JP2015030101A - インクジェット印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷画質の低下を抑制できるインクジェット印刷装置を提供する。
【解決手段】インクジェット印刷装置1は、インクを吐出する複数のノズルを有するインクジェットヘッド21Aと、用紙を搬送する搬送部2と、用紙を搬送しつつ、インクジェットヘッド21Aのノズルから用紙へインクを吐出して印刷するようインクジェットヘッド21Aおよび搬送部2を制御する制御部4とを備え、制御部4は、ベタ領域の印刷において、設定解像度におけるベタ領域の各画素のドットを、ベタ領域内で隙間が生じる大きさで形成するとともに、その隙間部分に、各画素のドットより小さいドットを形成するようインクジェットヘッド21Aを制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェットヘッドからインクを吐出して印刷を行うインクジェット印刷装置に関する。
従来、インクジェットヘッドのノズルからインクの液滴を用紙に吐出して画像を印刷するインクジェット印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
インクジェット印刷装置では、インクの液滴が用紙に着弾して形成されるドットにより画像が形成される。このようなインクジェット印刷装置での印刷画像において、ベタ領域内にドットで埋められていない空白部分があると、ベタ領域の印刷濃度が低下し、印刷画質が低下する。
そこで、通常、ベタ領域における各ドットを、ベタ領域内に空白部分が生じないような大きさで形成する方法が用いられている。
特開平7−149036号公報
しかしながら、ベタ領域内に空白部分が生じないような大きさで各ドットを形成すると、ドットが重なる部分が生じる。この部分は、ドットが重なっていない部分より濃度が高くなる。このため、ベタ領域に濃度ムラが生じる。この結果、印刷画質が低下する。
本発明は上記に鑑みてなされたもので、印刷画質の低下を抑制できるインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るインクジェット印刷装置の第1の特徴は、インクを吐出する複数のノズルを有するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドと印刷媒体とを相対移動させる駆動部と、前記インクジェットヘッドと印刷媒体とを相対移動させつつ、前記インクジェットヘッドの前記ノズルから印刷媒体へインクを吐出して印刷するよう前記インクジェットヘッドおよび前記駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、ベタ領域の印刷において、設定解像度におけるベタ領域の各画素のドットを、ベタ領域内で隙間が生じる大きさで形成するとともに、その隙間部分に、前記各画素のドットより小さい隙間ドットを形成するよう前記インクジェットヘッドを制御することにある。
本発明に係るインクジェット印刷装置の第2の特徴は、前記インクジェットヘッドは、それぞれ前記インクジェットヘッドに対する印刷媒体の相対移動方向に直交する方向に沿って配置された複数の前記ノズルからなり、前記相対移動方向に沿って並列して配置され、前記ノズルの配列方向における前記ノズルの位置が互いにずれるように配置された2列のノズル列を有し、前記制御部は、ベタ領域の印刷において、前記2列のノズル列のうち前記相対移動方向における上流側のノズル列の前記ノズルから吐出するインクにより前記隙間ドットを形成し、下流側のノズル列の前記ノズルから吐出するインクにより前記各画素のドットを形成するよう制御することにある。
本発明に係るインクジェット印刷装置の第3の特徴は、前記インクジェットヘッドの吐出面と印刷媒体との間の距離であるヘッド用紙間距離を調整する調整部をさらに備え、前記制御部は、前記ヘッド用紙間距離が第1閾値以上の場合、ベタ領域の印刷において、前記隙間ドットの形成を省略することにある。
本発明に係るインクジェット印刷装置の第4の特徴は、前記制御部は、前記ヘッド用紙間距離が前記第1閾値より小さい第2閾値以下の場合、前記設定解像度でのベタ領域の印刷時に前記各画素のドットの形成に用いる前記ノズルおよび前記隙間ドットの形成に用いる前記ノズルを、前記設定解像度より高い解像度における各画素のドットの形成に用いて、前記設定解像度より高い解像度でベタ領域を印刷することにある。
