JPH10508040A - ビス−マレイミド架橋剤 - Google Patents

ビス−マレイミド架橋剤

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Abstract

(57)【要約】 β-ガラクトシダーゼの酵素ドナーポリペプチドフラグメント中で分子内架橋を形成し、それにより、酵素アクセプターフラグメントとの相補性を妨害する環状酵素ドナーを形成し、活性なβ-ガラクトシダーゼを形成する。環状酵素ドナーは、相補性活性を回復させるために、切断により線状化され得る。このような環状酵素ドナーが特定の分析物により線状化されるアッセイ、および以下の式の新規なホモ二官能性ビスマレイミド架橋剤を開示する:

Description

【発明の詳細な説明】 ビス−マレイミド架橋剤 発明の背景 本発明は、β-ガラクトシダーゼのポリペプチドフラグメントの相補性による 分析物(analyte)の検出に有用な化合物、組成物および方法に関する。詳細に は、本発明は、架橋剤β-ガラクトシダーゼの酵素ドナーポリペプチド内での分 子内架橋の形成、およびサンプル中の分析物の検出および定量におけるこのよう な組成物の使用に関する。 過去に、種々の合成および天然の抗原性ポリペプチドならびにポリペプチドフ ラグメントが、二官能性架橋剤を用いて、高分子量タンパク質キャリア(例えば 、ラテックス官能基化SEPHAROSE(Pharmacia,Inc.)、破傷風毒素、キーホール リンペットヘモシアニン、アガロース、およびセルロース)、検出可能な標識( 例えば、蛍光団)、および化学療法の薬剤に、結合されてきた。米国特許第4,49 3,795号、およびPCT公開WO 90/05749号(1990年5月31日発行)がその例である 。このような架橋剤はまた、生物活性または細胞傷害性の薬剤、色素、放射性化 合物などを抗体分子に結合させるために使用されている。米国特許第4,671,958 号がその例である。抗体は、このような薬剤を用いてともに結合される。Chen、Res .Virol.141 :337-42(1990)を参照のこと。架橋剤はまた、生物活性でかつ治 療に有用なポリペプチドを、ポリエチレングリコールのようなポリマーと結合さ せることにより修飾し、薬物動態学的特性を増強するための用途が見出されてい る。米国特許第5,166,322号、同第4,179,337号、および同第4,766,106号がその 例である。 β-ガラクトシダーゼは、約116,000ダルトンのモノマー分子量を有する4量体 タンパク質である。このモノマーは、1023個のアミノ酸からなる。シストロン内 性(intracistoronic)相補性は、酵素の個々の不活性なペプチドフラグメント が自発的に会合して、活性なβ-ガラクトシダーゼタンパク質を形成する、公知 の現象である。徹底的に研究された最初のβ-ガラクトシダーゼ相補性対は、 LangleyおよびZabin、Biochemistry 15:4866(1976)により記載されるM15/CNBr2 系であった。M15は、アミノ酸11〜41が欠失しているβ-ガラクトシダーゼの欠失 変異体である。CNBr2ペプチドは、β-ガラクトシダーゼのアミノ酸3〜92からな り、そしてインタクトな(intact)酵素の臭化シアン切断により調製される。個 々に不活性であるM15およびCNBr2が、適切な条件下で一緒にインキュベートされ る場合、2つのペプチドは互いに相補または会合して、完全に活性な4量体β- ガラクトシダーゼを形成する。この系において、CNBr2(N末端ペプチド)は、 α-酵素ドナーと呼ばれる。N末端欠失を有するM15は、α-酵素アクセプターと 呼ばれる。β-ガラクトシダーゼのドメインの再会合を用いて、不活性フラグメ ントから活性β-ガラクトシダーゼを形成する一般的な現象は、相補性と呼ばれ る。α-酵素ドナーとα-酵素アクセプターとの他の組み合わせが記載される。Za bin、Mol .and Cellular Biochem 49:84(1982)を参照のこと。各々は、天然のβ -ガラクトシダーゼ配列に由来する変異体である。 C末端ペプチドおよび対応するC末端欠失タンパク質との相補性がまた記載さ れる。ω-相補性として公知であるこの現象の例は、X-90(C末端において10個 のアミノ酸が欠失しているβ-ガラクトシダーゼ欠失変異体)、およびCNBr24( β-ガラクトシダーゼのアミノ酸990〜1021からなるペプチド)である。α-相補 性の場合、ω-酵素ドナーポリペプチドおよびω-酵素アクセプタータンパク質は 不活性であるが、再会合して酵素的に活性な4量体を形成する。Welphy、Bioche m .Biophys.Res.Comm.93 :223(1980)を参照のこと。 β-ガラクトシダーゼ相補性活性は、高分子量または低分子量の分析物の両方 についての高感度な定量アッセイを産生するために利用されている。米国特許第 5,362,625号および同第4,708,929号は、とりわけ、抗体およびレセプター結合ア ッセイにおける使用のための種々の酵素ドナーおよび酵素アクセプターポリペプ チド組成物を開示する。酵素ドナーおよび酵素アクセプターは、当業者に熟知の 組換えDNA技術またはポリペプチド合成技術により産生される。 これらのアプローチは、酵素ドナーおよび酵素アクセプター分子の設計に対し 、大きな柔軟性および制御を可能にする。遺伝子操作技術の使用は、酵素ドナー および酵素アクセプターのポリペプチドの配列および長さを、アッセイの性能お よ び薬剤安定性を最適化するように改変することを可能にする。分析物に化学結合 するために最適化された酵素ドナーおよび分析物のペプチドまたはタンパク質に 遺伝子的に融合された酵素ドナーが記載され、そしてこれらの組成物を用いるイ ムノアッセイは市販されている。Henderson,Clin .Chem.32:1637(1986); Khan na、Amer .Clin.Lab 8:14(1989)およびCoty、J .Clin.Immunoassay 17:144(1 994)を参照のこと。 この領域の当該技術により記載されない1つの問題は、これらの相補性アッセ イにおけるバックグラウンドの干渉を低減することを含む。酵素ドナーおよび酵 素アクセプター分子は自発的に結合して活性な分子を形成するので、従来は、未 改変酵素ドナーまたは酵素アクセプターフラグメントに結合する抗体またはレセ プターは、このような望ましくない相補性を阻害した。このアプローチは完全に は成功しなかった。 発明の要旨 本発明は、分子内で架橋する酵素ドナーポリペプチドを使用する相補性アッセ イのための材料および方法を提供する。