JP2009195864A - 酸素分離膜エレメントならびに該エレメントのシール方法及びシール材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多孔質基材14上に酸素イオン伝導体であるペロブスカイト構造の酸化物セラミックスから成る酸素分離膜15を備える酸素分離膜エレメント10であって、その酸素分離膜15には、少なくとも一つのセラミックス製接続部材12,16が接合されており、酸素分離膜15と接続部材12,16との接合部分には、該接合部分におけるガス流通を遮断するシール部20a,20bが、ガラスマトリックス中にリューサイト結晶が析出しているガラスによって形成されている。
【選択図】図2
Description
例えば、ペロブスカイト型酸化物等の混合伝導体から構成される酸素分離膜を多孔質基材上に備えた酸素分離材(酸素分離膜エレメント)は、深冷分離法やPSA(Pressure Swing Adsorption)法に代わる有効な酸素精製手段として好適に使用することができる。
或いはまた、かかる構成の酸素分離膜エレメントは、一方の面から他方の面に供給された酸素イオンによって当該他方の面に供給された炭化水素(メタンガス等)を酸化させて合成液体燃料(メタノール等)を製造するGTL(Gas To Liquid)技術、或いは燃料電池分野で好適に使用することができる。
この種の従来技術として、特許文献1〜4には、混合伝導体である幾つかのペロブスカイト型酸化物が記載されている。また、特許文献5〜9には、ペロブスカイト型酸化物から構成された酸素分離膜を備える酸素分離材(膜エレメント)の好例が開示されている。また、特許文献10〜11には、円筒状の酸素分離材(エレメント)と当該酸素分離材を備える装置(モジュール)が記載されている。
従来、使用温度が800〜1000℃となるような高温域で使用する酸素分離装置(モジュール)においては、かかるシール部のシール性(気密性)を確保するべく、シール部(接合部分)を構成するシール材としてガラス材料や金属材料が検討されている。例えば、特許文献12〜13には、従来のシール材料の例が記載されている。
また、比較的熱膨張し易いペロブスカイト型酸化物(例えば熱膨張係数が10〜15×10−6K−1)に対し、熱膨張し難い従来のガラス材料(例えば熱膨張係数が1〜5×10−6K−1である一般的なホウケイ酸ガラス)をシール材として適用した場合、低温固化の際の熱膨張差によって当該シール材が破損する虞がある。さらに、熱膨張差の大きい従来のシール材を採用して得られた酸素分離材を上記高温域で繰り返し使用する場合、使用前の昇温時ならびに使用後の降温時においてシール部のシール性が徐々に低下する虞もあり、耐久性の観点から改善する余地がある。
そのため、ここで開示される上記構成の酸素分離膜エレメントは、典型的には800〜1000℃の範囲内であるような高温域で繰り返し使用しても(換言すれば常温からの昇温と使用後の降温とを繰り返しても)、上記酸素分離膜と接続部材との接合部分(シール部)からのガスのリークを防止し、長期にわたって高い気密性を保持することができる。従って、本発明によると、耐熱性及び耐久性に優れる酸素分離膜エレメントが提供される。
かかる構成の酸素分離膜エレメントでは、接合対象の上記酸素分離膜および接続部材の熱膨張係数と、それらの間の接合部分に存在するシール部の熱膨張係数とが、特によく近似する。従って、本態様の酸素分離膜エレメントは、高温域での繰り返し使用に適し、長期にわたって気密性を保持し得る高い耐久性を実現する。
この方法は、上記酸素分離膜と接合する対象のセラミックス製接続部材を用意することと、酸化物換算の質量比で以下の組成:
SiO2 40〜75質量%;
Al2O3 5〜20質量%;
Na2O 5〜20質量%;
K2O 5〜20質量%;
MgO 0〜3質量%;
CaO 0〜3質量%;
