JP2016065020A - 化学架橋ペプチドの作製方法、その方法を用いて作製した化学架橋ペプチド及びそのペプチドを用いて構築したcDNAディスプレイ法によるペプチドライブラリ - Google Patents

化学架橋ペプチドの作製方法、その方法を用いて作製した化学架橋ペプチド及びそのペプチドを用いて構築したcDNAディスプレイ法によるペプチドライブラリ Download PDF

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Abstract

【課題】 還元条件下で安定した構造を有する化学架橋ペプチドの作製方法、その作製方法を用いて作製した化学架橋ペプチドを提供することを目的とする。
【解決手段】 所望の配列のDNAからの転写によってmRNAを調製し、前記mRNAを、ペプチド結合部位、固相結合部位及びmRNA結合部位を有するリンカーのmRNA結合部位にライゲーションさせてリンカーを作製し、前記リンカーを無細胞翻訳系で翻訳して、前記mRNAに対応するペプチドを前記リンカーのペプチド結合部位に結合した状態で合成し、前記ペプチド結合リンカーを固相に固定化し、前記固相に固定化されたリンカーに結合している前記ペプチド中のS−S結合を還元によって切断し、次いで、60〜80nm幅の架橋を形成する架橋形成用化合物と、前記還元された−SH基とを結合させて、ペプチドの分子内架橋を形成する、化学架橋ペプチドの作製方法を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、化学架橋ペプチドの作製方法、その方法を用いて作製した前記ペプチド、及びペプチドライブラリに関する。特に、還元条件下でも機能が失われない、化学架橋ペプチドの作製方法、その方法を使用して作製した化学架橋ペプチド、及び前記架橋ペプチドを用いて作製したcDNAディスプレイ法によるペプチドライブラリに関する。
種々の疾病を適切に診断し、効果的な治療を行うためには、疾病のマーカーとなるタンパク質その他の生体分子の検出が、非常に重要である。こうした生体分子の検出については、従来、検出対象である生体分子(以下、「標的分子」という。)と特異的に結合し得る抗体分子(以下、単に「抗体」ということがある。)を使用して、これら2つの分子間の相互作用に基づいて検出する方法が、広く用いられてきた。
ところで、従来、上記のような検査当業者で用いられてきた免疫グロブリンGをはじめとする抗体は、その構造から明らかな通り、分子量が大きく、かつ構造が複雑である。このため、化学合成をすることができず、特異的な修飾が難しいという問題点があった。さらに、熱安定性に乏しいという問題点もあった。
こうした欠点を補うものとして、ペプチド分子が注目されるようになった。こうしたペプチド分子は、上記の抗体と比較すると、分子量が小さいために、化学合成が可能であり、特異的修飾も行うことができる。さらに、抗体に比べて熱安定性も高いという利点がある。
ところで、天然に存在する分子内架橋を有するペプチドとしては、コノトキシンを挙げることができる。コノトキシンは、イモガイが作り出す多種類のペプチドの混合物によって作られている貝毒(神経毒)であり、3箇所のジスルフィド架橋を有している(非特許文献1参照)。
ペプチドの構造を安定化させることを目的としてペプチドの改良が進められ、分子内架橋を有するCys4-2又はCys2-6(分子内架橋を有する合成IL-6受容体(以下、「IL-6R」ということがある。)、IL-6Rは、炎症性サイトカインであるインターロイキン6の受容体である。)等が合成された(非特許文献2参照、以下、「従来技術1」という。)。こうした分子内架橋を有するペプチドは、分子内架橋を有していないペプチドと比較すると、構造が安定しているという利点がある。
PDB:1TTK <http://www.ebi.ac.uk/thornton-srv/databases/cgi-bin/pdbsum/GetPage.pl> Yamaguchi, et al., Nucleic Acid Research, 37, e108 (2009)
従来技術1は、ペプチド内にジスルフィド架橋と形成して構造を安定化させたという点では、優れた技術である。しかし、還元条件化での反応中でこうした分子内架橋ペプチドを使用すると、ジスルフィド架橋が切断されてしまうため、還元条件下では、こうしたジスルフィド架橋を有するペプチドを使用できないという問題点があった。そして、ジスルフィド架橋が切断されると、ペプチドの構造が不安定になるとともに、分子内架橋が維持されていれば、本来そのペプチドが発揮するはずであった機能を発揮することができなくなるという、非常に大きな問題点があった。
また、ペプチドを特異的に修飾するためには、種々の条件下において反応させる必要があるが、還元条件を使用することができない場合には非常に限定された修飾しかすることができないという問題も生じる。
このため、ペプチド分子中の分子内架橋を、還元条件下においても維持することについて、非常に強い社会的な要請がある。
こうした状況の下で、本発明の発明者らは、鋭意研究を重ねて本願発明を完成したものである。
すなわち、本発明の第1の態様は、(a)所望の配列のDNAから転写によってmRNAを調製するmRNA調製工程と;(b)前記(a)工程で得られたmRNAを、ペプチド結合部位、固相結合部位及びmRNA結合部位を有するリンカーのmRNA結合部位にライゲーションさせるリンカー調製工程と;(c)前記(b)工程で得られたリンカーを無細胞翻訳系で翻訳して、前記mRNAに対応するペプチドを前記リンカーのペプチド結合部位に結合した状態で合成するペプチド合成工程と;(d)前記(c)工程で得られた前記リンカーを、固相に固定化する固定化工程と;(e)前記(d)工程で固相に固定化されたリンカーに結合している前記ペプチド中のS−S結合を還元によって切断して−SH基とし、次いで、60nm〜80nm幅の架橋を形成する架橋形成用化合物と、前記還元された−SH基とを結合させて、ペプチドの分子内架橋を形成する化学架橋形成工程と;を備えることを特徴とする、化学架橋ペプチドの作製方法である。
ここで、前記ペプチド結合部位は、ピューロマイシン、AANS-アミノ酸、及びPANS-アミノ酸からなる群から選ばれるいずれかのもので構成されていることが好ましい。また、前記固相結合部位は、ストレプトアビジン、及びビオチンからなる群から選ばれるもので構成されているものであることが好ましい。さらに、前記架橋形成用化合物は、2価架橋剤であることが好ましく、ビスマレイミドエタン、1,6-ビスマレイミドヘキサン、1,4-ビスマレイミドブタン、1,4−ビスマレイミジル−2,3−ジヒドロキシブタン、1,8−ビス−マレイミドジエチレングリコール、及び1,11−ビス−マレイミドトリエチレングリコールその他のビスマレイミドエタンの類縁体からなる群から選ばれるものであることが好ましい。
本発明の第2の態様は、上記の化学架橋ペプチドの作製方法で作製された化学架橋ペプチドである。ここで、前記化学架橋ペプチドは、少なくとも1か所の架橋部位を有し、架橋後のペプチドの外径が60nm〜100nmであることが好ましい。
本発明の第3の態様は、上記の化学架橋ペプチドを用いて、これらのペプチドと相互作用をするタンパク質を精製する、相互作用タンパク質の精製方法である。
本発明の第4の態様は、上記の化学架橋ペプチドを用いて、これらのペプチドと相互作用をするタンパク質をスクリーニングする、相互作用タンパク質のスクリーニング方法である。
本発明の第5の態様は、上記の化学架橋ペプチドを含む、cDNAディスプレイ法によるペプチドライブラリである。
本発明の化学架橋ペプチドの作製方法によれば、還元条件下でも安定な架橋構造を有する化学架橋ペプチドを作製することができる方法を提供する。さらに、本発明の化学架橋ペプチドは、ジスルフィド架橋を形成しているペプチド(以下、「天然架橋ペプチド」という。)が、そのタンパク質と相互作用をするタンパク質(以下、「相互作用タンパク質」という。)に対して、天然架橋ペプチドと同等の相互作用をすることができる化学架橋ペプチドを提供することができる。さらに、本発明の化学架橋ペプチドを用いることにより、上記の相互作用タンパク質をスクリーニングすることができ、また、生成することができる。加えて、分子内架橋が形成されたペプチドのみで構成される、質の高いcDNAライブラリ法によるペプチドライブラリを提供することができる。
