推定装置12では、飽和させたタイヤ駆動トルクTgを用いて摩擦円μWを推定していた。実施例2の摩擦円推定装置12では、飽和させる前のタイヤ駆動トルクTgとタイヤスリップ率λとに基づいて摩擦円μWを推定するようにした点で、実施例1の摩擦円推定装置12と異なる。以下、実施例2の摩擦円推定装置12について説明するが、実施例1と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。
実施例1の摩擦円推定装置12では、飽和させたタイヤ駆動トルクTgを用いて摩擦円μWを推定していた。実施例2の摩擦円推定装置12では、飽和させる前のタイヤ駆動トルクTgとタイヤスリップ率λとに基づいて摩擦円μWを推定するようにした点で、実施例1の摩擦円推定装置12と異なる。以下、実施例2の摩擦円推定装置12について説明するが、実施例1と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。
〔構成〕
図10は実施例2の摩擦円推定装置12の制御ブロック図である。同定トルクTiを演算する同定トルク演算部1と、同定トルクTiと運転者のアクセルペダル操作により決まる要求トルクTbとを加算する加算部8と、摩擦円Tg_max(=μW)を演算する摩擦円推定部5と、タイヤ10と地面と接地面の接地面速度Vgを演算する接地面速度演算部4、車輪11の回転速度Vwを検出する回転速度検出器3と、車体速度Vvを演算する車体速度演算部(車体速度演算手段)6と、タイヤスリップ率λを演算するスリップ率演算部(スリップ率演算手段)7とを有している。
図10は実施例2の摩擦円推定装置12の制御ブロック図である。同定トルクTiを演算する同定トルク演算部1と、同定トルクTiと運転者のアクセルペダル操作により決まる要求トルクTbとを加算する加算部8と、摩擦円Tg_max(=μW)を演算する摩擦円推定部5と、タイヤ10と地面と接地面の接地面速度Vgを演算する接地面速度演算部4、車輪11の回転速度Vwを検出する回転速度検出器3と、車体速度Vvを演算する車体速度演算部(車体速度演算手段)6と、タイヤスリップ率λを演算するスリップ率演算部(スリップ率演算手段)7とを有している。
同定トルク演算部1は、モータ2により車輪11に付与する同定トルクTiを演算して、加算部8に出力する。加算部8は、同定トルクTiと要求トルクTbとを加算して、モータ2へのモータトルク指令値Tmを演算する。実施例2では、説明の簡単のため要求トルクTb=0と設定し、モータトルク指令値Tm=同定トルクTiとして演算している。このモータトルク指令値Tmはモータ2に出力されるとともに、摩擦円推定部5と接地面速度演算部4に出力される。
回転速度検出器3は車輪11の回転速度Vwを検出し、この回転速度Vwは接地面速度演算部4と車体速度演算部6に出力される。接地面速度演算部4は、モータトルク指令値Tmと車輪11の回転速度Vwとを入力して、タイヤ10と地面と接地面の速度(接地面速度)Vgを演算する。この接地面速度Vgを摩擦円推定部5とスリップ率演算部7に出力される。車体速度演算部6は、各車輪11の回転速度Vw,Vw,2,Vw,3,Vw,4を入力して、車体速度Vvを演算する。この車体速度Vvは、スリップ率演算部7に出力される。スリップ率演算部7では、接地面速度Vgと車体速度Vvとを入力して、タイヤスリップ率λを演算する。このタイヤスリップ率λは摩擦円推定部5に出力される。摩擦円推定部5は、モータトルク指令値Tmと接地面速度Vgとタイヤスリップ率λと車輪11の回転速度Vwとを入力して、摩擦円μWを演算する。
(同定トルク演算部)
図11は、同定トルク演算部1の制御ブロック図である。同定トルク演算部1は、タイヤ10から車体へ伝達する前後方向の振動の振動伝達特性G(s)を演算する振動伝達トルク演算部1aと、振動伝達特性G(s)から同定トルクTiの周波数fiを演算する同定トルク周波数決定部1bと、初期タイヤ駆動トルクTg *の初期振幅Aを決定する同定トルク振幅決定部1cと、同定トルクTiの周波数fi及び初期タイヤ駆動トルクTg *の初期振幅Aから初期タイヤ駆動トルクTg *を演算する正弦波演算部1dと、初期タイヤ駆動トルクTg *から同定トルクTiを演算するトルク伝達特性演算部1eを有している。
