JP2011140733A - 編地 - Google Patents

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Abstract

【課題】着用時に快適性に優れ、運動等により発汗した際にも、その汗によるベタツキ感や濡れ感を感じにくく、肌触りも良好な編地を提供すること。
【解決手段】セルロース系長繊維が5〜25%含まれ、かつ、その厚みが0.5〜1.2mmである編地であって、該編地の少なくとも一方の表面にはセルロース系長繊維が配されず、該編地の他方の表面に、又は該編地の他方の表面及び該編地の中間層にセルロース系長繊維が配された構造を有し、該セルロース系長繊維が配された面の凸部と凹部の高さの差が0.15〜0.50mmであり、かつ、該セルロース系長繊維が配された面の200g/m水分付与時の接触冷感性が200〜330W/m・℃であることを特徴とする前記編地。
【選択図】なし

Description

本発明は編地に関する。より詳細には、本発明は、吸湿性、着用時の快適性に優れ、運動等により発汗した際にも、その汗によるベタツキ感や濡れ感を感じにくく、肌触りや外観も良好なインナーウエア、スポーツウエア、寝具等に好適に用いられる編地に関する。
綿、キュプラなどのセルロース系素材は吸湿性、吸水性に優れ、衣服として用いた場合、汗をかいていない状態(不感蒸泄時)や少量の発汗時には非常に快適である。しかし、夏季や運動時に発汗量が概ね100g/mを超える時には、セルロース系素材が吸った汗を保持しやすいため、いわゆるベタツキ感や運動後の冷え感を生じやすい。特に、汗の量が概ね200g/mを超える時には、このベタツキ感や冷え感は深刻で、非常に不快となる。
これらの不快感を防止するための方法として、汗を衣服の肌側から表側に移行させ、肌側に水分を残さないことを狙い、種々の布帛の検討が進められている。その多くは肌側に疎水性繊維を用いることによるものであり、使用する糸の単糸繊度や断面形状を編地表側と裏側で異ならせた布帛などが各種提案されている。
例えば、以下の特許文献1には、編地表側に綿のような吸水能力に優れた繊維、編地裏側にポリエステルフィラメントのような吸水能力の劣る繊維を使用することで編地裏側に水分を残さない構造とし、ベタツキ感や冷え感を抑制する編地が提案されている。特許文献1では、べたつき低減の効果を発現できるが、合成繊維フィラメントが肌側に配置されているため、肌触りが良いとはいえず、特に汗をかいていない状況もしくは汗の量が少ない状況では不快である。
以下の特許文献2と3には、編地裏(肌)側に親水性繊維を含んだ編地も開示されている。特許文献2では、編地裏(肌)側に親水性繊維、編地裏側に疎水性繊維を使用し、編地裏(肌)側の密度を編地表側の密度よりも大きくし、編地裏(肌)側に凹凸を付与することで、肌のサラサラ感を有する編地が開示されている。しかし、該編地は、高密度でかつ親水性繊維の混率が25〜75%と非常に高いため、肌側に保水され、凹凸があってもベタツキ感は大きく、衣料用途としての肌DRY性は不十分である。一方、特許文献3では、裏(肌)側に吸湿繊維が配された2層構造編地が開示されている。しかし、該2層構造編地は、裏側に紡績糸が使用されているために皮膚摩擦抵抗が大きく、皮膚刺激や肌触りの点で問題があった。
このように、肌触りがよく、不感蒸泄時や少量の発汗時にムレがなく快適で、かつ、発汗した際にもベタツキ感や冷え感を抑制する布帛は現状では見当たらない。
特開2001−81652号公報 特開2004−190151号公報 実開昭57−192985号公報
