JP2016080020A - 密封装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】雨水や泥水等の異物の遮断性能を向上させることができると共に、回転トルクの低減を図ることができる密封装置を提供する。
【解決手段】密封装置は、軸線xを中心とする環状の密封装置本体10とスリンガ20とを備える。スリンガ20は、密封装置本体10に対向して配設されている。密封装置本体10とスリンガ20とは、軸線xを中心とする環状の間隙2を形成する。密封装置は、被覆部材30を備え被覆部材30は、外周側の第1の部分31と内周側の第2の部分32とを備え、第2の部分32がスリンガ20に固定されている。被覆部材30は、先端部分33が、外輪41の外側面41bに当接しており、間隙2を閉鎖している。内輪42が回動すると、遠心力Fが発生し、第1の部分31が弾性変形し、被覆部材30の先端部分33が外輪41の外側面41bから離間する。
【選択図】図3

Description

本発明は、密封装置に関し、特に、車両等において雨水や泥水等の異物の浸入を防止するために用いられる密封装置に関する。
車両、例えば自動車において、車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置(以下、ハブベアリングともいう。)は、雨水や泥水等の異物に直接曝される環境にある。このため、従来から、車輪用軸受装置には、この車輪用軸受装置を外部から密封するために、密封装置が取り付けられている。この密封装置は、車輪用軸受装置の内部に雨水や泥水等の異物が進入することの防止を図っている。
図9は、従来の車輪用軸受装置に取り付けられた密封装置(以下、ハブシールともいう。)の概略構成を示すための部分断面図である。図9に示すように、従来のハブシールとしての密封装置100は、車輪用軸受装置200において、互いに同軸に相対回動する外輪201と内輪202との間の環状の空間203を密封するために、外輪201と内輪202との間に圧入されている。車輪用軸受装置200は、転がり軸受であり、図示しない転動体が外輪201と内輪202との間に配設されており、外輪201と内輪202とが相対回動可能になっている。密封装置100は、空間203内に異物が浸入することを抑制している。
密封装置100は、図9に示すように、外輪201に内嵌される環状の密封装置本体110と、内輪202に外嵌される環状のスリンガ120とを備える。密封装置本体110は、環状の補強環111と、この補強環111を覆うように一体に形成されたゴム材から成る弾性体部112とを備える。補強環111は、軸線に沿う断面の形状が、図9に示すように略L字形状であり、補強環111の外周側の円筒状の部分が外輪201の内周面に液密に嵌合されている。弾性体部112は、補強環111の内周側及び外側に形成されており、外周側の円筒状の円筒部113と、円筒部113の内側の端部から軸線に向かう方向(径方向)に延びる基体部114とを備える。基体部114は、軸線方向において外側に延びるサイドリップ115と、二股に分かれて径方向に延びるラジアルリップ116とを備える。
スリンガ120は、金属製であり、軸線に沿う断面の形状が図9に示すように略コ字形状であり、内周側の円筒状の部分である内周円筒部121と、外周側の円筒状の部分である外周円筒部122と、内周円筒部121と外周円筒部122とを各々の外側の端部で接続する、円盤状の部分である円盤部123とを備える。スリンガ120は、内周円筒部121が内輪202の外周面に液密に嵌合されている。
図9に示すように、密封装置100において、密封装置本体110のサイドリップ115は、所定の締め代(接触幅)を持ってスリンガ120の円盤部123の内側面に当接し、シール部を形成している。また、密封部材本体110のラジアルリップ116は、所定の締め代を持ってスリンガ120の内周円筒部121の外周面に当接し、シール部を形成している。さらに、密封部材本体110の弾性体部112の円筒部113は、スリンガ120の外周円筒部122と径方向において互いに対向しており、円筒部113と外周円筒部122との間には、薄い円環状の間隙101が形成されている。この円環状の微小な間隙101は、ラビリンスシールを形成している。そして、弾性体部112の円筒部113の内周面には、環状の凸部117と環状の凹部118が互に複数設けられており、間隙101において、外側に向かう流体の流れが形成されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
このように、従来の密封装置100においては、サイドリップ115及びラジアルリップ116に加えて、先ず、間隙101が形成するラビリンスシールによって、雨水や泥水等の異物が密封装置100の内部へ浸入することが抑制されている。また、ラビリンスシールにおいては、車両用軸受装置200の回動時に、環状凸部117及び凹部118により、外側に向かう流れが形成され、異物の密封装置100の内部への浸入が更に抑制されている。そして、たとえ異物が間隙101を通過しても、サイドリップ115及びラジアルリップ116が形成するシール部により、異物の車輪用軸受装置200内部への浸入が抑制されている。また、従来の密封装置100においては、サイドリップ115及びラジアルリップ116に加えて、間隙101が形成する非接触のラビリンスシールが設けられており、密封装置本体110とスリンガ120との間に発生する摺動抵抗の低減が図られており、密封装置100の回転トルクの低減が図られている。
また、図10は、従来の車輪用軸受装置に取り付けられた他の密封装置の概略構成を示すための部分断面図である。図10に示すように、従来の密封装置130は、上記従来の密封装置100と同様に、車輪用軸受装置210において、互いに同軸に相対回動する外輪211と内輪212との間の環状の空間213に圧入されている。車輪用軸受装置210は、車輪用軸受装置200と同様に、転がり軸受である。密封装置130は、空間213内に異物が進入することを抑制している。
