JP2016068305A - 印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】両面印刷における裏面の画質を保持する。
【解決手段】印刷装置は、印刷媒体との相対的な位置変化に伴って印刷媒体へ液体を吐出して印刷を実行する印刷部と、印刷媒体を支持するプラテンと印刷部との距離であるPGを調整可能なPG調整部と、印刷媒体への両面印刷の指示を受け付けた場合、印刷媒体の両面のうち先に印刷がなされる第1面へ吐出される液体量に応じて、第1面の裏である第2面への印刷のためのPGを決定するPG決定部と、第2面への印刷に際し、PG調整部にPGが前記決定されたPGとなるように調整させ、前記決定されたPGが前記両面印刷の指示によって指定された所定のPGよりも大きい場合は、前記相対的な位置変化の速度をPGが前記所定のPGに調整されている場合の前記相対的な位置変化の速度よりも遅くして印刷部に第2面へ印刷をさせる印刷制御部と、を備える。
【選択図】図5

Description

本発明は、印刷装置に関する。
プリンターは、印刷媒体の両面への印刷、すなわち両面印刷を実行可能である場合がある。
また、記録用シート材の両面記録において、表面に記録する時よりも、裏面に記録する時の方が、記録部の記録ヘッドの端面と記録用シート材の間の間隔が大きくなるようにするインクジェット記録装置が知られている(特許文献1参照)。
また、両面印刷において、1枚の用紙で一面と他面の印刷条件を異ならせて設定することを可能とし、表面が普通紙面で、裏面がコーティングが施された面のハガキに、表面には普通紙モード、通常品質で宛て名を印刷し、裏面には写真や画像を専用紙モード、高品質で印刷するプリンタードライバーが知られている(特許文献2参照)。
特開2010‐47014号公報 特開2004‐216690号公報
両面印刷では、表面への印刷により印刷媒体に変形(反り等)が生じることで、裏面への印刷の際に、印刷媒体と当該印刷媒体へ液体を吐出して印刷を実行する印刷部との接触が起こる可能性が高まる。裏面への印刷に際し、表面への印刷時よりも印刷部と印刷媒体との間隔を大きくする(前記文献1)ことで、このような接触を回避可能である。しかし、当該間隔を大きくすることで、印刷部から印刷媒体へ吐出される液滴の着弾位置の精度が低下するため、裏面の画質が劣化するという課題が生じる。
本発明は上述の課題を解決するためになされたものであり、両面印刷において裏面の画質劣化を防ぐことが可能な印刷装置を提供する。
本発明の態様の一つは、印刷装置は、印刷媒体との相対的な位置変化に伴って当該印刷媒体へ液体を吐出して印刷を実行する印刷部と、前記印刷媒体を支持するプラテンと前記印刷部との距離であるプラテンギャップ(以下、PG)を調整可能なPG調整部と、前記印刷媒体の両面への印刷である両面印刷の指示を受け付けた場合、前記印刷媒体の両面のうち先に印刷がなされる第1面へ吐出される液体量に応じて、第1面の裏である第2面への印刷のための前記PGを決定するPG決定部と、前記第2面への印刷に際し、前記PG調整部に前記PGが前記決定されたPGとなるように調整させ、前記決定されたPGが前記両面印刷の指示によって指定された所定のPGよりも大きい場合は、前記相対的な位置変化の速度を前記PGが前記所定のPGに調整されている場合の前記相対的な位置変化の速度よりも遅くして前記印刷部に前記第2面へ印刷をさせる印刷制御部と、を備える構成としてある。
当該構成によれば、両面印刷における第2面(裏面)の印刷に際し、PGを第1面(表面)へ吐出される液体量に応じて決定したPGに調整し、当該PGが両面印刷の指示によって指定された所定のPGよりも大きい場合は、前記相対的な位置変化の速度をPGが当該所定のPGに調整されている場合の前記相対的な位置変化の速度よりも遅くして印刷部に第2面へ印刷をさせる。そのため、第2面への印刷に際し、印刷部と印刷媒体とが接触することが回避され、かつ、PGを大きくしたことによる画質劣化の可能性が前記速度を遅くすることにより打ち消され、実質的に、第2面の画質劣化が回避される。
なお、前記所定のPGとは、前記両面印刷の指示によって指定された印刷品質及び又は印刷媒体の情報に対応付けられた値である。
本発明の態様の一つは、前記印刷制御部は、前記印刷部に前記第2面へ印刷をさせる際の前記相対的な位置変化の速度を、前記決定されたPGに応じて異ならせるとしてもよい。
当該構成によれば、両面印刷における第2面の印刷に際してPGをどのような値に調整しても、前記速度をPGに応じて適切な速度とすることができるため、第2面の画質劣化が回避される。
本発明の態様の一つは、前記PG決定部は、前記第1面へ吐出される液体量と当該液体量に応じた前記第2面への印刷のための前記PGとの対応関係を、前記印刷媒体の領域に応じて異ならせるとしてもよい。
当該構成によれば、印刷媒体の領域に応じて、第1面へ吐出される液体量と第2面の印刷のためのPGとの対応関係を最適化することができ、そのため印刷媒体の各領域で印刷部との接触が回避される。
本発明の態様の一つは、印刷装置は、前記印刷媒体を支持して搬送するための複数のローラーを含む搬送部を備え、前記PG決定部は、前記印刷部によって印刷される際に前記印刷媒体を支持する前記ローラーの数が異なる領域毎に、前記第1面へ吐出される液体量と当該液体量に応じた前記第2面への印刷のための前記PGとの対応関係を異ならせるとしてもよい。
当該構成によれば、印刷部に印刷されるタイミングにおいて印刷媒体を支持するローラーの数が異なることに起因して印刷部との接触の可能性が異なる領域毎に、第1面へ吐出される液体量と第2面の印刷のためのPGとの対応関係を最適化することができる。
本発明の態様の一つは、 前記PG決定部は、前記印刷媒体の領域毎に前記PGを決定し、前記印刷制御部は、前記第2面への印刷に際し、前記PG調整部に、前記領域毎に前記決定されたPGへの調整を実行させるとしてもよい。
当該構成によれば、第2面の印刷に際し、領域毎にPGを最適な値に調整するため、いずれの領域においても印刷部との接触が回避され、画質劣化も的確に回避される。
