JP2010252489A - 可変電流路における電流検出装置及び可変磁束モータの制御方法 - Google Patents

可変電流路における電流検出装置及び可変磁束モータの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】この発明の一実施例は、小型であっても変化幅の大きな電流を精度良く検出できる電流検出装置及び可変磁束モータの制御方法を提供する。
【解決手段】この発明の一実施例は、スイッチング制御信号に基づいて可変磁束モータの駆動電流を出力するインバータと、前記駆動電流を測定する電流検出装置と、前記電流検出装置の電流検出出力の大きさに応じて、PWM回路が出力する前記スイッチング制御信号の周波数及び位相制御するための指令電圧を調整する電圧指令演算部と、前記電圧指令演算部に対して、前記可変磁束モータのコイルの磁力の変化タイミングと磁束量を決める前記指令電流を与える指令電流出力部と、前記磁力の変化タイミングの情報に基づき、前記磁力の変化の前後で前記電流検出装置の検出レンジを測定電流量に対応するレンジに切り替えるレンジ切り替え部を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は可変電流路における電流検出装置及び可変磁束モータの制御方法に関するもので、電流変化幅が大きな配線において電流検出タイミングが重要となる場合に有効な電流検出方法である。
電流検出器として例えば特許文献1、2に従来技術が開示されている。また電流検出器が使用されている文献例として例えば特許文献3が知られている。
特許文献1では、小電流から大電流までを検出するために、電流量に応じて磁気比例方式と磁気平衡方式を併用している。また特許文献2では、磁気平衡方式の複数の検出チップ用いて、電流値の閾値に応じて複数の検出チップを切り替えて採用している。これらは電流変化幅が大きい配線に対して検出レンジを拡大している。
特許文献3では、可変磁束モータを駆動するインバータから出力されている3相のラインの電流のうち、2相のラインの電流を検出している。特許文献3では、インバータからの出力電流の変化幅が大きいために大型の電流検出器が必要となる。
特開2007−78416号公報 特開2007−78417号公報 特開2008−43172号公報
ところで、上記可変磁束モータのドライブ装置においては、モータの回転速度やトルクなどを制御するために、指令電流を生成している。指令電流は指令電圧に変換され、3相の電圧に座標変換され、この3相の電圧がパルス幅変調回路(PWM回路)に入力される。パルス幅変調回路からは、指令電圧に応じたスイッチング制御信号が出力され、インバータのスイッチング動作を制御する。ここで、インバータからの3相の出力電流は大きな範囲で変化する。この出力電流の変化は電流検出器により検出される。電流検出器の電流検出値とモータの回転位置信号とに応じて、モータを駆動するための前記指令電流の値が制御されている。この制御により、可変磁束モータの回転位置に応じた磁化電流を適正な値に保つようになっている。
上記インバータからの3相の出力電流は大きな範囲で変化するために、電流検出器は必然的に大型化する傾向にある。特に可変磁束モータの場合、駆動電流として瞬間的な大電流を必要とする。しかしこのような大電流を検出する電流検出器であると、電流検出精度が低下することがある。特に小電流に対する検出精度が低下する。そして電流検出精度が劣ると、当然電流検出タイミングにも不安定が生じ、結果的に可変磁束モータの磁力の切り替え制御動作の不安定化に繋がる。
