JP6421531B2 - 積層ゴム免震装置の鉛直剛性を調整する鉛直剛性機構、積層ゴム免震装置、及び免震建物 - Google Patents

積層ゴム免震装置の鉛直剛性を調整する鉛直剛性機構、積層ゴム免震装置、及び免震建物 Download PDF

Info

Publication number
JP6421531B2
JP6421531B2 JP2014207083A JP2014207083A JP6421531B2 JP 6421531 B2 JP6421531 B2 JP 6421531B2 JP 2014207083 A JP2014207083 A JP 2014207083A JP 2014207083 A JP2014207083 A JP 2014207083A JP 6421531 B2 JP6421531 B2 JP 6421531B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
laminated rubber
seismic isolation
laminated
vertical direction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014207083A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016075368A (ja
Inventor
中村 吉秀
吉秀 中村
武知 西影
武知 西影
昌浩 蔵野
昌浩 蔵野
真吾 渡邊
真吾 渡邊
加藤 敦士
敦士 加藤
剛志 佐野
剛志 佐野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Obayashi Corp
Original Assignee
Obayashi Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Obayashi Corp filed Critical Obayashi Corp
Priority to JP2014207083A priority Critical patent/JP6421531B2/ja
Publication of JP2016075368A publication Critical patent/JP2016075368A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6421531B2 publication Critical patent/JP6421531B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Springs (AREA)

