JP7018264B2 - 不同沈下の抑制方法 - Google Patents

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Description

本発明は、免震建物を新築する際、または既存建物を免震化する際に適用する免震化技術に係り、特に、長期荷重による積層ゴム型の免震装置の縮み量の差を小さくする技術に関する。
従来より、積層ゴム支承や、すべり支承などの免震装置を建物の基礎部や中間階の柱に設置することで、建物の免震化を図る技術が知られている。これらの免震装置による支承構造は、建物に作用する地震時に入力される振動を小さくすると共に、建物の固有周期を長周期化させることで、地震動に対して建物が共振することを防止し、建物の揺れを抑制している。
近年では、比較的長周期の高層建物にも適用されるほど免震技術が広く普及しており、既存の耐震建物に対しても、基礎や中間階に免震装置を設置して建物全体を免震改修する工事が盛んに行われている。
ここで、積層ゴム型の免震装置を用いた支承の場合、建物の長期荷重を受けることで、ゴム部分が、弾性変形に相当する量だけ軸方向に縮むこととなる。このため、隣接する支承部に設置された免震装置の形状係数(1次形状係数S1(受圧面積/側面積)、2次形状係数S2(ゴム直径/全ゴム層圧))が大きく異なる場合や、積層ゴム型の免震装置と滑り支承型の免震装置のように、使用されているゴム厚が大きく異なる免震装置を併用した場合、あるいは各支承部に負荷される長期荷重が異なる場合には建物に、ゴム部分の縮み量の差に起因した不同沈下が生じる恐れがある。
このような問題に対しては、免震装置を設置するすべての支承部に支保工を設けた上で免震装置を設置し、全ての支承部に対する支保工を同時に撤去するという技術が講じられている。このような技術では、設置した全ての免震装置に同時に長期荷重が作用することになるものの、各免震装置に作用する軸圧等に起因した縮み量の差を解消することはできない。
一方で、免震装置に作用する軸圧等に起因したゴムの縮みを解消するための手段として、フラットジャッキを免震装置の上面または下面に設置し、予め軸圧を作用させることも考えられている。しかしこのような方法を実施するためには、高価なフラットジャッキが免震装置と同数必要になり、改修工事を行う上でのコストアップの要因となってしまう。
また、フラットジャッキを用いる事なく、積層ゴム型の免震装置を予め縮めた状態で支承部に設置する方法として、特許文献1に開示されているような技術が提案されている。特許文献1に開示されている技術は、支保工により免震装置を設置する支承部の下部構造と上部構造との間の隙間を確保する。隙間は、免震装置の自然長よりも長くなるように確保し、免震装置を設置する。その後、設置した免震装置を冷却することで軸方向長さを縮め、免震装置と上部構造との間の隙間を充填材で埋めるという方法である。
特開平11-22208号公報
特許文献1に開示されている技術によれば、高価なフラットジャッキを用いる事なく、積層ゴム型の免震装置を予め冷却して収縮させることで、既存構造物の不等(不同)沈下を防止するものである。
しかし、特許文献1では、順次1箇所ずつ免震装置を設置する施工法において、各免震装置の支保工を撤去した際に生じる積層ゴムの縮小分を事前に収縮させるもので、全ての免震装置に適用する必要がある。特許文献1の段落0015には、面圧による圧縮変形と冷却による収縮量の計算例が記載されているが、支承部間の軸圧(長期荷重による免震装置の圧縮応力)やゴム厚等に起因する形状係数に差がある場合や、免震装置の種類が異なる場合に、各免震装置に生じる縮み量に差が出ることについては認識されておらず、これに起因する不同沈下も想定されていない。
また、特許文献1に開示されている技術は、免震装置を躯体構築の最初に設置する新築建物に対しては、適用する事ができない。新築建物では、免震装置に生じる軸圧は設置する際にはほぼゼロであるが、躯体の構築に伴って大きくなる。このため、躯体完成前に特許文献1に開示されている技術を適用した場合には、その後に生じる縮み量(弾性変形量)の差に起因した不同沈下が生ずる虞がある。
