JP2016069553A - 研磨用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリカ砥粒を用いて優れた研磨レートを発揮し得る研磨用組成物を提供する。【解決手段】ここに開示される研磨用組成物は、砥粒、酸および水を含む。上記砥粒はシリカ砥粒Aを含む。上記シリカ砥粒Aは、焼成および解砕の少なくとも一方が施されたものである。かかるシリカ砥粒Aを含む研磨用組成物によると、研磨対象物の研磨において、より高い研磨レートが実現され得る。【選択図】なし

Description

本発明は、研磨用組成物に関する。
従来、高精度な表面が要求される基板の製造プロセスには、研磨液を用いて該基板の原材料である研磨対象物を研磨する工程が含まれることが多い。例えば、ニッケルリンめっきが施されたディスク基板(Ni−P基板)の製造においては、一般に、最終製品の表面精度に仕上げるために行う最終研磨工程(仕上げ研磨工程)の前に、より研磨効率を重視した研磨(一次研磨)が行われている。このような研磨プロセスでは、例えば上記の一次研磨のように、最終研磨工程より前に行われる研磨においても、最終研磨工程における表面精度向上に寄与するため、良好な表面状態を実現することが重要である。磁気ディスク基板の研磨に関する技術文献として、特許文献1〜4が挙げられる。
特開2005−63530号公報 特開2014−130663号公報 特開2014−29754号公報 特開2014−29755号公報
特許文献1に記載の技術では、上記一次研磨における砥粒としてアルミナ砥粒を用いている。しかしながら、アルミナ砥粒は研磨効率に優れる一方で、スクラッチや窪み(ピット)等の表面欠陥の増大、または砥粒の一部が基板に突き刺さって最終研磨工程の後まで残留する等の不具合発生の一因となる虞があった。
また、特許文献2〜4は、上記一次研磨における砥粒としてシリカ砥粒を用いる技術に関する。しかし、シリカ砥粒はアルミナ砥粒を含む研磨用組成物に比べて研磨効率(典型的には研磨レート)に劣る傾向があり、例えばNi−P基板の一次研磨のように、高い研磨レートが要求される研磨において使用される場合に、かかる要求に充分に応えることができない虞があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、シリカ砥粒を用いて、より高い研磨レートを発揮し得る研磨用組成物を提供することを目的とする。
本発明によると、砥粒、酸および水を含む研磨用組成物が提供される。ここで、上記砥粒はシリカ砥粒Aを含む。上記シリカ砥粒Aは焼成されたものである。かかるシリカ砥粒Aを含む研磨用組成物によると、高い研磨レートが達成され得る。
ここに開示される研磨用組成物の好ましい他の一態様によると、上記シリカ砥粒Aは、600℃以上1100℃以下の焼成温度で焼成されたものである。かかるシリカ砥粒Aを含む研磨用組成物によると、高い研磨レートを発揮し、かつ研磨対象面において実用上十分な面精度を達成し得るものとなり得る。
ここに開示される研磨用組成物の好ましい他の一態様によると、上記シリカ砥粒Aは、焼成された後に、さらに解砕されたものである。かかるシリカ砥粒Aを含む研磨用組成物によると、より高い研磨レートを発揮し、かつ、研磨対象面においてより高い面精度が実現され得る。
ここに開示される研磨用組成物の好ましい他の一態様によると、該研磨用組成物はさらに酸化剤を含有する。かかる研磨用組成物は、より優れた研磨レートを示すものとなり得る。
ここに開示されるいずれかの研磨用組成物は、仕上げ研磨工程の前工程で用いられる研磨用組成物として好適である。典型的には、上記研磨用組成物は、研磨対象物の一時研磨に好適に用いられ得る。例えば、上記研磨用組成物は、ニッケルリンめっきが施されたディスク基板(Ni−P基板)または磁気ディスク基板の一次研磨に好適に用いられ得る。
ここに開示されるいずれかの研磨用組成物の好ましい適用対象として、ニッケルリンめっきが施されたディスク基板(Ni−P基板)が挙げられる。上記Ni−P基板は、磁気ディスク基板であり得る。上記研磨用組成物を上記Ni−P基板に適用すると、高い研磨レートが達成され、かつ研磨後の上記Ni−P基板の面精度が実用上十分なレベルとなり得る。ここに開示される研磨用組成物は、特に、Ni−P基板の一次研磨に好適である。
本発明によると、また、シリカ砥粒Aを含む砥粒と、酸と、水とを含み、該シリカ砥粒Aが解砕されたものである研磨用組成物が提供される。かかるシリカ砥粒Aを含む研磨用組成物によると、高い研磨レートが実現され、さらに研磨対象面においてより優れた面精度が実現され得る。
ここに開示される技術によると、研磨用組成物の製造方法が提供される。かかる製造方法は、原材料であるシリカに焼成および解砕の少なくとも一方を施してシリカ砥粒Aを調製することと、該シリカ砥粒Aを含む砥粒、酸および水を混合することとを含む。上記製造方法によると、高い研磨レートを実現し得る研磨用組成物が提供され得る。
ここに開示される技術によると、基板の製造方法が提供される。上記製造方法は、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を上記基板の原材料である研磨対象物に供給して該研磨対象物を研磨する研磨工程Aを包含する。かかる製造方法によると、安定して高品位な表面を有する基板を生産性よく製造することができる。
上記製造方法は、上記研磨工程Aの後に、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨用組成物を上記研磨対象物に供給して該研磨対象物を研磨する仕上げ研磨工程をさらに含み得る。かかる製造方法によると、より高品位な表面を有する基板を生産性よく製造することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される研磨用組成物は、砥粒を含む。砥粒は研磨対象物(典型的には磁気ディスク基板)の表面を機械的に研磨する機能を有する。本発明者らは、焼成および解砕の少なくとも一方の処理が施されたシリカ粒子からなるシリカ砥粒Aを上記砥粒として含む研磨用組成物によると、より高い研磨レートを達成し得ることを見出した。
<シリカ砥粒A>
ここに開示される技術におけるシリカ砥粒Aは、シリカが主体となって構成されたシリカ粒子からなる。ここに開示されるシリカ砥粒Aの具体例としては、沈降シリカ、ゲル法シリカ、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、乾燥シリカ、爆発法シリカ等が挙げられる。あるいは、上記シリカ砥粒Aは、沈降シリカ、ゲル法シリカ、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、乾燥シリカ、爆発法シリカ等を原材料としたシリカ粒子からなる砥粒であってもよい。シリカ砥粒Aとして、上記シリカのうちの1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ここに開示される技術においては、沈降シリカ、ゲル法シリカ、フュームドシリカ、またはこれらのシリカを原材料としたシリカ粒子を用いることが好ましく、沈降シリカ、ゲル法シリカ、またはこれらのシリカを原材料としたシリカ粒子を用いることがより好ましい。かかるシリカ砥粒Aは、研磨レート向上に寄与し得る。
