JP5744775B2 - 研磨剤組成物 - Google Patents

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本発明は、セルロース繊維を含有する研磨剤組成物に関するものである。
従来、金属製品、ガラス製品、石材製品、樹脂製品等の研磨および洗浄に用いられる研磨剤には、酸化セリウム等からなる微粒子状の研磨砥粒を、グリセリド系油脂で固めたもの(固形研磨剤)や、ペースト状にしたものが存在する。
また、上記のような形態の研磨剤は作業性の点に劣ることから、それを改善するものとして、分散剤、界面活性剤、増粘剤などを添加してスラリー状にした研磨剤も提案されている(特許文献1,2参照)。
特開平8−183947号公報 特開2000−351956号公報
しかしながら、上記のように分散剤および界面活性剤を添加した研磨剤は、長期保存した際、凝集して濃度が不均一となりやすく、しかも、その凝集物が固いために、再撹拌しても均一に分散させることが難しいといった問題がある。
また、上記のように分散剤および界面活性剤を添加した研磨剤をガスと混合してスプレー容器に充填したものも提案されているが、上記研磨剤の粘度が低いために、スプレー時に広範囲に広がりすぎたり、塗布後に液だれしたりするといった問題がある。
また、上記のような液だれを防止するには、通常、上記研磨剤に増粘剤を添加して粘度を高めるといった対処がとられるが、液だれが生じない粘度にまで増粘した場合、スプレーすることができないといった問題もある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、保存安定性に優れるとともに、スプレー性、液だれ防止性に優れる研磨剤組成物の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の研磨剤組成物は、下記の(A)成分および(B)成分を含有する研磨剤組成物であって、組成物全体に対し、(A)成分の含有量が1〜60重量%の範囲であり、(B)成分の固形分の含有量が0.01〜10重量%の範囲であるという構成をとる。
(A)研磨砥粒。
(B)数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化変性されてアルデヒド基,ケトン基およびカルボキシル基のいずれかとなったものであり、上記アルデヒド基およびケトン基の一部ないし全部は還元されており、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/g、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g以下であり、フェーリング試薬によるアルデヒド基の検出が認められない、セルロース繊維。
すなわち、本発明者らは、保存安定性に優れるとともに、スプレー性、液だれ防止性に優れる研磨剤組成物を得るため、鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化変性された、微細なセルロース繊維を、研磨砥粒とともに配合することを想起した。そして、上記セルロース繊維を、上記酸化変性により、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/gとなるよう調製し、さらに、還元により、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g以下であってフェーリング試薬によるアルデヒド基の検出が認められないものとなるようにすることにより、上記研磨剤組成物が、保存安定性に優れるようになり、しかも、静置状態では高い粘性を示すが、せん断力を加えると粘性が低下するようになることから、スプレー性と液だれ防止性との双方が両立するようになることを見いだし、本発明に到達した。
このように、本発明の研磨剤組成物は、数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化変性されてアルデヒド基,ケトン基およびカルボキシル基のいずれかとなったものであり、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/gの範囲である特殊なセルロース繊維(B)を、研磨砥粒(A)とともに含有している。そのため、本発明の研磨剤組成物は、長期保存しても粘度低下が殆どなく、さらに再撹拌不可能な凝集物の発生も抑えることができる。また、本発明の研磨剤組成物は、スプレー性と液だれ防止性との双方が良好であり、優れた作業性が得られるようになる。
特に、上記セルロース繊維(B)のアルデヒド基とケトン基の合計含量が、セミカルバジド法による測定において0.3mmol/g以下であって、フェーリング試薬によるアルデヒド基の検出が認められないものであることから、長期保存による凝集物の発生をより抑えることができる。
また、上記研磨砥粒(A)の含有量が特定の範囲であることから、より優れた研磨性、作業性が得られるようになる。
さらに、上記セルロース繊維(B)の固形分の含有量が特定の範囲であることから、より一層、保存安定性、スプレー性、液だれ防止性に優れるようになる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の研磨剤組成物は、研磨砥粒(A成分)と、特定のセルロース繊維(B成分)とを含有するものである。
