JPH1178843A - 車輪状態推定装置 - Google Patents

車輪状態推定装置

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JPH1178843A
JPH1178843A JP10204108A JP20410898A JPH1178843A JP H1178843 A JPH1178843 A JP H1178843A JP 10204108 A JP10204108 A JP 10204108A JP 20410898 A JP20410898 A JP 20410898A JP H1178843 A JPH1178843 A JP H1178843A
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孝治 梅野
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Hiroyuki Yamaguchi
裕之 山口
Katsuhiro Asano
勝宏 浅野
Masaru Sugai
賢 菅井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】タイヤ空気圧等の変動に係わらず、路面μ勾配
を高精度に推定する。 【解決手段】 車輪速度ω1 を検出する車輪速検出手段
1と、検出された車輪速度から振動成分Δω1 を抽出す
る前処理フィルタ2と、抽出された振動成分Δω 1 の中
から伝達関数同定手段3に入力する出力(車輪速振動)
Δω1 を選別する選別手段10と、選別された出力Δω
1 から車輪共振系の振動モデルに基づく連続時間モデル
の伝達関数のパラメータを最小自乗法により推定する伝
達関数同定手段3と、同定された伝達関数のパラメータ
からタイヤと路面との間のすべり易さに関する物理量を
演算するμ勾配演算手段4と、から構成する。抽出され
た振動成分Δω1 の内、周期的な信号を選別して路面μ
勾配を推定するので、路面μ勾配の推定精度が向上す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、車輪状態推定装置
に係り、より詳しくは、タイヤと路面との間の摩擦特性
を含む車輪共振系の振動モデルに基づいて、該車輪共振
系の応答出力などから車輪状態を推定する車輪状態推定
装置に関する。
【従来の技術】近年、自動車に対する安全志向の高まり
から、予防安全技術の研究開発が進められ、その代表的
な安全装置であるアンチロックブレーキシステム(AB
S)は、既に多くの乗用車に装備されている。
【0001】こうした中、タイヤの共振現象に着目した
新しい原理のABS制御が提案され、検討が進められて
いる(特願平7−220920号等)。本技術は、タイ
ヤがグリップしている時の共振周波数と等しい周波数成
分を有する微小励振をブレーキ圧に与え、そのときのタ
イヤ共振系の共振ゲイン(車輪速度の共振周波数での微
小振幅/ブレーキ圧の励振振幅)に基づいて、平均ブレ
ーキ圧を制御するものである。
【0002】この共振ゲインは、いわゆるS−μ特性
(スリップ率Sに対する摩擦係数μの変化曲線)におい
て、摩擦係数μのスリップ率Sに対する勾配と関連した
物理量であることがわかっており、該共振ゲインに基づ
き制動時におけるタイヤ−路面間のすべり易さに関する
摩擦特性を推定できるものとして期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術は、タイヤ共振系の共振周波数が既知であること
を前提にしているため、タイヤ交換やタイヤ空気圧の変
動によって共振周波数が変化した場合に即座に対応でき
ない、という問題点がある。例えば、タイヤ空気圧が低
下すると、タイヤが路面にグリップしているときの共振
周波数は低い側に変動するので、共振ゲインの値が小さ
くなり、予め定められた基準ゲインと比較することによ
るピークμ直前の状態の検出精度が低下する。
【0004】さらに、上記従来技術では、共振ゲインを
演算する際にブレーキ圧を微小励振するが、ブレーキ部
の構造によっては、この微小励振をブレーキ時にしか与
えることができないため、このようなブレーキ部を持つ
車種の場合、路面状態推定の機会がブレーキ時に限られ
るという問題点がある。また、駆動時や定常走行時など
のようにブレーキ圧の微小励振が好ましくない場合もあ
る。
【0005】本発明は、上記事実に鑑みなされたもの
で、制動・駆動・定常走行など種々の走行状態におい
て、等しく路面状態を推定可能であると共に、タイヤ交
換やタイヤ空気圧の変動による共振周波数の変化に係わ
らず、常に高精度にタイヤ−路面間のすべり易さに関す
る摩擦特性を推定しかつ該摩擦特性に基づいて高精度な
ABS制御を可能とする車輪状態推定装置を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を実現するため
に、請求項1の発明は、タイヤと路面との間の摩擦特性
を含む車輪共振系における車輪状態を推定する車輪状態
推定装置において、前記車輪共振系への加振入力に対す
る応答出力を検出する検出手段と、加振入力から応答出
力までの前記車輪共振系の伝達特性を、少なくともタイ
ヤと路面との間のすべり易さに関する物理量を車輪状態
の未知要素として含む振動モデルで表し、該振動モデル
に基づいて、少なくとも前記検出手段により検出された
応答出力を略満足させるような前記未知要素を推定する
推定手段と、を有することを特徴とする。
【0007】また、請求項2の発明は、請求項1の発明
において、前記検出手段により検出された応答出力に基
づいて、前記振動モデルを修正する修正手段と、をさら
に有することを特徴とする。
【0008】また、請求項3の発明は、請求項1又は請
求項2の前記振動モデルが、タイヤのねじればね定数に
関する物理量を車輪状態の未知要素としてさらに含むこ
とを特徴とする。
【0009】さらに、請求項4の発明は、請求項1乃至
請求項3のいずれか1項の発明において、前記車輪共振
系へ加振入力を与える加振手段と、をさらに有すること
を特徴とする。
【0010】さらに、請求項5の発明は、請求項4の発
明において、前記加振入力手段により前記車輪共振系へ
与えられる加振入力を検出する加振入力検出手段と、を
さらに有することを特徴とする。更に、請求項6の発明
は、請求項1乃至請求項5の何れか1項の発明におい
て、前記検出手段により検出された応答出力に基づい
て、該応答出力が周期的な出力か否かを判断するための
判断値を算出する算出手段と、前記算出手段により算出
された判断値に基づいて、前記検出手段により検出され
た応答出力の中から前記推定手段に入力する出力を選別
する選別手段と、を更に備え、前記推定手段は、前記未
知要素を推定する際は、前記選別手段により選別された
出力を用いることを特徴とする。また、請求項7の発明
は、請求項6の発明において、前記算出手段は、前記判
断値として、前記検出手段により検出された応答出力と
該応答出力を該応答出力の周期的な部分が該応答出力の
変化に対応して変化するように変換した値との相関係数
を算出する。なお、上記変換は、偶数回微分、偶数回差
分、偶数回積分、及び偶数回増分の何れかにより行う。
また、前記算出手段は、前記検出手段により応答出力が
所定個数検出される毎に前記判断値を算出する。 (本発明の原理)本発明の原理について図1〜図3の図
面を参照して説明する。ここで、図1は、車輪共振系の
等価力学モデル、図2は、図1の車輪共振系の伝達特性
を規定するタイヤと路面との間の摩擦特性、図3は、図
1の車輪共振系の伝達特性において、加振入力から応答
出力までの振動モデルの例を図示したものである。
【0011】まず、図1に示すように、車両が車体速度
v(角速度換算でωv )で走行している時の車輪での振
動現象、すなわち少なくとも車輪と路面とによって構成
される車輪共振系の振動現象を、車輪回転軸で等価的に
モデル化した力学モデルを参照して考察する。なお、図
1において示された諸量は、以下の通りである。
【0012】 J1 :リム側の慣性モーメント J2 :ベルト側の慣性モーメント K :タイヤのねじればね定数 T1 :制駆動トルク(駆動側が正符号) ω1 :リム側の角速度 ω2 :ベルト側の角速度 θs :リム−ベルト間のねじれ角度 Td :路面外乱 TL :タイヤ−路面間の発生力 図1の車輪共振系の力学モデルにおいて、リムに作用し
た制駆動トルクT1 は、タイヤのねじればね定数Kを介
してベルトに伝達し、該ベルト表面を介して路面に作用
する。このとき、車輪には、ベルトと路面との接地点を
基点として、路面から制駆動トルクT1 の反作用として
の発生力TL が作用する。
【0013】この発生力TL は、タイヤと路面との間の
摩擦力によるものであり、制駆動トルクT1 の方向と反
対方向に作用する。すなわち、発生力TL は、駆動時に
リムに駆動トルクT1 が作用する場合、車輪回転方向
(ω1 の方向)と反対方向に作用し、ブレーキ制動時に
