JP2016089311A - 抗菌性セルロース繊維 - Google Patents

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太一 後藤
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Yoshiyuki Hashimoto
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Abstract

【課題】幅広い繊維径を有するセルロース繊維を使用した場合においても、低添加量で高密度に金属微粒子を担持させることが可能で抗菌性を得ることができ、抗菌剤が透明であり、抗菌剤の液だれ性が良好である抗菌剤を提供することである。【解決手段】下記[A]〜[D]を全て満たすセルロース繊維の表面上に、1種以上の金属またはそれらの化合物からなる金属微粒子が担持されてなる抗菌性セルロース繊維。[A]数平均繊維径が2nm以上500nm以下[B]繊維のアスペクト比が50以上[C]セルロース分子中の水酸基に置換基が導入されており、置換度が0.01以上0.5以下[D]I型及び/又はII型の結晶構造を有する【選択図】なし

Description

本発明は、抗菌性セルロース繊維に関する。
抗菌剤は、繊維、洗濯機、塗料、ワニス、流しや衛生セラミックス、消毒剤、防臭剤、台所用品、化粧品、身体手入れ用品、乳幼児製品などから傷や火傷の処置、医療器具消毒等様々な分野において使用されている。
セルロース繊維および金属微粒子を用いた抗菌剤として、例えば、微細繊維状セルロース懸濁液と無機化合物微粒子からなるコロイドを混合し、脱水、乾燥させることで微細繊維状セルロースと無機化合物微粒子を複合化したもの(特許文献1)、N−オキシル化合物を用いた酸化反応により結晶表面にカルボキシル基を導入した微細セルロースの表面上に、1種以上の金属またはそれらの化合物からなる金属微粒子が担持されてなることを特徴とする抗菌性微細セルロース(特許文献2)が開示されている。
特開2012−7247号公報 特開2014−70158号公報
しかし特許文献1の方法では、微細繊維状セルロースと微粒子を単純に混合し、乾燥させただけでは、微細繊維状セルロースおよび微粒子間の密着が悪く、脱離が生じる、均一に数nmオーダーの微粒子が分散しない等の問題が生じる恐れがある。また、特許文献2の方法では、セルロースを微細にすることが必須であり、微細化工程が煩雑であるという課題があった。また、近年の抗菌剤の用途の広がりに伴い、透明かつ、液だれ性が良好なものが求められている。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、幅広い繊維径を有するセルロース繊維を使用した場合においても、低添加量で高密度に金属微粒子を担持させることが可能で抗菌性を得ることができ、抗菌剤が透明であり、抗菌剤の液だれ性が良好である抗菌剤を提供することを課題とする。
本発明の発明者らは、特定のセルロース繊維の表面上に、特定の金属微粒子が担持されてなる抗菌性セルロース繊維が、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は下記に掲げるに発明に関する。
(1)下記[A]〜[D]を全て満たすセルロース繊維の表面上に、1種以上の金属またはそれらの化合物からなる金属微粒子が担持されてなる抗菌性セルロース繊維。
[A]数平均繊維径が2nm以上500nm以下
[B]繊維のアスペクト比が50以上
[C]セルロース分子中の水酸基に置換基が導入されており、置換度が0.01以上0.5以下
[D]I型及び/又はII型の結晶構造を有する
(2)前記置換基が、アルキル基、カルボキシアルキル基、シアノアルキル基、ヒドロキシアルキル基、およびアルコキシアルキル基からなる群より選ばれる1種以上である(1)記載の抗菌性セルロース繊維。
(3)前記金属微粒子が銀またはその化合物である(1)または(2)に記載の抗菌性セルロース繊維。
(4)前記金属微粒子の粒子径が1nm以上20nm以下である(1)〜(3)のいずれか記載の抗菌性セルロース繊維。
(5)下記[A]〜[D]を全て満たすセルロース繊維の表面上に、1種以上の金属またはそれらの化合物からなる金属微粒子を還元析出させる抗菌性セルロース繊維の製造方法。
[A]数平均繊維径が2nm以上500nm以下
[B]繊維のアスペクト比が50以上
[C]セルロース分子中の水酸基に置換基が導入されており、置換度が0.01以上0.5以下
[D]I型及び/又はII型の結晶構造を有する
(6)(1)〜(4)のいずれか記載の抗菌性セルロース繊維を含有する抗菌剤。