上記研磨砥粒(A成分)は、酸化セリウム、酸化クロム、シリカ、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、窒化ケイ素等からなる微粒子状のものが用いられる。これらは、通常、研磨対象の材質により、その研磨に適したものが使用される。また、これらの研磨砥粒は、単独でもしくは二種以上併せて用いられる。なかでも、汎用性の観点から、酸化セリウムからなる研磨砥粒が好ましく用いられる。
上記研磨砥粒(A成分)としては、その平均粒径が0.01〜500μmのものが好ましく、より好ましくは、その平均粒径が0.1〜200μmのものである。すなわち、上記範囲より平均粒径が大きいと、研磨対象の表面に傷をつけるおそれがあり、逆に、上記範囲より平均粒径が小さいと、研磨効率に劣るようになるからである。なお、研磨砥粒の平均粒径は、例えば、母集団から任意に抽出される試料を用い、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することにより導き出すことができる。
そして、本発明の研磨剤組成物において、より優れた研磨性、作業性を得る観点から、上記研磨砥粒(A成分)の含有量が、組成物全体の1〜60重量%の範囲であり、好ましくは、組成物全体の5〜30重量%の範囲である。
上記研磨砥粒(A成分)とともに配合される、前記特定のセルロース繊維(B成分)としては、数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化変性されてアルデヒド基,ケトン基およびカルボキシル基のいずれかとなったものであり、上記アルデヒド基およびケトン基の一部ないし全部は還元されており、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/g、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g以下であり、フェーリング試薬によるアルデヒド基の検出が認められない、微細なセルロース繊維が用いられる。上記セルロース繊維は、I型結晶構造を有する天然由来のセルロース固体原料を表面酸化し微細化した繊維である。すなわち、天然セルロースの生合成の過程においては、ほぼ例外なくミクロフィブリルと呼ばれるナノファイバーがまず形成され、これらが多束化して高次な固体構造を構成するが、上記ミクロフィブリル間の強い凝集力の原動となっている表面間の水素結合を弱めるために、その水酸基(セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基)の一部が酸化され、カルボキシル基やアルデヒド基やケトン基に変換されている。
ここで、上記特定のセルロース繊維(B成分)を構成するセルロースがI型結晶構造を有することは、例えば、広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2シータ=14〜17°付近と、2シータ=22〜23°付近の2つの位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
また、上記特定のセルロース繊維(B成分)の数平均繊維径は、2〜150nmであり、分散安定性の点から、好ましくは数平均繊維径が2〜100nmであり、特に好ましくは3〜80nmである。すなわち、上記数平均繊維径が上記範囲未満であると、本質的に分散媒体に溶解してしまい、逆に上記数平均繊維径が上記範囲を超えると、セルロース繊維が沈降してしまい、セルロース繊維を配合することによる機能性を発現することができないからである。また、上記セルロース繊維の最大繊維径は、1000nm以下であることが好ましく、特に好ましくは500nm以下である。すなわち、上記セルロース繊維の最大繊維径が上記範囲を超えると、セルロース繊維が沈降してしまい、セルロース繊維を配合することによる機能性を発現することができないからである。
上記特定のセルロース繊維(B成分)の数平均繊維径・最大繊維径は、例えば、つぎのようにして測定することができる。すなわち、固形分率で0.05〜0.1重量%の微細セルロースの水分散体を調製し、その分散体を、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察用試料とする。なお、大きな繊維径の繊維を含む場合には、ガラス上へキャストした表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察してもよい。そして、構成する繊維の大きさに応じて5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。その際に、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定し、その軸に対し、20本以上の繊維が交差するよう、試料および観察条件(倍率等)を調節する。そして、この条件を満たす観察画像を得た後、この画像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維径を目視で読み取っていく。このようにして、最低3枚の重複しない表面部分の画像を、電子顕微鏡で撮影し、各々2つの軸に交錯する繊維の繊維径の値を読み取る(したがって、最低20本×2×3=120本の繊維径の情報が得られる)。このようにして得られた繊維径のデータにより、最大繊維径および数平均繊維径を算出する。