制動トルクT1 が作用する場合、車輪の回転方向に作用
する。また、路面に凹凸がある場合などでは、この凹凸
によって発生した路面外乱ΔTd のトルクもタイヤに作
用する。
【0014】ここで、車両がある速度v(回転系に変換
した値をωv )で走行している時から、ブレーキをかけ
ていくとタイヤと路面との間にスリップが生じるが、こ
のときタイヤと路面との間に発生した発生力TL は、以
下の式で表されるスリップ率S1 に対して、図2の関数
関係のように変化する。
【0015】
【数1】
【0016】同様に、車両がある速度vで走行している
時から、ドライバがアクセルペダルを踏んで加速してい
く場合でも、タイヤと路面との間にスリップが生じる
が、このときの発生力TL は、以下の式で表されるスリ
ップ率S2 に対して、図2の関数関係のように変化す
る。
【0017】
【数2】
【0018】ここで、車輪の回転方向を正方向とする
と、タイヤ−路面間の発生力TL を、次式のように表す
ことができる。
【0019】 制動時: TL =WRμ(S1 ) (2) 駆動時: TL =−WRμ(S2 ) (3) ここに、Wは輪荷重、Rはタイヤの動荷重半径、μはタ
イヤと路面との間の摩擦係数である。なお、μは、スリ
ップ率S1 或いはS2 の関数として表されている。
【0020】図2のS−μ曲線に示すように、スリップ
率0のときは発生力TL は0であるが、ある正のスリッ
プ率において、制動時の発生力TL は正のピーク値をと
り、ある負のスリップ率において、駆動時の発生力TL
は負のピーク値をとる関係が成り立っていることがわか
る。また、種々の動作点において、スリップ率に対する
発生力の勾配は、例えばピーク値の時には0近傍の値と
いうように、各々固有の値をとるので、該勾配を用いる
ことによって、タイヤと路面との間のすべり易さを表す
ことができる。
【0021】ここで、図1の力学モデルにおいて、リム
に作用する制駆動トルクを平均的な制駆動トルクT1
回りに振幅ΔT1 で励振すると、この励振トルク成分は
車輪速度ω1 の回りの振動成分Δω1 となって現れる。
また、路面外乱Td に振動成分ΔTd がある場合、車輪
速度の振動成分Δω1 には、該外乱によって発生した振
動成分も加わることになる。
【0022】そこで、図1の車輪共振系の伝達特性を、
図2の種々の動作点における振動モデルで表すと、次式
のようになる。
【0023】 Δω1 = H1 (s)ΔT1 + H2 (s)ΔTd (4) ここに、
【0024】
【数3】
【0025】である。なお、sはラプラス演算子であ
る。また、D0 は、制動時、駆動時に応じて、それぞれ
次式のD10、D20によって表される。
【0026】
【数4】
【0027】ここに、S10、S20は、それぞれ制動時、
駆動時におけるある動作点でのスリップ率であり、ωv0
は、該動作点での車体速度である。
【0028】(7) 式より、D10は、動作点でのスリップ
率S10におけるS−μ曲線の勾配(∂μ/∂S1 )及び
輪荷重Wに比例し、該動作点での車体速度ωv0に反比例
する。また、S20が0に近いところでは、D20に関して
も同様のことが成立する。
【0029】なお、ここまではμがスリップ率依存性を
持つと仮定したが、スリップ速度依存性を持つ場合は、
1 =ωv −ω2 、S2 =ω2 −ωv と再定義すること
によって、
【0030】
【数5】
【0031】と表すことができる。この場合も、D
10,20 は、動作点でのスリップ率S10,20におけるS−
μ曲線の勾配及び輪荷重Wに比例することになる。
【0032】以上述べた振動モデルは、任意の動作点で
の動作を表しているので、その特殊なケースとして、制
動も駆動も行われていない定常走行の場合も記述してい
る。定常走行の場合、動作点は、S−μ曲線の原点とな
り、D0 =D10=D20は、原点でのμ勾配を表している
ことになる。
【0033】また、上記振動モデルは、ラプラス演算子
sに関して3次のシステムで表現されているが、振動と
いう物理現象を記述するには、2次で十分と考えられ
る。そこで、同3次モデルを2次モデルに近似すると次
式を得る。
【0034】
【数6】
【0035】このように上記振動モデルは、タイヤと路
面との間の摩擦特性を含む車輪共振系において、該共振
系への加振入力トルク(ΔT1 )及び凹凸のある路面上
をタイヤが転がることによって起こる路面加振(Δ
d )に対する応答出力としての車輪速振動(Δω1
の応答を表しており、さらに、タイヤと路面との間のす
べり易さに関する物理量D0 を含んでいることがわか
る。
【0036】なお、以上の振動モデルにおける加振入力
から応答出力までの伝達の様子を図示すると、図3のよ
うになる。
【0037】この振動モデルの妥当性は実験結果によっ
て示すことができる。図4(A)及び図4(B)は、あ
る一定の車体速度において、ブレーキ圧力Pm に加振入
力を重畳して制動をかけ、その時の加振入力から車輪速
振動までの伝達特性を、ブレーキ圧力Pm の種々の値
(0.98[MPa] 〜4.90[MPa] )について実験して得られた
結果である。なお、図4(A)は、ブレーキ圧力Pm
加振振幅に対する車輪速振動の比(共振ゲイン)の周波
数特性(振幅特性)、図4(B)は、ブレーキ圧力Pm
の振動から車輪速振動までの位相特性を示す。
【0038】図4(A)に示すように、共振周波数(約
40Hz)付近の共振ゲインのピークは、ブレーキ圧力
を増加していくに従い、減少していくことがわかる。ま
た、図4(B)に示すように、ブレーキ圧力から車輪速
振動までの位相は、ブレーキ圧力Pm の大小に応じて、
共振周波数付近を境とした位相特性が大きく異なってい
る様子がわかる。
【0039】ここで、ブレーキ圧力Pm の増加により、
スリップ率及び制動力が増加し、S−μ曲線の勾配は減
少することになるので、Pm が増加することとS−μ曲
線の勾配D0 が減少することとはほぼ同じ物理的意味を
持つ。従って、D0 を変化させた場合でも図4(A)及
び図4(B)と同様の結果が得られることは予想でき
る。
【0040】一方、本発明の上記振動モデルに基づい
て、ブレーキ加振入力に対する車輪速振動の応答特性を
計算すると、図5(A)のような振幅特性、及び図5
(B)のような位相特性が得られる。図5(A)に示す
ように、共振周波数(40Hz)において、S−μ曲線
の勾配D0 を減じていくと、図4(A)と同様に共振ピ
ークが減少する特徴のあることがわかる。また、図5
(B)に示すように、勾配D 0 の大小に応じて、共振周
波数付近を境とした位相特性が大きく異なっており、図
4(B)と類似の特徴を有することがわかる。これよ
り、本発明の振動モデルは、実際の車輪共振系の伝達特
性を良く表しているといえる。
【0041】また、図6(A)及び図6(B)は、それ
ぞれアスファルト路(乾燥路)及びダート路を実際に走
行した時に得られた駆動輪(右後輪及び左後輪)の車輪
速振動の周波数スペクトルである。
【0042】アスファルト路(図6(A))では、共振
ピークが明瞭に現れているが、ドリフト走行等によっ
て、タイヤが空転に近い状態で走行しているダート路
(図6(B))では、共振ピークが現れていないことが
わかる。
【0043】一方、図7(A)及び図7(B)は、本発
明の振動モデルに基づいて、タイヤ路面加振入力に対す
る車輪速振動の振幅特性及び位相特性をそれぞれ示した
ものである。同図においても、S−μ曲線の勾配D0
減じていくと、共振ピークが消滅していくため、実験結
果の特徴と良く一致していることがわかる。
【0044】本発明は、以上述べたように、実際の伝達
特性を良く表している振動モデルに基づいて、タイヤと
路面との間のすべり易さに関する物理量D0 を推定する
ものである。すなわち、本発明の推定手段は、少なくと
もタイヤと路面との間のすべり易さに関する物理量を車
輪状態の未知要素として含む上記振動モデルに基づい
て、少なくとも前記検出手段により検出された応答出力
を略満足させるような前記未知要素を推定する。
【0045】また、請求項3の発明のように、振動モデ
ルが、タイヤのねじればね定数Kに関する物理量を車輪
状態の未知要素としてさらに含んでいる場合には、推定
手段によって、タイヤのねじればね定数Kや該定数に関
する物理量を推定することもできる。なお、タイヤのね
じればね定数に関する物理量として、車輪共振系の共振
周波数などがある。
【0046】次に、本発明の推定手段による推定原理を
説明する。図3に示すように、本発明の振動モデルを、
伝達関数1及び伝達関数2で表す例の場合には、推定手
段による未知要素の推定は、これらの伝達関数を同定す
ることと等価である。
【0047】ここで、同定する伝達関数として良く用い
られるものに、z変換した離散化モデルがあるが、離散
時間モデルを同定する場合には、 離散時間モデルの同定精度は、サンプリング周期に
依存するため、適切なサンプリング周期を得るために多
くの試行錯誤が伴う。
