JP6636814B2 - ガラス組成物およびその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス組成物に関する。詳しくは、アルカリ金属、Mg、AsおよびPb成分を含まないガラス組成物に関する。
金属材料は、各種の産業分野において様々なデバイス、機器、装置に広く使用されている。かかる金属材料からなる部材(金属部材)の接合には、該金属部材の用途や接合条件等に応じて様々な接合材料が使い分けられている。例えば、高温域(例えば600℃〜900℃の高温域)で使用される酸素イオン伝導モジュール(典型的には、酸素分離膜モジュールや固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)システム)では、該モジュールを構成する金属部材(例えば金属製の配管)とセラミック部材(例えば酸素分離膜や固体電解質)との接合に、以下の特徴を有するガラス組成物(接合材)が用いられている。
(1) 接合温度(軟化点)が被接合部材の融点よりも低いこと。
(2) 使用温度域(例えば600℃〜900℃)における熱サイクル耐久性に優れること。
(3) 熱膨張係数が被接合部材(セラミック部材や金属部材)と同程度かそれより若干低いこと。
この種のガラス組成物の例として、特許文献1〜6が挙げられる。特許文献1〜3には、ガラスマトリックス中にアルカリ金属元素を含有するガラス接合材が開示されている。また、特許文献4には、SiO−MgO系の材料で構成された結晶化ガラスからなる接合材が開示されている。
特開2010−184826号公報 特開2009−199970号公報 特許第4305898号 特許第5116185号 特許第4859288号 特開2013−234117号公報
一般に、このようなガラス接合材には、ガラスの溶解性の向上や熱膨張係数を調節するためのナトリウム(Na)やカリウム(K)といったアルカリ金属成分が含まれる(例えば上記特許文献1〜3)。しかしながら、アルカリ金属成分は、被接合対象の少なくとも一方が金属製の接続部材である場合に当該金属部分と化学的に反応を起こす(典型的にはアルカリ金属成分が金属部分へ拡散する)ため、ガラスの安定性の低下やSOFCの性能劣化を引き起こす要因となり得る。
この点について、アルカリ金属成分に代えてマグネシウム(Mg)成分を含有させることで、高い熱膨張係数を実現することが試みられている(例えば上記特許文献4)。しかしながら、マグネシウム成分(典型的にはMgO)を含むガラス組成物は、焼成時に多量の結晶が析出するため、使用温度域(作動温度域)と非使用時の温度(常温)との間で昇温と降温とを繰り返したときの物性変化が大きく、熱サイクル耐久性の低下を引き起こす虞がある。
このような事情から、アルカリ金属成分およびマグネシウム成分を含まず、且つ、上記のような特徴を有する(例えば、被接合部材と同程度かそれより若干低い熱膨張係数を有し、かつ、熱サイクル耐久性に優れた)ガラス組成物が求められている。
本発明は上述したような従来の問題を解決すべく創出されたものであり、その目的は、アルカリ金属成分およびマグネシウム(Mg)成分を含まず、高温域(例えば600℃〜900℃)において繰り返し使用しても接合部を気密に保持することのできるガラス組成物ならびに該ガラス組成物を含むガラス接合材を提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明により提供されるガラス組成物は、アルカリ金属、Mg、AsおよびPb成分を含まず、酸化物換算のモル比で以下の組成を有する。
BaO 30〜60mol%;
SiO 5〜40mol%;
10〜30mol%;
Al 0〜20mol%;
MO(ここでMは、Zn、CaおよびSrのうちの少なくとも1種) 1〜40mol%;
そして、前記BaOと前記Alと前記MOとの合計モル比がガラスマトリックス全体の50mol%以上である。
このような組成のガラスマトリックスを含むことにより、アルカリ金属成分およびMg成分を含有することなく、例えば600〜900℃というような高温域において適当な熱膨張係数を有し、気密性(シール性)に優れる接合部(典型的には金属部材と他部材との接合部)を形成することができる。また、アルカリ金属成分およびMg成分を含有しないことで、該アルカリ金属成分およびMg成分を含有することによる種々の不具合(すなわち、アルカリ金属成分と被接合部材との好ましくない化学的反応(典型的にはアルカリ金属成分の金属部材への拡散)や、焼成時に多量の結晶が析出することによる熱サイクル耐久性の低下等)を防止することもできる。したがって、ここに開示されるガラス組成物によれば、高温域においても接合部を高い気密性で長期にわたり維持することができる、熱サイクル耐久性に優れた接合部を実現することができる。加えて、ここに開示されるガラス組成物のガラスマトリックスはヒ素成分および鉛成分をも含まないため、環境性や安全性の観点からも好ましい。
