JP2016070866A - 形状測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】板状体に不当な力を作用させることなく支持すると共に、板状体の本来の面形状を正確に測定することができる形状測定装置を提供する。
【解決手段】板状体Gの面形状を測定する形状測定装置1であって、板状体Gに流体を吐出し且つ板状体Gを平置き姿勢で浮上させた状態で支持する複数の流体浮上部2と、浮上させた状態における板状体Gの面形状を示す面形状データを測定する測定部3とを備え、複数の流体浮上部2が相互に離間して配置される。
【選択図】図2

Description

本発明は、流体を吐出して板状体を浮上させる流体浮上部を構成要素として板状体の面形状を測定する形状測定装置に関する。
近年、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ或いは有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(以下、FPDという)や照明用パネルさらには太陽電池用パネルなどにおいては、軽量で可撓性を有する薄肉のガラス基板の利用が促進されている。この種のガラス基板に代表される軽量で可撓性を有する板状体は、高い平坦性が要求されるが、製造時における温度変化などの影響により反りやうねり等の変形が生じるため、品質管理等の観点から、板状体の本来の面形状を測定する必要性が重視されるに至っている。
この種の板状体の面形状を測定する装置は、定盤の上に板状体を載置して静止させた状態で、測定器具等を用いて当該板状体の表面側から面形状を測定するように構成されているのが一般的とされていた。しかしながら、このような一般的な装置では、板状体が自重によって定盤上に押さえ付けられるため、板状体の本来の面形状を正確に測定することが困難であった。
このような問題解決を主たる目的とした装置として、特許文献1によれば、単一の定板の表面全域に形成された複数のエア噴出ノズルからエアを吐出して、板状体を定板上で一旦浮上させた後、エアの吐出を解除して板状体を自由落下させ、その自由落下の途中で、板状体の面形状を測定手段(特許文献1における空間座標検出手段)で測定する構成が開示されている。
特開平10―068620号公報
しかしながら、特許文献1に開示された装置によるにしても、板状体が薄肉の板ガラスあるいはガラスフィルムのように容易に変形する特性を備えている場合には、以下に示すような種々の問題を有していた。
すなわち、この装置は、自由落下の途中で板状体の面形状を測定する構成とされているため、板状体は落下時の空気抵抗等によって変形してしまい、本来の面形状を測定することが困難あるいは不可能であった。また、板状体の落下中に測定手段がその表面を短時間で測定せねばならないため、複数の測定手段を備える必要性が生じるなどして、装置の構成の複雑化や製作コストの高騰を招くという問題があった。
さらに、この装置は、単一の定板の表面全域に亘って配置された複数のエア噴出ノズルからエアを吐出させて板状体を浮上させた状態で面形状を測定する構成であるため、板状体の面に作用するエアの圧力の分布が好ましい態様にならず、正確な面形状を測定する上で大きな妨げになっていた。詳述すると、板状体の中央部付近に噴出されたエアは、板状体の端縁部付近に噴出されたエアによって、板状体の下部空間からその外部への流出が阻止される。このような状態で、板状体の下部空間に次々にエアが噴出されると、板状体の中央部に作用するエアの圧力が、板状体の端縁部付近に作用するエアの圧力よりも高圧となるため、板状体の中央部は、上方に凸状となるように湾曲変形する。従って、このような状態から、板状体を自由落下させても、落下前の板状体が不当に湾曲変形している上に、落下時には上述のように空気抵抗等の悪影響を受けることから、板状体の本来の面形状を測定することの困難性を極めて大きなものとしていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、板状体に不当な流体圧を作用させることなく適正に板状体を浮上させて支持することを可能にして、当該板状体の本来の面形状を正確に測定することを技術的課題とする。
上記技術的課題を解決するために創案された本発明は、板状体の面形状を測定する形状測定装置であって、前記板状体に流体を吐出し且つ前記板状体を平置き姿勢で浮上させた状態で支持する流体浮上部と、前記浮上させた状態における前記板状体の面形状を示す面形状データを測定する測定手段とを備え、前記流体浮上部を複数有すると共に、これら複数の流体浮上部を相互に離間して配置したことに特徴づけられる。
