JP2016095951A - 導電性微粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面をニッケル層として電気抵抗を下げた場合に、加圧接続時の導電性金属層の割れを防止するだけでなく電極酸化層への食い込み性をも改善できる導電性微粒子、及びこの導電性微粒子を用いた異方性導電材料を提供する。【解決手段】本発明の導電性微粒子とは、基材粒子と、該基材粒子の表面を被覆する導電性金属層とを有し、前記導電性金属層が、基材粒子上に、ホウ素含有ニッケル層と、純ニッケル層とをこの順で有する。【選択図】図1

Description

本発明は、導電性微粒子に関し、特に、電気抵抗が低く、導電性が良好な導電性微粒子に関する。
従来、電子機器の組み立てにおいて、対向する多数の電極や配線間の電気的接続を行うために、異方性導電材料による接続方式が採用されている。異方性導電材料は、導電性微粒子をバインダー樹脂等に分散した材料であり、例えば異方性導電フィルム(ACF)、異方性導電ペースト(ACP)、異方性導電インク、異方性導電シート等がある。この異方性導電材料に用いられる導電性微粒子としては、金属粒子の他、基材となる樹脂粒子の表面を導電性金属層で被覆したものが使用されている。樹脂粒子と金属層とから構成される導電性微粒子は、表面に形成された導電性を有する金属層によって、電極や配線間の電気的接続を図っている。
斯かる導電性微粒子として例えば特許文献1には、リンが含まれるニッケル層を内周側とし、リンが含まれないニッケル層を外周側とするニッケルを主成分とする複数のニッケル層で構成される導電層を基材微粒子の外周に有する導電性微粒子が開示されている。また、特許文献2には、樹脂微粒子の表面に、ニッケルを主成分としホウ素とリンとを含有する金属被覆層を有する導電性微粒子が開示されている。
特許第5368611号公報 特許第4052832号公報
特許文献2の技術は、ニッケル−リン合金の樹脂粒子への優れた密着性及び可撓性、ニッケル−ホウ素合金の高い導電性といったそれぞれの合金層が有する長所を導電性微粒子に付与することを目的とするものである。しかしながら、リンやホウ素といったニッケル以外の成分の含有量が多くなる程、導電性は低下してしまう。また合金層は、純ニッケル層に比べて可撓性が劣る為、導電性粒子を含有するペーストを電極間に挿入して加圧接触した時に、合金層が割れるという不具合も生じる。
特許文献1の技術は、外側をニッケル層とすることで電気抵抗を下げた上で、内側にも可撓性が比較的良好なリンが含まれるニッケル層にしたものである。特許文献2に比べて可撓性がさらに改善されているため、導電性微粒子に圧縮荷重が作用した際にも外周側のニッケル層の剥離や損傷が抑制され、ニッケル層が本来有する低い電気抵抗の維持を実現し得る。しかしながら、電極間の電気的接続に用いられる導電性微粒子は、電極表面の酸化層に食い込める硬度を有することも求められており、特許文献1の技術は、軟質なニッケル−リン層の表面に更に軟質なニッケル層を設けたものであるため導電性金属層の硬度が相対的に低く、電極への食い込みが不十分になる場合があり、導電性が低下する場合がある。
本発明は、上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、表面を純ニッケル層として電気抵抗を下げた場合に、加圧接続時の導電性金属層の割れを防止するだけでなく電極酸化層への食い込み性をも改善できる導電性微粒子、及びこの導電性微粒子を用いた異方導電性材料を提供することにある。
上記課題を解決した本発明の導電性微粒子とは、基材粒子と、該基材粒子の表面を被覆する導電性金属層とを有し、
前記導電性金属層が、基材粒子上に、ホウ素含有ニッケル層と、純ニッケル層とをこの順で有するところに特徴を有する。
上記ホウ素含有ニッケル層中のホウ素の含有量が0.1質量%以上、5.0質量%以下であるのが好ましい。また、上記基材粒子は、基材粒子を構成する全単量体に占める架橋性単量体の割合が1質量%以上、100質量%以下である単量体組成物を重合して得られたものであるのが好ましい。
本発明には、上記導電性微粒子を含む異方性導電材料も含まれる。
基材粒子表面を被覆する導電性金属層として、基材粒子上に、ホウ素含有ニッケル層と、純ニッケル層とをこの順で有する本発明の導電性微粒子は、表面抵抗が下がり、かつ加圧接続時に導電性金属層の割れや剥離を抑制しつつ、電極への食い込み性を確保できる結果、低い電気抵抗、高い導電性を有するものである。したがって、本発明の導電性微粒子は、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、異方性導電接着剤、異方性導電インク等の異方性導電材料に極めて有用である。
図1は、本発明の導電性微粒子の一実施形態を示した断面模式図である。 図2は、実施例1で製造した導電性微粒子の断面の走査電子顕微鏡(SEM)像である。 図3は、比較例1で製造した導電性微粒子の断面の走査電子顕微鏡(SEM)像である。
1.導電性微粒子
本発明の導電性微粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面を被覆する導電性金属層とを有し、前記導電性金属層が、基材粒子上に、ホウ素含有ニッケル層と、純ニッケル層とをこの順で有するところに特徴を有している。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、上側層に純ニッケル層を形成すると、粒子の表面抵抗を下げて導電性を向上するのに寄与するだけでなく、該純ニッケル層には下側金属層の割れを高度に防止する作用もあることを見い出した。すなわち特許文献2は、上側にニッケル層を形成しつつも、下側層も圧縮追従性の為の可撓性を確保する為にNi−P層にする必要があることを教示するものの、本発明者らは上側層が純ニッケル層であれば、下側層をNi−Pと同等にまで可撓化しなくても(具体的にはホウ素含有ニッケル層であっても)、その割れを防止できることを見い出した。そして、下側層を硬いホウ素含有ニッケル層にすることで、導電性金属層の硬さを高めることができ、電極酸化層への食い込み性を改善できることを見い出し、本発明を完成した。このような層構成によれば、ニッケルを主成分とする導電性金属層を有する導電性微粒子において、ニッケルが本来有する機械的及び電気的特性を最大限に活用でき、電気抵抗が低く、高い導電性を有する導電性微粒子が得られる。
すなわち、ホウ素含有ニッケル層を下層にし、純ニッケル層を上層にする積層構造の導電性金属層を基材粒子表面に形成すると、表面抵抗が下がり、かつ加圧接続時に導電性金属層の割れや剥離を抑制しつつ、電極への食い込み性を確保できる結果、低い電気抵抗、高い導電性といったニッケルが有する電気的特性が反映された導電性微粒子を提供することができたのである。
1−1.導電性金属層
本発明における導電性金属層は基材粒子の表面を被覆する積層構造の層であり、基材粒子側にホウ素含有ニッケル層を有し、表面側に純ニッケル層を有する。
本発明の導電性金属層は、前記ホウ素含有ニッケル層、及び純ニッケル層以外の金属乃至合金層(好ましくは金層)を有していてもよく、金属乃至合金層(他の金属層)は純ニッケル層表面に形成されるのが好ましいが、他の金属層を有さない方が好ましい。ニッケルは安価で入手しやすく、メッキが容易であるので、これを主成分とする金属層で導電性金属層を形成することで本発明の導電性微粒子を低コストで提供することが可能になる。また、純金属層は合金層に比べて電気抵抗が低いため、導電性微粒子の最表面を純ニッケル層にすることで、高い導電性を実現することができる。
導電性金属層の厚みは、好ましく0.01μm以上であり、より好ましくは0.02μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは1μm以下であり、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。
まず、ホウ素含有ニッケル層について説明する。
1−1−1.ホウ素含有ニッケル層
ホウ素含有ニッケル層は、ニッケル及びホウ素を必須の構成元素として含む。具体的にはニッケルを主成分とする金属層であるのが好ましく、該金属層がニッケル−ホウ素合金を含むことが好ましく、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてその他の元素を含有させることができる。基材粒子と純ニッケル層との間にホウ素含有ニッケル層を設けることで、例えば無電解メッキ法により純ニッケル層を形成する際に導電性微粒子が凝集するのを抑制でき、その結果、抵抗値の上昇も抑制することができる。また、ホウ素含有ニッケル層はニッケル層がリンを含む場合に比べて抵抗値が低くなるので、当該ホウ素含有ニッケル層が導電性微粒子表面に露出したとしても抵抗が上昇し難く安定な電気的接続を維持し易いとの利点もある。
前記ホウ素含有ニッケル層を構成するニッケルの含有量(純度)は、ホウ素含有ニッケル層中、例えば80質量%以上であり、90質量%以上が好ましく、より好ましくは95質量%以上である。ニッケルの含有量(純度)が高いほど、導電性微粒子の導電性が向上するため好ましい。しかしながら、ニッケル含有量(純度)が高すぎると、ホウ素含有ニッケル層を形成する際に凝集粒子が発生し易くなる傾向があるので、ニッケルの含有量(純度)は99.5質量%未満が好ましく、より好ましくは99質量%以下、さらに好ましくは98.5質量%以下、さらに一層好ましくは98質量%以下である。
本発明に係るホウ素含有ニッケル層を構成するホウ素の含有量は、ホウ素含有ニッケル層中0.1質量%以上が好ましい。ホウ素の含有量が少なすぎるとホウ素含有ニッケル層を形成する際に基材粒子が凝集し、導電性微粒子の分散性が低下する虞がある一方で、ホウ素の含有量が多くなるとホウ素含有ニッケル層の硬度が高められるため電極への食い込み性を向上できる。そのため、ホウ素の含有量はより好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、特に好ましくは2質量%以上である。また、ホウ素の含有量は5.0質量%以下であることが好ましい。ホウ素含有ニッケル層におけるホウ素の含有量が少ないほどニッケルの含有量が多くなるため、導電性微粒子の導電性を向上することができる。そのため、ホウ素の含有量はより好ましくは4.5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。