そして、上記特定のセルロース繊維(B成分)は、セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化変性されてアルデヒド基,ケトン基およびカルボキシル基のいずれかとなったものであり、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/gである。好ましくは、1.5〜2.0mmol/gの範囲のカルボキシル基含量である。このようにカルボキシル基の含量を特定範囲内に設定することにより、本発明の研磨剤組成物において、従来以上の、高い保存安定性、液だれ防止性等を得ることができる。なお、上記カルボキシル基量が上記範囲未満であると、上記のような本発明の効果が充分に得られず、さらにセルロース繊維の沈降や凝集を生じる場合もあり、逆に上記カルボキシル基量が上記範囲を超えると、水溶性が強くなり過ぎるおそれがある。
上記特定のセルロース繊維(B成分)のカルボキシル基量の測定は、例えば、乾燥重量を精秤したセルロース試料から0.5〜1重量%スラリーを60ml調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、電気伝導度測定を行う。測定はpHが約11になるまで続ける。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下記の式(1)に従いカルボキシル基量を求めることができる。
カルボキシル基量(mmol/g)=V(ml)×〔0.05/セルロース重量〕 ……(1)
なお、カルボキシル基量の調整は、後述するように、セルロース繊維の酸化工程で用いる共酸化剤の添加量や反応時間を制御することにより行うことができる。
また、上記特定のセルロース繊維(B成分)は、前記酸化変性後、還元剤により還元させる。これにより、アルデヒド基およびケトン基の一部ないし全部は還元され、水酸基に戻る。なお、カルボキシル基は還元されない。そして、上記還元により、上記特定のセルロース繊維(B成分)の、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量を、0.3mmol/g以下とし、好ましくは0〜0.1mmol/gの範囲としより好ましくは実質的に0mmol/gとする。これにより、単に酸化変性させたものよりも、増粘性、分散安定性が増し、特に気温等に左右されず長期にわたり分散安定性に優れるようになる。また、上記のように、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g以下であるセルロース繊維を、上記(B)成分のセルロース繊維として本発明の研磨剤組成物に用いると、長期保存による凝集物の発生をより抑えることができる。なお、アルデヒド基とケトン基の合計が0.3mmol/gを超えると、長期保存による凝集物の発生や、研磨剤組成物の粘度が時間経過と共に著しく低下するといったおそれがある。
そして、上記特定のセルロース繊維(B成分)が、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TEMPO)等のN−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化されたものであり、上記酸化反応により生じたアルデヒド基およびケトン基が、還元剤により還元されたものであると、上記特定のセルロース繊維を容易に得ることができるようになり、研磨剤組成物として、より良好な結果を得ることができるようになるため、好ましい。また、上記還元剤による還元が、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)によるものであると、上記観点から、より好ましい。
ところで、セミカルバジド法による、アルデヒド基とケトン基との合計含量の測定は、例えば、つぎのようにして行われる。すなわち、まず、乾燥させた試料に、リン酸緩衝液によりpH=5に調整したセミカルバジド塩酸塩3g/l水溶液を正確に50ml加え、密栓し、二日間振とうする。ついで、この溶液10mlを正確に100mlビーカーに採取し、5N硫酸を25ml、0.05Nヨウ素酸カリウム水溶液5mlを加え、10分間撹拌する。その後、5%ヨウ化カリウム水溶液10mlを加えて、直ちに自動滴定装置を用いて、0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液にて滴定し、その滴定量等から、下記の式(2)に従い、試料中のカルボニル基量(アルデヒド基とケトン基との合計含量)を求めることができる。なお、セミカルバジドは、アルデヒド基やケトン基と反応しシッフ塩基(イミン)を形成するが、カルボキシル基とは反応しないことから、上記測定により、アルデヒド基とケトン基のみを定量できると考えられる。
カルボニル基量(mmol/g)=(D−B)×f×〔0.125/w〕 ……(2)
D:サンプルの滴定量(ml)
B:空試験の滴定量(ml)
f:0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター(−)
w:試料量(g)
