JP2016077992A - オイルタンクの洗浄方法及び洗浄装置 - Google Patents

オイルタンクの洗浄方法及び洗浄装置 Download PDF

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勝彦 川上
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Masayuki Kidokoro
雅之 城所
泰雄 内田
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省三 杉原
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孝之 中澤
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    • B01F25/00Flow mixers; Mixers for falling materials, e.g. solid particles
    • B01F25/20Jet mixers, i.e. mixers using high-speed fluid streams

Abstract

【課題】洗浄効果が高く洗浄にかかるコストを下げることができるオイルタンクの洗浄方法を提供する。
【解決手段】オイルタンク1から原油を排出し、オイルタンク1のルーフ12に予め形成されたサポート開口14にノズル310を挿入し、オイルタンク1から原油を排出した後にオイルタンク1の内部に積層されたスラッジSにLCOが含まれた洗浄液をノズル310から噴射し、洗浄液に溶解されたスラッジSをオイルタンク1から排出するとともに再度オイルタンク1に戻してリサイクル洗浄し、オイルタンク1からスラッジSが溶解された洗浄液を排出した。
【選択図】図1

Description

本発明は、原油タンク等のオイルタンクを洗浄する方法及び装置に関する。
精油所のオイルタンクは定期的に開放、内部点検が行われる。このオイルタンクの開放、内部点検のために、オイルタンク内の原油を抜き取って内部を洗浄する必要がある。
洗浄に際しては、オイルタンクの底部に堆積されたスラッジを除去する必要があるが、スラッジは、オイルタンクの底面や側壁に固着しているため、その除去作業は容易ではない。
このスラッジをオイルタンクから除去するため、従来、粗軽油(LGO)若しくは原油と界面活性剤とを含有する組成物を加熱し、撹拌、循環して原油タンク内のスラッジを流動化させて排出する技術がある(特許文献1)。特許文献1の従来例では、組成物の撹拌は原油タンク内に設けられた撹拌プロペラや攪拌機で行われ、組成物の循環は原油タンクに設けられた配管やポンプにより行われる。
また、従来、軽油、重油、原油等の炭化水素化合物からなるスラッジ除去剤をオイルタンク内のスラッジに接触させ、スラッジ含有スラッジ除去剤をオイルタンク外へ取り出し、これにより得られるスラッジ含有スラッジ除去剤を加熱し、加熱後のスラッジ含有スラッジ除去剤をオイルタンクに戻し、加熱後のスラッジ含有スラッジ除去剤の一部を抜き出し、抜き出したスラッジ含有スラッジ除去剤を固形分と再生スラッジ除去剤に分離し、再生スラッジ除去剤をスラッジ除去剤循環ラインに戻し、再生スラッジ除去剤の一部を抜き出し、抜き出した再生スラッジ除去剤を油分、水分及び固形分の三成分に分離する技術がある(特許文献2)。特許文献2の従来例では、スラッジ除去剤はタンク内に設置される洗浄機によってスラッジに供給される。
特開2001−300587号公報 特許第4468057号公報
特許文献1で示される従来例では、粗軽油(LGO)若しくは原油と界面活性剤とを含有する組成物が洗浄剤として使用され、特許文献2で示される従来例では、軽油、重油、原油等の炭化水素化合物からなる組成物が洗浄液として使用されている。そのため、これらの引用文献1,2の従来例では、スラッジの除去にある程度の効果があるものの、オイルタンクの洗浄の迅速化及び効率化が求められている状況下では、未だ満足できるものとはいえない。つまり、スラッジは、その主成分が油のワックスあるいはアスファルテンであり、残りの成分が灰分、水分等であるため、LGOや原油からタンク洗浄液を構成する従来例では、十分な洗浄力を発揮できるものではない。
さらに、特許文献1で示される従来例では、原油タンク内に設けられた撹拌プロペラや攪拌機によって組成物の撹拌が行われるので、スラッジを抜き出すためのコストが大きなものとなる。さらに、組成物の循環は配管やポンプを用いるものであるため、これらのみでは、タンク内での組成物とスラッジとの十分な撹拌が行えず、スラッジをオイルタンクから十分に排出することができない。
特許文献2で示される従来例では、タンク内に設置される洗浄機によってスラッジ除去剤がタンク内に供給されるので、特許文献1で示される従来例と同様に、スラッジ抜き出しのコストが大きなものとなる。
本発明の目的は、洗浄効果が高く洗浄にかかるコストを下げることができるオイルタンクの洗浄方法及び洗浄装置を提供することにある。
本発明のオイルタンクの洗浄方法は、既設開口部が形成されたルーフを有するオイルタンクの内部を洗浄する方法であって、前記既設開口部にノズルを挿入する準備工程と、前記オイルタンクから原油を排出した後に前記オイルタンクの内部に積層されたスラッジに、炭化水素油の流動接触分解で留出されるLCO(Light Cycle Oil:分解軽油)が含まれた洗浄液を前記ノズルから噴射し、前記洗浄液で前記スラッジを溶解させ、前記洗浄液に溶解されたスラッジを前記オイルタンクから排出するとともに再度前記オイルタンクに戻す洗浄工程と、前記オイルタンク内の洗浄が終了した後、前記オイルタンクから前記スラッジが溶解された前記洗浄液を排出するスラッジ排出工程と、を備えたことを特徴とする。
この構成の本発明では、洗浄に先立ち、原油をオイルタンクから排出すると、オイルタンクの内部において、残されたスラッジが固着された状態となる。その後、準備工程により、ルーフに予め形成された既設開口部にノズルを挿入する。ここで、既設開口部とは、ルーフサポートパイプでルーフを支持するために用いられるサポート開口や、マンホール等である。
洗浄工程では、ノズルからLCOが含まれる洗浄液をスラッジに向けて噴射する。洗浄液によってスラッジが溶解される。
洗浄液に溶解されたスラッジはオイルタンクから排出された後、再度オイルタンクに戻される。この工程を繰り返すことで、オイルタンクの内部に積層されたスラッジが洗浄液とともに循環することになり、スラッジがオイルタンクの底部に溜まることがなくなる。
洗浄工程が終了すると、スラッジ排出工程によって、スラッジが溶解された洗浄液がオイルタンクの外部に排出される。この排出された液体は、別途、再利用される。
そのため、本発明では、LCOを含んで洗浄液が構成される。LCOはFCC(Fluid Catalytic Cracking)の半製品であり、ベンゼン環が多いため、LGO等に比べてスラッジの溶解性に優れるため、洗浄効果が高いものとなる。そして、LCO自体が常温で液体であり、スラッジと異種の多環式炭化水素で構成されているため、同種の炭化水素のような再結合を起こりにくくし、再凝固させにくい。
しかも、本発明では、オイルタンク内に洗浄液を供給するにあたり、ルーフに形成される既設開口部、例えば、サポート開口を利用しているので、オイルタンク内に洗浄機や撹拌機を配置する従来例に比べて、洗浄作業が容易となり、洗浄のためのコストを低くすることができる。
本発明のオイルタンクの洗浄方法では、前記スラッジは、上層部分を構成する軟質のソフトスラッジ部と下層部分を構成する硬質のハードスラッジ部とを有し、前記洗浄液は、前記ソフトスラッジ部を溶解するためのソフトスラッジ用洗浄液と、前記ハードスラッジ部を溶解するためのハードスラッジ用洗浄液とを備え、前記ソフトスラッジ用洗浄液は、前記LCOと、原油とを含み、前記ハードスラッジ用洗浄液は、前記LCOと、界面活性剤及びリモネンを含む化学剤と、を含む構成が好ましい。
本願の発明者の研究により、オイルタンクに堆積されたスラッジは、部位によって、成分が異なることが判明した。つまり、オイルタンクでは、比重の重いアスファルテン等の成分が先に沈殿してスラッジを形成すると考えられる。重い成分が先に沈殿すると、スラッジは、その下層部分で硬質となり、その上層部分で軟質となり、スラッジの上層部分に対して下層部分の流動点が高くなることが想定される。このように、スラッジの上下において、流動点が相違するので、下層部分に重い留分が堆積することが想定できる。
そこで、本発明では、成分が異なる下層部分と上層部分とで、洗浄液の種類を異ならせることで、より効率的なスラッジの排出を実現することが可能となった。
つまり、アスファルテンが含まれるハードスラッジ部の洗浄のために、界面活性剤及びリモネンが添加される化学剤を含む洗浄液を用いる。界面活性剤及びリモネンを含む化学剤がスラッジに添加されると、化学剤がスラッジの擬集体の表面に浸透し、希釈剤として用いられる石油と接触して擬集体の表面が濡れる。このため、擬集体同士が滑りやすくなり、粘性が下がり、流動性が上がることになる。さらに、擬集体同士の表面に付着した負電荷の静電作用により、互いに反発して離れることになる。その結果、擬集体同士の間隔が広がって分子間力が弱くなることにより、LCOに溶解、分散が促進される。そのため、擬集体が段々に希釈剤としてのLCOに溶解、分散し、小さくなり浮遊する。さらに、溶解、分散、浮遊した擬集体は、ノズルから噴射される洗浄液によって撹拌され、擬集構造が壊れることになる。以上の理由から、化学剤をLCOに加えて洗浄液を構成することにより、スラッジの流動点が低下し、低温でもスラッジが流動し、分解、分散することによりスラッジをオイルタンクから除去することが可能となる。