このような構成によれば、板状体は、複数の流体浮上部から吐出される流体の圧力によって平置き姿勢で浮上し、その浮上した状態のままで、面形状を示す面形状データが測定手段により測定される。そのため、板状体を自由落下させる途中で測定を行う場合のように、空気抵抗等による悪影響を受けなくなる。しかも、複数の流体浮上部は相互に離間しているため、各流体浮上部からそれぞれ流体が吐出される各吐出領域の相互間には、流体が吐出されない隙間領域が形成される。そのため、板状体を浮上させて支持した状態の下では、板状体の下部空間に吐出された余分な流体が、隙間領域に流れ込むことになる。従って、板状体の下部空間には、余分な流体が存在しなくなり、板状体に作用する流体圧の不均一化が抑制される。その結果、板状体の中央部が上方に凸状となるように湾曲変形するという不具合が抑止されて、板状体の本来の面形状を正確に測定することが可能となる。
このような構成において、前記複数の流体浮上部の相互間には、前記浮上させた状態における前記板状体の下部空間からその外部に前記流体を流出させる流出路が形成されていることが好ましい。
このようにすれば、複数の流体浮上部から板状体へ向かって流体が次々に吐出されても、板状体の下部空間に存する余分な流体は、その下部空間に留まらずに流出路を通じて下部空間から外部に流出する。これにより、板状体の下部空間に余分な流体が残存するという不具合が確実に抑止される。
以上の構成において、前記複数の流体浮上部はそれぞれ、一方向に長尺に形成された筐体部の上面に、前記流体を吐出する吐出部を設けてなり、これら複数の筐体部は、平行もしくは略平行に並列に配設されていることが好ましい。
このようにすれば、複数の筐体部の相互間には、直線状をなす複数の隙間領域が略平行な状態で形成されるため、各筐体部の上面の吐出部から吐出されて板状体の下部空間に存する余分な流体は、直線状の隙間領域に沿って流れることになる。これにより、隙間領域内における流体の流通抵抗が小さくなるため、流体の流れが隙間領域で滞るという事態が抑制される。しかも、複数の筐体部はそれぞれ高さを有しているため、各流体浮上部とそれら相互間の離間部位とが面一状態にある場合と比較して、隙間領域が広くなり、板状体の下部空間から余分な流体を排除する効果が大きくなる。
以上の構成において、前記複数の流体浮上部は、前記板状体を傾斜させて支持するように構成されていてもよい。
このようにすれば、複数の流体浮上部から板状体に向かって吐出された余分な流体を、板状体の下部空間から板状体の傾斜面に沿って外部に流出させるという作用も行われ得ると共に、板状体があらゆる方向に自由に浮遊するという事態も回避され得る。
以上の構成において、前記板状体の主面方向の移動を規制する規制部材を備えていることが好ましい。
このようにすれば、浮上させた状態で支持された板状体が主面方向に移動しようとしても、規制部材によって板状体の移動が規制されるため、板状体の表面の面形状データを測定している最中に、板状体が移動するという不具合が回避される。
以上の構成において、前記板状体は略矩形状をなし、前記複数の流体浮上部は、前記板状体を対向する一方のコーナー部から他方のコーナー部に向かって下降傾斜させて支持するように構成されていることが好ましい。
このようにすれば、板状体を浮上させた状態で定位置に保持しておく場合に、一方のコーナー部の移動を規制するだけで済むため、その規制のための構成を簡素化することができる。なお、この場合の板状体の水平面に対する傾斜角度は、1度以下であることが好ましい。
以上の構成において、前記複数の流体浮上部の相互間における離間寸法は、10mm以上で且つ200mm以下であることが好ましい。
すなわち、上記の離間寸法が10mm未満の場合には、各流体浮上部からそれぞれ吐出された流体が、各流体吐出領域の相互間の隙間領域を僅かに流通するだけで、その大部分が板状体の下部空間に留まる虞がある。一方、上記の離間寸法が200mmを超えた場合には、吐出された流体が、各流体吐出領域の相互間の隙間領域から大量に流出する虞がある。従って、上記の離間寸法を10mm以上で且つ200mm以下としておけば、これらの不具合は生じ難い。以上の事項を勘案すれば、上記の離間寸法は、40mm以上であることがより好ましく、また120mm以下であることがより好ましい。