あるいは、本発明の態様の一つは、前記PG決定部は、前記印刷媒体の領域毎に前記PGを決定し、前記印刷制御部は、前記第2面への印刷に際し、前記PG調整部に、前記領域毎に決定された前記PGのうち最も大きいPGへの調整を実行させるとしてもよい。
当該構成によれば、第2面の印刷に際し、領域毎に決定したPGのうち最大値へPGを調整して第2面全体を印刷するため、第2面の印刷に要する時間を短縮することができる。
本発明の態様の一つは、前記受け付けた両面印刷の指示である第1の両面印刷指示と同一の両面印刷の指示である第2の両面印刷指示を受け付けた場合、前記印刷制御部は、当該第2の両面印刷指示に応じた前記第2面への印刷に際し、前記PG調整部に、前記PGが前記第1の両面印刷指示に応じた前記第2面への印刷に際して決定されたPGとなるように調整させ、前記受け付けた両面印刷の指示である第1の両面印刷指示と異なる両面印刷の指示である第3の両面印刷指示を受け付けた場合、前記印刷制御部は、当該第3の両面印刷指示に応じた前記第2面への印刷に際し、前記PG決定部に、当該第3の両面印刷指示により第1面へ吐出される液体量に応じた前記第2面への印刷のためのPGの決定をさせ、かつ、前記PG調整部に、前記PGが当該第3の両面印刷指示に応じて決定されたPGとなるように調整させる、としてもよい。
当該構成によれば、前回の両面印刷の指示(第1の両面印刷指示)と同じ指示(第2の両面印刷指示)を受けた場合には、第2面の印刷ためのPGを決定する処理を省くことにより、処理負担や処理時間を軽減することができる。
本発明の技術的思想は、印刷装置という物の発明のみによって実現されるものではない。例えば、印刷装置の各部が実現する工程を方法の発明として捉えることができる。また、このような方法をハードウェアに実行させるコンピュータープログラム、さらには当該プログラムを記憶したコンピューター読み取り可能な記憶媒体、等の各種カテゴリーにて本発明が実現されてもよい。
印刷装置の概略構成を例示するブロック図。 印刷装置の一部を側方から例示する図。 印刷媒体を例示する図。 両面印刷処理のうち主に表面の印刷にかかわるフローチャート。 両面印刷処理のうち主に裏面の印刷にかかわるフローチャート。 表面側の総液体量と総液体量に応じ決定されるPGとの対応関係を例示する図。 第2実施形態の両面印刷処理のうち主に裏面の印刷にかかわるフローチャート。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(装置構成の概略)
図1は、本実施形態にかかる印刷装置10等の機能をブロック図により例示したものである。印刷装置10は、例えば、プリンターや、プリンターの機能を含んだ複合機、等といった製品として把握される。印刷装置10あるいは印刷装置10の一部を、「印刷制御装置」や「画像処理装置」等と呼んでもよい。図1に示した各構成は、一箇所あるいは一筐体内に集約されている場合に限らず、それら各構成が互いに離れた場所に存在し且つ通信可能な状態でいることで一システムを構築していてもよい。
図1では、印刷装置10を、制御部20、通信インターフェイス(I/F)30、操作受付部40、印刷機構50、等を含む構成として例示している。制御部20は、例えば、CPU、ROM、RAM等を有するICや、その他の記憶媒体等により構成される。制御部20では、CPUが、ROMに保存されたプログラムに従った演算処理を、RAMをワークエリアとして用いて実行することにより、様々な機能(例えば、PG決定部21、印刷制御部22等)を実現する。
操作受付部40は、ユーザーからの操作を受け付けるための入力部(ボタン、タッチパネル等)や、印刷装置10に関する情報を示すための表示部を有している。液晶ディスプレイ(LCD)41は、このような入力部の一部や表示部の一部を兼ねている。
印刷機構50は、印刷ジョブに基づく印刷を印刷媒体へ行うための機構である。印刷機構50が採用する印刷方式がインクジェット方式である場合、印刷機構50は、複数のノズルから液滴(インクやインク以外の液体)を吐出する印刷ヘッド52、ある速度(キャリッジ速度)で印刷ヘッド52を一定方向(主走査方向)に沿って移動させるキャリッジ51、当該一定方向と交差する方向(副走査方向)へ印刷媒体を搬送する搬送部53、等といった構成を有する。印刷ヘッド52はキャリッジ51による前記移動に伴って(つまり印刷媒体との相対的な位置変化に伴って)印刷媒体へ液体を吐出して印刷を実行する印刷部である。キャリッジ速度は、印刷媒体との相対的な位置変化の速度、に該当する。また、搬送部53は、印刷媒体を支持して搬送するための複数のローラーを含む。
印刷機構50は、印刷媒体を支持するプラテン60(図2参照)と印刷ヘッド52(印刷部)との距離であるPGを調整可能なPG調整部54を含むとしてもよい。PG調整部54は、結果的にPGを調整可能な手段であればよい。PG調整部54は、例えば、特開2002‐292856号公報に開示されたように、キャリッジを主走査方向に摺動(移動)可能に保持する軸を上下方向に移動させるモーター等を含み、当該モーターの駆動を制御することで、プラテン60と印刷ヘッド52との距離であるPGを調整可能とされる。また、PG調整の具体的手法については、特開2004‐160877号公報を参照してもよい。
PG(=プラテンギャップ)と似た表現として、ペーパーギャップという表現もある。ペーパーギャップとは、プラテン60に支持される用紙(印刷媒体)と印刷ヘッド52(印刷部)との距離を指すため、プラテンギャップとイコールではない。ただし、PG調整部54によるPG調整の具体的手法が、上下方向におけるプラテン60からの印刷ヘッド52の距離(高さ)を変化させるものである場合、当該高さを変化させればペーパーギャップも変化するため、PG調整は、PGとともにペーパーギャップを調整するものであると解釈可能である。なお、“上下方向”とは、印刷装置10が水平面に設置された場合を想定すると、鉛直方向に相当する。