これに対し、ソフトスラッジ部の洗浄のために、ハードスラッジ用洗浄液を用いてもよいが、ソフトスラッジ部自体にアスファルテンが含まれることが少ないため、化学剤は必ずしも洗浄液に必要とされない。そのため、化学剤が含まれない洗浄液を使用できるので、スラッジを排出するためのコストダウンを図ることができる。なお、ソフトスラッジ用洗浄液に含まれる原油は、オイルタンクから排出した原油(共油)を用いることが好ましい。洗浄液として、共油を用いると、オイルタンク内でのスラッジと原油との馴染みがよくなり、スラッジの排出を容易に行える。
本発明では、前記ハードスラッジ用洗浄液は、前記ソフトスラッジ部が溶解された後に前記オイルタンクに堆積されている前記ハードスラッジ部の量に対して前記LCOの量が1.0倍以上とされる構成が好ましい。
この構成では、LCOのハードスラッジ部に対する比が適切な範囲となるため、ハードスラッジ部を効率的にオイルタンクから排出することができる。つまり、LCOの量がハードスラッジ部の量に対して1.0倍未満であると、洗浄液を含むハードスラッジ部が高粘度となり、流動性がなくなる。
本発明では、前記ハードスラッジ用洗浄液は、原油を含む構成が好ましい。
この構成では、ハードスラッジ用洗浄液に原油が含まれることで、原油が含まれない場合に比べて動粘度が低いものとなり、ハードスラッジの排出を容易に行える。なお、ハードスラッジ用洗浄液に含まれる原油は、オイルタンクから排出した原油(共油)を用いることが好ましい。洗浄液として、共油を用いることで、オイルタンク内でのスラッジとの馴染みがよくなり、スラッジの排出を容易に行える。
本発明では、洗浄工程は、前記洗浄液に溶解されたスラッジを前記オイルタンクから排出するとともに再度前記オイルタンクに戻す循環工程と、前記循環工程で前記洗浄液に溶解されたスラッジが循環される方向とは逆方向に前記洗浄液を前記オイルタンクに逆流させる逆流工程とを備える構成が好ましい。
この構成では、洗浄工程において、循環工程だけでなく、逆流工程があるため、オイルタンクの内部に収納された洗浄液でスラッジを効果的に溶解させることが可能となる。そのため、排出工程によるスラッジの排出を行いやすくすることができる。
本発明では、前記洗浄工程は、前記ソフトスラッジ用洗浄液を用いて前記ソフトスラッジ部を洗浄するソフトスラッジ洗浄工程と、前記ハードスラッジ用洗浄液を用いて前記ハードスラッジ部を洗浄するハードスラッジ洗浄工程とを備え、前記スラッジ排出工程は、前記オイルタンクから前記ソフトスラッジ部が溶解された前記洗浄液を排出するソフトスラッジ排出工程と、前記オイルタンクから前記ハードスラッジ部が溶解された前記洗浄液を排出するハードスラッジ排出工程とを備え、前記ハードスラッジ洗浄工程は、前記ソフトスラッジ排出工程を実施した後に実施される構成が好ましい。
この構成では、成分の異なるソフトスラッジ部とハードスラッジ部との洗浄と排出とを別々の構成で実施するので、効率的にオイルタンクを洗浄することができる。
本発明では、前記準備工程は、前記原油が排出された後であって前記ノズルを前記既設開口部に挿入する前に、前記オイルタンクの内部に積層されたスラッジの量を計量するスラッジ計量工程を備えることが好ましい。
この構成では、原油が排出された後にスラッジの量を計量、例えば、複数のルーフの既設開口部からそれぞれメジャーリングロッド(計量用棒)をオイルタンクの底部に向けて差し込むことで、当該箇所のスラッジの積層された寸法からスラッジの量を推定する。これにより、ノズルから排出される洗浄液のスラッジに対する量を適正なものにすることができる。
本発明のオイルタンクの洗浄方法では、前記スラッジ排出工程は、前記オイルタンクの内部に積層されたスラッジの量を計量するスラッジ計量工程を備えることが好ましい。
この構成では、オイルタンクの底部に残っているスラッジの量を計量することで、スラッジが残っていないことを確認した上で、スラッジ排出工程を確実に実施することができる。
本発明のオイルタンクの洗浄方法では、前記スラッジ排出工程は、前記スラッジが溶解された前記洗浄液を排出した後に、前記オイルタンクに水を供給することが好ましい。
この構成では、仮に、オイルタンクの底部にスラッジが残されていたとしても、スラッジを水とともに外部に排出することができ、さらに、オイルタンク内の脱臭を図ることもできる。
本発明のオイルタンクの洗浄装置は、既設開口部が形成されたルーフを有するオイルタンクの内部を洗浄する装置であって、前記オイルタンクの内部に積層されたスラッジに、炭化水素油の流動接触分解で留出されるLCO(Light Cycle Oil:分解軽油)が含まれた洗浄液を噴射するノズルを有する洗浄液噴射ラインと、前記洗浄液に溶解されたスラッジを前記オイルタンクから排出するとともに再度前記オイルタンクに戻す循環ラインと、前記オイルタンクから前記スラッジが溶解された前記洗浄液を排出する排出ラインと、前記循環ラインに接続され前記ノズルに前記洗浄液を供給する洗浄液供給ラインと、を備え、前記ノズルは前記既設開口部に挿入可能かつ噴射姿勢を変更可能であることを特徴とする。
この構成の本発明では、前述の効果を奏することができる洗浄装置を提供することができる。特に、ノズルの噴射姿勢を変更可能としたので、オイルタンクの隅々まで洗浄液を噴射させることができるので、オイルタンクの隅に積層されたスラッジに洗浄液が噴射されないということがなくなり、高い洗浄効果を得ることができる。
本発明の一実施形態にかかるオイルタンクの洗浄装置が示された概略図。 熱交換器の全体を示す概略図。 熱交換器を構成するチューブの端面図。 熱交換器の要部を拡大した断面図。 (A)〜(C)は本発明の一実施形態にかかるオイルタンクの洗浄方法を説明する概略図。 (D)〜(F)は実施形態にかかるオイルタンクの洗浄方法を説明する概略図。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には本発明の一実施形態にかかるオイルタンクの洗浄装置の概略構成が示されている。
図1において、洗浄装置は、オイルタンク1の下部に接続された循環ライン2と、循環ライン2の他端に接続された洗浄液噴射ライン3と、循環ライン2の途中に接続された洗浄液供給ライン4と、循環ライン2の途中に一端が接続された温水供給ライン5と、オイルタンク1の下部に設けられた排出ライン6と、循環ライン2に設けられた熱交換器7と、を備えている。
オイルタンク1は、原油が収納されたタンク本体11と、このタンク本体11に設けられた略円板状のルーフ12と、このルーフ12を支持する複数本のルーフサポートパイプ13とを備えている。このオイルタンク1の底部にはスラッジSが積層されている。
ここで、スラッジSは、上層部分を構成する軟質のソフトスラッジ部S1と下層部分を構成する硬質のハードスラッジ部S2とから構成される。ソフトスラッジ部S1は、ワックスを多く含む。ハードスラッジ部S2は、アスファルテンが沈殿している。ソフトスラッジ部S1に対してハードスラッジ部S2の流動点が高い。
また、原油とは、油井から採取された未精製の鉱油、赤褐色ないし黒褐色の粘性ある液体であり、主成分が炭化水素で、他に少量の有機硫黄や窒素あるいは酸素の化合物を含むものである。原油は、種々の産地から産出されるものをブレンドしてもよい。
複数個のルーフサポートパイプ13は、ルーフ12の中心から外周に向けて複数列配置されており、かつ、これらの複数列のそれぞれにおいて、互いに等間隔に複数が配置されている。
ルーフ12には、ルーフサポートパイプ13を取り付けるために既設開口部としてのサポート開口14がルーフサポートパイプ13の位置に応じて形成されている。なお、ルーフ12には、図示しないマンホール等が予め形成されている。
オイルタンク1のルーフ12には、窒素供給ライン8と酸素濃度検出ライン9とがそれぞれ接続されている。
窒素供給ライン8は、ルーフ12に設けられた窒素供給装置81と、窒素供給装置81に窒素を供給する窒素供給管82と、窒素供給管82に設けられた流量計83及び気化器84と、窒素供給管82に窒素を送り込むローリー車85とを備えている。
酸素濃度検出ライン9は、ルーフ12に設けられた気体収集部材91と、気体収集部材91に接続された気体流通管92と、気体流通管92に設けられた酸素濃度検出装置93とを備えている。気体収集部材91にはマノメータ94が接続されている。
窒素供給ライン8及び酸素濃度検出ライン9は、オイルタンク1の内部に作業員が入って作業するに先立ち、酸素をパージするために利用される。
循環ライン2は、先端がタンク本体11の下部に開口されたパイプ21と、パイプ21の基部に一端が接続され他端が洗浄液噴射ライン3に接続されたライン本管22と、ライン本管22に設けられた流路制御装置23と、を有する。
パイプ21は、タンク本体11の底部に収納され、スラッジSが溶解された洗浄液等の流体を吸引するために、タンク本体11の底面に向けて開口されている。
ライン本管22のうち流路制御装置23と熱交換器7との間には分岐管24が設けられている。分岐管24には図示しないリカバーオイルタンクやバックフィードタンクが接続されている。
流路制御装置23は、ライン本管22に設けられたポンプ230と、ポンプ230を挟んで配置された開閉弁231,232と、ポンプ230とポンプ230より下流側に配置された開閉弁231との間に一端が接続されポンプ230より上流側に配置された開閉弁232より上流側に他端が接続された逆流用管233と、逆流用管233に設けられた開閉弁234とを備えている。この流路制御装置23によって、ライン本管22に流れる流体を洗浄液噴射ライン3に向けた順流方向とするには、開閉弁231,232を開放するとともに、開閉弁234を閉塞させた順流モードとし、ポンプ230を作動させる。ライン本管22に流れる流体をタンク本体11に戻す逆流方向とするには、開閉弁231を閉塞するとともに、開閉弁232,234を開放させた逆流モードとし、ポンプ230を作動させる。
