JP2016077140A - 高性能の動き制御のためのモーター・サーボ・ドライブ - Google Patents

高性能の動き制御のためのモーター・サーボ・ドライブ Download PDF

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Abstract

【課題】広い電流動作範囲をカバーする位置決め用サーボ・ドライブ・システムを提供する。
【解決手段】モーター33の動きと位置決めのフィードバックベースの制御のためのサーボ・ドライブ・システム20は、フィードバックを与えるために、モーター33によって引かれている電流の測定を得るために構成される電流測定デバイスを備え、電流は動作範囲を有し、動作範囲は、加速のために比較的に大きい電流範囲を備えるが、モーターの安定状態の動作のためには比較的により小さな電流範囲の中に残る。電流測定デバイスは、比較的に大きい電流範囲を測定するために好適化された第1の「粗い」センサー36と、比較的に小さい電流範囲を測定するために好適化された第2の「細かい」センサー38とを有し、それによって、安定状態の動作の間のフィードバックの精度を最大限にする。
【選択図】図1

Description

本発明は、それのいくつかの実施形態において、サーボ・モーターに電流を供給するモーター・サーボ・ドライブの性能を改善することに関連し、より具体的だが排他的ではなく、その範囲が大きい場合であっても、電流範囲全体にわたって電流の感度を改善することに関する。
モーターは、電流に直に関係した力(または、トルク)および加速度を発生する。より良好な電流は、サーボ・モーターのより正確な速度と位置の制御を可能にする。コマンドに従うドライブの出力電流(モーターに供給される)がより正確なほど、ドライブの速度と位置の制御がより正確になる。ドライブの改善された性能は、特に、要求された電流が、例えばモーターを加速するときに必要とされる最大電流に関して低レベルである場合、電流測定の信号対ノイズ比を改善することによって達成される。
モータードライブが、可能な最良の性能を与えるために、閉ループの電流制御方法が用いられることが周知である。ドライブは、ドライブの実際の出力電流を表す電気的な信号を生成する電流感知回路を利用する。測定された出力電流は、所望の電流コマンドと比較され、両者の間の誤差は、出力電流を修正するためにドライブによって用いられる。
出力電流への修正は、測定の精度と、実際に測定された電流が実際の出力を表している程度とによって制限されることが周知である。測定された信号の実際の出力電流からの変位は、ドライブによる誤った修正をつくり出し得る。そのような変位は、一般的に、量子化ノイズ(または、エラー)、周囲の電子回路および他のノイズ源からの電磁気的な干渉(electro-magnetic interference)(EMI)に因る。
モーターの高性能の速度および位置制御を達成するために、閉ループ方法が用いられることが周知である。実際の速度および/または位置が測定され、所望の速度および/または位置と比較される。所望の速度と実際に測定された速度との間の変位、速度誤差、または、所望の位置と測定された位置とのあいだの変位(位置誤差)もやはり、モーター・サーボ・ドライブへのコマンド(ドライブコマンド)への修正として用いられる。モーター電流における任意のノイズ、例えば、量子化ノイズは、モーターが生成する力またはトルクにノイズを持ち込み得、したがって、実際の速度および実際の位置がいかに良好に所望の速度および位置に従っているかに消極的に影響し得る。
利用可能なモーター・サーボ・ドライブの2つの主たる種類がある: リニアドライブとスイッチングパルス幅変調(switching Pulse Width Modulation)(PWM)ドライブ。当該ドライブは、多くの種類のモーターを駆動する: 単相および多相モーター、リニアおよび回転タイプの両方。モーターは、DCモーター、永久磁石同期モーター、非同期インダクションモーター、ボイスコイル、ステッパモーター、等を含む、任意の種類のモーター構造のものでよい。
特にここで概略が記されるPWMドライブとリニアドライブとの間にはいくつかの違いがある。
同じ出力電力能力では、リニアドライブは、ドライブのPWMタイプに比較して低効率という悩みがあり、したがって、リニアドライブは、比較によれば、甚だしい量の熱を発散する。リニアドライブは、比較するとより大きく、一般的に、より高価である。リニアドライブは、また、PWMドライブより静かであって、電流感知回路に影響を与える電磁気ノイズをより少なく発生する。結果として、リニアドライブは、特に、低レベルの電流が精緻な速度および位置の修正のために必要とされる場合、広範囲の電流にわたって、所望の電流のより良好な複製である電流をモーターに供給することができる。
数ナノメートルまたはナノメートル以下の低い静止位置のジッター(即ち、静止位置における所望の位置からの変位)、および、定速度で動いている間の数ナノメートルおよびそれ以下のフォローイングエラー(following error)をもち、非常に低いレベルの電流が、そのように小さいエラーの修正のために必要とされる場合に、高いダイナミクスと、大きいマスまたはイナーシャの加速(数gのオーダー)と、したがって、高い電流との組み合わせを必要とする多くの高精度な位置決め用途がある。
そのような用途の例は、エアベアリングタイプとメカニカルベアリングタイプの両方の高精度の位置決めテーブルを利用する、ウェハー検査および計測システムを含む。そのような位置決めステージは、単一のリニアモーターと位置フィードバックを有したシステムと、また、各々のガントリ軸あたり2つのモーターと2つの位置フィードバックを利用するガントリ軸システムとを含み得る。最新のウェハー検査および計測システムは、ナノメートル、および、ナノメートル以下のレベルでの静止時のジッター、および、定速で動いている間の数ナノメートルのフォローイングエラーを要求する。そのような用途、または、類似のものは、また、比較的高いイナーシャの高い加速と、したがって、高い電流と、数マイクロ度とそれ以下の低い静止ジッターとの組み合わせを必要とする、高精度の回転位置決めテーブルを用いる。
高いダイナミクスと、定速度の間または静止におけるナノメートル、ナノメートル以下、マイクロ度、およびマイクロ度以下の静止ジッターまたは低いフォローイングエラーとの組み合わせを要求する位置決め用途について、現在の技術で唯一存在可能なサーボ・ドライブは、リニアドライブである。より具体的には、既存のPWMサーボ・ドライブは、一般に、静止期間での、約10ナノメートル以下のジッターとフォローイングエラーを必要とする用途において用いられない。定速において、PWMによって達成され得るフォローイングエラーは、一般的に、より悪い。
E. Anger等に発行された米国特許第3,775,654号は、工作物に関する機械の位置を制御するためのプログラム可能なおよび手動で操作可能な制御システムを開示し、この機械は、工作物がコンベアによって動かされるが、工作物上の様々な位置で作業を行い得る。システムは、基準位置に関する機械の位置を示す出力信号を与える一対の同期レゾルバと、基準位置に関するコンベアの位置を示す出力信号を与える一対の同期レゾルバとを含む。レゾルバを示す機械の出力は、レゾルバを示すコンベアへの入力を与え、レゾルバを示すコンベアの出力は、メモリからの信号によってプリセットされている、連続的に再循環するカウンタによって生成されるコマンド信号と比較され、機械と工作物上の選択された位置の間の変位は、異なる機械的な伝動装置を用いることなく電子的に測定される。制御システムは、機械が工作物上の1つのプログラムされた位置から新たなプログラムされた位置まで動く間に、機械が工作物と同期して、工作物とは独立に動くように設計される。
Jehuda Ish−Shalomに発行された欧州特許第0189794号は、電機子と複数のコイルをもった固定子を有するステッパモーターと、コイルに電力を供給するためにコイルに接続された電力手段と、選択されたとき、電力手段からコイルを介する回路を動作可能にすることを完遂するためにコイルに接続されたコイル切換手段と、電機子の位置をモニタし、あるパターンの現在の電機子位置信号を論理手段に、および、マイクロプロセッサに与えるために適合された電機子位置感知手段と、を備える電磁アクチュエータを開示し、マイクロプロセッサは、電力手段に振幅制御信号を与え、論理手段に方向と位相進み信号を与えるように適合され、論理手段は、コイル切換手段に切換選択信号を生成するように適合され、マイクロプロセッサは、電力手段に、制御振幅Uを与えるため、また、以下の式に従った二乗測補正を与えるために、リニア制御測でもって動作するように適合されることを特徴とする。
Figure 2016077140
Walkerへの米国特許第4,274,042号は、三相のACモータードライブシステムを開示し、可変周波数・可変振幅のAC電流が、サイリスタ制御のDC−ACインバータからACモーター負荷に供給され、それは、インダクタを含むDCリンクによって、サイリスタ制御のAC−DCコンバータから供給される。DC負荷電流は、コンバータの出力電圧とインバータの入力電圧との間(電圧はインダクタにまたがって現れる)の差によって制限された割合で上がるように指令される。負の方向でのコマンドについて直面される固有のコミュテーション転送遅延の結果として、エラー信号クランプが、正の方向での変化のためのコマンドを制限するためにAC−DCコンバータを制御するフィードバック信号経路におかれ、それによって、負の方向での応答に非常に似ている正の方向でのシステム応答を与える。