そこで本発明の一実施の形態では、構成が簡単で小型であっても変化幅の大きな電流を精度良く検出でき、特に電流の検出タイミングが重要となる装置に適用して有用な可変電流路における電流検出装置及び可変磁束モータの制御方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために本発明の一実施例は、スイッチング制御信号を出力するPWM回路と、前記スイッチング制御信号に基づいて可変磁束モータの駆動電流を出力するインバータと、前記駆動電流を測定する電流検出装置と、前記電流検出装置の電流検出出力の大きさに応じて、前記PWM回路が出力する前記スイッチング制御信号の周波数及び位相制御するための指令電圧を調整する電圧指令演算部と、前記電圧指令演算部に対して、前記可変磁束モータのコイルの磁力の変化タイミングと磁束量を決める前記指令電流を与える指令電流出力部と、前記磁力の変化タイミングの情報に基づき、前記磁力の変化の前後で前記電流検出装置の検出レンジを測定電流量に対応するレンジに切り替えるレンジ切り替え部を有したことを特徴とする。
前記電流検出装置の検出レンジを切り替える場合、電流検出装置に用意された1つの電流センサの検出レンジの設定状態を切り替えるようにしてもよい。
前記電流検出装置の検出レンジを切り替える場合、前記電流検出装置に用意された検出レンジの異なる複数の電流センサのいずれか1つの選択状態に切り替えるようにしてもよい。
本発明によると、検出タイミングが重要となる可変磁束モータにおいて、磁力の変化若しくは切り替えの前後で前記電流検出装置の検出レンジを切り替えることができ、使用される検出レンジが、測定すべき電流値に適切なレンジに切り替わることができる。このために、小型の電流検装置であっても、変化範囲の大きな電流を精度良く検出でき、可変磁束モータの制御を安定化させることができる。
本発明の一実施例が適用された可変磁束モータドライブシステムのブロック図である。 可変磁束モータの簡易モデル図である。 図1の可変磁束モータのロータの断面を示す図である。 図1の可変磁束モータのBH特性を示す図である。 種々の材料のBH特性を示す図である。 図1の磁化要求生成部29の内部構成例を示す図である。 図1の可変磁束制御部13の内部構成例を示す図である。 図1の可変磁束モータの制御タイミングを示す図である。 この発明に係る電流検出装置の一例を示す図である。 この発明に係る電流検出装置の他の例を示す図である。 本発明の他の実施例が適用された可変磁束モータドライブシステムのブロック図である。 図11の実施例において可変磁束モータに流れる電流検出方法を説明する説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。まず図1は、本発明の第1の実施の形態の可変磁束モータドライブシステムの制御ブロック図である。同図を説明する前に、永久磁石同期電動機としての可変磁束モータについて説明する。
図2は、可変磁束モータ1のイメージ図である。ステータ側は従来のモータと同様と考えてよい。ロータ51側には永久磁石として、磁性体の磁束密度が固定の固定磁石FMGと、磁性体の磁束密度が可変の可変磁石VMGとがある。従来の永久磁石同期電動機(PMモータ)は、前者の固定磁石FMGのみであるのに対して、この実施例での可変磁束モータ1は、可変磁石VMGが備わっている。
ここで固定磁石や可変磁石について、説明を加える。永久磁石とは、その磁束量が一定不変なものではなく、通常の定格運転中に近い状態ではインバータ等から供給される電流によって磁束密度が概ね変化しないもののことを指す。一方、前述の磁束密度が可変である永久磁石、つまり、可変磁石とは、上記のような運転条件においてもインバータ等で流し得る電流によって磁束密度が変化するものを指す。このような可変磁石は、磁性体の材質や構造に依存して、ある程度の範囲で設計が可能である。
最近のPMモータは、残留磁束密度Brの高いネオジム(NdFeB)磁石を用いることが多い。この磁石の場合、残留磁束密度Brが1.2T程度と高いため、大きなトルクを小さい装置サイズにて出力可能であり、モータの高出力小型化が求められるハイブリッド車HEVや電車には好適である。従来のPMモータの場合、通常の電流によって減磁しないことが要件であるが、このネオジム磁石(NdFeB)は約1000kA/mの非常に高い保持力Hcを有しているので、PMモータ用に最適な磁性体である。PMモータ用には、残留磁束密度が大きく、保磁力の大きい磁石が選定されるためである。
