JP2016089323A - 壁紙 - Google Patents

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Nobutaka Ueda
展嵩 上田
木村 徹
Toru Kimura
徹 木村
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Katsuyuki Niina
勝之 新名
柴田 洋
Hiroshi Shibata
洋 柴田
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Abstract

【課題】壁面への固定時に、壁面側において微生物増殖抑制効果が高い壁紙の提供。【解決手段】膜形成成分によりマイクロカプセル化された微生物増殖抑制剤を含有するマイクロカプセル含有層12を基材11上に備えた壁紙1において、基材11をセルロースからなる又はセルロースを主成分とするもので構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、施工箇所における微生物増殖抑制効果が高い壁紙に関する。
建築物の壁面内装には壁紙が広く利用されている。このような壁紙は、通常、接着剤層を介して、紙基材又は樹脂基材を壁面に貼り合わせることで壁面に固定される。
一方で、壁面に固定された壁紙は、特に紙基材を用いた場合に、経時と共にカビ等の微生物が増殖し易い。これは、紙基材は水分が付着し易く、微生物の増殖に適した条件になり易いからである。微生物が増殖すると、壁紙自体が変色して外観を損ねるだけでなく、室内空間に微生物が放出されるため、健康被害の原因にもなってしまう。そこで、微生物の増殖抑制作用を有する壁紙について、これまで種々検討されている。
このような壁紙としては、例えば、銀杏葉から抽出したエキスを繊維中に含有する壁紙(特許文献1参照)が開示されている。しかし、この壁紙は、基材自体の全般に、微生物増殖抑制剤に相当する前記エキスを含有させるため、微生物増殖抑制効果以外にも、強度等のその他の特性をすべて調節して設計する必要があり、開発が難しいという問題点があった。
このような問題点を回避できる壁紙としては、壁面への固定時において室内空間側となる表面に、酸化チタン等の光触媒の一部分を露出させて保持した壁紙(特許文献2参照)、紙質基材上の樹脂層に発泡剤及びジンクピリチオンを含有する壁紙(特許文献3参照)が開示されている。特許文献3に開示されている壁紙では、前記樹脂層を発泡させて発泡樹脂層とするが、このジンクピリチオンを含有する発泡樹脂層は、壁紙の壁面固定時に室内空間側になると考えられる。
実開平6−51300号公報 特開2001−341217号公報 特開2012−237090号公報
しかし、特許文献2及び3に記載の壁紙は、壁面への固定時に、微生物増殖抑制の活性成分が室内空間側に存在するため、これとは反対側の壁面側において微生物増殖抑制効果が低いという問題点があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、壁面への固定時に、壁面側において微生物増殖抑制効果が高い壁紙を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、膜形成成分によりマイクロカプセル化された微生物増殖抑制剤を含有するマイクロカプセル含有層を基材上に備え、前記基材がセルロースからなる又はセルロースを主成分とすることを特徴とする壁紙を提供する。
本発明の壁紙においては、前記マイクロカプセル含有層が、さらに水溶性高分子を含有することが好ましい。
本発明の壁紙においては、前記マイクロカプセル含有層が、さらに接着剤基材を含有することが好ましい。
本発明の壁紙においては、前記膜形成成分が、少なくとも、カルボニル基の炭素原子に結合している、一般式「−NHR11(式中、R11は、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはアミノ基である。)」で表される基の数が2個以上である化合物(i)と、2個以上のイソシアネート基及び1個以上の環状構造を有する化合物のトリメチロールプロパン付加体である化合物(ii)と、を重縮合させて得られた重縮合物であることが好ましい。
本発明の壁紙においては、前記膜形成成分が、少なくとも、一般式「−NHR11B(式中、R11Bは、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはアミノ基である。)」で表される基、及び水酸基のいずれか一方又は両方を合計で3個以上有し、かつ1個以上の芳香族環式基を有する化合物(I)と、2個以上のイソシアネート基及び1個以上の芳香族環式基を有する化合物(II)と、を重縮合させて得られた重縮合物であることが好ましい。
本発明によれば、壁面への固定時に、壁面側において微生物増殖抑制効果が高い壁紙が提供される。
本発明に係る壁紙の一実施形態を模式的に例示する断面図である。 本発明に係る壁紙の他の実施形態を模式的に例示する断面図である。 本発明に係る壁紙のさらに他の実施形態を模式的に例示する断面図である。
<<壁紙>>
本発明に係る壁紙は、膜形成成分によりマイクロカプセル化された微生物増殖抑制剤を含有するマイクロカプセル含有層を基材上に備え、前記基材がセルロースからなる又はセルロースを主成分とすることを特徴とする。
前記壁紙は、前記マイクロカプセル含有層を壁面側に配置して壁面に貼り合わせることで壁面に固定するものであり、壁面への固定時には、基材と壁面との間に位置するマイクロカプセル含有層中に微生物増殖抑制剤が存在するため、従来の壁紙とは異なり、壁面側において微生物増殖抑制効果が高く、さらに、壁紙自体だけでなく、壁面の壁紙固定箇所においても微生物増殖抑制効果が高い。
前記壁紙は、例えば、前記マイクロカプセル含有層の表面に接着剤層を形成し、この接着剤層を介して壁面に貼り合わせるか、又は前記マイクロカプセル含有層を、さらに接着剤基材を含有する接着剤層として、マイクロカプセル含有層(接着剤層)自体を壁面に貼り合わせることで、壁面に固定できる。
<基材>
前記基材は、セルロースからなるか、又はセルロースを主成分とするものである。ここで、「セルロースを主成分とする」とは、セルロースからなる場合の特性が明確に見られる程度にセルロースを含有していることを意味する。
前記基材の材料として、具体的には、普通パルプ紙;スルファニル酸グアナジンやリン酸グアナジン等の水溶性難燃剤を含浸させたパルプ主体の難燃紙;炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機質剤を混抄した無機質紙;アクリル繊維やポリエステル繊維を混ぜた紙等が例示できる。
前記基材は、これらの材料をそれぞれ単独で用いたものでもよいし、これらの2種以上の材料を組み合わせた複合材であってもよく、2種以上の材料を用いる場合、その組み合わせは任意に調節できる。
前記基材は、坪量が20g/m〜200g/mのものが一般的であるが、製造コストや機械的な強度の観点から、坪量が70g/m〜100g/mであるものが好ましい。
前記基材のセルロースの含有量は、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であってもよい。
前記基材は、セルロースからなるか、又はセルロースを主成分とするものであるため、全体が繊維質であるか、又は繊維質の部位の占める比率が高く、通気性が良好である。したがって、壁紙の壁面への固定時には、微生物増殖抑制剤は基材と壁面との間のマイクロカプセル含有層中に存在していても、基材中に拡散し易く、壁面側だけでなく基材中でも微生物増殖抑制効果が高く、壁紙全体として微生物増殖抑制効果が高い。
前記基材は、透気度(JIS P 8117)が1〜100秒であるものが好ましく、1〜50秒であるものがより好ましい。基材の透気度が低いほど、壁紙全体の微生物増殖抑制効果がより高くなる傾向にある。
前記基材の厚さは40〜200μmであることが好ましい。
前記基材は、単層からなるものでもよいし、二層以上の複数層からなるものでもよい。基材が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが異なっていてもよい。そして、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。ここで、複数層が互いに異なるとは、各層の材質及び厚さの少なくとも一方が互いに異なることを意味する。
なお、基材が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材の厚さとなるようにするとよい。
前記基材は、セルロースからなるか、又はセルロースを主成分とするものであるが、このような基材は水分が付着し易く、例えば、湿度が高い場合には容易に結露する。すると、このような基材を備えた壁紙は、通常、壁面へ固定された状態では、基材と壁面との間で水分が多い状態を容易にとり得るため、カビをはじめとする各種微生物が増殖し易い。
しかし、本発明に係る壁紙では、壁面へ固定された状態で、基材と壁面との間に微生物増殖抑制剤を含有するマイクロカプセル含有層を備えるため、基材と壁面との間がたとえ水分が多い状態であっても、各種微生物の増殖が抑制される。
<マイクロカプセル含有層>
前記マイクロカプセル含有層は、前記基材上に設けられており、通常は、基材の一方の主面上に設けられている。
また、マイクロカプセル含有層は、膜形成成分によりマイクロカプセル化された微生物増殖抑制剤(以下、単に「マイクロカプセル」と略記することがある)を含有する。すなわち、マイクロカプセル含有層は、微生物増殖抑制剤と、これを内部に含んでカプセルの膜を形成している膜形成成分とを含有する。
マイクロカプセル含有層は、前記微生物増殖抑制剤及び膜形成成分等、その形成に必要な成分を含有する組成物を、基材上に付着させ、必要に応じて乾燥処理や加熱処理等のその他の処理を行うことで形成できる。加熱処理は乾燥処理を兼ねるものであってもよい。
前記マイクロカプセル含有層として、より具体的には、マイクロカプセル化された微生物増殖抑制剤以外に、さらに水溶性高分子を含有する層(以下、「水溶性高分子含有層」と略記することがある)と、マイクロカプセル化された微生物増殖抑制剤以外に、さらに接着剤基材を含有する層(以下、「接着剤層」と略記することがある)等が例示できる。
前記マイクロカプセル含有層が前記水溶性高分子含有層である場合には、マイクロカプセルは前記水溶性高分子によって前記基材上に保持されている。すなわち、前記水溶性高分子は、マイクロカプセルを基材上で固定する成分である。
前記マイクロカプセル含有層が前記水溶性高分子含有層である壁紙は、前記マイクロカプセル含有層の表面に別途接着剤層を形成し、この接着剤層を介して壁面に貼り合わせることで、壁面に固定する。この場合の別途形成する接着剤層を、以降、マイクロカプセル含有層自体が接着剤層であるものと区別するために「追加接着剤層」と称し、特に断りのない限り、単なる「接着剤層」との記載は、マイクロカプセル含有層自体が接着剤層であるものを意味するものとする。
前記マイクロカプセル含有層が前記接着剤層である場合には、マイクロカプセルは前記接着剤基材によって前記基材上に保持されている。すなわち、前記接着剤層は、マイクロカプセルを基材上で固定すると共に、壁紙を壁面に固定する。
以下、マイクロカプセル含有層が前記接着剤層である場合と、前記水溶性高分子含有層である場合について、より詳細に説明する。
[接着剤層]
前記接着剤層の基材上での積層量は、壁紙を固定する壁面の材質などにより異なるが、10〜60g/m・dryであることが好ましく、経済的な観点と接着強度の観点から、20g/m・dryであるのが一般的である。前記積層量を厚さに換算すると、接着剤層の厚さは、5〜30μmであることが好ましく、10μm程度であるのが一般的である。接着剤層の前記積層量又は厚さが前記下限値以上であることで、壁紙の壁面への固定強度がより高くなる。また、接着剤層の前記積層量又は厚さが前記上限値以下であることで、壁紙をより薄型化できる。
(接着剤基材)
前記接着剤基材は、公知のものでよく、特に限定されないが、後述するマイクロカプセルの接着剤層中での分散性がより向上する点から、水性媒体中で分散された水性エマルジョンとして用いることが好ましい。ここで「水性媒体」とは、水と均一に混合可能な液状媒体を意味する。