ホウ素含有ニッケル層に含有させることができる他の元素としては特に制限はないが、例えば、マグネシウム、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ゲルマニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、スズ、アンチモン、タングステン、白金、金、鉛、ビスマス等の金属元素、及び炭素、ケイ素又はリン等の非金属元素が挙げられる。これら金属又は非金属元素の中でも、チタン、クロム、コバルト、銅、モリブデン、スズ、タングステン及びリンがより好ましい。他の金属元素の含有量は、ホウ素含有ニッケル層中、20質量%未満が好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、よりさらに好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。なお、これら他の元素の内金属元素は、ホウ素含有ニッケル層の表面に形成された他の金属層(例えば純ニッケル層や、純ニッケル層の表面に金メッキを施した態様など)に含有させる元素としても使用できる。
ホウ素含有ニッケル層は粒状構造を有していることが好ましい。粒状構造は、球状、回転楕円体状、金平糖状などであってもよい。粒状構造はその長径が1nm以上、100nm以下であるのが好ましい。より好ましくは3nm以上であり、さらに好ましく5nm以上であり、50nm以下であるのがより好ましく、さらに好ましくは30nm以下である。本発明でいう粒状構造の長径は実施例に記載の方法により測定される値を意味する。
前記ホウ素含有ニッケル層の厚さは0.005μm以上が好ましく、より好ましくは0.01μm以上、さらに好ましくは0.03μm以上であり、0.50μm以下が好ましく、より好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下である。前記ホウ素含有ニッケル層の厚さが上記範囲内であれば、導電性を損ねることなく、適度な硬度を導電性微粒子に付与することができ、また後述する純ニッケル層を形成する際のホウ素含有ニッケル層被覆粒子の凝集も抑制することができる。
1−1−2.純ニッケル層
本発明において純ニッケル層とはニッケルと不可避不純物からなる層を意味し、ホウ素やリンは実質的に含まない。純ニッケル層を形成すると、導電性粒子の表面抵抗を下げるのに有効であるだけでなく、下層となる前記ホウ素含有ニッケル層の可撓性が低くても、その割れを防止できる。
前記不可避不純物としては、窒素、炭素、硫黄、鉛、ビスマス等の導電性金属層の製造工程やメッキ液の添加剤等に由来する不純物が挙げられる。なお、本発明に係る純ニッケル層を形成する設備では、ニッケル−ホウ素メッキやニッケル−リンメッキを施すこともあり、こういった他のメッキの為の成分も不可避不純物として純ニッケル層に混入することがある。不可避不純物の含有量は少ないほど好ましいが、純ニッケル層中のホウ素含量は、例えば0.1質量%未満であるのが好ましく、より好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下であり、リン含量は、例えば、0.1質量%以下であるのが好ましく、より好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下である。なお、不可避不純物は、ホウ素やリンを含めた合計の含有量が0.5質量%以下であるのが好ましく、より好ましくは0.2質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下である。もちろん、純ニッケル層に窒素、炭素、硫黄、鉛、ビスマス等の不純物が含まれていない態様は最も好ましい態様である。
純ニッケル層中のニッケルの純度は、例えば、99.5質量%以上であり、好ましくは99.8質量%以上であり、より好ましくは100質量%である。ニッケルの含有量が多いほど、導電性微粒子の導電性が向上するため好ましい。純ニッケル層に含まれる各元素の含有量は、例えば、ICP発光分析により測定することができる。
純ニッケル層は、その表面に針状構造を有していてもよい。針状構造は、ニッケル純度が高く、当該層中にニッケル以外の成分がほとんど含まれていない場合に形成される(例えば、純ニッケル層中のニッケル以外の成分が0.5質量%以下)。なお、上記針状構造には、長さ方向の両方の端部が尖った針状構造、長さ方向の一方の端部のみが尖った円錐や多角錘のような構造も含まれる。
針状構造は、長さが10nm以上、500nm以下であるのが好ましい。より好ましくは25nm以上であり、さらに好ましくは50nm以上であり、400nm以下であるのがより好ましく、さらに好ましくは300nm以下である。針状構造はアスペクト比(長手方向/幅方向)が0.1〜5であるのが好ましい。より好ましくは0.5〜4であり、さらに好ましくは1〜3である。純ニッケル層がその表面に斯かる針状構造を有する場合は、導電性微粒子の相手電極への食い込み性が一層向上するため好ましい。なお、上記針状構造の長手方向及び幅方向の長さは、実施例に記載の方法で測定される長さを意味する。上記針状構造は、無電解メッキ法により純ニッケル層を形成する場合に還元剤としてヒドラジン系還元剤を使用することにより生成する。
純ニッケル層はその表面と内部とが同一の構造であってもよく、また異なる構造であってもよい。本発明に係る純ニッケル層は、その内部に粒状構造を有していることが好ましい。粒状構造は、球状、回転楕円体状、金平糖状などであってもよい。粒状構造はその長径が1nm以上、1000nm以下であるのが好ましい。より好ましくは10nm以上であり、さらに好ましく20nm以上であり、800nm以下であるのがより好ましく、さらに好ましくは500nm以下である。上述の通り、ホウ素含有ニッケル層は粒状構造を有しているため、純ニッケル層内部に粒状構造が存在することで、ホウ素含有ニッケル層と純ニッケル層との界面に剥離が生じ難くなる結果、導電性金属層の耐衝撃性が向上し、また導電性の低下も生じ難くなるので好ましい。本発明でいう粒状構造の長径は実施例に記載の方法により測定される値を意味する。
なお、純ニッケル層の表面とは、導電性微粒子の最外層が純ニッケル層の場合は、純ニッケル層の厚みを100%としたときに最外層から10%の領域、又導電性微粒子が純ニッケル層上に他の金属層を有する場合は当該他の金属層と純ニッケル層との界面から基材粒子側に向かって10%の領域を意味し、一方、純ニッケル層の内部とは、純ニッケル層の内、基材粒子側から90%(純ニッケル層の厚み100%)までの領域を言う。
純ニッケル層の厚さは0.005μm以上であるのが好ましく、より好ましくは0.01μm以上、さらに好ましくは0.03μm以上であり、0.50μm以下であるのが好ましく、より好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下である。純ニッケルを層の厚さが上記範囲内であれば、導電性微粒子を異方性導電材料として用いる際に、安定した電気的接続が維持できる。また、純ニッケル層形成時の粒子の凝集を抑制しつつ、連続した純ニッケル層を形成することができる。
また、純ニッケル層の表面には表面処理を施してもよく、例えば腐食防止剤による表面処理を行うことができる。
ホウ素含有ニッケル層と純ニッケル層の厚さの比率(ホウ素含有ニッケル層:純ニッケル層)は、例えば、1:99〜99:1であることが好ましく、より好ましくは5:95〜95:5であり、さらに好ましくは10:90〜90:10である。純ニッケル層の厚みが大きいほどメッキ異常析出による凝集の発生が生じ易くなる傾向があり、一方薄すぎると粒子ごとの導電性が不均一となる虞がある。ホウ素含有ニッケル層と純ニッケル層の厚さの比率を上記範囲とすることで前記不具合の発生を抑制することができる。
1−1−3.他の金属層
本発明の導電性微粒子は、上記純ニッケル層及びホウ素含有ニッケル層の他に、導電性金属層を構成する成分として他の金属層を有していてもよい。これにより他の金属に由来する物性を導電性微粒子に付与することができる。他の金属として、銅、パラジウム、銀、スズ、金等が挙げられる。斯かる他の金属層は、導電性金属層の最外層として(すなわち導電性微粒子の最表面)、又導電性金属層の最内層(すなわち基材粒子の表面)として設けることが好ましい。
他の金属層の厚さは、0.001μm以上が好ましく、より好ましくは0.01μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上であり、1μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下である。他の金属層の厚さを上記範囲内とすることで、製造コストの上昇を抑えつつ、他の金属に由来する特性を導電性微粒子に付与することができる。なお、上記構成を有する本発明の導電性微粒子は電気抵抗が低く、導電性も良好であるため、他の金属層を有していなくてもよく、したがって他の金属層の厚みは0μmであるのが好ましい。
ホウ素含有ニッケル層と純ニッケル層との厚さ(合計)と、導電性金属層の厚さの比率(ホウ素含有ニッケル層及び純ニッケル層/導電性金属層)は、例えば、0.5以上であることが好ましく、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上である。なお、前記比率(ホウ素含有ニッケル層及び純ニッケル層/導電性金属層)が大きいほど、製造コストの上昇を抑えつつ、ニッケルが本来有する特性を活かすことができる。なお前記比率の上限は1である。
