JP2012196382A - マイクロカプセル及びこのマイクロカプセルを付着させた衛生用紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネートを主として含む脂肪族ジイソシアネートから成り、イソシアヌレート構造及びアロファネート構造を含むポリイソシアネートを使用することで、十分な壁強度を有するスキンケア成分や香料成分を内包するマイクロカプセルが得られる。
【選択図】なし
Description
マイクロカプセルを付着させた衛生用紙として、使用前には香料成分の揮発を防止するとともに使用時においては十分な香りを得ることができるマイクロカプセルを付着させたティッシュ、トイレットペーパー、ハンドペーパーなどが開示されている(特許文献4)。
一方、マイクロカプセルの壁膜材としては、一般にメラミン樹脂やウレタン樹脂が使用されているが、衛生用紙や湿布などに用いられるマイクロカプセルの壁膜材としては、皮膚感作性の低いウレタン樹脂を使用することが望ましいとされている。このウレタン樹脂を壁膜材として用いたマイクロカプセルは、壁膜材の成分であるポリイシアネート及び各種成分を溶解させて強制的に混合攪拌することにより乳化して製造されるため、各種成分の溶剤への溶解性や溶剤と壁膜材であるポリイソシアネートとの相溶性が重要である。
そのため、非極性溶媒に相溶性のあるイソシアネートとしてイソシアヌレート構造を持つイソシアネートが開発されている(特許文献5等)。更に、紫外吸収剤を内包するマイクロカプセルの壁膜材としてこのようなイソシアネートを用いることも行われている(特許文献6)。
各種成分の溶剤への溶解性が良くない場合、マイクロカプセルを製造することができないという問題や、溶剤とポリイソシアネートの相性が悪いとマイクロカプセルが製造できない、あるいは十分な壁強度を発現していないマイクロカプセルしか製造できない等の問題を生じる。
例えば、従来壁膜材として用いられているビュレット構造を持つポリイソシアネートを用いた場合、スキンケア成分であるグリチルレチン酸ステアリルをマイクロカプセルに内包させようとしても、十分な壁強度を有するマイクロカプセルを形成させることはできなかった(後記の比較例1)。そのため、従来スクワランなどをマイクロカプセル化する場合には、壁膜材としてメラミン樹脂(特許文献1、4等)やシリカ(特許文献1、2等)等が用いられ、ウレタン系樹脂を用いる場合にはかなり滲出性の強い用途に限られていた(特許文献3等)。
そこで、本発明は、壁膜材にポリイソシアネートを用いて、十分な壁強度を有し、皮膚の保護や皮膚炎の抑制に有効なスキンケア成分や香料成分を内包するマイクロカプセルを提供することを目的とする。
即ち、本願発明は、油性成分を内包するマイクロカプセルであって、該マイクロカプセルの壁膜材が、ヘキサメチレンジイソシアネートを主として含む脂肪族ジイソシアネートから成り、イソシアヌレート構造及びアロファネート構造を含むポリイソシアネートであるマイクロカプセル、並びにこのマイクロカプセルを付着させた衛生用紙である。
グリチルリチン酸若しくはそのエステルのような成分は、常温で固体であるため、マイクロカプセル化する場合には、溶媒に溶解させて溶液とする必要がある。このような溶媒として、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルチミン酸イソプロピル、パルチミン酸オクチルドデシル等が挙げられるが、常温(15〜30℃程度)におけるスクワラン、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリルなどとの溶解性が優れるミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルが好ましい。また、これらをスクワランやオリーブ油等の液状の油性成分に溶解させてもよい。
この脂肪族ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添ジイソシアネート(水添XDI、水添MDIなど)等が挙げられるが、主としてHDIを含み、例えば、イソシアネート全体に対してHDIが50重量%以上、特に80重量%以上、より好ましくはHDIが用いられる。
このポリイソシアネートのNCO含有量は通常16〜24%である。
ポリイソシアネート中のイソシアヌレート構造の存在は、IR測定による1680cm−1付近のピークにより確認できる。
またポリイソシアネート中のアロファネート構造は、1H−NMR測定によるδ=8.6ppm付近のピークにより確認できる。