SrO 0〜3質量%;
から実質的に構成されるガラスシール材であってガラスマトリックス中にリューサイト結晶が析出していることを特徴とするガラスシール材を、上記セラミックス製接続部材と上記酸素分離膜とを接続した部分に塗布することと、前記塗布されたガラスシール材を該ガラスシール材が上記塗布した部分から流出しない温度域(例えば800℃以上1200℃未満、典型的には900℃以上1200℃未満、好ましくは1000℃以上、例えば1000〜1100℃)で焼成することによって、上記セラミックス製接続部材と酸素分離膜との上記接続部分に、該ガラスシール材から成るガス流通を遮断するシール部を形成することとを包含する。
典型的には、上記ガラスシール材は、上記ガラス成分を主成分として含むペースト(シール形成用ガラスペースト)状に調製されて使用される。
本構成のシール方法によると、機械的強度の向上と共に高い熱膨張係数のシール部を形成することができる。即ち、酸素分離膜を構成するペロブスカイト構造の酸化物セラミックスの熱膨張率(熱膨張係数)と近似させることができる。また、形成したリューサイト含有ガラスから成るシール部は、上記焼成温度以下の温度域(例えば800〜900℃、より好ましくは800〜1000℃の温度域)で流動の虞がない。
従って、本構成のシール方法によると、典型的には800〜1000℃の範囲内で繰り返し使用しても(換言すれば常温からの昇温と使用後の降温とを繰り返しても)、上記酸素分離膜と接続部材とが接合された部分(即ち本発明に係るシール部)からのガスのリークがなく長期にわたって高い気密性を保持し得る耐熱性及び耐久性に優れる酸素分離膜エレメントを提供することができる。また、ガラスシール材を完全に溶融させることなく両部材を接合するため、従来の溶融シール材ではシールすることが困難であった特殊な構造、あるいは荷重がかけられない構造の接合部分にも適用してシール部を形成することができる。
このように接合する対象の部材(組成)を選択し、さらに上記熱膨張係数となるように調製したガラスシール材を使用することによって、接合部分(シール部)の耐熱性及び耐久性が特に優れるペロブスカイト構造の酸素分離膜を備えた酸素分離膜エレメントを提供することができる。
SiO2 40〜75質量%;
Al2O3 5〜20質量%;
Na2O 5〜20質量%;
K2O 5〜20質量%;
MgO 0〜3質量%;
CaO 0〜3質量%;
SrO 0〜3質量%;
から実質的に構成されるガラスシール材であり、そしてガラスマトリックス中にリューサイト結晶が析出していることを特徴とする。
好適な一態様では、上記ガラス成分を主成分として含むペースト状のガラスシール材(即ち、シール形成用ガラスペースト)として提供される。
かかる構成のガラスシール材を使用することによって、上述したような耐熱性及び耐久性に優れるシール部(接合部分)を伴う酸素分離膜エレメントを提供することができる。
かかる熱膨張係数はペロブスカイト構造の酸化物セラミックスの熱膨張係数と近似する。これにより、接合部分(シール部)の耐熱性及び耐久性が特に優れるペロブスカイト構造の酸素分離膜を備えた酸素分離膜エレメントを提供することができる。
また、酸素分離膜エレメントの形状(外径)は特に限定されない。例えば、ペロブスカイト構造の酸化物セラミックス(酸素イオン伝導体)から成る酸素分離膜として厚さ1mm未満の酸素分離膜(例えば厚さ100μm未満の薄膜)を備える板状(平面状、曲面状等を包含する。)、管状(両端が開口した開管状、一端が開口し他端が閉じている閉管状等を包含する。)、その他層状に形成されたものが挙げられる。酸素分離膜が形成されている多孔質基材や該基材と接合される接続部材の形状やサイズに応じて酸素分離膜エレメントの外径やサイズも適宜決定され得る。
