JP4256847B2 - 鉄道車両及びその異常検知方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄道車両の走行時の異常振動を検知する異常検知装置を有する鉄道車両及び鉄道車両の異常検知方法に関する。
高速走行する鉄道車両では、車体や台車などに異常振動が生じたりすると、走行が不安定になって高速走行を継続することが困難になる。従って、異常振動が生じたような場合には、ブレーキをかけて減速して走行させたり、若しくは鉄道車両を停止させて安全を確保するようにしている。そのため、走行中の乗り心地を低下させることなく、且つ安全に運行するには、走行時の鉄道車両では車輪や台車等の異常をいち早く検出することが重要である。鉄道車両では走行中に異常が生じると、その車体や台車に固有の異常振動が現れる。そのため、従来から車体や台車の振動に基づいて車輪や台車などの異常を検知することが行われている。
鉄道車両における従来の異常検知装置は、例えば各台車毎に検出した振動加速度を比較していずれかの振動加速度が他の振動加速度に対して所定値以上となった場合に異常が発生したと判断したり、或いは台車の振動加速度の特定の周波数成分を抽出し、その信号の振幅レベルが正常時の値と比較して所定値以上となった場合に異常が発生したと判断していた。
しかし、こうした異常検知装置では、高周波成分等の振幅が小さい異常振動の検出には十分でなかったり、異常の初期段階における正常時に発生し得る振動加速度の範囲内での異常振動の検出に関しては検出が十分ではなかった。そこで、本出願人は、下記特許文献1に記載した鉄道車両の異常検知装置を提案している。
その異常検知装置では、車両の前方台車にサンプリング手段を有し、左右や上下の振動加速度、ヨー方向やピッチ方向の角速度を等距離間隔で測定する。その測定信号は空間バンドバスフィルタを通り、特定の周波数成分が抽出され、低周波成分が高周波成分に埋もれることを防止している。その後、測定信号が2乗平均され、空間周波数に対応する加速度パワー又は角速度パワーが算出される。そして、加速度パワー又は角速度パワーが正規化され、その値がしきい値と比較されて異常検知が行われる。
特開2004−90848公報(第4〜6頁、図1〜図5)
ところで、前記特許文献1に記載された鉄道車両の異常検知装置では、振動加速度パワーの異部位(同車両の異なる位置もしくは異なる車両での同位置)の差を正規化した信号がしきい値を超える割合で判断し、その割合が所定値以上である場合に異常としていた。
しかし、振動加速度パワーの異部位の差がゼロの場合を最も正常な状態としているため、振動発生源と振動測定位置の間に介在するばね系の特性誤差やセンサ取付け位置の誤差に起因する異部位間の振動パワー差も異常振動と判断することとなり、モータや車輪などの走り装置に関して特定部位の異常検出には十分ではなかった。
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、ばね系の誤差やセンサ取付け誤差等の初期誤差の影響を排除した異常検知装置を有する鉄道車両の及び鉄道車両の異常検知方法を提供することを目的とする。
本発明に係る鉄道車両は、車体の前後に配置された前台車と後台車とに対応して設けられた振動加速度センサと、その振動加速度センサで得られた検出データに基づいて異常を判定する演算手段とを備え、その演算手段は、車両完成後の状態を正常時として繰り返し走行を行い、そこで得られた加速度パワー比の相対度数分布を予め保有し、更に、前記繰り返し走行の1回の走行毎に得られた加速度パワー比の相対度数分布と繰り返し走行の全走行で得られた加速度パワー比の相対度数分布との差の絶対値に重み付けをして和を求め、得られた和の最大値をしきい値として予め保有し、振動加速度センサで検出された振動加速度を受けて等距離サンプリングし、そのサンプリングデータをバンドパスフィルタ処理して2乗平均した振動加速度パワーを算出した後に、前後の台車における振動加速度パワー比相対度数分布を算出し、その加速度パワー比の相対度数分布と前記予め保有された加速度パワー比の相対度数分布との差の絶対値の和が前記しきい値以上である時に異常と判定するようにした異常検知装置を有することを特徴とする。