ここで開示されるガラス組成物の好ましい一態様では、前記Alのモル比が1〜20mol%である。このようにすれば、ガラスマトリックスが多成分系で構成されるため、高温域における接合部の安定性をさらに向上させることができ、本願発明の効果を更に高いレベルで安定的に発揮することができる。
ここで開示されるガラス組成物の好ましい一態様では、前記ガラスマトリックス中に析出したBa含有結晶を含み、前記ガラスマトリックスと前記Ba含有結晶との合計を100質量%としたときに、前記Ba含有結晶の含有量は30質量%以下である。該マトリックス中に30質量%以下(例えば0.1質量%〜30質量%)のBa含有結晶を析出させることによって、熱サイクル時の物性変化を抑制し得、高温状態において熱サイクル時に発生する熱応力を解放することができる。このため、高温域(例えば600℃〜900℃)で繰り返し使用し、該使用温度域(作動温度域)と非使用時の温度(常温)との間で昇温と降温とを繰り返しても、接合部からのガスのリークを防止し、長期にわたり高い気密性を保持することができる。
なお、本明細書において「Ba含有結晶の含有量」とは、内部標準法を用いて、粉末X線回折(X-ray diffraction:XRD)の測定結果から算出した値をいう。
ここで開示されるガラス組成物の好ましい一態様では、前記結晶として、BaAl、BaAlSiO、BaZnSiO、BaZnSiおよびBaCaSiからなる群から選択される少なくとも一種の結晶相を含む。これらの結晶相を含むガラス組成物は、熱サイクル時の物性変化が少なく、熱サイクル耐久性により優れた接合部を形成し得る点で好ましい。
ここで開示されるガラス組成物の好ましい一態様では、30℃から500℃までの熱膨張係数が8×10−6−1〜12×10−6−1である。かかる熱膨張係数(典型的には、30℃から500℃までの温度領域において熱機械分析装置(Thermomechanical Analysis:TMA)を用いて測定した平均膨張係数(平均線膨張係数)であり、試料の初期長さに対する試料長さの変化量を温度差で割った値)は、被接合部材である金属部材やセラミック部材(例えば、酸素分離膜、SOFC構成部材および接続部材)の熱膨張係数と近似する。したがって、かかる構成のガラス組成物を使用することによって、被接合部材である金属部材やセラミック部材をより一層高い気密性と機械的強度を有して接合(シール)させることができる。
また、本発明は、他の側面として、上記課題を解決するガラス接合材を提供する。すなわち、ここで開示されるガラス接合材は、少なくとも一の金属部材と一の他部材とを接合するためのガラス接合材であって、ここで開示される何れかのガラス組成物を含むことを特徴とする。
かかるガラス組成物を含むガラス接合材によると、アルカリ金属と金属部材との好ましくない化学的反応を未然に防止し、上述のように一の金属部材と一の他部材とを高い気密性および熱サイクル耐久性を有して接合(シール)させることができる。
好ましくは、上記ガラス組成物を主成分として含むペースト状(スラリー状)またはペレット状のガラス接合材(シール材)として提供される。
酸素分離膜エレメントと該エレメントに接合された金属製のガス管とを備えた酸素分離膜モジュールの一形態を模式的に示す断面図である。 SOFC(単セル)と該単セルに接合された金属製のインターコネクタとを備えたSOFCシステムの一形態を模式的に示す分解斜視図である。 気密性評価の試験方法を説明するための模式的な断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けないセラミック部材や金属部材の成形方法、酸素イオン伝導モジュールの一般的な製造プロセス等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
≪ガラス組成物≫
ここに開示されるガラス組成物は、少なくとも一の金属部材と一の他部材とを接合するためのガラス接合材に含まれるガラス組成物として好適に用いられる。このガラス組成物は、アルカリ金属、Mg、AsおよびPb成分を含まず、かつ、酸化物換算のモル比で以下の組成:
BaO 30〜60mol%;
SiO 5〜40mol%;
10〜30mol%;
Al 0〜20mol%;
MO(ここでMは、Zn、CaおよびSrのうちの少なくとも1種) 1〜40mol%;
を有し、さらにBaOとAlとMOとの合計モル比がガラスマトリックス全体の50mol%以上であることによって特徴づけられる。
このような組成のガラスマトリックスを含むことにより、アルカリ金属成分およびMg成分を含有することなく、例えば600〜900℃というような高温域において被接合部材である金属部材やセラミック部材に近似する適当な熱膨張係数を有し、シール性能および熱サイクル耐久性に優れる接合部を形成することができる。ガラスマトリックス全体のうち酸化物換算のモル比で50mol%〜80mol%が上記BaO、AlおよびMOで構成されるものが好ましく、55mol%〜75mol%(例えば60mol%〜70mol%)が特に好ましい。