本発明が解決しようとする課題は、不感蒸泄時や少量の発汗時にムレがなく快適で、かつ、運動等により発汗した際にも、その汗によるベタツキ感や濡れ感を感じにくく、肌触りも良好な編地を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究し、実験を重ねた結果、肌に接触する編地裏面にセルロース系長繊維を含み、特定の厚みと凹凸構造をもつことで上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]セルロース系長繊維が5〜25%含まれ、かつ、その厚みが0.5〜1.2mmである編地であって、該編地の少なくとも一方の表面にはセルロース系長繊維が配されず、該編地の他方の表面に、又は該編地の他方の表面及び該編地の中間層にセルロース系長繊維が配された構造を有し、該セルロース系長繊維が配された面の凸部と凹部の高さの差が0.15〜0.50mmであり、かつ、該セルロース系長繊維が配された面の200g/m水分付与時の接触冷感性が200〜330W/m・℃であることを特徴とする前記編地。
[2]前記セルロース系長繊維が配された面の皮膚摩擦抵抗値が10〜17V・Sである、前記[1]に記載の編地。
[3]前記セルロース系長繊維が、ポリエステル系又はポリアミド系長繊維との複合糸である、前記[1]又は[2]に記載の編地。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の編地からなり、かつ、前記セルロース系長繊維が配された面が着用時に肌側に位置する繊維製品。
本発明の編地は、吸湿性に優れるために不感蒸泄時や少量の発汗時にムレがなく快適で、運動等により発汗した際にも、その汗によるベタツキ感や濡れ感を感じにくく、肌触りも良好であるため、インナーウエア、スポーツウエア、寝具用の編地として使用することができる。
本発明の編地組織図の一例である。 本発明の編地組織図の一例である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の編地には、セルロース系長繊維が約5〜約25%含まれている。
セルロース系長繊維とは、レーヨン、キュプラ、アセテート等の再生セルロース長繊維をいい、綿や再生セルロース短繊維などのセルロース短繊維に比べ、毛羽が少なく、糸表面がなめらかであるため肌への摩擦抵抗が小さく、肌触りが良い。再生セルロース長繊維のうちレーヨン長繊維、キュプラ長繊維は、原料の綿に比べ繊維の水分率も大きく吸湿効果が大きいため、好ましい。特にキュプラ長繊維はレーヨン長繊維に比べて繊維1本の表面形状もなめらかであり、繊度も細いため非常に肌触りが良く、より好ましい。これらの繊維を肌側に配することにより、吸湿性と肌触りに優れ、不感蒸泄時や少量の発汗時にムレがなく快適な編地とすることができる。セルロース長繊維の含有量が約5%より低いと吸湿性が小さく、肌触り改善効果が期待できず編地は快適性に劣り、一方、約25%を超える場合には後述する発汗時のべたつきが大きくなるため、編地は快適性に劣る。
セルロース系長繊維の繊度は特に限定されないが、約22〜約84デシテックス(dtex)が好ましく、約33〜約56dtexがより好ましい。セルロース系長繊維の単糸繊度も特に限定されないが約0.5〜約2dtexが、肌触りの観点から、好ましい。
セルロース系長繊維を編地に含有させる際に、ポリエステル系やポリアミド系などの合繊の長繊維や短繊維と交編して用いることが可能であるが、セルロース系長繊維は、ポリエステル系又はポリアミド系長繊維との複合糸として編地に配されていることが、汗処理の観点から好ましい。複合する際には肌触りを損ねないよう、合繊の長繊維の繊度が約22〜約84dtex、単糸繊度が約0.5〜約2dtexのマルチフィラメント糸が好ましい。合繊の長繊維は、汗をかいた際の拡散による汗処理の観点から異型断面であることが好ましく、W型断面繊維は異型で扁平であるため、汗処理とやわらかさの双方を満たし、より好ましい。
このような、セルロース系長繊維と合繊の長繊維との複合糸は、他の繊維と交編されて編地に配される。交編相手は合繊の長繊維、特にポリエステル系又はポリアミド系長繊維であることが好ましく、繊度が約22〜約84dtex、単糸繊度が約0.5〜約2dtexのマルチフィラメント糸が好ましい。
本発明の編地は、編地の少なくとも一方の表面にはセルロース系長繊維が配されず、編地の他方の表面、又は編地の他方の表面及び編地中間層にセルロース系長繊維が配された構造であることを特徴としている。以下、セルロース系長繊維が配されていない面を編地表面、セルロース系長繊維が配されている面を編地裏面と呼称する。この編地の表裏は、編地製造における表裏と同一であっても異なっていてもよいが、後述する編成条件の点から、同一であることが好ましい。