【0048】 離散時間モデルで同定した後、系を構
成する物理量を演算するために、連続時間モデルに逆変
換しなければならないが、その演算には高等関数を必要
とし、演算時間、演算誤差が増大する。さらに、その逆
変換は一意に定まらない。という問題点があるため、路
面のすべり易さに対応する物理量を求めるためのモデル
としては問題がある。
【0049】このため、本発明では、連続時間モデルを
同定することとする。連続時間モデルの同定では、前記
離散時間モデルの同定に伴う問題点がなく、路面のすべ
り易さに対応する物理量が直接的に演算できるというメ
リットがある。
【0050】例えば、2次の連続時間モデルの伝達関数
を同定する場合、(11)、(12)式を変形して得られる
【0051】
【数7】
【0052】を同定すべき伝達関数とすることができ
る。このとき、請求項4の発明のように、加振入力とし
て、励振トルクΔT1 を車輪共振系へ与える場合、励振
トルクと比して路面外乱を微小として、これを無視する
と、(4) 式より、 Δω1 =ΔG1 (s)ΔT1 が得られる。
【0053】例えば、最小自乗法を用いる場合、上式
を、未知パラメータ[a1 2 ]若しくは[a1 2
0 1 2 ]について一次関数の形式で変形した式に、
検出されたΔω1 を順次当てはめた各データに対し、最
小自乗法を適用することによって、未知パラメータを推
定することができる。
【0054】ここで、請求項5の発明のように、加振入
力検出手段によって、加振入力手段により前記車輪共振
系へ与えられる加振入力ΔT1 を検出できる場合は、未
知パラメータ[a1 2 0 1 2 ]のすべてを推定
することができる。一方、ΔT1 を検出しない場合は、
[a1 2 ]が推定可能となる。
【0055】このように加振入力を車輪共振系へ与える
場合には、凹凸の少ない良好な路面を走行中でも、未知
パラメータを高精度で推定することができる。
【0056】一方、励振トルクΔT1 を与えない場合、
ΔT1 =0として(4) 式より得られる Δω2 =ΔG2 (s)ΔTd を、未知パラメータ[a1 2 ]について一次関数の形
式で変形した式に、検出されたΔω1 を順次当てはめた
各データに対し、最小自乗法を適用することによって、
未知パラメータを推定することができる。この場合、励
振トルクΔT1 の印加ができない場合などでも未知パラ
メータを推定できるというメリットがある。
【0057】なお、同定誤差を抑えるために種々の修正
最小自乗法を用いてもよい。修正最小自乗法としては、
従来より良く知られている補助変数法や拡大最小自乗
法、一般化最小自乗法を用いることができる。
【0058】そして、本発明の推定手段は、振動モデル
の伝達関数(11)式と(11-2)式との対応関係若しくは(12)
式と(12-2)式との対応関係から、推定されたパラメータ
1、a2 を用いて路面μ勾配D0 に関係する物理量
を、
【0059】
【数8】
【0060】と推定し、タイヤのねじればね定数に関す
る物理量を、 a2 =K/J1 と推定することができる。また、これより、車輪共振系
の共振周波数を推定することもできる。
【0061】このように路面μ勾配D0 に関係する物理
量が演算できると、該物理量が小さいときはタイヤと路
面との間の摩擦特性は飽和状態と判定でき、路面のすべ
り易さが直ちに判定できる。また、μ勾配D0 は、タイ
ヤのねじればね定数が既知であることを前提にしないで
求められるので、タイヤ交換やタイヤ空気圧の変動によ
って共振周波数が変化したか否かに係わらず、高精度に
タイヤと路面との間のすべり易さに関する物理量を求め
ることができる。さらに、タイヤのねじればね定数に関
する物理量の推定値に基づいてタイヤ空気圧の診断が可
能となる。
【0062】また、請求項2の発明では、検出された応
答出力に基づいて振動モデルを修正する。例えば、同定
精度を向上させるために、振動モデルの伝達関数の前段
に、車輪共振系の共振周波数に対応する周波数特性を有
する前処理手段を設けた場合、この前処理手段のパラメ
ータを、検出された応答出力に基づく最小自乗法の演算
と共に適応的に変化させる。この場合、前処理手段のパ
ラメータを伝達関数のパラメータで表すことができる。
そして、変化した前処理手段と、伝達関数とを通過した
応答出力により、再び伝達関数のパラメータが更新され
る。このようにして、前処理手段の周波数特性が、タイ
ヤのねじればね定数の変動に応じた共振周波数に適応し
た周波数特性に近づいていくので、前処理手段のパラメ
ータを固定とする場合と比べてより高精度の推定が可能
となる。更に、請求項6の発明に係る算出手段は、前記
検出手段により検出された応答出力に基づいて、該応答
出力が周期的な出力か否かを判断するための判断値を算
出する。ここで、算出手段は、上記判断値として、検出
手段により検出された応答出力と該応答出力を該応答出
力の周期的な部分が該応答出力の変化に対応して変化す
るように変換した値との相関係数を算出するようにして
もよい。なお、上記変換は、偶数回微分、偶数回差分、
偶数回積分、及び偶数回増分の何れかである。ここで、
大きさが突発的に大きな応答出力を上記のように変換し
ても、変換した値には周期的な部分以外の成分が多く含
まれる。即ち、突発的な応答出力を上記のように変換し
た値は該応答出力の変化に対応して変化しないので、突
発的な応答出力と該応答出力を上記のように変換した値
との相関は小さい。また、周期的な変化が顕著に現れな
い出力を上記のように変換した値には、該応答出力の変
化に対応して変化するように変換された成分が少ない。
よって、周期的な変化が顕著に現れない出力と該応答出
力を上記のように変換した値との相関は小さい。なお、
算出手段は、検出手段により応答出力が所定個数(例え
ば、1個)検出される毎に上記判断値を算出するように
してもよい。そして、選別手段は、記算出手段により算
出された判断値に基づいて、検出手段により検出された
応答出力の中から前記推定手段に入力する出力を選別す
る。そして、推定手段は、上記未知要素を推定する際
は、選別手段により選別された出力を用いる。このよう
に、応答出力が周期的な出力か否かを判断するための判
断値を算出し、算出した判断値に基づいて、検出された
応答出力の中から推定手段に入力する出力を選別し、選
別された出力を用いて上記未知要素を推定するので、大
きさが突発的に大きな応答出力や周期的な変化が顕著に
現れない出力を除去した応答出力に基づいて上記未知要
素を推定することができる。
【発明の実施の形態】以下、本発明の車輪状態推定装置
の各実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。 (第1の実施の形態)第1の実施の形態の車輪状態推定
装置は、路面外乱ΔTd のみが加振入力として車輪共振
系に入力されている場合にμ勾配を演算するものであ
り、第1の態様と第2の態様とがある。
【0063】図8には、第1の実施の形態に係る車輪状
態推定装置の第1の態様の構成が示されている。同図に
示すように、本車輪状態推定装置は、各車輪の車輪速度
ω1を検出する車輪速検出手段1と、検出された各車輪
の車輪速度ω1 から路面外乱ΔTd を受けた車輪共振系
の応答出力としての各車輪の車輪速振動Δω1 を検出す
る前処理フィルタ2と、図3の振動モデルに基づいて、
検出された車輪速振動Δω1 を満足するような各車輪の
伝達関数を最小自乗法を用いて同定する伝達関数同定手
段3と、同定された伝達関数に基づいてタイヤと路面と
の間の摩擦係数μの勾配を各車輪毎に演算するμ勾配演
算手段4と、から構成される。
【0064】図8において、車輪速検出手段1は、車輪
速度に応じたセンサ出力信号を出力するいわゆる車輪速
センサと、該センサ出力信号から各車輪の実際の回転速
度信号を演算する演算手段と、から構成することができ
る。
【0065】また、前処理フィルタ2は、本車輪共振系
の共振周波数と予想される周波数を中心として一定の帯
域の周波数成分のみを通過させるバンドパスフィルタ
や、該共振周波数成分を含む高帯域の周波数成分のみを
通過させるハイパスフィルタなどで構成することができ
る。なお、第1の態様では、このバンドパスフィルタ或
いはハイパスフィルタの周波数特性を規定するパラメー
タを一定値に固定したものであり、後述する第2の態様
では、このパラメータを伝達関数同定手段3で同定され
たパラメータに適応させて変化させていくものである。
【0066】なお、この前処理フィルタ2の出力は、直
流成分を除去したものとする。すなわち、車輪速度ω1
の回りの車輪速振動Δω1 のみが抽出される。
【0067】いまここで、前処理フィルタ2の伝達関数
F(s)を、
【0068】
【数9】
【0069】とする。ただし、ci はフィルタ伝達関数
の係数、sはラプラス演算子である。次に、伝達関数同
定手段3が依拠する演算式を導出しておく。なお、本実
施の形態では、前処理フィルタ2の演算を、伝達関数同
定手段3の演算に含めて実施する。