ここで開示されるガラス組成物は、ガラスマトリックス中にBaOを含む。BaOは、後述するBaAl、BaAlSiO、BaZnSiO、BaZnSiおよびBaCaSiなどのBa含有結晶を構成する成分であり、本発明のように、シール性能および熱サイクル耐久性に優れる接合部を構成するためのガラスの成分として好適である。ガラスマトリックス全体に占めるBaOの割合(含有率)は、酸化物換算のモル比で、凡そ30mol%以上であって、60mol%以下である。これにより、好適な量の上記Ba含有結晶をガラスマトリックス中に析出させることができ、接合部における熱サイクル耐久性をより良く向上させることができる。BaOの含有率は、熱サイクル耐久性に優れた接合部を形成する等の観点から、好ましくは32mol%以上、より好ましくは35mol%以上である。また、BaOの含有率は、典型的には60mol%以下、好ましくは55mol%以下(例えば50mol%以下)である。ここで開示される技術は、BaOの含有率が30mol%〜60mol%(さらには35mol%〜55mol%)である態様で好ましく実施され得る。
ここで開示されるガラス組成物は、ガラスマトリックス中に上記BaOに加えて、SiOを含む。SiOは、ガラスマトリックスの骨格を構成する成分であり、ガラスの融点(軟化点)を上昇させる成分でもある。また、後述するBaAlSiO、BaZnSiおよびBaCaSi等のBa含有結晶を構成する成分でもある。ガラスマトリックス全体に占めるSiOの割合(含有率)は、酸化物換算のモル比で、凡そ5mol%以上が適当であり、好ましくは10mol%以上、より好ましくは15mol%以上(例えば18mol%以上)である。これにより、所望する高融点(高軟化点)のガラス(例えば比較的高温域、例えば600〜900℃、好ましくは700〜900℃(例えば800〜900℃)で使用することを想定して当該高温域で溶融し難い組成のガラス)を実現することができる。また、耐水性、耐薬品性、耐熱衝撃性のうちの少なくとも1つを向上させることができる。また、SiOの含有率は、凡そ40mol%以下にすることが適当であり、好ましくは35mol%以下、より好ましくは32mol%以下(例えば30mol%以下、典型的には25mol%以下)である。これにより、ガラス接合材の軟化点が高くなりすぎることを防止することができる。ここで開示される技術は、SiOの含有率が5mol%〜40mol%(さらには15mol%〜35mol%)である態様で好ましく実施され得る。かかるSiOの含有率の範囲は、接合部における熱サイクル耐久性をより良く向上させる観点からも好ましい。
ここで開示されるガラス組成物は、ガラスマトリックス中に上記BaOおよびSiOに加えて、Bを含む。Bは、接合材調製時の溶融性の向上に寄与する成分である。ガラスマトリックス全体に占めるBの割合(含有率)は、酸化物換算のモル比で、凡そ10mol%以上が適当であり、例えば12mol%以上、典型的には14mol%以上であってもよい。一方、この成分が多すぎると化学的耐久性(例えば耐酸性)の低下を招くため好ましくない。この点からは、Bの含有率は、凡そ30mol%以下にすることが適当であり、好ましくは25mol%以下、より好ましくは20mol%以下(例えば20mol%未満、典型的には18mol%以下)である。ここで開示される技術は、Bの含有率が10mol%〜30mol%(さらには10mol%〜25mol%)である態様で好ましく実施され得る。かかるBの含有率の範囲は、接合部における熱サイクル耐久性をより良く向上させる観点からも好ましい。
ここで開示されるガラス組成物は、ガラスマトリックス中に上記BaO、SiOおよびBに加えて、Alを含んでもよい。Alは、ガラスマトリックス溶融時の流動性を制御して付着安定性に関与する成分であり、ガラスマトリックスの多成分化に貢献し得る。また、後述するBaAl、BaAlSiO等のBa含有結晶を構成する成分でもある。Al含有率が低すぎると付着安定性が低下して均一な厚みのガラスマトリックスの形成を損なう虞がある。一方、Al含有率が高すぎると、接合部の耐化学性を低下させる虞がある。ガラスマトリックス全体に占めるAlの割合(含有率)は、酸化物換算のモル比で、ゼロ(無添加)か或いは20mol%以下が好ましい。ここで開示される技術は、Alの含有率が0mol%〜20mol%(さらには1mol%〜20mol%、特には2mol%〜20mol%、例えば4mol%〜15mol%、典型的には10mol%〜15mol%)である態様で好ましく実施され得る。かかるAlの含有率の範囲は、接合部における熱サイクル耐久性をより良く向上させる観点からも好ましい。
ここで開示されるガラス組成物は、ガラスマトリックス中に上記BaO、SiOおよびBに加えて、MO(ここでMは、Zn、CaおよびSrのうちの少なくとも1種)を含有する。上記MOすなわちZnO、CaOおよびSrOは、ガラスマトリックスの熱的安定性を向上させる(熱膨張係数を調整する)ことができる成分である。ZnO、CaOおよびSrOのうちのいずれか、あるいはこれらのいずれか2種の組み合わせが好ましい。ガラスマトリックス全体に占めるMOの割合は、酸化物換算のモル比で、凡そ1mol%以上(好ましくは5mol%以上、より好ましくは8mol%以上、例えば10mol%以上)であって、40mol%以下(好ましくは35mol%以下、より好ましくは30mol%以下、例えば20mol%以下、典型的には15mol%以下)とすることが好ましい。これにより、ガラスマトリックスの熱膨張係数を調整することができる。また、これらの成分を入れることによりガラスマトリックスが多成分系で構成されるため、ガラスの安定性を向上することができる。かかるMOの含有率は、接合部における熱サイクル耐久性をより良く向上させる観点からも好ましい。
