JP2016088806A - 耐熱性ガラス封止材料およびその利用 - Google Patents

耐熱性ガラス封止材料およびその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】アルカリ金属成分およびマグネシウム成分を含まず、高温域においても金属部材と被接合部材との接合部を気密に保持することのできる耐熱性の高いガラス封止材料を提供すること。
【解決手段】本発明により、ガラスマトリックス中にBaO−Al系結晶、BaO−ZnO−SiO系結晶、およびBaO−Al−SiO系結晶のうちの少なくとも1つが析出している結晶化ガラスを含むガラス封止材料が提供される。上記ガラスマトリックスは、アルカリ金属、MgおよびPb成分を含まず、且つ、当該ガラスマトリックス全体を100mol%としたときに、95mol%以上が酸化物換算のモル比で以下の組成:BaO30〜60mol%;ZnO1〜30mol%;SiO1〜30mol%;Al1〜20mol%;B10〜30mol%;から構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐熱性ガラス封止材料に関する。詳しくは、アルカリ金属成分およびマグネシウム成分を含まないガラス封止材料に関する。
金属材料は、各種の産業分野において様々なデバイス、機器、装置に広く使用されている。かかる金属材料からなる部材(金属部材)の接合には、該金属部材の用途や接合条件等に応じて様々の接合材料が使い分けられている。
例えば600℃〜900℃程度の高温域で使用される酸素イオン伝導モジュールでは、該酸素イオン伝導モジュールを構成する金属部材(例えば金属製の配管)とセラミック部材(例えば酸素分離膜や固体電解質)とを高気密に封止接合する必要がある。このような用途においては、以下の特徴を有する接合材料が多用されている。
(1) 封止接合温度(軟化点)において、適度な粘性(溶融性)を有すること。
(2) 熱膨張係数が被接合部材(金属部材やセラミック部材)と同程度かそれより若干低いこと。
(3) 使用温度域(例えば600℃〜900℃)において耐熱性や耐久性に優れること。
これに関連する先行技術文献として、特許文献1〜6が挙げられる。例えば、特許文献1〜3には、アルカリ金属成分(例えばLi,Na,Kのうち少なくとも1種)を含むガラス接合材が開示されている。また、特許文献4には、ガラスマトリックス中にMgO−SiO系結晶を析出させたガラス接合材が開示されている。
特開2010−184826号公報 特開2009−199970号公報 特開2003−238201号公報 特開2014−114168号公報 特開2012−174674号公報 特表2010−524193号公報
上記特許文献に記載されるように、ガラス接合材にアルカリ金属成分を含ませることで、封止接合時のガラス溶融性を向上することができる。また、封止接合部の熱膨張係数を高めることもできる。しかしながら、本発明者の検討によれば、作動温度が高温域となる用途では、アルカリ金属元素成分が金属部材へ拡散して封止接合部の耐熱性や耐久性が低下することがあった。
また、特許文献6に記載されるようなガラス接合材は、ガラス接合材を適度な高温粘性に調整することが難しく、ある時は封止接合時のガラス溶融性が低下して作業が困難となったり、またある時は封止接合部の形状を良好に維持することができなくなったりして、封止接合部の気密性が低下することがあった。
このような事情から、アルカリ金属成分およびマグネシウム成分を含まず、且つ、上述のような特徴を具備するガラス封止材料が求められている。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アルカリ金属成分およびマグネシウム成分を含まず、高温域においても金属部材と被接合部材との封止接合部を気密に保持することのできる耐熱性の高いガラス封止材料を提供することにある。また、他の目的は、かかるガラス封止材を用いてなる封止接合部を備えた構造体(例えば酸素イオン伝導モジュール)を提供することにある。
本発明により、ガラスマトリックス中にBaO−Al系結晶、BaO−ZnO−SiO系結晶、およびBaO−Al−SiO系結晶のうちの少なくとも1つが析出している結晶化ガラスを含むガラス封止材料が提供される。上記ガラスマトリックスは、アルカリ金属、MgおよびPb成分を含まず、且つ、当該ガラスマトリックス全体を100mol%としたときに、95mol%以上が酸化物換算のモル比で以下の組成:BaO30〜60mol%;ZnO1〜30mol%;SiO1〜30mol%;Al1〜20mol%;B10〜30mol%;から構成されている。
ここに開示されるガラス封止材料は、次の性状:(1)封止接合温度における適切な高温粘性;(2)比較的高い熱膨張係数;(3)高温域における耐熱性や耐久性;を備える。さらに、アルカリ金属およびMg成分を含有しないことで、上述のような不具合が未然に防止されている。その結果、熱膨張係数の高い部材(例えば金属部材)と被接合部材とを高気密に封止接合することができる。また、高温域に曝される環境にあっても、その高気密性を長期にわたって維持することができる。