「酵素ドナー」または「酵素ドナーポリ ペプチド」は、酵素アクセプターと結合または会合して、活性なβ-ガラクトシ ダーゼ酵素を形成し得るペプチド配列を含む、β-ガラクトシダーゼの酵素的に 不活性なポリペプチドフラグメントを意味する。「酵素アクセプター」または「 酵素アクセプターポリペプチド」は、酵素ドナーと結合または会合する場合、相 補性のプロセスにより活性なβ-ガラクトシダーゼを形成し得る、β-ガラクトシ ダーゼ遺伝子の欠失変異体により産生されるβ-ガラクトシダーゼの酵素的に不 活性なポリペプチドフラグメントを意味する。分子内で架橋した酵素ドナーを使 用するこれらのアッセイは、分子内架橋を酵素ドナーポリペプチドに導入するこ とで、酵素ドナーポリペプチドと酵素アクセプターとの間の相補性を大いに低減 できるかまたは阻害できるという、本発明者によりなされた観察に基づく。「架 橋」または「分子内架橋」は、酵素ドナーポリペプチド中の2つの反応性アミノ 酸残基の間にある架橋剤の化学的共有結合、そしてそれによってポリペプチドを 環状構造を与えることを意味する。このような架橋酵素ドナーは、本明細書 中で「環状酵素ドナー」とも呼ばれる。 完全な相補的活性は、環状ポリペプチドを切断または開裂することによって回 復し得、それによってポリペプチドを線状化し得ることも、また観察された。こ の現象は、分子内で架橋したドナーペプチドまたは環状ペプチドが、特定の分析 物の作用により、あるいは特定の分析物の存在のために線状化され得る場合のア ッセイ形式において有用である。前述の系に対するこの系の顕著な利点は、固有 のバックグラウンドシグナルが極度に低いことである。架橋分子の相補活性を最 小化するように、遺伝子操作技術を用いて、酵素ドナー架橋点を配置し得る。本 発明者らは、理論に束縛されることを意図しないが、酵素アクセプターペプチド と会合して活性な酵素を形成することを可能にするコンフォメーションによって 、架橋した酵素ドナーペプチドが立体的に阻害されると推測する。 ペプチドは、アミド(ペプチド)結合によって2つ以上のアミノ酸の結合によ って形成される任意の化合物であり、通常、各α-アミノ酸残基(NH2-末端は除 く)のα-アミノ基が、直鎖内で次の残基のα-カルボキシル基に結合する、α- アミノ酸のポリマーである。用語ペプチド、ポリペプチド、およびポリ(アミノ 酸)は、サイズに関して制限されないこの化合物のクラスを述べるために、本明 細書で同義的に使用される。このクラスの最も大きなメンバーは、タンパク質と 言われる。 複合体は、弱い結合または他の力で一緒に保持されている化学的化合物または 部分の可逆的な会合であり、例えば、酵素基質複合体(酵素と1つ以上の基質と の会合は、酵素触媒反応における反応部分である)、抗原-抗体複合体、ハプテ ン-抗体複合体、または酵素ドナーと酵素アクセプターとの相補性により形成さ れるβ-ガラクトシダーゼの活性酵素複合体である。 本発明の別の局面は、架橋した酵素ドナーポリペプチドを作製するための方法 、新規なホモ二官能性ビスマレイミド架橋剤、および架橋した酵素ドナーポリペ プチドを用いるアッセイ方法を包含する。 本発明の他の局面および利点は、その実施の例示的実施例を包含する以下の発 明の詳細な説明を考慮することにより明らかになる。 図面の簡単な説明 本発明は、本明細書の一部を形成する図面と組み合わせて考慮する場合に、以 下の発明の詳細な説明を参照することにより、よりよく理解される。 図1は、N-(2-トリメチルシロキシエチル)-マレイミドの調製のための特定の 合成スキームを示す。 図2は、4-マレイミドブチルアルデヒドの調製のための特定の合成スキームを 示す。 図3は、1,7-ビスマレイミド-4-O-(テトラアセチル-β-D-ガラクトピラノシル )-5-オキサヘプタンおよび1,7-ビス-(3'-メトキシスクシンイミド)-4-O-(β-D- ガラクトピラノシル)-5-オキサヘプタンの調製のための特定の合成スキームを示 す。 発明の詳細な説明 本発明は、第1に、β-ガラクトシダーゼの架橋酵素ドナーポリペプチド配列 を提供する。本発明の架橋β-ガラクトシダーゼ酵素ドナーポリペプチドは、架 橋部分を含む架橋剤の結合を可能にする反応性アミノ酸残基を含むβ-ガラクト シダーゼ配列を包含する。このような部分への結合を可能にする反応性アミノ酸 残基は、α-またはε-アミノ基(例えば、リジン)、α-、β-、またはγ-カル ボキシル基(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)、チオール基(例え ば、システイン)、および芳香環(例えば、ヒスチジンまたはチロシン)である 。架橋部分は、架橋剤の不可欠な部分であり、そして架橋剤を反応性アミノ酸残 基に共有結合し得る化学的部分または官能基を含む。例えば、タンパク質および ペプチドのチオール基を共有結合させるのに有用な架橋剤は、ビスマレイミドヘ キサン(BMH)である。この架橋剤は、ヘキサメチレンの各末端に結合したマレ イミド架橋部分を有するヘキサメチレン部分を含む。他の架橋剤の例は、Chemis try of Protein Conjugation and Cross-Linking 、S.S.Wong、CRC Press、1993 に記載される。 酵素ドナーポリペプチド中の反応性アミノ酸のアミン基は、架橋剤のアミノ基 反応性部分との反応により架橋され得る。N-ヒドロキシスクシンイミド、ジメチ ルスベリミデート、フェニルジイソシアネート、フェニルジイソチオシアネート 、ジフルオロジニトロベンゼン、および塩化シアンは、架橋剤の例である。 反応性アミノ酸のチオール基は、架橋剤のスルフヒドリル反応性部分との反応 により架橋され得る。この例としては、S-ピリジル、マレイミド、およびブロモ アセチル部分がある。 反応性アミノ酸のカルボキシル基は、カルボジイミドまたはヒドラジド部分と の反応により架橋され得る。 架橋部分は、架橋が適切な残基の間で達成されるようなホモ二官能性またはヘ テロ二官能性であり得、好ましくは、酵素ドナーのN末端残基およびC末端残基 上か、またはその近傍で達成される。従って、この架橋剤は、酵素ドナーポリペ プチドの所望するアミノ酸残基のアミノ基、チオール基、カルボキシル基、また は芳香族基に化学的に共有結合し得る2つの反応性基を有する。 酵素ドナーは、挿入されたカセットまたは認識部分を含み得、その性質は、架 橋した酵素ドナーポリペプチドが使用される適用に依存する。認識部分は、プロ テアーゼ、ヌクレアーゼまたはグリコシダーゼの認識配列を含むという利点によ り酵素または特異的プロテアーゼ、ヌクレアーゼ、あるいはエンドグリコシダー ゼにより切断可能なペプチド配列または核酸配列を含み得る。