JP7284311B1 - 外部電極用ペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた緻密性を有する外部電極を形成できる外部電極用ペーストを提供する。【解決手段】ここに開示される外部電極用ペーストは、少なくとも、導電性粒子と、ガラス粒子と、分散媒とを含む。そして、この外部電極用ペーストのガラス粒子は、酸化物換算の質量比で、SiO2を1質量%~10質量%含有し、かつ、アルカリ土類金属酸化物を40質量%~60質量%含有する。さらに、このガラス粒子は、レーザ回折散乱法に基づいたメジアン径D50と、BET比表面積から換算したBET粒子径DBETとの比率(DBET/D50)が0.15以上1以下である。上記構成のガラス粒子は、ペースト焼成中に粘性の低いガラス成分となり、外部電極の空隙に充填されるため、優れた緻密性を有する外部電極を形成できる。【選択図】なし

Description

本発明は、外部電極用ペーストに関する。より詳細には、本発明は、積層セラミック電子部品の外部電極の形成に用いられる外部電極用ペーストに関する。
近年、積層セラミックコンデンサ(Multi-Layer Ceramic Capacitor:MLCC)、積層型インダクタ、積層型圧電素子(積層バリスタ)などの積層セラミック電子部品が広い分野で使用されている。例えば、MLCCは、セラミック材料を含む誘電体層と、導電材料を含む内部電極層とが交互に積層された積層チップを有している。そして、積層チップの外部(例えば側面)には、複数の内部電極層の各々と接続する外部電極が形成される。この外部電極は、例えば、導電性粒子とガラス粒子を含む外部電極用ペーストを焼成することによって形成される。
また、MLCCの製造工程では、外部電極の表面に金属メッキ層を形成するメッキ処理が行われることがある。これによって、MLCCと基板とのはんだ付けにおける接合性を向上できる。しかし、このメッキ処理では、メッキ液が外部電極を通過して積層チップ内に侵入する可能性がある。この場合、絶縁抵抗の増大などの性能低下が生じるおそれがある。また、積層チップ内に侵入したメッキ液は、外部からの熱で気化するため、はんだ付けの際に積層チップが破裂するポップコーン現象の原因にもなり得る。これに対して、特許文献1には、積層チップ内へのメッキ液の侵入を防止する技術が開示されている。具体的には、特許文献1に記載の外部電極用ペーストは、錫(Sn)メッキ液に対する耐食性に優れたガラスフリット(ガラス粒子)を含んでいる。これによって、焼成後の外部電極がSnメッキ液に侵食されることを防止できるため、外部電極が薄い場合でも積層チップ内へのメッキ液の侵入を防止できる。
特開2012-134120号公報
しかしながら、MLCCの外部電極は、めっき液への耐食性という化学的性能だけでなく、優れた緻密性を有しているという物理的な性能も要求される。焼成後の外部電極に複数の間隙が形成されていると、当該間隙を通じて積層チップにメッキ液が侵入するおそれがあるためである。本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、優れた緻密性を有する外部電極を形成できる外部電極用ペーストを提供することを目的とする。
本発明者は、上述の課題を解決するために、ペースト焼成中のガラス成分の粘性に着目した。具体的には、外部電極用ペースト中のガラス粒子は、焼成時に溶融して液状のガラス成分となる。そして、このガラス成分は、導電性粒子の焼結体の間隙に充填されて外部電極を緻密化する。このときのガラス成分の粘性が低くなると、外部電極の全体にガラス成分が拡散するため、緻密性に優れた外部電極を形成できる。本発明者は、上述の観点に基づいて、焼成中に低粘性のガラス成分となるガラス粒子について検討した。
上述の検討の結果、本発明者は、ガラス粒子における酸化ケイ素(SiO)の存在割合を低下させ、かつ、アルカリ土類金属酸化物の存在割合を増加させたガラス粒子に思い至った。具体的には、ガラス骨格の主成分がSiOであるガラス(ケイ酸系ガラス)は、熱的安定性に優れており、軟化点が高温であるため、ペースト焼成中に充分に溶融させることが難しい。一方、ガラス骨格を修飾する成分としてアルカリ土類金属酸化物を多く含むガラス粒子は、溶融後のガラス成分の粘性が非常に低いという特性を有している。すなわち、上記組成のガラス粒子を含むペーストを焼成すると、外部電極の全体にガラス成分が容易に拡散するため、緻密性に優れた外部電極を形成できる。
しかしながら、上記組成のガラス粒子を含むペーストを実際に焼成すると、緻密性が非常に低い外部電極が形成されることがあった。本発明者による検討の結果、この緻密性の大幅な低下の原因は、アルカリ土類金属酸化物の溶出であることが分かった。具体的には、上記組成のガラス粒子は、軟化点を低下させるために、ガラス骨格におけるSiOの存在割合を低下させている。しかし、このSiOは、ガラス粒子の耐水性を向上させる機能も有している。このため、上記組成のガラス粒子は、耐水性が非常に低くなっており、ペーストを調製するまでに水分と接触すると、ガラス骨格を修飾する成分(アルカリ土類金属酸化物など)が溶出する可能性がある。そして、このアルカリ土類金属酸化物の溶出が生じたガラス粒子は、溶融後のガラス成分の粘性が大きく増加する。また、ガラス粒子から溶出したアルカリ土類金属は、微小な炭酸塩粒子の状態でガラス粒子の表面に析出する。この炭酸塩粒子は、焼成中に発泡して外部電極の緻密性をさらに低下させるおそれがある。
以上の点から、本発明者は、上記組成のガラス粒子を使用する場合には、水分との接触によるアルカリ土類金属酸化物の溶出が生じたか否かを調べる必要があると考えた。そして、種々の実験と検討を行った結果、「ガラス粒子のメジアン径D50とBET粒子径DBETとの比率(DBET/D50)」がアルカリ土類金属酸化物の溶出履歴を示す指標となることを見出した。具体的には、アルカリ土類金属酸化物の溶出が生じたガラス粒子は、表面に微小な炭酸塩粒子が付着するため、BET法に基づいた比表面積が大きくなり、BET粒子径DBETが極端に低下する。一方、ガラス粒子の体積は、アルカリ土類金属酸化物の溶出が生じた場合でも殆ど変わらないため、レーザ回折散乱法に基づいた体積基準のメジアン径D50は大きく変動しない。このため、上記DBET/D50が小さくなるにつれて、アルカリ土類金属の炭酸塩粒子の析出(換言すると、アルカリ土類金属酸化物の溶出)が進行していると判断できる。
ここに開示される外部電極用ペーストは、上述の知見に基づいてなされたものである。この外部電極用ペーストは、積層セラミック電子部品の外部電極の形成に用いられる。この外部電極用ペーストは、少なくとも、導電性粒子と、ガラス粒子と、分散媒とを含む。そして、ここに開示される外部電極用ペーストのガラス粒子は、酸化物換算の質量比で以下の組成:
SiO :1質量%~10質量%;
RO :40質量%~60質量%;
を含み、かつ、レーザ回折散乱法に基づいたメジアン径D50と、BET比表面積から換算したBET粒子径DBETとの比率(DBET/D50)が0.15以上1以下である。なお、上記組成中のRはアルカリ土類金属から選択される少なくとも1種の元素を含む。
