JP4423832B2 - ガラス組成物およびこれを用いた厚膜ペースト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非酸化性雰囲気中で焼成される厚膜ペーストに用いられるガラス組成物に関する。また、このガラス組成物を用いた厚膜ペースト、例えば回路や電子部品を構成する導体層、抵抗体層、絶縁体層、誘電体層、保護層などを形成するための厚膜ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロニクス分野において、電子回路や抵抗、コンデンサ、ICパッケージ等の電子部品を製造するために、ガラス粉末を含む導体ペーストや抵抗ペースト、誘電体ペーストなどの厚膜ペーストが使用されている。これらはガラス粉末を単独で、またはこれに無機フィラー、すなわち金属や合金、金属酸化物などの金属化合物もしくはセラミックス等からなる導電性粉末、絶縁性粉末あるいは半導体粉末を混合し、必要に応じてその他の添加剤と共に、ビヒクル中に均一に分散させてペースト状としたものである。この厚膜ペーストをセラミック基板やガラス基板、誘電体等に印刷または塗布した後、高温で焼成することによって導体層や抵抗体層、誘電体層、絶縁体層等の厚膜が形成される。
【0003】
回路や電子部品においては、導体材料として通常、銀、金、白金、パラジウム等の貴金属や銅、ニッケル、コバルト、鉄、アルミニウム、モリブデン、タングステン等の卑金属、またはこれらの合金、混合物などが使用されている。このうち特に卑金属は、焼成時に酸化し易いため、非酸化性雰囲気中、即ち窒素や水素−窒素などの不活性雰囲気中もしくは還元性雰囲気中で焼成が行われる。しかしこのような酸素の少ない雰囲気において厚膜ペーストを焼成する場合、ビヒクルとして用いられるバインダ樹脂や溶剤などの有機成分が酸化分解しにくく、燃焼、分解、飛散(以下「脱バインダ」という。)が十分に行われないため、閉じ込められたビヒクル分解物が高温でガス化し、気泡を生じて焼成膜の緻密性が損なわれたり、一部がカーボンとなって膜中に残ったりし、様々な問題を生じている。
【0004】
特にセラミック積層電子部品の端子電極を、無機結合剤としてガラス粉末を含む卑金属導体ペーストを比較的低温で焼付することにより形成する場合、脱バインダ性は重要な課題である。例えば積層セラミックコンデンサでは、チタン酸バリウム、酸化チタン、鉛を含む複合ペロブスカイト等からなる未焼成のセラミック誘電体層と、ニッケルや銅などの卑金属内部電極ペースト層とを交互に複数層積層し、高温で同時焼成してコンデンサ素体を得、この素体の外表面に銅粉末とガラス粉末を主成分とする導体ペーストを塗布し、窒素雰囲気中で焼付して端子電極が形成される。通常の厚膜導体形成に用いられる銅導体ペーストは、800〜950℃程度の比較的高温で焼成されるのが普通であるが、コンデンサの場合、窒素雰囲気中において高温で焼成すると、誘電体セラミックの脱酸素現象が起こり、機械的強度が低下したり、酸素欠損を生じることによってコンデンサの誘電体特性の劣化を引き起こしたりするので、より低温、望ましくは700〜750℃程度の温度で焼付することが要求されている。しかしこのような条件では有機物がより分解しにくい上に、低融ガラスを用いるのでビヒクルが分解飛散する前に電極が緻密化してしまい、熱分解性の良いアクリル樹脂などを用いたとしてもカーボンが膜中に残りやすい。残留カーボンは、ガラスの流動と電極の焼結を阻害するため、電極の緻密性や素体との接着性を損ない、特性劣化や信頼性の低下を引き起こす。従って脱バインダ性が優れ、800℃以下の低温焼成によっても接着性の優れた銅端子電極を形成しうる銅ペーストが求められている。
【0005】