前記接着剤層が含有する接着剤基材は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に設定できる。
前記接着剤層の接着剤基材の含有量は、接着剤層が適度な接着性を有する限り、特に限定されないが、(接着剤層の全量に対して)70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。接着剤基材の前記含有量が前記下限値以上であることで、接着剤層の接着力がより向上する。
接着剤層の接着剤基材の含有量の上限値は、特に限定されないが、90質量%であることが好ましく、このような範囲であることで、接着剤層の接着力以外の特性がより向上する。
(微生物増殖抑制剤)
前記微生物増殖抑制剤は、公知のものでよく、特に限定されない。
微生物増殖抑制剤として、具体的には、抗菌性、防カビ性又は防藻性等を有する化合物が例示でき、殺菌剤、抗菌剤、防カビ剤、防腐剤、防藻剤等が例示できる。
前記微生物増殖抑制剤として、より具体的には、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド等のチオフェン系化合物(チオフェン若しくはテトラヒドロチオフェンの1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換された化合物、又はチオフェン若しくはテトラヒドロチオフェンに1個以上の基がさらに導入された化合物);
2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−t−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−シクロヘキシル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、n−ブチル−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾリン系化合物(イソチアゾリンの1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換された化合物);
3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイト、ジヨードメチル−p−トルイルスルホン、p−クロロフェニル−3−ヨードプロパルギルフォルマール等の有機ヨウ素系化物(ヨウ素原子を有する有機化合物);
4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オン等のジチオール系化合物(硫黄原子を2個有する化合物);
テトラメチルチウラムジスルフィド等のチオカーバメート系化合物(式「N−C(=S)−S」で表される結合を有する化合物);
2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル等のニトリル系化合物(シアノ基を有する化合物);
N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−N,N’−ジメチル−N−フェニル−スルファミド等のハロアルキルチオ系化合物(ハロアルキルチオ基を有する化合物);
2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等のピジリン系化合物(ピリジンの1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換された化合物);
ジンクピリチオン、ナトリウムピリチオン等のピリチオン系化合物(ピリチオンの1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換された化合物);
2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール系化合物(ベンゾチアゾールの1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換された化合物);
2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン等のトリアジン系化合物(トリアジンの1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換された化合物);
メチル−2−ベンズイミダゾールカーバメイト、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール等のイミダゾール系化合物(イミダゾールの1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換された化合物);
1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−ジオキサン−2イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール、(±)−α[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−(1)−エタノール(テプコナゾール)、(±)−1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1,3−ジオキサン−2イルメチル]−1H−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール系化合物(トリアゾールの1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換された化合物);
3−ベンゾ[b]チエン−2−イル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−オキサチアジン−4−オキサイド等のオキサチアジン系化合物(オキサチアジンの1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換された化合物);
2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール等のアルコール系化合物(水酸基を有する化合物);
3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア等の尿素系化合物(尿素の1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換された化合物);
2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロパンアミド等のアミド系化合物(アミド結合を有する化合物)等が例示できる。
前記微生物増殖抑制剤で好ましいものとしては、チオフェン系化合物、イソチアゾリン系化合物、有機ヨウ素系化合物等が例示できる。
前記接着剤層が含有する微生物増殖抑制剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に設定できる。
前記接着剤層の微生物増殖抑制剤の含有量は、壁紙が目的とする微生物増殖抑制効果を有する限り、特に限定されないが、(接着剤層の全量に対して)0.05〜10.0質量%であることが好ましく、0.1〜8.0質量%であることがより好ましい。微生物増殖抑制剤の前記含有量が前記下限値以上であることで、壁紙の微生物増殖抑制効果がより向上する。また、微生物増殖抑制剤の前記含有量が前記上限値以下であることで、接着剤層の微生物増殖抑制性以外の特性がより向上する。
(膜形成成分)
前記膜形成成分は、公知のものでよく、特に限定されない。
前記膜形成成分として、具体的には、化学的方法、物理化学的方法、又は物理的及び機械的方法等でマイクロカプセル化するのに用いる成分が例示できる。
マイクロカプセル化の方法のうち化学的方法としては、界面重合法、in situ重合法、液中硬化被膜法等が例示できる。
前記界面重合法としては、多塩基酸ハライドとポリオールとを界面重合させてポリエステルからなる膜を形成する方法、多塩基酸ハライドとポリアミンとを界面重合させてポリアミドからなる膜を形成する方法、ポリイソシアネートとポリオールとを界面重合させて、ポリウレタンからなる膜を形成する方法、ポリイソシアネートとポリアミンとを界面重合させて、ポリウレアからなる膜を形成する方法等が例示できる。
前記in situ重合法としては、メラミン及び尿素から選ばれる1種とホルマリン又はこれらの初期重縮合物と、スチレン無水マレイン酸共重合体の部分加水分解物との共重合体からなる膜を形成する方法、スチレンとジビニルベンゼンとを共重合させてポリスチレン共重合体からなる膜を形成する方法、メチルメタクリレートとn−ブチルメタクリレートとを共重合させてポリメタクリレート共重合体からなる膜を形成する方法等が例示できる。
前記液中硬化被膜法としては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂又はアルギン酸ソーダ等を液中で硬化させる方法等が例示できる。
マイクロカプセル化の方法のうち物理化学的方法としては、単純コアセルベーション法;複合コアセルベーション法;pHコントロール法;非溶媒添加法等の水溶液からの相分離法や、有機溶媒からの相分離法等のコアセルベーション法等が例示できる。これら物理化学的方法で用いる前記膜形成成分としては、ゼラチン、セルロース、ゼラチン−アラビアゴム等が例示できる。
また、物理化学的方法としては、ポリスチレン等を用いる界面沈降法等も例示できる。
マイクロカプセル化の方法のうち物理的及び機械的方法としては、スプレードライング法、気中懸濁被膜法、真空蒸着被膜法、静電的合体法、融解分散冷却法、無機質壁カプセル化法等が例示できる。これら物理的及び機械的方法で用いる前記膜形成成分としては、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が例示できる。
マイクロカプセル化の方法は、微生物増殖抑制剤の種類等を考慮して適宜選択すればよく、例えば、前記界面重合法は適用範囲が広い点で好ましい方法である。
前記接着剤層が含有する膜形成成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に設定できる。
前記接着剤層の膜形成成分の含有量は、微生物増殖抑制剤をマイクロカプセル化できる限り、特に限定されないが、(接着剤層の全量に対して)2.0〜30.0質量%であることが好ましく、5.0〜20.0質量%であることがより好ましい。膜形成成分の前記含有量が前記下限値以上であることで、微生物増殖抑制剤をより安定してマイクロカプセル化できる。また、膜形成成分の前記含有量が前記上限値以下であることで、膜形成成分の過剰使用が抑制される。
マイクロカプセル化された微生物増殖抑制剤(微生物増殖抑制剤を内部に含むマイクロカプセル)は、活性成分である微生物増殖抑制剤を経時と共にマイクロカプセルの外部に徐々に放出する徐放性を有する。したがって、壁紙が壁面へ固定された状態で、基材と壁面との間の接着剤層では、マイクロカプセルの外部に放出された微生物増殖抑制剤の濃度が、微生物の増殖抑制作用を壁紙内で維持するのに十分な程度で長期間維持される。
例えば、前記マイクロカプセルの徐放率は、0.01〜5.0%であることが好ましく、0.05〜3.0%であることがより好ましい。
マイクロカプセルを構成している膜は、単層からなるものでもよいし、二層以上の複数層からなるものでもよく、前記膜形成成分の種類に応じて構成できる。
マイクロカプセルを構成している膜の厚さは、特に限定されず、前記膜形成成分の分子サイズに応じて調節できるが、0.01〜1.0μmであることが好ましい。
マイクロカプセルは、これを構成する前記膜形成成分の種類に応じて、特性を調節することも可能である。例えば、前記膜形成成分として熱硬化性樹脂を用いたマイクロカプセルは、熱可塑性樹脂を用いたマイクロカプセルよりも、緻密性が高いことで、徐放性の程度がより高くなる。また、前記膜形成成分として熱硬化性樹脂を用いたマイクロカプセルは、熱可塑性樹脂を用いたマイクロカプセルよりも、強度がより高くなる。
前記接着剤層は、前記接着剤基材、微生物増殖抑制剤及び膜形成成分以外に、これらに該当しないその他の成分を含有していてもよい。
前記その他の成分は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。例えば、前記その他の成分は、後述する水溶性高分子含有層で用いる水溶性高分子であってもよく、水溶性高分子を用いることで、マイクロカプセルが前記基材上でより安定して保持される。