Description

本発明は、積層ゴム免震装置の鉛直剛性を調整する鉛直剛性調整機構、積層ゴム免震装置、及び免震建物に関する。
免震対象の建物においてセットバック等により荷重が偏在している場合がある(特許文献1の図4参照)。かかる場合には、柱軸力の大きい場所と小さい場所とが存在するため、積層ゴム支承に作用する柱軸力の大きさの違いによって積層ゴムの変形量に差が生じ、建物の沈下量に差が生じる。これにより、建物の梁に付加的な応力が生じ、柱軸力が移行する。特に、既存建物を免震化する場合には、免震化により上部構造の地震力は減少しているにもかかわらず、付加的な応力のために既存の柱、梁の補強が必要となる可能性がある。
免震層に積層ゴムと弾性すべり支承とが混在した免震建物において、弾性すべり支承の上に、ゴムと該ゴムの所定領域の水平方向の変形を拘束する水平拘束部とを備える鉛直剛性調整機構を設けることによって、両免震装置の免震機能を維持しつつ、両免震装置の鉛直剛性を等しくして、建物(上部構造物)の沈下量の均一化を図ることが知られている(特許文献2参照)。ここで、上記鉛直剛性調整機構では、上部構造物に固定されたアームを、ゴムの下端に固定されたフランジの外周部に接触させることにより、ゴムの水平方向の変形を拘束しようとしている。
特開2011―106103号公報 特開平11−210823号公報
上記鉛直剛性調整機構では、ゴムの下端のみを拘束しているため、地震発生時にゴムの下部が回転することによりゴムに曲げ変形が生じ、これに従って、ゴムに曲げモーメントが生じる。従って、免震装置の鉛直剛性を設定する際に、鉛直剛性調整機構のゴムの曲げ変形の影響を考慮しなければならず、免震装置の設計が複雑になる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、積層ゴム免震装置の鉛直剛性調整機構が備えるゴムに曲げ変形が生じることを防止し、該ゴムの鉛直剛性を、曲げ変形の影響を考慮せずに設定できるようにすることを課題とするものである。
本発明に係る鉛直剛性調整機構は、積層ゴム免震装置において積層ゴム支承と鉛直方向に重ねて設けられ前記積層ゴム免震装置の上の免震対象構造物の荷重が作用するゴムと、前記ゴムの周りを囲うように設けられ、前記ゴムの鉛直方向への変形を許容するのに対して、前記ゴムの水平方向への変形を、前記ゴムの鉛直方向の一端から他端側にかけての所定長さまで連続的に拘束する水平拘束部とを備え、前記水平拘束部は、前記免震対象構造物及び前記積層ゴム支承の一方に固定され、前記ゴムの周りを囲う外側環状部と、前記免震対象構造物及び前記積層ゴム支承の他方に固定され、前記外側環状部の内側に鉛直方向に相対移動できるように嵌め込まれた内側環状部とを有し、前記積層ゴム免震装置の鉛直剛性を調整する。
また、本発明に係る積層ゴム免震装置は、積層ゴム支承と、前記積層ゴム支承と鉛直方向に重ねて設けられ前記積層ゴム支承の上の免震対象構造物の荷重が作用するゴムと、前記ゴムの周りを囲うように設けられ、前記ゴムの鉛直方向への変形を許容するのに対して、前記ゴムの水平方向への変形を、前記ゴムの鉛直方向の一端から他端側にかけての所定長さまで連続的に拘束する水平拘束部とを備え、前記水平拘束部は、前記免震対象構造物及び前記積層ゴム支承の一方に固定され、前記ゴムの周りを囲う外側環状部と、前記免震対象構造物及び前記積層ゴム支承の他方に固定され、前記外側環状部の内側に鉛直方向に相対移動できるように嵌め込まれた内側環状部とを有する
また、本発明に係る免震建物は、第1の柱と該第1の柱に比して軸力の小さい第2の柱とを有する上部構造物と、下部構造物と、前記上部構造物と前記下部構造物との間に設けられた免震層とを備え、前記免震層は、前記第1の柱の下と前記第2の柱の下とに配された積層ゴム支承を備え、前記第2の柱の下には、前記積層ゴム支承と鉛直方向に重ねて設けられ前記上部構造物の荷重が作用するゴムと、前記ゴムの周りを囲うように設けられ、前記ゴムの鉛直方向への変形を許容するのに対して、前記ゴムの水平方向への変形を、前記ゴムの鉛直方向の一端から他端側にかけての所定長さまで連続的に拘束する水平拘束部とを備え、前記水平拘束部は、前記上部構造物及び前記積層ゴム支承の一方に固定され、前記ゴムの周りを囲う外側環状部と、前記上部構造物及び前記積層ゴム支承の他方に固定され、前記外側環状部の内側に鉛直方向に相対移動できるように嵌め込まれた内側環状部とを有する
本発明によれば、積層ゴム免震装置の鉛直剛性調整機構が備えるゴムに曲げ変形が生じることを防止し、該ゴムの鉛直剛性を、曲げ変形の影響を考慮せずに設定することができる。
