JP2016100760A - 圧電素子、圧電振動装置、音響発生器、音響発生装置および電子機器 - Google Patents

圧電素子、圧電振動装置、音響発生器、音響発生装置および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 高い電圧で駆動しても端面電極と端面電極以外の領域との境界にクラックが発生するのを抑制できる圧電素子、圧電振動装置、音響発生器、音響発生装置および電子機器を提供する。【解決手段】 本発明の圧電素子は、板状の圧電体11と、圧電体11の第1の主面および第2の主面にそれぞれ設けられた表面電極として、圧電体11の第1の主面に設けられた第1の表面電極12aおよび第2の表面電極12bと、圧電体11の第2の主面に設けられた第3の表面電極12cと、圧電体11の端面(第1の端面)に設けられて第2の表面電極12bと第3の表面電極12cとを電気的に接続する端面電極13とを備え、端面電極13は圧電体11の厚み方向に沿って幅が変化している。【選択図】 図1

Description

本発明は、特に音響部品に好適な圧電素子およびこれを備えた圧電振動装置、音響発生器、音響発生装置および電子機器に関するものである。
圧電素子自体が屈曲変位するバイモルフ型の圧電素子、振動板に貼り付けられることで屈曲変位するユニモルフ型の圧電素子が知られている。そして、この圧電素子として、圧電体(単層)の主面に表面電極が設けられるとともに端面に端面電極が設けられた構成のもの、あるいは圧電体層および内部電極層が積層された積層体と、積層体の端面に設けられた端面電極とを備えた構成のものが知られている。(特許文献1を参照)。
特開2007−109754号公報
このような圧電素子は、圧電振動装置や音響発生器などに用いられている。この装置に用いられる圧電素子は、圧電振動装置の高変位化および高発生力化や音響発生器の高音圧化の要求に伴い、圧電活性領域を可能な限り広げるため、内部電極層や表面電極の面積を大きくしたり、かつ高電圧による駆動としたりすることなどの対応が求められている。
ところが、従来の圧電素子を高電圧で駆動すると端面に大きな負荷がかかる。例えば、積層型の圧電素子の場合、内部電極層における圧電活性領域(積層方向に隣り合う内部電極層が対向する領域)の外側に位置する端部、言い換えると端面電極と接続される側の端部(電極引出部)にも、縁端効果により電界が印加されて積層体が伸縮するため、積層体の端面に大きな応力が発生する。
このとき、端面電極の幅が厚み方向(積層方向)に一定な矩形形状の場合には、この応力が端面電極の幅方向の端部と端面電極以外の領域との境界が短いため、この境界における単位長さ当たりの応力が大きくなり、境界にクラックが発生するおそれがあるという問題があった。
また、このような圧電素子を備えた圧電振動装置、音響発生器、音響発生装置および電子機器では、上記事情により高い電圧で駆動させることが困難であるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、高い電圧で駆動しても端面電極と端面電極以外の領域との境界にクラックが発生するのを抑制できる圧電素子、圧電振動装置、音響発生器、音響発生装置および電子機器を提供することを目的とする。
本発明の圧電素子は、板状の圧電体と、該圧電体の第1の主面および第2の主面にそれぞれ設けられた表面電極と、前記圧電体の端面に設けられた端面電極とを備え、該端面電極は前記圧電体の厚み方向に沿って幅が変化している。
また本発明の圧電素子は、圧電体層および内部電極層が積層された板状の積層体と、該
積層体の第1の主面および第2の主面にそれぞれ設けられた表面電極と、前記積層体の端面に設けられた端面電極とを備え、該端面電極は前記積層体の厚み方向に沿って幅が変化している。
また本発明の圧電振動装置は上記構成の圧電素子と、圧電素子に接合された振動板とを含んでいる。
また本発明の音響発生器は上記構成の圧電素子と、圧電素子が取り付けられており、圧電素子の振動によって振動する振動板と、振動板を支持する枠体とを備えている。
また本発明の音響発生装置は上記構成の音響発生器と、音響発生器を収容する筐体とを備えている。
また本発明の電子機器は上記構成の音響発生器と、音響発生器に接続された電子回路と、音響発生器および前記電子回路を収容する筐体とを備え、音響発生器から音響を発生させる機能を有する。
本発明の圧電素子によれば、高い電圧で駆動しても、端面電極と端面電極以外の領域との境界にクラックが発生するのを抑制できる。