密封装置130は、図10に示すように、外輪211に内嵌される環状の密封装置本体140と、内輪212に外嵌される環状のスリンガ150とを備える。密封装置本体140は、環状の補強環141と、この補強環141を覆うように一体に形成されたゴム材から成る弾性体部142とを備える。補強環141は、軸線に沿う断面の形状が、図10に示すように略L字形状であり、補強環141の外周側の円筒状の部分が外輪211の内周面に液密に嵌合されている。弾性体部142は、補強環141の内周側及び外側に形成されており、外周側の円筒状の円筒部143と、円筒部143の内側の端部から径方向に延びる基体部144とを備える。基体部144は、軸線方向において外側に延びるサイドリップ145と、径方向に延びて二股に分かれるラジアルリップ146とを備える。また、基体部144は、サイドリップ145よりも外周側に、径方向外周側に湾曲して延びる補助リップ147を備える。
スリンガ150は、金属製であり、軸線に沿う断面の形状が図10に示すように略コ字形状であり、内周側の円筒状の部分である内周円筒部151と、外周側の円筒状の部分である外周円筒部152と、内周円筒部151と外周円筒部152とを各々の外側の端部で接続する、円盤状の部分である円盤部153とを備える。スリンガ150は、内周円筒部151が内輪212の外周面に液密に嵌合されている。
図10に示すように、密封装置130において、密封装置本体140のサイドリップ145は、所定の締め代を持ってスリンガ150の円盤部153の内側面に当接し、シール部を形成している。また、密封装置本体140のラジアルリップ146は、所定の締め代を持ってスリンガ150の内周円筒部151の外周面に当接し、シール部を形成している。さらに、密封装置本体140の弾性体部142の円筒部143は、スリンガ150の外周円筒部152と径方向において互いに対向しており、円筒部143と外周円筒部152との間には、薄い円環状の間隙131が形成されている。この円環状の微小な間隙131は、ラビリンスシールを形成している。また、補助リップ147は、所定の締め代を持ってスリンガ150の外周円筒部152の内周面に当接し、シール部を形成している(例えば、特許文献2参照)。
このように、従来の密封装置130においては、先ず、間隙131が形成するラビリンスシールによって、雨水や泥水等の異物が密封装置130の内部へ浸入することが抑制されている。そして、たとえ異物が間隙131を通過しても、補助リップ147が異物の内部への浸入を抑制している。これにより、サイドリップ145が接触する異物の量を抑制し、サイドリップ145が泥水等に含まれる泥や砂等によって磨耗することを抑制し、密封装置130の耐久性及び密封性を向上しようとしている。
実開平7−10630号公報 特開2009−197884号公報
しかしながら、上記従来の密封装置100においては、ラビリンスシールによって、異物が密封装置100の内部に浸入しないようにする異物の遮断性能を向上させることはできるが、ラビリンスシールによっては異物の浸入を完全に防止することはできなかった。このため、サイドリップ115が異物に接触することにより磨耗するため、密封装置100の耐久性及び密封性の更なる向上が求められていた。
また、上記従来の密封装置130においては、ラビリンスシール及び補助リップ147により、異物の遮断性能を向上させることはできる。しかしながら、サイドリップ145及びラジアルリップ146に加えて、補助リップ147がスリンガ150に接触するため、密封装置本体140とスリンガ150との間に発生する摺動抵抗が増大し、密封装置130の回転トルクが増大してしまっていた。このため、密封装置130における摩擦発熱やトルク損失が問題となっていた。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされてものであり、その目的は、雨水や泥水等の異物の遮断性能を向上させることができると共に、回転トルクの低減を図ることができる密封装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る密封装置は、軸線について互いに相対回動可能な環状の外周側部材と該外周側部材に少なくとも部分的に包囲された環状の内周側部材とを備える機構において前記外周側部材と前記内周側部材との間を密封する密封装置であって、前記外周側部材に取り付けられる密封装置本体と、前記内周側部材に取り付けられるスリンガと、前記スリンガに取り付けられている弾性体から形成される被覆部材とを備え、前記密封装置本体は、前記軸線を中心とする環状の補強環と、該補強環に取り付けられている、弾性体から形成されている前記軸線を中心とする環状の弾性体部とを備え、前記弾性体部は、前記スリンガに当接する少なくとも1つのシールリップを備え、前記弾性体部と前記スリンガとは、前記軸線を中心とする環状の間隙を形成し、前記被覆部材は、前記外周側部材に当接して、前記間隙を閉鎖し、前記軸線に直交する方向に付勢されることにより前記外周部材から離間するように弾性変形することを特徴とする。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記被覆部材は、前記外周側部材の外側に面する側部に離間可能に当接する。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記被覆部材は、前記外周側部材の外周部に離間可能に当接する。
