JP6863101B2 - タイヤの減圧の検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に装着されたタイヤの減圧を検出する検出装置、方法及びプログラムに関する。
車両を快適に走行させるためには、タイヤの空気圧が調整されていることが重要である。空気圧が適正値を下回ると、乗り心地や燃費が悪くなるという問題が生じ得るからである。このため、従来より、タイヤの減圧を自動的に検出するシステム(Tire Pressure Monitoring System;TPMS)が研究されている。タイヤが減圧しているという情報は、例えば、運転者への警報に用いることができる。
タイヤの減圧を検出する方式には、タイヤに圧力センサを取り付ける等して、タイヤの空気圧を直接的に計測する方式の他、他の指標値を用いてタイヤの減圧を間接的に評価する方式がある。このような間接的な評価方式としては、動荷重半径(Dynamic Loaded Radius;DLR)方式が知られている。DLR方式は、減圧タイヤは走行時につぶれることで動荷重半径が小さくなり、より高速に車輪が回転するようになるという現象を利用するものであり、タイヤの回転速度からタイヤの減圧を推定する。
特許文献1,2は、DLR方式の検出装置を開示しており、DEL1〜DEL3と呼ばれる減圧を評価するための3つの減圧指標値について言及している。例えば、特許文献2では、DEL1〜DEL3は、以下のように定義されている。ただし、V1〜V4は、それぞれ左前輪、右前輪、左後輪、右後輪タイヤの車輪速である。
DEL1=[[(V1+V4)/2-(V2+V3)/2]/(V1+V2+V3+V4)]*100(%)
DEL2=[[(V1+V2)/2-(V3+V4)/2]/(V1+V2+V3+V4)]*100(%)
DEL3=[[(V1+V3)/2-(V2+V4)/2]/(V1+V2+V3+V4)]*100(%)
タイヤが減圧すると、車輪速が増加するため、DEL1〜DEL3のような減圧指標値も変化する。従って、検出目標となる減圧量だけ減圧したときの減圧指標値を閾値として設定しておくことで、減圧の検出が可能になる。
特開2011−247645号公報 特開2008−110742号公報
ところで、DLR方式で評価される減圧指標値は、タイヤの減圧のみならず、タイヤのスリップの影響も受ける。例えば、フロントドライブ車において駆動輪である左前輪タイヤが減圧すると、右前輪タイヤにてスリップが増加し、同様に、右前輪タイヤが減圧すると、左前輪にてスリップが増加し、これがタイヤの回転速度に影響し、減圧指標値が変化する。なお、タイヤは減圧すると、接地面積が増加し、摩擦抵抗が増加する。従って、駆動輪の一方が減圧すると相対的に反対側の駆動輪のスリップが増加する。また、車両への積載荷重が左右のいずれかに偏っている偏荷重条件下でも、一方の駆動輪のタイヤの接地面積が増加し、摩擦抵抗が増加するため、相対的に反対側の駆動輪のスリップが増加する。そのため、偏荷重条件下でも、一方の駆動輪のスリップが増加し、これがタイヤの回転速度に影響し、減圧指標値が変化し得る。加えて、ホイールトルクが大きいほどスリップが増加するため、減圧指標値に対するスリップの影響は、ホイールトルクが大きいときに顕著に現れる。つまり、タイヤの減圧のみならず、ホイールトルクに応じて変化するスリップの影響によっても減圧指標値がばらつくため、ホイールトルクといった走行条件によっては、減圧指標値を用いたタイヤの減圧の検出精度が低下することがある。
本発明は、ホイールトルクに応じて変化するタイヤのスリップの影響をキャンセルして、タイヤの減圧を正確に検出することが可能な検出装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明の第1観点に係る検出装置は、車両に装着された第1タイヤ、第2タイヤ、第3タイヤ及び第4タイヤを含む複数のタイヤのうちの少なくとも1つの所定のタイヤの減圧を検出する検出装置であって、記憶部と、指標値算出部と、トルク取得部と、減圧検出部とを備える。前記記憶部は、前記タイヤのスリップが生じない又は殆ど生じない程度のホイールトルクである所定の基準ホイールトルクを記憶する。前記指標値算出部は、減圧検出時の前記複数のタイヤの車輪速情報から減圧指標値を算出する。前記減圧指標値は、前記第1タイヤ及び前記第4タイヤの回転速度が大きい程大きくなり且つ前記第2タイヤ及び前記第3タイヤの回転速度が大きい程小さくなる、或いは、前記第2タイヤ及び前記第3タイヤの回転速度が大きい程大きくなり且つ前記第1タイヤ及び前記第4タイヤの回転速度が大きい程小さくなる指標値である。前記トルク取得部は、前記減圧検出時のホイールトルクを取得する。前記減圧検出部は、前記減圧検出時の前記ホイールトルクと前記減圧指標値との線形関係を特定し、前記線形関係及び前記基準ホイールトルクに基づいて、前記ホイールトルクが前記減圧指標値に与える前記タイヤのスリップの影響をキャンセルして、前記所定のタイヤの減圧を検出する。
本発明の第2観点に係る検出装置は、第1観点に係る検出装置であって、前記第1タイヤ、前記第2タイヤ、前記第3タイヤ及び前記第4タイヤは、それぞれ、左前輪、右前輪、左後輪及び右後輪タイヤである。
本発明の第3観点に係る検出装置は、第1観点に係る検出装置であって、前記第1タイヤ、前記第2タイヤ、前記第3タイヤ及び前記第4タイヤは、それぞれ、左前輪、左後輪、右後輪及び右前輪タイヤである。
本発明の第4観点に係る検出装置は、第2又は第3観点に係る検出装置であって、前記基準ホイールトルクは、様々な偏荷重条件下での前記減圧指標値が収束する又は概ね収束するときのホイールトルクである。