本発明の抗菌剤を用いることにより、幅広い繊維径を有するセルロース繊維を使用した場合においても、低添加量で高密度に金属微粒子を担持させることが可能で抗菌性を得ることができ、抗菌剤が透明であり、抗菌剤の液だれ性が良好であるという効果を奏する。
本発明の抗菌性セルロース繊維に用いられるセルロース繊維は、下記[A]〜[D]を全て満たす。
[A]数平均繊維径が2nm以上500nm以下
[B]繊維のアスペクト比が50以上
[C]セルロース分子中の水酸基に置換基が導入されており、置換度が0.01以上0.5以下
[D]I型及び/又はII型の結晶構造を有する
前記セルロース繊維の数平均繊維径は、2nm以上500nm以下であり、好ましくは2nm以上150nm以下、より好ましくは2nm以上100nm以下である。これらの範囲であれば、セルロース繊維が分散媒体に溶解することも、沈降することもなく、抗菌性の観点から好ましい。
本発明において、数平均繊維径の解析は、例えば、次のようにして行うことができる。すなわち、固形分率で0.05〜0.1質量%のセルロース繊維の水分散体を調製し、その分散体を、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察用試料とする。なお、本発明外の大きな繊維径の繊維を含む場合には、ガラス上へキャストした表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察してもよい。そして、構成する繊維の大きさに応じて5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。その際に、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定し、その軸に対し、20本以上の繊維が交差するよう、試料および観察条件(倍率等)を調節する。そして、この条件を満たす観察画像を得た後、この画像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維径を目視で読み取っていく。このようにして、最低3枚の重複しない表面部分の画像を、電子顕微鏡で撮影し、各々2つの軸に交錯する繊維の繊維径の値を読み取る(したがって、最低20本×2×3=120本の繊維径の情報が得られる)。このようにして得られた繊維径のデータにより、数平均繊維径を算出する。
前記セルロース繊維のアスペクト比は50以上である。より好ましくは100以上である。これらの範囲であれば、セルロース繊維の表面上に金属微粒子が担持させる際に、沈降が生じないことから好ましい。
本発明において、前記セルロース繊維のアスペクト比は、以下の方法で測定することが出来る、すなわち、セルロース繊維を親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウラニルアセテートでネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、セルロース繊維の短幅の方の数平均幅、および長幅の方の数平均幅を観察した。すなわち、各先に述べた方法に従い、短幅の方の数平均幅、および長幅の方の数平均幅を算出し、これらの値を用いてアスペクト比を下記の式に従い算出した。
アスペクト比=長幅の方の数平均幅(nm)/短幅の方の数平均幅(nm)
前記セルロース繊維におけるセルロース分子中の水酸基には置換基が導入される。導入される置換基としては、セルロース分子中の水酸基との間にエーテル結合が生じる置換基であれば特に限定されない。例えば、アルキル基、カルボキシアルキル基、シアノアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基などが挙げられる。抗菌性、透明性、および液だれ性の両立の観点から、より好ましくは、カルボキシアルキル基、メチル基、エチル基、シアノエチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、エチルヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピルメチル基であり、カルボキシメチル基がさらに好ましい。置換基は一種であっても二種以上であっても良い。
前記セルロース繊維における置換度は、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数の平均値をいう。置換度は0.01以上0.5以下であり、好ましくは0.01以上0.25以下である。これらの範囲であれば、セルロース繊維の解繊が十分であり、かつセルロース繊維の一部が溶解することもなく金属微粒子の担持性および、それに由来する抗菌性の観点から好ましい。