上記目的を達成するために、本発明に係る密封装置は、軸線について互いに相対回動可能な環状の外周側部材と該外周側部材に少なくとも部分的に包囲された環状の内周側部材とを備える機構において前記外周側部材と前記内周側部材との間を密封する密封装置であって、前記外周側部材に取り付けられる密封装置本体と、前記内周側部材に取り付けられるスリンガとを備え、前記密封装置本体は、前記軸線を中心とする環状の補強環と、該補強環に取り付けられている、弾性体から形成されている前記軸線を中心とする環状の弾性体部とを備え、前記弾性体部と前記スリンガとは、前記軸線を中心とする環状の間隙を形成し、前記弾性体部は、被覆部と、前記スリンガに当接する少なくとも1つのシールリップとを備え、前記被覆部は、外側に傾斜して延びており、前記スリンガに当接して前記間隙を閉鎖しており、前記軸線に直交する方向に付勢されることにより前記スリンガから離間するように弾性変形することを特徴とする。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記機構は、車両の車輪用軸受装置である。
本発明に係る密封装置によれば、被覆部材又は被覆体が外周側部材に当接して弾性体部とスリンガとが形成する間隙を開放可能に閉鎖するので、弾性体部とスリンガとが形成する間隙から雨水や泥水等の異物が浸入することを抑制することができ、異物の遮断性能を向上させることができる。加えて、内周側部材又は外周側部材の回動により発生する遠心力によって被覆部材又は被覆体が軸線に直交する方向に夫々付勢されることにより、被覆部材又は被覆体は外周部材又はスリンガから夫々離間する。このため、内周側部材又は外周側部材の回動時に被覆部材又は被覆体は夫々外周側部材又はスリンガに摺動することはなく、被覆部材又は被覆体の摺動によって密封装置の回転トルクが発生することを防止でき、密封装置の回転トルクを低減することができる。
また、被覆部材又は被覆体は、密封装置の回転時に間隙を開放するが、密封装置の回転時には、異物は間隙から浸入しようとしても遠心力により外周方向に飛散されるため、異物の浸入を抑制することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示す図であり、図1(a)は、密封装置の軸線に沿った断面における断面図であり、図1(b)は、図1(a)に示す密封装置の拡大断面図である。 図1に示す本発明の第1の実施の形態に係る密封装置の使用状態を示すための部分断面図である。 図2に示す密封装置の使用状態において、車輪用軸受装置が回動している状態を示すための部分断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る密封装置の使用状態を示すための部分断面図である。 図4に示す密封装置の使用状態において、車輪用軸受装置が回動している状態を示すための部分断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る密封装置の使用状態を示すための部分断面図である。 図6に示す密封装置の使用状態において、車輪用軸受装置が回動している状態を示すための部分断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1の変形例を示す拡大断面図である。 従来の、車輪用軸受装置に取り付けられる密封装置の概略構成を示すための部分断面図である。 従来の、車輪用軸受装置に取り付けられる他の密封装置の概略構成を示すための部分断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示す図であり、図1(a)は、密封装置の軸線に沿った断面における断面図であり、図1(b)は、図1(a)に示す密封装置の拡大断面図である。
図1(a)に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1は、軸線xを中心とする環状の密封装置本体10と、軸線xを中心とする環状のスリンガ20とを備える。スリンガ20は、密封装置本体10に対向して、密封装置本体10の内周側に配設されている。密封装置1は、軸線xについて互いに相対回動可能な二部材間の環状の空間を密封するものである。
密封装置本体10は、軸線xを中心とする環状の弾性体から成る弾性体部11と、軸線xを中心とする環状の金属製の補強環12とを備える。弾性体部11は、補強環12に一体的に取り付けられている。弾性体部11の弾性体としては、例えば、各種ゴム材があり、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。補強環12の金属材としては、例えば、ステンレス鋼やSPCC(冷間圧延鋼)がある。
弾性体部11は、図1(a),(b)に示すように、外周側において延びる、軸線xを中心とする円筒状の円筒部13と、円筒部13の内側の端部から内周方向に延びる基体部14とを備える。ここで、説明の便宜上、外側とは、軸線x方向において矢印a(図1(a)参照)方向とし、内側とは、軸線x方向において矢印b(図1(a)参照)方向とする。つまり、内側とは、使用状態において、密封対象物が存在する領域に面する方向(密封対象物側)であり、外側とは、後述するように異物が存在する領域に面する方向である。また、軸線xに垂直な方向(以下、「径方向」ともいう。)において、軸線xから離れる方向(図1(a)の矢印c方向)を外周側とし、軸線xに近づく方向(図1(a)の矢印d方向)を内周側とする。
基体部14は、外側に向かって延びるサイドリップ15と、ラジアルリップ16とを備える。サイドリップ15は、ラジアルリップ16よりも外周側に設けられている。ラジアルリップ16は、内周側に向かって二股に分かれており、一対のリップを構成する中間リップ16aと、グリースリップ16bとを備える。サイドリップ15は、図1(a)に示すように、軸線x方向に対して傾斜して延びており、例えば、軸線x方向から外周側に傾斜する方向に延びており、軸線x方向において外側に向かうにつれて拡径する円錐筒状の形状を呈している。中間リップ16aは、図1(a)に示すように、軸線x方向に対して傾斜して延びており、例えば、軸線x方向から内周側に傾斜する方向に延びており、軸線x方向において外側に向かうにつれて縮径する円錐筒状の形状を呈している。グリースリップ16bは、図1(a)に示すように、軸線x方向に対して傾斜して延びており、例えば、軸線x方向から内周側に傾斜する方向に延びており、軸線x方向において内側に向かうにつれて縮径する円錐筒状の形状を呈している。