導電性金属層の厚さ、すなわちホウ素含有ニッケル層、純ニッケル層及び任意で設けられる他の金属層の厚さ(合計)の測定方法は特に限定されず、公知の各種方法を採用することができる。例えば、導電性微粒子の個数平均粒子径と基材粒子の個数平均粒子径との差分を2で割った数値を導電性金属層の厚さとする方法;導電性微粒子を直径に沿って切断し、その断面を電子顕微鏡等で観察することにより導電性金属層の厚さを測定する方法;導電性金属層を溶解させICP発光分析装置で溶解した金属濃度を分析することにより導電性金属層の厚さを求める方法;SEM−EDS(走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法)又はTEM−EDS(透過型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法)により導電性微粒子の断面を分析して、Ni、B等の元素の分布状態を観察することにより、各層の厚さを求める方法;等が挙げられる。
1−2.基材粒子
本発明における基材粒子は、樹脂成分を含む樹脂粒子であることが好ましい。樹脂粒子を用いることで、弾性変形特性に優れた導電性微粒子が得られる。樹脂粒子としては、有機材料のみから構成される樹脂粒子に限られず、有機無機複合材料から構成される樹脂粒子でもよい。
前記樹脂粒子を構成する有機材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン;スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル樹脂等のビニル重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類;ポリカーボネート類;ポリアミド類;ポリイミド類;フェノールホルムアルデヒド樹脂;メラミンホルムアルデヒド樹脂;メラミンベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂;尿素ホルムアルデヒド樹脂;等が挙げられる。また、有機無機複合材料としては、シリコーン樹脂、前記有機材料とポリシロキサン骨格とを含む材料(例えば、ポリシロキサン骨格とビニル重合体が複合化されてなる材料等)が挙げられる。これらの樹脂粒子を構成する材料は、単独で用いてもよく、2種以上が併用してもよい。
前記樹脂粒子を構成する材料の中でも、ビニル重合体及び/又はポリシロキサン骨格を含むものが好ましい。ビニル重合体を含む材料は、ビニル基が重合して形成された有機系骨格を有し、加圧接続時の弾性変形に優れる。特に、ジビニルベンゼンを重合成分として含むビニル重合体は、導電性金属被覆後の粒子強度の低下が少ない。また、ポリシロキサン骨格を含む材料は、加圧接続時において被接続体に対する接触圧が優れる。特にポリシロキサン骨格とビニル重合体を複合化した材料は、弾性変形性及び接触圧に優れ、得られる導電性微粒子の接続信頼性がより優れたものとなるため好ましい。
前記ビニル重合体はビニル系単量体(ビニル基含有単量体)を重合(ラジカル重合)することによって形成でき、このビニル系単量体はビニル系架橋性単量体とビニル系非架橋性単量体とに分けられる。また前記ポリシロキサン骨格は、シラン系単量体を用いることによって形成でき、このシラン系単量体はシラン系架橋性単量体とシラン系非架橋性単量体とに分けられる。
なお、「ビニル基」には、炭素−炭素二重結合のみならず、(メタ)アクリロキシ基、アリル基、イソプロペニル基、ビニルフェニル基、イソプロペニルフェニル基のような官能基と重合性炭素−炭素二重結合から構成される置換基も含まれる。なお、本明細書において「(メタ)アクリロキシ基」、「(メタ)アクリレート」や「(メタ)アクリル」は、「アクリロキシ基及び/又はメタクリロキシ基」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」や「アクリル及び/又はメタクリル」を示すものとする。
前記樹脂粒子を構成する全単量体に占める架橋性単量体(例えばビニル系架橋性単量体及びシラン系架橋性単量体の合計)の割合は、1質量%以上が好ましく、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。架橋性単量体の割合が前記範囲であると、得られる導電性微粒子に耐溶剤性を付与することができ、例えばACF形成に用いる際に溶剤の影響による粒子の膨潤や変形を防ぐことができる。一方、架橋性単量体の割合の上限は、特に制限されないが、100質量%以下が好ましく、より好ましくは90質量%以下、より一層好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。また、架橋性単量体の使用量が上記範囲内であれば、本発明に係る導電性金属層を形成した後も良好な電極食い込み性を確保することができる。
前記樹脂粒子が、ビニル重合体とポリシロキサン骨格を含む有機無機複合材料からなる場合、ビニル系単量体の使用量は、シラン系単量体100質量部に対して1質量部以上が好ましく、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上であり、5000質量部以下が好ましく、より好ましくは4000質量部以下、さらに好ましくは3000質量部以下である。
前記ビニル系架橋性単量体とは、ビニル基を有し架橋構造を形成し得るものであり、具体的には、1分子中に2個以上のビニル基を有する単量体(単量体(1))、または、1分子中に1個のビニル基とビニル基以外の結合性官能基(カルボキシル基、ヒドロキシ基等のプロトン性水素含有基、アルコキシ基等の末端官能基等)を有する単量体(単量体(2))が挙げられる。ただし、単量体(2)によって架橋構造を形成させるには、当該単量体(2)の結合性官能基と反応(結合)可能な相手方単量体の存在が必要である。
前記ビニル系架橋性単量体のうち前記単量体(1)(1分子中に2個以上のビニル基を有する単量体)の例として、例えば、アリル(メタ)アクリレート等のアリル(メタ)アクリレート類;アルカンジオールジ(メタ)アクリレート(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート等)、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)等のジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート類;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のヘキサ(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族炭化水素系架橋剤(好ましくはジビニルベンゼン等のスチレン系多官能モノマー);N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルサルファイド、ジビニルスルホン酸等のヘテロ原子含有架橋剤;等が挙げられる。これらの中でも、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート類(多官能(メタ)アクリレート)や、芳香族炭化水素系架橋剤(特にスチレン系多官能モノマー)が好ましい。前記1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート類の中でも、前記1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートが特に好ましく、さらにその中でも、1分子中に3個以上のアクリロイル基を有するアクリレートが好ましい。前記スチレン系多官能モノマーの中では、ジビニルベンゼンのように1分子中に2個のビニル基を有する単量体が好ましい。単量体(1)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビニル系架橋性単量体のうち前記単量体(2)(1分子中に1個のビニル基とビニル基以外の結合性官能基を有する単量体)としては、例えば、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有する単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート類、p−ヒドロキシスチレン等のヒドロキシ基含有スチレン類等のヒドロキシ基を有する単量体;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート類、p−メトキシスチレン等のアルコキシスチレン類等のアルコキシ基を有する単量体;等が挙げられる。単量体(2)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビニル系非架橋性単量体としては、1分子中に1個のビニル基を有する単量体(単量体(3))か、もしくは相手方単量体が存在しない場合の前記単量体(2)(1分子中に1個のビニル基とビニル基以外の結合性官能基を有する単量体)が挙げられる。
前記ビニル系非架橋性単量体のうち前記単量体(3)(1分子中に1個のビニル基を有する単量体)には、(メタ)アクリレート系単官能モノマーやスチレン系単官能モノマーが含まれる。(メタ)アクリレート系単官能モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロウンデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート類が挙げられ、メチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。スチレン系単官能モノマーとしては、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等のアルキルスチレン類、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等のハロゲン基含有スチレン類等が挙げられ、スチレンが好ましい。単量体(3)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビニル系単量体としては、少なくとも前記ビニル系架橋性単量体(1)を含む態様が好ましく、中でも前記ビニル系架橋性単量体(1)と前記ビニル系非架橋性単量体(3)とを含む態様(特に単量体(1)と単量体(3)との共重合体)が好ましい。具体的には、構成成分として、スチレン系単官能モノマーを含む態様、スチレン系単官能モノマーと1分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体とを含む態様、スチレン系単官能モノマーとスチレン系多官能モノマーとを含む態様が好ましい。中でも、スチレン系単官能モノマーとスチレン系多官能モノマーとを含む態様が好ましい。