以上の構成において、前記測定部は、予め判明している位置(例えば変位計自体の位置)から前記板状体の表面までの距離情報を非接触で測定する変位計と、前記変位計を前記板状体の上方で駆動させて前記板状体の表面を走査させる駆動走査部と、前記変位計の走査により前記板状体の複数箇所における前記距離情報を取得すると共に、その取得された複数の距離情報に基づいて前記面形状データを生成する処理部とを含むことが好ましい。
このようにすれば、駆動走査部を駆動して、変位計が板状体の表面を走査すれば、変位計から板状体の表面までの距離情報を板状体の表面の複数箇所で取得することができると共に、取得された複数の距離情報に基づいて処理部が板状体の面形状を示す面形状データを速やかに生成することができる。これにより、駆動走査部によって変位計が移動した領域における板状体の面形状データを迅速且つ正確に測定することができる。
以上の構成において、前記測定部で測定された面形状データと、前記複数の流体浮上部の各上面を通る基準面の形状を示す基準面形状データとに基づいて、補正面形状データを求める演算部をさらに備えることが好ましい。
このようにすれば、演算部が、測定部で測定された面形状データを、基準面形状データで補正することによって、補正面形状データが得られることになるため、板状体の面形状をより正確に把握することが可能となる。なお、「基準面」とは、流体浮上部上に板状体が載置されていない状態における流体浮上部の各上面とそれら上面を滑らかに繋ぐ仮想繋ぎ面とからなる単一の面であってもよく、あるいは、流体が吐出されていない流体浮上部の上に板状体を載置した状態における板状体の表面であってもよい。
以上の構成において、前記板状体の表面側及び裏面側の各々について前記面形状データを取得すると共に、この両データに基づいて、補正面形状データを求める演算部をさらに備えることが好ましい。
このようにすれば、演算部が、板状体の表面側又は裏面側の一方側の面を測定した面形状データを、他方側の面を測定した面形状データで補正することによって、補正面形状データが得られることになるため、板状体の面形状をより正確に把握することが可能となる。
以上の構成において、前記複数の流体浮上部を相互に離間させた方向に対して、その離間寸法の1/2だけ前記板状体を移動させる前後の各々について前記面形状データを測定し、この両データに基づいて、補正面形状データを求める演算部をさらに備えることが好ましい。
このようにすれば、演算部が、上記離間寸法の1/2だけ移動する前に測定した面形状データを、上記離間寸法の1/2だけ移動した後に測定した面形状データで補正することによって、補正面形状データが得られることになるため、板状体の面形状をより正確に把握することが可能となる。
以上のように本発明によれば、板状体に不当な流体圧を作用させることなく適正に板状体を浮上させて支持することができるため、当該板状体の本来の面形状を正確に測定することが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る形状測定装置の概略要部構成を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る形状測定装置であって、板状体が浮上支持された状態を示している。 本発明の第1実施形態に係る形状測定装置であって、変位計から板状体までの距離情報を測定している状態を示している。 図1のA−A線縦断面図である。 図2のB−B線縦断面図である。 本発明の第1実施形態に係る第1例における板状体の補正面形状データが求められるまでのブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る第2例における板状体の補正面形状データが求められるまでのブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る第3例における板状体の補正面形状データが求められるまでのブロック図である。 図9(a)は、本発明の第1実施形態に係る第3例に係る形状測定装置であって、第1の位置における板状体までの距離情報を測定する概略要部構成を示す斜視図である。図9(b)は、第1の位置から第2の位置まで移動した後の板状体までの距離情報を測定する概略要部構成を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る形状測定装置の概略要部構成を示す斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る形状測定装置の概略要部構成を示す斜視図である。 