以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本発明は、以下本明細書において詳細に説明するような多様な形態で実施され得る。また、本実施形態による紙幣処理装置(現金処理装置10)は、
A.紙幣が投入される接客部(1)と、
B.紙幣の表裏状態を判定する判定部(鑑別部2)と、
C.前記判定部により表裏状態が第1の状態であると判定された紙幣を前記接客部への搬送を介さずに所定の搬送先へ搬送し、前記判定部により表裏状態が第2の状態であると判定された紙幣を前記接客部への搬送を介して前記所定の搬送先へ搬送する搬送部(搬送路6)と、
を有する。
このような現金処理装置10について、まずは概要を説明する。
<1.現金処理装置の概要>
[1−1.現金処理装置の外観構成]
図1は、本発明の実施形態である現金処理装置10の外観構成を示した説明図である。本実施形態による現金処理装置10は、図1に示すように、装置正面右側に紙幣投入口11aおよび紙幣異物返却口11bが設けられ、装置正面左側に硬貨投入口12a、硬貨リジェクト口12b、硬貨返却口12c、釣銭出金口12d、および硬貨出金口12eが設けられ、装置上側にカード挿入排出口13a、印字部(レシートプリンタ)14、表示部16、および小束出金口(シャッタ9)が設けられている。
紙幣投入口11aは、入金取引における紙幣の投入口および出金取引における紙幣の受取口である。紙幣異物返却口11bは、紙幣投入口11aに誤って投入された硬貨等の異物を返却する。
硬貨投入口12aは、入金取引における硬貨の投入口である。硬貨リジェクト口12bは、硬貨投入口12aから投入された硬貨のうち、計数において硬貨鑑別部(不図示)により異常と認識された硬貨が返却される返却口である。硬貨返却口12cは、計数済み硬貨の返却口である。釣銭出金口12dは、計数された釣銭の受取口である。硬貨出金口12eは、出金取引における出金硬貨の受取口である。
カード挿入排出口13aは、管理者等の操作者(オペレータ)のカードの挿入および排出を行う。
印字部(レシートプリンタ)14は、取引明細等を印字したレシートの排出を行う。
表示部16は、操作画面や取引内容を表示する。表示部16は、例えばタッチパネルにより実現され、操作部15(図2参照)としても機能する。また、図1に示すように、表示部16の隣にはテンキーが設けられている。
小束出金口(シャッタ9)は、施封部8(図3参照)により施封された小束紙幣の排出を行う。
以上説明した現金処理装置10は、例えば金融機関の営業店において接客用カウンタの後方に設置され、金銭に関する入金や出金等の各種処理を総合的に実行する。
[1−2.現金処理装置の内部構成]
次に、図2を参照して本実施形態による現金処理装置10の内部構成について説明する。図2は、本実施形態による現金処理装置10の内部構成を示すブロック図である。
図2に示すように、現金処理装置10は、紙幣処理部11、硬貨処理部12、カードリーダ部13、印字部14、操作部15、表示部16、制御部17、および記憶部18を有する。
紙幣処理部11は、紙幣投入口11aから投入される入金紙幣を鑑別、計数して紙幣収納部に収納する入金処理、および指定された金種、金額の紙幣を紙幣収納部から繰り出して鑑別、計数した後、紙幣投入口11aから出金する出金処理を行う。また、紙幣処理部11は、施封部8(図3参照)を有し、施封部8により所定枚数の紙幣を施封して小束出金口(シャッタ9)から小束紙幣を出金する。また、紙幣処理部11は、紙幣投入口11aに誤って投入された硬貨等の異物を紙幣異物返却口11bから返却する。
硬貨処理部12は、硬貨投入口12aから投入される入金硬貨を鑑別、計数して硬貨収納部に収納する入金処理、および指定された金種、金額の硬貨を硬貨収納部から繰り出して鑑別、計数した後、硬貨出金口12eから出金する出金処理を行う。また、硬貨処理部12は、上述した硬貨リジェクト口12b、硬貨返却口12c、および釣銭出金口12dを有する。
カードリーダ部13は、カード挿入排出口13aから挿入された管理者や操作者のカードからデータを読み取り、装置へのログインやオペレータ認識等を行う。また、カードリーダ部13は、取引終了後にカード挿入排出口13aからカードを排出する。
印字部14は、上述したように、取引終了後に取引内容を印字した明細票(レシート)を排出する。
操作部15は、管理者や操作者の操作を検出する。例えば、操作部15は、タッチパネルおよびテンキーにより実現される。
表示部16は、上述したように、操作画面や取引内容を表示する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。
なお、図1においては表示部16と操作部15が一体的に構成される例(すなわちタッチパネルディスプレイ)を示しているが、表示部16および操作部15の機能は分離して構成されてもよい。
制御部17は、記憶部18に格納されている制御プログラムに基づいて現金処理装置10の各構成を制御する。また、制御部17は、記憶部18に格納されている画面を表示部16に表示して各種の取引を遂行する。また、本実施形態による制御部17は、紙幣処理部11の搬送路6a〜6n(図3参照)を制御することにより、入金、集積、出金および紙幣移動などの基本動作を制御する。
記憶部18は、取引時における入力データ等を記憶する他、現金処理装置10の動作を制御するための制御プログラムが格納されている。また、取引選択画面、各取引における処理ステップ毎の案内画面、および入力画面等も記憶部18に格納されている。
本発明の実施形態は、上述した現金処理装置10の紙幣処理部11で行われる小束施封処理に関する。以下、本実施形態による紙幣処理部11の構成を説明した後に、本発明の実施形態による各種取引について詳細に説明する。
<2.紙幣処理部11の構成>
図3は、紙幣処理部11の内部構成を示した説明図である。図3に示したように、紙幣処理部11は、接客口19を含む接客部1、鑑別部2、一時保留部3、紙幣カセット4a〜4d、リジェクト庫5、搬送路6a〜6m、施封紙幣集積部7(結束紙幣集積部)、施封部8(紙幣結束部)、およびシャッタ9(小束出金口)を備える。なお図3に示す紙幣処理部11は側面図であって、右側が装置正面となっている。
接客部1は、入金取引時に操作者により紙幣投入口11aから接客口19に投入された(入金された)紙幣を分離したり、出金取引時に操作者に出金する紙幣を集積したりするための構成である。
鑑別部2は、操作者の入金した紙幣、または操作者に出金する紙幣の鑑別を行う。具体的には、鑑別部2は、搬送路6を通って搬送された紙幣の金種、真偽、正損および走行状態などを鑑別する。
一時保留部3は、入金取引時に接客部1で分離されて鑑別部2により正常と鑑別された紙幣を一時的に集積する。一時保留部3に集積された紙幣は、鑑別部2を経て紙幣カセット4a〜4dなどに搬送され、入金した紙幣の口座計上などが確定し、取引が成立する。また、一時保留部3は、紙幣カセット4a〜4d間の紙幣移動の際にも用いられる。
紙幣カセット4a〜4dは、操作者の入金した紙幣、出金するための紙幣、および他の紙幣カセット4から分離された紙幣などを集積する紙幣集積部である。紙幣カセット4a〜4dは、同一金種のための複数の紙幣カセットを含んでもよい。例えば、紙幣カセット4aおよび4cが一万円札用の紙幣カセットであり、紙幣カセット4bおよび4dが千円札用の紙幣カセットであってもよい。なお、紙幣カセット4a〜4dは、紙幣処理部11に対して着脱可能な構造になっており、個別に交換することで紙幣カセット4a〜4dに紙幣を装填することも可能である。
リジェクト庫5は、出金取引時または入金取引時に鑑別部2によって金種不明と鑑別された入金、支払不可の紙幣を集積する。
搬送路6a〜6nは、紙幣を搬送するための構成である。各搬送路6a〜6nは、制御部17による制御に従ってDCサーボモータまたはパルスモータなどが回転することにより、紙幣を目的の搬送先に搬送することが可能である。