一実施形態に係る免震建物を示す立面図である。 第1の積層ゴム免震装置を示す立断面図である。 第2の積層ゴム免震装置を示す立断面図である。 比較例に係る免震建物を示す立面図である。 比較例に係る積層ゴム免震装置を示す立断面図である。 地震発生時の比較例に係る積層ゴム免震装置の作用を示す立断面図である。 地震発生時の第2の積層ゴム免震装置の作用を示す立断面図である。 他の実施形態に係る第2の積層ゴム免震装置を示す立断面図である。 地震発生時の第2の積層ゴム免震装置の作用を示す立断面図である。 他の実施形態に係る第2の積層ゴム免震装置を示す立断面図である。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る免震建物10を示す立面図である。この図に示すように、免震建物10は、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造等の上部構造物12と、基礎や地下又は地上の躯体等の下部構造物14と、これらの間に設けられた免震層20とを備えている。
上部構造物12にはセットバックされた部分が存在しており、上部構造物12の荷重は偏在している。これにより、荷重の大きい部分(非セットバック部)の柱12Bの軸力は、荷重の小さい部分(セットバック部)の柱12Cの軸力よりも大きくなっている。
免震層20には、第1の積層ゴム免震装置22と、第2の積層ゴム免震装置30とが備えられている。第1の積層ゴム免震装置22は、柱12Bの下に配され、第2の積層ゴム免震装置30は、柱12Bに比して軸力の小さい柱12Cの下に配されている。
図2は、第1の積層ゴム免震装置22を示す立断面図である。この図に示すように、第1の積層ゴム免震装置22は、上部構造物12の免震基礎12Aにアンカープレート15を介してアンカーボルト17により固定されたベースプレート22Aと、下部構造物14の免震層床14Aにアンカープレート16を介してアンカーボルト18により固定されたベースプレート22Bと、上下のベースプレート22A、22Bの間に配され、上面をベースプレート22Aに固定され下面をベースプレート22Bに固定された積層ゴム22Cとを備えている。積層ゴム22Cは、円板状のゴムと円板状の鋼材とが交互に積層された構成である。
図3は、第2の積層ゴム免震装置30を示す立断面図である。この図に示すように、第2の積層ゴム免震装置30は、上下のアンカープレート15、16の間に配された積層ゴム支承22´及び鉛直剛性調整機構40を備えている。積層ゴム支承22´は、第1の積層ゴム免震装置22と同様の構成(共通)であり、ベースプレート22A、22B及び積層ゴム22Cを備えている。ベースプレート22Bは、下部構造物14の免震層床14Aにアンカープレート16を介してアンカーボルト18により固定されている。
鉛直剛性調整機構40は、アンカープレート15を介してアンカーボルト17により免震基礎12Aに固定されている。また、鉛直剛性調整機構40と積層ゴム支承22´とは上下に重ねて配され互いに結合されている。
鉛直剛性調整機構40は、積層ゴム41と、積層ゴム41の水平方向の変形を拘束する水平拘束部42とを備えている。積層ゴム41は、円板状のゴムと円板状の鋼材とが交互に積層された構成であり、これらの直径と積層ゴム22Cの直径とは同一である。また、積層ゴム41は、積層ゴム22Cに比して薄型である。なお、積層ゴム41と積層ゴム22Cとの直径を同一にすることは必須ではない。
水平拘束部42は、積層ゴム支承22´のベースプレート22Aに固定される下側部43と、アンカープレート15を介してアンカーボルト17により免震基礎12Aに固定される上側部44とを備えている。下側部43は、ベースプレート部43Aと円筒部43Bとを備えている。ベースプレート部43Aは、ベースプレート22Aと同径の円板状の鋼材である。ベースプレート部43Aとベースプレート22Aとは、互いに重ね合わされた状態でボルト45により結合されている。また、円筒部43Bは、ベースプレート部43Aよりも小径かつ積層ゴム41よりも大径の円筒状の鋼材であり、ベースプレート部43Aと一体で形成されている。
上側部44は、ベースプレート部44Aと円筒部44Bとを備えている。ベースプレート部44Aは、アンカープレート15と同径の円形状の鋼板であり、アンカープレート15と重ね合わされた状態でアンカーボルト17により免震基礎12Aに固定されている。また、円筒部44Bは、円筒状の鋼材であり、ベースプレート部44Aと一体で形成されている。円筒部44Bの外径は、ベースプレート部44Aより小径で、円筒部43Bの内径よりもわずかに小径であり、円筒部44Bの内径は、積層ゴム41よりも大径である。
円筒部43B、44Bの高さh1は、積層ゴム41の厚み(高さ)よりも小さく設定されている。ここで、円筒部43B、44Bの高さは、積層ゴム41が上部構造物12の荷重で鉛直方向に収縮した状態で、円筒部44Bの下端とベースプレート部43Aとの間、円筒部43Bの上端とベースプレート部44Aとの間に隙間ができるように設定されている。
円筒部43B、44Bの高さh1は、上部構造物12の荷重で鉛直方向に収縮した状態の積層ゴム41の厚みh2に対して0.7×h2≦h1<1.0×h2に設定されるのが好ましく、0.8×h2≦h1<1.0×h2に設定されるのがより好ましい。