上記に加えて、CaOはガラスマトリックスの硬度を上げて耐摩耗性を向上させ得る成分であり、後述するBaCaSi等のBa含有結晶を構成する成分でもある。また、ZnOは、後述するBaZnSiO、BaZnSi等のBa含有結晶を構成する成分でもある。このため、ガラスマトリックス中にCaOおよび/またはZnOを含むことが好ましい。例えば、ガラスマトリックス全体に占めるCaOの割合(含有率)は、酸化物換算のモル比で、凡そ1mol%〜20mol%(例えば2mol%〜15mol%)とすることが好ましい。また、ガラスマトリックス全体に占めるZnOの割合(含有率)は、酸化物換算のモル比で、凡そ1mol%〜30mol%(例えば4mol%〜20mol%、典型的には5mol%〜10mol%)とすることが好ましい。また、ガラスマトリックス全体に占めるSrOの割合(含有率)は、酸化物換算のモル比で、ゼロ(無添加)か或いは5mol%以下(例えば2mol%〜5mol%)とすることが好ましい。かかるCaO、ZnOおよびSrOの含有率の範囲は、接合部における熱サイクル耐久性をより良く向上させる観点からも好ましい。
ここに開示されるガラス組成物は、上述した主要構成成分から構成されていてもよく、あるいは、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、上記以外の任意の微量混在成分を種々の目的に応じて含むものであってもよい。そのような微量混在成分としては、酸化物の形態で、例えば、TiO、ZrO、V、Nb、FeO、Fe、Fe、CuO、CuO、SnO、SnO、P、La、CeO、Y等が挙げられる。これら微量混在成分の割合は、ガラスマトリックス全体の凡そ10mol%以下(例えば5mol%以下、典型的には3mol%以下、例えば2mol%以下)とすることが好ましい。
なお、ここに開示されるガラス組成物のガラスマトリックス中には、アルカリ金属(例えばLi、Na、K)成分、マグネシウム(Mg)成分、ヒ素(As)成分、鉛(Pb)成分が含まれない。換言すれば、ここに開示されるガラス組成物のガラスマトリックスには、これらの成分を積極的には添加しない(不可避的な不純物として混入することは許容され得る)。アルカリ金属成分は、被接合対象の少なくとも一方が金属製の接続部材である場合に当該金属部分と化学的反応を起こし典型的にはアルカリ金属成分が金属部分へ拡散し)、ガラスの安定性の低下やSOFCの性能劣化を引き起こす要因となり得るため、好ましくない。Mg成分は、焼成時にガラスマトリックス中に多くの結晶を析出させ、熱サイクル耐久性の低下を引き起こす原因となり得るため、好ましくない。ヒ素成分や鉛成分は、人体や環境に対して悪影響となり得るため、環境性や作業性、安全性の観点から好ましくない。
好ましい一態様では、上記ガラス組成物のガラスマトリックス中には、Baを含有するBa含有結晶が析出している。Ba含有結晶としては、BaAl、BaAlSiOBaAl Si BaZnSiO、BaZnSiおよびBaCaSiのうちの少なくとも一種の結晶相であることが好ましい。このうち、BaAl、BaCaSiおよびBaZnSiOのうちのいずれか、あるいはこれらのいずれか2種の組み合わせが好ましい。これらのBa含有結晶を含むガラス組成物は、熱サイクル時の物性変化が少なく、熱サイクル耐久性により優れた接合部を形成し得る点で好ましい。
Ba含有結晶の析出量は、ガラスマトリックスとBa含有結晶との合計を100質量%としたときに、凡そ0.1質量%以上(例えば0.3質量%以上、典型的には0.5質量%以上)である。また、Ba含有結晶の析出量は、凡そ30質量以下にすることが適当であり、好ましくは25質量以下、より好ましくは20質量以下、さらに好ましくは15質量以下、特に好ましくは10質量以下である。Ba含有結晶の含有量を30質量%以下にすることで、熱サイクル時の物性変化を抑制し得、高温状態において熱サイクル時に発生する熱応力を適切に解放することができる。このため、高温域(例えば600℃〜900℃)で繰り返し使用し、該使用温度域(作動温度域)と非使用時の温度(常温)との間で昇温と降温とを繰り返しても、接合部からのガスのリークを防止し、長期にわたり高い気密性を保持することができる。なお、結晶の析出量は、例えば、上記構成元素(必須構成元素)の組成比率や、後述する結晶化処理条件によって調整することができる。
ここに開示されるガラス組成物の好ましい一態様では、30℃から500℃までの熱膨張係数が8×10−6−1〜12×10−6−1(好ましくは9×10−6−1〜11×10−6−1)である。かかる熱膨張係数は被接合部材である金属部材やセラミック部材の熱膨張係数に近似するため、該被接合部材との熱膨張係数の整合をとることができる。