また、本発明の圧電振動装置によれば、高い電圧で駆動できるため、大きな変位量や高い発生力を得ることができる。
また、本発明の音響発生器によれば、高い電圧で駆動できるため、高音圧を得ることができ、また音圧特性が平坦化した高品質な音質とすることができる。
また、本発明の音響発生装置によれば、高音質の音響発生器を備えることから、高音質の音響発生装置とすることができる。
また、本発明の電子機器によれば、高音質の音響発生器を備えることから、高音質の電子機器とすることができる。
本実施形態の圧電素子の一例を示す概略斜視図である。 本実施形態の圧電素子における端面電極のバリエーションを示す図である。 本実施形態の圧電素子の他の例を示す概略斜視図である。 図3に示す圧電素子の分解斜視図である。 本実施形態の圧電素子の他の例を示す分解斜視図である。 本実施形態の圧電振動装置の一例を示す概略断面図である。 (a)は本実施形態の音響発生器の一例の概略平面図、(b)は(a)に示すA−A線で切断した一例の概略断面図、(c)は(a)に示すA−A線で切断した他の例の概略断面図である。 本実施形態の音響発生装置の一例の構成を示すブロック図である。 本実施形態の電子機器の一例の構成を示すブロック図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の圧電素子の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は本実施形態の圧電素子の一例を示す概略斜視図である。図1に示す圧電素子1は、板状の圧電体11と圧電体11の第1の主面に設けられた第1の表面電極12aおよび第2の表面電極12bと、圧電体11の第2の主面に設けられた第3の表面電極12cと、圧電体11の端面(第1の端面)に設けられて第2の表面電極12bと第3の表面電極12cとを電気的に接続する端面電極13とを備え、端面電極13は圧電体11の厚み方向に沿って幅が変化するように設けられている。なお、以下の説明において、各表面電極に共通する特徴について説明する場合に単に表面電極という場合がある。
圧電体11は、例えば平面視したときの形状(上面から見た第1の主面の形状)が矩形状の板状体であり、圧電特性を有するセラミックスや単結晶で構成されたものである。このような材料として、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)からなるペロブスカイト型酸化物、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)などを用いることができる。圧電体11の寸法は用途により好適に設定できる。なお、大きな変位量や発生力を得るために、200pm/V以上の圧電定数d31を有するのがよい。
圧電体11の第1の主面および第2の主面(第1の主面と対向する主面)には、それぞれ表面電極が設けられている。具体的には、圧電体11の第1の主面に第1の表面電極12aおよび第2の表面電極12bが設けられ、圧電体11の第2の主面に第3の表面電極12cが設けられている。ここで、第1の主面に設けられた第1の表面電極12aと第2の主面に設けられた第3の表面電極12cとは、互いに対向する領域を有するようにそれぞれ大きな電極パターンに形成されたものである。第1の表面電極12a、第2の表面電極12bおよび第3の表面電極12cの形成材料としては、銀、銀にシリカを主成分としたガラス等を含有させた銀化合物、ニッケルなどを用いることができる。
また、圧電体11の端面(第1の端面)には端面電極13が設けられている。具体的には、圧電体11の第1の端面に、第2の表面電極12bと第3の表面電極12cとを電気的に接続する端面電極13が設けられている。端面電極13の形成材料としては、第1の表面電極12a、第2の表面電極12bおよび第3の表面電極12cと同様の、銀、銀にシリカを主成分としたガラス等を含有させた銀化合物、ニッケルなどを用いることができる。なお、必要により、第1の端面と対向する第2の端面にも端面電極が設けられてもよい。