図11のC−C縦断面図である。 本発明の第4実施形態に係る形状測定装置の概略要部構成を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態に係る形状測定装置について図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係る形状測定装置1の概略構成を例示している。これら各図に示すように、形状測定装置1は、主たる構成要素として、板状体Gを平置き姿勢で浮上させた状態で支持する複数の流体浮上部(筐体部)2と、浮上した状態に維持されている板状体Gの面形状を示す面形状データを非接触で測定する測定部3とを備える。この場合、板状体Gは、本実施形態では略矩形のガラス基板で構成され、ガラス基板Gのサイズは、一辺の寸法が600〜3500mm(本実施形態では、2500mm)、これに隣接する他辺の寸法が500〜3200mm(本実施形態では、2200mm)、厚みが0.2〜1.1mm(本実施形態では、0.5mm)とされている。
複数の流体浮上部2はそれぞれ、一方向に長尺な細長直方体形状の筐体部2の上面2aに、流体を上方に吐出する吐出部2ax(同図にクロスハッチングを付した部位)を有する構成とされている。これら複数の筐体部2は、平行もしくは略平行に並列に配列され、それぞれの相互間に間隙部4を介して互いに離間して配置されている。換言すれば、複数の筐体部2の相互間には、間隔がDで且つ高さがhの間隙部4が設けられており、これに伴ってそれらの上面2aの吐出部2axは、相互にDの間隔を開けて配置されている。
この場合、間隔Dは、10mm以上で且つ200mm以下(本実施形態では、100mm)とされると共に、高さhは、10mm以上で且つ200mm以下(本実施形態では、100mm)とされている。さらに、筐体部2の個数は、2個以上(本実施形態では6個)とされている。また、個々の筐体部2は、長手方向の寸法が500mm以上で且つ4000mm以下(本実施形態では、2800mm)とされると共に、長手方向と直交する方向(幅方向)の寸法が50mm以上で且つ200mm以下(本実施形態では、100mm)とされている。なお、詳細には図示しないが、各筐体部2の上面2aにはそれぞれ流体を吐出させる多数の吐出孔が均等に形成されており、これによって吐出部2axが構成されている。
測定部3は、変位計としてのレーザー変位計3aを有し、このレーザー変位計3aは、予め判明している位置(例えばレーザー変位計3a自体の位置)から、ガラス基板Gの表面までの距離情報を非接触で測定するように構成されている。さらに、測定部3は、レーザー変位計3aをガラス基板Gの上方で駆動させてガラス基板Gの表面を走査させるガントリー装置等からなる駆動走査部(図示略)と、走査によりガラス基板Gの複数箇所における距離情報を測定して、これら距離情報に基づいてガラス基板Gの面形状を示す面形状データを生成する処理部3bとを備えている。
ここで、レーザー変位計3aは、ガラス基板Gの表面と直交する方向を指向して一定の高さに配置され、ガラス基板Gにレーザーを照射して、ガラス基板Gの表面までの距離を非接触で測定するものである。このレーザー変位計3aには、拡散方式や正反射方式等があるが、ガラス基板Gが透明体であることを勘案すれば、正反射方式のレーザー変位計3aを使用することが好ましい。また、レーザー変位計3aとしては、距離分解能等を考慮し、レーザー三角法または共焦点法による測定が行えるレーザー変位計3aを用いることが好ましい。なお、レーザー変位計3aに代えて、エアマイクロ、光、超音波などを媒体とした非接触式の変位計を使用することができると共に、ガラス基板Gの面形状を撮影するカメラ等の撮影手段を使用することもできる。
図3は、浮上支持したガラス基板Gの上面をレーザー変位計3aが走査している状態を例示している。同図に示すように、レーザー変位計3aは、ガントリー装置等の駆動により、ガラス基板Gの上面を縦横方向(X方向及びY方向)に自在に走査可能とされ、例えば図示例のように、レーザー変位計3aをガラス基板Gの上面で蛇行するように走査させることができる。また、レーザー変位計3aは、ガントリー装置等によって上下方向(Z方向)にも移動することができ、これによりレーザー変位計3aの高さ調節ができるようになっている。なお、駆動走査部としては、ガントリー装置等に代えて、ロボットアーム等を使用するようにしてもよい。