一方、残留磁束密度が高く、保持力Hcの小さいアルニコAlNiCo(Hc=60〜120kA/m)やFeCrCo磁石(Hc=約60kA/m)といった磁性体を可変磁石とする。通常の電流量(インバータによって従来のPMモータを駆動する際に流す程度の電流量という意味)によって、ネオジム磁石の磁束密度(磁束量)はほぼ一定であるが、アルニコAlNiCo磁石などの可変磁石の磁束密度(磁束量)は可変となる。
厳密に言えば、ネオジム磁石は可逆領域で利用しているため、微小な範囲で磁束密度が変動するが、インバータ電流がなくなれば当初の値に戻る。他方、可変磁石は不可逆領域まで利用するため、インバータ電流がなくなっても当初の値にならない。
図2は、可変磁束モータ1を、簡単なイメージとしてモデル化したものである。同図において、可変磁石VMGであるアルニコ磁石の磁束量も、D軸方向の量が変動するだけで、Q軸方向はほぼ0である。
図3は、可変磁束モータ1の具体的な構成例を示している。回転子(ロータ)51は、回転子鉄心52中に、ネオジム磁石(NdFeB)などの高保磁力の永久磁石54とアルニコ磁石(AlNiCo)などの低保磁力の永久磁石53とを組み合わせて配置した構成である。可変磁石VMGである低保磁力永久磁石53は、回転子鉄心52の磁極部55の両側に、それぞれ隣接する磁極部55との境界域に径方向に配置してある。固定磁石FMGである高保磁力磁石54は、回転子鉄心52の磁極部55において径に直交する方向に配置してある。この構造により、可変磁石VMGである低保磁力永久磁石53はQ軸方向とその磁化方向が直交するため、Q軸電流の影響を受けず、D軸電流によって磁化される。
図4は、固定磁石と可変磁石のBH特性(磁束密度−磁化特性)を例示している。また、図5は、図4の第2象限のみを定量的に正しい関係にて示したものである。さらに種々の材料のBH特性を示している。
ネオジム磁石とアルニコ磁石の場合、それらの残留磁束密度Br1,Br2には有意差はないが、保磁力Hc1,Hc2については、ネオジム磁石(NdFeB)のHc2に対し、アルニコ磁石(AlNiCo)のHc1は1/15〜1/8、FeCrCo磁石のHc1は1/15になる。
従来のPMモータドライブシステムにおいて、インバータの出力電流による磁化領域は、ネオジム磁石(NdFeB)の保磁力より十分に小さく、その磁化特性の可逆範囲で利用されている。しかしながら、可変磁石は、保磁力が上述のように小さいため、インバータの出力電流の範囲において、不可逆領域(電流を0にしても、電流印加前の磁束密度Bに戻らない)での利用が可能で、磁束密度(磁束量)を可変にすることができる。
可変磁束モータ1の動特性の等価簡易モデルを、(1)式に示す。同モデルは、D軸を磁石磁束方向、Q軸をD軸に直行する方向として与えたDQ軸回転座標系上のモデルである。
Figure 2010252489
ここに、R1:巻線抵抗、Ld:D軸インダクタンス、Lq:Q軸インダクタンス、Φfix:固定磁石の磁束量、Φvar:可変磁石の磁束量、ω1:インバータ周波数である。
図1には、第1の実施の形態の可変磁束ドライブシステムの主回路及び制御回路を示してある。主回路は、直流電源3、直流電力を交流電力に変換するインバータ4、このインバータ4の交流電力(駆動電流)にて駆動される可変磁束モータ1にて構成されている。そして、主回路には、モータ電力を検出するための交流電流検出器2、モータ速度を検出するための速度検出器18が設置されている。
具体的にはインバータ4からの3相の駆動電流が可変磁束モータ1のステータス側の巻線に供給されている。そして3相の駆動電流は、電流変化が電流検出装置2U、2V、2Wにより検出されている。電流検出装置2U、2V、2Wは例えばホール素子を用いた検出回路を有する。検出した電流は、後述するレンジ切り替え部121を介して、座標変換部7に入力されている。レンジ切り替え部121は、例えば可変磁束制御部13からの磁化完了フラグに応答して、電流検出装置2U、2V、2Wの各検出レンジを切り替えることができる。
