JP2016066564A - 高周波電源 - Google Patents

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Abstract

【課題】負荷状態がフィードバック制御の速度よりも高速で変化した場合でも高周波電源の出力電力(進行波電力)を目標電力に整定できるようにする。【解決手段】RF電力制御部15は所定の周期で高周波電源から出力される進行波電力Pf[k]と予め設定された目標出力電力Psetの差電力ΔPset[k]に基づいて所定の演算を行って制御信号Sd’[k]を生成する。また、RF電力制御部15は進行波電力Pfの変化率と高周波電源の出力端における反射係数Γの変化率を算出し、これらの変化率に基づいて係数K(0≦K≦1)を決定する。RF電力制御部15はSd[k]=Sd’[k]−K×(Sd’[k]−Sd[k-1])の演算処理をして進行波電力Pfをフィードバック制御するための制御信号Sd[k]を生成する。負荷状態が高速で変化するときには係数Kを1に近付けて制御信号Sd[k]の制御信号Sd’[k]に対する更新量を小さくすることにより制御ゲインの急変を抑制する。【選択図】図3

Description

本発明は、プラズマ処理システムに用いられる高周波電源に関する。
プラズマ処理システムは、例えば、フッ素系のガスと半導体ウェハや液晶基板等の被加工物をプラズマ処理装置のチャンバー内に封入し、そのチャンバー内の一対の電極に高周波電源から高周波電力を供給して放電させ、その放電によりガスのプラズマを発生させて被加工物に薄膜形成処理やエッチング処理を行うシステムである。
プラズマ処理装置では、高周波電源から高周波電力が供給されると、放電によりプラズマが発生するが、プラズマ発生前とプラズマ発生後で急激にインピーダンス(以下、「負荷インピーダンス」という。)が変化し、プラズマ発生後もプラズマ状態や被加工物の状態の変化により負荷インピーダンスは変動する。
プラズマ処理システムでは負荷インピーダンスの変動によってプラズマ処理装置に供給される電力が変動するため、プラズマ処理システムに用いられる高周波電源では、進行波電力Pf(高周波電源とプラズマ処理装置との間の伝送線路をプラズマ処理装置に向かって流れる電力)を一定に制御する出力制御(以下、「進行波電力一定制御」という。)若しくは進行波電力Pfと反射波電力Pr(高周波電源とプラズマ処理装置との間の伝送線路を高周波電源に向かって流れる電力)の差の電力PL=(Pf−Pr)(プラズマ処理装置に供給される電力。以下、「負荷供給電力PL」という。)を一定に制御する出力制御(以下、「負荷供給電力一定制御」という。)が行われている。
進行波電力一定制御は、所定の周期で、進行波電力Pfを検出し、その進行波電力Pfと予め設定された高周波電源の出力電力の制御目標値Pset(以下、「目標出力電力Pset」という。)の差の電力ΔPf=Pset−Pfに基づいて出力電力の制御操作量CPを生成し、その制御操作量CPを高周波電源内の高周波生成部にフィードバックして当該高周波生成部で発生する高周波電力Pfを制御目標値Psetに一致させる制御である。
また、負荷供給電力一定制御は、所定の周期で、進行波電力Pfと反射波電力Prを検出し、両検出値から負荷供給電力PL=(Pf−Pr)を求めた後、その負荷供給電力PLと予め設定された制御目標値PLset(以下、「目標負荷電力PLset」という。)と差の電力ΔPL=PLset−PLに基づいて出力電力の制御操作量CPを生成し、その制御操作量CPを高周波電源内の高周波生成部にフィードバックする制御である。この制御では、負荷供給電力PLが目標負荷電力PLsetとなるように、高周波電源内の高周波生成部で発生する高周波電力が制御される。
特許第5090986号
近年は、半導体プロセスルールの微細化に伴ってプラズマ処理装置のチャンバー内のガス圧を減少させる傾向にある。ガス圧を低下させると、プラズマのイオン密度が低下することによりプラズマの連続発生を不安定にするので、ガス圧を減少させたプラズマ処理システムでは、プラズマ処理中のプラズマの状態が従来以上に変動し易くなっている。近年のガス圧を減少させたプラズマ処理システムでは、フィードバック制御による進行波電力一定制御のフィードバック周期よりも短い時間で負荷の状態(すなわち、負荷インピーダンスや反射係数などの負荷の電気特性)が急変する現象が生じ易くなっている。
負荷の電気特性が出力電力のフィードバック制御の制御周期よりも短い時間で急変した場合、フィードバック制御のゲイン(差の電力ΔPf又はΔPLに基づいて制御操作量CPを生成する際の電力ΔPf又はΔPLに乗算される係数)が高い状態と低い状態を交互に繰り返し、フィードバック制御が自己発振した状態(制御操作量CPが大きい値と小さい値の間を振動する状態)となって高周波電源の出力電力を目標とする電力値に整定することができないという問題が生じる。
図6は、負荷がフィードバック制御の制御周期よりも短時間で急変した場合に生じるフィードバック制御の自己発振状態をモニタした波形図である。図6は、図7に示すプラズマ処理システムAにおいて、高周波電源1の出力端における進行波電力Pfと反射波電力Prの検出値と、高周波電源1の出力端における反射係数Γの大きさ|Γ|と位相角φの検出値と、RF電力制御部15からDC−DC変換部12に出力される制御操作量CPをモニタしたものである。