本実施形態は、PWMに、リニアドライブに、並びに、他の形式のドライブに適用可能である。PWMドライブに適応された場合、等価なリニアドライブの性能に匹敵する性能をPWMドライブに与え、リニアドライブに適用された場合、周知の技術のリニアドライブでは達成できない性能を、リニアドライブに与える。
説明されるように、いくつかの位置決めの応用例は、高い電流範囲を使うドライブを用いることを必要とする。加速等の遷移状態の間に必要とされるモーター電流は、加速していない、即ち、静止しているまたは定速で動いているときの安定状態のフェーズの間の電流の数千倍であり得る。実際、安定状態で必要とされる電流は、ゼロ近くであり得る。
「加速」の用語は、負の加速とみなされる「減速」のこともいうことが、この中で注記される。「加速」という用語は、また、大きな外乱を克服するために必要とされる「加速を修正すること」もいう。
より一般的には、加速と減速の遷移状態の間、および、高い外乱に遭遇した場合など、高い力が必要とされるときに、高い電流が必要とされる。
全体の電流範囲をカバーするために調整されるセンサーによって安定状態のフェーズの間に行われる電流測定は、センサーと測定回路によって拾われる電気的なノイズよりも小さい、実際の電流を表す電気的な信号を生成する。本発明の実施形態は、したがって、単一のセンサーを用いる現在の技術を用いるのと同じ信号対ノイズ比および分解能をもった大きな範囲の電流と、より高い信号対ノイズ比とより高い分解能をもった低いレベルの電流との両方の組み合わせを得るために、高い電流を測定する(「粗い」測定)ための第1のセンサーおよび測定回路と、低い電流を測定する(「細かい」測定)ための第2のセンサーおよび測定回路との、個別の電流センサーおよび測定回路を用い得る。個別の測定は、位置ジッターとフォローイングエラーを改善する。その結果は、改善された速度と位置決めの精度を提供するドライブとなる。「粗い」および「細かい」測定の現在の技術をPWMドライブに適用する場合、PWMドライブは、単一の電流測定センサーを用いた等価なリニアドライブと同じか、より良い性能を与え、それによって、PWMドライブが、高い電流範囲で高精度な応用例において、リニアドライブと置き換えて用いられることを可能にする。代替的に、さらにその特性を改善し、したがって、単一の電流測定センサーを用いた等価なリニアドライブと比較した場合、より良い静止ジッターとフォローイングエラーでさえも達成するために、「粗い」および「細かい」測定の同じ技術が、リニアドライブに適用され得る。
「サーボ・ドライブ」の用語がこの中で用いられる場合、それは、1またはそれより多くの電流フィードバック測定を用いる単相または多相モーターのためのサーボ・ドライブであり得る。「粗い」と「細かい」測定の方法は、そのようなフィードバック測定の1またはそれより多くに適用され得る。本実施形態は、代替的に、電流に、および、電流ベクトルに関連し得る。
本実施形態は、より一般的には、任意の種類のアクチュエータに、および、アクチュエータの制御の一部をなすために測定され得る任意の測定可能な特徴に適用され得る。その特徴に対して大きい範囲があり、安定状態のために低いレベルの範囲が要求される場合には、それら2つの範囲が、個別に、専用のセンサーによって測定され得る。
フィードバックを測定することに加えて、同じ扱いが、任意のアクチュエータのドライブのための外部から供給されるコマンド信号に適用され得る。コマンド信号の範囲の低い部分について、それが増幅され得、増幅された信号が、範囲の低い部分にわたるより精度の高い制御を与えるために用いられ得る。
本発明のいくつかの実施形態の態様にしたがって、モーターの動きと位置決めのフィードバックベースの制御のためのサーボ・ドライブ・システムが提供され、
サーボ・ドライブ・システムは、
そこからフィードバックを与えるために、ドライブモーターによって引かれる電流の測定値を得るよう構成された電流測定デバイスを備え、
電流は動作範囲を有し、
前記動作範囲は、加速のために比較的に大きな電流範囲を備えるが、モーターの安定状態の動作のためには比較的により小さな電流範囲の中に残り、
電流測定デバイスは、それによって安定状態の動作の間のフィードバックのための精度を最大限にするために、比較的に大きな電流範囲を測定するために好適化された第1の「粗い」センサーと、比較的により小さい電流範囲を測定するために好適化された第2の「細かい」センサーとを有する。
実施形態は、同じレートで、前記第1のセンサーと前記第2のセンサーのそれぞれをサンプリングするためのサンプラーを備える。
実施形態において、ドライブは、パルス幅変調ドライブ、リニアドライブ、または、任意の他の好適なドライブである。
実施形態において、モーターは、単相モーター、直流モーター、多相モーター、三相モーター、交流モーター、2相モーター、リニアモーター、または、回転モーター、または、任意の他の好適なモーターであり得る。
実施形態は、モーター電流が所定の閾値より下であるとき、前記第2の「細かい」センサーをスイッチオンし、モーター電流が所定の閾値より上であるとき、前記第2の「細かい」センサーを電気的にショートし得る。
センサーは、抵抗、電流ミラー回路、トランス、ホール効果ベースの電流センサー、または、任意の他の好適なセンサーを備え得る。
ドライブは、単相を有するモーターのためのものであり得、第1と第2のセンサーは、モーターの1つの電流測定のために適用され得る。
代替的に、ドライブは、複数の相を有するモーターのためのものであり、第1と第2のセンサーは、モーターの少なくとも1つの電流測定のために与えられ得る。一般的に、センサーペアは、モーターの1、いくつか、または全ての相に対して与えられ得る。
実施形態において、外部のコントローラが、アナログ電流コマンドを生成するために用いられ得、ドライブは、外部のコントローラからアナログコマンドを受け取るために接続される。ドライブは、前記アナログコマンドの「細かい」および「粗い」測定を得る、または、与える。
ドライブシステムは、モーターの制御のために1またはそれより多くの電流コマンドを生成し得、1またはそれより多くの電流コマンドに基づいて第1と第2のセンサーの1つを選択し得る。ドライブは、それの増幅によって、アナログコマンドの「細かい」測定を得ることができ、増幅の前と後のコマンド電流の間で選択をし得る。
第2の「細かい」センサーは、前記第1の「粗い」センサーによって用いられるものよりも大きい出力測定範囲を用い得る。
ドライブは、それによって、フィードバックとアナログコマンド信号のいずれか、または両方を改善するために、「細かい」と「粗い」の感知の測定のためのオフセット補償と利得ミスマッチ補償を用い得、補償は感知ペアにおいて与えられる。
本発明の第2の態様にしたがって、モーターの動きと位置決めのフィードバックベースの制御のためのサーボ・ドライブの電流制御のための方法であって、
方法は、
モーターの中にはいる電流の測定値を得ることと、
フィードバックを与えるためにその測定値を与えることと、
を備え、
電流は、動作範囲を有し、
動作範囲は、加速のために比較的に大きな電流範囲を備えるが、前記モーターの安定状態の動作のためには比較的により小さい電流範囲の中に残り、
電流測定を得ることは、それによって安定状態の間の測定精度を最大限にするために、比較的に大きな電流範囲の第1の「粗い」測定と、比較的により小さい電流範囲の第2の「細かい」測定を行うことを備える。
本発明の第3の態様にしたがって、モーターの動きと位置決めのフィードバックベースの制御のためのサーボ・ドライブが提供され、
サーボ・ドライブは、
外部で生成されたコマンド信号を、「粗い」コマンドとして受け取るための「粗い」コマンド入力と、
外部で生成されたコマンド信号を増幅するための増幅器と、
増幅後の外部で生成されたコマンドを、「細かい」コマンド信号として受け取るための、増幅器の「細かい」コマンド信号出力と、
を備え、
コマンドは動作範囲を有し、
動作範囲は、遷移状態のために比較的に大きい範囲を備えるが、モーターの安定状態の動作のためには比較的により小さい範囲の中に残り、
サーボ・ドライブは、それによって安定状態の動作の間のコマンドの精度を最大限にするために、コマンドが所定の閾値より上である場合に「粗い」コマンドを接続し、コマンドが所定の閾値より下である場合に前記「細かい」コマンドを接続するためのスイッチを備える。
本発明の第4の態様にしたがって、動きと位置決めのフィードバックベースの制御をもったアクチュエータシステムが提供され、
アクチュエータシステムは、
そこからフィードバックを与えるために、アクチュエータの制御可能な特徴の測定値を得るよう構成された測定デバイス、
を備え、
特徴は、動作範囲を有する測定可能な特徴であって、
動作範囲は、遷移状態のために比較的に大きな範囲を備えるが、アクチュエータの安定状態の動作のためには比較的により小さい範囲の中に残り、
測定デバイスは、それによって安定状態の動作の間の測定可能な特徴の精度を最大限にするために、比較的に大きい範囲を測定するために好適化された第1の「粗い」センサーと、比較的により小さい安定状態の範囲を測定するために好適化された第2の「細かい」センサーとを有する。
他に定義されない限り、この中で用いられる全ての技術的および/または科学的用語は、本発明が属する技術において通常の技量を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。この中に記載されたものと類似または等価な方法と材料が本発明の実施形態の実施またはテストをすることにおいて用いられ得るが、例としての方法および/または材料が以下に記載される。コンフリクトが生じる場合、定義も含めて、特許明細書が優先する。加えて、材料、方法、および、例は、例示としてのみのものであり、必然的に限定になるということは意図されない。