これは流れる電流値の範囲に適応したレンジで電流値を検出し、精度の高い電流検出を行うためである。また3個の電流検出装置2U、2V、2Wとして設けたとしても小型のものを利用できるので価格構造の面で十分効果が得られるからである。
次に、制御回路について説明する。ここでの入力は、運転指令Run*とトルク指令Tm*である。運転指令生成部16は、運転指令Run*と保護判定部17で判断された保護信号PROTとを入力とし、運転状態フラグRunを生成出力する。基本的には、運転指令が入った場合(Run*=1)に、運転状態フラグRunを運転状態(Run=1)にし、運転指令が停止を指示した場合(Run*=0)には、運転状態フラグRunを停止状態(Run=0)にする。さらに、保護検知の場合(PROT=1)には、運転指令Run*=1であっても、運転状態は停止状態Run=0にする。
ゲート指令生成部15は、運転状態フラグRunを入力し、インバータ4に内在するスイッチング素子へのゲート指令Gstを生成出力する。このゲート指令生成部15では、運転状態フラグRunが停止(Run=0)から運転(Run=1)に変わる場合、即時にゲートスタート(Gst=1)とし、運転状態フラグRunが運転(Run=1)から停止(Run=0)に変わる場合、所定時間が経過した後に、ゲートオフ(Gst=0)にするように作用する。
指令電流出力部120は、電流基準演算部11、磁束指令演算部12、可変磁束制御部13、磁化要求生成部29などを含む。指令電流出力部120は、可変磁束モータ1のコイルの磁力の変化タイミングと磁束量を決める指令電流Id*、Iq*を出力する。
上記の磁束指令演算部12は、運転状態フラグRunとインバータ周波数ω1、すなわち、ロータ回転周波数ωRを入力として、磁束指令Φ*を、例えば次の(2)式のように生成して出力する。すなわち、運転停止(Run=0)の場合には、磁束指令Φ*を最小Φminにして、運転状態(Run=1)であって、かつ、回転周波数ωRが所定値より低い場合には、磁束指令Φ*を最大Φmaxとし、また、速度が所定値より高い場合、磁束指令Φ*を最小Φminとする。
Figure 2010252489
ここに、Φmin:可変磁束モータ1として取り得る最小磁束量(>0)、Φmax:可変磁束モータ1として取り得る最大磁束量、ωA:所定の回転周波数である。尚、磁束量のΦmin,Φmaxの設定については、後で可変磁束制御部13のところで説明する。
指令電流出力部12に含まれる電流基準演算部11では、トルク指令Tm*と磁束指令Φ*とを入力として、D軸電流基準IdRとQ軸電流基準IqRを次式(3),(4)のように演算する。
Figure 2010252489
同(3),(4)式は、モータのリラクタンストルクを用いないことを想定し、モータ極数も0とした演算式である。D軸インダクタンスLdとQ軸インダクタンスLqの差異ΔLがある突極形モータであっても、差異のない非突極形のモータであってもよい。
しかしながら、効率の最適化や所定電流での最大出力を考える場合、リラクタンストルクを考慮することが有効である。この場合、例えば、次式のように演算する。
Figure 2010252489
ここに、KはD軸電流とQ軸電流との比率であり、前述の効率最適化や最大出力等、用途によって変わる値である。最適化を図るためには関数形をとり、その引数としてトルク、速度等を用いる。また、簡易な近似やテーブル化して用いることもできる。また、(5)式の磁束指令Φ*は、後述する磁束推定値Φhを用いても、動作は可能である。