本発明に係るインクジェット印刷装置の第1の特徴によれば、ベタ領域の印刷において、設定解像度におけるベタ領域の各画素のドットを、ベタ領域内で隙間が生じる大きさで形成するとともに、その隙間部分に、各画素のドットより小さい隙間ドットを形成する。これにより、ベタ領域における、ドットの重なりによる濃度ムラを低減するとともに、空白による濃度低下を抑えることができる。この結果、印刷画質の低下を抑制できる。
本発明に係るインクジェット印刷装置の第2の特徴によれば、上流側のノズル列のノズルから吐出するインクにより隙間ドットを形成し、下流側のノズル列のノズルから吐出するインクにより各画素のドットを形成する。これにより、上流側のノズル列からのインク吐出によるインク壁および回り込み気流の発生と、それによる下流側のノズル列から吐出されたインクの着弾ずれを抑制できる。この結果、ノズルの配列方向におけるノズルの位置が互いにずれるように配置された2列のノズル列を有するインクジェットヘッドを備えるインクジェット印刷装置において、印刷画質の低下を抑制できる。
本発明に係るインクジェット印刷装置の第3の特徴によれば、ヘッド用紙間距離が第1閾値以上の場合、ベタ領域の印刷において、隙間ドットの形成を省略する。各画素のドットより小さく、着弾ずれが生じやすい隙間ドットの形成を省略することで、着弾ずれによる印刷画質の低下を抑制できる。また、隙間ドットの省略により、サテライトが低減する。このため、着弾ずれおよびサテライトによる印刷画質の低下が生じやすい、ヘッド用紙間距離が拡大した場合でも、ベタ領域の印刷画質の低下を軽減できる。
本発明に係るインクジェット印刷装置の第4の特徴によれば、ヘッド用紙間距離が第2閾値以下の場合、設定解像度でのベタ領域の印刷時に各画素のドットの形成に用いるノズルおよび隙間ドットの形成に用いるノズルを、設定解像度より高い解像度における各画素のドットの形成に用いて、設定解像度より高い解像度でベタ領域を印刷する。これにより、サテライトによる印刷画質の低下を避けつつ、高解像度化によりベタ領域の印刷画質を向上できる。
実施の形態に係るインクジェット印刷装置の構成を示すブロック図である。 図1に示すインクジェット印刷装置の搬送部および印刷部の概略構成図である。 ヘッドユニットの配置の説明図である。 ノズル列の説明図である。 ベタ領域印刷モード選択処理のフローチャートである。 ドット混合モードで印刷されたベタ領域のドットイメージを示す図である。 自己気流の説明図である。 インク壁付近の気流の説明図である。 ベタ領域に空白部分が生じないような大きさで各画素に対応するドットを形成した場合のドットイメージを示す図である。 通常モードで印刷されたベタ領域のドットイメージを示す図である。 解像度変更モードで印刷されたベタ領域のドットイメージを示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェット印刷装置の構成を示すブロック図である。図2は、図1に示すインクジェット印刷装置の搬送部および印刷部の概略構成図である。図3は、ヘッドユニットの配置の説明図である。図4は、ノズル列の説明図である。
以下の説明において、図2の紙面表方向を前方とする。また、図2に示すように、紙面の上下左右を上下左右方向とする。また、図2において左から右に向かう方向が、印刷媒体である用紙PAの搬送方向である。以下の説明における上流、下流は、搬送方向における上流、下流を意味する。
図1に示すように、インクジェット印刷装置1は、搬送部(請求項の駆動部に相当)2と、印刷部3と、制御部4とを備える。
搬送部2は、用紙PAを搬送する。図1、図2に示すように、搬送部2は、搬送ベルト11と、駆動ローラ12と、従動ローラ13,14,15と、ベルトモータ16とを備える。
搬送ベルト11は、用紙PAを吸着保持して搬送する。搬送ベルト11は、駆動ローラ12および従動ローラ13〜15に掛け渡される環状のベルトである。搬送ベルト11には、用紙PAを吸着保持するための貫通穴であるベルト穴が、全面に渡って多数形成されている。搬送ベルト11は、図示しないファンによるエア吸引によりベルト穴に発生する吸着力により、搬送面(上面)11aに用紙PAを吸着保持する。搬送ベルト11は、図2における時計回り方向に回転することで、吸着保持した用紙PAを右方向に搬送する。
駆動ローラ12は、搬送ベルト11を回転させる。
従動ローラ13〜15は、搬送ベルト11を介して駆動ローラ12に従動する。従動ローラ13は、駆動ローラ12と略同じ高さで、駆動ローラ12の左側に配置されている。従動ローラ14,15は、駆動ローラ12および従動ローラ13の下方において、互いに左右方向に離間して、略同じ高さに配置されている。
ベルトモータ16は、駆動ローラ12を回転駆動させる。