本発明の第5観点に係る検出装置は、第1から第4観点のいずれかに係る検出装置であって、前記減圧検出部は、前記線形関係に従って、前記基準ホイールトルクに対応する前記減圧指標値を算出し、当該減圧指標値と所定の閾値とを比較することにより、前記所定のタイヤの減圧を検出する。
本発明の第6観点に係る検出装置は、第1から第4観点のいずれかに係る検出装置であって、前記減圧検出部は、前記線形関係に従って、前記基準ホイールトルクに対応する所定の閾値を補正し、前記減圧検出時の前記減圧指標値と当該補正後の閾値とを比較することにより、前記所定のタイヤの減圧を検出する。
本発明の第7観点に係る検出装置は、第1から第6観点のいずれかに係る検出装置であって、前記所定のタイヤの減圧が検出された場合に、減圧警報を発生させる減圧警報部
をさらに備える。
本発明の第8観点に係る検出装置は、第1から第7観点のいずれかに係る検出装置であって、前記減圧検出部は、一輪のタイヤ又は三輪のタイヤの減圧を検出する。
本発明の第9観点に係る検出方法は、車両に装着された第1タイヤ、第2タイヤ、第3タイヤ及び第4タイヤを含む複数のタイヤのうちの少なくとも1つの所定のタイヤの減圧を検出する検出方法であって、以下の(1)〜(4)のステップを含む。
(1)前記タイヤのスリップが生じない又は殆ど生じない程度のホイールトルクである基準ホイールトルクを取得するステップ。
(2)減圧検出時の前記複数のタイヤの車輪速情報から減圧指標値を算出するステップ。ただし、前記減圧指標値は、前記第1タイヤ及び前記第4タイヤの回転速度が大きい程大きくなり且つ前記第2タイヤ及び前記第3タイヤの回転速度が大きい程小さくなる、或いは、前記第2タイヤ及び前記第3タイヤの回転速度が大きい程大きくなり且つ前記第1タイヤ及び前記第4タイヤの回転速度が大きい程小さくなる指標値である。
(3)前記減圧検出時のホイールトルクを取得するステップ。
(4)前記減圧検出時の前記ホイールトルクと前記減圧指標値との線形関係を特定し、前記線形関係及び前記基準ホイールトルクに基づいて、前記ホイールトルクが前記減圧指標値に与える前記タイヤのスリップの影響をキャンセルして、前記所定のタイヤの減圧を検出するステップ。
本発明の第10観点に係る検出プログラムは、車両に装着された第1タイヤ、第2タイヤ、第3タイヤ及び第4タイヤを含む複数のタイヤのうちの少なくとも1つの所定のタイヤの減圧を検出する検出プログラムであって、コンピュータに以下の(1)〜(3)のステップを実行させる。なお、前記コンピュータは、前記タイヤのスリップが生じない又は殆ど生じない程度のホイールトルクである所定の基準ホイールトルクを記憶する記憶部を備える。
(1)減圧検出時の前記複数のタイヤの車輪速情報から減圧指標値を算出するステップ。ただし、前記減圧指標値は、前記第1タイヤ及び前記第4タイヤの回転速度が大きい程大きくなり且つ前記第2タイヤ及び前記第3タイヤの回転速度が大きい程小さくなる、或いは、前記第2タイヤ及び前記第3タイヤの回転速度が大きい程大きくなり且つ前記第1タイヤ及び前記第4タイヤの回転速度が大きい程小さくなる指標値である。
(2)前記減圧検出時のホイールトルクを取得するステップ。
(3)前記減圧検出時の前記ホイールトルクと前記減圧指標値との線形関係を特定し、前記線形関係及び前記基準ホイールトルクに基づいて、前記ホイールトルクが前記減圧指標値に与える前記タイヤのスリップの影響をキャンセルして、前記所定のタイヤの減圧を検出するステップ。
ホイールトルクが大きいほどタイヤのスリップは増加し、スリップの増加に伴って減圧指標値が変化するため、減圧指標値とホイールトルクとの間には線形関係が存在し得る。そこで、本発明によれば、減圧検出時のかかる線形関係が特定される。そして、減圧検出時のかかる線形関係と、タイヤのスリップが生じない又は殆ど生じない程度の基準ホイールトルクとに基づいて、ホイールトルクに応じて変化するタイヤのスリップの影響がキャンセルされる。これにより、タイヤの減圧を正確に検出することができる。
本発明の一実施形態に係る検出装置が車両に搭載された様子を示す模式図。 検出装置の電気的構成を示すブロック図。 減圧検出処理の流れを示すフローチャート。 様々な空気圧条件下でのDEL1とホイールトルクWTとの関係を示すグラフ。 様々な積載条件下でのDEL1とホイールトルクWTとの関係を示すグラフ。 減圧検出処理の原理を説明する図。 変形例に係る減圧検出処理の原理を説明する図。 実施例1に係るNP−軽積条件下でのDEL1の時系列グラフ。 比較例1に係るNP−軽積条件下でのDEL1の時系列グラフ。 実施例1に係るNP−定積条件下でのDEL1の時系列グラフ。 比較例1に係るNP−定積条件下でのDEL1の時系列グラフ。 実施例1に係るNP−左偏荷重条件下でのDEL1の時系列グラフ。 比較例1に係るNP−左偏荷重条件下でのDEL1の時系列グラフ。 実施例1に係るNP−右偏荷重条件下でのDEL1の時系列グラフ。 比較例1に係るNP−右偏荷重条件下でのDEL1の時系列グラフ。 実施例1に係るFL−20%−軽積条件下でのDEL1の時系列グラフ。 比較例1に係るFL−20%−軽積条件下でのDEL1の時系列グラフ。 実施例1に係るFR−20%−軽積条件下でのDEL1の時系列グラフ。 比較例1に係るFR−20%−軽積条件下でのDEL1の時系列グラフ。 実施例2及び比較例2に係る様々な空気圧条件及び荷重条件下でのDEL1の検出感度及び標準偏差を示すグラフ。 実施例3及び比較例3に係るNP−軽積条件下でのDEL2の時系列グラフ。 実施例3及び比較例3に係るNP−定積条件下でのDEL2の時系列グラフ。 実施例3及び比較例3に係る後輪10%減圧−軽積条件下でのDEL2の時系列グラフ。 実施例3及び比較例3に係る後輪10%減圧−定積条件下でのDEL2の時系列グラフ。 実施例3及び比較例3に係る後輪20%減圧−軽積条件下でのDEL2の時系列グラフ。 実施例3及び比較例3に係る後輪20%減圧−定積条件下でのDEL2の時系列グラフ。 実施例4及び比較例4に係る様々な空気圧条件及び荷重条件下でのDEL1の検出感度及び標準偏差を示すグラフ。 実施例4及び比較例4に係る様々な空気圧条件及び荷重条件下でのDEL2の検出感度及び標準偏差を示すグラフ。 実施例4及び比較例4に係る様々な空気圧条件及び荷重条件下でのDEL3の検出感度及び標準偏差を示すグラフ。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るタイヤの減圧の検出装置、方法及びプログラムについて説明する。
