JP2016072175A - リード部材およびリード部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、タブリードが小型化し、アルミニウムまたはアルミニウム合金による平型導体の幅が狭くなってくると、その平型導体に対してニッケル等の金属材料を溶接する領域を十分に確保することができず、溶接した部分の強度が弱くなるという課題があった。特許文献1のように、平型導体に間欠的に金属層を付与する場合にも、平型導体の幅が狭くなってくれば同様の問題が生じる。
(1)本願のリード部材に係る発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を使用して形成された帯状の箔状導体に、該箔状導体の両面から絶縁フィルムを貼り合せたリード部材であって、前記絶縁フィルムは、前記帯状の箔状導体の長さ方向の両端部を除く一部の領域に貼り合わされ、前記絶縁フィルムは、前記帯状の箔状導体の幅よりも幅が広く、前記箔状導体の幅方向に該箔状導体の端部から外側に突出し、前記箔状導体は、前記箔状導体の長さ方向において前記絶縁フィルムにより分割された該絶縁フィルムの両側の領域のうち、片側の領域にはんだが直接付与されている、リード部材である。これにより、アルミニウムまたはアルミニウム合金による導体に、はんだ付けのための金属材料を溶接する必要なくはんだ付けが可能なリード部材を得ることができる。
図1Aは、リード部材用のフープ状部材の製造過程における中間部材、図1Bは、リード部材用のフープ状部材、図1Cは、フープ状部材をカットして形成したリード部材の一例を示す図である。
タブリード3の絶縁フィルム13は、非水電解質電池の封着部とされ、非水電解質電池において外部に露出する側に、はんだ部12が設けられた形態となる。タブリード3の長手方向の長さは、例えば20〜60mmとされる。
タブリード3は、非水電解質電池の封着部を完全に密封接着することにより、良好な特性と長寿命を維持することが可能となる。しかし、これらの密封接着が不十分であると、外部から水分が浸入し、内部の電解液との反応によりフッ化水素酸が発生する。正極側のリード線金属としては、上記のようにアルミニウムやアルミニウム合金が用いられるが、その表面は長期にわたって徐々にフッ化水素酸により腐食され、絶縁フィルム13との密封形態が破壊され、液漏れの原因となると共に特性が低下する。
ジルコニウム塩としては、フッ化ジルコン酸塩や炭酸ジルコニウム塩、リン酸ジルコニウム塩などを使用することができる。チタン塩としては、キレート系の有機チタンなどを使用することができる。モリブデン塩としては、モリブデン酸塩を使用することができる。複合皮膜層は、その樹脂成分が1mg/m2〜200mg/m2、金属塩(付着量)が0.5mg/m2 〜50mg/m2で形成されていることが好ましいが、これに限定されない。
本実施形態のタブリード3は、非水電解質電池のリード線金属にポリアクリル酸と金属塩とを配合して複合皮膜層を形成することで、耐フッ化水素酸性を備えた液漏れのない安定した非水電解質電池が得られるようにしている。
はんだ部12は、超音波はんだ付け法により形成される。超音波はんだ付け法は、アルミニウムの無フラックスはんだ付けを可能とするものであり、超音波を溶融はんだに印加することにより、局所に負圧、いわゆるキャビテーションを発生させ、箔状導体表面の酸化膜や付着物を除去する。
はんだ部12を形成するはんだの材料は、鉛入りはんだ(例えばSn−Pb系)や鉛フリーはんだ(例えばSn−Bi系、Sn−Ag系、Sn−Cu系など)で、はんだ付け後に残渣として残り耐食性を悪くする可能性のあるフラックスを含まないものが良い。はんだの材料の融点は、70〜250℃くらいのものが適している。
また、はんだ部12を形成した箔状導体11には、はんだ部12の間隔に合わせて、はんだ部12の近傍位置に絶縁フィルム13が間欠的に両面から貼り付けられ、タブリード3を切り出すことができるフープ状部材10´となる。
また、帯状の箔状導体11に絶縁フィルム13を所定の間隔で両面から貼り付けてから、箔状導体11の絶縁フィルム13が貼られていない部分にはんだ部12を形成してもよい。
フープ状部材10´から切り出されたタブリード3は、絶縁フィルム13を境にして、その長手方向の一方の側にはんだ部12が設けられ、他方の側でアルミニウムまたはアルミニウム合金表面の複合皮膜層が露出している形態とされる。
非水電解質電池1では、正極側のタブリード3には高い電位がかかるため、そのリード線金属としては、高電位で電解液に溶解しないアルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられ、一方、負極側のタブリード4には、ニッケルメッキした銅が使用されることが多い。また、電気二重層コンデンサでは、正極側も負極側もタブリードのリード線金属としてアルミニウムが使用される。
タブリード3は、箔状導体11の長手方向の両端部を除く領域に、絶縁フィルム13がその両面から貼り合わされ、絶縁フィルム13の両側の領域のうち、片側の領域にはんだ部12が設けられ、他方側の領域は、表面処理を施したアルミニウムまたはアルミニウム合金が露出している状態になっている。