図1は、本発明で使用するピューロマイシンリンカーに、mRNAが連結されたmRNA-リンカー連結体を示す模式図である。 図2aは、所望の配列の化学架橋されたペプチドが結合したmRNA‐プルダウンリンカー−ペプチド結合体を結合させた、固相結合体を作製する手順(工程1〜8)を示す模式図である。 図2bは、図2aの工程7及び8の反応を拡大して示した模式図である。 図3は、化学架橋させた後に、未架橋のペプチドをどのようにして分離するかという手順(工程8〜11)及び産物を示す模式図である。 図3aは、化学架橋させた後の固相結合体の状態を示す模式図である。 図3bは、化学架橋後、還元・ビオチン化処理した後の産物を示す模式図である。 図3cは、次いで、得られた産物を酵素処理した後の状態を示す模式図である。 図3dは、次いで、得られた産物をニュートラアビジン処理した後の状態を示す模式図である。 図4は、還元処理が、化学架橋に与える影響を確認した実験結果である。(A)は、還元処理後の未架橋ペプチド及び架橋ペプチドに与える還元処理後のゲル電気泳動(SDS-PAGE)の結果を示す写真である。(B)は、上記(A)を定量化したときのグラフである。 図5は、IL-6Rと相互作用をするペプチド(Cys2-6)が固定された固相結合体、又は相互作用をしないペプチド(BDA、FLAG)が固定された固相結合体を用いたときの反応生成物と、SDS-PAGEの結果を模式的に示す図である。 図5aは、Cys2-6を用いたときの反応生成物と、最終的に得られるタンパク質がIL-6Rであることを模式的に示す図である。 図5bは、BDA又はFLAGを用いたときの反応生成物と、最終的に得られるタンパク質がIL-6Rではないことを模式的に示す図である。 図5cは、上記で得られた各産物のSDS-PAGEの結果を模式的に示す図である。 図6は、陽性対照(IL-6R)、陰性対照、架橋状態の異なるCys2-6ペプチド、BDA及びFLAGをSDS-PAGEに供したときの結果を示す写真である。
以下に、本発明を、図1〜6を参照しつつ、さらに詳細に説明する。
図2aに示すように、本発明は、(a)所望の配列のDNAから転写によってmRNAを調製するmRNA調製工程と;(b)前記(a)工程で得られたmRNAを、ペプチド結合部位、固相結合部位及びmRNA結合部位を有するリンカーのmRNA結合部位にライゲーションさせるリンカー調製工程と;(c)前記(b)工程で得られたリンカーを無細胞翻訳系で翻訳して、前記mRNAに対応するペプチドを前記リンカーのペプチド結合部位に結合した状態で合成するペプチド合成工程と;(d)前記(c)工程で得られた前記リンカーを、固相に固定化する固定化工程と;(e)前記(d)工程で固相に固定化されたリンカーに結合している前記ペプチド中のS−S結合を還元によって切断して−SH基とし、次いで、60nm〜80nm幅の架橋を形成する架橋形成用化合物と、前記還元された−SH基とを結合させて、ペプチドの分子内架橋を形成する化学架橋形成工程と;を備えることを特徴とする、化学架橋ペプチドの作製方法である。
(1)化学架橋ペプチド
本明細書中、「化学架橋ペプチド」とは、特定の物質と特異的に結合する核酸分子であり、タンパク質や細胞の機能を変化させるものをいう。ペプチドアプタマーが結合する「特定の物質」には、増殖因子、酵素、受容体、ウイルスタンパク質その他の種々のタンパク質、各種金属イオンなどが含まれる。ペプチドアプタマーは、核酸合成装置などで合成することもでき、cDNAディスプレイ法等で作成することもできる。cDNAディスプレイ法で作成する場合には、後述するmRNA/cDNA-タンパク質連結体作製用リンカーを使用する。
(2)ペプチドアプタマー生成用リンカーの作製
本明細書において、「リンカー」とは、cDNAディスプレイ法において用いられる、mRNA−リンカー連結体、mRNA−リンカー−タンパク質連結体、mRNA/cDNA−リンカー−タンパク質連結体(以下、この連結体を「IVV」ということがある)、及びcDNA−リンカー−タンパク質連結体からなる群から選ばれるいずれかの連結体を生成する際に使用するリンカーのことをいう(図1参照)。
前記リンカーは、(L1)固相との結合を形成する分子を有している固相結合部位と;(L2)前記固相結合部位を挟むように位置し、前記固相から切り離すための2以上の切断部位と;(L3)前記リンカーの5’末端側に位置し、RNAリガーゼが認識し得るmRNA連結部位と;(L4)前記リンカーの3’末端側近傍に位置する側鎖結合部位と;(L5)前記リンカーの3’末端側に位置し、前記リンカー上で逆転写が行われる場合に逆転写用のプライマーとして機能するプライマー領域と、を備える主鎖と;(L6)前記側鎖連結部位に連結される側鎖とを有する。
前記リンカーは、主としてDNAで構成されるが、デオキシイノシン、ビオチン修飾デオキシチミン、Fluorescein修飾デオキシチミン等のDNAアナログを含んでいてもよく、全体として、柔軟性と親水性とを有するように、設計することが好ましい。また、「固相合成」とは、ビーズ、反応容器の側壁、底面その他の固相表面に、本願発明のリンカーを直接的又は間接的に固定して行う合成反応をいう。
また、本明細書中において、「所定のmRNA」には、遺伝子をコードする配列、又は連結体形成もしくは翻訳反応促進に必要な配列、あるいはその他の配列等を有するmRNAが含まれるものとする。
前記固相との結合を形成する分子としては、例えば、固相にアビジン及びストレプトアビジン等が結合されている場合にはビオチン、マルトース結合タンパク質が結合されている場合にはマルトース、Gタンパク質が結合されている場合にはグアニンヌクレオチド、ポリヒスチジンペプチドが結合されている場合にはNi又はCo等の金属、グルタチオン−S−トランスフェラーゼが結合されている場合にはグルタチオン、配列特異的なDNA又はRNA結合タンパク質が結合されている場合にはこれらに特異的な配列を有するDNA又はRNA、抗体又はアプタマーが結合されている場合には抗原又はエピトープペプチド、カルモジュリンが結合されている場合にはカルモジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパク質が結合されている場合にはATP、エストラジオール受容体タンパク質が結合されている場合にはエストラジオール等を挙げることができる。これらの中でも、ビオチン、マルトース、Ni又はCo等の金属、グルタチオン、抗原分子又はエピトープペプチド等を使用することが好ましく、リンカー合成の容易さの面から、ビオチンが使用されることが多い。
前記固相結合部位は、上述したmRNA−リンカー−タンパク質連結体等の連結体を、リンカーを介して固相に結合させるための部位であり、少なくとも1〜10塩基で構成されている。前記固相結合部位には、例えば、ビオチン修飾デオキシチミジン(dT)が含まれていてもよい。
前記(L3)の前記mRNA連結部位は、少なくとも1〜10塩基で構成されている。前記mRNA連結領域は、あらかじめリン酸化されている必要はないが、所定のmRNAと連結されるためには、前記mRNAの3’末端とのライゲーション反応に先だって、又はライゲーション反応中に、キナーゼ等によりリン酸化される必要がある。
前記(L4)の前記リンカーの3’末端側近傍に位置する側鎖結合部位は、後述する側鎖が連結する部位である。また、例えば、リンカーの側鎖連結部位が、Amino-Modifier C6 dTで構成されている場合には、前記側鎖の5’末端を5’-Thiol-Modifier C6として、EMCSを用いて架橋させ、主鎖と側鎖とを連結させることができる。
前記(L5)のプライマー領域は、前記リンカーの3’末端側に位置し、前記リンカー上で逆転写が行われる場合に逆転写用のプライマーとして機能する領域であり、前記側鎖連結部位の3’末端側に隣接している。ここで、プライマー領域は、前記リンカー上で逆転写が行われる場合に逆転写用のプライマーとして機能する領域である。この領域は、約1塩基〜15塩基からなることが好ましく、特に3塩基〜5塩基からなることが好ましい。15塩基を越えると、リンカーとしての結合効率が悪くなるため、リンカーとの結合効率及びプライマーとしての反応効率という面から、上記の塩基数とすることが好ましい。
また、前記(L6)の前記側鎖連結部位に連結する側鎖は、主鎖と相補的なmRNAから合成されたタンパク質を連結するタンパク質連結部位と前記側鎖連結部位との間に、スペーサーと蛍光基とを有するものである。