図6は、磁化要求生成部29の詳細な構成を示す。この図6のブロックは、制御マイコンによって、所定時間ごとに制御がなされていると仮定する。磁束指令Φ*は、前回値の保持部31に入力され、その値が保持される。前回値の保持部31の出力は、前回に記憶した磁束指令Φ*であり、今回の磁束指令値Φ*と共に、変化判定部30に入力される。変化判定部30では、入力2つの変化があった場合には1を、変化がない場合には0を出力する。すなわち、磁束指令Φ*が変化した場合にのみ1が立つ。上記同様な回路を、磁束指令Φ*に代わり、運転状態フラグRunについても有する。2つの変化判定部30,34の出力が論理和演算部(OR)32に入力され、それらの論理和が磁化要求フラグFCreqとして出力される。
磁化要求生成部29の出力である磁化要求フラグFCreqは、磁束指令Φ*が変化した場合、あるいは、運転状態フラグRunが変化した場合に磁化要求(FCreq=1)となり、それ以外では要求なし(FCreq=0)となる。尚、運転状態フラグRunが変化する状態とは、インバータが始動するとき、停止するとき、保護で停止するときなどである。また、ここでは磁束指令Φ*を用いているが、後述する可変磁束制御部13の磁化電流指令Im*(磁化電流テーブル27の出力)の変化で磁化要求FCreqを生成してもよい。
図7は、可変磁束制御部13の詳細な構成を示す。可変磁束制御部13は、磁束指令演算部12の出力である磁束指令Φ*を入力し、D軸電流基準IdRを補正するD軸磁化電流差分量ΔIdm*を出力する。この磁化電流差分量ΔIdm*は、加算器14に入力されて、電流基準演算部11からの基準電流を補正する。
この磁化電流差分量ΔIdm*の生成は、以下の演算処理による。可変磁石VMGを磁化するためには、図4の可変磁石のBH特性に則り、所定の磁化電流指令Im*を求めればよい。特に、磁化電流指令Im*の大きさは、図4中のH1sat以上、すなわち、可変磁石の磁化飽和領域となるように設定する。
磁化飽和領域まで磁化電流を流すため、磁束指令演算部12で設定すべき磁束量ΦminやΦmaxは、可変磁石の磁束(磁束密度)がプラス、ないしは、マイナスの最大(飽和)値に固定磁石分を加算した値として設定する。可変磁石VMGの磁束量の正の最大値をΦvarmax(負の最大値の絶対値は正の最大値と等しいとする)、固定磁石FMGの磁束量をΦfixとすれば、次式である。
Figure 2010252489
磁束指令Φ*を入力とし、対応する磁化電流を記憶した磁化電流テーブル27によって、磁束指令Φ*を得るための磁化電流指令Im*を出力する。
基本的に、磁石の磁化方向をD軸としているので、磁化電流指令Im*は、D軸電流指令Id*に与えるようにする。本実施の形態では、電流基準演算部11からの出力であるD軸電流基準IdRを加算器14にてD軸磁化電流指令差分ΔIdm*で補正し、D軸電流指令Id*とする構成にしているので、減算器26によってD軸磁化電流指令ΔIdm*を次式によって求める。
Figure 2010252489
尚、磁束切り替えの際には、D軸電流指令Id*に磁化電流Im*を直接与えるような構成とすることも可能である。
一方、磁化要求フラグFCreqは、磁束を切り替えたい要求の際に、少なくとも一瞬切り替え要求(FCreq=1)が立つ。磁束を確実に可変とするために、磁化要求フラグFCreqを最小オンパルス器28へと入力する。この出力である磁化完了フラグ(=1:磁化中、=0:磁化完了)は、一旦オン(=1)が入力された場合、所定の時間の間はオフ(=0)にならない機能を有する。所定時間を越えて入力がオン(=1)である場合には、それがオフとなると同時に出力もオフとなる。
切り替え器23には、磁化完了フラグが入力され、磁化中(磁化完了フラグ=1)の場合、減算器26の出力を、磁化完了(磁化完了フラグ=0)の場合、0を出力する。
またこの磁化完了フラグは、電流検出装置2U、2V、2Wのレンジ切り替えタイミング用として利用される。
電圧指令演算部10は、以上により生成されたDQ軸電流指令Id*,Iq*に基づき、当該指令に一致する電流が流れるように電流制御器を含むDQ軸電圧指令Vd*,Vq*を生成する。