施封紙幣集積部7は、施封部8により施封される紙幣が集積される紙幣集積部である。施封紙幣集積部7は、施封する所定枚数(例えば100枚)の紙幣を集積後、施封部8に紙幣を搬送する。
施封部8は、施封紙幣集積部7から搬送された所定枚数の紙幣をテープで結束(施封)し、結束した小束紙幣をシャッタ9から排出する。
シャッタ9は、施封部8により施封された小束紙幣を排出する小束出金口であって、施封部8により小束紙幣が排出される際に開き、操作者が小束紙幣を受け取ると閉じる。
上述した施封紙幣集積部7、施封部8、およびシャッタ9は、図3に示すように、紙幣処理部11の上方、より具体的には、接客部1、鑑別部2、一時保留部3、紙幣カセット4a〜4d、リジェクト庫5、および搬送路6a〜6mよりも上部に配置されている。このように、施封紙幣集積部7および施封部8を上部に設けることで、操作者は立ったまま小束を受け取ることができ、作業の利便性を向上させることができる。また、本実施形態では、図3に示すように、施封紙幣集積部7と施封部8を共に1つずつ設けることで、省スペース化を図ることができる。上記特許文献1(WO2009−118839号公報)のように2つの施封紙幣集積部が設けられている場合、例えば一方に表紙幣、他方に裏紙幣を搬送して表裏を揃えることも可能であるが、本実施形態では省スペース化を実現するために施封紙幣集積部が1つであっても施封紙幣の表裏を揃えることができる。
なお図3には図示しないが、搬送路6a〜6nが搬送する紙幣や、各分離部(具体的には、接客部1、一時保留部3、紙幣カセット4a〜4d、リジェクト庫5)から分離される紙幣の通過、到達は、搬送路6上や各分離部に設けられている光学センサの検知結果に基づいて制御部17により判断される。また、目的の搬送先に搬送するために搬送路の分岐にはブレードが実装され、制御部17は当該ブレードを切り替えることで紙幣を所定の搬送先へ搬送させる。
また、本実施形態による紙幣処理部11は、紙幣の表裏を反転させるためだけの従来の表裏反転機構を有さないことで、装置サイズを小さくすることができる。
(基本動作)
入金取引においては、まず、接客部1から紙幣が1枚ずつ分離され、分離された紙幣は搬送路6aを経て鑑別部2に搬送される。そして、鑑別部2による鑑別結果が正常であった紙幣は搬送路6cおよび6dを経て一時保留部3に集積される。一方、鑑別部2による鑑別結果が異常であった紙幣は搬送路6cおよび6eを経て接客部1に集積される。その後、操作者により入金金額の確認操作が行われると、集積処理に移行する。
集積処理においては、まず、一時保留部3から紙幣が1枚ずつ分離され、分離された紙幣は搬送路6dおよび6cを経て鑑別部2に搬送される。そして、鑑別部2による鑑別結果が正常であった紙幣は、搬送路6b、6f〜6kを経て金種に対応する紙幣カセット4a〜4dに集積される。一方、汚損券、折れ紙幣、二千円札、スキュー紙幣などの走行異常紙幣のように、鑑別部2による鑑別結果が異常であった紙幣は、搬送路6gおよび6lを経てリジェクト庫5に集積される。
紙幣移動においては、まず、紙幣カセット4a〜4dのうちの移動元の紙幣カセットから紙幣が分離され、分離された紙幣は搬送路6f〜6k、6bを経て鑑別部2に搬送される。そして、鑑別部2による鑑別結果が正常であった紙幣は搬送路6cおよび6dを経て一時保留部3に搬送される。一方、鑑別部2による鑑別結果が異常であった紙幣は、搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5に集積される。
その後、一時保留部3から紙幣カセット4a〜4dのうちの移動先の紙幣カセットに紙幣が搬送される。具体的には、一時保留部3から紙幣が1枚ずつ分離され、分離された紙幣は搬送路6dおよび6cを経て鑑別部2に搬送される。そして、鑑別部2による鑑別結果が正常であった紙幣は、搬送路6b、6f〜6kを経て移動先の紙幣カセットに集積される。一方、鑑別部2による鑑別結果が異常であった紙幣は、搬送路6gおよび6lを経てリジェクト庫5に集積される。
通常の出金取引においては、まず、操作者により指定された金額に応じて紙幣カセット4a〜4dから紙幣が1枚ずつ分離され、分離された紙幣は搬送路6f〜6kおよび6bを経て鑑別部2に搬送される。
そして、鑑別部2による鑑別結果が正常であった紙幣は、搬送路6cおよび6eを経て接客部1に集積される。一方、鑑別部2による鑑別結果が異常であった紙幣、すなわち、操作者に支払いできない紙幣は、搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5に集積される。
小束紙幣の出金取引においては、まず、操作者により指定された金種および束数(または枚数)に応じて紙幣カセット4a〜4dから紙幣が1枚ずつ分離され、分離された紙幣は搬送路6f〜6kおよび6bを経て鑑別部2に搬送される。
そして、鑑別部2による鑑別結果が正常であり、かつ表裏が所定の状態である紙幣は、搬送路6cおよび6nを経て施封紙幣集積部7に集積される。施封紙幣集積部7に所定枚数の紙幣が集積されると、施封部8に搬送され、施封部8において紙幣の施封が行われ、シャッタ9から排出される。
整理施封取引においては、まず、接客部1から紙幣が1枚ずつ分離され、分離された紙幣は搬送路6aを経て鑑別部2に搬送される。そして、鑑別部2による鑑別結果が正常であり、指定された金種であって、かつ表裏が所定の状態である紙幣は搬送路6cおよび6nを経て施封紙幣集積部7に集積される。施封紙幣集積部7に所定枚数の紙幣が集積されると、施封部8に搬送され、施封部8において紙幣の施封が行われ、シャッタ9から排出される。
(紙幣施封の課題)
しかし、上記の小束出金取引および整理施封取引では、施封時に紙幣の表裏が揃っていることが必要であるため、操作者が予め紙幣カセット4に表裏を揃えた紙幣を装填したり、表裏を揃えて接客部1に紙幣を投入したりしなければならず、手間がかかっていた。
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態による現金処理装置10を創作するに至った。本発明の実施形態による現金処理装置10は、特殊な表裏反転機構を備えずに自動的に紙幣の表裏を反転させて、小束施封用の紙幣の表裏を揃えることが可能である。以下、このような本発明の実施形態による各種取引について詳細に説明する。
<3.各種取引>
[3−1.小束出金取引]
本実施形態では、小束出金取引において接客部1を用いて紙幣の表裏反転を実現することにより操作者の手間を省く現金処理装置10を提案する。
図4および図5は、本実施形態による小束出金取引の流れを示した説明図である。図4に示したように、まず、指定された施封金種の紙幣が集積されている紙幣カセット4dから紙幣が分離され、分離された紙幣が搬送路6k、6g、6f、および6bを経て鑑別部2に搬送される。そして、制御部17は、鑑別部2による鑑別結果が正常であって、また、施封金種であり、かつ表裏が裏の状態である紙幣を、図4に示すように搬送路6cおよび6nを経て施封紙幣集積部7へ搬送するよう制御する。なお、本実施形態では、搬送路6nから施封紙幣集積部7に集積する際に紙幣の表裏が逆になるため、鑑別部2により裏と鑑別された紙幣を施封紙幣集積部7に搬送することで、表紙幣(表の面が上になった紙幣)の施封を実現することができる。
一方、制御部17は、鑑別部2による鑑別結果が異常であった紙幣(リジェクト紙幣)を、図4に示すように搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5へ搬送するよう制御する。また、制御部17は、施封金種であっても表裏が表の状態である紙幣を、図4に示すように搬送路6cおよび6eを経て接客部1へ搬送するよう制御する。
そして、制御部17は、接客部1に搬送された紙幣を、図5に示すように接客部1から再度分離することで紙幣の表裏を反転させ、分離した紙幣を、搬送路6aを経て鑑別部2へ再搬送するよう搬送路を制御する。上述したように、接客部1には、施封金種であるが表裏が表の状態である紙幣が搬送されているため、接客部1を介して反転され裏の状態となった紙幣が、鑑別部2に搬送される。制御部17は、鑑別部2による再鑑別結果が正常である場合、図5に示すように搬送路6cおよび6nを経て当該紙幣を施封紙幣集積部7へ搬送する。なお制御部17は、鑑別部2による再鑑別結果が異常である場合、図5に示すように搬送路6cおよび6mを経てリジェクト紙幣としてリジェクト庫5へ搬送する。