なお、本明細書において「BaO−Al系結晶」とは、BaO成分およびAl成分からなる結晶のほか、例えば不可避的な不純物として、それ以外の成分が極微量混入することは許容され得ることを表している。また、BaO−ZnO−SiO系結晶およびBaO−Al−SiO系結晶についても同様である。
ここに開示される好適な一態様では、ガラス封止材料の30℃から500℃までの熱膨張係数が8×10−6−1〜12×10−6−1である。これにより、熱膨張係数の高い部材(例えば金属部材)との熱膨張係数の整合性を安定的に向上することができ、封止接合部でクラック等の不具合が生じることを高度に防止することができる。
なお、本明細書において「熱膨張係数」とは、30℃から500℃までの温度領域において熱機械分析装置(Thermomechanical Analysis:TMA)を用いて測定した平均膨張係数(平均線膨張係数)であり、試料の初期長さに対する試料長さの変化量を温度差で割った値をいう。熱膨張係数の測定は、JIS R 3102(1995)に準じて行うことができる。
ここに開示される好適な一態様では、850℃における粘度(高温粘性)が3.5Pa・s〜8.5Pa・sである。これにより、金属部材と被接合部材の封止接合時(ガラス溶融時)にあっては、ガラス封止材料に適度な流動性を持たせることができ、比較的低温(例えば700℃〜900℃)で金属部材と被接合部材とを安定的且つ高機密に封止接合することができる。また、高温域に曝される場合にあっても、封止接合部の形状を安定的に維持することができ、より優れた耐熱性や耐久性を実現することができる。
なお、本明細書において「850℃における粘度」とは、硝子平行板粘度測定装置を用いて測定した変形速度からGent式に基づいて算出される粘度をいう。
ここに開示される好適な一態様では、大気雰囲気中で800℃・100時間の熱曝露を行った際の上記熱曝露前後の熱膨張係数の差が±1.0×10−6−1以下である。換言すれば、800℃の高温域に曝される場合にあっても、熱膨張係数の変化が小さい。したがって、長期にわたって高気密性を維持可能な、高温耐久性に優れる封止接合部を実現することができる。
ここに開示される好適な一態様では、上記ガラスマトリックスが、さらに酸化物換算のモル比でCaOおよびSrOのうちの少なくとも1種を5mol%未満の割合で含んでいる。
これにより、高温域における接合部の物理的安定性をより向上させることができ、本願発明の効果を更に高いレベルで安定的に発揮することができる。
ここに開示されるガラス封止材料は、熱膨張係数の高い部材(例えば金属部材)と被接合部材とを高気密に封止接合することができる。また、高温域に曝される場合にあっても、その高気密性を長期にわたって維持することができる。したがって、かかる特徴を活かして、酸素イオン伝導モジュールにおいて好適に使用することができる。換言すれば、ここに開示される他の側面として、上記ガラス封止材料を焼成してなる封止接合部を備えた酸素イオン伝導モジュールが提供される。
一具体例として、酸化物イオン伝導性を有するセラミックからなる固体電解質を備えた固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)と、金属部材と、上記固体酸化物形燃料電池と上記金属部材とを封止接合する封止接合部と、を備える固体酸化物形燃料電池システムが挙げられる。かかる封止接合部は、上述のガラス封止材料を焼成することによって構成されている。
SOFC(単セル)と該単セルに接合された金属製のインターコネクタとを備えたSOFCシステムの一形態を模式的に示す分解斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない接合部材の成形方法や、SOFCの一般的な製造プロセス等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
≪ガラス封止材料≫
ここに開示されるガラス封止材料は、必須の構成要素として、ガラスマトリックス中にBaO−Al系結晶、BaO−ZnO−SiO系結晶、およびBaO−Al−SiO系結晶のうちの少なくとも1つが析出している結晶化ガラスを含んでいる。典型的には、ガラス封止材料全体を100質量%としたときに、当該結晶化ガラス成分が50質量%以上を占めている。
上記結晶は、概して9×10−6−1以上と比較的高い熱膨張係数を有する。例えば、BaO−Al系結晶としてのBaAlは、金属と同程度の熱膨張係数(9.6×10−6−1)を有する。このため、熱膨張係数を比較的高い値に調整するために有効である。また、高い熱膨張係数を安定的に実現する観点からは、ガラスマトリックス中に熱膨張係数の低い結晶(例えばBaO−B系結晶、具体的にはBaB等)が析出していないことが好ましい。