印刷部3は、搬送部2により搬送される用紙PAに画像を印刷する。印刷部3は、搬送部2の上方に配置されている。印刷部3は、インクジェットヘッド21A,21B,21Cと、ヘッドホルダ22と、ヘッドギャップ調整ユニット(請求項の調整部に相当)23とを備える。
インクジェットヘッド21A〜21Cは、搬送部2により搬送される用紙PAにインクを吐出して画像を印刷する。インクジェットヘッド21A〜21Cは、搬送部2の上方において、上流側からこの順で、用紙PAの搬送方向(左右方向)に所定間隔を空けて並列配置されている。インクジェットヘッド3A〜3Cは、ライン型のインクジェットヘッドである。
インクジェットヘッド21Aは、複数のヘッドユニット31Aを有する。本実施の形態では、図3に示すように、インクジェットヘッド21Aは、6個のヘッドユニット31Aから構成されている。なお、図3では、ヘッドホルダ22等の図示を省略している。6個のヘッドユニット31Aは、用紙PAの搬送方向(副走査方向)に直交する前後方向(主走査方向)に沿って千鳥配置されている。すなわち、6個のヘッドユニット31Aは、前後方向に配列され、かつ、1つおきに左右方向における位置をずらして配置されている。インクジェットヘッド21Bは、6個のヘッドユニット31Bから構成されている。インクジェットヘッド21Cは、6個のヘッドユニット31Cから構成されている。ヘッドユニット31B,31Cは、ヘッドユニット31Aと同様に、それぞれ千鳥配置されている。ヘッドユニット31A〜31Cは、後述のように吐出するインクが異なる以外は、同様の構成を有するものである。
なお、インクジェットヘッド21A〜21C、ヘッドユニット31A〜31Cの符号におけるアルファベットの添え字(A〜C)を省略して総括的に表記することがある。
ヘッドユニット31は、図4に示すように、2つのインクチャンバ32U,32Dと、2列のノズル列33U,33Dとを有する。ここで、図4は、ヘッドユニット31を下側から見た図である。なお、インクチャンバ32U,32D、ノズル列33U,33Dの符号におけるアルファベットの添え字(U,D)を省略して総括的に表記することがある。
インクチャンバ32は、インクを貯留する。インクチャンバ32には、インク経路(図示せず)を介してインクが供給される。インクチャンバ32内には、ピエゾ素子(図示せず)が配置されている。ピエゾ素子の駆動により、後述するノズル34からインクが吐出される。
ヘッドユニット31Aのインクチャンバ32U,32Dには、ともにブラック(K)のインクが供給される。ヘッドユニット31Bのインクチャンバ32Uには、シアン(C)のインクが供給される。ヘッドユニット31Bのインクチャンバ32Dには、マゼンタ(M)のインクが供給される。ヘッドユニット31Cのインクチャンバ32Uには、イエロー(Y)のインクが供給される。ヘッドユニット31Cのインクチャンバ32Dには、他の色のインクが供給される。
2列のノズル列33U,33Dは、左右方向(副走査方向)に並列して配置されている。ノズル列33は、インクを吐出する複数のノズル34からなる。ヘッドユニット31では、1つのノズル34から1画素に対して吐出するインクの液滴数(ドロップ数)を変えることができるようになっており、ドロップ数により濃度を表現する階調印刷が行われる。
ノズル列33において、複数のノズル34は、主走査方向(前後方向)に沿って、所定のピッチPで等間隔に配置されている。そして、上流側のノズル列33Uのノズル34と下流側のノズル列33Dのノズル34とが、ノズル34の配列方向である主走査方向に半ピッチ(P/2)分だけずれるように配置されている。ノズル34は、搬送ベルト11の搬送面11aに対向するヘッドユニット31の吐出面(下面)31aに開口している。
ヘッドユニット31Aのノズル列33U,33Dは、ヘッドユニット31Aのインクチャンバ32U,32Dに供給されるブラックのインクを吐出する。ノズル列33U,33Dの2列からブラックのインクを吐出することで、ブラックの解像度を他の色より高めることが可能になっている。ヘッドユニット31Bのノズル列33U,33Dは、それぞれヘッドユニット31Bのインクチャンバ32U,32Dに供給されるシアン、マゼンタのインクを吐出する。ヘッドユニット31Cのノズル列33U,33Dは、それぞれヘッドユニット31Cのインクチャンバ32U,32Dに供給されるイエローのインク、他の色のインクを吐出する。
ヘッドホルダ22は、ヘッドユニット31を保持する。ヘッドホルダ22は、中空状の略直方体形状に形成されている。ヘッドホルダ22は、搬送部2の上方に配置されている。ヘッドホルダ22は、その底面からヘッドユニット31の下端部を下方に突出させて、ヘッドユニット31を保持している。