上記構成の外部電極用ペーストは、SiOの含有比率が10質量%以下のガラス粒子を含んでいる。これによって、ペースト焼成中にガラス粒子を容易に溶融させて、液状のガラス成分を生じさせることができる。次に、このガラス粒子は、40質量%以上のアルカリ土類金属酸化物を含んでいる。これによって、溶融後のガラス成分の粘性を大きく低下させ、焼成後の外部電極の全体にガラス成分を拡散させることができる。そして、ここに開示される技術におけるガラス粒子は、メジアン径D50とBET粒子径DBETとの比率(DBET/D50)が0.15以上である。かかる条件を満たすガラス粒子は、炭酸塩粒子の析出(アルカリ土類金属酸化物の溶出)が抑制されており、外部電極の緻密性を適切に向上できることが実験によって確認されている。以上の通り、ここに開示される外部電極用ペーストによると、優れた緻密性を有する外部電極を形成できる。
ここに開示される外部電極用ペーストの好ましい一態様では、アルカリ土類金属酸化物(RO)は、少なくともBaOを含む。これによって、溶融後のガラス成分の粘性を好適に低下させ、より緻密性に優れた外部電極を形成できる。
また、アルカリ土類金属酸化物としてBaOを含む態様において、ガラス粒子は、BaOを35質量%~55質量%含むことが好ましい。これによって、さらに緻密性に優れた外部電極を形成できる。
ここに開示される外部電極用ペーストの好ましい一態様では、ガラス粒子のメジアン径D50は、1μm~3μmである。これによって、焼成後の緻密性と無機粒子の分散性が両立した外部電極用ペーストを得ることができる。
ここに開示される外部電極用ペーストの好ましい一態様では、ガラス粒子のBET粒子径DBETは、0.15μm~3μmである。これによって、緻密性に優れた外部電極を形成できる。
ここに開示される外部電極用ペーストの好ましい一態様では、ガラス粒子は、Bを10質量%~20質量%含む。これによって、さらに緻密性に優れた外部電極を形成できる。
ここに開示される外部電極用ペーストの好ましい一態様では、ガラス粒子は、ZnOを15質量%~30質量%含む。これによって、さらに緻密性に優れた外部電極を形成できる。
ここに開示される外部電極用ペーストの好ましい一態様では、ガラス粒子の軟化点は、500℃~650℃である。これによって、さらに緻密性に優れた外部電極を形成できると共に、積層チップ内へのガラス成分の侵入を防止できる。
ここに開示される外部電極用ペーストの好ましい一態様では、導電性粒子は、Cu粒子である。これによって、導電性に優れた外部電極を安価に形成することができる。
ここに開示される外部電極用ペーストの好ましい一態様では、分散媒は、有機系分散媒である。これによって、ペースト調製後のアルカリ土類金属酸化物の溶出を確実に防止できる。
ここに開示される外部電極用ペーストの好ましい一態様では、SiOを主成分とするSiOフィラーをさらに含む。これによって、焼成後の外部電極の表面にガラス成分が浮き上がることを防止し、外部電極の表面へのメッキ処理を容易に行うことができる。
一実施形態に係る外部電極用ペーストを用いて製造したMLCCの構成を概略的に説明する断面模式図である。 試験例で使用したガラスAの粉砕前の状態を示すSEM写真である。 サンプル1における粉砕後のガラス粒子を示すSEM写真である。 サンプル3における粉砕後のガラス粒子を示すSEM写真である。 サンプル4における粉砕後のガラス粒子を示すSEM写真である。 サンプル1のペーストを用いて形成した外部電極の断面SEM写真である。 サンプル2のペーストを用いて形成した外部電極の断面SEM写真である。 サンプル3のペーストを用いて形成した外部電極の断面SEM写真である。 サンプル4のペーストを用いて形成した外部電極の断面SEM写真である。 サンプル5のペーストを用いて形成した外部電極の断面SEM写真である。 サンプル6のペーストを用いて形成した外部電極の断面SEM写真である。 サンプル7のペーストを用いて形成した外部電極の断面SEM写真である。 サンプル8のペーストを用いて形成した外部電極の断面SEM写真である。 サンプル9のペーストを用いて形成した外部電極の断面SEM写真である。 サンプル10のペーストを用いて形成した外部電極の断面SEM写真である。
以下、ここに開示される技術の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、ここに開示される技術の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここに開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施できる。なお、本明細書において数値範囲を示す「A~B」との表記は「A以上B以下」を意味するものとする。
[外部電極用ペースト]
ここに開示される外部電極用ペーストは、積層セラミック電子部品の外部電極の形成に用いられる。この外部電極用ペーストは、少なくとも、導電性粒子と、ガラス粒子と、分散媒とを含む。以下、ここに開示される外部電極用ペーストの各成分について説明する。
1.導電性粒子
導電性粒子は、焼成後の外部電極の主成分となる材料である。この導電性粒子には、所望の導電性を有した金属粒子を特に制限なく使用できる。かかる導電性粒子の一例として、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)等の金属の単体、およびこれらの金属を含む合金等が挙げられる。また、導電性粒子は、上述した金属材料のいずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、上述の導電性粒子の中でもCu粒子は、安価であり、かつ、好適な導電性を有しているため、外部電極の主成分として特に好適である。
また、外部電極用ペーストにおける導電性粒子の含有量は、特に限定されず、必要に応じて適宜調節できる。なお、焼成後の外部電極の電気伝導性を向上するという観点から、導電性粒子の含有量は、60質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。一方、ガラス粒子の含有量を一定以上確保して外部電極の緻密性を向上させるという観点から、導電性粒子の含有量の上限は、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。なお、本明細書における「含有量」は、特に言及がない場合、外部電極用ペーストの総質量を100質量%としたときの質量割合を意味するものとする。
また、導電性粒子の粒子径は、特に限定されず、外部電極用ペーストの分野において採用され得る粒子径を特に制限なく適用できる。例えば、導電性粒子のメジアン径は、0.1μm以上でもよく、0.25μm以上でもよく、0.5μm以上でもよく、1μm以上でもよい。また、導電性粒子のメジアン径は、50μm以下でもよく、25μm以下でもよく、10μm以下でもよい。なお、本明細書における「メジアン径」は、レーザ回折散乱法に基づく体積基準の粒度分布において、粒子径の小さい側からの積算値50%に相当する粒径(体積球相当径)である。