図11は、同定トルク演算部1の制御ブロック図である。同定トルク演算部1は、タイヤ10から車体へ伝達する前後方向の振動の振動伝達特性G(s)を演算する振動伝達トルク演算部1aと、振動伝達特性G(s)から同定トルクTiの周波数fiを演算する同定トルク周波数決定部1bと、初期タイヤ駆動トルクTg *の初期振幅Aを決定する同定トルク振幅決定部1cと、同定トルクTiの周波数fi及び初期タイヤ駆動トルクTg *の初期振幅Aから初期タイヤ駆動トルクTg *を演算する正弦波演算部1dと、初期タイヤ駆動トルクTg *から同定トルクTiを演算するトルク伝達特性演算部1eを有している。
実施例1の同定トルク演算部1では、トルク伝達特性演算部1eは初期同定トルクTi *を演算していたが、実施例1の同定トルク演算部1ではこの初期同定トルクTi *をそのまま同定トルクTiとして出力している。この点以外の演算方法等は実施例1の同定トルク演算部1と同様である。
(摩擦円推定部)
図12は、摩擦円推定部5の制御ブロック図である。摩擦円推定部5は、タイヤ駆動トルク演算部5aと摩擦円参照部5cとを有している。
図12は、摩擦円推定部5の制御ブロック図である。摩擦円推定部5は、タイヤ駆動トルク演算部5aと摩擦円参照部5cとを有している。
〈摩擦円参照部〉
摩擦円参照部5cでは、タイヤ駆動トルクTgとタイヤスリップ率λを入力して、マップを用いて摩擦円μWを参照する。
図13は低μ(=μL)と高μ(=μH)のときの、タイヤスリップ率λとタイヤ駆動トルクTgとの関係を示すグラフである。図13に示すように、μが変化するとタイヤスリップ率λに対するタイヤ駆動トルクTgの傾きであるドライビングプレジャDPが変化する。ドライビングプレジャDPと摩擦円μWとの関係は図14のように示すことができる。
摩擦円参照部5cでは、タイヤ駆動トルクTgとタイヤスリップ率λを入力して、マップを用いて摩擦円μWを参照する。
図13は低μ(=μL)と高μ(=μH)のときの、タイヤスリップ率λとタイヤ駆動トルクTgとの関係を示すグラフである。図13に示すように、μが変化するとタイヤスリップ率λに対するタイヤ駆動トルクTgの傾きであるドライビングプレジャDPが変化する。ドライビングプレジャDPと摩擦円μWとの関係は図14のように示すことができる。
摩擦円参照部5cでは、入力したタイヤ駆動トルクTgとタイヤスリップ率λからドライビングプレジャDPを演算し、図14のマップからドライビングプレジャDPに対応する摩擦円μWを参照することで、摩擦円μWを推定している。
〔作用〕
実施例2の摩擦円推定装置12では、同定トルクTiとタイヤスリップ率λと接地面速度Vgと車輪11の回転速度Vwからタイヤ10の摩擦円μWを推定するようにした。同定トルクTiと接地面速度Vgと車輪11の回転速度Vwからタイヤ駆動トルクTgを演算し、このタイヤ駆動トルクTgとタイヤスリップ率λからドライビングプレジャDPを演算して、マップを用いて摩擦円μWを推定することが可能となる。すなわち、タイヤ駆動トルクTgを飽和させることなく摩擦円μWの推定を行うことが可能となる。
実施例2の摩擦円推定装置12では、同定トルクTiとタイヤスリップ率λと接地面速度Vgと車輪11の回転速度Vwからタイヤ10の摩擦円μWを推定するようにした。同定トルクTiと接地面速度Vgと車輪11の回転速度Vwからタイヤ駆動トルクTgを演算し、このタイヤ駆動トルクTgとタイヤスリップ率λからドライビングプレジャDPを演算して、マップを用いて摩擦円μWを推定することが可能となる。すなわち、タイヤ駆動トルクTgを飽和させることなく摩擦円μWの推定を行うことが可能となる。
〔効果〕
次に、実施例2の摩擦円推定装置12の効果について以下に列記する。
(6)同定トルクTiとタイヤスリップ率λと接地面速度Vgと車輪11の回転速度Vwからタイヤ10の摩擦円μWを推定するようにした。