補強環12は、軸線xに沿う断面(以下、単に「断面」ともいう。)の形状が、略L字形状であり、軸線xを中心とする円筒状の外周部12aと、外周部12aの内側端部から内周方向に延びる、軸線xを中心とする円盤状の円盤部12bとを備える。補強環12には、内周側及び外側から弾性体部11が取り付けられており、弾性体部11が補強されている。具体的には、補強環12の外周部12aには、弾性体部11の円筒部13が内周側から取り付けられており、図1(b)に示すように、外周部12aの外側の端部は、円筒部13に覆われて埋設されている。また、補強環12の円盤部12bには、弾性体部11の基体部14が外側から取り付けられており、図1(b)に示すように、円盤部12bの内周側の端部は、基体部14に覆われて埋設されている。
補強環12は、例えばプレス加工や鍛造によって製造され、弾性体部11は成形型を用いて加硫成形によって成形される。この加硫成形の際に、補強環12は成形型の中に配置されており、弾性体部11が加硫接着により補強環12に接着され、弾性体部11が補強環12と一体的に成形される。
スリンガ20は、金属製、例えばステンレス鋼製の部材であり、軸線xを中心とする板状の環状の部材である。スリンガ20は、内周側に、軸線xを中心とする円筒状の円筒部21と、円筒部21の外側の端部から外周側に延びる、軸線xを中心とする円盤状の円盤部22とを備える。
図1(b)に示すように、密封装置本体10の弾性体部11の基体部14は、スリンガ20に対向するように配置されている。具体的には、サイドリップ15は、先端部において所定の締め代(接触幅)を持ってスリンガ20の円盤部22の内側の面に当接し、シール部を形成している。また、中間リップ16aは、先端部において所定の締め代を持ってスリンガ20の円筒部21の外周側の面に当接し、シール部を形成している。グリースリップ16bは、スリンガ20の円筒部21の外周側の面に当接せず、円筒部21の外周側の面との間に所定の幅の微小間隙を形成している。なお、グリースリップ16bは、スリンガ20の円筒部21の外周側の面に当接するようにしてもよい。
また、密封装置本体10とスリンガ20とは、図1(b)に示すように、軸線xを中心とする環状の間隙2を形成する。具体的には、弾性体部11の円筒部13の外側の端部(外側端部13a)は、この外側端部13aの内周側の面(内周面13b)において、径方向に間隔を持って、スリンガ20の円盤部22の外周側の端部(外周側端部22a)の外周側の面(外周面22b)に対向して、間隙2が形成されている。この間隙2により、ラビリンスシールが形成されている。
また、図1(a),(b)に示すように、本実施の形態に係る密封装置1は、被覆部材30を備える。被覆部材30は、弾性体から形成されており、軸線xを中心とする円盤状の形状を呈している。被覆部材30は、外周側の第1の部分31と内周側の第2の部分32とを備え、第2の部分32の内側の面である内側面32aがスリンガ20の円盤部22の外側面22cに固定されて、スリンガ20に取り付けられている。
また、被覆部材30は、第1の部分31の内側面に、軸線xを中心とする円盤状の凹部34を備える。図1(b)に示すように断面において、凹部34は、第1の部分31において、第1の部分31の外周側の先端部分33から第2の部分32まで延びている。この先端部分33は、第1の部分31の外周側の先端から第1の部分31の延び方向において所定の範囲の部分である。この凹部34により、第1の部分31は、第2の部分32よりも断面における厚さ(以下、断面厚さともいう。)が薄くなっており、弾性変形しやすくなっている。第1の部分31において、先端部分33はその先端から、図1(b)に示すように、径方向から内側方向に斜めに(線y方向)延びている。第1の部分31の断面厚さは、図1(b)に示すように、その延び方向に亘って略一様の厚さになっている。この第1の部分31の断面厚さは、先端部分33の外周側端部近傍において他の部分より厚くなっていてもよい。
被覆部材30は、第1の部分31の凹部34が延びる部分において、密封装置本体10とスリンガ20とが形成する間隙2を外側から覆う。また、後述するように、先端部分33は、密封装置1が取り付けられる部材に当接し、第1の部分31において間隙2を閉鎖することができる。
被覆部材30の弾性体としは、例えば、各種ゴム材があり、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。
被覆部材30は成形型を用いて加硫成形によって成形される。例えば、この加硫成形の際に、スリンガ20は成形型の中に配置されており、被覆部材30が加硫接着によりスリンガ20に接着され、被覆部材30がスリンガ20と一体的に成形される。
上述のように、密封装置1においては、間隙2においてラビリンスシールによるシール部が形成されており、また、サイドリップ15、中間リップ16a、及びグリースリップ16bのスリンガ20への当接によってシール部が形成されている。
次いで、上述の本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1の使用状態について説明する。図2は、上述の本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1の使用状態を示すための部分断面図である。本実施の形態において、密封装置1は、車両、例えば自動車において、車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置に使用されるものとする。図2は、車輪用軸受装置が回動していない静止状態を示す。
図2に示すように、密封装置1は、車輪用軸受装置40の内部に、外部から雨水や泥水等の異物が浸入しないように、車輪用軸受装置40に取り付けられている。