【0070】まず、第1の実施の形態で同定すべき伝達
関数は、路面外乱ΔTd を加振入力として、このとき前
処理フィルタ2により検出された車輪速振動Δω1 を応
答出力とする2次のモデルとする。すなわち、
【0071】
【数10】
【0072】の振動モデルを仮定する。ここに、vは車
輪速信号を観測するときに含まれる観測雑音である。(1
5)式を変形すると、次式を得る。
【0073】
【数11】
【0074】まず、(16)式に(14)式の前処理フィルタを
掛けて得られた式を離散化する。このとき、Δω1 、Δ
d 、vは、サンプリング周期Ts 毎にサンプリングさ
れた離散化データΔω1 (k)、ΔTd (k)、v
(k)(kはサンプリング番号:k=1,2,3,.... )とし
て表される。また、ラプラス演算子sは、所定の離散化
手法を用いて離散化することができる。本実施の形態で
は、1例として、次の双一次変換により離散化するもの
とする。なお、dは1サンプル遅延演算子である。
【0075】
【数12】
【0076】また、前処理フィルタの次数mは、2以上
が望ましいので、本実施の形態では、演算時間も考慮し
てm=2とし、これによって次式を得る。
【0077】
【数13】
【0078】また、最小自乗法に基づいて、車輪速振動
Δω1 の各データから伝達関数を同定するために、(17)
式を、同定すべきパラメータに関して一次関数の形式と
なるように、次式のように変形する。なお、”T ”を行
列の転置とする。
【0079】
【数14】
【0080】である。上式において、θが同定すべき伝
達関数のパラメータとなる。次に、本実施の形態の作用
を説明する。
【0081】伝達関数同定手段3では、検出された車輪
速振動Δω1 の離散化データを(22)式に順次当てはめた
各データに対し、最小自乗法を適用することによって、
未知パラメータθを推定し、これにより伝達関数を同定
する。
【0082】具体的には、検出された車輪速振動Δω1
を離散化データΔω(k)(k=1,2,3,...)に変換し、
該データをN点サンプルし、次式の最小自乗法の演算式
を用いて、伝達関数のパラメータθを推定する。
【0083】
【数15】
【0084】ここに、記号”^”の冠した量をその推定
値と定義することにする。また、上記最小自乗法は、次
の漸化式によってパラメータθを求める逐次型最小自乗
法として演算してもよい。
【0085】
【数16】
【0086】ここに、ρは、いわゆる忘却係数で、通常
は0.95〜0.99の値に設定する。このとき、初期
値は、
【0087】
【数17】
【0088】とすればよい。また、上記最小自乗法の推
定誤差を低減する方法として、種々の修正最小自乗法を
用いてもよい。本実施の形態では、補助変数を導入した
最小自乗法である補助変数法を用いた例を説明する。該
方法によれば、(22)式の関係が得られた段階でm(k)
を補助変数として、次式を用いて伝達関数のパラメータ
を推定する。
【0089】
【数18】
【0090】また、逐次演算は、以下のようになる。
【0091】
【数19】
【0092】補助変数法の原理は、以下の通りである。
(28)式に(22)式を代入すると、
【0093】
【数20】
【0094】となるので、(32)式の右辺第2項が零とな
るように補助変数を選べばθの推定値は、θの真値に一
致する。そこで、本実施の形態では、補助変数として、
ζ(k)=[−ξy1(k)−ξy2(k)]T を式誤差r
(k)と相関を持たないほどに遅らせたものを利用す
る。すなわち、 m(k)=[−ξy1(k−L)−ξy2(k−L)]T (33) とする。ただし、Lは遅延時間である。
【0095】上記のようにして伝達関数を同定した後、
μ勾配演算手段4において、路面μ勾配D0 に関係する
物理量を、
【0096】
【数21】
【0097】と演算する。このように(34)式により路面
μ勾配D0 に関係する物理量を演算できると、例えば、
該物理量が小さいとき、タイヤと路面との間の摩擦特性
が飽和状態であると容易に判定できる。
【0098】次に、第2の態様を図9を用いて説明す
る。図9に示すように、第2の態様では、伝達関数同定
手段3で同定されたパラメータに応じて前処理フィルタ
6の特性を変化させる適応手段5が、さらに設けられて
いる。
【0099】この第2の態様では、前処理フィルタ6の
伝達関数は、同定すべき伝達関数の分母多項式と同じ特
性を有することが望ましいが、同定すべき伝達関数は未
知であるため、前処理フィルタ6の伝達関数を、伝達関
数同定手段3で同定された伝達関数のパラメータを用い
て次式で構成する。
【0100】
【数22】
【0101】そのときの伝達関数同定部3では、第1の
態様の逐次型最小自乗法と同様に、以下の演算を実行す
る。
【0102】
【数23】
【0103】そして、適応手段5では、推定された伝達
関数のパラメータθの各要素a1 ,a2 から前処理フィ
ルタ6の(35)式の伝達関数の係数を構成する。そして、
係数が適応された前処理フィルタ2により検出された車
輪速振動Δω1 から、伝達関数同定手段3が、再び車輪
共振系の伝達関数のパラメータを推定する。
【0104】第2の態様では、推定されたパラメータに
応じて適切に前処理フィルタの特性が変化するため、前
処理フィルタのパラメータを固定とした第1の態様に比
べて、より良好な推定値が得られる、という効果があ
る。
【0105】図10には、第2の態様を実施した場合の
推定結果が示されている。同図において、横軸がタイヤ
と路面との間のすべり易さに関する物理量D0 の真値で
あり、縦軸が、第2の態様によるD0 の推定値である。
同図に示すように、本態様によって、タイヤと路面との
間のすべり易さに関する物理量D0 が良好に推定されて
いることがわかる。
【0106】本発明をアンチロックブレーキ制御装置に
適用する場合、推定された物理量D 0 を基準値に一致さ
せるようにブレーキ力を制御する。この物理量D0 は、
共振周波数が既知であることを前提にしないで求められ
たものであるので、タイヤ交換やタイヤ空気圧の低下等
によって共振周波数が変化したか否かに係わらず、高精
度のアンチロックブレーキ動作が可能となる。また、ト
ラクションコントロールへの応用においても同様の効果
を奏することができる。 (第2の実施の形態)(6) 式及び(12)式からもわかるよ
うに、本発明の振動モデルには、車輪状態の未知要素と
して、タイヤのねじればね定数Kが含まれている。この
点に着目し、第2の実施の形態では、第1の実施の形態
と同様に、路面外乱ΔTd のみが加振入力として車輪共
振系に入力されている場合に振動モデルの伝達関数か
ら、タイヤのねじればね定数Kに関する物理量を推定す
るものである。
【0107】第2の実施の形態を図11のブロック図を
用いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成
については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0108】図11に示すように、第2の実施の形態
は、伝達関数同定手段3により同定されたパラメータに
基づいてタイヤのねじればね定数に関する物理量を演算
するばね定数演算手段7を、伝達関数同定手段3の出力
端に接続してなるものである。
【0109】次に、ばね定数演算手段7による演算の流
れを説明する。図11の伝達関数同定手段3によって伝
達関数のパラメータが同定されると、同定された伝達関
数は、
【0110】
【数24】
【0111】と表現できるので、(12)式で表現された振
動モデルとの対応関係から、
【0112】
【数25】
【0113】となる。そこで、ばね定数演算手段7で
は、(43)式より、伝達関数同定手段3による同定パラメ
ータa2 の推定値(^付)と予め与えられたリム側の慣
性モーメントJ1 とから、タイヤのねじればね定数Kを
演算する。
【0114】さらに、
【0115】
【数26】
【0116】は、車輪共振系の共振周波数となってい
る。そこで、ばね定数演算手段7では、(44)式より、タ
イヤのねじればね定数Kに関する物理量の1つとして、
車輪共振系の共振周波数も演算することができる。
【0117】さらに、本実施の形態によって得られたタ
イヤのねじればね定数K及び共振周波数は、タイヤ空気
圧に依存するため、タイヤ空気圧診断装置の情報として
用いることができ、これによって安全走行が可能とな
る。
【0118】このタイヤ空気圧診断装置では、例えば、
推定されたタイヤのねじればね定数Kと予め定められた
基準値とを比較し、該定数が基準値以上の場合は、”タ
イヤ空気圧正常”と診断し、該定数が基準値より小さい
場合は、”タイヤ空気圧異常”と診断して、ドライバへ
警告する。また、高速道路の走行に適したタイヤ空気圧
に対応する第2の基準値も容易し、ばね定数Kが、第2
の基準値より小さい場合は、ドライバへタイヤ空気圧を
補充する旨の警告を表示するようにしてもよい。なお、
これらの基準値をタイヤの種類毎に用意することによ