高周波電源1は、DC−DC変換部12から出力される直流電圧Vdcを駆動電圧とするスイッチング・アンプで構成されたDC−RF変換部13でRF電力制御部15から入力される高周波信号v’を増幅してプラズマ処理装置3に出力する電源である。高周波電源1は、RF電力制御部15からDC−DC変換部12にフィードバックする制御操作量CPで直流電圧Vdcを制御してDC−RF変換部13の出力電力(進行波電力)Pfを制御する構成である。
なお、AC−DC変換部11は商用電源電圧vacから直流電圧Vccを生成し、その直流電圧Vccを駆動電圧としてDC−DC変換部12に供給する。高周波検出部14は、高周波電源1の出力端における進行波電圧vfと反射波電圧vrを検出するブロックである。高周波検出部14は、例えば、方向性結合器により高周波電源1の出力端における進行波電圧vfと反射波電圧vrを検出する。図6の進行波電力Pf、反射波電力Prは、高周波検出部14で検出された進行波電圧vfと反射波電圧vrを電力値に変換したものである。反射係数Γの大きさと位相は、高周波検出部14で検出された進行波電圧vfと反射波電圧vrを反射係数Γ=|Γ|・exp(j・φ)に変換した際の大きさ|Γ|と位相φである。
図6は、RF電力制御部15に目標出力電力Psetとして100[W]が設定され、RF電力制御部15からDC−DC変換部12に入力される制御操作量CPをマイクロ秒のオーダーの周期で更新して進行波電力Pfを100[W]に整定させるフィードバック制御をした場合に、負荷状態がその制御速度よりも高速で大きく変化したときの各部の波形をモニタしたものである。
図6(a)に示す進行波電力Pfは、凡そ4msecの周期で大きく飛び跳ねているが、飛び跳ね点Qが周期的に発生する現象がフィードバック制御の自己発振状態を示している。進行波電力Pfの飛び跳ねが終了した時点(図6(a)のtsの時点を参照)から次の飛び跳ね点Q(図6(a)のtqの時点を参照)までの間は、進行波電力Pfは、凡そ65[W]から100[W]に漸増しているが、この期間は、負荷状態が緩やかに変化しており(図6(d),(e)の反射係数Γの変化の状態を参照)、この負荷状態の変化に対して制御操作量CPが安定して適切に更新されている(図6(c)の制御操作量CPの変化の状態を参照)。
しかし、tqの時点で負荷状態の急変現象が発生すると(反射係数Γが凡そ0.83・exp(j・250°)から0.1・exp(j・0°)に急変)、この負荷状態の急変により進行波電力Pfが急変し(図6(a)では300[W]に急上昇)、その進行波電力Pfに基づいて更新される制御操作量CPも急変する。図6(c)では制御操作量CPが「Nb」から「Na」に急激に減少しているが、これは進行波電力Pfの検出値の急変によりフィードバック制御のゲインを急激に減少させて負荷状態の変動速度に追随しようとしていることを示している。
従って、負荷状態の急変速度がフィードバック制御の速度よりも大きい場合は、制御操作量CPの更新量(フィードバック制御のゲイン)が大きく変動し、自己発振状態となってフィードバック制御が不安定となる。
フィードバック制御の自己発振の発生を抑制する方法として、高周波電源1とインピーダンス自動整合器2を接続する同軸ケーブル4の長さを調整する等して高周波電源1の出力端から負荷側を見たインピーダンスの変動量を小さくすることが考えられる。
しかし、この方法は、同軸ケーブル4の長さを適切な値に設定することが難しく、ケーブル長が必要以上に長くなる場合は同軸ケーブル4の配設スペースやコスト等で不利となる面が大きいという問題がある。
他の方法として、フィードバック制御の制御速度を遅くして負荷状態の急変に敏感に応答しないようする方法や逆にフィードバック制御の制御速度を負荷状態の急変速度よりも速くして応答精度を高くする方法が考えられる。
しかし、制御速度を遅くする方法は、対策に要するコストや労力の負担が少なく、負荷状態が急変した場合のフィードバック制御の自己発振の抑制には有効である反面、負荷状態の変動が比較的緩やかな場合は、整定時間が長くなり、進行波電力一定制御の制御精度が低下するという不都合がある。一方、制御速度を高速にする方法は、現在のフィードバック制御の制御速度をかなり高くする必要があり、発振状態の発生を防止するための対策に要するコストや労力の負担が大きいという不都合がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、フィードバック制御の制御速度を従来よりも高速にすることなく、負荷状態が急変した場合のフィードバック制御の自己発振を抑制することができる高周波電源を提供することを目的とする。
本発明で提供される高周波電源は、高周波電力を発生し、負荷に出力する電力発生手段と、所定の周期で、前記電力発生手段の出力端における高周波電力を検出する電力検出手段と、前記電力検出手段で検出される前記高周波電力と予め設定された目標電力とに基づいて、前記高周波電力を前記目標電力に一致させる制御信号を生成する制御信号生成手段と、前記制御信号生成手段で生成された制御信号に基づいて、前記電力発生手段が発生する前記高周波電力の発生量を制御する制御手段と、を備えた高周波電源において、前記負荷の電気的特性の変化率を検出する負荷特性変化率検出手段と、前記電力検出手段で検出される前記高周波電力の変化率を検出する電力変化率検出手段と、前記負荷特性変化率検出手段と前記電力変化率検出手段で検出される2つの変化率に基づいて、前記操作信号生成手段で生成される制御信号を補正する補正手段と、を備え、前記補正手段は、前記負荷の電気的特性の変化率と前記高周波電力の変化率の大きさが増大するのに応じて前記制御信号の前回の制御信号に対する変化量を低下させるように補正する、ことを特徴とする(請求項1)。