本発明の実施形態の方法および/またはシステムの実装例は、手動で、自動で、または、それらの組み合わせで、選択されたタスクを実行することまたは完遂することを含むことができる。さらに、本発明の方法および/またはシステムの実施形態の実際の機器の使用や装備にしたがって、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェアによって、ソフトウェアによって、ファームウェアによって、または、オペレーティングシステムを用いるそれらの組み合わせによって、実装され得る。
例えば、本発明の実施形態にしたがって、選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップ、または、回路として実装され得る。ソフトウェアとして、本発明の実施形態にしたがった選択されたタスクは、任意の好適なオペレーティングシステムを用いるコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実装され得る。本発明の例としての実施形態において、この中に記載された方法および/またはシステムの例としての実施形態にしたがった1またはそれより多くのタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォーム等のデータプロセッサによって実行される。オプションとして、データプロセッサは、命令および/またはデータを記憶するための揮発性メモリ、および/または、例えば、磁気ハードディスクおよび/または取り出し可能媒体といった命令および/またはデータを記憶するための不揮発性ストレージを含む。
発明のある実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみで、この中で説明される。ここで、図面を特に参照して、詳細に示された特定のものは例としてのものであり、発明の実施形態の例示の検討の目的のためであることが強調される。この点で、図面を用いて行われる記載は、発明の実施形態がどのように実施され得るかを、当技術分野において技量を有する者に明瞭にする。
図1は、本発明の実施形態にしたがった、サーボ・ドライブの簡略化されたブロック図である。 図2は、三相モーターについての図1の実施形態の実装例を示す簡略化された回路図である。 図3は、図1のデバイスの動作のフローチャートである。 図4は、「粗い」および「細かい」電流測定を用いた、感知がモーターの相と直列である、本発明の実施形態に従った三相モーターのためのサーボ・ドライブの概略の回路図である。 第5図は、「粗い」および「細かい」電流測定を用いた、感知がパワーブリッジの負の電力供給側で行われる、本発明の実施形態に従った三相モーターのためのサーボ・ドライブの概略の回路図である。 図6は、全部がそろっている制御システムと、電流コマンドまたは電流ベクトルコマンドの生成とを示す概略のブロック図である。 図7は、電流コマンドがドライブの外部で生成され、アナログ信号としてドライブに与えられる、本発明の実施形態を示す概略のブロック図である。 図8は、図7の実施形態の動作を示す簡略化されたフローチャートである。
詳細な説明
本発明は、そのいくつかの実施形態において、広い電流範囲にわたるモーターの電流の測定のための方法を実装することによって、モーター電流の制御を改善することに関係する。ノイズに対する感度は、電流範囲にわたって、特に、低い電流レベルにわたって、改善され得、より良い位置および速度の制御につながる。
高性能の速度および位置制御システムは、閉ループフィードバックを利用する。実際の速度および/または位置が測定され、所望の速度および/または位置と比較される。所望の速度または位置と実際の測定された速度または位置との間の変位、速度または位置の誤差、は、モーター・サーボ・ドライブへの電流コマンドまたは電流コマンドベクトル、ドライブコマンド、を生成するために用いられる。説明されるように、サーボ・ドライブは、モーター電流として知られている、サーボ・モーターに送り込む電流を生成する。
本実施形態は、より正確な電流制御を可能にし、同様に、より正確な速度と位置の制御を可能にする、モーター電流の測定を改善し得る。
一般に、位置決めの応用例は、広い電流範囲を必要とし、したがって、感度の高い電流フィードバック測定の広い範囲を必要とする。例えば、加速および減速するとき、電流の高いレベルが用いられる。比較的に非常に小さい電流が、静止の間、および、定速の間に用いられる。本実施形態は、より正確に、および、電流の値が小さい場合に高い信号対ノイズ比でもって、実際の電流を表し得る電流測定方法を提供する。加えて、ドライブコマンド測定方法は、特に、ドライブコマンドが外部のコントローラによって生成される場合のために与えられ得る。
制御されることのできる、電流の最小の値は、電流測定センサーおよび測定回路の電気的な信号に加えられる、周囲の回路からの電気的なノイズのレベルにより、オフセットにより、および、アナログ・デジタル・コンバーター(ADC)がその制限された分解能によりサンプルすることができる最小値(=量子化ノイズまたはエラー)により、所与のシステムにおいて、決定され得る。サンプルされた信号におけるノイズまたはエラーは、ノイズが乗って誤差のある電流になるという結果となり、所望の速度および所望の位置に関して、速度において、および、位置において、ノイズの乗った制御不能な変動(=速度エラー、位置エラー)を引き起こす。
フィードバックのノイズフリーの分解能よりも高い分解能(ノイズがない)をもったコマンドを用いることは、フィードバックのノイズフリーの分解能に等しいか、少し高い分解能をもったコマンド上で、わずかな改善である。
リニアドライブは、等価な(即ち、同様の電圧と電流の範囲)PWMドライブよりも少ない電気的なノイズを生成し、したがって、同じ範囲の電流と電流のフィードバック測定であると、リニアドライブを用いれば、よりリファインされた電流、結果として、より小さな速度と位置エラーを達成することが可能である。一般的に、リニアドライブは、より良好で、効果的な高い分解能(ノイズフリー)のフィードバックを利用するために、より高い分解能をもった電流コマンドによって指令を受ける。本実施形態において、2つの電流測定デバイスが用いられ、1つは、設定されたしきい値を超える高い電流を測定するためであり、1つは、そのようなしきい値より下である低い電流を測定するためにある。この2つの測定は、実際には、任意の形式のドライブのため、PWMのためとリニアドライブのための両方に適用可能である。
以下に説明されるように、コントローラは、2つの測定の内のどちらを用いるかを、所与の時間に自動的に決定し得る。低い電流において、低い電流のセンサーの出力が、所与の電流について、同じ電流についての高い電流のセンサーの出力よりも非常に高いように、低い電流のセンサーが指定される。例えば、1Amp(アンペア)の電流について、低い電流のセンサーの出力は1Volt(ボルト)であり、同じ1Ampについての高い電流のセンサーの出力は20倍小さい、0.05Voltである。両方の測定信号に加えられる不完全な状態(ノイズ、オフセット、および、量子化エラー)は、同じレベルであり、結果として、20倍小さい実際の電流は、正確に測定され、制御のために用いられ、したがって、必要とされる電流の全体の範囲に対して唯一の電流センサーを用いることにより可能であるよりも20倍小さい電流を制御する。さらに、アナログ信号測定におけるオフセットの悪影響は、また、細かい、または、低い電流の測定において軽減され得る。小さいオフセットは、特に、定速運動の間の多層モーターを用いて、高性能を提供する。電流におけるオフセットは、モーターに、望まれない力/トルクの変動を生じせしめ、したがって、定速性能における悪化を引き起こす。オフセットは補償され得るが、補償は決して完全ではない。「細かい」測定へのオフセットの影響はかなり小さく、所与の例では、約20倍小さい。
また、同じ概念が、コマンドがアナログ信号である場合、ドライブへのコマンド信号に適用する。再び、このコンセプトは、リニアドライブに、および、PWMドライブに、の両方に適用する。先行技術のPWMドライブによって生成される電流フィードバックにおけるノイズ成分は、リニアドライブと比較したとき、比較的に高いので、コマンド分解能は、現在まで、制限を与える要因にはならなかった。電流フィードバックにおけるノイズが低減された場合、有効な分解能がより高くなり、電流が低レベルのものである場合に、より良好な信号対ノイズ比のフィードバックによって提供される改善点を実現するために、より高い分解能のコマンドとの組み合わせが適切になる。
同じ概念が、任意の種類のアクチュエータのドライブに、および、電流、電圧、圧力、等、制御を与えるために測定され得る任意の測定可能な特性に適用され得、ここで、その特性は、範囲の低い部分が安定状態の間に用いられる範囲を有し、性能は、低い範囲における測定のノイズフリーの分解能を増加することによって改善され得る。
サーボ・ドライブの場合に戻って、モーターは、多相モーターにおける電流コマンドまたは電流コマンドベクトルに直接に関係付けられる力(リニアモーター)またはトルク(回転モーター)を発生する。モータードライブの目的は、制御された方法で、モーターに電流を押し込むことである。実際の電流は、所望の電流とできる限り近くあるべきである。その目的を達成するために、閉ループ制御方法が用いられる。実際の電流が測定され、(所望の)電流コマンドと比較され、両者の間の誤差が、ドライブの電流応答出力を修正するために用いられる。実際の電流における所望の電流からの変位は、モーターの力またはトルクにおける望まれない変動を引き起こし、結果として、加速における、速度における(加速度の積分)、および、位置における(速度の積分)、変位を引き起こす。