ヘッドギャップ調整ユニット23は、ヘッドギャップHgを調整する。ヘッドギャップHgは、搬送ベルト11の搬送面11aとインクジェットヘッド21のヘッドユニット31の吐出面31aとの間の距離である。ヘッドギャップHgは、印刷に使用される用紙種類(用紙PAの厚さ)に応じて調整される。ヘッドギャップ調整ユニット23は、昇降機構部41と、昇降モータ42と、突き当て部材43とを備える。
昇降機構部41は、インクジェットヘッド21に対して搬送部2を昇降させるものである。昇降機構部41は、前後方向に離間して2つ設けられている。昇降機構部41は、1対のプーリ46,47と、シャフト48と、ワイヤ49,50とを備える。
プーリ46,47は、それぞれワイヤ49,50の巻き取りおよび繰り出しを行う。プーリ46,47は、互いに左右方向に離間して、ヘッドホルダ22内に回転可能に支持されている。
シャフト48は、1対のプーリ46,47を互いに接続するものである。シャフト48は、左右方向に延びる長尺状の部材からなり、一端がプーリ46に固定され、他端がプーリ47に固定されている。これにより、1対のプーリ46,47が同期して回転される。
ワイヤ49,50は、搬送部2を吊り下げ支持する。ワイヤ49,50の一端は、搬送部2に接続され、他端側は、プーリ46,47に巻き付けられている。ワイヤ49,50がプーリ46,47の回転により巻き取られたり繰り出されたりすることで、搬送部2が昇降する。
昇降モータ42は、プーリ46,47を回転駆動させる。
突き当て部材43は、ヘッドギャップHgを調整するための部材である。突き当て部材43は、ヘッドホルダ22の底面の角部に立設されている。搬送部2が突き当て部材43の下端に突き当てられることで、搬送部2が位置決めされる。突き当て部材43は、ヘッドギャップHgに応じて上下方向の長さを複数段階に調整可能に構成されている。
制御部4は、インクジェット印刷装置1の各部の動作を制御する。制御部4は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
制御部4は、搬送部2により用紙PAを搬送させつつ、インクジェットヘッド21のノズル34から用紙PAへインクを吐出して画像を印刷するよう制御する。
ここで、前述のように、インクジェット印刷装置1では、ヘッドユニット31Aのノズル列33U,33Dの2列からブラックのインクを吐出できるため、ブラックの解像度を他の色より高めることが可能である。そこで、インクジェット印刷装置1では、標準解像度黒印刷設定または高解像度黒印刷設定が選択可能になっている。
標準解像度黒印刷設定は、ブラックの解像度を他の色の解像度と同じとする設定である。標準解像度黒印刷設定では、ブラックを含む各色が、ノズル列33のノズル34のピッチPに応じた解像度で印刷される。高解像度黒印刷設定は、ブラックを他の色より高解像度とする設定である。高解像度黒印刷設定では、ブラックが半ピッチ(P/2)に応じた解像度で印刷され、他の色がピッチPに応じた解像度で印刷される。
制御部4は、標準解像度黒印刷設定での印刷時において、黒のベタ領域の印刷用のモードとして、ドット混合モード、通常モード、および高解像度モードのいずれかを選択する。制御部4は、ヘッド用紙間距離Hpに応じて、これらのモードのいずれかを選択する。各モードの詳細については後述する。
ヘッド用紙間距離Hpは、ヘッドギャップHgから用紙PAの厚さを差し引いたものである。前述のように、ヘッドギャップHgは用紙種類(用紙PAの厚さ)に応じて調整される。ヘッドギャップHgは、突き当て部材43の長さ調整により複数段階に調整可能であるが、必ずしもすべての用紙種類に個別の値を設定することはできない。このため、例えば、厚さが近い用紙種類に対して同じ値のヘッドギャップHgが割り当てられることがある。このようなことから、ヘッド用紙間距離Hpは、用紙種類に応じて異なる。制御部4は、用紙種類に応じたヘッド用紙間距離Hpを予め記憶している。
次に、インクジェット印刷装置1の動作について説明する。
制御部4は、印刷データが入力されると、印刷を開始する。この際、制御部4は、印刷データに含まれる設定情報に基づき、標準解像度黒印刷設定および高解像度黒印刷設定のいずれの設定であるかを判断する。標準解像度黒印刷設定の場合、制御部4は、黒のベタ領域の印刷用のモードを選択する。このモードを選択するためのベタ領域印刷モード選択処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