そして電圧指令演算部10のDQ軸電圧指令Vd*,Vq*を、座標変換部5にて3相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に変換し、この3相電圧指令によってPWM回路6がPWMにてゲート信号を生成し、インバータ4をPWM制御する。
尚、座標変換部7は基本的には電流検出器2の交流検出電流Iu,Iv,Iwを2軸DQ軸変換してDQ軸電流検出値Id,Iqに変換して電圧指令演算部10に入力する。また、擬似微分器8は速度検出器18の信号からインバータ周波数ω1を求める。尚、電圧指令演算部10、座標変換部5,7、PWM回路6には、従来同様の公知技術が採用されている。
図8には、各信号の動作のタイミングチャートの一例が示してある。ここでは保護信号は立っていない状況(PROT=0)だが、運転状態フラグRunの変化及び磁束指令Φ*の変化にて磁化要求フラグが立ち、それを所定時間幅確保する磁化完了フラグが立ち、この磁化完了フラグの期間だけ、磁化電流指令Im*が値を持つ。
以上の構成により、本実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。可変磁束モータ1は、図4のBH特性のように、インバータ電流による磁化に対し特性変化が急である。このため、実用上、同一の制御を施したとしても、位置センサレス制御で生じやすいD軸と磁束軸が厳密に一致しないという軸ずれや電流応答の差異、また、モータ個体差などにより、同一の磁束を繰り返し得ることは困難である。磁束の繰り返し精度が悪い場合、トルク精度が劣化して、好ましくない。
ところが、本実施の形態の可変磁束ドライブシステムによれば、可変磁石VMGの磁化特性のなかで磁化飽和域以上の磁化電流を流すように設定しており、磁化後の可変磁束量を確定し、その繰り返し精度を向上でき、よって、トルク精度を確保し、ドライブの信頼性を向上できる。
また、本実施の形態の可変磁束ドライブシステムによれば、磁化電流を流す時間の最小時間を設定しているため、中途半端な磁化状態で終了することがなく、これにより、磁化処理後の可変磁束量のばらつきを抑制し、トルク精度を向上できる。
図9、図10は、電流検出装置2U、2V、2Wのいずれか1つを代表して示している。図9(A)の電流検出装置200から説明する。この電流検出装置200の場合、配線パターン201が本線201Aの途中で分岐し、分岐ライン201B,201Cを形成している。そして分岐ライン201B、201Cは再度合流して本線201Aとなっている。このために分岐ライン201B、201Cの電流は、本線201Aに流れる電流の値よりも小さい値である。
ここで、例えば分岐ライン201Bの上に電流検出装置200が取り付けられ、電流を測定できるように構成されている。電流検出は、例えばホール素子を用いた検出回路である。本発明では電流の検出原理は特に限定されるものではなく、従来から採用されている各種の方式を適用可能である。
電流検出装置200は、その検出レンジを例えば大電流用、小電流用の2つのレンジに切り替えることができる。この切り替えは、この実施形態ではレンジ切り替え部121が行う。レンジ切り替え回路は、電流検出装置200の内部に設けられていてもよい。
レンジ切り替え部121は、例えば図9(B)のように、電流センサS1の電流検出出力が電圧に変換されて比較器122に入力される。比較器122は、比較用電圧源123の電圧と電流センサS1の検出電圧を比較し、検出電圧が上回ったとき、出力を反転する。比較器122の出力は、セレクタ212をオフし、セレクタ211をオンする。これにより大電流検出状態となり電流センサS1の出力は、抵抗r1、セレクタ211を介して測定部215に入力される。またこのときは、比較器122のフィードバック系において、セレクタ124がオン制御され、抵抗125が選択され、またセレクタ126がオフ制御され、抵抗127が切り離される。これにより比較器122のフィードバックゲインが切り替わる。