このように脂肪族ジイソシアネートから成るイソシアヌレート構造及びアロファネート構造を含むポリイソシアネートを壁膜材として用いることにより、上記の油性成分をマイクロカプセル中に内包することが可能になる。
このようなポリイソシアネートとして、デュラネートTSA−100、デュラネートTSS−100、デュラネートTSE−100(以上、旭化成ケミカルズ(株)社製)、タケネートD−177N(三井化学ポリウレタン(株)社製)などが挙げられる。
本発明のマイクロカプセルの粒径は通常1〜100μm、好ましくは5〜50μmである。
衛生用紙としては、特に限定はないが、使い捨てペーパーハンドタオルや、鼻カミ用のティシュペーパーのような薄葉紙製品が挙げられる。
薄葉紙製品には、本発明のマイクロカプセルのスラリーに湿潤剤及び柔軟性や平滑性を付与する添加剤を混合した薬剤を使用してもよい。湿潤剤としては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビット、ソルビタン、ペンタエリスリット等の多価アルコールが挙げられる。
柔軟性を付与するものとして、第4級アンモニウム塩、アミン塩、各種アミノ酸等が添加されてもよい。平滑性を付与する薬品としては、ジメチルポリシロキサンエマルジョン、アミノ変性シリコーンエマルジョン、ポリエーテル変性シリコーンオイル等のポリシロキサンが添加されることもある。
薄葉紙製品に使用される原紙としては坪量10〜60g/m2程度のクレープ紙を1枚又は2枚以上重ねたものが使用される。鼻カミ用のティシュペーパーとしては坪量10〜20g/m2の薄葉紙を2枚重ねたものが好適である。手拭き用のペーパーハンドタオルとしては坪量20〜30g/m2の薄葉紙を2枚重ねたもの、若しくは、坪量30〜60g/m2の薄葉紙を1枚で使用することが好適である。
薄葉紙製品は、大巾抄造原紙を必要に合わせてプライアップを行い、次いで所定の巾に切断した多数の細巾ロールを組み合わせ、折り加工を行い、切断して箱詰め又はピロー包装を行う(マルチフォールディング方式。又は、大巾抄造原紙を必要に応じてプライアップを行い、ロールを所定の巾に切断した後、1又は2本の細巾ロールで折り加工してから箱詰め等を行うインターフォールディング方式で実施することもできる。
[実施例1]
〔マイクロカプセルスラリーの調製〕
グリチルレチン酸ステアリル0.1部をミリスチン酸イソプロピル125部に添加して溶解し、さらに、イソシアネートとしてデュラネートTSA−100(旭化成ケミカルズ(株)社製)を1.5部添加して溶解した。次に予め用意した8%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製:PVA217)125部中に混合溶解オイルを加え激しく攪拌し乳化し、油滴の平均粒径約10μmのO/Wタイプエマルションを得た。次いで系の温度を80℃に加熱し、撹拌下2時間この温度を保持した。その後室温に戻し、マイクロカプセルスラリーを得、30%の固形分濃度に調製した。
得られたマイクロカプセルスラリーを24時間常温放置した際の安定性を目視で確認したところ、低極性有機溶剤が分離せずに安定した状態であった。
〔マイクロカプセルの塗布〕
坪量16g/m2のティシュペーパーの両面に上記マイクロカプセルスラリーを対重量5%ハンドスプレーにて塗布し、衛生用紙を得た。
得られた衛生用紙を40℃、80%RHの環境下に24時間放置したが、変色などの外観の変化は見られなかった。
デュラネートTSA−100をデュラネートTSS−100(旭化成ケミカルズ(株)社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセルスラリーを調製した後、上記衛生用紙に塗布した。
得られたマイクロカプセルスラリーを24時間常温放置した際の安定性を目視で確認したところ、低極性有機溶剤が分離せずに安定した状態であった。また、得られた衛生用紙を40℃、80%RHの環境下に24時間放置したが、変色などの外観の変化は見られなかった。
[実施例3]
ミリスチン酸イソプロピルをオリーブ油に変更した以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセルスラリーを調製した後、上記衛生用紙に塗布した。
得られたマイクロカプセルスラリーを24時間常温放置した際の安定性を目視で確認したところ、低極性有機溶剤が分離せずに安定した状態であった。また、得られた衛生用紙を40℃、80%RHの環境下に24時間放置したが、変色などの外観の変化は見られなかった。
[実施例4]