編地の少なくとも一方の表面にセルロース系長繊維が配されていることによって、この面(裏面)を繊維製品の着用時肌側(肌面)に配置したときに、目的の肌触りや快適性を得ることができる。しかしながら、編地の両面にセルロース系長繊維が配されていると、着用時の繊維製品表面側が摩擦で糸切れが発生しやすく、また、他の交編又は複合繊維と色差や光沢差が生じやすく外観を損なうおそれがある。
本発明の編地の厚みは約0.5〜約1.2mmである。
編地の厚みは、Peacock社製の厚み測定器を用い、φ3.0cmの測定部を5gの荷重にて編地に接触させ、3か所で測定して平均する。厚みが約0.5mmより小さい場合には汗処理性に乏しく、快適感が得にくく、一方、厚みが約1.2mmを超える場合には生地のごわつきが大きくなり、肌触りを損ねる。
また、本発明の編地には、裏面、すなわちセルロース系長繊維が配された側の面に凹凸があり、該表面の凸部と凹部の高さの差は約0.15〜約0.50mmである。
編地の表面に凹凸をつけることで接触冷温感が小さくなるために、この面を肌面として使用したときに、汗をかいたときのベタツキを軽減することが可能となる。凸部と凹部の高さの差が約0.15mm未満では肌との接触面積が凹凸のないものと変わらないことから、凹凸があるとはいえず、編地のベタツキ感が大きくなるため好ましくない。これに反し、凸部と凹部の高さの差が約0.15mm以上であれば、編地のセルロースを含む側を肌面として着用した時の肌と編地の接触面積が少なくなり、編地が水分を吸った時にベタツキ感が低減される。一方、凸部と凹部の高さの差が約0.50mmを超えると、着用等で圧力がかかったときに、凸部が折れ曲がり、結果的には接触面積が大きくなり、ベタツキ感が大きくなることがあり、また、生地として厚みの大きいものとなり、ごわつきが大きくなる他、蒸れる等の着用感を損なうことがあるため、好ましくない。
凸部と凹部の高さの差は、編地の断面写真を電子顕微鏡等で撮影し、編地の表側、すなわちセルロース系長繊維が表面に出ていない側の表面層を基準とし、編地の裏側の凸部までの高さを5か所で測定して平均する。また、同様に表側から裏側の凹部までの高さを5か所で測定して平均する。それぞれの平均値から、凸部と凹部の高さの差を、下記式により算出する:
凸部と凹部の高さの差=(編地表側から編地裏側の凸部までの高さの平均)−(編地表側から編地裏側の凹部までの高さの平均値) 式(1)
凸部と凹部との差は、約0.20〜約0.50mmであればより好ましく、さらに好ましくは約0.23〜約0.45mm、特に好ましくは約0.24〜約0.40mmである。
本発明の編地は、セルロース系長繊維が配された面(裏面)の200g/m水分付与時の接触冷感性が約200〜約330W/m・℃である。該接触冷感性は、好ましくは約200〜約280W/m・℃、より好ましくは約200〜約240W/m・℃である。
接触冷感性の測定には、カトーテック社製のサーモラボIIを使用する。この装置は温められた熱板を試料上に置いたときの熱の移動量を測定するものである。具体的な測定方法は以下のとおりである。
測定に使用する試料を20℃、65%RH環境下で24時間調湿した後、8cm×8cmにサンプリングし、編地裏面(セルロース長繊維が配された面)を上にして置いた編地サンプルに、20℃、65%RH環境下で30℃に温められた熱板を載せた瞬間の最大熱移動量を測定する。
200g/mの水分を付与したときの水分は、かなり汗をかくような運動をした時に布帛が吸う汗の水分量を想定した条件である。
測定時の水分の付与方法は、試料の裏側に霧吹きにて、8cm×8cmにサンプリングされた試料の重量が+1.28gになるように水分を付与すればよい。このときの霧吹き内の水温は20℃である。