前記ポリシロキサン骨格は、シラン系単量体を加水分解し縮合反応によりシロキサン結合を生じさせることで形成され、特にシラン系単量体としてシラン系架橋性単量体を用いると、架橋構造を形成し得る。シラン系架橋性単量体により形成される架橋構造としては、有機重合体骨格(例えば、ビニル系重合体骨格)と有機重合体骨格とを架橋するもの(第一の形態);ポリシロキサン骨格とポリシロキサン骨格とを架橋するもの(第二の形態);有機重合体骨格とポリシロキサン骨格とを架橋するもの(第三の形態);が挙げられる。
第一の形態(有機重合体間架橋)を形成し得るシラン系架橋性単量体としては、例えば、ジメチルジビニルシラン、メチルトリビニルシラン、テトラビニルシラン等の2つ以上のビニル基を有するシラン化合物が挙げられる。第二の形態(ポリシロキサン間架橋)を形成し得るシラン系架橋性単量体としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能性シラン系単量体;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等の3官能性シラン系単量体等が挙げられる。第三の形態(有機重合体−ポリシロキサン間架橋)を形成し得るシラン系架橋性単量体としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシエトキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基を有するジ又はトリアルコキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等のビニル基を有するジ又はトリアルコキシシラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するジ又はトリアルコキシシラン;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するジ又はトリアルコキシシラン;が挙げられる。これらのシラン系架橋性単量体は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記シラン系非架橋性単量体として、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジアルキルシラン等の2官能性シラン系単量体;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のトリアルキルシラン等の1官能性シラン系単量体等が挙げられる。これらのシラン系非架橋性単量体は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
特に前記ポリシロキサン骨格は、ラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合(例えば、(メタ)アクリロイル基等のビニル基)を有する重合性ポリシロキサン由来の骨格であることが好ましい。つまり、ポリシロキサン骨格は、構成成分として、少なくとも前記第三の形態(有機重合体−ポリシロキサン間架橋)を形成し得るシラン系架橋性単量体(好ましくは(メタ)アクリロイル基を有するもの、より好ましくは3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン)を加水分解及び縮合することにより形成されたポリシロキサン骨格であることが好ましい。
なお前記樹脂粒子を構成する各単量体の構成比は、特に限定されるものではなく、基材粒子に求められる特性(例えば、硬度、圧縮時の回復率、耐熱性など)に応じて、適宜設定すればよい。
前記樹脂粒子の製造方法としては、乳化重合、懸濁重合、分散重合、シード重合、ゾルゲルシード重合法等が採用できるが、シード重合やゾルゲルシード重合法は粒度分布を小さくすることができるため好ましい。なお、上記ゾルゲルシード重合法とは、シード重合の一態様であって、特に、シード粒子がゾルゲル法により合成される場合を意味する。例えば、アルコキシシランの加水分解縮合反応により得られたポリシロキサンをシード粒子とする場合等が挙げられる。したがって、シード重合には、シード粒子が、有機材料からなる場合と、有機材料と無機材料とが複合された材料からなる場合(ゾルゲルシード重合法の場合)とが存在する。例えば、前記樹脂粒子がビニル重合体骨格とポリシロキサン骨格を有するものである場合、その製造方法としては、ラジカル重合性基を有する架橋性シラン単量体を加水分解、縮合反応を行って重合性ポリシロキサン粒子を調製した後、該重合性ポリシロキサン粒子に前記ビニル系単量体等を吸収させ重合する方法が好ましく採用される。
前記基材粒子は、表面が親水性であることが好ましい。表面が親水性であれば、後述する無電解メッキ液に対する濡れ性が高く、基材粒子表面に均一に導電性金属層を形成できる。また親水化処理により樹脂粒子表面に微小な凹凸が形成された場合、その凹凸のアンカー効果によって、基材粒子と導電性金属層との密着性が一層向上するという効果も得られる。
表面が親水性である基材粒子は、上述した樹脂粒子に親水化処理を施すことにより得られる。親水化処理の方法は、特に限定されず、従来公知の方法を採用でき、例えば、クロム酸、無水クロム酸−硫酸混合液、過マンガン酸等の酸化剤;塩酸、硫酸、フッ酸、硝酸等の強酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強アルカリ溶液;その他市販の種々の親水化剤(エッチング剤)を用いる方法や、オゾンガス処理等の気相処理が挙げられる。
基材粒子(樹脂粒子)の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、回転楕円体状、金平糖状、薄板状、針状、まゆ状等のいずれでも良いが、球状が好ましく、特に真球状が好ましい。また、基材粒子表面の性状も特に限定されず、平滑であっても、突状の突起を有していてもよい。
前記基材粒子(樹脂粒子)の個数平均粒子径は、個数基準の粒子径分布より求められる平均粒子径を意味し、1.0μm以上が好ましく、より好ましくは1.1μm以上、さらに好ましくは1.2μm以上、一層好ましくは1.3μm以上であり、50μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは25μm以下、一層好ましくは20μm以下である。前記基材粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、個数基準の粒子径分布より求められる値であり、10.0%以下が好ましく、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、一層好ましくは4.5%以下、特に好ましくは4.0%以下である。なお、基材粒子の個数平均粒子径および粒子径の変動係数は、導電性微粒子の個数平均粒子径および変動係数と同様の方法で測定することができ、具体的には実施例で後述する方法で測定することができる。
上述のように本発明の導電性微粒子は、導電性金属層に比較的硬度の高いホウ素含有ニッケル層を含むものの、その最表層は柔軟な純ニッケル層で構成されている。したがって、電極への食い込み性を確保する観点からは、基材粒子が特定の硬度を有することが望ましい。
なお、基材粒子は粒子径が小さくなるほど加圧接続時の変形量が小さくなる傾向があるので、導電性微粒子とした場合の接続抵抗値を低く抑える観点からは、基材粒子には粒子径に応じた好適な硬度が存在する。例えば、基材粒子の個数平均粒子径が10μm未満の場合は、その直径が20%変位したときの圧縮弾性率(20%K値)が1000N/mm2以上、15000N/mm2以下であることが好ましい。より好ましくは1500N/mm2以上、12000N/mm2以下であり、さらに好ましくは2000N/mm2以上、10000N/mm2以下である。一方、基材粒子の個数平均粒子径が10μm以上の場合は、その20%K値が500N/mm2以上、10000N/mm2以下であることが好ましい。より好ましくは750N/mm2以上、9000N/mm2以下であり、さらに好ましくは1000N/mm2以上、8000N/mm2以下である。20%K値が上記範囲であると、電極への食い込み性が確保し易く、電極と良好な接触面積を得ることができる。また、導電性微粒子が適度に硬質となり易く、その結果、バインダー樹脂等に分散させる際にも変形しにくく、電極等との接続を確保しやすくなる。一方、20%K値が小さいほど、圧縮応力に応じて適度に変形し、電極と導電性微粒子との接触面積が十分確保できるので、接続抵抗値上昇を一層抑制することができる。
20%K値は、具体的には、試料台(材質:SKS平板)上に散布した試料粒子1個について、直径50μmの円形平板圧子(材質:ダイヤモンド)を用いて、粒子の中心方向へ一定の負荷速度(2.65mN/秒(0.27gf/秒))で荷重をかけて測定する。そして粒子の直径が20%変位するまで粒子を変形させたときの圧縮荷重(N)と圧縮変位量(mm)を測定し、下記式に基づいて20%K値を算出する。なお、20%K値は、例えば、同じ種類の基材粒子(又は導電性微粒子)について10点程度測定し、平均を取ることが好ましい。測定時の雰囲気温度は、25℃である。
(式中、Eは圧縮弾性率(N/mm2)、Fは圧縮荷重(N)、Sは圧縮変位量(mm)、Rは試料粒子の半径(mm)を示す)
1−3.導電性微粒子