そこで本発明では、上記課題を解決し、支承部(免震装置)間の軸圧や形状係数に差がある場合や、免震装置の種類が異なる場合であっても、これに起因した不同沈下を抑制することのできる建物の免震化に起因して生じる不同沈下の抑制方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る不同沈下の抑制方法は、複数の免震装置を設置して免震化する建物に生じる不同沈下を抑制する方法であって、前記免震装置を設置する工程において、周囲に位置する免震装置に比べて長期荷重による縮み量が相対的に大きくなる免震装置を軸方向に所定量収縮させ、前記収縮させた免震装置と当該免震装置を設置する躯体との隙間に充填材を充填することで、前記免震装置を前記躯体に固定することを特徴とする。
また、上記特徴を有する不同沈下の抑制方法において前記建物は新築の免震建物であり、前記収縮させた免震装置を、前記免震建物が上棟した後に前記躯体に固定する構成とする。
このような特徴によれば、建物の構築に伴って生ずる長期荷重の差に伴う免震装置の縮み量の差を抑制する事ができる。
また、上記特徴を有する不同沈下の抑制方法における前記免震装置の収縮は、前記免震装置の周囲に冷却材を配し、前記冷却材と共に前記免震装置を断熱材で被覆して冷却することで成す。
このような特徴によれば、免震装置を冷却するに際して、ドライアイス等の冷却材を用いることで、特殊な装置が不要となる。また、複数個所での同時作業が可能となる。
また、上記特徴を有する不同沈下の抑制方法において、前記縮み量は、前記免震装置に作用する軸圧と、前記免震装置の形状係数の少なくとも一方に基づいて算出する。
このような特徴を有する事によれば、免震装置に生じるであろう縮み量の差を容易に算出する事が可能となる。
さらに、上記特徴を有する不同沈下の抑制方法において、前記建物は、複数種類の免震装置を併用して免震化されている。
このような特徴を有する場合であっても、支承部間に生じる不同沈下を効果的に抑制する事ができる。
上記のような特徴を有する不同沈下の抑制方法によれば、支承部間の軸圧や形状係数に差がある場合や、免震装置の種類が異なる場合であっても、これに起因した不同沈下を抑制することが可能となる。また、特許文献1のように、全ての柱に対して行う必要はなく、周囲の免震装置と比較して圧縮による縮み量が相対的に大きくなる免震装置に適用すれば良い。
第1実施形態の不同沈下の抑制方法を実施するための建物と免震装置の配置構成を示す図である。 積層ゴム型の免震装置の冷却と、充填材の充填についての実施例を示す図である。 ゴムの特性を示す応力ひずみ曲線のグラフである。 第2実施形態の不同沈下の抑制方法を実施するための建物と免震装置の配置構成を示す図である。 第3実施形態の不同沈下の抑制方法を実施するための建物と免震装置の配置構成を示す図である。 第4実施形態における免震装置の縮み量の差に応じた充填材の充填についての説明図である。 第5実施形態として、新築建物に免震装置を配置する際の不同沈下の抑制方法に関する説明図である。 新築建物に免震装置を配置した場合の不同沈下抑制方法の実施例を示す完成図である。
以下、本発明の不同沈下の抑制方法に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を実施するために好適な形態の一部であり、同様な効果を奏する限りにおいて、構成の一部を変更したとしても、本発明の一部とみなすことができる。
[第1実施形態]
本実施形態に係る不同沈下の抑制方法を適用する既存建物の構造としては、例えば図1に示す建物100のように、複数の柱110それぞれの下部を支承部50a~50eとして、免震装置10a~10eを設置する構造とする。なお、支承部50a~50eに対する免震装置10a~10eの設置に際しては、図示しない支保工やジャッキ等の支持構造を介して、一時的に建物100や柱110(上部構造物110a:図2参照)を支持した状態で行うこととする。また、本実施形態において各支承部50a~50eに配置されている免震装置10a~10eは、形状係数(1次形状係数S1、2次形状係数S2)を共通とする積層ゴム型の免震装置とする。
積層ゴム型の免震装置は、一般的な構造を備えるものであれば良い。すなわち、上下に配置された一対のフランジ(上部フランジ12a、下部フランジ12b)と、対を成すフランジ(12a,12b)間に交互に複数段積層して配置されるゴム層14と金属板層16による積層ゴム部18を備える構造である(図2参照)。
