JP2016069616A - 無機微粒子含有組成物およびそれを用いた皮膜 - Google Patents

無機微粒子含有組成物およびそれを用いた皮膜 Download PDF

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祐輔 花木
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Abstract

【課題】無機微粒子の凝集が抑制され、分散性に優れた無機微粒子含有組成物の提供。
【解決手段】下記の(A)および(B)を含有する無機微粒子含有組成物。(A)平均粒径が1μm以下の無機微粒子。(B)数平均繊維径が2〜500nmのナノ微セルロース繊維であって、セルロース分子中の水酸基に置換基が導入されており、置換度が0.01〜0.5であり、I型及び/又はII型の結晶構造を有し、アスペクト比が50以上であるセルロース繊維。(A)と(B)の固形分の比が(A)/(B)=1/99〜85/15である、無機微粒子含有組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、無機微粒子含有組成物およびそれを用いた皮膜に関するものである。
無機微粒子を含有する皮膜(無機微粒子含有皮膜)は、高屈折率材料、高硬度材料、透明導電性材料、高熱伝導性材料、絶縁材料、耐蝕材料、半導体材料、磁性材料、誘電材料、生体適合材料等に使われている。このような無機微粒子含有皮膜を形成する方法としては、蒸着やスパッタリングによるドライコーティング法(特許文献1参照)や、金属アルコキシドの加水分解物、部分縮合物を含む組成物を塗布、乾燥するウェットコーティング法(特許文献2参照)があげられる。上記スパッタリング法は、緻密で均質な金属化合物薄膜を形成することが可能であるが、基板表面が入り組んだ形状を有する場合、影となっている部分に金属化合物薄膜を形成させることは不可能である。また、上記ドライコーティング法では、高真空の大型設備が必要で、生産性が低いという問題がある。一方、上記ウェットコーティング法は、設備が簡便で、大面積化も容易であり、生産性にも優れているが、塗布液の安定性、塗布環境の制御等の工業的課題が多い。
そこで、無機微粒子とバインダーとを複合化した塗布液を用いる技術が提案されている。しかしながら、無機微粒子をバインダーに添加すると、無機微粒子が凝集しやすくなる。特に高機能化を達成する目的で粒子径1μm以下の無機微粒子を添加した場合は、その比表面積が大きいため非常に凝集しやすい。このような無機微粒子の凝集は、透明性の低下や、膜の均一性の悪化に起因する強度、抵抗の低下等、皮膜性能劣化の原因となる。したがって、上記塗布液に、無機微粒子が均一に分散している必要がある。また、長期にわたって安定に保存できるように、その分散性を長期間維持することが求められている。これらの課題を解決する手段として、無機微粒子に表面処理を施す方法(特許文献3参照)や、分散剤を添加する方法(特許文献4、5参照)等が提案されている。
特開昭63−261646号公報 特開2000−336313号公報 特開2007−84374号公報 特開平5−120921号公報 特開2006−73300号公報
しかしながら、上記無機微粒子に表面処理を施す方法では、求められる性能を保持したまま、無機微粒子の凝集が完全に抑制されるレベルまで表面処理を行なうことは非常に困難である。また、上記分散剤を添加する方法では、無機微粒子が小さいほどその表面積が増大するため、無機微粒子を充分に安定化させるためには大量の分散剤が必要になる。しかし、塗布液に大量の分散剤を配合すると、形成した皮膜にも分散剤が残存するため、屈折率、硬度、導電性、熱伝導性等の皮膜性能の悪化が生じるといった問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、無機微粒子の分散性に優れた無機微粒子含有組成物およびそれを用いた皮膜の提供をその目的とする。
すなわち、本発明は下記に掲げる発明に関する。
〔1〕下記の(A)および(B)を含有することを特徴とする無機微粒子含有組成物。
(A)平均粒径が1μm以下の無機微粒子。
(B)数平均繊維径が2nm以上500nm以下のセルロース繊維であって、セルロース分子中の水酸基に置換基が導入されており、置換度が0.01以上0.5以下であり、I型及び/又はII型の結晶構造を有し、アスペクト比が50以上であるセルロース繊維。
〔2〕好ましい実施形態として、(A)が、B、C、N、Ce、Co、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、W、Fe、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、In、Si、SnおよびSbからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素、またはその化合物からなる無機物である無機微粒子含有組成物。
〔3〕好ましい実施形態として、(A)と(B)の固形分の比が、(A)/(B)=1/99〜85/15の範囲である無機微粒子含有組成物。
〔4〕好ましい実施形態として、上記無機微粒子含有組成物からなる皮膜。