あるいは、認識部 分は、ホスファターゼ、グリコシダーゼ、アミダーゼ、またはエステラーゼのよ うな特異的な加水分解酵素の基質認識部分を含み得る。HIV-1およびHIV-2プロテ アーゼ、コクサッキーウイルスプロテアーゼ、およびヘルペスウイルスプロテア ーゼなどのウイルスプロテアーゼは、宿主の細胞タンパク質の特異的ペプチド基 質配列を認識する。感染性ビリオンを形成するためのgagおよびgag-polタンパク 質のタンパク質分解プロセシングを担うので、HIV-1プロテアーゼは特に関心を 集めている。Kramer、Science 231:1580(1986)およびKohl、Proc .Natl.Acad. Sci.85 :4686(1988)を参照のこと。HIVプロテアーゼは、Pr55gag p17/p24切断部 分に対応するオクタペプチド配列SQNYPIVQ、およびgag-polタンパク質のp6/PR切 断部分に対応するデカペプチド配列VSFNFPQITLを認識し、そして切断する。Krau sslich、Proc .Nat.Acad.Sci.86:807-11(1989)を参照のこと。従って、この ようなHIVプロテアーゼにより認識および切断されるペプチド配列 は、認識部分として使用され得る。 架橋した酵素ドナーポリペプチドがタンパク質分解的に切断されることが所望 される場合、非切断性架橋剤が使用され得る。これは、全化学的ペプチド合成、 または所望するタンパク質分解の切断認識部位をコードする配列と酵素ドナー配 列との遺伝子的融合のいずれかにより達成され得る。好ましくは、タンパク質分 解の切断認識部位は、タンパク質切断部位が、架橋反応に用いられる酵素ドナー の2つの反応性アミノ酸残基の間に位置するように、酵素ドナー配列の内部に組 み入れられる。次いで、不活性または非切断性架橋部分(例えば、ビスマレイミ ドヘキサン)は、架橋酵素ドナープロテアーゼ基質のキメラを産生するために使 用される。キメラな酵素ドナーは、所望の認識部位をコードする遺伝子を、適切 なエンドヌクレアーゼ認識部分において酵素ドナー配列をコードする遺伝子内に 遺伝子的に挿入することによる組換えDNA方法論を用いて作製され得る。β-ガラ クトシダーゼ酵素ドナーDNA配列を含むプラスミドベクターは、当該分野で周知 である。組換えポリメラーゼ連鎖反応クローニングは、目的のコード配列およ適 切な制限酵素クローニング部位を含むオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、 内部のプロテアーゼ感受性配列を有する変異酵素ドナーを構築することで行われ 得る。あるいは、アミノ酸または保護アミノ酸を連続的に付加してペプチド鎖を 成長させることによる、アミノ酸出発物質由来の酵素ドナーポリペプチドおよび プロテアーゼ認識部位の化学的合成が使用され得る。このような技術は、当業者 に公知である。例えば、米国特許第4,493,795号およびそこで引用される科学的 文献を参照のこと。 架橋の解放、または環状ペプチドの開環は、いくつかの異なる様式で達成され 得る。所望の分析物が、部位特異的プロテアーゼ(例えば、HIVプロテアーゼ) である場合、架橋した酵素ドナーポリペプチドは、このプロテアーゼに対する認 識部位を含む配列を含み得る。プロテアーゼ活性により、プロテアーゼ認識部位 でプロテアーゼが酵素ドナーを切断し、酵素ドナーを遊離して酵素アクセプター と相補化し、それにより、容易に測定されるβ-ガラクトシダーゼ活性を生じる 。例えば、Baum、Proc .Nat.Acad.Sci.87:10023-27(1990)(これは、非架橋 β-ガラクトシダーゼ遺伝子へのHIVプロテアーゼ認識部位の挿入を開示する)、 お よびLiebig、Proc .Nat.Acad.Sci.88:5979-83(1991)(これは、ヒトリノウイ ルスプロテイナーゼと非架橋β-ガラクトシダーゼのα-フラグメントとの融合を 開示する)を参照のこと。分析物の他の例は、インターロイキン-1-β変換酵素 (ICEプロテアーゼ)であり、これはアポトーシス(細胞死)において役割を果 たす。このプロテアーゼ酵素は、配列-X-Val-Y-Asp-Z-に対する明確な特異性を 有する。ICEプロテアーゼによる配列の切断は、Aspの後で起こる。ICEプロテア ーゼ酵素の作用を誘発する、これまでに見出されている最少かつ最善のペプチド 基質配列は、Ac-Tyr-Val-Ala-Asp-NH-CH3であるようである。Thornberry、Natur e 356 :768-74(1992)を参照のこと。ICEプロテアーゼの強力なインヒビターは、 配列Ac-Tyr-Val-Ala-Asp*を含み、ここで、*は、クロロメチルケトンを意味する 。Nature 375:78-81(1995)を参照のこと。合成架橋酵素ドナーポリペプチドへの ICEプロテアーゼ認識部位の組み込みは、この重要なプロテアーゼに対する簡便 で迅速なアッセイの開発を可能にする。 所望の分析物が特異的ヌクレオチド配列(すなわち、標的ヌクレオチド)であ る場合、架橋剤は、標的ヌクレオチド配列に相補的な一本鎖オリゴヌクレオチド 配列を含み得る。分析物ヌクレオチド配列の存在は、一本鎖オリゴヌクレオチド 配列と標的ヌクレオチド配列との間のハイブリダイゼーションをもたらす。次い で、この新たに形成された二本鎖は、二本鎖特異的ヌクレアーゼ(例えば、制限 エンドヌクレアーゼまたはRNAase H)の添加により切断され得、全ての架橋し た酵素ドナー(これは、相補的な分析物核酸配列と二本鎖を形成し、そして酵素 アクセプターと相補化してβ-ガラクトシダーゼ活性を産生する)を線状化する 。分析物の例は、例えば、mycobacteria tuberculosis、streptcoccus、N.gono rrhea、HIVを含む細菌およびウイルス、サイトメガロウイルス、Epstein Barrウ イルス、varicella zosterウイルス、および単純ヘルペスなどのヘルペスウイル ス、肝炎およびクラミジアなどの感染性病原体の核酸配列を包含する。 分析物または化学的環境の条件のいくつかのさらなる群はまた、この技術を用 いて検出または測定され得る。例えば、選択される架橋剤は、特異的な化学的ま たは環境的条件(pH、温度、酸化、還元など)による切断に感受性のものであり 得る。直接に架橋剤を切断しないが、その活性により続いて切断(間接的結合切 断)され得る準安定結合(metastable linker)を生じる酵素はまた、この方法 により検出可能である。この例は、ガラクトシルまたはホスフェートから誘導体 化され、アセタールを含むリンカーであり、ここで、酵素β-ガラクトシダーゼ またはホスファターゼの活性が、それぞれ、非常に不安定化され、そして最終的 に切断される架橋をもたらす。