JP2018007533A - モータ制御装置、モータ駆動装置、モータ駆動システム、画像形成装置、及び搬送装置 - Google Patents

モータ制御装置、モータ駆動装置、モータ駆動システム、画像形成装置、及び搬送装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 モータの制御方法の切り替え時に発生するトルク振動を抑制できる。【解決手段】 一実施形態に係るモータ制御装置は、第1の制御方法に依存する第1の電流指令値及び第2の制御方法に依存する第2の電流指令値に基づいて、モータを制御するモータ制御装置であって、前記モータの制御方法を前記第1の制御方法から前記第2の制御方法に切り替える際、前記第2の電流指令値を所定の切替期間の間に段階的に第1の目標値まで遷移させ、前記第1の電流指令値を段階的に第2の目標値まで遷移させる指令値切替部を備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、モータ制御装置、モータ駆動装置、モータ駆動システム、画像形成装置、及び搬送装置に関する。
従来、モータのセンサレス制御方法として、オープンループ制御と、クローズドループ制御と、が知られている。オープンループ制御は、制御結果であるモータの位置や速度など(以下、「位置等」という)をフィードバックせずに、所定の論理に従ってモータを制御する制御方法である。オープンループ制御によれば、簡易な方法で、モータを駆動することができる。一方、クローズドループ制御は、モータの位置等をフィードバックし、モータの位置等が所望の制御値に一致するように、モータを制御する制御方法である。クローズドループ制御によれば、モータを高精度に制御することができる。
センサレス制御の場合、モータの位置等をセンサにより検出できないため、モータの位置等は、モータに供給された電流などに基づいて推定される。モータの位置等を推定する方法として、モータの駆動により生じる誘起電圧を利用する方法が知られている。この推定方法は、誘起電圧が大きいモータの高速駆動時には好適に利用できるが、誘起電圧が小さいモータの低速駆動時には利用が困難である。
そこで、高速駆動時には誘起電圧による推定を利用したクローズドループ制御を実行し、停止〜低速駆動時にはオープンループ制御を実行する、というように、モータの駆動速度に応じて制御方法を切り替えることが提案されている。この方法によれば、モータが減速すると、所定のタイミングで、モータの制御方法がクローズドループ制御からオープンループ制御に切り替えられる。
しかしながら、上記従来の方法では、制御方法の切り替え時に、モータの駆動電流の電気角が不連続となり、トルク振動が発生することがあった。トルク振動は、異音や脱調の原因となるため、問題であった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、第1の制御方法から第2の制御方法への切り替え時に発生するトルク振動を抑制することを目的とする。
一実施形態に係るモータ制御装置は、第1の制御方法に依存する第1の電流指令値及び第2の制御方法に依存する第2の電流指令値に基づいて、モータを制御するモータ制御装置であって、前記モータの制御方法を前記第1の制御方法から前記第2の制御方法に切り替える際、前記第2の電流指令値を所定の切替期間の間に段階的に第1の目標値まで遷移させ、前記第1の電流指令値を段階的に第2の目標値まで遷移させる指令値切替部を備える。
本発明の各実施形態によれば、モータの制御方法の切り替え時に発生するトルク振動を抑制することができる。
第1実施形態に係るモータ駆動システムの一例を示す図。 インバータの一例を示す図。 電流検出器の一例を示す図。 モータの制御に利用される座標系を模式的に示す図。 指令値切替部の位一例を示す図。 モータ駆動システムの動作の一例を示すフローチャート。 モータ制御のシミュレーション結果を示す図。 画像形成装置の一例を示す図。 搬送装置の一例を示す図。 第2実施形態に係るモータ駆動システムの一例を示す図。 制御方法切替部の一例を示す図。 第3実施形態に係るモータ駆動システムの一例を示す図。 図12のモータ駆動システムの変形例を示す図。
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重畳した説明を省略する。
<第1実施形態>
第1実施形態に係るモータ駆動システムについて、図1〜図9を参照して説明する。本実施形態に係るモータ駆動システムは、モータ駆動装置によりモータをセンサレス制御するシステムである。本実施形態において、モータは、オープンループ制御と、クローズドループ制御と、の2つの制御方法により制御される。各制御方法について、詳しくは後述する。
(モータ駆動システムの構成)
図1は、本実施形態に係るモータ駆動システムの一例を示す図である。図1のモータ駆動システムは、モータ1と、インバータ2と、電流検出器3と、モータ制御装置4と、を備える。インバータ2、電流検出器3、及びモータ制御装置4は、モータ1を駆動するモータ駆動装置を構成する。
モータ1は、2相のステッピングモータ(STM)である。モータ1の各相を、A相及びB相と称する。モータ1は、A相及びB相のコイル(固定子)と、回転子と、を備える。回転子は、S極及びN極が交互に並んだ永久磁石により構成され、p個の極ペア(S極及びN極のペア)を有する。
以下では、回転子の1回転を1周期とする角度を機械角と称し、回転子の1回転をp周期とする角度を電気角と称する。電気角は、機械角のp倍に相当する。以降、断りのない限り、回転子の角度(位置)及び速度(角速度)を電気角で表す。
モータ1は、インバータ2から供給された電流によって駆動される。具体的には、モータ1は、インバータ2からA相及びB相のコイルにそれぞれ電流IA,IBを供給される。モータ1の回転子は、電流IA,IBに応じてA相及びB相のコイルが発生させた磁界に従って回転する。
インバータ2は、モータ制御装置4が出力した電圧指令値Va*,Vb*に応じた電流IA,IBをモータ1に供給し、モータ1を駆動する。以下、*を付された値は、指令値(制御値)を示すものとする。電圧指令値Va*,Vb*は、A相及びB相のコイルにそれぞれ印加する電圧の指令値である。
図2は、インバータ2の一例を示す図である。図2のインバータ2は、PWM(Pulse Width Modulation)回路21と、駆動回路22と、を備える。
