JP2019184412A - 車両の質量推定装置、方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】路面条件が不明であっても走行中の車両の質量を精度よく推定できる車両の質量推定装置を提供する。【解決手段】車両の質量を推定する質量推定装置が提供される。質量推定装置は、データ取得部と、質量推定部とを備える。データ取得部は、車両の走行中に順次取得される計測データに基づいて、加速度及び駆動力のデータセットを順次取得する。質量推定部は、前記順次取得されるデータセットから、前記加速度と前記駆動力との関係を表す回帰直線の傾きが所定の範囲内に収まるデータセットを選別し、前記選別されたデータセットから特定される前記加速度と前記駆動力との関係を表す回帰直線の傾きに基づいて、前記質量を推定する。【選択図】図5
Description
本発明は、車両の質量を推定する質量推定装置、方法及びプログラムに関する。
車両には、快適な走行を補助するための様々なシステムが搭載されている。例えば、車両の燃費測定システム及びブレーキ制御システム等である。これらのシステムは、従来より、車両の質量をパラメータとして用いる。よって、システムが適切な制御を行うために、走行中の車両の質量を精度よく推定することが望まれる。しかしながら、車両の質量は、乗員の人数や荷物等の積載量によって、すなわち、車体にかかる積載荷重によって変化するため、車両の質量を精度よく推定することはしばしば困難である。
車両の質量変化の影響を受けるシステムは、上に挙げたものに限られない。例えば、動荷重半径(Dynamic Loaded Radius;DLR)方式のタイヤの減圧検出システム(Tire Pressure Monitoring System;TPMS)である。同システムは、タイヤの回転速度からタイヤの減圧を推定する。DLR方式では、減圧タイヤは走行時につぶれることで動荷重半径が小さくなり、より高速に回転するようになる現象を利用している。ところが、タイヤの動荷重半径は、減圧によって小さくなるばかりではなく、積載荷重の増加によっても小さくなる。従って、車両の質量変化がタイヤの回転速度に与える影響を補正し、タイヤの減圧を精度よく検出するという面においても、走行中の車両の質量を精度よく推定することが重要である。
走行中の車両の質量Mは、運動方程式Mα=Fe−Fa−Fr−Fgから推定することが可能である。ここで、αは車両の加速度であり、Feはエンジンが出力する駆動力(以下、エンジン駆動力)であり、Faは空気抵抗であり、Frは転がり抵抗であり、Fgは、路面の傾斜により車両に作用する重力である。例えば、特許文献1も、同様の運動方程式に基づく車両の質量推定方法を開示している。
ところで、上で述べたFr及びFgは、路面の状態や傾斜等の条件(以下、路面条件という)によって変化する。このため、運動方程式を用いる方法では、路面条件の変化に伴うこれらの力Fr及びFgの変化を考慮する必要がある。しかしながら、Fe及びFaの情報は、車両に設置されるセンサ等の出力から比較的容易に取得することができる一方、Fr及びFgを特定するための路面条件の情報の取得は必ずしも容易ではない。
本発明は、路面条件が不明であっても走行中の車両の質量を精度よく推定できる車両の質量推定装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明の第1観点に係る質量推定装置は、データ取得部と、質量推定部とを備える。データ取得部は、車両の走行中に順次取得される計測データに基づいて、加速度及び駆動力のデータセットを順次取得する。質量推定部は、前記順次取得されるデータセットから、前記加速度と前記駆動力との関係を表す回帰直線の傾きが所定の範囲内に収まるデータセットを選別し、前記選別されたデータセットから特定される前記加速度と前記駆動力との関係を表す回帰直線の傾きに基づいて、前記質量を推定する。
本発明の第2観点に係る質量推定装置は、第1観点に係る質量推定装置であって、前記データ取得部は、前記計測データとして前記車両のエンジンの駆動状態を示すエンジン情報を取得し、前記エンジン情報に基づいて前記駆動力を算出する。
本発明の第3観点に係る質量推定装置は、第2観点に係る質量推定装置であって、前記エンジン情報は、エンジントルク及び前記エンジンの回転数に関する情報を含む。
本発明の第4観点に係る質量推定装置は、第2観点又は第3観点に係る質量推定装置であって、前記データ取得部は、前記計測データとして前記車両に装着された少なくとも1つのタイヤの回転速度を示すタイヤ回転情報を取得し、前記エンジン情報及び前記タイヤ回転情報に基づいて前記駆動力を算出する。
本発明の第5観点に係る質量推定装置は、第1観点から第4観点のいずれかに係る質量推定装置であって、前記データ取得部は、前記計測データとして前記車両に装着された少なくとも1つのタイヤの回転速度を示すタイヤ回転情報を取得し、前記タイヤ回転情報に基づいて前記加速度を算出する。
本発明の第6観点に係る質量推定装置は、第1観点から第5観点のいずれかに係る質量推定装置であって、前記所定の範囲の下限値は、ドライバーを除く又はドライバーも含む積載荷重が加わらない状態における前記車両の質量である。
本発明の第7観点に係る質量推定装置は、第1観点から第6観点のいずれかに係る質量推定装置であって、前記所定の範囲の上限値は、前記車両に許容されている最大限の積載荷重が加わった状態における前記車両の質量である。