この実施態様において、分析物は、それ自身で酵 素標識(例えば、β-ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ペルオキシ ダーゼなど)として使用される場合、本発明は、強力なシグナル増幅システムと して有用であることに注目すべきである。なぜなら、第1の基質(すなわち、酵 素切断可能な架橋剤を含む架橋酵素ドナー)の切断の際、第2の発色性、蛍光性 、または化学発光性基質の複数の分子を切断し得る活性酵素が形成されるからで ある。このような架橋剤は、式W-(CH2)n-X-CH(OY)-(CH2)n-Zを有し、ここでWお よびZは、それぞれ、マレイミド、スクシンイミド、およびチオシアネートから なる群から選択される官能基であり;nは1〜10の数であり;Xは酸素、イオウ 、または窒素であり;そしてYは、ガラクトース、マンノース、グルコース、ホ スフェート、ブチレート、およびアセテートからなる群から選択される、酵素的 に切断可能な部分である。 上記のように、分析物が酵素(例えば、HIV-1プロテアーゼまたはN.gonorrhea プロテアーゼ)である実施態様において、架橋剤は、分析物酵素に対する基質部 位として作用する化学的部分を含み得る。酵素は、基質部位と反応して架橋剤を 不安定化させ、架橋剤を自発的に加水切断させて、線状化酵素ドナーを生じる。 例えば、アルデヒドのアセタールグリコシドは、特異的グリコシダーゼ酵素によ る切断の際、水溶液中で自発的に加水分解して親(parent)アルデヒドを産生す るヒドロキシアセタールを産生することが知られる。この知識に基づき、グリコ シルアセタール部分を含む新規なホモ二官能性架橋剤が設計された。グリコシダ ーゼ酵素の作用によるグリコシル残基が脱離すると、自発的に加水分解するヒド ロキシアセタールが生じる。正味の結果は、架橋剤内での切断、および結果とし て生じる架橋酵素ドナーポリペプチドの線状化である。これらのグリコシル含有 架橋剤は、以下の式を有する: ここで、Rはヒドロキシまたはアセテートである。 さらに、化学的または環境的条件による切断に感受性である架橋剤を構築する ことが可能である。例えば、酸、塩基、酸化、還元、温度、光などにより切断さ れる架橋部分の間にスペーサーを有する架橋剤を選択または設計することが可能 である。この目的のために有用な架橋剤の例は、酸に不安定な2,2-ビスマレイミ ドエトキシプロパン(BMEP)であり、これは穏やかな酸の加水分解により切断さ れる。他のこのような薬剤が当該分野で公知であり、そして同様の形式で使用さ れ得る。 架橋される酵素ドナーポリペプチドは、例えば、β-ガラクトシダーゼのN末 端配列を含み得る。β-ガラクトシダーゼ酵素ドナー配列は、当該分野で公知で ある。米国特許第4,708,929号、LangleyおよびZabin、Biochemistry 15:4866(19 76);Zabin、Mol .and Cellular Biochem.49:84(1982);Henderson,Clin.Chem istry 32 :1637(1986);Khanna、Amer .Clin.Lab.8:14(1989)およびCoty、J .C lin.Immunoassay 17 :144(1994)を参照のこと。 本発明の架橋酵素ドナーポリペプチドは、望ましくない自発的な酵素相補化に 起因するバックグラウンド干渉をほとんど有さないか全く有さないアッセイを設 計および構築することを可能にする。 本発明の別の局面は、架橋酵素ドナーポリペプチドを作製する方法および本発 明の架橋酵素ドナーポリペプチドを使用するアッセイ方法を包含する。 本発明の架橋酵素ドナーポリペプチドを作製する方法は、架橋剤を酵素ドナー の2つの反応性アミノ酸残基への共有結合を引き起こすのに適切な反応条件下で 、β-ガラクトシダーゼ酵素ドナーを架橋剤との混合物中で反応させる工程、お よび架橋したペプチドを反応混合物から単離する工程を包含する。 本発明のアッセイ方法は、通常、所望の試薬を適切な緩衝液中に含むアッセイ 媒体中で行われる。緩衝液の処方は、一般に重要ではないが、分析物の存在下で 酵素ドナーの線状化に影響を与える方法で、目的の分析物と分子内架橋酵素ドナ ーとの間の相互作用を可能にしなくてはならない。一般に、β-ガラクトシダー ゼフラグメントの相補化と相容性である任意の緩衝液(リン酸緩衝液、MOPS緩衝 液などを含む)が許容され得る。本発明の1つの実施態様では、緩衝液は、約10 0mM〜約300mMのリン酸ナトリウム、約100mM〜約500mMの塩化ナトリウム、約1mM 〜約6mMの塩化マグネシウム、約5mM〜約15mMのEGTA(エチレングリコール四酢 酸)またはEDTA(エチレンジアミン四酢酸)、および約5mM〜約200mMのアジ化 ナトリウムの濃度を有し、約6〜約8のpHを有する。 キレート化剤が、金属触媒酸化から保護するために、システインまたはメチオ ニン残基を含む任意のポリペプチドまたはタンパク質に添加され得る。金属イオ ンに対するキレート化剤(例えば、EDTAまたはEGTA)の安定化量を添加すること が好ましい。アジ化ナトリウムのような殺菌剤は、特に貯蔵の間の細菌の増殖を 防ぐために、存在し得る。 酵素活性のためのマグネシウムイオンまたは他のイオン、システイン残基の切 断を防ぐための試薬(例えばジチオスレイトール(DTT))、エチレングリコー ルのような可溶化剤、ならびにソルビトールおよびエチレンオキシドの脂肪酸縮 面活性剤を含む(これらに限定されない)他の材料が存在し得る。メチオニンお よびウシ血清アルブミン(BSA)もまた存在し得る。 貯蔵安定性アッセイ媒体は、代表的には水性である。酵素ドナーポリペプチド は、通常約2pM〜約5mMの濃度で存在し、そして酵素アクセプターは、種々のモ ル過剰の程度で存在する。 サンプルは、有機または無機の目的とする任意の供給源から得られ得る。サン プルは、一般的には液体であるが、固体物質の抽出物でもあり得る。本発明と組 み合わせて使用され得るサンプルの量は、なかでも、分析物の濃度、サンプルの 性質、およびアッセイの精度に依存する。 アッセイ媒体の種々の試薬、サンプルおよび適切に架橋された酵素ドナーポリ ペプチドを合わせて、反応混合物を形成した後、媒体は、通常少なくとも0.2分 間、そして通常約30分未満、好ましくは、約1分間〜約10分間インキュベートさ れる。温度およびインキュベート期間は、目的の分析物または化学的条件の能力 に適合され、分析物が存在する場合に適切な架橋酵素ドナーの切断をもたらす能 力を付与する。