コンピュータベースのデジタル閉ループ制御システム、並びに、アナログ閉ループ制御システムにおいて、実際の電流がいかに良好にコマンドに追従するかは、電流測定の質に大きく依存する。他にもある中で、測定された実際の電流を表す電気的な信号の質は、以下によって影響を受ける:
a.周囲の回路によってくわえられる電気的なランダムノイズ
b.制限された分解能のアナログ・デジタル・コンバータによって測定値をサンプリングすることに起因した量子化ノイズ(または、エラー)
c.電子回路におけるオフセット(回路のオフセットは、入力がゼロで、平均出力もゼロであると仮定される場合の出力の平均値である)
電流のノイズおよびエラーは、モーターの力またはトルクにおけるノイズおよびエラーを引き起こし、結果として、実際の加速における、実際の速度における、実際の位置におけるノイズおよびエラーを引き起こす。
多くのサーボ制御位置決めシステムは、1つの位置から他の位置に可能な限り早く動くことと、安定状態の間の可能な限り小さな速度エラーおよび位置エラーとを要求する。早い動きは、高い加速、したがって、高い力またはトルク、したがって高い電流を要求する。必要とされる最大電流は、所与のシステムにおいて、最大加速度によって規定される。定速で動いている場合、または、静止の場合、摩擦および他の外乱を解消するための力またはトルクをモーターが生成するに十分な、小さい電流に対して、要求がある。生成され、制御されることができる低いレベルの電流の分解能と精度が高ければ高いほど、モーターが発生する力またはトルクの分解能と精度がより高くなり、より小さな静止ジッターとフォローイングエラーをなすより小さな外乱を解消することを可能にする。したがって、多くのサーボ制御位置決めシステムは、早く動くための高い電流と、安定状態の速度と位置エラーを最小限にするための高い分解能で高い精度の低い電流との組み合わせを必要とする。最大電流は、高い電流範囲(ゼロから最大)を規定し、定速の間および静止のときに、摩擦や他の外乱を解消するために必要とされる最大電流は、高い電流範囲のサブセットである低い電流範囲を規定する。
最小限の有効な電流測定信号は、その信号におけるノイズ成分によって決められる。
以下は、所与のシステムに関連し、示された改善点は、該システムのためである。他のシステムについて、特定の数値は異なるであろうが、原理は適用される。したがって、一例において、以下のとおりである:
a.必要とされる最大電流は10A(アンペア)
b.電流測定回路の出力は、電流に線形に関係づけられる
c.電流測定回路の最大出力は100mV(ミリボルト)(10Aを表している)
d.該回路のノイズレベル(オフセットを含む)は、0.1mV
e.測定されることのできる最小限の有効な電流は、したがって、0.01A(=10A x 0.1 / 100) 該レベル以下では、測定信号は、主にノイズを含む。
必要とされる電流の範囲は0から10A(または、略して、10A)である。この例における電流の有効な範囲は、0.01Aから10Aまでであり、最大対最小比は、10/0.01=1,000であり、最大信号対ノイズ比(SNR)に等しい。
12ビットのクリーンな分解能をもったアナログ・デジタル・コンバータ(ADC)によって、信号が測定される。ADCにおける電気的ノイズは、上述の0.1mVの回路のノイズに含まれていると想定される。ADC出力の最小限の提示は、0.005Aに等しい電流を表す、100mV / (4096/2)= 0.05mVである。実際の電流が、ノイズフリー信号において、該レベル以下の場合、ADCは、実際に、実際の電流を認識することができず、代わりに、量子化エラーまたはノイズによって混乱される。回路のノイズが量子化ノイズより下であれば、量子化ノイズは、電流測定信号の有効な範囲における制限要因になる。
本実施形態は、電流測定信号のSNR(信号対ノイズ比)を増加することによって、および、低い電流範囲における電流のための量子化ノイズ(エラー)の影響を低減することによって、低い電流範囲における電流の有効な分解能を増加する。より高い分解能をもったADCを用いることは、この例での低い範囲における電流の有効な分解能を改善しないだろうし、それらは、(非常に)より高価である。
本実施形態において、電流は、2つの異なる測定回路によって、2度、測定される。1つの測定回路、以降、「粗い」測定回路と呼ばれる、は、高い電流範囲の全体(例では、ゼロから10A。100mVが10Aを表す)を測定する。
第2の回路、以降、「細かい」測定回路と呼ばれる、は、低い電流範囲、例えば、0.5Aまで、において電流を測定する。測定出力信号の100mVは、実際の電流の0.5Aを表す。実際の電流が0.5Aを超す場合、「細かい」測定の第2の回路は使用されない。
実際の電流が0.5Aを超す場合、第1の回路からの信号が、電流制御のために用いられる。実際の電流が0.5Aまでの場合、第2の回路の信号が用いられる。
「粗い」、および、「細かい」測定は、同時に実行されるが、ある実施形態では、代替的に、異なる時間に実行されてもよい。
両回路は、同様の電気的ノイズ(例えば、0.1mV)をもつ。したがって、電流が低い電流範囲にあり、20倍低い実際の電流を表すノイズフリー信号を生成する場合、組み合わされた信号のSNRは20倍高くなる。例において、最大SNRは、今、20,000である。測定され、生成されることができる最小の有効な電流は、今、10/20,000=0.0005Aである。結果として、加速のノイズは、20倍小さくなり得、位置フォローイングエラーとジッターは、非常に小さくなり得る。
上述のシステムは、リニアドライブとPWMドライブの両方に適用され得る。PWMサーボ・ドライブに適用される場合、結果としてのドライブは、1ナノメートル以下の静止のジッターと数ナノメートルのオーダーでのフォローイングエラーが必要とされる、ウェハー検査および計測等の高性能の応用例の仕様に合致し得る。
PWMサーボ・ドライブにおいて、電気的なノイズは、等価な(即ち、同様な電圧と最大電流)のリニアドライブにおけるよりも、常に高く、したがって、今まで、PWMのコマンド分解能を増加することにおいて効果はなく、制限する要因でなかった。しかし、本実施形態を用いると、PWMコマンドの分解能は、制限する要因になりはじめ、したがって、増加されたPWMコマンドの分解能が、本実施形態のいくつかにおいて与えられる。
本実施形態は、リニア・サーボ・ドライブに与えられ得る。リニア・サーボ・ドライブは、すでに、良好な性能をもち、本実施形態によって与えられる改善点は、さらにより低い静止ジッターとフォローイングエラーを必要とするウェハー検査および計測等の領域において新たに現れた要求に合致し得る。
この中で、「ドライブシステム」の用語は、モーターまたはアクチュエータのためのサーボ・ドライブのこと、並びに、サーボ・ドライブおよびモーターの動作のために必要となり得るコマンド信号、エネルギー、および、他のサポートを与え得る、サーボ・ドライブの外部のコンポーネントのこと、をいうために用いられる。
発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、発明は、その応用において、以下の説明に記載された、および/または、図面および/または例に示された、構成の詳細、および、コンポーネントおよび/または方法の配置に必ずしも限定されるものでないことが理解されるべきである。発明は、他の実施形態の余地があり、様々な方法で実施または実行されることができる。
ここで、図を参照して、図1は、サーボ・ドライブ20の第1の実施形態を示す簡略化された概略のブロック図である。サーボ・ドライブは、PWMのタイプかリニアタイプのいずれかであってよい。上述のように、発明はPWMデバイスに限定されず、2つの測定センサーの同じ原理が、リニアドライブに、および、サーボ・ドライブの任意の他の種類に適用され得る。本実施形態にしたがったサーボ・ドライブは、電流コントローラ30、パワーブリッジ32、「粗い」および「細かい」電流測定センサー36、38、および、対応する2つの電流測定回路34を備え得る。サーボ・ドライブは、また、加えて、速度および位置のコントローラを備え得る。
電流コントローラ30は、電流または電流ベクトルコマンドに、および、測定された実際のモーター電流(=電流フィードバック)に基づいて、モーター33に供給する電流を生成するパワーブリッジのための制御コマンドを与える。
上に説明されたように、多くのサーボ・制御の位置決めシステムは、一点から他点へのできるだけ早く動くこと、安定状態の間に出来るだけ小さい速度エラーと位置エラーを達成することを要求し、したがって、サーボ・ドライブ高い電流範囲と、低い電流範囲における高い分解能と高い精度の電流の組み合わせを与え得る。
したがって、本実施形態は、モーターに加えられる電流のための測定ユニット34を与え、その中で、2つの別個のセンサーが用いられる。第1のものは、例えば、加速段階の間に必要とされるような、電流範囲いっぱいにおいて電流を測定するための「粗い」センサー36であり、第2のものは、例えば、安定状態の間、即ち、定速または静止の間に必要とされるような、低い電流範囲において電流を測定する、「細かい」センサー38である。