PWM回路21(制御信号生成部)は、電圧指令値Va*をパルス幅変調して、A相の制御信号(APH,APL,AMH,AML)を生成し、出力する。また、PWM回路21は、電圧指令値Vb*をパルス幅変調して、B相の制御信号(BPH,BPL,BMH,BML)を生成し、出力する。図2の例では、制御信号は、High及びLowからなるパルス信号である。PWM回路21が出力した制御信号は、駆動回路22に入力される。
駆動回路22は、A相の駆動回路22Aと、B相の駆動回路22Bと、を備える。駆動回路22Aは、A相のコイルの一端に電圧を印加する駆動回路22APと、A相のコイルの他端に電圧を印加する駆動回路22AMと、を備える。駆動回路22AP,22AMは、電源(Vcc)と出力端子との間に接続されたスイッチング素子と、出力端子と接地線(GND)との間に接続されたスイッチング素子と、各スイッチング素子に並列に接続されたダイオードと、によりそれぞれ構成される。図2の例では、スイッチング素子は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であるが、バイポーラトランジスタでもよい。
駆動回路22APの出力端子は、A相のコイルの一端に接続される。駆動回路22APの各スイッチング素子は、PWM回路21が出力したA相の制御信号(APH,APL)を入力される。また、駆動回路22AMの出力端子は、A相のコイルの他端に接続される。駆動回路22APの各スイッチング素子は、PWM回路21が出力したA相の制御信号(AMH,AML)を入力される。入力された制御信号に従って各スイッチング素子がオンオフすることにより、電圧指令値Va*に応じた電流IAが、A相のコイルに供給される。
なお、駆動回路22Bの構成は、駆動回路22Aと同様であるため、説明を省略する。また、インバータ2は、図2に限られない。例えば、PWM回路21は、モータ制御装置4に設けられていてもよい。インバータ2として、電圧指令値Va*,Vb*に応じた電流IA,IBを供給可能な任意の回路を利用できる。
電流検出器3は、モータ1に供給された電流IA,IBの電流値Ia,Ibを検出し、出力する。電流検出器3が出力した電流値Ia,Ibは、モータ制御装置4に入力される。
図3は、電流検出器3の一例を示す図である。図3の電流検出器3は、A相の電流検出器3Aと、B相の電流検出器3Bと、を備える。電流検出器3Aは、シャント抵抗31aと、差動アンプ32aと、AD変換器33aと、を備える。
シャント抵抗31aは、駆動回路22Aの出力端子と、A相のコイルと、の間に接続される。駆動回路22Aが電流IAをコイルに供給すると、電流IAがシャント抵抗31aに流れ、シャント抵抗31の抵抗値に応じた電圧降下が生じる。
差動アンプ32aは、シャント抵抗31aの両端に差動入力端子を接続され、シャント抵抗31aで生じた電圧降下(シャント抵抗31aの両端子間の電位差)を、所定の利得で増幅し、出力する。
AD変換器33aは、差動アンプ32aの出力信号をAD(Analog to Digital)変換し、得られたデジタル値を出力する。このデジタル値は、電流値Iaとしてモータ制御装置4に入力される。
なお、電流検出器Bの構成は、電流検出器3Aと同様であるため、説明を省略する。また、電流検出器3は図3に限られない。電流検出器3として、電流値Ia,Ibを検出可能な任意の回路を利用できる。
モータ制御装置4は、プロセッサと、メモリと、により構成される。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などである。プロセッサは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)などであってもよい。プロセッサは、メモリに格納されたプログラムを実行する。
メモリは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static RAM)、MRAM(Magnetic RAM)、フラッシュメモリなどである。メモリは、プロセッサが実行するプログラムを格納する。
モータ制御装置4は、プロセッサ及びメモリを、それぞれ1つ備えてもよいし、複数備えてもよい。モータ制御装置4は、例えば、ICチップにより実現される。この場合、ICチップには、インバータ2及び電流検出器3の少なくとも一方が含まれてもよい。このモータ制御装置4は、クローズドループ制御(第1の制御方法)と、オープンループ制御(第2の制御方法)と、の2つの制御方法により、モータ1を制御する。
クローズドループ制御は、モータ1の角度及び速度をフィードバックすることにより算出した電流指令値によってモータ1を制御する制御方法である。クローズドループ制御では、制御結果であるモータ1の角度及び速度がフィードバックされ、フィードバックされた角度及び速度が、角度及び速度の指令値にそれぞれ一致するように、電流指令値が算出される。
本実施形態のように、モータ1をセンサレス制御する場合、モータ1の角度及び速度を直接的に取得することはできない。このため、本実施形態では、モータ1の角度及び速度の推定値がフィードバックされる。クローズドループ制御によれば、モータ1を高精度に制御することができる。
なお、以下では、モータ1の角度及び速度の両方をフィードバックしながらモータ1を制御するモータ制御装置4について説明するが、モータ制御装置4は、角度又は速度のいずれか一方だけをフィードバックしながらモータ1を制御することも可能である。
オープンループ制御は、予め設定された電流指令値によってモータ1を制御する制御方法である。オープンループ制御では、クローズドループ制御とは異なり、制御結果であるモータ1の角度及び速度がフィードバックされない。オープンループ制御によれば、簡易な方法でモータ1を制御することができる。
図1に示すように、モータ制御装置4は、機能構成として、位置制御部41と、速度制御部42と、指令値切替部43と、電流制御部44と、第1座標変換部45と、第2座標変換部46と、推定部47と、選択部48と、を備える。これらの各機能構成は、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。
