JP2016081710A - セパレータ、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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匡広 土屋
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Abstract

【課題】透気度を維持しつつ、耐熱性に加え、無機粒子の粉落ちのない、優れた機械強度を有するリチウムイオン二次電池用セパレータの提供。【解決手段】ポリオレフィンを主体とする多孔質層の少なくとも片面に無機粒子を含有する層が積層され、前記無機粒子層上にさらにポリアミドイミドを含有する多孔質層が積層され、前記ポリアミドイミドを含有する多孔質層は、イミド基(A)とアミド基(B)の比率が(A)/(B)=1.1〜3.0で構成されているセパレータ。前記無機粒子を含有する層は水溶性高分子を含有するセパレータ。【選択図】図1

Description

本発明は、セパレータ、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池に関わるものである。
正極にコバルト酸リチウムに代表されるリチウム含有遷移金属酸化物、負極にリチウムをドープ・脱ドープ可能な炭素材料を用いたリチウムイオン二次電池を代表とする電気化学デバイスは、高エネルギー密度を有するという特徴から携帯電話に代表される携帯電子機器の電源として重要なものであり、これら携帯電子機器の急速な普及に伴いその需要は高まる一方である。
また、ハイブリッド自動車など、環境対応を意識した自動車が数多く開発されているが、搭載される電源の一つとして、高エネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池が大きく注目されている。
リチウムイオン二次電池の多くは、正極、リチウム塩を含む電解液、セパレータ、負極の多層体から構成されている。セパレータは、主たる機能として正極と負極の短絡防止を担っているが、要求特性として、リチウムイオンの移動度、強度、耐久性などがある。
現在、リチウムイオン二次電池用セパレータ用途に適するフィルムとして各種のポリオレフィン多孔膜が数多く提案されている。ポリオレフィン多孔膜中でもポリエチレン多孔膜は、上述にある要求特性を満たし、かつ高温時の安全機能として、高温による孔の閉塞から電流を遮断する事による熱暴走防止機能、いわゆるシャットダウン機能を有している事もあり、リチウムイオン二次電池用のセパレータとして幅広く使用されている。
しかしながら、温度上昇により多孔膜の孔が閉塞されて電流が一旦遮断されても、電池温度が多孔膜を構成するポリエチレンの融点を超えて、ポリエチレンの耐熱性の限界を超えると、多孔膜自体が溶融してシャットダウン機能が失われる。その結果、電極間の短絡をきっかけとして電池の熱暴走が発生するおそれがある。このため、さらなる安全性確保のために、高温時でもシャットダウン機能を維持できるセパレータが求められている。
そこで、特許文献1には、ポリエチレン多孔膜の表面に、全芳香族ポリアミド等の耐熱性樹脂からなる耐熱性多孔質層を被覆したリチウムイオン二次電池用セパレータが提案されている。また、特許文献2には、耐熱性樹脂よりも耐熱性の高いアルミナ等の無機粒子を耐熱性多孔質層中に含有させて、シャットダウン機能に加えて耐熱性の向上を図った構成が示されている。これらの構成はいずれも、シャットダウン機能と耐熱性を両立させた点において、電池の安全性という観点において優れた効果が期待できる。
しかし、特に最近の携帯電子機器等の用途においては、より耐熱性に優れたものが要望されていることから、無機粒子を用いたセパレータが望ましい。しかし無機粒子を用いたセパレータは、電池の製造時や、電池内部で用いた時等に、粉落ちによる信頼性の低下が懸念されるため、それらの改善が強く求められている。改善策としては、無機粒子層中に多くの接着性高分子等を含有する手段等も考えられるが、微細構造を有するポリオレフィン多孔膜上に形成すると、一般的にポリオレフィン多孔膜は微細孔であることから、これらの高分子が孔を塞ぎ、透気度が劣化し、結果として電池特性の低下を招く可能性がある。
特開2005−209570号公報 国際公開第2008/062727号
本発明の目的は、透気度を維持しつつ、耐熱性に加え、無機粒子の粉落ちのない、優れた機械強度を有するセパレータ及びそれを用いたリチウムイオン二次電池を提供することにある。