り、タイヤ交換の際にも、タイヤ空気圧診断の判断基準
を同一に保持することができる。
【0119】さらに、ブレーキ力の励振に基づくアンチ
ロックブレーキ制御装置に対して励振周波数を提供でき
るというメリットもある。例えば、タイヤ空気圧の変動
やタイヤ交換により共振周波数が変化しても、変化した
共振周波数でブレーキ力を微小励振すれば、同一の摩擦
状態において演算された共振ゲインは略同一の値を示す
ので、ピークμの検出精度を保持できる。また、車輪速
度信号の周波数スペクトルのピーク値より共振周波数を
検出し、該共振周波数を、タイヤグリップ時の共振周波
数と比較することにより、ピークμ直前の状態を検出す
るアンチロックブレーキ制御装置では、本実施の形態に
より推定された共振周波数を比較の基準とすることによ
り、タイヤ空気圧の変動等に係わらず、常に正確にピー
クμ直前の状態を検出することができる。
【0120】なお、第2の実施の形態では、前処理フィ
ルタ2のパラメータを固定としたが、第1の実施の形態
の第2態様のように、前処理フィルタ2の係数を、推定
された伝達関数のパラメータに応じて適応的に変化させ
るようにすることもできる。
【0121】図12には、第2の実施の形態を実施した
ときの共振周波数の推定結果が示されている。同図にお
いて、横軸は、共振周波数の真値であり、縦軸は本実施
の形態により(44)式を用いて演算された共振周波数であ
る。同図に示すように、本実施の形態により、きわめて
良好に共振周波数を推定できることがわかる。 (第3の実施の形態)第3の実施の形態の車輪状態推定
装置は、励振トルクΔT1 が加振入力として車輪共振系
に入力されている場合に車輪共振系の伝達関数を同定す
るものであり、μ勾配を演算する第1の態様と、タイヤ
のねじればね定数を演算する第2の態様とがある。
【0122】図13には、第3の実施の形態に係る車輪
状態推定装置の第1の態様の構成が示されている。な
お、図8に示した第1の実施の形態と同様の構成につい
ては、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0123】図13に示すように、本車輪状態推定装置
には、加振入力としての励振トルクΔT1 を、平均的な
制駆動トルクT1 の回りに重畳させる加振手段8が、さ
らに設けられている。この加振手段8は、ブレーキ圧力
やエンジン出力を励振させることにより、車輪を、その
中心軸の回りに加振する。例えば、制動トルクを励振す
る場合、ブレーキ圧力の油圧アクチュエータの増減圧バ
ルブの制御指令において、平均的なブレーキ圧力の指令
に所定周波数の増減圧指令を重畳させることによって、
制動トルクを加振することができる。
【0124】次に、本実施の形態に係る伝達関数同定手
段3が依拠する演算式を導出しておく。なお、本実施の
形態においても、前処理フィルタ2の演算を、伝達関数
同定手段3の演算に含めて実施するものとする。
【0125】まず、第3の実施の形態で同定すべき伝達
関数を、路面トルクΔT1 を加振入力として、このとき
前処理フィルタ2により検出された車輪速振動Δω1
応答出力とする2次のモデルとする。すなわち、
【0126】
【数27】
【0127】の振動モデルを仮定する。ここに、vは車
輪速信号を観測するときに含まれる観測雑音である。(4
5)式を変形すると、次式を得る。
【0128】
【数28】
【0129】まず、(46)式に(14)式の前処理フィルタを
掛けて得られた式を離散化する。このとき、Δω1 、Δ
d 、vは、サンプリング周期Ts 毎にサンプリングさ
れた離散化データΔω1 (k)、ΔTd (k)、v
(k)(kはサンプリング番号:k=1,2,3,.... )とし
て表される。また、ラプラス演算子sは、遅延演算素子
dを用いた上述の双一次変換により離散化することがで
きる。
【0130】また、前処理フィルタの次数mは、2以上
が望ましいので、本実施の形態では、演算時間も考慮し
てm=2とし、これによって次式を得る。
【0131】
【数29】
【0132】また、最小自乗法に基づいて、車輪速振動
Δω1 の各離散化データから伝達関数を同定するため
に、(47)式を、同定すべきパラメータに関して一次関数
の形式となるように、次式のように変形する。なお、”
T ”を行列の転置とする。
【0133】
【数30】
【0134】である。上式において、θが同定すべき伝
達関数のパラメータとなる。次に、本実施の形態の作用
を説明する。
【0135】伝達関数同定手段3では、検出された車輪
速振動Δω1 の離散化データを(52)式に順次当てはめた
各データに対し、最小自乗法を適用することによって、
未知パラメータθを推定し、これにより伝達関数を同定
する。
【0136】具体的には、検出された車輪速振動Δω1
を離散化データΔω(k)(k=1,2,3,...)に変換し、
該データをN点サンプルする。そして、上式ζ(k)及
びξ y0(k)を用いて、第1の実施の形態における(24)
式以降と同じ演算によって、伝達関数のパラメータa1
及びa2 の推定値(^付)を演算する。なお、本実施の
形態では、逐次型最小自乗法、補助変数法を用いてもよ
いし、第1の実施の形態の第2態様のように、前処理フ
ィルタ2の係数を、同定された伝達関数のパラメータに
適応させて適切に変化させることもできる。
【0137】ここで、加振手段8による励振トルクΔT
1 の信号波形の例を、図14(A)、図14(B)及び
図14(C)に示す。
【0138】図14(A)の信号は、疑似ランダム信号
であり、例えば、疑似ランダム信号の1つとして良く知
られているM系列信号に基づいて発生させることができ
る。この場合、加振入力は、多くの周波数成分を有する
ことになるため、伝達関数の推定精度が向上するという
メリットがある。
【0139】また、図14(B)の信号は、励振トルク
が0の状態から、ある時刻で急激に立ち上がり、それ以
降は一定の励振トルクとなるステップ的な信号である。
このステップ的な信号を用いた場合、疑似ランダム信号
のように頻繁にトルクを変化させる必要が無いので、振
動、騒音が少なく、アクチュエータの負担が少なくて済
むというメリットがある。
【0140】さらに、図14(C)の信号は、励振トル
クが0の状態から、ある時刻で急激に立ち上がり、一定
時間経過後に再び励振トルクが0の状態に戻るインパル
ス的な信号である。このインパルス的な信号を用いた場
合、トルクにオフセット成分が無く、制動・駆動・定常
走行など種々の走行状態において瞬時に与えることがで
きるので、任意の走行状態で伝達関数を推定することが
できる。
【0141】次に、第2態様として、上記第1態様にお
いて、振動モデルに、タイヤのねじればね定数に関する
物理量をさらに含む車輪状態推定装置について説明す
る。
【0142】(5) 式及び(11)式からもわかるように、本
発明の振動モデルには、車輪状態の未知要素として、タ
イヤのねじればね定数Kが含まれている。この点に着目
し、第2態様では、励振トルクΔT1 が加振入力として
車輪共振系に入力されている場合に振動モデルの伝達関
数から、タイヤのねじればね定数Kに関する物理量を推
定するものである。
【0143】第2態様を図15のブロック図を用いて説
明する。図15に示すように、第2態様は、第2の実施
の形態のように、伝達関数同定手段3により同定された
パラメータに基づいてタイヤのねじればね定数に関する
物理量を演算するばね定数演算手段7を、伝達関数同定
手段3の出力端に接続してなるものである。
【0144】次に、ばね定数演算手段7による演算の流
れを説明する。図15の伝達関数同定手段3によって伝
達関数のパラメータが同定されると、同定された伝達関
数は、
【0145】
【数31】
【0146】と表現できるので、(11)式で表現された振
動モデルとの対応関係から、
【0147】
【数32】
【0148】となる。そこで、ばね定数演算手段7で
は、(55)式より、伝達関数同定手段3による同定パラメ
ータa2 の推定値(^付)と予め与えられたリム側の慣
性モーメントJ1 とから、タイヤのねじればね定数Kを
演算する。
【0149】さらに、
【0150】
【数33】
【0151】は、車輪共振系の共振周波数となってい
る。そこで、ばね定数演算手段7では、(44)式より、タ
イヤのねじればね定数Kに関する物理量の1つとして、
車輪共振系の共振周波数も演算することができる。
【0152】さらに、本態様によって得られたタイヤの
ねじればね定数K及び共振周波数は、タイヤ空気圧に依
存するため、タイヤ空気圧診断装置の情報として用いる
ことができる。また、ブレーキ力の励振に基づくアンチ
ロックブレーキ制御装置に対して励振周波数を提供でき
るというメリットもある。
【0153】なお、本態様では、第1態様のように、加
振入力の信号波形は、図14(A)、図14(B)及び
図14(C)のいずれかの波形にすることができる。
【0154】このように第3の実施の形態では、路面の