前記セルロース繊維はI型及び/又はII型の結晶構造を有する。結晶構造を有することは、例えば、広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、セルロースI型またはII型に典型的なX線回折パターン(I型:回折角2θ=14.8°、16.8°、22.6°、II型:回折角2θ=12.1°、19.8°、22.0°)をもつことから確認できる。これらの結晶構造を有することにより、水への溶解が起こり難くなり、抗菌性、透明性、および液だれ性の両立の観点から好ましい。
前記セルロース繊維を得るためには、公知の方法でセルロース分子中の水酸基に置換基を導入する。好ましくは下記に例示する公知の方法を用いてアニオン変性させる。その一例として次のような製造方法をあげることができる。セルロースを原料とし、溶媒に質量で3〜20倍の低級アルコール、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の単独、又は2種以上の混合物と水の混合媒体を使用する。なお、低級アルコールの混合割合は、60〜95質量%である。マーセル化剤としては、セルロースのグルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用する。セルロースと溶媒、マーセル化剤を混合してマーセル化処理を行う。このときの反応温度は0〜70℃、好ましくは10〜60℃であり、反応時間は15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間である。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05〜10倍モル添加してエーテル化反応を行う。このときの反応温度は30〜90℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間は30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間である。
前記セルロース原料は、特に限定されないが、例えば、晒又は未晒木材パルプ、精製リンター、酢酸菌等の微生物によって生産されるセルロース等の天然セルロースや、セルロースを銅アンモニア溶液、モルホリン誘導体等、何らかの溶媒に溶解し、改めて紡糸された再生セルロース、及び上記セルロース系素材の加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミル処理等によって解重合処理した微細セルロース又は機械的に処理した微細セルロースが例示される。これらは一種であっても二種以上であっても良い。
その後、必要に応じて前記セルロース繊維を乾燥してもよく、上記セルロース繊維の分散体の乾燥法としては、例えば、分散媒体が水と有機溶媒の混合溶液である場合は、ドラムドライヤーによる乾燥法、スプレードライヤーによる噴霧乾燥法等が用いられる。なお、上記セルロース繊維の分散体を乾燥することなく、分散体の状態で用いてもよい。
また、高圧ホモジナイザーでの解繊・分散処理に先立って、必要に応じて、高速せん断ミキサーなどの公知の混合、攪拌、乳化、分散装置を用いて、置換基を導入したセルロースに予備処理を施すことも可能である。
前記セルロース繊維は、置換基を導入したセルロースを分散機を用いて分散させることで得ることができる。分散機としては、特に限定されないが、例えば、高速回転下でのホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、超音波分散処理機、ビーター、ディスク型レファイナー、コニカル型レファイナー、ダブルディスク型レファイナー、グラインダー等があげられる。高圧ホモジナイザーとは、ポンプによって流体に加圧し、流路に設けた非常に繊細な間隙より噴出させる装置である。粒子間の衝突、圧力差による剪断力等の総合エネルギーによって乳化・分散・解繊・粉砕・超微細化を行うことができるものである。これらの強力で叩解能力のある装置を使用することにより、より効率的かつ高度なダウンサイジングが可能となり、経済的に有利に堀削泥水用添加剤を得ることができる点で好ましい。なお、上記分散機としては、例えば、スクリュー型ミキサー、パドルミキサー、ディスパー型ミキサー、タービン型ミキサー、ディスパー、プロペラミキサー、ニーダー、ブレンダー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ペブルミル、ビーズミル粉砕機等を用いてもよい。また、2種類以上の分散機を組み合わせて用いてもよい。