編地の肌に接触する側に水分が残っていると、水の熱伝導率が高いため、熱板から熱を多量に奪い、接触冷感性が大きくなる。すわなち、接触冷感性が大きい試料はベタツキ感が大きいことを意味し、約330W/m・℃を超えるとベタツキ感が非常に大きく好ましくない。約200W/m・℃未満は、ベタツキ感が小さいため、好ましいが、本発明ではセルロース繊維が生地裏面に存在しているため、接触冷感性を約200W/m・℃未満にするためには凹凸を著しく大きくする必要があり、肌触りの観点からは、好ましくない。尚、従来のセルロースを表面に含む編地は通常約330W/m・℃を大きく超えるが、本発明では、編地裏面の凹凸状態をコントロールすることにより、多量の水分が付与された状態でもベタツキ性が改良された編地となる。
本発明の編地の表側や中間層を構成する素材の総繊度としては、衣料等で一般的に使用されている範囲のものを用いることができるが、その中でも総繊度が約16〜約170dtexのものが好ましい。
本発明に用いるマルチフィラメント糸には、二酸化チタン等の艶消剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等が含有されていてもよい。
本発明の編地に使用する素材は、捲縮を有していてもよく、肌触りの観点から、捲縮伸長率が0〜150%が好ましい。なお、仮撚糸の捲縮伸長率は、下記条件にて測定したものである。
捲縮糸の上端を固定し、下端に1.77×10-3cN/dtの荷重をかけ、30秒後の長さ(A)を測定する。次いで、1.77×10-3cN/dtの荷重を取り外し、0.088cN/dtの荷重をかけ、30秒後の長さ(B)を測定し、下記式(2)により捲縮伸長率を求める:
捲縮伸長率(%)={(B−A)/A}×100 式(2)
本発明の編地は、機能的には2層以上の層構造となっている。表裏2層構造で構成されていればよく、中間層をもつ3層以上でも構わないし、シングル編地でもプレーティング等で機能的に2層と同等の働きをする編地ならばそれでも構わない。
本発明の編地を作製するための編機としては、横編機やシングル丸編機、ダブル丸編機、トリコット編機、ラッセル編機等を使用できるが、2層以上の層を持つ多層編地を作製するためにはダブル丸編機が好ましい。使用する編機の編ゲージとしては約10〜約40GGが好ましい。
本発明の編地を作製するための編組織としては、ダブル丸編み地の場合、タックリバーシブル、デンプルメッシュ、コンフォート等が使用できるが、これに限定されるものではない。しかし、編組織としては、地裏側に凹凸が得られるタック編みを使用した組織が好ましい。また、シングル編機のプレーティング組織も可能であり、経編では例えば3枚筬でミドルにセルロース系繊維を配し、凹凸を発現する組織にすれば所望の効果が奏される。
本発明の編地表裏のコース方向のループ数は編成上問題なければ特に限定されない。
本発明の編地は、セルロース系長繊維を5〜25%含んでおり、セルロース系長繊維が編地の裏面側に配されているため、編地の裏面がやわらかく、皮膚摩擦抵抗値が小さい。セルロース系長繊維を含まない場合には本発明のように凹凸をつけた編地の面の摩擦抵抗値は非常に大きいものになる。本発明におけるセルロース系長繊維が配された面は、後述する方法で測定される皮膚摩擦抵抗値が約10〜約17V・Sであることが好ましい。皮膚摩擦抵抗値が10〜17V・Sであれば皮膚刺激が小さいと言える。抵抗値が約17V・Sより大きい場合は、ザラザラ感が大きく、不快であり、一方、約10V・Sより小さければ皮膚刺激性は低くなるが、なめらか過ぎるために凹凸が小さくなり、汗処理性が低下してしまう。
本発明の編地の目付は特に限定されないが、約50〜約300g/mが好ましく、より好ましくは約80〜約250g/mである。
また、本発明の編地には吸水加工を施すことが望ましい。
本発明の編地の表側を外気側、セルロース系繊維が含まれる裏側を肌側になるように用いた衣類は、本発明の効果が奏されるため好ましい。
本発明の編地は、スポーツウエアやインナー等の汗処理機能が必要な衣料用途に好適であるがこれに限定されず、アウターや裏地等の衣料や、シーツ等の寝具、さらには失禁パンツ等の衛生物品にも適用でき、吸湿性能による快適性を持ち、かつ水分によるベタツキ感や冷え感を低減する効果を発揮する。