酸素分離膜の支持体である多孔質基材は、従来のこの種の膜エレメントで採用されている種々の性状のセラミック多孔質体が使用できる。膜エレメントの使用温度域(通常500℃以上、典型的には800℃以上、例えば800〜900℃、好ましくは800〜1000℃)において安定な耐熱性を有する材質からなるものが好ましく用いられる。例えば、ペロブスカイト構造の酸素分離膜と同様の組成を有するセラミック多孔体、あるいはマグネシア、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素等を主体とするセラミック多孔体を用いることができる。或いは、金属材料を主体とする金属質多孔体を用いてもよい。特に限定しないが、使用する多孔質基材の水銀圧入法に基づく平均細孔径は0.1μm〜20μm程度が適当であり、水銀圧入法に基づく気孔率は5〜60%程度が適当である。
この種の酸化物セラミックスとして、典型的には、一般式:Ln1−xAexMO3で表される組成の複合酸化物が挙げられる。ここで式中のLnはランタノイドから選択される少なくとも一種(典型的にはLa)であり、AeはSr,CaおよびBaからなる群から選択される少なくとも一種であり、Mは、Mg,Mn,Ga,Ti,Co,Ni,Al,Fe,Cu,In,Sn,Zr,V,Cr,Zn,Ge,ScおよびYからなる群から選択される少なくとも一種であり、0≦x≦1である。例えば、好適な混合伝導体として、式:(La1−xSrx)(Ti1−yFey)O3(但し0<x<1、0<y<1)で示される複合酸化物(以下「LSTF酸化物」ともいう。)が挙げられる。具体例として、La0.6Sr0.4Ti0.1Fe0.9O3、La0.6Sr0.4Ti0.3Fe0.7O3等が挙げられる。
また、セラミックス製接続部材は種々の材質(例えば上記多孔質基材と同じ材質の接続部材)から形成され得るが、上記酸素分離膜と同様の材質(即ちペロブスカイト型酸化物)であることが好ましい。酸素分離膜と当該接続部材とを共にペロブスカイト型酸化物(典型的には同じ組成の酸化物)とすることによって、これら部材とさらには後述するガラスシール材の熱膨張係数を近似させることができる。この結果、製造時や使用時の昇温(加熱)及び/又は降温(冷却)に伴う熱膨張の差によって接合部分にクラックが生じるのをより確実に防止することができる。
即ち、製造しようとするセラミックスを構成する原子を含む化合物の粉末(原料粉末)を成形し、酸化性雰囲気(例えば大気中)または不活性ガス雰囲気で焼成して所望する形状のセラミックス(多孔質基材、接続部材)を得ることができる。原料粉末としては、セラミックスを構成する金属原子を含む酸化物あるいは加熱により酸化物となり得る化合物(当該金属原子の炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物、水酸化物、オキシハロゲン化物等)の一種以上を含有するものを用いることができる。原料粉末は、セラミックスを構成する金属原子のうち二種以上の金属原子を含む化合物(複合金属酸化物、複合金属炭酸塩等)を含有してもよい。
例えば、原料粉末を仮焼し、湿式ボールミル等を用いて当該仮焼原料を粉砕することにより、仮焼粉末(本焼成用原料粉末)を得ることができる。さらに原料粉末(又は仮焼粉末)に、水、有機バインダー等の成形助剤、および分散剤を添加・混合してスラリーを調製し、スプレードライヤー等の造粒機を用いて所望する粒径(例えば平均粒径が10〜100μm)に造粒することができる。
なお、原料粉末や仮焼物を粉砕して得られた仮焼粉末(本焼成用原料粉末)の成形には、一軸圧縮成形、静水圧プレス、押出成形等の従来公知の成形法を採用することができる。また、かかる成形のために従来公知のバインダー、分散剤等を使用することができる。
なお、上述したようなセラミックス成形技法自体は従来と同様で良く、本発明を特徴付けるものではないため、これ以上の詳細な説明は省略する。