シリカ砥粒Aの原材料としてのシリカ(以下、原材料シリカともいう。)の平均粒子径は、特に限定されない。原材料シリカの平均粒子径は、典型的には、500nm以上30000nm以下であり、好ましくは1000nm以上20000nm以下である。原材料シリカの好適な平均粒子径は、原材料シリカの種類にも依存する。例えば、原材料シリカがゲル法シリカである場合は、該原材料シリカの平均粒子径は、通常は、500nm以上10000nm以下であることが適切であり、好ましくは1000nm以上8000nm以下であり、より好ましくは2000nm以上6000nm以下である。また、原材料シリカが沈降シリカである場合は、該原材料シリカの平均粒子径は、通常は、1000nm以上30000nm以下であることが適切であり、好ましくは5000nm以上25000nm以下、より好ましくは10000nm以上20000nm以下である。平均粒子径が上述する範囲である原材料シリカによると、後述する焼成および/または解砕によって、高い研磨力を発揮し得るシリカ砥粒Aが調製される傾向がある。
なお、本明細書において平均粒子径とは、特記しない限り、レーザ回折/散乱法に基づく体積基準の平均粒子径(50%体積平均粒子径)のことである。上記平均粒子径の測定は、例えば、株式会社堀場製作所製のレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(型式「LA−950」)を用いて行うことができる。
原材料シリカの比表面積は、特に限定されない。原材料シリカの比表面積は、典型的には5m/g以上800m/g以下であり、好ましくは10m/g以上500m/g以下、より好ましくは15m/g以上300m/g以下である。原材料シリカの好適な比表面積は、原材料シリカの種類にも依存し得る。例えば、原材料シリカがゲル法シリカである場合は、該原材料シリカの比表面積は、通常は、10m/g以上700m/g以下であることが適切であり、好ましくは20m/g以上500m/g以下、より好ましくは30m/g以上400m/g以下である。例えば、原材料シリカが沈降シリカである場合は、該原材料シリカの比表面積は、典型的には、5m/g以上300m/g以下であり、好ましくは10m/g以上100m/g以下、より好ましくは15m/g以上40m/g以下である。比表面積が上述する範囲である原材料シリカによると、後述する焼成および/または解砕によって、高い研磨力を発揮し得るシリカ砥粒Aが調製される傾向がある。
ここで、本明細書において、比表面積としては、BET法により測定される比表面積を採用することができる。比表面積の測定は、例えば、マイクロメリテックス社製の表面積測定装置、商品名「Flow Sorb II 2300」を用いて行うことができる。
ここに開示されるシリカ砥粒Aは、所定の条件で焼成されたもの(以下、焼成シリカともいう。)であることが好ましい。換言すると、原材料であるシリカ(原材料シリカ)を焼成することにより、シリカ砥粒Aを好適に調製することができる。かかるシリカ砥粒Aを含む研磨用組成物は、高い研磨レートを示す傾向がある。
上記焼成するときの焼成温度は、シリカ砥粒Aの融点より低ければよく、特に限定されない。上記焼成温度は、焼成シリカが大きく成長しすぎるのを抑制する観点から、1200℃以下であることが好ましく、より好ましくは1100℃以下(例えば1000℃以下)である。また、上記焼成温度は、通常は500℃以上であることが適当であり、好ましくは600℃以上、より好ましくは750℃以上、さらに好ましくは850℃以上(例えば950℃以上)である。上述した範囲の焼成温度で焼成してなるシリカ砥粒Aによると、高い研磨レートが実現され、さらに研磨対象面において実用上十分に優れた面精度が実現され得る。
原材料シリカを焼成する時間は、特に限定されない。上記焼成時間は、例えば、30分〜10時間程度とすればよく、好ましくは1時間〜5時間程度とすることがよい。焼成時間を30分よりも短くしすぎると、焼成シリカの焼き締りが十分でなく、かかる焼成シリカをシリカ砥粒Aとして含む研磨用組成物によると、研磨レートが向上しにくい。また、焼成時間を10時間よりも長くしすぎると、経済的観点から好ましくない。
原材料シリカを焼成するときの雰囲気は、特に限定されない。上記焼成雰囲気は、例えば、不活性ガス、還元性ガス、酸化性ガス(空気等)等であってよい。また、ほぼ真空状態で原材料シリカを焼成してもよい。
上記焼成シリカの比表面積は、特に限定されない。焼成シリカの比表面積は、5m/g以上500m/g以下であり、好ましくは10m/g以上100m/g以下である。焼成シリカの好適な比表面積は、原材料シリカの種類にも依存し得る。例えば、原材料シリカがゲル法シリカである場合は、焼成シリカの比表面積は、通常は、5m/g以上500m/g以下であることが適切であり、好ましくは8m/g以上300m/g以下、より好ましくは10m/g以上100m/g以下である。例えば、原材料シリカが沈降シリカである場合は、焼成シリカの比表面積は、典型的には、5m/g以上200m/g以下であり、好ましくは8m/g以上50m/g以下である。比表面積が上述する範囲である焼成シリカをシリカ砥粒Aとして用いると、高い研磨レートが実現される傾向がある。また、かかる焼成シリカを後述するように解砕することにより、より高い研磨力を発揮し得るシリカ砥粒Aが調製される傾向がある。
ここに開示される技術において、シリカ砥粒Aは、解砕されたものであることが好ましい。より好ましくは、上記シリカ砥粒Aは、焼成された後、さらに解砕されたものである。ここで、本明細書でいう「解砕」とは、細かい粒子が集まって一塊になっているものをほぐして細かくする操作のことをいう。上記解砕により、シリカ粒子の平均粒子径は低下する傾向がある。
上記解砕方法は、従来この種の分野で通常用いられている公知の方法を用いればよく、特に限定されない。例えば、上記解砕は、ビーズミル、ボールミル、ローラーミル、ハンマーミル、ジェットミル、乳鉢等の解砕機(解砕機は粉砕機としても認識され得る)を用いて行われ得る。なかでも、好適な平均粒子径および比表面積をもつシリカ砥粒Aが得られる観点から、ビーズミル、ボールミルまたはジェットミルによる解砕が好ましい。このようにして解砕されたシリカ砥粒Aを含む研磨用組成物は、高い研磨レートを実現しつつ、研磨対象面の面精度を向上させる効果(例えば、長波長うねりの抑制効果、表面粗さの低減効果等)を好適に発揮する傾向がある。
ここに開示される技術において、上記解砕される前のシリカ(以下、解砕前シリカともいう。典型的には解砕前シリカは焼成シリカである。)の平均粒子径は、通常は、1000nm以上30000nm以下であることが適切であり、好ましくは2000nm以上25000nm以下、より好ましくは3000nm以上20000nm以下である。解砕された後のシリカ(以下、解砕シリカともいう。典型的には解砕シリカはシリカ砥粒Aである。)の平均粒子径は、典型的には50nm以上3000nm以下であり、好ましくは100nm以上1500nm以下、より好ましくは150nm以上1000nm以下である。平均粒子径が上述する範囲である解砕前シリカを用いて解砕処理を施すと、上述する好適な平均粒子径をもつ解砕シリカが得られやすい。かかる解砕シリカをシリカ砥粒Aとして用いると、より優れた研磨レートと、研磨対象面における優れた面精度とを両立して実現し得る研磨用組成物が得られる傾向がある。