建物100はスパンや階数だけでなく、部屋の用途によっても積載荷重が異なるため、その形状や構造特性により、各支承部50a~50eに負荷される長期荷重による軸方向応力(軸圧)が異なる。図1では、各支承部50a~50eに負荷される軸圧の多寡を白抜き矢印の長さの長短で例示している。なお、実際の軸圧に関しては、建物の構造計算により求めれば良い。
図1で示す例では、支承部50a~50eの中では、支承部50cに負荷される軸圧が最も大きい。このため、各支承部50a~50eに配置された免震装置10a~10eでは、免震装置10a,10b,10d,10eに比べて、免震装置10cの縮み量が相対的に大きくなる。
本実施形態では、免震装置10cのように周囲に位置する免震装置10a,10b,10d,10eに比べて作用する軸圧による縮み量が相対的に大きくなる免震装置10cに対して、次のような処置を講ずる。まず、図2(A)に示すように、免震装置10cにおける積層ゴム部18の周囲に、ドライアイスや保冷剤等の冷却材20を配置する。冷却材20を配置した後、少なくとも免震装置10cの積層ゴム部18を覆うように、その周囲を断熱材22で被覆する。このような処置を施す事により、免震装置10cを構成する積層ゴム部18を冷却することができる。ここで、免震装置10cを冷却するに際して、ドライアイス等の冷却材20を用いることで、冷却用の特殊な装置が不要となる。また、複数個所での同時作業も可能となる。
免震装置10cの積層ゴム部18を効果的に冷却すると、ゴム層14が収縮し、図2(B)に示すように、免震装置10cが軸方向に収縮する。ここで、一般的なゴム層14を構成する天然ゴムの熱膨張率は、約1.8×10-4[1/℃]とされる事から、積層ゴム部18の冷却温度や冷却時間、および積層ゴム部18のサイズ等に基づき、免震装置10cの収縮量を求める事ができる。
冷却により免震装置10cの軸方向高さが低くなると、図2(B)に示すように、免震装置を構成する上部フランジ12aと、図示しない支持構造により支えられている上部構造物110a(躯体)との間に隙間が生じる。
免震装置10cと上部構造物110aとの間に隙間を生じさせた後、この隙間を取り囲むように型枠24を設置する。その後、隙間の周囲を囲った型枠24内に、セメント等の充填材26(グラウト材)を充填する。充填材26を充填した後、充填材26の硬化を待つ。充填材26の硬化は、充填材26が支承部50cに負荷される荷重(軸圧)を支持可能な圧縮強度を得る程度のものであれば良い。ここで、充填材26としては、必要に応じて凍結防止のための混和剤が混入されたものを使用すると良い。
充填材26が硬化した後、隙間の周囲に配置していた型枠24を外す。また、型枠24の取外しと同時、あるいは前後して、免震装置10cの周囲(積層ゴム部18の周囲)を覆っていた断熱材22と、積層ゴム部18の周囲に配置した冷却材20を撤去して、免震装置10cの冷却を停止する。冷却を停止することで、積層ゴム部18には、常温回帰に従って膨張しようとする力が生じる。冷却によって生じた隙間には、充填材26が充填されているため、免震装置10cの実質的な軸方向高さに変化は生じない。このため、免震装置10c(積層ゴム部18)は、軸圧(長期荷重による鉛直方向の内部応力)が生じた状態、すなわち、予め所定荷重が負荷された状態で固定されることとなる。
ここで、ゴムの変形量(ひずみ量)は、図3の応力ひずみ曲線に示されるように、所定の応力が加えられた後は、その後の負荷応力に対するひずみ量の変化が緩やかになる。このため、上述したように、周囲に位置する免震装置10a,10b,10d,10eに比べて軸圧による縮み量が相対的に大きくなる免震装置10cに対して、疑似的に所定の荷重を加えた状態を作り出して初期縮みを与える事で、周囲に位置する免震装置10a,10b,10d,10eとの間における相対的な縮み量のバランスをとることができる。
これにより、各支承部50a~10eに負荷される軸圧が異なる場合であっても、これに起因した不同沈下を抑制することが可能となる。なお、各免震装置10a~10eにおける縮み量は、各免震装置10a~10e(支承部50a~50e)に作用する軸圧と、各免震装置10a~10eの形状係数のうちの少なくとも一方の値に基づいて算出すれば良い。また、本実施形態のように、相対的に縮み量が大きくなると想定される免震装置10cのみに対して収縮処置を施すため、処置に要するコストを抑える事ができると共に、免震改修を行う上での工期にも影響を及ぼさない。