一方、アルミナ等通常のセラミック基板上に、銅、ニッケルや銅−ニッケルなどの卑金属導体材料を用いた厚膜回路を製造する場合には、基板との接着強度の他、導体においては半田濡れ性、導電性、抵抗体においては適切な抵抗特性および安定性、また絶縁層の場合は緻密性、所定の誘電率と熱膨張係数、絶縁特性等要求される諸特性をすべて満足するために、通常800〜950℃程度で焼付を行うことが必要とされる。しかし低温焼成用ペーストに用いられる低軟化点ガラスは、高温で焼成するとガラスの粘度が下がり過ぎて膜表面まで移行してしまう。このためガラス滲みを起こしたり、また導体においては半田濡れ性やめっき付き性が損なわれたりする。また基板に対する接着強度も不十分になる。
【0006】
更に、このような卑金属導体材料を用いた厚膜回路や電子部品の形成には、非酸化性雰囲気で高温焼成したとき還元されにくいガラスを用いる必要がある。しかし従来厚膜ペーストに多く使用される鉛含有ガラスフリットは、PbO成分が還元されやすい。しかも鉛は人体に有害であり、また環境汚染の問題を引き起こす。従って鉛を含有せず、かつ基板との接着強度が大きく、優れた特性を有する厚膜が得られる非還元性ガラスが求められる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、軟化点が低く、鉛等の有害な成分を含まず、非酸化性雰囲気中700〜800℃程度の低温度域で焼成しても脱バインダ性が良好であり、かつ緻密で優れた特性を有する導体、抵抗体、絶縁体、誘電体等の厚膜を形成することができ、特に積層セラミックコンデンサ端子電極形成用導体ペーストの無機バインダとして適したガラス組成物を提供することである。また本発明の他の目的は、低軟化点を示しながら、800〜950℃程度の高温で焼成した場合にも、基板との十分な接着強度を有し、膜の緻密性、電気特性の優れた導体層、抵抗体層、絶縁体層、誘電体層等を形成することのできる、鉛を含有しないガラス組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記酸化物に換算した含有量がそれぞれ、
BaO 35〜60重量%、B2O3 5〜35重量%、ZnO 0〜12重量%、MnO2 2〜22重量%、Al2O3 0〜18重量%、SiO2 0〜11重量%、Li2O、Na2OおよびK2Oから選択された1または2以上 0〜8重量%、Cu2O、SnO2、Fe2O3およびCo3O4から選択された1または2以上 0〜10重量%であり、かつ鉛を含まない、非酸化性雰囲気中で焼成される厚膜ペーストに用いられるガラス組成物を要旨とするものである。また本発明は、下記酸化物に換算した含有量がそれぞれ、
BaO 35〜60重量%、B2O3 5〜35重量%、ZnO 0〜12重量%、MnO2 2〜22重量%、Al2O3 0〜18重量%、SiO2 0〜11重量%、Li2O、Na2OおよびK2Oから選択された1または2以上 0〜8重量%、Cu2O、SnO2、Fe2O3およびCo3O4から選択された1または2以上 0〜10重量%、TiO2 1〜25重量%、ZrO2 0〜5重量%であり、かつ鉛を含まない、非酸化性雰囲気中で焼成される厚膜ペーストに用いられるガラス組成物を要旨とするものである。更に本発明は、このガラス組成物粉末を含む厚膜ペーストを要旨とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のガラス組成物は軟化点が低く、800℃以下の低温での焼成に適している。特に軟化点が600℃以下であることが望ましい。またこのガラスを含む厚膜ペーストは、非酸化性雰囲気中で焼成したとき、550〜750℃の低温度域でも優れた脱バインダ性を有している。これはガラス成分として含まれるMnO2やCo3O4の酸素放出効果により、膜が焼結緻密化する前にビヒクルが速やかに分解し、除去されるためと考えられる。従って700〜800℃の低温で焼成しても、残留カーボンに基づく焼結阻害や特性劣化を起こさず、緻密な膜が形成される。
【0010】