ここに開示される技術において、上記シリカ砥粒Aの比表面積は、2m/g以上であることが好ましい。研磨対象面の長波長うねりを低減したり、該表面の表面粗さを低減したりする観点から、上記シリカ砥粒Aの比表面積は10m/g以上であることがより好ましく、さらに好ましくは12m/g以上(例えば15m/g以上)である。また、研磨レート向上の観点から、上記シリカ砥粒Aの比表面積は、60m/g以下であることが好ましく、より好ましくは50m/g以下、さらに好ましくは45m/g以下(典型的には30m/g以下、例えば28m/g以下)である。上記比表面積が上述する範囲であるシリカ砥粒Aを含む研磨用組成物によると、研磨レートの向上と研磨対象面の優れた面精度とが両立して達成され得る。
例えば、ここに開示される研磨用組成物の好ましい一態様によると、上記シリカ砥粒Aの比表面積は、10m/g以上60m/g以下(より好ましくは12m/g以上50m/g以下、さらに好ましくは15m/g以上45m/g以下)である。かかるシリカ砥粒Aを含む研磨用組成物によると、より高い研磨レートが実現され、さらに研磨対象面においてより高い面精度が達成され得る。
ここに開示される技術において、上記シリカ砥粒Aの平均粒子径は、研磨レート向上の観点から、50nm以上であることが好ましく、より好ましくは100nm以上であり、さらに好ましくは150nm以上である。また、上記シリカ砥粒Aの平均粒子径は、砥粒の凝集による研磨レート低下を抑制する観点から、15000nm以下であることが好ましく、より好ましくは13000nm以下、さらに好ましくは7000nm以下である。
例えば、ここに開示される研磨用組成物の好ましい一態様によると、上記シリカ砥粒Aの平均粒子径は、100nm以上5000nm以下(より好ましくは120nm以上1000nm以下、さらに好ましくは130nm以上700nm以下、例えば150nm以上600nm以下)である。かかる平均粒子径を有するシリカ砥粒Aを含む研磨用組成物によると、高い研磨レートと研磨対象面の優れた面精度(例えば、表面の長波長うねりの低減または表面粗さの低減)とが高いレベルで両立して達成されやすい。
また、ここに開示される研磨用組成物の好ましい他の一態様によると、上記シリカ砥粒Aの平均粒子径は、2000nm以上10000nm以下(より好ましくは3000nm以上7000nm以下)である。かかる平均粒子径を有するシリカ砥粒Aを含む研磨用組成物は、高い研磨レートを示す傾向がある。
ここに開示される研磨用組成物において、該研磨用組成物に含まれる固形分における上記シリカ砥粒Aの含有量は、特に限定されない。上記シリカ砥粒Aの含有量は、本発明による効果を発揮しやすくする観点から、上記固形分全体の10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上(例えば40重量%以上)である。また、上記シリカ砥粒Aの含有量の上限は特に限定されない。上記研磨用組成物に含まれる固形分の実質的に全てが上記シリカ砥粒Aであってもよい。あるいは、各種性能(例えば研磨レート、研磨対象面の研磨後の表面粗さ等)のバランスをとる観点から、上記シリカ砥粒Aの含有量は、上記固形分全体の90重量%以下であることが好ましく、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下(例えば60重量%以下)である。
<砥粒B>
ここに開示される研磨用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、砥粒としてシリカ砥粒Aとは異なる他の成分(以下、砥粒Bともいう。)を含有していてもよい。上記砥粒Bの例としては、シリカ以外の材質からなる粒子(以下、非シリカ粒子ともいう。)およびシリカ砥粒Aと異なるシリカ粒子が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
非シリカ粒子の例としては、無機粒子、有機粒子、および有機無機複合粒子が挙げられる。無機粒子の例としては、アルミナ粒子(α−アルミナ、α−アルミナ以外の中間アルミナおよびこれらの複合物が挙げられる。中間アルミナとは、α−アルミナ以外のアルミナ粒子の総称であり、具体的には例えば、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、η−アルミナ、κ−アルミナおよびこれらの複合物が挙げられる。)、酸化セリウム粒子、酸化クロム粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、二酸化マンガン粒子、酸化亜鉛粒子、ベンガラ粒子等の酸化物粒子;窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等の窒化物粒子;炭化ケイ素粒子、炭化ホウ素粒子等の炭化物粒子;ダイヤモンド粒子;炭酸カルシウムや炭酸バリウム等の炭酸塩等が挙げられる。また、有機粒子の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子やポリ(メタ)アクリル酸粒子(ここで(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸を包括的に指す意味である。)、ポリアクリロニトリル粒子等が挙げられる。有機無機複合粒子としては、無機粒子の表面が有機化合物により修飾されている粒子、有機粒子(ゴム粒子を含む)の表面に無機粒子が付着している粒子、有機無機複合材からなる粒子等が挙げられる。
非シリカ粒子としては、α−アルミナ粒子よりも低硬度の粒子が好適である。そのような非シリカ粒子の例として、中間アルミナ、チタニア粒子、ポリアクリル酸等の樹脂粒子が挙げられる。
シリカ砥粒Aと異なるシリカ粒子としては、焼成されていないシリカ粒子、解砕されていないシリカ粒子、焼成も解砕もされていないシリカ粒子等が挙げられる。シリカ砥粒A以外のシリカ粒子として、具体的には、例えばコロイダルシリカを用いることができる。
上記砥粒Bの平均粒子径(50%体積平均粒子径)は、特に限定されない。砥粒Bの平均粒子径は、典型的には5nm以上であり、通常は20nm超、好ましくは30nm超、より好ましくは50nm超、さらに好ましくは60nm超である。上記平均粒子径の増大によって、より高い研磨レートが実現され得る。砥粒Bの平均粒子径の上限は特に限定されず、例えば1μm以下であり得る。分散安定性等の観点から、砥粒Bの平均粒子径は、通常は500nm以下が適当であり、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは150nm以下である。