本実施形態による紙幣処理部11は、上述した2つの処理(紙幣カセット4から鑑別部2への搬送、鑑別部2から施封紙幣集積部7または接客部1への搬送)を行うことにより、施封金種の表裏を自動的に反転させて施封紙幣集積部7に表揃えの紙幣を集積させることができる。
ここで、接客部1を利用した紙幣の表裏反転について図6を参照して説明する。図6では、紙幣30において紙幣の表側を破線、裏側を実線で示している。本実施形態による小束出金取引では、まず、図6(a)に示したように鑑別部2で表側が上を向いている状態と鑑別された紙幣30は、図6(b)に示したように搬送路6cおよび6eを経て接客部1に搬送され、集積される。
次いで、図6(c)に示したように接客部1から紙幣30が分離され、搬送路6aに送り込まれる。ここで、本実施形態による接客部1は、搬送路6eから搬送された紙幣を受け入れる受入口22と、搬送路6aに紙幣が繰り出される(分離される)繰出口23とを有する。そして、受入口22から受け入れた紙幣30を繰出口23から搬送する際に、受入口22から受け入れた紙幣30の後側から繰り出すことで、紙幣30の表裏が反転する。
したがって、図6(d)に示したように接客部1から分離され、搬送路6aを経て鑑別部2に再度搬送された紙幣30は、裏側が上を向いている状態と鑑別され、施封紙幣集積部7に搬送される。このように、本実施形態では、接客部1の繰出口23において、受入口22から受け入れられた際の紙幣30の後側から当該紙幣30が繰り出されることで、紙幣の表裏を反転させることができる。
(本実施形態による小束出金取引の動作フロー)
図7は、上述した本実施形態による小束出金取引の動作を示すフローチャートである。図7に示したように、まず、操作者が表示部16に表示されたメニュー画面を操作して小束出金取引を選択し(S100)、さらに出金金額(または出金金種および枚数)を入力する(S102)。
次いで、制御部17は、入力情報に基づいて、出金する小束数およびバラ紙幣枚数を算出する(S104)。ここでは一例として100枚単位で小束出金を行うため、制御部17は、入力された出金枚数(または入力された出金金額から算出した出金枚数)に基づいて、以下の式に示すように、小束数およびバラ出金枚数を算出する。
(式1)
小束数=出金枚数/100
バラ出金枚数=出金枚数/100の余り
次に、制御部17は、小束出金が有るか否かを判断し(S106)、有る場合(つまり小束数が1以上の場合)は100枚単位で小束出金処理を行う(S108)。小束出金処理の詳細については図8〜図9を参照して後述する。
次いで、小束出金処理により施封紙幣集積部7に施封する所定の枚数、例えば100枚の紙幣が集積されると、施封紙幣集積部7は集積された紙幣を施封部8に束搬送する(S110)。そして、施封部8により束紙幣に施封を行った後(S112)、施封部8から小束紙幣を押し出す(排出する)ことでシャッタ9を開き、小束受取位置まで小束紙幣を移動させる(S114)。制御部17は、操作者が小束紙幣を受取ると、シャッタ9を閉じる。当該S112およびS114は、次のS116、S108と並行して処理され得る。
制御部17は、施封部8へ束搬送した施封紙幣集積部7において次の紙幣の集積準備が完了した後、残りの小束出金が有るか否かを判断する(S116)。残りの小束出金が有る場合は上記S108に戻り、小束出金処理が行われる。
一方、残りの小束出金が無い場合、制御部17は、接客部1からバラ出金を行う(S118)。具体的には、制御部17は、バラ出金枚数に応じて出金金種の紙幣カセット4から紙幣を分離し、鑑別部2を介して接客部1へ搬送する。この際、鑑別部2による鑑別結果が異常である紙幣はリジェクト庫5へ搬送され、正常である紙幣を接客部1へ搬送される。
続いて、制御部17は、印字部14により、施封した通番および施封金額等の施封に関する情報およびバラ出金に関する情報を印字した明細票を排出させ(S120)、接客部1からの紙幣の受取を確認すると(S122)、出金取引を終了する。
以上、本実施形態による出金取引について説明した。次に、上記S108に示す小束出金処理について図8〜図9を参照して具体的に説明する。
図8〜図9は、小束出金処理の動作を示すフローチャートである。ここでは、一例として紙幣カセット4dが万券金庫であって、万券かつ正券の表紙幣100枚の小束を出金する場合について説明する。図8に示したように、まず、制御部17は、小束出金する金種(すなわち施封金種)が格納されている紙幣カセット4dから1枚ずつ100枚の紙幣を分離する(S130、S132)。
次に、分離された紙幣は、紙幣カセット4dから搬送路6k、6g、6f、および6bを経て鑑別部2に搬送される。鑑別部2では、紙幣の金種、真偽、正損、走行状態、および表裏状態が鑑別され、制御部17は、鑑別結果に基づいて、万券かつ正券の裏紙幣(裏の面が上になった紙幣)の場合は(S136において「Yes」)、当該紙幣を搬送路6cおよび6nを経て施封紙幣集積部7へ搬送する(S138)。なお表紙幣の施封を行う際に裏紙幣を施封紙幣集積部7へ搬送するのは、搬送路6nから施封紙幣集積部7に集積する際に紙幣の表裏が逆になるためである。
一方、鑑別結果が万券かつ正券の表紙幣の場合(S136において「No」、S140において「Yes」)、制御部17は、当該紙幣を搬送路6cおよび6eを経て接客部1へ搬送する(S142)。図6を参照して上述したように、紙幣の表裏を反転させるためである。
また、制御部17は、鑑別結果が万券または正券以外の紙幣(例えば偽券、損券、走行異常等のリジェクト紙幣)の場合(S140において「No」)、当該紙幣を搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5へ搬送する(S144)。この際、リジェクト庫5へ紙幣を搬送した分、施封紙幣が不足してしまうため、制御部17は、紙幣カセット4dからの分離枚数を1枚増やす(S146)。
続いて、100枚の施封紙幣(施封金種であって、万券かつ正券)を紙幣カセット4dから分離した後(S148において「Yes」)、制御部17は、施封紙幣集積部7に100枚の紙幣が搬送されたか否かを確認する(S150)。
施封紙幣集積部7に100枚の紙幣が搬送された場合(S150において「Yes」)、小束出金処理は終了し、上述したように、施封紙幣集積部7から施封部8への束搬送(S110)と、束紙幣の施封(S112)、および排出(S114)が行われる。また、複数束の出金の場合には(S116において「Yes」)、次の小束出金処理が開始され、バラ出金がある場合は接客部1からのバラ出金が行われる(S118)。
一方、施封紙幣集積部7に搬送された紙幣が100枚に足りない場合(S150において「No」)、接客部1から全ての紙幣を1枚ずつ分離する(図9に示すS152、S154)。接客部1には、紙幣カセット4dから分離され鑑別部2で万券かつ正券の表紙幣と鑑別された紙幣が集積されているため(S140、S142)、接客部1から分離することで、図6を参照して上述したように、紙幣の表裏が反転される。
次に、分離された紙幣は、接客部1から搬送路6aを経て鑑別部2に搬送される。ここで、接客部1から分離された紙幣は、上述したように既に紙幣カセット4dからの分離において万券かつ正券の表紙幣と鑑別された紙幣であるため、紙幣を鑑別しないモードまたは簡易鑑別で走行状態および正損だけをチェックするモードといった、鑑別部2でリジェクトされた場合に発生する処理時間を削減するモードを採用することも可能である。いずれのモードを採用するかは操作者により予め選択されてもよいし、管理者により予め設定されていてもよい。