またこのガラスは、銅に対して適度な反応性を有するという特徴を有している。このため、特に銅系ペーストに使用した場合は、有機物の分解飛散が完了した直後にガラスが軟化流動し、銅粒子間に分散して銅粒子の焼結を促進するものと考えられる。
【0011】
従って特に積層セラミックコンデンサ端子電極形成用銅含有ペーストに使用された場合、焼成過程において低融性、脱バインダ性、銅との反応性を発揮し、これらの複合効果により、非酸化性雰囲気中において800℃以下の低温で焼成した場合でも、緻密で導電性、半田濡れ性、めっき付き性および誘電体や内部電極との接合性の優れた電極膜が得られる。これによりセラミック誘電体の特性を劣化させることなく、端子電極を形成することができるようになる。
【0012】
更に本発明のガラスは、アルミナ等のセラミック基板との接着強度が大きい。これは焼成時、界面に強固な構造の中間相を作り、この中間相が膜と基板間の熱膨脹係数の差、および基板と膜とが直接接触することによるひずみを吸収するため、結果として強い接着強度が得られると考えられる。また、ガラス成分として、Al2O3とスピネル構造体を形成するようなCo、Cu、Znなどの酸化物が存在すると、接着強度は更に向上する。
【0013】
また通常、低軟化点のガラスフリットを含有する導体ペーストや抵抗体ペーストを比較的高温の800〜950℃で焼付けする場合、ガラスの粘度が低すぎると焼結が進み過ぎ、過度に流動性を増したガラスが毛管力により導電性粒子間の間隙を通って膜表面まで移行してくるため、ガラス滲みを起こしたり、導体においては半田濡れ性や接着性が低下したりする。しかし本発明のガラスは、焼成温度に対するガラスの粘度の変化を表わすカーブの勾配が緩やかであり、800〜950℃の高温においてもガラスの粘度が過度に低下しないため、膜表面までガラスは移行してこない。この粘度カーブは、更にガラスに適度な結晶性を付与することで緩和でき、これによりガラス粘度の過度の低下を抑制することができる。従って本発明のガラスは、アルミナ等のセラミック基板上やコンデンサ等の誘電体層上に高温で焼成する場合は、望ましくは焼成により結晶化するような組成を選択することにより、ガラス滲みを起こしたり半田濡れ性を阻害したりすることなく、接着性の優れた導体や抵抗体を形成することができる。
【0014】
次に、本発明における鉛を含有しない低軟化点ガラス組成物の組成範囲について説明する。なお、以下の記載において、%は特記しない限り重量百分率を表わすものである。
BaOは融剤として働き、ガラスの流動性を向上させる効果がある。その含有量が35%未満の場合、軟化点が高くなりすぎて流動性が悪くなり、低温焼成が困難になる。60%を超えると、ガラスの耐酸性が低下する。そのため形成された厚膜をめっき処理する場合、めっき液が膜中に浸透し、膜構造の劣化を起こし望ましくない。好ましくは40〜55%である。
【0015】
B2O3は、網目形成酸化物であり、かつ、フラックスとして用いられる。含有量が5%より少ないとガラスの流動性が悪くなって低温焼成が困難になる。35%より多いとガラスの耐酸性が悪くなるため、めっき液の浸透により膜構造が劣化する。好ましくは8〜30%である。
ZnOは、B2O3と一体となって網目構造を形成する。また基板との接着強度を向上させる。好ましくは3%以上であるが、高温ではZn成分の昇華が起こり易いため、含有量が多くなると焼成後のガラス組成が配合組成からずれるほか、昇華したZn成分から生じたZnOの堆積に起因する、ステイン現象を起こす傾向があるので、10%までとすることが望ましい。
【0016】
Mn成分はガラス中で2価もしくは3価で存在し、窒素雰囲気中において上記価数が変わることにより酸素を放出し、ペースト中のビヒクル残渣のカーボンと結び付いてCO2として膜外に飛散させる効果をもつと考えられる。また、銅金属との反応性を高める作用も有すると考えられる。配合量がMnO2換算で22%より多いと、ガラスの製造工程において失透してくるため安定なガラスが得られない。その含有量は好ましくは2〜13%である。
【0017】