本発明の第8観点に係る質量推定装置は、第1観点から第7観点のいずれかに係る質量推定装置であって、減圧検出部をさらに備え、前記データ取得部は、前記車両に装着された全てのタイヤの回転速度を示すタイヤ回転情報を取得し、前記タイヤ回転情報に基づいて前記全てのタイヤの回転速度を算出する。前記減圧検出部は、前記全てのタイヤの回転速度に基づいて、前後のタイヤ同士の回転速度を比較する減圧指標値を算出し、前記減圧指標値を前記車両の質量で補正し、前記補正後の減圧指標値に基づいて、前記車両に装着された少なくとも1つのタイヤの減圧を検出する。
本発明の第9観点に係る質量推定方法は、車両の質量を推定する方法であって、以下のステップを備える。
(1)前記車両の走行中に順次取得される計測データに基づいて、加速度及び駆動力のデータセットを順次取得するステップ
(2)前記順次取得されるデータセットから、前記加速度と前記駆動力との関係を表す回帰直線の傾きが所定の範囲内に収まるデータセットを選別し、前記選別されたデータセットから特定される前記加速度と前記駆動力との関係を表す回帰直線の傾きに基づいて、前記質量を推定するステップ
(1)前記車両の走行中に順次取得される計測データに基づいて、加速度及び駆動力のデータセットを順次取得するステップ
(2)前記順次取得されるデータセットから、前記加速度と前記駆動力との関係を表す回帰直線の傾きが所定の範囲内に収まるデータセットを選別し、前記選別されたデータセットから特定される前記加速度と前記駆動力との関係を表す回帰直線の傾きに基づいて、前記質量を推定するステップ
本発明の第10観点に係る質量推定プログラムは、車両の質量を推定するプログラムであって、以下のステップをコンピュータに実行させる。
(1)前記車両の走行中に順次取得される計測データに基づいて、加速度及び駆動力のデータセットを順次取得するステップ
(2)前記順次取得されるデータセットから、前記加速度と前記駆動力との関係を表す回帰直線の傾きが所定の範囲内に収まるデータセットを選別し、前記選別されたデータセットから特定される前記加速度と前記駆動力との関係を表す回帰直線の傾きに基づいて、前記質量を推定するステップ
(1)前記車両の走行中に順次取得される計測データに基づいて、加速度及び駆動力のデータセットを順次取得するステップ
(2)前記順次取得されるデータセットから、前記加速度と前記駆動力との関係を表す回帰直線の傾きが所定の範囲内に収まるデータセットを選別し、前記選別されたデータセットから特定される前記加速度と前記駆動力との関係を表す回帰直線の傾きに基づいて、前記質量を推定するステップ
本発明の第1観点によれば、路面条件が不明であっても走行中の車両の質量を精度よく推定することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る質量推定装置、方法及びプログラムについて説明する。
<1.質量推定装置の構成>
図1は、本実施形態に係る質量推定装置2が車両1に搭載された様子を示す模式図である。車両1は、四輪車両であり、左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL及び右後輪RRを備えている。車輪FL,FR,RL,RRには、各々、タイヤが装着されている。質量推定装置2は、乗員や荷物等の積載荷重によって変化する車両1の質量Mを推定する機能を備える。ここでいう車両1の質量Mには、車両1の車体質量に加え、乗員や荷物等の積載物の質量が含まれる。推定された質量Mのデータは、車両1の走行を補助する各種制御に利用される。例えば、推定された質量Mのデータは、車両1に搭載されているブレーキ制御システムに送信され、ブレーキ制御に利用される。別の例では、推定された質量Mのデータは、車両1に搭載されている燃費測定システムに送信され、燃費測定に利用される。また、別の例では、推定された質量Mのデータは、車両1に搭載されているタイヤの空気圧監視システム(Tire Pressure Monitoring System;TPMS)に送信され、タイヤの減圧判定に利用される。
図1は、本実施形態に係る質量推定装置2が車両1に搭載された様子を示す模式図である。車両1は、四輪車両であり、左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL及び右後輪RRを備えている。車輪FL,FR,RL,RRには、各々、タイヤが装着されている。質量推定装置2は、乗員や荷物等の積載荷重によって変化する車両1の質量Mを推定する機能を備える。ここでいう車両1の質量Mには、車両1の車体質量に加え、乗員や荷物等の積載物の質量が含まれる。推定された質量Mのデータは、車両1の走行を補助する各種制御に利用される。例えば、推定された質量Mのデータは、車両1に搭載されているブレーキ制御システムに送信され、ブレーキ制御に利用される。別の例では、推定された質量Mのデータは、車両1に搭載されている燃費測定システムに送信され、燃費測定に利用される。また、別の例では、推定された質量Mのデータは、車両1に搭載されているタイヤの空気圧監視システム(Tire Pressure Monitoring System;TPMS)に送信され、タイヤの減圧判定に利用される。
本実施形態では、車両1の運動方程式に基づいて走行中の車両1の質量Mが推定される。本実施形態では、運動方程式に含まれる車両1の加速度αは、車輪FL,FR,RL,RRの車輪速に基づいて取得される。車輪FL,FR,RL,RRには、各々、車輪速センサ6が装備されており、車輪速センサ6は、所定のサンプリング周期ΔTで自身の取り
付けられた車輪の車輪速(すなわち、車輪に装着されたタイヤの回転速度)を示す情報(以下、タイヤ回転情報という)を検出する。車輪速センサ6は、質量推定装置2に通信線5を介して接続されており、各車輪速センサ6で検出されたタイヤ回転情報は、リアルタイムに質量推定装置2に送信される。