<1.検出装置の構成>
図1は、本実施形態に係る検出装置2が車両1に搭載された様子を示す模式図である。車両1は、4輪車両であり、左前輪タイヤFL、右前輪タイヤFR、左後輪タイヤRL及び右後輪タイヤRRを備えている。検出装置2は、これらのタイヤFL,FR,RL,RRの減圧を検出する機能を備えており、タイヤFL,FR,RL,RRの減圧が検出されると、車両1に搭載されている警報表示器3を介してその旨の警報を行う。減圧検出処理の流れの詳細については、後述する。
本実施形態では、タイヤFL,FR,RL,RRの減圧状態は、車輪速(回転速度)に基づいて検出される。タイヤFL,FR,RL,RR(より正確には、タイヤFL,FR,RL,RRが装着されている車輪)には、各々、車輪速センサ6が取り付けられており、車輪速センサ6は、自身に対応するタイヤの車輪速情報を検出する。車輪速センサ6は、検出装置2に通信線5aを介して接続されており、各車輪速センサ6で検出された車輪速情報は、リアルタイムに検出装置2に送信される。
車輪速センサ6としては、走行中のタイヤFL,FR,RL,RRの車輪速を検出できるものであれば、どのようなものでも用いることができる。例えば、電磁ピックアップの出力信号から車輪速を測定するタイプのセンサを用いることもできるし、ダイナモのように回転を利用して発電を行い、このときの電圧から車輪速を測定するタイプのセンサを用いることもできる。車輪速センサ6の取り付け位置も特に限定されず、車輪速の検出が可能である限り、センサの種類に応じて適宜選択することができる。
本実施形態に係る車両1は、フロントエンジン・フロントドライブ車(FF車)であり、一方の駆動輪である左前輪に、ホイールトルクセンサ(以下、WTセンサ)7が取り付けられている。WTセンサ7は、車両1のホイールトルクWTを検出する。WTセンサ7は、検出装置2に通信線5aを介して接続されており、WTセンサ7で検出されたホイールトルクWTの情報は、リアルタイムに検出装置2に送信される。
WTセンサ7としては、車両1のホイールトルクを検出できる限り、その構造も取り付け位置も特に限定されない。ホイールトルクセンサとしては、様々な種類のものが市販されており、その構成については周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図2は、検出装置2の電気的構成を示すブロック図である。図2に示されるとおり、検出装置2は、車両1に搭載されている制御ユニットであり、I/Oインターフェース11、CPU12、ROM13、RAM14、及び不揮発性で書き換え可能な記憶部15を備えている。I/Oインターフェース11は、車輪速センサ6、WTセンサ7、警報表示器3等の外部装置との通信を行うための通信装置である。ROM13には、車両1の各部の動作を制御するためのプログラム8が格納されている。プログラム8は、CD−ROM等の記憶媒体9からROM13へと書き込まれる。CPU12は、ROM13からプログラム8を読み出して実行することにより、仮想的にDEL算出部21、WT取得部22、減圧検出部23及び減圧警報部24として動作する。各部21〜24の動作の詳細は、後述する。記憶部15は、ハードディスクやフラッシュメモリ等で構成される。なお、プログラム8の格納場所は、ROM13ではなく、記憶部15であってもよい。RAM14及び記憶部15は、CPU12の演算に適宜使用される。
警報表示器3は、減圧が起きている旨をユーザに伝えることができる限り、例えば、液晶表示素子や液晶モニター等、任意の態様で実現することができる。例えば、警報表示器3は、四輪タイヤFL,FR,RL,RRにそれぞれに対応する4つのランプを、タイヤの実際の配列に併せて配置したものとすることができる。警報表示器3の取り付け位置も適宜選択することができるが、例えば、インストルメントパネル上等、ドライバーに分かりやすい位置に設けることが好ましい。制御ユニット(検出装置2)がカーナビゲーションシステムに接続される場合には、カーナビゲーション用のモニターを警報表示器3として使用することも可能である。警報表示器3としてモニターが使用される場合、警報はモニター上に表示されるアイコンや文字情報とすることができる。
<2.減圧検出処理>
以下、図3を参照しつつ、タイヤFL,FR,RL,RRの減圧を検出するための減圧検出処理について説明する。図3に示す減圧検出処理は、動荷重半径(DLR)方式に従うものであり、車両1の電気系統に電源が投入された時等に実行が開始される。本実施形態に係る減圧検出処理では、四輪のタイヤFL,FR,RL,RRのうちのどのタイヤが減圧しているかが特定される。より具体的には、以下の14個のパターンで、減圧タイヤを検出することができる。
(1)FLのみ減圧
(2)FRのみ減圧
(3)RLのみ減圧
(4)RRのみ減圧
(5)FL,FRのみ減圧
(6)FL,RLのみ減圧
(7)FL,RRのみ減圧
(8)FR,RLのみ減圧
(9)FR,RRのみ減圧
(10)RL,RRのみ減圧
(11)FL,FR,RLのみ減圧
(12)FL,FR,RRのみ減圧
(13)FL,RL,RRのみ減圧
(14)FR,RL,RRのみ減圧