したがって、センサーの各々は、それが目的としている特定の電流範囲のために最適化された方法で動作して、特に、低い電流範囲にわたって改善された精度を与える。一般的に、「細かい」センサーは、高い電流範囲の5%に等しい低い電流範囲にわたって動作するが、それは、100%よりも小さい任意の他の範囲であり得る。「細かい」センサーは、実際の電流が低い電流範囲における最大電流に等しいときに、最大の信号を生成するように指定され、「粗い」センサーは、実際の電流が高い電流範囲における最大電流に等しいときに、最大の信号を生成するように指定される。例として、両センサーは、100mVに等しい最大の信号を生成する。したがって、実際の信号が低い範囲にある場合、「細かい」センサーの出力信号は、「粗い」センサーの出力信号よりずっと高い。高い電流範囲の5%の低い電流範囲として、および、両センサーのための同じ最大信号(上記例では100mV)として、「細かい」センサー36の出力は、「粗い」センサー38の出力信号の20倍高くなる。
両方の測定に影響を与えるノイズは、ほぼ同じであり、結果として、「細かい」センサー38の有効なSNRは20倍大きくなり、要求される電流の範囲全体のために1つのみのセンサーを用いることによって可能であるよりも20倍小さい電流を制御するよう機能する。
2つのセンサーはアナログ測定を行い得、そして、それは、コントローラ30のためにサンプルされ、デジタル化され、そして、この実施形態において、両センサーは、同時に、および、同じレートでサンプルされる。代替の実施形態では、センサーは、異なる時刻にサンプルされる。
コントローラは、ある時点で、2つの測定、「粗い」または「細かい」、のどちらを用いるかを自動的に決定する。コントローラは、両方の測定をサンプルし、「粗い」測定に基づいて、任意の所与の時間でどちらを用いるかを決定する。電流が低い電流範囲にある場合、「細かい」測定を用い、電流が低い電流範囲より上にある場合、「粗い」測定を用いる。代替的に、コントローラは、電流コマンド信号の大きさ、または、電流ベクトルコマンド信号の大きさをみて、要求される電流が低い電流範囲にある場合、「細かい」測定がフィードバックとして用いられ得る。もし、それが低い電流範囲より上であるならば、「粗い」測定がフィードバックとして用いられる。制御アルゴリズムにおける利得は、「粗い」および「細かい」測定の異なるスケールを補償するために修正され得る。
さらに、低い電流範囲における電流の信号対ノイズ比(SNR)における改善は、コマンドの分解能を修正することによって達成され得る。本実施形態は、SNRを改善するだけでなく、低い電流範囲における電流についての量子化エラーを減少する。
電流センサー36と38は、抵抗、ホール素子ベースの電流センサー、または、電流を測定することができる任意の他のセンサーであってよい。
電流センサーとして抵抗を用いる場合、「細かい」抵抗の抵抗値は、「粗い」抵抗の値より高い。上記例では、20倍高くなる。20Aのために0.1V(ボルト)の出力とすると、「粗い」抵抗の値は0.005オームであり得る。そして、対応する「細かい」抵抗の値は、0.1オームになる。20Aの電流が「粗い」抵抗を介して流れる場合、2W(ワット)(=20 x 20 x 0.005)の割合で熱を発散する。「細かい」抵抗は、40W(=20 x 20 x 0.1)の割合で熱を散逸する。多くの応用において、そのような高いレベルの熱の発散は、そのような方法の利用を避け得るが、1つの実施形態において、「細かい」センサーは、実際の電流が低い電流範囲にあるときを除いて、それをショートすることによってオフにされる。したがって、「細かい」抵抗における熱の発散は最小限にされる。上記例では、低い電流範囲が1Aであるならば、「細かい」抵抗の最大熱発散は、0.1W(=1 x 1 x 0.1)である。
さらに、その出力信号のサイズに関係する熱を発散するセンサー、例えば、抵抗上での電圧降下によって乗算される電流(出力信号である)に等しい熱を発散する抵抗、を用いる場合、そのような熱発散は、センサーの出力信号の最大値を制限する。20Aの高い電流範囲と1Aの低い電流範囲をもった上記の例において、20Aを表す0.1Vの最大出力信号が、「粗い」センサーの熱発散を2Wに制限するために、指定される。それが用いられない時に、「細かい」センサーの抵抗をショートし、電流が低い電流範囲にあるときのみ、測定される電流を、それを介して流れさせることによって、同じ最大出力信号に対し、熱発散はより小さく、上記例では20倍小さくなり、0.1Wの熱発散の結果となる。したがって、それは、低い電流範囲における最大電流のためにより高い信号を生成する、「細かい」センサーのための抵抗を選択することを可能とし、したがって、さらに、「細かい」センサーの出力信号のSNRを改善する。上記例における0.1オームに代えて0.2オームの「細かい」感知抵抗を選択することによって、最大熱発散はわずか0.2Wへの上昇、「粗い」抵抗が発散する熱に対して、または、現在の技術の単一のセンサーが発散する熱に対して、わずか10%を加えるだけだが、所与の電流に対する出力信号は2倍高くなり、したがって、2の追加の倍数だけその信号のSNRを増加する。
「細かい」センサーの最大出力信号は、「粗い」センサーの最大の出力信号より大きくあるように指定され、したがって、さらに、「細かい」センサーの出力信号のSNRを増加する。
図4に関して以下により詳細に検討されるように、電流測定デバイスは、モーターと直列に与えられ得る。モーターが多相モーターである場合、「細かい」および「粗い」センサーが、モーターの1またはそれより多くの相のために与えられ得る。
図5の代替の実施形態において、電流測定デバイスは、ブリッジと負の電力供給ノードとの間に位置付けられ得る。
電流測定デバイスは、また、ブリッジと正の電力供給ノードとの間に位置付けられ得る。
電流コントローラ30は、パワーブリッジ32を操作し、それによってモーターのための電流を生成するために、必要とされる電流コマンドまたは電流コマンドベクトルを用い得る。この中の以下の図6は、コントローラ30に対する入力として用いられる電流コマンドが、どのように生成され得るかを示す。
以下に説明されるように、コントローラは、測定におけるオフセットについて、および、「細かい」対「粗い」の比における所望の値からの変位について、最適化するために、調整され得る。
ここで、参照が、図1のサーボ・ドライブの実施形態の実装例を示す回路図である図2に対してなされる。
図2において、サーボ・ドライブ40は、パワーブリッジ50を備え、三相モーター52を操作する。概略図は、PWMにも、リニアタイプのドライブにも適用する。電流コントローラ54は、電流コマンドを受け取る。モーターにはいる電流は、三相の少なくとも2つについて測定され、「粗い」56および「細かい」58のセンサーが各電流のために与えられる。コントローラ54は、モーター52において必要とされる電流を生成するパワーブリッジ50への制御信号を修正するために、電流コマンドとともに測定された電流に基づいて計算される信号を比較する。PWMドライブの場合では、トランジスタ制御信号は、パワーブリッジのトランジスタをオンおよびオフにスイッチするために用いられるPWMスイッチング信号である。リニア・サーボ・ドライブの場合では、トランジスタ制御信号は、連続した態様で、各トランジスタ上の電圧と各トランジスタを介する電流の流れを制御するために用いられるアナログ信号である。
参照が、「粗い」および「細かい」測定センサーを用いるサーボ・ドライブにおけるフィードバックの精度を改善する方法を示す簡略化されたフローチャートである図3に対してなされる。
センサーは、検討されたように、制御ループのための測定を与え、ステージ100において、制御信号がパワーブリッジに与えられる。ステージ110において、電流の「粗い」および「細かい」測定の両方がサンプルされる。ステージ120において、「粗い」測定が閾値と比較される。閾値より下である場合、ステージ130において測定された「細かい」電流が用いられる。閾値よりも上である場合、「粗い」測定がステージ135で用いられる。ステージ140において、出力測定が、2つのセンサーの内のどちらが用いられたかにしたがってスケールされる。ステージ150において、選択された電流の測定された信号と所望の信号との誤差が、パワーブリッジへの制御信号を修正する(ステージ160)ために用いられる。
図3の方法は、より良好な電流制御を提供するサーボ。ドライブを操作する方法を提供し得る。図3の方法は、より小さい電流が、より細かい、ノイズフリーの分解能をもったモーターに与えられることを可能にし得る。この中で説明されるように、より細かいおよびより正確な電流は、より低い静止ジッターとフォローイングエラーをもったより細かい位置と速度制御とを可能にする。
本発明の1つの実施形態にしたがって、「粗い」および「細かい」測定方法を用いるPWMサーボ・ドライブは、単一つの電流測定を用いた、同様な最大電流と電圧仕様のリニアドライブが生成する電流に等しいか、より良好なノイズフリーの解像度をもった低い電流を生成し得、したがって、そのようなPWMサーボ・ドライブは、必要とされる位置と速度の性能を達成するために、今まで、リニアドライブのみを用いていた応用例において、単一の電流測定の方法を用いたリニアドライブに置き換わり得る。例えば、高い加速(したがって、高い電流)と、同時に、数ナノメートルかそれ以下の静止ジッターおよび位置フォローイングエラー(したがって、高分解能でノイズフリーの低い電流)との組み合わせを必要とする応用例は、本実施形態のPWMサーボ・ドライブを用い得る。そのような応用例は、現代のウェハー検査および計測システムを含む。今日まで、PWMドライブが、必要とされる低ジッターおよびフォローイングエラーの要求を与え得ないことにより、これら応用例は、リニアドライブに制限されていた。これらの応用例におけるPWMドライブの使用は、より低い効率性、より高い熱発散、より大きなサイズ、より高いコストなどの、これらの応用例におけるリニアドライブに関連付けられた不利な点を解消または低減し得る。