付けられた車輪の車輪速(すなわち、車輪に装着されたタイヤの回転速度)を示す情報(以下、タイヤ回転情報という)を検出する。車輪速センサ6は、質量推定装置2に通信線5を介して接続されており、各車輪速センサ6で検出されたタイヤ回転情報は、リアルタイムに質量推定装置2に送信される。
車輪速センサ6としては、走行中の車輪FL,FR,RL,RRの車輪速を検出できるものであれば、どのようなものでも用いることができる。例えば、電磁ピックアップの出力信号から車輪速を測定するタイプのセンサを用いることもできるし、ダイナモのように回転を利用して発電を行い、このときの電圧から車輪速を測定するタイプのセンサを用いることもできる。車輪速センサ6の取り付け位置も、特に限定されず、車輪速の検出が可能である限り、センサの種類に応じて、適宜、選択することができる。
また、本実施形態では、運動方程式に含まれる後述される駆動力Fは、以上のタイヤ回転情報に加え、車両1に装備されているエンジンの制御装置からのエンジン情報に基づいて算出される。エンジン情報は、車両1のエンジンの駆動状態を示す情報であり、エンジントルクt及びエンジンの回転数nに関する情報を含む。
図2は、質量推定装置2の電気的構成を示すブロック図である。図2に示されるとおり、質量推定装置2は、ハードウェアとしては車両1に搭載されている制御ユニットであり、I/Oインターフェース11、CPU12、ROM13、RAM14、及び不揮発性で書き換え可能な記憶装置15を備えている。I/Oインターフェース11は、車輪速センサ6及び表示器3等の外部装置との通信を行うための通信装置である。ROM13には、車両1の各部の動作を制御するためのプログラム7が格納されている。プログラム7は、CD−ROM等の記憶媒体8からROM13へと書き込まれる。CPU12は、ROM13からプログラム7を読み出して実行することにより、仮想的にデータ取得部21及び質量推定部26として動作する。データ取得部21は、回転速度算出部22、車速算出部23、加速度算出部24、及び駆動力算出部25を含む。各部21〜26の動作の詳細は、後述する。記憶装置15は、ハードディスクやフラッシュメモリ等で構成される。なお、プログラム7の格納場所は、ROM13ではなく、記憶装置15であってもよい。RAM14及び記憶装置15は、CPU12の演算に適宜使用される。
表示器3は、プログラム7を実行する制御ユニットとして実現される制御システムのユーザーインターフェースであり、例えば、液晶表示素子や液晶モニター等、任意の態様で実現することができる。なお、ここでいう制御システムには、質量推定装置2、TPMS、ブレーキ制御システム及び燃費測定システムが含まれる。表示器3の取り付け位置は、適宜選択することができるが、例えば、インストルメントパネル上等、ドライバーに分かりやすい位置に設けることが好ましい。制御ユニットがカーナビゲーションシステムに接続される場合には、カーナビゲーション用のモニターを表示器3として使用することも可能である。
<2.質量推定の原理>
以下、走行中の車両1の質量Mを推定するための原理について説明する。本実施形態に係る質量推定のアルゴリズムは、加速時の車両1の運動方程式に基づく。加速度αで走行中の質量Mの車両1には、エンジン駆動力Fe以外に空気抵抗Fa、転がり抵抗Fr、及び傾斜方向の重力(路面の傾斜により車両1に作用する重力)Fgが働くので、以下のような運動方程式が成り立つ。
Mα=Fe−Fa−Fr−Fg (1)
以下、走行中の車両1の質量Mを推定するための原理について説明する。本実施形態に係る質量推定のアルゴリズムは、加速時の車両1の運動方程式に基づく。加速度αで走行中の質量Mの車両1には、エンジン駆動力Fe以外に空気抵抗Fa、転がり抵抗Fr、及び傾斜方向の重力(路面の傾斜により車両1に作用する重力)Fgが働くので、以下のような運動方程式が成り立つ。
Mα=Fe−Fa−Fr−Fg (1)
これを変形して、
F=Mα+f (1′)
とする。ただし、F=Fe−Fa、f=Fr+Fgである。以下、Fを駆動力、fを路面抵抗力という。
F=Mα+f (1′)
とする。ただし、F=Fe−Fa、f=Fr+Fgである。以下、Fを駆動力、fを路面抵抗力という。
式(1′)は、横軸を加速度α、縦軸を駆動力Fとしたグラフ上で、直線として表される。従って、加速度αと駆動力Fのデータセットにより、αとFとの関係を表す回帰直線Lを特定することができれば、M=M′であるため、その傾きM′に基づいて車両1の質量Mを推定することができる。回帰直線Lの切片をf′とすると、Lの式は以下のようになる。
L:F=M′α+f′
L:F=M′α+f′
エンジン駆動力Feは、車両1のエンジンが出力する駆動力である。空気抵抗Faは、車両1の速度Vの二乗に比例して大きくなる抵抗力であり、車両1の走行方向とは反対の方向に働く。後述するように、加速度α、エンジン駆動力Fe及び空気抵抗Faは、車両1の走行中に取得されるエンジン情報及びタイヤ回転情報を含む計測データに基づいて算出することができる。
転がり抵抗Frは、車両1のタイヤの変形によって生じるエネルギー損失や、タイヤと路面との摩擦等を原因として発生する抵抗力である。転がり抵抗Frの大きさは、転がり抵抗係数μ、路面の傾斜角θ、及び重力加速度gを用い、以下の式(2)に従って算出される。なお、転がり抵抗係数μは、アスファルト面であるか砂利道であるか雪道であるかや、濡れているか乾いているか等のタイヤの転がり易さに影響を与える路面の状態に依存する係数である。
Fr=μMgcosθ (2)
Fr=μMgcosθ (2)
また、傾斜方向の重力Fgの大きさは、以下の式(3)に従って算出される。傾斜方向の重力Fgの符号は、車両1が路面を上るときは正となり、路面を下るときは負となる。
Fg=Mgsinθ (3)