凹凸が少なく車輪速振動Δω1 の振幅が小さくなる場合
であっても、励振トルクΔT1 を車輪共振系に印加する
ことにより一定以上の応答出力を常に得ることができる
ので、路面状態に係わらず、高精度なμ勾配及びタイヤ
のねじればね定数の推定が可能となる。 (第4の実施の形態)第4の実施の形態の車輪状態推定
装置は、励振トルクΔT1 が加振入力として車輪共振系
に入力されている場合において、検出された加振入力と
応答出力とから車輪共振系の伝達関数を同定するもので
あり、μ勾配を演算する第1の態様と、タイヤのねじれ
ばね定数を演算する第2の態様とがある。
【0155】図16には、第4の実施の形態に係る車輪
状態推定装置の第1の態様の構成が示されている。な
お、図13に示した第3の実施の形態と同様の構成につ
いては、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0156】図16に示すように、本車輪状態推定装置
は、加振手段8により車輪に与えられる加振入力として
の励振トルクΔT1 の実際の値を検出する加振入力検出
手段9と、をさらに備えている。そして、前処理フィル
タ2は、検出された加振入力を車輪速度ω1 と共に所定
のフィルタ処理を施し、伝達関数同定手段3は、フィル
タ処理を施された加振入力成分と車輪速振動Δω1 とか
ら伝達関数のパラメータを推定する。
【0157】この加振入力検出手段9による加振入力の
検出方法は、例えば、制動トルクを励振する場合、制動
トルクに対応するブレーキ圧力(ホイールシリンダ圧)
を圧力センサ等で検出し、所定の定数を乗じることによ
り、励振成分を含む制動トルクに変換し、さらにこの制
動トルクから平均的な制動トルクの値を減算することに
よって励振トルク成分のみを加振入力として抽出する。
【0158】次に、本実施の形態に係る伝達関数同定手
段3が依拠する演算式を導出しておく。なお、本実施の
形態においても、前処理フィルタ2の演算を、伝達関数
同定手段3の演算に含めて実施するものとする。
【0159】まず、第4の実施の形態で同定すべき伝達
関数を、励振トルクΔT1 を加振入力として、このとき
前処理フィルタ2により検出された車輪速振動Δω1
応答出力とする2次のモデルとする。すなわち、
【0160】
【数34】
【0161】の振動モデルを仮定する。ここに、ΔT1
は、加振入力検出手段9によって検出された実際の励振
トルク、vは車輪速信号を観測するときに含まれる観測
雑音である。(57)式を変形すると、次式を得る。
【0162】
【数35】
【0163】まず、(58)式に(14)式の前処理フィルタを
掛けて得られた式を離散化する。このとき、Δω1 、Δ
d 、vは、サンプリング周期Ts 毎にサンプリングさ
れた離散化データΔω1 (k)、ΔTd (k)、v
(k)(kはサンプリング番号:k=1,2,3,.... )とし
て表される。また、ラプラス演算子sは、遅延演算素子
dを用いた上述の双一次変換により離散化することがで
きる。
【0164】また、前処理フィルタの次数mは、2以上
が望ましいので、本実施の形態では、演算時間も考慮し
てm=2とし、これによって次式を得る。
【0165】
【数36】
【0166】また、最小自乗法に基づいて、車輪速振動
Δω1 の各離散化データから伝達関数を同定するため
に、(47)式を、同定すべきパラメータに関して一次関数
の形式となるように、次式のように変形する。なお、”
T ”を行列の転置とする。
【0167】
【数37】
【0168】である。上式において、θが同定すべき伝
達関数のパラメータとなるが、本実施の形態ではΔT1
を検出するので、上記実施の形態と異なり、係数b0
1 、b2 をも推定できることがわかる。
【0169】次に、第4の実施の形態に係る第1態様の
作用を説明する。伝達関数同定手段3では、検出された
車輪速振動Δω1 の離散化データを(64)式に順次当ては
めた各データに対し、最小自乗法を適用することによっ
て、未知パラメータθを推定し、これにより伝達関数を
同定する。
【0170】具体的には、検出された車輪速振動Δω1
を離散化データΔω(k)(k=1,2,3,...)に変換し、
該データをN点サンプルする。そして、上式ζ(k)及
びξ y0(k)を用いて、第1の実施の形態における(24)
式以降と同じ演算によって、伝達関数のパラメータa1
及びa2 の推定値(^付)を演算する。なお、本実施の
形態では、逐次型最小自乗法、補助変数法を用いてもよ
い。補助変数法を用いる場合には、本実施の形態のよう
に加振入力が検出できる場合は、同定された伝達関数の
パラメータを用いて、
【0171】
【数38】
【0172】より、真の出力x(k)の推定値(^付)
を逐次的に求め、この推定値を用いて補助変数を次式の
ように構成することができる。
【0173】
【数39】
【0174】また、 ζ(k)=[−ξy1(k)−ξy2(k)ξu0(k)ξu1(k)ξu2(k)]T (69) を式誤差r(k)と相関を持たないほどに遅らせたもの
を利用する。すなわち、
【0175】
【数40】
【0176】とする。ただし、Lは遅延ステップ数であ
る。さらに、本態様では、第1の実施の形態の第2態様
のように、前処理フィルタ2の係数を、同定された伝達
関数のパラメータに適応させて適切に変化させることも
できる。
【0177】また、加振入力の波形を、図14(A)、
図14(B)及び図14(C)のようにしてもよいが、
本態様において、タイヤが路面にグリップしている時の
共振周波数(以下、「タイヤ共振周波数」という)が明
らかな場合は、該共振周波数で加振することもできる。
発明者らの実験的研究により、(11)式で表現される振動
モデルは、
【0178】
【数41】
【0179】となることがわかっているので、(11)、(7
1)式に基づいて、タイヤ共振周波数で加振したときの加
振入力から応答出力までの伝達特性を求めると、
【0180】
【数42】
【0181】という0次の伝達関数になる。そこで、同
定すべき伝達関数を Δω1 =Gd ΔT1 (73) とおき、伝達関数同定手段3において、次式のように最
小自乗法を用いて伝達関数を同定する。
【0182】
【数43】
【0183】である。また、上記最小自乗法は、次式の
ように逐次型最小自乗法として演算することもできる。
【0184】
【数44】
【0185】ここに、ρは、いわゆる忘却係数で、通常
は0.95〜0.99の値に設定する。このとき、初期
値は、
【0186】
【数45】
【0187】とすればよい。さらに、上記最小自乗法
に、補助変数法などの修正最小自乗法を適用することに
よって、さらに正確な推定値が得られる。
【0188】そして、同定された伝達関数のパラメータ
d の推定値は、(72)式と(73)式の対応関係より、
【0189】
【数46】 であるので、μ勾配演算手段4は、このGd の推定値を
用いて(81)式より路面のすべり易さD0 に関する物理量
を演算する。
【0190】この場合、加振入力の周波数は、本発明の
第2の実施の形態や、第3の実施の形態に係る第2態様
などによって演算されたタイヤのねじればね定数から求
めた共振周波数を用いることができる。このようにタイ
ヤ共振周波数のみで加振する場合は、加振入力のパワー
を該周波数成分に集中して与えることができるので、加
振入力検出手段9及び応答出力検出手段1からの出力の
SN比が向上し、演算精度が向上するというメリットが
ある。
【0191】次に、第2態様として、上記第1態様にお
いて、振動モデルに、タイヤのねじればね定数に関する
物理量をさらに含む車輪状態推定装置について図17の
ブロック図を用いて説明する。
【0192】図17に示すように、第2態様は、第1態
様のμ勾配演算手段4の代わりに、伝達関数同定手段3
により同定されたパラメータに基づいてタイヤのねじれ
ばね定数に関する物理量を演算するばね定数演算手段7
を、伝達関数同定手段3の出力端に接続してなるもので
ある。
【0193】次に、ばね定数演算手段7による演算の流
れを説明する。図17の伝達関数同定手段3によって伝
達関数のパラメータが同定されると、同定された伝達関
数は、
【0194】
【数47】
【0195】と表現できるので、(11)式で表現された振
動モデルとの対応関係から、
【0196】
【数48】
【0197】となる。そこで、ばね定数演算手段7で
は、伝達関数同定手段3による同定パラメータa2 の推
定値(^付)と予め与えられたリム側の慣性モーメント
1 とから、(83)式より、タイヤのねじればね定数Kを
演算する。
【0198】さらに、
【0199】
【数49】
【0200】は、車輪共振系の共振周波数となってい
る。そこで、ばね定数演算手段7では、(44)式より、タ
イヤのねじればね定数Kに関する物理量の1つとして、
車輪共振系の共振周波数も演算することができる。
【0201】さらに、本態様によって得られたタイヤの
ねじればね定数K及び共振周波数は、タイヤ空気圧に依
存するため、タイヤ空気圧診断装置の情報として用いる