本発明者らは、透気度を維持しつつ、耐熱性に加え、無機粒子の粉落ちのない優れた機械強度を有するセパレータを提供すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の多層構造を持つ多孔質膜により上記課題を解決可能である事を見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明にかかるセパレータは、ポリオレフィンを主体とする多孔質層の少なくとも片面に無機粒子を含有する層が積層され、前記無機粒子を含有する層上にさらにポリアミドイミドを含有する多孔質層が積層され、前記多孔層はイミド基(A)とアミド基(B)の比率が(A)/(B)=1.1〜3.0で構成されていることを特徴とする。
前記ポリアミドイミドを含有する多孔質層は、少なくとも前記無機粒子を含有する層側の平均孔径が前記無機粒子の平均粒子径よりも大きいことが望ましい。
更に、前記無機粒子を含有する層は水溶性高分子を含有することが望ましい。
正極と、負極と、上記セパレータと、を有するリチウムイオン二次電池。
本発明は、透気度を維持しつつ、耐熱性に加え、無機粒子の粉落ちのない優れた機械的強度を有するセパレータ、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本実施例のセパレータの模式断面図である。 本実施形態のリチウムイオン二次電池の模式断面図である。
以下に、本発明の実施の形態について順次説明する。なお、これらの説明及び実施例は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
本実施形態のセパレータは、ポリオレフィンを主体とする多孔質層の少なくとも片面に無機粒子を含有する層が積層され、前記無機粒子を含有する層上にさらにポリアミドイミドを含有する多孔質層が積層され、前記多孔層はイミド基(A)とアミド基(B)の比率が(A)/(B)=1.1〜3.0で構成されていることを特徴とする。
このような本実施形態のセパレータによれば、ポリオレフィンを主体とする多孔質層により優れたシャットダウン特性が得られると共に、無機粒子を含有する層上にポリアミドイミドを含有する多孔層を積層することで、透気度を維持しつつ、機械的強度を向上させると共に無機粒子を含有する層の剥がれや粉落ちを防止することができる。また、シャットダウン温度以上の温度においても、ポリオレフィンが保持されるため高温時の収縮率を低減しより信頼性を高めることが可能となる。従って、このセパレータをリチウムイオン二次電池に適応すれば、より信頼性に優れた電池を得ることができる。
(ポリオレフィンを主体とする多孔質層)
本実施形態のセパレータに用いる基材としては、ポリオレフィンを主体とする多孔質膜が用いられ、その多孔質膜としては、微多孔膜、不織布、紙、その他三次元ネットーワーク状の多孔質構造を有した基材を挙げることができるが、より優れたシャットダウン特性が得られ、かつ、無機粒子層、耐熱樹脂多孔質層の塗工性が良好になる点で、微多孔膜であることが好ましい。ここで、微多孔膜とは、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった膜を言う。
本実施形態のポリオレフィンを主体とする多孔質層の原料としては、ポリエチレン、および、ポリエチレン以外のポリオレフィンを用いる必要がある。ポリオレフィンを含む層は、90重量%以上がポリオレフィンからなるものであればよく、10重量%以下の、電池特性に影響を与えない他の成分を含んでいても構わない。主なオレフィンとしては、高密度ポリエチレンや、密度1g/cm以上の高密度ポリエチレンと分子量100万以上の超高分子量ポリエチレンの混合物、またはこれらにポリプロピレンが混合もしくは積層されたものが、強度および耐熱性等の観点から好ましい。
本実施形態のポリオレフィンを主体とする多孔質層の膜厚は、4〜20μmであることが好ましい。4μmを下回る場合、力学強度が不十分となりハンドリング性が低下する場合があるため、好ましくない。20μmを超える場合、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度が低下し、十分な電池特性を達成するのが困難になる場合があるため、好ましくない。
本実施形態のポリオレフィンを主体とする多孔質層の空孔率は20〜80%であることが好ましい。更に好ましくは、30%〜70%である。空孔率が20%を下回る場合、透過性が低下しリチウムイオンの移動度が低下する場合があるため、好ましくない。一方、空孔率が80%を越える場合、力学強度が不十分となりハンドリング性が低下する場合があるため、好ましくない。
本実施形態のポリオレフィンを主体とする多孔質層の透気度(JIS・P8117に準拠)は50〜500sec/100ccであることが好ましい。透気度がこの範囲にある時、セパレータの機械強度と膜抵抗のバランスがとれたものとなる。50sec/100cc未満の場合、該セパレータの機械強度が低下する傾向にあり好ましくない。500sec/100ccを超える場合、ポリオレフィン多孔膜の膜抵抗が低下する傾向にあり、好ましくない。