Fg=Mgsinθ (3)
なお、転がり係数μは、路面の状態にもよるが、一般的には1よりもはるかに小さい係数である。このため、路面抵抗力fにおいては、転がり抵抗Frよりも傾斜方向の重力Fgによる影響が支配的なことが多い。
運動方程式(1)に基づいて、車両1の質量Mを算出しようとすると、路面抵抗力fを考慮しなければならない。このとき、式(2)及び(3)が示すように、路面抵抗力fは、路面の状態及び傾斜角θといった、路面条件の影響を受けて変化する。しかし、路面条件のデータを取得するには、特別な装備が必要なことが多い。よって、これを取得することは必ずしも容易ではなく、路面抵抗力fを正しく評価することはしばしば困難である。
ただし、式(2)及び(3)が示すように、路面抵抗力fは、路面条件が一定であれば変化しない。そこで、本発明者らは、路面条件が概ね変化せず、実質的に駆動力Fのみが加速度αに影響を与えているときのαとFのデータセットを選別し、これに基づいて車両1の質量Mを推定することを考えた。ここで、図3を参照されたい。図3のグラフは、横軸が加速度α、縦軸が駆動力Fであり、車両1が区間1、区間2、区間3及び区間4を走行したときのαとFのデータセットがプロットされている。
区間2は、路面条件が一定の区間である。そのため、区間2に属する加速度αと駆動力Fのデータセットに基づく回帰直線L2の傾きM′は、車両1の質量Mを精度よく表す値となる。同様に、区間4も、路面条件が一定の区間である。従って、区間4に属するデータセットに基づく回帰直線L4の傾きM′も、質量Mを精度よく表す値となる。ただし、区間2と区間4とでは、路面条件が異なる。そのため、回帰直線L2とL4とは、切片f′が異なるが、互いに略平行な直線となる。一方、区間1及び区間3は、いずれも路面条件が変化している区間である。そのため、区間1及び区間3にそれぞれ属するデータセットに基づく回帰直線L1及びL3の傾きM′は、回帰直線L2及びL4の傾きM′とは大きく異なり、車両1の質量Mから大きく乖離する。
以上より、順次取得される加速度αと駆動力Fのデータセットの中から、区間1及び区間3のような路面条件が一定でない区間のデータセットをリジェクトして、区間2及び区間4のような路面条件が一定の区間のデータセットのみを抽出し、これに基づいて回帰直線Lを特定すれば、車両1の質量Mを精度よく推定可能となる。また、路面条件が一定であっても、区間2と区間4のように路面条件が互いに異なる区間を区別して回帰直線Lを特定すれば、さらに質量Mの推定精度が向上すると考えられる。
ところで、車両1の質量Mが実際に取り得る値には、一定の限度がある。本発明者は、このことを利用すれば、路面条件が概ね一定の区間のデータセットを容易に選別できることを見出した。具体的には、車両1の質量Mは、空車状態の車両1の質量m1未満になることがなく、また、最大積載状態の質量m2を超過することはないと考えられる。空車状態とは、車両1の車体に標準的な体重のドライバーの積載荷重のみが加えられている状態(すなわち、ドライバーを除いて積載荷重が加えられていない状態)か、ドライバーを含めて積載荷重が加えられていない状態である。最大積載状態とは、車両1に許容される最大限の荷重が車両1に加えられた状態である。このような下限値m1及び上限値m2を予め質量推定装置2に記憶しておき、これらのm1及びm2で決定される範囲を傾きM′の傾き条件とする(図4参照)。そして、あるデータセットの回帰直線Lの傾きM′が傾き条件m1≦M′≦m2を満たす場合にのみ、そのデータセットを採用し、その傾きM′を車両1の質量Mと推定することができる。一方、傾きM′が傾き条件を満たさない場合は、そのデータセットをリジェクトし、質量Mの推定に用いないようにすることができる。
<3.質量推定処理>
以下、図5を参照しつつ、これらの知見に基づく車両1の質量Mを推定するための質量推定処理について説明する。図5に示す質量推定処理は、例えば、エンジンのスイッチがONにされたときに開始し、停車後、一定時間が経過すると終了する。
以下、図5を参照しつつ、これらの知見に基づく車両1の質量Mを推定するための質量推定処理について説明する。図5に示す質量推定処理は、例えば、エンジンのスイッチがONにされたときに開始し、停車後、一定時間が経過すると終了する。
まず、ステップS1〜S4では、データ取得部21により、後の解析に必要なデータが取得される。ステップS1では、タイヤの回転速度v1〜v4が算出される。v1〜v4は、それぞれ車輪FL,FR,RL,RRに装着されたタイヤの回転速度である。ここでは、回転速度算出部22が、車輪速センサ6から時々刻々送信されてくるタイヤ回転情報を取得し、これに基づいてv1〜v4を算出する。
続くステップS2では、車速算出部23が、タイヤの回転速度v1〜v4から車両1の速度(以下、車速という)Vを算出する。車速Vは、タイヤの回転速度にタイヤの直径dを乗じることにより算出することができる。このとき、車速Vは、いずれか1つのタイヤの回転速度から算出することもできるし、複数のタイヤ(タイヤ全輪の場合を含む)の回転速度を平均して算出することもできる。このとき、駆動輪タイヤのスリップの影響を排除するため、従動輪タイヤの回転速度を用いることが好ましく、従動輪2輪のタイヤの回転速度の平均値を用いることがより好ましい。本実施形態の車両1は、FF(フロントドライブ・フロントエンジン)車であり、車輪FL,FRが駆動輪、車輪RL,RRが従動輪である。従って、車速Vは、以下の式に従って算出される。
V=(v3・d+v4・d)/2
V=(v3・d+v4・d)/2