なお、導電性粒子の形状は、特に限定されない。例えば、導電性粒子の形状は、球形あるいは非球形であってよい。非球形とは、例えば、板状、鱗片状、フレーク状、不定形状等であってよい。導電性粒子の充填密度を高め易いとの観点から、球形の導電性粒子としては、例えば、アスペクト比が1.2以下、好ましくは1.15以下、例えば1.1以下のものを好ましく用いることができる。また、導電性粒子の接触面積を増大させ易いとの観点からは、非球形の導電性粒子は、例えば、アスペクト比が1.2超、好ましくは1.3以上、1.5以上、例えば1.7以上、さらに好ましくは2以上のものを用いるとよい。上記効果を相乗させる観点から、導電性粒子は、球形のものと非球形のものとが混合されていてもよい。これにより、ペーストから乾燥によって溶剤が除去されたときに、複数の導電性粒子が好適に接触し、導電性膜の電気伝導性を高めることができる。なお、本明細書における「平均アスペクト比」は、電子顕微鏡観察に基づいて算出される。具体的には、アスペクト比は、電子顕微鏡写真において粒子に外接する矩形を描いたときの、短辺の長さ(a)に対する長辺の長さ(b)の比(b/a)である。そして、平均アスペクト比は、100個の粒子について得られたアスペクト比の算術平均値である。
また、ペースト中での導電性粒子の凝集を抑制するという観点から、導電性粒子のBET比表面積は、5m/g以下が好ましく、4m/g以下がより好ましく、3m/g以下がさらに好ましく、2m/g以下が特に好ましい。一方、導電性粒子のBET比表面積が大きくなると、導電性粒子同士の接触面積が増大するため、焼成後の外部電極の導電性が向上する傾向がある。かかる観点から、導電性粒子のBET比表面積は、0.1m/g以上が好ましく、0.2m/g以上がより好ましく、0.3m/g以上がさらに好ましく、0.4m/g以上が特に好ましい。なお、本明細書における「BET比表面積」は、吸着質として窒素(N)ガスを用いたガス吸着法(定容量吸着法)によって測定したガス吸着量に基づいて、BET法(例えばBET一点法)で算出した比表面積である。また、後述する「BET粒子径DBET」は、下記の式(1)に基づいて、粒子の真比重ρとBET比表面積Sから算出される粒子径である。
BET=6/(S・ρ) (1)
2.ガラス粒子
ここに開示される外部電極用ペーストは、焼成中に溶融して液状のガラス成分となるガラス粒子を含む。この液状のガラス成分は、導電性粒子の焼結体の間隙に充填されて外部電極を緻密化する機能を有している。そして、ここに開示される外部電極用ペーストは、下記の組成を含むガラス粒子を含有し、かつ、当該ガラス粒子のメジアン径D50とBET粒子径DBETとの比率(DBET/D50)が0.15以上1以下である。以下、ここに開示されるガラス粒子について説明する。
SiO :1質量%~10質量%
RO :40質量%~60質量%
(1)ガラス粒子の組成
本項では、ここに開示されるガラス粒子の具体的な組成について説明する。なお、以下の説明における金属酸化物の「含有比率」は、ガラス粒子の総重量を100質量%としたときの酸化物換算の質量%である。
(a)酸化ケイ素(SiO
SiOは、単独でガラス骨格を構成し得る成分(ガラス骨格構成成分)の一つである。このガラス骨格構成成分におけるSiOの割合が高くなるにつれて、ガラス粒子の熱的安定性が向上して軟化点が高温化する。すなわち、SiOを多く含むケイ酸系ガラスは、ペースト焼成中に充分に溶融させることが難しい。かかる観点から、ここに開示される技術では、ガラス粒子中のSiOの含有比率が10質量%以下に設定されている。なお、ペースト焼成中のガラス粒子の溶融をさらに容易にするという観点から、ガラス粒子中のSiOの含有比率は、9質量%以下が好ましく、8.5質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましく、7.5質量%以下が特に好ましい。また、SiOは、ガラス粒子の耐水性を高めるという機能も有している。このため、最低限の耐水性を確保するという観点から、SiOの含有比率の下限は、1質量%以上に設定される。なお、ガラス粒子の耐水性を向上させるという観点から、SiOの含有比率は、1.5質量%以上が好ましく、2.5質量%以上がより好ましく、3.5質量%以上がさらに好ましく、4質量%以上が特に好ましい。
(b)アルカリ土類金属酸化物
次に、ここに開示されるガラス粒子は、アルカリ土類金属酸化物(RO)を含有している。このアルカリ土類金属酸化物としては、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)などが挙げられる。これらのアルカリ土類金属酸化物は、ガラス骨格を修飾し得る成分(ガラス骨格修飾成分)であり、溶融後のガラス成分の粘性を低下させる機能を有している。すなわち、アルカリ土類金属酸化物を多く含むガラス粒子を焼成すると、外部電極全体にガラス成分が拡散しやすいため、焼成後の外部電極の緻密性を大きく向上できる。かかる観点から、ここに開示されるガラス粒子では、上述した通り、アルカリ土類金属酸化物(RO)の合計含有比率が40質量%以上に設定されている。なお、溶融後のガラス成分の粘性をさらに低下させるという観点から、アルカリ土類金属酸化物の合計含有比率は、42質量%以上が好ましく、43質量%以上がより好ましく、44質量%以上がさらに好ましく、45質量%以上が特に好ましい。一方、適切なガラス骨格を形成するという観点から、ここに開示されるガラス粒子におけるアルカリ土類金属酸化物の合計含有比率は、60質量%以下(好ましくは59質量%以下、より好ましくは57質量%以下、特に好ましくは55質量%以下)に設定される。
なお、酸化バリウム(BaO)は、溶融後のガラス成分の粘性を特に大きく低下させることができるため、アルカリ土類金属酸化物の主成分として好適である。具体的なBaOの含有比率は、35質量%以上が好ましく、37.5質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、42質量%以上が特に好ましい。これによって、さらに優れた緻密性を有する外部電極を形成することができる。一方、ガラス成分の粘性低下という観点では、BaOの含有比率の上限は特に限定されない。BaOの含有比率の具体的な上限は、55質量%以下でもよく、52.5質量%以下でもよく、50質量%以下でもよい。
また、アルカリ土類金属酸化物の他の好適例として、酸化カルシウム(CaO)が挙げられる。このCaOは、ガラス成分の粘性を低下させる機能の他に、耐化学性や耐摩耗性を向上させる機能も有している。このため、ここに開示されるガラス粒子は、アルカリ土類金属酸化物の一部としてCaOを含んでいることが好ましい。具体的なCaOの含有比率は、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、3.5質量%以上が特に好ましい。一方、CaOの含有比率の上限は、10質量%以下でもよく、5質量%以下でもよく、4.5質量%以下でもよい。