図4は、図1のA―A線にしたがって切断した縦断面図である。同図に示すように、複数の筐体部2は、ガラス基板Gを、対向する一方のコーナー部から他方のコーナー部に向かって下降傾斜させて浮上支持するように、角度αだけ傾斜して配列されている。詳述すると、図2に示すガラス基板Gがコーナー部G1側に向かって下降傾斜して浮上支持されるように、図4に示す複数の筐体部2の底面2bを全て含む傾斜平面h2が、水平面H1に対して角度αだけ傾斜している。従って、複数の筐体部2の上面2a(吐出部2ax)を全て含む傾斜平面H3も、同様に水平面H1に対して角度αだけ傾斜している。この角度αは、1度以下、好ましくは0.5度以下、より好ましくは0.1度以下、本実施形態では0.05度に設定されている。
さらに、図1〜図3に示すように、ガラス基板Gが下降傾斜するコーナー部G1の方向には、ガラス基板Gの移動を規制する樹脂やゴムまたは金属等からなる複数本の規制部材6が立設されている。これらの規制部材6は、円柱状又は円筒状を呈しており、その側面がガラス基板Gが下降傾斜する方向のコーナー部G1を形成する二辺Ga、Gbに当接している。本実施形態では、これらの規制部材6は、ガラス基板Gの四つの辺のうち、筐体部2の長手方向に沿う一の辺Gaについては複数本(図示例では二本)が当接し、それと直交する方向に沿う他の辺Gbについては一本が当接するように配列されている。従って、ガラス基板Gは、傾斜しているものの、規制部材6との当接によって主面方向の移動が規制されて、定位置に安定して保持される。
図5は、図2のB−B線にしたがって切断した縦断正面図であって、ガラス基板Gが浮上して支持されている状態を誇張して例示している。同図に示すように、ガラス基板Gは、複数の相互離間した筐体部2の上面2aの吐出部2axから吐出される流体によって浮上支持されるが、この浮上支持されたガラス基板Gの下部空間には、複数の流体の吐出領域7と、流体が吐出されない隙間領域8(間隙部4とその上部とからなる領域)とが形成される。そして、隙間領域8は、ガラス基板Gの下部空間に存する余分な流体が流れ込む部位であると共に、その余分な流体をガラス基板Gの下部空間から外部に流出させる流出路としての役割をも果たす。従って、ガラス基板Gは、本来の面形状が出現し易い状態で浮上支持されていることになる。
特に、隙間領域8では、流体の吐出力が直接作用しない状態でガラス基板Gが浮上支持されているため、この隙間領域8及びその周辺部においては、流体の吐出領域7の幅方向中央部よりもさらにガラス基板Gの本来の面形状が出現し易い状態になっていると考えられる。従って、理想的には、隙間領域8及びその周辺部で、重点的にガラス基板Gの面形状データを測定することが好ましいと考えられる。しかしながら、何れにしても、上述のような流体の吐出態様であると、ガラス基板Gの全域に亘って本来の面形状(反りやうねり等を有する面形状)もしくはそれに近い面形状が出現している。そして、このような状態にあるガラス基板Gの上面をレーザー変位計3aが走査していくことにより、測定部3でガラス基板Gの適切な面形状データが測定される。
図6は、本実施形態の第1例に係るブロック図であって、測定部3で測定された浮上支持状態にあるガラス基板Gの面形状データと、測定部3で測定された基準面形状データとに基づいて、補正面形状データが求められるまでの概略構成を例示している。ここで、基準面形状データとは、本実施形態では、流体が吐出されていない複数の筐体部2の上面2aにガラス基板Gを載せた状態(ガラス基板の自重が直接作用する状態)で、測定部3にて測定された面形状データである。なお、この基準面形状データは、流体が吐出されていない複数の筐体部2の上面2aを測定部3にて測定した面形状データに、これら各上面2aを滑らかに繋ぐ仮想繋ぎ面を合成してなる面形状データであってもよいが、この場合、仮想繋ぎ面についてはガラス基板Gの自重の影響が考慮されるべきである。
同図に示すように、測定部3のレーザー変位計3aから処理部3bに距離情報を示す信号が送出されるが、処理部3bは、基準面形状データ処理部3b1と、面形状データ処理部3b2とを備えている。従って、レーザー変位計3aからの信号は、基準面形状データ処理部3b1と、面形状データ処理部3b2とに送出された後、これらの両処理部3b1、3b2からの信号が、演算部5に送出される。このような構成によれば、基準面形状データ処理部3b1で、上述のようにして基準面形状データが生成されると共に、面形状データ処理部3b2で、浮上支持状態にあるガラス基板Gの面形状データが生成される。そして、演算部5で、浮上支持状態にあるガラス基板Gの面形状データと、基準面形状データとの差分に相当する補正面形状データが求められる。