続くステップS3では、加速度算出部24が、車両1の加速度αを算出する。本実施形態では、加速度αは、車速Vを微分することにより算出される。なお、加速度αは、ステップS1で取得されたタイヤの回転速度を微分して回転加速度を算出した後、これに直径dを乗じることにより算出することもできる。この場合も、いずれか1つのタイヤの回転加速度から算出してもよいし、複数のタイヤの回転加速度を平均して算出してもよい。加速度αは、記憶装置15又はRAM14に格納される。
続くステップS4では、駆動力算出部25が駆動力Fを算出する。駆動力Fは、上述した定義式のとおり、エンジン駆動力Fe及び空気抵抗Faから算出される。エンジン駆動力Fe及び空気抵抗Faは、それぞれ以下の式に従って算出される。
Fe=η・(n/V)・2πt
Fa=kV2
Fe=η・(n/V)・2πt
Fa=kV2
ただし、nはエンジンの回転数[rps]、tはエンジントルク[Nm]である。駆動力算出部25は、エンジンの制御装置から時々刻々送信されてくるエンジン情報を取得し、これに基づいてエンジンの回転数n及びエンジントルクtを算出する。また、η及びkは、車両1に固有の定数である。定数η、kは、予め実験又はシミュレーションにより特定され、車両1の記憶装置15又はROM13内に格納されている。駆動力Fは、直前のステップS3で取得された加速度αに関連付けて、記憶装置15又はRAM14に格納される。すなわち、αとFとは、データセットとして組み合わせられ、記憶装置15又はRAM14に格納される。図5に示すとおり、ステップS1〜S4は繰り返し実行される。従って、αとFのデータセットは、記憶装置15又はRAM14内に徐々に蓄積されてゆく。
続くステップS5では、データ取得部21は、ステップS1〜S4で取得された最新の加速度αと駆動力Fのデータセットが有効か否かを判定し、有効と判定した場合には、ステップS6に進む。一方、有効でないと判定した場合には、これまでに蓄積されているαとFのデータセットを記憶装置15又はRAM14内から消去して、ステップS1に戻り、さらに次のαとFのデータセットを取得する。データセットが有効であるとは、αとFのデータセットの精度が、質量推定処理に使用できる程度に高いことをいう。すなわち、ギアチェンジ中やブレーキ中に取得されたαとFのデータセットは、大きく変動し、質量推定の精度に悪影響を及ぼすため、そのようなときに得られたデータセットは有効でないと判定する。なお、本実施形態では、ギアチェンジやブレーキ操作が行われたか否かの判定は、エンジン情報に含まれるエンジンの回転数nや、ブレーキ制御システムから取得されるブレーキ圧等の情報に基づいて行われる。
続くステップS6では、データ取得部21は、記憶装置15又はRAM14内に蓄積されている加速度αと駆動力Fのデータセットが所定数N1(N1は、2以上の整数)以上であるかを判定する。所定数N1以上であると判定した場合には、ステップS7に進む。一方、所定数N1未満であると判定した場合には、ステップS1に戻り、さらに次のαとFのデータセットを取得する。すなわち、有効で連続した所定数N1以上のαとFのデータセットが取得された場合に、そのようなデータセットに対してステップS7が実行される。
ステップS5及びS6は、順次取得される加速度αと駆動力Fのデータセットから、局所区間に属するデータセットを抽出するステップである。本実施形態では、ステップS6が終了した時点では、この局所区間に属する、有効で途切れのない所定数N1以上のαとFのデータセットが、記憶装置15又はRAM14内に蓄積されている。続くステップS7では、質量推定部26が、記憶装置15又はRAM14内に蓄積されているαとFのデータセットの回帰直線Lを特定する。すなわち、傾きM′が算出される。回帰直線Lの特定方法は、特に限定されず、例えば、最小二乗法を用いることができる。また、演算の効率化のために、逐次最小二乗法を用いることもできる。この場合、ステップS5で新たに有効なデータセットが取得される度に、傾きM′が更新されながら算出される。
続くステップS8では、質量推定部26が、記憶装置15又はROM13に格納された傾き条件の下限値m1及び上限値m2に基づいて、ステップS7で算出された傾きM′が傾き条件を満たしているか否かを判定する。質量推定部26は、M′が傾き条件を満たさないと判定した場合、このM′をリジェクトし、記憶装置15又はRAM14内に蓄積されているαとFのデータセットを消去する。その後、ステップS1に戻り、さらに同様のステップを繰り返す。一方、傾き条件を満たしていると判定した場合は、処理はステップS9に進む。なお、ステップS8は、続くステップS9で質量Mの推定に使用される傾きM′を選別するステップである。これは、質量Mの推定に使用されるべき加速度αと駆動力Fのデータセットを選別していることに他ならない。ステップS8では、路面条件が概ね一定であり、路面抵抗力fが概ね変化しない区間のデータセットが選別される。
ステップS9では、質量推定部26は、傾きM′に基づいて車両の質量Mを推定し、RAM14又は記憶装置15に格納する。なお、単にM=M′とすることもできるが、本実施形態では、推定の精度を向上させるべく、質量Mがカルマンフィルタを用いた逐次計算により推定される。逐次計算では、最新の回帰直線の傾きM′、切片f′及び推定値の分散を表す共分散行列(2×2行列)の4つの成分がRAM14又は記憶装置15に格納される。なお、逐次計算のための初期値は予め設定され、ROM13又は記憶装置15に格納されている。このようにして、逐次計算により質量Mが算出される場合には、過去の多量のデータに基づいて精度よく質量Mを推定することができる一方、記憶しておくべきデータは最新の6変数の値のみで足りる。従って、必要となるメモリの容量が少なくて済み、さらに演算負荷も低減される。ステップS9が終わると、ステップS1に戻り、同様のステップが繰り返される。
