JP5231068B2 - 高周波電源装置 - Google Patents
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Description
図6は、特許文献1に記載された従来技術の高周波電源装置6の構成図である。この高周波電源装置6は、直流電力出力部50および高周波電力出力部20によって構成されている。
高周波電力出力部20は、出力電力設定部21、高周波出力制御部22、高周波増幅部23、ローパスフィルタ24、方向性結合器25、進行波変換部26および反射波変換部27によって構成されている。
また、高周波増幅部23は、後述する高周波出力制御部22によって出力が制御される。高周波増幅部23において増幅された高周波電力は、主に高調波を除去するためのローパスフィルタ24、方向性結合器25を介して図略の負荷5に供給される。なお、高周波増幅部23の増幅素子としては、例えば、FETやトランジスタ等が用いられる。
また、ローパスフィルタ24の代わりにバンドパスフィルタを用いることがある。また、ローパスフィルタ24を省略することが可能な場合もある。したがって、ローパスフィルタ24は、必須の構成要件ではない。
図7は、高周波増幅部23の一例であるFETを用いたプッシュプル方式の増幅回路構成及び高周波増幅部23とローパスフィルタ24、方向性結合器25等との接続関係を示す図である。なお、出力電力設定部21、高周波出力制御部22等は、ここでは省略している。
第1トランスT1の1次巻線T11側に発振器から出力される発振信号Vin(交流電圧)が入力されると、第1トランスT1の2次巻線側では、一方巻線T12a及び他方巻線T12bにおいて互いに逆相の電圧が生じる。これらの電圧により、第1増幅素子Q1及び第2増幅素子Q2は、半周期ごとに交互にオン、オフし、これらオン、オフ動作が繰り返される。
図7では、一組の増幅回路により高周波増幅部23を構成するとしたが、図8に示すように、高周波増幅部23を複数の増幅回路により構成する場合もある。
方向性結合器25は、高周波増幅部23と負荷との間に挿入されて、高周波増幅部23から出力される進行波電力の情報を含む進行波側信号及び負荷で反射された反射波電力の情報を含む反射波側信号を出力するものである。
また、高周波出力制御部22は、検出した反射波のレベルに応じて高周波増幅部23の出力電力を抑制する制御(反射保護制御)を行う。
直流電力出力部50は、直流電圧演算部51、直流電源制御部52、直流電源部53および直流検出部54によって構成されている。
Ploss=Pdc−(Pf−Pr) ・・・・・(1)
Ploss=Pdc−Pf ・・・・・(2)
図9は、従来技術の高周波電源装置6を使用したときの直流電源電圧Vdcおよび増幅部の一部を構成する増幅素子の出力電圧Vds1を示す図であって、同図(a)は、高周波増幅部23から出力される高周波電力値が小レベルの場合、同図(b)は、高周波増幅部23から出力される高周波電力値が中レベルの場合、同図(c)は、高周波増幅部23から出力される高周波電力値が大レベルの場合の一例を示したものである。なお、図9では増幅素子の出力電圧Vds1の正の半波波形を直流電源電圧Vdcのラインから負側に折り返し、その折り返し波形が破線で示されている。
また、高周波増幅部23の一部を構成する増幅素子の出力は、通常、増幅素子の後段にあるトランスを介して出力されるため、高周波増幅部23の出力電圧としては、直流電源電圧Vdcの成分がなくなって、0Vを中心とした波形歪のない交流波形となる。
また、図10に示す等高線は、損失の大きさを示すものであり、等高線上の数値は、電力値(単位:W)である。図11に示す等高線は、出力できる進行波電力の最大値を示すものであり、等高線上の数値は、電力値(単位:W)である。すなわち、図10、図11は、負荷インピーダンスを反射係数の絶対値と位相とで表した図に、損失及び進行波電力の最大値の関係を図示したものである。
反射波が発生すると、伝送線路上で進行波と反射波が合成されて定在波が発生する。このとき、反射波が大きく、定在波のレベルの高い状態で高周波増幅部23に印加されると、高周波増幅部23内の増幅素子(例えば、FET、トランジスタ)の最大定格(電力、電圧、電流のいずれか)を超えて、増幅素子が破損する恐れがある。
そのため、高周波増幅部23内の増幅素子を保護するために、反射波が発生した場合には、高周波出力制御部22において、反射波のレベルに応じた出力制御を高速で行い、進行波と反射波との合成値を低減させて、結果的に、増幅素子の最大定格を超えないように制御している。すなわち、反射波のレベルに応じて、高周波増幅部23の出力電力を抑制する「反射保護制御」を行っている。