まず、ステップS1では、DEL算出部21が、車輪速V1〜V4を取得する。ここで、車輪速V1〜V4は、それぞれタイヤFL,FR,RL,RRの車輪速(回転速度)である。DEL算出部21は、車輪速センサ6からの出力信号を受信し、これを車輪速V1〜V4に換算する。
続くステップS2では、DEL算出部21が、タイヤの減圧を判定するための減圧指標値DEL1〜DEL3を算出する。DEL1,DEL2,DEL3は、それぞれ、以下に示す特徴を有する指標値である。
DEL1:車輪速V1,V4が大きい程大きくなり且つ車輪速V2,V3が大きい程小さくなる、或いは、車輪速V2,V3が大きい程大きくなり且つ車輪速V1,V4が大きい程小さくなる指標値
DEL2:車輪速V1,V2が大きい程大きくなり且つ車輪速V3,V4が大きい程小さくなる、或いは、車輪速V3,V4が大きい程大きくなり且つ車輪速V1,V2が大きい程小さくなる指標値
DEL3:車輪速V1,V3が大きい程大きくなり且つ車輪速V2,V4が大きい程小さくなる、或いは、車輪速V2,V4が大きい程大きくなり且つ車輪速V1,V3が大きい程小さくなる指標値
DEL1〜DEL3は、上記特徴を有する限り、様々な方法で定義することができるが、本実施形態では、DEL1〜DEL3は、以下の式に従って算出される。
DEL1=[(V1+V4)/(V2+V3)-1]*100(%)
DEL2=[(V1+V2)/(V3+V4)-1]*100(%)
DEL3=[(V1+V3)/(V2+V4)-1]*100(%)
他の実施形態では、例えば、背景技術の欄で述べたとおり、以下のように定義することもできる。
DEL1=[[(V1+V4)/2-(V2+V3)/2]/(V1+V2+V3+V4)]*100(%)
DEL2=[[(V1+V2)/2-(V3+V4)/2]/(V1+V2+V3+V4)]*100(%)
DEL3=[[(V1+V3)/2-(V2+V4)/2]/(V1+V2+V3+V4)]*100(%)
あるいは、DEL1,DEL2,DEL3は、以下のように定義することもできる。
DEL1=(V1*V4)/(V2*V3)
DEL2=(V1*V2)/(V3*V4)
DEL3=(V1*V3)/(V2*V4)
あるいは、DEL1,DEL2,DEL3は、以下のように定義することもできる。
DEL1=(V12+V42)-(V22+V32)
DEL2=(V12+V22)-(V32+V42)
DEL3=(V12+V32)-(V22+V42)
以上のとおり、DEL1は、4輪のうち、一方の対角線上に存在する二輪の車輪速が大きい程大きくなり、且つ、他方の対角線上に存在する二輪の車輪速が大きい程小さくなる指標値である。また、DEL2は、4輪のうち、前輪又は後輪の二輪の車輪速が大きい程大きくなり、且つ、残りの二輪の車輪速が大きい程小さくなる指標値である。一方、DEL3は、4輪のうち、左側又は右側の二輪の車輪速が大きい程大きくなり、且つ、残りの二輪の車輪速が大きい程小さくなる指標値である。
続くステップS3では、WT取得部22が、車両1のホイールトルクWTを取得する。WT取得部22は、WTセンサ7からの出力信号を受信し、これをホイールトルクWTに換算する。なお、このとき受信されるWTセンサ7の出力信号は、直近のステップS1で受信された車輪速センサ6の出力信号と同時刻又は概ね同時刻のデータである。
ところで、タイヤFL,FR,RL,RRの減圧が進むと、それぞれの動荷重半径が小さくなるため、それぞれの車輪速V1〜V4が増加し、減圧指標値DEL1〜DEL3の値が変化する。そのため、以上の減圧指標値DEL1〜DEL3をそのままそれぞれの閾値と比較することによっても、減圧状態が検出可能である。しかしながら、減圧指標値DEL1〜DEL3は、タイヤの減圧のみならず、タイヤのスリップの影響も受ける。さらに、減圧指標値DEL1〜DEL3に対するタイヤのスリップの影響は、ホイールトルクWTに応じて変化する。従って、本実施形態に係る減圧検出処理では、続くステップS4,S5において、ステップS3で取得されたホイールトルクWTの値に基づいて、スリップの影響がキャンセルされる。さらにその後、ステップS6,S7において、減圧の検出が行われる。
スリップの影響をキャンセルするためのステップS4,S5の原理について、図4及び図5を用いて説明する。図4及び図5は、本発明者らが行った実験の結果を示している。
まず、タイヤが減圧すると、当該タイヤと地面との接地面積が増加するため、当該タイヤはスリップし難くなる。さらには、ホイールトルクWTが大きいほどスリップは増加し、DEL1〜DEL3の値により大きな影響を及ぼす一方、ホイールトルクWTが一定値以下の場合には、スリップは生じない又は殆ど生じないと考えられる。図4は、このことを裏付ける実験データであり、様々な空気圧条件下におけるホイールトルクWTとDEL1との関係を表すグラフである。より具体的には、図4は、タイヤFL,FR,RL,RRの空気圧が全て正常(100%)な条件(NP条件)下、左前輪タイヤFLのみが20%減圧している条件(FL−20%条件)下、及び、右前輪タイヤFRのみが20%減圧している条件(FR−20%条件)下において計測されたホイールトルクWT及びDEL1の値を、空気圧条件毎にまとめてプロットしたグラフである。なお、図4のデータは、積載荷重が軽く、かつ、左右への偏荷重のない条件(軽積条件:LLVW)下のデータである。
図4からは、ホイールトルクWTが小さい程、NP条件、FL−20%条件、及びFR−20%条件下でのDEL1の値の差が大きくなるが、ホイールトルクWTが大きくなるにつれて、これらの条件下でのDEL1の値の差が小さくなることが分かる。このことは、ホイールトルクWTが小さい場合には、DEL1へのスリップの影響が小さくなり、DEL1が減圧の影響をより強く受けるため、異なる空気圧条件下でのDEL1の値の差が大きくなることを意味している。一方、ホイールトルクWTが大きくなると、DEL1へのスリップの影響が大きくなり、DEL1が空気圧条件に依存する度合いが相対的に低下することも意味している。従って、ホイールトルクWTが一定値以下の領域では、スリップの影響が低減し、減圧状態をより正確に評価することができる。また、別の観点からすると、ホイールトルクWTが一定値以下の小さな値になると、減圧状態の検出感度が向上すると言える。