そして、本実施形態の圧電素子1は、端面電極13が圧電体11の厚み方向に沿って幅が変化している。ここで、端面電極13が圧電体11の厚み方向に沿って幅が変化している例としては、図2(a)に示すような台形形状(第1の主面側から第2の主面側に向かって幅が徐々に広くなっていく形状)、図2(b)に示すように正面から見て幅方向の端部が異なる角度で傾斜している形状、図2(c)に示すような厚み方向の両端部に幅の広くなっている部位を有している形状(いわゆる鼓状)、図2(d)に示すように端面電極13の幅方向の端部がうねった形状(凹凸が形成された形状)、図2(e)に示すように厚み方向の両端部よりも内側であって一方の端部寄りに幅の広くなっている部位を有している形状、図2(f)に示すように厚み方向の両端部よりも内側であって両方の端部寄りに幅の広くなっている部位を有している形状、図2(g)に示すように厚み方向の中央部で最も幅が広くなっている形状などが挙げられる。例えば、最も幅の狭い部位における幅は、最も幅の広い部位における幅の50〜95%に設定される。具体的には、端面電極13の最も幅の広い部位における幅が1000μmの場合に、最も広い部位と最も狭い部位との幅の差は50〜500μmに設定される。
このような構成とすることで、圧電素子1を高い電圧で駆動して圧電素子1の端面(第1の端面)に応力が生じても、端面電極13の幅方向の端部と端面電極13以外の領域(
圧電体11)との境界位置を厚み方向で変化させることで、当該境界位置における応力を分散させることができるとともに単位長さあたりの応力を緩和することができる。したがって、端面電極13と端面電極13以外の領域との境界にクラックが発生するのを抑制することができる。
一方、図3および図4に示す圧電素子2は、積層型の圧電素子であって、圧電体層21および内部電極層22が積層された板状の積層体23と、積層体23の第1の主面および第2の主面にそれぞれ設けられた表面電極として、積層体23の第1の主面に設けられた第1の表面電極24aおよび第2の表面電極24bと、積層体23の第2の主面に設けられた第3の表面電極24cと、積層体23の第1の端面に設けられた端面電極25aと、積層体23の第2の端面に設けられた端面電極25bとを備え、端面電極25a、25bは積層体23の厚み方向に沿って幅が変化している。
積層体23は、例えば平面視したときの形状(上面から見た第1の主面の形状)が矩形状の板状体である。
積層体23を構成する複数の圧電体層21は、圧電特性を有するセラミックスで形成されたもので、このようなセラミックスとして、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)を主成分とするペロブスカイト型酸化物、ニオブ酸リチウム(LiNbO)やタンタル酸リチウム(LiTaO)など主成分とする酸化物を用いることができる。圧電体層21の1層の厚みは、例えば0.01〜0.1mmに設定される。また、大きな屈曲振動を得るために、例えば200pm/V以上の圧電定数d31を有するように設定される。
積層体23を構成する複数の内部電極層22は、複数の圧電体層21と交互に積層されて圧電体層21を上下から挟んでおり、それらの間に挟まれた圧電体層21に駆動電圧を印加するものである。図に示す内部電極層22は、第1の端面に導出された第1の内部電極層22aと、第1の端面に対向する第2の端面に導出された第2の内部電極層22bとを含んでいる。これらの材料として、例えば圧電セラミックスとの反応性が低い銀や銀−パラジウムを主成分とする導体、あるいは銅、白金などを含む導体を用いることができるが、これらにセラミック成分やガラス成分を含有させてもよい。
また、積層体23の第1の主面および第2の主面(第1の主面と対向する主面)には、それぞれ表面電極が設けられている。具体的には、積層体23の第1の主面に第1の表面電極24aおよび第2の表面電極24bが設けられ、積層体23の第2の主面に第3の表面電極24cが設けられている。ここで、第1の主面に設けられた第1の表面電極24aと第2の主面に設けられた第3の表面電極24cとは、互いに対向する領域を有するようにそれぞれ大きな電極パターンに形成されたものである。表面電極(第1の表面電極24a、第2の表面電極24bおよび第3の表面電極24c)の形成材料としては、銀、銀にシリカを主成分としたガラス等を含有させた銀化合物、ニッケルなどを用いることができる。
また、積層体23には、複数の内部電極層22の一方の端部を一層おきに接続する端面電極が設けられている。具体的には、積層体23の第1の端面に、第1の内部電極層22aと第2の表面電極24bとを電気的に接続する第1の端面電極25aが設けられている。また、積層体23の第2の端面に、第2の内部電極層22b、第1の表面電極24aおよび第3の表面電極24cを電気的に接続する第2の端面電極25bが設けられている。端面電極25a、25bの形成材料としては、表面電極(第1の表面電極24a、第2の表面電極24bおよび第3の表面電極24c)と同様の、銀、銀にシリカを主成分としたガラス等を含有させた銀化合物、ニッケルなどを用いることができる。