本発明の導電性微粒子は個数基準の粒子径分布より求められる平均粒子径(個数平均粒子径)が1.0μm以上であるのが好ましく、より好ましくは1.1μm以上、さらに好ましくは1.2μm以上、一層好ましくは1.3μm以上、特に好ましくは1.4μm以上であり、50μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは25μm以下、一層好ましくは20μm以下である。また本発明の導電性微粒子は、個数基準の粒子径分布より求められる粒子径の変動係数(CV値)が10.0%以下であるのが好ましく、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、一層好ましくは4.5%以下、特に好ましくは4.0%以下である。なお、本発明における「個数平均粒子径」および「粒子径の変動係数」は、コールター原理を使用した精密粒度分布測定装置(例えば、商品名「コールターマルチサイザーIII型」、ベックマンコールター株式会社製)により測定される値とする。また粒子径の変動係数は、下記式に従って算出した値とする。
粒子径の変動係数(%)=100×(粒子径の標準偏差/個数基準平均粒子径)
具体的には、導電性微粒子の個数平均粒子径および変動係数は、例えば実施例で後述する方法で測定することができる。
本発明の導電性微粒子は、粒子の直径が20%変位したときの圧縮弾性率(20%K値)が1000N/mm2以上、20000N/mm2以下であることが好ましい。20%K値が上記範囲であると、電極と良好な接触面積を得ることができる。20%K値は、より好ましくは1500N/mm2以上であり、さらに好ましくは2000N/mm2以上である。20%K値が上記範囲であると、導電性微粒子が適度に硬質であるため、バインダー樹脂等に分散させる際にも変形しにくく、電極等との接続を確保しやすくなる。また、18000N/mm2以下であることがより好ましく、さらに好ましくは15000N/mm2以下である。20%K値が小さいほど、圧縮応力に応じて適度に変形し、電極と導電性微粒子との接触面積が十分確保できるので、接続抵抗値上昇を一層抑制することができる。
本発明の導電性微粒子の圧縮破壊変形率(破壊時の粒子直径の変位)は特に限定されないが、一般には30%以上であり、変形率が高くなるほど導電性金属層の導電性が接続抵抗値に顕著に影響することに鑑みると、40%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは53%以上、特に好ましくは55%以上である。また、圧縮破壊変形率の上限は特に限定されないが、一般に80%以下であり、より好ましくは75%以下である。
本発明の導電性微粒子はエポキシ樹脂やアクリル樹脂、ウレタン樹脂等のバインダー樹脂に対する分散性が良好である。
2.導電性微粒子の製法
本発明の導電性微粒子は、前記基材粒子表面に無電解メッキ法により、まずホウ素含有ニッケル層を形成し、次いで純ニッケル層を形成することで製造できる。無電解メッキ法によれば、大掛かりな装置を必要とせず容易に導電性金属層を形成でき、本発明の導電性微粒子を効率よく得ることができる。
以下、無電解メッキ法について説明する。
2−1.触媒化工程
まず、無電解メッキに供される基材粒子に触媒化処理を施す。この触媒化処理では、基材粒子表面に貴金属イオンを捕捉させた後、これを還元して前記貴金属を基材粒子表面に担持させる。貴金属イオンとしては2価のパラジウムイオンが好ましい。また、触媒化処理に供される基材粒子としては、上述した表面が親水性である基材粒子が好ましい。基材粒子自体が貴金属イオンの捕捉能を有しない場合、触媒化を行う前に、表面改質処理を行うことも好ましい。表面改質処理は、表面処理剤を溶解した水又は有機溶媒に、基材粒子を接触させることで行うことができる。前記表面処理剤としては、例えば、アミン塩、四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤が好ましく用いられる。
前記触媒化処理方法としては、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとを含む溶液を触媒化試薬とし、これに基材粒子を浸漬することにより基材粒子表面に触媒金属を吸着させ、その後、硫酸や塩酸等の酸や水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液で前記パラジウムイオンを還元することにより、基材粒子表面にパラジウムを析出させる方法(キャタリスト−アクセラレータ法)や、スズイオン(Sn2+)を含有する溶液を基材粒子と接触させて、スズイオンを基材粒子表面に吸着させた後、パラジウムイオン(Pd2+)を含有する溶液に浸漬させることにより、基材粒子表面にパラジウムを析出させる方法(センシタイジング−アクチベーティング法)等が挙げられる。
2−2.無電解メッキ工程
無電解メッキ工程では、前記触媒化処理によってパラジウム触媒を吸着させた触媒化基材粒子表面に、導電性金属層を形成する。具体的には、ニッケルとホウ素を含むホウ素含有ニッケルメッキ層は、ニッケル塩と、ホウ素系還元剤とを含有する無電解メッキ液を用いて無電解メッキ反応を行うことにより形成でき、純ニッケルメッキ層は、ニッケル塩と、還元剤としてヒドラジン又はヒドラジン誘導体を有する無電解メッキ液を用いて無電解メッキ反応を行うことにより形成できる。
無電解メッキ工程は、必要に応じて繰返し行ってもよく、金属種の異なる無電解メッキ液を用いて無電解メッキ工程を繰返すことにより、基材粒子の表面に異種金属を幾層にも被覆できる。上述の通り、本発明に係る導電性金属層はニッケルとホウ素を含むホウ素含有ニッケルメッキ層と純ニッケルメッキ層とを基材粒子側からこの順で有するものであるので、ホウ素含有ニッケルメッキ層を形成する無電解メッキ工程(第一工程)と、純ニッケルメッキ層を形成する無電解メッキ工程(第二工程)を順に実施することで本発明に係る導電性金属層が得られる。以下、ホウ素含有ニッケル層形成工程(第一工程)、純ニッケルメッキ層形成工程(第二工程)の順に説明する。
2−2−1.ホウ素含有ニッケル層形成工程(第一工程)
ホウ素含有ニッケル層形成工程(第一工程)を実施するに当たって、まず、触媒化基材粒子を水に十分に分散させ、触媒化基材粒子の水性スラリーを調製する。均一な導電性金属層を形成するためには、メッキ処理を行う水性媒体に触媒化基材粒子を十分分散させておくことが好ましい。基材粒子の分散性を向上させるには、界面活性剤等の分散剤を添加することが好ましく、この分散剤としてパーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルアンモニウムヨウ化物、パーフルオロアルキルアミンオキサイド等のフッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。このほかに、触媒化基材粒子の分散手段として、例えば、通常攪拌装置、高速攪拌装置、コロイドミル又はホモジナイザーのようなせん断分散装置等従来公知の分散手段を採用してもよく、必要に応じて超音波を併用してもよい。
次に、ニッケル塩、ホウ素系還元剤を含有する無電解メッキ液を、上記で調製した触媒化基材粒子の水性スラリーに添加する(第一工程)。
無電解メッキ液に含まれるニッケル塩としては、例えば、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられる。ニッケル塩は1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。無電解メッキ液中におけるニッケル塩の濃度は、所望の膜厚の導電性金属層が形成されるように、基材粒子のサイズ(表面積)等を考慮して適宜決定すればよい。
第一工程の無電解メッキ液に含まれるホウ素系還元剤としては、ホウ素を含むものであれば特に限定されないがジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン等のアミンボラン化合物が好ましく、ジメチルアミンボランが特に好ましい。前記ホウ素系還元剤の使用量は、前記ニッケル塩100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは7質量部以上であり、20質量部以下が好ましく、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは13質量部以下である。ホウ素系還元剤の含有量が上記範囲であると、メッキ反応の活性が適度である。
また、前記無電解メッキ液は錯化剤を含有することが好ましい。錯化剤としてはジカルボン酸系錯化剤が挙げられ、ジカルボン酸系錯化剤としてはジカルボン酸及びジカルボン酸の塩が挙げられる。ジカルボン酸とは、一分子内にカルボキシ基を2個有する化合物を意味するものであり、ヒドロキシ基等のカルボキシ基以外の官能基を有していてもよい。
ジカルボン酸としては炭素数2〜6のジカルボン酸が好ましく、例えば、シュウ酸等の炭素数2のジカルボン酸;マロン酸等の炭素数3のジカルボン酸;コハク酸、リンゴ酸、酒石酸等の炭素数4のジカルボン酸;グルタル酸、ヒドロキシグルタル酸等の炭素数5のジカルボン酸;アジピン酸、ヒドロキシアジピン酸、テトラヒドロキシアジピン酸等の炭素数6のジカルボン酸が挙げられる。また、これらジカルボン酸の塩としては、アルカリ金属塩やアンモニウム塩を用いることができる。前記アルカリ金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ナトリウムカリウム塩が挙げられる。ジカルボン酸系錯化剤としては、1種を単独で用いることが好ましい。中でも、ジカルボン酸系錯化剤としては、炭素数3〜5のジカルボン酸及びそのアルカリ金属塩がより好ましく、炭素数3〜4のジカルボン酸及びそのアルカリ金属塩がさらに好ましく、炭素数3〜4のジカルボン酸のアルカリ金属塩が一層好ましい。
錯化剤の使用量は、第一無電解メッキ工程で使用するニッケル塩100質量部に対して70質量部以上が好ましく、より好ましくは80質量部以上、さらに好ましくは90質量部以上であり、300質量部以下が好ましく、より好ましくは250質量部以下、さらに好ましくは200質量部以下である。