洗浄液噴射ライン3は、オイルタンク1の内部に積層されたスラッジSに洗浄液を噴射する噴射装置31と、噴射装置31に一端が接続された液体流通管32とを備えている。
噴射装置31は、サポート開口14に対応して配置されている。図1では、噴射装置31が2箇所図示されている。
噴射装置31は、サポート開口14に挿入され先端から洗浄液を噴射するノズル310と、ノズル310を回動させるエアーモータ(図示せず)とを備え、エアーモータの回動によって、ノズル310の先端部の噴射姿勢が変更可能とされている。
ノズル310は、先端が折り曲げられるとともに洗浄液が送られる筒状の本体を備え、この本体が筒状のガイド311によってサポート開口14に取り付けられている。
液体流通管32は、循環ライン2のライン本管22に一端が接続された流通本管321と、流通本管321の他端から分岐されそれぞれ噴射装置31のノズル310の基端に接続された分岐管322とを備えている。
液体流通管32の内部を流通する洗浄液は、熱交換器7によって、ノズル310から噴射される洗浄液の温度が30℃以上50℃以下となるように設定されている。洗浄液の温度が50℃を超えると、スラッジ中に含まれる低沸炭化水素がガス化し、大気に放出されることになり、不具合が生じる。洗浄液の温度が60℃を超えると、スラッジ中の一部の成分が伝熱面に固着することになるので、洗浄液の温度が上がり過ぎないようにすることが重要である。逆に、洗浄液の温度が30℃未満であると、十分な洗浄効果を得ることができない。従って、伝熱面の温度が上がりすぎないようにするため、温水で加温し、洗浄液の温度を30℃以上50℃以下に制御することが好ましい。
洗浄液供給ライン4は、LCO(Light Cycle Oil:分解軽油)を供給するLCO供給ライン41と、クラリファイドオイル(CLO)を供給するCLO供給ライン42と、化学剤を供給する化学剤供給ユニット43とを備える。
LCO供給ライン41は、LCOを収納する第一タンク410と、第一タンク410とライン本管22とを接続する接続管411と、接続管411に設けられるポンプ412及び開閉弁413とを有する。
CLO供給ライン42は、CLOを収納する第二タンク420と、第二タンク420とライン本管22とを接続する接続管421と、接続管421に設けられるポンプ422及び開閉弁423とを有する。
化学剤供給ユニット43は、化学剤を収納する化学剤収納タンク430と、化学剤収納タンク430とライン本管22とを接続する接続管431と、接続管431に設けられるポンプ(図示せず)及び開閉弁433とを有する。
化学剤収納タンク430に収納される化学剤は、界面活性剤及びリモネンを含む。
界面活性剤は、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両イオン界面活性剤及び非イオン系界面活性剤より選ばれた1種である。
陰イオン系界面活性剤には、カルボン酸塩、スルフォン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩、等が含まれる。
カルボン酸塩は、エタノールアミン石鹸、N−アシルアミノ酸、アルキルエーテルカルボン酸、等である。スルフォン酸塩は、アルキルベンゼンスルフォン酸、アルキルナフタレンスルフォン酸、メラミンスルフォン酸、ジアルキルスルフォコハク酸、アルキルスルフォ酢酸、α−オレフィンスルフォン酸、等である。硫酸エステル塩は、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル、アルキルエーテル硫酸、第2級高級アルコールエトキシ硫酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸、脂肪酸アルキロールアマイドの硫酸エステル、等である。リン酸エステル塩は、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルリン酸エステル等のリン酸エステル類、等である。
陽イオン系界面活性剤は、例えば脂肪族第4級アミン等の脂肪族アミンである。
両イオン界面活性剤は、カルボキシベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体、等である。
非イオン系界面活性剤には、エーテル型界面活性剤、エーテルエステル型界面活性剤、エステル型界面活性剤、含窒素型界面活性剤、等が含まれる。
エーテル型界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、等である。エーテルエステル型界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、等である。エステル型界面活性剤は、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、等である。
含窒素型非イオン界面活性剤は、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、等である。
リモネンは、光学異性体d,lを含む。d−リモネンは、その誘導体を含むものであり、d−リモネンの誘導体は、シトラールA、等である。リモネンにジペンテンを含む。
化学剤は、界面活性剤とリモネン以外の物質、例えば、β−ビレン、モノテルパンも含まれる。
本実施形態では、LCOのみ、タンク洗浄前にタンク本体11に収納されている原油とLCOから、LCO、CLO及び化学剤から洗浄液が構成される。洗浄液を構成するLCO、CLO及び化学剤の適正な比率は、開閉弁413,423,433やポンプ412,422等を図示しない制御装置で開閉制御することで実現する。なお、洗浄液として使用される原油は、タンク本体11に予め収納されている原油以外に、図示しない原油供給ラインによって外部から供給されるものを用いてもよい。
洗浄液として使用される原油の量は、オイルタンク1に貯蔵されている量から洗浄直前にオイルタンク1から排出した量を引いた値である。原油は洗浄液として使用されるので、洗浄前の原油の排出は、洗浄に必要な必要量を確保しておく。なお、オイルタンク1に予め残された原油の量が少ない場合には、前述の通り、外部からオイルタンク1の内部に必要量を供給する。
洗浄液は、ソフトスラッジ部S1を溶解するためのソフトスラッジ用洗浄液と、ソフトスラッジ用洗浄液を使用してソフトスラッジ部S1を溶解した後にハードスラッジ部S2を溶解するためのハードスラッジ用洗浄液とから構成される。
ソフトスラッジ用洗浄液は、LCOのみ、あるいは、LCO及び原油を含む。タンク本体11に積層されたスラッジSの全体の量に対して、LCOの量は0.1倍以上0.5倍以下であり、原油の量は3.0倍以上4.0倍以下である。なお、ソフトスラッジ用洗浄液で用いられる原油は、オイルタンク1に予め収納されていた原油(共油)を用いることが好ましいが、別に用意した原油を用いることを否定するものではない。
ハードスラッジ用洗浄液は、LCOのみ、LCO及び原油からなるもの、LCO、原油及び化学剤からなるもの、LCO、原油、CLO及び化学剤からなるものを含む。
ハードスラッジ用洗浄液は、ソフトスラッジ部S1が溶解されてオイルタンク1に堆積されているハードスラッジ部S2の量に対して、LCOの量が1.0倍以上4.0倍以下であり、原油が含まれる場合には原油が0.5倍以下である。LCOの量が1.0未満であると、洗浄液を含むハードスラッジ部が高粘度となり、流動性がなくなる。流動性を考慮すると、LCOの量は多ければよいが、多すぎると、後工程で実施するLCOとスラッジとの分離工程で、エネルギーが多く必要とされるため、経済的な観点から5倍以下である。ハードスラッジ用洗浄液で用いられる原油は、オイルタンク1に予め収納されていた原油(共油)を用いることが好ましい。
ハードスラッジ用洗浄液の全体に対する化学剤の比率は0.2質量%以上1.0質量%以下、好ましくは、0.2質量%以上0.5%質量以下である。化学剤の比率が0.2質量%未満であると、十分な洗浄効果を得ることができず、1.0質量%を超えると、多少、洗浄能力が向上するのみでコストがかかり過ぎることになる。
また、化学剤全体に対するリモネンの比率は、20質量%以上40質量%以下である。リモネンの比率が20質量%未満であると、溶解力が不足し、40質量%を超えると、分散力が弱くなる。
温水供給ライン5は、ライン本管22に一端が開口された温水供給管51と、温水供給管51の他端に接続された温水タンク52と、温水タンク52に工業用水を供給する給水管53と、温水タンク52にスチームを供給するスチーム供給管54と、温水タンク52に収納された温水を洗浄液噴射ライン3に送るポンプ55と、を備えている。
温水供給管51は、供給管本体510と、供給管本体510の端部に接続された第一分岐管511及び第二分岐管512とを備えている。供給管本体510と第一分岐管511とには、それぞれ開閉弁56が設けられている。
排出ライン6は、先端がタンク本体11の下部に開口されたパイプ61と、パイプ61の基部に一端が接続されたライン本管62と、ライン本管62の他端に設けられたスロップタンク63と、ライン本管62の途中に設けられた流路制御装置23と、を有する。
パイプ61は、パイプ21と同様に、タンク本体11の底部に収納され原油やスラッジSが溶解された洗浄液等の流体を吸引するために、タンク本体11の底面に向けて開口されている。
スロップタンク63は、回収した原油の廃液を保管するものであり、その構造は一般のタンクと同じである。
流路制御装置23は、ライン本管62に設けられたポンプ230と、ポンプ230を挟んで配置された開閉弁231,232と、ポンプ230とポンプ230より下流側に配置された開閉弁231との間に一端が接続されポンプ230より上流側に配置された開閉弁232よりさらに上流側に他端が接続された逆流用管233と、逆流用管233に設けられた開閉弁234とを備えている。