また、リューサイト結晶の析出量は、ガラス組成物中の上記必須構成成分の含有率(組成率)によって適宜調整することができる。
特に限定されないが、比較的高温域で使用される酸素分離膜エレメントの接合部分をシールする用途のガラスシール材(ガラス組成物)としては、ガラス成分全体(リューサイト結晶部分を含む)の質量比で、SiO2:40〜75質量%、Al2O3:5〜20質量%、Na2O:5〜20質量%、K2O:5〜20質量%、MgO:0〜3質量%、CaO:0〜3質量%、及びSrO:0〜3質量%であるものが好ましい。
好ましくは、シール部を構成するガラスの熱膨張係数が10〜14×10−6K−1となるように、上述の各成分を調合してガラス組成物(シール材)を調製する。かかる熱膨張係数が概ね11〜13×10−6K−1となるように調製することが特に好ましい。
得られた混和物(粉末)は、乾燥後、耐火性の坩堝に入れ、適当な高温(典型的には1000℃〜1500℃)条件下で加熱・溶融させる。
こうして得られたリューサイト含有ガラスは、種々の方法で所望する形態に成形することができる。例えば、ボールミルで粉砕したり、適宜篩いがけすることによって、所望する平均粒径(例えば0.1μm〜10μm)の粉末状ガラス組成物(即ち、本発明に係るガラスシール材)を得ることができる。
例えば、バインダーの好適例としてセルロース又はその誘導体が挙げられる。具体的には、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、及びこれらの塩が挙げられる。バインダーは、ペースト全体の5〜20質量%の範囲で含まれることが好ましい。
LSTF(La0.6Sr0.4Ti0.3Fe0.7O3)粉末(平均粒径:約50μm)に一般的なバインダー(ここではメチルセルロースを使用した。)及び水を添加して混練した。次いで、この混練物を用いて押出成形を行い、外径約20mm×内径約12mm×全長約1000mmの円筒形状の成形体を得た。そして、この成形体を大気中において1400〜1500℃(ここでは最高焼成温度:約1400℃)で焼成した。焼成後、焼成物の表面を研磨し、所望の外形寸法(外径20mm×内径12mm×全長1000mm)のLSTF製多孔質基材14(図1)を作製した。
次いで、上記得られた円筒形状LSTF成形体を上記スラリー中に浸漬し、ディップコーティングを行った。こうしてスラリーがコーティングされた成形体は、80℃で乾燥後、大気中において1000〜1600℃の温度域(ここでは最高焼成温度:約1400℃)まで昇温し、最高焼成温度で3時間保持して成形体を焼成した。これにより、円筒形状多孔質基材14の表面に、ペロブスカイト型酸化物である本実施例に係るLSTF酸化物から成る酸素分離膜15(図1)が形成された。
上記平均粒径が約1μmのLa0.6Sr0.4Ti0.3Fe0.7O3粉末に、一般的なバインダー(ここではポリビニルアルコールを使用した。)及び水を添加して混練した。次いで、市販のスプレードライヤーを用いて造粒し、平均粒径が約60μmの原料粉末を得た。次に、得られた原料粉末を100MPaの圧力条件でプレス成形し、外径約35mm×厚さ約20mmの円板形状の成形体を得た。さらにCIP成形により当該成形体に150MPaの加圧を行った。
こうして得られた成形体を、大気中において先ず200〜500℃の温度域(ここでは約500℃)まで昇温し、10時間保持した。これにより有機物を分解除去した。その後、大気中において1300〜1600℃の温度域(ここでは最高焼成温度:約1400℃)まで昇温し、そして、最高焼成温度で3時間保持して焼成し、上記酸素分離膜15と同じ組成のペロブスカイト型酸化物から成る焼成体を得た。
次に、この円板形状焼成体を機械研磨し、図1中に符号12で示す外径20mm×厚さ5mmの円板状接続部材(以下「キャップ部材12」という。)と、図1中に符号16で示す外径27mm×内径20mm×厚さ15mmの円板形状接続部材であって内側に多孔質基材14を嵌合する貫通穴17が形成された接続部材(以下「リング部材16」という。)とを作製した。