同定トルクTiと接地面速度Vgと車輪11の回転速度Vwからタイヤ駆動トルクTgを演算し、このタイヤ駆動トルクTgとタイヤスリップ率λからドライビングプレジャDPを演算して、マップを用いて摩擦円μWを推定することが可能となる。すなわち、タイヤ駆動トルクTgを飽和させることなく摩擦円μWの推定を行うことが可能となる。そのため、摩擦円μWを推定時の車両挙動変化を抑制することができる。
次に、実施例2の摩擦円推定装置12の効果について以下に列記する。
(6)同定トルクTiとタイヤスリップ率λと接地面速度Vgと車輪11の回転速度Vwからタイヤ10の摩擦円μWを推定するようにした。
同定トルクTiと接地面速度Vgと車輪11の回転速度Vwからタイヤ駆動トルクTgを演算し、このタイヤ駆動トルクTgとタイヤスリップ率λからドライビングプレジャDPを演算して、マップを用いて摩擦円μWを推定することが可能となる。すなわち、タイヤ駆動トルクTgを飽和させることなく摩擦円μWの推定を行うことが可能となる。そのため、摩擦円μWを推定時の車両挙動変化を抑制することができる。
[実施例3]
実施例1の摩擦円推定装置12では、同定トルク周波数fiを、振動伝達特性G(s)が減衰特性を示す周波数fL以上とし、モータ2が出力可能な周波数をfM以下とするようにして設定していた。実施例3の摩擦円推定装置12では、同定トルク周波数fiを、モータ2からタイヤ10へのトルク伝達特性が共振特性となる周波数(タイヤ共振周波数)fkを用いて設定した点で実施例1の摩擦円推定装置12と異なる。以下、実施例3の摩擦円推定装置12について説明するが、実施例1と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。
実施例1の摩擦円推定装置12では、同定トルク周波数fiを、振動伝達特性G(s)が減衰特性を示す周波数fL以上とし、モータ2が出力可能な周波数をfM以下とするようにして設定していた。実施例3の摩擦円推定装置12では、同定トルク周波数fiを、モータ2からタイヤ10へのトルク伝達特性が共振特性となる周波数(タイヤ共振周波数)fkを用いて設定した点で実施例1の摩擦円推定装置12と異なる。以下、実施例3の摩擦円推定装置12について説明するが、実施例1と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。
〔構成〕
(同定トルク演算部)
図15は、同定トルク演算部1の制御ブロック図である。同定トルク演算部1は、タイヤ10から車体へ伝達する前後方向の振動の振動伝達特性G(s)を演算する振動伝達トルク演算部1aと、振動伝達特性G(s)から同定トルクTiの周波数fiを演算する同定トルク周波数決定部1bと、初期タイヤ駆動トルクTg *の初期振幅Aを決定する同定トルク振幅決定部1cと、同定トルクTiの周波数fi及び初期タイヤ駆動トルクTg *の初期振幅Aから初期タイヤ駆動トルクTg *を演算する正弦波演算部1dと、初期タイヤ駆動トルクTg *から同定トルクTiを演算するトルク伝達特性演算部1eを有している。
(同定トルク演算部)
図15は、同定トルク演算部1の制御ブロック図である。同定トルク演算部1は、タイヤ10から車体へ伝達する前後方向の振動の振動伝達特性G(s)を演算する振動伝達トルク演算部1aと、振動伝達特性G(s)から同定トルクTiの周波数fiを演算する同定トルク周波数決定部1bと、初期タイヤ駆動トルクTg *の初期振幅Aを決定する同定トルク振幅決定部1cと、同定トルクTiの周波数fi及び初期タイヤ駆動トルクTg *の初期振幅Aから初期タイヤ駆動トルクTg *を演算する正弦波演算部1dと、初期タイヤ駆動トルクTg *から同定トルクTiを演算するトルク伝達特性演算部1eを有している。
実施例3の同定トルク演算部1では、トルク伝達特性演算部1eにおいて、タイヤ共振周波数fkを求めている。また実施例3の同定トルク演算部1では、同定トルク周波数決定部1bにおいて、同定トルクTiの周波数fiをタイヤ共振周波数fkを用いて設定している。この点以外の演算方法等は実施例1の同定トルク演算部1と同様である。
〈同定トルク周波数決定部〉