位置制御部41は、角度指令値θ*と、角度推定値θestと、に基づいて、角度誤差θerrを計算する。角度指令値θ*は、回転子の角度(位置)の指令値であり、外部(例えば、上位のアプリケーション)から入力される。角度推定値θestは、回転子の角度の推定値であり、推定部47から入力される。角度誤差θerrは、角度指令値θ*と、角度推定値θestと、の差である。
位置制御部41は、P(Proportional)制御やPI(Proportional Integral)制御によって、角度誤差θerrが0に追従するように、速度指令値ω*を出力する。速度指令値ω*は、回転子の速度(角速度)の指令値である。位置制御部41が出力した速度指令値ω*は、速度制御部42に入力される。
速度制御部42は、速度指令値ω*と、速度推定値ωestと、に基づいて、速度誤差ωerrを計算する。速度推定値ωestは、回転子の速度の推定値であり、推定部47から入力される。速度誤差ωerrは、速度指令値ω*と、速度推定値ωestと、の差である。
速度制御部42は、P制御やPI制御によって、速度誤差ωerrが0に追従するように、電流指令値Iqcv*を出力する。電流指令値Iqcv*は、クローズドループ制御の場合にモータ1に供給するqc軸電流の指令値である。速度制御部42が出力した電流指令値Iqcv*は、指令値切替部43に入力される。
ここで、モータ1の制御のために利用される座標系について説明する。図4は、モータ1の制御のために利用される座標系を模式的に示す図である。図4において、実線はab座標系、破線はdq座標系、点線はdcqc座標系、太線はUVW座標系を示している。各座標系は、原点を共有する。
ab座標系は、直交するa軸及びb軸からなる固定座標系である。a軸はモータ1のA相に対応し、b軸はモータ1のB相に対応する。すなわち、A相のコイルに供給される電流IAの電流値Iaは、モータ1に供給される電流のa軸成分であり、B相のコイルに供給される電流Ibの電流値Ibは、モータ1に供給される電流のb軸成分である。
dq座標系は、直交するd軸及びq軸からなる回転座標系である。a軸に対するd軸の角度は、角度指令値θ*に相当する。すなわち、dq座標系は、回転子の理想的な位置を基準とした座標系である。
dcqc座標系は、直交するdc軸及びqc軸からなる回転座標系である。a軸に対するdc軸の角度は、回転子の角度推定値θestに相当し、dc軸に対するd軸の角度は角度誤差θerrに相当する。すなわち、dcqc座標系は、モータ制御装置4が推定した回転子の位置を基準とした座標系である。クローズドループ制御では、角度誤差θerrが0に追従するように、モータ1に電流が供給される。上述のqc軸電流とは、モータ1に供給される電流のqc軸成分のことである。
UVW座標系は、それぞれ120度の位相差を有するU軸、V軸、及びW軸からなる固定座標系である。U軸、V軸、及びW軸は、それぞれ3相モータにおけるU相、V相、及びW相に対応する。以下では、図4に示すように、U軸とa軸とは一致するものとする。UVW座標系は、後述する実施形態において利用される。
指令値切替部43は、選択信号selに応じて、電流指令値Idc*,Iqc*を切り替える。選択信号selは、オープンループ制御又はクローズドループ制御のいずれかを指定する信号である。本実施形態において、選択信号selは、外部から入力される。
電流指令値Idc*(第1の電流指令値)は、モータ1に供給する電流のdc軸成分であるdc軸電流の指令値である。電流指令値Iqc*(第2の電流指令値)は、モータ1に供給する電流のqc軸成分であるqc軸電流の指令値である。指令値切替部43が出力した電流指令値Idc*,Iqc*は、電流制御部44に入力される。
指令値切替部43は、選択信号selによりクローズドループ制御を指定されている間、電流指令値Idc*として0を出力し(Idc*=0)する。また、指令値切替部43は、選択信号selによりクローズドループ制御を指定されている間、電流指令値Iqc*として電流指令値Iqcv*を出力する(Iqc*=Iqcv*)。
指令値切替部43は、選択信号selによりオープンループ制御を指定されている間、切替期間を除き、電流指令値Idc*として電流指令値OpenIdc*(第1の目標値)を出力する(Idc*=OpenIdc*)。また、指令値切替部43は、選択信号selによりオープンループ制御を指定されている間、切替期間を除き、電流指令値Iqc*として0(第2の目標値)を出力する(Iqc*=0)。電流指令値OpenIdc*は、オープンループ制御の場合にモータ1に供給するdc軸電流の指令値として予め設定される。
切替期間とは、選択信号selが指定する制御方法が切り替えられてから所定の期間のことである。この切替期間の間に、指令値切替部43は、電流指令値Idc*,Iqc*を、切替前の制御方法(クローズドループ制御)の電流指令値Idc*,Iqc*から、切替後の制御方法(オープンループ制御)の電流指令値Idc*,Iqc*の目標値まで段階的に遷移させる。
具体的には、制御方法がクローズドループ制御からオープンループ制御に切り替えられた場合、指令値切替部43は、切替期間の間に、電流指令値Idc*を0からOpenIdc*まで段階的に遷移させる。すなわち、OpenIdc*は、制御方法の切替時における、電流指令値Idc*の目標値に相当する。また、指令値切替部43は、切替期間の間に、電流指令値Iqc*をIqcv*から0まで段階的に遷移させる。すなわち、0は、制御方法の切替時における、電流指令値Iqc*の目標値に相当する。なお、電流指令値Iqc*の目標値(第2の目標値)は、OpenIdc*に比べて十分小さい微小値であってもよい。この際、指令値切替部43は、切替中にモータ1に供給される電流の振幅と、切替後にモータ1に供給される電流の振幅と、が等しくなるように、電流指令値Idc*,Iqc*を出力する。
モータ1に供給される電流の振幅は、(Idc*+Iqc*1/2であるから、切替後にモータ1に供給される電流の振幅は、OpenIdc*となる。したがって、指令値切替部43は、切替中にモータ1に供給される電流の振幅が、OpenIdc*となるように、電流指令値Idc*,Iqc*を出力する。
このように、指令値切替部43が電流指令値Idc*,Iqc*を段階的に遷移させることにより、切替前の制御方法で利用される電流指令値Idc*,Iqc*を、切替後の制御方法で利用される電流指令値Idc*,Iqc*に、切り替えることができる。指令値切替部43について、詳しくは後述する。