(c)酸化ホウ素(B
ここに開示されるガラス粒子は、上述の組成でSiOとアルカリ土類金属酸化物を含んでいればよく、他の成分は特に限定されない。換言すると、ガラス粒子は、ここに開示される技術の効果(焼成後の緻密性向上)を著しく阻害しない限りにおいて、従来公知のガラス粒子に含まれ得る金属酸化物を含有することができる。かかる金属酸化物の一例として、酸化ホウ素(B)が挙げられる。Bは、単独でガラス骨格を形成し得る成分である。すなわち、ここに開示されるガラス粒子は、ガラス骨格形成成分としてSiOとBを含むホウケイ酸系ガラスであり得る。このホウケイ酸系ガラスでは、ガラス骨格におけるBの割合が高くなるにつれて、溶融後のガラス成分の流動性が向上する傾向がある。かかる観点から、ガラス粒子中のBの含有比率は、10質量%以上が好ましく、11質量%以上がより好ましく、13質量%以上がさらに好ましく、14質量%以上が特に好ましい。これによって、溶融後のガラス成分をさらに拡散させやすくし、より優れた緻密性を有する外部電極を形成できる。一方、耐化学性などを考慮すると、Bの含有比率の上限は、20質量%以下が好ましく、19質量%以下がより好ましく、18質量%以下が特に好ましい。なお、Bは、ここに開示されるガラス粒子における必須構成成分ではない。ここに開示されるガラス粒子は、SiOとB以外のガラス骨格形成成分として、P、Biなどを含んでいてもよい。
(d)酸化アルミニウム(Al
また、ここに開示されるガラス粒子に含まれ得る金属酸化物の他の例として、酸化アルミニウム(Al)が挙げられる。Alは、ガラス骨格を安定化させる機能を有しており、焼成後の外部電極の耐化学性を向上させることができる。なお、ガラス粒子中のAlの含有比率は、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、4質量%以上が特に好ましい。一方、Alの含有比率の上限は、10質量%以下でもよく、9質量%以下でもよく、8質量%以下でもよく、7.5質量%以下でもよい。
(e)酸化亜鉛(ZnO)
また、ガラス骨格を修飾する成分の他の例として、酸化亜鉛(ZnO)が挙げられる。ZnOは、ガラスの溶融性を高めて焼成時のガラス成分の粘度を調整すると共に、耐水性や耐熱衝撃性などを向上するという機能を有している。なお、ガラス粒子中のZnOの含有比率は、15質量%以上が好ましく、16質量%以上がより好ましく、18質量%以上がさらに好ましく、19.5質量%以上が特に好ましい。これによって、さらに緻密性に優れた外部電極を形成できる。一方、ZnOの含有比率の上限は、30質量%以下でもよく、28質量%以下でもよく、26質量%以下でもよく、25質量%以下でもよい。
(f)他の成分
ここに開示されるガラス粒子に含まれ得る金属酸化物の他の例として、LiO、NaO、KO、TiO、MnO、FeO、Fe、Fe、SnO、SnO、V、ZrO、Nb、CuO、CuO、La、CeO等が挙げられる。ここに開示される技術を限定するものではないが、これらの金属酸化物の合計含有比率は、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
(2)ガラス粒子の形状・含有量等
次に、ここに開示されるガラス粒子の形状・含有量等について説明する。
(a)メジアン径D50とBET粒子径DBET
ここに開示される外部電極用ペーストは、メジアン径D50とBET粒子径DBETとの比率(DBET/D50)が0.15以上であるガラス粒子を含有している。上述した通り、アルカリ土類金属酸化物の溶出が生じたガラス粒子は、表面に微小な炭酸塩粒子が付着するため、BET法に基づいた比表面積が大きくなり、BET粒子径DBETが極端に低下する。一方、ガラス粒子の体積は、アルカリ土類金属酸化物が溶出した場合でも変わらないため、レーザ回折散乱法に基づいた体積基準のメジアン径D50が殆ど変動しない。このため、DBET/D50が0.15以上である(換言すると、BET粒子径DBETとメジアン径D50との差が小さい)ガラス粒子は、アルカリ土類金属酸化物の溶出が殆ど生じていないということができる。この場合、アルカリ土類金属酸化物による粘性低下機能が充分に発揮されるため、溶融後のガラス成分を外部電極全体に拡散させることができる。また、上記条件を満たすガラス粒子は、アルカリ土類金属の炭酸塩粒子が殆ど付着していないため、当該炭酸塩粒子の発泡による間隙の形成も防止できる。このため、ここに開示される外部電極用ペーストによると、優れた緻密性を有する外部電極を形成することができる。
なお、より優れた緻密性を有する外部電極を形成するという観点から、上記ガラス粒子のDBET/D50は、0.16以上が好ましく、0.17以上がより好ましく、0.18以上がさらに好ましく、0.2以上が特に好ましい。本発明者が実施した実験において、上記ガラス粒子のDBET/D50が大きくなるにつれて、焼成後の外部電極の緻密性が向上することが確認されている。一方、ガラス粒子のDBET/D50の上限値は、特に限定されず、1以下でもよく、0.7以下でもよく、0.5以下でもよく、0.46以下でもよい。
また、ここに開示される技術を限定するものではないが、ガラス粒子のメジアン径D50は、10μm以下が好ましく、7μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましく、3μm以下が特に好ましい。ガラス粒子のメジアン径D50が小さくなるにつれて、ペースト焼成時にガラス粒子が溶融しやすくなる傾向がある。一方、ガラス粒子のメジアン径D50が小さくなりすぎると、ペースト中で無機粒子(導電性粒子、ガラス粒子)同士が凝集し、ペースト粘度が上昇しやすくなる。かかる観点から、ガラス粒子のメジアン径D50は、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.7μm以上がさらに好ましく、1μm以上が特に好ましい。なお、焼成後の外部電極の緻密性を考慮すると、ガラス粒子のメジアン径は、導電性粒子のメジアン径よりも小さい方が好ましい。これによって、粗大な導電性粒子の隙間に微小なガラス粒子が配置されるため、焼成中に導電性粒子の焼結体の間隙にガラス成分が充填されやすくなる。
一方、ガラス粒子のBET粒子径DBETは、0.15μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましく、0.35μm以上が特に好ましい。BET粒子径DBETが大きい(BET比表面積が小さい)ガラス粒子は、アルカリ土類金属の炭酸塩粒子の析出が適切に抑制されている傾向がある。なお、ガラス粒子のBET粒子径DBETの上限値は特に限定されない。例えば、ガラス粒子のBET粒子径DBETは、10μm以下でもよく、7μm以下でもよく、5μm以下でもよく、3μm以下でもよく、1μm以下でもよい。
(b)アスペクト比
次に、ガラス粒子の形状は、特に限定されない。ガラス粒子は、球形でもよいし、非球形(例えばラグビーボール形状、柱状、針状など)でもよい。なお、ペーストの粘度上昇を抑制するという観点から、ガラス粒子は、球状または略球状であることが好ましい。例えば、ガラス粒子の平均アスペクト比は、典型的には1~2、好ましくは1~1.5であるとよい。