通信I/F30は、印刷装置10を外部機器100と有線あるいは無線にて接続するためのインターフェイスの総称である。外部機器100としては、例えば、PC(パーソナルコンピューター)、スマートフォン、タブレット型端末、デジタルスチルカメラ等が該当する。印刷装置10は、通信I/F30を介して外部機器100と、例えば、USBケーブル、有線ネットワーク、無線LAN、ファクシミリ通信網、電子メール通信等の様々な手段や通信規格により接続可能である。
図2は、印刷装置10の一部を側方(主走査方向を向く視点)から例示している。印刷装置10においては、印刷媒体Pがストックされた給紙トレイ70から、印刷媒体Pが一枚単位でピックアップされて印刷ヘッド52に対して供給される。印刷媒体Pは、代表的には紙であるが、液体を記録可能であって搬送部53により搬送可能な素材であれば、あらゆる素材が該当し得る。印刷ヘッド52よりも下方位置には、プラテン60が配置されている。印刷ヘッド52の吐出面52aは、プラテン60と相対している。吐出面52aとは、前記ノズルが開口している面である。図2においては、紙面に垂直な方向が印刷ヘッド52の主走査方向である。プラテン60には、例えば、不図示の吸気口が複数形成されており、吸気口から空気を吸引することにより、プラテン60上を搬送される印刷媒体Pの姿勢をある程度安定させる。
搬送部53は、印刷媒体Pを搬送するための経路R1(実線の矢印参照)や経路R2(破線の矢印参照)において、印刷媒体Pを支持しながら搬送する複数のローラーを備える。経路R1の少なくともプラテン60上を通過する範囲は、前記副走査方向を向いている。図2に例示したローラー53a,53b,53cは、このような搬送を実現するためのローラーの一部であり、他のローラーは適宜図示を省略している。むろん、搬送部53は、これらローラーを回転させるための不図示のモーターや、モーターの動力を各ローラーへ伝達するための不図示のギヤ等を備える。
印刷装置10が印刷媒体Pの両面印刷を実行する場合、印刷媒体Pの両面のうち、給紙トレイ70から経路R1に沿って搬送されて印刷ヘッド52に対して供給されたときに最初に吐出面52a側を向く面が、先に印刷される面、つまり表面F1(第1面)である。このように、印刷媒体Pを給紙トレイ70から経路R1に沿って搬送して印刷ヘッド52に対して供給することを、単に「給紙」とも呼ぶ。
図3は、一枚の印刷媒体Pを例示している。図3では印刷媒体Pにある程度の厚みを持たせて例示しており、印刷媒体Pの一方の面を表面F1、他方の面を裏面F2としている。
搬送部53は、印刷ヘッド52による表面F1への印刷の終了後、印刷媒体Pを経路R1の下流側(排紙側)へある程度搬送した後、ローラー53b等をそれまでと逆方向に回転させて、印刷媒体Pを端部E2から経路R2へ引き込む。表面F1への印刷時においては、印刷媒体Pの両端部E1,E2のうち下流側を向く端部E1が“前端”であり、端部E1の逆側の端部E2が“後端”であった。
搬送部53は、印刷媒体Pを端部E2から経路R2へ引き込んだ後、そのまま印刷媒体Pを経路R2に沿って搬送することにより、印刷媒体Pを再び経路R1に合流させる。さらに、搬送部53は、印刷媒体Pを再び経路R1に沿って搬送させることにより、印刷媒体Pを表裏反転させた状態で、つまり裏面F2(第2面)が吐出面52a側を向いた状態で、印刷ヘッド52に対して供給する。このように、表面F1への印刷が終了した印刷媒体Pを、経路R2および経路R1を経て表裏反転させ再び印刷ヘッド52に対して供給することを、「裏面給紙」とも呼ぶ。搬送部53は、印刷ヘッド52による裏面F2への印刷の終了後、印刷媒体Pを経路R1の下流側へ搬送し、印刷媒体Pを排紙する。むろん、裏面F2への印刷時においては、印刷媒体Pの端部E2が下流側を向く“前端”であり、端部E1が“後端”である。
図3に例示したように、印刷媒体Pの表面F1は、複数の領域A1,B1,C1に分けて考えられ、同様に、印刷媒体Pの裏面F2は、複数の領域A2,B2,C2に分けて考えられる。領域A1と領域A2は表裏の関係を有し、同様に、領域B1と領域B2は表裏の関係を有し、領域C1と領域C2は表裏の関係を有する。上述した両面印刷の説明から判るように、表面F1への印刷は領域A1,B1,C1の順序で実行され、裏面F2への印刷は領域C2,B2,A2の順序で実行される。このような印刷媒体P内での領域の区分けは、印刷ヘッド52によって印刷される際に印刷媒体Pを支持しているローラー数の違いによる。
ここで、印刷媒体Pのサイズが特定のサイズであり、ローラー53aとローラー53bとの距離が特定の距離で設計されている場合を想定する。このような場合、表面F1への印刷において、領域A1が吐出面52aに相対して液体吐出を受ける期間は、印刷媒体Pは印刷ヘッド52よりも上流側のローラー53aに支持されているが、印刷ヘッド52よりも下流側のローラー53bには支持されていない。なお、ローラー53aによる支持とは、ローラー53aを構成する対のローラーによる印刷媒体Pの挟持を意味し、同様に、ローラー53bによる支持とは、ローラー53bを構成する対のローラーによる印刷媒体Pの挟持を意味する。表面F1への印刷において、領域B1が吐出面52aに相対して液体吐出を受ける期間は、印刷媒体Pはローラー53a,53bの両方に支持されている。表面F1への印刷において、領域C1が吐出面52aに相対して液体吐出を受ける期間は、印刷媒体Pはローラー53bに支持されているが、ローラー53aには支持されていない。
次に、裏面F2への印刷において、領域C2が吐出面52aに相対して液体吐出を受ける期間は、印刷媒体Pはローラー53aに支持されているが、ローラー53bには支持されていない。裏面F2への印刷において、領域B2が吐出面52aに相対して液体吐出を受ける期間は、印刷媒体Pはローラー53a,53bの両方に支持されている。裏面F2への印刷において、領域A2が吐出面52aに相対して液体吐出を受ける期間は、印刷媒体Pはローラー53bに支持されているが、ローラー53aには支持されていない。