そして、図に示す圧電素子2において、端面電極25a、25bは、積層体23の厚み方向に沿って幅が変化している。
このような構成とすることで、圧電素子2の変位量や発生力を向上でき、また、高い電圧で駆動して圧電素子2の端面(第1の端面および第2の端面)に応力が生じても、端面電極25a、25bの幅方向の端部と端面電極25a、25b以外の領域(積層体23)との境界位置を厚み方向で変化させることで、当該境界位置に発生する応力を分散させることができるとともに単位長さあたりの応力を緩和することができる。したがって、端面電極25a、25bと端面電極25a、25b以外の領域との境界にクラックが発生するのを抑制することができる。
ここで、図5に示すように、上記構成の積層体23がバイモルフ構造になっている圧電素子3であってもよい。バイモルフ構造とは、ある瞬間に加えられる電界の向きに対する分極の向きが厚み方向における第1の主面側と第2の主面側とで逆転するように分極されている構造である。図に示す例では、圧電体層31、第1の主面側に位置する第1の内部電極層22a1、第2の主面側に位置する第1の内部電極層22a2および第2の内部電極層22bを備え、第1の主面側に位置する第1の内部電極層22a1と第2の主面側に位置する第1の内部電極層22a2とが異なる電極パターンとされ、幅の狭くなっている電極引出部を介してそれぞれ第1の端面に導出され、異なる端面電極(図示せず)と電気的に接続されるように構成されている。
このような構成とすることで、特に圧電素子2と振動板を接合した圧電振動装置や音響発生器として用いる場合に、圧電素子2自体が屈曲変位するため、振動板との接合面での力の損失を低減でき、更に変位量や発生力を向上させることができる。
また、図2(e)〜図2(g)に示すように、端面電極13(25a、25b)は厚み方向の両端部よりも内側に、両端部における幅よりも幅の広くなっている部位を有していることが好ましい。このような構成とすることで、最も変位する厚み方向の端部(圧電素子1、2の第1の主面側の端部、第2の主面側の端部)の幅が狭くなり、変位を拘束する力を低減できるため更に変位量を向上できる。
さらに、図2(g)に示すように、端面電極13(25a、25b)は、厚み方向の中央部で最も幅が広くなっていることが好ましい。圧電素子2の変位の中立面となる厚み方向の中心付近から、厚み方向の両端部へ向かって端面電極13(25a、25b)の幅を狭くすることで、変位を拘束する力を最も低減でき、更に変位量を向上できる。特に、積層型であってバイモルフ構造の圧電素子2の場合に効果的である。なお、端面電極の端部における幅は、一つの端面に端面電極が一つの場合には、例えば圧電素子1、2の端面の幅が3.3mmのとき、圧電素子1、2の幅に対して50〜95%の幅とするのがよい。また、一つの端面に端面電極が複数の場合には、例えば圧電素子1、2の端面の幅が3.3mmのとき、圧電素子3の幅に対してそれぞれの端部における幅の合計が30〜90%であって、一つの幅がその合計を幅の数で割った値±20%の範囲となるのがよい。
次に、上述した圧電素子1,2の製造方法について説明する。
まず、圧電体11または圧電体層21となるセラミック成形体を作製する。具体的には、圧電セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系,ブチラール系等の有機高分子からなるバインダーと、可塑剤とを混合してセラミックスラリーを作製する。そして、ドクターブレード法、カレンダーロール法等のテープ成型法を用いることにより、このセラミックスラリーを用いてセラミックグリーンシートを作製する。圧電セラミックスとしては圧電特性
を有するものであればよく、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)からなるペロブスカイト型酸化物等を用いることができる。また、可塑剤としては、フタル酸ジブチル(DBP),フタル酸ジオクチル(DOP)等を用いることができる。なお、セラミック成形体の製法としては、その他にプレス成形や押し出し成形等、好適な製法を用いることができる。