熱交換器7は、洗浄液供給ライン4から送られる洗浄液や、タンク本体11から送られるスラッジSが溶解された洗浄液を温水供給ライン5で発生させた温水で加熱するとともに、スラッジSの擬集体同士を分離させるものである。熱交換器7は、交換器本体70と、交換器本体70に温水供給管51からの温水を供給する供給側配管7Aと、交換器本体70から温水タンク52に温水を排出する排出側配管7Bとを備える。
供給側配管7Aの一端は、温水供給管51の第二分岐管512に接続されている。供給側配管7Aの途中には、ライン本管22を流通する洗浄液の温度が所定温度に達した場合に開閉制御される開閉弁7Cが設けられている。
熱交換器7の具体的な構造が図2から図4に示されている。
図2及び図3には、交換器本体70の全体構成が示されている。
図2及び図3において、交換器本体70は、筒体の両端部が閉塞された構造の筐体71と、筐体71の内部にそれぞれ設けられた流体流通部72及び温水流通部73とを備えている。
筐体71は、その内部が軸方向に沿って3つの室に仕切られており、そのうち中央に配置された室は、流体流通部72と温水流通部73とが熱交換するための熱交換室710である。
筐体71のうち残りの2つの室は、第一流通室711と第二流通室712である。
交換器本体70の大きさは、オイルタンク1の大きさ、その他の条件により設定されるものであるが、例えば、熱交換室710は、その軸方向に沿った長さが3.0mであり、内径寸法が0.6mである。
なお、筐体71の中央部分は、複数の筒状体を接合して形成されてもよく(図2参照)、1本の筒状体から形成してもよい。
第一流通室711と熱交換室710とは、筐体71の内部に設けられた隔壁71Aで仕切られている。隔壁71Aの平面と直交するように隔壁71Bが配置され、隔壁71Bで第一流通室711が導入用室711Aと排出用室711Bに仕切られている。
導入用室711Aは、筐体71の一端側の周面に設けられた流体導入管701と連通している。排出用室711Bは、筐体71の流体導入管701とは反対側の位置に設けられた流体搬出管702と連通している。
流体導入管701は、オイルタンク1から送られる洗浄液を導入用室711Aに導入するものである。流体搬出管702は、排出用室711Bから洗浄液を洗浄液噴射ライン3に向けて排出するためのものである。
第二流通室712と熱交換室710とは、筐体71に設けられた隔壁71Cで仕切られている。
流体流通部72は、第一流通室711及び第二流通室712と、熱交換室710に配置された複数本のチューブ74とを備えて構成される。
チューブ74は、例えば、内径寸法が25.4mmのステンレス製のストレート管であり、その両端部がそれぞれ隔壁71A,71Cに支持されている。全てのチューブ74の一端は、それぞれ第二流通室712に開口されている。複数本のチューブ74は、隔壁71Bの平面と連続した仮想平面を境に図中下方に配置される複数の第一管部材741と、図中上方に配置される複数の第二管部材742とから構成される。
第一管部材741の他端は、導入用室711Aに開口され、第二管部材742の他端は排出用室711Bに開口されている。つまり、流体導入管701から導入された洗浄液は、第一流通室711の導入用室711A、第一管部材741、第二流通室712、第二管部材742、排出用室711B及び流体搬出管702を通って洗浄液噴射ライン3に送られる(図2矢印P参照)。
なお、本実施形態では、複数本のチューブ74は、それぞれ途中位置で、図示しない隔壁で支持される構造であってもよい。
温水流通部73は、熱交換室710において、筐体71の内周と複数のチューブ74の外周との間の空間から構成される。
筐体71の外周であって第二流通室712に近接する位置には温水導入管713が設けられ、第一流通室711に近接する位置には温水排出管714が設けられている。
温水導入管713と温水排出管714とは、それぞれ熱交換室710と連通している。温水導入管713から導入された温水は、熱交換室710を通った後、温水排出管714を通って温水タンク52に戻される(図2の矢印Q参照)。なお、温水流通部73の温水導入管713の開口と近接した位置には、図示しないバッフル(邪魔板)が配置されている。このバッフルによって、温水導入管713から導入された温水の速度が落とされることになる。
チューブ74の詳細な構成が図4に示されている。
図4において、チューブ74の内部には、洗浄液で溶解されたスラッジSの擬集体同士を分離させる擬集体分離素子75が設けられている。
オイルタンク1の内部において、ノズル310から噴射された洗浄液でスラッジSが溶解されると、スラッジSを構成する擬集体同士が互いに反発して離れるが、循環ライン2で移送される間に分子間力等によって再度結合することがある。そのため、本実施形態では、互いに結合した擬集体同士を機械的な力によって再度分離させるために、擬集体分離素子75をチューブ74に設ける構成とした。
擬集体分離素子75は、ステンレス製であって、チューブ74の長さ方向に沿って配置された軸芯部750と、軸芯部750の周囲に一体に設けられた複数のループ部751とを備えている。これらのループ部751は、その軸芯部750に近接する部分において一部が重なり合っている。
ループ部751は、軸芯部750の軸方向に沿って複数箇所に配置された構成でもよく、1箇所のみ配置された構成でもよい。さらに、ループ部751は、針金や板を折り曲げて形成してもよい。また、互いに結合した擬集体を分離しやすくするために、ループ部751の前記軸方向と直交する平面内での位置を周方向に沿ってずらす構成としてもよい。さらに、ループ部751は、その数が限定されるものではない。
チューブ74の内部に洗浄剤で溶解されたスラッジSが流通すると、スラッジSの互いに結合された擬集体がループ部751に衝突し、擬集体が分離された状態で、ノズル310に送られる。
次に、オイルタンクを洗浄する方法を図5及び図6に基づいて説明する。
[原油排出工程]
図1及び図5(A)に示される通り、まず、排出ライン6の流路制御装置23を順流モードとし、オイルタンク1の内部に収納されている原油をパイプ61及びライン本管62を通じてスロップタンク63に送る。
オイルタンク1から原油を全て抜き取るが、オイルタンク1に残存する原油をそのまま洗浄液として用いることもできる。原油を洗浄液に含めて構成する場合には、原油の排出量は、オイルタンク1に残存する原油の量がスラッジSの量の3.0倍以上4.0倍以下となるようにする。スラッジSの正確な量は、後で実施するスラッジ計量工程で求められるため、ここでは、過去の経験からスラッジSの積層量を推定し、推定したスラッジSの量の3.0倍以上4.0倍以下の原油が残るように原油を排出する。
なお、原油が排出された状態では、ルーフ12は全てのルーフサポートパイプ13により、支持されることになる。
また、窒素供給ライン8及び酸素濃度検出ライン9を用いて、オイルタンク1の内部から酸素をパージする。
[準備工程]
[1]スラッジ計量工程
排出ライン6を止め、オイルタンク1の内部に積層されたスラッジSの全体量を計量する。
図5(B)に示される通り、複数本のルーフサポートパイプ13のうち全部又は一部のルーフサポートパイプ13を複数本抜き取り、これらの抜き取った後に生じるサポート開口14にそれぞれメジャーリングロッドRをオイルタンク1の底部に向けて差し込む。これにより、ルーフ12から積層されたスラッジSの上部までの寸法を計測することができる。
ルーフ12の下面からタンク本体11の底部までの寸法が既知であるため、メジャーリングロッドRの下端からルーフ12の下面までの寸法から、スラッジSの積層された高さを求めることができる。本実施形態では、メジャーリングロッドRによる計測をルーフ12の中心から外周にかけて複数列かつ各列複数箇所で行うことにより、タンク本体11の底部に所定の領域で積層されたスラッジSの全体の量を推測することができる。
なお、原油を含めて洗浄液を構成する際、スラッジSの全体の量に対してオイルタンク1に収納された原油の量が4.0倍を超える場合には、必要な量だけ原油を前述の手順でオイルタンク1から排出する。逆に、原油の量がスラッジSの量の3.0倍に満たない場合には、一度、排出して貯蔵した原油(共油)を必要量だけオイルタンク1の内部に投入する。投入する原油は、オイルタンク1に収納されていた原油(共油)を用いることが好ましいが、ない場合には、別途、用意した原油を用いてもよい。
[2]ノズル挿入工程
図5(C)に示される通り、ルーフ12に噴射装置31を設置する。なお、噴射装置31はスラッジ計量工程の前に設置するものでもよい。
噴射装置31の設置のため、メジャーリングロッドRを抜いて生じたサポート開口14に噴射装置31のノズル310を挿入する。ノズル310は、メジャーリングロッドRを抜いた箇所の全てに挿入するものでもよく、一部に挿入するものでもよい。一部に挿入した場合では、必要に応じて、サポート開口14にルーフサポートパイプ13を設けてもよい。
[ソフトスラッジ洗浄工程]
[1]洗浄液噴射工程
オイルタンク1の内部に積層されたスラッジSに向けて洗浄液をノズル310から噴射する。そのため、洗浄液供給ライン4を操作し、LCOからなる洗浄液を循環ライン2に送る。
洗浄液は、循環ライン2及び熱交換器7を経由して洗浄液噴射ライン3のノズル310から噴射されてスラッジSに供給される。ここで、オイルタンク1の内部には原油があるため、原油を含めてソフトスラッジ用洗浄液が構成される。なお、原油を全て排出した際には、一旦、排出した原油をソフトスラッジ用洗浄液として用いる。
ノズル310から噴射されるソフトスラッジ用洗浄液は、所定の圧力でスラッジS、特に、上層部分にあるソフトスラッジ部S1に衝突し、ソフトスラッジ部S1が溶解する。さらに、複数のノズル310は、エアーモータによって洗浄液の噴射姿勢が適宜変更されるため、オイルタンク1の隅々までソフトスラッジ用洗浄液が行き渡ることになる。