結晶の析出量は特に限定されないが、例えば、ガラスマトリックス成分と上記結晶成分との合計を100質量%としたときに、凡そ10質量%以上(例えば30質量%以上)であって、90質量%以下(例えば80質量%以下)とすることができる。これによって、本発明の効果をより安定的に奏することができる。なお、結晶析出量は、例えば粉末X線結晶回折(XRD)における内部標準法で測定することができる。また、結晶析出量は、例えば、後述するガラスマトリックスの組成比率や、結晶化処理時の条件によって調整することができる。
結晶化ガラスを構成するガラスマトリックス(ガラス組成物)は、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr。特には、Li、Na、K。)成分と、マグネシウム(Mg)成分と、鉛(Pb)成分とを含まず、典型的にはさらにヒ素(As)成分を含まず、且つ、当該ガラスマトリックス全体の95mol%以上が、酸化物換算のモル比で以下の組成:
BaO 30〜60mol%;
ZnO 1〜30mol%;
SiO 1〜30mol%(例えば10〜30mol%);
Al 1〜20mol%(例えば10〜20mol%);
10〜30mol%(例えば10〜25mol%);
から構成されている。
上述の構成成分のうち、バリウム成分(酸化バリウム(BaO))は、ガラス封止材料の熱膨張係数を調整したり、熱的安定性を向上させたりするための成分である。また、ガラスマトリックス中に析出させるBaO−Al系結晶、BaO−ZnO−SiO系結晶、およびBaO−Al−SiO系結晶の構成成分となるものでもある。
ガラスマトリックス全体に占めるBaOの割合は、酸化物換算のモル比で、30mol%以上(例えば33mol%以上)であって、60mol%以下(典型的には55mol%以下、例えば52mol%以下)であるとよい。これにより、ガラス封止材料の熱膨張係数を効果的に高めることができる。さらに、ガラスマトリックス中に好適な量の上記結晶を析出させることができ、より高い耐熱性や高温耐久性を実現することができる。
亜鉛成分(酸化亜鉛(ZnO))は、ガラス封止材料の高温粘性を調整し、封止接合部の気密性や安定性(形状維持性)を向上させるための成分である。また、ガラスマトリックス中に析出させるBaO−ZnO−SiO系結晶の構成成分となるものでもある。さらに、SiO結晶(クリストバライト結晶)の析出を抑制する効果が高い成分でもある。
ガラスマトリックス全体に占めるZnOの割合は、酸化物換算のモル比で、1mol%以上(例えば4mol%以上)であって、30mol%以下(例えば28mol%以下)であるとよい。これにより、ガラス封止材料の高温粘性を好適な範囲に調整することができる。その結果、封止接合時(ガラス溶融時)にあっては、ガラス封止材料に適度な流動性を持たせることができる。また、高温域に曝される場合にあっても、封止接合部の形状を安定的に維持することができる。さらに、ガラスマトリックス中に好適な種類および量の結晶を析出させることができ、封止接合部により高い耐熱性や高温耐久性を付与することができる。加えて、封止接合部の耐水性や耐熱衝撃性、耐久性のうちの少なくとも1つを向上させることができる。
ケイ素成分(酸化ケイ素(SiO))は、ガラスの骨格を構成する成分(ガラスネットワークフォーマー)である。また、BaO−ZnO−SiO系結晶やBaO−Al−SiO系結晶の構成成分となるものでもある。
ガラスマトリックス全体に占めるSiOの割合は、酸化物換算のモル比で、1mol%以上(例えば2mol%以上、好ましくは10mol%以上、より好ましくは15mol%以上)であって、30mol%以下(典型的には25mol%以下、例えば20mol%以下)であるとよい。これにより、ガラス封止材料の高温粘性を好適な範囲に調整することができる。また、ガラスマトリックス中に好適な量の結晶を析出させることができ、より高い耐熱性や高温耐久性を実現することができる。さらには、封止接合部の耐水性、耐薬品性、耐熱衝撃性のうちの少なくとも1つを向上させることができる。特にはSiOの割合を、酸化物換算のモル比で10mol%以上とすることで、高温域に曝される場合にあっても封止接合部の形状をより安定的に維持することができる。
アルミニウム成分(酸化アルミニウム(Al))は、ガラス溶融時の流動性を制御して、付着安定性を向上するための成分である。また、ガラスマトリックス中に析出させるBaO−Al系結晶およびBaO−Al−SiO系結晶の構成成分となるものでもある。
ガラスマトリックス全体に占めるAlの割合は、酸化物換算のモル比で、1mol%以上(例えば10mol%以上)であって、20mol%以下(例えば18mol%以下)であるとよい。これにより、金属部材と被接合部材とをより安定的に(均質に)封止接合することができる。また、ガラスマトリックス中に好適な量の結晶を析出させることができ、より高い耐熱性や高温耐久性を実現することができる。さらには、封止接合部の耐薬品性を向上させることができる。