本発明の無機微粒子含有組成物においては、上記セルロース繊維(B)が無機微粒子を安定に担持するため、界面活性剤等の分散剤を使用することなく、上記無機微粒子(A)の凝集を抑制することができ、上記無機微粒子(A)が均一に分散する。また、本発明の無機微粒子含有組成物は、上記無機微粒子(A)の均一な分散状態を長期間保持することができるため、長期の保存性にも優れている。このような本発明の無機微粒子含有組成物を用いてなる皮膜(無機微粒子含有皮膜)は、透明性に優れ、膜厚が均一であるとともに、皮膜中に界面活性剤等の分散剤が残存しないため、屈折率、硬度、導電性、熱伝導性等の皮膜性能にも優れている。
また、上記無機微粒子(A)が、B、C、N、Ce、Co、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、W、Fe、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、In、Si、SnおよびSbからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素、またはその化合物からなる無機物であると、分散性が向上するとともに、化合物の種類に応じた屈折率、硬度、導電性、熱伝導性等の皮膜性能も向上する。
そして、上記(A)と(B)の固形分の比が、(A)/(B)=1/99〜85/15の範囲であると、分散性と皮膜性能のバランスが良好となる。
次に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の無機微粒子含有組成物は、下記の(A)および(B)を用いて得ることができる。
(A)平均粒径が1μm以下の無機微粒子。
(B)数平均繊維径が2nm以上500nm以下のセルロース繊維であって、セルロース分子中の水酸基に置換基が導入されており、置換度が0.01以上0.5以下であり、I型及び/又はII型の結晶構造を有し、アスペクト比が50以上であるセルロース繊維。
《無機微粒子(A)》
上記無機微粒子(A)は、平均粒径が1μm以下であることが必要であり、好ましくは0.001μm以上1μm以下、特に好ましくは0.002μm以上0.5μm以下である。平均粒径が大きすぎると、無機粒子の種類に応じた機能発現性が悪くなる。
なお、上記平均粒径は、例えば、レーザー回折・光散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
上記平均粒径が1μm以下の無機微粒子(A)の具体例としては、例えば金属微粒子、金属酸化物微粒子、セラミックス微粒子、天然の粘土鉱物、その他の無機化合物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記金属微粒子としては、例えば、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Taタンタル、W(タングステン)、Si(ケイ素)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Zn(亜鉛)、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)、As(ヒ素)、Se(セレン)、Y(イットリウム)、Zr(ジルコニウム)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Tc(テクネチウム)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Cd(カドミウム)、In(インジウム)、Sn(スズ)、Sb(アンチモン)、Te(テルル)、Hf(ハフニウム)、Re(レニウム)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)、Tl(タリウム)、Pb(鉛)、Bi(ビスマス)、およびこれら金属を含む合金等があげられる。
上記金属酸化物微粒子、セラミックス微粒子としては、例えば、BeO、MgO、Al23、SiO2、ZnO、ZrO2、SnO2、ThO2、LiNbO3、SrO・Fe23、Y3Al512、Y3Fe512、Gd3Ga512、LaCrO3、ZnO−Bi23、BaTiO3、PbTiO3、Pb(Zr,Ti)O3、TiO2、Fe22、Fe34、B4C、SiC、TiC、ZrC、HfC、TaC、WC、ThC、3ZrC・WC、4TaC・ZrC、ボラゾン、TiB4、ZrB4、LaB6、六方晶窒化ホウ素、立方晶窒化ホウ素、熱分解窒化ホウ素、AlN、Si34、TiN、サイアロン等があげられる。
上記天然の粘土鉱物としては、例えば、カオリン鉱物、蛇紋石、パイロフェライト、タルク、雲母粘土鉱物、緑泥石、バーミキュライト、スメクタイト、セピオライト、パリゴルスカイト、アロフェン、イモゴライト、シリカ鉱物、長石、沸石、チタンの酸化鉱物、鉄およびアルミニウムの酸化鉱物と含水酸化鉱物、硫化鉱物、炭酸塩鉱物、硫酸塩鉱物等があげられる。
上記その他の無機化合物としては、例えば、CaCO3、BaSO4、塩基性炭酸マグネシウム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、鉛丹、黄鉛、黄色酸化鉄、チタンエロー、カドミウムエロー、モリブデートオレンジ、カドミウムレッド、群青、紺青、コバルトブルー、Cr23、コバルトグリーン、コバルト紫、緑青、辰砂等があげられる。