≪ガラス組成物の製造方法≫
このようなガラス組成物の製造方法は特に制限されないが、例えば、先ず、当該組成物を得るためのガラス原料粉末を調製すること;次に、該原料粉末を溶融した後に急冷してガラスマトリックス(ガラス質中間体)を調製すること;次に、上記調製したガラスマトリックスを結晶化処理することによって、上記ガラスのマトリックス中にBa含有結晶を析出させること;によって行い得る。以下、各工程について詳しく説明する。
ガラス原料粉末の調製では、例えば、当該組成物の各構成成分(Ba、Si、B、Al、Zn、Ca、Sr等)を含有する酸化物、炭酸塩、硝酸塩、複合酸化物等を含む工業製品、試薬、または各種の鉱物原料を用意し、これらが所望の組成となるよう混合する。原料粉末の調製は、例えばボールミル等の混合機に上記原料を投入し、数時間〜数十時間混合することによって行うことができる。
次に、このようにして得られたガラス原料粉末を乾燥した後、高温(典型的には1000〜1500℃)条件下で加熱・溶融して、冷却または急冷することでガラス(ガラス質中間体)を調製することができる。好適な一態様では、得られたガラス(ガラス質中間体)を適当な大きさ(粒径)となるまで粉砕し、ガラス(ガラス質中間体)粉末を作製する。ガラス質中間体の平均粒径は、例えば0.5μm〜50μm(典型的には1μm〜10μm)とすることが好ましい。
次に、上記調製したガラス質中間体を結晶化処理(熱処理)する。これにより、ガラスマトリックス中にBa含有結晶を析出させることができ、結晶含有ガラス組成物を得ることができる。結晶化処理は、結晶化を誘起し得る温度域(例えば700〜1000℃、好ましくは720〜850℃)で、上記ガラス質中間体を所定時間(典型的には10分以上、例えば20分〜240分)保持するとよい。好適な一態様では、得られた結晶含有ガラス組成物を粉砕や篩いがけ(分級)によって、ガラスカレットまたはガラスパウダー等の形態に調製する。これにより、一層高気密で高品質な接合部を実現することができる。結晶含有ガラスの平均粒径は、用途にもよるが、例えば0.1μm〜10μm程度とすることが好ましい。
≪ガラス接合材≫
得られた結晶含有ガラス組成物(粉砕後のガラスカレットおよびガラスパウダー)は、用途に適した形態に適宜加工してガラス接合材とすることができる。例えば、任意の形状に圧縮成形した後、ガラス粒子同士が互いに結着する程度に仮焼してペレット状態のガラス接合材としてもよい。
あるいは、有機バインダや有機溶剤等とともに混合したペースト状のガラス接合材としてもよい。有機バインダとしては、通常この種のガラスペーストに用いられている各種のバインダを用いることができる。例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系高分子や、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アミン系樹脂等を用いることができる。また、有機溶剤についても同様であって、例えば、ターピネオール、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、各種のグリコール等を用いることができる。ペースト状のガラス接合材は、所望の用途に応じて適切な粘度に調整することによって、塗布または印刷等の形態で被接合部材(金属部材等)に付与することが可能である。したがって、複雑な形状の被接合部材の接合、あるいは、複雑な接合形態での接合を、簡便且つ好適に実施することができる。なお、ペーストの分散、混合方法についても特に限定される事項はなく、例えば、従来公知の三本ロールミル等を用いて行うことができる。
≪接合方法≫
上記のようにして準備したペレット状またはペースト状のガラス接合材は、従来のガラス接合材と同様に用いることができる。例えば、先ず、上記のようにしてガラス接合材を調製する。次に、被接合部材として、少なくとも一の金属部材と一の他部材とを用意する。次に、金属部材と一の他部材とが相互に接触・接続するよう配置し、当該接続部位に、上記ペレット状またはペースト状のガラス接合材を付与(配置または塗布)する。そして、この複合体を乾燥後、該ガラス接合材の軟化点以上の温度域(典型的には600℃以上、例えば700℃〜900℃)で焼成する。これによって、被接合部材間に気密性に優れた接合部を形成することができる。
≪被接合部材≫
接合対象(被接合部材)としての金属部材には、ここに開示されるガラス接合材と熱膨張係数が比較的近い各種の金属材料からなる部材を用いることができる。例えば、熱膨張係数がここに開示されるガラス接合材と同程度か、それよりも若干高い熱膨張係数を有する金属材料からなる部材を用いることが好適である。かかる金属材料の熱膨張係数としては、おおよその目安として、30℃から500℃までの熱膨張係数が8×10−6−1〜12×10−6−1程度であることが例示される。このような金属材料としては、ステンレス鋼、アルミニウム、クロム、鉄、ニッケル、銅、銀、マンガン、およびこれらの合金が例示される。より具体的には、フェライト系やオーステナイト系のステンレス鋼、純アルミニウム、アルミニウム合金(ジュラルミン、アルミニウム青銅等)、銀、銀合金(洋銀等)、銅、銅合金(リン青銅等)等であり得る。ここに開示されるガラス接合材によれば、従来のガラス接合材とは異なり、熱膨張係数の高い金属部材と接する接合部に優れたシール性や熱サイクル耐久性を付与することができる。