ミリスチン酸イソプロピルをパルチミン酸イソプロピルに変更した以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセルスラリーを調製した後、上記衛生用紙に塗布した。
得られたマイクロカプセルスラリーを24時間常温放置した際の安定性を目視で確認したところ、低極性有機溶剤が分離せずに安定した状態であった。また、得られた衛生用紙を40℃、80%RHの環境下に24時間放置したが、変色などの外観の変化は見られなかった。
[実施例5]
ミリスチン酸イソプロピルを2−エチルヘキサン酸セチルに変更した以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセルスラリーを調製した後、上記衛生用紙に塗布した。
得られたマイクロカプセルスラリーを24時間常温放置した際の安定性を目視で確認したところ、低極性有機溶剤が分離せずに安定した状態であった。また、得られた衛生用紙を40℃、80%RHの環境下に24時間放置したが、変色などの外観の変化は見られなかった。
ミリスチン酸イソプロピルをパルチミン酸オクチルドデシルに変更した以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセルスラリーを調製した後、上記衛生用紙に塗布した。
得られたマイクロカプセルスラリーを24時間常温放置した際の安定性を目視で確認したところ、低極性有機溶剤が分離せずに安定した状態であった。また、得られた衛生用紙を40℃、80%RHの環境下に24時間放置したが、変色などの外観の変化は見られなかった。
[実施例7]
グリチルレチン酸ステアリルをグリチルレチン酸に変更した以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセルスラリーを調製した後、上記衛生用紙に塗布した。
得られたマイクロカプセルスラリーを24時間常温放置した際の安定性を目視で確認したところ、低極性有機溶剤が分離せずに安定した状態であった。また、得られた衛生用紙を40℃、80%RHの環境下に24時間放置したが、変色などの外観の変化は見られなかった。
[実施例8]
グリチルレチン酸ステアリルをスクラワンに変更した以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセルスラリーを調製した後、上記衛生用紙に塗布した。
得られたマイクロカプセルスラリーを24時間常温放置した際の安定性を目視で確認したところ、低極性有機溶剤が分離せずに安定した状態であった。また、得られた衛生用紙を40℃、80%RHの環境下に24時間放置したが、変色などの外観の変化は見られなかった。
デュラネートTSA−100をデュラネート24A−100(旭化成ケミカルズ(株)社製、ビュレット型)に変更した以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセルスラリーを調製した。
得られたマイクロカプセルスラリーを24時間常温放置した際の安定性を目視で確認したところ、低極性有機溶剤が分離し、不安定な状態であった。
Claims (5)
- 油性成分を内包するマイクロカプセルであって、該マイクロカプセルの壁膜材が、ヘキサメチレンジイソシアネートを主として含む脂肪族ジイソシアネートから成り、イソシアヌレート構造及びアロファネート構造を含むポリイソシアネートであるマイクロカプセル。
- 前記油性成分が、スクワラン、グリチルリチン酸若しくはそのエステル、オリーブ油、ビタミン類、セラミド、アミノ酸類、ラズベリー類、ラベンダー、ジャスミン、ペパーミント、ローズマリー、ローマンカモミール、ユーカリ、ヒノキチオール、アロエエキス、カテキン、ホホバ油、柑橘油、又はこれらを溶媒に溶解した溶液、又はこれらの混合液である請求項1に記載のマイクロカプセル。
- 前記油性成分が、スクワラン又はグリチルリチン酸若しくはそのエステル、又はこれらを溶媒に溶解した溶液、又はこれらの混合液である請求項1に記載のマイクロカプセル。
- 前記溶媒が、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルチミン酸イソプロピル、パルチミン酸オクチルドデシルである請求項1〜3のいずれか一項に記載のマイクロカプセル。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のマイクロカプセルを付着させた衛生用紙。
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