(c)軟化点
また、ガラス粒子の軟化点は、650℃以下が好ましく、630℃以下がより好ましく、610℃以下がさらに好ましく、600℃以下が特に好ましい。これによって、ペースト焼成中に好適な流動性を有するガラス成分を生じさせることができる。一方、溶融後のガラス成分の流動性が高くなりすぎると、積層チップ内にガラス成分が侵入するおそれがある。かかる観点から、ガラス粒子の軟化点は、500℃以上が好ましく、520℃以上がより好ましく、540℃以上が特に好ましい。なお、本明細書における「軟化点」は、ガラスが自重で軟化変形し始める温度である。典型的には、軟化点は、JIS R 3103-1(2001)に準じて測定された「ガラス粘度が約107.6dPa・sとなる温度」とすることができる。
(d)含有量
外部電極用ペーストにおけるガラス粒子の含有量は、必要に応じて適宜調節することが好ましい。なお、ガラス粒子の含有量が増加するにつれて、焼成後の外部電極の緻密性が向上する傾向がある。かかる観点から、外部電極用ペーストの総質量を100質量%としたときのガラス粒子の含有量は、2.5質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、7.5質量%以上がさらに好ましい。一方、焼成後の外部電極の導電性を考慮すると、ガラス粒子の含有量の上限は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
3.分散媒
分散媒は、粉体材料(導電性粒子、ガラス粒子等)を分散させる液状媒体である。かかる分散媒の詳細な成分は、特に限定されず、外部電極用ペーストの調製に用いられ得る従来公知の分散媒を使用できる。また、分散媒は、乾燥および焼成によって消失することを前提とした成分であるため、沸点が約150℃以上300℃以下程度(例えば、170℃以上270℃以下程度)であることが好ましい。
なお、ここに開示される外部電極用ペーストの分散媒は、ガラス粒子と水分との接触を防止し、アルカリ土類金属酸化物の溶出を抑制するという観点から、有機系分散媒(非水系分散媒)であることが好ましい。このような有機系分散媒の一例として、メタノール、スクラレオール、シトロネロール、フィトール、ゲラニルリナロオール、テキサノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、1-フェノキシ-2-プロパノール、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、イソボルネオール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコール等のアルコール系溶剤;ターピネオールアセテート、ジヒドロターピネオールアセテート、イソボルニルアセテート、カルビトールアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;ミネラルスピリット等が挙げられる。これらのなかでも、アルコール系溶剤(例えばジヒドロターピネオール)を好ましく使用できる。
なお、分散媒の含有割合は、外部電極用ペーストを塗布する際の作業性を考慮して適宜調整されていることが好ましい。なお、かかるペースト塗布時の作業性は塗布手段によって変動し得るため、分散媒の含有割合は特定の数値に限定されるものではない。一例として、塗布手段としてスクリーン印刷を採用する場合、分散媒の含有量は、5質量%~20質量%(好ましくは10質量%~15質量%)の範囲内に調節され得る。
4.他の添加剤
なお、ここに開示される外部電極用ペーストは、ここに開示される技術の効果(緻密性向上効果)を著しく損なわない限りにおいて、この種の外部電極用ペーストに使用され得る従来公知の添加剤を特に制限なく使用できる。例えば、外部電極用ペーストは、バインダ、分散剤、無機フィラー、増粘剤、可塑剤、pH調整剤、安定剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、防腐剤、着色剤(顔料、染料等)等を含有していてもよい。
例えば、バインダ(結着剤)は、積層チップにペーストを塗布した際の定着性と、導電性粒子同士の結合性の向上に寄与する添加剤である。また、バインダは、分散媒と同様に、焼成時に消失する材料であることが好ましい。したがって、バインダは、有機バインダ(典型的には、焼失温度が500℃以下の有機化合物)であることが好ましい。なお、ここに開示される外部電極用ペーストにおけるバインダの具体的な成分は、特に限定されず、従来公知のバインダを特に制限なく使用できる。かかるバインダとしては、例えば、ロジン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン系樹脂等の有機高分子化合物が挙げられる。上述の分散媒との組み合わせにもよるため一概には言えないが、これらの有機化合物の中でも、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、アクリル系樹脂等がバインダとして好適である。バインダは、上述の有機化合物のいずれか1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、バインダは、これらの有機化合物を共重合させた共重合体やブロック共重合体などであってもよい。なお、バインダの含有量は、好適な定着性が発揮できるように適宜調節されていることが好ましい。例えば、バインダの含有量は、1質量%以上が好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、2.5質量%以上が特に好ましい。一方、焼成後のバインダ残留を防止するという観点から、バインダの含有量は、10質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましく、7.5質量%以下が特に好ましい。
また、分散剤は、ペースト中の無機粒子(導電性粒子、ガラス粒子等)の凝集を抑制する添加剤である。具体的には、分散剤は、無機粒子と分散媒との間の固液界面を安定化させ、無機粒子の凝集を防止する機能を有している。なお、分散剤の種類等は、特に限定されず、従来公知の分散剤を必要に応じて適宜選択できる。かかる分散剤の一例として、アニオン系分散剤が挙げられる。アニオン系分散剤は、無機粒子に対する吸着力に優れているため、無機粒子を長期にわたって適切に分散できる。このようなアニオン系分散剤として、カルボン酸系分散剤が挙げられる。かかるカルボン酸系分散剤の具体例としては、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、リノール酸、ラウリン酸、リノレン酸などが挙げられる。なお、また、外部電極用ペーストは、2種以上の分散剤を含有していてもよい。かかる分散剤の含有量は、0.05質量%~5質量%(好適には0.1質量%~1質量%、より好適には0.1質量%~0.5質量%)の範囲内で調節されていることが好ましい。