本発明のホモジナイザーを使用した場合の処理条件としては、特に限定されるものではないが、圧力条件としては、30MPa以上、好ましくは100MPa以上、さらに好ましくは140MPa以上である。
本発明におけるセルロース繊維の表面上に、担持させる金属微粒子としては、特に限定されないが、抗菌性を有する金属微粒子が好ましく、例えば、金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、レニウム、鉄、鉛、銅、亜鉛、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム、チタンなどの金属又はこれらの化合物が挙げられる。中でも、銀またはその化合物が好ましい。化合物としては、特に限定されないが、例えば、合金、酸化物、塩化物、複酸化物などが挙げられる。中でも、酸化銀、塩化銀が好ましい。
本発明における金属微粒子の粒子径としては、特に限定されないが、例えば、1nm以上20nm以下であることが好ましい。これらの範囲であれば、セルロース繊維表面においてより緻密に金属微粒子を担持することが可能になり、抗菌性の効率を向上させることが可能になる点から好ましい。
セルロース繊維の表面上に、金属微粒子を担持させる方法としては、特に限定されないが、セルロース繊維表面上に高密度に金属微粒子を担持させるため、前記金属または合金、酸化物、塩化物、複酸化物等の溶液とセルロース繊維の水分散液を混合し、セルロース繊維表面の置換基と前記金属または合金、酸化物、塩化物、複酸化物のカチオンを静電的に相互作用させ、還元し析出させることが好ましい。前記置換基としては、アニオン性基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。セルロース繊維の表面上に担持させる金属微粒子としては、金属イオンが完全に還元されていてもよく、一部に塩(たとえばカルボン酸塩)が残存していてもよい。求められる抗菌性の観点から適宜選択されうる。
前記金属または合金、酸化物、複酸化物を還元させる方法としては、特に限定しないが、弱い還元剤を用いる方が粒径を小さく均一に制御しやすく、かつ簡便で好ましい。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化アルミニウムリチウム、シアノ化水素化ホウ素ナトリウム、トリアルコキシ水素化アルミニウムリチウム、ジイソブチル水素化アルミニウム等の水素化金属が挙げられ、安全性や汎用性から水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
本発明の抗菌剤は、抗菌性セルロース繊維を含有するものであり、上記により得られた抗菌性セルロース繊維の分散液を、そのまま用いることもできる。本発明の抗菌剤には、本発明の効果を妨げない範囲で任意成分を含有してもよい。
本発明の抗菌剤における抗菌性セルロース繊維の含有量は求められる抗菌性の観点から適宜選択されうるものであり、特に限定されないが0.01質量%以上10.0質量%以下が好ましく、0.1質量%以上2質量%以下がより好ましい。これらの範囲であれば、抗菌性、透明性、液ダレ性の観点から好ましい。
抗菌剤に含有されうる任意成分を含有させる時期については特に限定されないが、セルロース繊維を該解繊処理した直後に含有してもよい。任意成分としては、特に限定されないが、当該セルロース繊維の用途等に応じて、公知の添加剤のなかから適宜選択できる。具体的には、アルコキシシラン等の有機金属化合物またはその加水分解物、無機層状化合物、無機針状鉱物、レベリング剤、消泡剤、水溶性高分子、合成高分子、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、増粘剤、安定剤、磁性粉、配向促進剤、可塑剤、架橋剤等が挙げられる。
前記水溶性高分子としては特に限定されず、公知のものを使用することができ、例えば、アラビアゴム、カラヤガム、キサンタンガム、キャロブガム、ジェランガム、カチオン化グアガム、グアガム、グアヤク脂、ダルマンガム、トラガント、ベンゾインゴム、ローカストビーンガムなどのガム質、カゼイン、寒天、アルギン酸、デキストリン、デキストラン、カラギーナン、コラーゲン、ペクチン、デンプン、ポリガラクツロン酸、キチン、キトサン、エラスチン、ヘパリン、ヘパリノイド、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等の多糖類、またはその誘導体、セラミド、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、セルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダなどのポリカルボン酸系化合物、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等から選択された1種又は2種以上が使用可能である。