本発明の編地は、表側を構成する編地の編密度を裏側の編密度より大きくすることにより、又は表側の糸繊度を裏側の糸繊度より小さくすることにより、毛細管現象を発現させて裏側から表側へ水分を移動させてもよい。このような、水分移動機能を有する本発明の編地裏側を、衣類の肌面として着用すれば、多量の発汗時でも肌面に水分が残りにくく、着用時のベタツキ感や冷え感をさらに軽減することができる。
毛細管現象を発現させるには編地表側のウェル方向のループ数が多層編地裏側のウェル方向のループ数の約1.1倍〜約4.5倍にするのがよい。表裏のウェル方向のループ数は、幅2.54cm(1インチ)当たりの編目ループの数をデンシメーターやリネンテスター等で測定する。ここでループ数とは、編地の表裏それぞれに確認されるニットループの編目の数であり、タックループやシンカーループといった編目はループ数に含まない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。無論、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例で得た編地を、以下の方法で評価した。
(1)着用試験
染色加工された編地の裏側が肌面になるように作製されたシャツを着用し、28℃、65%RH環境の人工気候室にて10分間安静にした後に、大武・ルート工業社製トレッドミルORK−3000にて時速8kmで30分の走行運動を行い、再び10分間安静にした。走行運動前の肌触り、快適感、そして走行運動後のベタツキ感、冷え感を、以下の評価基準に従い官能評価した:
○:肌触りが良い。快適である。ベタツキ感、冷え感を感じない。
△:肌触りがやや悪い。やや不快である。ややベタツキ感、冷え感を感じる。
×:肌触りが悪い。不快である。ベタツキ感、冷え感を感じる。
(2)皮膚摩擦抵抗値
特開平11−344488号公報に開示された装置を使用する。測定する皮膚部位は前腕内側部(但し手首関節、肘関節から5cmを除外)とし、装置設置面からアームレストにのせた被験者の前腕の表面までの高さは24cmとした。接圧:980Pa、摩擦速度:60回/min(往復)、摩擦回数:100回(往復)の条件で安定摩擦後1分間の平均抵抗値(V・S)を計測した。被験者3名に対して同様の試験を行い、平均値を算出した。
[実施例1]
28GGのダブル丸編機を使用し、シリンダ側にポリエステル丸型断面加工糸84dtex/72fを、ダイヤル側に56dtex/30fのキュプラ丸断面糸と56dtex/36fのポリエステル丸型断面加工糸をインターレース混繊後仮撚りして作製した複合糸とポリエステル丸型断面加工糸84dtex/72fを1本交互に配置して図1の組織で構成されたタックメッシュ組織の2層編地生機を得た。この生機を液流染色機にて80℃×20分で精練、水洗した後に、ピンテンターにて幅出し率20%で180℃×90秒のプレセットを行った。その後、液流染色機にて130℃でのポリエステル染色、吸水加工、水洗を行った後に、ピンテンターにて、しわが取れる程度に伸長し、150℃×90秒のファイナルセットを行い、目付128g/m、厚み0.83mmの2層編地を得た。編地裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.30mmであった。本編地の水分200g/m付与時の接触冷感値は228W/m・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験では肌触りがよく、快適で、ベタツキ感や冷え感がないという結果が得られた。
[実施例2]
ダイヤル側にポリエステルW型断面加工糸84dtex/30fとキュプラ丸型断面原糸56dtex/30fを3:1の割合で給糸した以外は実施例1と同様にして、目付120g/m、厚み0.71mmの2層編地を得た。この編地の凸部と凹部の高さの差は0.24mmであった。更に水分200g/m付与時の接触冷感値は250W/m・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験では快適で、ベタツキ感や冷え感のないものであった。
[実施例3]