検討されたように、サーボ・ドライブを用いた場合の制限要因は、要求される電流の範囲が高いことである。モーターのための必要とされるダイナミクスを達成し、必要とされる加速を与えるために、高い最大電流、例えば20A、への要求がある。静止している、または、定速で動いている間、必要とされる電流はずっと小さく、単に、摩擦や他の外乱を解消するために必要とされ得、例えば1A以下である。20Aの範囲全体をカバーするために単一の電流測定を用いるシステムにおいて、1Aの電流についてのSNR比は、システムが20Aいっぱいの電流範囲を扱うために設計されているので、1Aの最大電流を用いたシステムに対してよりも、20倍低くまたは悪くなる。
本実施形態は、したがって、高い電流範囲の部分、この例では1Aより上で20Aまで、と、低い電流範囲、この例では1A以下との間で、モーターの動作を分離する。範囲の低い方の部分が分離して扱われるので、最大電流が静止または定速の間に必要とされる低い電流(この例では1A)に等しいシステムについてと同様に良好であるSNRが、範囲のその部分について達成され得る。
本実施形態は、「粗い」と「細かい」の状態を別々に取り扱うことによってSNR比を改善し、また、電流コマンドが低いレンジンにおける電流のためにある場合に有効なサーボ・コントローラ・コマンドの分解能における増加をなす。「粗い」と「細かい」測定と組み合されたより大きなコマンド分解能は、結果に大きな貢献をなす。
説明されたように、高い分解能の電流フィードバック測定は、測定されることが必要な電流の各々について2つのセンサーを用い、1つは、電流のレンジいっぱいの「粗い」測定のため、1つは、電流が低く、予め定められた閾値よりも下であるとき、「細かい」電流測定のためにある。「細かい」センサーは、例として、高い電流範囲の5%(5%範囲)に等しくあり得る、低い電流範囲における電流のために用いられ、「粗い」センサーは、電流が高い電流範囲の5%から100%の範囲にあるときのフィードバックのために用いられる。両者とも、例えば、14ビットノイズフリー分解能を用いた16ビット分解能のADC等の、特定の分解能をもったアナログ・デジタル・コンバータ(ADC)によってサンプルされる。そのような例において、低い電流範囲における電流についてSNRは、4ビットより大きい、20倍に増加され得、したがって、トータル18ビットに達するための追加の4ビットのノイズフリーの有効な分解能を可能にする。
より高い分解能のADC(18ビット)を用いて、1つのセンサーを用いることは劣った結果を出し、そのようなソリューションは測定された信号自身のSNRを改善することはなく、いずれにしても、甚だしく高価である。
一般的に、ノイズは、他にもある中で、安定状態の条件においてジッターやフォローイングエラーを引き起こす力またはトルクを生成し、本実施形態は、この方法で、ジッターやフォローイングエラーを低減し得る。
測定センサーは、低い抵抗値の抵抗、または、ホール素子ベースの電流センサー、電流ミラー回路、等々の他のセンサーであってよい。
「細かい」測定センサーによる、例えば、抵抗による熱生成は、例えば、それが用いられず、「粗い」センサーがフィードバックのために用いられるときに「細かい」センサーをショートすることによって、大きく低減され得る。センサーをショートするために、トランジスタ、または、1または2つのダイオードが用いられ得、センサーをわたる電圧降下を制限するため、または、「細かい」測定が用いられない時に、高いモーター電流がそれを介して流れることを避けるため、他の周知の方法が使用され得る。
高い分解能のPWMコマンド生成は、現存の技術である。しかし、上述のように、それは、電流フィードバックの分解能とSNRが改善されない場合には、それほど有用ではない。即ち、PWMコマンドの分解能がいかに良かったとしても、有効性は、電流フィードバック信号におけるノイズレベルによって制限される。2チャンネルのフィードバック測定と増加されたPWMコマンドの分解能との組み合わせが、大きな改善に通じ得る。
本発明にしたがったサーボ・ドライブの他の実施例において、図7に示されたように、電流コマンドはアナログであり、制限された分解能のADCによってサンプルされる。コマンドは2回測定され、1回はあるがままに(粗い)、一回は1より大きい倍数による増幅の後(細かい)である。20倍が例として与えられる。「粗い」コマンドは、コマンドが高いとき(20倍のこの例では最大電流の5%から100%まで)に用いられ、「細かい」のコマンドは、コマンドが最大電流の5%までの範囲にあるときに用いられる。コマンド信号がサーボ・ドライブにはいる回路の位置に可能な限り近くでコマンドを増幅すること、この例では20倍、によって、サーボ・ドライブへの入力の地点とサンプリング回路との間で信号に加えられるノイズのインパクトは大きく弱められ、より細かい、ノイズフリーの分解能をもったコマンド電流を可能にする、コマンド信号のSNRを改善する。
上記はデジタル化される信号について記載されているが、本実施形態は、また、ADCが必要とされない、アナログであってもよいことが注記される。
ここで、参照が、電流測定がモーターの相と直列に行われる電流測定フィードバックループを示す簡略化された回路図である図4に対してなされる。ブリッジ240は、FET、BJT、および、他の電子的なスイッチを含む任意の好適なスイッチから成り得ることが注記される。図4において、パワーブリッジ240は、モーターの3相に接続されている。2つの相の各々に対して、モーターの電流を測定するために、2つの電流測定センサー、「細かい」センサー212と「粗い」センサー222、が存在する。「細かい」センサーは、「細かい」チャネルのADC211によってサンプルされ、「粗い」センサーは「粗い」チャネルのADC221によってサンプルされる。ADC211と221は、2つのサンプリングチャネルまたはそれより多くをもった1つの物理的なADCであってよい。2つのサンプルされた信号は、コントローラ250にフィードバックされる。コントローラ250は、次に、ブリッジ240への制御出力を与え、モーター260を介する電流を修正する。
図示されるように、「粗い」および「細かい」センサーは、モーターと直列に置かれた抵抗を含むが、述べたように、ホール素子ベースの電流センサーなどの他の種類のセンサーが代わりに用いられ得る。
図示されるように、不必要な熱発散を避けるために、スイッチ213を用いてショートされ得る。
図示されているように、同じ測定の配置が、第2の相に対して与えられる。同様に、測定の配置は、図示はされていないが、第3の相に対して与えられてもよい。
ここで、参照が、電流測定がブリッジと電源の負のターミナルとの間に実装される、交流電流測定タイプを示す簡略化された回路図である図5に対してなされる。図4におけるのと同じであるパーツは同じ参照番号を与えられ、本実施形態の理解のために必要とされる場合を除いて、再度説明はされない。図5において、パワーブリッジ240は、モーター260の3つの相に接続されている。「細かい」センサー212と「粗い」センサー222は、電流を測定するために、ブリッジの下側のトランジスタと電源の負のターミナルとの間に置かれる。一般的に、位置の感知は、用いられるモーターの種類に特定されるものであり、測定は、モーターの制御のために有用なフィードバックを与えることができる任意の電流についてである。「細かい」センサーは、「細かい」チャネルのADC211によってサンプルされ、「粗い」センサーは、「粗い」チャネルのADC221によってサンプルされる。2つのサンプルされた信号は、コントローラ250にフィードバックされる。コントローラ250は、次に、モーター260を介する電流を修正する、ブリッジ240への制御出力を与える。前述のように、「粗い」および「細かい」センサーは、電流と直列に置かれた抵抗を含むが、ホール素子ベース電流センサー等の他の種類のセンサーが、代わりに用いられ得る。図示されたように、「細かい」センサーは、図4と図5の実施形態を与えるために、スイッチ213によってショートされ得る。代わりに、測定抵抗は、上側のトランジスタと電源の正のターミナルとの間に置かれてもよい。
上に説明されたように、フィードバックのために、「細かい」電流測定または「粗い」電流測定のいずれかを用いることの決定は、閾値を超える、または、超えない「粗い」測定に基づき得る。代わりに、モーターを操作するためにコントローラによって生成される電流コマンドの大きさが、用いられ得る。
用いられるチャネルは、コントローラにおいて選択され得、したがって、必ずしも、回路基板上のセンサーをショートすること、または、その他スイッチオフすることに結び付けて考える必要はない。センサーをスイッチオフすることは、電力効率と熱の最小化に関係するのに対し、使用するために測定を選択することは、どのセンサーが、現在、最も有用な測定をピックアップしているかに関係する。