また、上側部44の円筒部44Bは、下側部43の円筒部43Bの内側に嵌め込まれている。ここで、円筒部44Bの外径と円筒部43Bの内径とのはめあい公差をすきまばめとして設定することにより、円筒部43B、44Bの鉛直方向の相対変位が許容されている。一方で、円筒部43B、44Bの水平方向の相対変位は、円筒部43Bの内周面と円筒部44Bの外周面との隙間(公差分の隙間)の分だけに制限されている。
ところで、第2の積層ゴム免震装置30の積層ゴム支承22´と第1の積層ゴム免震装置22とは、同様の構成であり、両者の鉛直剛性は均等である。しかしながら、第2の積層ゴム免震装置30では、積層ゴム支承22´の上に鉛直剛性調整機構40の積層ゴム41が鉛直方向に変形可能に配されていることにより、第2の積層ゴム免震装置30全体の鉛直剛性は、第1の積層ゴム免震装置22の鉛直剛性よりも小さくなっている。
ここで、第1の積層ゴム免震装置22は、柱12Bの軸力により鉛直方向に変形(収縮)し、第2の積層ゴム免震装置30は、柱12Bの軸力よりも小さい柱12Cの軸力により鉛直方向に変形(収縮)するところ、両者の収縮量が均等になるように、第1の積層ゴム免震装置22と第2の積層ゴム免震装置30の鉛直剛性が設定されている。
図4は、比較例に係る免震建物100を示す立面図である。この図に示すように、比較例に係る免震建物100では、上階部分がセットバックされた上部構造物12と下部構造物14との間に免震層120が設けられている。この免震層120では、柱12Bの下に第1の積層ゴム免震装置22が配され、柱12Cの下にも第1の積層ゴム免震装置22が配されている。
かかる構成の免震建物100では、相対的に軸力の大きい柱12Bの下と相対的に軸力の小さい柱12Cの下との双方に鉛直剛性の等しい積層ゴム支承が配されていることにより、相対的に軸力の大きい柱12Bの下の積層ゴム22Cの収縮量は、相対的に軸力の小さい柱12Cの下の積層ゴム22Cの収縮量よりも大きくなる。従って、相対的に軸力の大きい柱12Bの沈下量が相対的に軸力の小さい柱12Cの沈下量よりも大きくなることによって、上部構造物12の梁に付加的な応力が生じる。
それに対して、本実施形態に係る免震建物10では、相対的に軸力の大きい柱12Bの下に、相対的に鉛直剛性の大きい第1の積層ゴム免震装置22が配され、相対的に軸力の小さい柱12Cの下に、相対的に鉛直剛性の小さい第2の積層ゴム免震装置30が配されている。そして、柱12Cの下の積層ゴム22C、41の合計収縮量と柱12Bの下の積層ゴム22Cとが均等になるように、両者の鉛直剛性が設定されている。これにより、相対的に軸力の大きい柱12Bの沈下量と相対的に軸力の小さい柱12Cの沈下量とを均等にでき、上部構造物12の梁に付加的に応力が生じることを防止できる。
図5は、比較例に係る第2の積層ゴム免震装置50を示す立断面図である。この図に示すように、比較例に係る第2の積層ゴム免震装置50は、上述の鉛直剛性調整機構40とは異なる構成の鉛直剛性調整機構51を備える。この鉛直剛性調整機構51は、積層ゴム41と、上述の水平拘束部42とは異なる構成の水平拘束部52とを備える。
水平拘束部52は、下側のベースプレート53と上側部54とを備える。ベースプレート53は、積層ゴム支承22´のベースプレート22Aにボルト45で固定されている。上側部54は、ベースプレート部54Aと、積層ゴム41の軸心回りに所定間隔(例えば、90°間隔)で配された複数の板部54Bとを備えている。ベースプレート部54Aは、アンカープレート15を介してアンカーボルト17により免震基礎12Aに固定されている。また、複数の板部54Bは、ベースプレート部54Aの外周部から下方に延びてベースプレート53の外周面に当接している。これにより、上側部54は、ベースプレート53、22Aに対して相対的に、鉛直方向には移動可能であるものの、水平方向には移動できないようになっている。
図6は、地震発生時の比較例に係る第2の積層ゴム免震装置50の作用を示す立断面図である。この図に示すように、鉛直剛性調整機構51では、複数の板部54Bの先端が積層ゴム41の下のベースプレート53の外周面に当接しているだけであり、ベースプレート53、22Aの回転を拘束していない。即ち、水平拘束部52は、積層ゴム41の曲げ変形を拘束していない。このため、地震力Pにより積層ゴム22Cに弾性変形が生じると、図中のモーメント図に示すように、積層ゴム41には曲げモーメントが生じる。
図7は、地震発生時の本実施形態に係る第2の積層ゴム免震装置30の作用を示す立断面図である。この図に示すように、鉛直剛性調整機構40では、下側部43の円筒部43Bと上側部44の円筒部44Bとが水平方向に相対変位できないように嵌り合っている。さらに、円筒部43Bと円筒部44Bとは、下側のベースプレート部43Aが上側のベースプレート部44Aに対して相対的に回転しないように嵌り合っている。これにより、免震基礎12Aと積層ゴム支承22´のベースプレート22Aとが、一体で水平方向に変位する。従って、水平拘束部42内に配された積層ゴム41は、その上端から下端まで連続的に曲げ変形及び水平方向の変形を拘束された状態になり、図中のモーメント図に示すように、積層ゴム41には曲げモーメントが生じない。