いくつかの方式では、さらなるアッセイ組成物およびインキュベ ーションが必要であり得る。次いで、酵素アクセプターポリペプチドおよびβ- ガラクトシダーゼ基質は、一緒にまたは別々に添加され、そして相補性活性が測 定される。 β-ガラクトシダーゼにより切断された場合に吸光度(光学密度)または発光 量の検出可能な変化を生じる酵素基質が、本発明の方法において用いられる。す なわち、基質の切断は、分光光度分析、化学分析または蛍光分析に適切な、着色 、化学発光、または蛍光生成物の出現または消失をもたらす。β−ガラクトシダ ーゼと共に用いるのに適切な基質は、以下のものであるが、これらに限定されな い:p-アミノフェニル-β-D-ガラクトピラノシド、2'-N-(ヘキサデカノール)-N- (アミノ-4'-ニトロフェニル)-β-D-ガラクトピラノシド、4-メチルウンベリフェ リル-β-D-ガラクトピラノシド、ナフチル-A-S-B1-β-D-ガラクトピラノシド、2 -ナフチル-A-S-B1-β-D-ガラクトピラノシド一水和物、o-ナフチル-β-D-ガラク トピラノシド、p-ナフチル-β-D-ガラクトピラノシド、フェニル-β-D-ガラクト ピラノシド、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド、レゾ ルフィン-β-D-ガラクトピラノシド、7-ヒドロキシ-4-トリフルオロメチルクマ リン、ω-ニトロスチリル-β-D-ガラクトピラノシド、フルオレセイン-β-D-ガ ラクトピラノシド、クロロフェノールレッドβ-ガラクトシドなど。好ましい基 質は、クロロフェノールレッドβ-ガラクトシド(CPRG)およびo-ニトロフェノ ール-β-D-ガラクトピラノシド(ONPG)である。酵素基質とのインキュベー ションは、基質の切断をもたらし、(好ましくは色により)検出可能な生成物を 産生する。 上記で他に記載されない限り、本発明において使用される試薬の相対量は、広 範に変化し得、アッセイ方法の感度を実質的に最適化し得る試薬の濃度を提供す る。試薬は、任意の賦形剤を含む、通常、凍結乾燥された乾燥粉末として提供さ れ得る。これは、溶解されると、本発明のアッセイ方法を実施するために適切な 濃度を有する試薬溶液を提供する。実施例1:天然システイン残基を介するED28の分子内架橋 ED28は、90個のアミノ酸を含み、かつアミノ酸23位および68位に2個のシステ イン残基を含む酵素ドナーポリペプチドである。23〜73位は、天然のβ-ガラク トシダーゼのN末端を含む(N末端Met残基を「1」とする従来のナンバリング を用いる)。ED28の配列はまた、米国特許第4,708,929号(その作製方法を開示 する)に開示される。アミノ酸23位および68位における2つのシステイン残基の 間にジスルフィド結合を形成することにより、それは分子内で結合された。 ED28(2.5mg)を、30%アセトニトリル(0.5ml)を含有する50mMリン酸ナトリ ウム緩衝液(pH8.5)に溶解した。溶液を、39%アセトニトリルを含む30mMリン 酸ナトリウム(pH8.5)の5カラム容積で予め平衡化した、充填済みのSEP を1mlの同じ緩衝液で溶離した。この手順は、ジスルフィド結合形成を妨げるジ チオスレイトールのような任意の低分子量の還元剤の除去を確実にする。得られ た溶液を撹拌しながら12時間インキュベートし、その後ED28は約95%がジスルフ ィド結合分子に転換された。 架橋EDを、C4 RPLCカラム(Vydac Protein C4、25cm×10mm)の逆相HPLCによ り精製した。カラムを4ml/分の流速で展開した。H2O中で0.1%トリフルオロ酢酸 (TFA)の弱溶離液を有する開始濃度、およびアセトニトリル中で0.1%TFAの強 溶離液を有する最終濃度を用いる、45分間の23〜33%の勾配を確立した。精製さ れた分子内架橋材料のサンプルを、還元剤DTTの10mM溶液で処理し、そ してHPLCに再注入した。予想されたように、溶離プロフィールは、線状化物質に 対応した。 システイン連結ED28ポリペプチドの相補的活性の阻害を確認するために、CED の存在下または非存在下で行った。架橋および線状のED28の溶液(20pmol)を調 製し、そして酵素アクセプターEA22(20U/試験)(これは、13〜40位のアミノ酸欠 失を有する相補性β-ガラクトシダーゼフラグメントを含む)、および緩衝溶液 (リン酸水素二カリウム210mM;リン酸二水素カリウム150mM;塩化ナトリウム40 0mM;EGTA 10mM;酢酸マグネシウム2mM;メチオニン10mM;TWEEN 20 0. 血清アルブミン0.1%;アジ化ナトリウム10mM;pH6.95)中のCPRG(2mg/ml)と ともに、37℃で4分間インキュベートした。574nmの吸光度における速度を、4 分〜6分の間で、1分毎に測定した。結果を以下の表1に示す。 これらの結果は、システイン連結のED28ポリペプチドの相補性活性が、DTTを 用いた化学的還元により線状化されたED28の12%であったことを示す。DTTの存 在または非存在は、新鮮な再構築された線状ED28に対し影響を与えなかった。実施例2:ホモ二官能性の酸不安定架橋部分によるED28の分子内架橋 酸不安定であるホモ二官能性架橋剤2,2-ビスマレイミドエトキシプロパン(BME P)(これは、Srinivasvachar、Biochemistry 28:2501(1989)の方法に従って作 製され得る)を用いて、ED28を架橋した。この架橋剤は、スルフヒドリル基と速 やかに、そして特異的に反応して安定な共有結合を形成する2つのマレイミド基 を含む。2つのマレイミド基の間の結合は、架橋を酸不安定性にするケタール部 分を含む。この架橋剤は、ED28の2つのシステイン残基間で分子内架橋を形成す るのに使用された。 ED28(1.0mg)を、39%アセトニトリル(0.5ml)を含む50mMリン酸ナトリウム 緩衝溶液(pH7.0)に溶解し、架橋を妨げるDTTのような任意の低分子量の還元剤 を除去した。溶液を30%アセトニトリルを含む30mMリン酸ナトリウム(pH7.5) の5カラム容積で予め平衡化した、充填済みのSEPHADEX G25カラムに付与した。 ED28を1mlの同じ緩衝液で溶離した。この溶離液に、アセトニトリル中のBMEPの 11×0.1等価アリコート(全体積5μl)を30分にわたって添加した。次いで、 反応混合物を室温で1時間インキュベートした。その後、出発物質は完全に架橋 生成物に転換された。 BMEP架橋のED28を、C4 RPLCカラムの逆相HPLCにより精製した。カラムを4ml/ 分の流速で展開した。