JP7471118B2 - 研磨用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、研磨用組成物に関し、詳しくは磁気ディスク基板研磨用組成物に関する。
磁気ディスク基板の製造においては、一般に、最終製品の表面を高精度に仕上げるために行う最終研磨工程の前に、より研磨効率(例えば研磨レート)を重視した研磨(一次研磨)が行われている。例えば、ニッケルリンめっきが施されたディスク基板(Ni-P基板)に対して、少なくとも一次研磨と最終研磨とを行うことにより、高精度の表面が効率よく実現され得る。そのような研磨においては、より高い面品質を得ることを目的として、一次研磨の段階からシリカ砥粒が使用され得る。この種の従来技術を開示する先行技術文献として特許文献1~3が挙げられる。
特開2015-41391号公報 特開2012-24899号公報 特開2015-17259号公報
磁気ディスク用基板の研磨は、通常、研磨パッドを研磨対象基板に押し当て両者を相対移動させて行われる。そのため、基板の端部には、研磨面に対する圧力(研磨荷重)だけでなく、研磨パッドの沈み込みの分だけ側面からの力が加わり、より大きな負荷がかかる。シリカ砥粒を用いた研磨は、アルミナ砥粒を用いた研磨と比べて、アルミナ残留がなく、スクラッチ等の欠陥低減の点で優れ、また高い面品質を得やすいものの、アルミナ砥粒含有スラリーのような加工力は得られない。そのため、シリカ砥粒を用いた研磨では研磨時間が長くなる傾向があり、上述の端部と内周部との応力の違いから、基板端部の厚みは内周部に比べて減少してしまう。このような端部形状は、ロールオフ(端面ダレともいう。)と称され、記録に適さないため、磁気ディスク記録容量増大の制限要因となり得る。例えば特許文献1~3では、砥粒や錯化剤、研磨圧力の工夫等によってロールオフの改善に取り組んでいる。
しかし、特許文献1~3に記載されるような従来のロールオフ対策は、基板全体に対する作用に基づくものであり、端部に選択的に作用するものではない。また、ロールオフ発生を低減するために保護剤を使用すれば、その基板全体に対する保護作用のため、端部だけでなく内周部も保護され、加工性の低下は避けられない。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、加工性等の研磨性能を維持しつつ端部形状を改善し得る磁気ディスク研磨用組成物を提供することを目的とする。
本明細書によると、磁気ディスク基板研磨用組成物が提供される。この研磨用組成物は、砥粒としてのシリカ粒子と、水と、を含む。また、亜リン酸エステル、および、分子量が150以上であるリン酸エステルから選択される少なくとも1種をさらに含む。シリカ粒子含有研磨用組成物に、亜リン酸エステルや、所定以上の分子量を有するリン酸エステルを用いることで、研磨性能を維持しつつ端部形状を改善することができる。なお、本明細書における基板端部とは基板外周から内周方向に向かって2mmの区間(領域)をいい、端部形状改善とは、この区間におけるロールオフの防止または低減をいうものとする。
いくつかの好ましい態様において、研磨用組成物は、酸化剤として過酸化水素をさらに含む。酸化剤として過酸化水素を用いることで、良好な加工性を好ましく発揮することができる。
いくつかの好ましい態様において、研磨用組成物は前記リン酸エステルを含む。前記リン酸エステルは、一般式(1):
Figure 0007471118000001
;で表される化合物である。ここで、上式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または、アルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、(メタ)アクリル酸アルキルエステル基、(メタ)アクリロイル基、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル基、(ポリ)オキシアルキレンアリールエーテル基および芳香族基から選択される有機基である。ただし、RおよびRのうち少なくとも一方は、有機基である。上記の化学構造を有するリン酸エステルを含む研磨用組成物によると、ここに開示される技術による効果が好ましく発揮される。
前記リン酸エステルは、前記一般式(1)中のRおよびRが、それぞれ独立して、水素原子、または、炭素原子数が3~18であるアルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、(メタ)アクリル酸アルキルエステル基、(メタ)アクリロイル基および(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル基から選択される化合物であることがより好ましい。
いくつかの好ましい態様において、リン酸エステルとして、モノエステル比率が55モル%以上であるリン酸エステルが好ましく用いられる。モノエステル比率が55モル%以上であるリン酸エステルを含む研磨用組成物によると、より優れた端部形状改善効果が得られる傾向がある。かかる研磨用組成物は、保管安定性も良好であり得る。
いくつかの好ましい態様において、研磨用組成物は、前記シリカ粒子として、SEM(走査型電子顕微鏡)画像解析に基づく平均アスペクト比が1.10未満の球状コロイダルシリカを含む。球形度の高いコロイダルシリカを含む研磨用組成物によると、高い面品質を有する基板表面が得られやすい一方、ロールオフが発生しやすい。そのような態様において、ここに開示される技術による効果(典型的には端部形状改善効果)は好ましく発揮される。
いくつかの好ましい態様において、研磨用組成物は、前記シリカ粒子として、SEM画像解析に基づく平均アスペクト比が1.10以上の非球状コロイダルシリカを含む。球形度の低いコロイダルシリカを含む研磨用組成物によると、より高い加工性が得られやすい。このようなコロイダルシリカを用いる態様において、ここに開示される技術による効果(例えば加工性維持効果)は好ましく発揮される。
いくつかの好ましい態様において、前記シリカ粒子は、熱処理シリカ粒子、凝結粒シリカ粒子および沈殿シリカ粒子からなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む。上記シリカ粒子(例えば熱処理シリカ粒子)を、上述のコロイダルシリカと組み合わせて用いることで、高い面品質と加工性とを好ましく両立することができる。このような組成において、ここに開示される技術による効果(例えば加工性維持効果)は好ましく発揮される。
いくつかの好ましい態様において、研磨用組成物のpHは1~4の範囲内である。かかるpH範囲とすることで、ここに開示される技術による効果は好ましく発揮される。
ここに開示される研磨用組成物は、仕上げ研磨工程の前工程で用いられる研磨用組成物として好適である。例えば、上記研磨用組成物は、磁気ディスク基板の一次研磨に好適に用いられる。ここに開示される研磨用組成物を仕上げ研磨の前に用いて、良好な加工性で仕上げ研磨前に端部形状を改善しておくことで、記録容量が向上した磁気ディスク基板を生産性よく得ることができる。磁気ディスク基板の好適例としては、ニッケルリン基板(Ni-P基板)が挙げられる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
≪1.第一の態様≫
<1-1.研磨用組成物>
(1-1-1.砥粒)
ここに開示される研磨用組成物は、砥粒としてのシリカ粒子を含む。ここに開示される技術による端部形状改善効果は、シリカ砥粒を含む研磨用組成物を用いる構成において好適に実現される。シリカ粒子(後述のシリカ粒子S1,S2,S3のいずれも包含する。特に断りがない限り以下同じ。)は、シリカを主成分とする各種のシリカ粒子であり得る。ここでシリカを主成分とするシリカ粒子とは、該粒子の90重量%以上、例えば95重量%以上、典型的には98重量%以上がシリカである粒子をいう。使用し得るシリカ粒子の例としては、特に限定されず、コロイダルシリカ、凝結粒シリカ、沈降シリカ(沈殿シリカともいう。)、ケイ酸ソーダ法シリカ、アルコキシド法シリカ、フュームドシリカ、乾燥シリカ、爆発法シリカ等が挙げられる。さらに、上記シリカ粒子を原材料として得られたシリカ粒子を用いることもできる。そのようなシリカ粒子の例には、上記原材料のシリカ粒子(以下「原料シリカ」ともいう。)に、加温、乾燥、焼成等の熱処理、オートクレーブ処理等の加圧処理、解砕や粉砕等の機械的処理、表面改質等から選択される1または2以上の処理を適用して得られたシリカ粒子が含まれ得る。表面改質としては、例えば、官能基の導入、金属修飾等の化学的修飾が挙げられる。ここに開示される技術における砥粒は、このようなシリカ粒子の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて含むものであり得る。
シリカ粒子の好適例として、コロイダルシリカが挙げられる。なかでも、ケイ酸ソーダ法シリカやアルコキシド法シリカのように、水相での粒子成長を経て合成されたコロイダルシリカの使用が好ましい。この種のコロイダルシリカを含むシリカ砥粒によると、良好な面品質が好適に達成され得る。ここに開示されるシリカ砥粒がコロイダルシリカを含む場合、該シリカ砥粒に含まれるコロイダルシリカは、1種であってもよく、製造条件および/または物性の異なる2種以上であってもよい。また、上記シリカ砥粒は、1種または2種以上のコロイダルシリカからなる構成であってもよく、コロイダルシリカと、他のシリカ粒子すなわちコロイダルシリカ以外のシリカ粒子とを組み合わせて含む構成であってもよい。いくつかの態様では、研磨用組成物に含まれる砥粒が、コロイダルシリカを単独で含む。コロイダルシリカを単独で用いることにより、より良好な面品質が実現され得る。
コロイダルシリカの粒子形状は特に限定されず、例えば球形であってもよく、非球形であってもよい。非球形の具体例としては、ピーナッツ形状、繭形状、突起付き形状、ラグビーボール形状等が挙げられる。ピーナッツ形状は、例えば落花生の殻の形状であり得る。突起付き形状は、例えば金平糖形状であり得る。
シリカ粒子の他の例として、例えば、原料シリカに対して熱処理を施して得られたシリカ粒子(以下「熱処理シリカ」ともいう。)、具体的には加温されたシリカ粒子、乾燥されたシリカ粒子、焼成されたシリカ粒子等が挙げられる。ここで、加温されたシリカ粒子とは、典型的には、60℃以上110℃未満の環境下に一定時間以上、例えば15分以上、典型的には30分以上保持する処理を経て得られたシリカ粒子をいう。また、乾燥されたシリカ粒子とは、典型的には、110℃以上500℃未満、好ましくは300℃以上500℃未満の環境下に一定時間以上、例えば15分以上、典型的には30分以上保持する処理を経て得られたシリカ粒子をいう。そして、焼成されたシリカ粒子(以下「焼成シリカ」ともいう。)とは、典型的には500℃以上、好ましくは700℃以上、さらに好ましくは900℃以上の環境下に一定時間以上、例えば15分以上、典型的には30分以上保持する処理を経て得られたシリカ粒子をいう。上述したいずれかの原料シリカ、すなわち、沈降シリカ、ケイ酸ソーダ法シリカ、アルコキシド法シリカ、フュームドシリカ、乾燥シリカ、爆発法シリカ等を熱処理する過程を経て得られたシリカ粒子は、ここでいう熱処理シリカの概念に包含される典型例である。シリカ砥粒が熱処理シリカを含む場合、該シリカ砥粒に含まれる熱処理シリカは、1種であってもよく、製造条件および/または物性の異なる2種以上であってもよい。また、上記シリカ粒子は、1種または2種以上の熱処理シリカからなる構成であってもよく、熱処理シリカと、他のシリカ粒子すなわち熱処理されていないシリカ粒子とを組み合わせて含む構成であってもよい。
ここに開示される技術は、研磨用組成物に含まれる砥粒が、熱処理シリカを単独で含むか、熱処理シリカと他のシリカ粒子とを組み合わせて含む態様でも実施することができる。いくつかの好ましい態様では、研磨用組成物に含まれるシリカ粒子は、コロイダルシリカと熱処理シリカとを組み合わせて含む。コロイダルシリカに加えて、熱処理シリカ粒子をさらに含むことによって、高い面品質を実現し、高い加工性を好ましく実現することができる。
シリカ粒子がコロイダルシリカと熱処理シリカとを含む態様において、その含有割合は特に限定されない。加工性と面品質との両立の観点から、コロイダルシリカ100重量部に対する熱処理シリカの割合は、凡そ20重量部以下とすることが適当であり、好ましくは凡そ15重量部以下、より好ましくは凡そ10重量部以下であり、凡そ7重量部以下(例えば凡そ5重量部以下)であってもよい。また、熱処理シリカ使用による効果を好ましく得る観点から、コロイダルシリカ100重量部に対する熱処理シリカの割合は、凡そ0.1重量部以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ1重量部以上、より好ましくは凡そ2重量部以上(例えば凡そ5重量部以上)である。
シリカ粒子の平均一次粒子径は特に限定されず、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、さらに好ましくは30nm以上、特に好ましくは35nm以上である。平均一次粒子径の増大によって、より高い加工性が実現され得る。また、より面品質の高い表面を得るという観点から、上記平均一次粒子径は、好ましくは凡そ300nm以下、より好ましくは凡そ200nm以下であり、凡そ150nm以下(例えば凡そ100nm以下)であってもよい。
なお、ここに開示される技術において、砥粒(典型的にはシリカ粒子)の平均一次粒子径は、BET法に基づいて求められる平均粒子径をいう。例えば、砥粒がシリカ砥粒(すなわちシリカ粒子からなる砥粒)の場合、シリカ砥粒の平均一次粒子径は、BET法により測定される比表面積S(m/g)から、D1(nm)=(6000/2.2)/Sの式により算出され得る。この式における2.2はシリカの比重の値であり、シリカとしての粒子径となる。比表面積の測定は、例えば、マイクロメリテックス社製の表面積測定装置、商品名「Flow Sorb II 2300」を用いて行うことができる。
いくつかの態様において、シリカ粒子は、SEM画像解析に基づく体積平均粒子径が凡そ50nm以上であり得る。シリカ粒子の体積平均粒子径は、加工性等の観点から、好ましくは凡そ80nm以上、より好ましくは凡そ100nm以上、さらに好ましくは凡そ110nm以上、特に好ましくは凡そ140nm以上である。上記体積平均粒子径は、例えば凡そ160nm以上であってもよく、さらには凡そ180nm以上であってもよい。また、シリカ粒子の体積平均粒子径は、面品質の高い表面を得る観点から、凡そ400nm以下とすることが適当であり、好ましくは凡そ300nm以下、より好ましくは凡そ250nm以下、さらに好ましくは凡そ200nm以下、特に好ましくは凡そ180nm以下である。上記体積平均粒子径は、例えば凡そ130nm以下であってもよい。
本明細書におけるSEM画像解析に基づく体積平均粒子径は、具体的には次の方法で求められる。測定対象の粒子(1種類の砥粒粒子であってもよく、2種類以上の砥粒粒子の混合物であってもよい。)に含まれる1000個以上の粒子を、1視野内に50個以上の粒子を含むSEM画像で観察する。観察倍率は25000倍~50000倍とする。各粒子画像の投影面積と等しい面積を有する理想円(真円)の半径rから4πr/3により得られる値を各粒子の体積として算出する。ここで、上記体積は、一次粒子であるか二次粒子であるかを問わず、研磨用組成物中において独立して分散している粒子を1個の粒子と数えて算出するものとする。上記所定個数の粒子の体積から体積基準の累積分布曲線を導出し、その累積頻度50%粒子径(D50)を体積平均粒子径(D50)として採用する。SEM画像解析に基づく体積平均粒子径(D50)は、一般的な画像解析ソフトウエアを用いて求めることができる。
特に限定するものではないが、シリカ粒子の平均アスペクト比は、例えば1.0以上であり得る。加工性等の観点から、いくつかの態様において、平均アスペクト比は、例えば1.02以上であってよく、1.05以上でもよく、1.10以上でもよく、1.15以上でもよい。また、面品質を効率よく高めやすくする観点から、いくつかの態様において、平均アスペクト比は2.50以下であることが適当であり、2.0以下でもよく、1.70以下でもよい。ここに開示される技術は、シリカ粒子の平均アスペクト比が1.50以下、さらには1.30以下である態様でも好適に実施され得る。ここで、シリカ粒子の平均アスペクト比とは、該砥粒を構成する個々の粒子の長径/短径比の平均値、すなわち個数平均アスペクト比をいう。以下、特記しない場合、本明細書において平均アスペクト比とは、上記個数平均アスペクト比を意味するものとする。
本明細書において、シリカ粒子の平均アスペクト比は次の方法で測定することができる。すなわち、SEMを用いて、測定対象の砥粒に含まれる所定個数のシリカ粒子を、1視野内に50個以上の粒子を含むSEM画像で観察する。観察倍率は10000倍~50000倍で観察を行う。測定対象のシリカ粒子は、1種類のシリカ粒子でもよく、2種類以上のシリカ粒子の混合物でもよい。上記SEM画像中のシリカ粒子について、各々の粒子画像に外接する最小の長方形を描く。その長方形の長辺の長さを長径の値とし、短辺の長さを短径の値として、各粒子について長径の値を短径の値で除した値をアスペクト比として算出する。すなわち、各粒子のアスペクト比は、該粒子に外接する最小の長方形の長辺/短辺の比として求められる。上記所定個数の粒子のアスペクト比を算術平均することにより、個数平均アスペクト比を求めることができる。上記個数アスペクト比は、一般的な画像解析ソフトウエアを用いて求めることができる。
なお、上記所定個数、すなわち粒子毎のアスペクト比を算出する粒子の個数は、測定精度や再現性を高める観点から、1000個以上とすることが適当であり、1500個以上とすることが好ましい。上記所定個数の上限は特に制限されない。測定効率の観点から、上記所定個数は、例えば5000個以下であってよく、2500個以下でもよい。
いくつかの好ましい態様では、シリカ粒子として、SEM画像解析に基づく平均アスペクト比が1.10以上であるシリカ粒子S1を含む。相対的に球形度が低いシリカ粒子S1を用いることによって、高い加工性が得られやすい。シリカ粒子S1の平均アスペクト比は、加工性の観点から、好ましくは1.12以上、より好ましくは1.15以上、さらに好ましくは1.17以上(例えば1.18以上)である。上記平均アスペクト比は凡そ2.5以下であることが適当であり、面品質の観点から、好ましくは凡そ2.0以下、より好ましくは凡そ1.5以下、さらに好ましくは凡そ1.3以下(例えば1.25以下)である。シリカ粒子S1の好適例としては、コロイダルシリカが挙げられる。シリカ粒子S1に該当するコロイダルシリカは非球状コロイダルシリカともいう。
いくつかの態様において、シリカ粒子S1は、SEM画像解析に基づく体積平均粒子径が200nm未満であり得る。相対的に球形度が低く、かつ粒子径が比較的小さいシリカ粒子S1を用いることによって、高い加工性と高い面品質が両立して得られやすい。シリカ粒子S1の体積平均粒子径は、面品質の観点から、好ましくは180nm未満、より好ましくは160nm未満(例えば凡そ150nm以下)である。また、上記体積平均粒子径は、凡そ50nm以上であることが適当であり、加工性の観点から、好ましくは凡そ90nm以上、より好ましくは凡そ120nm以上(例えば凡そ130nm以上)である。
シリカ粒子全体(砥粒全体であり得る。)に占めるシリカ粒子S1の割合は特に限定されない。加工性の観点から、シリカ粒子全体に占めるシリカ粒子S1の割合は、凡そ10重量%以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ20重量%以上、より好ましくは凡そ30重量%以上、例えば凡そ40重量%以上であってもよく、凡そ50重量%以上であってもよい。また、加工性と面品質との両立を考慮すると、シリカ粒子S1は他のシリカ粒子(例えば後述のシリカ粒子S2)と併用することが好ましい。そのような観点から、シリカ粒子全体(砥粒全体であり得る。)に占めるシリカ粒子S1の割合は、凡そ95重量%以下とすることが適当であり、好ましくは凡そ85重量%以下、より好ましくは凡そ70重量%以下、さらに好ましくは凡そ65重量%以下である。
いくつかの好ましい態様では、シリカ粒子として、SEM画像解析に基づく平均アスペクト比が1.10未満であるシリカ粒子S2を含む。相対的に球形度が高いシリカ粒子S2を用いることによって、高い面品質が好ましく実現される。また、球形度の高いシリカ粒子を含む態様において、ここに開示される技術による端部形状改善効果は好ましく発揮される。シリカ粒子S2の平均アスペクト比は、面品質の観点から、好ましくは凡そ1.08以下、より好ましくは凡そ1.06以下(例えば1.05未満)である。上記平均アスペクト比は1.0以上であり、加工性等の観点から、好ましくは1.02以上、より好ましくは1.03以上である。シリカ粒子S2の好適例としては、コロイダルシリカが挙げられる。シリカ粒子S2に該当するコロイダルシリカは球状コロイダルシリカともいう。
いくつかの態様において、シリカ粒子S2は、SEM画像解析に基づく体積平均粒子径が200nm未満であり得る。相対的に球形度が高く、かつ粒子径が比較的小さいシリカ粒子S2を用いることによって、高い面品質が好ましく実現される。また、上記シリカ粒子S2を含む態様において、ここに開示される技術による端部形状改善効果は好ましく発揮される。シリカ粒子S2の体積平均粒子径は、面品質の観点から、好ましくは150nm未満、より好ましくは120nm未満であり、100nm未満(例えば凡そ95nm以下)であってもよい。また、上記体積平均粒子径は、凡そ30nm以上であることが適当であり、加工性の観点から、好ましくは凡そ40nm以上、より好ましくは凡そ50nm以上(例えば凡そ60nm以上)である。
シリカ粒子全体(砥粒全体であり得る。)に占めるシリカ粒子S2の割合は特に限定されない。面品質の観点から、シリカ粒子全体に占めるシリカ粒子S2の割合は、凡そ50重量%以上であってもよく、例えば75重量%以上であってもよく、凡そ90重量%以上(例えば凡そ99重量%以上)であってもよく、典型的には凡そ100重量%であり得る。上記シリカ粒子S2の割合は、例えば凡そ90重量%以下であってもよい。他のシリカ粒子と併用する場合は、併用の効果(例えば加工性向上)をよりよく発揮する観点から、上記シリカ粒子S2の割合を凡そ60重量%以下とすることが適当であり、好ましくは凡そ50重量%以下(例えば45重量%以下)である。上記シリカ粒子S2の割合の下限は特に限定されず、例えば凡そ5重量%以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ10重量%以上、より好ましくは凡そ15重量%以上であり、例えば25重量%以上(典型的には凡そ30重量%以上)であってもよい。
特に好ましい態様において、シリカ粒子S1とシリカ粒子S2とが併用される。シリカ粒子S1とシリカ粒子S2とを併せて用いることにより、高い面品質と加工性とを両立しやすくなる。シリカ粒子S1とS2との含有比率は特に限定されず、例えば、シリカ粒子S2に対するシリカ粒子S1の含有比(S1/S2)は凡そ1/99以上とすることが適当であり、好ましくは10/90以上、より好ましくは30/70以上、さらに好ましくは40/60以上、特に好ましくは50/50以上であり、例えば60/40以上であってもよい。上記含有比(S1/S2)は、例えば99/1以下であることが適当であり、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、さらに好ましくは70/30以下(例えば65/35以下)である。
また、いくつかの好ましい態様では、シリカ粒子として、SEM画像解析に基づく平均アスペクト比が1.10以上であり、かつSEM画像解析による体積平均粒子径が200nm以上であるシリカ粒子S3をさらに含む。相対的に球形度が低く、かつ粒子径が比較的大きいシリカ粒子S3を含ませることで、加工性は向上する。シリカ粒子S3の好適例としては、熱処理シリカ(典型的には焼成シリカ)が挙げられる。
シリカ粒子S3の平均アスペクト比は、加工性の観点から、好ましくは1.20以上、より好ましくは1.25以上、さらに好ましくは1.30以上である。上記平均アスペクト比は凡そ2.5以下であることが適当であり、面品質等の観点から、好ましくは凡そ2.0以下、より好ましくは凡そ1.5以下(例えば1.4以下)である。
シリカ粒子S3の体積平均粒子径は、加工性等の観点から、好ましくは凡そ240nm以上、より好ましくは凡そ280nm以上であり、凡そ300nm以上であってもよい。また、シリカ粒子S3の体積平均粒子径は、面品質等の観点から、凡そ1000nm以下であることが適当であり、好ましくは凡そ700nm以下、より好ましくは凡そ600nm以下(例えば凡そ500nm以下)である。
加工性と面品質との両立の観点から、シリカ粒子S3は、他のシリカ粒子(例えばシリカ粒子S1やS2)と併用することが好ましい。特に好ましい態様において、シリカ粒子S3は、シリカ粒子S1およびシリカ粒子S2と併用される。シリカ粒子S3をシリカ粒子S1およびシリカ粒子S2と併せて用いることにより、加工性と面品質とが高レベルで両立され得る。シリカ粒子全体(砥粒全体であり得る。)に占めるシリカ粒子S3の割合は、凡そ20重量%以下とすることが適当であり、好ましくは凡そ15重量%以下、より好ましくは凡そ10重量%以下であり、凡そ7重量%以下であってもよい。また、シリカ粒子S3使用による効果を好ましく得る観点から、シリカ粒子全体(砥粒全体であり得る。)に占めるシリカ粒子S3の割合は、凡そ0.1重量%以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ1重量%以上、より好ましくは凡そ2重量%以上(例えば凡そ5重量%以上)である。
ここに開示される研磨用組成物は、上記シリカ粒子以外の粒子を含有することができる。シリカ粒子以外の粒子としては、無機粒子、有機粒子、および有機無機複合粒子のいずれも利用可能である。無機粒子の具体例としては、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、酸化クロム粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、二酸化マンガン粒子、酸化亜鉛粒子、ベンガラ粒子等の酸化物粒子;窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等の窒化物粒子;炭化ケイ素粒子、炭化ホウ素粒子等の炭化物粒子;ダイヤモンド粒子;炭酸カルシウムや炭酸バリウム等の炭酸塩;等が挙げられる。上記アルミナ粒子としては、α-アルミナ、α-アルミナ以外の中間アルミナおよびこれらの複合物が挙げられる。中間アルミナとは、α-アルミナ以外のアルミナ粒子の総称であり、具体例としてはγ-アルミナ、δ-アルミナ、θ-アルミナ、η-アルミナ、κ-アルミナおよびこれらの複合物が挙げられる。有機粒子の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子やポリ(メタ)アクリル酸粒子、ポリアクリロニトリル粒子等が挙げられる。ここで(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸を包括的に指す意味である。これらシリカ粒子以外の粒子は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここに開示される研磨用組成物において、該研磨用組成物に含まれる固形分に占めるシリカ粒子の含有量は特に限定されない。上記シリカ粒子の含有量は、ここに開示される技術による効果をよりよく発揮する観点から、上記固形分全体の40重量%以上であることが好ましく、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、さらにより好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、例えば99重量%以上である。なお、本明細書において研磨用組成物に含まれる固形分とは、結合水が除去されない程度の温度、例えば60℃で研磨用組成物から水分を蒸発させた後の残留分すなわち不揮発分をいう。
ここに開示される研磨用組成物は、アルミナ粒子を実質的に含まない態様で好ましく実施され得る。アルミナ粒子としては、例えばα-アルミナ粒子が挙げられる。このような研磨用組成物によると、アルミナ粒子の使用に起因する品質低下が防止される。ここでいう品質低下としては、例えば、スクラッチや窪みの発生、アルミナの残留、砥粒の突き刺さり欠陥等が挙げられる。なお、本明細書においてアルミナ粒子を実質的に含まないとは、研磨用組成物に含まれる固形分全量のうちアルミナ粒子の割合が1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、典型的には0.1重量%以下であることをいう。アルミナ粒子の割合が0重量%である研磨用組成物、すなわちアルミナ粒子を含まない研磨用組成物が特に好ましい。また、ここに開示される研磨用組成物は、α-アルミナ粒子を実質的に含まない態様で好ましく実施され得る。
ここに開示される研磨用組成物は、シリカ粒子以外の粒子、すなわち非シリカ粒子を実質的に含まない態様でも好ましく実施され得る。ここで、非シリカ粒子を実質的に含まないとは、研磨用組成物に含まれる固形分全量のうち非シリカ粒子の割合が1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、典型的には0.1重量%以下であることをいう。このような態様において、ここに開示される技術の適用効果が好適に発揮され得る。
研磨用組成物における砥粒(典型的にはシリカ粒子)の含有量は特に制限されないが、典型的には0.1重量%以上であり、0.5重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、3重量%以上であることがさらに好ましく、5重量%以上であることが特に好ましい。上記含有量は、複数種類の砥粒を含む場合には、それらの合計含有量である。砥粒の含有量の増大によって、より高い加工性が得られる傾向がある。研磨後の基板の表面平滑性や研磨の安定性の観点から、上記含有量は、30重量%以下が適当であり、好ましくは25重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
(1-1-2.水)
ここに開示される研磨用組成物は、典型的には、上述のような砥粒の他に、該砥粒を分散させる水を含有する。水としては、イオン交換水、純水、超純水、蒸留水等を好ましく用いることができる。イオン交換水は、典型的には脱イオン水であり得る。
ここに開示される研磨用組成物は、例えば、その固形分含量が0.5重量%~30.0重量%である形態で好ましく実施され得る。上記固形分含量が1.0重量%~20.0重量%である形態がより好ましい。研磨用組成物は、典型的にはスラリー状の組成物であり得る。
(1-1-3.リン酸エステルおよび亜リン酸エステルから選択される化合物)
ここに開示される研磨用組成物は、分子量150以上のリン酸エステル、および、亜リン酸エステルから選択される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする。シリカ粒子含有研磨用組成物に上記化合物を用いることによって、研磨性能を維持しつつ端部形状を改善することができる。その理由としては、例えば以下のように考えられる。磁気ディスク用基板は、通常、研磨パッドを研磨対象基板に押し当て両者を相対移動させて研磨されるため、基板の端部には、研磨荷重だけでなく、研磨パッドの沈み込みの分だけ側面からの力が加わり、より大きな負荷がかかる。これがロールオフの原因となる。亜リン酸エステルや分子量150以上のリン酸エステルは、研磨中、圧力が相対的に大きい基板端部において、その力が一定の閾値を超えると金属表面と作用して潤滑作用を発現し、ロールオフの防止または低減に貢献すると考えられる。つまり、これらの化合物は、基板内周部には作用しないか、その作用は小さく、基板端部に選択的に作用する。その結果、端部形状を改善しつつ、加工性等の研磨性能を維持するものと考えられる。なお、上記のメカニズムは、実験結果に基づく本発明者らの考察であり、ここに開示される技術は、上記のメカニズムに限定して解釈されるものではない。
リン酸エステルは、分子量が150以上であるものを特に制限なく用いることができる。リン酸エステルとしては、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステルのいずれも使用可能である。リン酸エステルは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。リン酸エステルは、研磨中、反応性領域(P=OやP-OH)が基板端部に吸着し、リン酸エステル中の置換基(有機基)が、上記端部を保護する領域として機能すると考えられる。所定値以上の分子量を有するリン酸エステルは置換基が端部を保護するのに十分な大きさを有し、基板端部側面からの力を効果的に低減するものと考えられる。なお、ここに開示される技術は、上記のメカニズムに限定して解釈されるものではない。
上記リン酸エステルの分子量は、端部形状改善の観点から、180以上でもよく、200以上でもよく、220以上でもよく、250以上でもよく、300以上でもよく、400以上(例えば450以上)でもよい。上記分子量の上限は、研磨用組成物への溶解性や取扱い性等の観点から、典型的には1000以下であり、好ましくは700以下、より好ましくは550以下であり、450以下でもよく、350以下でもよく、270以下でもよく、210以下(例えば170以下)でもよい。
ここに開示されるリン酸エステルは、例えば下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0007471118000002
上式(1)中、RおよびRは同一であっても互いに異なっていてもよく、いずれも水素原子または有機基である。ただし、RおよびRのうち少なくとも一方は、有機基である。
いくつかの態様において、上記一般式(1)で表される化合物は、RおよびRの少なくとも一方が、アルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、(メタ)アクリル酸アルキルエステル基および(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル基、(ポリ)オキシアルキレンアリールエーテル基および芳香族基から選択される有機基である。上記有機基を構成する炭素原子数は、上記化合物の分子量が150以上となる限りにおいて特に限定されず、端部形状改善性、研磨用組成物における溶解性、取扱い性等を考慮して適当な炭素原子数を有するものが用いられる。例えば、上記アルキル基、アルケニル基およびアルコキシアルキル基の炭素原子数は、それぞれ独立して、3以上が適当であり、好ましくは4以上であり、6以上であってもよく、8以上であってもよい。芳香族基(例えばアリール基、典型的にはフェニル基)の炭素原子数は6以上であり、8以上であってもよい。アルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基および芳香族基の炭素原子数の上限は、それぞれ独立して、24以下が適当であり、好ましくは18以下、より好ましくは14以下、さらに好ましくは12以下、特に好ましくは8以下である。RおよびRのうち一方が鎖状アルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基である態様においては、当該RおよびRの一方の炭素原子数は1または2であってもよい。
いくつかの好ましい態様では、上記一般式(1)で表される化合物は、RおよびRの少なくとも一方がアルキル基である。上記アルキル基は特に限定されず、直鎖状、分岐状等の鎖状アルキル基であってもよく、脂環式アルキル基であってもよい。上記RおよびRの少なくとも一方は鎖状アルキル基であることが好ましい。鎖状アルキル基を含むリン酸エステルによると、端部形状改善効果が得られやすい。この態様におけるRおよびRの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等が挙げられる。
他のいくつかの好ましい態様において、上記一般式(1)で表される化合物は、RおよびRの少なくとも一方がアルコキシアルキル基である。上記アルコキシアルキル基において、アルコキシ部分の炭素原子数は特に限定されず、1以上、2以上でもよく、4以上でもよく、また10以下が適当であり、8以下でもよく、6以下でもよい。アルコキシアルキル基のアルキル部分の炭素原子数も特に限定されず、1以上、2以上でもよく、また12以下が適当であり、8以下でもよく、4以下でもよい。
他のいくつかの好ましい態様では、上記一般式(1)で表される化合物は、RおよびRの少なくとも一方が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル基である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル基を構成するアルキル基の炭素原子数は特に限定されず、例えば2以上であり、4以上でもよく、8以上でもよく、12以上でもよく、また14以下でもよく、10以下でもよく、6以下(例えば4以下)でもよい。
他のいくつかの好ましい態様では、上記一般式(1)で表される化合物は、RおよびRの少なくとも一方が、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル基または(ポリ)オキシアルキレンアリールエーテル基である。(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル基や(ポリ)オキシアルキレンアリールエーテル基を構成するアルキル基の炭素原子数は特に限定されず、例えば2以上であり、4以上でもよく、8以上でもよく、12以上でもよく、また24以下でもよく、18以下でもよく、14以下(例えば12以下)でもよい。(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル基、(ポリ)オキシアルキレンアリールエーテル基のオキシアルキレン単位の繰返し数も特に限定されず、1以上であり、2以上が適当であり、3以上でもよく、また10以下が適当であり、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、例えば4以下である。
上記リン酸エステルとしては、モノアリールアシッドホスフェート、ジアリールアシッドホスフェート等のアリールアシッドホスフェート;モノアルキルアシッドホスフェート、ジアルキルアシッドホスフェート等のアルキルアシッドホスフェート;モノアルケニルアシッドホスフェート、ジアルケニルアシッドホスフェート等のアルケニルアシッドホスフェート;アルコキシアルキルアシッドホスフェート;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートアシッドホスフェート;モノアルキルホスフェート;ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル;ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸エステル;等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、アルキルアシッドホスフェート、アルコキシアルキルアシッドホスフェート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートアシッドホスフェート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルが好ましく、アルキルアシッドホスフェート、アルコキシアルキルアシッドホスフェート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルがより好ましい。
上記リン酸エステルの好適例としては、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、モノブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノ-2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジ-2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、モノイソデシルアシッドホスフェート、ジイソデシルアシッドホスフェート等のアルキルアシッドホスフェート;ブトキシエチルアシッドホスフェート、ジブトキシエチルアシッドホスフェート等のアルコキシアルキルアシッドホスフェート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートアシッドホスフェート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートアシッドホスフェート;ポリオキシエチレン-2-エチルヘキシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシプロピレン-2-エチルヘキシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルエーテルリン酸エステル、ポリオキシプロピレンオクチルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシプロピレンデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシプロピレントリデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸エステル、ポリオキシプロピレンオレイルエーテルリン酸エステル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル;等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここに開示される研磨用組成物は亜リン酸エステルを含むものであり得る。亜リン酸エステルは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。亜リン酸エステルの分子量については特に制限されない。亜リン酸エステルによる保護機能は上述のリン酸エステルのそれとは異なると考えられるためである。具体的には、亜リン酸エステルは、研磨中、上記リン酸エステルと同様の反応性領域(P=O)の機能に加え、エステル結合部分(P-O-C)が有機基を切り離しながら基板端部に吸着し、最終的に無機酸膜を形成すると考えられる。上記無機酸膜は基板端部に高密度で配置されて、主としてケミカルエッチングに対する保護膜として機能することにより、亜リン酸エステルの分子量にかかわらず効果を発現していると考えられる。なお、ここに開示される技術における亜リン酸エステルの作用効果は、上記のメカニズムに限定して解釈されるものではない。
上記亜リン酸エステルの分子量は、端部形状改善の観点から、凡そ85以上が適当であり、好ましくは100以上、より好ましくは120以上であり、例えば150以上であってもよい。上記分子量の上限は、研磨用組成物への溶解性や取扱い性等の観点から、例えば1000以下が適当であり、好ましくは500以下、より好ましくは300以下であり、200以下でもよく、160以下でもよい。
ここに開示される亜リン酸エステルは、例えば下記一般式(2)で表される化合物である。
Figure 0007471118000003
上式(2)中、RおよびRは同一であっても互いに異なっていてもよく、いずれも水素原子または有機基である。ただし、RおよびRのうち少なくとも一方は、有機基である。
いくつかの態様において、上記一般式(2)で表される化合物は、R3およびR4の少なくとも一方が、アルキル基および芳香族基から選択される有機基である。上記有機基を構成する炭素原子数は特に限定されず、端部形状改善性、研磨用組成物における溶解性、取扱い性等を考慮して適当な炭素原子数を有するものが用いられる。例えば、上記アルキル基の炭素原子数は、1以上であり、2以上が適当であり、4以上でもよい。芳香族基(例えばアリール基、典型的にはフェニル基)の炭素原子数は6以上である。上記アルキル基および芳香族基の炭素原子数の上限は24以下が適当であり、好ましくは12以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは6以下、特に好ましくは4以下である。
いくつかの好ましい態様において、上記一般式(2)で表される化合物は、R3およびR4の少なくとも一方がアルキル基である。上記アルキル基は特に限定されず、直鎖状、分岐状等の鎖状アルキル基であってもよく、脂環式アルキル基であってもよい。上記R3およびR4の少なくとも一方は鎖状アルキル基であることが好ましい。鎖状アルキル基を含む亜リン酸エステルによると、端部形状改善効果が得られやすい。この態様におけるR3およびR4の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等が挙げられる。
亜リン酸エステルの好適例としては、ジメチルハイドロゲンホスファイト、ジエチルハイドロゲンホスファイト、ジイソプロピルハイドロゲンホスファイト、ジブチルハイドロゲンホスファイト、ジイソブチルハイドロゲンホスファイト、ビス(2-エチルヘキシル)ハイドロゲンホスファイト等のアルキルハイドロゲンホスファイト;ジフェニルハイドロゲンホスファイト等のアリールハイドロゲンホスファイト;等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、ジエチルハイドロゲンホスファイト、ジブチルハイドロゲンホスファイトが好ましい。
ここに開示される研磨用組成物における分子量150以上のリン酸エステルおよび亜リン酸エステルの含有量(総量)は、加工性維持と端部形状改善とを両立する適当量とすることができ、また種によっても異なり得るため、特定の範囲に限定されない。上記含有量は、凡そ0.001mM(mmol/L)以上とすることができ、凡そ0.01mM以上が適当である。端部形状改善の観点から、上記含有量は、凡そ0.1mM以上でもよく、凡そ0.3mM以上でもよく、凡そ0.5mM以上でもよく、凡そ1mM以上でもよく、凡そ2mM以上でもよく、凡そ5mM以上でもよく、凡そ8mM以上でもよい。上記含有量の上限は、例えば100mM以下とすることができ、凡そ30mM以下(例えば15mM以下)が適当である。加工性の観点から、上記含有量は、凡そ10mM以下でもよく、凡そ7mM以下でもよく、凡そ3mM以下でもよく、凡そ1mM以下でもよく、凡そ0.5mM以下でもよく、凡そ0.1mM以下でもよい。
特に限定されるものではないが、ここに開示される技術においてリン酸エステルとしてモノアルキルアシッドホスフェートを用いる態様では、研磨用組成物におけるモノアルキルアシッドホスフェートの含有量は凡そ0.01~10mM(例えば凡そ0.1~5mM、典型的には凡そ0.3~1.5mM)とすることが好ましい。ジアルキルアシッドホスフェートを用いる態様では、その含有量は凡そ0.1~100mM(例えば凡そ1~30mM、典型的には凡そ5~20mM)とすることが好ましい。ヒドロキシ(メタ)アクリレートアシッドホスフェートを用いる態様では、その含有量は凡そ0.1~50mM(例えば凡そ1~10mM、典型的には凡そ2~5mM)とすることが好ましい。(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルを用いる態様では、その含有量は凡そ0.001~15mM(例えば凡そ0.01~5mM、典型的には凡そ0.02~2mM)とすることが好ましい。ここに開示される技術を亜リン酸エステルを用いる態様で実施する場合、亜リン酸エステルの含有量は凡そ0.1~50mM(例えば凡そ1~15mM、典型的には凡そ2~10mM)とすることが好ましい。
(1-1-4.酸)
ここに開示される研磨用組成物は、研磨促進剤として酸を含むことが好ましい。酸としては、無機酸および有機酸のいずれも使用可能である。有機酸としては、例えば、炭素原子数が1~18程度、典型的には1~10程度の有機カルボン酸、有機ホスホン酸、有機スルホン酸、アミノ酸等が挙げられる。酸は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機酸の具体例としては、リン酸(オルトリン酸)、硝酸、硫酸、塩酸、ホウ酸、スルファミン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸、ヘキサメタリン酸、炭酸、フッ化水素酸、亜硫酸、チオ硫酸、塩素酸、過塩素酸、亜塩素酸、ヨウ化水素酸、過ヨウ素酸、ヨウ素酸、臭化水素酸、過臭素酸、臭素酸、クロム酸、亜硝酸等が挙げられる。
有機酸の具体例としては、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、グリコール酸、コハク酸、イタコン酸、マロン酸、イミノ二酢酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、酒石酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アジピン酸、シュウ酸、吉草酸、エナント酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、安息香酸、クロトン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレン酸、メタクリル酸、グルタル酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、イソクエン酸、メチレンコハク酸、没食子酸、アスコルビン酸、ニトロ酢酸、オキサロ酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸等の有機カルボン酸;グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、プロリン、シスチン、グルタミン、アスパラギン、リシン、アルギニン等のアミノ酸;ニコチン酸;ピクリン酸;ピコリン酸;フィチン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸、エタンヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2-ホスホノブタン-1,2-ジカルボン酸、1-ホスホノブタン-2,3,4-トリカルボン酸、α-メチルホスホノコハク酸、アミノポリ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アミノエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、スルホコハク酸、10-カンファースルホン酸、イセチオン酸、タウリン等の有機スルホン酸等が挙げられる。
研磨効率の観点から好ましい酸として、リン酸、ホスホン酸、マレイン酸、塩酸、硝酸、硫酸、スルファミン酸、フィチン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、メタンスルホン酸等が例示される。なかでもリン酸、ホスホン酸、マレイン酸、塩酸、硝酸、硫酸が好ましい。
酸は、該酸の塩の形態で用いられてもよい。塩の例としては、上述した無機酸や有機酸の、金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等が挙げられる。金属塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。アルカノールアミン塩としては、例えば、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩が挙げられる。
塩の具体例としては、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩およびアルカリ金属リン酸水素塩;上記で例示した有機酸のアルカリ金属塩;その他、グルタミン酸二酢酸のアルカリ金属塩、ジエチレントリアミン五酢酸のアルカリ金属塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸のアルカリ金属塩、トリエチレンテトラミン六酢酸のアルカリ金属塩;等が挙げられる。これらのアルカリ金属塩におけるアルカリ金属は、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等であり得る。
ここに開示される研磨用組成物に含まれ得る塩としては、無機酸の塩、例えば、アルカリ金属塩やアンモニウム塩を好ましく採用し得る。例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム等を好ましく使用し得る。
酸およびその塩は、1種を単独でまたは2種以上(例えば2種または3種)を組み合わせて用いることができる。いくつかの好ましい態様において、酸と、該酸とは異なる酸の塩とを組み合わせて用いることができる。上記酸は、好ましくは無機酸である。上記酸の塩は、好ましくは無機酸の塩である。
研磨用組成物が酸を含む場合、研磨用組成物における酸のモル濃度(複数種類の酸を含む場合には、それらの合計モル濃度)は特に限定されず、例えば凡そ0.001モル/L以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ0.01モル/L以上、より好ましくは凡そ0.05モル/L以上、さらに好ましくは0.07モル/L以上、特に好ましくは0.09モル/L以上である。いくつかの態様において、酸のモル濃度は、例えば0.1モル/L以上であってもよく、典型的には0.12モル/L以上であってもよい。酸のモル濃度の増大によって、より高い加工性が実現され得る。研磨後の面品質や研磨の安定性等の観点から、上記酸のモル濃度は、凡そ1.2モル/L以下が適当であり、好ましくは凡そ1モル/L以下、より好ましくは凡そ0.8モル/L以下、さらに好ましくは凡そ0.5モル/L以下、特に好ましくは凡そ0.3モル/L以下(例えば0.2モル/L以下)である。
(1-1-5.酸化剤)
ここに開示される研磨用組成物は、酸化剤を含有することができる。酸化剤の例としては、過酸化物、硝酸またはその塩、過ヨウ素酸またはその塩、ペルオキソ酸またはその塩、過マンガン酸またはその塩、クロム酸またはその塩、酸素酸またはその塩、金属塩類、硫酸類等が挙げられるが、これらに限定されない。酸化剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、硝酸、硝酸鉄、硝酸アルミニウム、硝酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ一硫酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸金属塩、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、過塩素酸、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、過マンガン酸カリウム、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩、塩化鉄、硫酸鉄、クエン酸鉄、硫酸アンモニウム鉄等が挙げられる。好ましい酸化剤として、過酸化水素、硝酸鉄、過ヨウ素酸、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸および硝酸が例示される。少なくとも過酸化水素を含むことが好ましく、過酸化水素からなることがより好ましい。
また、研磨液が酸化剤を含む場合、酸化剤の含有量は、研磨対象物を酸化する速度、ひいては加工性を考慮して、0.05モル/L以上であることが好ましく、より好ましくは0.1モル/L以上、さらに好ましくは0.15モル/L以上、特に好ましくは0.3モル/L以上である。また、研磨用組成物中に酸化剤を含む場合、その含有量は、面精度保持の観点から、1モル/L以下であることが好ましく、より好ましくは0.8モル/L以下、さらに好ましくは0.6モル/L以下である。
(1-1-6.塩基性化合物)
研磨用組成物には、必要に応じて塩基性化合物を含有させることができる。ここで塩基性化合物とは、研磨用組成物に添加されることによって該組成物のpHを上昇させる機能を有する化合物を指す。塩基性化合物の例としては、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩や炭酸水素塩、第四級アンモニウムまたはその塩、アンモニア、アミン、リン酸塩やリン酸水素塩、有機酸塩等が挙げられる。塩基性化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属水酸化物の具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
炭酸塩や炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
第四級アンモニウムまたはその塩の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム;このような水酸化第四級アンモニウムのアルカリ金属塩;等が挙げられる。上記アルカリ金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。
アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1-(2-アミノエチル)ピペラジン、N-メチルピペラジン、グアニジン、イミダゾールやトリアゾール等のアゾール類、等が挙げられる。
リン酸塩やリン酸水素塩の具体例としては、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。
有機酸塩の具体例としては、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カリウムナトリウム、酒石酸アンモニウム等が挙げられる。
(1-1-7.その他の成分)
ここに開示される研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、界面活性剤、水溶性高分子、分散剤、キレート剤、防腐剤、防カビ剤等の、研磨用組成物に使用され得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。
界面活性剤としては、特に限定されず、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用可能である。界面活性剤の使用により、研磨用組成物の分散安定性が向上し得る。界面活性剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記界面活性剤は、典型的には、分子量1×10未満の水溶性有機化合物であり得る。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、アルキル硫酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ポリオキシエチレンスルホコハク酸、アルキルスルホコハク酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリアクリル酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、およびこれらの塩等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤の他の具体例としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ベンゼンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のポリアルキルアリールスルホン酸系化合物;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物;リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸等のリグニンスルホン酸系化合物;アミノアリールスルホン酸-フェノール-ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸系化合物;その他、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸;およびこれらの塩等が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、アルキルベタイン型、脂肪酸アミドプロピルベタイン型、アルキルイミダゾール型、アミノ酸型、アルキルアミンオキシド型等が挙げられる。
界面活性剤を含む態様の研磨用組成物では、界面活性剤の含有量を、例えば0.0005重量%以上とすることが適当である。上記含有量は、研磨後の表面の平滑性等の観点から、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.002重量%以上である。また、加工性等の観点から、上記含有量は、3.0重量%以下とすることが適当であり、好ましくは0.5重量%以下、例えば0.1重量%以下である。
ここに開示される研磨用組成物には、水溶性高分子を含有させてもよい。水溶性高分子を含有させることにより、研磨後の面品質が向上し得る。水溶性高分子の例としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド等のポリアルキルアリールスルホン酸系化合物;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等のメラミンホルマリン樹脂スルホン酸系化合物;リグニンスルホン酸、変成リグニンスルホン酸等のリグニンスルホン酸系化合物;アミノアリールスルホン酸-フェノール-ホルムアルデヒド縮合物等の芳香族アミノスルホン酸系化合物;その他、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリイソアミレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリ酢酸ビニル、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリビニルアルコール、ポリグリセリン、ポリビニルピロリドン、イソプレンスルホン酸とアクリル酸の共重合体、ポリビニルピロリドンポリアクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体、ジアリルアミン塩酸塩二酸化硫黄共重合体、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プルラン、キトサン、キトサン塩類等が挙げられる。水溶性高分子は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性高分子を含む態様の研磨用組成物では、研磨用組成物中における該水溶性高分子の含有量を、例えば0.001重量%以上とすることが適当である。上記含有量は、複数の水溶性高分子を含む態様では、それらの合計含有量である。上記含有量は、研磨後の研磨対象物の表面平滑性等の観点から、好ましくは0.003重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、さらに好ましくは0.007重量%以上である。また、加工性等の観点から、上記含有量は、1.0重量%以下とすることが適当であり、好ましくは0.5重量%以下、例えば0.1重量%以下である。なお、ここに開示される技術は、研磨用組成物が水溶性高分子を実質的に含まない態様でも好ましく実施され得る。
分散剤の例としては、ポリカルボン酸ナトリウム塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩等のポリカルボン酸系分散剤;ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、ナフタレンスルホン酸アンモニウム塩等のナフタレンスルホン酸系分散剤;アルキルスルホン酸系分散剤;ポリリン酸系分散剤;ポリアルキレンポリアミン系分散剤;第四級アンモニウム系分散剤;アルキルポリアミン系分散剤;アルキレンオキサイド系分散剤;多価アルコールエステル系分散剤;等が挙げられる。
キレート剤の例としては、アミノカルボン酸系キレート剤および有機ホスホン酸系キレート剤が挙げられる。アミノカルボン酸系キレート剤の例には、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸およびトリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウムが含まれる。有機ホスホン酸系キレート剤の例には、2-アミノエチルホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2-ホスホノブタン-1,2-ジカルボン酸、1-ホスホノブタン-2,3,4-トリカルボン酸およびα-メチルホスホノコハク酸が含まれる。これらのうち有機ホスホン酸系キレート剤がより好ましく、なかでも好ましいものとしてエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)およびジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)が挙げられる。特に好ましいキレート剤として、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)が挙げられる。
防腐剤および防カビ剤の例としては、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン等のイソチアゾリン系防腐剤、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール等が挙げられる。
(1-1-8.pH)
ここに開示される研磨用組成物のpHは特に制限されない。研磨用組成物のpHは、例えば、12.0以下、典型的には0.5~12.0とすることができ、10.0以下、典型的には0.5~10.0としてもよい。加工性や面品質等の観点から、研磨用組成物のpHは、7.0以下、例えば0.5~7.0とすることができ、5.0以下、典型的には1.0~5.0とすることがより好ましく、4.0以下、例えば1.0~4.0とすることがさらに好ましい。研磨用組成物のpHは、例えば3.0以下、典型的には1.0~3.0、好ましくは1.0~2.0、より好ましくは1.0~1.8とすることができる。研磨液において上記pHが実現されるように、必要に応じて有機酸、無機酸、塩基性化合物等のpH調整剤を含有させることができる。上記pHは、例えば、ニッケルリン基板等の磁気ディスク基板の研磨用の研磨用組成物に好ましく適用され得る。特に一次研磨用の研磨用組成物に好ましく適用され得る。
(1-1-9.研磨液)
ここに開示される研磨用組成物は、典型的には該研磨用組成物を含む研磨液の形態で研磨対象物に供給されて、該研磨対象物の研磨に用いられる。上記研磨液は、例えば、研磨用組成物を希釈して調製されたものであり得る。ここで希釈とは、典型的には水による希釈である。あるいは、研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。すなわち、ここに開示される技術における研磨用組成物の概念には、研磨対象物に供給されて該研磨対象物の研磨に用いられる研磨液(ワーキングスラリー)と、希釈して研磨液として用いられる濃縮液との双方が包含される。このような濃縮液の形態の研磨用組成物は、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から有利である。濃縮倍率は、例えば1.5倍~50倍程度とすることができる。濃縮液の貯蔵安定性等の観点から、例えば2倍~20倍、典型的には2倍~10倍程度の濃縮倍率が適当である。
(1-1-10.多剤型研磨用組成物)
なお、ここに開示される研磨用組成物は、一剤型であってもよいし、二剤型を始めとする多剤型であってもよい。例えば、該研磨用組成物の構成成分、典型的には、水以外の成分のうち一部の成分を含むパートAと、残りの成分を含むパートBとが混合されて研磨対象物の研磨に用いられるように構成されていてもよい。いくつかの好ましい態様に係る多剤型研磨用組成物は、砥粒を含むパートAと、砥粒以外の成分を含むパートBとから構成されている。砥粒を含むパートAは、さらに分散剤を含んでもよい。パートBに含まれる砥粒以外の成分としては、例えば、酸、水溶性高分子その他の添加剤が挙げられる。亜リン酸エステルおよび分子量150以上のリン酸エステルから選択される化合物は、パートA、Bのいずれか、または両方に含まれ得る。通常、これらは、使用前は分けて保管されており、使用時に混合され得る。ここでいう使用時とは、典型的には研磨対象基板の研磨時であり得る。混合時には、例えば過酸化水素等の酸化剤がさらに混合され得る。例えば、上記酸化剤が水溶液の形態で供給される場合、当該水溶液は、多剤型研磨用組成物を構成するパートCとなり得る。
<1-2.用途>
ここに開示される研磨用組成物は、例えば、ニッケルリン基板、ガラス基板、カーボン製基板等の研磨に好ましく適用され得る。また、めっき材質として、基材ディスクの表面にニッケルリンめっき層以外の金属層または金属化合物層を備えたディスク基板であってもよい。なかでも、アルミニウム合金製の基材ディスク上にニッケルリンめっき層を有するニッケルリンめっき基板用の研磨用組成物として好適である。かかる用途では、ここに開示される技術を適用することが特に有意義である。
ここに開示される研磨用組成物は、仕上げ研磨工程後において高精度な表面が要求される磁気ディスク基板の製造プロセスにおける予備研磨工程のように、高い研磨効率が要求される用途において特に有意義に使用され得る。仕上げ研磨工程の前工程として複数の予備研磨工程を有する場合は、いずれの予備研磨工程にも使用可能であり、これらの予備研磨工程において同一のまたは異なる研磨用組成物を用いることができる。ここに開示される研磨用組成物は、例えば、磁気ディスク基板の一次研磨工程すなわち最初のポリシング工程に用いられる研磨用組成物として好適である。なかでも、ニッケルリン基板の製造プロセスにおいて、ニッケルリンめっき後の最初の研磨工程すなわち一次研磨工程において好ましく使用され得る。
ここに開示される研磨用組成物は、例えば、Schmitt Measurement System Inc.社製レーザースキャン式表面粗さ計「TMS-3000WRC」により測定される表面粗さが20Å~300Å程度の磁気ディスク基板を研磨して、該磁気ディスク基板を10Å以下の表面粗さに調整する用途に好適である。かかる用途では、ここに開示される技術を適用することが特に有意義である。ここでいう表面粗さとは、算術平均粗さ(Ra)のことをいう。
<1-3.研磨方法>
ここに開示される研磨用組成物は、例えば以下の操作を含む態様で、磁気ディスク基板を研磨対象物とする研磨に好適に使用することができる。以下、ここに開示される研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨する方法の好適な態様につき説明する。以下では、研磨対象物を研磨対象基板ともいう。
すなわち、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を含む研磨液(ワーキングスラリー)を用意する。上記研磨液を用意することには、研磨用組成物に濃度調整やpH調整等の操作を加えて研磨液を調製することが含まれ得る。濃度調整としては、例えば希釈が挙げられる。あるいは、研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。
次いで、その研磨液を研磨対象物に供給し、常法により研磨する。例えば、一般的な研磨装置に研磨対象物をセットし、該研磨装置の研磨パッドを通じて上記研磨対象物の表面すなわち研磨対象面に研磨液を供給する。典型的には、上記研磨液を連続的に供給しつつ、研磨対象物の表面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動させる。上記移動は、例えば回転移動であり得る。このような研磨工程を経て研磨対象物の研磨が完了する。
使用し得る研磨パッドは特に限定されない。例えば、硬質発泡ポリウレタンタイプ、不織布タイプ、スウェードタイプ等の研磨パッドを用いることができる。スウェードタイプは、バフパッドであってもよく、典型的には、表面をバフ加工していないノンバフ状態にある研磨パッド(いわゆるノンバフパッド)であってもよい。そのようなスウェードタイプの研磨パッド(典型的にはポリウレタン製研磨パッド)は、加工性に優れ、また基板表面の高品質化を実現しやすい。なお、ここに開示される技術で用いられる研磨パッドは砥粒を含まない。
研磨工程に使用する研磨装置は、研磨対象物の両面を同時に研磨する両面研磨装置であってもよく、研磨対象物の片面のみを研磨する片面研磨装置であってもよい。上記研磨工程が予備研磨工程である場合、いくつかの態様において、該研磨工程を行う研磨装置として両面研磨装置を好ましく採用し得る。一次研磨工程の後に仕上げ研磨工程を行う場合、該仕上げ研磨工程を行う研磨装置としては、片面研磨装置を好ましく採用し得る。
上述のような研磨工程は、磁気ディスク基板、例えばニッケルリン基板の製造プロセスの一部であり得る。したがって、この明細書によると、上記研磨工程を含む磁気ディスク基板の製造方法および研磨方法が提供される。
ここに開示される研磨用組成物は、研磨対象物の予備研磨工程、例えば一次研磨工程に好ましく使用され得る。この明細書によると、上述したいずれかの研磨用組成物を用いて予備研磨を行う工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法および研磨方法が提供される。上記方法は、ここに開示される研磨用組成物を研磨対象物に供給して該研磨対象物を研磨する工程(1)を含む。上記方法は、上記予備研磨工程の後に仕上げ研磨工程を含み得る。仕上げ研磨工程に使用する研磨用組成物は特に限定されない。したがって、この明細書により開示される事項には、ここに開示される砥粒を含む研磨用組成物で研磨対象物を研磨する工程(1)と、工程(1)で用いられる研磨用組成物とは異なる研磨用組成物で研磨対象物を研磨する工程(2)とをこの順で含む、磁気ディスク基板の製造方法および研磨方法が含まれる。かかる製造方法によると、磁気ディスク基板を効率よく製造することができる。
≪2.第二の態様≫
<2-1.研磨用組成物>
(2-1-1.砥粒)
第二の態様に係る研磨用組成物は、砥粒としてのシリカ粒子(シリカ粒子Sともいう。特に断りがない限り以下同じ。)を含む。第二の態様に係る研磨用組成物に含まれる砥粒は、上記第一の態様に係る研磨用組成物に含まれる砥粒と同様であるので、砥粒に関する事項について、重複する説明は省略する。
(2-1-2.水)
第二の態様に係る研磨用組成物は、典型的には、上述のような砥粒の他に、該砥粒を分散させる水を含有する。水としては、イオン交換水、純水、超純水、蒸留水等を好ましく用いることができる。イオン交換水は、典型的には脱イオン水であり得る。
第二の態様に係る研磨用組成物は、例えば、その固形分含量が0.5重量%~30.0重量%である形態で好ましく実施され得る。上記固形分含量が1.0重量%~20.0重量%である形態がより好ましい。研磨用組成物は、典型的にはスラリー状の組成物であり得る。
(2-1-3.リン酸エステルおよび亜リン酸エステルから選択される化合物)
第二の態様に係る研磨用組成物は、分子量150以上のリン酸エステル、および、亜リン酸エステルから選択される少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする。この態様で用いられる上記化合物(分子量150以上のリン酸エステル、および、亜リン酸エステルから選択される少なくとも1種の化合物)としては、上記第一の態様で説明した化合物(分子量150以上のリン酸エステル、および、亜リン酸エステルから選択される少なくとも1種の化合物)を用いることができるので、重複する説明は省略する。以下、この態様に係る上記化合物(分子量150以上のリン酸エステル、および、亜リン酸エステルから選択される少なくとも1種の化合物)について詳述する。
上記リン酸エステルは、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステルのいずれかである。端部形状改善の観点から、リン酸モノエステルが好ましい。上記リン酸エステルは、リン酸モノエステル、リン酸ジエステルおよびリン酸トリエステルから選択される1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記リン酸エステルが、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステルの2種以上を含む場合、上記リン酸エステルは、例えばリン酸モノエステルとリン酸ジエステルとを含むものとなり得る。上記リン酸エステルが2種以上の化合物を含む場合、上記リン酸エステルは、モノエステルの比率が高いことが好ましい。モノエステルの比率が高くなると、端部形状改善および研磨用組成物の保管安定性が改善する傾向がある。上記リン酸エステルのモノエステル比率(モノエステルのモル比率)は、30モル%以上とすることができ、40モル%以上が適当であり、端部形状改善の観点から、好ましくは50モル%以上(例えば50モル%超)、より好ましくは55モル%以上(例えば55モル%超)、さらに好ましくは60モル%以上である。いくつかの態様において、上記リン酸エステルのモノエステル比率は、70モル%以上であり、80モル%以上であってもよく、85モル%以上でもよく、90モル%以上(例えば95~100モル%)でもよい。
リン酸エステルのモノエステル比率(モノエステルのモル比率)は、以下の方法で求められる。一般的な第一等量酸価、第二等量酸価、第三等量酸価を電位差滴定で測定し、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、無機リン酸の含有量をそれぞれ計算する。さらに、計算分子量からリン酸モノエステルとリン酸ジエステルのモル数をそれぞれ求める。モノエステル比率(モノエステルのモル比率)は、(リン酸モノエステルのモル数)/(リン酸モノエステルのモル数+リン酸ジエステルのモル数)×100で計算することができる。電位差滴定によるリン酸エステルの含有量は、例えば特公昭58-8746号に記載の計算方法を採用して求めることができる。後述の実施例についても同様の方法で測定される。
上記リン酸エステルの分子量は、端部形状改善の観点から、150以上であり、180以上でもよく、190以上でもよく、200以上でもよく、210以上でもよく、220以上でもよく、230以上でもよく、240以上でもよく、250以上でもよく、300以上でもよく、400以上(例えば450以上)でもよい。上記分子量の上限は、研磨用組成物への溶解性や取扱い性等の観点から、典型的には1000以下であり、好ましくは700以下、600以下でもよく、より好ましくは550以下であり、500以下でもよく、450以下でもよく、400以下でもよく、350以下でもよく、330以下でもよく、300以下でもよく、270以下でもよく、250以下でもよく、240以下でもよく、230以下でもよく、220以下でもよく、210以下(例えば170以下)でもよい。
ここに開示されるリン酸エステルは、例えば下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0007471118000004
上式(1)中、RおよびRは同一であっても互いに異なっていてもよく、いずれも水素原子または有機基である。ただし、RおよびRのうち少なくとも一方は、有機基である。
いくつかの好ましい態様において、上記化合物は、上記一般式(1)中のRおよびRが、それぞれ独立して、水素原子、または、アルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、(メタ)アクリル酸アルキルエステル基、(メタ)アクリロイル基、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル基、(ポリ)オキシアルキレンアリールエーテル基および芳香族基から選択される有機基である。なお、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基、メタクリロイル基の両方を包含する意味で用いられる。上記有機基を構成する炭素原子数は、上記化合物の分子量が150以上となる限りにおいて特に限定されず、端部形状改善性、研磨用組成物における溶解性、取扱い性等を考慮して適当な炭素原子数を有するものが用いられる。例えば、上記有機基の炭素原子数は、それぞれ独立して、3以上が適当であり、好ましくは4以上であり、6以上であってもよく、8以上であってもよい。芳香族基(例えばアリール基、典型的にはフェニル基)の炭素原子数は6以上であり、8以上であってもよい。上記有機基の炭素原子数の上限は、それぞれ独立して、24以下が適当であり、好ましくは18以下、より好ましくは14以下、さらに好ましくは12以下、特に好ましくは8以下である。RおよびRのうち一方が鎖状アルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基である態様においては、当該RおよびRの一方の炭素原子数は1または2であってもよい。
上記化合物は、上記一般式(1)中のRおよびRの少なくとも一方が、アルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、(メタ)アクリロイル基、(ポリ)オキシアルキレン基を含むことがより好ましく、アルコキシアルキル基、(メタ)アクリロイル基、(ポリ)オキシアルキレン基を含むことがより好ましい。そのような化合物は、より優れた端部形状改善効果を発揮する傾向があり、研磨用組成物の保管安定性も良好か、あるいは優れる傾向がある。そのようなRおよびRの例としては、例えば、アルコキシアルキル基、(メタ)アクリロイル基、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル基が挙げられる。なかでも、アルコキシアルキル基、(メタ)アクリロイル基を含むリン酸エステルによると、端部形状改善効果と保管安定性とを両立しやすい。
いくつかの態様では、上記一般式(1)で表される化合物は、RおよびRの少なくとも一方がアルキル基である。上記アルキル基は特に限定されず、直鎖状、分岐状等の鎖状アルキル基であってもよく、脂環式アルキル基であってもよい。上記RおよびRの少なくとも一方は鎖状アルキル基であることが好ましい。鎖状アルキル基を含むリン酸エステルによると、端部形状改善効果が得られやすい。上記アルキル基の炭素原子数は、3以上が適当であり、端部形状改善の観点から、好ましくは4以上であり、6以上であってもよく、8以上であってもよい。上記アルキル基の炭素原子数の上限は、24以下が適当であり、研磨用組成物の保管安定性の観点から、好ましくは18以下(例えば16以下、14以下、さらには12以下)、より好ましくは8以下、さらに好ましくは7以下である。
第二の態様において、分子量150以上のリン酸エステルについての上記以外の事項については、第一の態様において記載したとおりであるので、重複する説明は省略する。
第二の態様で用いられる亜リン酸エステルについては、第一の態様において記載したとおりであるので、重複する説明は省略する。
なお、亜リン酸エステル、リン酸エステルは塩の形態でもよい。
第二の態様に係る研磨用組成物における分子量150以上のリン酸エステルおよび亜リン酸エステルの含有量(総量)は、第一の態様において記載したとおりとすることができる。いくつかの好ましい態様において、研磨用組成物における分子量150以上のリン酸エステルおよび亜リン酸エステルの含有量(好適には上記リン酸エステルの含有量)は、端部形状改善の観点から、0.125mM(mmol/L)以上であり、より好ましくは0.2mM以上、さらに好ましくは1mM以上、特に好ましくは2.5mM以上であり、3mM以上であってもよく、5mM以上でもよく、8mM以上でもよい。いくつかの好ましい態様において、上記含有量の上限は、研磨用組成物の保管安定性の観点から、20mM以下が適当であり、好ましくは10mM以下である。
(2-1-4.酸)
第二の態様に係る研磨用組成物は、研磨促進剤として酸を含むことが好ましい。第二の態様に係る研磨用組成物に含まれ得る酸は、第一の態様に係る研磨用組成物に含まれ得る酸と同様であるので、酸(酸の塩を含む。)に関する事項について、重複する説明は省略する。
(2-1-5.酸化剤)
第二の態様に係る研磨用組成物は、酸化剤を含有することができる。第二の態様に係る研磨用組成物に含まれ得る酸化剤は、第一の態様に係る研磨用組成物に含まれ得る酸化剤と同様であるので、酸化剤に関する事項について、重複する説明は省略する。
(2-1-6.塩基性化合物)
研磨用組成物には、必要に応じて塩基性化合物を含有させることができる。第二の態様に係る研磨用組成物に含まれ得る塩基性化合物は、第一の態様に係る研磨用組成物に含まれ得る塩基性化合物と同様であるので、塩基性化合物に関する事項について、重複する説明は省略する。
(2-1-7.その他の成分)
第二の態様に係る研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、界面活性剤、水溶性高分子、分散剤、キレート剤、防腐剤、防カビ剤等の、研磨用組成物に使用され得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。第二の態様に係る研磨用組成物に含まれ得るその他の成分は、第一の態様に係る研磨用組成物に含まれ得るその他の成分と同様であるので、その他の成分に関する事項について、重複する説明は省略する。
(2-1-8.pH)
第二の態様に係る研磨用組成物のpHは、第一の態様において記載したとおりとすることができる。いくつかの好ましい態様において、研磨用組成物のpHは、加工性や端部形状改善等の観点から、1~4の範囲内である。研磨用組成物のpHは、例えば3.0以下、典型的には1.0~3.0、好ましくは1.0~2.0、より好ましくは1.0~1.8とすることができる。上記pHは、例えば、ニッケルリン基板等の磁気ディスク基板の研磨用の研磨用組成物に好ましく適用され得る。特に一次研磨用の研磨用組成物に好ましく適用され得る。
<その他の事項>
第二の態様のその他の事項(研磨液、多剤型研磨用組成物、用途、研磨方法等)に関しては、第一の態様において記載したとおりとすることができる。ここでは、重複する説明は省略する。
なお、第一の態様と第二の態様とを組み合わせたものも、ここに開示される技術に包含される。したがって、ここに開示される技術は、第一の態様および第二の態様を適宜組み合わせて実施することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明を実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
≪実験1≫
<例1-1~1-25>
シリカ粒子S1(非球状コロイダルシリカ、平均アスペクト比1.2、D50=150nm)と、シリカ粒子S2(球状コロイダルシリカ、D50=60nm)と、シリカ粒子S3(焼成シリカ、平均アスペクト比1.3、D50=300nm)と、表1に示す添加剤と、85%リン酸と、31%過酸化水素水とを脱イオン水とともに混合して各例に係る研磨用組成物を調製した。研磨用組成物中のシリカ粒子S1の含有量は40.9g/L、シリカ粒子S2の含有量は27.3g/L、シリカ粒子S3の含有量は6g/L、リン酸の含有量は14.7g/L、過酸化水素水の含有量は60g/Lであり、添加剤の含有量は表1に示すとおりである。なお、表1中、ラウリルEO2アシッドホスフェートはジエチレングリコールラウリルエーテルアシッドホスフェートであり、アルキルEO3アシッドホスフェートはポリオキシエチレン(EO3)アルキルエーテルアシッドホスフェートである。
[ディスクの研磨]
各例に係る研磨用組成物をそのまま研磨液に使用して、下記の条件で、研磨対象物の研磨を行った。研磨対象物としては、表面に無電解ニッケルリンめっき層を備えたハードディスク用アルミニウム基板を使用した。上記基板は、直径3.5インチ、外径約95mm、内径約25mmのドーナツ型、厚さは1.75mmであり、研磨前における表面粗さRaは130Åであった。なお、上記表面粗さRaは、Schmitt Measurement System Inc.社製レーザースキャン式表面粗さ計「TMS-3000WRC」により測定したニッケルリンめっき層の算術平均粗さである。
(研磨条件)
研磨装置:システム精工社製の両面研磨機、型式「9.5B-5P」
研磨パッド:FILWEL社製のスウェードパッド(ベース層と表面層とを有し、表面層が発泡ポリウレタン製のパッド)
研磨対象基板の投入枚数:15枚(3枚/キャリア ×5キャリア)
研磨液の供給レート:135mL/分
研磨荷重:120g/cm
上定盤回転数:27rpm
下定盤回転数:36rpm
サンギヤ(太陽ギヤ)回転数:8rpm
研磨量:各基板の両面の合計で約2.2μmの厚さ
[加工性]
各例に係る研磨用組成物を用いて上記研磨条件で研磨対象基板を研磨したときの加工性(研磨レート)を算出した。加工性は、次の計算式に基づいて求めた。
加工性[μm/min]=研磨による基板の重量減少量[g]/(基板の面積[cm]×ニッケルリンめっきの密度[g/cm]×研磨時間[min])×10
得られた値を、例1-18の加工性を100としたときの相対値に換算して表1の「加工性」の欄に示す。値が大きいほど加工性に優れる。
[端部形状]
各例に係る研磨用組成物を用いて上記研磨条件で研磨を行った基板(研磨後の研磨対象基板)につき、非接触表面形状測定機(商品名「NewView5032」、Zygo社製)を用いて、対物レンズ倍率2.5倍、中間レンズ倍率1.0倍で、基板の端部(半径45.5mm~47.5mmの領域)おける測定位置座標のPV差(Peak-Valley差、最大高低差)を測定した。
得られた値を、例1-18の測定値を100としたときの相対値に換算して表1の「端部形状」の欄に示す。値が小さいほど端部形状は改善している。
Figure 0007471118000005
表1に示されるように、亜リン酸エステルおよび分子量が150以上であるリン酸エステルから選択される添加剤を含む組成物を用いた例1-1~1-17では、添加剤非含有の例1-18(参考例)と比べて、加工性が良好に維持され、かつ端部形状が改善した。これに対し、分子量が150未満のリン酸エステルを用いた例1-19~1-21では、端部形状の改善効果が小さく、リン酸エステルの使用量を増やすと、端部形状は悪化する傾向であった。また、非リン系の添加剤を使用した例1-22~1-25では、端部形状の改善は認められたが、加工性が低下した。非リン系の添加剤は、端部だけでなく基板表面全体を保護したためと考えられる。
上記の結果から、シリカ粒子含有研磨用組成物に、亜リン酸エステル、および、分子量が150以上であるリン酸エステルから選択される添加剤を用いることで、研磨性能を維持しつつ端部形状を改善し得ることがわかる。
≪実験2≫
<例2-1~2-33>
シリカ粒子S1(非球状コロイダルシリカ、平均アスペクト比1.2、D50=150nm)と、シリカ粒子S2(球状コロイダルシリカ、D50=60nm)と、シリカ粒子S3(焼成シリカ、平均アスペクト比1.3、D50=300nm)と、表2~10に示す添加剤(リン酸エステル、亜リン酸エステル)と、85%リン酸と、31%過酸化水素水とを脱イオン水とともに混合して各例に係る研磨用組成物を調製した。研磨用組成物中のシリカ粒子S1の含有量は40.9g/L、シリカ粒子S2の含有量は27.3g/L、シリカ粒子S3の含有量は6g/L、リン酸の含有量は14.7g/L、過酸化水素水の含有量は60g/Lであり、添加剤の含有量は表2~10に示すとおりである。各例中のa~eは、同種のリン酸エステルを、異なる添加量で用いた実施例である。また、添加剤の詳細は表2~10に示すとおりである。なお、例2-30では添加剤(リン酸エステルおよび亜リン酸エステル)は使用しなかった。pHは、リン酸または水酸化カリウムを使用して、所定の数値へ調整した。表中に特記しない例に係る研磨用組成物のpHは1.8であった。
[保管安定性]
各例に係る研磨用組成物2000gを容量2000mLの容器に収容し、23℃、60℃、70℃でそれぞれ168時間保管した。各温度条件で保管した研磨用組成物(23℃保管後研磨用組成物、60℃保管後研磨用組成物、70℃保管後研磨用組成物)につき、一定の条件で研磨を実施し、各温度条件で保管した研磨用組成物の研磨性能を対比することにより、保管安定性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
(評価)
E(Excellent):23℃保管後に対する70℃保管後の研磨性能の変化率±5%以内
G(Good):23℃保管後に対する60℃保管後の研磨性能の変化率±5%以内
A(Acceptable):23℃保管後に対する60℃保管後の研磨性能の変化率±5~10%
P(Poor):23℃保管後に対する60℃保管後の研磨性能の変化率10%超か、あるいは、目視で成分分離、凝集が認められた。
[加工性]
各例に係る研磨用組成物を用いて、実験1と同様にして、ディスクの研磨を実施し、加工性を評価した。得られた値を、例2-30の加工性を100としたときの相対値に換算して表2~10の「加工性」の欄に示す。値が大きいほど加工性に優れる。
[端部形状]
各例に係る研磨用組成物を用いて、実験1と同様にして、ディスクの研磨を実施し、研磨後の基板につき、PV差を測定した。得られた値を、例2-30の測定値を100としたときの相対値に換算して表2~10の「端部形状」の欄に示す。値が小さいほど端部形状は改善している。
Figure 0007471118000006
Figure 0007471118000007
Figure 0007471118000008
Figure 0007471118000009
Figure 0007471118000010
Figure 0007471118000011
Figure 0007471118000012
Figure 0007471118000013
Figure 0007471118000014
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、上述した各態様を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれ得る。

Claims (10)

  1. 磁気ディスク基板研磨用組成物であって、
    砥粒としてのシリカ粒子と、水と、を含み、
    前記シリカ粒子として、SEM画像解析に基づく平均アスペクト比が1.10未満のシリカ粒子を含み、
    亜リン酸エステル、および、分子量が150以上であって下記一般式(1)で表されるリン酸エステルから選択される少なくとも1種をさらに含む、研磨用組成物。
    一般式(1):
    Figure 0007471118000015
    (上式(1)中、R およびR は、それぞれ独立して、水素原子、または、アルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、(メタ)アクリル酸アルキルエステル基、(メタ)アクリロイル基、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル基、(ポリ)オキシアルキレンアリールエーテル基および芳香族基から選択される有機基である。ただし、R およびR のうち少なくとも一方は、有機基である。)
  2. 酸化剤として過酸化水素をさらに含む、請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 前記リン酸エステルを含む、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
  4. 前記リン酸エステルは、前記一般式(1)中のRおよびRが、それぞれ独立して、水素原子、または、炭素原子数が3~18であるアルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、(メタ)アクリル酸アルキルエステル基、(メタ)アクリロイル基および(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル基から選択される、請求項3に記載の研磨用組成物。
  5. 記リン酸エステルは、モノエステル比率が55モル%以上である、請求項3または4に記載の研磨用組成物。
  6. 前記SEM画像解析に基づく平均アスペクト比が1.10未満のシリカ粒子は、SEM画像解析に基づく平均アスペクト比が1.10未満の球状コロイダルシリカである、請求項1~5のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  7. 前記シリカ粒子として、SEM画像解析に基づく平均アスペクト比が1.10以上の非球状コロイダルシリカを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  8. 前記シリカ粒子は熱処理シリカ粒子をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  9. pHが1~4の範囲内である、請求項1~8のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
  10. 仕上げ研磨工程の前工程で用いられる、請求項1~9のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
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