紙幣を鑑別しないモードの場合(S156において「Yes」)、接客部1から分離される紙幣は既に紙幣カセット4dからの分離において万券かつ正券の表紙幣と鑑別された紙幣であって、接客部1を介したことにより表裏が反転された裏紙幣であるため、制御部17は、当該紙幣を搬送路6cおよび6nを経て施封紙幣集積部7へ搬送する(S168)。
一方、簡易鑑別モードの場合(S156において「No」、S158において「Yes」)、鑑別部2により、紙幣の走行状態および正損が鑑別される(S160)。走行状態が正常かつ正券である紙幣の場合(S160において「Yes」)、当該紙幣は搬送路6cおよび6nを経て施封紙幣集積部7へ搬送され(S168)、走行状態が異常または損券である紙幣の場合(S160において「No」)、当該紙幣は搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5へ搬送される(S166)。
また、通常の鑑別モードの場合(S156において「No」、S158において「No」)、鑑別部2により、紙幣の金種、真偽、正損、走行状態、および表裏状態が鑑別される(S162)。鑑別結果が万券かつ正券の裏紙幣の場合(S162において「Yes」)、当該紙幣を搬送路6cおよび6nを経て施封紙幣集積部7へ搬送され(S168)、鑑別結果が万券かつ正券の裏紙幣ではない場合(S162において「No」)、当該紙幣は搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5へ搬送される(S166)。続いて、制御部17は、接客部1から全ての紙幣を分離したか否かを確認する(S169)。
次に、全ての紙幣の分離が終了すると(S169において「Yes」)、制御部17は、施封紙幣集積部7に100枚の紙幣が搬送されたか否かを確認する(S170)。
施封紙幣集積部7に100枚の紙幣が搬送された場合(S170において「Yes」)、小束出金処理は終了し、図7に示すS110以降の処理が行われる。
一方、接客部1からの分離でリジェクトした場合には小束にする紙幣が不足するため、制御部17は、施封紙幣集積部7に搬送された紙幣が100枚に足りない場合(S170において「No」)、不足枚数を紙幣カセット4dから分離し(S172)、図8に示すS132以降の処理が繰り返される。なお不足枚数は下記式により求められる。
(式2)
不足枚数=100−施封紙幣集積部7への搬送枚数
不足枚数の算出後、制御部17は、接客部1からの分離の際、装置の異常で計数動作を繰り返す可能性もあるため、一定の動作時間(S174)、または接客部1から繰り出し回数が一定の回数(S176)に達したか否かを判断し、達した場合(S174において「Yes」、またはS176において「Yes」)、エラーとして計数を停止するよう制御する。これにより、計数動作を繰り返さない様にすることができる。つまり、不足枚数の算出後、紙幣カセット4から不足枚数分の紙幣が鑑別部2に搬送される(図8のS132からS136)。その際に表紙幣であると鑑別された紙幣は接客部1に搬送される(図8のS140)。接客部1から施封紙幣集積部7に紙幣を搬送する際に、接客部1から搬送された紙幣がリジェクト庫5に搬送された場合(図9のS166)、再度不足枚数の算出を行う(図9のS172)。そして、再度不足枚数分の紙幣を紙幣カセット4から搬送する。このような動作が何回も繰り返されないように、上述の一定の動作時間(S174)、または一定の回数(S176)に達したか否かを判断して、達している場合はエラーにする。また、接客部1からの紙幣の分離が終了してからエラー判断を行うことで、接客部1には残留紙幣が無いため、エラー発生時に操作者は施封紙幣集積部7から残留紙幣を取り除くだけでよい。また、図9には図示しないが、誤って101枚以上の紙幣を搬送路6nに搬送してしまった場合にもエラーとして計数を停止する。
以上説明したように、本実施形態によれば、小束出金取引において、紙幣カセット4から分離された紙幣が表紙幣であると鑑別された場合に接客部1を介して施封紙幣集積部7へ搬送することで、表裏を反転させることができる。
[3−2.入金取引]
上述した小束出金取引では、表と鑑別された紙幣を接客部1へ搬送して反転させているが、紙幣の反転を予め入金取引時に行い、表裏を揃えた状態で紙幣カセット4に収納することで、小束出金取引時における接客部1への搬送時間を削減することが可能となる。以下、このような入金取引について図10〜図17を参照して説明する。
図10〜図14は、本実施形態による入金取引の流れを説明する図である。図10に示したように、まず、接客部1に入金された紙幣が分離され、搬送路6aを経て鑑別部2に搬送される。そして、制御部17は、鑑別部2による鑑別結果が正常である紙幣を、図10に示すように搬送路6cおよび6dを経て一時保留部3へ搬送するよう制御する。一方、制御部17は、鑑別部2による鑑別部2による鑑別結果が異常である紙幣を、図10に示すように搬送路6cおよび6eを経て接客部1へ搬送するよう制御する。
そして、制御部17は、一時保留部3に搬送された紙幣を、図11に示したように一時保留部3から分離し、鑑別部2へ搬送し、鑑別結果に応じて紙幣カセット4a〜4dへ収納する。具体的には、裏紙幣と鑑別された紙幣は、金種に応じて紙幣カセット4b〜4dへ搬送され、表紙幣と鑑別された紙幣は、全て紙幣カセット4a(リサイクルカセット)へ搬送される。なお異常が鑑別された紙幣(リジェクト紙幣)は、搬送路6b、6f、6g、および6lを経てリジェクト庫5へ搬送される。
次いで、制御部17は、図12に示したように、紙幣カセット4aから紙幣を分離し、搬送路6h、6f、および6bを経て鑑別部2へ搬送する。紙幣カセット4aには、上述したように鑑別部2で表紙幣と鑑別された紙幣が金種に関わらず集積されている。
制御部17は、鑑別部2による鑑別結果に従って、正常紙幣は搬送路6cおよび6eを経て接客部1へ搬送し、異常紙幣は搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5へ搬送する。
次に、制御部17は、図13に示したように、接客部1から紙幣を分離し、搬送路6aを経て鑑別部2へ搬送する。接客部1を介することで、図6を参照して上述したように紙幣の表裏を反転するため、接客部1から分離した紙幣は鑑別部2で裏紙幣と鑑別され、搬送路6cおよび6dを経て一時保留部3へ搬送される。なお異常と鑑別された紙幣は、搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5へ搬送される。
そして、制御部17は、図14に示したように、一時保留部3から紙幣を分離し、裏紙幣を金種に応じて紙幣カセット4b〜4dへ搬送する。なお異常と鑑別された紙幣は、搬送路6b、6f、6g、および6lを経てリジェクト庫5へ搬送される。
本実施形態による紙幣処理部11は、上述した2つの処理(入金紙幣が集積された一時保留部3から紙幣カセット4a〜4dへの搬送と、紙幣カセット4aから接客部1を介して表裏を反転させた紙幣の紙幣カセット4b〜4dへの搬送)を行うことにより、紙幣を裏状態に揃えて金種別に紙幣カセット4b〜6dへ集積させることができる。これにより、上述した小束出金取引において表裏反転を行う必要がなく、表裏反転のための接客部1への搬送処理時間を削減することができる。
(本実施形態による入金取引の動作フロー)
図15〜図17は、上述した本実施形態による入金取引の動作を示すフローチャートである。ここでは一例として紙幣カセット4aを空きカセット(リサイクルカセット)、紙幣カセット4bを万券カセット、紙幣カセット4cを五千券カセット、紙幣カセット4dを千券カセットの場合における入金取引動作を説明する。また、図15に示す動作は、操作者が接客部1に紙幣を入金し、接客部1から分離された紙幣が搬送路6aを経て鑑別部2へ搬送され、正常紙幣が一時保留部3へ搬送された後における動作である。
図15に示したように、まず、制御部17は、一時保留部3から全ての紙幣(S200)を1枚ずつ分離し(S202)、搬送路6dおよび6cを経て、鑑別部2へ紙幣を搬送する。