はんだ部12が設けられた領域は、外装体2の外側に露出する部分、すなわち、外部との電気接続を形成する部分とされ、図2Aに例示するように、はんだ部12に対して電線20の導体をはんだ接続することができる。絶縁フィルム13により分割された他方の端部側の領域は、電池内の電極板リード5に接続される。
そして、タブリード3,4を介在させて外装体2をシールする時に、外側層13bと外装体2と融着させることで、外装体2内の金属箔層2bと箔状導体11との電気的な短絡を防ぐことができる。
この場合、通常のアルミタブリードでははんだ接続ができない。しかしながら、はんだ付け可能なはんだ部12を有するタブリード3を用いることにより、はんだ付けのための金属材料を溶接する必要なく、接続用の電線や基板等とのはんだ付けが可能となる。
箔状導体上で溶融はんだに超音波振動を与えてはんだ部を形成したときの特性を確認した。使用した箔状導体は、以下の4種類とした。
(1)アルミニウム導体(表面処理なし)。
(2)アルミニウム導体に変色防止剤を塗布。
(3)アルミニウム導体に、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸アミドを含む樹脂成分と、ジルコニウム塩、チタン塩、およびモリブデン塩のいずれかの金属塩と、を含む処理液であって、上記の樹脂成分と金属塩の比率が1:3〜6:1の範囲にある処理液を塗布したもの。
(4)アルミニウム導体にベーマイト処理を実施(高温の純水中でアルミニウムの表面にアルミニウム水和酸化被膜を生成させたもの)。
各箔状導体は、幅2mm、長さ50mmの長方形状の形状とし、超音波振動により付与するはんだ部の大きさを直径2mmの円とした。
図3Aに実施例のタブリードの形状を示し、図3Bに比較例のタブリードの形状を示す。実施例と比較例のいずれにおいても、箔状導体11であるアルミニウムの幅Dを2mm、アルミニウムの長さLを50mm、とした。
そして実施例1では、はんだ部12の大きさを直径2mmの円とし、絶縁フィルム13の外側(はんだ部の形成側)のアルミニウムの長さL1を10mmとした。また実施例2では、はんだ部12の大きさは同じく直径2mmの円とし、絶縁フィルム13の外側(はんだ部の形成側)のアルミニウムの長さL1を4mmとした。
また、比較例では、絶縁フィルム13の外側(はんだ部の形成側)のアルミニウムの長さL1を4mmとし、はんだ部12は、アルミニウムの端部から、長さL2が3mmの範囲でアルミニウム上の全面に設けた。
評価方法は、目視による外観観察により腐食の程度を観察した。また、はんだ−アルミ境界部の断面観察により、腐食試験前後のアルミニウムの面積の残留率を算出した。
図4は、断面観察のイメージを説明する図である。腐食試験前では、箔状導体11としてのアルミニウム上にはんだ部12が形成されている。そして腐食試験後では、はんだ部12の周囲のアルミニウムが腐食により浸食される。このときの絶縁フィルム12の外側(はんだ部の形成側)の領域におけるアルミニウムの残留率を算出した。
実施例1、2と比較例において、幅Dと長さL1から絶縁フィルムの外側のアルミニウム(Al)の面積を算出し、またはんだ部の面積を算出した。そしてこれらからアルミニウム面積/はんだ面積により面積比を算出した。
実施例1、2では良好であり、このときのアルミニウムの残留率は実施例1が92%で、実施例2が85%であった。また比較例では、外観観察の結果、腐食が激しく、アルミニウムの残留率は65%と大幅に浸食が進行した。ここでは、耐食性を良くするためには、はんだとアルミの面積比を2.5以上とすることが好ましい。すなわち、導体のガルバニック腐食を抑制するために、はんだ面積は小さいものであることが好ましい。
Claims (3)
- アルミニウムまたはアルミニウム合金を使用して形成された帯状の箔状導体に、該箔状導体の両面から絶縁フィルムを貼り合せたリード部材であって、
前記絶縁フィルムは、前記帯状の箔状導体の長さ方向の両端部を除く一部の領域に貼り合わされ、前記絶縁フィルムは、前記帯状の箔状導体の幅よりも幅が広く、前記箔状導体の幅方向に該箔状導体の端部から外側に突出し、
前記箔状導体は、前記箔状導体の長さ方向において前記絶縁フィルムにより分割された該絶縁フィルムの両側の領域のうち、片側の領域にはんだが直接付与されている、リード部材。 - 前記箔状導体は、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸アミドを含む樹脂成分と、ジルコニウム塩、チタン塩、およびモリブデン塩のいずれかの金属塩と、を含む処理液であって、前記樹脂成分と前記金属塩の比率が1:3〜6:1の範囲にある前記処理液を塗布することにより、複合皮膜が形成されている、請求項1に記載のリード部材。
- アルミニウムまたはアルミニウム合金を使用して形成された帯状の箔状導体の長さ方向の両端部を除く一部の領域に、前記帯状の箔状導体の幅よりも幅が広く、前記箔状導体の幅方向に該箔状導体の端部から外側に突出した絶縁フィルムを貼り合わせたリード部材の製造方法であって、
前記箔状導体の長さ方向において前記絶縁フィルムにより分割された該絶縁フィルムの両側の領域のうち、片側の領域に、溶融はんだに超音波振動を与えることによって、はんだを直接付与する工程を有する、リード部材の製造方法。
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