図5は、偏荷重によるスリップの影響を評価するために本発明者らが行った実験の結果を示すグラフである。タイヤのスリップは、上述したタイヤの減圧条件のみならず、車両への積載荷重が左右のいずれか偏っている偏荷重条件にも依存して発生する。すなわち、車両の左側に積載荷重が偏っている条件(左偏荷重条件:LUVW)下では、左輪タイヤがつぶれ、左輪タイヤと地面との接地面積が増大するため、左輪タイヤが右輪タイヤに比べスリップし難くなる。車両の右側に積載荷重が偏っている条件(右偏荷重条件:RUVW)下でも同様に、右輪タイヤがつぶれ、右輪タイヤと地面との接地面積が増大するため、右輪タイヤが左輪タイヤに比べスリップし難くなる。さらには、ホイールトルクWTが大きいほどスリップは増加し、DEL1〜DEL3の値により大きな影響を及ぼす一方、ホイールトルクWTが一定値以下の場合には、スリップは生じない又は殆ど生じないと考えられる。図5は、このことを裏付ける実験データであり、様々な荷重条件下におけるホイールトルクWTとDEL1との関係を表している。より具体的には、図5は、左偏荷重条件LUVW、右偏荷重条件RUVW、軽積条件LLVW、及び積載荷重が重く、かつ左右への偏荷重のない条件(定積条件:GVW)において計測されたホイールトルクWT及びDEL1の値を、荷重条件毎にまとめてプロットしたグラフである。なお、図5のデータは、全てNP条件下のデータである。
図5は、軽積条件及び定積条件においては、DEL1がホイールトルクWTの影響を受けず又は殆ど受けずに一定であることを示している。すなわち、偏荷重のない場合には、積載荷重の重軽に関わらずスリップの影響を受けないため、DEL1が概ね一定となる。一方で、偏荷重条件下においては、スリップの影響を受け、DEL1がホイールトルクWTに応じて変化する。しかしながら、ホイールトルクWTが小さくなるほど、荷重条件の相違によるDEL1の値の差が減少する。言い換えると、ホイールトルクWTが小さくなるにつれて、DEL1の値は荷重条件によらず収束に向かう。従って、ホイールトルクWTが一定値以下の領域では、DEL1の値は荷重条件によらず概ね一定となると考えられる。図5の例では、ホイールトルクWTが0N・m付近でDEL1が概ね収束している。従って、このような収束点においてDEL1の値を評価すれば、減圧状態をより正確に評価することができる。なお、図5は、同じ荷重条件では、DEL1とホイールトルクWTとが線形関係にあることを示している。従って、各荷重条件下での回帰線の交点付近が、真の収束点になると言える。
以上の原理に基づいて、ステップS4では、減圧検出部23が、ステップS2で算出したDEL1の値と、ステップS3で取得したホイールトルクWTの値とに基づいて、DEL1とホイールトルクWTとの現在の線形関係を特定する(図6参照)。なお、線形関係を特定するには、(WT,DEL1)のデータセットが少なくとも2つ必要となる。従って、本実施形態では、ステップS1〜S3は、データセットが所定の量(例えば、30点)蓄積されるまで繰り返し実行される。そして、ひとたびデータセットが所定の量を超えた後は、新しいデータセットが1点得られる度に、最新の30点のデータセットを用いて線形関係が特定される。なお、線形関係の特定方法は特に限定されず、例えば、最小二乗法を用いることができ、演算の効率化のために、逐次最小二乗法を用いることもできる。
ステップS4では、以下の回帰式における係数a,bが算出される。
DEL1=a・WT+b
続くステップS5では、減圧検出部23は、ステップS4で算出された線形関係を表す係数a,bに基づいて、基準ホイールトルクWTRに相当するDEL1値であるDEL1Rを算出する(図6参照)。基準ホイールトルクWTRとは、タイヤのスリップが生じない又は殆ど生じない程度のホイールトルク値であり、車両1を用いた実験、或いはシミュレーションにより定められ、記憶部15内に予め格納されているものとする。基準ホイールトルクWTRは、偏荷重条件を含む様々な荷重条件下でのDEL1が収束する又は概ね収束するときのホイールトルクWTの値として定めることができる。図5の例で言うと、0N・m付近の値を基準ホイールトルクWTRとして設定することもできるし、より好ましくは、真の収束点である各回帰線の交点付近の値を基準ホイールトルクWTRとして設定することもできる。
また、ここで算出されるDEL1Rとは、ステップS4で導出された回帰式のWTに、基準ホイールトルクWTRを代入して得られる値(a・WTR+b)そのものとすることもできるし、当該値を補正した値とすることもできる。例えば、DEL1のばらつきによる誤差を抑制する観点からは、ステップS4の回帰式から求めたDEL1の値(a・WTR+b)の移動平均を、DEL1Rとすることもできる。例えば、以下の式に従って、DEL1Rを求めることができる。なお、図4に示すとおり、後述するステップS7で減圧が検出されない限りは、ステップS1〜S6は繰り返し実行されることになる。下式中のDEL1R’とは、前回のステップS5で算出されたDEL1Rである。また、Nは、2以上の整数である。
DEL1R=(a・WTR+b)/N+DEL1R’・(N−1)/N