上記の状態で、電流センサS1の検出電圧が低下し、比較電圧より低い値になると、再度比較器122の出力が反転する。このときは、セレクタ211がオフし、セレクタ212がオンする。これにより小電流検出状態となり、電流センサS1の出力は、抵抗r2、セレクタ212を介して測定部215に入力される。
今、上記の電流検出装置200の測定レンジが図9(C)のIminからImaxであったとする。上記の装置によると、IminからIth2までが小電流検出状態のときの測定範囲であり、ImaxからIth1までが大電流検出状態のときの測定範囲となる。閾値Ith1,Ith2は、測定動作にヒステリシス特性を持たせたものであり、この特性は、比較器122のフィードバック系によって得られる。
上記の電流検出方法によると、小電流レンジ測定状態、大電流レンジ測定状態を切り替えることができる。このために、測定精度が向上し、可変磁束モータの磁束変化の切り替えタイミングを正確に判定できるようになる。また、電流検出装置200を図9(A)のように、配線パターンの分岐ラインに設けることで、電流検出装置200自身が小型化する。これにより本発明の装置であると製品の低下価格化を得るにも貢献できることになる。
図10(A)には、電流検出装置の他の実施の形態を示している。この例は測定レンジが異なる2つの電流検出装置200a,200bを配線パターン202上に配置した例を示している。この配線パターン202は、図9(A)で示した分岐ライン201Bであってもよい。
レンジ切り替え部の回路構成は図9(B)に示した構成とほぼ同じである。この実施例であると、大電流用の電流センサS11の出力が抵抗r1、セレクタ211を介して測定部215に入力可能であり、小電流用の電流センサS12の出力が抵抗r2、セレクタ212を介して測定部215に入力可能である。上記の構成であっても図9で説明した電流検出方法と同じ効果を得ることができる。
この発明は上記した実施例に限定されるものではない。上記した電流測定方法は、可変磁束モータのドライブシステムに組み込まれた場合、有効な効果を発揮することができる。
図11にはこの発明の他の実施例を示している。図1に示した構成と同一部分には同一符号を付している。この実施例の場合、さらに回転位置及び電流バランス判定部130が設けられている。この回転位置及び電流バランス判定部130は、モータ1の所定の回転位置におけるU,V,W相の電流の所定のバランス状態を検出したとき、スイッチ131を制御し、磁化要求フラグFcrecを可変磁束制御部13に供給している。
ここでU,V,W相の電流の所定のバランス状態とは、3相のうち2つ相の電流検出装置の測定レンジが、小電流測定レンジであり、他の1つの相の電流検出装置の測定レンジが大電流測定レンジであり、この1つの相にd軸電流が流れる状態である。
図12に示すように、可変磁束モータの場合、例えばU相の電流値に対して、V,W相の電流が半分の値になるモータの回転位置が存在する。この状態を検出して可変磁束モータの磁化タイミングを確定するようにしている。これにより、可変磁束モータの動作を一層精度良く実現することができ、安定した運転を得ることができる。図12において、U相、V相、W相の各電流検出装置2U、2V、2Wを示している。ここで、U相に電流iが流れ、V相、W相にそれぞれ(i/2)が流れている状態を回転位置及び電流バランス判定部130が検出することができる。モータの回転位置の検出は、磁束切り替えの位置を誤り無く確認するためである。このような状態のときはU相にd軸電流が流れる状態であり、磁化を行うタイミングとなる。
上記した本発明は、電気自動車、ハイブリッド車、電車などモータを用いる機器分野で有効な技術である。