一方、本発明に係る鉄道車両の異常検知方法は、車両完成後の状態を正常時として繰り返し走行を行い、そこで得られた加速度パワー比の相対度数分布が予め保有され、更に、前記繰り返し走行の1回走行毎に得られた加速度パワー比の相対度数分布と繰り返し走行の全走行で得られた加速度パワー比の相対度数分布との差の絶対値に重み付けをして和を求め、得られた和の最大値がしきい値として予め保有された状態で、車体の前後に配置された前台車と後台車に対応して設けられた振動加速度センサから振動加速度を検出する検出工程と、検出された振動加速度を受けて等距離サンプリングするサンプリング工程と、そのサンプリングデータをバンドパスフィルタ処理して2乗平均した振動加速度パワーを算出する演算工程と、前後の振動加速度パワー比を求めてその比を取った相対度数分布を算出し、前記加速度パワー比の相対度数分布との差の絶対値の和が前記しきい値以上である時に異常と判定するようにした異常判定工程とを有することを特徴とする。
よって、本発明に係る鉄道車両及びその異常検知方法によれば、同一の鉄道車両の前台車及び後台車に対応した位置にて検出した振動加速度パワー比の相対度数分布を求め、予め保有している正常時の加速度パワー比の相対度数分布との差の絶対値の和がしきい値以上であるときに異常と判定するようにしたので、ばね系の誤差やセンサ取付け誤差等の影響を排除した判定が可能になる。
また、車両完成時を正常時として加速度パワー比の相対度数分布を求めて比較したので、製作による初期誤差の影響を排除することが可能となる。
次に、本発明に係る鉄道車両及びその異常検知方法について、その一実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、鉄道車両の一実施形態において、そこに設けられた異常検知装置を示したブロック図である。
本実施形態における鉄道車両の異常検知装置は、同一鉄道車両の前後に配備された前台車3Aと後台車3Bに対応した位置にて検出した振動加速度を等距離間隔で測定し、それらの加速度パワーを正規化してしきい値と比較することにより鉄道車両の異常を検知する異常検知方法を採用している。
鉄道車両1は、車体2が前後に配置された前台車3Aと後台車3Bとに、空気バネなどを介して支えられている。車体2には、その前台車3Aと後台車3Bとに対応して、それぞれの上下、左右或いは前後方向の振動加速度を検出する振動加速度センサ11A,11Bがそれぞれ取り付けられている。本実施形態の異常検知装置では、こうした振動加速度センサ11A,11Bで検出された検出データに基づいて前台車3A又は後台車3Bの異常振動を検出するように構成されている。
本実施形態では、前後の台車3A,3Bに対応して異常検知装置4A,4Bが設けられている。その異常検知装置4A,4Bは、前述した振動加速度センサ11A,11Bの他、サンプリング部12A,12B、演算部13A,13B及び異常判定部14A,14Bからなる演算手段5A,5Bが前後の台車3A,3Bに対して設けられている。そして、異常検知装置4A,4Bの振動加速度センサ11A,11Bやサンプリング部12A,12Bなどが乗務員支援モニタ15に接続されている。乗務員支援モニタ15とは、車両搭載機器を管理する装置であり(以下、「管理装置15」とする)、ほぼ全ての車両に搭載されている。
本実施形態の異常検知方法では、同じ車体2の前後で検出した振動加速度から異常を判断するようにしている。そのため、前後の台車3A,3Bに対応して設けられた異常検知装置4A,4Bは同じように構成されている。そこで、以下に述べる本実施形態の説明では、それぞれ前後の異常検知装置4A,4Bを区別しないものとする。
サンプリング部12は、振動加速度センサ11と管理装置15に接続され、振動加速度センサ11からは、上下、左右又は前後方向の振動加速度の検出データが送られ、管理装置15からは走行速度を示す速度データが送られるようになっている。このサンプリング部12は、振動加速度センサ11の振動加速度が管理装置15の速度データに基づいて等距離サンプリングするものである。
本実施形態の異常検知装置4は、走り装置(台車や車輪など)の異常に対応したものであるが、その走り装置に発生する振動は車輪の回転周期やモータの回転周期に比例するため、その回転周期に着目する。そこで、サンプリング部12では、管理装置15から送られる速度データを基に回転周期に応じた等間隔距離を算出し、その値に従って振動加速度をサンプリングする。
次に、サンプリング部12に接続された演算部13は、サンプリング部12からサンプリングデータが送られ、管理装置15に対して異常検知装置4A,4Bそれぞれの自位置の振動加速度パワーを送るようにしている。つまり、演算部13では、サンプリング部12からの信号がバンドパスフィルタ処理され、それを2乗平均した振動加速度パワーが求められる。