無機フィラーは、金属酸化物などの導電性を有さない無機粒子である。かかる無機フィラーは、焼成後の外部電極の性能向上を目的として添加される。この無機フィラーの一例として、シリカ(SiO)を主成分として含むSiOフィラーが挙げられる。本発明者の検討によると、ここに開示される技術のように、ガラス粒子中のSiOの含有比率を低下させて溶融後のガラス成分の流動性を向上させると、拡散したガラス成分が外部電極表面に浮き上がるガラス浮きが生じる可能性がある。そして、このガラス浮きが生じた外部電極は、メッキ処理を行うことが難しくなる傾向がある。これに対して、外部電極用ペーストにSiOフィラーを添加すると、焼成中のガラス成分にSiOフィラーが順次溶解していく。これによって、焼成中のガラス成分は、拡散が進むにつれて、流動性が低いケイ酸系ガラスに変化していくため、外部電極表面に浮上するような過剰な流動・拡散が抑制される。
[外部電極用ペーストの用途]
以上、ここに開示される外部電極用ペーストについて説明した。上記構成の外部電極用ペーストは、積層セラミック電子部品の製造に用いられる。以下、ここに開示される外部電極用ペーストの用途の一例として、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の製造方法について説明する。かかる製造方法は、ペースト準備工程と、ペースト塗布工程と、焼成工程とを少なくとも含む。
1.ペースト準備工程
本工程では、上記構成の外部電極用ペーストを準備する。本工程において外部電極用ペーストを調製する場合には、導電性粒子とガラス粒子を分散媒に添加し、従来公知の攪拌混合装置(例えばロールミル、マグネチックスターラー、プラネタリーミキサー、ディスパー等)を用いて撹拌するとよい。
そして、ここに開示される製造方法は、本工程において、ガラス粒子のDBET/D50が0.15以上1以下である外部電極用ペーストを準備することを特徴とする。すなわち、ここに開示される製造方法のペースト準備工程は、ガラス粒子のDBET/D50を測定し、測定結果に基づいてペースト塗布工程で使用するガラス粒子を選択する処理を包含し得る。これによって、アルカリ土類金属酸化物が溶出したガラス粒子を使用することを防止できるため、緻密性に優れた外部電極を安定的に形成できる。なお、ガラス粒子のメジアン径D50とBET粒子径DBETを測定する手段は、既に説明したため、重複した説明を省略する。なお、メジアン径D50とBET粒子径DBETは、ガラス粒子を分散媒に添加する前に測定した方が好ましい。これによって、メジアン径D50とBET粒子径DBETの各々を容易に測定できる。但し、ガラス粒子のメジアン径D50とBET粒子径DBETを測定するタイミングは、ここに開示される技術を限定する要素ではない。
また、本工程は、ガラス粒子を作製する工程を含んでいてもよい。例えば、ガラス粒子は、比較的に大きなガラス塊を粉砕することによって作製できる。そして、ここに開示される製造方法では、このガラス塊の粉砕においてアルカリ土類金属酸化物の溶出が生じないように製造条件を管理することが好ましい。例えば、湿式粉砕でガラス塊を粉砕する場合には、粉砕時の溶媒に非水系溶媒(メタノール、純度99.8%以上のエタノールなど)を使用することが好ましい。これによって、ガラス塊の粉砕においてガラス粒子と水分が長期間接触することを防止し、アルカリ土類金属酸化物の溶出を抑制できる。また、ガラス塊は、乾式粉砕によって粉砕することもできる。この場合もアルカリ土類金属酸化物の溶出を防止できる。なお、上述の説明は、水系溶媒(典型的には水)を用いた湿式粉砕を排除することを意図するものではない。本発明者が実施した実験によると、水系溶媒を用いた湿式粉砕を採用した場合でも、粉砕時間(すなわち、水系溶媒への浸漬時間)を適切に管理することによって、DBET/D50が0.15以上である(すなわち、アルカリ土類金属酸化物の溶出が防止された)ガラス粒子を作製できることを確認している。
なお、ここに開示される製造方法において、ガラス粒子を作製する工程を実施する場合、外部電極用ペーストを調製するまでガラス粒子と水分との接触を抑制することが要求される。例えば、粉砕処理において乾式粉砕などを実施した場合であっても、粉砕後のガラス粒子を高温多湿環境で保管すると、アルカリ土類金属酸化物の溶出が生じ得る。また、乾燥後の冷却工程や搬送工程などにおいて急激な温度低下が生じると、ガラス粒子の表面に結露が生じる可能性がある。この結露がアルカリ土類金属酸化物の溶出の原因になることもある。以上の通り、ここに開示される技術における「ガラス粒子のDBET/D50が0.15以上1以下である外部電極用ペーストを準備する」とは、特定の工程における製造条件を変更するものではなく、外部電極用ペーストを調節するまでアルカリ土類金属酸化物の溶出が生じないようにペーストの製造環境を管理することを意味するものである。
2.ペースト塗布工程
本工程では、外部電極用ペーストを、MLCCの本体である積層チップの表面の一部(例えば側面)に塗布する。外部電極用ペーストを塗布する方法としては、例えば、チップインディップ法や、ディスペンサー供給法、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷およびインクジェット印刷等の印刷法、スプレー塗布法等が挙げられる。MLCCの外部電極を形成する場合、ディップ法がより好適である。
3.焼成工程
本工程では、外部電極用ペーストが塗布された積層チップを所定の温度で焼成する。これによって、積層チップと外部電極を備えたMLCCが形成される。具体的には、本工程では、ペースト中の導電性粒子が焼結して多孔質の焼成体が形成されると共に、ガラス粒子が溶融して焼成体の空隙に充填される。このとき、ここに開示される外部電極用ペーストのガラス粒子は、SiOの含有比率が10質量%以下であるため、焼成中に容易に溶融させることができる。さらに、このガラス粒子は、アルカリ土類金属酸化物の含有比率が40質量%以上であるため、軟化後のガラス成分の粘性が低くなる。これによって、外部電極の全体にガラス成分を適切に拡散させることができる。そして、ここに開示される外部電極用ペーストのガラス粒子は、DBET/D50が0.15以上であり、アルカリ土類金属酸化物の溶出が殆ど生じていないため、焼成後の外部電極の緻密性を適切に向上させることができる。なお、本工程における焼成温度(最高焼成温度)は、500℃~1000℃程度が好ましく、600℃~900℃程度がより好ましい。
[積層セラミックコンデンサ]
次に、ここに開示される外部電極用ペーストを用いて製造された積層セラミック電子部品の一例として、積層セラミックコンデンサ(MLCC)を説明する。図1は、MLCCの構成を概略的に説明する断面模式図である。
図1に示すように、積層セラミックコンデンサ(MLCC)1は、多数の誘電体層20と内部電極層30とが、交互にかつ一体的に積層されて構成された積層チップ10を備えている。なお、図1中の誘電体層20及び内部電極層30は、従来公知のMLCCにおける構造及び材料を特に制限なく採用することができ、ここに開示される技術を限定する要素ではないため、詳しい説明を省略する。