なお、断熱材22は、免震装置10a~10e(実施形態においては免震装置10c)の冷却を補助するものであれば良く、建築分野で用いられる繊維系や発泡プラスチック系の材料に限るものではない。例えば、ブルーシートやビニールシートなどのように、素材自体の断熱作用が低いシート材などであっても、免震装置10a~10eの周囲を覆って封かん状態にすれば、冷気を留め、外気に対する温度差を生じさせることに寄与することとなる。よって、このような素材も本願の断熱材22に含まれ、これを利用した被覆も、断熱材22による被覆に含まれる。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、建物100に設定された各支承部50a~50eに配置される免震装置10a~10eはそれぞれ、1次形状係数と2次形状係数を共通とするものを採用する旨記載した。これに対し、構造計算により特定の支承部(例えば支承部50c)に負荷される軸圧が大きくなることが予め求められている場合には、図4に示すように、軸圧が大きな支承部50cに配置する免震装置10cに、受圧面積やゴム直径が大きなもの、すなわち、周囲に位置する免震装置10a,10b,10d,10eと形状係数が異なるものを採用する場合がある。
このような形態の場合、例えば支承部50b,50dに配置された免震装置10b,10dの縮み量が、周囲に位置する免震装置10a,10c,10eよりも大きくなるとする。このような場合には、免震装置10b,10dに対して、上記第1実施形態で説明した積層ゴム部18の冷却、および冷却によって生じた隙間に対する充填材26の充填といった処置を施すようにすれば良い。
これにより、各支承部50a~50eに配置される免震装置10a~10eの形状係数に差がある場合であっても、これに起因した不同沈下を抑制することが可能となる。
[第3実施形態]
上記第1、第2実施形態では、建物100に設定された各支承部50a~50eに配置する免震装置10a~10eは、いずれも積層ゴム型の免震装置とし、負荷される軸圧が異なる場合と、形状係数が異なる場合について説明した。
これに対し、実際の建物100に対して免震改修工事を施す場合には、図5に示すように、積層ゴム型の免震装置10b,10dと、弾性すべり型の免震装置10a,10c,10e等、種類の異なる免震装置を併用する場合も生じ得る。このような形態であっても、各支承部50a~50eに負荷される軸圧や形状係数に応じて免震装置10a~10eの相対的な縮み量を算出し、縮み量の大きい免震装置に対して、積層ゴム部の冷却、および冷却によって生じた隙間に対する充填材の充填といった処理を施すようにすれば良い。
なお、図5に示すように、積層ゴム型の免震装置10b,10dと弾性すべり型の免震装置10a,10c,10eを併用する場合、弾性すべり型に比べてゴム層の厚みが厚い積層ゴム型の免震装置10b,10dの縮み量が大きくなる傾向にある。よって、積層ゴム型の免震装置10b,10dと弾性すべり型の免震装置10a,10c,10eを併用する場合には、積層ゴム型の免震装置10b,10dに対して選択的に、上記処置を施すようにしても良い。
これにより、各支承部に配置される免震装置の種類が異なる場合であっても、これに起因した不同沈下を抑制することが可能となる。
[第4実施形態]
また、上記実施形態では、単に、周囲に位置する免震装置よりも縮み量が相対的に大きくなる免震装置に対して積層ゴム部の冷却、および冷却によって生じた隙間に対する充填材の充填といった処理を施す旨記載した。
しかしながら、積層ゴム型の免震装置は、図6に示すように、負荷される軸圧の違い(軸圧の多寡を白抜き矢印F1~F3で示す)により、その縮み量が異なる(D1~D3)。ここで、縮み量D1とD3の差分d1と、縮み量D2とD3の差分d2は、それぞれ軸圧F1とF3、F2とF3の差によって生じるものである。
よって、免震装置10a,10bに対して、それぞれ、最少の縮み量D3を生じさせる免震装置10cとの差分d1,d2分だけ充填材26を充填する構成とすることで、軸圧の差によって生じる縮み量の差を解消する事ができる。よって、より精度良く不同沈下を抑制することができる。なお、冷却による積層ゴム部18の収縮量の調整は、上述したように、冷却温度や冷却時間、及び積層ゴム部18のサイズに基づいて行えば良い。