接着剤層の前記その他の成分の含有量は、前記その他の成分の種類に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。ただし、接着剤層の前記接着剤基材、微生物増殖抑制剤及び膜形成成分(以下、これらをまとめて「必須成分」と略記することがある)の総含有量は、(接着剤層の全量に対して)80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。前記必須成分の前記含有量が前記下限値以上であることで、壁紙の微生物増殖抑制効果と接着剤層の接着力が、共により向上する。
前記接着剤層は、前記接着剤基材、微生物増殖抑制剤及び膜形成成分等、その形成に必要な成分を含有する接着剤層用組成物を、基材上に付着させ、必要に応じて乾燥処理や加熱処理等のその他の処理を行うことで形成できる。加熱処理は乾燥処理を兼ねるものであってもよい。
接着剤層用組成物の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、接着剤層の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。ここで、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度が好適である。
前記接着剤層用組成物は、その取り扱い性が向上する点から、前記接着剤基材、微生物増殖抑制剤及び膜形成成分以外に、溶媒を含有するものが好ましい。なお、前記接着剤基材を水性エマルジョン等の液状物として用いた場合には、この液状物の調製に用いた水性媒体等の液状媒体も、ここでの「溶媒」に含めるものとする。
前記溶媒は、特に限定されないが、溶媒以外の含有成分を溶解可能で、乾燥による除去が可能なものが好ましい。
接着剤層用組成物の溶媒の含有量は、前記組成物の取り扱い性が向上する様に適宜調節すればよく、特に限定されない。
接着剤層用組成物は、前記接着剤基材、微生物増殖抑制剤、膜形成成分及び溶媒以外に、これらに該当しないその他の成分を含有するものでもよい。
前記その他の成分は、接着剤層において説明したものと同じである。
接着剤層用組成物の前記その他の成分の含有量は、前記その他の成分の種類に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
接着剤層用組成物の前記接着剤基材、微生物増殖抑制剤及び膜形成成分の含有量は、それぞれ、これら成分の接着剤層での含有量に応じて、適宜調節すればよく、通常は、接着剤層用組成物の溶媒以外の成分の総含有量に対する割合が、上述の接着剤層での好ましい含有量と同じとなるようにするとよい。例えば、接着剤層用組成物の溶媒以外の成分の総含有量に対する前記接着剤基材の含有量の割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。そして、接着剤層用組成物の溶媒以外の成分の総含有量に対する、前記接着剤基材、微生物増殖抑制剤及び膜形成成分(必須成分)の総含有量の割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。
接着剤層用組成物は、前記接着剤基材、微生物増殖抑制剤及び膜形成成分、並びに必要に応じてこれら以外の成分(前記溶媒、その他の成分)を配合することで得られる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
接着剤層用組成物は、配合成分の一部が溶解せずに分散した状態である場合、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
例えば、マイクロカプセル化された微生物増殖抑制剤が高い均一性で分散している接着剤層用組成物を用いた場合、前記接着剤層でも、このマイクロカプセル化された微生物増殖抑制剤は、高い均一性で分散しているものとなり、しかも、このような接着剤層は、形成が容易である。これは、マイクロカプセル化された微生物増殖抑制剤は接着剤層用組成物中で分散させることが容易なためである。これに対して、マイクロカプセル化されていない微生物増殖抑制剤をそのまま用いた場合には、通常、この微生物増殖抑制剤を接着剤層用組成物中で分散させることが困難である。接着剤層での微生物増殖抑制剤の分散性が高いほど、壁紙における微生物増殖抑制効果のばらつきが小さくなる。
接着剤層用組成物において、溶解していない成分を高い均一性で分散させるためには、上述の混合方法の中でも、例えば、上記の三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を用いて分散させる方法を適用するのが好ましい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、15〜60℃であることが好ましい。
また、配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、5分〜12時間であることが好ましく、10分〜6時間であることがより好ましい。
接着剤層用組成物は、例えば、印刷法、塗布法、浸漬法等の公知の方法で基材上に付着させることができる。
前記印刷法としては、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、ジェットディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が例示できる。
前記塗布法としては、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターや、ワイヤーバー等を用いる方法が例示できる。
前記接着剤層の厚さは、基材上に付着させる接着剤層用組成物の量、又は接着剤層用組成物における非揮発性成分の配合量を調節することで、調節できる。
接着剤層用組成物の乾燥処理及び加熱処理は、いずれも公知の方法で行えばよく、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれでおこなってもよい。そして、処理温度も特に限定されず、目的に応じて適宜設定すればよい。
[水溶性高分子含有層]
前記水溶性高分子含有層の基材上での積層量は、マイクロカプセル化された微生物増殖抑制剤の保持量などにより異なるが、1〜100g/m・dryであることが好ましく、5〜30g/m・dryであることがより好ましい。水溶性高分子含有層の前記積層量が前記下限値以上であることで、微生物増殖抑制剤の保持力がより高くなる。また、水溶性高分子含有層の前記積層量が前記上限値以下であることで、水溶性高分子の過剰使用を抑制できる。
(水溶性高分子)
前記水溶性高分子含有層における水溶性高分子は、マイクロカプセルを前記基材上に保持可能であれば、特に限定されないが、好ましいものとしては、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA樹脂)、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が例示でき、アクリル樹脂、ポリビニルアルコールがより好ましい。
前記水溶性高分子含有層が含有する水溶性高分子は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に設定できる。
前記水溶性高分子含有層の水溶性高分子の含有量は、マイクロカプセルを前記基材上に保持可能である限り、特に限定されないが、(水溶性高分子含有層の全量に対して)70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。水溶性高分子の前記含有量が前記下限値以上であることで、マイクロカプセルが前記基材上でより安定して保持される。
水溶性高分子の前記含有量の上限値は、特に限定されないが、90質量%であることが好ましく、このような範囲であることで、水溶性高分子含有層のマイクロカプセルの保持力以外の特性がより向上する。
(微生物増殖抑制剤、膜形成成分)
前記水溶性高分子含有層における微生物増殖抑制剤及び膜形成成分は、前記接着剤層における微生物増殖抑制剤及び膜形成成分と同じものであり、これら成分はいずれも、前記接着剤層の場合と同様に、前記水溶性高分子含有層に含有させることができる。例えば、水溶性高分子含有層の微生物増殖抑制剤及び膜形成成分の含有量はいずれも、前記接着剤層の微生物増殖抑制剤及び膜形成成分の含有量と同様とすることができる。
また、前記水溶性高分子含有層は、前記水溶性高分子、微生物増殖抑制剤及び膜形成成分以外に、これらに該当しないその他の成分を含有していてもよい。
前記その他の成分は、前記接着剤層におけるその他の成分と同じものである。
水溶性高分子含有層の前記その他の成分の含有量は、前記その他の成分の種類に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。ただし、水溶性高分子含有層の前記水溶性高分子、微生物増殖抑制剤及び膜形成成分(必須成分)の総含有量は、(水溶性高分子含有層の全量に対して)80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。前記必須成分の前記含有量が前記下限値以上であることで、壁紙の微生物増殖抑制効果と水溶性高分子の保持力が、共により向上する。
前記水溶性高分子含有層は、前記水溶性高分子、微生物増殖抑制剤及び膜形成成分等、その形成に必要な成分を含有する水溶性高分子含有層用組成物を、基材上に付着させ、必要に応じて乾燥処理や加熱処理等のその他の処理を行うことで形成できる。加熱処理は乾燥処理を兼ねるものであってもよい。
水溶性高分子含有層用組成物の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、水溶性高分子含有層層の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
水溶性高分子含有層用組成物は、前記接着剤基材に代えて前記水溶性高分子を用いる点以外は、上述の接着剤層用組成物と同様の方法で調製できる。また、水溶性高分子含有層は、前記接着剤層用組成物に代えて水溶性高分子含有層用組成物を用いる点以外は、接着剤層の場合と同じ方法で形成できる。
図1は、本発明に係る壁紙の一実施形態を模式的に例示する断面図である。
ここに示す壁紙1は、基材11の一方の主面(表面)11aが、壁紙1の壁面への固定時において室内空間側となる面である。壁紙1は、基材11の他方の主面(裏面)11b上にマイクロカプセル含有層12を備えてなる。基材11は先に説明した、セルロースからなる又はセルロースを主成分とする基材である。マイクロカプセル含有層12は、先に説明した、マイクロカプセル化された微生物増殖抑制剤(微生物増殖抑制剤を内部に含むマイクロカプセル)121を含有する。
なお、ここに示す壁紙1は、マイクロカプセル含有層12の基材11が接触している一方の主面(表面)12aとは反対側の他方の主面(裏面)12b上に剥離材19を備えており、これが本発明に係る壁紙の使用前における通常の形態である。壁紙1を使用する場合には、剥離材19を剥離させて用いればよい。マイクロカプセル含有層12が接着剤層である場合には、剥離材19の剥離によって露出したマイクロカプセル含有層(接着剤層)12の他方の主面(裏面)12bを、壁面の所定の箇所に貼り合わせることで、壁紙1を壁面に固定すればよい。一方、マイクロカプセル含有層12が水溶性高分子含有層である場合には、剥離材19の剥離によって露出したマイクロカプセル含有層(水溶性高分子含有層)12の他方の主面(裏面)12bに、前記追加接着剤層(図示略)を形成し、この追加接着剤層を壁面の所定の箇所に貼り合わせることで、壁紙1を壁面に固定すればよい。
剥離材19は、公知のものでよく、紙製又は樹脂製基材の接着剤層側の表面が剥離処理されたものであればよい。
前記追加接着剤層は特に限定されず、壁紙の分野で公知のものでよく、通常使用される接着剤(追加接着剤層用組成物)を用いて形成すればよい。また、追加接着剤層は、例えば、前記接着剤層と同じものであってもよいし、マイクロカプセル化された微生物増殖抑制剤を含有していない点を除いて、前記接着剤層と同じものであってもよい。
追加接着剤層の厚さも、特に限定されず、その材質を考慮して、適宜選択すればよい。