この「A」部分は、図10を参照すると、損失が多い(損失が大きい)領域である。そのため、「A」部分において電力が不足する原因は、高周波電源装置6の特性上やむを得ないという面もあるが、直流電圧設定値Vsetが適切でないからと考えられる。この場合、図9の関係を用いて説明すると、図10、図11の測定データを得たときの直流電圧設定値Vsetは、「A」部分では大きすぎるということになる。
換言すれば、直流電圧設定値Vsetが一定であるので、「A」部分では、高周波増幅部23の一部を構成する増幅素子の出力電圧Vds1の振幅が、損失の少ない領域よりも小さいことが考えられる。その結果、損失が大きくなり、ひいては、電力が不足することになると考えられる。そのため、このような領域では、直流電圧設定値Vsetを小さくして、損失を低減させる必要がある。
この「B」部分は、図10を参照すると、損失が少ない領域である。そのため、「B」部分において電力が不足する原因は、高周波電源装置6の特性上やむを得ないという面もあるが、直流電圧設定値Vsetが適切でないからと考えられる。
この場合、図9の関係を用いて説明すると、図10、図11の測定データを得たときの直流電圧設定値Vsetは、「B」部分では小さするということになる。
換言すれば、直流電圧設定値Vsetが一定であるので、「B」部分では、高周波増幅部23の一部を構成する増幅素子の出力電圧Vds1の(本来の)振幅が、損失の多い領域よりも大きいことになる。その結果、損失が少なくなっていると考えられる。
さらに詳述すると、直流電圧設定値Vsetを小さくしていくと、損失は小さくなっていく。ところが、増幅素子の出力電圧Vds1の振幅の略0.5倍よりも直流電圧設定値Vsetが小さくなると、増幅素子の出力電圧Vds1の波形が歪んでくる。そうなると、増幅素子の出力電圧Vds1の振幅が、本来の振幅よりも小さくなるので、所望の進行波電力が出力できない状態になってしまう。「B」部分では、このような状態になっていると考えられる。
直流電力を出力する直流電力出力部と、
前記直流電力出力部から出力される直流電力を用いて高周波信号を増幅し、進行波電力として出力する高周波増幅部と、
前記高周波増幅部と負荷との間に挿入されて、前記高周波増幅部から出力される進行波電力の情報を含む進行波側信号及び前記負荷で反射された反射波電力の情報を含む反射波側信号を出力する方向性結合器と、
前記進行波側信号を前記進行波電力の電力値を示す進行波電力信号に変換して出力する進行波変換部と、
前記進行波電力信号が示す電力値が、予め設定された出力電力設定値と等しくなるように、前記高周波増幅部の出力を制御する高周波出力制御部と、
を備え、
前記直流電力出力部が、
出力電圧値が可変可能であり、その出力電圧値を可変することによって出力する直流電力を調整できる直流電源部と、
前記直流電源部の出力電圧値を検出し、検出した出力電圧値に対応する直流電圧検出信号を出力する直流検出部と、
前記進行波側信号および前記反射波側信号に基づいて、反射係数の絶対値及び位相のうち、少なくとも位相を演算する反射係数演算部と、
反射係数を位相で分割した複数の分割領域において、所望の反射係数の絶対値内で、前記高周波増幅部から出力される進行波電力を所望の電力値まで出力できるように設定された前記直流電源部の目標電圧値が前記分割領域毎に記憶されており、前記反射係数演算部によって演算された反射係数に対応する前記分割領域に記憶されている目標電圧値に対応する目標電圧信号を出力する目標電圧設定部と、
前記直流電圧検出信号に対応する電圧値が、前記目標電圧信号に対応する目標電圧値に等しくなるように、前記直流電源部の出力電圧値を制御する直流電源制御部と、
によって構成されていることを特徴としている。
直流電力を出力する直流電力出力部と、
前記直流電力出力部から出力される直流電力を用いて高周波信号を増幅し、進行波電力として出力する高周波増幅部と、
前記高周波増幅部と負荷との間に挿入されて、前記高周波増幅部から出力される進行波電力の情報を含む進行波側信号及び前記負荷で反射された反射波電力の情報を含む反射波側信号を出力する方向性結合器と、
前記進行波側信号を前記進行波電力の電力値を示す進行波電力信号に変換して出力する進行波変換部と、
前記進行波電力信号が示す電力値が、予め設定された出力電力設定値と等しくなるように、前記高周波増幅部の出力を制御する高周波出力制御部と、
を備え、
前記直流電力出力部が、
出力電圧値が可変可能であり、その出力電圧値を可変することによって出力する直流電力を調整できる直流電源部と、
前記直流電源部の出力電圧値を検出し、検出した出力電圧値に対応する直流電圧検出信号を出力する直流検出部と、