また、このMLCC1では、誘電体層20と内部電極層30とからなる積層チップ10の側面に、一対の外部電極40が設けられている。一例として、内部電極層30は、積層順で交互に異なる外部電極40に接続される。これにより、誘電体層20と、当該誘電体層20を挟む一対の内部電極層30とからなるコンデンサ構造が並列に接続された、小型大容量のMLCCが構築される。また、図示は省略するが、外部電極40の表面には金属メッキ層が形成される。
そして、このMLCC1の外部電極40は、ここに開示される外部電極用ペーストを焼成することによって形成される。上述したように、ここに開示される外部電極用ペーストを用いて形成された外部電極40は、優れた緻密性を有している。このため、外部電極40の表面に金属メッキ層を形成する際に、積層チップ10の内部にメッキ液が侵入することを防止できる。
なお、ここに開示される外部電極用ペーストの用途は、上述したMLCCに限定されない。ここに開示される外部電極用ペーストが使用され得る積層セラミック電子部品の他の例として、積層インダクタ、積層型圧電素子(積層バリスタ)などが挙げられる。これらの電子部品においても、緻密性が低い外部電極をメッキ液が通過して性能低下を生じさせる可能性がある。これに対して、ここに開示される外部電極用ペーストによると、外部電極の緻密性を向上させ、メッキ液の侵入を防止できる。このため、ここに開示される外部電極用ペーストを用いることによって、高性能の積層インダクタや積層バリスタなどを製造することができる。
[試験例]
次に、ここに開示される技術に関する試験例を説明する。なお、以下に示す試験例は、ここに開示される技術を限定することを意図したものではない。
1.サンプルの準備
(1)サンプル1
本サンプルでは、75%の導電性粒子(平均粒子径:4μmの板状Cu粒子)と、7.5%のガラス粒子と、5%のバインダ(アクリル樹脂)と、0.3%の分散剤(カルボン酸系分散剤)と、12.2%の分散媒(ジヒドロターピネオール)とを混合した外部電極用ペーストを調製した。なお、サンプル1で使用したガラス粒子は、下記の表1に記載のガラスAを湿式粉砕で粉砕したものを使用した。具体的には、下記ガラスAのガラス塊(メジアン径D50:33.5μm、BET比表面積:0.25m/g)を水(イオン交換水)に分散させ、目的粒子径を1.5μmに設定してポットミルを用いた粉砕処理を実施した。粉砕処理の詳細な手順は以下の通りである。先ず、1kgのガラス塊と、5kgのジルコニアビーズと、2Lの水とをポットミルに入れ、回転架台に乗せて粉砕処理を実施した。そして、本サンプルでは、最初に、平均粒子径10mmのジルコニアビーズを用いて8時間の粉砕処理を実施した後、平均粒子径2mmのジルコニアビーズを用いて16時間の粉砕処理を実施した。その後、ガラス粒子と水とが混合したスラリー状の混合物を乾燥機に収容し、80℃で一晩乾燥することによってガラス粒子の乾燥体を得た。サンプル1では、このガラス粒子の乾燥体を外部電極用ペーストの材料として使用した。
Figure 0007284311000001
(2)サンプル2
サンプル2では、サンプル1と同様の条件でガラス塊を粉砕した後、スラリー状の混合物をブフナー漏斗で濾過した。そして、漏斗上部に残留したガラス粒子を乾燥機に収容し、90℃で一晩乾燥することによってガラス粒子の乾燥体を得た。サンプル2では、このガラス粒子の乾燥体を外部電極用ペーストの材料として使用した。
(3)サンプル3
サンプル3では、目的粒子径を1μmに設定して、FRITSCH社製の遊星ミル(型式:pulverisette-5)を用いた粉砕処理を実施したガラス粒子を使用した。具体的には、100gのガラス塊と、250gのジルコニアビーズ(平均粒子径10mm)と、約250mLの水とを遊星ミルに入れて粉砕処理を実施した。なお、本サンプルでは、粉砕処理を3時間に短縮した。そして、粉砕処理後のスラリー状の混合物を乾燥機に収容し、80℃で一晩乾燥することによってガラス粒子の乾燥体を得た。サンプル3では、このガラス粒子の乾燥体を外部電極用ペーストの材料として使用した。
(4)サンプル4
サンプル4では、ガラス塊の粉砕処理における分散媒として100%メタノールを使用した点を除いて、サンプル1と同じ条件で外部電極用ペーストを調製した。
(5)サンプル5
サンプル5では、粉砕対象のガラス塊としてガラスB(表1参照)を使用すると共に、目的粒子径を2μmに変更した点を除いて、サンプル4と同じ条件で外部電極用ペーストを調製した。なお、本サンプルでは、平均粒子径10mmのジルコニアビーズで8時間の粉砕処理を実施した後、平均粒子径2mmのジルコニアビーズを用いた粉砕処理を実施している間にガラス粒子を適宜サンプリングし、ガラス粒子の粒子径が2μmになった時点で粉砕処理を停止することによって、上記目的粒子径のガラス粒子を得た。
(6)サンプル6
サンプル6では、粉砕対象のガラス塊としてガラスC(表1参照)を使用すると共に、目的粒子径を3μmに変更した点を除いて、サンプル5と同じ条件で外部電極用ペーストを調製した。なお、本サンプルでは、上記サンプル5と同じ手順に従って、平均粒子径が3μmのガラス粒子を得た。
(7)サンプル7
サンプル7では、ガラス塊の粉砕処理における分散媒として95%エタノールを使用した点を除いて、サンプル1と同じ条件で外部電極用ペーストを調製した。
(8)サンプル8
サンプル8では、ガラス塊の粉砕処理における分散媒として80%エタノールを使用した点を除いて、サンプル1と同じ条件で外部電極用ペーストを調製した。
(9)サンプル9
サンプル10では、粉砕対象のガラス塊としてガラスD(表1参照)を使用すると共に、目的粒子径を2.5μmに変更した点を除いて、サンプル5と同じ条件で外部電極用ペーストを調製した。なお、本サンプルでは、上記サンプル5と同じ手順に従って、平均粒子径が2.5μmのガラス粒子を得た。
(10)サンプル10
サンプル10では、粉砕対象のガラス塊としてガラスE(表1参照)を使用すると共に、目的粒子径を3μmに変更した点を除いて、サンプル5と同じ条件で外部電極用ペーストを調製した。なお、本サンプルでは、上記サンプル5と同じ手順に従って、平均粒子径が3μmのガラス粒子を得た。
2.評価試験
(1)DBET/D50の測定
本試験では、各サンプルで作製したガラス粒子の一部をペースト調製前に採集し、メジアン径D50とBET粒子径DBETとの比率(DBET/D50)を測定した。なお、メジアン径D50の測定には、株式会社堀場製作所製の粒度分布計(型式:LA-960)を使用した。なお、上記粒度分布計を使用したメジアン径D50の測定では、1~15の範囲で設定される「循環速度」を6に設定し、1~15の範囲で設定される「撹拌速度」を1に設定した。また、1~7の範囲で設定される「超音波強度」を7に設定し、「超音波時間」を300秒に設定した。そして、BET粒子径DBETの測定では、まず、MOUNTECH社製の比表面積測定装置(型式:HM-1201-052)を用いてガラス粒子のBET比表面積を測定した。その後、各々のガラス粒子の真比重を測定し、上述した式(1)に基づいてBET粒子径DBETを算出した。各々の測定結果を表2に示す。
