JP2016075367A - すべり支承免震装置の鉛直剛性を調整する鉛直剛性機構、すべり支承免震装置、及び免震建物 - Google Patents

すべり支承免震装置の鉛直剛性を調整する鉛直剛性機構、すべり支承免震装置、及び免震建物 Download PDF

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【課題】すべり支承免震装置の鉛直剛性調整機構が備えるゴムに曲げ変形が生じることを防止し、該ゴムの鉛直剛性を、曲げ変形の影響を考慮せずに設定できるようにする。【解決手段】鉛直剛性調整機構50は、弾性すべり支承免震装置30において弾性すべり支承40と鉛直方向に重ねて設けられ弾性すべり支承免震装置30の上の免震対象の上部構造物12の荷重が作用する積層ゴム51と、積層ゴム51の周りを囲うように設けられた水平拘束部52とを備える。ここで、水平拘束部52は、積層ゴム51の鉛直方向への変形を許容するのに対して、積層ゴム51の水平方向への変形を、積層ゴム51の上端から下端まで連続的に拘束する。【選択図】図3

Description

本発明は、すべり支承免震装置の鉛直剛性を調整する鉛直剛性調整機構、すべり支承免震装置、及び免震建物に関する。
免震層に積層ゴム免震装置と弾性すべり支承免震装置とを混在させた免震建物が知られている(例えば、特許文献1)。この免震建物では、弾性すべり支承の積層ゴムの弾性変形量が許容範囲内となる小中規模の地震時には、弾性すべり支承の積層ゴムに弾性変形が生じるのに対して、弾性すべり支承のすべり材とすべり板との摺動は生じず、弾性すべり支承の積層ゴムの弾性変形量が許容範囲を超える大規模の地震時には、弾性すべり支承の積層ゴムに弾性変形が生じると共に、弾性すべり支承のすべり材とすべり板との摺動が生じる。
積層ゴムと弾性すべり支承とでは、積層ゴムの厚みが違うことから鉛直剛性が異なることによって、建物の沈下量が不均一となり、建物に悪影響を及ぼす恐れがあるが、上記免震建物では、弾性すべり支承の上に、ゴムと該ゴムの所定領域の水平方向の変形を拘束する水平拘束部とを備える鉛直剛性調整機構を設けることによって、両免震装置の免震機能を維持しつつ、両免震装置の鉛直剛性を等しくして、建物の沈下量の均一化を図っている。ここで、上記鉛直剛性調整機構では、上部構造物に固定されたアームを、ゴムの下端に固定されたフランジの外周部に接触させることにより、ゴムの水平方向の変形を拘束しようとしている。
特開平11―210823号公報
上記鉛直剛性調整機構は、ゴムの下端を拘束している。そのため、地震発生時にゴムの下部が回転することによりゴムに曲げ変形が生じ、これに従って、ゴムに曲げモーメントが生じる。従って、弾性すべり支承免震装置の鉛直剛性を設定する際に、鉛直剛性調整機構のゴムの曲げ変形の影響を考慮しなければならず、弾性すべり支承免震装置の設計が複雑になる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、すべり支承免震装置の鉛直剛性調整機構が備えるゴムに曲げ変形が生じることを防止し、該ゴムの鉛直剛性を、曲げ変形の影響を考慮せずに設定できるようにすることを課題とするものである。
本発明に係る鉛直剛性調整機構は、すべり支承免震装置においてすべり支承と鉛直方向に重ねて設けられ前記すべり支承免震装置の上の免震対象構造物の荷重が作用するゴムと、
前記ゴムの周りを囲うように設けられ、前記ゴムの鉛直方向への変形を許容するのに対して、前記ゴムの水平方向への変形を、前記ゴムの鉛直方向の一端から他端側にかけての所定長さまで連続的に拘束する水平拘束部とを備え、前記すべり支承免震装置の鉛直剛性を調整する。