続くステップS6では、減圧検出部23は、減圧状態の判定を行う。具体的には、減圧検出部23は、まず、ステップS5で算出されたDEL1Rと、ステップS2で算出されたDEL2,DEL3とを用いて、上述した14個の減圧タイヤのパターンの検出を行う。より具体的には、DEL1R,DEL2,DEL3のそれぞれが、上限閾値以上か、下限閾値以下か、或いはその間(正常範囲)の値かを判定し、これらの結果の組み合わせに応じて、いずれのパターンでタイヤが減圧しているかを判定する。DEL1R,DEL2,DEL3の閾値との比較結果と、減圧タイヤのパターンとの関係は、例えば、表1の通りである。なお、ここで用いられる上限閾値及び下限閾値は、車両1を用いた実験、或いはシミュレーションにより、DEL1R,DEL2,DEL3のそれぞれに対し定められ、記憶部15内に予め格納されているものとする。
Figure 0006863101
続くステップS7では、減圧検出部23は、ステップS6において(1)〜(14)のいずれかのパターンでの減圧が検出されたか否かを判定し、いずれのパターンでの減圧も検出されなかった場合には、ステップS1に戻る。一方、いずれかのパターンで減圧が検出された場合には、ステップS8に進む。
ステップS8では、減圧警報部24が、警報表示器3を介して減圧警報を出力する。このとき、警報表示器3は、どのタイヤが減圧しているかを区別して警報することもできるし、いずれかのタイヤが減圧していることのみを示すように警報することもできる。また、減圧警報は、音声出力の態様で実行することもできる。
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
<3−1>
上記実施形態では、ステップS4,S5において基準ホイールトルクWTRに相当するDEL1Rを算出したが、これに代えて、DEL1とWTとの線形関係を示すパラメータaと、基準ホイールトルクWTRとに基づいて、ステップS6で用いられる減圧判定用の閾値を補正することもできる。図7は、本変形例に係る減圧検出処理の原理を説明する図である。すなわち、本変形例では、WT−DEL1空間内で基準ホイールトルクWTRに対応する閾値を表す点から、傾きaの直線を引き、この直線を補正後の閾値とすることができる。この場合も、同様に、スリップの影響を除去した減圧検出を行うことができる。すなわち、例えば、ステップS1〜S3で取得された(WT,DEL1)のデータセットが、補正後の閾値である直線を境界とする領域の内側にあるか外側にあるかに基づいて、減圧検出を行うことができる。
<3−2>
上記実施形態では、ステップS4,S5をDEL1にのみ適用したが、DEL2,DEL3にも同様に適用し、基準ホイールトルクWTRに相当するDEL2R,DEL3Rに基づいて減圧の検出を行うこともできる。また、DEL2,DEL3についても、変形例3−1と同様の方法で、ステップS6で用いられる減圧判定用の閾値を補正することができる。この場合も、スリップの影響を除去した減圧検出を行うことができる。
<3−3>
本発明に係るタイヤの減圧状態の検出処理は、四輪車両において駆動方式に限られることはなく、FF車両、FR車両、MR車両、4WD車両のいずれにも適用することができる。さらに、四輪車両に限られず、三輪車両又は六輪車両などにも適用することができる。
<3−4>
ホイールトルクWTの取得方法は、上述したものに限られない。例えば、ホイールトルクWTの値は、エンジンのトルク、エンジンの回転数、エンジンのトルクの伝達効率、駆動輪の回転数等から適宜計算することも可能である。
<実験条件>
直列3気筒ガソリンエンジン及びサイズ165/65R14のタイヤが搭載されたFF四輪車を、以下の6種類の条件下で速度40〜100km/hで走行させ、実験データを得た。
(1)NP−軽積条件
(2)NP−定積条件
(3)NP−左偏荷重条件
(4)NP−右偏荷重条件
(5)FL−20%−軽積条件
(6)FR−20%−軽積条件
<実験結果>
図8A〜図13Aは、それぞれ(1)〜(6)の実験データに対し、上記実施形態に係るステップS1〜S5を繰り返し実行することにより得られたDEL1Rを時系列にプロットした図である(実施例1)。一方、図8B〜図13Bは、それぞれ上記(1)〜(6)の実験データに対し、上記実施形態に係るステップS1,S2のみを繰り返し実行することにより得られたDEL1を時系列にプロットした図である(比較例1)。
実施例1に係る図8A〜図11Aを比較すると、ホイールトルクWTを用いた補正により偏荷重によるスリップの影響がキャンセルされて、荷重条件によらずDEL1Rが同じ値に収束していることが分かる。これに対し、比較例1に係る図8B〜図11Bを見ると、ホイールトルクWTを用いた補正が行われていないせいでDEL1の値がばらついており、さらには荷重条件によってばらつきの中心さえもずれていることが分かる。従って、比較例1では、減圧を検出するための閾値の設定が難しいことが分かる。反対に、実施例1では、荷重条件によらずDEL1Rが概ね一定値をとるため、閾値が設定しやく、減圧の検出感度を向上させることができることが確認された。
また、実施例1に係る図12A及び図13Aを比較すると、ホイールトルクWTを用いた補正によりスリップの影響がキャンセルされて、いずれの減圧条件下でもDEL1Rが同じ値に収束していることが分かる。また、同図からは、異なる減圧条件下でのDEL1Rが大きく異なっていることが確認された。これに対し、比較例1に係る図12B及び図13Bを見ると、ホイールトルクWTを用いた補正が行われていないせいでDEL1の値がばらついていることが分かる。従って、比較例1では、減圧を検出するための閾値の設定が難しいのに対し、実施例1では、減圧を判定するための閾値が設定し易く、減圧の検出感度を向上させることができることが確認された。
<実験条件>
直列3気筒ガソリンエンジン及びサイズ165/65R14のタイヤが搭載されたFF四輪車を、以下の12種類の条件下で速度40〜100km/hで走行させ、実験データを得た。
(1)FL−10%−軽積条件
(2)FL−10%−定積条件
(3)FL−10%−左偏荷重条件
(4)FL−10%−右偏荷重条件
(5)FR−10%−軽積条件
(6)FR−10%−定積条件
(7)FR−10%−左偏荷重条件
(8)FR−10%−右偏荷重条件
(9)NP−軽積条件
(10)NP−定積条件
(11)NP−左偏荷重条件
(12)NP−右偏荷重条件
<実験結果>
まず、NP条件下での(9)〜(12)の各々の実験データに対し、上記実施形態に係るステップS1〜S5を繰り返し実行し、DEL1Rの収束値を算出した。また、(1)〜(8)の各々の実験データに対し、上記実施形態に係るステップS1〜S5を繰り返し実行し、DEL1Rの収束値を算出した。そして、(1)〜(8)の実験データに基づくDEL1Rの収束値から、それぞれNP条件下でのDEL1Rであって、同じ積載荷重条件下でのDEL1Rの収束値を減算した減算値を算出した(実施例2)。当該減算値は、DEL1による減圧の検出感度を表す値であり、図14は、当該検出感度を棒グラフで示している。図14の各棒グラフには、各条件下でのDEL1Rの値の標準偏差も示されている。
同様に、NP条件下での(9)〜(12)の各々の実験データに対し、上記実施形態に係るステップS1,S2を繰り返し実行し、得られたDEL1の平均値を算出した。次に、(1)〜(8)の各々の実験データに対し、上記実施形態に係るステップS1,S2を繰り返し実行し、得られたDEL1の平均値を算出した。そして、(1)〜(8)の実験データに基づくDEL1の平均値から、それぞれNP条件下でのDEL1の平均値であって、同じ積載荷重条件下でのDEL1の平均値を減算した減算値を算出した(比較例2)。図14の各棒グラフには、各条件下でのDEL1の値の標準偏差も示されている。
図14からは、実施例2では、比較例2に対し、標準内圧時と減圧時との間のDEL1の値の差が大きく、DEL1の値のばらつきも小さいことが確認された。言い換えると、実施例2の方法を用いた方が、減圧の検出感度が高いことが確認された。
<実験条件>
直列3気筒ガソリンエンジン及びサイズ165/65R14のタイヤが搭載されたFF四輪車を、以下の6種類の条件下で速度40〜100km/hで走行させ、実験データを得た。なお、ここでは、DEL2の補正の効果を検討するが、DEL2は、そもそも左右偏荷重の影響を受け難いため、特に検討していない。
(1)NP−軽積条件
(2)NP−定積条件
(3)後輪10%減圧−軽積条件
(4)後輪10%減圧−定積条件
(5)後輪20%減圧−軽積条件
(6)後輪20%減圧−定積条件
<実験結果>
図15〜図20には、それぞれ(1)〜(6)の実験データに対し、上記実施形態に係るステップS1〜S5と同様の処理をDEL2に対し繰り返し実行することにより得られたDEL2Rが時系列にプロットされている(実施例3)。また、これらの図には、それぞれ上記(1)〜(6)の実験データに対し、上記実施形態に係るステップS1,S2のみを繰り返し実行することにより得られたDEL2も時系列にプロットされている(比較例3)。
実施例3に係る図15〜図20を比較すると、ホイールトルクWTを用いた補正によりスリップの影響がキャンセルされて、いずれの減圧条件下でもDEL2Rが同じ値に収束していることが分かる。これに対し、比較例3に係る図15〜図20を見ると、ホイールトルクWTを用いた補正が行われていないせいでDEL2の値がばらついていることが分かる。従って、比較例3では、減圧を検出するための閾値の設定が難しいのに対し、実施例3では、減圧を判定するための閾値が設定し易く、減圧の検出感度を向上させることができることが確認された。
<実験条件>
直列3気筒ガソリンエンジン及びサイズ165/65R14のタイヤが搭載されたFF四輪車を、以下の12種類の条件下で速度40〜100km/hで走行させ、実験データを得た。
(1)FL−10%−軽積条件
(2)FR−10%−軽積条件
(3)後輪10%減圧−軽積条件
(4)後輪20%減圧−軽積条件
(5)FL−10%−定積条件
(6)FR−10%−定積条件
(7)後輪10%減圧−定積条件
(8)後輪20%減圧−定積条件
(9)FL−10%−左偏荷重条件
(10)FR−10%−左偏荷重条件
(11)FL−10%−右偏荷重条件
(12)FR−10%−右偏荷重条件
<実験結果>
まず、(1)〜(12)の各々の実験データに対し、上記実施形態に係るステップS1〜S5と同様の処理をDEL1〜DEL3に対し繰り返し実行し、DEL1R,DEL2R,DEL3Rの収束値を算出した。そして、実施例2と同様に、DEL1R,DEL2R,DEL3Rの収束値から、それぞれNP条件下でのDEL1R,DEL2R,DEL3Rであって、同じ積載荷重条件下でのDEL1R,DEL2R,DEL3Rの収束値を減算した減算値を算出した(実施例4)。当該減算値は、DEL1,DEL2,DEL3による減圧の検出感度を表す値であり、図21〜図23は、当該検出感度を棒グラフで示している。図21〜図23の各棒グラフには、各条件下でのDEL1R,DEL2R,DEL3Rの値の標準偏差も示されている。
同様に、NP条件下での(1)〜(12)の各々の実験データに対し、上記実施形態に係るステップS1,S2を繰り返し実行し、得られたDEL1,DEL2,DEL3の平均値を算出した。そして、実施例2と同様に、DEL1,DEL2,DEL3の平均値から、それぞれNP条件下でのDEL1,DEL2,DEL3の平均値であって、同じ積載荷重条件下でのDEL1,DEL2,DEL3の平均値を減算した減算値を算出した(比較例4)。図21〜図23の各棒グラフには、各条件下でのDEL1,DEL2,DEL3の値の標準偏差も示されている。
図21からは、実施例4では、比較例4に対し、標準内圧時と減圧時との間のDEL1の値の差が大きく、DEL1の値のばらつきも小さいことが確認された。言い換えると、実施例2の方法を用いた方が、減圧の検出感度が高いことが確認された。また、図22からは、実施例4では、比較例4に対し、DEL2,3の値のばらつきも小さいことが確認された。
1 車両
2 検出装置(コンピュータ)
21 DEL算出部(指標値算出部)
22 WT取得部(トルク取得部)
23 減圧検出部
24 減圧警報部
6 車輪速センサ
7 ホイールトルクセンサ
8 プログラム
DEL2 減圧指標値
FL 左前輪タイヤ
FR 右前輪タイヤ
RL 左後輪タイヤ
RR 右後輪タイヤ
V1 左前輪タイヤの回転速度
V2 右前輪タイヤの回転速度
V3 左後輪タイヤの回転速度
V4 右後輪タイヤの回転速度

Claims (10)

  1. 車両に装着された第1タイヤ、第2タイヤ、第3タイヤ及び第4タイヤを含む複数のタイヤのうちの少なくとも1つの所定のタイヤの減圧を検出する検出装置であって、
    前記タイヤのスリップが生じない又は殆ど生じない程度のホイールトルクである所定の基準ホイールトルクを記憶する記憶部と、
    減圧検出時の前記複数のタイヤの車輪速情報から、前記第1タイヤ及び前記第4タイヤの回転速度が大きい程大きくなり且つ前記第2タイヤ及び前記第3タイヤの回転速度が大きい程小さくなる、或いは、前記第2タイヤ及び前記第3タイヤの回転速度が大きい程大きくなり且つ前記第1タイヤ及び前記第4タイヤの回転速度が大きい程小さくなる減圧指標値を算出する指標値算出部と、
    前記減圧検出時のホイールトルクを取得するトルク取得部と、
    前記減圧検出時の前記ホイールトルクと前記減圧指標値との線形関係を特定し、前記線形関係及び前記基準ホイールトルクに基づいて、前記ホイールトルクが前記減圧指標値に与える前記タイヤのスリップの影響をキャンセルして、前記所定のタイヤの減圧を検出する減圧検出部と
    を備える、検出装置。
  2. 前記第1タイヤ、前記第2タイヤ、前記第3タイヤ及び前記第4タイヤは、それぞれ、左前輪、右前輪、左後輪及び右後輪タイヤである、
    請求項1に記載の検出装置。
  3. 前記第1タイヤ、前記第2タイヤ、前記第3タイヤ及び前記第4タイヤは、それぞれ、左前輪、左後輪、右後輪及び右前輪タイヤである、
    請求項1に記載の検出装置。
  4. 前記基準ホイールトルクは、様々な偏荷重条件下での前記減圧指標値が収束する又は概ね収束するときのホイールトルクである、
    請求項2又は3に記載の検出装置。
  5. 前記減圧検出部は、前記線形関係に従って、前記基準ホイールトルクに対応する前記減圧指標値を算出し、当該減圧指標値と所定の閾値とを比較することにより、前記所定のタイヤの減圧を検出する、
    請求項1から4のいずれかに記載の検出装置。
  6. 前記減圧検出部は、前記線形関係に従って、前記基準ホイールトルクに対応する所定の閾値を補正し、前記減圧検出時の前記減圧指標値と当該補正後の閾値とを比較することにより、前記所定のタイヤの減圧を検出する、
    請求項1から4のいずれかに記載の検出装置。
  7. 前記所定のタイヤの減圧が検出された場合に、減圧警報を発生させる減圧警報部
    をさらに備える、
    請求項1から6のいずれかに記載の検出装置。
  8. 前記減圧検出部は、一輪のタイヤ又は三輪のタイヤの減圧を検出する、
    請求項1から7のいずれかに記載の検出装置。
  9. 車両に装着された第1タイヤ、第2タイヤ、第3タイヤ及び第4タイヤを含む複数のタイヤのうちの少なくとも1つの所定のタイヤの減圧を検出する検出方法であって、
    前記タイヤのスリップが生じない又は殆ど生じない程度のホイールトルクである基準ホイールトルクを取得するステップと、
    減圧検出時の前記複数のタイヤの車輪速情報から、前記第1タイヤ及び前記第4タイヤの回転速度が大きい程大きくなり且つ前記第2タイヤ及び前記第3タイヤの回転速度が大きい程小さくなる、或いは、前記第2タイヤ及び前記第3タイヤの回転速度が大きい程大きくなり且つ前記第1タイヤ及び前記第4タイヤの回転速度が大きい程小さくなる減圧指標値を算出するステップと、
    前記減圧検出時のホイールトルクを取得するステップと、
    前記減圧検出時の前記ホイールトルクと前記減圧指標値との線形関係を特定し、前記線形関係及び前記基準ホイールトルクに基づいて、前記ホイールトルクが前記減圧指標値に与える前記タイヤのスリップの影響をキャンセルして、前記所定のタイヤの減圧を検出するステップと
    を含む、検出方法。
  10. 車両に装着された第1タイヤ、第2タイヤ、第3タイヤ及び第4タイヤを含む複数のタイヤのうちの少なくとも1つの所定のタイヤの減圧を検出する検出プログラムであって、
    前記タイヤのスリップが生じない又は殆ど生じない程度のホイールトルクである所定の基準ホイールトルクを記憶する記憶部を備えるコンピュータに、
    減圧検出時の前記複数のタイヤの車輪速情報から、前記第1タイヤ及び前記第4タイヤの回転速度が大きい程大きくなり且つ前記第2タイヤ及び前記第3タイヤの回転速度が大きい程小さくなる、或いは、前記第2タイヤ及び前記第3タイヤの回転速度が大きい程大きくなり且つ前記第1タイヤ及び前記第4タイヤの回転速度が大きい程小さくなる減圧指標値を算出するステップと、
    前記減圧検出時のホイールトルクを取得するステップと、
    前記減圧検出時の前記ホイールトルクと前記減圧指標値との線形関係を特定し、前記線形関係及び前記基準ホイールトルクに基づいて、前記ホイールトルクが前記減圧指標値に与える前記タイヤのスリップの影響をキャンセルして、前記所定のタイヤの減圧を検出するステップと
    を実行させる、検出プログラム。
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