本発明における上記特定のセルロース繊維(B成分)は、繊維表面上のセルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基のみが選択的に酸化変性されてアルデヒド基,ケトン基およびカルボキシル基のいずれかとなっている。このセルロース繊維表面上のグルコースユニットのC6位の水酸基のみが選択的に酸化されているかどうかは、例えば、13C−NMRチャートにより確認することができる。すなわち、酸化前のセルロースの13C−NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりにカルボキシル基等に由来するピーク(178ppmのピークはカルボキシル基に由来するピーク)が現れる。このようにして、グルコース単位のC6位水酸基のみがカルボキシル基等に酸化されていることを確認することができる。
また、上記特定のセルロース繊維(B成分)におけるアルデヒド基の検出は、フェーリング試薬により行われる。すなわち、例えば、乾燥させた試料に、フェーリング試薬(酒石酸ナトリウムカリウムと水酸化ナトリウムとの混合溶液と、硫酸銅五水和物水溶液)を加えた後、80℃で1時間加熱したとき、上澄みが青色、セルロース繊維部分が紺色を呈するものは、アルデヒド基は検出されなかったと判断することができ、上澄みが黄色、セルロース繊維部分が赤色を呈するものは、アルデヒド基は検出されたと判断することができる。
上記特定のセルロース繊維(B成分)は、例えば、(1)酸化反応工程、(2)還元工程、(3)精製工程、(4)分散工程(微細化処理工程)等を行うことにより得ることができる。以下、各工程を順に説明する。
(1)酸化反応工程
天然セルロースと、N−オキシル化合物とを水(分散媒体)に分散させた後、共酸化剤を添加して、反応を開始する。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10〜11に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なす。ここで、共酸化剤とは、直接的にセルロース水酸基を酸化する物質ではなく、酸化触媒として用いられるN−オキシル化合物を酸化する物質のことである。
上記天然セルロースは、植物,動物,バクテリア産生ゲル等のセルロースの生合成系から単離した精製セルロースを意味する。より具体的には、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、コットンリンター,コットンリント等の綿系パルプ、麦わらパルプ,バガスパルプ等の非木材系パルプ、バクテリアセルロース(BC)、ホヤから単離されるセルロース、海草から単離されるセルロース等をあげることができる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、コットンリンター、コットンリント等の綿系パルプ、麦わらパルプ,バガスパルプ等の非木材系パルプが好ましい。上記天然セルロースは、叩解等の表面積を高める処理を施すと、反応効率を高めることができ、生産性を高めることができるため好ましい。また、上記天然セルロースとして、単離、精製の後、乾燥させない(ネバードライ)で保存していたものを使用すると、ミクロフィブリルの集束体が膨潤しやすい状態であるため、反応効率を高め、微細化処理後の数平均繊維径を小さくすることができるため好ましい。
上記反応における天然セルロースの分散媒体は水であり、反応水溶液中の天然セルロース濃度は、試薬(天然セルロース)の充分な拡散が可能な濃度であれば任意である。通常は、反応水溶液の重量に対して約5%以下であるが、機械的撹拌力の強い装置を使用することにより反応濃度を上げることができる。
また、上記N−オキシル化合物としては、例えば、一般に酸化触媒として用いられるニトロキシラジカルを有する化合物があげられる。上記N−オキシル化合物は、水溶性の化合物が好ましく、なかでもピペリジンニトロキシオキシラジカルが好ましく、特に2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカル(TEMPO)または4−アセトアミド−TEMPOが好ましい。上記N−オキシル化合物の添加は、触媒量で充分であり、好ましくは0.1〜4mmol/l、さらに好ましくは0.2〜2mmol/lの範囲で反応水溶液に添加する。
上記共酸化剤としては、例えば、次亜ハロゲン酸またはその塩、亜ハロゲン酸またはその塩、過ハロゲン酸またはその塩、過酸化水素、過有機酸等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。なかでも、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム等のアルカリ金属次亜ハロゲン酸塩が好ましい。そして、上記次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合は、臭化ナトリウム等の臭化アルカリ金属の存在下で反応を進めることが、反応速度の点において好ましい。上記臭化アルカリ金属の添加量は、上記N−オキシル化合物に対して約1〜40倍モル量、好ましくは約10〜20倍モル量である。
上記反応水溶液のpHは約8〜11の範囲で維持されることが好ましい。水溶液の温度は約4〜40℃において任意であるが、反応は室温(25℃)で行うことが可能であり、特に温度の制御は必要としない。
目的とするカルボキシル基量等を得るために、酸化の程度を共酸化剤の添加量と反応時間により制御する。通常、反応時間は約5〜120分、長くとも240分以内に完了する。
(2)還元工程
前記特定のセルロース繊維(B成分)は、上記酸化反応後、更に還元反応を行うことが好ましい。具体的には、酸化反応後の微細酸化セルロースを精製水に分散し、水分散体のpHを約10に調整し、各種還元剤により還元反応を行う。本発明に使用する還元剤としては、一般的なものを使用することが可能であるが、好ましくは、LiBH4、NaBH3CN、NaBH4があげられる。なかでも、NaBH4は、コスト及び利用可能性という観点から特に好ましい。