車輪用軸受装置40は、従来公知の車輪軸受装置であり、軸線xについて互いに同軸的に相対回動可能な、環状の外周側部材としての外輪41と、環状の内周側部材としての内輪42とを備える。内輪42は、外輪41に環状の空間43を持って少なくとも部分的に包囲されている。また、外輪41と内輪42との間には、複数の転動体44が環状に配設されており、転動体44は、図示しない、保持器によって保持されている。車輪用軸受装置40は、環状に配設された転動体44を複数列有していてもよい。また、空間43内には、転動体44の潤滑用のグリースが充填されている。
密封装置1は、外側端部において、外輪41と内輪42との間に勘合されており、外部から空間43内を密封している。ここで外部とは、大気に覆われた部分であり、内部とは、密封装置1によって密封された空間43内の部分である。また、外側とは、図1と同様に、軸線x方向において、矢印a方向であり、内側とは、軸線xにおいて、矢印b方向である。
具体的には、密封装置本体10は、弾性体部11の円筒部13と補強環12の外周部12aとが、外輪41に内嵌されて、外輪41に固定されている。円筒部13及び外周部12aの外周面は、外輪41の内周の面である内周面41aに液密に当接している。
また、スリンガ20は、円筒部21が内輪42に外嵌されて内輪42に固定されている。円筒部21の内周面は、内輪42の外周の面である外周面42aに液密に当接している。
また、被覆部材30は、先端部分33の内側の面である内側面33aが、外輪41の外側の面である外側面41b(側部)に当接しており、被覆部材30は、第1の部分31において、密封装置本体10とスリンガ20とによって形成された間隙2を閉鎖している。
このように、車輪用軸受装置40が回動していない静止状態においては、被覆部材30が、先端部分33において外輪41の外側面41bに当接して、第1の部分31において間隙2を開放可能に閉鎖しており、密封装置1の内部を外部の雨水や泥水等の異物から密封している。このため、間隙2から雨水や泥水等の異物が浸入することを抑制することができ、異物の遮断性能を向上させることができる。
また、上述のように、第1の部分31は内側に凹部34を備え、また、第1の部分31の先端部分33は、径方向から内側方向に向かって斜めに延びるので(線y方向)、静止状態においては、先端部分33が外輪41の外側面41bに当接し易くなっている。
また、静止状態においては、被覆部材30に外部側から異物の圧力が加わる。このため、静止状態において、被覆部材30の先端部分33と外輪41の外側面41bとの間の密封性をより高めることができる。
次いで、上記密封装置1の使用状態において、車輪用軸受装置40が回動している状態における密封装置1の作用について説明する。図3は、図2に示す密封装置1の使用状態において、車輪用軸受装置40が回動している状態を示すための部分断面図である。なお、本実施の形態においては、車両用駆動軸40において、内輪42が回動し、外輪41は回動しない。
内輪42が回動すると、スリンガ20及び被覆部材30も回動する。この回動により、軸線xに直交する方向に遠心力Fが発生する。そして、この遠心力Fが、被覆部材30の第1の部分31に作用することにより第1の部分31が弾性変形し、被覆部材30の先端部分33が外輪41の外側面41bから離間する。このように、車輪用軸受装置40が回動している回動状態において、被覆部材30が外輪41から離間することにより、被覆部材30の外輪41への当接によって発生する密封装置1の回転トルクをなくすことができ、密封装置1の回転トルクを低減することができる。
以下に、遠心力Fによる被覆部材30の作用をより詳細に説明する。
上述のように、被覆部材30は、第1の部分31において、凹部34が形成されていることにより弾性変形し易くなっている。また、被覆部材30の先端部分33は線y方向に、径方向から内側に斜めに延びている(図2参照)。このため、径方向の力の付勢により、先端部分33には、先端部分33を外輪41の外側面41bから離間させる曲げモーメントが発生し、先端部分33が径方向に延びるように弾性変形し易くなっている。このため、内輪42の回動により発生する遠心力Fにより、被覆部材30は、径方向に付勢され、先端部分33が径方向に延びるように弾性変形し、被覆部材30の先端部分33が外輪41の外側面41bから離間する。この離間により、被覆部材30の外輪41への当接によって発生する密封装置の回転トルクをなくすことができ、密封装置の回転トルクを低減することができる。
また、被覆部材30の先端部分33が外輪41の外側面41bから離間することにより、間隙2は開放される。このため、雨水や泥水等の異物が間隙2を介して密封装置1の内部に浸入する恐れがある。しかしながら、異物は遠心力Fにより外周方向に飛散されるので、間隙2からの異物の浸入を抑制することができる。このため、サイドリップ15が泥水等に含まれる泥や砂等によって磨耗することを抑制することができ、密封装置1の耐久性及び密封性を向上させることができる。
上述のように、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1によれば、車輪用軸受装置40の静止状態において、被覆部材30は間隙2を閉鎖し、間隙2から雨水や泥水等の異物が浸入することを抑制することができ、異物の遮断性能を向上させることができる。そして、車輪用軸受装置40の回動状態において、被覆部材30が外輪41から離間し、被覆部材30の摺動によって発生する密封装置1の回転トルクを低減することができ、密封装置1の回転トルクを低減することができる。また、被覆部材30が外輪41から離間して間隙2が開放されても、異物は遠心力Fにより外周方向に飛散されるので、間隙2からの異物の浸入を抑制することができる。
また、間隙2はラビリンスシールを形成しているので、間隙2が開放されても、間隙2からの異物の浸入を抑制することができる。さらに、たとえ、間隙2から異物が浸入したとしても、間隙2よりも内部において、サイドリップ15及びラジアルリップ16により、異物の浸入を抑制することができる。