ホウ素成分(酸化ホウ素(B))は、ガラス溶融時の流動性を高める(ガラスフリットの軟化点を低下させる)成分である。また、ガラス封止材料の熱膨張係数を調整するための成分でもある。
ガラスマトリックス全体に占めるBの割合は、酸化物換算のモル比で、10mol%以上であって、30mol%以下(典型的には25mol%以下、例えば20mol%以下)であるとよい。これにより、ガラス封止材料の熱膨張係数を比較的高い値に調整することができる。また、ガラス封止材料の高温粘性を好適な範囲に調整することができる。
ガラスマトリックスは、上述した5種の主要構成成分から構成されていてもよく、あるいは、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、上記以外の任意の成分を全体の5mol%未満(典型的には4mol%以下、例えば2mol%以下)の割合で含むものであってもよい。そのような添加成分としては、酸化物の形態で、例えば、CaO、SrO、Bi、TiO、ZrO、V、Nb、FeO、Fe、Fe、CuO、CuO、SnO、SnO、P、La、CeO等が挙げられる。
好適な一態様では、ガラスマトリックスが、酸化物換算のモル比で、CaOおよびSrOのうちの少なくとも1種を5mol%未満の割合で含んでいる。これにより、ガラス封止材料の熱的安定性をより向上させることができる。さらに、カルシウム成分(CaO)を含む場合には、封止接合部の硬度を上げて耐摩耗性を向上させる効果もある。
ガラスマトリックス全体に占めるCaOおよび/またはSrOの割合は、酸化物換算のモル比で5mol%未満であり、例えば1mol%以上5mol%未満、好ましくは2mol%以上5mol%未満であるとよい。
好適な他の一態様では、ガラスマトリックスが6成分以上の(例えば6成分以上10成分以下の)多成分系で構成されている。6成分以上を含むことで、封止接合部の物理的安定性がより向上する。また、作業性やコストの観点からは、ガラスマトリックスが10成分以下で構成されることが好ましい。
なお、結晶化ガラスを構成するガラスマトリックスには、アルカリ金属成分、マグネシウム成分、および鉛成分を含まない。典型的には、さらにヒ素成分を含まない。換言すれば、ここに開示されるガラスマトリックスには、これらの成分を積極的には添加しない(不可避的な不純物として混入することは許容され得る)。上述の通り、アルカリ金属成分(例えばカリウム成分やナトリウム成分)は高温環境下において金属部材への拡散(飛散)が生じ易く、これによって封止接合部の熱膨張係数が変化したり機械的強度が低下したりすることがあり得る。また、マグネシウム成分を含む場合は、好適な高温粘性に調製することが難しく、例えば接合温度(ガラス溶融時の温度)が高くなったり、高温域で形状維持性が低下したりすることがあり得る。アルカリ金属成分およびマグネシウム成分を含有しないことで、上述のような不具合を未然に防止することができる。さらに、ヒ素成分や鉛成分は人体や環境に対して悪影響があるため、環境性や作業性、安全性の観点から好ましくない。
ここに開示される結晶化ガラスは、以下の性状:(1)850℃における粘度が3.5Pa・s〜8.5Pa・s(例えば4.2Pa・s〜6.7Pa・s)である;(2)30℃から500℃までの熱膨張係数が8×10−6−1〜12×10−6−1(例えば9×10−6−1〜10.5×10−6−1)である;(3)大気雰囲気中において800℃で100時間の熱曝露を行った際の上記熱曝露前後の熱膨張係数の差が±1.0×10−6−1以下である;のうち少なくとも1つ(好ましくは全て)を備え得る。これにより、本発明の効果をより高いレベルで安定的に発揮することができる。
ガラス封止材料には、上記結晶化ガラスに加えて、この種のガラス封止材料に添加し得ることが知られている各種成分を適宜含ませることができる。そのような添加成分の一例として、有機バインダや有機溶剤が挙げられる。有機バインダとしては、通常この種のガラスペーストに用いられている各種のバインダを考慮することができる。例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系高分子や、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アミン系樹脂等を例示することができる。また、有機溶剤についても同様であって、通常この種のガラスペーストに用いられている各種の有機溶剤を考慮することができる。例えば、ターピネオール、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、各種のグリコール等を例示することができる。
つまり、ここに開示されるガラス封止材料の形態は特に限定されず、用途に応じて任意に調整することができる。例えば、カレット状、パウダー状、フリット状、ペレット状、板状、ペースト状等の形態をとることができる。
一例として、ペースト状のガラス封止材料は、適切な粘度に調整することによって塗布または印刷等の手法で被接合部材(金属部材等)に付与することが可能である。したがって、複雑な形状の被接合部材間の封止接合や複雑な形態での封止接合を行う場合には、ペースト状のガラス封止材料を好ましく用いることができる。これによって、より簡便に封止接合を実施することができる。
≪ガラス封止材料の製造方法≫
このようなガラス封止材料の製造方法は特に制限されないが、例えば、先ず、Ba、Zn、Si、AlおよびBを実質的な構成成分とする(例えば、上記5成分が酸化物換算のモル比で95mol%以上を占める)ガラス原料粉末を調製すること;次に、該ガラス原料粉末を溶融した後に急冷して、ガラスマトリックス(ガラス質中間体)を調製すること;次に、上記調製したガラスマトリックスを結晶化処理することによって、上記ガラスのマトリックス中にBaO−Al系結晶、BaO−ZnO−SiO系結晶、およびBaO−Al−SiO系結晶のうちの少なくとも1つを析出させること;によって行い得る。以下、各工程について詳しく説明する。
ガラス原料粉末の調製では、例えば、上記のような各構成成分を含有する酸化物、炭酸塩、硝酸塩、複合酸化物等を含む工業製品、試薬、または各種の鉱物原料を用意し、これらが所望の組成となるよう混合する。原料粉末の調製は、例えばボールミル等の混合機に上記原料を投入し、数時間〜数十時間混合することによって行うことができる。
次に、得られたガラス原料粉末を乾燥した後、高温(典型的には1000℃〜1500℃)条件下で加熱・溶融して、冷却または急冷することでガラス(ガラス質中間体)を調製することができる。好適な一態様では、得られたガラス(ガラス質中間体)を適当な大きさ(粒径)となるまで粉砕し、ガラス(ガラス質中間体)粉末を作製する。ガラス質中間体の平均粒径は、例えば0.5μm〜50μm(典型的には1μm〜10μm)とすることが好ましい。
次に、上記調製したガラス質中間体を結晶化処理(熱処理)する。これにより、ガラスマトリックス中に上記結晶を析出させることができ、結晶化ガラスを得ることができる。結晶化処理は、結晶化を誘起し得る温度域(例えば800℃〜1200℃、好ましくは800℃〜1000℃)で、上記ガラス質中間体を所定時間(典型的には10分以上、例えば10分〜60分)保持するとよい。好適な一態様では、得られた結晶化ガラスを粉砕や篩いがけ(分級)によって、カレット状またはパウダー状等の形態に調製する。これにより、一層高気密で高品質な封止接合部を実現することができる。結晶化ガラスの平均粒径は、用途等にもよるが、例えば0.1μm〜10μm程度とすることができる。
得られた結晶化ガラス(粉砕後のカレットやパウダー)は、用途に適した形態に適宜加工することができる。例えば、任意の形状に圧縮成形した後、ガラス粒子同士が互いに結着する程度に仮焼してペレット状にすることができる。あるいは、有機バインダや有機溶剤等とともに混合してペースト状に調製してもよい。なお、ペーストの分散、混合方法については特に限定される事項はなく、従来と同様に行うことができる。
≪接合方法≫
上記のようにして準備したガラス封止材料は、熱膨張係数が比較的高いことを特徴とする。このため、熱膨張係数の高い部材の接合、例えば、金属部材同士の(同種部材間の)接合や、金属部材−セラミック部材間の(異種部材間の)接合等に広く使用することができる。
接合方法の一具体的態様では、先ず、ガラス封止材料を所望の形態に調製する。次に、一の金属部材と被接合部材とを用意する。次に、これらの部材が相互に接触・接続するよう配置し、当該接続部位に上記ペレット状あるいはペースト状等のガラス封止材料を付与(配置または塗布)する。そして、この複合体を乾燥した後、該ガラス封止材料の軟化点以上の温度域(典型的には600℃以上、例えば700℃〜900℃)で焼成する。ここに開示されるガラス封止材料によれば、各種部材間を高気密に封止接合することができる。
上記金属部材の一例としては、ステンレス鋼、アルミニウム、クロム、鉄、ニッケル、銅、銀、マンガン、およびこれらの合金等の金属材料からなるものを考慮することができる。より具体的には、フェライト系やオーステナイト系のステンレス鋼、純アルミニウム、アルミニウム合金(ジュラルミン、アルミニウム青銅等)、銀、銀合金(洋銀等)、銅、銅合金(リン青銅等)等が例示される。これら金属部材の熱膨張係数は、おおよその目安として、30℃から500℃までの熱膨張係数が10×10−6−1〜15×10−6−1程度であることが例示される。
また、被接合部材としては特に制限されないが、例えば上記金属部材やセラミック部材が例示される。セラミック部材の一例としては、アルミナ、フォルステライト、チタニア、イットリア、ジルコニア、部分安定化ジルコニア等のセラミック材料からなるものを考慮することができる。これらはいずれか1種のセラミック材料の単体であっても良いし、上記に例示した2種以上のセラミック材料が複合化されたセラミック複合材料(例えば、ムライト、ステアタイト、アルミナジルコニア等)からなるものであっても良い。なかでも、ファインセラミック材料、例えば、機械的、熱的、電気的、磁気的、化学的に様々な優れた特性を有するアルミナを好ましく用いることができる。これらセラミック部材の熱膨張係数は、おおよその目安として、30℃から500℃までの熱膨張係数が6×10−6−1〜8×10−6−1程度であることが例示される。
≪構造体≫
すなわち、ここに開示される技術によれば、金属部材と、被接合部材と、上記金属部材と上記被接合部材とを封止接合する封止接合部とを備え、当該封止接合部が上述のガラス封止材料を焼成してなる構造体が提供される。ここに開示されるガラス封止材料によれば、熱膨張係数の高い金属部材と被接合部材とを高気密に封止接合することができる。また、高温域に曝される場合にあっても、その高気密性を長期にわたって維持することができる。つまり、従来のガラス封止材料を使用した場合に比べて、優れた耐熱性や耐久性を実現することができる。
上述のような特徴を活かして、ここに開示されるガラス封止材料は、例えば酸素イオン伝導モジュールにおいて好適に使用することができる。換言すれば、ここに開示される他の側面として、上記ガラス封止材料を焼成してなる封止接合部を備えた酸素イオン伝導モジュールが提供される。
≪固体酸化物形燃料電池(SOFC)システム≫
酸素イオン伝導モジュールの一好適例として、固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムを例に説明する。かかるSOFCシステムは、少なくとも固体酸化物形燃料電池(単セル)と金属部材とを備える。そして、該単セルと金属部材との間には、ここに開示されるガラス封止材料を焼成してなる封止接合部が形成されている。上述のようなガラス封止材料を用いることで、例えば600℃〜900℃程度の高温域に曝されても金属部材と単セルとの間を長期間気密に保持することが可能な封止接合部を実現し得る。したがって、耐熱性に優れた高性能なSOFCシステムを実現することができる。
単セルは、酸化物イオン伝導体からなる緻密な固体電解質の一方の面に多孔質構造の空気極(カソード)が他方の面に多孔質構造の燃料極(アノード)が形成され、構成されている。固体電解質としては、イットリア安定化ジルコニア(Yttria stabilized zirconia:YSZ)やガドリニアドープセリア(Gadolinia doped ceria:GDC)からなるものが例示される。空気極としては、ランタンコバルトネート(LaCoO)系やランタンマンガネート(LaMnO)系のペロブスカイト型酸化物からなるものが例示される。燃料極としては、ニッケル(Ni)とYSZのサーメットからなるものが例示される。
金属部材としては、単セルにガス(例えば酸素含有ガス、典型的には空気)を供給するためのガス管や、SOFCの単セル同士を電気的に接続してスタックを構築するために該単セル間に配置されるインターコネクタ等が例示される。このような金属部材については、従来のSOFCシステムで採用されているものと同様でよい。具体的には、アルミニウム、クロム、鉄、ニッケル、銅、ステンレス鋼等の金属材料からなるものが例示される。
なお、SOFCシステムの製造方法は、従来公知の製造方法に準じればよく特別な処理を必要としないため、詳細な説明は省略する。
以下、図1を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。
図1は、SOFC(単セル)と該単セルに接合された金属製のインターコネクタとを備えたSOFCシステムの一形態を模式的に示す分解斜視図である。SOFCシステム30は、SOFC(単セル)10A,10Bが、金属製のインターコネクタ20を介して複数層積み重なったスタックとして構成されている。単セル10A,10Bは、層状の固体電解質14の両面が、それぞれ層状の燃料極(アノード)12と空気極(カソード)16とで挟まれたサンドイッチ構造を備えている。図面中央に配されるインターコネクタ20Aは、その両面を二つの単セル10A,10Bで挟まれており、一方のセル対向面22がセル10Aの空気極16と対向(隣接)し、他方のセル対向面26がセル10Bの燃料極12と対向(隣接)している。かかるインターコネクタ20Aのセル対向面22,26と、それぞれ対応する単セル10A,10B側の燃料極12あるいは空気極16の対向面との間には、ここに開示されるガラス封止材を付与してなる封止接合部(図示せず)が形成されている。また、セル対向面22には複数の溝が形成されており、供給された酸素含有ガス(典型的には空気)が流れる空気流路24を構成している。同様に、反対側のセル対向面26にも複数の溝が形成されており、供給された燃料ガス(典型的にはHガス)が流れるための燃料ガス流路28を構成している。かかる形態のインターコネクタ20では、典型的には空気流路24と燃料ガス流路28とが互いに直交するように形成されている。