つまり、印刷媒体Pの領域A1,A2,C1,C2は、印刷ヘッド52によって印刷される際に印刷媒体Pを支持するローラー数が1(1対)である領域に該当し、印刷媒体Pの領域B1,B2は、印刷ヘッド52によって印刷される際に印刷媒体Pを支持するローラー数が2(2対)である領域に該当する。印刷媒体Pは、印刷中に支持されているローラーの数が多い方が印刷中の姿勢が安定し易いため、印刷ヘッド52と接触する可能性は低くなる。これは、表面F1への印刷に起因する印刷媒体Pの変形(反り等)の程度が、仮に各領域にて同程度であっても、裏面F2への印刷に際して、印刷ヘッド52との接触のし易さが、領域A2,C2と領域B2とでは異なることを意味する。
(第1実施形態)
図4および図5は、本実施形態において制御部20が実行する両面印刷処理をフローチャートにより示している。ただし当該フローチャートは、制御部20が、印刷媒体への両面印刷を指示する印刷ジョブを受け付けたことを契機として開始される。また、当該フローチャートの開始にあたって、後述する総液体量IA,IB,ICは全て初期値に設定される。当該印刷ジョブは、例えば、印刷対象となる画像を表現した画像データを含んでおり、外部機器100から印刷装置10へ送信されたものである。
図4に示すように、ステップS100では、印刷制御部22は、搬送部53を制御することにより印刷媒体の給紙を実行させる。これにより、一枚の印刷媒体Pが給紙トレイ70からピックアップされ、経路R1に沿って所定の印刷開始位置まで搬送される。所定の印刷開始位置とは、例えば、表面F1あるいは裏面F2に対する最初の主走査を受ける直前の状態の位置を指す。なお、主走査は「パス」とも言う。また、一回の主走査(パス)とは、例えば、キャリッジ51による主走査方向に沿った当該主走査方向の一端側から他端側への連続した移動に伴い印刷ヘッド52が液体吐出をなす処理を意味する。
ステップS110では、印刷制御部22は、前記画像データに基づく表面F1への印刷を実行する。つまり、画像データに基づきキャリッジ51および印刷ヘッド52の挙動を制御することにより、パスを一回実行させ、当該一回のパスによる表面F1への印刷を実現させる。前記画像データに基づく印刷自体は一般的な処理であるため詳しい説明を省略するが、画像データは、例えば、画素毎にRGB(レッド、グリーン、ブルー)の階調値を有するビットマップデータである。印刷制御部22は、前記画像データに対し、解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理といった各種処理を必要に応じて施すことで、印刷機構50の制御に必要な印刷データ(画素毎の液体吐出/非吐出(ドットオン/オフ)を規定したデータ)を得ることができる。
ステップS120では、印刷制御部22は、印刷ヘッド52による最新の印刷(最新のパス)の対象とした領域が領域A1であるか否か判定し、領域A1であればステップS130へ進み、領域A1でなければステップS140へ進む。印刷ヘッド52の位置、印刷媒体Pのサイズ、印刷媒体Pにおける各領域の範囲、といった各情報は予め判っているため、印刷制御部22は、現時点での印刷媒体Pの位置と、これら情報とに基づいて、印刷ヘッド52による最新の印刷の対象とした領域がいずれの領域であるかを特定できる。なお、印刷媒体Pの位置は、例えば、現時点での搬送部53による印刷媒体Pの搬送距離や、経路R1近傍に設けられた不図示のセンサー(印刷媒体Pを検知するためのセンサー)からの出力等といった情報から特定することができる。印刷制御部22は、ステップS140では、印刷ヘッド52による最新の印刷の対象とした領域が領域B1であるか否か判定し、領域B1であればステップS150へ進み、領域B1でなければステップS160へ進む。ステップS120(およびステップS140)の判定は、一回のパス実行毎に行う。
ステップS130では、印刷制御部22は、これまでに領域A1に吐出された総液体量IAに、最新のパスにより吐出された液体量IArを加算する(総液体量IAを更新する)。総液体量IAの初期値は0である。液体量IArの算出方法は種々考えられるが、例えば、最新のパスのために印刷ヘッド52に与えられた印刷データが規定するドットオンの総数に、ノズルが吐出する1滴あたりの液体の重量を掛けた値を、液体量IArとする。あるいは、印刷制御部22は、印刷ヘッド52からの実際の液体吐出を所定のセンサーで監視することにより最新のパスにおける液体吐出の回数を計測し、当該回数にノズルが吐出する1滴あたりの液体の重量を掛けた値を液体量IArとしてもよい。あるいは、最新のパスに対応する前記画像データ内の領域におけるデータ量(例えば、前記階調値の分布)から吐出される液体量を所定の計算式により推定し、当該推定した液体量を液体量IArとしてもよい。総液体量IAの更新後は、処理をステップS170へ進める。
ステップS150では、印刷制御部22は、これまでに領域B1に吐出された総液体量IBに、最新のパスにより吐出された液体量IBrを加算する(総液体量IBを更新する)。総液体量IBの初期値は0である。液体量IBrの算出方法は、液体量IArの算出方法と同様である。総液体量IBの更新後は、処理をステップS170へ進める。
ステップS160では、印刷制御部22は、これまでに領域C1に吐出された総液体量ICに、最新のパスにより吐出された液体量ICrを加算する(総液体量ICを更新する)。総液体量ICの初期値は0である。液体量ICrの算出方法は、液体量IAr,IBrの算出方法と同様である。総液体量ICの更新後は、処理をステップS170へ進める。
ステップS170では、印刷制御部22は、現時点での印刷媒体Pの位置を確認し、当該確認した位置に応じて、表面F1への印刷が全て終了したか(つまり、領域C1への最後のパスを終えたか)否か判定する。そして、表面F1への印刷が未だ終了していないと判定した場合にはステップS180へ進み、表面F1への印刷が全て終了したと判定した場合にはステップS190(図5)へ進む。
ステップS180では、印刷制御部22は、搬送部53を制御することにより、印刷媒体Pの所定量の搬送(いわゆる「紙送り」)を実行させる。紙送りにより、次のパスを実行するために必要な距離だけ印刷媒体Pが下流側へ搬送される。ステップS180後は、ステップS110へ戻り、次のパスが実行される。