抗菌剤中の水溶性高分子の含有量としては、特に限定されないが、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。水溶性高分子を含有することにより、抗菌剤中の抗菌性セルロース繊維の含有量が少ない場合においても、良好な抗菌性を得ることができる。
本発明の抗菌剤の抗菌性としては、JISL1902の菌液吸収法に準拠して測定される黄色ブドウ球菌の静菌活性値が、3.5以上であることが好ましく、3.9以上であることがより好ましい。
本発明の抗菌剤の抗菌性としては、UV−vis分光光度計によって測定される600nmにおける透過率が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
本発明の抗菌剤の液だれ性としては、市販の容量50 mL用のディスペンサー型のスプレー容器(三谷ポンプ社製、ノズル:Z-75-1、ポンプ:H04-050)に20 mL充填し、垂直ガラス板に水平距離で10 cm の位置から噴霧を連続して5回実施したとき、液滴の液だれが噴霧から1分以内に起こらないことが好ましい。
本発明の抗菌剤は、様々な基材上に塗布することも可能である。基材上に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、コンマコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、ダイレクトグラビアコーター、リバースグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、ロールキスコーター、リバースキスコーター、キスグラビアコーター、リバースキスグラビアコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、リップコーター、ディップコーター、ブレードコーター、ブラシコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター等のいずれかもしくは二つ以上の塗工方法を組み合わせて用いることができる。また立体に塗工する場合の方法としては、スプレーコーター、ディップコーター等のいずれかもしくは二つ以上の塗工方法を組み合わせて用いることできる。塗工方法はバッチ式、連続式によらない。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明について詳細に説明するが、本発明はもちろんこれらに限定されるものではない。なお、濃度は特に断らない限り質量%である。
〔製造例1〕
撹拌機にパルプ(LBKP、日本製紙(株)製)を乾燥重量で200g、水酸化ナトリウムを18g加え、パルプ固形濃度が15%になるように水を加えた。その後、30℃で30分攪拌した後に70℃まで昇温し、モノクロロ酢酸ナトリウムを23g(有効成分換算)添加した。1時間反応した後に、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりの置換度0.01のアニオン変性されたセルロースを得た。その後、アニオン変性したパルプを固形濃度1%とし、高圧ホモジナイザーにより、液温20℃から冷却操作を伴いながら140MPaの圧力で5回処理し、数平均繊維径97nm、アスペクト比81で、結晶構造を有するセルロース繊維1の水分散液を得た。
〔製造例2〕
水酸化ナトリウムを176g、モノクロロ酢酸ナトリウムを234g(有効成分換算)に変更した以外、製造例1と同様にしてセルロース繊維2の水分散液を得た。なお、得られたセルロース繊維のグルコース単位当たりの置換度は0.10であり、数平均繊維径は21nm、アスペクト比160であり、結晶構造を有していた。
〔製造例3〕
水酸化ナトリウムを308g、モノクロロ酢酸ナトリウムを410g(有効成分換算)に変更した以外、製造例1と同様にしてセルロース繊維3の水分散液を得た。なお、得られたセルロース繊維のグルコース単位当たりの置換度は0.25であり、数平均繊維径は10nm、アスペクト比171であり、結晶構造を有していた。
〔製造例4〕