図7は、本実施形態の第2例に係るブロック図であって、測定部3で測定された浮上支持状態にあるガラス基板Gにおける表面側及び裏面側の両面形状データに基づいて、補正面形状データが求められるまでの概略構成を例示している。同図に示すように、測定部3の処理部3bは、表面形状データ処理部3b3と、裏面形状データ処理部3b4とを備えている。従って、レーザー変位計3aからの信号は、表面形状データ処理部3b3と、裏面形状データ処理部3b4とに送出された後、これら両処理部3b3、3b4からの信号が、演算部5に送出される。このような構成によれば、表面形状データ処理部3b3で、浮上支持状態にあるガラス基板Gの表面の面形状データが生成されると共に、裏面形状データ処理部3b4で、浮上支持状態にあるガラス基板Gの裏面の面形状データが生成される。そして、演算部5で、表面の面形状データと裏面の面形状データとの差分に相当する補正面形状データが求められる。
図8は、本実施形態の第3例に係るブロック図であって、測定部3で測定された浮上支持状態にあるガラス基板Gにおける移動前と移動後との両面形状データに基づいて、補正面形状データが求められるまでの概略構成を例示している。同図に示すように、測定部3の処理部3bは、第1面形状データ処理部3b5と、第2面形状データ処理部3b6とを備えている。従って、レーザー変位計3aからの信号は、第1面形状データ処理部3b5と、第2面形状データ処理部3b6とに送出された後、これら両処理部3b5、3b6からの信号が、演算部5に送出される。ここで、第1面形状データ処理部3b5は、浮上支持状態にあるガラス基板Gが第1の位置に存在しているときの面形状データを生成するものであり、第2面形状データ処理部3b6は、浮上支持状態にあるガラス基板Gが第1の位置から間隔Dの1/2だけ移動した第2の位置に存在しているときの面形状データを生成するものである。このような構成によれば、第1面形状データ処理部3b5で生成された第1の位置での面形状データと、第2面形状データ処理部3b6で生成された第2の位置での面形状データとが、演算部5で合成されて、補正面形状データが求められる。詳述すると、既述のように、浮上支持されたガラス基板Gに本来の面形状が出現し易いのは、流体の吐出領域7の幅方向中央部よりも、隙間領域8及びその周辺部であると考えられている。そのため、浮上支持状態にあるガラス基板Gを間隔Dの1/2だけ移動させる前後で、2種の面形状データを生成すれば、隙間領域8及びその周辺部での面形状データを広い範囲に亘って生成することができる。そして、演算部5が、この2種の面形状データを、本来の面形状がより出現し易いデータ部分を優先させるように合成することによって、高精度な補正面形状データを求めることができる。
図9(a)は、ガラス基板Gが上述の第1の位置にあるときの態様を例示し、図9(b)は、ガラス基板Gが上述の第2の位置にあるときの態様を例示している。これら各図に示すように、ガラス基板Gの各辺のうち、筐体部2の長手方向に沿う一辺に当接可能に立設された二本の規制部材6の上部には、旋回アーム体6aがそれぞれ固定されると共に、これら二本の規制部材6はそれぞれ回転可能に保持されている。そして、図9(a)に示すように、旋回アーム体6aの先端面がガラス基板Gの一辺に当接している状態から、二本の規制部材6を90度回転させれば、旋回アーム体6aは、ガラス基板Gの一辺から離反しようとする。しかし、ガラス基板Gは、規制部材6が存するコーナー部G1の方向に下降傾斜しているため、図9(b)に示すように、ガラス基板Gが自重で全体として間隔Dの1/2だけ左方向に移動して、旋回アーム体6aの側面にガラス基板Gの一辺が当接する(図中、矢印の方向)。これにより、ガラス基板Gは、上述の第1の位置から第2の位置に移動することになる。従って、このような機構を採用すれば、ガラス基板Gの移動を正確且つ容易に行うことが可能となる。なお、図9(b)に示す態様を、ガラス基板Gが上述の第1の位置にあるときの態様とし、この状態から二本の規制部材6を上記とは逆方向に90度回転させて、ガラス基板Gを図9(a)に示す上述の第2の位置にあるときに対応する態様としてもよい。