同定トルク周波数決定部1bでは、振動伝達特性G(s)とタイヤ共振周波数fkとを入力して、同定トルク周波数fiを演算する。図16は、モータ2からタイヤ10へのトルク伝達特性を示すグラフである。図16に示すように、30[Hz]付近で共振していることが分かる。振動伝達特性G(s)が減衰特性を示す周波数をfL(例えば10[Hz])以上とし、モータ2が出力可能な周波数をfM(例えば500[Hz])以下とすると、同定トルク周波数fiはタイヤ共振周波数fkに応じて、次の式(14)より選択して設定する。
同定トルク周波数決定部1bでは、振動伝達特性G(s)とタイヤ共振周波数fkとを入力して、同定トルク周波数fiを演算する。図16は、モータ2からタイヤ10へのトルク伝達特性を示すグラフである。図16に示すように、30[Hz]付近で共振していることが分かる。振動伝達特性G(s)が減衰特性を示す周波数をfL(例えば10[Hz])以上とし、モータ2が出力可能な周波数をfM(例えば500[Hz])以下とすると、同定トルク周波数fiはタイヤ共振周波数fkに応じて、次の式(14)より選択して設定する。
〈タイヤ伝達特性算出部〉
トルク伝達特性演算部1eにおいて、初期タイヤ駆動トルクTg *から初期同定トルクTi *を逆算する。図3の二慣性系モデルより、同定トルクTiとタイヤ駆動トルクTgは微分方程式により次の式(6)で示すことができる。
トルク伝達特性演算部1eにおいて、初期タイヤ駆動トルクTg *から初期同定トルクTi *を逆算する。図3の二慣性系モデルより、同定トルクTiとタイヤ駆動トルクTgは微分方程式により次の式(6)で示すことができる。
この式(6)から初期タイヤ駆動トルクTg *から初期同意底トルクTi *の間のトルク伝達特性を演算する。このトルク伝達特性をH(s)とすると、初期同定トルクTi *は次の式(7)で計算することができる。
ここでΓ-1[H-1(s)]はH-1(s)の逆ラプラス変換を表し、演算子「*」は時間領域での畳み込み積分を表す。このトルク伝達特性演算部1eにおける計算精度は摩擦円μWの推定精度に直接関係しないため、タイヤ10と地面の間のばね定数K2、タイヤ10と地面の間の粘性抵抗C2の値は概算で良い。
またトルク伝達特性演算部1eでは、H(s)からタイヤ共振周波数fkを求める。
ここでΓ-1[H-1(s)]はH-1(s)の逆ラプラス変換を表し、演算子「*」は時間領域での畳み込み積分を表す。このトルク伝達特性演算部1eにおける計算精度は摩擦円μWの推定精度に直接関係しないため、タイヤ10と地面の間のばね定数K2、タイヤ10と地面の間の粘性抵抗C2の値は概算で良い。
またトルク伝達特性演算部1eでは、H(s)からタイヤ共振周波数fkを求める。
〔作用〕
実施例3の摩擦円推定装置12では、同定トルクTiの周波数をモータ2からタイヤ10へのトルク伝達特性が共振特性となる周波数fkに設定するようにした。そのため、モータ2から車輪11に付与するトルクを小さくすることが可能となる。
実施例3の摩擦円推定装置12では、同定トルクTiの周波数をモータ2からタイヤ10へのトルク伝達特性が共振特性となる周波数fkに設定するようにした。そのため、モータ2から車輪11に付与するトルクを小さくすることが可能となる。
〔効果〕
次に、実施例3の摩擦円推定装置12の効果について以下に列記する。
次に、実施例3の摩擦円推定装置12の効果について以下に列記する。
(7)同定トルク演算部1は、同定トルクTiの周波数fiをモータからタイヤ10へのトルク伝達特性が共振特性となる周波数fkに設定した。
よって、モータ2から車輪11に付与するトルクを小さくすることが可能となる。そのため、モータ2の損失を小さくすることができる。また摩擦円μWの推定可能領域を拡大することができる。
よって、モータ2から車輪11に付与するトルクを小さくすることが可能となる。そのため、モータ2の損失を小さくすることができる。また摩擦円μWの推定可能領域を拡大することができる。
[他の実施例]