図5に示すように、ステップS190では、印刷制御部22は、搬送部53を制御することにより印刷媒体Pの裏面給紙を実行させる。これにより、表面F1への印刷がなされた印刷媒体Pが、表裏反転された状態で、前記所定の印刷開始位置まで搬送される。
ステップS200では、PG決定部21は、印刷ヘッド52による次の印刷(次のパス)の対象とする領域が領域C2であるか否か判定し、領域C2であればステップS210へ進み、領域C2でなければステップS220へ進む。PG決定部21は、ステップS220では、印刷ヘッド52による次の印刷の対象とする領域が領域B2であるか否か判定し、領域B2であればステップS230へ進み、領域B2でなければステップS240へ進む。ステップS200(およびステップS220)の判定は、一回のパス実行前に毎回行う。
ステップS210では、PG決定部21は、領域C2に対応する表面F1の領域C1についての総液体量ICに応じて領域C2への印刷のためのPG(以下、PGc)を決定し、さらに、当該PGcに応じて領域C2への印刷のためのキャリッジ速度CV(以下、キャリッジ速度CVc)を決定する。ステップS210の後は、処理をステップS250へ進める。
ステップS230では、PG決定部21は、領域B2に対応する表面F1の領域B1についての総液体量IBに応じて領域B2への印刷のためのPG(以下、PGb)を決定し、さらに、当該PGbに応じて領域B2への印刷のためのキャリッジ速度CV(以下、キャリッジ速度CVb)を決定する。ステップS230の後は、処理をステップS250へ進める。
ステップS240では、PG決定部21は、領域A2に対応する表面F1の領域A1についての総液体量IAに応じて領域A2への印刷のためのPG(以下、PGa)を決定し、さらに、当該PGaに応じて領域A2への印刷のためのキャリッジ速度CV(以下、キャリッジ速度CVa)を決定する。ステップS240の後は、処理をステップS250へ進める。
図6は、表面F1側の総液体量と、当該総液体量に応じ決定されるPGとの対応関係を、領域A2,B2,C2毎に例示している。PG決定部21は、ステップS210,S230,S240において、当該対応関係を参照して、裏面F2の各領域C2,B2,A2の印刷のためのPGc,PGb,PGaを決定する。このような対応関係は、印刷媒体Pの領域に応じて異なっている。一例として、対応する表面F1側の領域の総液体量が5ng以下であれば、領域A2,B2,C2のいずれについてもPGは所定値(基準値PGs)としての1.5mmに決定される。対応する表面F1側の領域の総液体量が5ngを超えると、領域C2,A2と領域B2とでは決定されるPGが異なる。具体的には、領域C2については、対応する表面F1側の領域C1の総液体量ICが5ngより多く10ng以下であると、PGcは基準値PGsより大きい1.9mmに決定され、総液体量ICが10ngより多いと、PGcはさらに大きい2.3mmに決定される。同様に、領域A2についても、対応する表面F1側の領域A1の総液体量IAが5ngより多く10ng以下であると、PGaは1.9mmに決定され、総液体量IAが10ngより多いと、PGaは2.3mmに決定される。一方、領域B2については、対応する表面F1側の領域B1の総液体量IBが5ngより多いと、PGbは基準値PGsより大きい1.8mmに決定される。
つまり図6の例によれば、PG決定部21は、印刷ヘッド52によって印刷される際に印刷媒体Pを支持する前記ローラーの数が異なる領域毎に、表面F1へ吐出される液体量と当該液体量に応じた裏面F2への印刷のためのPGとの対応関係を異ならせている。ただし図6に示した各数値は、本実施形態に含まれる一例に過ぎず、本明細書による開示範囲がこれら数値によって限定されないことは言うまでもない。
基準値PGsは、表面F1の印刷時に採用されたPGでもある。前記両面印刷を指示する印刷ジョブにおいては、両面印刷の印刷品質(印刷解像度等)や使用する印刷媒体の情報(印刷媒体の種類やサイズ)が指定されている。基準値PGsは、このような印刷品質及び又は印刷媒体の情報に対応付けられたPGであり、このような印刷品質及び又は印刷媒体の情報と基準値PGsとの対応関係は、予め制御部20における所定のメモリーに記憶されている。印刷制御部22は、表面F1への印刷に際し、遅くとも最初のパスを実行する前に、PG調整部54を制御することにより、PGを印刷ジョブで指定された印刷品質及び又は印刷媒体の情報に対応する基準値PGsに調整させている。
また、PG決定部21は、ステップS210,S230,S240のそれぞれにおいて、上述のように決定したPG(PGc,PGb,PGa)に応じて、キャリッジ速度CV(CVc,CVb,CVa)を算出する。キャリッジ速度CVは、例えば、下記式(1)により算出する。
CV=Vs×(PGs/PG) …(1)
式(1)において、Vsは、キャリッジ速度の基準値(基準速度Vs)である。このように、裏面F2への印刷に際して採用されるキャリッジ速度CVは、決定されたPGに応じて異なる。つまり、式(1)によれば、決定されたPGが基準値PGsより大きい場合、そのPGが大きいほどキャリッジ速度CVは遅い速度に決定される。
基準速度Vsは、表面F1の印刷時に採用されたキャリッジ速度でもある。基準速度Vsは、前記両面印刷を指示する印刷ジョブで指定された印刷品質及び又は印刷媒体の情報に対応付けられたキャリッジ速度であり、このような印刷品質及び又は印刷媒体の情報と基準速度Vsとの対応関係も、予め制御部20における所定のメモリーに記憶されている。印刷制御部22は、表面F1への印刷(ステップS110)では、キャリッジ速度を印刷ジョブで指定された印刷品質及び又は印刷媒体の情報に対応する基準速度Vsに設定してキャリッジ51を移動させ、毎回のパスを実現させている。
ステップS250では、印刷制御部22は、PG調整部54を制御して、PGが直近に決定されたPGとなるように調整させる。つまり、ステップS210後のステップS250であればPGcとなるように調整し、ステップS230後のステップS250であればPGbとなるように調整し、ステップS240後のステップS250であればPGaとなるように調整させる。