微細酸化セルロースを基準として、還元剤の量は、0.1〜4重量%の範囲が好ましく、特に好ましくは1〜3重量%の範囲内である。反応条件は室温または室温より若干高い温度で、10分〜10時間、好ましくは30分〜2時間行なわれる。
上記の反応終了後、各種の酸により反応混合物のpHを約2に調整し、精製水をふりかけながら遠心分離機で固液分離を行い、ケーキ状の微細酸化セルロースを得る。固液分離は濾液の電気伝導度が5mS/m以下となるまで行う。
(3)精製工程
つぎに、未反応の共酸化剤(次亜塩素酸等)や、各種副生成物等を除く目的で精製を行う。反応物繊維は通常、この段階ではナノファイバー単位までばらばらに分散しているわけではないため、通常の精製法、すなわち水洗とろ過を繰り返すことで高純度(99重量%以上)の反応物繊維と水の分散体とする。
上記精製工程における精製方法は、遠心脱水を利用する方法(例えば、連続式デカンダー)のように、上述した目的を達成できる装置であればどのような装置を利用しても構わない。こうして得られる反応物繊維の水分散体は、絞った状態で固形分(セルロース)濃度としておよそ10重量%〜50重量%の範囲にある。この後の分散工程を考慮すると、50重量%よりも高い固形分濃度とすると、分散に極めて高いエネルギーが必要となることから好ましくない。
(4)分散工程(微細化処理工程)
上記精製工程にて得られる水を含浸した反応物繊維(水分散体)を、分散媒体中に分散させ分散処理を行う。処理に伴って粘度が上昇し、微細化処理されたセルロース繊維の分散体を得ることができる。その後、上記セルロース繊維の分散体を乾燥することによって、特定のセルロース繊維(B成分)を得ることできる。なお、上記セルロース繊維の分散体を乾燥することなく、分散体の状態で研磨剤組成物に用いても差し支えない。
そして、上記のようにして得られた特定のセルロース繊維(B成分)の分散媒体には、水や、水と有機溶媒の混合溶液が用いられる。
上記分散工程で使用する分散機としては、高速回転下でのホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、超音波分散処理、ビーター、ディスク型レファイナー、コニカル型レファイナー、ダブルディスク型レファイナー、グラインダー等の強力で叩解能力のある装置を使用することにより、より効率的かつ高度なダウンサイジングが可能となり、経済的に有利に研磨剤組成物を得ることができる点で好ましい。なお、上記分散機としては、例えば、スクリュー型ミキサー、パドルミキサー、ディスパー型ミキサー、タービン型ミキサー等を用いても差し支えない。
上記セルロース繊維の分散体の乾燥法としては、例えば、分散媒体が水である場合は、スプレードライ,凍結乾燥法等が用いられ、分散媒体が水と有機溶媒の混合溶液である場合は、ドラムドライヤーによる乾燥法,スプレードライヤーによる噴霧乾燥法等が用いられる。
そして、本発明の研磨剤組成物において、より一層、保存安定性、スプレー性、液だれ防止性に優れるようになる観点から、上記セルロース繊維(B成分)の固形分の含有量が、組成物全体の0.01〜10重量%の範囲に設定される。好ましくは、組成物全体の0.1〜1.0重量%の範囲である。
本発明の研磨剤組成物には、研磨砥粒(A成分)、上記特定のセルロース繊維(B成分)とともに、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲内で、水、有機溶媒、酸化防止剤、金属不活性剤、難燃剤、可塑剤、難燃助剤、耐候性改良剤、スリップ剤、無機充填剤、有機充填剤、強化剤、各種着色剤、離型剤、等を配合することができる。なお、これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
ここで、本発明の研磨剤組成物の調製は、例えば、研磨砥粒(A成分)、上記特定のセルロース繊維(B成分)を配合し、さらに必要に応じてその他の材料を配合した後、これらを混合処理等することにより行われる。
上記混合処理としては、例えば、真空ホモミキサー、ディスパー、プロペラミキサー、ニーダー等の各種混練器、ブレンダー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ペブルミル、ビーズミル粉砕機、高圧ホモジナイザー(超高圧ホモジナイザー等)、等を用いた混合処理があげられる。
なお、本発明の研磨剤組成物の、BM型回転粘度計(30rpm)による25℃環境下での粘度は、保存安定性、スプレー性、液だれ防止性等の観点から、10〜50000mPa・sの範囲であることが好ましく、特に好ましくは500〜10000mPa・sの範囲である。
また、本発明の研磨剤組成物は、研磨対象に直に塗布したり、研磨布に塗布したりして使用されるものであり、その使用形態に応じ、スプレー剤、ペースト剤等の態様をとることができる。
つぎに、実施例について参考例および比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、参考例、実施例および比較例に先立ち、参考例用のセルロース繊維T1〜T3、実施例用のセルロース繊維T〜T6および比較例用のセルロース繊維H1,H2を、以下の製造例1〜8に従って作製した。
〔製造例1:セルロース繊維T1(参考例用)の作製〕