ここで、参照が、他にもある中で、電流コマンドの生成を示す、簡略化された図である図6に対してなされる。所望の位置と速度コマンドは、モーションコントローラ(図示されず)によって与えられる。所望の位置は、減算器302において、モーター位置フィードバックと比較され、結果としての差異が、速度制御308にコマンド信号を与えるために、位置制御アルゴリズム303、例えば、PIDアルゴリズム、に付与される。位置フィードバックは、位置センサーによって測定されたような、モーター位置またはロード位置であり得る。所望の速度コマンドは、加算器305を介して、位置制御アルゴリズムの出力に加えられ得る。加算器305の出力は、フィードバックモーター速度とともに、減算器306に与えられ、結果としての差異は、速度制御アルゴリズムに供給される速度エラーを与える。速度フィードバックは、例えば、速度センサーから、モーター上で測定され得、または、位置フィードバックから計算され得る。速度制御アルゴリズム310の出力は、モーターへの電流コマンドである。
電流コマンドは、次に、減算器312に与えられる。モーターからの電流フィードバックが、減算器310において、電流コマンドから引かれる。電流フィードバックは、モーター電流測定に基づく。その結果は、PID等の制御法則にもとづいて、PWMの形式で、または、アナログの形式で、電圧コマンドをパワーブリッジ314に与える電流制御アルゴリズム312に、与えられる。パワーブリッジは、モーター316のための相電流を生成する。検討されたように、モーターは、回転型またはリニア、単相または多相、直流または交流であってよい。
実施形態において、サーボ・ドライブの中にある1つのデジタルプロセッサが、位置、速度、電流、等を含む制御を実行し、その場合、電流コマンドは、該デジタルプロセッサによって内部的に生成される。
他の実施形態において、1つのデジタルプロセッサは、位置制御を実行し、またオプションとして速度制御も実行するが、それ以上ではなく、そのとき、デジタルプロセッサは、電流制御のみを実行する別個のサーボ・ドライブに、アナログまたはデジタルフォーマットで、電流コマンドを出力する。
電流の精度を保証するために、測定信号におけるオフセットが、それらの影響を最小限にするために補償され得、所望の利得比に対する「粗い」および「細かい」測定の利得比間のミスマッチは、高いから低い電流への、および、低いから高い電流への平滑でエラーフリーの電流遷移を得るために、利得ミスマッチの影響を最小限にするため、補償され得る。
そのようなオフセットや利得ミスマッチの補償は、ドライブの製造プロセスの間に手動で、または、ドライブの電流コントローラによって自動的に、行われ得る。
手動の場合には、オフセットと利得ミスマッチは手動で測定され、補償値が、コントローラが使用できる不揮発性メモリに記憶される。
自動の場合には、ドライブ起動の一部として、または、ドライブの正しい動作に影響を与えることなく補償が実行されることのできる任意の他の時間に、電流コントローラが、オフセットと利得ミスマッチを測定する。コントローラは、メモリに補償値を記憶し、その後、それを使用し得る。オフセットと利得ミスマッチの測定のいくつかの方法は、コントローラがサンプルでき、好適な補償値を計算するための基準として用い得る高い正確さの既知の基準電圧を加えること等、特定の回路やアルゴリズムの実装を必要とし得る。
ここで、参照が、電流コマンドがドライブの外部で生成され、アナログ信号としてドライブに供給する場合を示す簡略化された概略の図である図7に対してなされる。
より具体的には、図7の実施形態は、外部ソースからアナログフォーマット形式でコマンドを受け、電流制御のみを実行するサーボ・ドライブに関係する。入力コマンド信号(最初は「粗い」である)が、「細かい」コマンド信号を生成する、1より大きい利得によって、増幅器416において増幅される。「粗い」と「細かい」信号は、電流コントローラのADC414によって、同時にあるいは近くのいずれかで、サンプルされる。
電流コントローラは、「粗い」信号の大きさに基づいて、所与の時点で2つ(「粗い」または「細かい」)のコマンドのどちらを用いるかを自動的に決定する。「粗い」コマンドが、予め定められた閾値を過ぎる場合、電流コントローラは、「細かい」コマンドを用いる。「粗い」コマンドが閾値より上であれば、電流コントローラは、「粗い」コマンドを用いる。「細かい」信号は、所与の電流について、そのままの「粗い」コマンド信号よりも高い。図7の実施形態は、低いコマンドのための有効なノイズフリーの分解能の電流コマンドを有効に増加し、より正確な、低い電流の制御を可能にする。
例として、入力コマンド信号範囲の範囲が0から10Vであると仮定する。入力コマンド信号は、コントローラにノイズフリーで到達し、それは、0から10Aの範囲にある電流それぞれのためのコマンドを表し、「粗い」信号は、「細かい」信号を生成するために、32倍に増幅される。「粗い」と「細かい」の間での選択のための閾値は、0.5Vに設定される。ノイズフリーである16ビットのADCが両方の信号をサンプルするために用いられ、ADCの入力電圧範囲は10Vに設定される。ADCがサンプルすることができる最小の電圧は、おおよそ、10 / 65,536 = 0.00015V である。両方の信号に加えられるノイズとオフセットは、約0.00488V、ADCが測定できる最も小さい信号のおよそ32(5ビット)倍である。ADCの有効なノイズ・オフセットフリーの分解能は、16の内の11ビットになる。ノイズフリーである最小の「粗い」電流コマンドは0.00488Aである。応用例によれば、ノイズフリーである最小の「細かい」コマンドは32倍低く、およそ0.00015Aである。増幅された「細かい」信号を用いると、効果は、信号が特定のしきい値より下に低くある場合に、ノイズフリー信号上でサンプリングする16ビットいっぱいのノイズフリーADCを用いることに相当する。
例として、18ビットをもったより高い分解能のノイズフリーのADCを用いて、「粗い」コマンドのみをサンプリングすることは、劣った結果を生じ、そのような解決策は、信号に加えられたノイズを削減せず、最小の有用なコマンドは、依然として、0.00488Aである。いずれにしても、18ビットADCは非常に高価であり得る。選択器320は、「細かい」と「粗い」のコマンド間の選択をする。
電流コマンドは、所望の電流の大きさを表す単一のアナログ信号であってよく、または、モーターの相の1つより多くにおける所望の電圧を表すいくつかの信号であってよい。各信号に対して、「細かい」と「粗い」測定の方法が適用される。
したがって、図7の実施形態は、サンプルされたアナログコマンドのSNRを改善し得、ドライブの回路によって信号に加えられるオフセットと電気的ノイズの負の影響を最小限にできる。
上記のコマンドの改善は、サーボ・モーター、ハイドロリックモーター、ピエゾセラミックモーター、または、その他、等の任意のタイプのアクチュエータのための任意のタイプのドライブに適用可能である。コマンドは、アクチュエータを起動しまたは制御するために必要とされる、電流、電圧、圧力、他の任意の測定される特徴を含み得る。
ここで、参照が、図7の実施形態の動作を示す簡略化されたフローチャートである図8に対してなされる。
アナログドライブコマンド信号が、ステージ500において、外部コントローラによってドライブに与えられる。ステージ505において、コマンドは、それがドライブに到達するときに増幅される。そのまま(raw)のコマンドは、「粗い」コマンドを形成し、増幅された信号は、「細かい」コマンドを形成する。ステージ510において、「粗い」と「細かい」のアナログコマンドの両方が同時にサンプルされるが、代わりの実施形態において、それらは異なる時間にサンプルされてもよい。
ステージ520において、「粗い」コマンドは閾値と比較され、「粗い」コマンドが閾値より小さい場合、「細かい」コマンドが用いられる(530)。
他方、「粗い」コマンドが閾値より上であるならば、「粗い」コマンドが用いられる(535)。ステージ540において、2つの信号のどちらが用いられているかにしたがって、コマンドシグナルがスケールされる。そして、コントローラは、低いノイズをもった高い分解能のドライブコマンドを生成する(550)。
本出願から生まれた特許の存続期間の間に、多くの関連するドライブが開発されることが予期され、「PWMドライブ」の用語の範囲は、そのような新たな技術の全てを、先験的に含むことが意図される。
この中で用いられる場合、「おおよそ(約)(about)」は±10%をいう。
「備える(comprises)」、「備え(comprising)」、「含む(includes)」、「含み(including)」、「有し・もち(having)」、の用語、および、それらの活用形は、「含むが、それに限定されない(including but not limited to)」を意味する。
「〜から成る(consisting of)」は、「含み、かつ、限定される(including and limited to)」を意味する。
この中で用いられる場合、単数形の「a」、「an」、および、「the」は、文脈が明瞭に他のことを指していない限り、複数の言及を含む。
また、明瞭化のために、別の実施形態の文脈の中で説明された発明のある特徴は、組み合わせて、単一の実施形態の中で与えられ得、上記した説明は、あたかもこの組み合わせが明示的に記載されたかのように解釈されるべきであることが理解される。反対に、簡潔さのために、単一の実施形態の文脈の中で説明される発明の様々な特徴は、個別に、または、好適な下位の組み合わせの中で、または、発明の記載された他の実施形態の中で好適なものとして与えられ得、上記記載は、あたかも、これら個別の実施形態が明示的に記載されたかのように解釈されるべきである。様々な実施形態の文脈の中で記載されたある特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは動作し得ない場合でない限り、それら実施形態の不可欠な特徴と考えられるべきではない。