圧電素子2の場合は、次に内部電極層22となる導電性ペーストを作製する。具体的には、銀−パラジウムの金属粉末にバインダーおよび可塑剤を添加混合することによって導電性ペーストを作製する。この導電性ペーストを上記のセラミックグリーンシート上に、スクリーン印刷法を用いて所望の内部電極層22のパターンで塗布し、この導電性ペーストが印刷されたセラミックグリーンシートを複数枚積層する。
そして、所定の温度で脱バインダー処理を行なった後、900℃〜1200℃の温度で焼成し、平面研削盤等を用いて所定の形状になるよう研削処理を施すことによって、単層の圧電体11または交互に積層された圧電体層21および内部電極層22を備えた積層体23を作製する。
なお、単層の圧電体11、または、圧電体層21と内部電極層22とを複数積層してなる積層体23を作製できれば、どのような製造方法によって作製されてもよい。
その後、銀を主成分とする導電粒子とガラスとを混合したものに、バインダー,可塑剤および溶剤を加えて作製した銀ガラス含有導電性ペーストを、圧電体11または積層体23の主面に、スクリーン印刷法等によって印刷して乾燥させて、表面電極12a、12b、12c、24a、24b、24cを形成する。
次に、同様に銀を主成分とする導電粒子とガラスとを混合したものに、バインダー,可塑剤および溶剤を加えて作製した銀ガラス含有導電性ペーストを、圧電体11または積層体23の側面に所定のパターンにて、スクリーン印刷法等によって印刷して乾燥させた後、600℃〜800℃の温度で焼き付け処理を行ない、目的とする形状の端面電極13、25a、25bを形成する。
その後、圧電体11または積層体23を分極処理して圧電活性を付与する。分極処理には、直流電源装置を用いて、図1に示すような圧電素子1の場合は、第1の表面電極12aを負極に、第2の表面電極12b(および第3の表面電極12c)を正極にそれぞれ接続し、例えば2kV/mm〜3kV/mmの電位差を、15℃〜35℃の雰囲気温度にて、印加時間として数秒印加すればよい。図3および図4に示すような圧電素子2の場合は、第1の表面電極24aを負極に、第2の表面電極24b(および第3の表面電極24c)を正極にそれぞれ接続し、上記と同様の電位差を印加すればよい。圧電材料の性質により、電圧、雰囲気温度、印加時間は好適に選定される。
上述のようにして所望の圧電素子を得ることができるが、給電部材が必要な場合は以下の方法で、圧電素子1、2に配設すればよい。例えば導電性接着剤を用いて、フレキシブル配線基板を圧電素子1、2に接続固定(接合)する場合、圧電素子1、2の所定の位置に導電性接着剤用ペーストをスクリーン印刷等の手法を用いて塗布形成する。その後、フレキシブル配線基板を当接させた状態で導電性接着剤用ペーストを硬化させることにより、フレキシブル配線基板を圧電素子1,2に接続固定する。なお、導電性接着剤用ペーストは、フレキシブル配線基板側に塗布形成しておいてもよい。
なお、給電部材としては絶縁被覆したリード線を用い、接合部材としてはんだを用いてもよく、同様の機能を有する部材を好適に選択できる。
以上の製造方法により、本実施形態の圧電素子1、2を作製することができる。
次に、本実施形態の圧電振動装置4の一例について説明する。
本実施形態の圧電振動装置4は、図6に示すように、上述の圧電素子2と、圧電素子2に接合された振動板20とを備えている。なお、本例では、圧電素子2を用いて説明しているが、圧電素子1、3であってもよい。
圧電素子2は、電圧の印加を受けて振動することによって振動板20を励振する励振器である。圧電素子2の例えば第2の主面(振動板20側の主面)と振動板20とがエポキシ系樹脂等の接着剤により接合され、圧電素子2が変位(振動板20の面内方向に伸縮)することにより、圧電素子2が振動板20を屈曲振動させることができる。
振動板20は、圧電素子2の変位によって圧電素子2とともに変位して振動するようになっている。この振動板20は樹脂や金属等の種々の材料を用いて形成することができ、例えば厚さ10〜500μmの金属板、樹脂版、ガラス板などでもよく、例えば携帯端末等の電子機器の筐体の一部またはディスプレイの一部が振動板20として機能していてもよい。
本実施形態の圧電振動装置4は、高電圧で駆動しても端面電極と端面電極以外の領域との境界にクラックが発生するのを抑制した圧電素子を用いて構成されていることから、小型で高変位、高発生力、高信頼性を有する圧電振動装置とすることができる。
次に、本発明の音響発生器10の実施形態の一例について説明する。