次いで、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置について説明する。図4は、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置の使用状態を示すための部分断面図である。図4は、車輪用軸受装置が回動していない静止状態を示す。以下、上述の第1の実施の形態と同一の構成要素及び同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。
本発明の第2の実施の形態に係る密封装置5は、上述の第1の実施の形態に係る密封装置1に対して、被覆部材のみが異なる。図4に示すように、第2の実施の形態に係る密封装置5は、上述の第1の実施の形態に係る密封装置1の被覆部材30に代えて、被覆部材50を備える。
被覆部材50は、弾性体から形成されており、軸線xを中心とする円盤状の形状を呈しており、外周側の第1の部分51と内周側の第2の部分52とを備え、第2の部分52の内側の面である内側面52aがスリンガ20の円盤部22の外側面22cに固定されて、スリンガ20に取り付けられている。
また、被覆部材50は、第1の部分51の内側面に、軸線xを中心とする環状の凹部54を備える。凹部54は、第1の部分51の延び方向に沿って設けられており、第1の部分51において、第1の部分51の外周側の先端である先端部53から第2の部分52まで延びている。このように、凹部54により、第1の部分51は、第2の部分52より断面厚さが薄くなっており、弾性変形しやすくなっている。
第1の部分51は、第2の部分52から径方向に延設された、軸線xを中心とする円盤状の円盤部55と、円盤部55の外周側端部から延びる、断面略U字形状の軸線xを中心とする環状の先端部分56とを備える。先端部分56は、円盤部55の外周側端部から外周方向に凸に湾曲して、内周側に延びている。そして、先端部分56の先端の先端部53は、その内周側の面である内周面53aにおいて、外輪41の外周側の面である外周面41c(外周部)に、外側の端部近傍において当接している。被覆部材50が外周面41cにおいて外輪41に当接する位置は、外輪41の外側面41bの近傍であり、外側面41bから所定の間隔の位置である。先端部分56は、図4に示すように、先端部53近傍において、内周方向に凸に湾曲している。
第1の部分51の断面厚さは、図4に示すように、その延び方向に亘って略一様の厚さになっている。この第1の部分51の断面厚さは、先端部53の近傍において他の部分より厚くなっていてもよい。
被覆部材50の弾性体としては、上記被覆部材30と同様に、例えば、各種ゴム材があり、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。また、上記被覆部材30と同様に、被覆部材50は成形型を用いて加硫成形によって成形される。例えば、この加硫成形の際に、スリンガ20は成形型の中に配置されており、被覆部材50が加硫接着によりスリンガ20に接着され、被覆部材50がスリンガ20と一体的に成形される。
このように、被覆部材50は、先端部分56の先端部53が、内周面53aにおいて、外輪41の外周面41cに当接しており、被覆部材50は、第1の部分51において、密封装置本体10とスリンガ20とによって形成された間隙2を閉鎖している。
このように、車輪用軸受装置40が回動していない静止状態においては、被覆部材50が、第1の部分51において間隙2を開放可能に閉鎖しており、密封装置5の内部を外部の雨水や泥水等の異物から密封している。このため、間隙2から雨水や泥水等の異物が浸入することを抑制することができ、異物の遮断性能を向上させることができる。
また、上述のように、第1の部分51は内側に凹部54を備え、また、第1の部分51の先端部分56は、外周方向に凸に湾曲して延びるので、静止状態においては、先端部53が外輪41の外側面41bに当接し易くなっている。
また、静止状態においては、被覆部材50に外部側から異物の圧力が加わるため、静止状態において、被覆部材50の先端部53と外輪41の外周面41bとの間の密封性をより高めることができる。
次いで、上記密封装置5の使用状態において、車輪用軸受装置40が回動している状態における密封装置5の作用について説明する。図5は、図4に示す密封装置5の使用状態において、車輪用軸受装置40が回動している状態を示すための部分断面図である。なお、本実施の形態においては、車両用軸受装置40において、内輪42が回動し、外輪41は回動しない。
内輪42が回動すると、共に回動する被覆部材50に対して、径方向の遠心力Fが発生する。被覆部材50は、上述のように、第1の部分51において、凹部54が形成されていることにより弾性変形し易くなっている。また、被覆部材50の先端部分56は、第1の部分51の外周において、遠心力Fに直交するように軸線x方向に拡がっている(図4参照)。このため、径方向の遠心力Fの付勢により、先端部分56には、先端部分56を外輪41の外周面41cから離間させる曲げモーメントが発生し、第1の部分51の円盤部55が外側方向に弾性的に曲げ変形し易くなっている。このため、内輪42の回動により発生する遠心力Fにより、被覆部材50は、径方向に付勢され、先端部分56が外側方向に変位するように弾性変形し、被覆部材50の先端部53が外輪41の外周面41cから離間する。この離間により、被覆部材50の外輪41への当接によって発生する密封装置5の回転トルクをなくすことができ、密封装置5の回転トルクを低減させることができる。
また、間隙2の開放状態において、異物は遠心力Fにより外周方向に飛散されるので、間隙2からの異物の浸入を抑制され、サイドリップ15の磨耗が抑制され、密封装置5の耐久性及び密封性が向上させる。