24.5%の強溶離アイソクラチック(isochratic)プロフィー ルを用いて、H2O中の100mMトリエチルアンモニウムアセテート(TEAA)の弱溶離 液およびアセトニトリル強溶離液の濃度を用いて、精製材料を溶離した。精製し た材料を凍結乾燥し、そして-80℃で貯蔵した。精製した材料のサンプルを水中 で再構成し、そしてpHを0.1M HClで2.0に調整し、そして室温で3分間インキュ ベートした。次いで、pHを緩衝溶液を用いて6.8に調整し(実施例1を参照)、 そして酵素アクセプタータンパク質との相補性活性を、実施例1に記載のように 測定した。結果を以下の表IIに示す。 これらの結果は、未処理BMEP連結ED28は、酸処理したBMEP連結ED28の2.5%の 相補性活性を有することを示す。従って、架橋したED28は、化学的架橋部分の穏 やかな酸加水分解により線状化され得る。線状ED28を用いる対照実験では、3分 間の酸前処理は、線状ED28の相補性に影響を与えないことを示す。実施例3:ED28のホモ二官能性架橋剤による分子内架橋およびエンドプロテアー ゼGlu-Cでの架橋されたED28のプロテアーゼ切断 本実施例は、アッセイ条件下で切断されない部分を使用して架橋される酵素ド ナーポリペプチドの構築および使用を記載する。本実施例において、目的のプロ テアーゼ分析物の認識配列は、架橋剤に組み込まれず、酵素ドナーのアミノ酸配 列に組み込まれるか、あるいはこのN末端またはC末端に結合される。これは、 組換えDNA技術により達成され得るか、または固相ペプチド合成技術により達成 され得る。これらの技術は、共に当業者に周知である。プロテアーゼの作用は、 プロテアーゼ認識部位で架橋された酵素ドナーを切断する。これにより、分子内 架橋されたペプチドを線状化し、そして酵素アクセプターとの相補を可能にする 。 この概念を示す。ED28を、ホモ二官能性架橋剤(ビス−マレイミドヘキサン) で架橋した。この試薬の使用により、穏和な条件下でスルフヒドリル部分の不可 逆性架橋を生じる。Partis、J.Prot.Chem.2:263-77(1983)を参照。1.0mgのED28 を、50mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0、30%のアセトニトリルを含有)(0.5 ml)に溶解した。この溶液を、30mMのリン酸ナトリウム(pH7.0、30%のアセトニ トリルを含有)の5カラム容量で予め平衡化した充填済みのSEPHADEX G25に付与 した。ED28を1mlの同じ緩衝液で溶出した。この溶離液に、アセトニトリル中のB MHの11×0.1当量アリコート(全容量5μl)を、30分間かけて添加した。次いで 反応混合物を室温で2時間インキュベートし、その後、出発物質は架橋生成物に 完全に変換された。 BMH架橋されたED28は、C4 RPLCカラムの逆相HPLCにより精製した。カラムを、 4ml/分の流速で展開した。28.5%の強溶離液アイソクラチックプロフィールを用 いて、精製された物質を、H2O中の0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)弱溶離液および アセトニトリル中の0.1%TFA強溶離液の濃度を用いて溶出した。精製された物質 を凍結乾燥し、そして25mMの炭酸アンモニウム緩衝液(pH7.8)で再構成した。 次いで、緩衝化サンプルを10μgのエンドプロテイナーゼGlu-Cプロテアーゼ(S. aureus V8由来、Boehringer Mannheim)と、室温にて1時間インキュベートした 。酵素アクセプタータンパク質(50μl、500U/ml)およびCPRG溶液(50μl、3mg /ml)を添加し、プレートを37℃でインキュベートし、そして570nmでの吸光度を 測定した。結果を以下の表IIIに示す。 このGlu-Cプロテアーゼは、グルタミン酸残基のC末端側でペプチドを特異的 に切断する。ゆえに、ED28のグルタミン酸残基62および63に対するこのプロテア ーゼの特異性を、BMH部分によるよりはむしろそれらの位置で、BMH架橋されたED 28を線状化するのに利用した。架橋された酵素ドナーポリペプチドをGlu-Cプロ テアーゼで処理した場合、活性は劇的(約24倍)に増加した。このことは、切断が 起こったことを示す。実施例4:ホモ二官能性ビスマレイミドアセタール架橋剤の調製 N-(2- トリメチルシロキシエチル)-マレイミドの合成 図1に示すように、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(100ml)中のエタノールア ミン(1.8g、29.5mmol)の溶液に、N-メトキシカルボニルマレイミド(95g、32. 3mmol)を0℃で激しく撹拌しながら分割して添加した。混合物を室温まで加温 し、そして1時間撹拌した。混合物のpHを、濃硫酸(5ml)を注意深く添加する ことにより6〜7に調整した。得られた溶液を凍結乾燥し、そして固体の残渣を 、各抽出物を30分間撹拌することにより酢酸エチル(2×400ml)で抽出した。酢 酸エチル抽出物を濾過により回収し、そして真空下でエバポレートしてN-(2-ヒ ド ロキシエチル)マレイミド(式I)を、白色固体(4.0g、収率96%)として得た; 薄層クロマトグラフィー(TLC)、Rf=0.27、酢酸エチル/石油エーテル1:1。 乾燥ジクロロメタン(10ml)中のN-(2-ヒドロキシエチル)マレイミド(0.2g、 1.41mmol)およびトリエチルアミン(0.22ml、1.57mmol)の溶液に、0℃にてク ロロトリメチルシラン(TMS-Cl、0.2ml、1.57mmol)を添加した。室温で1時間 撹拌した後、TLC分析(酢酸エチル/石油エーテル1:1)は、1つのスポット (Rf=0.67)を示した。溶媒を真空下で除去し、残渣をジクロロメタン中に溶解 し、そしてジクロロメタンで溶出する少量のシリカゲルカラムを通して濾過した 。生成物を含有する画分をプールし、真空下でエバポレートして、N-(2-トリメ チルシロキシエチル)-マレイミド(式II)を、無色の薄片として得た(0.3g、収 率100%)。4- マレイミドブチルアルデヒド(4-maleimidobutyraldehyde)の合成 図2に示すように、飽和炭酸水素緩衝液(100ml)中の4-アミノブチルアルデ ヒドジエチルアセタール(5g、31mmol)の溶液に、0℃(氷浴)にてN-メトキ シカルボニルマレイミド(4.91g、31.6mmol)を添加した。15分後、テトラヒド ロフラン(100ml)を室温で添加し、そして得られた混合物を1時間撹拌した。 次いで、得られた混合物を1Nの塩酸でpH6〜7に酸性化し、酢酸エチルで抽出 した(3×200ml)。合わせた有機抽出物を乾燥し(MgSO4)、そして真空下でエバ ポレートした。