本実施形態に係る以上の質量推定のアルゴリズムによれば、路面条件が不明であっても、車両1に搭載された車輪速センサ6やエンジンの制御装置からの情報に基づいて、車両の質量を精度よく推定することができる。また、車輪速の周波数スペクトルの変化に基づいて車両1の質量Mを推定する方法とは異なり、車輪速センサ6のS/N比が小さい場合にも車両1の質量Mを精度よく推定することができる。
<4.適用例>
上記実施形態に係る質量推定処理により推定された質量Mは、例えばDLR方式のタイヤ空気圧監視システムに利用することができる。DLR方式の減圧検出処理では、減圧タイヤは走行時につぶれることで動荷重半径(DLR)が小さくなり、より高速に回転するようになる現象を利用している。そして、減圧を評価するための減圧指標値として、所定のタイヤ同士の回転速度v1〜v4を比較する3つの指標値DEL1〜DEL3を用いる。指標値DEL1〜DEL3は、例えば、以下の式に従って算出される。
DEL1={(v1+v4)/(v2+v3)−1}×100(%)
DEL2={(v1+v2)/(v3+v4)−1}×100(%)
DEL3={(v1+v3)/(v2+v4)−1}×100(%)
上記実施形態に係る質量推定処理により推定された質量Mは、例えばDLR方式のタイヤ空気圧監視システムに利用することができる。DLR方式の減圧検出処理では、減圧タイヤは走行時につぶれることで動荷重半径(DLR)が小さくなり、より高速に回転するようになる現象を利用している。そして、減圧を評価するための減圧指標値として、所定のタイヤ同士の回転速度v1〜v4を比較する3つの指標値DEL1〜DEL3を用いる。指標値DEL1〜DEL3は、例えば、以下の式に従って算出される。
DEL1={(v1+v4)/(v2+v3)−1}×100(%)
DEL2={(v1+v2)/(v3+v4)−1}×100(%)
DEL3={(v1+v3)/(v2+v4)−1}×100(%)
上記の指標値のうち、DEL1は対角に位置するタイヤ同士の回転速度v1〜v4を比較し、DEL2は前後のタイヤ同士の回転速度v1〜v4を比較し、DEL3は左右のタイヤ同士の回転速度v1〜v4を比較する指標値である。また、DEL1は、回転速度v1,v4が大きい程大きくなり且つ回転速度v2,v3が大きい程小さくなる、或いは、回転速度v2,v3が大きい程大きくなり且つ回転速度v1,v4が大きい程小さくなる。DEL2は、回転速度v1,v2が大きい程大きくなり且つ回転速度v3,v4が大きい程小さくなる、或いは、回転速度v3,v4が大きい程大きくなり且つ回転速度v1,v2が大きい程小さくなる。DEL3は、回転速度v1,v3が大きい程大きくなり且つ回転速度v2,v4が大きい程小さくなる、或いは、回転速度v2,v4が大きい程大きくなり且つ回転速度v1,v3が大きい程小さくなる。
ところで、タイヤの動荷重半径は、減圧によって小さくなるが、積載荷重が加わることによっても小さくなる。図6は、タイヤが減圧していない正常内圧時(NP時)と20%減圧時の2つの場合について、積載荷重(Load[kN])に対するタイヤの動荷重半径(DLR[mm])をプロットしたグラフである。グラフから分かるように、タイヤが正常内圧で積載荷重が約5(kN)である場合、及びタイヤが20%減圧しており積載荷重が約3.5(kN)である場合で、共にタイヤの動荷重半径が約347(mm)である。従って、単に積載荷重が加わってタイヤがつぶれている場合と、減圧によってタイヤがつぶれている場合とを識別できない。その結果として、実際には正常な内圧であるにもかかわらず、減圧指標値DELが閾値を超えてしまい、システムの誤警報を引き起こしやすくなる。あるいは、実際には異常な内圧であるにもかかわらず、DELが閾値を超えない事態も生じ得る。
上述した3つの指標値のうち、前後のタイヤ同士の回転速度を比較するDEL2は特に車両1の荷重変化の影響を受けやすい。積載荷重は、主として乗員の質量やトランクに積載される荷物によるものであるから、積載荷重の増減の影響が主として後輪タイヤの動荷重半径に及ぶためである。従って、車両1の荷重変化がDEL2に及ぼす影響をキャンセルするように補正することで、減圧検出の精度を向上させることができる。この補正処理に、上述の処理によって推定された質量Mを利用することができる。
図7は、減圧検出機能が追加された質量推定装置2の電気的構成を示す図である。この例では、CPU12がプログラム7を読み出して実行することにより、さらに減圧検出部27及び減圧警報部28として動作する。減圧検出部27は、減圧指標値DEL1〜DEL3を算出し、予め定められた閾値と比較して、各タイヤの減圧条件を満たすか否かを判定する。減圧警報部28は、タイヤが減圧していると判定された場合に、警報を発生させ、減圧が起きている旨をユーザに伝える。
以下、図8を参照しつつ、タイヤFL,FR,RL,RRの減圧を検出するための減圧検出処理について説明する。以下の処理は上述した質量推定処理と並行して実行される。ステップS21では、減圧検出部27が、データ取得部21により取得されたタイヤの回転速度v1〜v4に基づいて、上述の式に従って減圧指標値DEL1〜DEL3をそれぞれ算出する。
ステップS22では、減圧検出部27が、RAM14又は記憶装置15に格納されている最新の質量Mのデータを取得して、DEL2の荷重補正を行う。DEL2の荷重補正の方法は、例えば、特開2012−202836号公報に記載されている手法を用いることができる。具体的には、下式に従って補正することができる。ただし、下式において、DEL2′とは補正後のDEL2であり、C1は、補正係数であり、DifLは、標準内圧で学習したときの車両1の質量と現在(走行時)の車両1の質量(質量推定処理により推定された質量M)との差分である。C1は、標準内圧において複数の積載条件で実験走行を行うことにより、車両毎に事前に求めておくことができる。