まず、針葉樹パルプ2gに、水150mlと、臭化ナトリウム0.25gと、TEMPOを0.025gとを加え、充分撹拌して分散させた後、13重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(共酸化剤)を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が5.2mmol/gとなるように加え、反応を開始した。反応の進行に伴いpHが低下するため、pHを10〜11に保持するように0.5N水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながら、pHの変化が見られなくなるまで反応させた(反応時間:120分)。反応終了後、0.1N塩酸を添加して中和した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、繊維表面が酸化されたセルロース繊維を得た。次に、上記セルロース繊維に純水を加えて1%に希釈し、高圧ホモジナイザー(H11、三和エンジニアリング社製)を用いて圧力100MPaで1回処理した。得られたセルロース繊維T1は、数平均繊維径89nm、カルボキシル基量1.2mmol/gであり、結晶構造を有していた。
〔製造例2:セルロース繊維T2(参考例用)の作製〕
添加する次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が6.5mmol/gとした以外は、製造例1に準じて、セルロース繊維T2を作製した。得られたセルロース繊維T2は、数平均繊維径54nm、カルボキシル基量1.6mmol/gであり、結晶構造を有していた。
〔製造例3:セルロース繊維T3(参考例用)の作製〕
添加する次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が12.0mmol/gとした以外は、製造例1に準じて、セルロース繊維T3を作製した。得られたセルロース繊維T3は、数平均繊維径11nm、カルボキシル基量2.0mmol/gであり、結晶構造を有していた。
〔製造例4:セルロース繊維T4(実施例用)の作製〕
製造例1と同様の手法で針葉樹パルプを酸化した後、遠心分離機で固液分離し、純水を加えて固形分濃度4%に調整した。その後、24%NaOH水溶液にてスラリーのpHを10に調整した。スラリーの温度を30℃として水素化ホウ素ナトリウムをセルロース繊維に対して0.2mmol/g加え、2時間反応させることで還元処理した。反応後、0.1N塩酸を添加して中和した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、セルロース繊維を得た。次に、上記セルロース繊維に純水を加えて1%に希釈し、高圧ホモジナイザー(H11、三和エンジニアリング社製)を用いて圧力100MPaで1回処理した。得られたセルロース繊維T4は、数平均繊維径58nm、カルボキシル基量1.2mmol/gであり、結晶構造を有していた。
〔製造例5:セルロース繊維T5(実施例用)の作製〕
製造例2と同様の手法で針葉樹パルプを酸化した後、製造例4と同様の手法で還元、精製した。次に、上記セルロース繊維に純水を加えて1%に希釈し、高圧ホモジナイザー(H11、三和エンジニアリング社製)を用いて圧力100MPaで1回処理した。得られたセルロース繊維T5は、数平均繊維径23nm、カルボキシル基量1.6mmol/gであり、結晶構造を有していた。
〔製造例6:セルロース繊維T6(実施例用)の作製〕
製造例3と同様の手法で針葉樹パルプを酸化した後、製造例4と同様の手法で還元、精製した。次に、上記セルロース繊維に純水を加えて1%に希釈し、高圧ホモジナイザー(H11、三和エンジニアリング社製)を用いて圧力100MPaで1回処理した。得られたセルロース繊維T6は、数平均繊維径4nm、カルボキシル基量2.0mmol/gであり、結晶構造を有していた。
〔製造例7:セルロース繊維H1(比較例用)の作製〕
添加する次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が4.1mmol/gとした以外は、製造例1に準じて、セルロース繊維H1を作製した。得られたセルロース繊維H1は、数平均繊維径182nm、カルボキシル基量1.0mmol/gであり、結晶構造を有していた。
〔製造例8:セルロース繊維H2(比較例用)の作製〕
原料を針葉樹パルプに替えて再生セルロースを使用し、添加する次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、再生セルロース1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が27.0mmol/gとした以外は、製造例1に準じて、セルロース繊維H2を作製した。得られたセルロース繊維H2は、数平均繊維径は測定不可能(1nm以下)で、カルボキシル基量3.1mmol/gであり、結晶構造を有していなかった。
Figure 0005744775
なお、上記表1に示す、セルロース繊維T1〜T6,H1,H2に関する各項目の測定は、下記の基準に従って行った。
〔結晶構造〕
X線回折装置(リガク社製、RINT−Ultima3)を用いて、セルロース繊維の回折プロファイルを測定し、2シータ=14〜17°付近と、2シータ=22〜23°付近の2つの位置に典型的なピークが見られる場合は結晶構造(I型結晶構造)が「あり」と評価し、ピークが見られない場合は「なし」と評価した。