粗生成物を、酢酸エチル/石油エーテル1:2で溶出するシリカ ゲル60のクロマトグラフィーにより精製して、4-マレイミドブチルアルデヒドジ エチルアセタールを、黄色オイルとして得た(4.31g;58%);TLC Rf=0.65、酢 酸エチル/ヘキサン1:1。 テトラヒドロフラン(20ml)および水(0.5ml)中の4-マレイミドブチルアル デヒドジエチルアセタール(2g、8.29mmol)を、アルゴン下で撹拌し、そして で12時間撹拌した後、溶媒をデカントし、乾燥し(MgSO4)、そして真空下でエ バポレートして、4-マレイミドブチルアルデヒド(式III)を、黄色オイル(放 置すると速やかに凝固した)として得た(1.38g、99%);TLC Rf=0.4、酢酸エ チル/ヘキサン1:1。4-マレイミドブチルアルデヒドは変化して極度に不安定 になるため、低温(0℃)で、かつ酸素を完全に排除して(不活性雰囲気下)全 ての処理を行うことが必要であった。1,7- ビスマレイミド-4-O-(テトラアセチル-β-D-ガラクトピラノシル)-5-オキサ ヘプタンの合成 図3に示すように、乾燥ジクロロメタン(40ml)中の4-マレイミドブチルアル デヒド(1.82g、11mmol)、N-(2-トリメチルシロキシエチル)-マレイミド(0.79 g、3.5mmol)、1-トリメチルシリロキシ-2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-ガラ クトピラノース(1.52g、3.5mmol)およびモレキュラーシーブ(4Å)の撹拌溶 液に、TMSOTf(トリメチルシリルトリフレート、0.67ml、3.5mmol)を、過酷な 乾燥条件かつ不活性雰囲気(アルゴン)下で-78℃にて添加した。反応混合物を 、1.5mlのトリエチルアミン/メタノール(1:1)を2日後に添加することに よ 除去した。粗生成物を、クロマトグラフ(酢酸エチル/軽油、1:1)を行い、 1,7-ビスマレイミド-4-O-(テトラアセチル-β-D-ガラクトピラノシル)-5-オキサ ヘプタン(式IV)(1.78g、2.7mmol)を収率77%で得た。1,7- ビスマレイミド-4-O-(テトラアセチル-β-D-ガラクトピラノシル)-5-オキサ ヘプタンの脱保護 乾燥メタノール(20ml)中の1,7-ビスマレイミド-4-O-(テトラアセチル-β-D- ガラクトピラノシル)-5-オキサヘプタン(200mg、0.3mmol)の撹拌溶液に、Zn(O Ac)2(60mg、0.3mmol)を添加した。溶液を過酷な乾燥条件下で9時間還流した 。tert-ブチルメチルエーテル(20ml)を室温で添加した。tert-ブチルメチルエ ーテル/メタノール(1:1)(200ml)を用いてセライト濾過(5g)し、真空 下で溶媒をエバポレートし、続いてクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノー ル/トリエチルアミン、4:1:1)を行い、1,7-ビスマレイミド-4-O-(β-D- ガラクトピラノシル)-5-オキサヘプタン(式IV)および1,7-ビス-(3'-メトキシ スクシンイミド)-4-O-(β-D-ガラクトピラノシル)-5-オキサヘプタン(式V)の 混 合物を、1:2(145mg、0.29mmol)の比で収率99%にて得た。Zn(OAc)2を80℃ (p=0.001Torr)で24時間乾燥した。 1,7-ビスマレイミド-4-O-(テトラアセチル-β-D-ガラクトピラノシル)-5-オキ サヘプタンを用いて、β-ガラクトシダーゼ酵素ドナーおよびHIV gag配列からな る環状融合ペプチドを調製した。これは、以下の実施例5に示すように構築した 。実施例5:二重Cys-HIVペプチド含有酵素ドナーの調製 HIVプロテアーゼ認識部位もまた含む二重システイン含有酵素ドナーポリペプ チドを、組換えDNA技術および固相ペプチド合成により調製した。 EA、EDおよび相補されたβ−ガラクトシダーゼの発現のためにE.Coli AMA1004 株(Casadaban、Methods in Enzymology 100:293、1983)を使用した。組換えク ローンの単離のためにE.Coli MC1061株(Meissner、Proc Nat Acad Sci 84:4171 、1987)を使用した。 オリゴヌクレオチドプライマーを、8残基(p17/p24)または10残基(p6/PR) のいずれかのHIVプロテアーゼ認識部位(クローン選択のためのHindIII制限部位 を有する)の付加を伴う、プラスミドp187由来のED7として知られるβ-ガラクト シダーゼα領域を増幅するために設計した。ED7-HIV p17/p24遺伝子(5'-GATACG AATTCTCAGAACTATCCGATCGTTCAGTCACTGGCCGTCGTTTTACAA-3')の増幅のためのN末 端プライマーは、8残基HIVプロテアーゼ認識部位を含んだ。 ED7-HIV p6/PR遺伝子の増幅のためのN末端プライマー(5'GATACGAATTCTGTAAG CTTTAACTTTCCGCAGATCACCCTGCTGGCCGTCGTTTTACAA-3')は、10残基HIVプロテアー ゼ認識部位を含んだ。両方の増幅に、C末端プライマーKM1(5'-CTGGCTTAACTATG CGGCATC-3')を使用した。PCR増幅を、94℃で1分の変性から始まり、続いて92 ℃で40秒間、65℃で40秒間、および75℃で1.5分間の40サイクル、そして75℃で5 分間の最終伸長工程を行うようにして、MJ Reserch minicycler PTC-150で行っ た。反応物は100μl容量であり、PCR Gems(Perkin/Elmer)を用いてホットスタ ートとして行った。 増幅されたDNAを、フェノール−クロロホルム抽出物で清浄し、そしてエタノ ール中に沈殿させた。再懸濁させた物質を、EcoR1およびSal1消化により平滑 断端し、そしてアガロースゲル電気泳動により精製した。ゲル精製された挿入片 DNAをp187 EcoR1/Sa1ベクターに連結した。得られたクローンは、ED7遺伝子の3' 末端の近くに位置するEcoR1部位に挿入された内部遺伝子融合カセットとして、H IV p17/p24またはp6/PR切断部位のいずれかと共にED7遺伝子を有した。正確なク ローンを、PCR生成物中に位置するHindIII部位の存在により同定し、そしてDNA 配列決定により確かめた。発現および精製のために、ED7-HIV遺伝子を、BamH1/S al1消化により、β−ガラクトシダーゼのラージフラグメントEA46(ED7-HIV遺伝 子生成物とインビボで相補する)を有するBamH1/Sal1ベクター(p43)に転移し た。 