熱交換器7は、温水供給ライン5と接続されており、温水供給ライン5の温水タンク52に予め蓄えられた温水は、ポンプ55を作動させることで、温水供給管51、供給側配管7A、交換器本体70、排出側配管7B及び温水タンク52に戻る。そのため、ノズル310から噴射されるソフトスラッジ用洗浄液は、40℃程度の温度が維持されることになる。
ここで、噴射装置31で噴射される単位時間当たりの噴射量は既知であり、噴射装置31の台数も既知であり、スラッジSに噴射されるソフトスラッジ用洗浄液の量はスラッジ計量工程で計量されているため、洗浄液の噴射時間を設定することで、洗浄液の噴射量を所定の値とすることができる。
所定量のソフトスラッジ用洗浄液を噴射したら洗浄液噴射工程を終了する。
[2]循環工程
図1及び図6(D)に示される通り、洗浄液噴射工程が終了したら、ソフトスラッジ部が溶解したソフトスラッジ用洗浄液をオイルタンク1から一度排出するとともに再度オイルタンク1に戻す。
そのため、洗浄液供給ライン4を操作し、LCOからなる流体が循環ライン2に送られることを中止する。
そして、循環ライン2の流路制御装置23を順流モードにして、ソフトスラッジ部が溶解したソフトスラッジ用洗浄液をパイプ21、循環ライン2、熱交換器7を経由して噴射装置31に送る(図6(D)の矢印A参照)。
すると、流路制御装置23の作動によって、ソフトスラッジ部とともにソフトスラッジ用洗浄液が循環ライン2及び熱交換器7を流れて噴射装置31に送られ、これらの噴射装置31のノズル310からオイルタンク1の底部に積層されたスラッジSに噴射される。これにより、洗浄液噴射工程による流体の噴射では溶解しなかったソフトスラッジ部S1が溶解することになる。なお、ソフトスラッジ噴射工程と同様に、ノズル310から噴射される流体は、熱交換器7によって、40℃程度の温度が維持されることになる。
循環工程では、スラッジSが溶解された洗浄液が熱交換器7のチューブ74を通るが、チューブ74の内部に設けられている擬集体分離素子75によって、ソフトスラッジ部S1の擬集体同士が分離し、ソフトスラッジ用洗浄液とソフトスラッジ部S1とが乱流撹拌された状態で、タンク本体11に送られる。
本実施形態では、流路制御装置23による順流モードの操作を所定時間実施した後、流路制御装置23を切り替えて逆流モードにする。これにより、循環ライン2に貯まっているソフトスラッジ部が溶解されたソフトスラッジ用洗浄液がパイプ21からタンク本体11の底部に向けて逆噴射されることになり(図6(D)の矢印B参照)、タンク本体11に積層されているソフトスラッジ部S1が撹拌されることになる。なお、本実施形態では、循環ライン2に加え、あるいは、循環ライン2に代えて、排出ライン6の流路制御装置23を順流モードにすることで、タンク本体11の内部に積層されたスラッジSに原油を逆噴射させるものでもよい。
以上の工程を所定時間実施し、循環工程を終了する。流路制御装置23による順流モードと逆流モードとは繰り返して実施するものでもよい。
[ソフトスラッジ排出工程]
[1]スラッジ排出
ソフトスラッジ循環工程が終了したら、循環ライン2の運転を停止し、排出ライン6の流路制御装置23を順流モードにする。すると、タンク本体11に収納されたソフトスラッジ部S1が溶解されたソフトスラッジ用洗浄液は、パイプ61及びライン本管62を通じてスロップタンク63に送られる。
所定時間が経過し、オイルタンク1からソフトスラッジ部S1が溶解されたソフトスラッジ用洗浄液が排出されなくなったら、オイルタンク1の底部に残存するスラッジSはハードスラッジ部S2である。
[2]スラッジ計量工程
図6(E)に示される通り、オイルタンク1の内部に付着されたハードスラッジ部S2の量を計量する。そのため、全てあるいは一部の噴射装置31をルーフ12から取り外し、これらの噴射装置31のノズル310が抜き取られた後に生じるサポート開口14にそれぞれメジャーリングロッドRをオイルタンク1の底部に向けて差し込み、さらに、前述と同様に、オイルタンク1の底部に付着したハードスラッジ部S2の量を求める。
[ハードスラッジ洗浄工程]
[1]洗浄液噴射工程
オイルタンク1の内部に積層されたハードスラッジ部S2に向けてハードスラッジ用洗浄液をノズル310から噴射する。そのため、洗浄液供給ライン4を操作し、LCOのみ、LCO及び化学剤からなる流体、あるいは、LCO、CLO及び化学剤からなる流体をハードスラッジ用洗浄液として循環ライン2に送る。
ハードスラッジ用洗浄液は、循環ライン2及び熱交換器7を経由して洗浄液噴射ライン3のノズル310から噴射されてハードスラッジ部S2に衝突する。
ノズル310から噴射されるハードスラッジ用洗浄液は、所定の圧力でハードスラッジ部S2に衝突することで、ハードスラッジ部S2を溶解させる。ソフトスラッジ噴射工程と同様に、ノズル310から噴射される流体は、熱交換器7によって、40℃程度の温度が維持されることになる。
[2]循環工程
図1及び図6(D)に示される通り、ハードスラッジ部S2が溶解したハードスラッジ用洗浄液をオイルタンク1から一度排出するとともに再度オイルタンク1に戻す。
そのため、ソフトスラッジ洗浄工程と同様に、洗浄液供給ライン4を操作し、ハードスラッジ用洗浄液が循環ライン2に送られることを中止する。
そして、循環ライン2の流路制御装置23を順流モードにして、ハードスラッジ部S2が溶解したハードスラッジ用洗浄液をパイプ21、循環ライン2、熱交換器7を経由して噴射装置31に送る(図6(D)の矢印A参照)。
すると、洗浄液噴射工程による流体の噴射では溶解しなかったソフトスラッジ部S1が溶解することになる。
ハードスラッジ洗浄工程においても、循環工程では、ハードスラッジ部S2が溶解されたハードスラッジ用洗浄液が熱交換器7のチューブ74を通る。チューブ74の内部に設けられている擬集体分離素子75によって、ハードスラッジ部S2の擬集体同士が分離し、ハードスラッジ用洗浄液とハードスラッジ部S2とが乱流撹拌された状態で、タンク本体11に送られる。
以上の工程を所定時間実施し、循環工程を終了する。流路制御装置23による順流モードと逆流モードとは繰り返して実施する。
[ハードスラッジ排出工程]
[1]スラッジ計量工程
図6(E)に示される通り、ハードスラッジ循環工程が終了したら、オイルタンク1の内部に付着されたスラッジSの量を計量し、オイルタンク1の底部にスラッジSが積層されているか否かを確認する。
スラッジSの量が規定値以下であれば、オイルタンク1内にスラッジがないことが確認されたことになる。
[2]スラッジ排出
図6(F)に示される通り、オイルタンク1の底部にスラッジSが付着されていないことを確認したら、ソフトスラッジ排出工程と同様の手順で、ハードスラッジ部S2が溶解されたハードスラッジ用洗浄液を、パイプ61及びライン本管62を通じてスロップタンク63に送る。
[3]温水洗浄工程
スラッジSが溶解された流体がオイルタンク1から排出されたら、オイルタンク1に温水を供給して温水洗浄を実施する。そのため、図1に示される通り、温水供給管51の第一分岐管511に設けられた開閉弁56を開放操作して、温水タンク52に蓄えられた温水を洗浄液噴射ライン3のノズル310からタンク本体11に向けて噴射する。
従って、本実施形態では、次の作用効果を奏することができる。
(1)オイルタンク1から原油を排出し、オイルタンク1のルーフ12に予め形成されたサポート開口14にノズル310を挿入し、オイルタンク1から原油を排出した後にオイルタンク1の内部に積層されたスラッジSに、LCOが含まれた洗浄液をノズル310から噴射し、洗浄液に溶解されたスラッジSをオイルタンク1から排出するとともに再度オイルタンク1に戻してリサイクル洗浄し、オイルタンク1からスラッジSが溶解された洗浄液を排出した。そのため、洗浄液がLCOを含んで構成されるので、洗浄効果が高いものとなる。しかも、オイルタンク1の内部に洗浄液を供給するにあたり、ルーフ12に既設されているサポート開口14を利用しているので、オイルタンク1の内部に洗浄機や撹拌機を配置する場合に比べて、洗浄作業が容易となり、洗浄のためのコストを低くすることができる。
(2)スラッジSには、成分が異なる上層部分のソフトスラッジ部S1と下層部分のハードスラッジ部S2とがあることに着目し、洗浄液として、ソフトスラッジ用洗浄液とハードスラッジ用洗浄液との2種類を用意した。ハードスラッジ部S2には、アスファルテンが含まれるため、ハードスラッジ用洗浄液は、LCOと、界面活性剤及びリモネンが添加される化学剤とを含む構成とした。ソフトスラッジ部S1には、アスファルテンが含まれることが少なく、化学剤は必ずしも必要とされないため、化学剤が含まれない洗浄液をソフトスラッジ用とし、スラッジを排出するためのコストダウンを図った。
(3)ハードスラッジ用洗浄液は、オイルタンク1に堆積されているハードスラッジ部S2の量に対してLCOの量が1.0倍以上としたので、ハードスラッジ部S2を効率的にオイルタンクから排出することができる。
(4)ハードスラッジ用洗浄液に原油を含めたので、洗浄液の動粘度が低いものとなり、スラッジの排出作業が容易となる。特に、LCOの量をハードスラッジ部S2の量に対して2.0倍とし、原油の量をハードスラッジ部S2の量に対して0.5倍としたので、スラッジの排出をより効率的に実施できる。
(5)洗浄液に溶解されたスラッジSをオイルタンク1から排出するとともに再度オイルタンク1に戻し、スラッジSが溶解された洗浄液をオイルタンク1に向けて逆流させることにしたから、オイルタンク1の内部から流出する順流工程に加え、オイルタンク1の内部に向けて流入する逆流工程を実施することで、洗浄液でスラッジSを効果的に溶解させることが可能となる。そのため、スラッジSの排出を効率的に行うことができる。
(6)ソフトスラッジ部S1の洗浄と排出とを実施した後に、ハードスラッジ部S2の洗浄と排出とを実施したので、この点からも、効率的にオイルタンク1を洗浄することができる。