ここで、前記側鎖のタンパク質連結部位としては、ヌクレオチド配列の3’末端とアミノ酸がアミド結合を形成しているピューロマイシン、リボシチジルピューロマイシン(rCpPur)、デオキシジルピューロマイシン(dCpPur)、デオキシウリジルピューロマイシン(dUpPur)等のピューロマイシン類縁体の他、3’-N-アミノアシルピューロマイシンアミノヌクレオシド(PANS-アミノ酸)、3’-N-アミノアシルアデノシンアミノヌクレオシド(AANS-アミノ酸)等を挙げることができる。
PANS-アミノ酸としては、例えば、PANS-Gly、PANS-Val、PANS-Ala等を挙げることができ、AANS-アミノ酸としては、AANS-Gly、AANS-Val、AANS-Ala等を挙げることができる。また、ヌクレオシドとアミノ酸とがエステル結合したものなども使用することができるが、ピューロマイシンを使用することが、前記タンパク質連結部位におけるタンパク質の連結の安定性が高いことから特に好ましい。
また、スペーサーとしては、柔軟性があり、立体障害性が低いことから、Spacer 18 Phosphoramiditeを使用することが好ましい。ピューロマイシン類縁体がリボソームに取り込まれるときの立体障害の発生を防ぐために、前記側鎖は、ホスホロアミダイト分子が1〜8個程度連なった構造を有することが好ましく、リンカーの合成効率及び上述した各連結体の形成効率とのバランスの点から、こうしたホスホロアミダイト分子が4個程度連なった構造を有するものであることがさらに好ましい。
前記側鎖が、前記タンパク質連結部位と、前記側鎖連結部位との間に蛍光基を有することで、後述するcDNAディスプレイ法の各工程において、リンカーの有無を容易に検出することが可能となる。蛍光基としては、例えば、活性エステルに変換可能なカルボキシル基、ホスホロアミダイドに変換可能な水酸基、又はアミノ基等のフリーの官能基を有し、標識された塩基としてリンカーに連結することができる蛍光化合物を使用することが好ましい。このような蛍光化合物としては、例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコビリタンパク質、希土類金属キレート、ダンシルクロライド、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、フルオレセイン-dT等を挙げることができる。これらの中でも、分子標識用の化合物として使用されるフルオレセイン-dTを使用することが、合成が容易であることから好ましい。
以下に、ペプチドアプタマー作製用のリンカーの製造方法について説明する。
まず、所望の配列となるように、常法に従ってDNAを合成し、主鎖として使用するための一本鎖のオリゴマーを作製する。このように合成した一本鎖オリゴマーは、上述したように、固相結合部位と、2以上の切断部位と、mRNA連結部位と、側鎖連結部位と、プライマー領域とを備えている。2以上の切断部位の大きさ及び主鎖中の位置によって、主鎖となる一本鎖オリゴマーの長さを適宜決定する。次いで、所望の長さの側鎖を合成し、主鎖上の側鎖連結部位に連結させる。側鎖の遊離末端に、例えば、ピューロマイシンを導入し、上述したFluorescein-dTを蛍光標識部位に導入して、本発明のmRNA/cDNA-タンパク質連結体作製用リンカーを得ることができる。
主鎖の設計に際しては、各種のmRNAのコード配列を参考にすることができる。例えば、配列が知られている各種のレセプタータンパク質をコードするmRNA、各種抗体又はその断片をコードするmRNAその他のmRNA等を挙げることができる。mRNAのコード配列から翻訳されて生成されたポリペプチド鎖のC末端に、ピューロマイシンやその類縁体といったアミノアシルtRNAの3’末端アナログが取り込まれ、前記ポリペプチド鎖とmRNA−リンカー連結体とが連結されるためには、終止コドンを含まない配列を選択する。こうしたmRNAは、in vitro転写反応、化学合成、生体・細胞・微生物からの抽出その他の各種の方法を用いて得ることができるが、in vitro転写反応を用いて作製すると、リンカーとの連結及び無細胞翻訳の反応効率が高い。
また、5’末端の7−メチル化グアノシンキャップ構造、又は3’末端のポリA尾部構造の少なくとも一方の構造を有するものであることが、タンパク質の合成効率の点から好ましい。Kozak配列や、Shine-Dalgarno配列を有することが、翻訳の開始を促進することから、さらに好ましい。ここで使用するmRNAの長さは、原則として本発明を利用して分子進化させるべきタンパク質又はポリペプチドの長さより規定されるコード領域の長さに依存する。50〜1,000塩基長であることが、反応効率の面からであることが好ましく、200〜500塩基であることが、最も高い反応効率を得られることから、さらに好ましい。
mRNA/cDNA−リンカー−タンパク質連結体の生成に際しては、まず、上述したmRNA/cDNA-タンパク質連結体作製用リンカーと、前記リンカーの主鎖と相補的な配列を有するmRNAをmRNA連結部位でT4 RNAリガーゼによって連結して、mRNA-リンカー連結体を生成させる。ついで、前記mRNAからタンパク質を無細胞翻訳系で合成し、前記合成されたタンパク質が、前記mRNA−リンカー連結体中の前記タンパク質連結部位に連結して、mRNA−リンカー−タンパク質連結体生成させる。
引き続き、前記mRNA−リンカー−タンパク質連結体を、前記固相結合部位を介して固相に結合させ、前記mRNA−リンカー−タンパク質連結体の結合した固相を第1の緩衝液にて洗浄する。その後、前記主鎖の3’末端を反応開始点とし、前記mRNAを鋳型として、逆転写反応を行ってcDNA鎖を合成し、mRNA/cDNA−リンカー−タンパク質連結体を得る。次いで、前記mRNA/cDNA−リンカー−タンパク質連結体の結合した固相を第2の緩衝液で洗浄し、前記主鎖の切断部位を前記所定のエンドリボヌクレアーゼで切断する。
ライゲーション反応は、反応効率の点から20μL〜40μLで行い、RNA:リンカーを、モル比で3:1〜1:6の範囲で行う。反応効率を上げ、残余を最少化するためには、1:(1〜2)(10pmolのmRNAに対し、10 pmol〜20pmolのリンカー)とするとよい。
次に、ヒートブロック、アルミブロック、ウォーターバスその他の加温用器具を用いて、約60℃〜100℃にて約2分〜約60分間、試料溶液を温めた後、室温で約2分〜約60分間放置し、液温を穏やかに低下させる。その後、さらに、約−5℃〜約10℃まで冷却する。具体的には、例えば、90℃で5分間アルミブロック上にて試料溶液を温め、次に、70℃のアルミブロック上に移して5分間置き、その後上記mRNAと上記リンカーとのライゲーション反応を行なう。例えば、約0.1U/μL〜約2.5U/μLのT4ポリヌクレオチドキナーゼ、約0.4U/μL〜約5U/μLのT4 RNAリガーゼ、約2mM〜約50mMの塩化マグネシウム、約2mM〜約50mMのDTT、約0.2mM〜約5mMのATPを含む10mM〜250mMのTris-塩酸緩衝液(pH 7.0〜8.0)中で行い、約10℃〜約40℃で、約1分〜約60分間反応させる。作業効率及び反応効率の面から、20℃〜30℃で5分〜30分間行うことが好ましく、25℃で15分間とすることがさらに好ましい。
前記無細胞翻訳系として哺乳類の網状赤血球細胞のライセートを利用することが好ましく、ウサギの血液から得られた網状赤血球細胞のライセートを利用することがさらに好ましい。また、前記哺乳動物に予めアセチルフェニルヒドラジンを投与して溶血性貧血等を誘導し、数日間経過した後に採血をすると、血中の網状赤血球の割合を高めることができる。例えば、前記ライセートとして、マイクロコッカルヌクレアーゼによって細胞由来のmRNAを分解し、グリコールエーテルジアミン四酢酸(EGTA)を加えてカルシウムをキレートし、前記ヌクレアーゼを不活化処理したもの(以下、「マイクロコッカルヌクレアーゼ処理済」という。)を使用する。
例えば、約16mM〜約400mMの酢酸カリウム、約0.1mM〜約2.5mMの酢酸マグネシウム、約0.2mM〜約50mMのクレアチンリン酸、0mM〜約0.25mMのアミノ酸を含む反応液(濃度はいずれも終濃度)10μL〜100μL中に、マイクロコッカルヌクレアーゼ処理済のウサギ網状赤血球ライセートと上記連結体とを加えて、翻訳反応を行うことができる。