また、前記鉛直剛性調整機構において、前記水平拘束部は、前記免震対象構造物及び前記すべり支承の一方に固定され、前記ゴムの周りを囲う外側環状部と、前記免震対象構造物及び前記すべり支承の他方に固定され、前記外側環状部の内側に鉛直方向に相対移動できるように嵌め込まれた内側環状部とを備えてもよい。
また、本発明に係るすべり支承免震装置は、すべり支承と、前記すべり支承と鉛直方向に重ねて設けられ前記すべり支承の上の免震対象構造物の荷重が作用するゴムと、前記ゴムの周りを囲うように設けられ、前記ゴムの鉛直方向への変形を許容するのに対して、前記ゴムの水平方向への変形を、前記ゴムの鉛直方向の一端から他端側にかけての所定長さまで連続的に拘束する水平拘束部とを備える。
また、本発明に係る免震建物は、上部構造物と、下部構造物と、前記上部構造物と前記下部構造物との間に設けられた免震層とを備え、前記免震層は、積層ゴム免震装置とすべり支承免震装置とを備える免震建物であって、前記すべり支承免震装置は、すべり支承と、前記すべり支承と鉛直方向に重ねて設けられ前記上部構造物の荷重が作用するゴムと、前記ゴムの周りを囲うように設けられ、前記ゴムの鉛直方向への変形を許容するのに対して、前記ゴムの水平方向への変形を、前記ゴムの鉛直方向の一端から他端側にかけての所定長さまで連続的に拘束する水平拘束部とを備える。
本発明によれば、すべり支承免震装置の鉛直剛性調整機構が備えるゴムに曲げ変形が生じることを防止でき、該ゴムの鉛直剛性を、曲げ変形の影響を考慮せずに設定することができる。
一実施形態に係る免震建物を示す立面図である。 積層ゴム免震装置を示す立断面図である。 弾性すべり支承免震装置を示す立断面図である。 比較例に係る弾性すべり支承免震装置を示す立断面図である。 小規模地震の発生時の比較例に係る弾性すべり支承免震装置の作用を示す立断面図である。 小規模地震の発生時の図3に示す弾性すべり支承免震装置の作用を示す立断面図である。 他の実施形態に係る弾性すべり支承免震装置を示す立断面図である。 小規模地震の発生時の図7に示す弾性すべり支承免震装置の作用を示す立断面図である。 他の実施形態に係る弾性すべり支承免震装置を示す立断面図である。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る免震建物10を示す立面図である。この図に示すように、免震建物10は、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造等の上部構造物12と、基礎や地下又は地上の躯体等の下部構造物14と、これらの間に設けられた免震層20とを備えている。免震層20には、積層ゴム免震装置22と、弾性すべり支承免震装置30とが備えられており、これらが上部構造物12に適したバランスで配置されている。
図2は、積層ゴム免震装置22を示す立断面図である。この図に示すように、積層ゴム免震装置22は、上部構造物12の免震基礎12Aにアンカープレート15を介してアンカーボルト17により固定されたベースプレート22Aと、下部構造物14の免震層床14Aにアンカープレート16を介してアンカーボルト18により固定されたベースプレート22Bと、上下のベースプレート22A、22Bの間に配され、上面をベースプレート22Aに固定され下面をベースプレート22Bに固定された積層ゴム22Cとを備えている。積層ゴム22Cは、円板状のゴムと円板状の鋼材とが交互に積層された構成である。
図3は、弾性すべり支承免震装置30を示す立断面図である。この図に示すように、弾性すべり支承免震装置30は、上下のアンカープレート15、16の間に配された弾性すべり支承40及び鉛直剛性調整機構50を備えている。弾性すべり支承40は、アンカープレート16を介してアンカーボルト18により免震層床14Aに固定され、鉛直剛性調整機構50は、アンカープレート15を介してアンカーボルト17により免震基礎12Aに固定されている。また、鉛直剛性調整機構50と弾性すべり支承40とは上下に重ねて配され互いに結合されている。