また、他部材としては特に制限されないが、例えば、金属部材やセラミック部材が例示される。換言すれば、ここに開示されるガラス接合材は、例えば、金属部材同士の接合や、金属部材−セラミック部材間の接合(異種部材間)等に広く使用することができる。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。
≪酸素分離膜エレメント≫
ここに開示されるガラス接合材は、酸素イオン伝導モジュールにおいて好適に使用することができる。酸素イオン伝導モジュールの一好適例として、以下では、酸素分離膜モジュール(酸素分離装置)の場合を例に説明する。かかる酸素分離膜モジュールは、少なくとも、一の金属部材(典型的には、金属製のガス管)と、一の他部材(典型的には、セラミック製の酸素分離膜エレメント)とを備える。そして、該金属部材と酸素分離膜エレメントとの間には、ここに開示されるガラス接合材を焼成してなる接合部(封止部)が形成されていることで特徴づけられる。当該ガラス接合材を用いることで、金属部材と酸素分離膜エレメント(典型的には酸素分離膜材)との間を気密に接合(封止)することができ、例えばガス管内を流通するガス(例えば酸素含有ガス)を安定的に酸素分離膜エレメントへと供給することができる。
金属部材としてのガス管は、酸素分離膜エレメントに酸素含有ガス(典型的には空気)を供給するための部材である。かかるガス管は、従来の酸素分離膜モジュールで採用されているものと同様でよい。具体的には、アルミニウム、クロム、鉄、ニッケル、銅、ステンレス鋼等からなるものが例示される。他部材としての酸素分離膜エレメントは、酸化物イオン伝導性を有する緻密な酸素分離膜材を備えており、典型的には当該膜材が支持体としての多孔質基材上に固着された形態である。酸素分離膜材を構成するセラミックとしては、酸素イオン伝導体であるペロブスカイト構造をとるものであればよい。具体的には、(LaSr)CoO、(LaSr)(CoNi)O、(LaSr)(CoFe)O、(LaSr)(TiFe)O等の複合酸化物材料が例示される。多孔質基材としては、従来の膜エレメントで採用されている種々のセラミック多孔質体を使用することができる。具体的には、上記酸素分離膜材と同様の組成を有するセラミック多孔質体、マグネシア(MgO)、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素等からなるものが例示される。
なお、酸素分離膜モジュールの製造方法は、従来公知の製造方法に準じればよく特別な処理を必要としないため、詳細な説明は省略する。
図1に、酸素分離膜モジュールの一形態の断面図を模式的に示す。かかる酸素分離膜モジュール50は、大まかに言って、酸素分離膜エレメント10とガス管20とを備える。酸素分離膜エレメント10は、管状(円筒状)の多孔質基材12の外周表面13に、酸素分離膜材14が形成された構成である。また、酸素分離膜エレメント10の多孔質基材12の軸方向の両端部(端面)には、管状(例えば該エレメントと同径)のガス管20が連結し、連結面35が形成されている。かかる連結面35には、酸素分離膜エレメント10とガス管20とが気密に接合封止されるよう、ここに開示されるガラス接合材を付与してなる封止部30が形成されている。本実施形態では、封止部30は、連結面35を越えて酸素分離膜材14の一部を覆うよう付設されている。好適な一態様では、酸素分離膜モジュール50は、酸素分離膜エレメント10とガス管20に加え、酸素分離膜エレメント10を収容するチャンバー40を備える。かかるチャンバー40を備えることで、該チャンバー40内に他のガス(例えば炭化水素ガス)を供給することができ、これによって、該チャンバー内で、例えば炭化水素ガスと酸素分離膜14によって分離された酸素ガスとを反応(例えば部分酸化反応)させることができる。
≪固体酸化物形燃料電池(SOFC)システム≫
酸素イオン伝導モジュールの一好適例として、以下では、固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムの場合を例に説明する。かかるSOFCシステムは、少なくとも、一の金属部材(典型的には金属製のガス管やインターコネクタ)と、一の他部材(典型的には、セラミック製の酸素分離膜を含む単セル)とを備える。そして、該金属部材(ガス管やインターコネクタ)と単セルとの間には、ここに開示されるガラス接合材を焼成してなる接合部(封止部)が形成されていることで特徴づけられる。当該ガラス接合材を用いることで、例えば800〜1100℃程度の高温域に曝されても金属部材と単セルとの間を長期間気密に保持可能な接合部を実現し得る。さらに、当該接合部に完全な絶縁性を付与することができ、耐熱性と電池特性に優れた高性能のSOFCシステムを実現することができる。