1・・・可変磁束モータ、2U、2V、2W・・・電流検出装置、3・・・直流電源、4・・・インバータ、5・・・座標変換部、6・・・PMW回路、7・・・座標変換部、8・・・擬似微分器、10・・・電圧指令演算部、11・・・電流基準演算部、12・・・磁束指令演算部、13・・・可変磁束制御部、14・・・加算器、15・・・ゲート指令生成部、16・・・運転指令生成部、17・・・保護判定部、29・・・磁化要求生成部、120・・・指令電流出力部、121・・・レンジ切り替え部、130・・・回転位置及び電流バランス判定部、131・・・スイッチ、200,200a、200b・・・電流検出装置。

Claims (6)

  1. スイッチング制御信号を出力するPWM回路と、
    前記スイッチング制御信号に基づいて可変磁束モータの駆動電流を出力するインバータと、
    前記駆動電流を測定する電流検出装置と、
    前記電流検出装置の電流検出出力の大きさに応じて、前記PWM回路が出力する前記スイッチング制御信号の周波数及び位相制御するための指令電圧を調整する電圧指令演算部と、
    前記電圧指令演算部に対して、前記可変磁束モータのコイルの磁力の変化タイミングと磁束量を決める前記指令電流を与える指令電流出力部と、
    前記磁力の変化タイミングの情報に基づき、前記磁力の変化の前後で前記電流検出装置の検出レンジを測定電流量に対応するレンジに切り替えるレンジ切り替え部と
    を有したことを特徴とする可変電流路における電流検出装置。
  2. 前記電流検出装置は1つの電流センサを有し、前記電流検出装置の検出レンジを切り替える場合、前記電流センサの出力測定レンジの設定状態を切り替えることを特徴とする請求項1記載の可変電流路における電流検出装置。
  3. 前記電流検出装置は複数の電流センサを有し、前記電流検出装置の検出レンジを切り替える場合、前記複数の電流センサのいずれかを選択した状態に切り替えることを特徴とする請求項1記載の可変電流路における電流検出装置。
  4. 電流測定対象となる配線パターンの本線が途中で複数に分岐し、複数の分岐ラインを形成し、この複数の分岐ラインが再度合流して本線となっており、
    前記電流検出装置は、前記分岐ラインの電流を検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の可変電流路における電流検出装置。
  5. 前記電流検出装置は、前記可変磁束モータに駆動電流を与える3つの相にそれぞれ設けられ、さらに前記3つの相の電流バランスを判定する判定部が設けられ、
    前記判定部は、前記3つ相のうち2つ相の前記電流検出装置の測定レンジが、小電流測定レンジであり、他の1つの相の前記電流検出装置の測定レンジが大電流測定レンジであり、所定の電流バランスを検出したとき、指令電流出力部を制御し、磁力変化を与える前記指令電流の出力タイミングを制御することを特徴とする請求項1記載の電流検出装置。
  6. スイッチング制御信号を出力するPWM回路と、前記スイッチング制御信号に基づいて可変磁束モータの駆動電流を出力するインバータと、前記可変磁束モータに駆動電流を与える3つの相にそれぞれ設けられた第1、第2、第3の電流検出装置と、前記第1、第2、第3の電流検出装置のいずれか複数の電流検出出力の大きさに応じて、前記PWM回路が出力する前記スイッチング制御信号の周波数及び位相制御するための指令電圧を調整する電圧指令演算部と、前記電圧指令演算部に対して、前記可変磁束モータのコイルの磁力の変化タイミングと磁束量を決める前記指令電流を与える指令電流出力部と、前記第1、第2、第3の電流検出装置を制御し前記可変磁束モータの回転を制御する方法において、
    前記第1乃至第3の電流検出装置からの電流を検出し、
    前記3つ相のうち2つ相の前記電流検出装置の測定レンジが、小電流測定レンジであり、他の1つの相の前記電流検出装置の測定レンジが大電流測定レンジであり、3相の電流値の所定の電流バランスを検出したとき、前記指令電流出力部を制御し、磁力変化を与える前記指令電流の出力タイミングを制御することを特徴とする可変磁束モータの制御方法。
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