〔数平均繊維径〕
セルロース繊維の数平均繊維径を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製、JEM−1400)を用いて観察した。すなわち、各セルロース繊維を親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウラニルアセテートでネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、先に述べた方法に従い、数平均繊維径を算出した。
〔カルボキシル基量の測定〕
セルロース繊維0.25gを水に分散させたセルロース水分散体60mlを調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、電気伝導度測定を行った。測定はpHが約11になるまで続けた。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下の式(1)に従いカルボキシル基量を求めた。
カルボキシル基量 (mmol/g)=V(ml)×〔0.05/セルロース重量〕 ……(1)
〔カルボニル基量の測定(セミカルバジド法)〕
セルロース繊維を約0.2g精秤し、これに、リン酸緩衝液によりpH=5に調整したセミカルバジド塩酸塩3g/l水溶液を正確に50ml加え、密栓し、二日間振とうした。ついで、この溶液10mlを正確に100mlビーカーに採取し、5N硫酸を25ml、0.05Nヨウ素酸カリウム水溶液5mlを加え、10分間撹拌した。その後、5%ヨウ化カリウム水溶液10mlを加えて、直ちに自動滴定装置を用いて、0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液にて滴定し、その滴定量等から、下記の式(2)に従い、試料中のカルボニル基量(アルデヒド基とケトン基との合計含量)を求めた。
カルボニル基量(mmol/g)=(D−B)×f×〔0.125/w〕 ……(2)
D:サンプルの滴定量(ml)
B:空試験の滴定量(ml)
f:0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター(−)
w:試料量(g)
〔アルデヒド基の検出〕
セルロース繊維を0.4g精秤し、日本薬局方に従って調製したフェーリング試薬(酒石酸ナトリウムカリウムと水酸化ナトリウムとの混合溶液5mlと、硫酸銅五水和物水溶液5ml)を加えた後、80℃で1時間加熱した。そして、上澄みが青色、セルロース繊維部分が紺色を呈するものは、アルデヒド基は検出されなかったと判断し、「なし」と評価した。また、上澄みが黄色、セルロース繊維部分が赤色を呈するものは、アルデヒド基は検出されたと判断し、「あり」と評価した。
参考例1〕
製造例1にて調製したセルロース繊維T1を20g(固形分量0.2g)と、微粒子状の酸化セリウム(FG75、テクノライズ社製、平均粒径10μm)30gを混合し、精製水を加えて全量を100gとした後、ホモミキサーを用いて8000rpmで10分間撹拌し、研磨剤組成物を調製した。このようにして得られた研磨剤組成物の初期粘度を測定した後、一部を耐熱ビンに移して、40℃の恒温槽で静置保存し、30日後の粘度保持率を測定し、さらに凝集物形成の確認を行った(保存安定性)。
また、上記初期粘度測定後の研磨剤組成物の一部は、スプレー容器に移し、スプレー性、およびタレ防止性を確認した(作業性)。
参考例2〜6、実施例〜1、比較例1〜11〕
後記の表2〜表6に示す配合量で、セルロース繊維T1〜T6,H1,H2、酸化セリウム、酸化クロム(三酸化ニクロム、三津和化学薬品社製、平均粒径30μm)、シリカ(シルシックパウダーS−1、山森土本鉱業所社製、平均粒径28μm)、分散剤(ポリアクリル酸ナトリウム)、界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)、増粘剤(キサンタンガム)を混合し、精製水を加えて全量を100gとした後、ホモミキサーを用いて8000rpmで10分間撹拌し、研磨剤組成物を調製した。このようにして得られた研磨剤組成物を、参考例1と同様の物性評価および作業性評価に供した。
なお、上記参考例1〜6,実施例1〜1,比較例1〜11における、各特性の測定・評価は、詳しくは、下記の基準に従って行った。その結果を、後記の表2〜表6に併せて示した。
〔初期粘度の測定〕
上記研磨剤組成物を調製して1日室温で静置した後、B型粘度計を用いて粘度を測定した(回転数6rpm、測定時間3分間、測定温度20℃)。
〔粘度保持率の測定〕
上記研磨剤組成物を調製し、耐熱ビンに移して40℃の恒温槽で30日静置した後、B型粘度計を用いて粘度を測定した(回転数6rpm、測定時間3分間、測定温度20℃)。そして、その測定値および初期粘度の値より、以下の式を用いて粘度保持率を算出した。
粘度保持率[%]=30日後の粘度[mPa・s]/初期粘度[mPa・s]×100
〔凝集物形成の確認〕
上記研磨剤組成物を調製し、耐熱ビンに移して40℃の恒温槽で30日静置した後、耐熱ビンを静かに傾けて上清を取り除いた。その後、耐熱ビン内を目視観察し、凝集物がほとんど見られないものを◎、凝集物が研磨砥粒(酸化セリウム、酸化クロム、シリカ)仕込量の20%以下の割合で確認されるものを○、研磨砥粒仕込量の50%以下の割合で凝集物が確認されるものを△、研磨砥粒仕込量の50%より多く凝集物が確認されるものを×と評価した。
〔スプレー性の評価〕