以上のように、上記第1実施形態に係る形状測定装置1によれば、複数の流体浮上部としての筐体部2を、相互に離間して配置したことにより、各筐体部2の吐出部2axからそれぞれ流体が吐出される各吐出領域7の相互間には、流体が吐出されない隙間領域8が形成されることになるため、浮上支持状態にあるガラス基板Gの下部空間に吐出された余分な流体が、隙間領域8に流れ込みひいては流出路4を通じて外部に流出する。従って、ガラス基板Gの下部空間には、余分な流体が存在しなくなり、ガラス基板Gに作用する流体圧の不均一化が抑制される。その結果、ガラス基板Gの中央部が上方に凸状となるように湾曲変形するという不具合が抑止されて、ガラス基板Gの本来の面形状を正確に測定することが可能となる。
なお、ガラス基板Gに吐出する流体の流体源としては、ブロアにHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)を通したものまたはCDA(Clean Dry Air)が好ましく、吐出する流体としては、不活性ガスが好ましい。また、吐出部2axは、多孔質な金属の焼結体(焼結金属)や樹脂等で形成することもできる。
そして、ガラス基板Gに吐出する不活性ガスとして空気又は窒素を用いることで、ガラス基板Gの検査に要するトータルコストを抑えることができる。ここで、筐体部2の吐出部2axから吐出される流体を空気とする場合には、コンプレッサーで圧縮された圧縮空気を使用することが好ましく、圧縮空気をドライヤー等で露点を−50℃まで下げたものがより好ましい。そして、圧縮空気の露点を少なくとも−20℃まで下げたものを使用することにより、複数の流体浮上部2から吐出された空気が、断熱膨張によって温度が低下しても、吐出された空気によってガラス基板Gが冷却され、結露が生じる事態を防止することができる。その結果、空気中の水分がガラス基板Gに付着して、ガラス基板Gの面形状の測定に影響を及ぼすことを防止することができる。また、圧縮空気の他に、液体窒素を揮発させた窒素ガスを使用することもできる。この場合、窒素ガスは、熱交換器などで充分に加温されたものを使用することが好ましい。これにより、窒素ガスをガラス基板Gに吐出させたときに、ガラス基板Gが冷却されることによって、空気中の水分がガラス基板Gの表面に凝集する事態を防ぐことができる。
図10は、本発明の第2実施形態に係る形状測定装置1を例示している。この第2実施形態に係る形状測定装置1が上述の第1実施形態に係るそれと相違する点は、複数の筐体部2が幅方向のみならず長手方向についても相互に離間して配置されているところにある。従って、間隙部4ひいては流出路は、それぞれ間隔Dを有して縦横に配列される。このような構成によれば、ガラス基板Gを浮上させる条件が、縦横で均一化されるため、測定部3によって測定される面形状データに方向性の偏りがなくなると推認することができる。これ以外の点については、上述の第1実施形態と同一の作用効果が得られる。なお、その他の構成要素については、上述の第1実施形態と同一であるので、両者に共通する構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略する。
図11は、本発明の第3実施形態に係る形状測定装置1を例示している。この第3実施形態に係る形状測定装置1が上述の第1実施形態に係るそれと相違している点は、流体浮上部2と間隙部4とが同一平面上もしくは略同一平面上に存在しているところにある。この場合、図12に示すように、流体浮上部2の相互間には、凹部が存在していないため、浮上支持状態にあるガラス基板Gの下部空間における流体圧が安定すると考えられるが、流体浮上部2から吐出される流体の吐出量を多くする必要がある。この場合には、複数の流体浮上部2の各吐出領域7の相互間に、隙間領域8ひいては流出路4がそれぞれ形成される。これ以外の点については、上述の第1実施形態と同一の作用効果が得られる。なお、その他の構成要素については、上述の第1実施形態と同一であるので、両者に共通する構成要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図13は、本発明の第4実施形態に係る形状測定装置1を例示している。この第4実施形態に係る形状測定装置1が上述の第3実施形態に係るそれと相違している点は、複数の流体浮上部2が幅方向のみならず長手方向についても相互に離間して配置されているところにある。従って、間隙部4ひいては流出路は、それぞれ間隔Dを有して縦横に配列される。このような構成によれば、ガラス基板Gを浮上させる条件が、縦横で均一化されるため、測定部3によって測定される面形状データに方向性の偏りがなくなると推認することができる。これ以外の点については、上述の第3実施形態と同一の作用効果が得られる。なお、その他の構成要素については、上述の第3実施形態と同一であるので、両者に共通する構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略する。