本実施形態のポリオレフィンを主体とする多孔質層の105℃における熱収縮率は5〜45%以下であることが好ましい。熱収縮率がこの範囲にある時、ポリオレフィンを主体とする多孔質層を加工して得たリチウムイオン二次電池用セパレータの形状安定性とシャットダウン特性のバランスがとれたものとなる。熱収縮率が5%未満の場合、ポリオレフィンの流動性が悪い事を意味し、シャットダウン特性が低下し、好ましくない。熱収縮率が45%を越える場合、高温時の形状安定性が悪くなり、好ましくない。
なお、いうまでもないが、本実施形態のポリオレフィンを主体とする多孔質層は、単層であってもよいし、多層であっても構わない。
(無機粒子を含有する層)
本実施形態の無機粒子を含有する層は、無機粒子間の間隙により通気性を有する膜であり、無機粒子同士を結着させるためのバインダを含有することが好ましい。無機粒子の含有量は、特に限定はないが、無機粒子を含有する層全体を100質量%としたとき、10質量%以上、95質量%以下が好ましく、更に好ましくは50質量%以上、90質量%以下である。10質量%以上であれば、リチウムイオン伝導度が高くなる傾向にあり、95質量%以下であれば、無機粒子を含有する層の機械的強度が高い傾向にある観点から好ましい。
無機粒子同士を結着させるためのバインダとしては、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、寒天、カラギナン、ファーセラン、ペクチン、スターチ、マンナン、カードラン、アーネストガム、澱粉、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等多糖類;ゼラチン等のタンパク質;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸、又はこれらの金属塩等の水溶性高分子や、合成重合体エマルジョンの例としては、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、ポリスチレン系重合体ラテックス、ポリブタジェン系重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジェン系共重合体ラテックス、ポリウレタン系重合体ラテックス、ポリメチルメタクリレート系重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジェン系共重合体ラテックス、ポリアクリレート系重合体ラテックス、塩化ビニル系重合体ラテックス、酢酸ビニル系重合体エマルジョン、酢酸ビニル−エチレン系共重合体エマルジョン、ポリエチレンエマルジョン、カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョンなどが挙げられる。このなかでも、水溶性高分子がコストや、無機粒子全体に溶解した高分子が被膜することによる結着性向上の点で好ましい。
また、無機粒子を含有する層は、原料となる塗料の濡れ性の向上のためにジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、高級脂肪酸カリウム塩、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(C8)エーテルリン酸エステル・モノエタノールアミン塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどの界面活性剤や無機粒子の粒径安定化のために各種高分子及びそれらの塩からなる分散剤を添加することもある。
本実施形態の無機粒子としては、特に限定はないが、具体的には炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩、アルミナ(Al)、チタニア(TiO)、シリカ(SiO)、ジルコニア(ZrO)などの金属酸化物、リン酸カルシウムなどの金属リン酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物などが好適に用いられる。特に炭酸カルシウムが好ましい。
また、上述した材料を適宜複数混合して用いることもできる。
本実施形態に用いる無機粒子の平均粒子径は、0.1〜2μmの範囲が好ましい。無機粒子の平均粒子径が2μmを超えると、耐熱性が下がるおそれがあるため好ましくない。また、無機粒子の平均粒子径が0.1μm未満であると、塗膜強度が低下し粉落ちの課題が生じるおそれがあり好ましくない。平均粒径については、無機粒子が液中に分散されている場合は、レーザー回折による粒度分布計で、その強度等からD50における平均粒径を用いる方法が一般的である。また、粉体の場合は電子顕微鏡を用いても測定可能である。
無機粒子を用いて作製される無機粒子を含有する層は、一般的に有機溶媒または、無機溶媒中に分散された塗料を各種コータ―、スプレー等により、多孔質膜に塗布することで得られる。塗料の無機粒子の固形分に制限はないが、特定の膜厚にするための粘度等を調整する必要がある。また、塗料には接着性を向上するための樹脂、エマルジョン等の成分を入れても良い。また必要に応じて無機粒子の分散を維持するための分散剤を入れても良い。
無機粒子を含有する層の膜厚は0.5〜5μmの範囲が好ましい。膜厚が5μmを超えると、通気度特性が悪くなるおそれがある。また0.5μmを下回ると、所望する耐熱性が得られないおそれが生じる。
(ポリアミドイミドを含有する多孔質層)
本実施形態において、ポリアミドイミドを含有する多孔質層は、耐熱性を有する多孔質層として形成され、ポリアミドイミドを含有する多孔質層はイミド基(A)とアミド基(B)の比率が(A)/(B)=1.1〜3.0で構成されていることを特徴とする。
好ましくは(A)/(B)=1.2〜3.0、更に好ましくは(A)/(B)=1.5〜3.0である。1.1より小さくなった場合、つまりアミド基が増えると、多孔質膜形成時のポリアミドイミドの析出能力が低下し、耐熱性のセパレータが作製できなくなるおそれがあるためである。また、3.0より大きくなる、つまりイミド基が増えると、樹脂が合成段階で増粘し、著しく作業性が落ちることでセパレータの作製が困難になるおそれがあるためである。
その厚みは、基材となるポリオレフィンを主体とする多孔質層の両面に形成されている場合、ポリアミドイミドを含有する多孔質層の厚みの合計が2μm以上10μm以下であることが好ましく、ポリアミドイミドを含有する多孔質層が片面にのみ形成されている場合は、ポリアミドイミドを含有する多孔質層の厚みが1μm以上7μm以下であることが好ましい。また、ポリアミドイミドを含有する多孔質層の空孔率は20〜90%の範囲が好適である。特に30〜50%が好ましい。また、電子顕微鏡による断面のポリアミドイミドを含有する多孔質層の孔の平均面積は0.010〜0.100μm程度が好適である。
また、ポリアミドイミドを含有する多孔質層は、前記無機粒子を含有する層側の平均孔径がその反対側の平均孔径よりも大きいことが好ましい。かかる構成によれば、透気度を維持しつつ、耐熱性に加え、さらに優れた機械的強度を両立させることができる。
(セパレータ)
上述した層を備えた多層構造のセパレータは、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度や、負荷特性の観点からは、セパレータの膜厚が薄い程好ましい。ポリオレフィンを主体とする多孔質層に無機粒子層とポリアミドイミドを含有する多孔質層を積層させた全体の膜厚が30μm以下であることが好ましい。また15μm以下であることがさらに好ましい。全体の膜厚が30μmを超える場合、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度が低下する傾向があり、好ましくない。
本実施形態に示すセパレータの全体の平均空孔率は20〜80%であることが好ましい。更に好ましくは、30%〜70%である。また30〜50%であることがさらに好ましい。空孔率が20%を下回る場合、透過性が低下しリチウムイオンの移動度が低下する場合があるため、好ましくない。一方、空孔率が80%を越える場合、力学強度が不十分となりハンドリング性が低下する場合があるため、好ましくない。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用セパレータの透気度(JIS・P8117に準拠)は100〜500sec/100ccであることが好ましい。透気度がこの範囲にある時、セパレータの機械強度と膜抵抗のバランスがとれたものとなる。100sec/100cc未満の場合、セパレータの機械強度が低下する傾向にあり好ましくない。500sec/100ccを超える場合、リチウムイオン二次電池用セパレータの膜抵抗が低下する傾向にあり、好ましくない。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用セパレータの150℃における熱収縮率は0〜10%であることが好ましい。熱収縮率がこの範囲にある時、セパレータとしてもの形状安定性とシャットダウン特性のバランスがとれたものとなる。10%以上の場合、高温時の形状安定性が悪くなり、好ましくない。好ましくは0〜8%である。
(リチウムイオン二次電池)
次にこれまで説明してきたセパレータが好適に用いられるリチウムイオン二次電池の構成を図2を用いて説明する。
リチウムイオン二次電池100は、主として、積層体40、積層体40を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体40に接続された一対のリード60,62を備えている。また図示されていないが、積層体40とともに非水電解液をケース50に収容している。
積層体40は、正極20、負極30がセパレータ10を挟んで対向配置されたものである。正極20は、板状(膜状)の正極集電体22上に正極活物質層24が設けられたものである。負極30は、板状(膜状)の負極集電体32上に負極活物質層34が設けられたものである。正極活物質層24及び負極活物質層34がセパレータ10の両側にそれぞれ接触している。正極集電体22及び負極集電体32の端部には、それぞれリード62,60が接続されており、リード60,62の端部はケース50の外部にまで延びている。
以下、正極20及び負極30を総称して、電極20、30といい、正極集電体22及び負極集電体32を総称して集電体22、32といい、正極活物質層24及び負極活物質層34を総称して活物質層24、34という。
(電極)
正極20、負極30について具体的に説明する。正極20、負極30は、正極集電体22、負極集電体32と、正極集電体22、負極集電体32の表面に形成された活物質及びバインダーを含む正極活物質層24、負極活物質層34と、を備える。
(正極集電体)
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
(正極活物質層)
正極活物質層24は、正極活物質、バインダー、必要に応じた量の導電材を含むものである。
(正極活物質)
正極活物質としては、リチウムイオンを含有し、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn、Li(CoNiMn)O、Li(NiCoAl)O、Li(MnAl、Li[LiMnNiCo]O、LiVOPO、LiFePO等のリチウム含有金属酸化物が挙げられる。バインダーは、活物質同士を結合すると共に、活物質と正極集電体22とを結合している。
(正極活物質層のバインダー)
バインダーは、活物質同士を結合すると共に、活物質と正極集電体22とを結合している。
バインダーの材質としては、上述の結合が可能であればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
(正極活物質層の導電材)
導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
(負極集電体)
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
(負極活物質層)
負極活物質層34は、負極活物質、バインダー、必要に応じた量の導電材を含むものである。
(負極活物質)
負極活物質はリチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知の電池用の負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ等のリチウムと化合することのできる金属、二酸化シリコン、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)等を含む粒子が挙げられる。単位重量あたりの容量の高く、比較的安定な黒鉛を用いることが好ましい。
(負極活物質層のバインダーおよび導電材)
負極活物質層34のバインダー、導電材は、それぞれ、正極と同様のものを使用できる。
(電解液)
電解液は、電解質と非水溶媒と添加剤にて構成される。
(電解質)
電解質としてはリチウム二次電池の場合、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(SOF)、LiN(CFCFCO)等が挙げられる。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。電解質としてはLiPF、LiBF、LiN(SOF)がサイクル特性や保存特性の観点から好ましく、LiPFがより好ましい。電解質の濃度は1種の場合でも2種以上の場合でも、0.8〜1.5Mが好ましい。
(非水溶媒)
非水溶媒としては、公知の電気化学デバイスに使用されている溶媒を使用することができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ―ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、ジメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキシレン、4−メチル−1,3−ジオキシレン、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトニトリル、スルホラン、2−メチルスルホラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルオキサゾリジノンなどが挙げられる。これらの溶媒を単独もしくは複数種類併せて用いることができる。環状カーボネートや鎖状カーボネートがサイクル特性や保存特性の観点から好ましく、エチレンカーボネートやジエチルカーボネートがより好ましい。
(添加剤)
また、添加剤として、公知の添加剤を加えてもよい。例えば、フルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、1,3−プロパンスルトン、1,3,2−ジオキサチオラン−2,2,−ジオキシド、エチレンサルファイトなどを0.01〜5質量%添加してもよい。
(ケース)
ケース50は、その内部に積層体40及び電解液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からの電気化学デバイス100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミニウム箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
(リード)
リード60,62は、アルミニウム等の導電材料から形成されている。
以上、本実施形態のセパレータは、図2に示すリチウムイオン二次電池に好適に利用可能であるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
[ポリアミドイミドの合成]
実施例、比較例で用いたポリアミドイミドの合成は以下の方法で実施した。
まず、窒素雰囲気下中の2Lセパラブルフラスコ中に4,4’一ジフェニルメタンジイソシアナートを入れ、4,4’一ジフェニルメタンジイソシアナートと同モル量になるように酸無水物である、無水トリメリット酸、ピロメリット酸二無水物を表1.に記載された比率となるように入れ、フッ化カリウムを、4,4’一ジフェニルメタンジイソシアナートに対し0.01mol%加えた後、固形分15重量%になるようにN−メチル−2−ピロリドン加えた後、180℃、1時間半撹拌させることで、ポリアミドイミドを合成した。
[無機粒子を含有する層の製造方法]
本実施例、比較例における各サンプルは、以下の方法で製膜した。なお、図1として本実施例のセパレータの構成を参考までに示した。
基材としてポリオレフィンを主体とする多孔質層14(厚み12μm)上の片側の面に市販のバーコーターを用いて固形分3重量%の水溶性高分子であるカルボキシメチルセルロースを加え、固形分0.5重量%のラウリルスルホコハク酸二ナトリウム、固形分30重量%の酸化アルミニウム(平均粒径0.5μm)の水分散液を乾燥後に2μmの厚みになるように塗布し、60℃にて5分間乾燥させることで、無機粒子を含有する層13(明細書中、無機粒子層ともいう。)を有する多層膜を得た。
[ポリアミドイミドを含有する多孔質層の製造方法]
さらに、表1に記載された比率のポリアミドイミドを用いて、粘度が1000cpになるようにN−メチル−2−ピロリドンで希釈した。その後市販のバーコーターを用いて、上述の作製方法にて作製した無機粒子を含有する層上に乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布し、60℃の水/N−メチル―2−ピロリドン=50/50(凝固浴)中に約30秒静かに浸漬させた後、20℃の水浴に静かに移動させ、5分後に取り出し40℃の大気雰囲気でポリオレフィンを主体とする多孔質層14の無機粒子層とは反対側の表面に気流を当てながらで1時間乾燥することで、ポリオレフィンを主体とする多孔質層14(明細書中、ポリオレフィン多孔質膜ともいう)上に、無機粒子を含有する層13とポリアミドイミドを含有する多孔質層11からなる耐熱層12が積層されたセパレータを完成させた。
[測定方法]
本実施例における各値は、以下の方法に従って求めた。
[透気度]
まず、得られたポリアミドイミドを含有する多孔質層まで積層させたポリオレフィン多孔膜をJIS L8117に準拠して透気度を測定した。その後、多層構造の最上層であるポリアミドイミドを含有する多孔質層100x100mmの上に粘着テープを貼り、それを剥がすことでポリアミドイミドを含有する多孔質層をポリオレフィン多孔膜から剥離させる。この操作を3回行い、ポリアミドイミドを含有する多孔質層と無機粒子を含有する層とを剥がしたポリオレフィン多孔膜をさらにJIS L8117に準拠して透気度を測定した。この結果より、ポリアミドイミドを含有する多孔質層(耐熱樹脂多孔質層)まで積層させたポリオレフィン多孔膜からポリオレフィン多孔膜の透気度を差し引くことで、ポリアミドイミドを含有する多孔質層と無機粒子を含有する層の透気度、つまり表1の耐熱層透気度とした。
[耐熱性]
耐熱性の評価は熱収縮率を測定することで評価した。各実施例、比較例で得られた多孔質膜をそれぞれ80mm×80mmに切り取り、150℃、50分のオーブン内に静置し、100−(加熱後の面積/加熱前の面積×100)により膜の熱収縮率(%)を測定した。
[粉落ち]