表1に示す質量比で、平均粒径が約1〜10μmであるSiO2粉末、Al2O3粉末、Na2O粉末、K2O粉末、MgO粉末及びCaO粉末を混合し、計6種類(サンプル1〜6)の原料粉末を調製した。
次いで、原料粉末を1000〜1600℃の温度域(ここでは1550℃)で溶融してガラスを形成した。その後、ガラスを粉砕し、800〜1000℃の温度域(ここでは850℃)で30分〜60分間の結晶化熱処理を行った。これにより、ガラスマトリックス中に分散するようにリューサイトの結晶が析出した。
次いで、ガラス粉末40質量部に、一般的なバインダー(ここではエチルセルロースを使用した。)3質量部と、溶剤(ここではターピネオールを使用した。)47質量部とを混合し、表1のサンプル1〜6に対応する計6種類のペースト状ガラスシール材を作製した。
上記6種類のペーストをシール材として用いて接合処理を行った。具体的には、図1及び図2に示すように、円筒形状多孔質基材14の一方の端面14bをリング部材16の嵌合穴17に差し込み、他方の端面14aにはキャップ部材12を配置した。而して、多孔質基材14表面の酸素分離膜15とキャップ部材12との接触部分(接続部分)20a、および酸素分離膜15とリング部材16との接触部分(接続部分)20bに、それぞれ、上記ペーストを塗布した。
次いで、80℃で乾燥後、大気中で1000〜1100℃の温度域(ここでは1050℃)で1時間焼成した。結果、何れのサンプルのペーストを用いた場合もガラスシール材の流出を生じることなく焼成が完了し、シール部20a,20bが形成されて両部材が接合された。これにより、多孔質基材14及び酸素分離膜15の両端に接続部材(キャップ部材12及びリング部材16)が接合された計6種類(サンプル1〜6)の膜エレメント10が構築された。なお、表1には、各サンプルのペーストを使用して得られるシール部(ガラス)の熱膨張係数(但し室温(25℃)から450℃の間の熱膨張の平均値)を示している。また、酸素分離膜15と各接続部材12,16を構成する上記LSTF酸化物セラミックスの同条件での熱膨張係数は11.5×10−6K−1であった。
詳しいデータは示していないが、平均粒径1μmの市販のホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標)ガラス)を用いて同条件でペースト化したものを使用して上記と同様に接合処理を行ったところ、焼成時において接合部位からの流出およびクラックの発生が著しいことが確認された。また、市販される銀ペースト(導体ペースト)では流出と飛散によって接合ができなかった。
次に、上記構築した計6種類(サンプル1〜6)の膜エレメントについて、接合部分(シール部)からのガスリークの有無を確認するリーク試験を行った。具体的には、リング部材16底面の嵌合穴17開口部から膜エレメント10の中空部13に空気を0.2MPa加圧した条件で供給し、その状態で膜エレメント10を水中に沈め、水中でバブル発生の有無を目視で調べた。結果を表1の該当欄に示す。
表1に示すように、シール部(リューサイト含有ガラス)の熱膨張係数が10〜14×10−6K−1であるサンプル1〜4については、ガス(空気)のリークは全く観察されなかった。他方、熱膨張係数が10×10−6K−1よりも小さいサンプル5および熱膨張係数が14×10−6K−1よりも大きいサンプル6では、シール部表面からのバブル発生、即ちガス(空気)のリークが認められた。
本発明によって提供される酸素分離膜エレメントは、例えば800〜1000℃というような高温域での使用に好ましく、GTL或いは燃料電池分野で好適に使用することができる。
12 キャップ部材(接続部材)
14 多孔質基材(支持体)
