JP2016094681A - 編地 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリウレタン弾性繊維を芯糸としたカバリングヤーンを用いて天竺組織に編成された編地であって、該編地裏面のループ同士の位置が、下記式(1)及び式(2)の関係式:
編地の裏面を、ウェール方向を軸として二つ折りし観察した際の、隣り合うニードルループとシンカーループに関して、該ニードルループの中心部の鉛直方向に対する傾きaN°とシンカーループの中心部の鉛直方向に対する傾きの和aS°との和(aNS°=aN°+aS°)が、aN°+aS°≦40°...式(1);
編地の裏面を、ウェール方向を軸として二つ折りし観察した際の、隣り合うニードルループとシンカーループの中心部の距離Dが、D≦350μm...式(2);
を満たす前記編地。
【選択図】図1
Description
中でも、生産設備や生産性、汎用性、消費性能の観点から、フライス、スムース、天竺などの組織が一般的である。特に天竺については、シングル編機により、天竺にポリウレタン弾性繊維を挿入したベア天竺組織が、ベアフライス、ベアスムース対比薄く身体にフィットした編地に仕上げることができることから、好んで用いられている。
[1]ポリウレタン弾性繊維を芯糸としたカバリングヤーンを用いて天竺組織に編成された編地であって、該編地裏面のループ同士の位置が、下記式(1)及び式(2)の関係式:
編地の裏面を、ウェール方向を軸として二つ折りし観察した際の、隣り合うニードルループとシンカーループに関して、該ニードルループの中心部の鉛直方向に対する傾きaN°とシンカーループの中心部の鉛直方向に対する傾きの和aS°との和(aNS°=aN°+aS°)が、aN°+aS°≦40°...式(1);
編地の裏面を、ウェール方向を軸として二つ折りし観察した際の、隣り合うニードルループとシンカーループの中心部の距離Dが、D≦350μm...式(2);
を満たす前記編地。
[2]さらに、以下の式(3):
編地の裏面を、ウェール方向を軸として二つ折りし観察した際の、隣り合うニードルループとシンカーループの中心部の高さの差ΔHが、ΔH≦110μm...式(3);
を満たす、前記[1]に記載の編地。
[3]前記編地を構成する糸のうち、ポリウレタン弾性繊維を除く、少なくとも一種類以上が長繊維糸条である、前記[1]又は[2]に記載の編地。
[4]前記編地を構成する糸のうち、ポリウレタン弾性繊維を除く、少なくとも二種類以上が長繊維糸条である、前記[3]に記載の編地。
[5]前記編地を構成する糸が全て長繊維糸条である、前記[1]又は[2]に記載の編地。
[6]前記編地のセルロース混率が20重量%以上である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の編地。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかに記載の編地を肌に直接触れる部分として用いた衣料。
本実施態様の編地は、天竺組織からなる。天竺組織には伸度と伸長回復性、フィット性や運動追随性を高めるために、ポリウレタン弾性繊維をベア挿入する手法が一般的である。この場合、ポリウレタン弾性繊維と、その他構成糸条との伸度の差が大きく、編成ループ中に空間が生じやすい。そこで、本実施形態の編地は、ポリウレタン弾性繊維を芯糸とし、その他構成糸条を鞘糸とし、広義のカバリングヤーンで編成することを特徴とする。これにより、本実施形態においては、ポリウレタン弾性繊維をベア挿入する場合よりも、編成ループの凹凸を一層小さくすることができる。
ポリウレタン弾性繊維の混率は、生地重量の30%以下であることが好ましいが、着用時の適度なフィット感を考慮し、より好ましくは5%以上20%以下である。
(1)ループ間角度の和(aNS°)