損券の支払を行わない場合(S204において「No」)、制御部17は、鑑別結果が損券の紙幣を、搬送路6b、6f、6g、および6lを経てリジェクト庫5へ搬送する(S206において「Yes」、S224)。
一方、損券の支払も行う場合(S204において「Yes」)、制御部17は、鑑別結果の金種および表裏状態に応じて、紙幣カセット4a〜4dへ夫々搬送する。具体的には、鑑別結果が万券かつ裏紙幣の場合(S208において「Yes」)、制御部17は、当該紙幣を搬送路6f、6g、および6iを経て紙幣カセット4bへ搬送する(S210)。
また、鑑別結果が五千券かつ裏紙幣の場合(S212において「Yes」)、制御部17は、当該紙幣を搬送路6f、6g、および6jを経て紙幣カセット4cへ搬送する(S214)。
また、鑑別結果が千券かつ裏紙幣の場合(S216において「Yes」)、制御部17は、当該紙幣を搬送路6f、6g、および6kを経て紙幣カセット4dへ搬送する(S218)。
また、鑑別結果が万券、五千券、または千券の表紙幣の場合(S220において「Yes」)、制御部17は、当該紙幣を搬送路6fおよび6hを経て紙幣カセット4aへ搬送する(S222)。
なお、鑑別結果が万券、五千券、または千券以外の紙幣の場合、若しくは走行異常等の場合(S220において「No」)、制御部17は、当該紙幣を搬送路6b、6f、6g、および6lを経てリジェクト庫5へ搬送する(S224)。
上記S202〜S224の処理は、一時保留部3が空になるまで繰り返される(S226)。
次に、一時保留部3が空になり(S226において「Yes」)、表裏反転のタイミングとなった場合(図16に示すS230)、制御部17は、紙幣カセット4a(リサイクルカセット)から接客部1の最大集積可能枚数(例えば200枚)を分離する(S232)。表裏反転のタイミングとは、装置状態がアイドル状態になった場合、または、一定時間装置が使用されない場合の様に、取引に影響しないタイミングを想定する。これにより、例えば連続した入金取引を中断することなく続けて行うことができる。また、表示部16に表裏反転メニューを追加し、装置状態がアイドル状態の場合にオペレータが表裏反転メニューを選択したことを表裏反転タイミングとしてもよい。本実施形態では、紙幣カセット4aに集積されている表紙幣(鑑別部2において表側が上を向いていると鑑別された紙幣)を、接客部1を介して搬送することで表裏を反転させ、鑑別部2において裏側が上を向いていると鑑別された裏紙幣を金種別に紙幣カセット4b〜4dへ収納する。
次いで、制御部17は、紙幣カセット4aから1枚ずつ紙幣を分離し(S234)、搬送路6h、6f、および6bを経て鑑別部2へ搬送する。
次に、リジェクト紙幣の発生を減らしたい場合には、既に金種が判明した上で紙幣カセット4aに搬送された紙幣であるため、制御部17は、リジェクトを行わずに接客部1へ搬送することも可能である(S236において「Yes」、S242)。
一方、リジェクト紙幣は接客部1へ搬送しないようにする場合(S236において「No」)、制御部17は、鑑別部2で走行状態が悪い紙幣は(S238において「Yes」)、搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5へ搬送する(S240)。
また、制御部17は、鑑別部2で走行状態に異常がない紙幣を、搬送路6cおよび6eを経て接客部1へ搬送する(S238において「No」、S242)。
次いで、接客部1における最大集積枚数の紙幣の搬送が終了した場合、または、紙幣カセット4aが空になった場合(S244において「Yes」)、制御部17は、接客部1から全ての紙幣を分離して一時保留部3へ搬送する計数を開始する(S246)。
具体的には、まず、制御部17は、接客部1から紙幣を1枚ずつ分離し(S248)、搬送路6aを経て鑑別部2へ搬送する。この際、接客部1から分離される紙幣は、図6を参照して上述したように、接客部1の受入口が紙幣30を受け入れた際の紙幣の後側から、上記受入口とは別に設けられた繰出口から繰り出すことで、表裏が反転する。
次に、リジェクト紙幣の発生を減らしたい場合には、既に金種が判明した上で紙幣カセット4aに搬送された紙幣であるため、制御部17は、リジェクトを行わずに一時保留部3へ搬送することも可能である(S250において「Yes」、S256)。
一方、リジェクト紙幣は一時保留部3へ搬送しないようにする場合(S250において「No」)、制御部17は、鑑別部2で走行状態が悪い紙幣は(S252において「Yes」)、搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5へ搬送する(S254)。
また、制御部17は、鑑別部2で走行状態に異常がない紙幣を、搬送路6cおよび6dを経て一時保留部3へ搬送する(S252において「No」、S256)。
続いて、接客部1から全ての紙幣の分離が終了した場合(S258において「Yes」)、制御部17は、一時保留部3から全ての紙幣を分離して紙幣カセット4b〜4dへの収納を開始する(図17に示すS260)。
具体的には、まず、制御部17は、一時保留部3から1枚ずつ紙幣を分離し(S262)、搬送路6dおよび6cを経て鑑別部2へ搬送する。
損券の支払を行わない場合(S264において「No」)、制御部17は、鑑別結果が損券の紙幣を、搬送路6b、6f、6g、および6lを経てリジェクト庫5へ搬送する(S266において「Yes」、S280)。
一方、損券の支払も行う場合は損券か否かに関わらず(S264において「Yes」)、また、損券の支払を行わない場合は損券ではない紙幣を(S266において「Yes」)、制御部17は、鑑別結果の金種および表裏状態に応じて、紙幣カセット4b〜4dへ夫々搬送する。なお、上述したように、接客部1を介した搬送により紙幣の表裏が反転されているため、表紙幣が集積された紙幣カセット4aから分離された紙幣は接客部1を介して裏紙幣の状態となっている。
より具体的には、鑑別結果が万券かつ裏紙幣の場合(S268において「Yes」)、制御部17は、当該紙幣を搬送路6f、6g、および6iを経て紙幣カセット4bへ搬送する(S270)。
また、鑑別結果が五千券かつ裏紙幣の場合(S272において「Yes」)、制御部17は、当該紙幣を搬送路6f、6g、および6jを経て紙幣カセット4cへ搬送する(S274)。
また、鑑別結果が千券かつ裏紙幣の場合(S276において「Yes」)、制御部17は、当該紙幣を搬送路6f、6g、および6kを経て紙幣カセット4dへ搬送する(S278)。
なお、鑑別結果が万券、五千券、または千券以外の紙幣の場合、若しくは走行異常等の場合(S276において「No」)、制御部17は、当該紙幣を搬送路6b、6f、6g、および6lを経てリジェクト庫5へ搬送する(S280)。
上記S262〜S280の処理は、一時保留部3が空になるまで繰り返される(S282)。
次いで、紙幣カセット4aが空になるまで(S284において「Yes」)、または、取引等で処理が中断されるまで(S286において「Yes」)、上記S232以降の動作を繰り返す。
以上説明したように、本実施形態では、入金取引において、裏紙幣と鑑別された紙幣を金種別に紙幣カセット4b〜4dへ収納し、表紙幣と鑑別された紙幣は空きカセットである紙幣カセット4aへ収納し、装置状態がアイドル状態の場合等に紙幣カセット4aから紙幣を分離して接客部1を介して搬送することで表裏を反転させ、金種別に紙幣カセット4b〜4dへ収納する。これにより、予め表紙幣の反転処理を行って、裏紙幣と鑑別された紙幣を金種別に紙幣カセット4b〜4dへ収納できるので、小束出金取引時に、表紙幣と鑑別された紙幣を接客部1へ搬送して反転する処理時間を削減することができる。
(本実施形態の変形例)
なお、上述した入金取引では、複数の金種(例えば万券、五千券、千券)に対して反転計数を実施しているため時間がかかっていた。
そこで、早く施封したい金種だけを予め裏紙幣と表紙幣に分けて紙幣カセット4に収納することで、特定の施封金種の小束出金を早くすることが可能となる。