電流制御部44は、電流指令値Idc*及び電流値Idcに基づいて、電流誤差Idcerrを計算する。電流誤差Idcerrは、電流指令値Idc*と、電流値Idcと、の差である。電流値Idcは、第2座標変換部46から入力される。
また、電流制御部44は、電流指令値Iqc*及び電流値Iqcに基づいて、電流誤差Iqcerrを計算する。電流誤差Iqcerrは、電流指令値Iqc*と、電流値Iqcと、の差である。電流値Iqcは、第2座標変換部46から入力される。
電流制御部44は、P制御やPI制御によって、電流誤差Idcerr,Iqcerrが0に追従するように、電圧指令値Vdc*,Vqc*を出力する。電圧指令値Vdc*は、モータ1に印加する電圧のdc軸成分であるdc軸電圧の指令値である。電圧指令値Vqc*は、モータ1に印加する電圧のqc軸成分であるqc軸電圧の指令値である。電流制御部44が出力した電圧指令値Vdc*,Vqc*は、第1座標変換部45に入力される。また、電流制御部44が出力した電圧指令値Vdc*は、推定部47に入力される。
第1座標変換部45は、電圧指令値Vdc*,Vqc*を、dcqc座標系からab座標系に座標変換することにより、電圧指令値Va*,Vb*を生成し、出力する。第1座標変換部45が出力した電圧指令値Va*,Vb*は、インバータ2に入力される。電圧指令値Va*,Vb*は、以下の式で表される。
Figure 2018007533
式(1)に右辺第1項は、座標変換のための変換行列である。θは、選択部48から入力される角度であり、オープンループ制御の場合、角度指令値θ*、クローズドループ制御の場合、角度推定値θestである。
第2座標変換部46は、電流値Ia,Ibを、ab座標系からdcqc座標系に座標変換することにより、電流値Idc,Iqcを生成し、出力する。第2座標変換部46が出力した電流値Idc,Iqcは、電流制御部44及び推定部47に入力される。電流値Idc,Iqcは、以下の式で表される。
Figure 2018007533
式(2)に右辺第1項は、座標変換のための変換行列である。θは、選択部48から入力される角度であり、オープンループ制御の場合、角度指令値θ*、クローズドループ制御の場合、角度推定値θestである。
推定部47は、電圧指令値Vdc*及び電流値Idc,Iqcに基づいて、回転子の角度及び速度を推定し、出力する。すなわち、推定部47は、角度推定値θest及び速度推定値ωestを計算し、出力する。推定部47が出力した速度推定値ωestは速度制御部42に入力される。推定部47が出力した角度推定値θestは位置制御部41及び選択部48に入力される。推定部47は、角度及び速度の推定方法として、既存の任意の推定方法を利用できる。
以下では、推定部47が誘起電圧を利用して角度及び速度を推定する場合を例に説明する。モータ1には以下の電圧方程式が成り立つ。
Figure 2018007533
式(3)〜式(5)において、Rはコイルの巻線抵抗、pは微分演算子、Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス、edcはdc軸誘起電圧、eqcはqc軸誘起電圧である。また、Idはd軸電流、Iqはq軸電流、ωreは回転子の実際の速度である実速度、θreは回転子の実際の角度である実角度、Ψaは電気子鎖磁束数である。
式(3)より、以下の式が成り立つ。
Figure 2018007533
ωest≒ωreとすると、式(4)及び式(6)より、以下の式が成り立つ。
Figure 2018007533
また、回転子が等速回転中とすると、Idは0、Iqは一定となるため、式(5)は以下のように書き換えられる。
Figure 2018007533
Idが0、Iqが一定の場合、Idcも一定となる。したがって、式(7)及び式(8)より、以下の式が成り立つ。
Figure 2018007533
クローズドループ制御では、実角度θreを角度指令値θ*と一致させるために、角度推定値θestが実角度θreと一致するように制御される。そこで、左辺を0とすると、以下の式が成り立つ。
Figure 2018007533
推定部47は、式(10)を満たす実速度ωreを、速度推定値ωestとして出力する。推定部47は、速度推定値ωestを積分することにより、角度推定値θestを計算できる。
選択部48は、角度指令値θ*及び角度推定値θestを入力され、選択信号selに応じて、いずれか一方を選択し、出力する。本実施形態において、選択信号selは、外部から入力される。選択部48が出力した角度指令値θ*又は角度推定値θestは、第1座標変換部45及び第2座標変換部46に入力される。
選択部48は、選択信号selによりオープンループ制御を指定された場合、角度指令値θ*を選択し、出力する。選択部48は、選択信号selによりクローズドループ制御を指定された場合、角度推定値θestを選択し、出力する。
図5は、指令値切替部43の一例を示す図である。図5の指令値切替部43は、トリガ生成部431(trig)と、積分部432と、第1選択部433と、切替判定部434と、電流指令値生成部435(Idc1*)と、第2選択部436と、第3選択部437と、第4選択部438と、を備える。
トリガ生成部431は、選択信号selを入力される。トリガ生成部431は、選択信号selにより指定された制御方法がクローズドループ制御からオープンループ制御に切り替わると、トリガ信号を出力する。トリガ信号の出力タイミングは、切替期間の開始タイミングに相当する。トリガ生成部431が出力したトリガ信号は、積分部432に入力される。
積分部432は、電流指令値Iqcv*と、電流値−ΔIqcと、トリガ信号と、を入力される。積分部432は、トリガ信号を入力されると、その時点で入力されている電流指令値Iqcv*を保持するとともに、電流値−ΔIqcの積分を開始する。そして、積分部432は、電流指令値Iqcv*に、電流値−ΔIqcの積分値を加算した値を、電流指令値Iqc1*として出力する。電流指令値Iqc1*は、トリガ信号が入力された時点の電流指令値Iqcv*を初期値として、サンプリング時間ごとに電流値ΔIqcずつ小さくなる。積分部432が出力した電流指令値Iqc1*は、切替判定部434、電流指令値生成部435、及び第3選択部437に入力される。
第1選択部433は、電流指令値Iqcv*と、0と、選択信号selと、を入力される。第1選択部433は、選択信号selに従って、電流指令値Iqcv*又は0を、電流指令値Iqc2*として出力する。