特に限定するものではないが、砥粒Bとしては、シリカ砥粒Aの平均粒子径と同等以下、例えばシリカ砥粒Aの平均粒子径の1.1倍以下の平均粒子径を有するものを好適に使用し得る。シリカ砥粒Aによる研磨作用をよりよく発揮させる観点から、砥粒Bの平均粒子径は、シリカ砥粒Aの平均粒子径の1.0倍未満であることが好ましく、0.7倍以下であることがより好ましい。砥粒Bの平均粒子径は、シリカ砥粒Aの平均粒子径の0.5倍以下、さらには0.3倍以下であってもよい。
砥粒Bの比表面積は、特に限定されない。砥粒Bの比表面積は、典型的には1m/g以上であり、通常は2m/g以上、好ましくは5m/g以上、より好ましくは10m/g以上である。上記比表面積の増大によって、より平滑性の高い表面を得ることができる傾向がある。また、砥粒Bの比表面積は、通常は100m/g以下であることが適当であり、好ましくは90m/g以下、より好ましくは80m/g以下である。上記比表面積の低下によって、より高い研磨レートが実現され得る。
研磨用組成物が砥粒Bを含む態様である場合において、該研磨用組成物に含まれるシリカ砥粒Aの重量(W)と砥粒Bの重量(W)との比(W/W)は、特に限定されない。上記重量比(W/W)は、本発明による効果を発揮しやすくする観点から、0.25以上であることが好ましく、より好ましくは0.35以上、さらに好ましくは0.4以上(例えば0.45以上)である。各種性能(例えば研磨レート、研磨後の研磨対象面の面精度等)のバランスをとる観点からは、上記重量比(W/W)は、0.9以下であることが適切であり、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下(例えば0.6以下)である。
ここに開示される技術において、上記砥粒Bはα−アルミナ粒子を含まないことが好ましい。換言すれば、ここに開示される研磨用組成物は、α−アルミナ砥粒を実質的に含まない態様で好ましく実施され得る。このことによって、α−アルミナ砥粒の使用に起因する品質低下(例えば、スクラッチや窪みの発生、アルミナの残留等)を除くことができる。ここで、α−アルミナ砥粒を実質的に含まないとは、研磨用組成物に含まれる固形分全量のうちα−アルミナ砥粒の割合が1重量%以下(より好ましくは0.5重量%以下、典型的には0.1重量%以下)であることをいう。α−アルミナ砥粒の割合が0重量%である研磨用組成物、すなわちα−アルミナ砥粒を含まない研磨用組成物が特に好ましい。
ここに開示される技術において、上記砥粒Bは、コロイド粒子であることが好ましく、コロイダルシリカであることがより好ましい。かかる砥粒Bを含む研磨用組成物によると、高い研磨レートを実現しつつ、研磨対象面の面精度を向上させる効果(例えば、長波長うねりの抑制効果、表面粗さの低減効果等)が好適に発揮される傾向がある。
ここに開示される研磨用組成物が複数種類の砥粒を含む場合、その組成物に含まれる砥粒の種類数は、通常、それら複数種類の砥粒の外形の相違をもとに概ね把握することができる。砥粒の外形の相違は、例えば、平均アスペクト比の相違、平均短径の相違、平均粒子径の相違、粒子の表面形状の相違(例えば、突起の有無やその程度)等のうちの少なくとも一つであり得る。砥粒の外形は、例えば、SEM(走査型電子顕微鏡)観察により把握することができる。また、研磨用組成物に含まれる複数種類の砥粒の各含有量および含有量比は、例えば、SEM観察による画像解析に基づいて求めることができる。上記複数種類の砥粒を含む研磨用組成物は、例えば、それらの砥粒と水と酸と必要に応じて用いられる任意成分(酸化剤等)とを所望の量比で混合することにより調製され得る。
<水>
ここに開示される研磨用組成物は、砥粒の他に水を含有する。水としては、イオン交換水(脱イオン水)、蒸留水、純水等を用いることができる。
ここに開示される研磨用組成物(典型的にはスラリー状の組成物)は、例えば、その固形分含量(non−volatile content;NV)が5g/L〜300g/Lである形態で好ましく実施され得る。上記NVが10g/L〜200g/Lである形態がより好ましい。
<酸>
ここに開示される研磨用組成物は、砥粒と水の他に、研磨促進剤として酸を含む。酸の例としては、無機酸(硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、スルファミン酸等)や有機酸(炭素原子数が1〜10程度の有機カルボン酸、有機ホスホン酸、有機スルホン酸等)が挙げられるが、これらに限定されない。有機酸の具体例としては、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、グリコール酸、コハク酸、イタコン酸、マロン酸、イミノ二酢酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、酒石酸、クロトン酸、ニコチン酸、酢酸、アジピン酸、ギ酸、シュウ酸、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、エチルグリコールアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、フィチン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、メタンスルホン酸、等が挙げられる。このような酸は、典型的には後述の酸化剤と合わせて用いられることにより、研磨促進剤として効果的に作用し得る。研磨効率の観点から好ましい酸として、メタンスルホン酸、硫酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸、フィチン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等が例示される。なかでも硝酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、メタンスルホン酸が好ましい。
研磨用組成物中における酸の含有量は、1g/L以上であることが好ましく、より好ましくは5g/L以上である。酸の含有量が少なすぎると、研磨レートが低下し、実用上好ましくない場合がある。また、研磨用組成物中における酸の含有量は、100g/L以下であることが好ましく、より好ましくは50g/L以下である。酸の含有量が多すぎると、研磨対象物の表面精度が悪くなり、実用上好ましくない場合がある。
<酸化剤>
ここに開示される研磨用組成物は、必要に応じてさらに酸化剤を含んでもよい。酸化剤の例としては、過酸化物、硝酸またはその塩、ペルオキソ酸またはその塩、過マンガン酸またはその塩、クロム酸またはその塩等が挙げられるが、これらに限定されない。このような酸化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、硝酸、硝酸鉄、硝酸アルミニウム、ペルオキソ二硫酸、過ヨウ素酸、過塩素酸、次亜塩素酸、等が挙げられる。好ましい酸化剤として、過酸化水素、硝酸鉄、ペルオキソ二硫酸および硝酸が例示される。ここに開示される研磨用組成物は、酸化剤として少なくとも過酸化水素水を含む態様で特に好ましく実施され得る。