Al2O3は、SiO2 と同様にガラスの耐酸性を良好にするが、18%より多いとガラスが失透してくる。耐酸性が要求される場合には、好ましくは2〜9%の範囲で配合される。
SiO2は網目形成酸化物であり、ガラス化範囲を広げる効果と耐酸性を向上させる効果がある。11%より多いと軟化点が上昇して低温焼成が困難になり、またガラスの粘度が上昇するため脱バインダ性も悪い。好ましくは2〜10%の範囲で配合される。
【0018】
Li2O、Na2O、K2Oは網目修飾酸化物であり、ガラスの軟化点を下げる効果がある。またアルミナ等のセラミック基板と反応することにより、基板との接着強度を向上させる効果を有する。その含有量が8%より多いと耐酸性が低下し、電極膜にめっき液が浸透し膜構造が劣化する。その含有量は合計で0〜8%、好ましくは2〜6%の範囲である。
【0019】
Cu、Sn、FeまたはCoの酸化物は、銅との反応性を高める効果がある。従って特に銅系ペーストの場合、これらの酸化物を含有させることにより、有機物の分解飛散が完了した直後に銅粒子の焼結を促進すると考えられる。好ましくは2〜9%の範囲である。
【0020】
TiO2は、軟化点を上昇させることなくガラス化範囲を広げる効果がある。またガラスの耐酸性を向上させ、めっき液の浸透による膜構造の変化を抑制する。これはガラス中に極めて微細な結晶を均一に析出するためと考えられ、形成された厚膜をめっき処理する場合や、その他耐酸性が要求される用途には、25%までの範囲、望ましくは1〜25%の範囲で配合することができる。含有量が25%を超えると失透しやすくなる。特に5〜15%の範囲が好ましい。
【0021】
ZrO2もTiO2と同様に耐酸性を向上させる効果があるが、含有量が多いと軟化点が上昇するので、配合量は5%までとし、好ましくは3%までの範囲とする。
本発明のガラス組成物にはこの他、特性に影響のない範囲で少量の他の酸化物、例えばCaO、SrO等を含有させることができる。
【0022】
本発明のガラスは、各成分の原料化合物を混合、溶融、急冷、粉砕する通常の方法の他、ゾルゲル法、噴霧熱分解法、アトマイズ法等の方法で製造することができる。特にこの組成のガラスは、噴霧熱分解法によって微細で粒度の揃った球状のガラス粉末を得ることができ、厚膜ペーストに使用する際粉砕処理を行う必要がないので好ましい。
【0023】
本発明に係わる厚膜ペーストの特徴は、上記特定のガラス組成物を用いたことにあり、その他の構成成分については特に限定されるものではない。本発明の厚膜ペーストは、上記ガラス組成物を単独で、または目的、用途に応じて導電性粉末、絶縁性粉末、半導体粉末、また場合によっては酸化剤などの無機フィラー成分を適宜配合し、樹脂バインダ、溶剤等を含むビヒクル中に分散させることにより製造される。ガラスと無機フィラーの配合比率に特に限定はなく、目的、用途に応じて通常使用される範囲で適宜調整される。
【0024】
無機フィラーとしては、導体ペーストの場合、銅、ニッケル、コバルト、鉄などの金属粉末、これらの金属を含む合金粉末や複合粉末などの導電性粉末が使用される。このほか必要に応じて、無機結合剤や添加剤として通常添加されるような金属酸化物、セラミックなどを配合してもよい。積層コンデンサの電極を形成する場合には、好ましくは銅、ニッケル、コバルトやこれらを含む合金から選ばれる1種又は2種以上の導電性粉末が用いられ、また誘電体層と同組成の誘電体粉末などが添加されることもある。
【0025】
抵抗ペーストの場合、銅、ニッケルなどの金属粉末やこれらを含む合金粉末、複合粉末の他、酸化錫等の金属酸化物や金属硼化物、金属珪化物等などの導電性粉末もしくは半導体粉末が使用される。この他抵抗値やTCR、ESD等の抵抗特性を調整するために通常使用される添加剤を、適宜選択して配合することができる。
【0026】