図5のステップS1において、制御部4は、今回の印刷において、Ha<Hp<Hbが満たされるか否かを判断する。具体的には、制御部4は、印刷データに含まれる用紙種類情報から、今回の印刷で使用する用紙種類を取得し、その用紙種類に応じたヘッド用紙間距離Hpが、Ha<Hp<Hbを満たすか否かを判断する。
Ha,Hbは、ドット混合モード、通常モード、および高解像度モードのいずれかを選択するための閾値である。閾値Haは閾値Hbより小さい値である。閾値Haは、請求項の第2閾値に相当する。閾値Hbは、請求項の第1閾値に相当する。
Ha<Hp<Hbが満たされると判断した場合(ステップS1:YES)、ステップS2において、制御部4は、ドット混合モードを選択し、ベタ領域印刷モード選択処理を終了する。
Ha<Hp<Hbが満たされないと判断した場合(ステップS1:NO)、ステップS3において、制御部4は、Hp≧Hbが満たされるか否かを判断する。
Hp≧Hbが満たされると判断した場合(ステップS3:YES)、ステップS4において、制御部4は、通常モードを選択し、ベタ領域印刷モード選択処理を終了する。
Hp≧Hbが満たされないと判断した場合(ステップS3:NO)、ステップS5において、制御部4は、解像度変更モードを選択し、ベタ領域印刷モード選択処理を終了する。ここで、Ha<Hp<HbおよびHp≧Hbが満たされないとき、Hp≦Haである。すなわち、Hp≦Haの場合、制御部4は、解像度変更モードを選択する。
標準解像度黒印刷設定の場合、制御部4は、上述したベタ領域印刷モード選択処理が終了すると、印刷を実行する。
具体的には、まず、制御部4は、ヘッドギャップ調整ユニット23によりヘッドギャップHgを用紙種類に応じた値に設定する。次いで、制御部4は、ベルトモータ16により駆動ローラ12を回転駆動させる。これにより、搬送ベルト11が周回駆動される。また、制御部4は、図示しない給紙部により用紙PAを搬送部2へ給紙させる。そして、制御部4は、搬送部2により搬送される用紙PAに対し、インクジェットヘッド21A〜21Cを駆動制御してインクの液滴を吐出させる。これにより、用紙PAに画像が印刷される。
ここで、制御部4は、黒のベタ領域については、上述したベタ領域印刷モード選択処理で選択したモードで印刷する。各モードでの印刷の内容については後述する。
高解像度黒印刷設定の場合、制御部4は、ベタ領域印刷モード選択処理は行わず、印刷データに基づき印刷を実行する。
次に、上述した黒のベタ領域の印刷用のモードの内容について説明する。
まず、ドット混合モードについて説明する。図6は、ドット混合モードで印刷されたベタ領域のドットイメージを示す図である。
図6に示すように、ドット混合モードは、2種類のサイズのドット51,52によりベタ領域を印刷するモードである。
大径のドット51は、設定解像度におけるベタ領域の各画素のドットである。ここで、設定解像度は、ノズル34のピッチPに応じた解像度である。ベタ領域は、所定面積(例えば、2×2画素)以上の大きさの塗りつぶされる領域である。ドット51は、ベタ領域内で隙間(空白)が生じる大きさで形成される。具体的には、各ドット51が主走査方向および副走査方向に隣接するドット51にそれぞれ接し、各ドット51が重なる部分がなく、4つのドット51で囲まれる隙間が生じるように、ドット51が形成される。
小径のドット52は、大径のドット51で埋まらない隙間部分に形成される、大径のドット51より小さいドットである。小径のドット52は、大径のドット51に接し、隙間部分からはみ出さない(大径のドット51と重ならない)大きさに形成される。小径のドット52は、請求項の隙間ドットに相当する。
制御部4は、ブラックのインクを吐出するヘッドユニット31Aの上流側のノズル列33Uのノズル34から吐出するインクにより小径のドット52を形成させ、下流側のノズル列33Dのノズル34から吐出するインクにより大径のドット51を形成させる。これにより、主走査方向において、小径のドット52が、互いに隣接する2つの大径のドット51の中間位置に形成される。また、制御部4は、ノズル列33U,33Dからのインクの吐出タイミングの制御により、副走査方向において、小径のドット52が、互いに隣接する2つの大径のドット51の中間位置に形成されるようにする。これにより、ドット51で埋まらない隙間部分にドット52が形成される。
制御部4は、インクの吐出量を調整することによりドット51,52の大きさを調整する。具体的には、制御部4は、インクのドロップ数を調整することによりドット51,52の大きさを調整する。例えば、制御部4は、ドット51を4ドロップ、ドット52を2ドロップのインクで形成させる。
ここで、上流側のノズル列33Uにより小径のドット52を形成し、下流側のノズル列33Dにより大径のドット51を形成する理由を説明する。
印刷時には、図7に示すように、ヘッドユニット31からインクの液滴56が吐出されることで、ヘッドユニット31から用紙PAへ向かう自己気流W1が発生する。また、搬送部2による用紙PAの搬送およびファンによる空気の吸引により、搬送方向の気流である搬送気流W2が発生する。
主走査方向において連続する複数のノズル34から連続してインクの液滴56が吐出されることで、複数のノズル34に対応する自己気流W1が、搬送気流W2を遮る壁として作用することがある。この擬似的な壁をインク壁と呼ぶ。
図8に示すように、インク壁57が形成されると、搬送気流W2がインク壁57に沿ってその裏側(下流側)へ回り込んだ回り込み気流W3が発生する。回り込み気流W3は、インク壁57の両端から中央に向けて主走査方向に流れる。
上流側のノズル列33Uからのインク吐出によりインク壁57が形成されると、回り込み気流W3により、下流側のノズル列33Dから吐出されるインク液滴の飛翔軌道が中央側へと曲げられる。
ここで、1ノズルから吐出する1ドットあたりのドロップ数が大きいほど、自己気流W1が強くなる。自己気流W1が強いほど、その自己気流W1によるインク壁57および回り込み気流W3が生じやすくなる。また、下流側のノズル列33Dにおける自己気流W1が強いほど、上流側のノズル列33Uからのインク吐出により形成されたインク壁57に沿う回り込み気流W3の影響による、下流側のノズル列33Dから吐出されるインクの着弾ずれが生じにくくなる。
したがって、上流側のノズル列33Uにより小径のドット52を形成し、下流側のノズル列33Dにより大径のドット51を形成する場合、その逆の場合よりも、上流側のノズル列33Uからのインク吐出によるインク壁57が生じにくい。また、回り込み気流W3の影響による下流側のノズル列33Dから吐出されたインクの着弾ずれが抑えられる。このため、インクジェット印刷装置1では、上流側のノズル列33Uにより小径のドット52を形成し、下流側のノズル列33Dにより大径のドット51を形成するようにしている。
ここで、ベタ領域に空白部分が生じないような大きさで各画素に対応するドットを形成した場合のドットイメージを図9に示す。この場合、ベタ領域が各画素のドット61で埋められるため、空白部分が存在することによる濃度低下はない。しかし、図9に示すように、各ドット61が重なる部分が生じる。この部分は、ドット61の重なりがない部分より濃度が高い。このため、ベタ領域に濃度ムラが生じる。
これに対して、ドット混合モードでは、大径のドット51と小径のドット52とを用い、大径のドット51で埋めない隙間部分に小径のドット52を形成するようにしてベタ領域を印刷する。これにより、ドットの重なりによる濃度ムラを低減するとともに、空白部分による濃度低下を抑えることができる。
次に、通常モードについて説明する。図10は、通常モードで印刷されたベタ領域のドットイメージを示す図である。
図10に示すように、通常モードは、上述したドット混合モードにおける小径のドット52を省略してベタ領域を印刷するモードである。
前述のように、1ノズルから吐出する1ドットあたりのドロップ数が大きいほど、自己気流W1が強くなる。自己気流W1が弱いほど、気流の影響によるインクの着弾ずれが大きくなりやすい。このため、上述したドット混合モードによる印刷の場合、大径のドット51に比べて、小径のドット52は、搬送気流W2の影響による着弾ずれが大きくなりやすい。また、インクの着弾ずれは、ヘッド用紙間距離Hpが大きいほど、大きくなる。
ところで、ノズル34からインクが吐出されると、主たる液滴(主滴)に付随して、微小な液滴であるサテライトが発生する。主滴が用紙PAに着弾して形成されるドットから離れた位置にサテライトが着弾すると、印刷画質が低下する。ここで、ヘッド用紙間距離Hpが大きいほど、主滴によるドットから離れた位置にサテライトが着弾しやすくなる。
そこで、インクジェット印刷装置1では、Hp≧Hbの場合、上述したドット混合モードにおける小径のドット52を省略した通常モードによりベタ領域を印刷する。通常モードでは、小径のドット52を省略しているため、ヘッド用紙間距離Hpが大きくても、小径のドット52の着弾ずれによる印刷画質の低下は生じない。また、小径のドット52を形成するためのインク吐出を行わないため、ドット混合モードに比べて、サテライトが低減する。小径のドット52を省略するため、ドット混合モードに比べて、ベタ領域の濃度は低下するが、ドット混合モードと同様に、図9のような濃度ムラは抑えられる。
したがって、ヘッド用紙間距離Hpが閾値Hb以上の場合、通常モードによるベタ領域の印刷を行うことで、ベタ領域の印刷画質の低下を軽減できる。閾値Hbとしては、例えば、実験的に求められた値が設定される。
次に、解像度変更モードについて説明する。図11は、解像度変更モードで印刷されたベタ領域のドットイメージを示す図である。
図11に示すように、解像度変更モードは、設定解像度(ノズル34のピッチPに応じた解像度)より高い解像度でベタ領域を印刷するモードである。具体的には、解像度変更モードは、半ピッチ(P/2)に応じた解像度でベタ領域を印刷するモードである。
図11において、ドット62は、半ピッチ(P/2)に応じた解像度における各画素のドットである。各ドット62は、主走査方向および副走査方向に隣接するドット62にそれぞれ接し、各ドット62が重なる部分が生じないように形成される。
制御部4は、ブラックのインクを吐出するヘッドユニット31Aの上流側のノズル列33Uおよび下流側のノズル列33Dから各ラインにインクを吐出させることで、半ピッチ(P/2)に応じた解像度でベタ領域を印刷させる。
解像度変更モードでは、上述したドット混合モードおよび通常モードに比べて、ドット数が多いため、サテライトが多く発生する。しかし、ヘッド用紙間距離Hpが小さいほど、主滴によるドットから離れた位置に着弾するサテライトが少なくなる。
そこで、ヘッド用紙間距離Hpが閾値Ha以下の場合、解像度変更モードにより設定解像度より高解像度でベタ領域を印刷することで、サテライトによる印刷画質の低下は抑えつつ、ベタ領域の印刷画質を向上できる。閾値Haとしては、例えば、実験的に求められた値が設定される。
以上説明したように、インクジェット印刷装置1では、制御部4は、ドット混合モードによるベタ領域の印刷において、設定解像度におけるベタ領域の各画素のドット51を、ベタ領域内で隙間が生じる大きさで形成するとともに、その隙間部分に、小径のドット52を形成するよう制御する。これにより、ベタ領域における、ドットの重なりによる濃度ムラを低減するとともに、空白による濃度低下を抑えることができる。この結果、印刷画質の低下を抑制できる。
また、制御部4は、ドット混合モードによるベタ領域の印刷において、上流側のノズル列33Uにより小径のドット52を形成し、下流側のノズル列33Dにより大径のドット51を形成するよう制御する。これにより、上流側のノズル列33Uからのインク吐出によるインク壁57および回り込み気流W3の発生と、それによる下流側のノズル列33Dから吐出されたインクの着弾ずれを抑制できる。この結果、印刷画質の低下を抑制できる。
また、制御部4は、ヘッド用紙間距離Hpが閾値Hb以上の場合、ドット混合モードにおける小径のドット52を省略した通常モードによるベタ領域の印刷を行う。通常モードでは、小径のドット52を省略しているため、ヘッド用紙間距離Hpが大きくても、小径のドット52の着弾ずれによる印刷画質の低下は生じない。また、小径のドット52を形成するためのインク吐出を行わないため、ドット混合モードに比べて、サテライトが低減する。これにより、着弾ずれおよびサテライトによる印刷画質の低下が生じやすい、ヘッド用紙間距離Hpが拡大した場合でも、ベタ領域の印刷画質の低下を軽減できる。
また、制御部4は、ヘッド用紙間距離Hpが閾値Ha以下の場合、解像度変更モードによるベタ領域の印刷を行う。解像度変更モードでは、制御部4は、上流側のノズル列33Uおよび下流側のノズル列33Dを用いて、設定解像度より高解像度の、半ピッチ(P/2)に応じた解像度でベタ領域を印刷するよう制御する。これにより、サテライトによる印刷画質の低下を避けつつ、高解像度化によりベタ領域の印刷画質を向上できる。
また、上記実施の形態では、用紙を移動させつつ印刷するライン型のインクジェット印刷装置について説明したが、これに限らず、インクジェットヘッドと用紙とを相対移動させつつ印刷するインクジェット印刷装置であれば本発明を適用できる。例えば、インクジェットヘッドを移動させつつ印刷するシリアル型のインクジェット印刷装置にも本発明は適用可能である。なお、シリアル型のインクジェット印刷装置の場合、インクジェットヘッドの移動時における移動方向の前側が、インクジェットヘッドに対する用紙の相対移動方向における上流側に相当する。
また、上記実施の形態では、ドット混合モードにおいて、小径のドット52は、大径のドット51に接し、隙間部分からはみ出さない(大径のドット51と重ならない)ものとしたが、小径のドット52が大径のドット51に接していなくてもよい。また、小径のドット52が大径のドット51と重なる部分があってもよい。
また、上記実施の形態では、ドット混合モードにおいて、大径のドット51は、主走査方向および副走査方向に隣接するドット51に接し、各ドット51が重なる部分がないものとしたが、ドット51どうしが接していなくてもよい。また、ドット51どうしが重なる部分があってもよい。
また、上記実施の形態では、ノズル列33U,33Dが互いに主走査方向に半ピッチ分だけずれている構成としたが、ノズル列間のずれの大きさはこれに限らない。
また、上記実施の形態では、インクジェットヘッド21Aのヘッドユニット31Aのノズル列33U,33Dがともにブラックのインクを吐出する構成において、黒のベタ領域を印刷する場合について説明した。しかし、同一のヘッドユニット31のノズル列33U,33Dが同一の色を吐出する構成であれば、他の色でもよい。
また、上記実施の形態では、2列のノズル列33U,33Dを有するインクジェットヘッド21によるベタ領域の印刷について説明したが、1列のノズル列でベタ領域を印刷する場合にも本発明は適用可能である。
この場合、ドット混合モードでは、ノズル列における各ノズルを交互に、インク吐出タイミングをずらして、大径のドット51の形成と小径のドット52の形成に用いればよい。この場合、設定解像度は、ノズルの2ピッチ分に対応する解像度になる。解像度変更モードでは、ノズル列における各ノズルを、1ピッチ分に対応する解像度における各画素のドットの形成に用いればよい。
また、文字画像のエッジ部において、上述したドット混合モードによる印刷を行ってもよい。これにより、文字のエッジ部の濃度を向上させ、文字の可読性を向上させることができる。
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
1 インクジェット印刷装置
2 搬送部
3 印刷部
4 制御部
21A〜21C インクジェットヘッド
23 ヘッドギャップ調整ユニット
31A〜31C ヘッドユニット
33U,33D ノズル列
34 ノズル

Claims (4)

  1. インクを吐出する複数のノズルを有するインクジェットヘッドと、
    前記インクジェットヘッドと印刷媒体とを相対移動させる駆動部と、
    前記インクジェットヘッドと印刷媒体とを相対移動させつつ、前記インクジェットヘッドの前記ノズルから印刷媒体へインクを吐出して印刷するよう前記インクジェットヘッドおよび前記駆動部を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、ベタ領域の印刷において、設定解像度におけるベタ領域の各画素のドットを、ベタ領域内で隙間が生じる大きさで形成するとともに、その隙間部分に、前記各画素のドットより小さい隙間ドットを形成するよう前記インクジェットヘッドを制御することを特徴とするインクジェット印刷装置。
  2. 前記インクジェットヘッドは、それぞれ前記インクジェットヘッドに対する印刷媒体の相対移動方向に直交する方向に沿って配置された複数の前記ノズルからなり、前記相対移動方向に沿って並列して配置され、前記ノズルの配列方向における前記ノズルの位置が互いにずれるように配置された2列のノズル列を有し、
    前記制御部は、ベタ領域の印刷において、前記2列のノズル列のうち前記相対移動方向における上流側のノズル列の前記ノズルから吐出するインクにより前記隙間ドットを形成し、下流側のノズル列の前記ノズルから吐出するインクにより前記各画素のドットを形成するよう制御することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷装置。
  3. 前記インクジェットヘッドの吐出面と印刷媒体との間の距離であるヘッド用紙間距離を調整する調整部をさらに備え、
    前記制御部は、前記ヘッド用紙間距離が第1閾値以上の場合、ベタ領域の印刷において、前記隙間ドットの形成を省略することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット印刷装置。
  4. 前記制御部は、前記ヘッド用紙間距離が前記第1閾値より小さい第2閾値以下の場合、前記設定解像度でのベタ領域の印刷時に前記各画素のドットの形成に用いる前記ノズルおよび前記隙間ドットの形成に用いる前記ノズルを、前記設定解像度より高い解像度における各画素のドットの形成に用いて、前記設定解像度より高い解像度でベタ領域を印刷することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット印刷装置。
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