ここに示す壁紙1は、基材11の一方の主面(表面)11a上に他の層を備えていないものであるが、壁紙1は、前記主面(表面)11a上に何らかの他の層を備えていてもよい。
前記他の層は、単層からなるものでもよいし、二層以上の複数層からなるものでもよい。前記他の層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが異なっていてもよい。そして、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。ここで、複数層が互いに異なるとは、各層の材質、厚さ及び形状の一以上が互いに異なることを意味する。
前記他の層は、特に限定されないが、好ましいものとして樹脂層、印刷層が例示できる。
本発明に係る壁紙は、上述のように、基材のマイクロカプセル含有層を備えた側とは反対側の表面に樹脂層を備えることで、マイクロカプセル含有層中の微生物増殖抑制剤が基材を透過した後、前記表面から室内空間へ放出されるのを抑制できる。このように、微生物増殖抑制剤の放出が抑制されることで、壁紙のマイクロカプセル含有層及び基材の各所で、微生物増殖抑制効果がより長期間維持される。
前記樹脂層を構成する樹脂は、特に限定されず、公知のものを適宜選択できる。
前記樹脂として、具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド(PA)、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリアリレート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等の合成樹脂が例示できる。
前記樹脂層の色は特に限定されず、例えば、無色であってもよいし、透明であってもよい。前記樹脂層は、壁面側の欠点を隠す隠蔽効果を有するように、酸化チタンや炭酸カルシウム等の無機充填剤を含有するものでもよい。
前記樹脂層の厚さは10〜1000μmであることが好ましく、50〜600μmであることがより好ましい。
前記樹脂層は、樹脂の使用量を削減するために、発泡剤を用いた発泡体であってもよい。
また、前記樹脂層は、発泡体とすることにより、エンボス加工によってレリーフ上の模様が設けられたものでもよい。
前記樹脂層は、単層からなるものでもよいし、二層以上の複数層からなるものでもよい。樹脂層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが異なっていてもよい。そして、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。ここで、複数層が互いに異なるとは、先に説明したとおりである。
なお、樹脂層が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい樹脂層の厚さとなるようにするとよい。
前記樹脂層は、例えば、加熱によって前記基材に融着させて設けてもよいし、接着剤を用いて前記基材に設けてもよい。前記接着剤を用いる場合、本明細書においては、この接着剤で構成される層を、壁紙の壁面への固定に用いる上述の接着剤層と区別するために、第2接着剤層と称し、壁紙の壁面への固定に用いる上述の接着剤層を第1接着剤層と称する。
第2接着剤層の材質は、特に限定されず、公知のものから適宜選択でき、例えば、マイクロカプセル化された微生物増殖抑制剤を含有していない点を除いて、第1接着剤層と同じものであってもよい。
第2接着剤層の厚さも、特に限定されず、その材質を考慮して、適宜選択すればよい。
図2は、このような樹脂層を備えた、本発明に係る壁紙の一実施形態を模式的に例示する断面図である。
ここに示す壁紙2は、基材11の一方の主面(表面)11a上に、樹脂層13を備えており、この点以外は、図1に示す壁紙1と同じものである。壁紙2は、壁紙1の基材11の前記表面11a上に、さらに樹脂層13を備えたものである。
また、本発明に係る壁紙は、上述のように、基材のマイクロカプセル含有層を備えた側とは反対側の表面に印刷層を備えることで、意匠性に優れたものとなる。
前記印刷層の厚さやパターンは、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
また、前記印刷層は、単層からなるものでもよいし、二層以上の複数層からなるものでもよい。印刷層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが異なっていてもよい。そして、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。ここで、複数層が互いに異なるとは、先に説明したとおりである。また、印刷層は、1層の中に色が互いに異なる領域を有していてもよい。
前記印刷層は、例えば、これを構成するための成分を含有するインク組成物を基材上に付着させ、必要に応じて乾燥処理や加熱処理等のその他の処理を行うことで形成できる。加熱処理は乾燥処理を兼ねるものであってもよい。前記インク組成物は、上述の接着剤層用組成物の場合と同じ方法で基材上に付着させることができる。
本発明に係る壁紙は、基材のマイクロカプセル含有層を備えた側とは反対側の表面に、前記印刷層及び樹脂層を共に備えることで、意匠性に優れ、さらに微生物増殖抑制剤の室内空間への放出も抑制できるものとなる。
この場合の樹脂層は、基材のマイクロカプセル含有層を備えた側とは反対側の表面に樹脂層のみを備えた、上述の壁紙における樹脂層(例えば、図2に示す樹脂層13)と同様のものでよいが、印刷層が樹脂層側から確認できるように、透明であるものが好ましい。
図3は、このような印刷層及び樹脂層を備えた、本発明に係る壁紙の一実施形態を模式的に例示する断面図である。
ここに示す壁紙3は、基材11の一方の主面(表面)11a上に、印刷層14及び樹脂層13をこの順に備えており、この点以外は、図1に示す壁紙1と同じものである。壁紙3は、壁紙1の基材11の前記表面11a上に、さらに印刷層14及び樹脂層13を備えたものである。
壁紙3において、基材11の前記表面11a上のうち、印刷層14が設けられていない領域には、前記表面11a上に直接樹脂層13が設けられている。
なお、図3では、壁紙3として、基材11の前記表面11a上に印刷層14が設けられていない領域を有するものについて示しているが、壁紙3は、基材11の前記表面11aの全面に印刷層14が設けられていてもよい。
また、図3では、壁紙3として、基材11上に印刷層14及び樹脂層13をこの順に備えたものついて示しているが、壁紙3は、基材11上に樹脂層13及び印刷層14をこの順に備えたものであってもよい。この場合の樹脂層は、基材11上に印刷層14及び樹脂層13をこの順に備えた場合とは異なり、透明でないものも好ましい。
壁紙3は、基材11上に、上述の方法で印刷層14及び樹脂層13をこの順に形成することで製造できる。
「特開平9−67797号公報」には、紙基材を微生物増殖抑制剤(抗菌防カビ剤)で処理した紙製品が開示されている。しかし、この文献には、このような紙製品において、壁面等との接着面を微生物増殖抑制剤で処理することは開示されておらず、接着面側(壁面側)において微生物増殖抑制効果が低いと考えられる。また、この紙製品では、微生物増殖抑制剤をマイクロカプセル化することなく、そのまま用いているため、処理に用いる組成物中で微生物増殖抑制剤は分散性が悪く、紙基材に微生物増殖抑制剤を均一に分布させることができず、紙製品中で微生物増殖抑制効果にばらつきが生じてしまう。また、微生物増殖抑制剤は、マイクロカプセル化されていないことで、紙製品から容易に放出されてしまうため、微生物増殖抑制効果を長期間維持できない。
これに対して、本発明に係る壁紙は、マイクロカプセル含有層が微生物増殖抑制剤を含有していることにより、壁面側において微生物増殖抑制効果が高い。また、本発明に係る壁紙において、微生物増殖抑制剤はマイクロカプセル化されているため、上述の接着剤層用組成物や水溶性高分子含有層用組成物等の、マイクロカプセル含有層を形成するための組成物中で高い均一性で分散し、その結果、マイクロカプセル含有層でも微生物増殖抑制剤が高い均一性で分散するため、壁紙における微生物増殖抑制効果のばらつきが抑制される。また、本発明に係る壁紙は、微生物増殖抑制剤がマイクロカプセル化されていることで、微生物増殖抑制効果を長期間維持できる。
<新規の膜形成成分>
上記のマイクロカプセルの膜形成成分としては、従来の化学的方法として、界面重合法、in situ重合法、液中硬化被膜法等で得られるものについて説明したが、本発明の壁紙では、これら以外にも新規の膜形成成分を用いることもできる。
◎マイクロカプセル(A)
このような新規の膜形成成分としては、少なくとも、カルボニル基の炭素原子に結合している、一般式「−NHR11(式中、R11は、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはアミノ基である。)」で表される基の数が2個以上である化合物(i)(以下、単に「化合物(i)」と略記することがある)と、2個以上のイソシアネート基及び1個以上の環状構造を有する化合物のトリメチロールプロパン付加体である化合物(ii)(以下、単に「化合物(ii)」と略記することがある)と、を重縮合させて得られた重縮合物が挙げられる。本明細書においては、この重縮合物を膜形成成分とするマイクロカプセルを「マイクロカプセル(A)」と称することがある。
マイクロカプセル(A)は、十分な徐放性を有し、熱による変色が抑制され、かつ安全性が低い原料が不要の安全性が高いものである。
[化合物(i)]
化合物(i)は、カルボニル基の炭素原子に結合している、一般式「−NHR11(式中、R11は、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはアミノ基である。)」で表される基の数が2個以上のものである。
11における前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。
前記アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましい。
直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
環状の前記アルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、前記アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられ、さらに、これら環状のアルキル基の1個以上の水素原子が、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基で置換されたものが挙げられる。ここで、水素原子を置換する直鎖状、分岐鎖状及び環状のアルキル基としては、R11におけるアルキル基として例示した上記のものが挙げられる。
化合物(ii)との反応性の観点から、前記アルキル基の炭素数は1〜7であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜3であることが特に好ましい。
11における前記アリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、炭素数が6〜15であることが好ましく、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基(ジメチルフェニル基)等が挙げられ、これらアリール基の1個以上の水素原子が、さらにこれらアリール基や、R11における前記アルキル基で置換されたものも挙げられる。これら置換基を有するアリール基は、置換基も含めて炭素数が6〜15であることが好ましい。
化合物(ii)との反応性の観点から、前記アリール基の炭素数は6〜10であることが好ましい。
11における前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基(フェニルメチル基)、フェネチル基(フェニルエチル基)等、R11における前記アルキル基の1個の水素原子がR11における前記アリール基で置換されてなる1価の基が挙げられる。
11における前記アラルキル基の炭素数は、7〜20であることが好ましく、化合物(ii)との反応性の観点から、7〜11であることがより好ましい。