また、演算部13に接続された異常判定部14は、管理装置15に対して異常判定結果を送信し、前後逆に位置する異常検知装置4A,4Bから管理装置15に送られた他位置の振動加速度パワーの値を受けるようにしている。そして、異常判定部14では、演算部13から送られた自位置の振動加速度パワーと、管理装置15を介して送られた他位置の振動加速度パワーとの比の度数分布を求め、予め設定された基準分布と対比させて異常判定指数を算出し、その値がしきい値を超えていた場合には管理装置15の異常信号が送られるようになっている。
本実施形態の異常検知装置4は、このように比較位置間の加速度パワー比の度数分布と、予め複数回の走行を行って採取した正常時の度数分布との差が所定以上の場合に異常と判断する異常検知方法を行うものとした。これは、車両2の前後に配置された台車3A,3Bの同じ位置を計測するわけであるが、それぞれの台車3A,3Bの間には空気バネなどが存在し、これらは完全に同一であるわけではなく前後に製作時の誤差が生じてしまう。そこで、本実施形態では、多少の誤差の生じている車両完成時の状態を正常と判断するようにした。従って、車体完成後に繰り返し走行を行い、その正常時の加速度パワー比度数分布作成時を基準分布とすることで、バネ系の特性誤差やセンサ取付け位置の誤差等の初期誤差の影響を排除することができるようにしている。
ところで、走り装置に発生する振動は、その車輪やモータなどの回転周期に比例するので、この異常を監視するには回転周期に着目すればよい。例えば、車輪径860(mm)、ギヤ比68/23の場合の回転周期は、図2に示す表のようになる。すなわち、車輪の回転周期が2.70(m)で、モータの1次、2次、3次ギヤの回転周期がそれぞれ0.91(m)、0.46(m)、0.30(m)である。
ここで、前後の台車3A,3Bの位置に対応して車体2に取り付けた振動加速度センサで加速度を等距離サンプリングし、周波数解析(空間周波数解析)を行った。その結果は、図3に示すように、図2に示した車輪及びモータ間の1次ギヤ、2次ギヤ及び3次ギヤの各回転周期[m]に応じた空間周波数[1/m]で加速度パワー[(m/s2)2・m] が表れた。この結果から走り装置の振動は所定の回転周期で車体に伝達されていることが分かる。従って、走り装置に関する回転振動による異常を判断する場合は、この所定の回転周期に着目すればよい。
続いて図4は、実測の走行速度と振動加速度の2次元度数分布を表にして示した図である。この表に示したそれぞれのマスには、所定の速度範囲内で且つ所定の加速度パワー範囲内における度数が示されている。そして、この表から分かるように加速度パワーの小さい方に度数が多く分布している。従って、所定の速度、例えば240〜260(km/h)で度数分布をグラフにしてみると、図5に示すようになる。
従来の異常検知方法では、正常時に発生し得る最大振動加速度の値Aをしきい値として設定していた。そのため、測定した振動加速度が異常の発生によって図示するように右にずれた場合、その振動加速度の値がしきい値Aの値を超えたことを確認して異常と判断していた。
ここで、図4の度数分布の表に照らして見てみると、異常を検出するしきい値Aは10xであり、これは度数のピーク値を示すx〜2xとの差が大きいことが分かる。こうした点は図5に示すグラフにも表れており、正常時にピークとなる振動加速度の値Bとの差が大きかった。従って、従来の異常検知方法では、異常時の度数分布において異常を判断するための対象となるしきい値Aを超えた度数が少なく、異常の早期検出が難しくなってしまっていた。
なお、図4に示した度数分布において速度毎に加速度分布にバラツキが生じるのは走行位置の違いによるところが大きく、走行位置依存性を有するからである。従って、走行速度が40〜60(km/h)や240〜(km/h)の範囲では加速度パワーが大きくなっているが他では小さい。すると、しきい値を10xに設定してしまうと、加速度パワーが小さい走行範囲では正常時の5倍以上の振動加速度が発生しなければ異常を検知できないことになってしまう。これに対しては速度別にしきい値を設けることも考えられるが、それでは車輪径が変化した場合に同一速度に対するモータ等の回転周波数[Hz]が変化することにより、走行速度依存性が変化することが予想されるためしきい値の設定が困難となってしまう。
そこで、図1に示した本実施形態の異常検知装置では、同一車両の前後位置における加速度パワー比の度数分布と、車両製造後に複数回走行して採取した同じ度数分布を正常時の値とし、両者の差が所定値(しきい値)を超えた場合に異常と判断する異常検知方法を実行するものとした。