水酸化ナトリウムを9g、モノクロロ酢酸ナトリウムを12g(有効成分換算)に変更した以外、製造例1と同様にしてセルロース繊維4の水分散液を得た。なお、得られたセルロース繊維のグルコース単位当たりの置換度は0.005であり、数平均繊維径は710nm、アスペクト比19であり、結晶構造を有していた。
〔製造例5〕
水酸化ナトリウムを476g、モノクロロ酢酸ナトリウムを632g(有効成分換算)に変更した以外、製造例1と同様にしてセルロース繊維5の水分散液を得た。なお、得られたセルロースのグルコース単位当たりの置換度は0.60であり、これを観察したところ、繊維状のTEM像は得られず、数平均繊維径は測定できなかった。また、結晶構造も有していなかった。
〔製造例6〕
水酸化ナトリウムを308g、モノクロロ酢酸ナトリウムを410g(有効成分換算)、高圧ホモジナイザーによる処理を20回に変更した以外、製造例1と同様にしてセルロース繊維6の水分散液を得た。なお、得られたセルロース繊維のグルコース単位当たりの置換度は0.25であり、これを観察したところ、繊維状のTEM像は得られず、数平均繊維径は測定できなかった。また、結晶構造も有していなかった。
〔製造例7〕
撹拌機に、パルプ(LBKP、日本製紙株式会社製)を乾燥質量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥質量で308g加え、パルプ固形分濃度が15%になるように水を加えた。その後、70℃で9時間攪拌した後に、モノクロロ酢酸ナトリウムを410g(有効成分換算)添加した。1時間反応した後に、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりの置換度0.28のアニオン変性されたセルロースを得た。その後、アニオン変性したパルプに水を添加して固形分濃度1%とし、高圧ホモジナイザーにより、液温20℃から冷却操作を伴いながら140MPaの圧力で5回処理し、セルロース繊維7の分散液を得た。これを観察したところ、繊維状のTEM像は得られず、数平均繊維径は測定できなかった。また、結晶構造も有していなかった。
<グルコース単位当たりの置換度の測定方法>
セルロース繊維を0.6質量%スラリーに調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.4とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量からカルボキシル基量を測定し、下式を用いて算出した。ここで言う置換度とは、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数の平均値を表している。
カルボキシメチル置換度=(162×C)/(1−58×C)
C:カルボキシル基量(mol/g)
<数平均繊維径の測定方法>
セルロース繊維を2質量%のスラリーとして、ディスパー型ミキサーを用いて回転数8,000rpmで10分間微細化処理を行った。各セルロース繊維の最大繊維径および数平均繊維径を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製、JEM−1400)を用いて観察した。すなわち、各セルロース繊維を親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウラニルアセテートでネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、先に述べた方法に従い、数平均繊維径を算出した。
<結晶構造の確認方法>
X線回折装置(リガク社製、RINT−Ultima3)を用いて広角X線回折像を測定し、各セルロース繊維の回折プロファイルにセルロースI型またはII型に典型的なX線回折パターン(I型:回折角2θ=14.8°、16.8°、22.6°、II型:回折角2θ=12.1°、19.8°、22.0°)がみられる場合は結晶構造を有すると判断した。
<アスペクト比の測定方法>
セルロースを親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウラニルアセテートでネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、セルロースの短幅の方の数平均幅、長幅の方の数平均幅を観察した。すなわち、各先に述べた方法に従い、短幅の方の数平均幅、および長幅の方の数平均幅を算出し、これらの値を用いてアスペクト比を下記の式に従い算出した。
アスペクト比=長幅の方の数平均幅(nm)/短幅の方の数平均幅(nm)
〔実施例1〜3〕