これらの中でも、分散性が向上するとともに、化合物の種類に応じた屈折率、硬度、導電性、熱伝導性等の皮膜性能も向上するという点から、上記無機微粒子(A)としては、B、C、N、Ce、Co、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、W、Fe、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、In、Si、SnおよびSbからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素、またはその化合物からなる無機物が好ましい。
上記無機微粒子(A)の含有量は、分散性、皮膜性能の点から、無機微粒子含有組成物全体の0.01質量%以上90質量%以下の範囲が好ましく、特に好ましくは0.1質量%以上70質量%以下の範囲である。
《セルロース繊維(B)》
本発明のセルロース繊維(B)は、数平均繊維径が2nm以上500nm以下のセルロース繊維であって、セルロース分子中の水酸基に置換基が導入されており、置換度が0.01以上0.5以下であり、I型及び/又はII型の結晶構造を有し、アスペクト比が50以上であるセルロース繊維。
上記数平均繊維径は2nm以上500nm以下であり、より好ましくは2nm以上150nm以下である。数平均繊維径が2nm未満であると、本質的に分散媒体に溶解してしまい、逆に数平均繊維径が500nmを超えると、セルロース繊維そのものの分散安定性が低下し、セルロース繊維を配合することによる機能性を発現することができない。
ここで、上記数平均繊維径の解析は、例えば、次のようにして行うことができる。すなわち、固形分率で0.05〜0.1質量%のセルロース繊維の水分散体を調製し、その分散体を、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察用試料とする。なお、本発明外の大きな繊維径の繊維を含む場合には、ガラス上へキャストした表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察してもよい。そして、構成する繊維の大きさに応じて5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。その際に、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定し、その軸に対し、20本以上の繊維が交差するよう、試料および観察条件(倍率等)を調節する。そして、この条件を満たす観察画像を得た後、この画像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維径を目視で読み取っていく。このようにして、最低3枚の重複しない表面部分の画像を、電子顕微鏡で撮影し、各々2つの軸に交錯する繊維の繊維径の値を読み取る(したがって、最低20本×2×3=120本の繊維径の情報が得られる)。このようにして得られた繊維径のデータにより、数平均繊維径を算出する。
上記置換基としては、セルロース分子中の水酸基との間にエーテル結合が生じる置換基であれば特に制限されない。具体的には、カルボキシメチル基、メチル基、エチル基、シアノエチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、エチルヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピルメチル基等があげられる。これらのうち、カルボキシメチル基が好ましい。
上記置換度は、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数の平均値を表している。
本発明のセルロース繊維(B)の置換度は0.01以上0.5以下であり、より好ましくは0.01以上0.25以下である。置換度が0.01未満ではセルロース繊維の解繊が困難であり、0.5超では増粘性および分散安定性が低下し、本発明の効果を発現できない。
本発明のセルロース繊維(B)はI型及び/又はII型の結晶構造を有する。結晶構造を有することは、例えば、広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、セルロースI型またはII型に典型的なX線回折パターン(I型:回折角2θ=14.8°、16.8°、22.6°、II型:回折角2θ=12.1°、19.8°、22.0°)をもつことから確認できる。
本発明のセルロース繊維(B)は、アスペクト比が50以上である。より好ましくは100以上である。アスペクト比が50未満の場合、ゲル状組成物がゲル状の性状を保持することが困難となる不具合が生じる。
上記セルロースのアスペクト比は、例えば以下の方法で測定することが出来る。すなわ
ち、セルロースを親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウ
ラニルアセテートでネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、セルロー
スの短幅の方の数平均幅、および長幅の方の数平均幅を観察した。すなわち、各先に述べ
た方法に従い、短幅の方の数平均幅、および長幅の方の数平均幅を算出し、これらの値を
用いてアスペクト比を下記の式(1)に従い算出した。
Figure 2016069616
本発明のセルロース繊維(B)を得るためには、下記に例示するセルロースを公知の方法を用いてアニオン変性させることが必要である。その一例として次のような製造方法をあげることができる。セルロースを原料とし、溶媒に重量で3〜20倍の低級アルコール、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の単独、又は2種以上の混合物と水の混合媒体を使用する。なお、低級アルコールの混合割合は、60〜95質量%である。マーセル化剤としては、セルロースのグルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用する。セルロースと溶媒、マーセル化剤を混合してマーセル化処理を行う。このときの反応温度は0〜70℃、好ましくは10〜60℃であり、反応時間は15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間である。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モル添加してエーテル化反応を行う。このときの反応温度は30〜90℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間は30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間である。
本発明のセルロース原料は、晒又は未晒木材パルプ、精製リンター、酢酸菌等の微生物によって生産されるセルロース等の天然セルロースや、セルロースを銅アンモニア溶液、モルホリン誘導体等、何らかの溶媒に溶解し、改めて紡糸された再生セルロース、及び上記セルロース系素材の加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミル処理等によって解重合処理した微細セルロース又は機械的に処理した微細セルロースが例示される。
本発明のセルロース繊維(B)は、アニオン変性したセルロースを高圧ホモジナイザー等によって解繊処理することで得ることができる。高圧ホモジナイザーとは、ポンプによって流体に加圧し、流路に設けた非常に繊細な間隙より噴出させる装置である。粒子間の衝突、圧力差による剪断力等の総合エネルギーによって乳化・分散・解繊・粉砕・超微細化を行うことができる。
本発明のホモジナイザーによる処理条件としては、特に限定されるものではないが、圧力条件としては、30MPa以上、好ましくは100MPa以上、さらに好ましくは140MPa以上である。また、高圧ホモジナイザーでの解繊・分散処理に先立って、必要に応じて、高速せん断ミキサーなどの公知の混合、攪拌、乳化、分散装置を用いて、アニオン変性されたセルロースに予備処理を施すことも可能である。
本発明の無機微粒子含有組成物における上記セルロース繊維(B)の固形分の含有量は、無機微粒子(A)の均一な分散性と保存安定性の点から、組成物全体の0.01〜10重量%の範囲が好ましく、より好ましくは組成物全体の0.1〜1.0重量%の範囲である。
本発明の無機微粒子含有組成物における、無機微粒子(A)とセルロース繊維(B)の固形分の比は、分散性と皮膜性能のバランスの点から、(A)/(B)=1/99〜85/15の範囲が好ましく、特に好ましくは(A)/(B)=50/50〜80/20の範囲、最も好ましくは(A)/(B)=65/35〜80/20の範囲である。
本発明の無機微粒子含有組成物には、無機微粒子(A)およびセルロース繊維(B)とともに、本発明の効果を損なわない範囲内で、水、有機溶媒、防腐剤、界面活性剤、増粘剤、樹脂、着色剤、無機塩、pH調整剤、有機化合物等を必要に応じて適宜に配合することができる。
本発明の無機微粒子含有組成物は、例えば、無機微粒子(A)およびセルロース繊維(B)を配合し、さらに必要に応じてその他の材料を配合した後、これらを混合処理等することにより調製することができる。
上記混合処理としては、例えば、真空ホモミキサー、ディスパー、プロペラミキサー、ニーダー等の各種混練器、ブレンダー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ペブルミル、ビーズミル粉砕機、高圧ホモジナイザー(超高圧ホモジナイザー等)等を用いた混合処理があげられる。
本発明の無機微粒子含有組成物を用いてなる皮膜(無機微粒子含有)は、例えば、上記無機微粒子含有組成物を、基板上に塗工し乾燥することにより得ることができる。上記無機微粒子含有組成物の塗工方法としては、例えば、ウェットコート方式、凸版印刷方式、フレクソ印刷方式、ドライオフセット印刷方式、グラビア印刷方式、グラビアオフセット印刷方式、オフセット印刷方式、スクリーン印刷方式、スプレー塗装方式、ダイコーター方式、インクジェット印刷方式、浸漬方式、刷毛塗り、バーコーター方式等があげられる。
上記皮膜(無機微粒子含有)の厚みは、光学部材、電池材料、電子部品等の使用用途により異なるが、通常、0.01μm以上100μm以下、好ましくは0.1μm以上30μm以下である。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<セルロース繊維各項目の測定方法>
[グルコース単位当たりの置換度の測定方法]
セルロース繊維を0.6質量%スラリーに調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.4とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量からカルボキシル基量を測定し、下式を用いて算出した。ここで言う置換度とは、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数の平均値を表している。
Figure 2016069616
[数平均繊維径の測定方法]
セルロース繊維に水を加えて2質量%のスラリーとして、ディスパー型ミキサーを用いて回転数8,000rpmで10分間微細化処理を行った。各セルロース繊維の最大繊維径および数平均繊維径を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製、JEM−1400)を用いて観察した。すなわち、各セルロース繊維を親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウラニルアセテートでネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、先に述べた方法に従い、数平均繊維径を算出した。
<結晶構造の確認方法>
X線回折装置(リガク社製、RINT−Ultima3)を用いて広角X線回折像を測定し、各セルロース繊維の回折プロファイルにセルロースI型またはII型に典型的なX線回折パターン(I型:回折角2θ=14.8°、16.8°、22.6°、II型:回折角2θ=12.1°、19.8°、22.0°)がみられる場合は結晶構造を有すると判断した。
<アスペクト比の測定方法>
セルロースを親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウラニルアセテートでネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、セルロースの短幅の方の数平均幅、長幅の方の数平均幅を観察した。すなわち、各先に述べた方法に従い、短幅の方の数平均幅、および長幅の方の数平均幅を算出し、これらの値を用いてアスペクト比を前述の式(1)に従い算出した。
〔製造例1〕
撹拌機に、パルプ(LBKP、日本製紙(株)製)を乾燥質量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥質量で18g加え、パルプ固形分濃度が15%になるように水を加えた。その後、30℃で30分攪拌した後に70℃まで昇温し、モノクロロ酢酸ナトリウムを23g(有効成分換算)添加した。1時間反応した後に、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりの置換度0.01のアニオン変性されたセルロースを得た。その後、アニオン変性したパルプに水を添加して固形分濃度5%とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、140MPaの圧力で5回処理し、数平均繊維径74nm、アスペクト比67で、結晶構造を有するセルロース繊維1の分散液を得た。
〔製造例2〕
水酸化ナトリウムを176g、モノクロロ酢酸ナトリウムを234g(有効成分換算)に変更した以外、製造例1と同様にしてセルロース繊維2の分散液を得た。なお、得られたセルロース繊維のグルコース単位当たりの置換度は0.10であり、数平均繊維径は10nm、アスペクト比140で、結晶構造を有していた。
〔製造例3〕
水酸化ナトリウムを308g、モノクロロ酢酸ナトリウムを410g(有効成分換算)に変更した以外、製造例1と同様にしてセルロース繊維3の分散液を得た。なお、得られたセルロース繊維のグルコース単位当たりの置換度は0.25であり、数平均繊維径は6nm、アスペクト比160で、結晶構造を有していた。
〔製造例4〕
水酸化ナトリウムを9g、モノクロロ酢酸ナトリウムを12g(有効成分換算)に変更した以外、製造例1と同様にしてセルロース繊維4の分散液を得た。なお、得られたセルロース繊維のグルコース単位当たりの置換度は0.005であり、数平均繊維径は620nm、アスペクト比18で、結晶構造を有していた。
〔製造例5〕
水酸化ナトリウムを476g、モノクロロ酢酸ナトリウムを632g(有効成分換算)に変更した以外、製造例1と同様にしてセルロース繊維5の分散液を得た。なお、得られたセルロースのグルコース単位当たりの置換度は0.6であり、数平均繊維径は測定できず、結晶構造はみられなかった。
〔製造例6〕
水酸化ナトリウムを308g、モノクロロ酢酸ナトリウムを410g(有効成分換算)、高圧ホモジナイザーによる処理を20回に変更した以外、製造例1と同様にしてセルロース繊維6の分散液を得た。なお、得られたセルロース繊維のグルコース単位当たりの置換度は0.25であり、数平均繊維径は測定できず、結晶構造はみられなかった。
〔製造例7〕
撹拌機に、パルプ(LBKP、日本製紙(株)製)を乾燥質量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥質量で308g加え、パルプ固形分濃度が15%になるように水を加えた。その後、70℃で9時間攪拌した後に、モノクロロ酢酸ナトリウムを410g(有効成分換算)添加した。1時間反応した後に、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりの置換度0.28のアニオン変性されたセルロースを得た。その後、アニオン変性したパルプに水を添加して固形分濃度5%とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、140MPaの圧力で5回処理し、セルロース繊維7の分散液を得た。数平均繊維径は測定できず、結晶構造はみられなかった。
<無機微粒子含有組成物及びその皮膜評価>
〔実施例1−1〕
バインダーとしてのセルロース繊維1(固形分5%)を20g(最終固形分量:1%)と、無機微粒子としての酸化ジルコニウム(ZrO2)水分散液(堺化学工業製、SZR−CW、平均粒径5nm、固形分30%)3.1g(最終固形分量:0.93%)を混合し、精製水を加えて全量を100gとした後、ホモディスパーを用いて3000rpmで10分間撹拌し、無機微粒子含有組成物(分散液)を調製した。
〔実施例1−2,1−3、比較例1−1〜4〕
バインダーを表1に示すセルロース繊維に変更した以外は実施例1−1と同様に製造し無機微粒子含有組成物(分散液)を調製した。
〔実施例2−1〜2−3、比較例2−1〜4〕
バインダーを表2に示すセルロース繊維に、無機微粒子を酸化スズ(SnO2)水分散液(ユニチカ社製、AS20I、平均粒径10nm、固形分20%)4.7g(最終固形分量:0.93%)に変更した以外は実施例1−1と同様に製造し、無機微粒子含有組成物(分散液)を調製した。
〔実施例3−1〜3−3、比較例3−1〜4〕
バインダーを表3に示すセルロース繊維に、無機微粒子をガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)分散液(ハクスイテック社製、パゼットGK、平均粒径30nm、固形分20%)4.7g(最終固形分量:0.93%)に変更した以外は実施例1−1と同様に製造し、無機微粒子含有組成物(分散液)を調製した。
〔無機微粒子含有皮膜の調整〕
無機微粒子含有組成物プラスチックシャーレにキャストし、40℃で15時間乾燥した後、さらに100℃で1時間乾燥し、膜厚20μmの無機微粒子含有皮膜を形成した。
調整した無機微粒子含有組成物および無機微粒子含有皮膜を下記の評価基準に基づいて評価を行った。評価結果を表1ないし3に示す。
[分散液の凝集状態]
各分散液の凝集状態を光学顕微鏡(オムロン社製、デジタルマイクロスコープVC1000)を用いて倍率1000倍で観察した。
○:光学顕微鏡観察で凝集物がみられない。
×:光学顕微鏡観察で凝集物がみられる。
[皮膜状態]
皮膜の表面状態を目視で評価した。
○:平滑である。
×:凹凸がみられる。
[硬度]
各皮膜の硬度(アルテンス硬さ)を、微小硬度計ENB1100(エリオニクス社製)を用いて測定した。
○:300 N/mm 以上
×:300 N/mm 未満
[屈折率]
各皮膜の屈折率を、屈折率膜厚測定装置PRISMCOUPLER Model2010/M(メトリコン社製)を用いて測定した。
○:1.65 以上
×:1.65 未満
[導電性]
各皮膜について、超絶縁抵抗計(ADVANTEST社製、R8340)を用いて、印加電圧500V、25℃、20%RHにおける表面抵抗値(Ω/□)を測定した。
○:1×1010 Ω未満
×:1×1010 Ω以上
Figure 2016069616
Figure 2016069616
Figure 2016069616
表1ないし3よりセルロース繊維1ないし3を使用した無機微粒子含有組成物は凝集が見られず、皮膜の状態、導電性、硬度に優れていた。また、屈折率および導電性も良好であった。これに対し、セルロース繊維4ないし7は無機微粒子の凝集が見られ、皮膜の各種評価においてもセルロース繊維1ないし3に劣っていた。
本発明の無機微粒子含有組成物は、無機微粒子の凝集が抑制されて分散性に優れるため、屈折率、導電性、硬度等の性能に優れた皮膜を形成することができる。したがって、本発明の無機微粒子含有組成物およびそれを用いてなる皮膜(無機微粒子含有皮膜)は、屈折率、導電性、硬度等の性能が特に必要とされる用途、例えば、光学部材、電池材料、電子部品等の用途に好適に使用することができる。










Claims (4)

  1. 下記の(A)および(B)を含有することを特徴とする無機微粒子含有組成物。
    (A)平均粒径が1μm以下の無機微粒子。
    (B)数平均繊維径が2nm以上500nm以下のセルロース繊維であって、セルロース分子中の水酸基に置換基が導入されており、置換度が0.01以上0.5以下であり、I型及び/又はII型の結晶構造を有し、アスペクト比が50以上であるセルロース繊維。
  2. (A)が、B、C、N、Ce、Co、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、W、Fe、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、In、Si、SnおよびSbからなる群から選ばれた少なくとも一つの元素、またはその化合物からなる無機物である請求項1記載の無機微粒子含有組成物。
  3. (A)と(B)の固形分の比が、(A)/(B)=1/99〜85/15の範囲である請求項1または2記載の無機微粒子含有組成物。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の無機微粒子含有組成物からなることを特徴とする皮膜。
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