11における前記アルキル基、アリール基、アラルキル基及びアミノ基(−NH)は、置換基を有していてもよい。ここで「置換基を有する」とは、これらの基の1個以上の水素原子が水素原子以外の基(置換基)で置換されていることを意味する。
前記アルキル基、アリール基、アラルキル基及びアミノ基が有する置換基の数は特に限定されず、置換され得る水素原子の数により決定され、1個でもよいし、2個以上でもよく、すべての水素原子が置換基で置換されていてもよい。
置換基の数が2個以上である場合、これら置換基はすべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
前記アルキル基、アリール基、アラルキル基及びアミノ基における置換基の位置は、特に限定されない。
11における前記アルキル基、アリール基、アラルキル基又はアミノ基が有していてもよい前記置換基は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。
前記アルキル基、アリール基又はアラルキル基が有していてもよい前記置換基で好ましいものとしては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、シアノ基等が挙げられる。前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
前記アミノ基が有していてもよい前記置換基で好ましいものとしては、例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基等が挙げられる。
アミノ基が有していてもよい前記置換基におけるアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、R11における前記アルキル基、アリール基及びアラルキル基と同様のものである。
アミノ基が有していてもよい前記置換基におけるアルキルアミノ基としては、例えば、アミノ基の1個の水素原子がR11における前記アルキル基で置換されてなるものが挙げられる。
アミノ基が有していてもよい前記置換基におけるアリールアミノ基としては、例えば、アミノ基の1個の水素原子がR11における前記アリール基で置換されてなるものが挙げられる。
アミノ基が有していてもよい前記置換基におけるアラルキルアミノ基としては、例えば、アミノ基の1個の水素原子がR11における前記アラルキル基で置換されてなるものが挙げられる。
アミノ基が有していてもよい前記置換基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
11は、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアミノ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基又はアミノ基であることがより好ましく、水素原子又はアミノ基であることが特に好ましい。
化合物(i)において、前記一般式「−NHR11」で表される基が炭素原子において結合しているカルボニル基の数は、特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよいが、1〜3個であることが好ましく、1又は2個であることがより好ましい。
化合物(i)において、前記一般式「−NHR11」で表される基が炭素原子において結合しているカルボニル基の位置は、特に限定されない。
化合物(i)において、前記一般式「−NHR11」で表される基は、1個のカルボニル基の炭素原子に1個のみ結合していてもよいし、2個結合していてもよい。
化合物(i)において、カルボニル基の炭素原子に結合している、前記一般式「−NHR11」で表される基の数は、2個以上であれば特に限定されないが、2〜6個であることが好ましく、2〜5個であることがより好ましく、2〜4個であることがさらに好ましく、2又は3個であることが特に好ましい。
化合物(i)中の2個以上の前記一般式「−NHR11」で表される基は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
化合物(i)で好ましいものとしては、例えば、尿素、尿素誘導体が挙げられる。
なお、本明細書において「誘導体」とは、元の化合物の1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されているものを意味する。
化合物(i)でより好ましいものとしては、下記一般式(i)−1で表されるもの(以下、「化合物(i)−1」と略記することがある)が挙げられる。
Figure 2016089323
(式中、R11は前記と同じであり、2個のR11は互いに同一でも異なっていてよく;R12は水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基であり:nは0又は1である。)
式中、R11は、前記一般式「−NHR11」で表される基におけるR11と同じであり、2個のR11は互いに同一でも異なっていてよい。
式中、R12は水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基であり、R12における置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、R11における置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基及びアラルキル基と同様のものである。
12は、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましい。
式中、nは0又は1であり、0である場合には、2個の前記一般式「−NHR11」で表される基は、同じカルボニル基の炭素原子に結合している。
特に好ましい化合物(i)としては、例えば、下記の尿素、ビュウレット(イミドジカルボンジアミド)、カルボヒドラジド等が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2016089323
[化合物(ii)]
化合物(ii)は、2個以上のイソシアネート基及び1個以上の環状構造を有する化合物(以下、「環状多価イソシアネート化合物」と略記することがある)のトリメチロールプロパン付加体であり、化合物(i)に該当しないものである。トリメチロールプロパン付加体は、トリメチロールプロパンアダクト体と称することもある。
化合物(ii)における前記環状構造は、芳香族環式基(芳香族環)及び脂肪族環式基(脂肪族環)のいずれでもよい。
化合物(ii)における前記芳香族環式基は、芳香族化合物から1個以上の水素原子が除かれてなる基であり、前記芳香族化合物は、芳香族炭化水素及び芳香族複素環化合物のいずれでもよい。
前記芳香族化合物において、除かれる水素原子の数は、1個でもよいし、2個以上でもよい。前記イソシアネート基が前記芳香族環式基に結合している場合には、除かれる水素原子の数は、この基の結合数の影響を受ける。例えば、化合物(ii)がイソシアネート基を2個以上有し、これら2個以上のイソシアネート基がすべて前記芳香族環式基に結合している場合には、前記芳香族化合物において、除かれる水素原子の数は、2個以上となる。
前記芳香族化合物において、除かれる水素原子の位置は特に限定されない。
前記芳香族炭化水素は、単環状及び多環状のいずれでもよく、炭素数が6〜15であることが好ましく、例えば、ベンゼン、ナフタレン、トルエン、キシレン等が挙げられ、これら芳香族炭化水素の1個以上の水素原子が、さらに前記アルキル基又はアリール基で置換されたものも挙げられる。これら置換基を有する芳香族炭化水素は、置換基も含めて炭素数が6〜15であることが好ましい。
化合物(i)との反応性の観点から、前記芳香族炭化水素の炭素数は6〜10であることが好ましい。
前記芳香族複素環化合物は、芳香族複素環骨格を構成する原子として、1個以上のヘテロ原子を有するものであれば特に限定されず、単環状及び多環状のいずれでもよい。前記芳香族複素環化合物は、例えば、芳香族複素環に芳香族複素環以外の環が縮環した構造のものでもよく、前記芳香族複素環以外の環としては、例えば、脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環等の炭化水素環;非芳香族性の複素環(環骨格を構成する原子として、1個以上のヘテロ原子を有し、芳香族性を有しない環)等が挙げられる。
前記芳香族複素環化合物は、その芳香族複素環骨格を構成する原子の数が、3〜10であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。芳香族複素環化合物が、芳香族複素環に芳香族複素環以外の環が縮環した構造のものである場合には、上述の「芳香族複素環骨格を構成する原子」には、芳香族複素環に縮環している芳香族複素環以外の環の環骨格を構成する原子は含まれないものとする。また、芳香族複素環化合物が、多環状で芳香族複素環同士が縮環した構造のものである場合には、上述の「芳香族複素環骨格を構成する原子の数」は、縮環しているそれぞれの芳香族複素環の環骨格を構成する原子の数を意味する。
前記芳香族複素環化合物の芳香族複素環骨格を構成するヘテロ原子で好ましいものとしては、例えば、硫黄原子、窒素原子、酸素原子、セレン原子、リン原子等が挙げられる。
芳香族複素環骨格を構成する前記ヘテロ原子の数は、特に限定されないが、1又は2個であることが好ましく、1個であることがより好ましい。芳香族複素環骨格を構成する前記ヘテロ原子の数が2個以上である場合、これら複数個のヘテロ原子は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
化合物(ii)における前記脂肪族環式基(脂肪族環)は、脂肪族環化合物から1個以上の水素原子が除かれてなる基であり、前記脂肪族環化合物は、飽和脂肪族環化合物及び不飽和脂肪族環化合物のいずれでもよい。
そして、前記脂肪族環化合物において、除かれる水素原子の数は、前記イソシアネート基等の数によって決定され、1個でもよいし、2個以上でもよい。また、前記脂肪族環化合物において、除かれる水素原子の位置は特に限定されない。
前記飽和脂肪族環化合物は、単環状及び多環状のいずれでもよく、炭素数が6〜15であることが好ましく、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン等が挙げられ、これら飽和脂肪族環化合物の1個以上の水素原子が、さらに前記アルキル基で置換されたものも挙げられる。これら置換基を有する飽和脂肪族環化合物は、置換基も含めて炭素数が6〜15であることが好ましい。
化合物(i)との反応性の観点から、前記飽和脂肪族環化合物の炭素数は6〜10であることが好ましい。
前記不飽和脂肪族環化合物は、単環状及び多環状のいずれでもよく、例えば、不飽和脂肪族環に飽和脂肪族環が縮環した構造のものでもよい。
前記不飽和脂肪族環化合物としては、例えば、前記飽和脂肪族環化合物において、炭素原子間の1個以上の単結合(C−C)が、不飽和結合である二重結合(C=C)又は三重結合(C≡C)で置換されてなる化合物が挙げられる。
前記不飽和脂肪族環化合物において、不飽和結合の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよく、2個以上である場合、これら不飽和結合は二重結合のみでもよいし、三重結合のみでもよく、二重結合及び三重結合が混在していてもよい。
前記不飽和脂肪族環化合物において、不飽和結合の位置は特に限定されない。
化合物(ii)が有する前記環状構造は、1個のみでもよいし、2個以上でもよく、2個以上である場合、これら環状構造は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
化合物(ii)において、イソシアネート基の数は2個以上であれば特に限定されないが、2〜6個であることが好ましく、2〜5個であることがより好ましく、2〜4個であることがさらに好ましく、2又は3個であることが特に好ましい。
化合物(ii)において、イソシアネート基は、前記環状構造の環骨格を構成している原子に結合していてもよいし、前記環骨格を構成していない原子に結合していてもよいが、少なくとも1個のイソシアネート基は、前記環骨格を構成している原子に結合していることが好ましい。イソシアネート基が前記環状構造の環骨格を構成している原子に結合していない場合、このイソシアネート基は、例えば、アルキレン基を介して前記環骨格を構成している原子に結合していることが好ましく、前記アルキレン基は炭素数が1〜3であることが好ましい。