無電解メッキ液は、その他に、各種添加剤を含んでもよい。この添加剤としては、例えば安定剤等が挙げられる。安定剤は無電解メッキ液の自己分解反応を抑制する作用を有し、無電解メッキ反応を安定させる。各種添加剤を含む場合、その合計の含有量としては、前記ニッケル塩100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。また、下限は特に限定されないが、例えば0.1質量部以上であり、好ましくは1質量部以上であってもよい。
前記無電解メッキ液は、水性スラリーに徐々に添加する(滴下する)ことが好ましい。無電解メッキ液の滴下速度は適宜調整すればよいが、基材粒子100質量部に対して、ニッケル塩の添加量を5質量部/min以上とすることが好ましく、より好ましくは10質量部/min以上、さらに好ましくは15質量部/min以上であり、35質量部/min以下とすることが好ましく、より好ましくは30質量部/min以下、さらに好ましくは25質量部/min以下である。
前記無電解メッキ液を、水性スラリーに滴下する際の液温は、適宜調整すればよいが、液温は50℃以上、100℃未満が好ましい。また、前記無電解メッキ液のpHは限定されないが、好ましくは4以上、8以下であり、より好ましくは5以上、7以下である。なお、無電解メッキ液のpHは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水等のアルカリ性水溶液、硫酸、塩酸等の酸性水溶液を適宜添加することで調整できる。
上記触媒化基材粒子の水性スラリーに無電解メッキ液を添加すると、速やかに無電解メッキ反応が開始する。無電解メッキ反応は水素ガスの発生を伴うので、水素ガスの発生が完全に認められなくなった時点をもって第一工程の無電解メッキ反応を終了すればよい。
2−2−2.純ニッケル層形成工程(第二工程)
前記ホウ素含有ニッケルメッキ層形成工程(第一工程)の終了後、続けて第二無電解メッキ工程(純ニッケル層形成工程)を行ってもよく、あるいは反応系内からホウ素含有ニッケルメッキ層が形成された基材粒子(ホウ素含有ニッケル層被覆粒子)を取り出し、必要に応じて洗浄、乾燥を施した後、ホウ素含有ニッケル層被覆粒子の水性スラリーを調製して、第二無電解メッキ工程を行ってもよい。
第二工程は、ニッケル塩、ヒドラジン系還元剤を含有する無電解メッキ液を、第一工程後の反応溶液又は上記で調製したホウ素含有ニッケルメッキ層を有する基材粒子の水性スラリーに添加して行う。
第二工程に係る無電解メッキ液に含まれるニッケル塩としては、第一工程と同じものが使用できる。また、無電解メッキ液中におけるニッケル塩の濃度も、所望の膜厚の純ニッケル層が形成されるように基材粒子及びホウ素含有ニッケル層被覆粒子のサイズ(表面積)等を考慮して適宜決定すればよい。
第二工程の無電解メッキ液に含まれる還元剤としては、ヒドラジン系還元剤を使用することができる。ヒドラジン系還元剤としては、ヒドラジン(ヒドラジン一水和物)や、ヒドラジン塩酸塩、硫酸ヒドラジニウム、ジメチルヒドラジン、アセトヒドラジド、カルボヒドラジド等のヒドラジン誘導体が挙げられる。これらの中でもヒドラジン、ヒドラジン塩酸塩、硫酸ヒドラジニウムは、還元剤に由来する不純物が純ニッケルメッキ層中に残留し難いので好ましい。なお、ヒドラジン系還元剤は、1種を単独で使用してもよく、又、2種以上を適宜混合して使用してもよい。
ヒドラジン系還元剤の使用量は、第二工程で用いるニッケル塩100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上であり、2500質量部以下が好ましく、より好ましくは2000質量部以下、さらに好ましくは1500質量部以下である。ヒドラジン系還元剤の含有量が上記範囲であれば反応の制御が容易であるので好ましい。
第二工程で用いる無電解メッキ液は、第一工程における無電解メッキ液と同様、錯化剤、及び各種添加剤(例えば安定剤)を含んでいてもよく、錯化剤及び添加剤は、第一工程の無電解メッキ液に用いられるものはいずれも使用でき、又その使用量も第一工程の無電解メッキ液と同様の範囲で使用できる。
第二工程においても、無電解メッキ液は水性スラリーに徐々に添加(滴下)することが好ましい。無電解メッキ液の滴下速度は適宜調整すればよいが、基材粒子100質量部に対して、ニッケル塩の添加量を0.1質量部/min以上とすることが好ましく、より好ましくは0.5質量部/min以上、さらに好ましくは1.0質量部/min以上であり、20質量部/min以下とすることが好ましく、より好ましくは10質量部/min以下、さらに好ましくは5質量部/min以下である。
前記無電解メッキ液を、水性スラリーに滴下する際の液温は、適宜調整すればよいが、液温は70℃以上、100℃未満が好ましい。また、前記無電解メッキ液のpHは限定されないが、好ましくは9以上、14以下であり、より好ましくは10以上、13以下である。なお、無電解メッキ液のpHは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア水等のアルカリ性水溶液、硫酸、塩酸等の酸性水溶液を適宜添加することで調整できる。
ホウ素含有ニッケル層被覆粒子の水性スラリーに第二工程の無電解メッキ液を添加すると、無電解メッキ反応が開始する。第二工程の無電解メッキ反応では窒素ガスの発生を伴うので、ガスの発生が完全に認められなくなった時点をもって終了すればよい。無電解メッキ反応(純ニッケル層の形成;第二工程)の終了後、反応系内からホウ素含有ニッケルメッキ層上に純ニッケルメッキ層が形成された基材粒子(純ニッケル被覆粒子)を取り出し、必要に応じて洗浄、乾燥を施すことにより、導電性微粒子が得られる。
無電解メッキ工程は、必要に応じて繰返し行ってもよい。例えば金属種の異なる無電解メッキ液を用いて無電解メッキ工程を繰返すことにより、基材粒子の表面に異種金属を幾層にも被覆できる。例えば、上記第一及び第二工程を経て得られた純ニッケル被覆粒子をさらに無電解金メッキ液に投入して金置換メッキを行うことにより、最外層が金層で覆われ、その内側に純ニッケル層及びホウ素含有ニッケル層を有する導電性微粒子が得られる。
3.絶縁被覆導電性微粒子等
本発明の導電性微粒子には、表面の少なくとも一部に絶縁性樹脂層を設けることもできる。つまり、前記導電性金属層の表面にさらに絶縁性樹脂層を形成した態様であってもよい(絶縁被覆導電性微粒子)。このように表面の導電性金属層にさらに絶縁性樹脂層が積層されていると、高密度回路の形成時や端子接続時などに生じやすい横導通を防ぐことができる。
また本発明の導電性微粒子には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、シランカップリング剤や有機化合物等による表面処理を施すこともできる。
4.異方性導電材料
本発明の導電性微粒子は、異方性導電材料に好ましく用いることができる。異方性導電材料としては、前記導電性微粒子がバインダー樹脂に分散したものが挙げられる。異方性導電材料の形態は特に限定されず、例えば、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、異方性導電接着剤、異方性導電インクなど様々な形態が挙げられる。これらの異方性導電材料を相対向する基材同士や電極端子間に設けることにより、良好な電気的接続が可能になる。なお、本発明の導電性微粒子を用いた異方性導電材料には、液晶表示素子用導通材料(導通スペーサーおよびその組成物)も含まれる。
前記バインダー樹脂としては、絶縁性の樹脂であれば特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などの熱可塑性樹脂;グリシジル基を有するモノマーやオリゴマーおよびイソシアネートなどの硬化剤との反応により硬化する硬化性樹脂組成物;光や熱により硬化する硬化性樹脂組成物;等が挙げられる。なお、異方性導電材料は、前記バインダー樹脂中に導電性微粒子を分散させ、所望の形態とすることで得られるが、例えば、バインダー樹脂と導電性微粒子とを別々に使用し、接続しようとする基材間や電極端子間に導電性微粒子をバインダー樹脂とともに存在させることによって接続してもかまわない。
本発明の導電性微粒子を含む異方性導電材料において、導電性微粒子の含有量は、用途に応じて適宜決定すればよいが、例えば、異方性導電材料の全量(100体積%)に対して1体積%以上が好ましく、より好ましくは2体積%以上、さらに好ましくは5体積%以上であり、50体積%以下が好ましく、より好ましくは30体積%以下、さらに好ましくは20体積%以下である。導電性微粒子の含有量が少なすぎると、充分な電気的導通が得られ難い場合があり、一方、導電性微粒子の含有量が多すぎると、導電性微粒子同士が接触してしまい、異方性導電材料としての機能が発揮され難い場合がある。
本発明でいう異方性導電材料におけるフィルム膜厚、ペーストや接着剤の塗工膜厚、印刷膜厚等については、使用する導電性微粒子の粒子径と、接続すべき電極の仕様とを考慮し、接続すべき電極間に導電性微粒子が狭持され、且つ接続すべき電極が形成された接合基板同士の空隙がバインダー樹脂層により充分に満たされるように、適宜設定することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
各実施例または比較例で得られた各導電性微粒子について、下記の方法により各種分析および導電性評価を行った。
<基材粒子および導電性微粒子の個数平均粒子径、変動係数(CV値)>
粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「コールターマルチサイザーIII型」)
により30000個の粒子の粒子径を測定し、個数基準の平均粒子径、粒子径の標準偏差を求めるとともに、下記式に従って粒子径の個数基準のCV値(変動係数)を算出した。粒子の変動係数(%)=100×(粒子径の標準偏差/個数基準平均粒子径)
なお、基材粒子、導電性微粒子の測定では、基材粒子または導電性微粒子の0.005質量部に界面活性剤(第一工業製薬社製「ハイテノール(登録商標)N−08」)の1質量%水溶液20質量部を加え、超音波で10分間分散処理を施すことにより得られた分散液を測定試料とした。