以上説明したように、本実施形態に係る鉛直剛性調整機構40は、第2の積層ゴム免震装置30において積層ゴム支承22´と鉛直方向に重ねて設けられ免震対象の上部構造物12の荷重が作用する積層ゴム41と、積層ゴム41の周りを囲うように設けられた水平拘束部42とを備える。ここで、水平拘束部42は、積層ゴム41の鉛直方向への変形を許容するのに対して、積層ゴム41の水平方向への変形を、積層ゴム41の上端から下端まで連続的に拘束する。
これにより、積層ゴム41の水平方向の変形を拘束しようとしている領域(本実施形態では積層ゴム41の上端から下端まで)に曲げモーメントが生じることを防止できる。従って、積層ゴム41の鉛直剛性を、曲げ変形の影響を考慮せずに設定できるため、積層ゴム41の設計を単純化できる。
また、本実施形態に係る鉛直剛性調整機構40において、水平拘束部42は、積層ゴム支承22´に固定され積層ゴム41の周りを囲う円筒部43Bと、上部構造物12に固定され、円筒部43Bの内側に鉛直方向に相対移動できるように嵌め込まれた円筒部44Bとを備える。これにより、積層ゴム41の鉛直方向の変形を許容できるのに対して、積層ゴム41の上端から下端までの全高における水平方向の変形を拘束できる。
また、本実施形態に係る第2の積層ゴム免震装置30は、積層ゴム支承22´と、該積層ゴム支承22´の上に重ねて設けられた上述の鉛直剛性調整機構40とを備えており、鉛直剛性調整機構40により、装置全体の鉛直剛性が低減されている。ここで、積層ゴム41の水平方向の変形を拘束しようとしている領域(本実施形態では積層ゴム41の上端から下端まで)に曲げモーメントが生じることを防止できることによって、第2の積層ゴム免震装置30の鉛直剛性を、積層ゴム41の曲げ変形の影響を考慮せずに設定できるため、第2の積層ゴム免震装置30の設計を単純化できる。
また、本実施形態に係る免震建物10は、上部構造物12と、下部構造物14と、上部構造物12と下部構造物14との間に設けられた免震層20とを備え、免震層20は、第1の積層ゴム免震装置22と、第2の積層ゴム免震装置30とを備える。相対的に軸力の大きい柱12Bの下に第1の積層ゴム免震装置22が配され、相対的に軸力の大きい柱12Cの下に第2の積層ゴム免震装置30が配されている。ここで、第1の積層ゴム免震装置22と第2の積層ゴム免震装置30の積層ゴム支承22´とは共通であり、第2の積層ゴム免震装置30の鉛直剛性が、上述の鉛直剛性調整機構40により低減されている。これにより、免震層20における第1の積層ゴム免震装置22と第2の積層ゴム免震装置30との鉛直剛性の差を低減でき、相対的に軸力の大きい柱12Bの位置と相対的に軸力の小さい柱12Cの位置での上部構造物12の沈下量の差を低減でき、以て、上部構造物12の梁に生じる付加的な応力を低減できる。
図8は、他の実施形態に係る第2の積層ゴム免震装置130を示す立断面図である。この図に示すように、第2の積層ゴム免震装置130は、上述の鉛直剛性調整機構40とは構成が異なる鉛直剛性調整機構140を備える。この鉛直剛性調整機構140は、積層ゴム41と、ベースプレート143と、上述の水平拘束部42とは構成が異なる水平拘束部142を備える。ベースプレート143は、積層ゴム支承22´のベースプレート22Aに固定されており、ベースプレート143の上面に積層ゴム41が固定されている。
水平拘束部142は、ベースプレート部142Aと円筒部142Bとを備えている。ベースプレート部142Aは、アンカープレート15と同径の円板状の鋼材であり、アンカープレート15と重ね合わされた状態でアンカーボルト17により免震基礎12Aに固定されている。また、円筒部142Bは、ベースプレート部142Aよりも小径かつ積層ゴム41よりも大径の円筒状の鋼材であり、ベースプレート部142Aと一体で形成されている。
円筒部142Bの高さh1は、積層ゴム41の厚み(高さ)よりも小さく設定されている。ここで、円筒部142Bの高さh1は、積層ゴム41が上部構造物12の荷重で鉛直方向に収縮した状態で、円筒部142Bの下端とベースプレート143との間に隙間ができるように設定されている。
円筒部142Bの高さh1は、上部構造物12の荷重で鉛直方向に収縮した状態の積層ゴム41の厚みh2に対して0.7×h2≦h1<1.0×h2に設定されるのが好ましく、0.8×h2≦h1<1.0×h2に設定されるのがより好ましい。
また、積層ゴム41は、円筒部142B内に嵌め込まれている。ここで、上部構造物12の荷重で拡径した状態の積層ゴム41の外径と円筒部142Bの内径とのはめあい公差をすきまばめとして設定することにより、円筒部142Bと積層ゴム41との鉛直方向の相対変位が許容確保されている。一方で、円筒部142Bと積層ゴム41との水平方向の相対変位は、円筒部142Bの内周面と積層ゴム41の外周面との隙間(公差分の隙間)の分だけに制限されている。