研磨用組成物中に酸化剤を含む場合、その含有量は、有効成分量基準で1g/L以上であることが好ましく、より好ましくは3g/L以上、さらに好ましくは4g/L以上である。酸化剤の含有量が少なすぎると、研磨対象物を酸化する速度が遅くなり、研磨レートが低下するため、実用上好ましくない場合がある。
また、研磨用組成物中に酸化剤を含む場合、その含有量は、有効成分量基準で30g/L以下であることが好ましく、より好ましくは15g/L以下である。酸化剤の含有量が多すぎると、研磨対象物の表面精度が悪くなり、実用上好ましくない場合がある。
<塩基性化合物>
研磨用組成物には、塩基性化合物を含有させることができる。ここで塩基性化合物とは、研磨用組成物に添加されることによって該組成物のpHを上昇させる機能を有する化合物を指す。例えば、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩や炭酸水素塩、第四級アンモニウムまたはその塩、アンモニア、アミン、リン酸塩やリン酸水素塩、有機酸塩等が挙げられる。塩基性化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属の水酸化物の具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
炭酸塩または炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
第四級アンモニウムまたはその塩の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウムが挙げられる。
アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−メチルピペラジン、グアニジン、イミダゾールやトリアゾール等のアゾール類、等が挙げられる。
リン酸塩やリン酸水素塩の具体例としては、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。
<界面活性剤>
研磨用組成物は、研磨後の研磨対象面に親水性を付与することにより研磨後の洗浄効率を良くし、汚れの付着等を防ぐ目的で、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤または非イオン性界面活性剤のいずれであってもよい。
陰イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、アルキル硫酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスルホコハク酸、アルキルスルホコハク酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリアクリル酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、およびこれらの塩等が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤の他の具体例としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ベンゼンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸系化合物;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物;リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸等のリグニンスルホン酸系化合物;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸系化合物;その他、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸;およびこれらの塩等が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、このような界面活性剤の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
界面活性剤を含む態様の研磨用組成物では、界面活性剤の含有量を、例えば0.005g/L以上とすることが適当である。上記含有量は、研磨後の表面の平滑性等の観点から、好ましくは0.01g/L以上、より好ましくは0.1g/L以上である。また、研磨レート等の観点から、上記含有量は、100g/L以下とすることが適当であり、好ましくは50g/L以下、例えば10g/L以下である。
<その他の成分>
ここに開示される研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、分散剤、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、防カビ剤等の、この種の研磨用組成物(典型的には、磁気ディスク基板(例えばNi−P基板)の一次研磨に用いられる研磨用組成物)に用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。
分散剤の例としては、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩等のポリカルボン酸系分散剤、ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、ナフタレンスルホン酸アンモニウム塩等のナフタレンスルホン酸系分散剤、アルキルスルホン酸系分散剤、ポリリン酸系分散剤、ポリアルキレンポリアミン系分散剤、第四級アンモニウム系分散剤、アルキルポリアミン系分散剤、アルキレンオキサイド系分散剤、多価アルコールエステル系分散剤等が挙げられる。
キレート剤の例としては、アミノカルボン酸系キレート剤および有機ホスホン酸系キレート剤が挙げられる。アミノカルボン酸系キレート剤の例には、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸およびトリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウムが含まれる。有機ホスホン酸系キレート剤の例には、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸およびα−メチルホスホノコハク酸が含まれる。これらのうち有機ホスホン酸系キレート剤がより好ましく、なかでも好ましいものとしてエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)およびジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)が挙げられる。特に好ましいキレート剤として、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)が挙げられる。