各実施例、比較例で得られた多孔質膜をそれぞれ1000mm×80mmに切り取り倦回機を用いて倦回を行った。その際に、目視で確認しながら、◎は粉落ちを確認できない、〇はわずかに粉落ちが確認できる、×は激しく粉落ちするとし、それぞれを評価した。
[実施例1]
まず、上記[ポリアミドイミドの合成]で得られた表1の実施例1に記載したイミド基(A)/アミド基(B)のポリアミドイミドを用いて、上述した製造方法に従い、ポリオレフィンを主体とする多孔質層を基材として、その基材の片面に無機粒子を含有する層(明細書中、無機粒子層ともいう)を積層し、さらにその無機粒子層上にポリアミドイミドを含有する多孔質層を積層し、多層構造のセパレータを作製し、セパレータ全体の透気度、耐熱層透気度、耐熱性、粉落ちの評価を行った。
[実施例2]
表1の実施例2に記載した比率のポリアミドイミドを用いた以外は実施例1と同様の方法で各評価を実施した。
[実施例3]
表1の実施例3に記載した比率のポリアミドイミドを用いた以外は実施例1と同様の方法で各評価を実施した。
[実施例4]
表1の実施例4に記載した比率のポリアミドイミドを用いた以外は実施例1と同様の方法で各評価を実施した。
[実施例5]
表1の実施例5に記載した比率のポリアミドイミドを用いた以外は実施例1と同様の方法で各評価を実施した。
[実施例6]
表1の実施例6に記載した比率のポリアミドイミドを用いた以外は実施例1と同様の方法で各評価を実施した。
[実施例7]
表1の実施例7に記載した比率のポリアミドイミドを用いてポリアミドイミドを含有する層と無機粒子層を両面に塗布した以外は実施例1と同様の方法で各評価を実施した。
[比較例1]
ポリアミドイミドを用いず無機粒子層のみを製膜した以外は実施例1と同様の方法で各評価を実施した。
[比較例2]
[ポリアミドイミドを含有する層の製造方法]で作製した塗料の粘度を3000cpにした以外は、実施例1と同様の方法で各評価を実施した。
[比較例3]
表1の比較例1に記載した比率のポリアミドイミドを用い、60℃の水/N−メチル―2−ピロリドン=50/50(凝固浴)中に約30秒静かに浸漬させる工程を行わずに作製した以外は実施例1と同様の方法で各評価を実施した。
得られた各セパレータの特性について示した表1について説明する。実施例1〜7は、無機粒子の粉落ちが少なく、耐熱性の高い良好な特性を持つことがわかった。比較例1はポリアミドイミドを含有する層を持たないことから、激しい粉落ちが起こり、基材が表面に出てしまうことで耐熱性も低下し、ポリアミドイミドを含有する層としての機能を持つには至らなかった。比較例2については、無機粒子層側のポリアミドイミドの孔が狭まることで、透気度が悪化すると同時に、無機粒子層の剥がれが生じ、実施例1〜7に比べて透気度、耐熱性が著しく劣る結果となった。比較例3については耐熱樹脂の多孔化を行わなかったために目詰まりが発生し、著しく透気度が悪いことが判明した。
さらに、実施例6において、セパレータ断面での電子顕微鏡写真から平均孔径を測定したところ、ポリアミドイミドを含有する層を厚み方向に2等分した領域での測定において、無機粒子を含有する層側の平均孔径と、その反対側の平均孔径の比は1.1であった。これにより、より優れた透気度を実現できたものと推察される。また、実施例1〜6のセパレータは、ポリアミドイミドを含有する層の無機粒子を含有する層側の平均孔径は、前記無機粒子の平均粒子径よりも大きいことが確認された。なお、平均孔径は、上記セパレータ断面の電子顕微鏡写真を用いて無作為に10点の孔径を測定し、それの平均を基に平均孔径を算出した。
Figure 2016081710
11・・・ポリアミドイミドを含有する多孔質層、12・・・耐熱層、13・・・無機粒子を含有する層、14・・・ポリオレフィンを主体とする多孔質層

Claims (4)

  1. ポリオレフィンを主体とする多孔質層の少なくとも片面に無機粒子を含有する層が積層され、前記無機粒子層上にさらにポリアミドイミドを含有する多孔質層が積層され、前記ポリアミドイミドを含有する多孔質層は、イミド基(A)とアミド基(B)の比率が(A)/(B)=1.1〜3.0で構成されていることを特徴とするセパレータ。
  2. 前記ポリアミドイミドを含有する多孔質層の少なくとも前記無機粒子を含有する層側の平均孔径が前記無機粒子の平均粒子径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のセパレータ。
  3. 前記無機粒子を含有する層は水溶性高分子を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のセパレータ。
  4. 正極と、負極と、前記請求項1乃至3のいずれか一項に記載のセパレータと、を有するリチウムイオン二次電池。
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