ステップS260では、印刷制御部22は、前記画像データに基づく裏面F2への印刷を実行する。表面F1への印刷(ステップS110)と同様に、画像データに基づきキャリッジ51および印刷ヘッド52の挙動を制御することにより、パスを一回実行させ、当該一回のパスによる裏面F2への印刷を実現させる。ステップS260では、印刷制御部22は、キャリッジ速度が直近に決定されたキャリッジ速度CVとなるように制御する。つまり、ステップS210後に行う毎回のステップS260(領域C2への印刷)では、キャリッジ速度CVcでキャリッジ51を移動させてパスを実現させ、ステップS230後に行う毎回のステップS260(領域B2への印刷)であれば、キャリッジ速度CVbでキャリッジ51を移動させてパスを実現させ、ステップS240後に行う毎回のステップS260(領域A2への印刷)であれば、キャリッジ速度CVaでキャリッジ51を移動させてパスを実現させる。
ステップS270では、印刷制御部22は、現時点での印刷媒体Pの位置を確認し、当該確認した位置に応じて、裏面F2への印刷が全て終了したか(つまり、領域A2への最後のパスを終えたか)否か判定する。そして、裏面F2への印刷が未だ終了していないと判定した場合にはステップS280へ進み、裏面F2への印刷が全て終了したと判定した場合にはステップS290へ進む。
ステップS280では、印刷制御部22は、搬送部53を制御することにより、印刷媒体Pの紙送りを実行させる。ステップS280後は、ステップS200の判定へ戻る。
ステップS290では、印刷制御部22は、搬送部53を制御することにより、印刷媒体Pを経路R1の下流側へ搬送し、排紙する。これにより印刷媒体Pへの両面印刷が終了する。
なお、裏面F2への印刷において、ステップS210およびその後のステップS250、ステップS230およびその後のステップS250、ステップS240およびその後のステップS250、はそれぞれ一回だけ実行される。つまり、領域C2に対する最初のパス実行前に、ステップS210でPGcおよびキャリッジ速度CVcが決定され、ステップS250でPGがPGcに調整された後は、領域C2に対する複数回のパスの全てが終了するまで(ステップS200で“No”と判定されるまで)、PGcが維持され、ステップS210,S250は実質的にスキップされる。同様に、領域B2に対する最初のパス実行前に、ステップS230でPGbおよびキャリッジ速度CVbが決定され、ステップS250でPGがPGbに調整された後は、領域B2に対する複数回のパスの全てが終了するまで(ステップS220で“No”と判定されるまで)PGbが維持され、ステップS230,S250は実質的にスキップされる。また、領域A2に対する最初のパス実行前に、ステップS240でPGaおよびキャリッジ速度CVaが決定され、ステップS250でPGがPGaに調整された後は、領域A2に対する複数回のパスの全てが終了するまで(ステップS270で“Yes”と判定されるまで)は少なくとも、PGaが維持され、ステップS240,S250は実質的にスキップされる。
このように本実施形態では、印刷装置10は、印刷媒体Pへの両面印刷を指示する印刷ジョブに従って両面印刷を実施する場合、先に印刷される第1面(表面F1)へ吐出される液体量に応じて、表面F1の裏である第2面(裏面F2)への印刷のためのPGを決定し、裏面F2への印刷に際し、PG調整部54にPGが前記決定されたPGとなるように調整させる。また、このように裏面F2への印刷のために決定されたPGが、前記印刷ジョブによって指定されたPG(基準値PGs)よりも大きい場合、キャリッジ速度CVを、PGが基準値PGsに調整されている場合のキャリッジ速度(基準速度Vs)よりも遅くして、印刷ヘッド52に裏面F2へ印刷させるとした。
つまり、表面F1における液体量の多さに応じて、よりPGを大きくすることで、裏面F2への印刷時に印刷媒体Pと印刷ヘッド52とが接触する事態を的確に回避することができる。また、キャリッジ51による主走査方向に沿った移動中に印刷ヘッド52のノズルから吐出される液滴については、当該移動が低速である程、印刷媒体Pへの着弾誤差(本来着弾すべき位置と実際に着弾した位置とのずれ)が小さくなり易いという実態がある。また、当該移動が低速である程、印刷ヘッド52と印刷媒体Pとの間の空間に生じる気流の乱れが少ないため、気流の乱れに起因する液滴の弾道の狂いも小さい。本実施形態では、このような移動の速度と着弾誤差等との関係性に注目し、PGを大きくした場合にはキャリッジ速度CVを遅くする構成を採った。すなわち、PGを大きくすることによる画質劣化を、キャリッジ速度CVを遅くすることによる画質向上により打ち消して、実質的に裏面F2の印刷結果における画質劣化を防いでいる。また本実施形態の構成を採用することで、裏面F2への印刷に際し、画像データや印刷データ自体を作り直すことなく(より高画質なデータに作り替える必要なく)、裏面F2の画質を保つことができる。
また本実施形態によれば、式(1)から判るように、裏面F2の印刷に際し、PGを大きくするほどキャリッジ速度CVを遅くする。そのため、PGをどのような高さに調整しても前記打ち消しの効果が的確に生じ、裏面F2の画質が保持される。
また本実施形態によれば、印刷ヘッド52に印刷される際に印刷媒体Pを支持するローラー数の違いによる安定性の違いを考慮し、当該ローラー数が相対的に少ない領域(領域C2,A2)への印刷は、当該ローラー数が相対的に多い領域(領域B2)と比較して、より大きいPGへ調整するようにした。そのため、裏面F2のいずれの領域C2,B2,A2に印刷を行う場合にも、印刷媒体Pと印刷ヘッド52との接触を回避でき、それら全ての領域で画質が安定する。
本発明は上述の実施形態(第1実施形態)に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば後述するような実施形態を採用可能である。各実施形態を適宜組み合わせた構成も本発明の開示範囲に入る。以下の実施形態の説明においては、第1実施形態と共通の事項は説明を適宜省略する。
(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、PG決定部21は、印刷媒体Pの領域C2,B2,A2毎にPGを決定し、印刷制御部22は、裏面F2への印刷に際し、PG調整部54に、領域C2,B2,A2毎に前記決定されたPGへの調整を実行させる。一方、第2実施形態では、印刷制御部22は、裏面F2への印刷に際し、PG調整部54に、領域C2,B2,A2毎のPG調整をさせるのではなく、領域C2,B2,A2毎に決定されたPGのうち最も大きいPGへの調整を実行させる。
図7は、第2実施形態において制御部20が実行する両面印刷処理の一部であって、図5に示したフローチャートの替わりに実行されるフローチャートを示している。図7では、図5で説明した処理と同じ処理については、同じ符号を付している。
裏面給紙(ステップS190)の後、ステップS205では、PG決定部21は、総液体量ICに応じて領域C2への印刷のためのPGcを決定し、総液体量IBに応じて領域B2への印刷のためのPGbを決定し、総液体量IAに応じて領域A2への印刷のためのPGaを決定する。ステップS205においても、PG決定部21は、例えば図6に示した対応関係を参照してPGを決定する。
ステップS215では、PG決定部21は、ステップS205で決定した領域C2,B2,A2毎のPGc,PGb,PGaのうちの最大値を特定する。
ステップS225では、PG決定部21は、ステップS215で特定した最大値のPG(PGc,PGb,PGaのいずれか)に応じ、式(1)によりキャリッジ速度CVを決定する。
ステップS255では、印刷制御部22は、PG調整部54を制御して、PGがステップS215で特定された最大値のPGとなるように調整させる。
このようなステップS205,S215,S225,S255は、裏面F2に対する最初のパス(領域C2に対する最初のパス)の実行前に行われる。
以降の処理(ステップS260〜)は、基本的には図5において説明した通りである。ステップS260では、印刷制御部22は、キャリッジ速度が直近に決定されたキャリッジ速度CV(つまりステップS225で決定されたキャリッジ速度CV)となるように制御する。ステップS260で一回の印刷(一回のパス)を実行した後、一回の紙送り(ステップS280)後は、処理はステップS260に戻る。
このような第2実施形態によれば、裏面F2の印刷は、全ての領域C2,B2,A2について共通のPG(ステップS215で特定された最大値のPG)およびキャリッジ速度CV(ステップS225で決定されたキャリッジ速度CV)で実行される。そのため、領域C2,B2,A2毎にPGを調整する第1実施形態と比較して、裏面F2の印刷に要する処理負担および時間を短縮することができる。また、裏面F2の印刷に際しての共通のPGは、領域C2,B2,A2毎に表面F1側に吐出された液体量に応じて決定したPGc,PGb,PGaのうち最大値である。そのため、領域C2,B2,A2いずれに対する印刷時においても、印刷媒体Pと印刷ヘッド52との接触回避が担保される。
(第3実施形態)
受け付けた両面印刷の指示である第1の両面印刷指示と同一の両面印刷の指示である第2の両面印刷指示を受け付けた場合、印刷制御部22は、第2の両面印刷指示に応じた裏面F2への印刷に際し、PG調整部54に、PGが第1の両面印刷指示に応じた裏面F2への印刷に際して決定されたPGとなるように調整させる。
具体的には、制御部20は、前記受け付けた両面印刷を指示する印刷ジョブが第2の両面印刷指示に該当するか否かをステップS100よりも前のタイミングで判定する。つまり、過去に受け付けて実行済みの両面印刷の印刷ジョブ(第1の両面印刷指示)と全く同じ印刷ジョブ(画像データの内容、印刷媒体Pの種類やサイズ、基準値PGs、基準速度Vs、等が同じ印刷ジョブ)を受け付けた場合には、第2の両面印刷指示と判定し、第2の両面印刷指示に該当しない両面印刷の印刷ジョブは、第3の両面印刷指示と判定する。仮に、第3の両面印刷指示に相当する印刷ジョブを受け付けたと判定した場合は、その印刷ジョブに応じて、図4,5で説明した処理(あるいは図4,7で説明した処理)を実行する。
一方、制御部20は、第2の両面印刷指示に相当する印刷ジョブを受け付けたと判定した場合は、裏面F2の印刷のためのPGおよびキャリッジ速度を決定する処理を全て省略し、第1の両面印刷指示に応じて裏面F2へ印刷を実行した際のPGおよびキャリッジ速度の設定(これら設定は所定のメモリーに記憶されているものとする。)を流用して、第2の両面印刷指示に応じた裏面F2への印刷を実行する。つまり、図4,5の処理であれば、ステップS120〜S160,S200〜S240を省いて実行する。むろん図5の処理におけるステップS250,S260では、そのとき印刷対象とする領域に応じたPGやキャリッジ速度の設定を流用する。また、図4,7の処理であれば、ステップS120〜S160,S205〜S225を省いて実行する。
このような第3実施形態によれば、既に実行した両面印刷の印刷ジョブと同じ印刷ジョブを受けた場合には、裏面F2のためのPG等を決定する処理を省くことができ、印刷装置10の負担軽減および印刷時間の短縮化が達成される。
(他の実施形態)
これまでは、印刷装置10は、印刷ヘッド52がキャリッジ51に搭載されて主走査方向に移動するタイプの機種、いわゆるシリアルプリンターであることを想定して説明を行った。しかし、印刷装置10は、キャリッジ51を有さず、固定されたライン型の印刷ヘッド52(ラインヘッド)を有するいわゆるラインプリンターであってもよい。ラインヘッドは、前記主走査方向に相当する方向において印刷媒体Pの幅に略相当する範囲に亘って複数のノズルを並べた印刷ヘッドである。ラインプリンターにおいては、自身は静止しているラインヘッドが、搬送部53によってプラテン上を搬送される印刷媒体Pへ(つまり、ラインヘッドは印刷媒体Pとの相対的な位置変化に伴って)液体を吐出する。印刷装置10がラインプリンターであると想定した場合、PG調整部54は、このようなラインヘッドとプラテンとの距離であるPGを変化させる。また、印刷装置10がラインプリンターであると想定した場合、PGに応じてキャリッジ速度を決定するのではなく、PGに応じて、搬送部53が印刷媒体Pをプラテン上を通過させる速度(搬送速度)を決定する。このような搬送速度も、前記相対的な位置変化の速度、に該当する。