本実施形態の音響発生器10は、図7に示すように、上述の圧電素子2と、圧電素子2が取り付けられており圧電素子2の振動によって振動する振動板20と、振動板20の外周部の少なくとも一部に設けられ、振動板20を支持する支持体としての枠体30とを備えている。なお、本例では、圧電素子2を用いて説明しているが、圧電素子1、3であってもよい。
圧電素子2は、電圧の印加を受けて振動することによって振動板20を励振する励振器である。圧電素子2の主面と振動板20の主面とがエポキシ系樹脂等の接着剤により接合され、圧電素子2が振動することにより、圧電素子2が振動板20に一定の振動を与えて音を発生させることができる。
振動板20は、その周縁部が枠体30に固定されていて、圧電素子2の振動によって圧電素子2とともに振動するようになっている。この振動板20は樹脂や金属等の種々の材料を用いて形成することができ、例えば厚さ10〜200μmのポリエチレン、ポリイミド、ポリプロピレン等の樹脂フィルムで振動板20を構成することができる。特に振動板20を樹脂フィルムにより構成することで、振動板20を大きな振幅で屈曲振動させ、音圧の周波数特性における共振ピークの幅を広く、高さを低くして共振ピークとディップとの差を低減することができる。ただし、振動板20としては樹脂フィルムに限定されず、樹脂板、金属板、ガラス板などでもよく、例えば携帯端末等の電子機器の筐体の一部またはディスプレイの一部が振動板20として機能していてもよい。
枠体30は、振動板20の主面の外周部を支持する支持体として機能する。枠体30で振動板20の外周部を支持することによって振動空間を設けることで、振動板20の振幅が大きくなり、音圧を向上させることができる。枠体30としては、例えばステンレスな
どの金属、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂など種々の材料を用いて形成することができる。
枠体30は振動板20の一方の主面または他方の主面へ接合材を介して接合される。接合材は、樹脂系接着剤や、粘弾性体をシート状に成型したものや、基材層と粘弾性体からなる層とを積層した構成のものなどを用いることができ、これらの材料としてアクリル系、エポキシ系等の接着剤やゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系等の粘着剤が用いられる。また、基材層としては、アセテートフォーム、アクリルフォーム、セロハン、ポリエチレンフォーム、紙、不織布が用いられる。
図7に示す例のように、振動板20の圧電素子2が接合された主面に枠体30を接合すると、特に枠体30と接合材とを合わせた厚みが圧電素子2の厚みより大きい場合には、枠体30により圧電素子2を保護することができる。
この枠体30は、図7(b)に示すように一つの枠部材(上枠部材301)からなるものでもよく、図7(c)に示すように二つの枠部材(上枠部材301および下枠部材302)からなるものでもよい。この場合、二つの枠部材で振動板20を挟むことで、振動板20の張りを安定させることができる。なお、上枠部材301および下枠部材302は、それぞれの厚みが例えば100〜5000μmとされる。
本例の音響発生器10においては、図7(b)および図7(c)に示すように、圧電素子2から振動板20の表面の少なくとも一部(例えば圧電素子2の周辺部)までを覆うように設けられた樹脂層40をさらに有していてもよい。樹脂層40としては、例えばヤング率が1MPa〜1GPaの範囲となるように形成され、例えばアクリル系樹脂を用いることができる。かかる樹脂層40に圧電素子2を埋設することで適度なダンパー効果を誘発させることができるので、共振現象を抑制して、音圧の周波数特性におけるピークやディップを小さく抑えることができる。なお、図7(b)および図7(c)に示すように、樹脂層40は上枠部材301と同じ高さとなるように形成されていてもよい。
本実施形態の音響発生器10は、高電圧で駆動しても端面電極の幅方向の端部と端面電極以外の領域との境界にクラックが発生するのを抑制された圧電素子を用いて構成されていることから、小型で高音圧、高信頼性を有するものとなる。
次に、本発明の音響発生装置の実施の形態の一例について説明する。
音響発生装置はいわゆるスピーカのような発音装置であり、図8に示すように、本例の音響発生装置80は、音響発生器10と、音響発生器10を収容する筐体70を備える。なお、筐体70の一部が音響発生器10を構成する振動板20になっていてもよく、筐体70が音響発生器10を収容するとは、音響発生器10の一部(圧電素子1、2)を収容している状態も含むことを意味している。