ことができる。また、ブレーキ力の励振に基づくアンチ
ロックブレーキ制御装置に対して励振周波数を提供でき
るというメリットもある。
【0202】なお、本態様でも、タイヤ共振周波数で加
振する場合以外は、加振入力の信号波形は、図14
(A)、図14(B)及び図14(C)のいずれかの波
形にすることができる。
【0203】このように第4の実施の形態では、実際に
検出された加振入力を用いるので、より多くの伝達関数
パラメータを推定できる。 (第5の実施の形態)第5の実施の形態の車輪状態推定
装置は、応答出力の内、周期的な信号である応答出力の
みを選別し、選別された応答出力に基づいて車輪共振系
の伝達関数を同定し、μ勾配を演算するものである。第
5の実施の形態の車輪状態推定装置の構成を図18のブ
ロック図を用いて説明する。図18示すように、前処理
フィルタ2と伝達関数同定手段3との間に、前処理フィ
ルタ2から出力される車輪速振動Δω1 の内、周期的な
信号のみを選別して、伝達関数同定手段3に出力する選
別手段10を備えている点が相違するのみであり、その
他は、第1の実施の形態と同様の構成である。車輪速振
動Δω1 が周期的な信号であれば、所定期間内に入力し
た車輪速振動Δω1 を、周波数−振幅(パワー)グラフ
にプロットすると、符号100に示すようなグラフにな
るはずである。しかしながら、車輪速振動Δω1 が、振
幅が突発的に大きい出力(例えば、エイリアス(ali
ase)による折り返しノイズ等)102や周期的な変
化が顕著に現れない出力(S/N比が小さい出力)10
4を用いて車輪共振系の伝達関数を同定し、μ勾配を演
算すると、ばらつきが大きく、推定精度が悪い。よっ
て、周期的な信号である応答出力のみを選別する必要が
ある。周期的な出力100を時系列にグラフ化した図2
0(B)と比較すると、時系列的にグラフ化した振幅が
突発的に大きい出力102は、図20(A)に示すよう
に、周期性が悪い。また、時系列的にグラフ化した周期
的な変化が顕著に現れない出力104は、図20(C)
に示すように、周期性が非常に悪い。一方、図20
(B)で実線で示した周期的な出力100と、周期的な
出力100を該周期的な出力100の周期的な部分が該
周期的な出力100の変化に対応する変化するように変
換した値(図20(B)で点線で示した)と、は一定の
相関関係を有する。即ち、前述した実施の形態において
説明したように、周期的な出力100をξ y0としたと
き、該周期的な出力100を上記のように変換、例え
ば、偶数(例えば、2回)回微分(その他、偶数回差
分、偶数回積分、及び偶数回和分の何れかでもよい)し
た値はξy2となるので、ξy0(=x)及びξy2(=y)
から定まる点は、図21に示すように、一定範囲110
内に位置し、完全に周期的であれば所定の直線112上
に位置し、周期性が悪くなればなるほど、広い範囲11
4に位置するようになる。そこで、本実施の形態では、
車輪速振動Δω1 である応答出力ξy0と、該応答出力ξ
y0を上記のように変換した値ξy2との相関係数σ(式(8
5))を求め、求めた相関係数σに基づいて、周期的な信
号である応答出力のみを選別する。
【数50】 但し、ρc は忘却係数、Nは応答出力の個数を示す。即
ち、選別手段10は、前処理フィルタ2から車輪速振動
Δω1 が入力される毎に、図22に示した選別処理ルー
チンを実行する。ステップ22では、前処理フィルタ
(帯域通過)処理する。ステップ24では、前処理フィ
ルタ処理後の車輪速振動Δω1 から求めた応答出力ξy0
と、該応答出力ξy0を上記のように変換した値ξy2との
相関係数σ(式(85))を演算する。ステップ26で、演
算した相関係数σが所定範囲(σ1 <σ<σ2 )内か否
かを判断することにより、今回入力された車輪速振動Δ
ω1 が周期的な信号であるか否かを判断する。演算した
相関係数σが所定範囲でない場合には、今回入力された
車輪速振動Δω1 が周期的な信号でないので、本ルーチ
ンを終了する。これにより、今回入力された車輪速振動
Δω1 が伝達関数同定手段3に入力されないので、周期
的な信号でない信号に基づいて、車輪共振系の伝達関数
を同定されμ勾配が演算されることを防止することがで
きる。一方、演算した相関係数σが所定範囲内の場合に
は、今回入力された車輪速振動Δω1 が周期的な信号で
あるので、ステップ28で、今回入力された車輪速振動
Δω1 を伝達関数同定手段3に入力する。これにより、
周期的な信号に基づいて、車輪共振系の伝達関数を同定
され、μ勾配が演算される。よって、伝達関数の同定精
度やμ勾配の推定精度を向上させることができる。ここ
で、振幅が突発的に大きい出力(ノイズ)を上記のよう
に変換しても、変換した値には周期的な部分以外の成分
が多く含まれる。即ち、振幅が突発的に大きい出力を上
記のように変換した値は該応答出力の変化に対応して変
化しないので、振幅が突発的に大きい出力と該応答出力
を上記のように変換した値との相関係数σが上記所定範
囲内とならない。例えば、図24(A)、図24(B)
に示すように、周波数が周波数F1 を含む所定範囲にノ
イズKが現れかつ相関係数σが所定範囲外の信号群A
(図23(A)参照)は選別手段10により除去され
る。また、図25に示すように、周期的な変化が顕著に
現れない出力Cを上記のように変換した値には、該応答
出力の変化に対応して変化するように変換された成分が
少ない。よって、周期的な変化が顕著に現れない出力C
と該応答出力を上記のように変換した値との相関係数σ
が上記所定範囲内とならない。例えば、図26(A)、
図26(B)に示すように、相関係数σが所定範囲外の
信号群C(図26(A)参照)は選別手段10により除
去される。なお、この周期的な変化が顕著に現れない出
力Cは、車両がダート路を走行したときに得られたもの
である。一方、図24(C)、図24(D)に示すよう
に、ノイズ成分がなくかつ相関係数σが所定範囲内の信
号群B(図23(B)参照)が選別手段10により選別
されて、伝達関数同定手段3に入力される。また、図2
5に示すように、周期的な出力Dを上記のように変換し
た値には、該応答出力の変化に対応して変化するように
変換された成分が多い。よって、周期的な出力Dと該応
答出力を上記のように変換した値との相関係数σが上記
所定範囲内となる。例えば、図26(A)、図26
(B)に示すように、相関係数σが所定範囲内の信号群
D(図26(A)参照)は選別手段10により除去され
ない。よって、伝達関数同定手段3に入力される。な
お、図25に示した周期的な出力Dは、車両がアスファ
ルト路を走行したときに得られたものである。よって、
大きさが突発的に大きな応答出力や周期的な変化が顕著
に現れない出力を除去した応答出力に基づいて上記未知
要素を推定することができる。以上説明した第5の実施
の形態では、μ勾配を演算するものであるが、本発明は
これに限定されず、タイヤのねじればね定数を演算する
ようにしてもよい。即ち、本実施の形態は、上記第1の
実施の形態(第1の態様)にのみ適用されるものでな
く、前述した全ての実施の形態に適用可能である。
【0204】以上述べた本発明の各実施の形態は、いず
れも連続時間モデルの伝達関数を同定することとし、該
伝達関数のパラメータを直接推定するようにしたので、
離散時間モデルの同定に伴う上記問題点を回避できる。
【0205】また、種々の走行状態で成立する振動モデ
ルに含まれる車輪状態を同定するので、ブレーキ時に限
定されることなく、制動・駆動・定常走行など種々の走
行状態での車輪状態を推定することができる。
【0206】以上が本発明の実施の形態であるが、本発
明は、上記例にのみ限定されるものではなく、本発明の
要旨を逸脱しない範囲内において任意好適に変更可能で
ある。
【0207】例えば、上記第1〜第5の実施の形態で
は、車輪共振系を、(11)式及び(12)式で表される2次の
振動モデルとして説明したが、(5) 式及び(6) 式で表さ
れる3次の振動モデルに基づいて、車輪の状態推定を行
ってもよいことは明らかである。
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
タイヤと路面との間のすべり易さに関する物理量を未知
要素として含む振動モデルに基づいて、タイヤのねじれ
ばね定数が既知であることを前提にすることなく、少な
くとも検出された応答出力を略満足させるような該未知
要素を推定するようにしたので、高精度にタイヤと路面
との間のすべり易さに関する物理量を求めることがで
き、タイヤ交換やタイヤ空気圧の変動によって共振周波
数が変化した場合にも即座に対応できる、という優れた
効果が得られる。
【0208】また、請求項1の発明では、タイヤと路面
との間の摩擦特性として制動・駆動・定常走行などの走
行状態に係わらず成立するモデルを、振動モデルの中に
有しているので、従来技術にみられたように推定の機会
がブレーキ時に限られるという問題がなく、制動・駆動
・定常走行など種々の走行状態において、等しく車輪状