上記の高周波電源において、前記電力検出手段は、前記高周波電力発生手段から前記負荷側に進行する進行波電力を検出し、前記制御信号生成手段は、前記進行波電力を前記目標電力に一致させる制御信号を生成するとよい(請求項2)。
上記の高周波電源において、前記電力検出手段は、前記高周波電力発生手段から前記負荷側に進行する進行波電力と前記負荷から前記高周波電力発生手段側に進行する反射波電力を検出し、前記制御信号生成手段は、前記進行波電力から前記反射波電力を差し引いた前記負荷への供給電電力を前記目標電力に一致させる制御信号を生成するとよい(請求項3)。
上記の高周波電源において、前記電力検出手段は、前記高周波電力発生手段から前記負荷側に進行する進行波電力と前記負荷から前記高周波電力発生手段側に進行する反射波電力を検出し、前記制御信号生成手段は、前記進行波電力を前記目標電力に一致させる制御信号を生成するとよい(請求項3)。
上記の高周波電源において、前記負荷の電気的特性は、前記高周波電源の出力端における反射係数であり、前記補正手段は、
K=||dΓ/dt|×|dPf/dt|×A−B|…(X)
但し、dΓ/dt:反射係数Γの1周期当たりの変化量
dPf/dt:進行波電力Pfの1周期当たりの変化量
A:係数(0<A<1) B:閾値
の演算式(X)により係数K(0≦K≦1)を算出し、
d=Sd’−K×ΔSd’…(Y)
但し、Sd’:今回制御信号生成手段で生成された制御信号
ΔSd’:前回制御手段に出力された制御信号Sdに対する制御信号Sd’の変更量
の演算式(Y)により前記制御信号Sd’を補正した制御信号Sdを生成して前記制御手段にフィードバックするとよい(請求項4)。
上記の高周波電源において、前記電力発生手段は、直流電力を前記高周波電力に変換するスイッチング・アンプで構成され、前記制御手段は、前記電力発生手段に前記直流電力を供給するDC−DCコンバータで構成され、前記制御手段にフィードバックされる前記補正手段で補正された前記制御信号は、前記DC−DCコンバータの出力電圧を制御する信号であるとよい(請求項5)。
上記の高周波電源において、前記負荷は、前記高周波発生手段から供給される高周波電力によってプラズマを発生させ、そのプラズマを用いた所定の処理を行うプラズマ処理手段であるとよい(請求項6)。
本発明に係る高周波電源では、所定の周期で、高周波電力を検出し、その高周波電力と目標電力とに基づいて、高周波電力を目標電力に一致させる制御信号を生成し、その制御信号を制御手段にフィードバックして電力発生手段で発生される高周波電力が制御される。
本発明によれば、上記のフィードバック制御において、負荷の電気的特性の変化率(例えば、フィードバック制御の1周期当たりの負荷の反射係数の変動量)と検出される高周波電力の変化率(例えば、フィードバック制御の1周期当たりの高周波電力の変動量))を検出し、両検出値に基づいて制御信号を補正する。この補正は、負荷の電気的特性の変化率が大きくなるほど若しくは高周波電力の変化率が大きくなるほど、前回の制御信号に対する今回の制御信号の変更量を低下させるような補正である。この補正により、負荷の電気的特性の変化率若しくは進行波電力の変化率が大きい場合は、制御手段にフィードバックされる制御信号の大きさが抑制される。
負荷の電気的特性の変化率若しくは進行波電力の変化率が大きい場合は、負荷状態がフィードバック制御速度よりも高速で急変する場合と考えられるので、負荷状態が高速で急変する場合は、制御手段にフィードバックする制御信号の大きさを抑制することにより、電力発生手段が発生する高周波電力が自己発振状態になることを好適に防止することができる。
本発明に係る高周波電源の内部構成を示すブロック図である。 DC−RF変換部の回路例を示す図である。 RF電力制御部における制御操作量のフィードバック制御系を示すブロック図である。 RF電力制御部における出力制御の制御手順を示すフローチャートである。 RF電力制御部における制御操作量のフィードバック制御系の変形例を示すブロック図である。 負荷状態がフィードバック制御の制御周期よりも短い時間に大きく変化した場合に生じるフィードバック制御の自己発振状態を示す波形図である。 図6に示す波形をモニタしたプラズマ処理システムの高周波電源の構成を示すブロック図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。特に、プラズマ処理システムに適用される高周波電源を例に説明する。
図1は、本発明に係る高周波電源の内部構成を示すブロック図である。図1に示す高周波電源のブロック構成は、基本的に図7に示した高周波電源のブロック構成と同一であるので、同一機能を果たすブロックには同一の符号を付している。