弾性すべり支承40は、アンカープレート16を介してアンカーボルト18により免震層床14Aに固定されたすべり板41と、すべり板41上に摺動可能に配されたすべり材42と、すべり材42が下面に固定された積層ゴム43と、積層ゴム43の上面に固定されたベースプレート44とを備えている。すべり板41は、アンカープレート16と同形状、同面積のステンレス板等の低摩擦性の板であり、アンカープレート16と重ね合わされた状態でアンカーボルト18により免震層床14Aに固定されている。
すべり材42は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)板等の低摩擦性の円板である。このすべり材42は、すべり板41に比して小面積であり、すべり板41の中央部に載置されている。積層ゴム43は、円板状のゴムと円板状の鋼材とが交互に積層された構成であり、これらの直径とすべり材42の直径とは同一である。また、積層ゴム43は、積層ゴム免震装置22の積層ゴム22Cに比して薄型である。ベースプレート44は、積層ゴム43よりも大径の円形状の鋼板であり、積層ゴム43と同軸に配されている。
鉛直剛性調整機構50は、積層ゴム51と、積層ゴム51の水平方向の変形を拘束する水平拘束部52とを備えている。積層ゴム51は、円板状のゴムと円板状の鋼材とが交互に積層された構成であり、これらの直径と積層ゴム43の直径とは同一である。また、積層ゴム51は、積層ゴム免震装置22の積層ゴム22Cに比して薄型である。なお、積層ゴム51と積層ゴム43との直径を同一にすることは必須ではない。
水平拘束部52は、弾性すべり支承40のベースプレート44に固定される下側部53と、アンカープレート15を介してアンカーボルト17により免震基礎12Aに固定される上側部54とを備えている。下側部53は、ベースプレート部53Aと円筒部53Bとを備えている。ベースプレート部53Aは、ベースプレート44と同径の円板状の鋼材である。ベースプレート部53Aとベースプレート44とは、互いに重ね合わされた状態でボルト55により結合されている。また、円筒部53Bは、ベースプレート部53Aよりも小径かつ積層ゴム51よりも大径の円筒状の鋼材であり、ベースプレート部53Aと一体で形成されている。
上側部54は、ベースプレート部54Aと円筒部54Bとを備えている。ベースプレート部54Aは、アンカープレート15と同径の円形状の鋼板であり、アンカープレート15と重ね合わされた状態でアンカーボルト17により免震基礎12Aに固定されている。また、円筒部54Bは、円筒状の鋼材であり、ベースプレート部54Aと一体で形成されている。円筒部54Bの外径は、ベースプレート部54Aより小径で、円筒部53Bの内径よりもわずかに小径であり、円筒部54Bの内径は、積層ゴム51よりも大径である。
円筒部53B、54Bの高さh1は、積層ゴム51の厚み(高さ)よりも小さく設定されている。ここで、円筒部53B、54Bの高さは、積層ゴム51が上部構造物12の荷重で鉛直方向に収縮した状態で、円筒部54Bの下端とベースプレート部53Aとの間、円筒部53Bの上端とベースプレート部54Aとの間に隙間ができるように設定されている。
円筒部53B、54Bの高さh1は、上部構造物12の荷重で鉛直方向に収縮した状態の積層ゴム51の厚みh2に対して0.7×h2≦h1<1.0×h2に設定されるのが好ましく、0.8×h2≦h1<1.0×h2に設定されるのがより好ましい。
また、上側部54の円筒部54Bは、下側部53の円筒部53Bの内側に嵌め込まれている。ここで、円筒部54Bの外径と円筒部53Bの内径とのはめあい公差をすきまばめとして設定することにより、円筒部53B、54Bの鉛直方向の相対変位が許容されている。一方で、円筒部53B、54Bの水平方向の相対変位は、円筒部53Bの内周面と円筒部54Bの外周面との隙間(公差分の隙間)の分だけに制限されている。