編地の裏面を観察しやすい大きさにカットし、ウェール方向(経方向)を軸として二つ折りにする。マイクロスコープ、より好ましくは3D解析機能が付与されたマイクロスコープで、この二つ折りにした生地をステージ上に置き、上からスライドガラスを静かに載せる。編地の曲率が最も高いところに焦点を合わす。倍率としては、100倍〜200倍、特に130〜150倍が観察しやすいため好ましい。隣り合うニードルループとシンカーループに着眼し、該ニードルループの中心部の鉛直方向に対する傾きaN°とシンカーループの中心部の鉛直方向に対する傾きaS°とを読み、それらの和aNS°=aN°+aS°を求める(図1参照)。傾きはマイクロスコープに付与された、画像解析機能を用いると簡易に求められる。機能が無ければ、画像を取り込んだ後、印刷してから読んでもよい。ランダムに同じ編地の中で、ニードルループとシンカーループ各々20個のループ間角度を読み、aNS°を平均して求める。
編地の裏面を観察しやすい大きさにカットし、ウェール方向(経方向)を軸として二つ折りにする。マイクロスコープ、より好ましくは3D解析機能が付与されたマイクロスコープで、この二つ折りにした生地をステージ上に置き、上からスライドガラスを静かに載せる。編地の曲率が最も高いところに焦点を合わす。倍率としては、100倍〜200倍、特に130〜150倍が観察しやすいため好ましい。隣り合うニードルループとシンカーループの中心部の距離Dを読む(図2参照)。距離Dはマイクロスコープに付与された、画像解析機能を用いると簡易に求められる。機能が無ければ、画像を取り込んだ後、印刷してから読んでもよい。ランダムに同じ編地の中で、ニードルループとシンカーループ各々20個のループ間距離を読み、平均して求める。
編地の裏面を観察しやすい大きさにカットし、ウェール方向(経方向)を軸として二つ折りにする。マイクロスコープ、より好ましくは3D解析機能が付与されたマイクロスコープで、この二つ折りにした生地をステージ上に置き、上からスライドガラスを静かに載せる。編地の曲率が最も高いところに焦点を合わす。倍率としては、100倍〜200倍、特に130〜150倍が観察しやすいため好ましい。隣り合うニードルループとシンカーループの中心部の高さ差ΔHを読む(図3参照)。高さの差はマイクロスコープに付与された、画像解析機能を用いると簡易に求められる。機能が無ければ、画像を取り込んだ後、印刷してから読んでもよい。ランダムに同じ編地の中で、ニードルループとシンカーループ各々20個のループ間高さ差を読み、平均して求める。
出来上がった編地の目付(g/m2)、C、W数(/inch)を測定する。次いで、1m2当たりのループ数を算出する。目付と、糸条Aと糸条Bからなる鞘糸、ポリウレタン弾性繊維の混率から、カバリングヤーンが1m2中に存在する長さを算出する。この長さを、前述の1m2当たりのループ数で除し、100を乗算することで100ウェール中の編込み長が算出される。
例えば、目付が150g/m2、C/W=80/60、カバリングヤーンの繊度:100dt、28G編機により編成された天竺で、素材混率がキュプラ:45%、ポリアミド:40%、ポリウレタン弾性繊維15%であった場合、
80×(100/2.54)×60×(100/2.54)=7440015(個)
(150g/100dt)×10000=15000 (m)
(150g/100dt)×1000=15000000 (mm)
編込み長R=15000000/7440015×100=202(mm)が求められる。当該カバリングヤーンの繊度は、0.1g/dの荷重をかけた状態で1mをカットしたヤーンを9本用意し、1000を乗じてデニールを求め、デシテックスに変換して求めた値とする。尚、いずれの重量も、20℃65%RHの恒温室にて、調湿された状態で測定する。
10人のモニターに試作編地で作製した肌着Tシャツを30℃60%RHの環境で着用させ、着脱時及び着用動作時の触感(ちくちく、ざらざら感)を主体とした肌触りを下記の5段階で官能評価させた。この平均値を評価結果とした。
5:なめらかで、編地がきめ細かく、肌触りが大変良い
4:なめらかで、編地がきめ細かく、肌触りが良い
3:どちらともいえない
2:ちくちく、ざらざら感があり、編地に凹凸感あり、肌触りがやや悪い
1:ちくちく、ざらざら感があり、編地に凹凸感強く、肌触りがとても悪い
10人のモニターに試作編地で作成した肌着Tシャツを30℃60%RHの環境で着用させ、官能により、蒸れを主体とする清涼感を下記の5段階で官能評価させた。この平均値を評価結果とした。
5:蒸れを感じず、清涼
4:蒸れをほとんど感じず、概ね清涼
3:どちらともいえない
2:蒸れをやや感じ、やや蒸し暑い