前記進行波側信号および前記反射波側信号に基づいて、反射係数の絶対値及び位相のうち、少なくとも位相を演算する反射係数演算部と、
反射係数を絶対値及び位相で分割した複数の分割領域において、所望の反射係数の絶対値内で、前記高周波増幅部から出力される進行波電力を所望の電力値まで出力できるように設定された前記直流電源部の目標電圧値が前記分割領域毎に記憶されており、前記反射係数演算部によって演算された反射係数に対応する前記分割領域に記憶されている目標電圧値に対応する目標電圧信号を出力する目標電圧設定部と、
前記直流電圧検出信号に対応する電圧値が、前記目標電圧信号に対応する目標電圧値に等しくなるように、前記直流電源部の出力電圧値を制御する直流電源制御部と、
によって構成されていることを特徴としている。
高周波電力出力部20は、出力電力設定部21、高周波出力制御部22、高周波増幅部23、ローパスフィルタ24、方向性結合器25、進行波変換部26および反射波変換部27によって構成されている。この高周波電力出力部20は、図6に示した構成と同様であるので、説明を省略する。
直流電力出力部10は、目標電圧設定部11、直流電源制御部12、直流電源部13、直流検出部14および反射係数演算部15によって構成されている。
図3は、目標電圧設定部11に記憶されている反射係数と電圧値との対応関係の一例を示す図である。この図3において、同図(a)は、反射係数の領域を、反射係数の位相で表した図であり、同図(b)は、同図(a)に示された領域に対応した電圧値を記憶したテーブルを示す。
また、図3(a)は、円の中心点が、反射係数の絶対値|Γ|=「0」であり、円の外周部分が、反射係数の絶対値|Γ|=「1」となっている。そして、円の中心点から右方向に伸びる線上を0度として、図示するように、反射係数の位相が、0〜180度、0〜−180度で表される。そして、30度間隔で領域を定める補助線が描かれている
また、図4(a)は、円の中心点が、反射係数の絶対値|Γ|=「0」であり、円の外周部分が、反射係数の絶対値|Γ|=「1」となっている。そして、円の中心点から0.4までの領域において0.2間隔で円状に領域を定める補助線が描かれている。また、反射係数の位相は、円の中心点から右方向に伸びる線上を0度として、図示するように、0〜180度、0〜−180度で表される。そして、30度間隔で領域を定める補助線が描かれている。
なお、図4(b)に示した領域以外、すなわち、所望の進行波電力を出力させたい領域でない領域(例えば、反射係数の絶対値が0.4超)の目標電圧値Tdcは、例えば、従来技術と同様の方法によって定めればよい。または、同じ位相で、所望の進行波電力を出力させたい領域の外側付近と同じ目標電圧値Tdcを採用すればよい。例えば、反射係数の絶対値が0.6で、位相が40度の場合は、反射係数の絶対値が0.4で、位相が40度の場合と同じ目標電圧値Tdcを採用すればよい。この理由は、上述した図3で説明したように、目標電圧値Tdcを適切に設定する必要性が高い領域は、所望の進行波電力を出力させたい領域の外側付近だからである。
図5は、反射係数と電圧値との対応関係を定める場合の高周波電源装置1aの構成を示す図である。まず、この図5に示す高周波電源装置1aと図2に示した高周波電源装置1との違いを説明する。
(2)直流検出部14が、直流電源部13の出力電圧(直流電源電圧Vdc)を検出するだけでなく、直流電源部13から出力される直流電力Pdcを検出し、検出した直流電力に対応する直流電力信号Pdc(便宜上、直流電力Pdcと同一符号を用いる)を出力する機能が追加されている。
更に説明すると、この直流検出部14は、直流電源部13の出力電圧(直流電源電圧Vdc)を検出する電圧検出部14aと、直流電源部13の出力電流Idcを検出する電流検出部14bとを備え、両者の出力に基づいて直流電力Pdcを演算(Pdc=Vdc×Idc)できるようになっている。
(3)損失演算部16が追加されている。
損失演算部16は、直流電力信号Pdc、進行波電力信号Pfおよび反射波電力信号Prを用いて高周波増幅部23における損失Plossを演算し、演算した損失Plossに対応する損失演算信号Ploss(便宜上、損失Plossと同一符号を用いる)を出力する。なお、損失Plossは、上述した式(1)または式(2)のようにして求めることができる(通常は、式(1)を使用することが多い)。
(4)目標電圧設定部11の代わりに、任意の電圧値を直流電源制御部12に入力できるようになっている。また、直流電源制御部12は、直流電圧検出信号Vdcに対応する電圧値が、入力された電圧値に等しくなるように、直流電源部13の出力電圧値を制御するように機能する。