ここで、弾性すべり支承40は、すべり板41、すべり材42、ベースプレート44と、積層ゴム免震装置22の積層ゴム22Cに比して薄い積層ゴム43で構成されている。そのため、弾性すべり支承40の鉛直剛性は積層ゴム免震装置22の鉛直剛性に比して大きい。しかしながら、弾性すべり支承40の上に鉛直剛性調整機構50の積層ゴム51が鉛直方向に変形可能に配されていることにより、弾性すべり支承免震装置30全体の鉛直剛性は、弾性すべり支承40の鉛直剛性よりも小さくなっている。本実施形態では、積層ゴム免震装置22の鉛直剛性と弾性すべり支承免震装置30の鉛直剛性とが均一になるように、両者の鉛直剛性が設定されている。
図4は、比較例に係る弾性すべり支承免震装置60を示す立断面図である。この図に示すように、比較例に係る弾性すべり支承免震装置60は、上述の鉛直剛性調整機構50とは異なる構成の鉛直剛性調整機構61を備える。この鉛直剛性調整機構61は、積層ゴム51と、上述の水平拘束部52とは異なる構成の水平拘束部62とを備える。
水平拘束部62は、下側のベースプレート63と上側部64とを備える。ベースプレート63は、弾性すべり支承40のベースプレート44にボルト55で固定されている。上側部64は、ベースプレート部64Aと、積層ゴム51の軸心回りに所定間隔(例えば、90°間隔)で配された複数の板部64Bとを備えている。ベースプレート部64Aは、アンカープレート15を介してアンカーボルト17により免震基礎12Aに固定されている。また、複数の板部64Bは、ベースプレート部64Aの外周部から下方に延びてベースプレート63の外周面に当接している。これにより、上側部64は、ベースプレート63、44に対して相対的に、鉛直方向には移動可能であるものの、水平方向には移動できないようになっている。
図5は、小規模地震の発生時の弾性すべり支承免震装置60の作用を示す立断面図である。この図に示すように、鉛直剛性調整機構61では、複数の板部64Bの先端が積層ゴム51の下のベースプレート63の外周面に当接しているだけであり、ベースプレート63、44の回転を拘束していない。即ち、水平拘束部62は、積層ゴム51の曲げ変形を拘束していない。このため、地震力Pにより弾性すべり支承40の積層ゴム43に弾性変形が生じると、図中のモーメント図に示すように、積層ゴム51には曲げモーメントが生じる。
図6は、小規模地震の発生時の弾性すべり支承免震装置30の作用を示す立断面図である。この図に示すように、小規模地震の発生時には、すべり材42がすべり板41上で摺動せず、積層ゴム43が水平方向に弾性変形する。
ここで、鉛直剛性調整機構50では、下側部53の円筒部53Bと上側部54の円筒部54Bとが水平方向に相対変位できないように嵌り合っている。さらに、円筒部53Bと円筒部54Bとは、下側のベースプレート部53Aが上側のベースプレート部54Aに対して相対的に回転しないように嵌り合っている。これにより、免震基礎12Aと弾性すべり支承40のベースプレート44とが、一体で水平方向に変位する。従って、水平拘束部52内に配された積層ゴム51は、その上端から下端まで連続的に曲げ変形及び水平方向の変形を拘束された状態になり、図中のモーメント図に示すように、積層ゴム51には曲げモーメントが生じない。
以上説明したように、本実施形態に係る鉛直剛性調整機構50は、弾性すべり支承免震装置30において弾性すべり支承40と鉛直方向に重ねて設けられ弾性すべり支承免震装置30の上の免震対象の上部構造物12の荷重が作用する積層ゴム51と、積層ゴム51の周りを囲うように設けられた水平拘束部52とを備える。ここで、水平拘束部52は、積層ゴム51の鉛直方向への変形を許容するのに対して、積層ゴム51の水平方向への変形を、積層ゴム51の上端から下端まで連続的に拘束する。