28GGのトリコット編み機を用いて、フロントにポリエステル丸型断面加工糸56dtex/24fを組織10/23とし、ミドルにキュプラ丸型断面糸56dtex/30fを組織21/01で1本交互に配置し、バックにポリエステルW型断面加工糸56dtex/30fを組織10/12として配置し、ガイド位置調整によりミドル糸のニードルループが表面に出るように編成した。実施例1と同様に加工処理をして、目付132g/m、厚み0.65mmの編地を得た。編地裏側には凹凸部が存在し、凸部と凹部の高さの差は0.19mmであった。更に水分200g/m付与時の接触冷感値は280W/m・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験では快適でベタツキ感や冷え感がなかった。
[実施例4]
実施例2のキュプラ丸型断面原糸56dtex/30fの代わりにレーヨン84dtex/30fを用いた他は実施例2と同様の編地を作製した。目付130g/m、厚み0.75mmの2層編地を得た。この編地の凸部と凹部の高さの差は0.26mmであった。更に水分200g/m付与時の接触冷感値は315W/m・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験では快適で、ベタツキ感や冷え感が小さいものであった。
[比較例1]
編み組織を図2にした以外は実施例1と同様にして、目付135g/m、厚み0.70mmの編地を得た。この編地の裏側の凸部と凹部の高さの差は0.13mmであり、凹凸とは言えないレベルであった。更に水分200g/m付与時の接触冷感値は356W/m・℃であり、この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感の大きいものであった。
[比較例2]
ダイヤル側にポリエステルW型断面加工糸84dtex/30fとキュプラ丸型断面原糸84dtex/30fを1本交互の割合で給糸した以外は実施例1と同様にして、目付118g/m、厚み0.65mmの2層編地を得た。この編地の凸部と凹部の高さの差は0.18mmであり、水分200g/m付与時の接触冷感値は388W/m・℃であった。この編地から得たシャツの着用試験ではベタツキ感や冷え感の大きいものであった。
[比較例3]
ダイヤル側、シリンダ側ともポリエステル丸型断面加工糸84dtex/72fとした以外は実施例1と同様にして、目付135g/m、厚み0.70mmの編地を得た。この編地の裏側の凸部と凹部の高さの差は0.20mmであった。水分200g/m付与時の接触冷感値は206W/m・℃であったが、この編地から得たシャツの着用試験では運動前の快適性に欠けるものであった。
Figure 2011140733
本発明による編地を用いれば、不感蒸泄時や少量の発汗時にムレがなく快適で、かつ、長時間の運動等による多量の発汗時にベタツキ感や冷え感を軽減することができる衣服を製造することができ、このようにして製造されたスポーツウエア、インナー、アウターなどの衣服や寝具等では、快適な着用感が得られる。

Claims (4)

  1. セルロース系長繊維が5〜25%含まれ、かつ、その厚みが0.5〜1.2mmである編地であって、該編地の少なくとも一方の表面にはセルロース系長繊維が配されず、該編地の他方の表面に、又は該編地の他方の表面及び該編地の中間層にセルロース系長繊維が配された構造を有し、該セルロース系長繊維が配された面の凸部と凹部の高さの差が0.15〜0.50mmであり、かつ、該セルロース系長繊維が配された面の200g/m水分付与時の接触冷感性が200〜330W/m・℃であることを特徴とする前記編地。
  2. 前記セルロース系長繊維が配された面の皮膚摩擦抵抗値が10〜17V・Sである、請求項1に記載の編地。
  3. 前記セルロース系長繊維が、ポリエステル系又はポリアミド系長繊維との複合糸である、請求項1又は2に記載の編地。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の編地からなり、かつ、前記セルロース系長繊維が配された面が着用時に肌側に位置する繊維製品。
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