ここで、図6は、異常検知装置4を構成する演算手段5における異常検知方法を示したブロック図であり、サンプリング部12、演算部13及び異常判定部14で行われる計算結果例を示したものである。具体的には、次のような手順で異常検知が行われる。
先ず、図1に示す前後の台車3の直上に設置された異常検知装置4A,4Bの振動加速度センサ11A,11Bによって、車体2の前後の振動加速度g1,g2がそれぞれ検出される。振動加速度センサ11で検出された加速度データは管理装置15から送られる速度データによって等距離サンプリングされる(S1)。そして、そのサンプリングされた加速度データは、演算部13で図7に示す値で設定されたバンドパスフィルタ(BPF)の通過領域を通って処理され、回転振動成分が抽出される(S2)。BPF通過領域は、車輪の径が860〜790(mm)に変動する場合の回転振動空間周波数が全て含まれるのに対応させたものであり、図示するように例えば車輪回転では回転振動空間周波数が0.370〜0.403(1/m)までで、BPF通過域が0.32〜0.46(1/m)である。
こうして各周波数帯域で異常検出を行うことにより、高周波成分等の振幅が小さい異常振動の早期検出が可能となる。すなわち、バンドパスフィルタにかけることにより、空間周波数の対応する周波数成分を走行時にレールから受ける振動などから分離させて抽出し、高周波成分が低周波成分に埋もれることを防止する。なお、回転振動成分の抽出はFFTでも可能であるが、処理時間からBPFが採用されている。
次に、バンドパスフィルタ処理され抽出された回転振動成分の信号は、更に演算部13で2乗平均され振動加速度パワーが求められる(S3)。なお、このとき振動加速度パワーは、2乗平均を算出する平均距離を調整することによって、例えば、レール上の小石をはじき飛ばした場合のように振幅が大きく作用時間の短い瞬間的異常振動や、車輪の一部が平らになってしまった場合のように振幅が小さく作用時間の長い継続的異常振動を早期に検出することができる。
こうして、図1に示すように車体2の前後の異常検知装置4A,4Bでは、それぞれ自位置の振動加速度パワーが求められる。そして、前後の異常検知装置4A,4Bでは、それぞれの異常判定部14A,14Bに演算部13A,13Bから自位置の振動加速度パワー情報が送られるとともに、管理装置15を介して他方の演算部13A,13Bから他位置の振動加速度パワー情報も送られる。従って、異常判定部14A,14Bでは、自位置の振動加速度パワーと他位置の振動加速度パワーとの比が求められる(S4)。そして更には、振動加速度パワーの比をとり度数分布が求められ、加えてこの度数分布を全体の総度数で除して相対度数が求められる(S5)。これにより、走行位置による差をなくした平均的な度数分布が得られる。
ところで、本実施形態では、こうした振動加速度パワー比の度数分布は、車両が完成した直後の試験走行時を正常時とし、この正常時に複数回にわたって行われた検出作業でも、同じように計測及び算出して振動加速度パワー比の平均的な度数分布を予め得ている(S0)。こうした車体完成直後の振動加速度パワー比の相対度数は、振動発生源と振動測定位置の間に介在するばね系の特性誤差やセンサ取付け位置の誤差などを加味したものである。本実施形態では、この正常時の相対度数分布を基準分布とし、その後の走行において行われるこれまでに述べてきた異常検知方法における異常の判断基準としている。
そこで、本実施形態の異常検知方法では、異常判定部14での異常検知測定において、前述したように振動加速度パワー比の相対度数分布(被異常判定分布)(S5)が求められ、予め用意された基準分布とその相対度数分布(S0)との差に重み付けをし、更にその和を求めた次の式(1)によって異常判定指数Eが算出される(S11〜S13)。
なお、重みは、図8(a)(b)に示すように基準分布の相対度数の値がピークを示す振動加速度パワー比を「1」とし、そこから振動加速度パワー比の大小に比例するように大きくしている。
E=Σ{|fb(x)−f(x)|×W(x)} …(1)
ここで、
E :異常判定指数(=基準分布と被異常判定分布との差の和)
fb(x):基準分布
f(x) :被異常判定分布
W(x) :重み
x :確率変数(=振動加速度パワー比)
次に、図9及び図10は、式(1)に基づく異常判定指数の算出をイメージした図であり、図9は非異常時を示し、図10は異常時を示している。両図とも二点鎖線で基準分布を示し、実線が被異常判定分布を示している。