これにより、積層ゴム51の水平方向の変形を拘束しようとしている領域(本実施形態では積層ゴム51の上端から下端まで)に曲げモーメントが生じることを防止できる。従って、積層ゴム51の鉛直剛性を、曲げ変形の影響を考慮せずに設定できるため、積層ゴム51の設計を単純化できる。
また、本実施形態に係る鉛直剛性調整機構50において、水平拘束部52は、弾性すべり支承40に固定され積層ゴム51の周りを囲う円筒部53Bと、上部構造物12に固定され、円筒部53Bの内側に鉛直方向に相対移動できるように嵌め込まれた円筒部54Bとを備える。これにより、積層ゴム51の鉛直方向の変形を許容できるのに対して、積層ゴム51の上端から下端までの全高における水平方向の変形を拘束できる。
また、本実施形態に係る弾性すべり支承免震装置30は、弾性すべり支承40と、該弾性すべり支承40の上に重ねて設けられた上述の鉛直剛性調整機構50とを備えており、鉛直剛性調整機構50により、装置全体の鉛直剛性が低減されている。ここで、積層ゴム51の水平方向の変形を拘束しようとしている領域(本実施形態では積層ゴム51の上端から下端まで)に曲げモーメントが生じることを防止できることによって、弾性すべり支承免震装置30の鉛直剛性を、積層ゴム51の曲げ変形の影響を考慮せずに設定できるため、弾性すべり支承免震装置30の設計を単純化できる。
また、本実施形態に係る免震建物10は、上部構造物12と、下部構造物14と、上部構造物12と下部構造物14との間に設けられた免震層20とを備え、免震層20は、積層ゴム免震装置22と、弾性すべり支承免震装置30とを備える。ここで、弾性すべり支承免震装置30の鉛直剛性が、上述の鉛直剛性調整機構50により低減されていることにより、免震層20における積層ゴム免震装置22と弾性すべり支承免震装置30との鉛直剛性の差を低減できる。従って、積層ゴム免震装置22の位置と弾性すべり支承免震装置30の位置とでの上部構造物12の沈下量の差を低減でき、上部構造物12の梁に生じる付加的な応力を低減できる。
図7は、他の実施形態に係る弾性すべり支承免震装置130を示す立断面図である。この図に示すように、弾性すべり支承免震装置130は、上述の鉛直剛性調整機構50とは構成が異なる鉛直剛性調整機構150を備える。この鉛直剛性調整機構150は、積層ゴム51と、ベースプレート153と、上述の水平拘束部52とは構成が異なる水平拘束部152を備える。ベースプレート153は、弾性すべり支承40のベースプレート44に固定されており、ベースプレート153の上面に積層ゴム51が固定されている。
水平拘束部152は、ベースプレート部152Aと円筒部152Bとを備えている。ベースプレート部152Aは、アンカープレート15と同径の円板状の鋼材であり、アンカープレート15と重ね合わされた状態でアンカーボルト17により免震基礎12Aに固定されている。また、円筒部152Bは、円筒状の鋼材であり、ベースプレート部152Aと一体で形成されている。円筒部152Bの外径は、ベースプレート部152Aよりも小径であり、円筒部152Bの内径は、積層ゴム51の外径よりもわずかに大径である。
円筒部152Bの高さh1は、積層ゴム51の厚み(高さ)よりも小さく設定されている。ここで、円筒部152Bの高さh1は、積層ゴム51が上部構造物12の荷重で鉛直方向に収縮した状態で、円筒部152Bの下端とベースプレート153との間に隙間ができるように設定されている。
円筒部152Bの高さh1は、上部構造物12の荷重で鉛直方向に収縮した状態の積層ゴム51の厚みh2に対して0.7×h2≦h1<1.0×h2に設定されるのが好ましく、0.8×h2≦h1<1.0×h2に設定されるのがより好ましい。