上記研磨剤組成物を調製後、スプレー容器に移し、そのスプレーノズルから30cm先に垂直に設置したガラス板に向かって、上記研磨剤組成物を噴射した。その際、霧状に噴射されたものを○、直線状の部分と霧状の部分が混在する状態で噴射されたものを△、直線状にのみ噴射されたものを×と評価した。
〔タレ防止性の評価〕
上記研磨剤組成物をガラス板上に0.5g取り、その後、上記ガラス板を垂直に設置した。このように垂直にしてから1分経過後、研磨剤組成物のタレが5cm未満のものを○、5cm以上10cm未満のものを△、10cm以上のものを×と評価した。
Figure 0005744775
Figure 0005744775
Figure 0005744775
Figure 0005744775
Figure 0005744775
上記表の結果より、実施例ではいずれも、比較例に比べ、初期粘度が高く、さらに経時による粘度低下も少ないことがわかる。また、実施例では、比較例に比べ、経時による凝集物の形成も少なく、作業性評価(スプレー性、タレ防止性)においても良好な結果が得られていることがわかる。
また、参考と比較した結果、実施例は、カルボニル基量が0.3mmol/g以下であってアルデヒド基が検出されなかったセルロース繊維T4〜T6を使用していることから、30日後粘度保持率が非常に高く(概ね90%以上)、経時による粘度低下が殆どみられない結果となった。
なお、セルロース繊維T1〜T6に関し、セルロース繊維表面上のグルコースユニットのC6位の水酸基のみが選択的にカルボキシル基等に酸化されているかどうかについて、13C−NMRチャートで確認した。すなわち、酸化前のセルロースの13C−NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりに178ppmにカルボキシル基に由来するピークが現れていた。このことから、セルロース繊維T1〜T6は、いずれもグルコース単位のC6位水酸基のみがアルデヒド基等に酸化されていることが確認された。
また、セルロース繊維が、数平均繊維径が2〜150nmであって、そのセルロースが、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化変性されてアルデヒド基,ケトン基およびカルボキシル基のいずれかとなったものであり、上記アルデヒド基およびケトン基の一部ないし全部は還元されており、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/g、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g以下であり、フェーリング試薬によるアルデヒド基の検出が認められないものであれば、実施例と同様に優れた保存安定性および作業性が得られることが確認された。
さらに、実施例に使用されている研磨砥粒に代えて、他の研磨砥粒(酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、窒化ケイ素等からなる研磨砥粒)を用いた場合であっても、実施例と同様に優れた保存安定性および作業性が得られることが確認された。
本発明の研磨剤組成物は、配合する研磨砥粒に応じて、金属製品、ガラス製品、石材製品、樹脂製品等の、幅広い素材からなる製品の研磨および洗浄に用いることができる。

Claims (5)

  1. 下記の(A)成分および(B)成分を含有する研磨剤組成物であって、組成物全体に対し、(A)成分の含有量が1〜60重量%の範囲であり、(B)成分の固形分の含有量が0.01〜10重量%の範囲であることを特徴とする研磨剤組成物
    (A)研磨砥粒。
    (B)数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化変性されてアルデヒド基,ケトン基およびカルボキシル基のいずれかとなったものであり、上記アルデヒド基およびケトン基の一部ないし全部は還元されており、カルボキシル基の含量が1.2〜2.5mmol/g、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量が0.3mmol/g以下であり、フェーリング試薬によるアルデヒド基の検出が認められない、セルロース繊維。
  2. 初期粘度が5200〜28300mPa・sであり、下記の式(α)で表される粘度保持率が90%以上を示す、請求項1記載の研磨剤組成物。
    粘度保持率[%]=30日後の粘度[mPa・s]/初期粘度[mPa・s]×100…(α)
  3. 上記(A)成分の研磨砥粒が、酸化セリウム,酸化クロム,シリカ,酸化アルミニウム,酸化ジルコニウム,酸化チタン,酸化ゲルマニウムおよび窒化ケイ素からなる群から選ばれた少なくとも一つからなる、請求項1または2記載の研磨剤組成物。
  4. 上記(B)成分のセルロース繊維が、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化されたものであり、上記酸化反応により生じたアルデヒド基およびケトン基が、還元剤により還元されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨剤組成物。
  5. 上記還元剤による還元が、水素化ホウ素ナトリウムによるものである、請求項4記載の研磨剤組成物。
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