JP2016097452A - エンドミル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ラジアスエンドミル1(エンドミル)は、cBN焼結体又はダイヤモンド焼結体からなり軸線D回りに配置される直径φが0.1mm以上6.0mm以下の工具先端部2に、その工具先端部2の外周に配置される外周刃12と、工具先端部2の先端に配置される底刃13とからなる少なくとも一対の切刃11を備え、外周刃12のすくい面15の軸方向との角度αが、軸の先端側から後端側にかけて連続的に変化して設けられる。
【選択図】 図1
Description
また、cBN焼結体やPCD等の高硬度の脆性材料により形成される小径のエンドミルは、エンドミル自体の切刃等を形成する際の研削加工時に強い力学的負荷が必要になるため、切刃のチッピングを生じ易く、特許文献1又は特許文献2に記載の加工を実施すること自体が困難であり、複雑な形状を形成することが難しい。
この点、本発明のエンドミルにおいては、外周刃を形成するすくい面の軸方向との角度(ねじれ角)を、軸の先端側から後端側にかけて連続的に変化させることで、外周刃の軸の先端側から後端側にかけて切削条件に適応した切刃を形成することができ、各々の位置において必要な刃先強度と被削材の仕上げ加工精度とを確保することができる。
なお、外周刃のすくい面の軸方向との角度を連続的に変化させることにより、底刃から外周刃にかけて滑らかに接続されたすくい面を形成できるので、切削時に生じる応力集中を回避でき、工具自体の耐欠損性及び耐摩耗性のより一層の向上を図ることができる。
外周刃のすくい面の軸方向との角度を大きくする程、外周刃と被削材との接触面積が大きくなるが、外周刃が傾斜して設けられることで切削抵抗が小さくなり、切削屑の排出性も高くなる。このため、軸の先端側においては、すくい面の軸方向との角度を大きくすることにより、接触面積を大きくして外周刃の被削材への食い付きを良くすることができ、かつ、切削抵抗を小さくして仕上げ加工精度を向上させることができる。
一方、軸の後端側においては、すくい面の軸方向との角度を大きくし過ぎると、軸の後端側において仕上げ面にうねりが発生しやすくなり、すくい面の軸方向との角度を小さくすることが望ましい。しかし、このすくい面の軸方向との角度を小さくし過ぎると、切削抵抗が大きくなり切削屑の排出性が低下するため、工具のビビリや欠損が発生しやすくなる。
そこで、すくい面の軸方向との角度を、軸の先端側よりも後端側の方が小さくなるように変化させて設けることにより、軸の先端側から後端側の各々の位置において、耐欠損性、耐摩耗性の向上を図ることができ、被削材の仕上げ加工精度の向上を図ることができる。
切刃を形成するすくい面の面粗さは、被削材の仕上げ面の面粗さに影響を与えることから、面粗さRz(最大高さ)を0.1μm以下の滑らかな面で形成することが望ましい。この点、本発明のエンドミルでは、すくい面の面粗さRzを、外周刃から直径の1/50(推奨切り込み深さの約2倍)の幅の外側範囲を0.05μm未満の滑らかな面で形成することで、切刃を鋭利な稜線をもって形成することができる。また、外側範囲よりも内側の内側範囲では、面粗さRzを0.05μm以上0.08μm以下で形成し、内側から外側にかけて面粗さが小さくなるように形成していることから、内側範囲では切削屑の接触面積を小さくして発熱を少なくできるとともに、放熱性を上げて切削屑の溶着を防ぐことが可能となり、工具寿命を向上させることができる。さらに、わずかな傾斜角度で形成されたすくい面であっても、その滑らかな面により切削屑を円滑に排出することができるので、切削性の高い切刃を構成することができる。
本実施形態のエンドミルは、図3及び図4に示すように、軸線D回りに回転される工具先端部2を有し、その工具先端部2に、一対の切刃11が周方向に180°離間した位置に配置された2枚刃のラジアスエンドミル1である。また、このラジアスエンドミル1は、工具先端部2の外径φが0.1mm以上6.0mm以下とされる小径のエンドミルである。
この製造方法に用いるレーザ加工装置100は、図6に示すように、cBN焼結体又はダイヤモンド焼結体からなる円柱状素材20にレーザビームLを照射して工具先端部2全体を三次元加工する装置である。このレーザ加工装置100は、レーザビームLをパルス発振して円柱状素材20に一定の繰り返し周波数で照射しながら走査するレーザ光照射機構22と、円柱状素材20を保持した状態で回転、旋回及びxyz軸方向にそれぞれ移動可能な素材保持機構24と、これらを制御する制御部25とを備えている。
これら各ステージ部31x〜31z、旋回機構32、回転機構33の各駆動部は、例えばサーボモータが用いられ、エンコーダにより位相をフィードバックすることができるようになっている。