図9は、地震発生時の第2の積層ゴム免震装置130の作用を示す立断面図である。この図に示すように、鉛直剛性調整機構140では、積層ゴム41と円筒部142Bとが水平方向に相対変位できないように嵌り合っている。さらに、積層ゴム41と円筒部142Bとは、下側のベースプレート143が上側のベースプレート部142Aに対して相対的に回転しないように嵌り合っている。これにより、免震基礎12Aと積層ゴム支承22´のベースプレート22Aとが、一体で水平方向に変位する。従って、積層ゴム41は、その上端から下端近傍まで連続的に曲げ変形及び水平方向の変形を拘束された状態になり、図中のモーメント図に示すように、積層ゴム41には曲げモーメントが生じない。
以上説明したように、本実施形態に係る鉛直剛性調整機構140において、水平拘束部142は、上部構造物12に固定され積層ゴム41の上端から下端側にかけての所定長さh1の範囲が内側に嵌め込まれた円筒部142Bを備える。これにより、積層ゴム41の鉛直方向への変形を許容するのに対して、積層ゴム41の水平方向への変形を、積層ゴム41の上端から下端側にかけての所定長さh1まで連続的に拘束することができる。
図10は、他の実施形態に係る第2の積層ゴム免震装置230を示す立断面図である。この図に示すように、第2の積層ゴム免震装置230は、積層ゴム支承222と、鉛直剛性調整機構240とを備える。鉛直剛性調整機構240は、水平拘束部242を備えている。この水平拘束部242は、ベースプレート部242Aと円筒部242Bとを備えている。ベースプレート部242Aは、アンカープレート15と同径の円板状の鋼材であり、アンカープレート15と重ね合わされた状態でアンカーボルト17により免震基礎12Aに固定されている。また、円筒部242Bは、円筒状の鋼材であり、ベースプレート部242Aと一体で形成されている。
積層ゴム支承222は、積層ゴム222Cを備えている。この積層ゴム222Cの上面は、ベースプレート部242Aの下面に取り付けられ、積層ゴム222Cの周囲は円筒部242Bに囲われている。円筒部242Bの外径は、ベースプレート部242Aよりも小径であり、円筒部242Bの内径は、積層ゴム222Cの外径よりもわずかに大径である。
円筒部242Bの高さは、積層ゴム222Cの厚みより大きくなっており、積層ゴム222Cの下部は、円筒部242Bから下方へ突出している。即ち、積層ゴム222Cは、鉛直剛性調整機構240の弾性部を構成すると共に、積層ゴム支承222の弾性部を構成している。
積層ゴム222Cは、円筒部242B内に嵌め込まれている。ここで、上部構造物12の荷重で拡径した状態の積層ゴム222Cの外径と円筒部242Bの内径とのはめあい公差をすきまばめとして設定することにより、円筒部242Bと積層ゴム222Cとの鉛直方向の相対変位が許容されている。一方で、円筒部242Bと積層ゴム222Cとの水平方向の相対変位は、円筒部242Bの内周面と積層ゴム222Cの外周面との隙間(公差分の隙間)の分だけに制限されている。
なお、上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。例えば、上述の実施形態では、鉛直剛性調整機構のゴムを積層ゴムとしたが、該ゴムを塊状のゴム単体で構成してもよい。また、上述の実施形態では、鉛直剛性調整機構を積層ゴム支承の上に設けたが、鉛直剛性調整機構を積層ゴム支承の下に設けてもよい。
また、図3に示す実施形態では、内側の円筒部44Bを上部構造物12に固定し、外側の円筒部43Bを積層ゴム支承22´に固定したが、内側の円筒部44Bを積層ゴム支承22´に固定し、外側の円筒部43Bを上部構造物12に固定してもよい。さらに、図8に示す実施形態では、円筒部142Bを上部構造物12に固定したが、円筒部142Bを積層ゴム支承22´に固定してもよい。
10 免震建物、12 上部構造物、12A 免震基礎、12B 柱、12C 柱、14 下部構造物、14A 免震層床、15、16 アンカープレート、17、18 アンカーボルト、20 免震層、22 第1の積層ゴム免震装置、22A、22B ベースプレート、22C 積層ゴム、22´ 積層ゴム支承、30 第2の積層ゴム免震装置、40 鉛直剛性調整機構、41 積層ゴム、42 水平拘束部、43 下側部、43A ベースプレート部、43B 円筒部、44 上側部、44A ベースプレート部、44B 円筒部、45 ボルト、50 第2の積層ゴム免震装置、51 鉛直剛性調整機構、52 水平拘束部、53 ベースプレート、54 上側部、54A ベースプレート部、54B 板部、100 免震建物、120 免震層、130 第2の積層ゴム免震装置、140 鉛直剛性調整機構、142 水平拘束部、142A ベースプレート部、142B 円筒部、143 ベースプレート、222 積層ゴム支承、222C 積層ゴム、230 第2の積層ゴム免震装置、240 鉛直剛性調整機構、242 水平拘束部、242A ベースプレート部、242B 円筒部