化合物(ii)は、化合物(i)における前記一般式「−NHR11」で表される基を有しないものが好ましい。
化合物(ii)における前記環状多価イソシアネート化合物で好ましいものとしては、例えば、芳香族炭化水素の環骨格を構成する炭素原子に直接、又は前記アルキレン基を介して、2個以上のイソシアネート基が結合している化合物と、飽和脂肪族環化合物の環骨格を構成する炭素原子に直接、又は前記アルキレン基を介して、2個以上のイソシアネート基が結合している化合物と、が挙げられる。
化合物(ii)でより好ましいものとしては、下記一般式(iia)−1で表される環状多価イソシアネート化合物のトリメチロールプロパン付加体(以下、「化合物(ii)−1」と略記することがある)、及び下記一般式(iia)−2で表される環状多価イソシアネート化合物のトリメチロールプロパン付加体(以下、「化合物(ii)−2」と略記することがある)が挙げられる。
Figure 2016089323
(式中、R21及びR22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり:lは0〜4の整数であり、lが2〜4の整数である場合、複数個のR21は互いに同一でも異なっていてもよく;mは0〜10の整数であり、mが2〜10の整数である場合、複数個のR22は互いに同一でも異なっていてもよい。)
式中、R21及びR22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、R11における置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基又はアラルキル基と同様のものである。
式中、lは0〜4の整数であり、lが2〜4の整数である場合、複数個(2〜4個)のR21は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
lは0〜3であることが好ましく、0〜2であることがより好ましい。
式中、mは0〜10の整数であり、mが2〜10の整数である場合、複数個(2〜10個)のR22は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
mは0〜8であることが好ましく、0〜6であることがより好ましく、0〜4であることが特に好ましい。
化合物(ii)−1において、2個のイソシアネート基の結合位置は特に限定されないが、互いにメタ位となることが好ましい。
また、lが1〜4である場合、化合物(ii)−1において、R21の結合位置は特に限定されない。
化合物(ii)−2において、イソシアネート基(−NCO)とイソシアナトメチル基(−CH−NCO)の結合位置は特に限定されないが、互いにメタ位となることが好ましい。
また、mが1〜10である場合、化合物(ii)−2において、R22の結合位置は特に限定されない。
特に好ましい化合物(ii)としては、例えば、下記のトリレン−2,4−ジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体等が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2016089323
[膜形成成分]
マイクロカプセル(A)は、少なくとも前記化合物(i)と前記化合物(ii)とを重縮合させて得られた重縮合物を膜形成成分とし、この重縮合物は、通常、ポリウレアである。本発明において、「膜形成成分」とは、有効成分(すなわち、微生物増殖抑制剤)を包み込む外殻の膜を形成する成分である。
前記重縮合は、界面重縮合法で行うことが好ましい。この方法を採用することで、優れた品質のマイクロカプセルが得られる。
界面重縮合は、内包させる微生物増殖抑制剤の共存下、公知の方法で行えばよく、その条件は用いる化合物(i)及び化合物(ii)の種類等を考慮して、適宜選択すればよい。
界面重縮合は、水と疎水性溶媒(可塑剤)との混合溶媒中で乳化させて行うことが好ましい。
重縮合させる前記化合物(i)及び化合物(ii)は、いずれも1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記化合物(i)及び化合物(ii)の使用量は、[化合物(i)中のカルボニル基の炭素原子に結合している一般式「−NHR11」で表される基のモル数]:[化合物(ii)中のイソシアネート基のモル数]のモル比が、10:90〜60:40となる量であることが好ましく、20:80〜40:60となる量であることがより好ましい。
化合物(i)中のカルボニル基の炭素原子に結合している一般式「−NHR11」で表される基のモル数が、化合物(ii)中のイソシアネート基のモル数よりも少なくなる様に設定すると、より高品質なマイクロカプセルが得られる。
前記微生物増殖抑制剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記微生物増殖抑制剤の使用量は、目的に応じて適宜調節すればよいが、通常は、前記化合物(i)及び化合物(ii)の総使用量100質量部に対して、10〜100質量部であることが好ましく、20〜85質量部であることがより好ましく、30〜70質量部であることが特に好ましい。
本発明においては、内包させる微生物増殖抑制剤を溶解させるために、可塑剤を併用してもよく、この場合、例えば、ポリビニルアルコール等の親水性物質を併用して、反応液を乳化させてもよい。
良好な特性を有する多孔性マイクロカプセルを容易に作製できる点で、好ましい前記可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソノニルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート等のフタル酸エステル;
トリメチルホスフェート(TMP)、トリエチルホスフェート(TEP)、トリブチルホスフェート(TBP)、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート(TOP)、トリブトキシエチルホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、キシレニルジフェニルホスフェート(XDP)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル;
トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、トリオクチルトリメリテート等のトリメリット酸エステル;
ブチルベンゾエート、ヘキシルベンゾエート等の安息香酸エステル;
サリチル酸イソペンチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル等のサリチル酸エステル;
ジメチルアジペート(DMA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼテート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート(セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル))、メチルアセチルリシノレート等の脂肪酸エステル;
フマル酸ジブチル、マロン酸ジエチル、シュウ酸ジメチル等の脂肪族ジカルボン酸エステル;
o−アセチルトリエチルシトレート等のクエン酸エステル;
メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、イソプロピルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン等のアルキルナフタレン;
o−メチルジフェニルエーテル、m−メチルジフェニルエーテル、p−メチルジフェニルエーテル等のアルキルジフェニルエーテル;
N,N−ジメチルラウリロアミド等の高級脂肪酸のアミド化合物;
N−ブチルベンゼンスルホンアミド等の芳香族スルホン酸のアミド化合物;
ジメチルジフェニルメタン等のジアリールメタン(ジアリールアルカン);
1−フェニル−1−メチルフェニルエタン、1−ジメチルフェニル−1−フェニルエタン、1−エチルフェニル−1−フェニルエタン等のジアリールエタン(ジアリールアルカン);塩素化パラフィン;
(メタ)アクリル酸エステル系重合性化合物((メタ)アクリル酸エステルをモノマーとする重合性化合物)、(メタ)アクリルアミド系重合性化合物((メタ)アクリルアミドをモノマーとする重合性化合物)、(メタ)アクリル酸系重合性化合物((メタ)アクリル酸をモノマーとする重合性化合物)、無水マレイン酸系重合性化合物(無水マレイン酸をモノマーとする重合性化合物)、マレイン酸エステル系重合性化合物(マレイン酸エステルをモノマーとする重合性化合物)、スチレン系重合性化合物(スチレンをモノマーとする重合性化合物)、ビニルエーテル系重合性化合物(ビニルエーテルをモノマーとする重合性化合物)、ビニルエステル系重合性化合物(ビニルエステルをモノマーとする重合性化合物)、アリルエーテル系重合性化合物(アリルエーテルをモノマーとする重合性化合物)等のビニル重合性化合物等が挙げられる。
親疎水両性物質を使用する場合には、その溶解度等の点から、より好ましい可塑剤としては、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ブチルベンジルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、トリメチルホスフェート(TMP)、トリブチルホスフェート(TBP)、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等が挙げられる。
可塑剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
可塑剤の使用量は、目的に応じて適宜調節すればよいが、通常は、前記微生物増殖抑制剤の使用量100質量部に対して、200〜5000質量部であることが好ましく、300〜2500質量部であることがより好ましく、400〜1000質量部であることが特に好ましい。
上述のように、重縮合には、前記化合物(i)及び化合物(ii)以外に、これらと重縮合可能な他の化合物を用いてもよい。
前記他の化合物は特に限定されない。
前記他の化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記他の化合物の使用量は、前記化合物(i)及び化合物(ii)の総使用量(モル数)に対して、5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることが特に好ましい。
本発明においては、通常、界面重縮合の温度は、60〜110℃であることが好ましく、65〜100℃であることがより好ましく、70〜90℃であることが特に好ましい。
また、界面重縮合の時間は、0.5〜5時間であることが好ましく、1〜4時間であることがより好ましく、1.5〜3時間であることが特に好ましい。
重縮合後は、例えば、マイクロカプセル(A)が水分散体として得られる。
得られたマイクロカプセル(A)は、そのまま目的とする用途で用いてもよいし、必要に応じて公知の後処理、精製等を行ってから、目的とする用途で用いてもよく、溶媒成分を除去してから目的とする用途で用いてもよい。
前記重縮合物は、前記化合物(i)−1と、前記化合物(ii)−1又は前記化合物(ii)−2と、の重縮合物であることが好ましい。
マイクロカプセル(A)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、前記化合物(i)と前記化合物(ii)との重縮合物以外の、他のオリゴマー及びポリマーのいずれか一方又は両方を、膜形成成分としていてもよい。
他のオリゴマー及びポリマーは、いずれも1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
膜形成成分の総量に対する前記他のオリゴマー及びポリマーの総含有量の割合は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
すなわち、膜形成成分の総量に対する、少なくとも前記化合物(i)と前記化合物(ii)とを重縮合させて得られた重縮合物の含有量の割合は、95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。