DEL2′=DEL2−C1×DifL
DEL2′=DEL2−C1×DifL
ステップS23では、減圧検出部27が、予め記憶装置15又はROM13に格納されている閾値と、算出されたDEL1、DEL2′及びDEL3とを比較して、タイヤが減圧しているか否かの判定を行う。その結果、いずれのタイヤも減圧していると判定されなければ、処理はS21に戻る。いずれかのタイヤが減圧していると判定されれば、処理はステップS24に進む。
ステップS24では、減圧警報部28が表示器3を介して警報を出力する。このとき、表示器3は、どのタイヤが減圧しているかを区別して警報することもできるし、いずれかのタイヤが減圧していることのみを示すように警報することもできる。また、減圧警報は、音声出力の態様で実行することもできる。
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
<5−1>
車両1の加速度α及び駆動力Fのデータの取得方法は、上記実施形態で説明されたものに限定されない。例えば、加速度αは、車両1に装備された加速度センサによっても取得することができる。また、駆動力Fは、車両1に装備されたホイールトルクセンサの出力値に基づいて取得することもできる。
車両1の加速度α及び駆動力Fのデータの取得方法は、上記実施形態で説明されたものに限定されない。例えば、加速度αは、車両1に装備された加速度センサによっても取得することができる。また、駆動力Fは、車両1に装備されたホイールトルクセンサの出力値に基づいて取得することもできる。
<5−2>
上記実施形態に係る質量推定処理では、車両の質量Mが繰り返し算出され、カルマンフィルタを用いることにより更新される。しかしながら、1回の走行につき、傾き条件を満たす傾きM′のデータを質量Mのデータとして1回算出するだけでもよい。
上記実施形態に係る質量推定処理では、車両の質量Mが繰り返し算出され、カルマンフィルタを用いることにより更新される。しかしながら、1回の走行につき、傾き条件を満たす傾きM′のデータを質量Mのデータとして1回算出するだけでもよい。
<5−3>
ステップS2,S3,S4が実行される順序は、上述の順序に限られない。例えば、ステップS3とステップS4とを同時に並行して実行することも可能である。また、ステップS2とステップS3とを同時に並行して実行してもよいし、ステップS3の後にステップS2を実行することも可能である。
ステップS2,S3,S4が実行される順序は、上述の順序に限られない。例えば、ステップS3とステップS4とを同時に並行して実行することも可能である。また、ステップS2とステップS3とを同時に並行して実行してもよいし、ステップS3の後にステップS2を実行することも可能である。
<5−4>
上記実施形態に係る車両の質量推定装置は、四輪車両において駆動方式に限られることはなく、FF車両、FR車両、MR車両、4WD車両のいずれにも適用することができる。さらに、四輪車両に限られず、三輪車両又は六輪車両などにも適用することができる。
上記実施形態に係る車両の質量推定装置は、四輪車両において駆動方式に限られることはなく、FF車両、FR車両、MR車両、4WD車両のいずれにも適用することができる。さらに、四輪車両に限られず、三輪車両又は六輪車両などにも適用することができる。
FF(フロントエンジン・フロントドライブ)四輪車を、積載荷重が異なる2つの条件下でテスト走行させた。条件1は1名の乗員(ドライバー)のみが積載荷重として加わった状態であり、条件2はさらに積載荷重が加わった状態である。そして、実施例として、上記実施形態に係る質量推定処理のアルゴリズムに従ってテスト走行時の車両の質量を推定し、実測値と比較したところ、表1の結果が得られた。比較例は、上記実施形態に係る質量推定処理からステップS8の傾き条件による判定を省略し、路面条件の変化を考慮しない方式による質量推定結果である。この結果からは、上記実施形態に係る質量推定処理のアルゴリズムの精度の高さが確認された。
1 車両
2 質量推定装置
3 表示器
6 車輪速センサ
21 データ取得部
26 質量推定部
27 減圧検出部
28 減圧警報部
FL 左前輪
FR 右前輪
RL 左後輪
RR 右後輪
v1〜v4 車輪速
V 車速
α 加速度
M 車両1の質量
F 駆動力
Fe エンジン駆動力
Fa 空気抵抗
n エンジンの回転数
t エンジントルク
DEL2 減圧指標値
2 質量推定装置
3 表示器
6 車輪速センサ
21 データ取得部
26 質量推定部
27 減圧検出部
28 減圧警報部
FL 左前輪
FR 右前輪
RL 左後輪
RR 右後輪
v1〜v4 車輪速
V 車速
α 加速度
M 車両1の質量
F 駆動力
Fe エンジン駆動力
Fa 空気抵抗
n エンジンの回転数
t エンジントルク
DEL2 減圧指標値
Claims (10)
- 車両の質量を推定する質量推定装置であって、
前記車両の走行中に順次取得される計測データに基づいて、加速度及び駆動力のデータセットを順次取得するデータ取得部と、
前記順次取得されるデータセットから、前記加速度と前記駆動力との関係を表す回帰直線の傾きが所定の範囲内に収まるデータセットを選別し、前記選別されたデータセットから特定される前記加速度と前記駆動力との関係を表す回帰直線の傾きに基づいて、前記質量を推定する質量推定部と
を備える、
質量推定装置。 - 前記データ取得部は、前記計測データとして前記車両のエンジンの駆動状態を示すエンジン情報を取得し、前記エンジン情報に基づいて前記駆動力を算出する、