上述のように、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置5によれば、上記本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1と同様に、密封装置5の回転トルクを低減することができ、また、間隙2からの異物の浸入を抑制することができる。また、密封装置5の耐久性及び密封性を向上させることができる。
次いで、本発明の第3の実施の形態に係る密封装置について説明する。図6は、本発明の第3の実施の形態に係る密封装置の使用状態を示すための部分断面図である。図6は、車輪用軸受装置が回動していない静止状態を示す。以下、上述の第1の実施の形態と同一の構成要素及び同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。
本発明の第3の実施の形態に係る密封装置6は、上述の第1の実施の形態に係る密封装置1に対して、被覆部材30と、間隙2の形状とが異なる。図6に示すように、第3の実施の形態に係る密封装置6は、上述の第1の実施の形態に係る密封装置1の被覆部材30に代えて、被覆部60を備える。
被覆部60は、弾性体から形成されており、軸線xを中心とする円錐筒状の形状を呈しており、密封装置本体10の弾性体部11の円筒部13の外側端部13aから、スリンガ20の円盤部22の外周面22bに向かって延設されている。つまり、被覆部60は、密封装置本体10と一体となっており、被覆部60の外周側の端部は弾性体部11の円筒部13の外側端部13aに結合されている。被覆部60は、密封装置本体10の弾性体部11と一体に加硫成形され、弾性体部11と同一の材料からなっている。
被覆部60は、上述のように円錐筒状の形状を呈しており、外周側の端部から、径方向から外側方向に斜めに、内周側に向かって延びている(図6の線z方向)。そして、被覆部60の内周側の端部である先端部61が、スリンガ20の円盤部22の外周面22bに当接している。
また、本実施の形態においては、上記第1及び第2の実施の形態とは異なり、間隙2は、径方向に延びていない。つまり、間隙2は、径方向に対して斜めに延びており、具体的には、密封装置本体10側から、径方向から外側方向に斜めに延びている。つまり、本実施の形態においては、弾性体部11の円筒部13の外側端部13aは、スリンガ20の円盤部22の外周側端部22aに径方向において対向しておらず、径方向から外側方向に傾いた方向において外周側端部22aに対向して間隙2が形成されている。このために、例えば、弾性体部11の円筒部13及び補強環12の外周部12aが、第1及び第2の実施の形態に比べて軸線x方向において短くなっていてもよく、または、密封装置本体10とスリンガ20との軸線x方向の間隔が広げられていてもよい。但し、サイドリップ15、ラジアルリップ16の締め代が上記所定の値となるようにする必要がある。
被覆部60の断面厚さは、図6に示すように、その延び方向に亘って略一様の厚さになっている。この被覆部60の断面厚さは、先端部61の近傍において他の部分より厚くなっていてもよく、また、先端部61の近傍において他の部分より薄くなっていてもよい。
このように、被覆部60は、先端部61において、スリンガ20の円盤部22の外周面22bに当接しており、被覆部60は、密封装置本体10とスリンガ20とによって形成された間隙2を閉鎖している。
このように、車輪用軸受装置40が回動していない静止状態においては、被覆部60が間隙2を開放可能に閉鎖しており、密封装置5の内部を外部の雨水や泥水等の異物から密封している。このため、間隙2から雨水や泥水等の異物が浸入することを抑制することができ、異物の遮断性能を向上させることができる。
また、静止状態においては、被覆部60は線z方向に斜めに延びるので、円盤部22に外側から当接している。このため、静止状態において、被覆部60に外部側から異物の圧力が加わることにより、被覆部60は円盤部22により密着して当接し、被服部60の先端部61とスリンガ20の外周面22bとの間の密封性をより高めることができる。
次いで、上記密封装置6の使用状態において、車輪用軸受装置40が回動している状態における密封装置6の作用について説明する。図7は、図6に示す密封装置6の使用状態において、車輪用軸受装置40が回動している状態を示すための部分断面図である。なお、本実施の形態においては、車輪用軸受装置40において、外輪41が回動し、内輪42は回動しない。
外輪41が回動すると、共に回動する被覆部60に対して、径方向の遠心力Fが発生する。被覆部60は、上述のように、径方向から外側方向に斜めに軸線xに向かって延びている(図6の線z参照)。このため、径方向の遠心力Fの付勢により、被覆部60には、被覆部60の先端部61をスリンガ20の円盤部22の外周面22bから離間させる曲げモーメントが発生して、被覆部60が外側方向に弾性的に曲げ変形し易くなっている。このため、外輪41の回動により発生する遠心力Fにより、被覆部60は、径方向に付勢され、先端部61が外周方向に変位するように弾性変形し、被覆部60の先端部61が円盤部22の外周面22bから離間する。この離間により、被覆部60のスリンガ20への当接によって発生する密封装置6の回転トルクをなくすことができ、密封装置6の回転トルクを低減させることができる。
また、間隙2の開放状態において、異物は遠心力Fにより外周方向に飛散されるので、間隙2からの異物の浸入が抑制され、サイドリップ15の磨耗が抑制され、密封装置5の耐久性及び密封性が向上させる。
上述のように、本発明の第3の実施の形態に係る密封装置6によれば、上記本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1と同様に、密封装置6の回転トルクを低減することができ、また、間隙2からの異物の浸入を抑制することができる。また、密封装置6の耐久性及び密封性を向上させることができる。