(7)原油が排出された後であってノズル310をサポート開口14に挿入する前に、オイルタンク1の内部に積層されたスラッジSの量を計量するため、ノズルから排出される流体のスラッジSに対する量を適正なものにすることができる。
(8)スラッジSが溶解された洗浄液を排出する前に、オイルタンク1の内部に積層されたスラッジSの量を計量するので、スラッジSがオイルタンク1の底部に残っていないことを確認した上で、スラッジSが溶解された洗浄液をオイルタンク1の外部に排出するので、スラッジSの排出を確実に実施することができる。
(9)スラッジSが溶解された流体を排出した後に、オイルタンク1に水を供給するので、仮に、オイルタンク1の底部にスラッジSが残されていたとしても、スラッジSを水とともに外部に排出することができるとともに、オイルタンク1の内部の脱臭を図ることができる。
(10)オイルタンク1の内部に積層されたスラッジSにLCOを含む流体を噴射するノズル310を有する洗浄液噴射ライン3と、LCO及び原油を含む洗浄液に溶解されたスラッジSをオイルタンク1から排出するとともに再度オイルタンク1に戻す循環ライン2と、オイルタンク1からスラッジSが溶解された洗浄液を排出する排出ライン6と、循環ライン2に接続されノズル310に洗浄液を供給する洗浄液供給ライン4と、を備えて洗浄装置を構成し、ノズル310の噴射姿勢を変更可能としたので、オイルタンク1の隅々まで洗浄液を行き渡らせることが可能となり、高い洗浄効果を得ることができる。
(11)オイルタンク1から送られるスラッジSが溶解された洗浄液を加熱する熱交換器7を循環ライン2に設けたので、オイルタンク1に送られる洗浄液が所定の温度を維持されることになり、オイルタンク1の内部に積層されたスラッジSの溶解が促進することになる。
(12)熱交換器7は、筐体71と、筐体71の内部にそれぞれ設けられた流体流通部72及び温水流通部73とを備え、流体流通部72は、チューブ74と、チューブ74の内部に設けられ洗浄液で溶解されたスラッジSの擬集体同士を分離させる擬集体分離素子75とを有するので、チューブ74の内部をスラッジSが溶解された洗浄液が擬集体分離素子75を通ると、互いに結合された擬集体が擬集体分離素子75に衝突して乱流撹拌された状態でノズル310に送られる。そのため、ノズル310からオイルタンク1に供給される洗浄液には大きな固まりのスラッジSがないので、配管等の詰まりがなくなり、排出操作を容易に行うことができる。
本実施形態の洗浄効果を確認するために、実施例について説明する。
本実施例は、オイルタンク1に付着したスラッジを用意し、このスラッジと洗浄液とをドラム缶に投入し、ドラム缶内でスラッジを洗浄液に溶解撹拌し、その際の引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、5℃の環境下における目視評価も併せて行った。
ここで、タンク内での流動性を確保するために、冬期及び夜間を考慮して、流動点の基準値を−10.0℃以下とした。
ポンプとして使用する遠心式ポンプの粘度限界500Pa・Sを考慮して、50℃での動粘度の基準値を100mm/s以下とした。
トッパーフィードの基準1質量%を考慮して、水泥分の含有量の基準値を10質量%以下とした。
ドラム缶は、内径0.566m、高さ0.890m、内容積0.224mである。
スラッジはオイルタンク1に付着したものを用意した。このスラッジを分析したところ、スラッジ成分は、27質量%のワックス、10質量%のアスファルテン、59質量%のライドハイドローカーボン、2質量%の残渣物、及び2質量%の水分からなる。
[実施例1]
洗浄液:LCO、原油及び化学剤
スラッジの質量を1とすると、LCOが2、原油が0.5である。CLOは含まれない。つまり、前述のドラム缶に、スラッジを深さで150mm分投入し、LCOを深さ300mm分投入し、原油を深さで75mm分投入した。加温温度は40℃である。
化学剤:20質量%のカルボキシベタインと、20質量%のスルホベタインと、60質量%のリモネンとからなる(ソフタード工業製品番号HKS−101A)。
化学剤は洗浄液全体に対して0.5質量%含まれる。つまり、化学剤は0.439kgドラム缶に投入した。
実施例1の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は−27.5℃であり、動粘度は10.48mm/sであり、水泥分は4質量%であった。実施例1の流動点、動粘度及び水泥分は適正なものであった。
目視評価は、「さらさらな液体であり、表面に極薄いワックスが析出した」に過ぎず、問題は全く見あたらず、最もよい評価であった。
[実施例2]
実施例2は、化学剤の比率が実施例1と異なり、他の条件は実施例1と同じである。
化学剤:実施例1と同様成分の化学剤(クリンハーバーズ社製品番号S−620)
化学剤は洗浄液全体に対して0.2質量%含まれる。化学剤を0.175kg投入した。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は−22.5℃であり、動粘度は6.734mm/sであり、水泥分は4質量%であった。
実施例2の流動点、動粘度及び水泥分は適正なものであった。
目視評価は、「さらさらな液体であり、表面に極薄いワックスが析出した」に過ぎず、問題は全く見あたらず、最もよい評価であった。
[実施例3]
洗浄液:LCO及び化学剤
スラッジの質量を1とすると、LCOが2である。原油及びCLOは含まれない。つまり、前述のドラム缶に、スラッジを深さで175mm分投入し、LCOを深さ350mm分投入した。加温温度は40℃である。
化学剤:製品番号HKS−101Aが洗浄液全体に対して0.5質量%含まれる。つまり、化学剤を0.409kg投入した。
実施例3の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は−27.5℃であり、動粘度は17.41mm/sであり、水泥分は4質量%であった。実施例3の流動点、動粘度及び水泥分は適正なものであった。
目視評価は、「さらさらな液体であり、表面に極薄いワックスが析出した」に過ぎず、問題は全く見あたらず、最もよい評価であった。
[実施例4]
実施例4は、化学剤の比率が実施例3と異なり、他の条件は実施例3と同じである。つまり、スラッジの質量を1とすると、LCOが2である。
化学剤はクリンハーバーズ社製品番号S−620を用いた。化学剤は洗浄液全体に対して0.2質量%含まれる。つまり、化学剤を0.164kg投入した。
実施例4の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は−22.5℃であり、動粘度は9.532mm/sであり、水泥分は4質量%であった。実施例4の流動点、動粘度及び水泥分は適正なものであった。
目視評価は、「さらさらな液体であり、表面に極薄いワックスが析出した」に過ぎず、問題は全く見あたらず、最もよい評価であった。
[実施例5]
実施例5は、洗浄液に化学剤が含まれない点で実施例3と相違し、他の条件は実施例3と同じである。つまり、スラッジの質量を1とすると、LCOが2であり、CLO及び原油は含まれない。
実施例5の洗浄液にスラッジをドラム缶にて溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は31℃であり、流動点は−25℃であり、動粘度は13.44mm/sであり、水泥分は6質量%であった。実施例5の流動点、動粘度及び水泥分は適正なものであった。
目視評価は、「表面に薄いワックスが析出した」に過ぎず、問題は見あたらず、総合的に実施例1〜4に次ぐよい評価であった。
[実施例6]
洗浄液:LCO及び原油
スラッジの質量を1とすると、LCOが1、原油が0.5である。CLO及び化学剤は含まれない。つまり、前述のドラム缶に、スラッジを深さで210mm分投入し、LCOを深さ210mm分投入し、原油を深さで105mm分投入した。加温温度は40℃である。
実施例6の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は−20℃であり、動粘度は28.77mm/sであり、水泥分は6質量%であった。実施例6の流動点、動粘度及び水泥分は適正なものであった。
目視評価は、「低粘度、流動性あり」であり、問題は見あたらず、総合的に実施例1〜4に次ぐよい評価であった。
[実施例7]
実施例7は、化学剤が洗浄液に含まれる点で実施例6と相違し、他の条件は実施例6と同じである。
つまり、スラッジの質量を1とすると、LCOが1であり、原油が0.5である。CLOは含まれない。
化学剤は、ソフタード工業製品番号HKS−101Aを洗浄液全体に対して0.5質量%含めた。つまり、化学剤を0.369kg投入した。
実施例7の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は−17.5℃であり、動粘度は42.34mm/sであり、水泥分は4質量%であった。実施例7の流動点、動粘度及び水泥分は適正なものであった。
目視評価は、「低粘度、流動性あり」であり、問題は見あたらず、総合的に実施例1〜4に次ぐよい評価であった。
[実施例8]
実施例8は、化学剤が洗浄液に含まれる点で実施例6とは相違するものであり、他の条件は実施例6と同じである。
つまり、スラッジの質量を1とすると、LCOが1であり、原油が0.5である。CLOは含まれない。
化学剤は、クリンハーバーズ社製品番号S−620を洗浄液全体に対して0.2質量%含めた。つまり、化学剤を0.147kg投入した。
実施例8の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は−30℃であり、動粘度は31.24mm/sであり、水泥分は4質量%であった。実施例8の流動点、動粘度及び水泥分は適正なものであった。