筐体70は、音響発生器10の発する音響を内部で共鳴させるとともに、筐体70に形成された図示せぬ開口から音響を外部へ放射する。このような筐体70を有することにより、たとえば低周波数帯域における音圧を高めることができる。
かかる音響発生装置80は、スピーカとして単独で用いることができる他、後述するように、携帯端末や薄型テレビ、あるいはタブレット端末などへ好適に組み込むことが可能である。また、冷蔵庫、電子レンジ、掃除機、洗濯機などのように、従来、音質については重視されなかった家電製品に組み込むこともできる。
本実施形態の音響発生装置80は、高電圧で駆動しても端面電極の幅方向の端部と端面電極以外の領域との境界にクラックが発生するのを抑制された圧電素子を備えた音響発生器を用いて構成されていることから、小型で高音圧、高信頼性を有するものとなる。
次に、本発明の電子機器の実施の形態の一例について説明する。
図9に示すように、本例の電子機器50は、音響発生器10と、音響発生器10に接続された電子回路60と、電子回路60および音響発生器10を収容する筐体70とを備え、音響発生器10から音響を発生させる機能を有する。
電子機器50は、電子回路60を備える。電子回路60は、たとえば、コントローラ50aと、送受信部50bと、キー入力部50cと、マイク入力部50dとから構成される。電子回路60は、音響発生器10に接続されており、音響発生器10へ音声信号を出力する機能を有している。音響発生器10は電子回路60から入力された音声信号に基づいて音響を発生させる。
また、電子機器50は、表示部50eと、アンテナ50fと、音響発生器10とを備え、これら各デバイスを収容する筐体70を備える。なお、図9では、1つの筐体70にコントローラ50aをはじめとする各デバイスがすべて収容されている状態をあらわしているが、各デバイスの収容形態を限定するものではない。本実施形態では、少なくとも電子回路60と音響発生器10とが、1つの筐体70に収容されていればよい。
コントローラ50aは、電子機器50の制御部である。送受信部50bは、コントローラ50aの制御に基づき、アンテナ50fを介してデータの送受信などを行う。キー入力部50cは、電子機器50の入力デバイスであり、操作者によるキー入力操作を受け付ける。マイク入力部50dは、同じく電子機器50の入力デバイスであり、操作者による音声入力操作などを受け付ける。表示部50eは、電子機器50の表示出力デバイスであり、コントローラ50aの制御に基づき、表示情報の出力を行う。
そして、音響発生器10は、電子機器50における音響出力デバイスとして動作する。なお、音響発生器10は、電子回路60のコントローラ50aに接続されており、コントローラ50aによって制御された電圧の印加を受けて音響を発することとなる。
なお、図9では、電子機器50が携帯用端末装置であるものとして説明を行ったが、電子機器50の種別を問うものではなく、音響を発する機能を有する様々な民生機器に適用されてよい。たとえば、薄型テレビやカーオーディオ機器は無論のこと、音響を発する機能を有する製品、例を挙げれば、掃除機や洗濯機、冷蔵庫、電子レンジなどといった種々の製品に用いられてよい。
本実施形態の電子機器50は、高電圧で駆動しても端面電極の幅方向の端部と端面電極以外の領域との境界にクラックが発生するのを抑制された圧電素子を備えた音響発生器を用いて構成されていることから、小型で高音圧、高信頼性を有するものとなる。
次に、本発明の音響発生器の具体例について説明する。
実施例1として、単層の圧電体層(圧電体)を備えた圧電素子を作製した。具体的には、Bサイトの一部をNb等で置換したチタン酸ジルコン酸鉛で、長さが23.5mm、幅が3.3mm、厚みが0.1mmの長尺板状に形成した単層の圧電体を用意し、当該圧電体の第1の主面および第2の主面に銀ガラスで表面電極を形成するとともに、圧電体の一
方の端面(第1の端面)に銀ガラスで端面電極を形成し、図1に示すような圧電素子を作製した。ここで、端面電極は、最大幅が2mm、最小幅が1mmで、最大幅位置が厚み方向の中心付近となるように幅方向の端部が曲線状(図2(g)の形状)になっているものを作製した。