先ず、図9(a)に示すように、基準分布Pと被異常判定分布Qとのズレが小さいと、両分布について差をとった場合、図9(b)に示すように相対度数の差は値の小さところで分布している。そのため、予め用意された基準分布Pと被異常判定分布Qとの差の絶対値に重み付けをして求めた和の値は設定しきい値より小さい値になる。従って、異常検知装置4の異常判定部14では、そうして求めた異常判定指数がしきい値より小さい場合には正常と判断される(S14)。
一方、図10(a)に示すように、基準分布Pと被異常判定分布Rとのズレが大きいと、両分布について差をとった場合、図10(b)に示すように相対度数の差は値が大きく上下に変化している。そのため、予め用意された基準分布Pと被異常判定分布Rとの差の絶対値に重み付けをして求めた和の値は設定しきい値より大きい値になり、異常と判断される。従って、異常検知装置4の異常判定部14では、そうして求めた異常判定指数がしきい値より大きい場合には異常と判断される(S14)。
そして、異常判定部14で異常と判断された場合には、異常判定結果が管理装置15に送られ、その管理装置15では乗務員が分かるように異常を検知したかモニタ表示される。
続いて、本実施形態の異常検知装置及び異常検知方法において、異常判断の検証を行った。具体的には、前位置または後位置のいずれか一方の加速度パワーに固定値を乗じて異常を発生するように加速度パワーを模擬的に作成して行った。
先ず、モータ回転1次振動成分の加速度パワーを算出する。すなわち、前後位置のそれぞれの異常検知装置4A,4Bにおいて、管理装置15からの速度データによって振動加速度が等距離サンプリングされ、そのサンプリングデータに基づいて自位置の振動加速度パワーが算出される。
そして、前述したように正常時走行で得られた前後位置の振動加速度パワー比の度数分布に関する相対度数が求められる。なお、2乗平均間隔は100mである。図12は、こうして前後位置の振動加速度パワー比の度数分布をいくつか算出し、その平均をとった正常時の基準分布である。この確率変数(振動加速度パワー比)の範囲と重みは図11に示す表のように設定している。即ち、相対度数の値がピークを示す確率変数(本例では1〜1.5の位置)を重み「1」とし、5倍から1/5倍までの確率変数範囲において0.5きざみに重みの値を上下に1ずつ大きくしていった。
正常時の度数分布の作成には、前述したように2乗平均間隔を100mとして、10kmの距離をかけて100点毎の車体前後位置の振動加速度パワー比を算出して行った。つまり、図13に示すように複数の10km区間(a〜g)において、サンプルした回転振動成分から振動加速度パワー比の相対度数分布を得て、その平均を求めることにより図12に示す基準分布を作成した。そして、異常判断のしきい値は、図13に示した全ての区間(a〜g)を対象として、そのなかの振動加速度パワー比に対する相対度数の最大値とした。
次に、車体の前位置または後位置のいずれか一方の振動加速度パワーに固定値(1.5〜5倍までの0.5刻み)を乗じて、模擬的に異常時の振動加速度パワーを作った。そして、この異常の加速度パワーと正常時の振動加速度パワーとの比の度数分布(被異常判定分布)を作成した。
そこで、基準分布と模擬的に作成した被異常判定分布との差に重み付けをし、更にその和を求めた前記式(1)によって異常判定指数を算出する。つまり、その異常判定指数と異常判定しきい値とを比較して、しきい値を超える割合、すなわち異常検知率を算出する。そして、その異常検知率を示したのが図14であり、図15には従来の方法による異常検知率を示した。すると、複数の区間において算出された異常検知率は、いずれも正常時と異常時の振動加速度パワー比が約2.5倍(振幅比1.6倍)で異常検知率が80パーセントを超えた。これに対して、従来の方法では5倍に至っても20パーセントをほとんど超えることができなかった。
よって、本実施形態の異常検知装置4A,4B及び、そこで行われる異常検知方法によれば、同一の鉄道車両1の前台車3A及び後台車3Bに対応した位置にて検出した振動加速度パワー比の相対度数分布を求め、予め保有している正常時の加速度パワー比の相対度数分布(基準分布)との差の絶対値の和がしきい値以上であるときに異常と判定するようにしたので、ばね系の誤差やセンサ取付け誤差等の影響を排除した判定が可能になった。特に、車両完成時を正常時として基準分布を求めて比較したので製作による初期誤差の影響を排除することが可能である。