例えば、入金取引において、制御部17は、鑑別結果が万券かつ表紙幣を紙幣カセット4aへ搬送し、万券かつ裏紙幣(施封時には表紙幣となる)を紙幣カセット4bへ搬送し、五千券を紙幣カセット4cへ搬送し、千券を紙幣カセット4dへ搬送する。紙幣カセット4c、4dには、五千券および千券が、それぞれ表裏が混在した状態で収納される。
そして、小束出金取引において、制御部17は、紙幣カセット4bに収納されている裏紙幣を優先して施封紙幣集積部7へ搬送し、紙幣カセット4bが空になった場合には、不足分の紙幣を紙幣カセット4aから分離して接客部1を介して反転させ、施封紙幣集積部7へ搬送する。
このように、入金取引時において、施封金種の裏紙幣のみを紙幣カセット4bへ搬送し、表紙幣を紙幣カセット4aに搬送することで、入金取引時の反転計数処理時間を削減することができる。また、小束出金取引時において、施封金種の裏紙幣のみ収納されている紙幣カセット4bから紙幣を分離することで、小束出金取引時の反転計数処理時間を削減することができる。
さらに、上記小束出金取引では、紙幣カセット4bが空になった場合に不足分の紙幣を紙幣カセット4aから分離しているが、ここで制御部17は、紙幣カセット4aから接客部1の最大集積可能枚数(例えば200枚)を分離してもよい。この場合、制御部17は、不足分の紙幣は接客部1を介して施封紙幣集積部7へ搬送し、残りの紙幣を一時保留部3へ搬送した後、一時保留部3から紙幣カセット4bへ収納する。このように、不足分の紙幣を反転する際に可能な限り多くの枚数の表紙幣の反転を行い、紙幣カセット4bへ収納しておくことで、次の束出金における反転計数処理時間を削減することができる。
また、施封金種の表紙幣と裏紙幣を予め別々の紙幣カセット4a、4bに分けずとも、図7を参照して説明した小束出金取引時において、より多くの表紙幣の反転計数を行っておくことで、次の束出金における反転計数処理時間を削減することができる。具体的には、制御部17は、例えば紙幣カセット4dから施封金種の紙幣を分離し、鑑別結果が裏紙幣の場合は施封紙幣集積部7へ搬送し、鑑別結果が表紙幣の場合は表裏を反転させるため接客部1へ搬送し、このような紙幣カセット4dからの紙幣の分離を、施封紙幣集積部7に100枚、または接客部1に最大集積可能枚数(例えば200枚)搬送するまで行う。
次いで、紙幣カセット4dが空になった場合、または接客部1に200枚搬送した後、制御部17は、接客部1から紙幣を分離して表裏が反転された紙幣を一時保留部3へ搬送し、一時保留部3から紙幣カセット4dへ収納する。そして、紙幣カセット4dから不足分の紙幣を分離して施封紙幣集積部7へ搬送し、残りの紙幣カセット4dに収納された裏紙幣は次の束出金の際に利用され得る。これにより、次の束出金における反転計数処理時間を削減することができる。
[3−3.整理施封取引]
上述した実施形態では、紙幣カセット4から分離した紙幣を100枚単位で束出金する束出金取引における表裏反転について説明したが、本実施形態は束出金取引に限定されず、接客部1から分離した紙幣を100枚単位で束出金する整理施封取引においても同様に接客部1を介して紙幣の表裏反転を行うことが可能である。このような本実施形態による整理施封取引について以下図18〜図21を参照して説明する。
図18および図19は、本実施形態による整理施封取引の流れを示した説明図である。図18に示したように、まず、接客部1から紙幣が分離され、分離された紙幣が搬送路6aを経て鑑別部2に搬送される。そして、制御部17は、鑑別部2による鑑別結果が正常であって、また、施封金種であり、かつ表裏が裏の状態である紙幣を、搬送路6cおよび6nを経て施封紙幣集積部7へ搬送するよう制御する。なお、本実施形態では、搬送路6nから施封紙幣集積部7に集積する際に紙幣の表裏が逆になるため、鑑別部2により裏と鑑別された紙幣を施封紙幣集積部7に搬送することで、表紙幣の施封を実現することができる。
一方、制御部17は、鑑別部2による鑑別結果が異常であった紙幣や、施封金種以外の紙幣を、搬送路6cおよび6dを経て一時保留部3へ搬送するよう制御する。また、制御部17は、施封金種であっても表裏が表の状態である紙幣を、搬送路6cおよび6eを経て接客部1へ搬送するよう制御する。
そして、制御部17は、接客部1に搬送された紙幣を、接客部1から再度分離することで紙幣の表裏を反転させ、分離した紙幣を、搬送路6aを経て鑑別部2に再搬送するよう制御する。なお接客部1を利用した紙幣の表裏反転については、図6を参照して説明した通りであるため、ここでの詳細な説明は省略する。
また、制御部17は、接客部1が空になると、図19に示したように、一時保留部3に集積した紙幣を搬送路6dおよび6eを経て接客部1へ搬送し、異常紙幣や施封金種以外の紙幣を操作者に返却する。
本実施形態による紙幣処理部11は、上述した2つの処理(接客部1から鑑別部2への搬送、鑑別部2から施封紙幣集積部7、接客部1、または一時保留部3への搬送)を繰り返すことにより、施封金種の表裏を自動的に反転させて施封紙幣集積部7に表揃えの紙幣を集積させることができる。
(本実施形態による整理施封の動作フロー)
図20および図21は、上述した本実施形態による整理施封取引の動作を示すフローチャートである。図20に示したように、まず、操作者が表示部16に表示されたメニュー画面を操作して整理施封取引を選択し(S300)、さらに施封券種(正券、損券、指定券)および施封金種を入力して(S302)、紙幣を接客部1に投入する(S304)。
次に、制御部17は、接客部1から紙幣を分離して整理施封計数処理を行う(S306)。具体的には、制御部17は、接客部1から分離した紙幣を鑑別部2へ搬送し、鑑別結果が施封券種(指定された金種と正損種別が一致)の裏紙幣であれば施封紙幣集積部7へ搬送し、施封券種以外の紙幣またはリジェクト紙幣であれば一時保留部3へ搬送し、施封券種の表紙幣であれば接客部1へ搬送する。そして、接客部1から紙幣を繰り出すことで紙幣の表裏を反転させ、鑑別部2へ再度搬送する。
ここで、一時保留部3に搬送する紙幣は、施封できない紙幣であるため、後に操作者に返却する必要がある。したがって、接客部1の最大集積可能枚数(例えば200枚)を一時保留部3のフルとする。若しくは、接客部1への返却が複数回可能なシステムの場合、一時保留部3の最大集積容量をフルとしてもよい。この際、施封できなかった紙幣の返却計数において(後述するS318、S320、S340、S342)、接客部1の容量分の返却を行い、接客部1の紙幣が操作者に受け取られた後、再度一時保留部3からの返却計数を行い、一時保留部3が空になるまで返却および受取を繰り返す。
次いで、施封紙幣集積部7に、施封する所定の枚数、例えば100枚の紙幣が集積された場合(S308において「Yes」)、制御部17は、施封紙幣集積部7から施封部8に束搬送を行い、施封部8により束紙幣に施封を行った後、施封部8から小束紙幣を押し出す(排出する)ことでシャッタ9を開き、小束受取位置まで小束紙幣を移動させる(S310)。制御部17は、操作者が小束紙幣を受取ると、シャッタ9を閉じる。
次に、施封紙幣集積部7から施封部8に束搬送が行われ、施封紙幣集積部7において次の紙幣の集積準備が完了した後、接客部1に残留紙幣がある場合(S312において「Yes」)、上記S306に戻り、整理施封を継続する。なお、処理時間短縮のため、施封紙幣集積部7から施封部8に束搬送が行われて施封紙幣集積部7の集積準備が完了した時点で整理施封計数を開始してもよい。
一方、接客部1に残留紙幣はないが(S312において「No」)、操作者による再投入がある場合(S314において「Yes」)、上記S304に戻り、操作者により接客部1に紙幣が投入され、整理施封を継続する。
また、施封紙幣集積部7に100枚集積せずに(S308において「No」)、接客部1に残留紙幣が無くなった場合(接客エンドが検出された場合)(図21に示す330/Yes)も、制御部17は、紙幣の再投入の確認を行う(S314)。
また、接客部1に紙幣はあるが(S330において「No」)、接客部1から紙幣が分離できない(ジャム等の障害発生、分離不良等が発生した)場合(S332において「Yes」)、制御部17は、操作者に紙幣状態を確認してもらうために接客部1の紙幣の受取を促し(S342)、紙幣の再投入の確認を行う(S314)。
また、一時保留部3がフルになった場合(S334において「Yes」)、制御部17は接客部1の残留紙幣の有無を確認する(S336)。残留紙幣が有る場合(S336において「Yes」)、制御部17は、操作者に残留紙幣の抜き取りを促す(S338)。具体的には、例えば表示部16に接客部1からの残留紙幣抜き取りを通知する。
接客部1に残留紙幣がない場合(S336において「No」)、または残留紙幣が抜き取られると(S338)、制御部17は、一時保留部3から接客部1へ、施封できなかった紙幣の返却計数を行う(S340)。具体的には、制御部17は、一時保留部3から全ての紙幣を分離し、搬送路6dおよび6eを経て接客部1へ搬送する。この際、制御部17は、一時保留部3から分離した紙幣の枚数と接客部1へ集積した紙幣の枚数を整合して全ての紙幣が接客部1へ正常に搬送されたかを確認する。
次に、制御部17は、施封できなかった紙幣を接客部1から受け取るよう操作者に促す(S342)。
続いて、紙幣の再投入が無い場合(図20に示すS314において「No」)、制御部17は一時保留部3の紙幣の有無を確認し(S316)、紙幣が有る場合は、接客部1への返却計数を行い(S318)、接客部1からの紙幣受取を操作者に促す(S320)。
次いで、施封紙幣集積部7の残留紙幣の有無を確認し(S322)、残留紙幣が有る場合(S322において「Yes」)、制御部17は、操作者に端数紙幣を抜き取らせる(S324)。具体的には、例えば表示部16に施封紙幣集積部7からの端数紙幣抜き取りを通知する。
施封紙幣集積部7に残留紙幣が無い場合(S322において「No」)、または端数紙幣が抜き取られると、制御部17は、印字部14により、施封した通番および施封金額等の施封に関する情報を印字した明細票を排出させ(S326)、整理施封処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態によれば、整理施封取引において、接客部1から分離された紙幣が表紙幣であると鑑別された場合に接客部1を介して施封紙幣集積部7へ搬送することで、表裏を反転させることができる。
<4.変形例>
上述した実施形態では、図3に示す構造を有する紙幣処理部11において、図6を参照して説明したように接客部1を介して紙幣を搬送することで紙幣の表裏を反転させているが、本発明はこれに限定されず、例えば三叉路セレクタを用いて紙幣の表裏を反転することが可能である。
図22は、本実施形態の変形例による紙幣処理部21の内部構成を示した説明図である。図22に示す紙幣処理部21の構成は、図3に示す紙幣処理部11の構成と比較して、搬送路6dおよび6nの分岐に三叉路セレクタ20が追加されている点が異なり、他の構成は同様である。
三叉路セレクタ20が追加されることで、紙幣処理部21は、搬送路6cから搬送路6n(施封紙幣集積部7へ向かう第1の搬送路)に紙幣を送り込む他、搬送路6cから搬送路6d(一時保留部3(紙幣折返部)に向かう第2の搬送路)に送り込んで一時保留部3(紙幣折返部)で進路を折り返した紙幣を搬送路6d(第2の搬送路)から搬送路6n(第1の搬送路)へ送り込むことが可能となる。
以上説明した構成を有する紙幣処理部21における小束出金取引の流れについて図23および図24を参照して説明する。
図23および図24は、本実施形態の変形例による小束出金取引の流れを示した説明図である。図23に示したように、まず、指定された施封金種の紙幣が集積されている紙幣カセット4dから分離され、分離された紙幣が搬送路6k、6g、6f、および6bを経て鑑別部2へ搬送される。そして、制御部17は、鑑別部2による鑑別結果が正常であって、また、施封金種であり、かつ表裏が裏の状態である紙幣を、図23に示すように搬送路6cおよび6nを経て施封紙幣集積部7へ搬送するよう制御する。なお、本実施形態では、搬送路6nから施封紙幣集積部7に集積する際に紙幣の表裏が逆になるため、鑑別部2により裏と鑑別された紙幣を施封紙幣集積部7へ搬送することで、表紙幣の施封を実現することができる。
一方、制御部17は、鑑別部2による鑑別結果が異常であった紙幣(リジェクト紙幣)を、図23に示すように搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5へ搬送するよう制御する。また、制御部17は、施封金種であっても表裏が表の状態である紙幣は、図23に示すように搬送路6cおよび6dを経て一時保留部3へ搬送するよう制御する。
そして、制御部17は、一時保留部3へ搬送された紙幣を、図24に示したように一時保留部3から分離して搬送路6nへ送り込むことで紙幣の表裏を反転させ、分離した紙幣を、施封紙幣集積部7へ搬送するよう搬送路を制御する。上述したように、一時保留部3には、施封金種であるが表裏が表の状態である紙幣が搬送されているため、折返部として機能する一時保留部3で進路を折り返した紙幣を一時保留部3から搬送路6nへ送り込むことで、紙幣の表側が上を向いた状態で施封紙幣集積部7へ集積することができる。
本実施形態の変形例による紙幣処理部21は、上述した3つの処理(接客部1から鑑別部2への搬送、鑑別部2から施封紙幣集積部7または一時保留部3への搬送、一時保留部3から施封紙幣集積部7への搬送)を行うことにより、施封金種の表裏を自動的に反転させて施封紙幣集積部7に表揃えの紙幣を集積させることができる。
(本実施形態による小束出金取引の動作フロー)
続いて、本実施形態の変形例による紙幣処理部21における小束出金取引の動作フローについて説明する。小束出金取引の基本的な動作フローは、図7に示す通りであって、本変形例では、図7のステップS108に示す小束出金処理が異なる。以下、図25および図26を参照して具体的に説明する。
図25および図26は、本変形例による小束出金処理の動作を示すフローチャートである。ここでは、一例として紙幣カセット4dが万券金庫であって、万券かつ正券の表紙幣100枚の小束を出金する場合について説明する。
図25に示したように、まず、制御部17は、小束出金する金種(すなわち施封金種)が格納されている紙幣カセット4dから1枚ずつ100枚の紙幣を分離する(S400、S402)。
次に、分離された紙幣は、紙幣カセット4dから搬送路6k、6g、6f、および6bを経て鑑別部2へ搬送される。鑑別部2では、紙幣の金種、真偽、正損、走行状態、および表裏状態が鑑別され、制御部17は、鑑別結果に基づいて、万券かつ正券の裏紙幣の場合は(S404において「Yes」)、当該紙幣を搬送路6cおよび6nを経て施封紙幣集積部7へ搬送する(S406)。なお表紙幣の施封を行う際に裏紙幣を施封紙幣集積部7へ搬送するのは、搬送路6nから施封紙幣集積部7に集積する際に紙幣の表裏が逆になるためである。
一方、鑑別結果が万券かつ正券の表紙幣の場合(S404において「No」、S408において「Yes」)、制御部17は、当該紙幣を搬送路6cおよび6dを経て一時保留部3へ搬送する(S410)。上述したように、紙幣折返部として機能する一時保留部3で紙幣を折り返して搬送路6nへ送り込むことで紙幣の表裏を反転させるためである。
また、制御部17は、鑑別結果が万券または正券以外の紙幣(例えば偽券、損券、走行異常等のリジェクト紙幣)の場合(S408において「No」)、当該紙幣を搬送路6cおよび6mを経てリジェクト庫5へ搬送する(S412)。この際、リジェクト庫5へ紙幣を搬送した分、施封紙幣が不足してしまうため、制御部17は、紙幣カセット4dからの分離枚数を1枚増やす(S414)。
続いて、紙幣カセット4dからの100枚の紙幣の分離が終了した場合(S416において「Yes」)、制御部17は、施封紙幣集積部7に100枚の紙幣が搬送されたか否かを確認する(図26に示すS418)。
施封紙幣集積部7に100枚の紙幣が搬送された場合(S418において「Yes」)、小束出金処理は終了し、図7に示したように、施封紙幣集積部7から施封部8への束搬送(S110)と、束紙幣の施封(S112)、および排出(S114)が行われる。