以下、本発明に関する幾つかの試験例を説明するが、本発明をかかる試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
本試験では、ガラス原料粉末の組成や熱処理(結晶化処理)条件を異ならせた計10種類のガラス封止材料サンプルを作製した。具体的には、先ず、表1に示す組成のガラス原料粉末を1100℃〜1300℃で溶融した後、急冷した。次に、これを粉砕し、表1に結晶化処理の条件を記載しているサンプルについては、結晶化処理を行った。なお、表1の結晶化処理の欄に「−」とあるサンプルについては、熱処理を行わなかった。そして、結晶化処理を行ったサンプルについては当該結晶化処理後にふたたび粉砕を行った。このようにして、10種類のガラスフリット(S1〜8)を作製した。
また、比較例として、表1に示す組成の市販の耐熱用ガラス(旭硝子株式会社製)を準備した。
Figure 2016088806
〔熱膨張係数の評価〕
上記作製したガラスフリット(S1〜8)および市販の耐熱用ガラスを、それぞれ50mm×7mm×7mmの棒状にプレス成形し、700℃で10分間仮焼きした。仮焼き後、ダイヤモンドカッターでΦ5mm×10〜20mm程度の円柱状に切り出して、測定用の試験片とした。この試験片を、熱機械分析装置(株式会社リガク製、TMA8310)を用いて評価した。具体的には、室温(25℃)から1000℃まで10℃/分の一定速度で昇温したときの、30℃から500℃の間の平均線膨張量から熱膨張係数を算出した。結果を表2の該当欄に示す。
表2に示すように、サンプル1では熱膨張係数が6.1×10−6−1と低かった。それ以外のものは、熱膨張係数が8×10−6−1以上と比較的高かった。
〔ガラス中の結晶相の評価〕
上記作製したガラスフリット(S1〜8)および市販の耐熱用ガラスについて、それぞれ粉末X線結晶回折(XRD)を行い、結晶析出の有無を確認した。結果を表2の該当欄に示す。なお、表2には、結晶析出が確認された場合はその結晶相を、確認されなかった場合は「−」を示している。
表2に示すように、サンプル1とサンプル4−1、および市販の耐熱用ガラスでは、結晶相が認められなかった。それ以外のサンプルでは、何らかの結晶相の析出が認められた。
〔高温粘性の評価〕
上記作製したガラスフリット(S1〜8)および市販の耐熱用ガラスを、それぞれΦ7〜10mm×高さ5〜7mm程度の円柱状にプレス成形し、700℃で10分間仮焼きした。仮焼き後、作製した測定試料をアルミナ製の板で挟み、850℃での粘度ηを求めた。具体的には、硝子平行板粘度測定装置を用いて室温(25℃)から850℃までの高さ方向の変形量を検出した。そして、測定試料の変形速度からGent式に基づいて850℃での粘度ηを算出した。
Gent式:η=2πMgH/3V(−dH/dt)(2πH+V)
(ただし、η:粘度(Poise)、M:荷重(g)、H:試料の高さ(cm)、g:重力加速度(cm/s)、V:試料体積(cm)、dH/dt:試料変形速度(cm/s)である。)
表2に示すように、サンプル1〜8の粘度ηは、2.9〜8.9Pa・sの範囲だった。
〔SUS基板との接合性の評価〕
上記作製したガラスフリット(S1〜8)および市販の耐熱用ガラスを、それぞれΦ15mm×2.5mmの円盤状にプレス成形し、ペレットを作製した。このペレットを、フェライト系ステンレス鋼(SUS430、熱膨張係数:10×10−6−1〜13×10−6−1)製の基板上に載せ、大気中、850℃で30分間焼成することで、ペレットと基板とを接合した。その後、それぞれの積層体について浸透探傷検査を行い、クラックの有無を確認した。結果を表2の該当欄に示す。なお、表2において「○」はクラックが確認されなかったことを、「×」は接合部にクラックが認められたことを表している。
表2に示すように、サンプル1と8ではクラックが認められたが、それ以外のものではペレットと基板とが良好に接合されていた。なお、サンプル2では濡れ広がりが顕著で、接合部の維持が困難だった。また、サンプル6では、焼成後にガラスがやや広がった。
〔金属への拡散性評価〕
上記接合性評価で作製した積層体について、上記基板(SUS430)上にガラス成分が拡散しているか否かを確認した。具体的には、走査顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて上記積層体を上部から観察し、エネルギー分散型X線(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:EDX)分析によって得られた観察画像をガラスマトリックスの成分元素でマッピングし、基板表面のガラス成分の存在を確認した。結果を表2の該当欄に示す。なお、表2において「○」はガラス成分が観察されなかったことを、「×」はガラス成分が観察されたことを、「−」は未測定であることを表している。