また、実施例2として、実施例1の圧電体と同じ寸法の積層体を備えた積層型の圧電素子を作製した。具体的には、長さが23.5mm、幅が3.3mm、厚みが0.9mmの長尺板状の積層体とし、厚みが30μmの圧電体層と内部電極層とが交互に積層された構造として、圧電体層の総数は28層とした。圧電体層はBサイトの一部をNb等で置換したチタン酸ジルコン酸鉛で形成し、内部電極は銀パラジウムの合金で形成した。そして、当該積層体の第1の主面および第2の主面に銀ガラスで表面電極を形成するとともに、積層体の一方の端面(第1の端面)および他方の端面(第2の端面)に銀ガラスで端面電極を形成し、図3に示すような圧電素子を作製した。ここで、端面電極は、最大幅が2mm、最小幅が1mmで、最大幅位置が厚み方向の中心付近となるように幅方向の端部が曲線状(図2(g)の形状)になっているものを作製した。
一方、比較例として、幅が2mmで一定となる端面電極を形成した点以外は、上記圧電素子と同一の圧電素子(比較例1として単層の圧電体層(圧電体)を備えた圧電素子、比較例2として積層型の圧電素子)を作製した。
これらの圧電素子を長さ110mm、幅60mm、厚さ0.5mmのアクリル板(振動板)の長さ方向の一端部側へ接着した後、絶縁被覆を施したリード線をはんだで表面電極へ接合し、音響発生器を作製した。
上記のようにして作製した音響発生器の振動板の両主面の外周を、ポリブチレンテレフタレートで作製した枠体治具で挟み込むように固定し、単位厚みあたりの印加電圧を150Vp−p/mmとして周波数1kHzの交流信号を、室温にて100時間連続印加する試験を実施した。
その結果、実施例1および実施例2の圧電素子において、端面電極の幅方向の端部と端面電極以外の領域との境界にクラックは認められなかった。これに対し、比較例1および比較例2の圧電素子において、端面電極の幅方向の端部と端面電極以外の領域との境界にクラックが認められた。
上記の結果より、本実施例の圧電素子では高い電圧で駆動しても圧電素子の破壊を抑制できることが確認できた。
1、2、3 圧電素子
11 圧電体
12a、24a 第1の表面電極
12b、24b 第2の表面電極
12c、24c 第3の表面電極
13 端面電極
21 圧電体層
22 内部電極層
22a 第1の内部電極層
22b 第2の内部電極層
22a1 第1の主面側に位置する第1の内部電極層
22a2 第2の主面側に位置する第1の内部電極層
23 積層体
25a 第1の端面電極
25b 第2の端面電極
10 音響発生器
20 振動板
4 圧電振動装置
30 枠体
301 上枠部材
302 下枠部材
40 樹脂層
50 電子機器
60 電子回路
70 筐体
80 音響発生装置

Claims (9)

  1. 板状の圧電体と、該圧電体の第1の主面および第2の主面にそれぞれ設けられた表面電極と、前記圧電体の端面に設けられた端面電極とを備え、該端面電極は前記圧電体の厚み方向に沿って幅が変化していることを特徴とする圧電素子。
  2. 圧電体層および内部電極層が積層された板状の積層体と、該積層体の第1の主面および第2の主面にそれぞれ設けられた表面電極と、前記積層体の端面に設けられた端面電極とを備え、該端面電極は前記積層体の厚み方向に沿って幅が変化していることを特徴とする圧電素子。
  3. 前記積層体がバイモルフ構造になっていることを特徴とする請求項2に記載の圧電素子。
  4. 前記端面電極は、前記厚み方向の両端部よりも内側に、両端部における幅よりも幅の広くなっている部位を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載の圧電素子。
  5. 前記端面電極は、前記厚み方向の中央部で最も幅が広くなっていることを特徴とする請求項4に記載の圧電素子。
  6. 請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載の圧電素子と、該圧電素子に接合された振動板とを含むことを特徴とする圧電振動装置。
  7. 請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載の圧電素子と、該圧電素子が取り付けられており該圧電素子の振動によって振動する振動板と、該振動板を支持する枠体とを備えていることを特徴とする音響発生器。
  8. 請求項7に記載の音響発生器と、該音響発生器を収容する筐体とを備えていることを特徴とする音響発生装置。
  9. 請求項7に記載の音響発生器と、該音響発生器に接続された電子回路と、前記音響発生器および前記電子回路を収容する筐体とを備え、前記音響発生器から音響を発生させる機能を有することを特徴とする電子機器。
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