セルロース繊維1〜3の1%水分散液と5mM硝酸銀水溶液を混合し、十分攪拌した。その後、10mM水素化ホウ素ナトリウムを添加し、銀イオンを還元しセルロース繊維上に銀微粒子を担持させ、抗菌剤を作製した。上記銀微粒子の大きさの観察としては、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察したところ、粒子径2nmであった。
〔実施例4〕
実施例1において、セルロース繊維2の1%水分散液を使用し、硝酸銀水溶液の濃度を2.5mMとし、担持した銀微粒子の大きさを1nmとした以外は同様の方法で、抗菌剤を作製した。
〔実施例5〕
実施例1において、セルロース繊維2の1%水分散液を使用し、硝酸銀水溶液の濃度を10mMとし、担持した銀微粒子の大きさを4nmとした以外は同様の方法で、抗菌剤を作製した。
〔実施例6〕
3mM硝酸銀水溶液に10mM水素化ホウ素ナトリウム水溶液を添加し、十分攪拌し予め銀イオンを還元した。得られた液にセルロース繊維2の1%水分散液を添加し、抗菌剤を作製した。上記銀微粒子の大きさの観察としては、TEMを用いて観察したところ、30nmであった。
〔比較例1〜4〕
実施例1において、セルロース繊維4〜7を使用した以外は同様の方法で、抗菌剤を作製した。
このようにして得られた抗菌剤を用い、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。これらの結果を、表2に示した。
[抗菌性能評価]
得られた抗菌剤を、JISL1902の菌液吸収法に準拠して測定される黄色ブドウ球菌の静菌活性値により評価した。
[透明性評価]
得られた抗菌剤を、UV−vis分光光度計によって測定される600nmにおける透過率により評価した。
[液だれ性評価]
得られた抗菌剤を、各々、市販の容量50 mL用のディスペンサー型のスプレー容器(三谷ポンプ社製、ノズル:Z-75-1、ポンプ:H04-050)に20 mL充填した。ガラス板を垂直に立て、水平距離で10 cm の位置から噴霧を連続して5回実施し,付着した液滴の液だれの有無を目視により下記基準で評価した。
×:噴霧から1分以内に液だれする。
○:噴霧から1分以上液だれしない。
Figure 2016089311
Figure 2016089311
表2より、本発明の技術的範囲に属する実施例は、幅広い数平均繊維径を有するセルロース繊維について、抗菌性を低下させることなく金属微粒子の量を減少させることが可能になり、少ない担持量で効率的に抗菌性を発現させることが可能であることが分かった。また、分散性よく金属微粒子をセルロース繊維上に担時させることができることから、透明性が高いこと、液だれ性も良好であることがわかった。一方、アスペクト比が低い比較例1は、結晶構造を有さない比較例2〜4は、抗菌性、透明性および液だれ性が両立できないことがわかった。
本発明の抗菌剤は、繊維、洗濯機、塗料、ワニス、流しや衛生セラミックス、消毒剤、防臭剤、台所用品、化粧品、身体手入れ用品、乳幼児製品などから傷や火傷の処置、医療器具消毒等様々な分野において好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 下記[A]〜[D]を全て満たすセルロース繊維の表面上に、1種以上の金属またはそれらの化合物からなる金属微粒子が担持されてなる抗菌性セルロース繊維。
    [A]数平均繊維径が2nm以上500nm以下
    [B]繊維のアスペクト比が50以上
    [C]セルロース分子中の水酸基に置換基が導入されており、置換度が0.01以上0.5以下
    [D]I型及び/又はII型の結晶構造を有する
  2. 前記置換基が、アルキル基、カルボキシアルキル基、シアノアルキル基、ヒドロキシアルキル基、およびアルコキシアルキル基からなる群より選ばれる1種以上である請求項1記載の抗菌性セルロース繊維。
  3. 前記金属微粒子が銀またはその化合物である請求項1または2記載の抗菌性セルロース繊維。
  4. 前記金属微粒子の粒子径が1nm以上20nm以下である請求項1〜3のいずれか記載の抗菌性セルロース繊維。
  5. 下記[A]〜[D]を全て満たすセルロース繊維の表面上に、1種以上の金属またはそれらの化合物からなる金属微粒子を還元析出させる抗菌性セルロース繊維の製造方法。
    [A]数平均繊維径が2nm以上500nm以下
    [B]繊維のアスペクト比が50以上
    [C]セルロース分子中の水酸基に置換基が導入されており、置換度が0.01以上0.5以下
    [D]I型及び/又はII型の結晶構造を有する
  6. 請求項1〜4のいずれか記載の抗菌性セルロース繊維を含有する抗菌剤。
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