発明は、それの特定の実施形態と関連付けて記載されているが、多くの代替、変更、および、変化が、当技術において技量を有した者に明白であることは、明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の精神と広い範囲の中にはいる、そのような代替、変更、および、変化の全てを包含することが意図される。
この明細書の中で述べられた全ての文献、特許、および、特許出願は、あたかも、個別の文献、特許、または、特許出願の各々が、参照によりこの中に組み込まれると特別におよび個別に示されたと同じ程度に、参照されることによって、それらの全体が、この明細書の中に組み込まれる。加えて、この出願における任意のリファレンスの引用または特定は、そのようなリファレンスが本発明の先行技術として利用可能であるとの自白として解釈されてはならない。セクションの頭書きが用いられる点については、それらは、「必然的に限定になる」として解釈されるべきではない。

Claims (25)

  1. モーターの動きと位置のフィードバックベースの制御のためのサーボ・ドライブ・システムであって、
    前記フィードバックを与えるために、前記ドライブモーターによって引かれる電流の測定値を得るよう構成された電流測定デバイスを備え、
    前記電流は動作範囲を有し、
    前記動作範囲は、加速のために比較的に大きな電流範囲を備えるが、前記モーターの安定状態の動作のためには比較的により小さな電流範囲の中に残り、
    前記電流測定デバイスは、前記安定状態の動作の間の前記フィードバックのための精度を最大限にするために、前記比較的に大きな電流範囲を測定するために好適化された第1の「粗い」センサーと、前記比較的により小さい電流範囲を測定するために好適化された第2の「細かい」センサーとを有する、
    サーボ・ドライブ・システム。
  2. 同じレートで、前記第1のセンサーと前記第2のセンサーのそれぞれをサンプリングするためのサンプラーを備える、請求項1に記載のサーボ・ドライブ・システム。
  3. 前記ドライブは、パルス幅変調ドライブと、リニアドライブとから成るグループの1つのメンバーである、請求項1に記載のサーボ・ドライブ・システム。
  4. 前記モーターは、単相モーターと、直流モーターと、多相モーターと、三相モーターと、交流モーターと、2相モーターと、リニアモーターと、回転モーターとから成るグループの1つのメンバーである、請求項1に記載のサーボ・ドライブ・システム。
  5. さらに、前記モーター電流が所定の閾値より下であるとき、前記第2の「細かい」センサーをスイッチオンするように、および、前記モーター電流が前記所定の閾値より上であるとき、前記第2の「細かい」センサーを電気的にショートするように構成された、請求項1に記載のサーボ・ドライブ・システム。
  6. 前記センサーは、抵抗と、電流ミラー回路と、トランスと、ホール効果ベースの電流センサーとからなるグループの1つのメンバーを備える、請求項1に記載のサーボ・ドライブ・システム。
  7. 前記ドライブは、単相を有するモーターのためのものであり、
    前記第1と第2のセンサーは、前記モーターの少なくとも1つの電流測定のために与えられる、
    請求項1に記載のサーボ・ドライブ・システム。
  8. 前記ドライブは、複数の相を有するモーターのためのものであり、
    前記第1と第2のセンサーは、前記モーターの少なくとも1つの電流測定のために与えられる、
    請求項1に記載のサーボ・ドライブ・システム。
  9. アナログ電流コマンドを生成する外部のコントローラを備え、
    前記ドライブは、前記外部のコントローラから前記アナログコマンドを受け取るために、および、前記アナログコマンドの「細かい」および「粗い」測定を与えるために接続される、
    請求項1に記載のサーボ・ドライブ・システム。
  10. 前記モーターの制御のための1またはそれより多くの電流コマンドを生成するよう構成され、
    前記1またはそれより多くの電流コマンドに基づいて第1と第2のセンサーの1つを選択する、
    請求項1に記載のサーボ・ドライブ・システム。
  11. 前記ドライブは、増幅によって前記アナログコマンドの前記「細かい」測定を得て、増幅の前と後の前記コマンド電流の間で選択をするように構成される、請求項9に記載のサーボ・ドライブ・システム。
  12. 前記第2の「細かい」センサーは、前記第1の「粗い」センサーのよって用いられるものよりも大きい出力測定範囲を用いる、請求項1に記載のサーボ・ドライブ・システム。
  13. フィードバックとアナログコマンド信号からなるグループの少なくとも1つのメンバーを改善するために、前記「細かい」と「粗い」の感知の測定のためのオフセット補償と利得ミスマッチ補償を備え、前記補償は感知ペアにおいて与えられる、請求項1に記載のサーボ・ドライブ・システム。
  14. モーターの動きと位置決めのフィードバックベースの制御のためのサーボ・ドライブの電流制御のための方法であって、
    前記モーターの中にはいる電流の測定値を得ることと、
    前記フィードバックを与えるために前記測定値を与えることと、
    を備え、
    前記電流は動作範囲を有し、
    前記動作範囲は、加速のために比較的に大きな電流範囲を備えるが、前記モーターの安定状態の動作のためには比較的により小さい電流範囲の中に残り、
    前記電流の測定値を得ることは、それによって前記安定状態の間の測定精度を最大限にするために、前記比較的に大きな電流範囲の第1の「粗い」測定と、前記比較的により小さい電流範囲の第2の「細かい」測定を行うことを備える、
    方法。
  15. 同じレートで、前記「粗い」と前記「細かい」測定をサンプリングすることを備える、請求項14に記載の方法。
  16. 前記「粗い」電流センサーの測定出力範囲より大きい測定出力範囲から前記「細かい」測定を得ることをさらに備えた、請求項14に記載の方法。
  17. モーター電流が所定の閾値より下に落ちたときに前記「細かい」測定センサーをスイッチオンすることと、
    前記モーター電流が前記所定の閾値より上である場合に、前記「細かい」測定センサーをショートすることと、
    をさらに備える、請求項14に記載の方法。
  18. 前記モーターは、単相モーターであり、
    前記方法は、前記モーターの相の少なくとも1つの電流を測定することを備える、
    請求項14に記載の方法。
  19. 前記モーターは、複数の相を有し、
    前記方法は、前記モーターの少なくとも1つの電流を測定することを備える、
    請求項14に記載の方法。
  20. 前記モーターを制御するために1またはそれより多くの電流コマンドを生成することと、
    前記1またはそれより多くの電流コマンドに基づいて、前記コマンドのための前記「粗い」と「細かい」測定の1つを選択することと、
    を備える、請求項14に記載の方法。
  21. 外部のコントローラからアナログコマンドを受けることと、
    前記アナログコマンドの「細かい」と「粗い」測定を得ることと、
    をさらに備える、請求項14に記載の方法。
  22. 前記アナログコマンドの前記「細かい」測定を与えるために、前記アナログコマンドを増幅することを備える、請求項21に記載の方法。
  23. フィードバックとアナログコマンド信号からなるグループの少なくとも1つのメンバーを改善するために、前記「細かい」と「粗い」測定のためのオフセット補償と利得ミスマッチ補償を与えることをさらに備え、前記補償は、感知ペアにおいて与えられる、
    請求項14に記載の方法。
  24. モーターの動きと位置決めのフィードバックベースの制御のためのサーボ・ドライブであって、
    外部で生成されたコマンド信号を、「粗い」コマンドとして受け取るための「粗い」コマンド入力と、
    前記外部で生成されたコマンド信号を増幅するための増幅器と、
    増幅後の前記外部で生成されたコマンドを、「細かい」コマンド信号として受け取るための、前記増幅器の「細かい」コマンド信号出力と、
    を備え、
    前記コマンドは動作範囲を有し、
    前記動作範囲は、遷移状態のために比較的に大きい範囲を備えるが、前記モーターの安定状態の動作のためには比較的により小さい範囲の中に残り、
    前記サーボ・ドライブは、前記安定状態の動作の間の前記コマンドの精度を最大限にするために、前記コマンドが所定の閾値より上である場合に前記「粗い」コマンドを接続し、前記コマンドが前記所定の閾値より下である場合に前記「細かい」コマンドを接続するためのスイッチを備える、
    サーボ・ドライブ。
  25. 動きと位置決めのフィードバックベースの制御をもったアクチュエータシステムであって、
    前記フィードバックを与えるために、前記アクチュエータの制御可能な特徴の測定値を得るよう構成された測定デバイス、
    を備え、
    前記特徴は、動作範囲を有する測定可能な特徴であって、
    前記動作範囲は、遷移状態のために比較的に大きな範囲を備えるが、前記アクチュエータの安定状態の動作のためには比較的により小さい範囲の中に残り、
    前記測定デバイスは、前記安定状態の動作の間の前記測定可能な特徴の精度を最大限にするために、前記比較的に大きい範囲を測定するために好適化された第1の「粗い」センサーと、前記比較的により小さい安定状態の範囲を測定するために好適化された第2の「細かい」センサーとを有する、
    アクチュエータシステム。
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