反応効率の点から、ウサギ網状赤血球ライセートの量を約8.5μL〜約17μL、上記連結体の量を約1.2pmol〜約2pmolとし、反応系のサイズを約12.5μL〜約25μLとして、約20℃〜約40℃で約10分〜約30分間行う。この場合に使用する反応液は、約80mMの酢酸カリウム、約0.5mMの酢酸マグネシウム、約10mMのクレアチンリン酸、それぞれ約0.025mMのメチオニン及びロイシン、約0.05mMのメチオニン及びロイシン以外のアミノ酸を含む。約30℃で約20分間翻訳を行うと、生成効率と作業効率が高い。
翻訳反応後、翻訳産物であるタンパク質とmRNA−リンカー連結体とを、例えば、約0.3M〜約1.6Mの塩化カリウム及び約40mM〜約170mMの塩化マグネシウムの存在下(濃度はいずれも終濃度)、約27℃〜約47℃で、約30分〜約1.5時間反応させると、タンパク質を上記連結体と効率よく結合させることができる。
mRNA−リンカー−タンパク質連結体が固定される固相としては、例えば、スチレンビーズ、ガラスビーズ、アガロースビーズ、セファロースビーズ、磁性体ビーズ等のビーズ;ガラス基板、シリコン(石英)基板、プラスチック基板、金属基板(例えば、金箔基板)等の基板;ガラス容器、プラスチック容器等の容器;ニトロセルロース、ポリビニリデンフロリド(PVDF)等の材料からなるメンブレンなどが挙げられる。固相がスチレンビーズ、スチレン基板などのプラスチック材料で構成されている場合には、必要に応じて、公知の手法を用いてリンカーの一部を直接それらの固相に共有結合させてもよい(Qiagen社製、LiquiChip Applications Handbook等参照)。連結体にビオチン又はその類縁体が結合されている場合には、固相にアビジンを結合させておけば、上記連結体を容易に固相に結合させることができる
固相に結合しなかった連結体は、約0.1M〜約10Mの塩化ナトリウム、約0.1mM〜約10mMのEDTA、約0.01%〜約1%の界面活性剤を含む1mM〜100mMのTris-塩酸緩衝液(pH 7.0〜9.0)もしくはリン酸緩衝液(pH 7.0-9.0)等を用いて、洗浄して除去する。2Mの塩化ナトリウム、2mMのEDTA、0.1%のTriton X-100を含む20mMのTris-塩酸緩衝液(pH 8.0)を使用すると、洗浄効率がよい。
前記主鎖の3’末端を反応開始点とし、前記mRNAを鋳型として、所定の条件の下で、逆転写反応を行ってcDNA鎖を合成する。その結果、mRNA/cDNA−リンカー−タンパク質連結体が得られる。逆転写反応系は任意に選択できるが、上記mRNA−リンカータンパク質連結体と、dNTP Mixと、DTTと、逆転写酵素と、標準溶液と、RNaseを除去した水(以下、「RNaseフリー水」という。)とを加えて反応系を調製し、この系中、5分〜20分間、30℃〜50℃の条件で逆転写を行わせることが好ましい。
ついで、上記と同じ緩衝液で洗浄し、遊離の前記mRNA/cDNA−リンカー−タンパク質連結体を除去する。その後、前記主鎖の切断部位を、上述したエンドヌクレアーゼで切断する。以上のようにして、本発明のリンカーを用いて、種々のタンパク質を得るとともに、そのタンパク質に対応するcDNAをも得ることができる。
以上の方法では、得られたmRNAとピューロマイシンを有するリンカーDNAとをアビジン−ビオチン結合を用いて、ストレプトアビジンで修飾された磁性体ビーズ上に固定し、無細胞翻訳系を用いて、mRNAよりタンパクを合成し、逆転写反応を用いてmRNAよりcDNAを合成している。このため、表現型であるタンパク質と遺伝型であるDNA配列情報とが、磁気ビーズ上で安定に1対1に対応付けられている。
前記切断分離工程に引き続いて、得られたタンパク質のアフィニティー等を利用して、mRNA/cDNA−リンカー−タンパク質連結体を選別することができる。その後、選別された前記連結体中の塩基配列に、PCR法等を用いて変異を導入して増幅反応を行う。増幅産物を所望のプロモーター配列を有する二本鎖DNAと所定の方法で連結し、第1世代の変異型mRNA(以下、「mRNA G1」と略す。)を得る。次いで、mRNA G1を用いて、上述したcDNAディスプレイ法の各工程を繰り返すことによって、mRNA G2、mRNA G3等を得ることができ、以上の反応を繰り返しつつ、所望の突然変異等を導入することによって、種々の配列を有するペプチドアプタマーを得ることができる。
(3)化学架橋ペプチドの作製
以上のようにして作製したリンカーを用いて、所望の塩基配列を有するペプチドを作成し、それらに含まれるジスルフィド結合部分を化学架橋させたペプチドを作製する場合を例に挙げて説明する。
本発明で使用する磁性体ビーズは、磁気に応答する磁性体を含んでいればよく、特に限定されない。例えば、マグネタイト、γ−酸化鉄、マンガン亜鉛フェライト等の磁性体を有する粒子を挙げることができる。本発明で使用する磁性体ゲルビーズは、標的分子と結合した後も分散状態にあることが好ましい。このため、平均粒径が50nm〜200nmであることが好ましく、約100nmであることがさらに好ましい。また、上記磁性体ビーズは、その表面にペプチドアプタマーを固定するための固定分子を有しているものであることが好ましく、こうした固定分子としては、例えば、ビオチン、アビジン等を挙げることができる。
化学架橋ペプチドを合成する方法を要約すると、以下のようになる。まず、鋳型DNAを作製し、これを転写してmRNAを得て、得られたmRNAとピューロマイシンリンカーDNAとを結合させる。次いで、無細胞系翻訳を行い、mRNA‐リンカー−タンパク質連結体を得た後に、この連結体を磁性体ビーズ上へ固定化する。固定化後に、この連結体のmRNAを分解し、発現ペプチド分子内のジスルフィド結合を還元し、還元されたチオール基間に化学架橋を形成する。発現ペプチド分子内で化学架橋されていないチオール基をビオチン化した後に、磁性体ビーズ上から回収し、His−タグを用いて精製する。
具体的には、下記のように、所望のペプチドを鋳型DNAとして使用することができる。例えば、ペプチド合成後の評価で使用する標的タンパク質(ペプチド)としてインターロイキン6の受容体(Interleukin 6 Receptor、以下、「IL−6R」ということがある。)を選択した場合には、IL-6Rに結合するS1-Cys2-6ペプチド(J. Yamaguchi, et al., Nucleic Acid Res., 37, e108, (2009))をコードしたDNAを鋳型として使用することが好ましい。S1-Cys2-6ペプチドは、2つのシステイン残基を有し、ジスルフィド結合を形成することによって、環状構造をとることができる。このため、このような組み合わせを選択することによって、合成したペプチドの結合能を正確に評価できるからである。S1-Cys2-6ペプチドのアミノ酸配列及び塩基配列を、それぞれ配列表の配列番号1及び2として示す。
(S1-Cys2-6ペプチドのアミノ酸配列)
MGCYPFVIAVHFSPGHSLRYPASYCNDASASTLFIGTY
(S1-Cys2-6ペプチドの塩基配列)
5’-GATCCCGCGAAATTAATACGACTCACTATAGGGGAAGTATTTTTACAACAATTACCAACAACAACAACAAACAACAACAACATTACATTTTACATTCTACAACTACAAGCCACCATGGGCTGTTATCCTTTCGTGATCGCCGTGCACTTCTCTCCTGGCCACTCTCTGAGATATCCTGCCTCTTATTGTAATGATGCCTCTGCCTCTACACTGTTCATCGGCACATATGGGGGAGGCAGCCATCATCATCATCATCACGGCGGAAGCAGGACGGGGGGCGGCGGGGAAA-3’
上記配列番号2で表されるDNA配列は、5’末端及び3’末端に所望の配列を含むものとすることができる。例えば、5’末端にT7プロモーター配列、Cap配列、Ω配列(タバコモザイクウイルスの翻訳エンハンサー)及び翻訳開始用Kozak配列を有し、3’末端に、例えば、x6ヒスチジンタグ(以下、「His−tag」ということがある。)及びリンカーDNAの一部と相補的なタグ配列を有するようにしてもよい。
以上のような構造の鋳型DNAを用いて転写を行う。こうした転写は、例えば、市販されている転写キットを使用することができ、プロメガのキット(RiboMAX Large Scale RNA Production Systems - T7)を用いることが、迅速簡便に転写を行えるために好ましい。こうしたキットを使用する場合、キットに付属しているプロトコルに従い、例えば、0.5μg〜5μgのdsDNAを使用して、10μL〜30μLのスケールで転写を行えばよい。通常使用される恒温槽を用いて、所望の条件でインキュベートし、所望量のDNaseを加えて再びインキュベートしてmRNAを合成することができる。