誘電体ペーストには、本発明のガラス組成物は単独でも用いられるが、熱膨張係数の調整や、誘電率、絶縁抵抗、耐電圧その他の電気的特性調整のための金属酸化物、セラミック等の絶縁性または強誘電体フィラーを、また本発明の効果を妨げない範囲で他のガラスなどを配合してもよい。
【0027】
ビヒクルは特に限定されず、アクリル樹脂、セルロ−ス系等通常使用されるような樹脂バインダを水性または有機系の溶剤に溶解または分散させたものを、目的、用途により適宜選定使用すればよい。必要により可塑剤、分散剤、界面活性剤、酸化剤、金属有機化合物等を添加することができる。ビヒクルの配合比率も限定はなく、無機成分をペースト中に保持し得る適切な量で、用途や塗布方法に応じて適宜調整される。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
実施例1
ガラス組成物試料は次のようにして調製した。表1に示す酸化物組成になるように原料を調合し、白金ルツボを用いて約1150℃で溶融し、次いでグラファイト上に流出させて空冷して得たガラスをアルミナボ−ルで微粉砕して、ガラス粉末A〜J、U〜Zを得た。U〜Zは本発明の範囲外のものである。それぞれのガラス粉末につき、熱分析によりガラス転移点(Tg)、軟化点(Ts)および結晶化温度(Tc)を測定し、表1に示した。
【0029】
また上記ガラス粉末と、アクリル樹脂系バインダをテルピネオールに溶解したビヒクルとを3本ロ−ルミルで混練してガラスペーストを作成し、このペーストをアルミナ基板上にスクリ−ン印刷し、窒素雰囲気中550℃、600℃、650℃、700℃、800℃の各温度で焼成し脱バインダ性を調べた。結果は残留カーボンに基づく灰黒色化現象の有無により評価し、いずれの焼成温度においても灰黒色化が見られなかったものを○、それ以外を×として、表1に併せて示した。表1から明らかなように、本発明のガラスペーストは低温でも灰黒色化現象が起こっておらず、脱バインダ性が極めて優れている。
【0030】
【表1】
【0031】
実施例2
ガラス粉末としてそれぞれ実施例1のガラスA〜F、U〜Xを用い、Cu粉末100重量部とガラス粉末10.0重量部を、アクリル樹脂および有機溶剤からなるビヒクルと共に混練して試料番号1〜10の導体ペーストを製造した。試料番号7〜10は本発明の範囲外のものである。
【0032】
得られた導体ペーストを、それぞれNi内部電極を有する積層セラミックコンデンサ素体の外表面に塗布し、窒素雰囲気中において750℃で焼成して端子電極を形成した。
このコンデンサの外部電極の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、緻密性および内部電極との接合性を評価し、その結果を表2に示した。なお膜の緻密性は、該電極膜が乾燥時に比べて収縮しており、かつ焼成膜の気孔率が10%以下であるものを○、それ以外を×とした。内部電極との接合性は、内部電極と確実に接合しているものを○、それ以外を×とした。表2から明らかなように、本発明の導体ペーストによって緻密で接着性の良い優れた端子電極が形成される。
【0033】
実施例3
ガラス粉末としてそれぞれ実施例1のガラスG、Hを用い、Cu粉末100重量部とガラス粉末10.0重量部を、アクリル樹脂および有機溶剤からなるビヒクルと共に混練して試料番号11〜12の導体ペーストを製造した。
得られた導体ペーストを用いて、実施例2と同様にしてNi内部電極を有する積層セラミックコンデンサの端子電極を形成し、膜の緻密性および内部電極との接合性を評価し、その結果を表2に併せて示した。
【0034】
更に、このガラスG、Hの耐酸性を調べるため、ガラス粉末に前記ビヒクルを混合してガラスペーストとし、アルミナ基板上に塗布し、700℃、750℃および800℃で焼成してガラス厚膜試料を作製した。それぞれの試料を硫酸錫と硫酸の混合溶液に常温で30分間浸漬した後、ブラシを使ってこすりながら充分に水洗し、乾燥して膜の重量を測定することにより、膜の残存率を測定した。いずれも95%以上の残存率を示し、耐酸性は極めて良好であった。