1:蒸れを感じやすく、蒸し暑い
44dtex48fの丸断面ポリアミド半延伸糸を仮撚加工して得た仮撚フィラメントと、33dtex2fのポリウレタン弾性繊維を延伸して44dtex45fの丸断面キュプラと引き揃えた糸条とを、インターレース混繊により複合させて得たカバリングヤーン(99dtex95f)を36Gの丸編機で編成し、キュプラ混率45%、ポリアミド
40%、ポリウレタン弾性繊維15%の天竺編地を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が90、ウェール数が50の生地1を得た。機上での供糸量、及びファイナルセット時の幅出しについては、仕上がり編地の編込み長Rが197mmになるように調整した。
この編地(生地1)からなる肌着Tシャツは、肌触りがよく、清涼感も高いものとなった。この編地のループ間角度aNS°、ループ間距離、ループ間高さ差を以下の表1に示す。
44dtex48fの丸断面ポリアミド半延伸糸を仮撚加工して得た仮撚フィラメントと、33dtex2fのポリウレタン弾性繊維を延伸して44dtex45fの丸断面キュプラと引き揃えた糸条とを、インターレース混繊により複合させて得たカバリングヤーン(99dtex95f)を28Gの丸編機で編成し、キュプラ混率45%、ポリアミド40%、ポリウレタン弾性繊維15%の天竺編地を得た。この生地を、パドル染色機を用いて製品染めし、スチームセットでは、コース数が80、ウェール数が50になるように調整した生地2を得た。機上での供糸量は、仕上がり編地の編込み長Rが483mmになるように調整した。
この編地(生地2)からなる肌着Tシャツは、肌触りがよく、清涼感も高いものとなった。この編地のループ間角度aNS°、ループ間距離、ループ間高さ差を以下の表1に示す。
56dtex24fの丸断面ポリエステル半延伸糸を仮撚加工して得た仮撚フィラメントと、33dtex2fのポリウレタン弾性繊維を延伸して33dtex24fの丸断面キュプラと引き揃えた糸条とを、インターレース混繊により複合させて得たカバリングヤーン(90dtex50f)を36Gの丸編機で編成し、ポリエステル50%、キュプラ混率40%、ポリウレタン弾性繊維10%の天竺編地を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が88、ウェール数が47の生地3を得た。機上での供糸量、及びファイナルセット時の幅出しについては、仕上がり編地の編込み長Rが202mmになるように調整した。
この編地(生地3)からなる肌着Tシャツは、肌触りがよく、清涼感も高いものとなった。この編地のループ間角度aNS°、ループ間距離、ループ間高さ差を以下の表1に示す。
44dtex48fの丸断面ポリアミド半延伸糸を仮撚加工して得た仮撚フィラメントと、17dtex2fのポリウレタン弾性繊維を延伸して33dtex24fの丸断面キュプラと引き揃えた糸条とを、インターレース混繊により複合させて得たカバリングヤーン(75dtex74f)を28Gの丸編機で編成し、キュプラ混率44%、ポリアミド
48%、ポリウレタン弾性繊維8%の天竺編地を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が82、ウェール数が54の生地4を得た。機上での供糸量、及びファイナルセット時の幅出しについては、仕上がり編地の編込み長Rが251mmになるように調整した。
この編地(生地4)からなる肌着Tシャツは、肌触りがよく、清涼感も高いものとなった。この編地のループ間角度aNS°、ループ間距離、ループ間高さ差を以下の表1に示す。
39dtex10fの丸断面ポリアミド半延伸糸(POY)を仮撚加工して得た仮撚フィラメントと84dtex24fのビスコースレーヨンをインターレース混繊した複合糸と、22dtex3fのポリウレタンを28Gシングル丸編機で交編し、レーヨン混率66%、ポリアミド混率26%、ポリウレタン混率8%のベア天竺を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が55、ウェール数が42の生地5を得た。機上での供糸量、及びファイナルセット時の幅出しについては、仕上がり編地の編込み長Rが297mmになるように調整した。
この編地(生地5)からなる肌着Tシャツは、肌触りが悪く、ちくちく感じ、清涼感が得られなかった。この編地のループ間角度aNS°、ループ間距離、ループ間高さ差を、以下の表1に示す。
41dtex13fの丸断面ポリアミド半延伸糸(POY)を仮撚加工して得た仮撚フィラメントと84dtex24fのビスコースレーヨンをインターレース混繊した複合糸と、22dtex3fのポリウレタンを28Gシングル丸編機で交編し、レーヨン混率64%、ポリアミド混率28%、ポリウレタン混率8%のベア天竺を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が57、ウェール数が42の生地6を得た。機上での供糸量、及びファイナルセット時の幅出しについては、仕上がり編地の編込み長Rが304mmになるように調整した。
この編地(生地6)からなる肌着Tシャツは、肌触りが悪く、ちくちく感じ、清涼感が得られなかった。この編地のループ間角度aNS°、ループ間距離、ループ間高さ差を、以下の表1に示す。
40/−の綿を28Gシングル丸編機により、綿混率が100%の天竺を得た。この生地を、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が45、ウェール数が30の生地7を得た。機上での供糸量、及びファイナルセット時の幅出しについては、仕上がり編地の編込み長Rが474mmになるように調整した。
この編地(生地7)からなる肌着Tシャツは、肌触りが悪く、ちくちく感じ、清涼感が得られなかった。この編地のループ間角度aNS°、ループ間距離、ループ間高さ差を、以下の表1に示す。
78dtex24fの三角断面ポリアミド仮撚加工糸で44dtex3fのポリウレタンをカバリングして得たカバリングヤーン(93dtex27f)を28Gの丸編機で編成し、ポリアミド混率85%、ポリウレタン混率15%の天竺編地を得た。この生地をプレセットした後、液流染色機を用いて精練、染色し、ファイナルセット後にコース数が52、ウェール数が44の生地8を得た。機上での供糸量、及びファイナルセット時の幅出しについては、仕上がり編地の編込み長Rが509mmになるように調整した。
この編地(生地8)からなる肌着Tシャツは、肌触りが悪く、ざらざら感じ、清涼感が得られなかった。この編地のループ間角度aNS°、ループ間距離、ループ間高さ差を、以下の表1に示す。
Claims (7)
- ポリウレタン弾性繊維を芯糸としたカバリングヤーンを用いて天竺組織に編成された編地であって、該編地裏面のループ同士の位置が、下記式(1)及び式(2)の関係式:
編地の裏面を、ウェール方向を軸として二つ折りし観察した際の、隣り合うニードルループとシンカーループに関して、該ニードルループの中心部の鉛直方向に対する傾きaN°とシンカーループの中心部の鉛直方向に対する傾きの和aS°との和(aNS°=aN°+aS°)が、aN°+aS°≦40°...式(1);
編地の裏面を、ウェール方向を軸として二つ折りし観察した際の、隣り合うニードルループとシンカーループの中心部の距離Dが、D≦350μm...式(2);
を満たす前記編地。 - さらに、以下の式(3):
編地の裏面を、ウェール方向を軸として二つ折りし観察した際の、隣り合うニードルループとシンカーループの中心部の高さの差ΔHが、ΔH≦110μm...式(3);
を満たす、請求項1に記載の編地。 - 前記編地を構成する糸のうち、ポリウレタン弾性繊維を除く、少なくとも一種類以上が長繊維糸条である、請求項1又は2に記載の編地。
- 前記編地を構成する糸のうち、ポリウレタン弾性繊維を除く、少なくとも二種類以上が長繊維糸条である、請求項3に記載の編地。
- 前記編地を構成する糸が全て長繊維糸条である、請求項1又は2に記載の編地。
- 前記編地のセルロース混率が20重量%以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の編地。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の編地を肌に直接触れる部分として用いた衣料。
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