金属部材としては、単セルにガス(例えば酸素含有ガス、典型的には空気)を供給するためのガス管や、SOFCの単セル同士を電気的に接続してスタックを構築するために該単セル間に配置されるインターコネクタが例示される。このような金属部材については、従来のSOFCシステムで採用されているものと同様でよい。具体的には、アルミニウム、クロム、鉄、ニッケル、銅、ステンレス鋼等からなるものが例示される。他部材としての単セルは、酸化物イオン伝導体からなる緻密な固体電解質の一方の面に多孔質構造の空気極(カソード)が、他方の面に多孔質構造の燃料極(アノード)が形成され、構成されている。固体電解質としては、イットリア安定化ジルコニア(Yttria stabilized zirconia:YSZ)やガドリニアドープセリア(Gadolinia doped ceria:GDC)からなるものが例示される。空気極としては、ランタンコバルトネート(LaCoO)系やランタンマンガネート(LaMnO)系のペロブスカイト型酸化物からなるものが例示される。燃料極としては、ニッケル(Ni)とYSZのサーメットからなるものが例示される。
なお、SOFCシステムの製造方法は、従来公知の製造方法に準じればよく特別な処理を必要としないため、詳細な説明は省略する。
図2に、SOFCシステムの一形態の分解斜視図を模式的に示す。かかるSOFCシステム100は、SOFC(単セル)60A,60Bが、金属製のインターコネクタ70を介して複数層積み重なったスタックとして構成されている。単セル60A,60Bは、層状の固体電解質64の両面が、それぞれ層状の燃料極(アノード)62と空気極(カソード)66とで挟まれたサンドイッチ構造を備えている。図面中央に配されるインターコネクタ70Aは、その両面を二つの単セル60A,60Bで挟まれており、一方のセル対向面72がセル60Aの空気極66と対向(隣接)し、他方のセル対向面76がセル60Bの燃料極62と対向(隣接)している。かかるインターコネクタ70Aのセル対向面72,76と、それぞれ対応する単セル60A,60B側の燃料極62あるいは空気極66の対向面との間には、ここに開示される接合材を付与してなる封止部(図示せず)が形成されている。また、セル対向面72には複数の溝が形成されており、供給された酸素含有ガス(典型的には空気)が流れる空気流路74を構成している。同様に、反対側のセル対向面76にも複数の溝が形成されており、供給された燃料ガス(典型的にはHガス)が流れるための燃料ガス流路78を構成している。かかる形態のインターコネクタ70では、典型的には空気流路74と燃料ガス流路78とが互いに直交するように形成されている。
以下、本発明に関する幾つかの試験例を説明するが、本発明をかかる試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
ここでは、ガラス原料粉末の組成および熱処理条件を相互に異ならせた場合のガラス組成物の性状(熱膨張係数や熱サイクル耐久性)を評価した。
<ガラス中間体の作製>
具体的には、先ず、表1に示す組成のガラス原料粉末を1100〜1300℃で溶融した後、急冷することによりガラス中間体を得た。
上記得られたガラス中間体の熱膨張係数を測定した、具体的には、ガラス中間体をそれぞれ7mm×7mm×50mmの棒状にプレス成形し、800℃で10分間仮焼きした。仮焼き後、ダイヤモンドカッターでΦ5mm×10〜20mm程度の円柱状に切り出して、測定用の試験片とした。この試験片を、熱機械分析装置(株式会社リガク製、TMA8310)を用いて室温(30℃)から1000℃まで10℃/分の一定速度で昇温したときの、30℃から500℃の間の平均線膨張量から熱膨張係数を算出した。結果を表1に示す。
また、上記ガラス中間体をプレス成形してΦ20mm×3mm程度の円柱状試料を作製し、表2‐1および表2‐2に示す熱処理条件にて熱処理(結晶化処理)を行った。そして、粉砕・分級を行うことで、平均粒径が凡そ10μmのガラス組成物を作製した。
<熱膨張係数の評価>
上記得られたガラス組成物の熱膨張係数を、上述したガラス中間体の熱膨張係数と同じ手順で測定し、熱膨張係数変化=(ガラス中間体の熱膨張係数−ガラス組成物の熱膨張係数)を算出した。結果を表2‐1および表2‐2に示す。上記作製したガラス組成物のうち、例2〜12のサンプルにおいては、アルカリ金属成分およびマグネシウム成分を含まなくとも、8×10−6−1〜12×10−6−1の高い熱膨張係数を実現することができた。また、これらのサンプルは、熱膨張係数変化が1×10−6−1(1ppm)以下となり、焼成前後における物性変化が少ないガラス組成物を実現することができた。
Figure 0006636814
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<ガラスマトリックス中の結晶相の評価>
上記作製したガラス組成物について、それぞれ粉末X線回折(XRD)を行い、結晶析出の有無を確認した。また、結晶の析出が確認された場合には、結晶相の同定および内部標準法を用いた結晶相の定量(結晶化度の測定)を行った。結果を、表2‐1および表2‐2に示す。
表2‐1および表2‐2に示すように、例3〜12、14のサンプルでは、BaAl、BaAlSiOBaAl Si BaZnSiO、BaZnSiおよびBaCaSiのうちの何れかを含むBa含有結晶の析出が確認された。また、例2〜12のサンプルの結晶相の割合は、30質量%以下となった。
<熱サイクル耐久試験>
上記作製したガラス組成物をリング状にプレス成形し、ガラスリングを作製した。このガラスリングを表2‐1および表2‐2に示す接合対象1の板および中央部にΦ5mmの穴が開いた接合対象2の板の間に載せ、大気中、850℃で2時間焼成することで、接合対象1の板と接合対象2の板とを接合した。その後、室温から5℃/分で700℃まで昇温し、700℃で1時間保持した後、5℃/分で室温まで降温する熱サイクルを100回繰り返す熱サイクル耐久試験を行った。そして、図3に示すように、熱サイクル耐久試験後のサンプルをSUS製の治具に固定し、接合対象2側から窒素ガスを5kPaの圧力となるように室温で供給して閉空間を作製し、閉空間内の圧力降下から漏れ量を算出した。結果を表2‐1および表2‐2に示す。ここでは、漏れ量が1ml/分以下であるサンプルを「○」、漏れ量が1ml/分を上回るサンプルを「×」と評価した。
表2‐1および表2‐2に示すように、例1、13のサンプルは、ガラスリングの接合部に剥離が生じた。また、例2、14のサンプルは、ガラスリングの接合部に剥離は生じなかったものの、窒素ガスの漏れ量が2ml/分を上回り、熱サイクル耐久性に欠けていた。これに対し、例3〜12のサンプルは、酸化物換算のモル比で以下の組成:BaO 30〜60mol%;SiO 5〜40mol%;B 10〜30mol%;Al 0〜20mol%;MO(ここでMは、Zn、CaおよびSrのうちの少なくとも1種) 1〜40mol%;を有し、かつ、BaOとAlとMOとの合計モル比がガラスマトリックス全体の50mol%以上である。かかるサンプルは、接合対象1の板と接合対象2の板とが良好に接合されていた。また、熱サイクル耐久試験後における窒素ガスの漏れ量は1ml/分以下となり、熱サイクル耐久性にも優れていた。このことから、上記組成を有するガラス組成物を用いることで、熱サイクル後においても気密性の高い接合部を実現できることが確かめられた。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 酸素分離膜エレメント
12 多孔質基材
13 外周表面
14 酸素分離膜
20 ガス管
30 接合部(封止部)
35 連結面
40 チャンバー
50 酸素分離膜モジュール
60 SOFC(単セル)
62 燃料極(アノード)
64 固体電解質層
66 空気極(カソード)
70 インターコネクタ
100 固体酸化物形燃料電池システム(SOFCシステム)

Claims (6)

  1. アルカリ金属、Mg、AsおよびPb成分を含まず、
    酸化物換算のモル比で以下の組成:
    BaO 30〜60mol%;
    SiO 5〜40mol%;
    10〜30mol%;
    Al 11.76〜20mol%;
    MO(ここでMは、ZnおよびSrのうちの少なくとも1種) 1〜40mol%;
    を有し、かつ、前記BaOと前記Alと前記MOとの合計モル比がガラスマトリックス全体の50mol%以上であり、
    前記ガラスマトリックス中に析出したBa含有結晶として、BaAl、BaZnSiO、BaZnSiのうちのいずれかの結晶相を含む、ガラス組成物。
  2. アルカリ金属、Mg、AsおよびPb成分を含まず、
    酸化物換算のモル比で以下の組成:
    BaO 40.4〜60mol%;
    SiO 5〜40mol%;
    10〜30mol%;
    Al 1〜20mol%;
    MO(ここでMは、ZnおよびSrのうちの少なくとも1種) 1〜40mol%;
    を有し、かつ、前記BaOと前記Alと前記MOとの合計モル比がガラスマトリックス全体の50mol%以上であり、
    前記ガラスマトリックス中に析出したBa含有結晶として、BaAl、BaZnSiO、BaZnSiのうちのいずれかの結晶相を含む、ガラス組成物。
  3. 前記ガラスマトリックスと前記Ba含有結晶との合計を100質量%としたときに、前記Ba含有結晶の含有量は30質量%以下である、
    請求項1または2に記載のガラス組成物。
  4. 30℃から500℃までの熱膨張係数が8×10−6−1〜12×10−6−1である、
    請求項1〜3の何れか一つに記載のガラス組成物。
  5. 前記SiOが、酸化物換算のモル比で10mol%以上である、
    請求項1〜の何れか一つに記載のガラス組成物。
  6. 少なくとも一の金属部材と一の他部材とを接合するためのガラス接合材であって、請求項1〜の何れか一つに記載のガラス組成物を含む、ガラス接合材。
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