高周波電源1は、高周波信号を生成し、その高周波信号をD級アンプからなるスイッチング・アンプで増幅して出力するスイッチング電源で構成される。高周波電源1は、AC−DC変換部11、DC−DC変換部12、DC−RF変換部13、高周波検出部14及びRF電力制御部15を含む。
AC−DC変換部11は、商用電源からDC−DC変換部12への入力電圧(直流電圧Vcc)を生成する。AC−DC変換部11は、例えば、4個の半導体整流素子をブリッジ接続した整流回路で商用電源から入力される商用電圧(例えば、AC200[V])を全波整流し、整流後のレベルを平滑回路で平滑化して直流電圧Vccを生成する周知の電源回路で構成される。
DC−DC変換部12は、AC−DC変換部11から入力される直流電圧Vccを任意の電圧値の直流電圧Vdcに変換してDC−RF変換部13に入力する。DC−RF変換部13から出力される高周波電力Pf(正確には、DC−RF変換部13からプラズマ処理装置3側に進行する電力。以下、「進行波電力Pf」という。)はDC−DC変換部12から出力される直流電圧Vdc(以下、「出力電圧Vdc」という。)の2乗に比例するので、RF電力制御部15は、DC−DC変換部12の出力電圧Vdcを制御することによりDC−RF変換部13の出力電力Pfを制御する。本実施形態では、RF電力制御部15は、進行波電力一定制御法によってDC−RF変換部13の出力電力Pfを制御する。
進行波電力一定制御法は、DC−RF変換部13の進行波電力Pfを出力電力設定部15Dで設定される目標出力電力Psetに一致させる制御法である。目標出力電力Psetは、作業者による入力操作や予め設定されたプログラムによって出力電力設定部15Dに設定されている。高周波電源1の出力ポートには、高周波電源1からプラズマ処理装置3に向かう進行波電力と、プラズマ処理装置3で反射されて高周波電源1に戻ってくる反射波電力が存在する。DC−RF変換部13の進行波電力Pfは、高周波電源1の出力ポートにおける進行波電力に相当する。
DC−DC変換部12は、例えば、4個の半導体スイッチ素子をブリッジ接続したフル・ブリッジ回路からなるインバータに整流・平滑回路を組み合わせた周知のDC−DCコンバータで構成される。DC−DC変換部12の出力電圧Vdcは、4個の半導体スイッチ素子のオン・オフ動作をRF電力制御部15から入力される制御信号Sdで制御することによって制御される。制御信号Sdは、DC−DC変換部12内の4個の半導体スイッチ素子に対する操作量(オン・オフの時間の操作量)を制御する信号である。
DC−RF変換部13は、DC−DC変換部12から入力される直流電力Pdcを予め設定された周波数fの高周波電力Pfに変換して出力する。進行波電力Pfの周波数f(基本波周波数)は、2.0MHz、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHzなどのプラズマ処理用に規定された周波数である。
DC−RF変換部13は、例えば、図2に示すハーフ・ブリッジ型のスイッチング・アンプで構成される。同図に示すスイッチング・アンプは、一対の電源端子b,b’の間に2つの同一タイプの半導体スイッチ素子QBの直列回路を接続したスイッチング回路と、そのスイッチング回路に駆動信号を入力するドライブ回路と、そのスイッチング回路から出力される高周波信号を外部に出力する出力回路とで構成される。
ドライブ回路は、一次巻線に互いに逆方向に巻かれた2つの二次巻線を結合したトランスTで構成される。トランスTの一次巻線には、RF電力制御部15から出力される高周波信号v(電圧信号)が入力され、トランスTの一方の二次巻線(図3では上側の巻線)から高周波信号vと同相の高周波信号v’が出力され、トランスTの他方の二次巻線(図3では下側の巻線)から高周波信号vと逆相の高周波信号−v’が出力される。高周波信号vのパルス出力は、高周波信号vをパルス変調制御信号PSのハイレベル期間に出力させたものである。
出力回路は、キャパシタC1とインダクタが直列接続された共振回路と、インダクタとキャパシタC2がL型接続されたインピーダンス変換回路とを接続したフィルタ回路131で構成される。図3のインダクタLは、共振回路のインダクタとインピーダンス変換回路のインダクタを合成したものである。フィルタ回路131は、スイッチング回路からパルス出力される高周波信号から直流成分と不要な高周波成分(ノイズ成分)を除去する。フィルタ回路131からパルス出力されるた高周波信号v”が負荷に出力される。
一対の半導体スイッチ素子QBにはNチャネル型のMOSFETが用いられるが、バイポーラトランジスタ等の他の種類のトランジスタを用いることができる。また、一対の半導体スイッチ素子QBをNチャネル型とPチャネル型を組み合わせたコンプリメンタリ型にしてもよい。この場合は、トランスTの二次巻線は一つでよく、高周波電圧v’をそれぞれNチャネル型のMOSFETとPチャネル型のMOSFETのゲートに入力してもよい。
本実施形態では、DC−RF変換部13をハーフ・ブリッジ型のスイッチング・アンプで構成しているが、フル・ブリッジ型やプッシュ・プル型のスイッチング・アンプで構成してもよい。