レーザ光源26は、190nm〜550nmの短波長のレーザ光を照射できる光源を使用することができ、例えば本実施形態では、UV‐YAGレーザ(3倍波:波長355nm、加工位置出力:5W、60kHz)のレーザ光を発振して出射できるものを用いている。また、ガルバノスキャナ27は、素材保持機構24の真上に配置されており、レーザビームLは鉛直方向(z軸方向)から照射されるようになっている。
まず、円柱状素材20に外径加工を施す(外径加工工程)。外径加工工程は、円柱状素材20を軸線x回りに回転させた状態で、その回転する円柱状素材20にレーザビームLを加工後の切刃11の形状に沿って移動させることにより行う。
この際、円柱状素材20を軸線D回りに回転させた状態で、レーザビームLを照射することにしているので、回転する円柱状素材20の外周面には、レーザービームLがランダムに照射される。したがって、円柱状素材20の外周面の面粗さRzを0.1μm以下の滑らかな面で形成することができる。
図4(a)及び(b)に示すように、レーザビームLを、円柱状素材20の表面上に照射し、形成されるすくい面15の形状に沿って軸の先端側から後端側に向けて加工を行う。
このレーザビームLの径方向の断面の光強度分布は、図7にハッチングで示したように、ビーム中心L0で大きく、外周部で小さいガウシアン分布となっている。また、レーザビームLの焦点位置に比べて、デフォーカスされた位置では、光強度分布が径方向に広がり光強度が緩やかなガウシアン分布となる。このため、レーザビームLの照射位置をその焦点位置から深度をずらした位置に変化させることで、レーザビームLの照射方向(深度方向)に対して切削面の角度を変化させることができる。そこで、レーザービームLは、深度位置とガウシアン分布とを考慮して、すくい面15に対してビーム中心L0を傾斜させた状態で、円柱状素材20上に照射する。
なお、レーザビームLは、パルス発振されており、そのパルスの条件と走査速度、レーザビームLの深度位置を変化させることにより、加工面の面粗さを連続的に変化させることができる。このため、すくい面15を、面粗さRzが0.08μm以下の滑らかな面で形成でき、さらに内側から外側にかけて面粗さRzが徐々に小さくなるように形成することができる。
また、上記手順でレーザ加工を行うことにより、cBN焼結体又はダイヤモンド焼結体のような脆性材料であっても、小径化されたエンドミルを高精度に加工することができるので、被削材の仕上げ加工精度の向上を図ることができる。
また、角度αを連続的に変化させることにより、底刃13から外周刃12にかけて滑らかに接続されたすくい面15を形成できるので、切削時に生じる応力集中を回避でき、工具自体の耐欠損性及び耐摩耗性のより一層の向上を図ることができる。
また、ラジアスエンドミル1においては、すくい面15を、切刃11の稜線付近(図1(a)にハッチングで示す範囲、切刃11から直径の1/50の幅、ここでは切刃11から0.01mmの外側範囲)を0.05μm未満とし、それよりも内側の内側範囲を0.05μm以上0.08μm以下の面粗さRzで形成し、内側から外側にかけて面粗さRzが徐々に小さくなるように形成している。これにより、内側範囲では切削屑の接触面積を小さくして発熱を少なくできるとともに、放熱性を上げて切削屑の溶着を防ぐことが可能となり、工具寿命を向上させることができる。また、図1(a)にハッチングで示す範囲(外側範囲)は、工具の推奨切り込み深さ(ae,ap)の約2倍の幅である時に最も高い効果が得られる。
例えば、上記実施形態では、本発明のエンドミルをラジアスエンドミルに適用した例について説明を行ったが、本発明のエンドミルは、円弧状のコーナ刃を有さずに、外周刃の先端と底刃の外周端とが鋭利な角部で交差する刃先を構成するスクエアエンドミルにも適用することが可能である。
2 工具先端部
3 シャンク部
4 首部
5 チップ部
6 超硬合金部
11 切刃
12 外周刃
13 底刃
14 コーナー刃
15 すくい面
16 逃げ面
20 円柱状素材
22 レーザ光照射機構
24 素材保持機構
25 制御部
26 レーザ光源
27 ガルバノスキャナ
31x x軸ステージ部
31y y軸ステージ部
31z z軸ステージ部
32 旋回機構
33 回転機構
100 レーザ加工装置
Claims (3)
- cBN焼結体又はダイヤモンド焼結体からなり軸線回りに配置される直径が0.1mm以上6.0mm以下の工具先端部に、
該工具先端部の外周に配置される外周刃と、該工具先端部の先端に配置される底刃とからなる少なくとも一対の切刃を備え、
前記外周刃のすくい面の軸方向との角度が、軸の先端側から後端側にかけて連続的に変化して設けられるエンドミル。 - 前記すくい面の軸方向との角度が、軸の先端側よりも後端側の方が小さく設定される請求項1に記載のエンドミル。
- 前記すくい面の面粗さRzは、前記外周刃から直径の1/50の幅の外側範囲が0.05μm未満とされ、それよりも内側の内側範囲が0.05μm以上0.08μm以下とされる請求項1又は2に記載のエンドミル。
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