<基材粒子の20%K値の測定>
微小圧縮試験機(島津製作所製「MCT−W500」)を用いて、室温(25℃)において、試料台上に散布した試料粒子1個について、直径50μmの円形平板圧子を用いて、「標準表面検出」モードで粒子の中心方向へ一定の負荷速度(2.65mN/秒)で荷重をかけた。そして、圧縮変位が粒子径の20%となったときの荷重(mN)を測定し、得られた圧縮荷重、粒子の圧縮変位及び粒子径から、20%K値を算出した。なお、測定は各試料について、異なる10個の粒子に対して行い、平均した値を測定値とした。
<導電性金属層の厚みの測定>
電界放出形透過電子顕微鏡(TEM−EDS、日本電子株式会社製「JEM−2100F」)を用い、ミクロトームで薄切片とした導電性微粒子の断面を測定し、ホウ素含有量又はニッケル含有量を目安として純ニッケル層(ホウ素含有量0.1質量%未満)、及びホウ素含有ニッケル層(ホウ素含有量0.1質量%以上)の厚みを測定した。
<針状構造、粒状構造の測定方法>
電界放出形透過電子顕微鏡(TEM−EDS、日本電子株式会社製「JEM−2100F」)を用い、ミクロトームで薄切片とした導電性微粒子の断面を1万倍以上の倍率で撮影して、導電性微粒子の表面領域において、1つの針状構造の基材粒子側の端部(基底部)の中点と、導電性金属層表面側の端部(頂部)とを結ぶ線分の方向を針状構造の長さ(長手方向)とし、さらに上記線分に対して直交する直線を引いたときに、当該直線が針状構造の輪郭により切り取られる長さの内最大となるものを幅(幅方向)とした。
一方、粒状構造は、導電性微粒子をメノウ鉢に取り、これをすり潰すことにより導電性金属層の断面を露出させ、電界放射形走査電子顕微鏡(FE−SEM、日立製作所製「S−4800」)(10万倍)で観察した。
<抵抗値1の測定(ペースト法)>
導電性微粒子10質量部に、バインダー樹脂としてのエポキシ樹脂(三菱化学社製「JER828」)100質量部、硬化剤(三新化学社製「サンエイド(登録商標)SI−150」)2質量部及びトルエン100質量部を加えた混合物を、ステンレス製2枚攪拌羽根を備えた撹拌装置を用いて300rpmで10分間攪拌、分散させ、異方性導電ペーストを作製した。
得られた異方性導電ペーストをバーコーターで抵抗測定用のITO配線を有したガラス基板に塗布、乾燥し(厚み:20μm)、さらにアルミパターン(線幅300μm)を形成したガラス基板で挟み込み、5MPa、170℃の圧着条件で熱圧着するとともに、バインダー樹脂を硬化させることによって接続構造体を得た。得られた接続構造体の電極間の抵抗値(Ω)を4端子法により測定し、抵抗値が0.03Ω以下のものを○(良好)、抵抗値0.03Ω超のものを×(不良)と評価した。
<抵抗値2の測定(微小圧縮法)>
導電性微粒子を試料粒子とし、微小圧縮試験機(島津製作所社製「MCT−W200」;抵抗測定キット付属装置)を用いて、室温(25℃)において抵抗値(Ω)を測定した。具体的には、試料台上に散布した試料粒子1個について、直径50μmの円形平板圧子を用いて、粒子の中心方向へ一定の負荷速度(2.6mN/秒)で荷重をかけて測定を行った。10回測定を行い、粒子径の40%圧縮変形時の抵抗値の平均値を求め、抵抗値が5Ω以下のものを○(良好)、抵抗値5Ω超のものを×(不良)と評価した。
<ニッケル、ホウ素、リン含有率>
各ニッケル層中のニッケル、ホウ素及びリンの含有量は、ミクロトームにより導電性微粒子の断面を薄切片とし、電界放出形透過電子顕微鏡(TEM−EDS、日本電子株式会社製「JEM−2100F」)により測定した。
(基材粒子の製造)
製造例1
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水1800質量部、メタノール450質量部及び25質量%アンモニア水24質量部を入れ、次いで、攪拌下、滴下口から3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製「KBM−503」)100質量部及びメタノール150質量部の混合液を添加して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解、縮合反応を行い、シード粒子とするメタクリロイル基を有するポリシロキサン粒子(重合性ポリシロキサン粒子)の乳濁液を調製した。このポリシロキサン粒子の個数平均粒子径は1.46μmであった。
次いで、乳化剤としてのポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製「ハイテノール(登録商標)NF−08」)の20質量%水溶液10質量部をイオン交換水400質量部で希釈した溶液に、単量体成分としてスチレン440質量部及びジビニルベンゼン(新日鐵化学社製「DVB960」;ジビニルベンゼン含量96質量%)60質量部と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)4.8質量部とを加え、乳化分散させて単量体成分の乳化液を調整した。この乳化液を2時間攪拌した後、上記ポリシロキサン粒子の乳濁液中に添加し、さらに攪拌を行った。乳化液の添加から1時間後、混合液をサンプリングして顕微鏡で観察したところ、シード粒子であるポリシロキサン粒子が単量体を吸収して肥大化していることが確認された。
次に、得られた混合液に、上記と同じポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩の20質量%水溶液96質量部と、イオン交換水500質量部とを加え、窒素雰囲気下で65℃まで昇温させた後、65℃で2時間保持することにより、単量体成分のラジカル重合を行った。そして、ラジカル重合後の乳濁を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、メタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下80℃で4時間乾燥処理して、重合体粒子を得た。この重合体粒子に水酸化ナトリウム等によりエッチング処理を施して親水化処理し、得られた粒子を基材粒子(1)とした。この基材粒子(1)の個数平均粒子径は3.02μmであり、個数基準の粒子径の変動係数(CV値)は3.5%であった。また基材粒子(1)の20%K値は3297N/mm2であった。
製造例2
製造例1のポリシロキサンの製造において、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン100質量部に替えて、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン59.3質量部及びビニルトリメトキシシラン(KBM1003)40.7質量部を使用したこと以外は製造例1と同様にして、個数平均粒子径1.40μmのポリシロキサン粒子を得た。
次いで、単量体成分の乳化液として、製造例1で使用したスチレン440質量部及びジビニルベンゼン60質量部に替えてジビニルベンゼン500質量部を用いたこと、メタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下320℃で1時間の加熱処理を施したこと以外は製造例1と同様にして基材粒子(2)を得た。この基材粒子(2)の個数平均粒子径は3.04μmであり、個数基準の粒子径の変動係数(CV値)は2.8%であった。また基材粒子(2)の20%K値は8493N/mm2であった。
製造例3
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水2080質量部、メタノール520質量部、25%アンモニア水26質量部、及びポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩の20%水溶液50質量部を混合し、基材粒子(1)を100質量部分散させた後、ここに、シェル用単量体成分1(シェル用シラン単量体)として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン10質量部を加え2時間攪拌してコア粒子分散液を調製した。
異なるフラスコで、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩の20%水溶液0.9質量部をイオン交換水100質量部で溶解させたところに、シェル用単量体成分2(シェル用ビニル単量体)としてのDVB(ジビニルベンゼン、新日鐡化学社製「DVB960」)10質量部と、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、「V−65」)0.5質量部を溶解した溶液を加え、乳化分散させてシェル用単量体成分2の乳化液を調製した。
得られたシェル用単量体成分2の乳化液をコア粒子分散液に加え1時間攪拌した後、窒素雰囲気下で反応液を65℃まで昇温させて2時間保持し、単量体成分のラジカル重合を行った。ラジカル重合後の乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、メタノールで洗浄した後、80℃で4時間真空乾燥させて基材粒子(3)を得た。この基材粒子(3)の個数平均粒子径は3.10μmであり、個数基準の粒子径の変動係数(CV値)は3.8%であった。また基材粒子(3)の20%K値は3262N/mm2であった。基材粒子(3)の断面を走査型電子顕微鏡(SEM、倍率1万倍以上)で撮像したSEM画像では、基材粒子(3)表面に平均高さ50nm、底面の円相当径125nmの凸部が確認された。
ここで、上記平均高さとは、SEM画像において、基材粒子(3)の周縁部に存在する凸部の境界と球状部の境界とが交わる2点(凸部断面の底辺両端部)を結んだ線分の長さ(凸部の境界と球状部の境界とが交わる2点間の距離)を底面の円相当平均径とし、当該線分から、凸部の内最も高い部分までの垂直距離を高さとして測定した。凸部50個の高さ及び底辺直径を測定し、平均して、基材粒子(3)の平均高さ及び平均底辺直径を求めた。
実施例1