マイクロカプセル(A)の平均粒子径は、特に限定されないが、0.5〜10μmであることが好ましく、1〜7μmであることがより好ましく、1.5〜4μmであることが特に好ましい。
なお、本明細書において「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、コールターカウンターを用いる方法で測定された、体積累積分布の中央値D50を意味する。
マイクロカプセル(A)は、その製造方法を反映して、前記微生物増殖抑制剤以外に、例えば、可塑剤等の微生物増殖抑制剤以外の成分を内包していてもよい。
◎マイクロカプセル(B)
さらに新規の膜形成成分としては、少なくとも、一般式「−NHR11B(式中、R11Bは、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはアミノ基である。)」で表される基、及び水酸基のいずれか一方又は両方を合計で3個以上有し、かつ1個以上の芳香族環式基を有する化合物(I)(以下、単に「化合物(I)」と略記することがある)と、2個以上のイソシアネート基及び1個以上の芳香族環式基を有する化合物(II)(以下、単に「化合物(II)」と略記することがある)と、を重縮合させて得られた重縮合物が挙げられる。本明細書においては、この重縮合物を膜形成成分とするマイクロカプセルを「マイクロカプセル(B)」と称することがある。
マイクロカプセル(B)は、十分な徐放性を有し、熱による分解が抑制され、かつ安全性が低い原料が不要の安全性が高いものである。
[化合物(I)]
化合物(I)は、一般式「−NHR11B(式中、R11Bは、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはアミノ基である。)」で表される基、及び水酸基(−OH)のいずれか一方又は両方を合計で3個以上有し、かつ1個以上の芳香族環式基を有するものである。
11Bにおける置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはアミノ基は、マイクロカプセル(A)のR11における置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはアミノ基と同様のものである。
化合物(II)との反応性の観点から、R11Bにおける前記アルキル基の炭素数は1〜7であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜3であることが特に好ましい。
化合物(II)との反応性の観点から、R11Bにおける前記アリール基の炭素数は6〜10であることが好ましい。
化合物(II)との反応性の観点から、R11Bにおける前記アラルキル基の炭素数は7〜20であることが好ましく、7〜11であることがより好ましい。
11Bは、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基若しくはアミノ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基又はアミノ基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
化合物(I)における前記芳香族環式基は、芳香族化合物から1個以上の水素原子が除かれてなる基であり、前記芳香族化合物は、芳香族炭化水素及び芳香族複素環化合物のいずれでもよい。
そして、前記芳香族化合物において、除かれる水素原子の数は、1個でもよいし、2個以上でもよい。前記一般式「−NHR11B」で表される基及び水酸基の少なくとも一方が前記芳香族環式基に結合している場合には、除かれる水素原子の数は、これら基の結合数の影響を受ける。例えば、化合物(I)が前記一般式「−NHR11B」で表される基及び水酸基のいずれか一方又は両方を合計で3個有し、これら3個のものがすべて前記芳香族環式基に結合している場合には、前記芳香族化合物において、除かれる水素原子の数は、3個以上となる。
前記芳香族化合物において、除かれる水素原子の位置は特に限定されない。
前記芳香族炭化水素は、単環状及び多環状のいずれでもよく、炭素数が6〜15であることが好ましく、例えば、ベンゼン、ナフタレン、トルエン、キシレン等が挙げられ、これら芳香族炭化水素の1個以上の水素原子が、さらに前記アルキル基又はアリール基で置換されたものも挙げられる。これら置換基を有する芳香族炭化水素は、置換基も含めて炭素数が7〜10であることが好ましい。
化合物(II)との反応性の観点から、前記芳香族炭化水素の炭素数は6〜10であることが好ましい。
前記芳香族複素環化合物は、芳香族複素環骨格を構成する原子として、1個以上のヘテロ原子を有するものであれば特に限定されず、単環状及び多環状のいずれでもよい。前記芳香族複素環化合物は、例えば、芳香族複素環に芳香族複素環以外の環が縮環した構造のものでもよく、前記芳香族複素環以外の環としては、例えば、脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環等の炭化水素環;非芳香族性の複素環(環骨格を構成する原子として、1個以上のヘテロ原子を有し、芳香族性を有しない環)等が挙げられる。
前記芳香族複素環化合物は、その芳香族複素環骨格を構成する原子の数が、3〜10であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。芳香族複素環化合物が、芳香族複素環に芳香族複素環以外の環が縮環した構造のものである場合には、上述の「芳香族複素環骨格を構成する原子」には、芳香族複素環に縮環している芳香族複素環以外の環の環骨格を構成する原子は含まれないものとする。また、芳香族複素環化合物が、多環状で芳香族複素環同士が縮環した構造のものである場合には、上述の「芳香族複素環骨格を構成する原子の数」は、縮環しているそれぞれの芳香族複素環の環骨格を構成する原子の数を意味する。
前記芳香族複素環化合物の芳香族複素環骨格を構成するヘテロ原子で好ましいものとしては、例えば、硫黄原子、窒素原子、酸素原子、セレン原子、リン原子等が挙げられる。
芳香族複素環骨格を構成する前記ヘテロ原子の数は、特に限定されないが、1〜5個であることが好ましく、1〜4個であることがより好ましい。芳香族複素環骨格を構成する前記ヘテロ原子の数が2個以上である場合、これら複数個のヘテロ原子は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
化合物(I)が有する前記芳香族環式基は、1個のみでもよいし、2個以上でもよく、2個以上である場合、これら芳香族環式基は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
化合物(I)が有する前記芳香族環式基は、1〜3個であることが好ましく、1又は2個であることがより好ましく、1個であることが特に好ましい。
化合物(I)は、前記一般式「−NHR11B」で表される基及び水酸基のいずれか一方又は両方を合計で3個以上有していればよく、3個有していてもよいし、4個以上有していてもよい。
そして、化合物(I)は、水酸基を有さずに前記一般式「−NHR11B」で表される基を3個以上有していてもよいし、前記一般式「−NHR11B」で表される基を有さずに水酸基を3個以上有していてもよく、前記一般式「−NHR11B」で表される基及び水酸基を共に有し、これらを合計で3個以上有していてもよい。
化合物(I)において、前記一般式「−NHR11B」で表される基及び水酸基は、前記芳香族環式基の環骨格を構成している原子に結合していてもよいし、前記環骨格を構成していない原子に結合していてもよいが、前記環骨格を構成している原子に結合していることが好ましい。
そして、前記環骨格を構成している原子に結合している前記一般式「−NHR11B」で表される基及び水酸基の数が多いほど好ましく、すべての前記一般式「−NHR11B」で表される基及び水酸基が、前記環骨格を構成している原子に結合していることが好ましい。
前記一般式「−NHR11B」で表される基及び水酸基が前記芳香族環式基の環骨格を構成している原子に結合していない場合、これらの基は、例えば、アルキレン基を介して前記環骨格を構成している原子に結合していることが好ましく、前記アルキレン基は炭素数が1〜3であることが好ましい。
化合物(I)で好ましいものとしては、例えば、芳香族炭化水素又は芳香族複素環化合物の環骨格を構成する炭素原子に、前記一般式「−NHR11B」で表される基及び水酸基のいずれか一方又は両方が合計で3個以上結合しているものが挙げられる。
化合物(I)でより好ましいものとしては、下記一般式(I)−1で表される化合物(以下、「化合物(I)−1」と略記することがある)、及び下記一般式(I)−2で表される化合物(以下、「化合物(I)−2」と略記することがある)が挙げられる。
Figure 2016089323
(式中、Z及びZは、それぞれ独立に、一般式「−NHR11B(式中、R11Bは、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはアミノ基である。)」で表される基、又は水酸基であり;3個のZは互いに同一でも異なっていてもよく;R12Bは、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり:nは3〜6の整数であり、複数個のZは互いに同一でも異なっていてもよく;mは6−nの整数であり、mが2又は3である場合、複数個のR12Bは互いに同一でも異なっていてもよい。)
式中、Zは、前記一般式「−NHR11B」で表される基又は水酸基であり、化合物(I)−1において、3個のZは、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、2個のみ同一であってもよい。
式中、nは3〜6の整数であり、3〜5であることが好ましく、3〜4であることがより好ましく、3であることが特に好ましい。
式中、Zは、前記一般式「−NHR11B」で表される基又は水酸基であり、n個のZは、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
式中、mは6−n、すなわち0〜3の整数であり、0〜2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
式中、R12Bは、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、R12Bにおける置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、R11Bにおける置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基及びアラルキル基と同様のものである。mが2又は3である場合、複数個のR12Bは互いに同一でも異なっていてもよい。
12Bは、置換基を有していてもよいアルキル基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましい。
が1〜3である場合、化合物(I)−2において、R12Bの結合位置は特に限定されない。
また、化合物(I)−2において、Zの結合位置は特に限定されないが、隣り合うものに共にZが結合している2個の炭素原子の組み合わせの数が少ないものほど好ましく、前記組み合わせの数が0であるもの、すなわち、Zが1位、3位及び5位の炭素原子に結合しているものが特に好ましい。このような特に好ましい化合物(I)−2は、下記一般式(I)−21で表される。
Figure 2016089323
(式中、Z及びR12Bは前記と同じであり;m’は0又は1であり、3個のm’は互いに同一でも異なっていてもよい。)
式中、m’は0又は1であり、0であることが好ましい。
3個のm’は互いに同一でも異なっていてもよく、すべて同一であってもよいし、2個のみ同一であってもよい。
上記の他にも、化合物(I)で好ましいものとしては、水酸基を有さずに前記一般式「−NHR11B」で表される基を3個以上有するもの、前記一般式「−NHR11B」で表される基を有さずに水酸基を3個以上有するものが挙げられる。
特に好ましい化合物(I)としては、例えば、下記のメラミン、フロログルシノール(1,3,5−トリヒドロキシベンゼン)等が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2016089323