第1選択部433は、選択信号selによりクローズドループ制御が指定されている場合、電流指令値Iqc2*として、電流指令値Iqcv*を出力する。第1選択部433は、選択信号selによりオープンループ制御が指定されている場合、電流指令値Iqc2*として、0を出力する。第1選択部433が出力した電流指令値Iqc2*は、第3選択部437に入力される。
切替判定部434は、選択信号selと、電流指令値Iqc1*と、を入力される。切替判定部434は、選択信号sel及び電流指令値Iqc1*に基づいて、電流指令値Idc*,Iqc*の切替期間中であるか否か判定する。切替判定部434は、選択信号selによりオープンループ制御が指定され、かつ、電流指令値Iqc1*が0以上である場合、切替期間中であると判定し、他の場合、切替期間中ではないと判定する。
切替判定部434は、判定結果に応じた切替信号を出力する。以下では、切替判定部434は、切替期間中であると判定した場合、切替信号としてHを出力し、切替判定中ではないと判定した場合、切替信号としてLを出力するものとする。切替判定部434が出力した切替信号は、第3選択部437及び第4選択部438に入力される。
電流指令値生成部435は、電流指令値Iqc1*に基づいて、電流指令値Idc1*を生成し、出力する。電流指令値Idc1*は、以下の式により生成される。
Figure 2018007533
式(11)からわかるように、電流指令値生成部435は、制御方法の切替前後でモータ1に供給する電流の振幅が変わらないように、電流指令値Idc1*を生成する。このような電流指令値Idc1*の生成が可能なように、電流指令値OpenIdc*は、Iqc1*の最大値、すなわち、電流指令値Iqcv*の最大値より大きく設定されるのが好ましい。電流指令値生成部435が出力した電流指令値Idc1*は、第4選択部438に入力される。
第2選択部436は、電流指令値OpenIdc*と、0と、選択信号selと、を入力される。第2選択部436は、選択信号selに従って、電流指令値OpenIdc*又は0を、電流指令値Idc2*として出力する。
第2選択部436は、選択信号selによりクローズドループ制御が指定されている場合、電流指令値Idc2*として、0を出力する。第2選択部436は、選択信号selによりオープンループ制御が指定されている場合、電流指令値Iqc2*として、電流指令値OpenIdc*を出力する。第2選択部436が出力した電流指令値Idc2*は、第4選択部438に入力される。
第3選択部437は、電流指令値Iqc1*,Iqc2*と、切替信号と、を入力される。第3選択部437は、切替信号に従って、電流指令値Iqc1*又は電流指令値Iqc2*を、電流指令値Iqc*として出力する。
第3選択部437は、切替信号としてHを入力された場合、すなわち、切替期間中である場合、電流指令値Iqc*として、電流指令値Iqc1*を出力する。第3選択部437は、切替信号としてLを入力された場合、すなわち、切替期間中でない場合、電流指令値Iqc*として、電流指令値Iqc2*を出力する。
第4選択部438は、電流指令値Idc1*,Idc2*と、切替信号と、を入力される。第4選択部438は、切替信号に従って、電流指令値Idc1*又は電流指令値Idc2*を、電流指令値Idc*として出力する。
第4選択部438は、切替信号としてHを入力された場合、すなわち、切替期間中である場合、電流指令値Idc*として、電流指令値Idc1*を出力する。第4選択部438は、切替信号としてLを入力された場合、すなわち、切替期間中でない場合、電流指令値Idc*として、電流指令値Idc2*を出力する。
以上のような構成により、指令値切替部43は、選択信号selによりクローズドループ制御を指定されている間、電流指令値Iqc*として、電流指令値Iqcv*を出力し、電流指令値Idc*として、0を出力する。また、指令値切替部43は、切替期間中、電流指令値Iqc*として、電流指令値Iqc1*を出力し、電流指令値Idc*として、電流指令値Idc1*を出力する。また、指令値切替部43は、選択信号selによりオープンループ制御を指定され、かつ、切替期間の終了後、電流指令値Iqc*として、0を出力し、電流指令値Idc*として、電流指令値OpenIdc*を出力する。
上述の通り、電流指令値Idc1*は、モータ1に供給される電流の振幅が電流指令値OpenIdc*となるように生成される。したがって、切替期間中にモータ1に供給される電流の振幅は、OpenIdc*となる。結果として、指令値切替部43により、切替中にモータ1に供給される電流の振幅と、切替後にモータ1に供給される電流の振幅と、が一定になるように、電流指令値Idc*,Iqc*を出力することができる。
なお、指令値切替部43は、図5の構成に限られず、上記のように電流指令値Idc*,Iqc*を遷移可能な任意の構成とすることができる。また、図5の例では、指令値切替部43は、電流指令値Iqc1*を直線的に小さくしたが、電流指令値Iqc1*を小さくする方法はこれに限られない。例えば、指令値切替部43は、電流指令値Idc1*を0からOpenIdc*まで直線的に大きくし、電流指令値Idc1*の変化に応じて電流指令値Iqc1*を小さくしてもよい。
(モータ駆動システムの動作)
図6は、本実施形態に係るモータ駆動システムの動作の一例を示すフローチャートである。モータ制御装置4は、選択信号selによりクローズドループ制御を指定されている場合(ステップS101のYES)、モータ1をクローズドループ制御する。クローズドループ制御は、図6のステップS102〜S110に相当する。モータ制御装置4は、選択信号selによりオープンループ制御を指定されている場合(ステップS101のNO)、モータ1をオープンループ制御する。オープンループ制御は、図6のステップS111〜S118に相当する。以下、クローズドループ制御及びオープンループ制御について、それぞれ説明する。
(クローズドループ制御)
まず、クローズドループ制御について説明する。選択信号selによりクローズドループ制御が指定されると、位置制御部41は、角度指令値θ*と、角度推定値θestと、に基づいて、角度誤差θerrを計算し、角度誤差θerrが0に追従するように、速度指令値ω*を出力する(ステップS102)。速度指令値ω*は、速度制御部42に入力される。