防腐剤および防カビ剤の例としては、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンや5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾリン系防腐剤、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール等が挙げられる。
ここに開示される研磨用組成物は、水溶性高分子をさらに含有してもよい。水溶性高分子をさらに含有させることにより、研磨用組成物による研磨後の研磨対象物(例えば磁気ディスク基板)の表面粗さがより一層低減され得る。水溶性高分子としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド等のポリアルキルアリールスルホン酸系化合物;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物;リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸等のリグニンスルホン酸系化合物;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸系化合物;その他、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリ酢酸ビニル、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリビニルアルコール、ポリグリセリン、ポリビニルピロリドン、イソプレンスルホン酸とアクリル酸の共重合体、ポリビニルピロリドンポリアクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体、ジアリルアミン塩酸塩二酸化硫黄共重合体、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プルラン、キトサン、キトサン塩類等が挙げられる。
<用途>
ここに開示される研磨用組成物は、例えば、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層を有するディスク基板(Ni−P基板)の研磨に好ましく適用され得る。特に、かかるディスク基板の一次研磨用の研磨用組成物として好適である。上記基材ディスクは、例えば、アルミニウム合金製、ガラス製、ガラス状カーボン製等であり得る。このような基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層以外の金属層または金属化合物層を備えたディスク基板であってもよい。なかでも、アルミニウム合金製の基材ディスク上にニッケルリンめっき層を有するNi−P基板の一次研磨用の研磨用組成物として好適である。かかる用途では、ここに開示される技術を適用することが特に有意義である。
また、ここに開示される研磨用組成物は、例えば、Schmitt Measurement System Inc.社製レーザースキャン式表面粗さ計「TMS−3000WRC」により測定される表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))が20Å〜300Å程度の磁気ディスク基板を研磨(典型的には一次研磨)して10Å以下の表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))に調整する用途に好適である。かかる用途では、ここに開示される技術を適用することが特に有意義である。
<研磨液>
ここに開示される研磨用組成物は、典型的には該研磨用組成物を含む研磨液の形態で研磨対象物(例えば磁気ディスク基板)に供給されて、該研磨対象物の研磨に用いられる。上記研磨液は、例えば、研磨用組成物を希釈して調製されたものであり得る。あるいは、研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。すなわち、ここに開示される技術における研磨用組成物の概念には、研磨液と、希釈して研磨液として用いられる濃縮液との双方が包含される。
研磨液における砥粒の含有量(複数種類の砥粒を含む場合には、それらの合計含有量)は、典型的には5g/L以上であり、10g/L以上であることが好ましく、30g/L以上であることがより好ましい。砥粒の含有量の増大によって、より高い研磨レートが実現され得る。また、研磨後の基板の表面平滑性や研磨の安定性の観点から、通常、上記含有量としては、250g/L以下が適当であり、好ましくは200g/L以下、より好ましくは150g/L以下、さらに好ましくは100g/L以下である。
研磨液における酸の含有量(複数の酸を含む態様では、それらの合計含有量)は、例えば0.1g/L以上とすることができる。上記含有量は、研磨レート等の観点から、好ましくは0.5g/L以上、より好ましくは1g/L以上、さらに好ましくは5g/L以上である。また、研磨用組成物の貯蔵安定性等の観点から、上記含有量は、70g/L以下が適当であり、好ましくは50g/L以下、例えば30g/L以下である。
酸化剤を含む態様では、研磨液中における該酸化剤の含有量(複数の酸化剤を含む場合には、それらの合計含有量)を、有効成分量基準で、例えば0.1g/L以上とすることができる。上記含有量は、研磨レート等の観点から、好ましくは0.5g/L以上、より好ましくは1g/L以上である。また、研磨用組成物の経済性の観点から、酸化剤の含有量は、有効成分量基準で、100g/L以下が適当であり、好ましくは75g/L以下、より好ましくは60g/L以下である。好ましい含有量の範囲は、使用する酸化剤の種類によっても異なり得る。例えば、酸化剤として過酸化水素を用いる場合、その含有量は、通常、H濃度として0.1〜50g/L程度が適当であり、1〜30g/Lが好ましい。また、酸化剤として硝酸鉄(III)9水和物を用いる場合、その含有量は、通常、20〜100g/L程度が適当であり、30〜75g/Lが好ましい。
上記研磨液のpHとしては、研磨レートや表面平滑性等の観点から、4以下が好ましく、3以下がより好ましい。研磨液において上記pHが実現されるように、必要に応じて有機酸、無機酸等のpH調整剤を含有させることができる。上記pHは、例えば、ニッケルリンめっき層を有する磁気ディスク基板の研磨に用いられる研磨液(特に、一次研磨用の研磨液)に好ましく適用され得る。
水溶性高分子を含む態様では、研磨液中における該水溶性高分子の含有量(複数の水溶性高分子を含む態様では、それらの合計含有量)を、例えば0.01g/L以上とすることが適当である。上記含有量は、研磨後の研磨対象物(例えば磁気ディスク基板)の表面平滑性等の観点から、好ましくは0.05g/L以上、より好ましくは0.08g/L以上、さらに好ましくは0.1g/L以上である。また、研磨レート等の観点から、上記含有量は、10g/L以下とすることが適当であり、好ましくは5g/L以下、例えば1g/L以下である。
<研磨>
ここに開示される研磨用組成物は、例えば以下の操作を含む態様で、研磨対象物(例えば磁気ディスク基板の原材料である基板)の研磨に好適に使用することができる。以下、ここに開示される研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨する方法の好適な一態様につき説明する。