高周波信号v(電圧信号。以下、必要に応じて「高周波電圧」と表記する。)をv=V・sin(2πf・t+φ)(f:基本周波数、φ:初期位相)とすると、トランスTの一方の二次巻線から同相の高周波電圧v’=V’・sin(2πf・t+φ)が出力され、トランスTの他方の二次巻線から逆相の高周波電圧−v’=−V’・sin(2πf・t+φ)が出力される。同相の高周波電圧v’は、一方の半導体スイッチ素子QB(図2では上側の半導体スイッチ素子QB)に入力され、逆相の他方の高周波電圧−v’は、他方の半導体スイッチ素子QB(図2では下側の半導体スイッチ素子QB)に入力される。2つの半導体スイッチ素子QBは、Nチャネル型MOSFETであるから、一方の半導体スイッチ素子QBは、高周波電圧v’のハイレベル期間にオン動作をし、他方の半導体スイッチ素子QBは、高周波電圧−v’のハイレベル期間にオン動作をする。従って、2つの半導体スイッチ素子QBは、高周波電圧v’の半周期毎に交互にオン・オフ動作を繰り返す。
2つの半導体スイッチ素子QBが交互にオン・オフ動作を繰り返すことによって接続点nの電圧vnはv’>0の期間に「Vdc」となり、v’≦0の期間に接地レベルとなるように矩形波状に変化し、その矩形波出力がフィルタ回路131で直流分とスイッチングノイズが除去されて出力端子c,c’から高周波電圧vf=V’・sin(2πf・t+φ)が出力される。この高周波電圧vfは正弦波の高周波電圧vを増幅した電圧である。
高周波検出部14は、高周波電源1の出力ポートを流れる高周波電圧を進行波電圧vfと反射波電圧vrに分離して検出する。DC−RF変換部13から出力される出力電圧vfは、その進行波電圧vfに相当する。高周波検出部14は、例えば、DC−RF変換部13で生成される高周波電力Pfの基本周波数fを中心周波数とした所定の周波数帯域を有する方向性結合器で構成される。高周波検出部14で検出された進行波電圧(出力電圧)vfと反射波電圧vrは、RF電力制御部15に入力される。
RF電力制御部15は、フィードバック制御により上述した進行波電力一定制御法で高周波電源1の進行波電力Pfを制御する。RF電力制御部15は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータやFPGA(field-programmable gate array)等の演算デバイスで構成される。
RF電力制御部15には、上記の進行波電力Pfの制御を行う処理ブロックとして、高周波条件設定部15A、高周波電圧生成部15B、高周波電力変換部15C、出力電力設定部15D及びDC電圧制御部15Eを含む。高周波条件設定部15A及び高周波電圧生成部15Bは、DC−RF変換部13に対する高周波電圧vを生成する機能を果たす。高周波電力変換部15C、出力電力設定部15D及びDC電圧制御部15Eは、DC−DC変換部12に対する制御信号Sdを生成する機能を果たす。
高周波条件設定部15Aは、作業者による入力操作や予め設定されたプログラムによって設定される高周波電圧vの周波数f、初期位相φ等のパラメータを高周波電圧生成部15Bに設定する。高周波電圧生成部15Bは、高周波条設定部15Aから入力される周波数f及び初期位相φに基づいて、例えば、ダイレクト・ディジタル・シンセサイザーによりA・sin(2πf・t+φ)(A:規定の振幅)で表わされる正弦波の高周波電圧vを生成する。この高周波電圧vは、DC−RF変換部13(図2のトランスTの一次巻線)に入力される。
高周波電力変換部15Cは、高周波検出部14から出力される進行波電圧vfと反射波電圧vrをそれぞれ進行波電力Pfと反射波電力Prに変換する。高周波検出部14を構成する方向性結合器の特性インピーダンスZoを50[Ω]とすると、高周波電力変換部15Cは、進行波電圧vfの実効値Vfrms=Vfm/√(2)(Vfm:進行波電圧vfのピーク値)を求め、Vfrms 2/50を演算することにより進行波電力Pfを算出する。反射波電力Prも同様で、反射波電圧vrの実効値Vrrms=Vrm/√(2)(Vrm:反射波電圧vrのピーク値)を求め、Vrrms 2/50を演算することにより反射波電力Prを算出する。検出された進行波電圧vf、反射波電圧vrと算出された進行波電力Pf、反射波電力Prは、DC電圧制御部15Eに入力される。
出力電力設定部15Dは、作業者による入力操作や予め設定されたプログラムによって設定される目標出力電力PsetをDC電圧制御部15Eに設定する。
DC電圧制御部15Eは、所定の周期τで、出力電力設定部15Dによって設定された目標出力電力Psetを高周波電力変換部15Cから入力される進行波電力Pfから減算して差電力ΔPset=Pf−Psetを算出し、その差電力ΔPsetに基づいて所定の演算を行って制御信号Sd’を生成する。従来は、その制御信号Sd’をDC−DC変換部12に入力していたが、急峻な負荷状態の変動が発生し、周期τの間に進行波電力Pfが大きく変動した場合(以下、この場合を「負荷状態が急変した場合」という。)でも制御信号Sd’をDC−DC変換部12にフィードバックすると、その制御信号Sd’が急変した負荷状態に対して不適切となり、図6(a)に示したようにDC−RF変換部13の進行波電力Pfの自己発振を招くことになる。
本実施形態に係るDC電圧制御部15Eでは、DC−RF変換部13の進行波電力Pfの自己発振を抑制するため、上記の制御信号Sd’を所定の演算式で補正し、補正後の制御信号SdをDC−DC変換部12に入力するようにしている。本発明に係る高周波電源1は、DC−DC変換部12にフィードバックする制御信号Sdの生成方法に特徴を有する。以下では、制御信号Sdの生成方法について説明する。
周期τ毎に生成される制御信号Sd’,SdをSd’[k],Sd[k](kは、サンプリング番号)と表記すると、本実施形態に係るDC電圧制御部15Eでは、
d[k]=Sd’[k]−K×(Sd’[k]−Sd[k-1])…(1)
但し、Kは、0≦K≦1の係数
の演算式により制御信号Sd’[k]を補正した制御信号Sd[k]の生成処理が行われる。
(1)式の係数Kは、急峻な負荷状態の変動に基づき制御信号Sd’が不適切となり、検出した進行波電力Pfが大きく変動する場合はその変動量が大きくなるのに応じて値が「1」に近づくように設定され、負荷状態が急変していない場合は「0」に固定される可変の係数である。(1)式の(Sd’[k]−Sd[k-1])は、前回DC−DC変換部12に出力された制御信号Sd[k]と今回生成された制御信号Sd’[k]との差分で、今回検出された進行波電力Pfに基づく制御信号Sd’[k]の前回の制御信号Sd[k]に対する変更量に相当する値である。負荷状態が急変していない場合は、変更量ΔSd’[k]=(Sd’[k]−Sd[k-1])は小さいが、負荷状態の急変により今回検出された進行波電力Pfが前回検出時より大きく変化している場合はその変更量ΔSd’[k]=(Sd’[k]−Sd[k-1])は大きくなる。
(1)式は、「負荷状態が急変した場合」には、前回からの変更量ΔSd’[k]の一部(K×ΔSd’[k])を今回生成された制御信号Sd’[k]から差し引くことにより、DC−DC変換部12にフィードバックする制御信号Sd’[k]を抑制する補正式である。係数Kは、負荷状態の変動量が大きくなるほど「1」に近づくように変化するので、負荷状態が急変した場合の変動量が大きいときには前回DC−DC変換部12に出力された制御信号Sd[k-1]と同一若しくはそれに近い値の制御信号Sd[k]がDC−DC変換部12にフィードバックされることになる。この制御は、負荷状態が急変した場合にはその変動量に応じてDC−DC変換部12にフィードバックする制御信号Sd[k]の応答感度を低下させる効果と同様の効果を奏する。
係数Kを与える式は、任意に設定することができ、本実施形態では、一例として、
K=||dΓ/dt|×|dPf/dt|×A−B|…(2)
の演算式を設定している。
(2)式において、|dΓ/dt|は、高周波電源1の出力端における反射係数Γの変化率である。反射係数Γは負荷状態の変化に応じて変化するので、|dΓ/dt|は、その値が大きいほど負荷状態の変化が急峻であることを示す。一方、|dPf/dt|は、高周波検出部14及び高周波電力変換部15Cで検出される進行波電力Pfの変化率である。進行波電力Pfは、制御信号Sdによって変化するので、|dPf/dt|は、その値が大きいほど、制御信号Sdが大きく変化したことを示す。
また、(2)式における「A」は、係数Kを決定するための係数で、0<A<1の値である。この係数Aは、高周波電源1毎に予め設定される。(2)式における「B」は、負荷状態が急変しない場合は係数Kを「1」に固定するための閾値である。すなわち、閾値Bは、DC−DC変換部12にフィードバックされる制御信号Sdの大きさを制御信号Sd’よりも小さくする制御を開始させる負荷変動状態の閾値である。この閾値Bは、プラズマ処理装置3の負荷変動の状態に応じて予め設定される。
(2)式によれば、閾値Bを超えると,|dΓ/dt|、|dPf/dt|が大きくなるのに応じて、係数Kが増大する。図6の例に(2)式を適用した場合、負荷状態の急変が発生すると(tqの時点を参照)、|dΓ/dt|、|dPf/dt|が共に大きく変動するので、その時には係数Kが急増することになる。従って、(1)式及び(2)式によれば、負荷状態の急変が発生したときには、DC−DC変換部12にフィードバックされる制御信号Sd[k]は、前回の制御信号Sd’[k-1]と同一若しくはそれに近い値に抑制されることになる。
図3は、DC電圧制御部15E内の制御信号Sdを生成してDC−DC変換部12にフィードバックする制御系の構成を示す図である。同図は、DC電圧制御部15Eが行う上記の(1)式及び(2)式の演算処理を示す図である。
図3において、加算器151は、高周波検出部14及び高周波電力変換部15Cで検出された進行波電力Pf[k]から出力電力設定部15Dで設定された目標出力電力Psetを減算して差電力ΔPset[k](=Pf[k]−Pset)を算出する処理をする。PI補償回路152は、その差電力ΔPf[k]に基づいて所定の演算を行って制御信号Sd’[k]を生成する。
遅延回路153は、進行波電力Pf[k]が検出される毎にその進行波電力Pf[k]を1回分だけ遅延させる回路である。従って、遅延回路153は、前回検出された進行波電力Pf[k-1]を保存し、今回の処理でその進行波電力Pf[k-1]を加算器154に出力する。加算器154は、今回検出された進行波電力Pf[k]から前回検出された進行波電力Pf[k-1]を減算して電力変化量ΔPf[k]=Pf[k]−Pf[k-1]を算出する。電力変化量ΔPf[k]は、フィードバック周期τの間に進行波電力Pfが変化した量であるから、dPf/dt=ΔPf[k]/τより(2)式のdPf/dtに相当する量である。
遅延回路155は、制御信号Sd[k]がDC−DC変換部12に出力される毎にその制御信号Sd[k]を1回分だけ遅延させる回路である。従って、遅延回路155は、前回出力された制御信号Sd[k-1]を保存し、今回の処理でその制御信号Sd [k-1]を加算器156に出力する。加算器156は、今回生成された制御信号Sd’[k]から前回DC−DC変換部12に出力された制御信号Sd[k-1]を減算して(1)式の制御信号Sd’の変更量ΔSd’[k]=Sd’[k]−Sd[k-1]を算出する。
係数演算回路157は、(2)式の演算処理を行って係数Kを算出する回路である。係数演算回路157には、(2)式の係数Aと閾値Bが予め設定されている。また、係数演算回路157には、高周波検出部14で検出した進行波電圧vf[k]と反射波電圧vr[k]が入力され、加算器154から出力される電力変化量ΔPf[k]が入力される。
係数演算回路157は、進行波電圧vf[k]と反射波電圧vr[k]を用いて反射係数Γ[k]=vr[k]/vf[k]を演算し、一時保存する。係数演算回路157は、算出した反射係数Γ[k]から前回算出した反射係数Γ[k-1]を減算して反射係数Γの変化量ΔΓ[k](=Γ[k]−Γ[k-1])を算出する。反射係数Γの変化量ΔΓ[k]は、フィードバック周期τの間に反射係数Γが変化した量であるから、dΓ/dt=ΔΓ[k]/τより(2)式のdΓ/dtに相当する量である。
係数演算回路157は、算出した反射係数Γの変化量ΔΓ[k]と、入力された進行波電力Pfの変化量ΔPf[k]と、係数Aと、閾値Bを用いて(2)式を演算することにより係数Kを算出する。
乗算器158は、加算器156から出力される制御信号Sd’の変更量ΔSd’[k]と係数演算回路157から出力される係数Kの乗算を行う。加算器159は、PI補償回路152から出力される制御信号Sd’[k]から乗算器158の乗算結果(K×ΔSd’[k])を減算して制御信号Sd[k]を生成し、遅延回路155とDC−DC変換部12に出力する。
次に、図4のフローチャートを用いて、RF電力制御部15における出力電力の制御について説明する。
RF電力制御部15は、高周波電源1が高周波電力Pfの出力を開始すると、その出力を停止するまで所定のフィードバック周期τで図4の処理手順を繰り返す。
RF電力制御部15は、目標出力電力Psetを設定した後(S1)、高周波検出部14から出力される進行波電圧vfと反射波電圧vrを読み込む(S2)。RF電力制御部15は、今回読み込んだ進行波電圧vf[k](kは、今回のサンプリング番号。以下、同じ。)を進行波電力Pf[k]に変換するとともに、進行波電圧vf[k]と反射波電圧vr[k]を用いて反射係数Γ[k]を算出し、一時保存する(S3)。
続いて、RF電力制御部15は、今回算出した進行波電力Pf[k]から前回算出した進行波電力Pf[k-1]を減算して進行波電力Pfの変化量ΔPf[k]を算出するとともに、今回算出した反射係数Γ[k]から前回算出した反射係数Γ[k-1]を減算して反射係数Γの変化量ΔΓ[k]を算出する(S4)。
続いて、RF電力制御部15は、算出した進行波電力Pfの変化量ΔPf[k]と、反射係数Γの変化量ΔΓと、係数Aと、閾値Bを用いて(2)式を演算することにより、係数K[k]を算出する(S5)。続いて、RF電力制御部15は、算出した進行波電力Pfの変化量ΔPf[k]に基づいて所定の演算を行って制御信号Sd’[k](=G×ΔPf[k]、Gはフィードバックゲイン)を生成する(S6)。続いて、RF電力制御部15は、生成した制御信号Sd’[k]から前回DC−DC変換部12に出力した制御信号Sd[k-1]を減算して制御信号Sd’の変更量ΔSd’[k]を算出する(S7)。
続いて、RF電力制御部15は、算出した制御信号Sd’の変更量ΔSd’[k]と、係数Kと、制御信号Sd’[k]を用いて(1)式を演算することにより制御信号Sd[k]を生成し(S8)、その制御信号Sd[k]を一時保存するとともにDC−DC変換部12に出力して(S9)、ステップS1に戻る。
以上説明したように、本実施形態に係る高周波電源1によれば、所定の周期τ毎に、進行波電力Pfを検出し、その進行波電力Pfと目標出力電力Psetとの差電力ΔPsetに基づいて当該差電力ΔPsetをゼロにするように、DC−DC変換部12にフィードバックする制御信号Sd’を更新するが、周期τの間に負荷状態が急変したことによって更新した制御信号Sd’が不適切となり、次に検出される進行波電力Pfが目標出力電力Psetから大きくずれるような制御状態(進行波電力Pfが自己発振を起こす状態)になると、制御信号Sd’を(1)式及び(2)式によって補正し、DC−DC変換部12にフィードバックする制御信号Sdの前回からの変更量ΔSd’を小さくするようにしているので、進行波電力Pfが自己発振を起こす状態を抑制することができる。
上記実施形態では、進行波電力一定制御として、進行波電力Pfを目標出力電力Psetに一致させる制御の場合について説明したが、本発明を進行波電力Pfと反射波電力Prの差である負荷供給電力PLを目標出力電力Psetに一致させる制御の場合にも適用できることは言うまでもない。
この場合は、DC電圧制御部15のブロック図は、図5に示すように、図3に示したブロック図に対して加算器151の前段に加算器160を追加し、その加算器160で進行波電力Pfから反射波電力Prを減算して負荷供給電力PL[k]をする構成となる。
また、上記実施形態では、負荷状態の変化を検出するための負荷の電気的特性として、反射係数Γを用いたが、高周波電源1の出力端における反射波電圧vrや負荷のインピーダンス等の他の電気的特性を用いてもよい。
また、上記実施形態では、制御信号Sd’を補正して制御信号Sdを生成する方法として、(1)式及び(2)式による補正式を設定したが、その補正式は(1)式及び(2)式に限定されるものではない。
上記実施形態では、プラズマ処理システムAに適用される高周波電源1について説明したが、本発明は、この分野に限定されるものではなく、負荷状態がフィードバック制御の速度よりも高速で変化するような負荷に対して高周波電力を供給する高周波電源のフィードバック制御に広く適用することができる。
1 高周波電源
11 AC−DC変換部
12 DC−DC変換部(制御手段)
13 DC−RF変換部(電力発生手段)
131 フィルタ回路
14 高周波電圧検出部(電力検出手段の構成要素)
15 RF電力制御部
15A 高周波条件設定部
15B 高周波電圧生成部
15C 高周波電力変換部(電力検出手段の構成要素)
15D 出力電力設定部
15E DC電圧制御部(制御信号生成手段)
151,156,160 加算器
154 加算器(電力変化量検出手段)
152 PI補償回路
153,155 遅延回路
157 係数演算回路(負荷変化量検出手段)
158 乗算器(補正手段の構成要素)
159 加算器(補正手段の構成要素)
2 インピーダンス整合装置
3 プラズマ処理装置(負荷、プラズマ処理手段)
4 同軸ケーブル

Claims (6)

  1. 高周波電力を発生し、負荷に出力する電力発生手段と、
    所定の周期で、前記電力発生手段の出力端における高周波電力を検出する電力検出手段と、
    前記電力検出手段で検出される前記高周波電力と予め設定された目標電力とに基づいて、前記高周波電力を前記目標電力に一致させる制御信号を生成する制御信号生成手段と、
    前記制御信号生成手段で生成された制御信号に基づいて、前記電力発生手段が発生する前記高周波電力の発生量を制御する制御手段と、
    を備えた高周波電源において、
    前記負荷の電気的特性の変化率を検出する負荷特性変化率検出手段と、
    前記電力検出手段で検出される前記高周波電力の変化率を検出する電力変化率検出手段と、
    前記負荷特性変化率検出手段と前記電力変化率検出手段で検出される2つの変化率に基づいて、前記操作信号生成手段で生成される制御信号を補正する補正手段と、
    を備え、
    前記補正手段は、前記負荷の電気的特性の変化率と前記高周波電力の変化率の大きさが増大するのに応じて前記制御信号の前回の制御信号に対する変化量を低下させるように補正する、
    ことを特徴とする高周波電源。
  2. 前記電力検出手段は、前記高周波電力発生手段から前記負荷側に進行する進行波電力を検出し、
    前記制御信号生成手段は、前記進行波電力を前記目標電力に一致させる制御信号を生成する、請求項1に記載の高周波電源。
  3. 前記電力検出手段は、前記高周波電力発生手段から前記負荷側に進行する進行波電力と前記負荷から前記高周波電力発生手段側に進行する反射波電力を検出し、
    前記制御信号生成手段は、前記進行波電力から前記反射波電力を差し引いた前記負荷への供給電力を前記目標電力に一致させる制御信号を生成する、請求項1に記載の高周波電源。
  4. 前記負荷の電気的特性は、前記高周波電源の出力端における反射係数であり、
    前記補正手段は、
    K=||dΓ/dt|×|dPf/dt|×A−B|…(X)
    但し、dΓ/dt:反射係数Γの1周期当たりの変化量
    dPf/dt:進行波電力Pfの1周期当たりの変化量
    A:係数(0<A<1) B:閾値
    の演算式(X)により係数K(0≦K≦1)を算出し、
    d=Sd’−K×ΔSd’…(Y)
    但し、Sd’:今回制御信号生成手段で生成された制御信号
    ΔSd’:前回制御手段に出力された制御信号Sdに対する制御信号Sd’の変更量
    の演算式(Y)により前記制御信号Sd’を補正した制御信号Sdを生成して前記制御手段にフィードバックする、請求項3に記載の高周波電源。
  5. 前記電力発生手段は、直流電力を前記高周波電力に変換するスイッチング・アンプで構成され、
    前記制御手段は、前記電力発生手段に前記直流電力を供給するDC−DCコンバータで構成され、
    前記制御手段にフィードバックされる前記補正手段で補正された前記制御信号は、前記DC−DCコンバータの出力電圧を制御する信号である、請求項1乃至4のいずれかに記載の高周波電源。
  6. 前記負荷は、前記高周波発生手段から供給される高周波電力によってプラズマを発生させ、そのプラズマを用いた所定の処理を行うプラズマ処理手段である、請求項1乃至5のいずれかに記載の高周波電源。
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