態を推定可能である、という効果がある。なお、ブレー
キ部に加振手段を有しない車種や、ブレーキ時にのみ加
振できる車種の場合でも、路面外乱を加振入力として用
いることによって、車輪状態を推定することができる。
【0209】さらに、請求項2の発明では、検出された
応答出力に基づいて、振動モデルを適応的に修正するよ
うにしたので、さらに推定精度を向上させることができ
る、という効果が得られる。
【0210】また、請求項3の発明では、振動モデルが
タイヤのねじればね定数に関する物理量を車輪状態の未
知要素としてさらに含み、該物理量を推定可能としたの
で、該物理量と関連するタイヤ空気圧の診断が可能とな
る、というさらなる効果が得られる。
【0211】また、請求項4の発明は、車輪共振系へ加
振入力を与えるようにしたので、路面に凹凸が少なく路
面外乱が小さい場合でも、高精度な推定が可能となる、
という効果が得られる。
【0212】さらに、請求項5の発明は、加振入力手段
により車輪共振系へ与えられる加振入力を検出するよう
にしたので、より多くのパラメータを推定することがで
きる、というさらなる効果が得られる。また、請求項6
及び請求項7の発明は、応答出力が周期的な出力か否か
を判断するための判断値を算出し、算出した判断値に基
づいて、検出された応答出力の中から推定手段に入力す
る出力を選別し、選別された出力を用いて上記未知要素
を推定するので、大きさが突発的に大きな応答出力や周
期的な変化が顕著に現れない出力を除去した応答出力に
基づいて上記未知要素を推定することができる、という
効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車輪共振系と等価な力学モデルを
示す図である。
【図2】本発明に係る車輪共振系におけるタイヤ−路面
間の摩擦特性を示す図である。
【図3】本発明に係る振動モデルの概念図である。
【図4】(A)及び(B)は、実際にブレーキ圧力Pm
を種々に変化させたときの車輪共振系における周波数特
性の実験結果であって、(A)は振幅特性、(B)は位
相特性を示す。
【図5】(A)及び(B)は、本発明に係る振動モデル
において、タイヤと路面との間のすべり易さに関する物
理量D0 を種々に変化させたときに各々計算された該振
動モデルの伝達特性を示す図であって、(A)は振幅特
性、(B)は位相特性を示す。
【図6】(A)及び(B)は、駆動輪で実際に検出され
た車輪速信号の周波数解析結果であって、(A)はアス
ファルト路、(B)はダート路に関する。
【図7】(A)及び(B)は、本発明に係る振動モデル
において、タイヤと路面との間のすべり易さに関する物
理量D0 を種々に変化させたときに各々計算された該振
動モデルの伝達特性を示す図であって、(A)は振幅特
性、(B)は位相特性を示す。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る第1態様の構
成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る第2態様の構
成を示すブロック図である。
【図10】第1の実施の形態の車輪状態推定装置により
推定されたタイヤと路面との間のすべり易さに関する物
理量D0 の推定結果である。
【図11】本発明の第2の実施の形態の構成を示すブロ
ック図である。
【図12】第2の実施の形態の車輪状態推定装置により
推定された車輪共振系の共振周波数の推定結果である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係る第1態様の
構成を示すブロック図である。
【図14】(A)〜(C)は、第3の実施の形態に係る
加振入力手段の加振入力波形を示す図であって、(A)
は疑似ランダム波形、(B)はステップ的波形、(C)
はインパルス的波形を示す。
【図15】本発明の第3の実施の形態に係る第2態様の
構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第4の実施の形態に係る第1態様の
構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の第4の実施の形態に係る第2態様の
構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の第5の実施の形態に係る構成を示す
ブロック図である。
【図19】周期的な信号と周期的でない2つの信号を示
したグラフである。
【図20】(A)及び(C)は、周期的な信号とはいえ
ない信号を示したグラフであり、(B)は、周期的な信
号を示したグラフである。
【図21】応答出力xと、該応答出力を周期的な部分が
該応答出力の変化に対応して変化するように変換した値
yと、の関係を示した図である。
【図22】選別手段が実行する選別処理ルーチンを示し
たフローチャートである。
【図23】(A)は周期的な信号と周期的でない信号
(ノイズ)の相関係数を時系列的に示したグラフであ
り、(B)は周期的な信号と周期的でない信号(ノイ
ズ)の車速を時系列的に示したグラフである。
【図24】(A)及び(B)は、周期性が比較的低い車
輪速信号を示したグラフであり、(C)及び(D)は、
周期性が比較的高い車輪速信号を示したグラフであり、
(A)及び(C)は前右輪速信号であり、(B)及び
(D)は前左輪信号である。
【図25】周期的な信号と周期的な変化が顕著に現れな
い信号の周波数−スペクトルの関係を示したグラフであ
る。
【図26】(A)は周期的な信号と周期的な変化が顕著
に現れない信号の相関係数を時系列的に示したグラフで
あり、(B)は周期的な信号と周期的な変化が顕著に現
れない信号に対応する車輪速を時系列的に示したグラフ
である。
【符号の説明】
1 車輪速検出手段 2 前処理フィルタ 3 伝達関数同定手段 4 μ勾配演算手段 5 適用手段 7 バネ定数演算手段 10 選別手段
フロントページの続き (72)発明者 山口 裕之 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 浅野 勝宏 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 菅井 賢 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タイヤと路面との間の摩擦特性を含む車
    輪共振系における車輪状態を推定する車輪状態推定装置
    であって、 前記車輪共振系への加振入力に対する応答出力を検出す
    る検出手段と、 加振入力から応答出力までの前記車輪共振系の伝達特性
    を、少なくともタイヤと路面との間のすべり易さに関す
    る物理量を車輪状態の未知要素として含む振動モデルで
    表し、該振動モデルに基づいて、少なくとも前記検出手
    段により検出された応答出力を略満足させるような前記
    未知要素を推定する推定手段と、 を有することを特徴とする車輪状態推定装置。
  2. 【請求項2】 前記検出手段により検出された応答出力
    に基づいて、前記振動モデルを修正する修正手段をさら
    に有することを特徴とする請求項1の車輪状態推定装
    置。
  3. 【請求項3】 前記振動モデルが、タイヤのねじればね
    定数に関する物理量を車輪状態の未知要素としてさらに
    含むことを特徴とする請求項1又は請求項2の車輪状態
    推定装置。
  4. 【請求項4】 前記車輪共振系へ加振入力を与える加振
    手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求
    項3のいずれか1項の車輪状態推定装置。
  5. 【請求項5】 前記加振手段により前記車輪共振系へ与
    えられる加振入力を検出する加振入力検出手段をさらに
    有することを特徴とする請求項4の車輪状態推定装置。
  6. 【請求項6】 前記検出手段により検出された応答出力
    に基づいて、該応答出力が周期的な出力か否かを判断す
    るための判断値を算出する算出手段と、 前記算出手段により算出された判断値に基づいて、前記
    検出手段により検出された応答出力の中から前記推定手
    段に入力する出力を選別する選別手段と、 を更に備え、 前記推定手段は、前記未知要素を推定する際は、前記選
    別手段により選別された出力を用いることを特徴とする
    請求項1乃至請求項5の何れか1項の車輪状態推定装
    置。
  7. 【請求項7】 前記算出手段は、前記判断値として、前
    記検出手段により検出された応答出力と該応答出力を該
    応答出力の周期的な部分が該応答出力の変化に対応して
    変化するように変換した値との相関係数を算出する請求
    項6の車輪状態推定装置。
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