すなわち、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を含む研磨液(典型的にはスラリー状の研磨液であり、研磨スラリーと称されることもある。)を用意する。上記研磨液を用意することには、研磨用組成物に濃度調整(例えば希釈)やpH調整等の操作を加えて研磨液を調製することが含まれ得る。あるいは、研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。
次いで、その研磨液を研磨対象物に供給し、常法により研磨する。例えば、一般的な研磨装置に基板の原材料である研磨対象物をセットし、該研磨装置の研磨パッドを通じて上記研磨対象物の表面(研磨対象面)に研磨液を供給する。典型的には、上記研磨液を連続的に供給しつつ、研磨対象物の表面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動(例えば回転移動)させる。かかる研磨工程を経て研磨対象物の研磨が完了する。
上述のような研磨工程は、基板(例えば、Ni−P基板)の製造プロセスの一部であり得る。したがって、この明細書によると、上記研磨工程を含む基板の製造方法が提供される。
ここに開示される研磨用組成物は、研磨対象物の一次研磨に好ましく使用され得る。したがって、この明細書によると、上記研磨用組成物を用いた一次研磨工程を含む基板の製造方法が提供される。この基板製造方法は、上記一次研磨工程の後に最終研磨工程(仕上げ研磨工程)を含み得る。この最終研磨工程は、従来公知の方法と同様にして実施することができる。上記最終研磨工程に使用する研磨用組成物としては、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨用組成物を好ましく採用することができる。上記仕上げ研磨工程は、例えば、砥粒として実質的にコロイダルシリカ砥粒のみを含む研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨する工程であり得る。
<濃縮液>
ここに開示される研磨用組成物は、研磨対象物に供給される前には濃縮された形態(すなわち、研磨液の濃縮液の形態)であってもよい。このように濃縮された形態の研磨用組成物は、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から有利である。濃縮倍率は、例えば1.5倍〜50倍程度とすることができる。濃縮液の貯蔵安定性等の観点から、通常は、2倍〜20倍(典型的には2倍〜10倍)程度の濃縮倍率が適当である。
このように濃縮液の形態にある研磨用組成物は、所望のタイミングで希釈して研磨液を調製し、その研磨液を研磨対象物に供給する態様で好適に使用することができる。上記希釈は、典型的には、上記濃縮液に水を加えて混合することにより行うことができる。
上記濃縮液における砥粒の含有量(複数種類の砥粒を含む場合は、その合計含有量)は、例えば750g/L未満とすることができる。研磨用組成物の貯蔵安定性等の観点から、上記含有量は、650g/L未満が適当であり、好ましくは600g/L未満である。また、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から、上記砥粒の含有量は、例えば10g/L以上とすることができ、好ましくは20g/L以上、より好ましくは30g/L以上(例えば50g/L以上)である。
ここに開示される研磨用組成物は、一剤型であってもよいし、二剤型を始めとする多剤型であってもよい。例えば、該研磨用組成物の構成成分(典型的には、水以外の成分)のうち一部の成分を含むA液と、残りの成分を含むB液とが混合されて研磨対象物の研磨に用いられるように構成されていてもよい。
ここに開示される研磨用組成物または該組成物を用いた研磨によると、アルミナ砥粒を必須成分としなくても、研磨対象物の表面を効率よく平坦化することができる。このため、例えば、アルミナ砥粒を含む従来の一般的な研磨用組成物に比べて、該研磨用組成物に含まれる砥粒に占めるアルミナ砥粒の割合が少ない組成とし、あるいはアルミナ砥粒を実質的に含まない組成としても、Ni−P基板等の磁気ディスク基板の一次研磨に好ましく適用可能な研磨効率が実現され得る。かかる研磨用組成物を用いた一次研磨によると、アルミナ砥粒に起因する欠陥やアルミナの残留等の発生を抑制し、あるいは未然に防ぐことができる。このことによって、一次研磨後の表面状態が改善され、最終研磨後においてより高精度の表面が実現され得る。
また、ここに開示される研磨用組成物または該組成物を用いた研磨によると、シリカ砥粒Aを利用して、研磨対象物の表面を効率よく平坦化することができる。例えば、砥粒としてコロイダルシリカ砥粒のみを含む従来の一般的な研磨用組成物において、該コロイダルシリカ砥粒の一部または全部をシリカ砥粒Aに置き換えることにより、研磨レートを改善することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<シリカ砥粒Aの調製>
以下の各例で使用したシリカ砥粒Aの原材料は、以下に示す通りである。
シリカS1:沈降シリカ(比表面積18.7m/g、平均粒子径16200nm)
シリカS2:ゲル法シリカ(比表面積49.41m/g、平均粒子径3800nm)
シリカS3:ゲル法シリカ(比表面積296m/g、平均粒子径6400nm)
(実施例1〜8)
シリカ砥粒Aの原材料として、シリカS1を使用した。シリカS1、表1の「焼成温度」の欄に示すように、600〜1000℃の温度に保った加熱炉の中で、2時間程度保持することにより焼成した。このようにして得られた焼成シリカを、実施例6〜8に係るシリカ砥粒Aとした。さらに実施例1〜5では、上記焼成されたシリカS1をボールミルに投入し、所望の粒子径になるまで解砕した。このようにして得られた解砕シリカを実施例1〜5に係るシリカ砥粒Aとした。
(実施例9〜11)
シリカ砥粒Aの原材料として、シリカS2を使用した。シリカS2は、表1の「焼成温度」の欄に示すように、600〜1000℃の温度に保った加熱炉の中で、2時間程度保持することにより焼成した。このようにして得られた焼成シリカを実施例9〜11に係るシリカ砥粒Aとした。
(実施例12)
シリカ砥粒Aの原材料として、シリカS3を使用した。シリカS3は、表1の「焼成温度」の欄に示すように、1000℃の温度に保った加熱炉の中で、2時間程度保持することにより焼成した。このようにして得られた焼成シリカを実施例10に係るシリカ砥粒Aとした。
(比較例1)
比較例1に係るシリカ砥粒Aとして、シリカS1をそのまま使用した。
(比較例2)
比較例2に係るシリカ砥粒Aとして、シリカS3をそのまま使用した。
なお、砥粒の比表面積(以下、Sとも表記する。)は、マイクロメリテックス社製の表面積測定装置「Flow Sorb II 2300」を用いて測定した。また砥粒の平均粒子径(50%体積平均粒子径。以下、Dとも表記する。)は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA−950」)を用い、シリカの屈折率を1.45として測定した。