製造例1で製造した基材粒子(1)に、直接無電解メッキ処理を施して導電性微粒子を製造した。具体的には、基材粒子(1)21gをカチオン系界面活性剤(市販品)にて処理して、基材粒子の表面を改質した。次いで、水洗した後、得られた粒子を、塩化パラジウム100mg/L、塩化スズ10g/Lおよび濃塩酸100mL/Lからなる水溶液に浸漬し、ろ過および水洗を行った後、10質量%塩酸で処理して、基材粒子表面にパラジウム触媒を坦持させた。
次いで、得られた触媒化基材粒子を水洗した後、カチオン系界面活性剤(市販品)を含有する純水中に加えてスラリーを作製した。このスラリーを、70℃に加温した純水2000mL中に投入して撹拌することにより、触媒化基材粒子分散液を調製した。次に、得られた触媒化基材粒子分散液を撹拌しながら、該触媒化基材粒子分散液に、以下の組成で調製した200mLの無電解ニッケルメッキ液(1−1)を160mL/minの滴下速度で滴下した。
無電解ニッケルメッキ液(1−1)は、硫酸ニッケル30g/L、コハク酸ナトリウム50g/L、塩化アンモニウム30g/L、ジメチルアミンボラン3.4g/Lとなるよう調製したものである。なお、滴下に供した無電解ニッケルメッキ液(1−1)はpH6.0に調整し、70℃に加温しておいた。無電解ニッケルメッキ液(1−1)の滴下終了後、60分間撹拌を継続して反応を完結させた。
次いで、生じた無電解めっき粒子をろ過し、水洗を施した後、さらに純水を加え、スラリーを作製した。このスラリーを、80℃に加温した純水1000mL中に投入して撹拌することにより、ホウ素含有ニッケル層被覆粒子分散液を調製した。
該ホウ素含有ニッケル層被覆粒子分散液に、以下の組成に調製した2000mLの無電解ニッケルメッキ液(1−2)を120mL/minの滴下速度で滴下した。
無電解ニッケルメッキ液(1−2)は、塩化ニッケル2.6g/L、酒石酸ナトリウム5.6g/L、ヒドラジン32g/Lとなるよう調製したものである。なお、滴下に供した無電解ニッケルメッキ液(1−2)はpH10.0に調整し、90℃に加温しておいた。
無電解ニッケルメッキ液の滴下終了後、60分間撹拌を継続して反応を完結させた。その後、生じた無電解メッキ粒子をろ過し、水洗、乾燥を施して、導電性微粒子(1)を得た。この導電性微粒子(1)のホウ素含有ニッケル層の厚さは0.037μm、純ニッケル層の厚さは0.037μmであった。また、ホウ素含有ニッケル層のニッケル含有率は97.0質量%、ホウ素含有率は3.0質量%であり、純ニッケル層のニッケル含有量は100質量%でホウ素及びリンを含まないものであった。導電性微粒子(1)についての分析及び評価結果を表1に示す。
実施例2〜3
基材粒子(1)に替えて、基材粒子(2)(実施例2)、基材粒子(3)(実施例3)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性微粒子(2)及び(3)を得た。導電性微粒子(2)のホウ素含有ニッケル層の厚さは0.037μm、純ニッケル層の厚さは0.037μmであり、導電性微粒子(3)のホウ素含有ニッケルメッキ層の厚さは0.037μm、純ニッケル層の厚さは0.037μmであった。導電性微粒子(2)のホウ素含有ニッケル層のニッケル含有率は97.1質量%、ホウ素含有率は2.9質量%であり、純ニッケル層のニッケル含有量は100質量%でホウ素及びリンを含まないものであり、導電性微粒子(3)のホウ素含有ニッケル層のニッケル含有率は97.0質量%、ホウ素含有率は3.0質量%であり、純ニッケル層のニッケル含有量は100質量%でホウ素及びリンを含まないものであった。導電性微粒子(2)、(3)についての分析及び評価結果を表1に示す。
比較例1
実施例1と同様の方法で基材粒子(1)の表面にパラジウム触媒を担持させ、得られた触媒化基材粒子を水洗した後、カチオン系界面活性剤(実施例1と同様)を含有する純水中に加えてスラリーを作製した。このスラリーを、50℃に加温した純水2000mL中に投入して撹拌することにより、触媒化基材粒子分散液を調製した。次に、得られた触媒化基材粒子分散液を撹拌しながら、該触媒化基材粒子分散液に、以下の組成で調製した300mLの無電解ニッケルメッキ液(1)を160mL/minの滴下速度で滴下した。
無電解ニッケルメッキ液(2−1)は、硫酸ニッケル20g/L、クエン酸ナトリウム30g/L、塩化アンモニウム30g/L、次亜リン酸ナトリウム15g/Lとなるよう調製したものである。なお、滴下に供した無電解ニッケルメッキ液(2−1)はpH9.0に調整し、50℃に加温しておいた。
無電解ニッケルメッキ液(2−1)の滴下終了後、60分間撹拌を継続して反応を完結させた。生じた無電解めっき粒子をろ過し、水洗を施した後、さらに純水を加え、スラリーを作製した。このスラリーを、90℃に加温した純水1000mL中に投入して撹拌することにより、リン含有ニッケル層被覆粒子分散液を調製した。
次いで、該リン含有ニッケル層被覆粒子分散液に、以下の組成で調製した2000mLの無電解ニッケルメッキ液(2)を120mL/minの滴下速度で滴下した。
無電解ニッケルメッキ液(2−2)は、塩化ニッケル2.6g/L、酒石酸ナトリウム5.6g/L、ヒドラジン32g/Lとなるよう調製したものである。なお、滴下に供した無電解ニッケルメッキ液(2−2)はpH10.0に調整し、90℃に加温しておいた。
無電解ニッケルメッキ液の滴下終了後、60分間撹拌を継続して反応を完結させた。その後、生じた無電解メッキ粒子をろ過し、水洗、乾燥を施して、導電性微粒子(4)を得た。この導電性微粒子(4)のリン含有ニッケル層の厚さは0.037μm、純ニッケル層の厚さは0.037μmであった。また、リン含有ニッケル層のニッケル含有率は96.0質量%、リン含有率は4.0質量%であり、純ニッケル層のニッケル含有量は100質量%でホウ素及びリンを含まないものであった。
導電性微粒子(4)についての分析及び評価結果を表1に示す。
比較例2
実施例1と同様の方法で基材粒子(1)の表面にパラジウム触媒を担持させ、得られた触媒化基材粒子を水洗した後、カチオン系界面活性剤(実施例1と同様)を含有する純水中に加えてスラリーを作製した。このスラリーを、90℃に加温した純水1000mL中に投入して撹拌することにより、触媒化基材粒子分散液を調製した。該触媒化基材粒子分散液に、以下の組成で調製した4000mLの無電解ニッケルメッキ液(3−2)を120mL/minの滴下速度で滴下した。
無電解ニッケルメッキ液(3−2)は、塩化ニッケル2.6g/L、酒石酸ナトリウム5.6g/L、ヒドラジン32g/Lとなるよう調製したものである。なお、滴下に供した無電解ニッケルメッキ液(3−2)はpH10.0に調整し、90℃に加温しておいた。
無電解ニッケルメッキ液の滴下終了後、60分間撹拌を継続して反応を完結させた。その後、生じた無電解メッキ粒子をろ過し、水洗、乾燥を施して、導電性微粒子(5)を得た。この導電性微粒子(5)の純ニッケル層の厚さは0.075μmであり、純ニッケル層のニッケル含有量は100質量%でホウ素及びリンを含まないものであった。導電性微粒子(5)は、凝集が著しく、導電性微粒子を1個ずつ個別に取り出し難いものであった。
導電性微粒子(5)についての分析及び評価結果を表1に示す。
表1より、導電性金属層として、基材粒子上にホウ素含有ニッケル層と純ニッケル層とをこの順で有する実施例1〜3の導電性微粒子は抵抗値1、2が共に低く、安定した電気接続性を有することがわかる。これは実施例1〜3の導電性微粒子が、純ニッケル層を最外層として有しているため、圧縮荷重負荷時にも導電性金属層の割れが防止されて、純ニッケル層に由来する特性(低電気抵抗)が維持されると共に、下地層であるホウ素含有ニッケル層により電極酸化層への食い込み性が改善されたことによるものと考えられる。また、図2に示すように実施例1の純ニッケル層表面には針状構造が確認でき、当該針状構造も電極酸化層への食い込み性に寄与しているものと考えられる。
これに対して、比較例1の導電性微粒子は、下地層が軟質なリン含有ニッケル層であるため、圧縮荷重負荷時に導電性微粒子が電極酸化層へ十分に食い込めず抵抗値が上昇したものと考えられる。また図3に示す通り、比較例1の導電性微粒子ではリン含有ニッケル層と純ニッケル層と層が接する界面が明確に確認できる。すなわち、比較例1では、導電性金属層全体としての均質性が低下し、リン含有ニッケル層と純ニッケル層との連続性が得られていないことも、抵抗値の上昇に影響していると推察される。また、比較例2の導電性微粒子は、最外層が純ニッケル層であるため抵抗値2(微小圧縮法)は良好であったが、抵抗値1(ペースト法)は実施例1〜3に比べて高い値を示していた。これは、硬化樹脂中でも導電性微粒子が凝集しており十分な電気的導通が得られなかったためと考えられる。
本発明の導電性微粒子は、基材粒子表面を被覆する導電性金属層として、基材粒子上に、ホウ素含有ニッケル層と、純ニッケル層とをこの順で有しており、導電性微粒子の最表層が純ニッケル層で構成されているため、電気抵抗が低く、高い導電性を有する。したがって、本発明の導電性微粒子は、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、異方性導電接着剤、異方性導電インク等の異方性導電材料に極めて有用である。
1.基材粒子
2.ホウ素含有ニッケル層
3.純ニッケル層

Claims (4)

  1. 基材粒子と、該基材粒子の表面を被覆する導電性金属層とを有し、
    前記導電性金属層が、基材粒子上に、ホウ素含有ニッケル層と、純ニッケル層とをこの順で有することを特徴とする導電性微粒子。
  2. 前記ホウ素含有ニッケル層中のホウ素の含有量が0.1質量%以上、5.0質量%以下である請求項1に記載の導電性微粒子。
  3. 前記基材粒子は、基材粒子を構成する全単量体に占める架橋性単量体の割合が1質量%以上、100質量%以下である単量体組成物を重合して得られたものである請求項1又は2に記載の導電性微粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の導電性微粒子を含む異方性導電材料。
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