[化合物(II)]
化合物(II)は、2個以上のイソシアネート基及び1個以上の芳香族環式基を有するものであり、化合物(I)に該当しないものである。
化合物(II)における前記芳香族環式基は、芳香族化合物から1個以上の水素原子が除かれてなる基であり、前記芳香族化合物は、芳香族炭化水素及び芳香族複素環化合物のいずれでもよい。
化合物(II)における前記芳香族化合物は、除かれる水素原子の数が異なり得る点以外は、上記の化合物(I)における前記芳香族化合物と同様のものである。
例えば、2個以上のイソシアネート基が前記芳香族環式基に結合している場合には、除かれる水素原子の数は、これらイソシアネート基の結合数の影響を受ける。一例としては、化合物(II)がイソシアネート基を2個有し、これら2個のものがいずれも前記芳香族環式基に結合している場合には、前記芳香族化合物において、除かれる水素原子の数は、2個以上となる。
前記芳香族化合物において、除かれる水素原子の位置は特に限定されない。
化合物(II)が有する前記芳香族環式基は、1個のみでもよいし、2個以上でもよく、2個以上である場合、これら芳香族環式基は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
化合物(II)が有する前記芳香族環式基は、1〜3個であることが好ましく、1又は2個であることがより好ましく、1個であることが特に好ましい。
化合物(II)において、イソシアネート基の数は2個以上であれば特に限定されないが、2〜6個であることが好ましく、2〜5個であることがより好ましく、2〜4個であることがさらに好ましく、2又は3個であることが特に好ましい。
化合物(II)において、イソシアネート基は、前記芳香族環式基の環骨格を構成している原子に結合していてもよいし、前記環骨格を構成していない原子に結合していてもよいが、前記環骨格を構成している原子に結合していることが好ましい。
そして、前記環骨格を構成している原子に結合しているイソシアネート基の数が多いほど好ましく、すべてのイソシアネート基が、前記環骨格を構成している原子に結合していることが好ましい。
イソシアネート基が前記芳香族環式基の環骨格を構成している原子に結合していない場合、このイソシアネート基は、例えば、アルキレン基を介して前記環骨格を構成している原子に結合していることが好ましく、前記アルキレン基は炭素数が1〜3であることが好ましい。
化合物(II)は、化合物(I)における前記一般式「−NHR11B」で表される基及び水酸基を有しないものが好ましい。
化合物(II)は、変性体であってもよく、好ましい変性体としては、例えば、トリメチロールプロパン付加体が挙げられる。トリメチロールプロパン付加体は、トリメチロールプロパンアダクト体と称することもある。
化合物(II)で好ましいものとしては、例えば、芳香族炭化水素の環骨格を構成する炭素原子に2個以上のイソシアネート基が結合している化合物が挙げられる。
化合物(II)でより好ましいものとしては、下記一般式(II)−1で表される化合物(環状多価イソシアネート化合物)、及びそのトリメチロールプロパン付加体(以下、これら化合物をまとめて「化合物(II)−1」と略記することがある)が挙げられる。
Figure 2016089323
(式中、R21Bは、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり:lは0〜4の整数であり、lが2〜4の整数である場合、複数個のR21Bは互いに同一でも異なっていてもよい。)
式中、R21Bは、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、R11Bにおける置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基又はアラルキル基と同様のものである。
式中、lは0〜4の整数であり、lが2〜4の整数である場合、複数個(2〜4個)のR21Bは、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
は0〜3であることが好ましく、0〜2であることがより好ましい。
化合物(II)−1において、2個のイソシアネート基の結合位置は特に限定されないが、互いにメタ位となることが好ましい。
また、lが1〜4である場合、化合物(II)−1において、R21Bの結合位置は特に限定されない。
特に好ましい化合物(II)としては、例えば、下記のトリレン−2,4−ジイソシアネート、及びそのトリメチロールプロパン付加体等が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2016089323
[膜形成成分]
マイクロカプセル(B)は、少なくとも前記化合物(I)と前記化合物(II)とを重縮合させて得られた重縮合物を膜形成成分とし、この重縮合物は、通常、ポリウレアである。
前記重縮合は、界面重縮合法で行うことが好ましい。この方法を採用することで、優れた品質のマイクロカプセルが得られる。
界面重縮合は、内包させる微生物増殖抑制剤の共存下、公知の方法で行えばよく、その条件は用いる化合物(I)及び化合物(II)の種類等を考慮して、適宜選択すればよい。
界面重縮合は、水と疎水性溶媒(可塑剤)との混合溶媒中で乳化させて行うことが好ましい。
重縮合させる前記化合物(I)及び化合物(II)は、いずれも1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記化合物(I)及び化合物(II)の使用量は、[化合物(I)中の一般式「−NHR11B」で表される基及び水酸基の総モル数]:[化合物(II)中のイソシアネート基のモル数]のモル比が、10:90〜60:40となる量であることが好ましく、20:80〜40:60となる量であることがより好ましい。
化合物(I)中の一般式「−NHR11B」で表される基及び水酸基の総モル数が、化合物(II)中のイソシアネート基のモル数よりも少なくなる様に設定すると、より高品質なマイクロカプセルが得られる。
前記微生物増殖抑制剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記微生物増殖抑制剤の使用量は、目的に応じて適宜調節すればよいが、通常は、前記化合物(I)及び化合物(II)の総使用量100質量部に対して、10〜100質量部であることが好ましく、20〜85質量部であることがより好ましく、30〜70質量部であることが特に好ましい。
本発明においては、内包させる微生物増殖抑制剤を溶解させるために、可塑剤を併用してもよく、この場合、例えば、ポリビニルアルコール等の親水性物質を併用して、反応液を乳化させてもよい。
前記可塑剤は、マイクロカプセル(A)における可塑剤と同様のものである。
可塑剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
可塑剤の使用量は、目的に応じて適宜調節すればよいが、通常は、微生物増殖抑制剤の使用量100質量部に対して、200〜5000質量部であることが好ましく、300〜2500質量部であることがより好ましく、400〜1000質量部であることが特に好ましい。
上述のように、重縮合には、前記化合物(I)及び化合物(II)以外に、これらと重縮合可能な他の化合物を用いてもよい。
前記他の化合物は特に限定されない。
前記他の化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記他の化合物の使用量は、前記化合物(I)及び化合物(II)の総使用量(モル数)に対して、5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることが特に好ましい。
本発明においては、通常、界面重縮合の温度は、60〜110℃であることが好ましく、65〜100℃であることがより好ましく、70〜90℃であることが特に好ましい。
また、界面重縮合の時間は、0.5〜5時間であることが好ましく、1〜4時間であることがより好ましく、1.5〜3時間であることが特に好ましい。
重縮合後は、例えば、マイクロカプセル(B)が水分散体として得られる。
得られたマイクロカプセル(B)は、そのまま目的とする用途で用いてもよいし、必要に応じて公知の後処理、精製等を行ってから、目的とする用途で用いてもよく、溶媒成分を除去してから目的とする用途で用いてもよい。
前記重縮合物は、前記化合物(I)−1又は(I)−2と、前記化合物(II)−1又はそのトリメチロールプロパン付加体と、の重縮合物であることが好ましい。
マイクロカプセル(B)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、前記化合物(I)と前記化合物(II)との重縮合物以外の、他のオリゴマー及びポリマーのいずれか一方又は両方を、膜形成成分としていてもよい。
他のオリゴマー及びポリマーは、いずれも1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
膜形成成分の総量に対する前記他のオリゴマー及びポリマーの総含有量の割合は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
すなわち、膜形成成分の総量に対する、少なくとも前記化合物(I)と前記化合物(II)とを重縮合させて得られた重縮合物の含有量の割合は、95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。
マイクロカプセル(B)の平均粒子径は、特に限定されないが、0.5〜10μmであることが好ましく、1〜7μmであることがより好ましく、1.5〜4μmであることが特に好ましい。
マイクロカプセル(B)は、その製造方法を反映して、微生物増殖抑制剤以外に、例えば、可塑剤等の微生物増殖抑制剤以外の成分を内包していてもよい。
本発明は、建築物の壁面内装に利用可能である。
1,2,3・・・壁紙、11・・・基材、11a・・・基材の一方の主面(表面)、11b・・・基材の他方の主面(裏面)、12・・・マイクロカプセル含有層(接着剤層、第1接着剤層、水溶性高分子含有層)、12a・・・マイクロカプセル含有層の一方の主面(表面)、12b・・・マイクロカプセル含有層の他方の主面(裏面)、121・・・マイクロカプセル化された微生物増殖抑制剤(マイクロカプセル)、13・・・樹脂層、14・・・印刷層、19・・・剥離材

Claims (5)

  1. 膜形成成分によりマイクロカプセル化された微生物増殖抑制剤を含有するマイクロカプセル含有層を基材上に備え、
    前記基材がセルロースからなる又はセルロースを主成分とすることを特徴とする壁紙。
  2. 前記マイクロカプセル含有層が、さらに水溶性高分子を含有することを特徴とする請求項1に記載の壁紙。
  3. 前記マイクロカプセル含有層が、さらに接着剤基材を含有することを特徴とする請求項1に記載の壁紙。
  4. 前記膜形成成分が、
    少なくとも、カルボニル基の炭素原子に結合している、一般式「−NHR11(式中、R11は、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはアミノ基である。)」で表される基の数が2個以上である化合物(i)と、
    2個以上のイソシアネート基及び1個以上の環状構造を有する化合物のトリメチロールプロパン付加体である化合物(ii)と、を重縮合させて得られた重縮合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の壁紙。
  5. 前記膜形成成分が、
    少なくとも、一般式「−NHR11B(式中、R11Bは、水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、アラルキル基若しくはアミノ基である。)」で表される基、及び水酸基のいずれか一方又は両方を合計で3個以上有し、かつ1個以上の芳香族環式基を有する化合物(I)と、
    2個以上のイソシアネート基及び1個以上の芳香族環式基を有する化合物(II)と、を重縮合させて得られた重縮合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の壁紙。
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