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1ないし実施例3に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1ないし実施例3に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1ないし実施例3に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1ないし実施例3に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例1ないし実施例3では、同定トルクTiをモータ2によって付与するようにしているが、ブレーキにより付与するようにしても良い。
1 同定トルク演算部(同定トルク演算手段)
2 モータ(トルク付与手段)
3 回転速度検出器(回転速度検出手段)
4 接地面速度演算部(接地面速度演算手段)
5 摩擦円推定部(摩擦円推定手段)
6 車体速度演算部(車体速度演算手段)
7 スリップ率演算部(スリップ率演算手段)
2 モータ(トルク付与手段)
3 回転速度検出器(回転速度検出手段)
4 接地面速度演算部(接地面速度演算手段)
5 摩擦円推定部(摩擦円推定手段)
6 車体速度演算部(車体速度演算手段)
7 スリップ率演算部(スリップ率演算手段)
Claims (7)
- タイヤから車体に伝達する振動伝達特性が減衰特性となる周波数を有するトルクであって、前記タイヤの摩擦円推定において前記タイヤを装着した車輪に付与するトルクを演算するトルク演算手段と、
車輪の回転速度を検出する回転速度検出手段と、
前記トルクと前記車輪の回転速度とから前記タイヤと地面との相対速度である接地面速度を演算する接地面速度演算手段と、
前記車輪に前記トルクを付与するトルク付与手段と、
前記トルクと前記車輪の回転速度と前記接地面速度とから前記タイヤの摩擦円を推定する摩擦円推定手段と、
を設けたことを特徴とする摩擦円推定装置。 - 請求項1に記載の摩擦円推定装置において、
前記同定トルク演算手段は、前記同定トルクの振幅を前記タイヤの駆動トルクが飽和するまで、時間の経過に応じて大きくすることを特徴とする摩擦円推定装置。 - 請求項2に記載の摩擦円推定装置において、
前記トルク付与手段は、前記同定トルクと運転者のアクセルペダル操作に基づいた要求トルクに基づいて前記車輪に駆動トルクを付与する手段であって、
前記同定トルク演算手段は、前記同定トルクの振幅を大きくする速度を、前記要求トルクが増加する速度よりも速くなるように設定したことを特徴とする摩擦円推定装置。 - 請求項1に記載の摩擦円推定装置において、
車体速度を演算する車体速度演算手段と、
前記車体速度と前記接地面速度とからタイヤのスリップ率を演算するスリップ率演算手段と、
を設け、
前記摩擦円推定手段は、前記同定トルクと前記スリップ率とから前記タイヤの摩擦円を推定することを特徴とする摩擦円推定装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の摩擦円推定装置において、
前記同定トルク演算手段は、前記同定トルクの時間平均値を略ゼロとすることを特徴とする摩擦円推定装置。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の摩擦円推定装置において、
前記同定トルク演算手段は、前記同定トルクの周波数を前記同定トルク付与手段から前記タイヤへのトルク伝達特性が共振特性となる周波数に設定したことを特徴とする摩擦円推定装置。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の摩擦円推定装置において、
前記トルク付与手段は、モータであることを特徴とする摩擦円推定装置。
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-
2009
- 2009-03-30 JP JP2009082194A patent/JP2010236883A/ja active Pending
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