目視評価は、「低粘度、流動性あり」であり、問題は見あたらず、総合的に実施例1〜4に次ぐよい評価であった。
[実施例9]
洗浄液:LCO、CLO及び化学剤
スラッジの質量を1とすると、LCOが1、CLOが0.5である。原油は含まれない。つまり、前述のドラム缶に、スラッジを深さで210mm分投入し、LCOを深さ210mm分投入し、CLOを深さで105mm分投入した。加温温度は40℃である。
化学剤:製品番号S−620を洗浄液全体に対して0.2質量%含めた。つまり、化学剤を0.147kg投入した。
実施例9の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は−22.5℃であり、動粘度は41.58mm/sであり、水泥分は4質量%であった。実施例9の流動点及び動粘度は適正なものであった。
目視評価は、「高粘度、やや流動性あり」であり、問題は見あたらず、総合的に実施例1〜4に次ぐよい評価であった。
[実施例10]
洗浄液は、CLOと化学剤の比率を変えた点で実施例9と異なり、他の条件は実施例9と同じである。
スラッジの質量を1とすると、LCOが1であり、CLOが1.0である。つまり、前述のドラム缶に、スラッジを深さで175mm分投入し、LCOを深さ175mm分投入し、CLOを深さで175mm分投入した。加温温度は40℃である。
化学剤は、製品番号HKS−101Aを洗浄液全体に対して0.5質量%含めた。つまり、化学剤を0.409kg投入した。
実施例10の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は−25℃であり、動粘度は49.81mm/sであり、水泥分は4質量%であった。実施例10の流動点及び動粘度は適正なものであった。
目視評価は、「高粘度、やや流動性あり」であり、問題は見あたらず、総合的に実施例1〜4に次ぐよい評価であった。
[実施例11]
洗浄液:LCO、CLO、原油及び化学剤
スラッジの質量を1とすると、LCOが1、CLOが0.5、原油が0.5である。つまり、前述のドラム缶に、スラッジを深さで180mm分投入し、LCOを深さ180mm分投入し、CLOを深さで90mm分投入し、原油を深さで90mm分投入した。加温温度は40℃である。
化学剤:製品番号HKS−101Aを洗浄液全体に対して0.5質量%含めた。つまり、化学剤を0.421kg投入した。
実施例11の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は−30℃であり、動粘度は27.52mm/sであり、水泥分は6質量%であった。実施例11の流動点、動粘度及び水泥分は適正なものであった。
目視評価は、「中粘度、流動性あり」であり、問題は見あたらず、総合的に実施例1〜4に次ぐよい評価であった。
[実施例12]
洗浄液は、化剤の比率を変えた点で実施例11と相違し、他の条件は実施例11と同じである。
つまり、スラッジの質量を1とすると、LCOが1.0であり、CLOが0.5であり、原油が0.5である。
化学剤は、製品番号S−620を洗浄液全体に対して0.2質量%含めた。つまり、化学剤を0.168kg投入した。
実施例12の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は−30℃であり、動粘度は26.18mm/sであり、水泥分は6質量%であった。実施例12の流動点、動粘度及び水泥分は適正なものであった。
目視評価は、「中粘度、流動性あり」であり、問題は見あたらず、総合的に実施例1〜4に次ぐよい評価であった。
[実施例13]
洗浄液は、化学剤がないことが実施例9と相違し、他の条件は実施例9と同じである。つまり、スラッジの質量を1とすると、LCOが1であり、CLOが0.5である。原油及び化学剤は含まれない。
実施例13の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は−30℃であり、動粘度は73.16mm/sであり、水泥分は8質量%であった。実施例13の流動点、動粘度及び水泥分は適正なものであった。
目視評価は、「高粘度、やや流動性あり」であり、問題は全く見あたらず、総合的に実施例5〜12に次ぐ評価であった。
[実施例14]
洗浄液は、化学剤の比率が実施例9と相違し、他の条件は実施例9と同じである。つまり、スラッジの質量を1とすると、LCOが1であり、CLOが0.5である。原油は含まれない。
化学剤は、製品番号「HKS−101A」を洗浄液全体に対して0.5質量%含めた。つまり、化学剤を0.369kg投入した。
実施例14の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は−27.5℃であり、動粘度は56.5mm/sであり、水泥分は2質量%であった。実施例14の流動点、動粘度及び水泥分は適正なものであった。
目視評価は、「高粘度、やや流動性あり」であり、問題は全く見あたらず、総合的に実施例5〜12に次ぐ評価であった。
[比較例1]
洗浄液:CLO
スラッジの質量を1とすると、CLOが1である。LCO、原油及び化学剤は含まれない。つまり、前述のドラム缶に、スラッジを深さで265mm分投入し、CLOを深さ265mm分投入した。加温温度は40℃である。
比較例1の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は5.0℃であり、動粘度は853mm/sであり、水泥分は16質量%であった。比較例1の流動点、動粘度及び水泥分は、それぞれ適正なものとは言えない。
目視評価は、「高粘度、流動性が乏しい」ものであり、総合的に、最も悪い評価であった。
[比較例2]
比較例2はCLOの比率が比較例1と相違し、他の条件は比較例1と同じである。
つまり、スラッジの質量を1とすると、CLOが2である。LCO、原油及び化学剤は含まれない。
比較例2の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は−2.5℃であり、動粘度は219mm/sであり、水泥分は6質量%であった。比較例1の流動点及び動粘度は、それぞれ適正なものとは言えない。
目視評価は、「高粘度、流動性が乏しい」ものであり、総合的に、最も悪い評価であった。
[比較例3]
比較例3は洗浄液に化学剤が含まれる点で比較例1と相違し、他の条件は比較例1と同じである。
つまり、スラッジの質量を1とすると、CLOが1である。化学剤は、製品番号「HKS−101A」を洗浄液全体に対して0.5質量%含めた。つまり、化学剤を0.310kg投入した。LCO及び原油は含まれない。
比較例3の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は−5℃であり、動粘度は431mm/sであり、水泥分は20質量%であった。比較例3の流動点、動粘度及び水泥分は、それぞれ適正なものとは言えない。
目視評価は、「高粘度、流動性が乏しい」ものであり、総合的に最も悪い評価であった。
[比較例4]
比較例4は洗浄液に化学剤が含まれる点で比較例1と相違し、他の条件は比較例1と同じである。
つまり、スラッジの質量を1とすると、CLOが1である。化学剤は、製品番号「S−620」を洗浄液全体に対して0.2質量%含めた。化学剤は0.124kg投入した。LCO及び原油は含まれない。
比較例4の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は0℃であり、動粘度は817mm/sであり、水泥分は16質量%であった。比較例4の流動点、動粘度及び水泥分は、それぞれ適正なものとは言えない。
目視評価は、「高粘度、流動性が乏しい」ものであり、総合的に、最も悪い評価であった。
[比較例5]
比較例5はCLOの比率が比較例1と相違し、他の条件は比較例1と同じである。
つまり、スラッジの質量を1とすると、CLOが2である。
化学剤は、製品番号「HKS−101A」を洗浄液全体に対して0.5質量%含めた。LCO及び原油は含まれない。
比較例5の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は−7.5℃であり、動粘度は234mm/sであり、水泥分は6質量%であった。比較例5の流動点及び動粘度は、それぞれ適正なものとは言えない。
目視評価は、「高粘度、流動性が乏しい」ものであり、総合的に最も悪い評価であった。
[比較例6]
比較例6はCLOの比率及び洗浄液に化学剤が含まれる点で比較例1と相違し、他の条件は比較例1と同じである。
つまり、スラッジの質量を1とすると、CLOが2である。化学剤は、製品番号「S−620」を洗浄液全体に対して0.2質量%含めた。LCO及び原油は含まれない。
比較例6の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は−17.5℃であり、動粘度は193mm/sであり、水泥分は4質量%であった。比較例6の動粘度は適正なものとは言えない。
目視評価は、「高粘度、流動性が乏しい」ものであり、総合的に、最も悪い評価であった。
[比較例7]
洗浄液:CLO、原油及び化学剤
スラッジの質量を1とすると、CLOが1であり、原油が0.5である。LCOは含まれない。つまり、前述のドラム缶に、スラッジを深さで210mm分投入し、CLOを深さ210mm分投入し、原油を深さで105mm分投入した。加温温度は40℃である。
化学剤は、製品番号「HKS−101A」を洗浄液全体に対して0.5質量%含めた。つまり、化学剤を0.369kg投入した。
比較例7の洗浄液にスラッジをドラム缶にて撹拌溶解させた後、引火点、流動点、動粘度、水泥分を測定し、目視による評価を行った。
引火点は室温(25℃)であり、流動点は−2.5℃であり、動粘度は143mm/sであり、水泥分は10質量%であった。比較例7の流動点、動粘度及び水泥分は、それぞれ適正なものとは言えない。