(2)ガラス粒子のSEM観察
本試験では、粉砕前のガラスAと、サンプル1、3、4のガラス粒子を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で観察した。ガラスAのSEM写真を図2に示す。また、サンプル1のSEM写真を図3に示し、サンプル3のSEM写真を図4に示す。そして、サンプル4のSEM写真を図5に示す。なお、図2~図5のSEM写真の倍率は、何れも5000倍である。
(3)緻密性評価
まず、0603サイズの積層セラミックコンデンサ素体(積層チップ)を準備し、当該積層チップの端面における内部電極が露出した部分に各サンプルのペーストを塗布した。なお、ペーストの塗布には、ディップコート法を使用した。その後、熱風式乾燥機を使用して、120℃、10分間の乾燥処理を行った。そして、形成された乾燥膜に対して焼成処理を実施することによって、MLCCの外部電極を形成した。なお、焼成温度は750℃に設定し、焼成時間は10分に設定した。また、昇温時間を含めた総処理時間(焼成開始から焼成終了までの時間)は1時間に設定し、焼成雰囲気は窒素雰囲気に設定した。そして、各サンプルにおける外部電極の断面SEM写真を撮影し、当該外部電極の緻密性を目視で評価した。サンプル1~10の各々の外部電極の断面SEM写真(倍率:1000倍)を図6~図15に示す。また、目視による評価結果を表2に示す。
Figure 0007284311000002
先ず、図3に示すように、サンプル1では、ガラス粒子の表面に微小な粒子が多数付着していた。そして、図6に示すように、サンプル1を焼成した外部電極では、ガラス成分が適切に拡散しておらず、多数の空隙が形成されていた。また、サンプル2においても同様に、図7に示すような緻密性の低い外部電極が形成された。一方、サンプル3では、ガラス粒子表面における粒子の付着数が低減され、焼成後の外部電極の緻密性が向上していた(図4及び図8参照)。これは、サンプル3では、粉砕処理の時間を3時間に短縮したためと解される。このことから、ガラスAのようなアルカリ土類金属酸化物を多く含むガラス粒子を水に長期間浸漬すると、アルカリ土類金属酸化物が溶出して炭酸塩粒子として析出するため、焼成後の外部電極の緻密性を大きく低下させることが分かった。
次に、図5に示すように、サンプル4では、ガラス粒子の表面に微小な粒子が殆ど付着していなかった。そして、図9に示すように、サンプル4では、焼成中にガラス成分が適切に拡散し、緻密性に優れた外部電極が形成された。また、サンプル5、6も同様に、緻密性に優れた外部電極が形成された(図10及び図11参照)。これらの点から、ガラス粒子と水分とが長期間接触することを防止することによって、アルカリ土類金属酸化物の溶出を抑制し、緻密な外部電極を形成できることが分かった。なお、サンプル7、8では、粉砕処理における分散媒として非水溶媒を使用しているにもかかわらず、焼成後の外部電極の緻密性が低下していた(図12及び図13参照)。これは、非水溶媒として使用したエタノールの純度が低く、水分を含んでいたためと推測される。
そして、表2に示すように、サンプル1、2、7、8では、BET粒子径DBETが非常に小さな値となった。一方、レーザ回折散乱法に基づいて測定したメジアン径D50は、サンプル1~8の何れにおいても目標粒子径から大きく変わらなかった。これは、アルカリ土類金属酸化物が溶出したサンプル1、2、7、8では、微小な炭酸塩粒子がガラス粒子の表面に付着し、BET比表面積の測定結果が増大したためと推測される。そして、サンプル1~8を比較検討した結果、DBET/D50が0.15以上のガラス粒子(サンプル3~6)は、アルカリ土類金属酸化物の溶出が適切に防止され、緻密性に優れた外部電極が形成されていることが分かった。
また、図14及び図15に示すように、サンプル9、10は、上記DBET/D50が0.15以上であっても、緻密性に優れた外部電極を形成できないことが確認された。このことから、外部電極の緻密性を向上させるには、SiOが10質量%以下であり、かつ、アルカリ土類金属酸化物が40質量%以上のガラス粒子を使用する必要があることが分かった。
以上、本発明を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明はその主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
1 積層セラミックコンデンサ(MLCC)
10 積層チップ
20 誘電体層
30 内部電極層
40 外部電極

Claims (11)

  1. 積層セラミック電子部品の外部電極の形成に用いられる外部電極用ペーストであって、
    少なくとも、導電性粒子と、ガラス粒子と、分散媒とを含み、
    前記ガラス粒子は、酸化物換算の質量比で以下の組成:
    SiO :1質量%~10質量%;
    RO :40質量%~60質量%;
    (ここで、Rはアルカリ土類金属から選択される少なくとも1種の元素を含む)を含み、かつ、レーザ回折散乱法に基づいたメジアン径D50と、BET比表面積から換算したBET粒子径DBETとの比率(DBET/D50)が0.15以上1以下である、外部電極用ペースト。
  2. 前記ROは、少なくともBaOを含む、請求項1に記載の外部電極用ペースト。
  3. 前記ガラス粒子は、前記BaOを35質量%~55質量%含む、請求項2に記載の外部電極用ペースト。
  4. 前記ガラス粒子のメジアン径D50は、1μm~3μmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の外部電極用ペースト。
  5. 前記ガラス粒子のBET粒子径DBETは、0.15μm~3μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の外部電極用ペースト。
  6. 前記ガラス粒子は、Bを10質量%~20質量%含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の外部電極用ペースト。
  7. 前記ガラス粒子は、ZnOを15質量%~30質量%含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の外部電極用ペースト。
  8. 前記ガラス粒子の軟化点は、500℃~650℃である、請求項1~7のいずれか一項に記載の外部電極用ペースト。
  9. 前記導電性粒子は、Cu粒子である、請求項1~8のいずれか一項に記載の外部電極用ペースト。
  10. 前記分散媒は、有機系分散媒である、請求項1~9のいずれか一項に記載の外部電極用ペースト。
  11. SiOを主成分とするSiOフィラーをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の外部電極用ペースト。
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