実施例および比較例に係るシリカ砥粒Aの比表面積(S)および平均粒子径(D)について、表1にまとめて示す。
Figure 2016069553
<砥粒Bの調製>
実施例1〜12および比較例1、2では、砥粒Bとして比表面積が80m/gであり、平均粒子径(50%体積平均粒子径)が110nmであるコロイダルシリカを使用した。また、参考例では、砥粒Bとして比表面積が70m/gであり、平均粒子径(50%体積平均粒子径)が95nmであるコロイダルシリカを使用した。
<研磨用組成物の調製>
(実施例1〜12、比較例1、2)
上記シリカ砥粒Aと、上記砥粒Bと、硝酸と、31%過酸化水素水と、脱イオン水とを混合して、シリカ砥粒Aを30g/L、砥粒Bを30g/L、硝酸を8g/L、31%過酸化水素水を40g/L含む研磨用組成物を調製した。これらの研磨用組成物を実施例1〜12および比較例1、2に係る研磨用組成物とした。
(参考例)
参考例として、上記シリカ砥粒Aを含まない研磨用組成物を作製した。具体的には、上記参考例に係る砥粒Bと、硝酸と、31%過酸化水素水と、脱イオン水とを混合して、砥粒Bを60g/L、硝酸を20g/L、31%過酸化水素水を20g/L含む研磨用組成物を調製した。このようにして作製した研磨用組成物を参考例に係る研磨用組成物とした。
<ディスクの研磨>
各例に係る研磨用組成物を用いて、下記の条件で、研磨対象基板の研磨を行った。研磨対象基板としては、表面に無電解ニッケルリンめっき層を備えたハードディスク用アルミニウム基板を使用した。上記研磨対象基板(以下「Ni−P基板」ともいう。)の直径は3.5インチ(外径約95mm、内径約25mmのドーナツ型)、厚さは1.75mmであり、表面粗さRa(Schmitt Measurement System Inc.社製レーザースキャン式表面粗さ計「TMS−3000WRC」により測定したニッケルリンめっき層の算術平均粗さ)は130Åであった。
[研磨条件]
研磨装置:システム精工株式会社製の両面研磨機、型式「9.5B−5P」
研磨パッド:FILWEL社製のポリウレタンパッド、商品名「CR200」
Ni−P基板の投入枚数:15枚(5枚/キャリア ×3キャリア)
研磨液の供給レート:135mL/分
研磨荷重:120g/cm
上定盤回転数:27rpm
下定盤回転数:36rpm
サンギヤ(太陽ギヤ)回転数:8rpm
研磨量:各基板の両面の合計で約2.2μmの厚さ
<研磨レート>
表2の「研磨レート」の欄には、各研磨用組成物を用いて上記Ni−P基板を研磨したときの研磨レートを算出し、これらを参考例の研磨レートを100%となるように換算したときの値を示した。研磨レートは、次の計算式に基づいて求めた。
研磨レート[μm/min]=研磨による基板の重量減少量[g]/(基板の面積[cm]×ニッケルリンめっきの密度[g/cm]×研磨時間[min])×10
<面精度>
表2の「長波長うねりの抑制」の欄には、KLA Tencor社(米国)製の「Optiflat III」を使用して、研磨後のNi−P基板の中心から半径20mm〜44mmの範囲についてカットオフ値5mmの条件で測定した算術平均うねり(Wa)の値[Å]を測定し、以下の3段階で評価した結果を記載した。
◎:Waが4Å未満
○:Waが4Å以上5Å未満
×:Waが5Å以上
表2の「表面粗さの低減」の欄には、Schimitt Measurement SystemInc.社製レーザースキャン式表面粗さ計「TMS−3000WRC」を使用して、研磨後のNi−P基板の表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))[Å]を測定し、以下の3段階で評価した結果を記載した。
◎:Raが5Å未満
○:Raが5Å以上10Å未満
×:Raが10Å以上
Figure 2016069553
表2に示される結果から明らかなように、シリカ砥粒Aとして焼成されたものを用いた実施例1〜12に係る研磨用組成物は、未焼成のシリカ砥粒Aを用いた比較例1、2と比較して、約1.7〜10倍の高い研磨レートを示した。また、焼成されたシリカ砥粒Aを含んだ実施例1〜12に係る研磨用組成物は、砥粒としてコロイダルシリカのみを用いた参考例と比較して、約1.1〜1.9倍の高い研磨レートを示すことが分かった。
なお、1200℃の焼成温度で焼成して調製したシリカ砥粒Aを含む研磨用組成物によると、実施例1〜12と遜色ない程度の高い研磨レートを示したが、研磨対象面の面精度は若干劣る結果となった。
また、シリカ砥粒Aとして解砕されたものを用いた実施例1〜5に係る研磨用組成物は、解砕されていない実施例6〜8に係る研磨用組成物と比較して、より高い研磨レートを示し、かつ、研磨対象面における面精度がより向上することがわかった。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (10)

  1. 砥粒、酸および水を含む研磨用組成物であって、
    前記砥粒はシリカ砥粒Aを含み、
    前記シリカ砥粒Aは焼成されたものである、研磨用組成物。
  2. 前記シリカ砥粒Aは、600℃以上1100℃以下の焼成温度で焼成されたものである、請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 前記シリカ砥粒Aは、焼成された後に、さらに解砕されたものである、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
  4. さらに酸化剤を含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  5. 仕上げ研磨工程の前工程で用いられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  6. ニッケルリンめっきが施されたディスク基板の研磨に用いられる、請求項1から5のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  7. 砥粒、酸および水を含む研磨用組成物であって、
    前記砥粒はシリカ砥粒Aを含み、
    前記シリカ砥粒Aは解砕されたものである、研磨用組成物。
  8. 研磨用組成物を製造する方法であって:
    原材料であるシリカに焼成および解砕の少なくとも一方を施してシリカ砥粒Aを調製すること;
    前記シリカ砥粒Aを含む砥粒、酸および水を混合すること;
    を包含する、研磨用組成物の製造方法。
  9. 基板の製造方法であって、
    前記基板の原材料である研磨対象物に請求項1から7のいずれか一項に記載の研磨用組成物を供給して該研磨対象物を研磨する研磨工程Aを包含する、基板製造方法。
  10. 前記研磨工程Aの後に、コロイダルシリカ砥粒を含む研磨用組成物を前記研磨対象物に供給して該研磨対象物を研磨する仕上げ研磨工程をさらに含む、請求項9に記載の基板製造方法。
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