(5)反射係数演算部15の出力をモニタ31で表示でき、損失演算部16の出力をモニタ32で表示でき、進行波変換部26の出力Pfをモニタ33で表示できるようになっている。
このとき、損失が多く、且つ所望の進行波電力が出力されていない場合は、所望の進行波電力が出力されるまで、直流電源制御部12に入力する電圧値を下げる。そして、所望の進行波電力が出力されたときの電圧値を、その領域での目標電圧値とする。
また、損失が少ないにも関わらず、且つ所望の進行波電力が出力されていない場合は、所望の進行波電力が出力されるまで、直流電源制御部12に入力する電圧値を上げる。そして、所望の進行波電力が出力されたときの電圧値を、その領域での目標電圧値とする。
2 伝送線路
3 インピーダンス整合器
4 負荷接続部
5 負荷
10 直流電力出力部
11 目標電圧設定部
12 直流電源制御部
13 直流電源部
14 直流検出部
15 反射係数演算部
20 高周波電力出力部
21 出力電力設定部
22 高周波出力制御部
23 高周波増幅部
24 ローパスフィルタ
25 方向性結合器
26 進行波変換部
27 反射波変換部
Claims (2)
- 直流電力を出力する直流電力出力部と、
前記直流電力出力部から出力される直流電力を用いて高周波信号を増幅し、進行波電力として出力する高周波増幅部と、
前記高周波増幅部と負荷との間に挿入されて、前記高周波増幅部から出力される進行波電力の情報を含む進行波側信号及び前記負荷で反射された反射波電力の情報を含む反射波側信号を出力する方向性結合器と、
前記進行波側信号を前記進行波電力の電力値を示す進行波電力信号に変換して出力する進行波変換部と、
前記進行波電力信号が示す電力値が、予め設定された出力電力設定値と等しくなるように、前記高周波増幅部の出力を制御する高周波出力制御部と、
を備え、
前記直流電力出力部が、
出力電圧値が可変可能であり、その出力電圧値を可変することによって出力する直流電力を調整できる直流電源部と、
前記直流電源部の出力電圧値を検出し、検出した出力電圧値に対応する直流電圧検出信号を出力する直流検出部と、
前記進行波側信号および前記反射波側信号に基づいて、反射係数の絶対値及び位相のうち、少なくとも位相を演算する反射係数演算部と、
反射係数を位相で分割した複数の分割領域において、所望の反射係数の絶対値内で、前記高周波増幅部から出力される進行波電力を所望の電力値まで出力できるように設定された前記直流電源部の目標電圧値が前記分割領域毎に記憶されており、前記反射係数演算部によって演算された反射係数に対応する前記分割領域に記憶されている目標電圧値に対応する目標電圧信号を出力する目標電圧設定部と、
前記直流電圧検出信号に対応する電圧値が、前記目標電圧信号に対応する目標電圧値に等しくなるように、前記直流電源部の出力電圧値を制御する直流電源制御部と、
によって構成されていることを特徴とする高周波電源装置。 - 直流電力を出力する直流電力出力部と、
前記直流電力出力部から出力される直流電力を用いて高周波信号を増幅し、進行波電力として出力する高周波増幅部と、
前記高周波増幅部と負荷との間に挿入されて、前記高周波増幅部から出力される進行波電力の情報を含む進行波側信号及び前記負荷で反射された反射波電力の情報を含む反射波側信号を出力する方向性結合器と、
前記進行波側信号を前記進行波電力の電力値を示す進行波電力信号に変換して出力する進行波変換部と、
前記進行波電力信号が示す電力値が、予め設定された出力電力設定値と等しくなるように、前記高周波増幅部の出力を制御する高周波出力制御部と、
を備え、
前記直流電力出力部が、
出力電圧値が可変可能であり、その出力電圧値を可変することによって出力する直流電力を調整できる直流電源部と、
前記直流電源部の出力電圧値を検出し、検出した出力電圧値に対応する直流電圧検出信号を出力する直流検出部と、
前記進行波側信号および前記反射波側信号に基づいて、反射係数の絶対値及び位相のうち、少なくとも位相を演算する反射係数演算部と、
反射係数を絶対値及び位相で分割した複数の分割領域において、所望の反射係数の絶対値内で、前記高周波増幅部から出力される進行波電力を所望の電力値まで出力できるように設定された前記直流電源部の目標電圧値が前記分割領域毎に記憶されており、前記反射係数演算部によって演算された反射係数に対応する前記分割領域に記憶されている目標電圧値に対応する目標電圧信号を出力する目標電圧設定部と、
前記直流電圧検出信号に対応する電圧値が、前記目標電圧信号に対応する目標電圧値に等しくなるように、前記直流電源部の出力電圧値を制御する直流電源制御部と、
によって構成されていることを特徴とする高周波電源装置。
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