表2に示すように、ガラスマトリックスにアルカリ金属およびMg成分を含む市販の耐熱用ガラスでは、基板上にガラス成分(アルカリ金属元素)の拡散が認められた。これに対して、サンプル1〜7では基板上にガラス成分の拡散は認められなかった。
〔耐熱性の評価〕
上記作製したガラスフリット(S1〜8)および市販の耐熱用ガラスを、大気雰囲気中において800℃で100時間熱曝露させ、耐熱性を評価した。具体的には、先ず、熱曝露後の熱膨張係数を上記と同様に測定した。そして、熱曝露前の熱膨張係数からの変化量を求めた。結果を表2の該当欄に示す。なお、表2において「○」は熱膨張係数変化が±1.0×10−6−1以下であったことを、「×」は熱膨張係数の変化がそれより大きかったことを、「−」は未測定であることを表している。
表2に示すように、サンプル3,4−2,5,6,7−2では、熱曝露前後の熱膨張係数の変化が小さく、耐熱性が高かった。
Figure 2016088806
表2の総合評価の欄には、上記評価項目の中で1つでも「×」があった場合に「×」を標記している。また、×の項目は無いが、その他の欄に示すような特記事項があった場合に「△」を標記している。全ての評価項目が良好であった場合には「○」を標記している。
以上の結果から、ガラスマトリックス中にBaO−Al系結晶、BaO−ZnO−SiO系結晶、およびBaO−Al−SiO系結晶のうちの少なくとも1つが析出している結晶化ガラスを含むガラス封止材料であって、上記ガラスマトリックス全体を100mol%としたときに、95mol%以上が酸化物換算のモル比で以下の組成:BaO30〜60mol%;ZnO1〜30mol%;SiO1〜30mol%(特にはSiO10〜30mol%);Al1〜20mol%;B10〜30mol%;から構成されているガラス封止材料を用いることで、アルカリ金属、Mg、PbおよびAs成分を含まずとも、金属部材(フェライト系ステンレス鋼)とクラックが無く、気密性の高い封止接合部を形成できることがわかった。
また、ガラス封止材料は、以下のような性状を有することが好ましいこともわかった。
(1)850℃における粘度が3.5Pa・s〜8.5Pa・sである。
(2)30℃から500℃までの熱膨張係数が8×10−6−1〜12×10−6−1である。
(3)大気雰囲気中において800℃で100時間の熱曝露を行った際の上記熱曝露前後の熱膨張係数の差が±1.0×10−6−1以下である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10A、10B SOFC(単セル)
12 燃料極(アノード)
14 固体電解質層
16 空気極(カソード)
20、20A インターコネクタ
30 固体酸化物形燃料電池システム(SOFCシステム)

Claims (6)

  1. ガラスマトリックス中にBaO−Al系結晶、BaO−ZnO−SiO系結晶、およびBaO−Al−SiO系結晶のうちの少なくとも1つが析出している結晶化ガラスを含むガラス封止材料であって、
    前記ガラスマトリックスは、アルカリ金属、MgおよびPb成分を含まず、且つ、当該ガラスマトリックス全体を100mol%としたときに、95mol%以上が酸化物換算のモル比で以下の組成:
    BaO 30〜60mol%;
    ZnO 1〜30mol%;
    SiO 1〜30mol%;
    Al 1〜20mol%;
    10〜30mol%;
    から構成されている、ガラス封止材料。
  2. 30℃から500℃までの熱膨張係数が8×10−6−1〜12×10−6−1である、請求項1に記載のガラス封止材料。
  3. 850℃における粘度が3.5Pa・s〜8.5Pa・sである、請求項1または2に記載のガラス封止材料。
  4. 大気雰囲気中で800℃・100時間の熱曝露を行った際の前記熱曝露前後の熱膨張係数の差が±1.0×10−6−1以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のガラス封止材料。
  5. 前記ガラスマトリックスが、さらに酸化物換算のモル比でCaOおよびSrOのうちの少なくとも1種を5mol%未満の割合で含む、請求項1〜4のいずれかに記載のガラス封止材料。
  6. 酸化物イオン伝導性を有するセラミックからなる部材を備えた固体酸化物形燃料電池と、
    金属部材と、
    前記固体酸化物形燃料電池と前記金属部材とを封止接合する封止接合部と、
    を備える固体酸化物形燃料電池システムであって、
    前記封止接合部が請求項1〜5のいずれかに記載のガラス封止材料を焼成してなる、固体酸化物形燃料電池システム。
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