15 酸素分離膜
16 リング部材(接続部材)
Claims (6)
- 多孔質基材上に酸素イオン伝導体であるペロブスカイト構造の酸化物セラミックスから成る酸素分離膜を備える酸素分離膜エレメントであって、
前記酸素分離膜には、少なくとも一つのセラミックス製接続部材が接合されており、
前記酸素分離膜と前記接続部材との接合部分には、該接合部分におけるガス流通を遮断するシール部が、ガラスマトリックス中にリューサイト結晶が析出しているガラスによって形成されている、酸素分離膜エレメント。 - 前記酸素分離膜および接続部材は、いずれも一般式:Ln1−xAexMO3(但し、式中のLnはランタノイドから選択される少なくとも一種であり、AeはSr,CaおよびBaからなる群から選択される少なくとも一種であり、Mは、Mg,Mn,Ga,Ti,Co,Ni,Al,Fe,Cu,In,Sn,Zr,V,Cr,Zn,Ge,ScおよびYからなる群から選択される少なくとも一種であり、0≦x≦1である。)で表される組成のペロブスカイト構造を有する酸化物セラミックスにより構成されており、
前記シール部を構成するガラスの熱膨張係数が10〜14×10−6K−1である、請求項1に記載の酸素分離膜エレメント。 - 多孔質基材上に酸素イオン伝導体であるペロブスカイト構造の酸化物セラミックスから成る酸素分離膜を備える酸素分離膜エレメントのシール方法であって、
前記酸素分離膜と接合する対象のセラミックス製接続部材を用意すること、
酸化物換算の質量比で以下の組成:
SiO2 40〜75質量%;
Al2O3 5〜20質量%;
Na2O 5〜20質量%;
K2O 5〜20質量%;
MgO 0〜3質量%;
CaO 0〜3質量%;
SrO 0〜3質量%;
から実質的に構成されるガラスシール材であってガラスマトリックス中にリューサイト結晶が析出していることを特徴とするガラスシール材を、前記セラミックス製接続部材と前記酸素分離膜とを接続した部分に塗布すること、ならびに、
前記塗布されたガラスシール材を、該ガラスシール材が前記塗布した部分から流出しない温度域で焼成することによって、前記セラミックス製接続部材と前記酸素分離膜との前記接続部分に、該ガラスシール材から成るガス流通を遮断するシール部を形成すること、
を包含する、酸素分離膜エレメントのシール方法。 - 前記酸素分離膜および接続部材は、いずれも一般式:Ln1−xAexMO3(但し、式中のLnはランタノイドから選択される少なくとも一種であり、AeはSr,CaおよびBaからなる群から選択される少なくとも一種であり、Mは、Mg,Mn,Ga,Ti,Co,Ni,Al,Fe,Cu,In,Sn,Zr,V,Cr,Zn,Ge,ScおよびYからなる群から選択される少なくとも一種であり、0≦x≦1である。)で表される組成のペロブスカイト構造を有する酸化物セラミックスにより構成されており、
前記ガラスシール材は、前記シール部を構成するガラスの熱膨張係数が10〜14×10−6K−1となるように調製されている、請求項3に記載のシール方法。 - 多孔質基材上に酸素イオン伝導体であるペロブスカイト構造の酸化物セラミックスから成る酸素分離膜を備える酸素分離膜エレメントをシールするためのガラスシール材であって、
酸化物換算の質量比で以下の組成:
SiO2 40〜75質量%;
Al2O3 5〜20質量%;
Na2O 5〜20質量%;
K2O 5〜20質量%;
MgO 0〜3質量%;
CaO 0〜3質量%;
SrO 0〜3質量%;
から実質的に構成されるガラスシール材であって、ガラスマトリックス中にリューサイト結晶が析出していることを特徴とするガラスシール材。 - 熱膨張係数が10〜14×10−6K−1となるように調製されている、請求項5に記載のガラスシール材。
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