目視評価は、「高粘度、流動性が乏しい」ものであり、総合的に、最も悪い評価であった。
以上の実施例から、スラッジの質量1に対してLCO1倍以上のLCOを含む洗浄液は流動点、動粘度及び水泥分とも好適な値を得ることができた。つまり、LCOをスラッジの質量と同じ量だけ用いることで、流動性と動粘度とも溶解性のある値となった。特に、スラッジの質量1に対してLCOを2倍とした場合には、好適な結果を得ることができた。
さらに、CLOを用いる場合では、LCOを併せて用いることにより、溶解性を確保することができる。これに対して、比較例に示される通り、洗浄液にLCOを含めないと、流動点、動粘度及び水泥分とも基準値を外れることになり、スラッジの排出に困難性を伴うことがわかる。
しかも、実施例1〜4から、所定量の化学剤を洗浄液に含めると、化学剤を含めない場合に比べて、動粘度が低くなり、スラッジを容易にオイルタンクから排出することができる。逆に、化学剤を用いない場合には、水泥分が高いものとなる。チクソトロピック性の観点からも化学剤の添加が好ましい。さらに、実施例1と実施例3とを比較し、実施例2と実施例4とを比較してわかるように、原油が含まれる場合が含まれない場合に比べて、動粘度が低い。そのため、スラッジの排出を容易に行えることがわかる。そして、LCOの量がスラッジの量に対して2.0倍であり、原油の量がスラッジの量に対して0.5倍とすると、流動点、動粘度及び水泥分とも最も良い値となることがわかる。
次に、オイルタンク1の内部において、スラッジが溶解された洗浄液において、オイルタンク1の内部の上下で流動点の差が生じることを確認する実施例について説明する。
まず、実施例1において、洗浄液にスラッジを一度溶解させた後、放置し、ドラム缶の上層と下層とで流動点を測定した。その結果、流動点は、上層では、−50℃であるのに対して、下層では、−30℃であった。
次に、実施例3においても同様の実験を行ったところ、流動点は、上層では、−27.5℃であり、下層では、−47.5℃であった。
以上の通り、ドラム缶の内部に収納されスラッジが溶解された洗浄液において上下に流動点の差が生じることから、ドラム缶より大きなオイルタンクにおいても、上下で流動点の差が生じることが容易に推測できる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
例えば、前記実施形態では、ノズルが挿入される既設開口部をサポート開口14としたが、本発明の既設開口部は、予め、ルーフに形成されている開口であれば、サポート開口14に限定されるものではなく、例えば、マンホールであってもよい。
また、ノズル310をサポート開口14に挿入する前や、スラッジSが溶解された流体を排出する前に、オイルタンク1の内部に積層されたスラッジSの量を計量することにしたが、本発明では、この計量工程を省略するものでもよい。
さらに、本発明では、スラッジSが溶解された流体を排出した後に、オイルタンク1に水を供給する工程を省略してもよい。
本発明では、必ずしも熱交換器7を設けることを要しない。熱交換器を設ける場合であっても、チューブ74に擬集体分離素子75を必ずしも設けることを要しない。
仮に、擬集体分離素子75をチューブ74に設ける場合であっても、前記実施形態の構成に限定されるものではない。つまり、擬集体分離素子75は、互いに結合した擬集体同士を機械的な力によって再度分離させる構成であれば、その具体的な構成は限定されるものではなく、例えば、チューブ74の内部にガラスウールを充填させるものであってもよい。
さらに、擬集体分離素子75を設ける場合であっても、熱交換器に設けることを要しない。つまり、循環ラインに熱交換器とは別に擬集体分離素子を備えたスラッジ分離装置を設ける構成としてもよい。このスラッジ分離装置には、スラッジが溶解された洗浄液を加熱する熱源を熱交換器とは別に設けるものでもよく、当該熱源自体を設けない構成でもよい。
さらに、本発明では、ハードスラッジ用洗浄液をソフトスラッジ用洗浄液として使用してもよい。
また、本発明では、必ずしも、オイルタンク1の内部に向けて流入する逆流工程を実施することを要しない。
本発明は石油精製プラントに利用することができる。
1…オイルタンク、11…タンク本体、12…ルーフ、13…ルーフサポートパイプ、14…サポート開口(既設開口部)、2…循環ライン、3…洗浄液噴射ライン、4…洗浄液供給ライン、5…温水供給ライン、6…排出ライン、7…熱交換器、S…スラッジ、S1…ソフトスラッジ部、S2…ハードスラッジ部

Claims (10)

  1. 既設開口部が形成されたルーフを有するオイルタンクの内部を洗浄する方法であって、
    前記既設開口部にノズルを挿入する準備工程と、
    前記オイルタンクから原油を排出した後に前記オイルタンクの内部に積層されたスラッジに、炭化水素油の流動接触分解で留出されるLCO(Light Cycle Oil:分解軽油)が含まれた洗浄液を前記ノズルから噴射し、前記洗浄液で前記スラッジを溶解させ、前記洗浄液に溶解されたスラッジを前記オイルタンクから排出するとともに再度前記オイルタンクに戻す洗浄工程と、
    前記オイルタンク内の洗浄が終了した後、前記オイルタンクから前記スラッジが溶解された前記洗浄液を排出するスラッジ排出工程と、を備えた
    ことを特徴とするオイルタンクの洗浄方法。
  2. 請求項1に記載されたオイルタンクの洗浄方法において、
    前記スラッジは、上層部分を構成する軟質のソフトスラッジ部と下層部分を構成する硬質のハードスラッジ部とを有し、
    前記洗浄液は、前記ソフトスラッジ部を溶解するためのソフトスラッジ用洗浄液と、前記ハードスラッジ部を溶解するためのハードスラッジ用洗浄液とを備え、
    前記ソフトスラッジ用洗浄液は、前記LCOと、原油とを含み、
    前記ハードスラッジ用洗浄液は、前記LCOと、界面活性剤及びリモネンを含む化学剤とを含む、
    ことを特徴とするオイルタンクの洗浄方法。
  3. 請求項2に記載されたオイルタンクの洗浄方法において、
    前記ハードスラッジ用洗浄液は、前記オイルタンクに堆積されている前記ハードスラッジ部の量に対して前記LCOの量が1.0倍以上とされる
    ことを特徴とするオイルタンクの洗浄方法。
  4. 請求項3に記載されたオイルタンクの洗浄方法において、
    前記ハードスラッジ用洗浄液は、原油を含む
    ことを特徴とするオイルタンクの洗浄方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載されたオイルタンクの洗浄方法において、
    前記洗浄工程は、前記洗浄液に溶解されたスラッジを前記オイルタンクから排出するとともに再度前記オイルタンクに戻す循環工程と、前記循環工程で前記洗浄液に溶解されたスラッジが循環される方向とは逆方向に前記洗浄液を前記オイルタンクに逆流させる逆流工程とを備える
    ことを特徴とするオイルタンクの洗浄方法。
  6. 請求項4又は請求項5に記載されたオイルタンクの洗浄方法において、
    前記洗浄工程は、前記ソフトスラッジ用洗浄液を用いて前記ソフトスラッジ部を洗浄するソフトスラッジ洗浄工程と、前記ハードスラッジ用洗浄液を用いて前記ハードスラッジ部を洗浄するハードスラッジ洗浄工程とを備え、
    前記スラッジ排出工程は、前記オイルタンクから前記ソフトスラッジ部が溶解された前記洗浄液を排出するソフトスラッジ排出工程と、前記オイルタンクから前記ハードスラッジ部が溶解された前記洗浄液を排出するハードスラッジ排出工程とを備え、
    前記ハードスラッジ洗浄工程は、前記ソフトスラッジ排出工程を実施した後に実施される
    ことを特徴とするオイルタンクの洗浄方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載されたオイルタンクの洗浄方法において、
    前記準備工程は、前記原油が排出された後であって前記ノズルを前記既設開口部に挿入する前に、前記オイルタンクの内部に積層されたスラッジの量を計量するスラッジ計量工程を備える
    ことを特徴とするオイルタンクの洗浄方法。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載されたオイルタンクの洗浄方法において、
    前記スラッジ排出工程は、前記オイルタンクの内部に積層されたスラッジの量を計量するスラッジ計量工程を備える
    ことを特徴とするオイルタンクの洗浄方法。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載されたオイルタンクの洗浄方法において、
    前記スラッジ排出工程は、前記スラッジが溶解された前記洗浄液を排出した後に、前記オイルタンクに水を供給する
    ことを特徴とするオイルタンクの洗浄方法。
  10. 既設開口部が形成されたルーフを有するオイルタンクの内部を洗浄する装置であって、
    前記オイルタンクの内部に積層されたスラッジに、炭化水素油の流動接触分解で留出されるLCO(Light Cycle Oil:分解軽油)が含まれた洗浄液を噴射するノズルを有する洗浄液噴射ラインと、
    前記洗浄液に溶解されたスラッジを前記オイルタンクから排出するとともに再度前記オイルタンクに戻す循環ラインと、
    前記オイルタンクから前記スラッジが溶解された前記洗浄液を排出する排出ラインと、
    前記循環ラインに接続され前記ノズルに前記洗浄液を供給する洗浄液供給ラインと、を備え、
    前記ノズルは前記既設開口部に挿入可能かつ噴射姿勢を変更可能である
    ことを特徴とするオイルタンクの洗浄装置。
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