Claims (3)

  1. 積層ゴム免震装置において積層ゴム支承と鉛直方向に重ねて設けられ前記積層ゴム免震装置の上の免震対象構造物の荷重が作用するゴムと、
    前記ゴムの周りを囲うように設けられ、前記ゴムの鉛直方向への変形を許容するのに対して、前記ゴムの水平方向への変形を、前記ゴムの鉛直方向の一端から他端側にかけての所定長さまで連続的に拘束する水平拘束部と、を備え、
    前記水平拘束部は、前記免震対象構造物及び前記積層ゴム支承の一方に固定され、前記ゴムの周りを囲う外側環状部と、前記免震対象構造物及び前記積層ゴム支承の他方に固定され、前記外側環状部の内側に鉛直方向に相対移動できるように嵌め込まれた内側環状部と、
    を有する、前記積層ゴム免震装置の鉛直剛性を調整する鉛直剛性調整機構。
  2. 積層ゴム支承と、
    前記積層ゴム支承と鉛直方向に重ねて設けられ前記積層ゴム支承の上の免震対象構造物の荷重が作用するゴムと、
    前記ゴムの周りを囲うように設けられ、前記ゴムの鉛直方向への変形を許容するのに対して、前記ゴムの水平方向への変形を、前記ゴムの鉛直方向の一端から他端側にかけての所定長さまで連続的に拘束する水平拘束部と、を備え、
    前記水平拘束部は、前記免震対象構造物及び前記積層ゴム支承の一方に固定され、前記ゴムの周りを囲う外側環状部と、前記免震対象構造物及び前記積層ゴム支承の他方に固定され、前記外側環状部の内側に鉛直方向に相対移動できるように嵌め込まれた内側環状部と、
    を有する積層ゴム免震装置。
  3. 第1の柱と該第1の柱に比して軸力の小さい第2の柱とを有する上部構造物と、下部構造物と、前記上部構造物と前記下部構造物との間に設けられた免震層とを備え、前記免震層は、前記第1の柱の下と前記第2の柱の下とに配された積層ゴム支承を備え、
    前記第2の柱の下には、
    前記積層ゴム支承と鉛直方向に重ねて設けられ前記上部構造物の荷重が作用するゴムと、
    前記ゴムの周りを囲うように設けられ、前記ゴムの鉛直方向への変形を許容するのに対して、前記ゴムの水平方向への変形を、前記ゴムの鉛直方向の一端から他端側にかけての所定長さまで連続的に拘束する水平拘束部と、を備え、
    前記水平拘束部は、前記上部構造物及び前記積層ゴム支承の一方に固定され、前記ゴムの周りを囲う外側環状部と、前記上部構造物及び前記積層ゴム支承の他方に固定され、前記外側環状部の内側に鉛直方向に相対移動できるように嵌め込まれた内側環状部と、
    を有する免震建物。
JP2014207083A 2014-10-08 2014-10-08 積層ゴム免震装置の鉛直剛性を調整する鉛直剛性機構、積層ゴム免震装置、及び免震建物 Expired - Fee Related JP6421531B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014207083A JP6421531B2 (ja) 2014-10-08 2014-10-08 積層ゴム免震装置の鉛直剛性を調整する鉛直剛性機構、積層ゴム免震装置、及び免震建物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014207083A JP6421531B2 (ja) 2014-10-08 2014-10-08 積層ゴム免震装置の鉛直剛性を調整する鉛直剛性機構、積層ゴム免震装置、及び免震建物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016075368A JP2016075368A (ja) 2016-05-12
JP6421531B2 true JP6421531B2 (ja) 2018-11-14