また、積層ゴム51は、円筒部152B内に嵌め込まれている。ここで、上部構造物12の荷重で拡径した状態の積層ゴム51の外径と円筒部152Bの内径とのはめあい公差をすきまばめとして設定することにより、円筒部152Bと積層ゴム51との鉛直方向の相対変位が許容されている。一方で、円筒部152Bと積層ゴム51との水平方向の相対変位は、円筒部152Bの内周面と積層ゴム51の外周面との隙間(公差分の隙間)の分だけに制限されている。
図8は、小規模地震の発生時の弾性すべり支承免震装置130の作用を示す立断面図である。この図に示すように、小規模地震の発生時には、すべり材42がすべり板41上で摺動せず、積層ゴム43が水平方向に弾性変形する。
ここで、鉛直剛性調整機構150では、積層ゴム51と円筒部152Bとが水平方向に相対変位できないように嵌り合っている。さらに、積層ゴム51と円筒部152Bとは、下側のベースプレート153が上側のベースプレート部152Aに対して相対的に回転しないように嵌り合っている。これにより、免震基礎12Aと弾性すべり支承40のベースプレート44とが、一体で水平方向に変位する。従って、積層ゴム51は、その上端から下端近傍まで連続的に曲げ変形及び水平方向の変形を拘束された状態になり、図中のモーメント図に示すように、積層ゴム51には曲げモーメントが生じない。
以上説明したように、本実施形態に係る鉛直剛性調整機構150において、水平拘束部152は、上部構造物12に固定され積層ゴム51の上端から下端側にかけての所定長さh1の範囲が内側に嵌め込まれた円筒部152Bを備える。これにより、積層ゴム51の鉛直方向への変形を許容するのに対して、積層ゴム51の水平方向への変形を、積層ゴムの上端から下端側にかけての所定長さh1まで連続的に拘束することができる。
図9は、他の実施形態に係る弾性すべり支承免震装置230を示す立断面図である。この図に示すように、弾性すべり支承免震装置230は、弾性すべり支承240と、鉛直剛性調整機構250とを備える。鉛直剛性調整機構250は、積層ゴム251と、水平拘束部252とを備える。
水平拘束部252は、ベースプレート部252Aと円筒部252Bとを備えている。ベースプレート部252Aは、アンカープレート15と同径の円板状の鋼材であり、アンカープレート15と重ね合わされた状態でアンカーボルト17により免震基礎12Aに固定されている。また、円筒部252Bは、円筒状の鋼材であり、ベースプレート部252Aと一体で形成されている。積層ゴム251の上面は、ベースプレート部252Aの下面に取り付けられ、積層ゴム251の周囲は円筒部252Bに囲われている。円筒部252Bの外径は、ベースプレート部252Aよりも小径であり、円筒部252Bの内径は、積層ゴム251の外径よりもわずかに大径である。
円筒部252Bの高さは、積層ゴム251の厚みより大きくなっており、積層ゴム251の下部は、円筒部252Bから下方へ突出している。ここで、積層ゴム251の下面にはすべり材42が取り付けられている。即ち、積層ゴム251は、鉛直剛性調整機構250の弾性部を構成すると共に、弾性すべり支承240の弾性部を構成している。
積層ゴム251は、円筒部252B内に嵌め込まれている。ここで、上部構造物12の荷重で拡径した状態の積層ゴム251の外径と円筒部252Bの内径とのはめあい公差をすきまばめとして設定することにより、円筒部252Bと積層ゴム251との鉛直方向の相対変位が許容されている。一方で、円筒部252Bと積層ゴム251との水平方向の相対変位は、円筒部252Bの内周面と積層ゴム251の外周面との隙間(公差分の隙間)の分だけに制限されている。
なお、上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。例えば、上述の実施形態では、弾性すべり支承免震装置を例に挙げて本発明を説明したが、剛すべり支承免震装置に本発明を適用してもよい。