[第5実施形態]
上記実施形態では、いずれも、既存建物に対する免震化に伴う不同沈下の抑制について説明している。これに対し、本実施形態では、新築の免震建物を構築する際の不同沈下を抑制する方法について説明する。
建物100を新築建物とした場合、支承部50a~50eに負荷される軸圧は、躯体の構築と共に増加する。このため、図7に示すように、建物100の建築段階においては、土台やジャッキ等の支持部材により構成されるサポート52により、躯体の各支承部50a~50eに免震装置10a~10eを配置するための隙間を設けた状態で仮支持しておく。なお、サポート52による仮支持を行う際、必要に応じて柱110には、サポート板54等を設けるようにしても良い。
サポート52による支持状態を維持した状態で建築を進めた後、建物100の支承部50a~50eに負荷される自重による長期荷重が、躯体完成時に想定される範囲に到達した後(到達したと想定される状態となった後)、図8に示すように、各支承部50a~50eに対して免震装置10a~10eを配置し、サポート52を撤去する。この際、複数の免震装置10a~10eにおいて、縮み量が相対的に大きくなる免震装置(図8では免震装置10c)に対して、上記実施形態で説明した、冷却、及び充填材26による処理を施すようにすると良い。このような方法とする事で、新築の建物であっても、免震装置に生ずる縮み量の差に起因した不同沈下の発生を抑制する事ができる。
なお、建物100の免震化を行う際、弾性すべり型の免震装置や、転がり支承型の免震装置などの適用ゴム厚が薄く、軸圧に起因した高さ方向の収縮が比較的小さな免震装置(図8における免震装置10b,10d)と、適用ゴム厚が厚く、軸圧に起因した高さ方向の収縮が比較的大きくなる積層ゴム型の免震装置(図8における免震装置10a,10c,10d)とを複合的に適用する場合には、次のような方法を採用しても良い。すなわち、弾性すべり型の免震装置10b,10dに関しては、躯体の構築開始と共に設置し、積層ゴム型の免震装置10a,10c,10eに関しては、躯体完成時に設置するという方法である。そして、相対的に軸圧による縮み量が大きくなる免震装置(図8においては免震装置10c)に対しては、上記実施形態で説明した、冷却、及び充填材26による処理を施すようにすると良い。
また、上記実施形態では、免震装置の収縮は、冷却材20を用いて行う旨記載した。しかしながら、温度変化による収縮は、免震装置を収縮させる上での好適な手段の1例であり、例えば上部フランジ12aと下部フランジ12bとの間に機械的な力を作用させる事で圧縮効果を得るようにしても良い。また、積層ゴム部18に温度変化を生じさせる場合であっても、冷却材20以外の手段、例えば冷風の吹き付けなどによるものであっても良い。
10a~10e………免震装置、12a………上部フランジ、12b………下部フランジ、14………ゴム層、16………金属板層、18………積層ゴム部、20………冷却材、22………断熱材、24………型枠、26………充填材、50a~50e………支承部、52………サポート、54………サポート板、100………建物、110………柱、110a………上部構造物。

Claims (2)

  1. 複数の免震装置を設置して免震化する建物において、各免震装置のゴム部分の高さ方向の収縮の差に起因して前記建物に生じる不同沈下を抑制する方法であって、
    前記各免震装置に負荷される長期荷重による軸圧、または形状係数に応じて前記各免震装置のゴム部分の縮み量を算出し、
    前記免震装置を設置する工程において、全ての前記免震装置ではなく、周囲に位置する免震装置に比べて前記縮み量が相対的に大きくなる免震装置のみを軸方向に所定量収縮させ、
    前記収縮させた免震装置と当該免震装置を設置する躯体との隙間に充填材を充填することで、前記免震装置を前記躯体に固定することを特徴とする不同沈下の抑制方法。
  2. 前記建物は、弾性すべり型の免震装置と積層ゴム型の免震装置を併用した新築の免震建物であり、
    前記弾性すべり型の免震装置は、躯体の構築開始と共に設置し、前記積層ゴム型の免震装置は、負荷される長期荷重が躯体完成時に想定される範囲に到達した後に設置することを特徴とする請求項1に記載の不同沈下の抑制方法。
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