また、一の鉄道車両1の前台車3A及び後台車3Bで比較することにより、走行速度と走行位置の影響を排除し、また同一車両内の車輪径差は所定範囲に管理されているため、車輪径の変化に伴う振動加速度パワーの走行速度依存性変化の影響を小さくすることも可能である。
また、異常判定に用いるしきい値や正常時に作成した基準分布を、編成の各車両において異なる値とすることにより、車両の個体差などの影響を排除することができる。
また、加速度センサ11A,11Bを異常検知装置4A,4B内に搭載することにより、艤装配線が伝送線と電源線のみと少なくでき、装置搭載スペースも小さくできる。
以上、本発明に係る鉄道車両及びその異常検知方法の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
鉄道車両の一実施形態であって、そこに設けられた異常検知装置を示したブロック図である。 走り装置の回転周期を表にして示した図である。 振動加速度の周波数解析結果をグラフにして示した図である。 実測の走行速度と振動加速度の2次元度数分布を表にして示した図である。 従来の検知方法を表した度数分布グラフを示す図である。 異常検知装置を構成する異常検知方法を示したブロック図である。 回転振動抽出用のバンドパスフィルタにおける設定値を表にして示した図である。 被異常判定分布と基準分布との差に重み付けを行うイメージをグラフにして示した図である。 異常判定指数の算出イメージを示した正常時の図である。 異常判定指数の算出イメージを示した異常時の図である。 振動加速度パワー比の範囲と重みの関係を表にして示した図である。 基準分布をグラフにして示した図である。 複数の区間を走行して得られた振動加速度パワー比に対する相対度数をグラフにして示した図である。 実施形態の異常検知装置によって得られた、複数の区間における異常検知率をグラフにして示した図である。 従来の異常検知装置によって得られた、複数の区間における異常検知率をグラフにして示した図である。
符号の説明
1 鉄道車両
2 車体
3A 前台車
3B 後台車
4A,4B 異常検知装置
5A,5B 演算手段
11A,11B 加速度センサ
12A,12B サンプリング部
13A,13B 演算部
14A,14B 異常判定部
15 管理装置









Claims (2)

  1. 車体の前後に配置された前台車と後台車とに対応して設けられた振動加速度センサと、その振動加速度センサで得られた検出データに基づいて異常を判定する演算手段とを備え、
    その演算手段は、車両完成後の状態を正常時として繰り返し走行を行い、そこで得られた加速度パワー比の相対度数分布を予め保有し、更に、前記繰り返し走行の1回の走行毎に得られた加速度パワー比の相対度数分布と繰り返し走行の全走行で得られた加速度パワー比の相対度数分布との差の絶対値に重み付けをして和を求め、得られた和の最大値をしきい値として予め保有し、
    振動加速度センサで検出された振動加速度を受けて等距離サンプリングし、そのサンプリングデータをバンドパスフィルタ処理して2乗平均した振動加速度パワーを算出した後に、前後の台車における振動加速度パワー比相対度数分布を算出し、
    その加速度パワー比の相対度数分布と前記予め保有された加速度パワー比の相対度数分布との差の絶対値の和が前記しきい値以上である時に異常と判定するようにした異常検知装置を有することを特徴とする鉄道車両。
  2. 車両完成後の状態を正常時として繰り返し走行を行い、そこで得られた加速度パワー比の相対度数分布が予め保有され、更に、前記繰り返し走行の1回走行毎に得られた加速度パワー比の相対度数分布と繰り返し走行の全走行で得られた加速度パワー比の相対度数分布との差の絶対値に重み付けをして和を求め、得られた和の最大値がしきい値として予め保有された状態で、
    車体の前後に配置された前台車と後台車に対応して設けられた振動加速度センサから振動加速度を検出する検出工程と、
    検出された振動加速度を受けて等距離サンプリングするサンプリング工程と、
    そのサンプリングデータをバンドパスフィルタ処理して2乗平均した振動加速度パワーを算出する演算工程と、
    前後の振動加速度パワー比を求めてその比を取った相対度数分布を算出し、前記加速度パワー比の相対度数分布との差の絶対値の和が前記しきい値以上である時に異常と判定するようにした異常判定工程と、
    を有することを特徴とする鉄道車両の異常検知方法。
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