また、上述の実施形態では、鉛直剛性調整機構のゴムを積層ゴムとしたが、該ゴムを塊状のゴム単体で構成してもよい。また、上述の実施形態では、鉛直剛性調整機構をすべり支承の上に設けたが、鉛直剛性調整機構をすべり支承の下に設けてもよい。
また、図3に示す実施形態では、内側の円筒部54Bを上部構造物12に固定し、外側の円筒部53Bを弾性すべり支承40に固定したが、内側の円筒部54Bを弾性すべり支承40に固定し、外側の円筒部53Bを上部構造物12に固定してもよい。さらに、図7に示す実施形態では、円筒部152Bを上部構造物12に固定したが、円筒部152Bを弾性すべり支承40に固定してもよい。
10 免震建物、12 上部構造物、12A 免震基礎、14 下部構造物、14A 免震層床、15、16 アンカープレート、17、18 アンカーボルト、20 免震層、22 積層ゴム免震装置、22A、22B ベースプレート、22C 積層ゴム、30 弾性すべり支承免震装置、40 弾性すべり支承、41 すべり板、42 すべり材、43 積層ゴム、44 ベースプレート、50 鉛直剛性調整機構、51 積層ゴム、52 水平拘束部、53 下側部、53A ベースプレート部、53B 円筒部、54 上側部、54A ベースプレート部、54B 円筒部、55 ボルト、60 弾性すべり支承免震装置、61 鉛直剛性調整機構、62 水平拘束部、63 ベースプレート、64 上側部、64A ベースプレート部、64B 板部、130 弾性すべり支承免震装置、150 鉛直剛性調整機構、152 水平拘束部、152A ベースプレート部、152B 円筒部、153 ベースプレート、230 弾性すべり支承免震装置、240 弾性すべり支承、250 鉛直剛性調整機構、251 積層ゴム、252 水平拘束部、252A ベースプレート部、252B 円筒部

Claims (4)

  1. すべり支承免震装置においてすべり支承と鉛直方向に重ねて設けられ前記すべり支承免震装置の上の免震対象構造物の荷重が作用するゴムと、
    前記ゴムの周りを囲うように設けられ、前記ゴムの鉛直方向への変形を許容するのに対して、前記ゴムの水平方向への変形を、前記ゴムの鉛直方向の一端から他端側にかけての所定長さまで連続的に拘束する水平拘束部と
    を備え、前記すべり支承免震装置の鉛直剛性を調整する鉛直剛性調整機構。
  2. 前記水平拘束部は、
    前記免震対象構造物及び前記すべり支承の一方に固定され、前記ゴムの周りを囲う外側環状部と、
    前記免震対象構造物及び前記すべり支承の他方に固定され、前記外側環状部の内側に鉛直方向に相対移動できるように嵌め込まれた内側環状部と
    を備える請求項1に記載の鉛直剛性調整機構。
  3. すべり支承と、
    前記すべり支承と鉛直方向に重ねて設けられ前記すべり支承の上の免震対象構造物の荷重が作用するゴムと、
    前記ゴムの周りを囲うように設けられ、前記ゴムの鉛直方向への変形を許容するのに対して、前記ゴムの水平方向への変形を、前記ゴムの鉛直方向の一端から他端側にかけての所定長さまで連続的に拘束する水平拘束部と
    を備えるすべり支承免震装置。
  4. 上部構造物と、下部構造物と、前記上部構造物と前記下部構造物との間に設けられた免震層とを備え、前記免震層は、積層ゴム免震装置とすべり支承免震装置とを備える免震建物であって、
    前記すべり支承免震装置は、
    すべり支承と、
    前記すべり支承と鉛直方向に重ねて設けられ前記上部構造物の荷重が作用するゴムと、
    前記ゴムの周りを囲うように設けられ、前記ゴムの鉛直方向への変形を許容するのに対して、前記ゴムの水平方向への変形を、前記ゴムの鉛直方向の一端から他端側にかけての所定長さまで連続的に拘束する水平拘束部と
    を備える免震建物。
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