一方、施封紙幣集積部7へ搬送された紙幣が100枚に足りない場合(S418において「No」)、制御部17は、一時保留部3から全ての紙幣を1枚ずつ分離する(S420、S422)。
次いで、制御部17は、三叉路セレクタ20を搬送路6d方向から搬送路6n方向に切り替え、一時保留部3から分離した紙幣を搬送路6nに送り込み、施封紙幣集積部7へ搬送する(S424)。一時保留部3には、紙幣カセット4dから分離され鑑別部2で万券かつ正券の表紙幣と鑑別された紙幣が集積されているため(S408、S410)、一時保留部3から分離して搬送路6nへ送り込むことで、上述したように紙幣の表裏が反転される。
そして、一時保留部3から全ての紙幣を分離し終えた場合、すなわち一時保留部3が空になった場合(S426において「Yes」)、小束出金処理は終了し、図7に示したように、施封紙幣集積部7から施封部8への束搬送(S110)と、束紙幣の施封(S112)、および排出(S114)が行われる。なお、走行状態が悪い紙幣を施封紙幣集積部7に搬送してしまうと束紙幣を正常に施封できない場合も考えられるため、三叉路セレクタ20を鑑別部2の方向に切り替え、走行状態が悪い紙幣をリジェクト庫5に搬送し、不足紙幣を金種カセットから繰り出すことで束紙幣の品質を上げることもできる。
以上説明したように、本変形例によれば、小束出金取引において、紙幣カセット4から分離された紙幣が表紙幣であると鑑別された場合に一時保留部3へ搬送して進路を折返し、三叉路セレクタ20を搬送路6n方向に切り替えて、一時保留部3から分離した紙幣を、搬送路6nを経て施封紙幣集積部7へ搬送することで、紙幣の表裏を反転させることができる。
なお、入金取引時において、鑑別結果にしたがって所定金種の裏紙幣と表紙幣を別々の紙幣カセットへ収納しておいてもよい。この場合、小束出金取引時において、裏紙幣と鑑別された紙幣が集積されている紙幣カセット4から優先的に分離することで、一時保留部3を介して表裏を反転するための処理時間を削減することができる。
(本実施形態による整理施封取引の動作フロー)
以上、紙幣カセット4から分離した紙幣を100枚単位で束出金する束出金取引における表裏反転について説明したが、本変形例は束出金取引に限定されず、接客部1から分離した紙幣を100枚単位で束出金する整理施封取引においても同様に一時保留部3を介して紙幣の表裏反転を行うことが可能である。このような本実施形態の変形例による整理施封取引について以下図27、図28を参照して説明する。
図27に示したように、まず、操作者が表示部16に表示されたメニュー画面を操作して整理施封取引を選択し(S500)、さらに施封券種(正券、損券、指定券)および施封金種を入力して(S502)、紙幣を接客部1に投入する(S504)。
次に、制御部17は、接客部1から紙幣を分離して整理施封計数処理を行う(S506)。具体的には、制御部17は、接客部1から分離した紙幣を鑑別部2へ搬送し、鑑別結果が施封券種(指定された金種と正損種別が一致)の裏紙幣であれば施封紙幣集積部7へ搬送し、施封券種以外の紙幣またはリジェクト紙幣であれば施封できない紙幣であるため接客部1へ搬送して操作者に返却し、施封券種の表紙幣であれば表裏を反転させるために一時保留部3へ搬送する。
次いで、制御部17は、施封紙幣集積部7に、施封する所定の枚数、例えば100枚の紙幣が集積されたか否かを確認する(S308)。施封紙幣集積部7に100枚集積されていない場合(S308において「No」)、制御部17は、一時保留部3から全ての紙幣を施封紙幣集積部7へ搬送する(S509)。より具体的には、制御部17は、三叉路セレクタ20を搬送路6n方向へ切り替えて、一時保留部3から分離した紙幣を搬送路6nへ送り込む。これにより、紙幣の表裏を反転させることができる。
一時保留部3からの紙幣の分離が全て終了すると、制御部17は、施封紙幣集積部7に、施封する所定の枚数、例えば100枚の紙幣が集積されたか否かを再び確認する(S510)。
施封紙幣集積部7に100枚の紙幣が集積されている場合(S508において「Yes」、S510において「Yes」)、制御部17は、施封紙幣集積部7から施封部8に束搬送を行い、施封部8により束紙幣に施封を行った後、施封部8から小束紙幣を押し出す(排出する)ことでシャッタ9を開き、小束受取位置まで小束紙幣を移動させる(S511)。制御部17は、操作者が小束紙幣を受取ると、シャッタ9を閉じる。
続くS512〜S526の処理は、図20に示すS312〜S326の処理と同様のため、ここでの詳細な説明は省略する。
一方、一時保留部3から全ての紙幣を施封紙幣集積部7へ搬送した後も、施封紙幣集積部7に100枚の紙幣が集積されていない場合(S510において「No」)、制御部17は、接客部1の残留紙幣の有無を確認し(図28に示すS530)、接客部1に残留紙幣が無い場合(接客エンドが検出された場合)、紙幣の再投入の確認を行う(図27に示すS514)。
また、接客部1に紙幣は有るが(S530において「No」)、接客部1から紙幣が分離できない(ジャム等の障害発生、分離不良等が発生した)場合(S532において「Yes」)、制御部17は、操作者に紙幣状態を確認してもらうために接客部1の紙幣の受取を促し(S538)、紙幣の再投入の確認を行う(図27に示すS514)。
また、接客部1に投入された現金が全て繰り出された(計数された)場合(S534において「Yes」)、制御部17は、接客部1の残留紙幣の有無を確認し(S536)、残留紙幣が有る場合は操作者に残留紙幣(上記S509において施封できないため返却した紙幣)の抜き取りを促す(S538)。
接客部1に投入された現金が全て計数されていない場合(S534において「No」)、または接客部1の残留紙幣が抜き取られると(S538)、制御部17は、紙幣の再投入の確認を行う(図27に示すS514)。
以上説明したように、本実施形態によれば、整理施封取引において、接客部1から分離された紙幣が表紙幣であると鑑別された場合に一時保留部3を介して施封紙幣集積部7へ搬送することで、表裏を反転させることができる。
なお、図22〜図24を参照して説明した例では、施封紙幣集積部7へ搬送する下流に設けられている紙幣集積部(一時保留部3)へ紙幣を搬送することで表裏反転を行っているが、下流に紙幣集積部が無い場合であっても、搬送路6d上で紙幣の進路を折り返すことで表裏反転を行うことが可能である。具体的には、制御部17は、鑑別部2で表と鑑別された紙幣を搬送路6cから搬送路6dへ搬送し、搬送路6dにおいて三叉路セレクタ20を通過した時点で図示しない紙幣を搬送するモータを停止し、三叉路セレクタ20を搬送路6n方向に切り替え、搬送モータを起動することで搬送路6nに紙幣を送り込む。この場合、搬送路6nが折返部として用いられる。
<5.むすび>
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、特殊な表裏反転機構を備えなくとも、装置の小型化を実現しつつ、接客部1や三叉路セレクタ20を用いることで表裏を反転させることができる。
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本明細書の現金処理装置10の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、現金処理装置10の処理における各ステップは、説明した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
また、現金処理装置10に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述した現金処理装置10の制御部17と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。また、紙幣処理部11、硬貨処理部12に内蔵されるCPU、ROMおよびRAM等を実装している場合には、制御部17と同様な機能を発揮させる事もできる。