1 形状測定装置
2 流体浮上部
2a 流体浮上部の上面
2ax 吐出部
3 測定部
3a レーザー変位計
3b 処理部
4 流出路、間隙部
5 演算部
6 規制部材
G ガラス基板(板状体)
G1 コーナー部

Claims (11)

  1. 板状体の面形状を測定する形状測定装置であって、
    前記板状体に流体を吐出し且つ前記板状体を平置き姿勢で浮上させた状態で支持する流体浮上部と、前記浮上させた状態における前記板状体の面形状を示す面形状データを測定する測定部とを備え、
    前記流体浮上部を複数有すると共に、これら複数の流体浮上部を相互に離間して配置したことを特徴とする形状測定装置。
  2. 前記複数の流体浮上部の相互間に、前記浮上させた状態における前記板状体の下部空間からその外部に前記流体を流出させる流出路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の形状測定装置。
  3. 前記複数の流体浮上部はそれぞれ、一方向に長尺に形成された筐体部の上面に、前記流体を吐出する吐出部を設けてなり、これら複数の筐体部は、平行もしくは略平行に並列に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の形状測定装置。
  4. 前記複数の流体浮上部は、前記板状体を傾斜させて支持するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の形状測定装置。
  5. 前記板状体の主面方向の移動を規制する規制部材を備えていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の形状測定装置。
  6. 前記板状体は略矩形状をなし、前記複数の流体浮上部は、前記板状体を対向する一方のコーナー部から他方のコーナー部に向かって下降傾斜させて支持するように構成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の形状測定装置。
  7. 前記複数の流体浮上部の相互間における離間寸法は、10mm以上で且つ200mm以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の形状測定装置。
  8. 前記測定部は、予め判明している位置から前記板状体の表面までの距離情報を非接触で測定する変位計と、前記変位計を前記板状体の上方で駆動させて前記板状体の表面を走査させる駆動走査部と、前記変位計の走査により前記板状体の複数箇所における前記距離情報を取得すると共に、その取得された複数の距離情報に基づいて前記面形状データを生成する処理部とを含むことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の形状測定装置。
  9. 前記測定部で測定された面形状データと、前記複数の流体浮上部の各上面を通る基準面の形状を示す基準面形状データとに基づいて、補正面形状データを求める演算部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の形状測定装置。
  10. 前記板状体の表面側及び裏面側の各々について前記面形状データを取得すると共に、この両データに基づいて、補正面形状データを求める演算部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の形状測定装置。
  11. 前記複数の流体浮上部を相互に離間させた方向に対して、その離間寸法の1/2だけ前記板状体を移動させる前後の各々について前記面形状データを測定し、この両データに基づいて、補正面形状データを求める演算部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の形状測定装置。
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