【0035】
【表2】
【0036】
実施例4
ガラス粉末としてそれぞれ実施例1のガラスI、J、Y、Zを用い、Cu粉末、Ni粉末、Cu−Ni合金粉末から選択される導電性粉末100重量部と、ガラス粉末6.0重量部とを、エチルセルロースおよび有機溶剤からなるビヒクルと共に混練して試料番号13〜18の抵抗ペーストを製造した。但し試料番号17〜18は本発明の範囲外のものである。
【0037】
得られた抵抗ペーストを、Cu電極を形成したアルミナ基板上にそれぞれ2mm×2mmの正方形パターンでスクリーン印刷し、窒素雰囲気中において900℃で焼成して厚膜抵抗体を形成した。それぞれ焼成膜厚、抵抗値を測定し、また抵抗体にリード線を半田付けして引張り強度を測定することにより基板との接合強度を調べ、結果を表3に示した。表3から明らかなように、本発明のガラスを用いた抵抗ペーストによって得られた厚膜抵抗体は、非常に優れた特性を有していた。
【0038】
【表3】
【0039】
【発明の効果】
本発明のガラス組成物は、低軟化点でかつ鉛等の有害な成分を含まず、厚膜ペースト用ガラスとして優れた特性を有する。このガラスを用いた厚膜ペーストは、非酸化性雰囲気中800℃以下の低温度域で焼成した場合でも、有機成分を完全に除去することができ、緻密で優れた特性を有する厚膜が形成される。また800〜950℃程度の高温で焼成した場合にも、接着性、電気特性の優れた厚膜素子を製造することができる。
【0040】
従って、特に積層セラミックコンデンサの銅含有端子電極を、誘電体が還元されない700〜750℃という低温で焼付け形成できるほか、アルミナ等の通常の基板上に接着強度、電気特性、半田濡れ性、めっき付き性等の優れた導体層や、抵抗体層を形成するのに好適であるが、これ以外の導体層、抵抗体層、誘電体層を形成するために使用できることは言うまでもない。
Claims (8)
- 下記酸化物に換算した含有量がそれぞれ、
BaO 35〜60重量%、B2O3 5〜35重量%、ZnO 0〜12重量%、MnO2 2〜22重量%、Al2O3 0〜18重量%、SiO2 0〜11重量%、Li2O、Na2OおよびK2Oから選択された1または2以上 0〜8重量%、Cu2O、SnO2、Fe2O3およびCo3O4から選択された1または2以上 0〜10重量%であり、かつ鉛を含まない、非酸化性雰囲気中で焼成される厚膜ペーストに用いられるガラス組成物。 - 下記酸化物に換算した含有量がそれぞれ、
BaO 35〜60重量%、B2O3 5〜35重量%、ZnO 0〜12重量%、MnO2 2〜22重量%、Al2O3 0〜18重量%、SiO2 0〜11重量%、Li2O、Na2OおよびK2Oから選択された1または2以上 0〜8重量%、Cu2O、SnO2、Fe2O3およびCo3O4から選択された1または2以上 0〜10重量%、TiO2 1〜25重量%、ZrO2 0〜5重量%であり、かつ鉛を含まない、非酸化性雰囲気中で焼成される厚膜ペーストに用いられるガラス組成物。 - 請求項1または2に記載されたガラス組成物粉末を含む厚膜ペースト。
- 請求項1または2に記載されたガラス組成物粉末と無機フィラー粉末を含む厚膜ペースト。
- 無機フィラー粉末が導電性粉末、絶縁性粉末および半導体粉末から選ばれた1種または2種以上である請求項4に記載された厚膜ペースト。
- 導電性粉末が銅粉末、ニッケル粉末、コバルト粉末およびこれらの金属を含む合金粉末から選ばれた1種または2種以上を含むものである請求項5に記載された厚膜ペースト。
- 厚膜ペーストが積層セラミックコンデンサ端子電極用導体ペーストである請求項6に記載された厚膜ペースト。
- 絶縁性粉末が金属酸化物粉末およびセラミックス粉末から選ばれた1種または2種以上である請求項5ないし7のいずれかに記載された厚膜ペースト。
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