次いで、上記本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1の変形例について説明する。図8は、本発明の第1の実施の形態に係る密封装置1の変形例を示す拡大断面図である。図8に示すように、密封装置1は、被覆部材30の先端部分33に、高密度部材から成る高密度部材部70が埋設されていてもよい。先端部分33に高密度部材部70が埋設されていることにより、車輪用軸受装置40の回動状態において、先端部分33により大きな曲げモーメントを発生させることができ、運転状態においてより確実に被覆部30の先端部分33を外輪41の外側面41bから離間させることができる(図3参照)。これにより、被覆部材30のスリンガ20への当接によって発生する密封装置1の回転トルクをより確実になくすことができ、密封装置6の回転トルクをより確実に低減させることができる。
高密度部材部70の高密度部材としては、銅、酸化銅、酸化鉄、タングステン、ビスマス、酸化ビスマス等の粉末が充填されたゴムがある。
また、本発明の第2の実施の形態に係る密封装置5、及び本発明の第3の実施の形態に係る密封装置6においても、上記図8の第1の実施の形態に係る密封装置1の変形例のように、被覆部材50の先端部53に(図4参照)、または、被覆部60の先端部61に(図6参照)に高密度部材部70を埋設してもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。具体的には、弾性体部11、補強環12、及びスリンガ20等の形状は上述の形状に限るものではない。
また、上記本発明の第1及び第2の実施の形態においては、間隙2は、弾性体部11の円筒部13の外側端部13aとスリンガ20の円盤部22の外周側端部22aとの間において、径方向に延びているものとしたが、間隙2の延び方向はこれに限らず、径方向から傾いた方向に延びていてもよい。
また、本実施の形態に係る密封装置1は、車輪用軸受装置に適用されるものとしたが、本発明に係る密封装置の適用対象はこれに限られるものではなく、本発明の奏する効果を利用し得るすべての構成に対して、本発明は適用可能である。
1,5,6,100,130 密封装置
2,101,131 間隙
10,110,140 密封装置本体
11,112,142 弾性体部
12,111,141 補強環
12a 外周部
12b 円盤部
13,113,143 円筒部
13a 外側端部
13b 内周面
14,114,144 基体部
15,115,145 サイドリップ
16,116,146 ラジアルリップ
16a 中間リップ
16b グリースリップ
20,120,150 スリンガ
21 円筒部
22 円盤部
22a 外周側端部
22b 外周面
22c 外側面
30,50 被覆部材
31,51 第1の部分
32,52 第2の部分
32a,52a 内側面
33,56 先端部分
33a 内側面
34,54 凹部
40,200,210 車輪用軸受装置
41,201,211 外輪
41a 内周面
41b 外側面
41c 外周面
42,202,212 内輪
42a 外周面
43,203,213 空間
44 転動体
53 先端部
53a 内周面
55 円盤部
60 被覆部
61 先端部
70 高密度部材部
117 凸部
118 凹部
121,151 内周円筒部
122,152 外周円筒部
123,153 円盤部
147 補助リップ
F 遠心力
x 軸線

Claims (5)

  1. 軸線について互いに相対回動可能な環状の外周側部材と該外周側部材に少なくとも部分的に包囲された環状の内周側部材とを備える機構において前記外周側部材と前記内周側部材との間を密封する密封装置であって、
    前記外周側部材に取り付けられる密封装置本体と、
    前記内周側部材に取り付けられるスリンガと、
    前記スリンガに取り付けられている弾性体から形成される被覆部材とを備え、
    前記密封装置本体は、前記軸線を中心とする環状の補強環と、該補強環に取り付けられている、弾性体から形成されている前記軸線を中心とする環状の弾性体部とを備え、
    前記弾性体部は、前記スリンガに当接する少なくとも1つのシールリップを備え、
    前記弾性体部と前記スリンガとは、前記軸線を中心とする環状の間隙を形成し、
    前記被覆部材は、前記外周側部材に当接して、前記間隙を閉鎖し、前記軸線に直交する方向に付勢されることにより前記外周部材から離間するように弾性変形することを特徴とする密封装置。
  2. 前記被覆部材は、前記外周側部材の外側に面する側部に離間可能に当接することを特徴とする請求項1記載の密封装置。
  3. 前記被覆部材は、前記外周側部材の外周部に離間可能に当接することを特徴とする請求項1記載の密封装置。
  4. 軸線について互いに相対回動可能な環状の外周側部材と該外周側部材に少なくとも部分的に包囲された環状の内周側部材とを備える機構において前記外周側部材と前記内周側部材との間を密封する密封装置であって、
    前記外周側部材に取り付けられる密封装置本体と、
    前記内周側部材に取り付けられるスリンガとを備え、
    前記密封装置本体は、前記軸線を中心とする環状の補強環と、該補強環に取り付けられている、弾性体から形成されている前記軸線を中心とする環状の弾性体部とを備え、
    前記弾性体部と前記スリンガとは、前記軸線を中心とする環状の間隙を形成し、
    前記弾性体部は、被覆部と、前記スリンガに当接する少なくとも1つのシールリップとを備え、
    前記被覆部は、外側に傾斜して延びており、前記スリンガに当接して前記間隙を閉鎖しており、前記軸線に直交する方向に付勢されることにより前記スリンガから離間するように弾性変形することを特徴とする密封装置。
  5. 前記機構は、車両の車輪用軸受装置であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の密封装置。
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