例えば、アルミブロック恒温槽(Anatech、Cool Stat 5200)を使用して、35℃〜40℃で、1時間〜3時間インキュベーションし、その後、キットに付属するRQ1 DNaseの0.5μL〜2μLを試料中に加え、さらに35℃〜40℃で5分〜30分間インキュベートすることによって、mRNAを得ることが合成効率の上から好ましい。得られたmRNAは、所望のキットを用いて精製することができ、こうした精製キットとしては、例えば、After Tri-Reagent RNA Clean-Up Kit(Favogen)を使用することができる。
次いで、RNAリガーゼバッファー、BSA及びヌクレアーゼフリー水を加えて、結合用反応液を調製する。例えば、5〜15xT4 RNAリガーゼバッファー、0.05%〜0.2%のBSAとヌクレアーゼフリー水を加えて、結合用反応液を調製する。例えば、上記のようにして転写されたmRNAを10pmol〜30pmolとり、結合用反応液体を12μL〜24μL加えて所望の条件でインキュベートし、ヌクレオチドキナーゼ及びRNAリガーゼを所望量加えて、再度所望の条件でインキュベートすることにより、mRNA−リンカー連結体を得ることができる。
ここで使用するプルダウンリンカーとしては、mRNA結合部位と固相結合部位とを有するものを使用することが、後に合成されるペプチドの精製が簡便に行える点から好ましい。例えば、配列表の配列番号3の配列を有するリンカーをプルダウンリンカーとして使用することが好ましい。
具体的には、例えば、上記の反応液を80℃〜95℃で0.5分〜2分インキュベートし、その後60℃〜80℃で0.5分〜2分間インキュベートし、次いで0.02℃/s〜0.06℃/sのスピードで20℃〜30℃まで降温させる。その後、例えば、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(TaKaRa社製)を0.25μL〜0.75μL、T4 RNAリガーゼ(TaKaRa社製)を0.5μL〜2μLの量で、それぞれ上記反応液に加え、20℃〜30℃で0.5〜2時間インキュベートすることにより、mRNA−リンカー連結体を得ることができる。
その後、上記のようにして得られたmRNA−リンカー連結体を、所望の容量のチューブに入れ、所望の条件下で無細胞系翻訳を行う。MgCl2及びKClを所望の量で加えて所望の条件でインキュベートすることにより、mRNA−リンカー−ペプチド連結体(以下、「mRNA−リンカー−タンパク質連結体」ということがある。)を得ることができる。無細胞翻訳系としては、Retic Lysate IVT Kit(Ambion社製)等の市販品を使用することもできる。
例えば、上記mRNA−リンカー連結体を4pmol〜8pmolあたり、40μL〜60μLの細胞翻訳系を用いて翻訳を行う。例えば、複数の1.5mL〜2mLのチューブに、上記のmRNA−リンカー連結体を加えた無細胞翻訳系を、所望の量、例えば、20μL〜30μLずつ分注し、25℃〜35℃で15分〜30分間インキュベートする。その後、MgCl2及びKClを、それぞれ最終濃度60mM〜100mM及び600mM〜1,000mMとなるように加えて、35℃〜40℃で0.5〜2時間インキュベートし、mRNA−リンカー−タンパク質連結体を得ることが、効率の面から好ましい。
次に、上記mRNA−リンカー−ペプチド連結体を磁性体ビーズ上へ固定化する。例えば、こうした磁性体ビーズとしては、Dynabeads MyOne Streptavidin C1等の市販のビーズを使用することができる。まず、上記連結体を適量となるようにまとめ、結合バッファーを加えて所望の条件でインキュベートし、上記連結体に結合しているリボソームを除去する。例えば、上記連結体を2本分ずつまとめて液量を約60μL〜100μLとし、ここに10μL〜25μLの0.25M〜1M EDTA(pH 8.0)及び90μL〜100μLの1〜4x結合バッファー(10mM〜25mM Tris-塩酸(pH7.5), 1.5M〜3MのNaCl, 1〜3mMのEDTA, 及び0.1%〜0.5%のTween-20を含む)を加え、2℃〜6℃で5分〜15分間インキュベートし、mRNA-リンカー-タンパク質連結体に結合しているリボソームを除去し、翻訳産物を得る。溶液の総量は、約180μL〜200μLである。
引き続き、1x結合バッファーで洗浄済みの磁性体ビーズを所定の大きさのチューブに入れ、上記翻訳産物を加え、所望の条件でインキュベートし、連結用のタンパク質を加えて所定の条件でインキュベートする。こうした磁性体ビーズとしては、例えば、ストレプトアビジンでコートされたDynabeads MyOne Streptavidin C1(invtrogen)を使用することができ、20μL〜40μLの上記ビーズを1.5mL〜2mLのチューブに予め入れておき、ここに180μL〜200μLの翻訳産物を加えて、20℃〜30℃で15分〜45分撹拌する。
このときに、例えば、冷却サーモブロックローテーター(日伸理化社製、SNP-24B)等を使用することができる。その後、ビオチンを最終濃度5μM〜15μMとなるように加え、さらに20℃〜30℃で10分〜20分撹拌する。なお、磁性体ビーズがストレプトアビジンではなくビオチンでコートされている場合には、最後にストレプトアビジンを添加すればよい。
次に、mRNA-タンパク質連結体(以下、「mRNA‐ペプチド連結体」ということがある。)のmRNAを分解する。mRNA-リンカー−タンパク質連結体を固定した上記磁性体ビーズを、所望の量の結合バッファーを用いて所望の回数洗浄を行う。次いで、所望量のNEバッファーで洗浄し、所望量のRNase Hを含む上記NEバッファーを加えて、所望の条件で撹拌し、mRNAを分解してリンカー−タンパク質連結体を得る。
上記連結体を固定化したビーズを、75μL〜150μLの2x結合バッファーで1〜3回洗浄し、次いで、例えば、25μL〜75μLの1xNEバッファー2(BioLabs社製)で1回洗浄する。その後、例えば、10〜30UのRNase H(TaKaRa社製)を含む1xNEバッファー2を25〜75μL加え、上記の冷却サーモブロックローテーター等を使用して35℃〜40℃で15分〜45分撹拌してmRNAを分解させ、磁性体ビーズ固定化リンカー−タンパク質連結体を得ることができる。
次に、磁性体ビーズに固定化されたタンパク質(発現ペプチド分子)内のジスルフィド結合を還元する。磁性体ビーズ固定化リンカー−タンパク質連結体を所望の量のコンジュゲーションバッファーで洗浄し、引き続き、ジチオスレイトール(以下、「DTT」ということがある。)を含むコンジュゲーションバッファーを加えて所望の条件で撹拌し、このタンパク質分子中のジスルフィド結合を還元する。
例えば、コンジュゲーションバッファーは、50mM〜150mM リン酸ナトリウム, 100mM〜200 mM NaCl, 5mM〜15mM EDTA, 及び0.01%〜1%のTween-20を含む組成とすることもできる。その後、所定の濃度、例えば、10mM〜30mMのジチオスレイトール(以下、「DTT」ということがある。)を含む1xコンジュゲーションバッファーを、150μL〜250μL加えて、23℃〜28℃で15分〜25分撹拌して、発現ペプチド分子内のジスルフィド結合を還元する。
その後、発現ペプチド分子内のチオール基間に化学架橋を形成する。上記のように還元した磁性体ビーズを上記コンジュゲーションバッファーで洗浄し、その後、所望の架橋形成用化合物を含む上記コンジュゲーションバッファーを加えて、所定の条件で撹拌し、化学架橋を形成させる。図3に手順の概略図を示す。具体的には、還元後、上記の発現ペプチドを固定した磁性体ビーズを、50μL〜200μLの1xコンジュゲーションバッファーで1〜2回洗浄し、100μM〜300μMのビス(マレイミド)エタン(以下、「BMOE」ということがある。)を含む1xコンジュゲーションバッファーを100μL〜300μL加えて、20℃〜30℃で0.5時間〜2時間撹拌することにより、化学架橋を形成させ、架橋ペプチドを得る。
引き続き、上記発現ペプチド分子内の化学架橋を形成していないチオール基をビオチン化する。再度、上述した還元操作を行ない、化学架橋を形成していないジスルフィド結合を還元する。その後、上記磁性体ビーズを上記コンジュゲーションバッファーで洗浄し、次いで、所望の濃度のビオチン化用化合物を用いて、還元されたジスルフィドと所望の条件で反応させビオチン化する。こうしたビオチン化用化合物としては、マレイミド-PEG11-ビオチン(Thermo scientific社製)等を使用することができる。具体的には、上記の還元操作の後に、50μL〜100μLの1xコンジュゲーションバッファーで上記磁性体ビーズを洗浄し、例えば、100μL〜300μLのマレイミド-PEG11-ビオチンを含む1xコンジュゲーションバッファーを加えて、20℃〜30℃で2〜3時間撹拌する。
撹拌終了後に、上記磁性体ビーズ上から化学架橋したペプチドをリンカーに結合した状態で(リンカー−タンパク質連結体として)回収する。まず、所望の洗浄バッファーで上記磁性体ビーズを洗浄し、次いで遊離剤を加えてインキュベートし、磁性体ビーズから上記ペプチドを遊離させる。こうした洗浄バッファーとしては、例えば、1xHis-タグ洗浄バッファー(10〜30mM リン酸ナトリウム(pH7.4), 0.25M〜0.75M NaCl, 2.5mM〜10mM イミダゾール, 0.025〜0.1%Tween-20を含む)を使用することができる。また、遊離剤としては、所望の濃度のRNase、例えば、500U〜1,500 UのRNase T1を含む1xHis-タグ洗浄バッファーを使用することができる。
例えば、50μL〜200μLの上記1xHis-タグバッファーで上記磁性体ビーズを1〜3回洗浄し、その後、上記のRNase T1含有1xHis-タグ洗浄バッファーを加えて、35℃〜40℃で5〜15分インキュベートする。この上清を回収し、化学架橋ペプチドをリンカー−タンパク質連結体そして回収する。
得られた化学架橋ペプチドを、His-タグタンパク質精製用ビーズを用いて精製する。こうしたHis-タグタンパク質精製用ビーズとしては、His MagセファロースNi (GE healthcare社製)等を使用することができる。上記ビーズを、予め上記His-タグ洗浄バッファーで洗浄する。次に、洗浄済の上記His-タグタンパク質精製用ビーズに回収した化学架橋ペプチドを加え、所望の条件でインキュベートし、上記ビーズを上記His-タグ洗浄バッファーで洗浄した後に、His-タグタンパク質溶出バッファー(以下、「His-タグ溶出バッファー」ということがある。)を加えて所望の条件で撹拌し、精製化学架橋ペプチドを得る。こうしたHis-タグ溶出バッファーとしては、10mM〜30mM リン酸ナトリウム(pH7.4), 0.25〜0.75M NaCl, 100mM〜500mM イミダゾール, 0.025〜0.1%Tween20を含む組成のものを使用することができる。
例えば、1xHis-タグ洗浄バッファーで洗浄したHis MagセファロースNi (GE healthcare社製)に、回収した上記リンカー−タンパク質連結体のうちの1/5程度、例えば、回収量が50μL〜200μLであった場合には、10μL〜40μLを加え、冷却サーモブロックローテーター等を使用して、20℃〜30℃で0.5〜2時間撹拌する。その後、例えば、50μL〜200μLの1xHis-タグ洗浄バッファーを用いて2〜4回洗浄し、5μL〜20μLのHis-タグ溶出バッファーを加えて、マイクロチューブミキサー(トミー精工社製、MT-360)を使用し、室温で10分〜20分間撹拌する。以上の操作によって、生成された化学架橋ペプチドを得ることができる。
また、上記のようにして得られた化学架橋ペプチドを、磁性体ビーズに固定し、このビーズを所望の条件下で試料と反応させることによって、これらのペプチドと相互作用をするタンパク質をスクリーニングすることができる。その際、化学架橋ペプチドと標的タンパク質とが結合したときに発光するように、発光団を磁性体ビーズに結合させておけば、検出は一層容易になる。
さらに、上記鋳型に対して、従来法に従って変異を導入することにより、非常に多数のIL-6Rに結合し得るペプチドを得ることができる。そして、こうしたペプチドに上述した手法で化学架橋をさせることにより、IL-6Rを標的とするペプチドライブラリを得ることができる。
(実施例1)cDNAディスプレイ用リンカーの作製
(1)試薬類
修飾されたオリゴヌクレオチドであるPuro-F-S及びビオチンループは、ジーンワールド社(東京)より入手した。Puro-F-Sとして、5’-(S)-TC(F)-(Spec18)-(Spec18)-(Spec18)-(Spec18)-CC-(Puro)-3’という構造のものを入手した。このPuro-F-S鎖中、(S)は5’-Thiol-ModifierC6を、(F)はフルオレセイン-dTを、(Puro)はピューロマイシンCPGを、そして(Spacer18)はスペーサーホスフォロアミダイト18をそれぞれ表す。ビオチンループとして、下記の配列のオリゴヌクレオチド(配列表の配列番号3)を使用した。
(ビオチンループとして使用したオリゴヌクレオチドの塩基配列)
5’-CCCGGTGCAGCTGTTTCATC(T-B)CGGAAACAGCTGCACCCCCCGCCGCCCCCCG(T)CCT-3’
上記ビオチンループ鎖中、(T)はAmino-Modifier C6 dTを、そして(T-B)はBiotin-dT(下線は、PvuII制限酵素用の認識部位を表す)。EMCS[N-(6-マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド]は、(株)同仁化学研究所(熊本、日本国)から購入した。TCEP[トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンは、ピアス社より購入した。
(2)ピューロマイシンリンカーDNAの合成
上記Puro-F-S(10 nmol)の5’チオール基を、100μLの50mMのリン酸バッファー(pH 7.0)中にて、室温で6時間、1mMのTCEPで還元し、その後、NAP-5カラム(GEヘルスケア社製)で要時脱塩した。総量10nmolのビオチンループ及び2μmolのEMCSを、100μLの0.2Mのリン酸ナトリウムバッファー(pH 7.0)に加えた。引き続き、混合物を、37℃で30分インキュベートし、4℃でエタノール沈殿を行い、過剰なEMCSを除去した。
この沈殿を予め冷却しておいた70%エタノール500μLで2回洗浄し、予め冷却しておいた0.2Mのリン酸ナトリウムバッファー(pH 7.0)10μLに溶解した。還元されたPuro-F-Sを直ちに加えて、4℃で終夜撹拌した。4mMのTCEPを加えて、15分間37℃でインキュベートすることにより、この反応を停止させた。その後、エタノール沈殿を行い、過剰なPuro-F-Sを室温で除去した。ビオチンループ及び未架橋のビオチンループ-EMCS複合体を除去するために、沈殿を0.1MのTEAA (グレンリサーチ社製)又はリン酸バッファーに溶解し、C18 HPLCカラムを用いて以下の条件で精製した。
カラム:AR-300, 4.6x250mm (ナカライテスク社製、日本)
溶媒:溶媒A:0.1MのTEAA; 溶媒B:アセトニトリル/水(80:20, v/v)
グラジエント:B/A(15-35%, 33分)
流速:0.5mL/分
検出波長:吸光度254nm及び490nm
吸光度254nmでの最終ピークからの画分(吸光度490nmでの単一のピークに対応する)からの画分を集めた。乾燥後、ジエチルピロカーボネート(DEPC)処理水に再懸濁し、保存した。以上のようにして、ピューロマイシン−リンカーDNAを得ることができた。
(実施例2)リンカー−タンパク質連結体の調製
(工程1)鋳型DNAの調製
鋳型DNAは、インターロイキン6の受容体(IL-6R)に結合するS1-Cys2-6ペプチドをコードしたものを使用した(下記配列、配列番号1及び図2a)。このペプチドは、2つのシステイン残基を有し、ジスルフィド結合を形成することから、環状構造をとるという特徴がある。
(S1-Cys2-6のアミノ酸配列)
MGCYPFVIAVHFSPGHSLRYPASYCNDASASTLFIGTY
本実施例で用いたDNA(下記の配列、配列番号2で示す)は、5’末端にT7プロモーター配列、Cap、Ω配列、及びKozak配列を有し、3’末端にはHis-tag及びリンカーDNAの一部と相補的なタグ配列を有している。鋳型DNA中でのこれらの並びを下記表1にまとめた。
(鋳型DNAの塩基配列)
5’-GATCCCGCGAAATTAATACGACTCACTATAGGGGAAGTATTTTTACAACAATTACCAACAACAACAACAAACAACAACAACATTACATTTTACATTCTACAACTACAAGCCACCATGGGCTGTTATCCTTTCGTGATCGCCGTGCACTTCTCTCCTGGCCACTCTCTGAGATATCCTGCCTCTTATTGTAATGATGCCTCTGCCTCTACACTGTTCATCGGCACATATGGGGGAGGCAGCCATCATCATCATCATCACGGCGGAAGCAGGACGGGGGGCGGCGGGGAAA-3’
Figure 2016065020
(工程2)鋳型DNAの転写
転写は、プロメガのキット(RiboMAX Large Scale RNA Production Systems - T7)に付属するプロトコルに従い、1μgのdsDNAを使用して20μLスケールで行った。アルミブロック恒温槽(Anatech、Cool Stat 5200)を使用して、37℃で2時間インキュベートした。その後、キット付属のDNase(RQ1 DNase)を1μL試料中に加え、さらに37℃で15分間インキュベートした。合成されたmRNAは、After Tri-Reagent RNA Clean-Up Kit(Favogen)を使用して精製した(図2a)。
(工程3)mRNAとピューロマイシンリンカーDNAとの結合
転写により得られたmRNA 20pmolあたり、22.5pmolのプルダウンリンカーDNA(配列番号3)、2μLの10xT4 RNAリガーゼバッファー(TaKaRa社製)、及び1.2μLの0.1%BSAを加え、ヌクレアーゼフリー水で合計18.5μLとなるように、結合用反応液を調製した。配列表の配列番号3で表されるプルダウンリンカーの構造を、模式的に図1に示す。上記の反応液を90℃で1分インキュベートし、その後、70℃で1分インキュベートし、次いで0.04℃/sのスピードで25℃まで降温させた。0.5μLのT4ポリヌクレオチドキナーゼ(TaKaRa社製)及び1μLのT4 RNAリガーゼ(TaKaRa社製)を上記反応液に加え、25℃で1時間インキュベートすることによりmRNA-リンカー連結体を得た(図2a)。
(工程4)無細胞翻訳系を用いた翻訳
上記のようにして得られたmRNA-リンカー連結体6pmolあたり、無細胞翻訳系(Retic Lysate IVT Kit、Ambion社製)にて、50μLスケールで翻訳した。上記のmRNA-リンカー連結体を25μLずつ1.75のmLチューブに分注してから、30℃で20分間翻訳を行った。その後、MgCl2及びKClを、それぞれ最終濃度80mM及び800mMとなるように加えて、37℃で1時間インキュベートすることにより、mRNA−リンカー−タンパク質連結体を得た(図2a)。
(工程5)磁性体ビーズ上への固定化
翻訳した産物を2本分ずつまとめ(液体量は78μL)、ここに18μLの0.5M EDTA(pH 8.0)、96μLの2x結合バッファー(20mM Tris-塩酸(pH7.5), 2M NaCl, 2mM EDTA, 0.2% Tween-20を含む)を加え、4℃で10分間インキュベートして、mRNA-リンカー−タンパク質連結体に結合しているリボソームを除去した(液体量は192μL)。
次いで、Dynabeads MyOne Streptavidin C1(invtrogen)を1x結合バッファーで予め洗浄した。洗浄済みの30μLを1.75mLチューブに予め入れておき、ここに翻訳産物192μLを加える。次いで、冷却サーモブロックローテーター(日伸理化社製、SNP-24B)を使用して、25℃で30分撹拌した。その後、最終濃度10μMとなるようにビオチンを加え、25℃で15分撹拌した(図2a)。
(工程6)mRNA-タンパク質連結体のmRNA分解
mRNA-リンカー-タンパク質連結体が固定化されたDynabeads MyOne Streptavidin C1を、1x結合バッファー100μLで2回洗浄した。50μLの1xNEバッファー2(BioLabs社製)で1回洗浄した。その後、RNase H(TaKaRa社製)20U入りの1xNEバッファー2を50μL加え、冷却サーモブロックローテーターを使用して37℃で30分撹拌し、リンカー-タンパク質連結体を得た(図2a)。
(工程7)発現ペプチド分子内のジスルフィド結合の還元
リンカー-タンパク質連結体が固定化されたDynabeads MyOne Streptavidin C1を100μLの1xコンジュゲーションバッファー(100mM リン酸ナトリウム, 150mM NaCl, 10mM EDTA, 0.05% Tween-20を含む)で2回洗浄した。その後、20mMのジチオスレイトール(以下、「DTT」ということがある。)入りの1xコンジュゲーションバッファーを200μL加えて、25℃で20分撹拌した(図2b)。
(工程8)発現ペプチド分子内のチオール基間の化学架橋
還元処理を行なったDynabeads MyOne Streptavidin C1を、100μLの1xコンジュゲーションバッファーで1回洗浄した後、200μMのビス(マレイミド)エタン(Thermo scientific社製、以下、「BMOE」ということがある。)を含む1xコンジュゲーションバッファーを200μL加えて、25℃で1時間撹拌し、架橋産物を得た(図2b及び3a)。図2a及び2bに以上の工程2〜8までの概略図を示した。
(工程9)発現ペプチド分子内の未化学架橋チオール基のビオチン化
再び上記工程7に示す還元操作を行い、化学架橋していないジスルフィド結合を還元した。その後、Dynabeads MyOne Streptavidin C1を、100μLの1xコンジュゲーションバッファーで1回洗浄した。次いで、625μMのマレイミド-PEG11-ビオチン(Thermo scientific社製)を含む1xコンジュゲーションバッファー200μLを加えて、25℃で2時間30分撹拌し、還元・ビオチン化産物を得た(図3及び3b)。
(工程10)磁性体ビーズ上からの回収
100μLの1xHis-タグ洗浄バッファー(20mMリン酸ナトリウム(pH7.4), 0.5M NaCl, 5mMイミダゾール, 0.05%Tween-20を含む)でDynabeads MyOne Streptavidin C1を2回洗浄した。その後、1,000 UのRNase T1(Ambion社製)を含む1xHis-タグ洗浄バッファーを100μL加え、37℃で10分インキュベートした。この上清を回収し、リンカー−タンパク質連結体(酵素処理産物)を得た(図3及び3c)。
(工程11)His-タグによる精製
回収したリンカー-タンパク質連結体100μLを、1xHis-タグ洗浄バッファーで洗浄したHis MagセファロースNi (GE healthcare社製)に20μL分加え、冷却サーモブロックローテーターを使用して25℃で1時間撹拌した。1xHis-タグ洗浄バッファー100μLで3回洗浄した後に、His-タグ溶出バッファー(20mMリン酸ナトリウム(pH7.4), 0.5M NaCl, 250mMイミダゾール, 0.05%Tween20を含む)を12μL加え、マイクロチューブミキサー(トミー精工社製、MT-360)を使用して、室温で15分撹拌し、His-タグ生成物を得た(図3及び3d)。図3に上記実施例2の工程8〜11までの概略図を示す。
(実施例3)リンカー−タンパク質連結体の架橋効率の算出
(1)架橋効率の算出
ニュートラアビジンタンパク質を用いたゲルシフトアッセイ法を用いて、リンカー−タンパク質連結体の架橋効率を求めた。まず、上記実施例1の工程1〜11のようにして得た精製されたリンカー-タンパク質連結体に、最終濃度が60μMになるようにニュートラアビジンタンパク質を加え、25℃で30分インキュベートし、ニュートラアビジン産物を得た(図3d)。これを、15%SDS-PAGE(20mA, 120分)で電気泳動し、ゲルシフトしたバンドの強度比から架橋効率を算出した(図4(A)及び(B))。架橋効率は、約90%であった。
(実施例4)プルダウン法による得られたタンパク質の機能の評価
(1)標的タンパクであるIL-6Rの蛍光化
1μMのIL-6R(ACRO Biosystems)及び20μMのNHS-フルオレセイン(Thermo scientific社製)を含む1xPBS(137mM NaCl, 2.7mM KCl, 10mM Na2HPO4, 1.8mM KH2PO4)を50μLスケールで1.75mLチューブに入れ、25℃で60分インキュベートした。その後、最終濃度が100μMになるように2-アミノエタノール(和光純薬工業(株)社製)を加え、25℃で30分インキュベートして、NHS-フルオレセインの未反応活性基をつぶした。
(2)標的分子(IL-6R)を用いたプルダウン法
上記工程1〜8のようにして調整した、リンカー−タンパク質連結体が固定化されたDynabeads MyOne Streptavidin C1を、100μLの1xPBSで3回洗浄した。その後、100nMの蛍光化IL-6Rを含む1xPBSを100μL加えて、25℃で60分撹拌した。次いで、1xPBS-T(137mM NaCl, 2.7mM KCl, 10mM Na2HPO4, 1.8mM KH2PO4, 0.01%Tween20を含む)で、上記固定化ビーズを3回洗浄し、1,000 UのRNase T1を含む1xPBS-Tを15μL加え、37℃で10分インキュベートした。回収されたサンプルを15%SDS PAGE(20mA, 120分)で泳動させ、プルダウンされたIL-6Rの量を比較した。参考のため、図5に上記工程の概略図を示す。
本実施例では、比較のために7種類のサンプルを調製した。IL-6Rのバンド位置の対照サンプルとして上記実施例1で蛍光化したIL-6Rを用いた。陰性対照として、プルダウンリンカーDNAに対して上記実施例1の工程4〜8を行ったサンプルを調製した。また、陽性対照として、Cys2-6ペプチドにジスルフィド結合(S-S架橋)を組み合わせたサンプルを調製した。さらに、化学架橋Cys2-6ペプチドと、チオール基をつぶした非架橋Cys2-6ペプチドとを調製した(図5)。
非架橋Cys2-6ペプチドは、上記実施例1の工程7で行った還元操作に供し、1xコンジュゲーションバッファー100μLで2回洗浄した。その後、5mMのヨードアセトアミドを含む1xコンジュゲーションバッファーを200μL加えて、25℃で20分撹拌して調製した。また、IL-6Rと相互作用をもたないペプチドのモデルとして、AタンパクのBドメイン(以下、「BDA」ということがある)(配列番号4)とFLAG(配列番号5)とを用いたサンプルも調整した。これらのサンプル調整は、上述した工程に従って行った(図5a〜5c)。
以下に、AタンパクのBドメインの塩基配列(配列番号4)とFLAG(配列番号5)を示す。また、下記表2及び3に、各DNA中の各領域と機能とをまとめた。
(AタンパクのBドメインの塩基配列)
5’-GATCCCGCGAAATTAATACGACTCACTATAGGGGAAGTATTTTTACAACAATTACCAACAACAACAACAAACAACAACAACATTACATTTTACATTCTACAACTACAAGCCACCATGGATAACAAATTCAACAAAGAACAACAAAATGCTTTCTATGAAATCTTACATTTACCTAACTTAAACGAAGAACAACGCAATGGTTTCATCCAAAGCCTAAAAGATGACCCAAGCCAAAGCGCTAACCTTTTAGCAGAAGCTAAAAAGCTAAATGATGCTCAAGCACCAAAAGCTGACAACAAATTCAACGGGGGAGGCAGCCATCATCATCATCATCACGGCGGAAGCAGGACGGGGGGCGGCGGGGAAA-3’
Figure 2016065020
(FLAGの塩基配列)
5’-GATCCCGCGAAATTAATACGACTCACTATAGGGGAAGTATTTTTACAACAATTACCAACAACAACAACAAACAACAACAACATTACATTTTACATTCTACAACTACAAGCCACCATGGATTATAAGGACGATGACGATAAGGGAGGTGGAAGTAAGAACATGTGCAAGTTGAAGCCACTTTTAGAGAAGTGGCTAAATGATGCAGAGGGGGAGGCAGCCATCATCATCATCATCACGGCGGAAGCAGGACGGGGGGGCGGCGGGGAAA-3’
Figure 2016065020
(実施例5)プルダウン法による相互作用評価
上記のように調整したサンプルを用いて、実施例3で行ったと同様の条件でプルダウン法を行い、IL-6Rに対する親和性を評価した。その結果、化学架橋を施したCys2-6ペプチドが、陽性対照であるS-S架橋Cys2-6ペプチドと同程度の相互作用を行うことができることが泳動図から確認された(図6)。また、ジスルフィド架橋をなくしたCys2-6については相互作用を示さなかったことから、ペプチドの機能にはその形状が大きく関わっていることが確認できた。
以上より、本件発明の化学架橋を有するペプチドは、標的タンパクに対して、化学架橋を有しないペプチドと同等の結合能を有していることが示された。化学架橋の場合には、架橋に使用する分子によって架橋の長さを調製できるという利点がある。
本願発明は、医薬分野、特に診断薬の分野において有用である。
配列番号1:S1-Cys2-6ペプチドのアミノ酸配列
配列番号2:S1-Cys2-6ペプチドの塩基配列
配列番号3:ビオチンループ
配列番号4:AタンパクのBドメインの塩基配列
配列番号5:FLAGの塩基配列

Claims (10)

  1. (a)所望の配列のDNAから転写によってmRNAを調製するmRNA調製工程と;
    (b)前記(a)工程で得られたmRNAを、ペプチド結合部位、固相結合部位及びmRNA結合部位を有するリンカーのmRNA結合部位にライゲーションさせるリンカー調製工程と;
    (c)前記(b)工程で得られたリンカーを無細胞翻訳系で翻訳して、前記mRNAに対応するペプチドを前記リンカーのペプチド結合部位に結合した状態で合成するペプチド合成工程と;
    (d)前記(c)工程で得られた前記リンカーを、固相に固定化する固定化工程と;
    (e)前記(d)工程で固相に固定化されたリンカーに結合している前記ペプチド中のS−S結合を還元によって切断して−SH基とし、次いで、60〜80nm幅の架橋を形成する架橋形成用化合物と、前記還元された−SH基とを結合させて、ペプチドの分子内架橋を形成する化学架橋形成工程と;
    を備えることを特徴とする、化学架橋ペプチドの作製方法。
  2. 前記ペプチド結合部位は、ピューロマイシン、AANS-アミノ酸、及びPANS-アミノ酸からなる群から選ばれるいずれかのもので構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の化学架橋ペプチドの作製方法。
  3. 前記固相結合部位は、ストレプトアビジン、及びビオチンからなる群から選ばれるもので構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化学架橋ペプチドの作製方法。
  4. 前記架橋形成用化合物は、2価架橋剤であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の化学架橋ペプチドの作製方法。
  5. 前記2価架橋剤は、ビスマレイミドエタン、1,6-ビスマレイミドヘキサン、1,4-ビスマレイミドブタン、及び1,4−ビスマレイミジル−2,3−ジヒドロキシブタンからなる群から選ばれるものであることを特徴とする、請求項4に記載の化学架橋ペプチドの作製方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載された方法で作製された、化学架橋ペプチド。
  7. 前記化学架橋ペプチドは、少なくとも1か所の架橋部位を有し、架橋後のペプチドの外形が60〜100nmであることを特徴とする、請求項6に記載の化学架橋ペプチド。
  8. 請求項6又は7に記載の化学架橋ペプチドを用いて、これらのペプチドと相互作用をするタンパク質を精製する、相互作用タンパク質の精製方法。
  9. 請求項6又は7に記載の化学架橋ペプチドを用いて、これらのペプチドと相互作用をするタンパク質をスクリーニングする、相互作用タンパク質のスクリーニング方法。
  10. 請求項6又は7に記載の化学架橋ペプチドを含む、cDNAディスプレイ法によるペプチドライブラリ。
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