また、PGを調整するという表現には、印刷ヘッド52の位置を調整する場合だけでなく、プラテンの位置を調整することや、印刷ヘッド52およびプラテンの位置を調整することが概念として含まれるとしてもよい。
10…印刷装置、20…制御部、21…PG決定部、22…印刷制御部、30…通信I/F、40…操作受付部、41…LCD、50…印刷機構、51…キャリッジ、52…印刷ヘッド、52a…吐出面、53…搬送部、53a,53b,53c…ローラー、54…PG調整部、60…プラテン、70…給紙トレイ、100…外部機器、F1…表面、F2…裏面、P…印刷媒体

Claims (8)

  1. 印刷媒体との相対的な位置変化に伴って当該印刷媒体へ液体を吐出して印刷を実行する印刷部と、
    前記印刷媒体を支持するプラテンと前記印刷部との距離であるプラテンギャップを調整可能なPG調整部と、
    前記印刷媒体の両面への印刷である両面印刷の指示を受け付けた場合、前記印刷媒体の両面のうち先に印刷がなされる第1面へ吐出される液体量に応じて、第1面の裏である第2面への印刷のための前記プラテンギャップを決定するPG決定部と、
    前記第2面への印刷に際し、前記PG調整部に前記プラテンギャップが前記決定されたプラテンギャップとなるように調整させ、前記決定されたプラテンギャップが前記両面印刷の指示によって指定された所定のプラテンギャップよりも大きい場合は、前記相対的な位置変化の速度を前記プラテンギャップが前記所定のプラテンギャップに調整されている場合の前記相対的な位置変化の速度よりも遅くして前記印刷部に前記第2面へ印刷をさせる印刷制御部と、
    を備えることを特徴とする印刷装置。
  2. 前記印刷制御部は、前記印刷部に前記第2面へ印刷をさせる際の前記相対的な位置変化の速度を、前記決定されたプラテンギャップに応じて異ならせることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
  3. 前記PG決定部は、前記第1面へ吐出される液体量と当該液体量に応じた前記第2面への印刷のための前記プラテンギャップとの対応関係を、前記印刷媒体の領域に応じて異ならせることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
  4. 前記印刷媒体を支持して搬送するための複数のローラーを含む搬送部を備え、
    前記PG決定部は、前記印刷部によって印刷される際に前記印刷媒体を支持する前記ローラーの数が異なる領域毎に、前記第1面へ吐出される液体量と当該液体量に応じた前記第2面への印刷のための前記プラテンギャップとの対応関係を異ならせることを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
  5. 前記PG決定部は、前記印刷媒体の領域毎に前記プラテンギャップを決定し、
    前記印刷制御部は、前記第2面への印刷に際し、前記PG調整部に、前記領域毎に前記決定されたプラテンギャップへの調整を実行させることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の印刷装置。
  6. 前記PG決定部は、前記印刷媒体の領域毎に前記プラテンギャップを決定し、
    前記印刷制御部は、前記第2面への印刷に際し、前記PG調整部に、前記領域毎に決定された前記プラテンギャップのうち最も大きいプラテンギャップへの調整を実行させることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の印刷装置。
  7. 前記受け付けた両面印刷の指示である第1の両面印刷指示と同一の両面印刷の指示である第2の両面印刷指示を受け付けた場合、前記印刷制御部は、当該第2の両面印刷指示に応じた前記第2面への印刷に際し、前記PG調整部に、前記プラテンギャップが前記第1の両面印刷指示に応じた前記第2面への印刷に際して決定されたプラテンギャップとなるように調整させ、
    前記受け付けた両面印刷の指示である第1の両面印刷指示と異なる両面印刷の指示である第3の両面印刷指示を受け付けた場合、前記印刷制御部は、当該第3の両面印刷指示に応じた前記第2面への印刷に際し、前記PG決定部に、当該第3の両面印刷指示により第1面へ吐出される液体量に応じた前記第2面への印刷のためのプラテンギャップの決定をさせ、かつ、前記PG調整部に、前記プラテンギャップが当該第3の両面印刷指示に応じて決定されたプラテンギャップとなるように調整させる、
    ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の印刷装置。
  8. 前記所定のプラテンギャップとは、前記両面印刷の指示によって指定された印刷品質及び又は印刷媒体の情報に対応付けられた値であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の印刷装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107718912A (zh) * 2017-11-21 2018-02-23 珠海冰河电子技术有限公司 一种打印机速度控制方法及装置
WO2019055363A1 (en) * 2017-09-15 2019-03-21 Arconic Inc. APPARATUS AND METHOD FOR ASSEMBLING STRUCTURAL PROFILES AND RESULTING STRUCTURES
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