請求項1に記載の質量推定装置。 - 前記エンジン情報は、エンジントルク及び前記エンジンの回転数に関する情報を含む、
請求項2に記載の質量推定装置。 - 前記データ取得部は、前記計測データとして前記車両に装着された少なくとも1つのタイヤの回転速度を示すタイヤ回転情報を取得し、前記エンジン情報及び前記タイヤ回転情報に基づいて前記駆動力を算出する、
請求項2又は3に記載の質量推定装置。 - 前記データ取得部は、前記計測データとして前記車両に装着された少なくとも1つのタイヤの回転速度を示すタイヤ回転情報を取得し、前記タイヤ回転情報に基づいて前記加速度を算出する、
請求項1から4のいずれかに記載の質量推定装置。 - 前記所定の範囲の下限値は、ドライバーを除く又はドライバーも含む積載荷重が加わらない状態における前記車両の質量である、
請求項1から5のいずれかに記載の質量推定装置。 - 前記所定の範囲の上限値は、前記車両に許容されている最大限の積載荷重が加わった状態における前記車両の質量である、
請求項1から6のいずれかに記載の質量推定装置。 - 前記データ取得部は、前記車両に装着された全てのタイヤの回転速度を示すタイヤ回転情報を取得し、前記タイヤ回転情報に基づいて前記全てのタイヤの回転速度を算出し、
前記全てのタイヤの回転速度に基づいて、前後のタイヤ同士の回転速度を比較する減圧指標値を算出し、前記減圧指標値を前記車両の質量で補正し、前記補正後の減圧指標値に基づいて、前記車両に装着された少なくとも1つのタイヤの減圧を検出する減圧検出部
をさらに備える、
請求項1から7のいずれかに記載の質量推定装置。 - 車両の質量を推定する質量推定方法であって、
前記車両の走行中に順次取得される計測データに基づいて、加速度及び駆動力のデータセットを順次取得するステップと、
前記順次取得されるデータセットから、前記加速度と前記駆動力との関係を表す回帰直線の傾きが所定の範囲内に収まるデータセットを選別し、前記選別されたデータセットから特定される前記加速度と前記駆動力との関係を表す回帰直線の傾きに基づいて、前記質量を推定するステップと、
を備える、
質量推定方法。 - 車両の質量を推定する質量推定プログラムであって、
前記車両の走行中に順次取得される計測データに基づいて、加速度及び駆動力のデータセットを順次取得するステップと、
前記順次取得されるデータセットから、前記加速度と前記駆動力との関係を表す回帰直線の傾きが所定の範囲内に収まるデータセットを選別し、前記選別されたデータセットから特定される前記加速度と前記駆動力との関係を表す回帰直線の傾きに基づいて、前記質量を推定するステップと、
をコンピュータに実行させる、
質量推定プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018075039A JP2019184412A (ja) | 2018-04-09 | 2018-04-09 | 車両の質量推定装置、方法及びプログラム |
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ID=68340773
Family Applications (1)
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JP2018075039A Pending JP2019184412A (ja) | 2018-04-09 | 2018-04-09 | 車両の質量推定装置、方法及びプログラム |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3835161A1 (en) * | 2019-12-10 | 2021-06-16 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Vehicle mass estimation device |
CN116499628A (zh) * | 2023-06-25 | 2023-07-28 | 深圳亿维锐创科技股份有限公司 | 一种路面作用力分析方法、装置、设备及存储介质 |
JP7458252B2 (ja) | 2020-06-26 | 2024-03-29 | 日立Astemo株式会社 | 車両重量推定装置、車両及び車両重量推定方法 |
Citations (2)
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---|---|---|---|---|
JP2005346659A (ja) * | 2004-06-07 | 2005-12-15 | Ntt Communications Kk | 機密情報管理システム、機密情報管理方法、および機密情報管理プログラム、並びに機密情報管理システム用端末プログラム |
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-
2018
- 2018-04-09 JP JP2018075039A patent/JP2019184412A/ja active Pending
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CN116499628A (zh) * | 2023-06-25 | 2023-07-28 | 深圳亿维锐创科技股份有限公司 | 一种路面作用力分析方法、装置、设备及存储介质 |
CN116499628B (zh) * | 2023-06-25 | 2023-08-22 | 深圳亿维锐创科技股份有限公司 | 一种路面作用力分析方法、装置、设备及存储介质 |
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