速度制御部42は、速度指令値ω*と、速度推定値ωestと、に基づいて、速度誤差ωerrを計算し、速度誤差ωerrが0に追従するように、電流指令値Iqcv*を出力する(ステップS103)。電流指令値Iqcv*は、指令値切替部43に入力される。
指令値切替部43は、電流指令値Iqc*として電流指令値Iqcv*を出力し、電流指令値Idc*として0を出力する(ステップS104)。指令値切替部43が出力した電流指令値Idc*,Iqc*は、電流制御部44に入力される。
電流制御部44は、電流指令値Idc*,Iqc*と、電流値Idc,Iqcと、に基づいて、電流誤差Idcerr,Iqcerrを計算する。そして、電流制御部44は、電流誤差Idcerr,Iqcerrが0に追従するように、電圧指令値Vdc*,Vqc*を出力する(ステップS105)。電流制御部44が出力した電圧指令値Vdc*,Vqc*は、第1座標変換部45に入力される。また、電流制御部44が出力した電圧指令値Vdc*は、推定部47に入力される。
第1座標変換部45は、選択部48から入力された角度推定値θestに基づいて、電圧指令値Vdc*,Vqc*を座標変換し、電圧指令値Va*,Vb*を出力する(ステップS106)。第1座標変換部45が出力した電圧指令値Va*,Vb*は、インバータ2に入力される。
インバータ2は、電圧指令値Va*,Vb*に応じた電流IA,IBを、モータ1のA相及びB相のコイルにそれぞれ供給する(ステップS107)。これにより、モータ1は、回転子の実角度θreが角度指令値θ*に追従するように駆動される。
電流検出器3は、モータ1に供給された電流IA,IBの電流値Ia,Ibを検出し、出力する(ステップS108)。電流検出器3が出力した電流値Ia,Ibは、第2座標変換部46に入力される。
第2座標変換部46は、選択部48から入力された角度推定値θestに基づいて、電流値Ia,Ibを座標変換し、電流値Idc,Iqcを出力する(ステップS109)。第2座標変換部46が出力した電流値Idc,Iqcは、電流制御部44及び推定部47に入力される。
推定部47は、電圧指令値Vdc*と、電流値Idc,Iqcと、に基づいて、速度推定値ωest及び角度推定値θestを計算し、出力する(ステップS110)。速度推定値ωest及び角度推定値θestの計算方法は、上述の通りである。推定部47が出力した速度推定値ωestは、速度制御部42に入力される。推定部47が出力した角度推定値θestは、位置制御部41及び選択部48に入力される。
以降、クローズドループ制御が指定されている間、モータ1の駆動を終了するまで(ステップS119のNO)、モータ駆動システムは、ステップS102〜S110の処理を繰り返す。
(オープンループ制御)
次に、オープンループ制御について説明する。選択信号selによりオープンループ制御が指定されると、指令値切替部43は、切替期間中であるか否か判定する(ステップS111)。この判定は、図5の切替判定部434により行われる。
切替期間中である場合(ステップS111のYES)、指令値切替部43は、電流指令値Iqc*としてIqc1*を出力し、電流指令値Idc*として電流指令値Idc1*を出力する(ステップS112)。一方、切替期間中ではない場合(ステップS111のNO)、指令値切替部43は、電流指令値Iqc*として0を出力し、電流指令値Idc*として電流指令値OpenIdc*を出力する(ステップS113)。指令値切替部43が出力した電流指令値Idc*,Iqc*は、電流制御部44に入力される。
電流制御部44は、電流指令値Idc*,Iqc*と、電流値Idc,Iqcと、に基づいて、電流誤差Idcerr,Iqcerrを計算する。そして、電流制御部44は、電流誤差Idcerr,Iqcerrが0に追従するように、電圧指令値Vdc*,Vqc*を出力する(ステップS114)。電流制御部44が出力した電圧指令値Vdc*,Vqc*は、第1座標変換部45に入力される。
第1座標変換部45は、選択部48から入力された角度指令値θ*に基づいて、電圧指令値Vdc*,Vqc*を座標変換し、電圧指令値Va*,Vb*を出力する(ステップS115)。第1座標変換部45が出力した電圧指令値Va*,Vb*は、インバータ2に入力される。
インバータ2は、電圧指令値Va*,Vb*に応じた電流IA,IBを、モータ1のA相及びB相のコイルにそれぞれ供給する(ステップS116)。これにより、モータ1が駆動される。
電流検出器3は、モータ1に供給された電流IA,IBの電流値Ia,Ibを検出し、出力する(ステップS117)。電流検出器3が出力した電流値Ia,Ibは、第2座標変換部46に入力される。
第2座標変換部46は、選択部48から入力された角度指令値θ*に基づいて、電流値Ia,Ibを座標変換し、電流値Idc,Iqcを出力する(ステップS118)。第2座標変換部46が出力した電流値Idc,Iqcは、電流制御部44に入力される。
以降、オープンループ制御が指定されている間、モータ1の駆動を終了するまで(ステップS119のNO)、モータ駆動システムは、ステップS111〜S118の処理を繰り返す。
なお、オープンループ制御を実行している間、モータ制御装置4の位置制御部41、速度制御部42、及び推定部47の少なくとも1つは、動作していてもよいし、停止していてもよい。位置制御部41、速度制御部42、及び推定部47を停止させることにより、モータ制御装置4の消費電力を低減できる。位置制御部41、速度制御部42、及び推定部47の停止及び起動は、例えば、指令値切替部43が、選択信号selに応じて行えばよい。
図7は、本実施形態に係るモータ駆動システムによるモータ制御のシミュレーション結果を示す図である。図7において、上側のグラフは速度指令値ω*及び実速度ωreを示し、下側のグラフは電流指令値Idc*,Iqc*を示す。また、図7において、左側のグラフは切替期間Tがない場合のシミュレーション結果を示し、右側のグラフは切替期間Tを有する本実施形態に係るモータ駆動システムによるシミュレーション結果を示す。
図7は、モータ1を、停止、加速、定速、減速、停止という順番に制御している。各過程で、モータ1にはプルアウト相当の負荷がかけられている。また、減速を開始した時点で、制御方法がクローズドループ制御からオープンループ制御に切り替えられている。