Family

ID=55951001

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014207083A Expired - Fee Related JP6421531B2 (ja) 2014-10-08 2014-10-08 積層ゴム免震装置の鉛直剛性を調整する鉛直剛性機構、積層ゴム免震装置、及び免震建物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6421531B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7018264B2 (ja) 2017-04-21 2022-02-10 大成建設株式会社 不同沈下の抑制方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001289279A (ja) * 2000-04-07 2001-10-19 Taisei Corp 設備機器用支持装置および回転機器架台の支持構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016075368A (ja) 2016-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6421531B2 (ja) 積層ゴム免震装置の鉛直剛性を調整する鉛直剛性機構、積層ゴム免震装置、及び免震建物
US10014743B2 (en) Electric motor
JP6590205B2 (ja) 三次元免震装置
JP6421530B2 (ja) すべり支承免震装置の鉛直剛性を調整する鉛直剛性機構、すべり支承免震装置、及び免震建物
JP2011256695A (ja) 柱頭免震構造
RU2675682C2 (ru) Узел из двух концентрических частей и расположенного между ними подшипника
JP2011099544A (ja) 免震装置
JP6178262B2 (ja) タンク保持装置及び固定構造物
JP6752166B2 (ja) 免震装置
JP6918060B2 (ja) 損傷制御型変位抑制装置
JP2010270881A (ja) 免震装置のフェールセーフ機構およびその設置方法
JP2014114837A (ja) 免震構造物
JP2011256568A (ja) 柱頭免震構造
JP2010133492A (ja) 3次元免震装置
JP2010189998A (ja) 免震構造、及び免震構造を有する建物
JP7061904B2 (ja) 構造物基礎
JP6456647B2 (ja) 積層ゴム免震装置とすべり支承免震装置とを併用した構造物の免震構造
JP6708872B2 (ja) 拡頭杭杭頭免震構造
JP7070900B2 (ja) 免震建物
JP6949257B1 (ja) 免震構造
JP6143613B2 (ja) 揺れ防止装置
JP2013159968A (ja) 杭頭部接合構造、杭頭部接合方法、及びプレキャストコンクリート製のリング
JP4922674B2 (ja) 構造物の基礎構造
JP2012229786A (ja) 免震装置
JP6996688B2 (ja) 免震装置の耐火被覆構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170920

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180713

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180724

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180905

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180918

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181001

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6421531

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees