JP2011041906A - 酸素分離膜モジュールおよびその製造方法ならびに酸素分離膜モジュール用シール材 - Google Patents

酸素分離膜モジュールおよびその製造方法ならびに酸素分離膜モジュール用シール材 Download PDF

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Abstract

【課題】酸素分離膜モジュールの使用温度域以上(例えば1200〜1300℃)の高温下においても、高い耐熱性を有して気密に接合されたシール部(接合部)が形成されてなる酸素分離膜モジュールを提供すること。また、そのようなシール部を形成するために用いるシール材を提供すること。
【解決手段】本発明によって提供される酸素分離膜モジュール100は、多孔質基材12上に酸素分離膜14を備える酸素分離膜エレメント10と、セラミックス製の接続部材(ガス管20,30)とを備えており、酸素分離膜エレメント10とガス管20,30との接合部分には、該接合部分におけるガス流通を遮断するシール部40が、ガラスマトリックス中に安定化ジルコニア結晶とクリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶とが析出しているガラスによって形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸素分離膜エレメントとガス管等の接続部材とを備えた酸素分離膜モジュール(酸素分離装置)に関する。詳しくは、酸素イオン伝導性の酸化物セラミックスからなる酸素分離膜を備えた酸素分離膜エレメントと、接続部材(例えば該エレメントにガスを供給するガス管)とを基本構成要素とするモジュール、および上記酸素分離膜エレメントと接続部材とを接合して該モジュールを製造する方法、ならびに上記エレメントと接続部材とを気密性を有してシール部(接合部)を形成するためのシール材(接合材)に関する。
酸素イオン(典型的にはO2−;酸化物イオンとも呼ばれる。)伝導性を有する酸素イオン伝導体として、いわゆるペロブスカイト型構造の酸化物セラミックスが知られている。特に、酸素イオン伝導体であることに加え、電子伝導性を兼ね備えた酸素イオン−電子混合伝導体(以下、単に「混合伝導体」という。)であるペロブスカイト型酸化物から成る緻密なセラミック材、典型的には膜状に形成されたセラミック材は、その両面を短絡させるための外部電極や外部回路を用いることなく一方の面から他方の面に連続して酸素イオンを透過させることができる。このため、特許文献1〜3に記載されるように、一方の面に供給された酸素含有ガス(空気等)から酸素を他方の面に選択的に透過させる酸素分離膜材として、特に使用温度が800℃以上1000℃未満というような高温域で好適に利用することができる。
例えば、ペロブスカイト型酸化物等の混合伝導体から構成される酸素分離膜は、多孔質基材(多孔質支持体)上に形成されて酸素分離膜エレメントとして用いられ、深冷分離法やPSA(Pressure Swing Adsorption)法に代わる有効な酸素精製手段として好適に使用することができる。また、かかる構成の酸素分離膜エレメントは、酸素含有ガス(空気)と炭化水素ガスとを隔絶し、酸素を選択的に透過させて炭化水素の部分酸化反応を行うための酸化反応装置、いわゆる隔膜リアクタの構成要素として好適に利用することができる。すなわち、酸素分離膜の一方側の表面に酸素含有ガス、他方側の表面に炭化水素ガス(例えばメタン)をそれぞれ接触させると、一方の表面から酸素分離膜内を透過して供給される酸素イオンによって、他方の面において炭化水素が部分酸化される。このように酸素分離膜を利用して炭化水素を部分酸化する技術は、合成液体燃料(メタノール等)を製造するGTL(Gas To Liquid)技術、或いは燃料電池分野で好適に使用される。
この種の従来技術として、特許文献1〜4には、混合伝導体であるいくつかのペロブスカイト型酸化物が記載されている。また、特許文献5〜9には、ペロブスカイト型酸化物から構成された酸素分離膜を備える酸素分離材(膜エレメント)の例が開示されている。また、特許文献10〜11には、円筒状の酸素分離材(エレメント)と当該酸素分離材を備える装置(モジュール)が記載されている。
ところで、上記円筒形状あるいはその他の形状の酸素分離材(膜エレメント)を基本構成要素として酸素分離装置(モジュール)を構築する場合、種々の部材が相互に接合される結果、酸素分離材は気密性を保持するシール部(接合部)を伴う形態で構築される。
従来、使用温度が800℃以上1000℃未満となるような高温域で使用する酸素分離装置(モジュール)においては、かかるシール部のシール性(気密性)を確保するべく、シール部(接合部)を構成するシール材としてガラス材料や金属材料が検討されている。例えば、特許文献12〜13には、従来のシール材料の例が記載されている。なお、本願発明とは直接的な関係はないが、例えば特許文献14〜16には固体酸化物形燃料電池(SOFC)用の接合材が提案されている。特許文献14には、安定化ジルコニアとガラスの混合物からなる接合材が記載されている。また、特許文献15には、固体電解質構成材料とセパレータ構成材料とを混合してなる接合材料が記載されている。また、特許文献16には、固体電解質形燃料電池の動作温度より高い融点を持つ超微粒子酸化物を主成分とするシール液剤が記載されている。
特開2000−251534号公報 特開2000−251535号公報 特表2000−511507号公報 特開2001−93325号公報 国際公開第WO2003/040058号パンフレット 特開2006−82040号公報 特開2007−51032号公報 特開2007−51034号公報 特開2007−51035号公報 特開平11−70314号公報 特開2002−292234号公報 特開2002−83517号公報 特開2002−349714号公報 特開平5−330935号公報 特開平9−129251号公報 特開平11−154525号公報
上記特許文献に記載されるシール材は、上記高温域において溶融状態となり得る材料(例えば特許文献13参照)であり、当該高温域(例えば800℃以上1000℃未満)で使用する場合には溶融して所定の接合部位から流出する虞がある。このため、かかるシール材が流出しないような構造上の対策(例えば溶融したシール材を囲い込むバリア構造の追加、あるいはシール材の流出を防止する荷重をかける構造)を施す必要があった。
また、比較的熱膨張し易いペロブスカイト型酸化物(例えば熱膨張係数が10×10−6−1〜15×10−6−1)に対し、熱膨張し難い従来のガラス材料(例えば熱膨張係数が1×10−6−1〜5×10−6−1である一般的なホウケイ酸ガラス)をシール材として適用した場合、低温固化の際の熱膨張差によって当該シール材が破損する虞がある。さらに、熱膨張差の大きい従来のシール材を採用して得られた酸素分離材を上記高温域で繰り返し使用する場合、使用前の昇温時ならびに使用後の降温時においてシール部のシール性が徐々に低下する虞もあり、耐久性の観点から改善する余地がある。
また、近年、酸素分離膜モジュールの製造にあたり、製造プロセスの効率化およびコスト削減を目的として、例えば、酸素分離膜エレメントの酸素分離膜の形成、ならびに、該エレメントと該エレメントに接続される部材(接続部材、例えばガス配管)との接合(スタッキング)を一回の焼成工程で同時に行う(すなわち同時に焼成する。)ことが検討されている。かかる同時焼成を実現するためには、酸素分離膜の焼成温度(例えば1200〜1300℃、より好ましくは1200〜1400℃)に曝されても溶出の虞のない高耐熱性の接合材が必要である。
したがって、酸素分離膜モジュールの使用高温域(例えば800℃以上1000℃未満)よりもさらに高温条件下(例えば酸素分離膜の焼成温度である1200〜1400℃)において接合対象の酸素分離膜エレメントおよび接続部材と同程度の熱膨張係数を有し得るシール部であって上記高温雰囲気に十分に耐え得る強度(耐熱性)と気密性(シール性)とを高い次元で実現し得るシール部(接合部)の形成を実現可能なシール材(接合材)が望まれていた。
しかし、上記特許文献に記載されるような従来のシール材(接合材)は、高耐熱性と高気密性とをともに両立させるという点で未だ十分ではない。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、酸素分離膜モジュールの使用温度域(例えば800℃以上1000℃未満)およびそれ以上(典型的には1000℃以上、特に1200℃以上、例えば1200〜1300℃)の高温下においても、高い耐熱性を有して気密に接合されたシール部(接合部)が形成されてなる酸素分離膜モジュールを提供することである。また、そのような高い耐熱性と高い気密性とを有するシール部(接合部)であって接合対象と同程度の熱膨張係数を有するシール部(接合部)を形成するために用いるシール材を提供することを他の目的とする。さらに、そのようなシール材を用いて酸素分離膜モジュールを製造する方法を提供することを他の目的とする。
上記目的を実現するべく、本発明により提供される酸素分離膜モジュールは、多孔質基材上に酸素イオン伝導体であるペロブスカイト構造の酸化物セラミックスからなる酸素分離膜を備える酸素分離膜エレメントと、該酸素分離膜エレメントに接合されたセラミックス製の接続部材(例えばガス管)とを(主要構成要素として)備える。上記酸素分離膜エレメントと上記接続部材との接合部分には、該接合部分におけるガス流通を遮断する(すなわち該接合部分における気密性を保持する)シール部が形成されており、該シール部は、ガラスマトリックス中に安定化ジルコニア結晶と、クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶とが析出しているガラスからなるシール材によって形成されている。
本発明に係る酸素分離膜モジュールでは、酸素分離膜エレメント(典型的には該膜エレメントにおける多孔質基材および/または酸素分離膜)と接続部材との接合部分が、ガラスマトリックス中に安定化ジルコニア(例えばイットリア安定化ジルコニア;YSZ)結晶に加えて、クリストバライト結晶(SiO)および/またはリューサイト結晶(KAlSi)のケイ素含有化合物が析出しているガラス(例えばガラスマトリックス中に上記安定化ジルコニアやケイ素含有化合物の微細結晶が分散状態で析出されるガラス、以下、「結晶含有ガラス」ということもある。)によってシールされている。
かかるシール部を構成する結晶含有ガラスが上記のような結晶成分を含有することにより、当該酸素分離膜モジュールの使用温度域(例えば800℃以上1000℃未満)およびそれ以上(典型的には1000℃以上、特に1200℃以上、例えば1200〜1300℃、より好ましくは1200〜1400℃)の高温域下に曝されても、該結晶含有ガラス中に析出している結晶の溶解が好ましく防止されて、流動し難い。したがって、本発明に係る酸素分離膜モジュールによると、上記のような高温域(特に1200℃以上)に到達しても、上記結晶含有ガラスにより形成された酸素分離膜エレメントと接続部材とのシール部が溶出する虞がなく、かかるシール部の耐熱性の向上を実現することができる。
また、上記結晶含有ガラスは、上記温度域においても柔軟性を有する。このことにより、本発明に係る酸素分離膜モジュールによると、上記結晶含有ガラスにより形成されたシール部に応力が生じた場合であっても、該応力を緩和してクラックや剥離等の発生を抑制することができ、かかるシール部の機械的強度の向上を実現することができる。したがって、本発明によると、耐熱性および耐久性(機械的強度)に優れた酸素分離膜モジュールが提供される。
なお、本明細書中で「膜」とは特定の厚みに限定されず、上記酸素分離膜エレメントにおいて、少なくとも「酸素イオン伝導体(好ましくは混合伝導体)」として機能する膜状若しくは層状の部分をいう。
ここで開示される酸素分離膜モジュールの好ましい一態様では、上記シール部は、酸化物換算の質量比で以下の組成:
SiO 60〜75質量%;
Al 10〜20質量%;
NaO 3〜15質量%;
O 5〜15質量%;
MgO 0〜 3質量%;
CaO 0〜 3質量%;
0〜 3質量%;
から実質的に構成されるガラスによって形成されており、上記安定化ジルコニア結晶(例えばYSZ結晶)は、上記ガラス全体の1質量%を上回り30質量%以下に相当する量で含まれている。
なお、本発明の技術的範囲の説明において「〜」を使用した数値範囲は、当該「〜」の左右の数値を包含する範囲である(すなわち数値範囲「A〜B」は、A以上B以下をいう。)。
このような組成から構成されるシール部は、該シール部によってシール(接合)されている酸素分離膜エレメントおよび接続部材(例えばガス管)の熱膨張係数(熱膨張率)に近似した熱膨張係数を有し得る。このため、かかるシール部を備える酸素分離膜モジュールでは、上記使用温度域(例えば800℃以上1000℃未満、さらに高温域、例えば1000〜1200℃を包含し得る。)と非使用時の温度(常温)との間で昇温と降温とを繰り返して使用したり、あるいは上記使用温度域以上の高温下に曝す処理を施した場合(例えば酸素分離膜の焼成)であっても、上記シール部からのガスのリークが防止され、長期にわたり高い気密性と機械的強度を保持することができる。またガスリークの防止により上記酸素分離膜モジュールの性能も向上させることができる。
したがって、かかる酸素分離膜モジュールによると、高い耐熱性と耐久性を備えた高性能の酸素分離膜モジュールを実現することができる。
ここで開示される酸素分離膜モジュールのより好ましい一態様では、上記シール部を構成するガラスは、少なくとも1200℃の温度下に曝された後も10×10−6−1〜12×10−6−1の熱膨張係数を維持する。
かかる熱膨張係数(典型的には、一般的な示差膨張方式(TMA)に基づく室温(25℃)〜500℃の間の平均値)は、例えば接続部材(例えばガス管)用材料として好適に用いられ得るYSZ等のジルコニア系酸化物(ジルコニア系材料)や酸素分離膜材料として好適に用いられ得るペロブスカイト型酸化物等の熱膨張係数と近似する。また、かかる熱膨張係数は、酸素分離膜エレメント全体、もしくは酸素分離膜エレメントと接続部材とからなる酸素分離膜モジュール全体としての熱膨張係数とも近似し得る。したがって、かかる構成の酸素分離膜モジュールによると、少なくとも1200℃(典型的にはそれ以上)の高温域に曝された後においても上記熱膨張係数を有して気密性と機械的強度とを高い次元で保持し得るシール(接合)部の形成を実現することができるとともに、高い耐熱性と耐久性を備えた高性能の酸素分離膜モジュールを実現することができる。
ここで開示される酸素分離膜モジュールの別の好ましい一態様では、上記酸素分離膜は、一般式(1):Ln1−xMO3−δで表される組成のペロブスカイト構造を有する酸化物セラミックスにより構成されている。ただし、式中のLnはランタノイドから選択される少なくとも1種であり、AはSr、CaおよびBaからなる群から選択される少なくとも一種であり、Mは、ペロブスカイト型構造を構成し得る1種または2種以上の金属元素であり、0≦x<1であり、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である。また、上記接続部材(例えばガス管)は、安定化ジルコニアにより構成されている。
かかる構成の酸素分離膜モジュールでは、接合(シール)対象となり得る上記酸素分離膜と接続部材の熱膨張係数と、該酸素分離膜と接続部材との間の接合部分に存在するシール部の熱膨張係数とが、特によく近似する。したがって、かかる構成の酸素分離膜モジュールによると、例えば1000℃を上回る(例えば1200℃程度の)高温域での繰り返し使用にも耐え、長期にわたって気密性を保持し得る高い耐熱性と耐久性を備えた酸素分離膜モジュールを実現することができる。
本発明は、他の側面として、上記のような酸素分離膜モジュールのシール部を形成するために用いられるシール材を提供する。すなわち、本発明に係るシール材は、多孔質基材上に酸素イオン伝導体であるペロブスカイト構造の酸化物セラミックスからなる酸素分離膜を備える酸素分離膜エレメントと該膜エレメントに接合されたセラミックス製の接続部材(例えばガス管)とを備える酸素分離膜モジュールにおいて上記酸素分離膜エレメントと上記接続部材とをシールして接合するためのシール材(接合材)である。このシール材は、ガラスマトリックス中に安定化ジルコニア結晶と、クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶とが析出しているガラスからなる。ここで該ガラスが、酸化物換算の質量比で以下の組成:
SiO 60〜75質量%;
Al 10〜20質量%;
NaO 3〜15質量%;
O 5〜15質量%;
MgO 0〜 3質量%;
CaO 0〜 3質量%;
0〜 3質量%;
から実質的に構成されているとともに、上記安定化ジルコニア結晶(例えばYSZ結晶)を上記ガラス全体の1質量%を上回り30質量%以下に相当する量で含む。
本発明に係るシール材を使用することによって、上述したような耐熱性および耐久性に優れるシール部(接合部)が形成された酸素分離膜モジュールを提供することができる。
ここで開示される酸素分離膜モジュール用シール材の好ましい一態様では、上記シール材として、少なくとも1200℃の温度下に曝された後も熱膨張係数が10×10−6−1〜12×10−6−1を維持するように調製されている。
かかる熱膨張係数は、酸素分離膜モジュールの構成部材(例えば酸素分離膜やガス管等)の熱膨張係数に近似する。これにより、高い耐熱性および耐久性を有するシール部(接合部)を備えた酸素分離膜モジュールを提供することができる。
また、本発明は、上記のような酸素分離膜モジュール用シール材の製造方法を提供する。この方法は、以下の工程を包含する。すなわち、酸化物換算の質量比で以下の組成:
SiO 60〜75質量%;
Al 10〜20質量%;
NaO 3〜15質量%;
O 5〜15質量%;
MgO 0〜 3質量%;
CaO 0〜 3質量%;
0〜 3質量%;
から実質的に構成されるように調製されたガラス原料粉末を用意し、該原料粉末を溶融してガラスを調製すること、上記調製したガラスを粉砕後、安定化ジルコニア(例えばYSZ)粉末を上記ガラス原料粉末全体の1質量%を上回り30質量%以下に相当する量で添加して上記ガラスと上記安定化ジルコニアとの混合粉末を調製すること、および、上記混合粉末を結晶化処理することにより、上記ガラスのマトリックス中に安定化ジルコニア結晶と、クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶とを同時に析出させること、を包含する。
また、かかる製造方法の好ましい一態様では、上記結晶化処理として、上記混合粉末を、結晶化を誘起し得る温度域(典型的には1000℃以下、例えば800〜1000℃)で適当な所定時間(例えば800〜1000℃の温度域では30分間〜60分間)加熱する処理が挙げられる。
かかる構成の製造方法では、ガラスマトリックス中にケイ素含有化合物(すなわちクリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶)を析出させる結晶化処理を実施する前に、予め安定化ジルコニア粉末をガラスに添加しておき、上記全ての結晶を同時に析出させる。かかる方法によって得られるシール材は、上記ケイ素含有化合物をガラスマトリックス中に析出させた後に安定化ジルコニア粉末を添加することにより得られる接合(シール)材に比べて、1200℃以上(例えば1200℃)の高温域においてもその熱膨張係数を10×10−6−1〜12×10−6−1の範囲内に維持し得るため、酸素分離膜モジュールの構成材料等の熱膨張係数により近似させることができ、酸素分離膜モジュール用シール材として好ましく用いることができる。
また、上記のような条件で結晶化処理を行うことにより、ガラスマトリックス中に安定化ジルコニア結晶(例えばYSZ結晶)と、クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶とを同時に析出させることができる。
したがって、かかる構成の製造方法によると、例えば1200℃以上の高温域下でも高気密性を有する優れた耐熱性と耐久性を備えたシール部を形成可能なシール材であって酸素分離膜モジュールに好ましく適用できるシール材を提供することができる。
また、本発明は、他の側面として、上記のようなシール材を用いて酸素分離膜エレメントと接続部材(例えばガス管)とを接合(シール)することにより酸素分離膜モジュールを製造する方法を提供する。すなわち、本発明に係る酸素分離膜モジュールの製造方法は、多孔質基材上に酸素イオン伝導体であるペロブスカイト構造の酸化物セラミックスからなる酸素分離膜を備える酸素分離膜エレメントと該膜エレメントに接合されたセラミックス製の接続部材とを備える酸素分離膜モジュールを製造する方法である。この方法は、以下の工程(1)〜(4)を包含する。すなわち、(1)上記ペロブスカイト構造の酸化物セラミックスからなる酸素分離膜用材料を前記多孔質基材上に塗布されてなる塗布膜が形成されている膜エレメントを用意すること、(2)上記接続部材を用意すること、(3)ここで開示されるいずれかのシール材であってガラスマトリックス中に安定化ジルコニア結晶と、クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶とが析出しているガラスからなるシール材を、上記塗布膜が形成された多孔質基材と接続部材とを接続した部分に付与すること、および(4)上記シール材が付与されて互いに接続している上記膜エレメントと上記接続部材とを、上記塗布膜の焼成温度域で焼成することによって、上記塗布膜が焼成されてなる酸素分離膜を上記多孔質基材上に形成すること、および上記膜エレメントと上記接続部材との接続部分に該シール材からなるガス流通を遮断するシール部を形成して互いに接合することを同時に行うこと、を包含する。
本発明に係る酸素分離膜モジュールの製造方法では、該モジュールを構成する酸素分離膜エレメント(例えば該酸素分離膜エレメントにおける多孔質基材および/または酸素分離膜)と接続部材との接続部分を接合してシール部を形成するのにここで開示されるシール材を用いる。このことにより、上記未焼成状態の塗布膜を焼成して酸素分離膜を形成する際に、上記塗布膜の焼成温度域(例えば1200〜1400℃)でも上記シール材が溶出することなく、上記シール部を好ましく形成することができる。これによって、上記酸素分離膜の形成と上記シール材によるシール部の形成(上記酸素分離膜エレメントと接続部材との接合)とを一度の焼成で同時に行うことができる。したがって、かかる製造方法によると、酸素分離膜の形成と製造プロセスの効率化とコスト削減を実現できるとともに、耐熱性と耐久性に優れる高性能の酸素分離膜エレメントの提供を実現することができる。
酸素分離膜エレメントと該エレメントに接合された接続部材としてのガス管とを備えた酸素分離膜モジュールの一形態を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、シール材を構成する結晶含有ガラスの調製方法)以外の事項であって本発明の実施に必要な事柄(原料粉末の混合方法や酸素分離膜エレメントの構築方法)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明に係る酸素分離膜モジュールは、その主要構成要素(部材)である酸素分離膜エレメントとガス管等の接続部材との接合部分がガラスマトリックス中に安定化ジルコニア結晶と、クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶とが析出しているガラス(結晶含有ガラス)によってシールされていることにより特徴づけられるものであり、その他の構成成分の内容や組成については、種々の基準に照らして任意に決定することができる。
本発明に係る酸素分離膜モジュールを構成する酸素分離膜エレメントについて説明する。
ここで開示される酸素分離膜エレメントは、その主たる構成要素として多孔質基材と該基材上に形成されている酸素分離膜とを備えている。
酸素分離膜の支持体として機能する多孔質基材としては、従来のこの種の膜エレメント(例えば酸素分離膜エレメント)で採用されている種々の性状のセラミック多孔質体を使用することができる。上記酸素分離膜モジュールの使用温度域(典型的には800℃以上1000℃未満)において安定な耐熱性を有する材質からなるものが好ましく用いられる。例えば、酸素分離膜と同様の組成を有するセラミック多孔質体、あるいはマグネシア(酸化マグネシウム;MgO)、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、窒化ケイ素、炭化ケイ素等を主体とするセラミック多孔質体を用いることができる。あるいは、金属材料を主体とする金属質多孔体を用いてもよい。本実施形態では、安価で入手し易く、機械的強度に優れるMgOを用いる。
かかる多孔質支持体の形状は特に限定されず、例えば、板状(平面状、球面状等を含む。)や、管状(両端が開口した開管状、一端が開口し他端が閉じている閉管状等を含む。)等が挙げられ、その所定部分の一部または全面に酸素分離膜を形成させることができる。また、かかる多孔質基材の気孔率(水銀圧入法に基づく)についても特に限定されないが、例えば凡そ80体積%以下(典型的には凡そ5〜80体積%)が適当であり、好ましくは60体積%以下(典型的には50〜60体積%)である。また、かかる多孔質支持体の平均細孔径(水銀圧入法に基づく)としては、例えば20μm以下(典型的には0.1μm〜20μm)が好ましい。このような気孔率および平均細孔径を有する多孔質基材は、酸素含有ガス等の気体の透過を妨げることがなく、またその表面により薄い酸素分離膜を好適に形成することができる。
酸素分離膜を構成する酸化物セラミックスは、酸素イオン伝導体であるペロブスカイト構造をとるものであればよく、特定の構成元素のものに限られないが、酸素イオン伝導性と電子伝導性の両方を有する優れた混合伝導体となるような元素で構成されることが好ましい。ここで開示される酸素分離膜材が混合伝導性を有する場合には、酸素分離膜の一方の側(酸素含有ガスが供給される側)と他方の側(酸素分離膜材を透過した酸素イオンが酸素ガスとして酸化される側、あるいは供給された炭化水素ガスと反応する側)とを短絡させるための外部電極や外部回路を用いることなく、一方から他方へと連続的に酸素イオンを透過させることができるとともに、酸素イオンの透過速度を上げることができるため好ましい。
この種の酸化物セラミックスとしては、一般式(1):Ln1−xMO3−δで表わされる組成のペロブスカイト型酸化物が好ましい。ここで、式中のLnは、ランタノイドから選択される少なくとも1種(典型的にはランタン(La))である。Aは、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)およびカルシウム(Ca)のうちの1種または2種以上の元素であり、特に好ましくはSrである。また、Mは、ペロブスカイト型構造を構成し得る金属元素であり、例えばマグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、銅(Cu)、インジウム(In)、錫(Sn)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、スカンジウム(Sc)およびイットリウム(Y)のうちの1種または2種以上である。
また、上記一般式(1)における「x」は、このペロブスカイト型構造においてLn(典型的にはLa)がAによって置き換えられた割合を示す値である。このxの取り得る範囲は、ペロブスカイト型構造を崩すことなく該構造を維持し得る限りにおいて特に限定されないが、0≦x<1が適当であり、好ましくは0.4≦x≦0.6である。
なお、上記δは電荷中性条件を満たすように定まる値である。上記一般式(1)における酸素原子数は、ペロブスカイト型構造の一部を置換する原子の種類および置換割合その他の条件により変動するため正確に表示することが困難である。このため、電荷中性条件を満たすように定まる値として、1を超えない正の数δ(0<δ<1)を採用し、酸素原子数を3−δと表示するのが妥当であるが、以下では便宜的に3と表示することもある。ただし、該酸素原子の数を便宜的に3として表示しても、異なる化合物を表しているわけではない。
また、上記のようなペロブスカイト型酸化物としては、上記一般式(1)のM(すなわちペロブスカイト型酸化物のBサイトを構成する金属元素)としてCo、Ti、Ni、Feのうちのいずれかが含まれているものがより好ましい。特に好ましくは、触媒金属としても用いられ得る程度に反応性の高いCoが含まれているペロブスカイト型酸化物である。このようなペロブスカイト型酸化物としては、例えば、La1−xSrCo1−yTi(LSCT酸化物)、La1−xSrCo1−yNi(LSCN酸化物)、La1−xSrCo1−yFe(LSCF酸化物)で示される複合酸化物が挙げられる。ここで、上記「x」は、0≦x<1(例えば0.4≦x≦0.6)である。また、上記「y」は、かかるペロブスカイト型構造においてCoがTiやFe等の他の金属元素によって置き換えられた割合を示す値であり、上記のようなペロブスカイト型コバルト酸化物の「y」の取り得る範囲は、0≦y<1が適当であり、好ましくは0.1≦y≦0.5である。
上記のような材質からなる多孔質基材と酸素分離膜を備えてなる酸素分離膜エレメントに接合されて連結されるセラミックス製の接続部材の一つの好適例として、上記酸素分離膜エレメントにガス(例えば酸素含有ガス、典型的には空気)を供給するためのガス管が挙げられる。かかるガス管については、酸素分離膜エレメントにガスを供給するために一般的に用いられるガス管と同様でよく、特に制限されない。例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)等のジルコニア系酸化物、酸化セリウム、マグネシア、ムライト等の緻密体が挙げられる。特にYSZの緻密体からなるガス管は、ここで開示されるシール材にもYSZが含まれていることにより酸素分離膜エレメントと接合させ易く、また、かかるシール材や酸素分離膜エレメント(例えばその酸素分離膜)の熱膨張係数と近似させることができるので、好適に用いることができる。ガス管の形状、サイズについては、連結される酸素分離膜エレメントのサイズや接合部分の大きさに合わせて適宜設定される。以下、特に制限することを意図しないが、酸素分離膜エレメントに接合されるセラミックス製の接続部材がガス管である場合を例として、本発明を説明する。
セラミックス製の多孔質基材、およびガス管等の接続部材を製造する方法は、従来のこの種の膜エレメント(例えば酸素分離膜エレメント)で採用されている種々の性状のセラミック多孔質体、あるいは酸素分離膜エレメントにガスを供給するための一般的なガス管を製造する方法と同様でよく、特に限定されない。例えば一軸圧縮成形、静水圧プレス、押出成形等の従来公知の成形法を採用することができる。具体例としては、所定の材料(例えば平均粒径0.1μm〜10μm程度のMgO粉末やYSZ粉末等の粉末材料、バインダー、分散剤、溶媒)からなるスラリー状の成形材料を調製する。次いで、かかる成形材料を用いて所定形状(典型的には多孔質基材およびガス管のいずれも管状または円筒状)およびサイズに押出成形する。得られた成形体を酸化性雰囲気(例えば大気中)または不活性ガス雰囲気で適当な温度域(例えば1300〜1600℃)で焼成することにより、多孔質基材およびガス管を製造することができる。なお、多孔質基材およびガス管については市販品(既製品)を用いてもよい。
また、多孔質基材上にペロブスカイト構造の酸化物セラミックスからなる酸素分離膜を形成する手法は特に限定されず、従来公知の種々の手法を採用することができる。一好適例としては、まず、製造しようとするペロブスカイト型酸化物(例えばLSCN酸化物)からなる酸素分離膜用材料粉末を用意する。次に、適当なバインダー、分散剤、可塑剤、溶媒等と混合してスラリーを調製し、一般的なディップコーティング等の手法によって該スラリーを多孔質基材表面(例えば管状の多孔質基材の外周表面)に付与(塗布)することができる。多孔質基材表面に付与された塗布物(塗布膜)の厚さ寸法については、該塗布膜を焼成して得られる酸素分離膜の所望する膜厚に応じて適宜設定される。かかる酸素分離膜の膜厚としては、1000μm以下の範囲内が適当であり、好ましくは200μm以下(典型的には、凡そ5μm〜200μm)の範囲であり、より好ましい態様では凡そ100μm以下(典型的には、凡そ5μm〜100μm)の範囲であり、薄いものほど好ましい。このため、上記塗布膜の膜厚は該塗布膜の焼成後に上記範囲の厚さ寸法の酸素分離膜が得られるように設定される。本実施形態では酸素分離膜が多孔質基材に支持されているので、該酸素分離膜自体に機械的強度は要求されず、該酸素分離膜の緻密性が維持される範囲にあれば上記塗布膜の厚さ寸法の下限は特に限定されない。
以上により多孔質基材(支持体)の表面にペロブスカイト構造の酸化物セラミックス(例えばLSCN酸化物またはLSCT酸化物)からなる塗布膜(未焼成状態の酸素分離膜)を形成することができる。なお、多孔質基材上に形成された塗布物(塗布膜)を適当な温度(典型的には60〜100℃)で乾燥させてもよい。あるいは、後述のように、ガス管との接合部分にシール材を付与した後に、上記塗布膜とシール材とを両方まとめて乾燥させてもよい。
上記酸素分離膜用材料粉末としては、予め所定の組成に調製されている市販のペロブスカイト型酸化物粉末(例えばLSCN酸化物)を用いてもよい。あるいはまた、製造しようとするペロブスカイト型酸化物を構成する金属元素(例えばLa、Sr、Co、Ni)を含む酸化物あるいは加熱により酸化物となり得る化合物(当該金属原子の炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物、水酸化物、オキシハロゲン化物等)がそれぞれ該ペロブスカイト型酸化物の組成比に対応するような配合比で配合されたものを出発原料(粉末)とし、これを焼成(仮焼)することにより得られたものを上記酸素分離膜用材料粉末として用いることもできる。かかる出発原料は、上記ペロブスカイト型酸化物を構成する金属元素のうち2種以上の金属元素を含む化合物(複合金属酸化物、複合金属炭酸塩等)を含有してもよい。また、上記酸素分離膜用材料粉末に、水、有機バインダー等の成形助剤、および分散剤を添加・混合してスラリーを調製し、スプレードライヤー等の造粒機を用いることにより、所望する粒径(例えば平均粒径が10μm〜100μm)に造粒してもよい。
以上のようにして、ペロブスカイト構造の酸化物セラミックスからなる塗布膜(未焼成状態の酸素分離膜)が多孔質基材上に形成されている膜エレメントを得ることができるとともに、かかる膜エレメントに接合されるガス管を得ることができる。
次に、本発明に係る酸素分離膜モジュール用シール材について説明する。
ここで開示されるシール材は、上記のような構成の酸素分離膜エレメントとガス管等の接続部材とを互いにシールして接合するためのシール材(接合材)である。そして、かかるシール材は、ガラスマトリックス中に安定化ジルコニア結晶とケイ素含有化合物(すなわち、クリストバライト(SiO)結晶および/またはリューサイト(KAlSiあるいは4SiO・Al・KO)結晶)が析出し得る組成のガラス組成物(結晶含有ガラス)を主体とするガラスシール材である。
ここで開示されるシール材を構成する結晶含有ガラスについて説明する。
かかる結晶含有ガラスは、酸素分離膜モジュールの使用温度域(典型的には800℃以上1000℃未満、例えば900℃以上1000℃未満)およびそれ以上(典型的には1000℃以上、特に1200℃以上、例えば1200〜1300℃、より好ましくは1200〜1400℃あるいはそれ以上)の高温域で溶融し難い組成のガラスが好ましい。この場合、ガラスの融点(軟化点)を上昇させる成分の添加または増加により、所望する高融点(高軟化点)を実現することができる。
このような結晶含有ガラスは、その必須構成元素としてSi、Al、Na、Kを含んでおり、また、任意的(付加的)な構成元素としてMg、Ca、およびBを含み得る。これらの7つの構成元素を該元素の酸化物状態(すなわち酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)ならびに所望により酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ホウ素(B))として含んでいる酸化物ガラスであることが好ましい。本発明の実施に適する結晶の析出を妨げない範囲においてこれら成分のほか目的に応じて種々の成分(典型的には種々の酸化物成分)をさらに付加的に含むことができる。
また、結晶含有ガラスの結晶成分のうちクリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶について、かかる結晶の析出量は、結晶含有ガラスにおける上記構成元素(必須構成元素)の酸化物換算での含有率(配合比)によって適宜調整することができる。
このような結晶が析出し得る結晶含有ガラスの組成としては、結晶含有ガラス全体(クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶部分を含むガラスの構成成分全体)を100質量%として、SiOが60〜75質量%、Alが10〜20質量%、NaOが3〜15質量%、KOが5〜15質量%、MgOが0〜3質量%、CaOが0〜3質量%、およびBが0〜3質量%であることが好ましい。
SiOはクリストバライト結晶およびリューサイト結晶を構成する成分であり、接合部のガラス層(ガラスマトリックス)の骨格を構成する主成分である。SiO含有率が高すぎると融点(軟化点)が高くなりすぎてしまい好ましくない。一方、SiO含有率が低すぎると、クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶析出量が減少し得る。また、耐水性や耐化学性が低下する。SiO含有率が結晶含有ガラス全体の60〜75質量%であることが好ましい。
Alはリューサイト結晶を構成する成分であり、ガラスの流動性を制御して付着安定性に関与する成分である。Al含有率が低すぎると付着安定性が低下して均一な厚みのガラス層(ガラスマトリックス)の形成を損なう虞があるとともにリューサイト結晶析出量が減少し得る。一方、Al含有率が高すぎると、接合部の耐化学性を低下させる虞がある。Al含有率が結晶含有ガラス全体の10〜20質量%であることが好ましい。
Oはリューサイト結晶を構成する成分であり、NaOとともに熱膨張係数(熱膨張率)を高める成分である。KO含有率が低すぎるとリューサイト結晶析出量が減少し得る。また、KO含有率およびNaO含有率が低すぎると熱膨張係数が低くなりすぎる虞がある。一方、KO含有率およびNaO含有率が高すぎると熱膨張係数が過剰に高くなるため好ましくない。KO含有率がガラス組成物全体の5〜15質量%であることが好ましい。また、NaOの含有率が結晶含有ガラス全体の3〜15質量%であることが好ましい。KOとNaOの合計が結晶含有ガラス全体の10〜20質量%であることが特に好ましい。
アルカリ土類金属酸化物であるMgOおよびCaOは、熱膨張係数の調整を行うことができる任意添加成分である。CaOはガラス層(ガラスマトリックス)の硬度を上げて耐摩耗性を向上させ得る成分であり、MgOはガラス溶融時の粘度調整を行うことができる成分でもある。また、これらの成分を入れることによりガラスマトリックスが多成分系で構成されるため、耐化学性が向上し得る。これら酸化物の結晶含有ガラス全体における含有率は、それぞれ、ゼロ(無添加)かあるいは3質量%以下が好ましい。
もまた任意添加成分である。Bはガラス中でAlと同様の作用を示すと考えられ、ガラスマトリックスの多成分化に貢献し得る。また、シール材調製時の溶融性の向上に寄与する成分である。一方、この成分が多すぎると耐酸性の低下を招くため好ましくない。Bの結晶含有ガラス全体における含有率は、ゼロ(無添加)か、あるいは3質量%以下程度が好ましい。
また、上述した酸化物成分以外の、本発明の実施において本質的ではない成分(例えばZnO、LiO、Bi、SrO、SnO、SnO、CuO、CuO、TiO、ZrO、La)を種々の目的に応じて添加することができる。
また、上記結晶含有ガラスはその結晶成分として、上記クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶以外に、安定化ジルコニア結晶を含有する。ここで安定化ジルコニア(部分安定化ジルコニアを包含する。)としては、安定化剤として機能する酸化物が添加されて安定化(若しくは部分安定化)されたものであればよく、例えば、酸化イットリウム(Y)、酸化スカンジウム(Sc)、その他の希土類酸化物や、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等が酸化ジルコニウム(ZrO)に固溶されたものが挙げられる。特にジルコニア(酸化ジルコニウム;ZrO)に安定化剤としてイットリア(酸化イットリウム;Y)を添加(例えば1〜10mol%、典型的には3〜8mol%)して固溶させることにより得られる酸化物添加ジルコニアが好適である。かかる安定化ジルコニア結晶は、例えば上記結晶含有ガラスからなる上記シール材を用いて形成されたシール部(接合部)が1200℃以上の高温に曝されても、上記結晶成分が再溶解し得るのを防止するとともに、熱膨張係数の低下を抑制し得る成分である。
上記結晶含有ガラス中の安定化ジルコニア結晶の配合量としては、上記ガラス全体(例えば、上述したSi、Al、Na、K、Mg、CaおよびBが構成元素である場合は、これら元素の酸化物換算における総量)の1質量%を上回り且つ30質量%以下が好ましく、より好ましくは2〜30質量%である。さらに好ましくは3〜30質量%であり、例えば10〜30質量%である。安定化ジルコニア結晶の配合量が1%よりも少なすぎると、上記結晶含有ガラスからなるシール材において、該結晶含有ガラス中の他の結晶成分が再溶解し得る虞がある。また、少なくとも1200℃の温度下に曝された後の上記シール材の熱膨張係数(一般的な示差膨張方式(TMA)に基づく室温(25℃)〜500℃の間の平均値)が大幅に低下して接合対象部分の熱膨張係数との差が広がり、接合部分に形成されたシール部に剥離やクラック等が生じて該シール部の機械的強度が低下する虞がある。一方、上記安定化ジルコニア結晶の配合量が30質量%よりも多すぎると、結晶含有ガラス中の安定化ジルコニア結晶の含有量が多すぎてガラス成分が少なくなるため、シール部の緻密性が確保できず、高い気密性を有するシール部を形成できない虞がある。
上記のような組成の結晶含有ガラスからなるシール材の調製は、好ましくは、該シール材の熱膨張係数が接合対象(酸素分離膜エレメントとガス管等の接続部材)の熱膨張係数に近似するように該結晶含有ガラスの各構成(組成)成分を調合することにより行う。一例として、YSZ等のジルコニア系酸化物の緻密体から形成されているガス管と、ペロブスカイト型酸化物のLSCT酸化物からなる緻密な酸素分離膜との間を塞ぐ(シールする)ようにして、酸素分離膜エレメント(におけるMgOからなる多孔質基材)とガス管とを接合する場合には、上記ジルコニア系酸化物やペロブスカイト型酸化物の熱膨張係数(あるいは、上記接合部分全体としての熱膨張係数)に近似させて、熱膨張係数が10×10−6−1〜12×10−6−1となるように組成を調整して上記結晶含有ガラス(からなるシール材)を調製すればよい。
ここで、上記のような組成のガラス成分と上記クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶とを含むガラス組成物(すなわち安定化ジルコニア結晶を含まないガラス組成物)からなるシール材では、酸素分離膜モジュールの典型的な使用温度域(800℃以上1000℃未満)に曝される場合には、上記結晶成分は再溶解せず、また熱膨張係数についても酸素分離膜モジュールの構成部材の熱膨張係数(例えば10×10−6−1〜12×10−6−1)と同程度になり得る。しかし、上記使用温度域以上、例えば1000℃以上、特に1200℃以上(例えば1200〜1300℃、より好ましくは1200〜1400℃)の高温域に曝される場合には、上記結晶成分が再溶解し得るとともに、熱膨張係数が大幅に低下(例えば6×10−6−1〜9×10−6−1)し得るので、かかるシール材を用いて形成されるシール部(接合部)は、1200℃以上のような高温域での優れた耐熱性を実現することが難しかった。
上記のような安定化ジルコニア結晶を含まないシール材に対して、ここで開示される結晶含有ガラス(すなわち安定化ジルコニア結晶をも含むガラス組成物)から構成されるシール材は、例えば酸素分離膜の焼成時に1200℃以上(例えば1200〜1300℃、好ましくは1200〜1400℃あるいはそれ以上)の高温域に曝されても、上記結晶成分が再溶解して接合部分から溶出することなく、また熱膨張係数も10×10−6−1〜12×10−6−1を保持することができるので、優れた耐熱性を備えたシール部の形成が実現される。したがって、ここで開示される結晶含有ガラスからなるシール材を用いることにより、1200℃以上の高温域に曝されても高い気密性と機械的強度を有するシール部が形成されて、長期にわたりガスリークが高い次元で防止され得る高性能の酸素分離膜モジュールの製造を実現することができる。
次に、このようなシール材を製造する方法について説明する。
ここで開示されるシール材の製造方法は、以下の工程を包含することが好ましい。すなわち、かかる製造方法は、まず、(1)酸化物換算の質量比で以下の組成:
SiO 60〜75質量%;
Al 10〜20質量%;
NaO 3〜15質量%;
O 5〜15質量%;
CaO 0〜 3質量%;
0〜 3質量%;
MgO 0〜 3質量%;
から実質的に構成されるように調製されたガラス原料粉末を用意し、該原料粉末を溶融してガラスを調製すること、(2)上記調製したガラスを粉砕後、安定化ジルコニア粉末を上記ガラス原料粉末全体の1質量%を上回り30質量%以下(好ましくは2〜30質量%、より好ましくは3〜30質量%)に相当する量で添加して上記ガラスと上記安定化ジルコニアとの混合粉末を調製すること、および(3)上記混合粉末を結晶化処理することにより、上記ガラスのマトリックス中に安定化ジルコニア結晶と、クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶(ケイ素含有化合物)とを同時に析出させること、を包含する。
このような製造方法によって得られるシール材であって安定化ジルコニア添加後に結晶化処理して安定化ジルコニアと上記ケイ素含有化合物とを同時に析出させてなるシール材では、予めケイ素含有化合物を析出させたガラスに安定化ジルコニアを添加(典型的には添加後に熱処理を実施)して得られる安定化ジルコニア結晶とケイ素含有化合物とを含むシール材に比べて、1200℃以上(例えば1200〜1300℃)のような高温域下での熱膨張係数の低下を抑制する効果が向上し得る。
以下、ここで開示されるシール材の製造方法の一好適例について説明する。
まず、かかるシール材(結晶含有ガラス)の各構成元素の酸化物成分を得るための化合物(例えば各成分を含有する酸化物、炭酸塩、硝酸塩、複合酸化物等を含む工業製品、試薬、または各種の鉱物原料)および必要に応じてそれ以外の添加物をガラス原料粉末として用意する。かかる各粉末の平均粒径としては、凡そ1μm〜10μm程度が好ましい。このような各化合物および添加物を上記組成比となるように乾式または湿式のボールミル等の混合機に投入し、数〜数十時間混合する。このようにして得られた混和物(粉末)を、乾燥後、耐火性の坩堝に入れ、適当な高温(典型的には1000〜1500℃)条件下で加熱・溶融させる。このようにして上述のような組成からなるガラス(ガラス質中間体)を調製する。
次に、得られたガラス(ガラス質中間体)を適当な大きさ(粒径)となるまで粉砕し、ガラス(ガラス質中間体)粉末を作製する。このガラス粉砕処理後に分級処理も実施することが好ましい。ガラス粉末の粒径(平均粒径)としては、後に添加される安定化ジルコニア粉末と均一に混和し易く、また扱い易い粒径である限りにおいて特に制限されないが、例えば0.5μm〜50μmの範囲が適当であり、好ましくは1μm〜10μmである。
この粉砕により得られたガラス粉末に対して、安定化ジルコニア粉末を上述の配合比で添加する。安定化ジルコニア粉末の平均粒径としては、上記ガラス粉末と均一に混合された混合粉末を形成し易く、また後の結晶化処理において、安定化ジルコニア結晶が上記ケイ素含有化合物(すなわち、クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶)とともに好ましく析出し得るような大きさが好ましい。このような平均粒径としては、0.1μm〜10μmが好ましく、より好ましくは0.5μm〜5μmである。
上記添加された安定化ジルコニア粉末と上記ガラス粉末とを、上記と同様にして乾式または湿式のボールミル等の混合機を用いて数時間〜数十時間混合する。このようにして安定化ジルコニアとガラスとが満遍なく均一に混合された混合粉末を得る。かかる混合粉末としての平均粒径は、0.5μm〜10μmが好ましく、より好ましくは1μm〜5μmである。
次いで、上記のようにして得られた混合粉末に対して結晶化処理を行う。この結晶化処理としては、該混合粉末を、結晶化を誘起し得る温度域、例えば1000℃以下の温度域であって比較的高温域(例えば600〜1000℃、より好ましくは800〜1000℃)であって所定時間(典型的には30分間以上、例えば30分間〜60分間)加熱するとよい。一好適例としては、上記混合粉末を室温から約100℃まで約1〜5℃/分の昇温速度で加熱し、約100℃からは1〜10℃/分の昇温速度で加熱し、800〜1000℃の温度域で30分〜60分程度保持した後に、凡そ1〜5℃/分の降温速度で室温まで冷却することにより、ガラスマトリックス中に、安定化ジルコニア結晶に加えて上記ケイ素含有化合物(すなわちクリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶)を同時に析出させる。このようにして、結晶含有ガラスを得る。
こうして得られた結晶含有ガラスは、種々の方法で所望する形態に成形することができる。例えば、ボールミルで粉砕したり、適宜篩いがけ(分級)したりすることによって、所望する平均粒径(例えば0.1μm〜10μm)の粉末状結晶含有ガラス(ガラス組成物)を得ることができる。
また、得られた粉末状結晶含有ガラスに対して、水を適量加えて上記と同様のボールミルを用いて混合する。その後、所定時間の乾燥処理を実施することにより、本発明に係る粉末状のシール材を得ることができる。
このようにして得られた粉末状のシール材は、従来のシール材(接合材)と同様に、典型的にはペースト状(スラリー状)に調製されて、接合対象の接続部分(被接合部分)に塗布することができる。例えば、得られた上記シール材に適当なバインダーや溶媒を混合してペーストを調製することができる。なお、ペーストに用いられるバインダー、溶媒および他の成分(例えば分散剤)は、特に限定されるものではなく、ペースト製造において従来公知のものから適宜選択して用いることができる。
例えば、バインダーの好適例としてセルロースまたはその誘導体が挙げられる。具体的には、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、およびこれらの塩が挙げられる。バインダーは、ペースト全体の5〜20質量%の範囲で含まれることが好ましい。
また、ペースト中に含まれ得る溶媒としては、例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、または他の有機溶剤が挙げられる。好適例としてエチレングリコールおよびジエチレングリコール誘導体、トルエン、キシレン、ターピネオール等の高沸点有機溶媒またはこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。ペーストにおける溶媒の含有率は、特に限定されないが、ペースト全体の1〜40質量%程度が好ましい。
上記のようにしてペースト状に調製されたシール材は、従来のこの種のペースト状シール材と同様に用いることができる。すなわち、本実施形態では、接合対象である膜エレメント(上記未焼成状態の塗布膜が多孔質基材上に形成された膜エレメント)における塗布膜および/または多孔質基材)と接続部材(ガス管)の被接合部分を相互に接触・接続し、当該接続した部分にペースト状に調製されたシール材を付与(塗布)する。そして、かかる塗布物を適当な温度(典型的には60〜100℃、例えば80℃±10℃)で例えば1時間〜12時間程度乾燥させる。
次いで、上記多孔質基材上に塗布膜が形成されている膜エレメントとガス管との間にシール材が付与されてなるモジュールを所定の焼成温度で焼成する。
この焼成温度としては、上記ペロブスカイト構造の酸化物セラミックスからなる塗布膜(未焼成の酸素分離膜)を焼成して酸素分離膜を形成するのに適する温度であるとともに、上記シール材が溶出しない温度であることが好ましい。このような温度としては、1200℃以上が適当であり、好ましくは1200〜1300℃であり、より好ましくは1200〜1400℃である。
また、このような温度域で3時間〜10時間(好ましくは4時間〜8時間、より好ましくは5時間〜7時間)程度酸化性雰囲気または不活性ガス雰囲気下で焼成することが好ましい。このことにより、酸素分離膜エレメントと接続部材(ガス管)との接続(連結)部分においてガス流通を遮断する(すなわちガスリークが無い)接合部(シール部)が形成される。そして、上記塗布膜が焼成されて酸素分離膜が多孔質基材上に形成される。以上より、酸素分離膜エレメントとガス管との接合部が上記シール材によりシールされてなる接合体であって該接合体を基本(主要)構成要素として備える酸素分離膜モジュールが製造される。
上記のような酸素分離膜モジュールの製造方法は、酸素分離膜エレメントと接続部材(ここではガス管)との接合(シール)に用いられるシール材の特性、すなわち1200℃以上(例えば1200〜1300℃、好ましくは1200〜1400℃あるいはそれ以上)でも溶出しない高耐熱性を利用しており、かかる特性のシール材を用いることにより、上記接合によるシール部の形成と酸素分離膜の形成とを、上記塗布膜の焼成工程で同時に行うことを可能としている。これにより、酸素分離膜モジュールの製造プロセスの効率化およびこれに伴うコスト削減を実現することができる。また、シール材の別の特性、すなわち、該シール材が上記のような高温下でも上記酸素分離膜エレメントと接続部材(ガス管)との間の接合部分の熱膨張係数に近似する熱膨張係数を有し得る特性により、酸素分離膜モジュールの使用温度域に曝されても該シール材を用いて形成されたシール部は高い気密性と耐久性を維持し、ガス管内を流通するガス(例えば酸素含有ガス、典型的には空気)は該シール部においてリークすることなく酸素分離膜エレメントに供給される。したがって、本発明によると、優れた耐熱性と耐久性を備えた高性能の酸素分離膜モジュールが提供される。
ここで、上記酸素分離膜エレメントと接続部材(ガス管)との好適な接合部分であって上記シール材が好ましく用いられる接合部分としては、緻密膜である酸素分離膜と、緻密体のガス管との間がシールされてガス管内を流通するガス(例えば酸素含有ガス)がリークすることなく酸素分離膜エレメントに供給される限りにおいて特に制限されない。
ガスリークすることなく酸素分離膜エレメントへのガス供給を実現する酸素分離膜モジュールの構成の一好適例としては、図1に示されるような構成の酸素分離膜モジュール100が挙げられる。かかる酸素分離膜モジュール100は、管状(円筒状)の多孔質基材12の外周表面13に酸素分離膜14が形成されている酸素分離膜エレメント10の軸方向の両端部15a,15bがそれぞれ接続部材としての管状(例えば該エレメントと同径)のガス管20,30に連結している構成を有する。また、各ガス管20,30の軸方向の端面と上記酸素分離膜エレメント10における多孔質基材12の軸方向の端面とがたがいに当接して連結面25,35が形成されている。また、該連結面25,35を介して両者が接合するように上記シール材40が付与されてシール部(40)が形成されるとともに、かかるシール材40は上記連結面25,35を越えて酸素分離膜14の一部を覆うように付与されており、緻密なガス管20,30と緻密な酸素分離膜14との間(に生じ得る隙間)を該シール材40によって塞ぐようにしてシール部(40)が形成されている。
なお、酸素分離膜エレメント10(における両端部15a,15b、厳密には多孔質基材12の軸方向の端面)とガス管20,30との接続部分(連結面25,35)を接合(シール)するにあたり、酸素分離膜エレメント10とガス管20,30とを直接連結させずに両者の間に図示しないガス管とは別の接続部材(例えばガス管20,30と同質のセラミック製のリング部材等)を挟み、酸素分離膜エレメント10と該リング部材とガス管との間をそれぞれ相互に上記シール材を用いてシールさせることもできる。あるいはまた、別の接続部材を使用する例として、一方のガス管(例えばガス管20)から供給されたガスが上記酸素分離膜エレメント10内(すなわち管状の多孔質基材の内径を構成する内周壁面から形成される空洞部分17)を通って他方のガス管(例えばガス管30)から排出される構成ではなく、ガス管20,30のうちどちらか一方(例えばガス管30)が図示しない蓋状の接続部材(キャップ部材)に取り替えられて上記酸素分離膜エレメント10の一端が封じられており、かかる蓋状部材(キャップ部材)により供給されたガスの流通が止められて酸素分離膜エレメント10から排出されない構成の酸素分離膜モジュールが挙げられる。
以上のように、ガス管以外の種々の接続部材を備えた構成の酸素分離膜モジュールにおいても、上記シール材を用いることにより接続部材と酸素分離膜エレメント10との間を接合(シール)することができる。
また、かかる酸素分離膜モジュール100は、主要構成要素としての酸素分離膜エレメント10およびガス管20,30に加えて、例えば図1に示されるような上記酸素分離膜エレメント10を収容するチャンバー50を構成要素として備えることが好ましい。かかるチャンバー50を備えることにより、該チャンバー50内に他のガス(例えば炭化水素ガス)を供給することができ、かかるガスと酸素分離膜14により透過、分離された酸素とを上記チャンバー50内で反応(例えば部分酸化反応)させることができる。
なお、上記製造方法では、酸素分離膜の形成とシール部の形成を同時に行ったが、ここで開示されるシール材は、多孔質基材上の塗布膜を焼成して酸素分離膜を形成して酸素分離膜エレメントを製造し終えた後に、該酸素分離膜エレメントと接続部材(ガス管)とを接合する際にも好ましく用いることができる。すなわち、すでに形成されている酸素分離膜を備えた酸素分離膜エレメントとガス管との接続(連結)部分に上記シール材を付与し、上記と同様の条件で乾燥させた後、所定の焼成温度で焼成してシール部を形成することにより、酸素分離膜エレメントとガス管とが接合されてなる酸素分離膜モジュールを製造することができる。かかる場合において、上記塗布膜を焼成して酸素分離膜を形成する際の焼成温度としては、上記シール材を使用可能な温度域によって特に制限されず、ペロブスカイト構造の酸化物セラミックスを焼成できる典型的な温度、例えば1000〜1800℃(好ましくは1200〜1600℃)でよい。また、酸素分離膜形成の後に行われる焼成であって上記シール部を形成するための焼成では、酸素分離膜モジュールの使用温度域(例えば800℃以上1000℃未満、あるいはそれよりも高い温度域、例えば1000〜1200℃)と同等、またはそれよりも高い温度域であってガラスが流出しない温度域(例えば使用温度域が800℃以上1000℃未満の場合、典型的には1000〜1200℃、使用温度域が1000℃を超えて概ね1200℃までの場合、典型的には1200〜1300℃または1400℃以下)で焼成すればよい。
以下、図1を参照しつつ本発明に関する実施例を説明するが、本発明を以下の実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<MgOからなる多孔質基材の作製>
市販のマグネシア(MgO)粉末にバインダー等の成形助剤を混合し、ボールミル等で混練した。その後、100MPaの圧力下でプレス成形して外径20mm、厚さ(壁厚)約3mm程度の円筒状の成形体を得た。次に、当該成形体を大気中にて350℃で2時間程度の仮焼成を行って脱バインダーをした後、さらに大気中で1400℃で6時間程度の本焼成を行って、焼結体(多孔質基材)を得た。
<ペロブスカイト構造の酸化物セラミックスからなる酸素分離膜の作製>
酸素分離膜材料粉末として、平均粒径約1μmのLa0.5Sr0.5Co0.9Ni0.1(LSCN酸化物)粉末を用意した。この粉末に、適当量の一般的なバインダーと溶剤(水)をそれぞれ添加し、混合してスラリー状の酸素分離膜材料を調製した。
次いで、上記得られたMgOの多孔質基材の外周表面に、上記スラリー状酸素分離膜材料をディップコーティングにより付与した。そして、これを80℃で乾燥した。このようにしてLSCN酸化物からなる塗布膜が形成された膜エレメントを得た。
次に、酸素分離膜材料粉末として、平均粒径約1μmのLa0.6Sr0.4Co0.6Ti0.4(LSCT酸化物)粉末を用意した。この粉末を用いて、上記と同様にしてLSCT酸化物からなる塗布膜が形成された膜エレメントを作製した。
<ガス管の作製>
上記膜エレメントに接合される接続部材としてのガス管を以下のようにして作製した。すなわち、3〜8mol%YSZ粉末(平均粒径:約1μm)に上記と同様のバインダー、分散剤、および溶媒を添加して混練し、スラリーまたはペースト状のガス管用成形材料を調製した。次いで、かかる成形材料を押出成形等によって外径20mm、壁厚約3mm、長さ100mmの管状に成形した。得られた成形体を大気中で1300〜1600℃)で焼成し、2本の管状のガス管(図1におけるガス管20,30)を作製した。
<ペースト状シール材の作製>
YSZの添加量の異なる8種類のペースト状シール材を以下のようにして作製した。
まず、平均粒径が約1μm〜10μmであるSiO粉末、Al粉末、NaCO粉末、KCO粉末、MgCO粉末、CaCO粉末およびB粉末を、それぞれ以下の配合比、すなわち酸化物換算でSiOが67.0質量%、Alが13.9質量%、NaOが8.5質量%、KOが9.1質量%、MgOが0.6質量%、CaOが0.8質量%、Bが0.1質量%となるような配合比で混合し、ガラス原料粉末を得た。
次いで、このガラス原料粉末を1000〜1500℃の温度域(ここでは1450℃)で溶融してガラスを形成した。
得られたガラスを平均粒径として2μm程度になるまで粉砕してガラス粉末を作製した。
3〜8mol%YSZ粉末(平均粒径:約1μm)を用意し、上記ガラス原料粉末の全質量に対して0〜40質量%の範囲内で添加量を変え、YSZ粉末を各添加量(すなわち、0、1、3、5、10、20、30、および40質量%の計8種類)で上記ガラス粉末に添加し、十分に混合した。このときの混合粉末の平均粒径は1.5μm程度であった。このようにして、YSZ粉末の添加量が異なる組成の混合粉末を8種類調製した。
上記8種類の混合粉末に対して、結晶化処理として以下の処理を実施した。まず、上記混合粉末を室温から凡そ100℃まで約1〜5℃/分の昇温速度で加熱し、凡そ100℃からは1〜10℃/分の昇温速度で加熱して、800〜1000℃の温度域(ここでは850℃±50℃)で30分〜60分間程度保持した後に、1〜5℃/分の降温速度で室温まで冷却した。このようにしてYSZ結晶の含有率が互いに異なる計8種類の結晶含有ガラスを調製した。
ここで、YSZを添加していない結晶含有ガラスでは、クリストバライト結晶および/またはリューサイトの結晶が析出していた。YSZを添加した残りの結晶含有ガラスでは、ガラスマトリックス中に分散するようにYSZ結晶、クリストバライト結晶および/またはリューサイトの結晶が析出していた。
次いで、得られた8種類の結晶含有ガラスを粉砕し、分級を行って、平均粒径約2μmの粉末状の結晶含有ガラス(すなわちシール材)を得た。
上記粉末状の各結晶含有ガラス(シール材)40質量部に、一般的なバインダー(ここではエチルセルロースを使用した。)3質量部と、溶剤(ここではターピネオールを使用した。)47質量部とを混合し、計8種類のペースト状シール材を作製した。
<接合処理>
上記8種類のペースト状シール材を用いて接合処理を行った。具体的には、図1に示されるように、上記未焼成の塗布膜を備えた膜エレメント(図1では酸素分離膜エレメント10に相当)の両側に上記得られた2本のガス管20,30を配置した。該ガス管20を上記膜エレメントの一方の端部(図中の酸素分離膜エレメント10の端部15a)に配置するとともに該ガス管30を膜エレメントの他方の端部(図中の酸素分離膜エレメント10の端部15b)に配置し、上記膜エレメント(酸素分離膜エレメント10)における多孔質基材12の一方の端面にガス管20とを当接させて接続部分(連結面25)を形成した。同様に、上記膜エレメントにおける多孔質基材12の他方の端面にガス管30とを当接させて接続部分(連結面35)を形成した。
次に、ガス管20,30に挟まれた膜エレメント(酸素分離膜エレメント10)における塗布膜(図1では酸素分離膜14に相当)とガス管20,30との各間の隙間を塞ぐようにして上記連結面25,35に上記ペースト状シール材(図中のシール材40)を塗布した。これを80℃で乾燥した後、大気中1200℃で2時間焼成した。これにより、膜厚約50μmの酸素分離膜12を多孔質基材14の外周表面13上に形成するとともに、ガス管20,30と酸素分離膜エレメント10とを接合させてシール部40を形成した。このようにして、ガス管20,30と酸素分離膜エレメント10とが接合されてなる接合体(酸素分離膜モジュール100)を構築した。
以上のようにして、酸素分離膜の材質(LSCN酸化物またはLSCT酸化物)とYSZの添加量の異なる8種類のシール材とを互いに組み合わせて合計10種類の接合体(酸素分離膜モジュール)を構築した。これらの接合体をサンプル1〜10とした。各サンプル1〜10と酸素分離膜の材質およびシール材のYSZ添加量との相関を表1に示した。
Figure 2011041906
<ガスリーク試験>
次に、上記構築した酸素分離膜モジュール100(酸素分離膜エレメント10とガス管20,30とが接合されてなるサンプル1〜10)について、シール部40からのガスリークの有無を確認するリーク試験を行った。具体的には、図1に示されるように、酸素分離膜エレメント10がチャンバー50の内部空間に配置されるとともに、ガス管20,30については該チャンバー50を貫通し、酸素分離膜エレメント10と接合している側のガス管20,30の各端部は該チャンバー50の内部空間、他方の各端部は該チャンバー50の外側にそれぞれ配置されるように、上記酸素分離膜モジュール100を収容する。チャンバー50とガス管20,30との境界部分は密閉されている。
まず、チャンバー50内の温度を1200℃に設定し該チャンバー50内に収容された酸素分離膜エレメント10を1200℃に加熱した。かかる温度条件下でチャンバー50内にヘリウム(He)ガスを0.2Paの圧力下100mL/分の流量で供給した。また、上記ガス管20から空気を0.2Paの圧力下で100mL/分の流量で上記酸素分離膜エレメント10に2時間供給し続けた。かかる空気は、酸素分離膜エレメント10の内径の空洞部分17を流通して、ガス管30を通って排出された。ガスクロマトグラフィによりチャンバー50の図示しない排出口から排出されるHe排ガスの組成を測定し、該He排ガスに含まれるNガスの量を求めることにより、シール部40から空気中のNがリークしているか否かを評価した。かかる評価試験をサンプル1〜10に対して実施した。
ガスリークの評価結果を表1に示す。表1において、Nガスのリーク率(He排ガス中に含まれるNガスの体積含有率)が1%以下のものを「無」と表示し、実用的な気密性を有しているものとした。表1に示されるように、YSZが無添加であるシール材が用いられているサンプル1、およびYSZ添加量が1質量%のシール材が用いられているサンプル2では、シール部40にクラックが生じ、ガスリークが認められた。したがって、YSZの添加量が1質量%を上回るシール材は1200℃のような高温域での使用に好適であることが確認された。これに対し、YSZ添加量が40質量%のシール材が用いられているサンプル8では、YSZの添加量が多すぎてシール部40の緻密性が不十分であったためにガスリークが認められた。上記サンプル1,2および8以外のサンプルでは、酸素分離膜の材質に依らず、シール部40でのガスリークは好ましく防止されており、上記高温下でも優れた気密性および機械的強度を有することがわかった。以上の結果より、YSZがガラス原料粉末の全質量の1質量%を上回り且つ40質量%より少ない量で添加されている(好ましくはYSZ添加量が2〜30質量%、より好ましくは3〜30質量%である)シール材が適当であることが確認された。
<高温処理後の熱膨張係数評価>
次に、上記構築した計10種類の酸素分離膜モジュール(サンプル1〜10)について、上記1200℃の温度下で2時間の空気およびHeガスの供給を実施した後、各サンプルにおけるシール部40の熱膨張係数(ただし、示差膨張方式(TMA)に基づく室温(25℃)〜500℃の間の平均値))を測定した。この結果を表1に示す。
表1に示されるように、サンプル1および2では、その熱膨張係数が10×10−6−1を下回った。一方、サンプル3〜10については、いずれも10×10−6−1〜12×10−6−1の範囲内であった。なお、ここで使用したLSCN酸化物からなる酸素分離膜14、LSCT酸化物からなる酸素分離膜の熱膨張係数はそれぞれ15×10−6−1、13×10−6−1であり、YSZ製ガス管20,30の同条件での熱膨張係数は10.2×10−6−1であった。
以上の結果から、本実施例によると、クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶に加えてYSZ結晶を含む結晶含有ガラスからなるシール材を用いて、MgO多孔質基材上に形成されたペロブスカイト型酸化物からなる緻密な酸素分離膜とジルコニア系酸化物(YSZ)からなる緻密なガス管との間を塞ぐようにして酸素分離膜エレメントとガス管とを接続、連結することにより、少なくとも1200℃の高温条件に曝してもガスリークを生じさせることなく十分な気密性と機械的強度を確保しつつ接合する(すなわちシール部を形成する)ことができた。このため、耐熱性に優れた高性能の酸素分離膜モジュールを実現することができる。
10 酸素分離膜エレメント
12 多孔質基材
13 外周表面
14 酸素分離膜
15a,15b 酸素分離膜エレメントの軸方向の端部
20 ガス管
25 連結面
30 ガス管
35 連結面
40 シール部(シール材)
50 チャンバー
100 酸素分離膜モジュール

Claims (9)

  1. 多孔質基材上に酸素イオン伝導体であるペロブスカイト構造の酸化物セラミックスからなる酸素分離膜を備える酸素分離膜エレメントと、
    前記酸素分離膜エレメントに接合されたセラミックス製の接続部材と
    を備える酸素分離膜モジュールであって、
    前記酸素分離膜エレメントと前記接続部材との接合部分には、該接合部分におけるガス流通を遮断するシール部が形成されており、
    前記シール部は、ガラスマトリックス中に安定化ジルコニア結晶と、クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶とが析出しているガラスによって形成されている、酸素分離膜モジュール。
  2. 前記シール部は、酸化物換算の質量比で以下の組成:
    SiO 60〜75質量%;
    Al 10〜20質量%;
    NaO 3〜15質量%;
    O 5〜15質量%;
    MgO 0〜 3質量%;
    CaO 0〜 3質量%;
    0〜 3質量%;
    から実質的に構成されるガラスによって形成されており、
    前記安定化ジルコニア結晶は、前記ガラス全体の1質量%を上回り30質量%以下に相当する量で含まれている、請求項1に記載の酸素分離膜モジュール。
  3. 前記シール部を構成するガラスは、少なくとも1200℃の温度下に曝されても10×10−6−1〜12×10−6−1の熱膨張係数を維持する、請求項1または2に記載の酸素分離膜モジュール。
  4. 前記酸素分離膜は、一般式:
    Ln1−xMO3−δ (1)
    (ただし、式中のLnはランタノイドから選択される少なくとも一種であり、AはSr、CaおよびBaからなる群から選択される少なくとも1種であり、Mは、ペロブスカイト型構造を構成し得る1種または2種以上の金属元素であり、0≦x<1であり、δは電荷中性条件を満たすように定まる値である。)で表される組成のペロブスカイト構造を有する酸化物セラミックスにより構成されており、
    前記接続部材は、安定化ジルコニアにより構成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の酸素分離膜モジュール。
  5. 多孔質基材上に酸素イオン伝導体であるペロブスカイト構造の酸化物セラミックスからなる酸素分離膜を備える酸素分離膜エレメントと該酸素分離膜エレメントに接合したセラミックス製の接続部材とを備える酸素分離膜モジュールにおいて前記酸素分離膜エレメントと前記接続部材とをシールして接合するためのシール材であって、
    ガラスマトリックス中に安定化ジルコニア結晶と、クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶とが析出しているガラスからなり、
    ここで前記ガラスが、酸化物換算の質量比で以下の組成:
    SiO 60〜75質量%;
    Al 10〜20質量%;
    NaO 3〜15質量%;
    O 5〜15質量%;
    MgO 0〜 3質量%;
    CaO 0〜 3質量%;
    0〜 3質量%;
    から実質的に構成されているとともに、前記安定化ジルコニア結晶を前記ガラス全体の1質量%を上回り30質量%以下に相当する量で含む、酸素分離膜モジュール用シール材。
  6. 前記シール材として、少なくとも1200℃の温度下に曝された後も熱膨張係数が10×10−6−1〜12×10−6−1を維持するように調製されている、請求項5に記載の酸素分離膜モジュール用シール材。
  7. 酸素分離膜モジュール用シール材を製造する方法であって:
    酸化物換算の質量比で以下の組成:
    SiO 60〜75質量%;
    Al 10〜20質量%;
    NaO 3〜15質量%;
    O 5〜15質量%;
    MgO 0〜 3質量%;
    CaO 0〜 3質量%;
    0〜 3質量%;
    から実質的に構成されるように調製されたガラス原料粉末を用意し、該原料粉末を溶融してガラスを調製すること;
    前記調製したガラスを粉砕後、安定化ジルコニア粉末を前記ガラス原料粉末全体の1質量%を上回り30質量%以下に相当する量で添加して前記ガラスと前記安定化ジルコニアとの混合粉末を調製すること;および、
    前記混合粉末を結晶化処理することにより、前記ガラスのマトリックス中に安定化ジルコニア結晶と、クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶とを同時に析出させること;
    を包含する、製造方法。
  8. 前記結晶化処理として、前記混合粉末を1000℃以下の結晶化を誘起し得る温度域で所定時間加熱する、請求項7に記載の製造方法。
  9. 多孔質基材上に酸素イオン伝導体であるペロブスカイト構造の酸化物セラミックスからなる酸素分離膜を備える酸素分離膜エレメントと該膜エレメントに接合されたセラミックス製の接続部材とを備える酸素分離膜モジュールを製造する方法であって、
    前記ペロブスカイト構造の酸化物セラミックスからなる酸素分離膜用材料を前記多孔質基材上に塗布されてなる塗布膜が形成されている膜エレメントを用意すること、
    前記セラミックス製の接続部材を用意すること、
    請求項5または6に記載のシール材であってガラスマトリックス中に安定化ジルコニア結晶と、クリストバライト結晶および/またはリューサイト結晶とが析出しているガラスからなるシール材を、前記塗布膜が形成された多孔質基材と接続部材とを接続した部分に付与すること、および
    前記シール材が付与されて互いに接続している前記膜エレメントと前記接続部材とを、前記塗布膜の焼成温度域で焼成することによって、前記塗布膜が焼成されてなる酸素分離膜を前記多孔質基材上に形成すること、および前記膜エレメントと前記接続部材との接続部分に該シール材からなるガス流通を遮断するシール部を形成して互いに接合することを同時に行うこと、
    を包含する、酸素分離膜モジュールの製造方法。
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