図7の左下のグラフに示すように、切替期間Tがない場合、制御方法が切り替えられると、電流指令値Idc*は0からOpenIdc*に、電流指令値Iqc*はその時点の値から0に、瞬間的に切り替えられる。このように、電流指令値Idc*,Iqc*を瞬間的に切り替えると、モータ1に供給される電流の電気角が、切替の前後で不連続となり、モータ1に大きなトルク振動が発生する。
結果として、図7の左上のグラフに示すように、モータ1の実速度ωreは、速度指令値ω*に十分に追従せず、速度指令値ω*に対して振動する。実速度ωreの振動は、モータ1の異音や脱調の原因となる。
これに対して、本実施形態に係るモータ駆動システムによれば、図7の右下のグラフに示すように、制御方法が切り替えられると、電流指令値Idc*は0からOpenIdc*に、電流指令値Iqc*はその時点の値から0に、切替期間Tの間に段階的に遷移する。このように、電流指令値Idc*,Iqc*を段階的に遷移させると、モータ1に供給される電流の電気角の不連続が緩和され、モータ1に発生するトルク振動が抑制される。結果として、図7の右上のグラフに示すように、モータ1の実速度ωreが速度指令値ω*に追従する。
以上説明した通り、本実施形態に係るモータ駆動システムによれば、モータ1の制御方法の切替に伴う電流指令値Idc*,Iqc*の切替により発生する、モータ1のトルク振動を抑制することができる。これにより、モータ1の異音や脱調を抑制することができる。
図8は、画像形成装置の一例を示す図である。図8の画像形成装置5は、プリンタ機能を備える。画像形成装置5は、スキャナ機能やFAX機能などを備えてもよい。画像形成装置5は、給紙ローラ51や紙搬送ローラ52などのローラを備える。本実施形態に係るモータ駆動システムは、これらのローラを駆動するためのモータの駆動システムとして利用できる。
図9は、搬送装置の一例を示す図である。図9の搬送装置6は、紙、紙幣、プリプレグなどのシート状の対象物を搬送する任意の装置である。搬送装置6は、画像形成装置5に搭載されていてもよい。搬送装置6は、対象物を搬送するための搬送ローラ61を備える。本実施形態に係るモータ駆動システムは、これらのローラを駆動するためのモータの駆動システムとして利用できる。
なお、本実施形態に係るモータ駆動システムは、画像形成装置5や搬送装置6に限られず、自動車、ロボット、アミューズメント機器など、ステッピングモータを搭載した任意の装置に適用可能である。
<第2実施形態>
第2実施形態に係るモータ駆動システムについて、図10及び図11を参照して説明する。図10は、本実施形態に係るモータ駆動システムの一例を示す図である。図10に示すように、本実施形態において、モータ制御装置4は、機能構成として、制御方法切替部49を備える。制御方法切替部49は、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。他の構成は、第1実施形態と同様である。
制御方法切替部49は、推定部47から速度推定値ωestを入力される。制御方法切替部49は、速度推定値ωestに基づいて、制御方法を選択し、選択した制御方法を指定する選択信号selを出力する。制御方法切替部49が出力した選択信号selは、第1実施形態と同様に、指令値切替部43及び選択部48に入力される。
制御方法切替部49は、例えば、速度推定値ωestが閾値以上である場合、クローズドループ制御を選択し、速度推定値ωestが閾値未満である場合、オープンループ制御を選択する。これにより、モータ1の速度に応じて、制御方法を切り替えることができる。また、モータ1の高速駆動時に、誘起電圧を利用したクローズドループ制御を実行することにより、モータ1を高精度に制御することができる。なお、クローズドループ制御からオープンループ制御に切り替える際に利用する速度推定値ωestの閾値と、オープンループ制御からクローズドループ制御に切り替える際に利用する速度推定値ωestの閾値と、は同一であってもよいし、異なってもよい。
また、制御方法切替部49は、速度推定値ωestの変化(加速度の推定値)に基づいて、制御方法を選択してもよい。これにより、減速中、加速中、定速駆動などの、モータ1の状態に応じて、制御方法を切り替えることができる。この選択方法を、上記の選択方法と組み合わせることも可能である。
図11は、制御方法切替部49の一例を示す図である。図11の制御方法切替部49は、速度推定値ωestとその変化とに基づいて、制御方法を選択する。図11の制御方法切替部49は、微分部491と、減速判定部492と、速度判定部493と、制御方法選択部494と、を備える。
微分部491は、速度推定値ωestを微分し、得られた微分値を出力する。この微分値は、回転子の加速度の推定値に相当する。微分部491が出力した微分値は、減速判定部492に入力される。
減速判定部492は、微分値に基づいて、回転子が減速中であるか判定し、判定結果を出力する。減速判定部492は、微分値が0未満である場合、モータ1は減速中と判定する。減速判定部492が出力した判定結果は、制御方法選択部494に入力される。
速度判定部493は、速度推定値ωestが、速度の閾値ωref未満であるか判定し、判定結果を出力する。速度判定部493が出力した判定結果は、制御方法選択部494に入力される。
制御方法選択部494は、減速判定部492及び速度判定部493から入力された判定結果に基づいて、制御方法を選択し、選択した制御方法を指定する選択信号selを出力する。制御方法選択部494は、モータ1が減速中であり、かつ、速度推定値ωestが閾値ωref未満である場合、オープンループ制御を選択し、他の場合、クローズドループ制御を選択する。
以上説明した通り、本実施形態に係るモータ駆動システムによれば、モータ1の速度推定値ωestに応じて、自動的に制御方法を切り替えることができる。
<第3実施形態>
第3実施形態に係るモータ駆動システムについて、図12及び図13を参照して説明する。図12は、本実施形態に係るモータ駆動システムの一例を示す図である。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
モータ1は、3相ブラシレスDCモータ(BLDCM)である。モータ1の各相をU相、V相、及びW相と称する。モータ1は、U相、V相、及びW相のコイル(固定子)と、回転子と、を備える。回転子は、S極及びN極が交互に並んだ永久磁石により構成され、p個の極ペア(S極及びN極のペア)を有する。
モータ1は、インバータ2から供給された電流によって駆動される。具体的には、モータ1は、インバータ2からU相、V相、及びW相のコイルにそれぞれ電流IU,IV,IWを供給される。モータ1の回転子は、電流IU,IV,IWに応じてU相、V相、及びW相のコイルが発生させた磁界に従って回転する。
インバータ2は、モータ制御装置4が出力した電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に応じた電流IU,IV,IWをモータ1に供給し、モータ1を駆動する。本実施形態において、インバータ2は、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*から3相の制御信号を生成するPWM回路と、3相の駆動回路と、により構成することができる。
電流検出器3は、モータ1に供給された電流IU,IV,IWの電流値Iu,Iv,Iwのうち、少なくとも2つの電流値を検出し、出力する。図12の例では、電流検出器3は、電流値Iu,Ivを検出している。電流検出器3が出力した電流値Iu,Ivは、モータ制御装置4に入力される。電流検出器3の構成は、第1実施形態と同様である。
第1座標変換部45は、電圧指令値Vdc*,Vqc*を、dcqc座標系からUVW座標系に座標変換することにより、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を生成し、出力する。第1座標変換部45が出力した電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*は、インバータ2に入力される。電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*は、以下の式で表される。
Figure 2018007533
式(12)に右辺第1項は、座標変換のための変換行列である。θは、選択部48から入力される角度であり、オープンループ制御の場合、角度指令値θ*、クローズドループ制御の場合、角度推定値θestである。
第2座標変換部46は、電流値Iu,Iv,Iwを、UVW座標系からdcqc座標系に座標変換することにより、電流値Idc,Iqcを生成し、出力する。第2座標変換部46が出力した電流値Idc,Iqcは、電流制御部44及び推定部47に入力される。電流値Idc,Iqcは、以下の式で表される。
Figure 2018007533
式(13)に右辺第1項は、座標変換のための変換行列である。θは、選択部48から入力される角度であり、オープンループ制御の場合、角度指令値θ*、クローズドループ制御の場合、角度推定値θestである。
本実施形態におけるモータ駆動システムの他の構成は、第1実施形態と同様である。以上のような構成により、本実施形態に係るモータ駆動装置は、第1実施形態と同様に、3相ブラシレスDCモータを駆動することができる。すなわち、モータ1の制御方法の切替に伴う電流指令値Idc*,Iqc*の切替により発生する、モータ1のトルク振動を抑制し、モータ1の異音や脱調を抑制することができる。
なお、図13に示すように、本実施形態に係るモータ駆動システムに、第2実施形態で説明した制御方法切替部49を追加することも可能である。これにより、3相ブラシレスDCモータの制御方法を自動的に切り替えることができる。
また、本実施形態に係るモータ駆動システムは、画像形成装置5、搬送装置6、自動車、ロボット、アミューズメント機器など、3相ブラシレスDCモータを搭載した任意の装置に適用可能である。
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
1:モータ
2:インバータ
3:電流検出器
4:モータ制御装置
5:画像形成装置
6:搬送装置
21:PWM回路
22:駆動回路
31:シャント抵抗
32:差動アンプ
33:AD変換器
41:位置制御部
42:速度制御部
43:指令値切替部
44:電流制御部
45:第1座標変換部
46:第2座標変換部
47:推定部
48:選択部
49:制御方法切替部
特許第4625116号公報

Claims (9)

  1. 第1の制御方法に依存する第1の電流指令値及び第2の制御方法に依存する第2の電流指令値に基づいて、モータを制御するモータ制御装置であって、
    前記モータの制御方法を前記第1の制御方法から前記第2の制御方法に切り替える際、前記第2の電流指令値を所定の切替期間の間に段階的に第1の目標値まで遷移させ、前記第1の電流指令値を段階的に第2の目標値まで遷移させる指令値切替部を備える
    モータ制御装置。
  2. 前記指令値切替部は、前記切替期間の間に前記モータに供給される電流の振幅と、前記第2の電流指令値に応じて前記モータに供給される電流の振幅と、が等しくなるように、前記第1の電流指令値及び前記第2の電流指令値を遷移させる
    請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記第1の制御方法は、前記モータの角度及び速度の少なくとも一方をフィードバックすることより算出した前記第1の電流指令値によって前記モータを制御するクローズドループ制御であり、
    前記第2の制御方法は、予め設定された前記第1の目標値で前記モータを制御するオープンループ制御である
    請求項1又は請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記モータに供給された電流に基づいて、前記モータの角度及び速度の少なくとも一方を推定する推定部を更に備える
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  5. 前記指令値切替部は、前記モータの減速中に前記制御方法を切り替える
    請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の前記モータ制御装置と、
    前記モータ制御装置の出力に応じて前記モータを駆動するインバータと、
    を備えるモータ駆動装置。
  7. 前記モータと、
    請求項6に記載の前記モータ駆動装置と、
    を備えるモータ駆動システム。
  8. 請求項7に記載の前記モータ駆動システムを備える画像形成装置。
  9. 請求項7に記載の前記モータ駆動システムを備える搬送装置。
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