ED7-HIV p17/24、ED7-HIV p6/PR、およびEA46タンパク質を、λPLプロモータ ーからプラスミドCI857リプレッサーの不活性化にまで40℃で誘導した。誘導の 4時間後、細胞を採取し、そして相補されたβ−ガラクトシダーゼを40%硫酸ア ンモニウム沈殿、続いてQ-SEHAOSEのイオン交換クロマトグラフィーにより精製 した。相補された酵素を、10Mの尿素中で変性し、そして組換えED-HIVタンパク 質を、サイズ排除クロマトグラフィーにより6Mの尿素中で変性されたEA46から 分離した。ED-HIVタンパク質を含む画分を、Amicon撹拌セルで濃縮し、そして中 性TRIS緩衝液中に透析した。いずれの残りの混入タンパク質も、Q-SEPHAROSEの イオン交換クロマトグラフィーを通して除去した。 標的ペプチドをまた、2-1H-ベンゾトリアゾル-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチル ウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU;ABI user bulletin #33)で活性 化されたFmoc保護アミノ酸を用いて、Applied Biosystems(ABI)モデル431A固 相ペプチド合成機で合成した。合成は0.25mmolのスケールで行い、そして予め充 填されたHMP樹脂を固相として使用した。脱保護およびカップリングの時間を製 造者により推奨される標準時間より長くした。以下のアミノ酸を使用した:Fmoc -Ala、Fmoc-Arg(Pmc)、Fmoc-Asn(Trt)、Fmoc-Asp(OtBu)、Fmoc-Cys(Trt)、Fmoc- Gln(Trt)、Fmoc-Glu(OtBu)、Fmoc-Gly、Fmoc-His(Trt)、Fmoc-Leu、Fmoc-Lys(Bo c)、Fmoc-Phe、Fmoc-Pro、およびFmoc-Ser(tBu)。N末端をアセチル化せず、そ してC末端をカルボキシ形態で残した。 粗ペプチド−樹脂の切断を、カルボニウムスカベンジャー、水(4%)、チオ アニソール(4%)、フェノール(1.5%)、および1,2-エタンジチオール(2 %)を含有するTFA溶液中で3時間インキュベートすることにより達成した。混 合物を濾過し、エバポレートしてオイルを得、そして冷ジエチルエーテルで沈殿 させた。粗ペプチドの精製を、対イオンとして0.1%TFAを用いるVydac 2.2×300 mm C18カラムおよび16〜41%のアセトニトリル/水グラジエントを使用して逆相 HPLCにより行った。精製されたペプチドはSED35と称し、そしてVSFNFPQITLプロ テアーゼ切断部位を含んだ。実施例6:1,7-ビスマレイミド-4-O-(テトラアセチル-β-D-ガラクトピラノシル )-5-オキサヘプタンで架橋されたED7-HIV融合ペプチド 次いで、実施例5からのED7-HIV融合ペプチドを、1,7-ビスマレイミド-4-O-( テトラアセチル-β-D-ガラクトピラノシル)-5-オキサヘプタンで、この融合ペプ チドの残基10と53との間を共有結合することにより架橋した。 ED7-HIV融合ペプチドED7-HIV p17/p24を、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7. 0(1ml))中で再構成し、そしてこの溶液を充填済みのSEPHADEX G25カラムに付与 した。融合ペプチドを、同じ緩衝液(1.5ml)で溶出した。362μg/mlの融合ペプ チド(97%回収)を含む溶離液に、アセトニトリル(全容量5μl、全量38μg) 中の11×0.1当量アリコートの1,7-ビスマレイミド-4-O-(テトラアセチル-β-D- ガラクトピラノシル)-5-オキサヘプタンを、30分間かけて添加した。次いで、反 応混合物を、室温で30分間インキュベートした。 架橋されたED-HIV融合ペプチドを、溶媒Aとして100mMのTEAA(pH6.5)および 溶媒Bとしてアセトニトリルを使用するVydac Protein C4(25cm×10mm)半分取H PLCカラムを用いるHPLCにより精製した。カラムを、4ml/分の流速で展開した。 溶媒Bの22〜40%グラジエントを15分間かけて確立した。線状ED-HIV融合ペプチ ドは、13分の保持時間を示した。架橋されたED-HIV融合ペプチドは、14.2分の保 持時間を示した。生成物を含有する画分をプールし、そして凍結乾燥した。架橋 されたED-HIV融合ペプチドの収量は155mgであった。 相補活性を試験するために、線状ED-HIV融合ペプチドおよび架橋されたED-HIV 融合ペプチドのサンプルを、アッセイ緩衝液中で再構成し、そしてマイクロタイ タープレートを通じて連続希釈した。酵素アクセプター(2050U/ml)およびCPRG (1mg/ml)(各50μl)を各ウェルに添加し、そして570nmでの吸光度の変化を、Vm axプレートリーダーで30秒ごとにモニターした。結果を以下の表IVに示す: これらの結果は、架橋された酵素ドナーの相補活性が、線状酵素ドナーの相補 活性の2.5%であったことを示す。第2のHPLC精製を、一旦精製された物質を用 いて行い、そして再精製された環状ED-HIV融合ペプチドを、このアッセイにおい て再び試験した。この試験において、環状ED-HIV融合ペプチドは、線状ED-HIV融 合ペプチドが示した相補活性の0.04%のみを示した。これは、1回のみのHPLC精 製後により高い活性が見られることは、おそらく線状ED-HIV混入の存在によるこ とを示す。実施例7:1,7-ビスマレイミド-4-O-(テトラアセチル-β-D-ガラクトピラノシル )-5-オキサヘプタンで架橋されたSED35-HIV融合ペプチド SED35は、固相ペプチド合成により生産される60残基融合ペプチドである。こ れは、p6/PR HIV-1プロテアーゼ切断部位に相当するデカペプチドVSFNFPQITLお よびHIVgag/polポリペプチドにおけるアミノ末端残基GGGCからなる14残基N末端 配列、およびED28の残基28〜73からなる46残基C末端配列を含む。 5mMのEDTAおよび30%のアセトニトリルを含有する100mMのリン酸緩衝液(pH6.5 )中のSED35(0.5mg、75nmol)を、アセトニトリル(計57μg)中の6×0.2mol当 量の1,7-ビスマレイミド-4-O-(テトラアセチル-β-D-ガラクトピラノシル)-5-オ キサヘプタンの5μlアリコートと、30分間かけて合わせた。次いで、反応混合 物を、室温で30分間インキュベートした。 架橋されたED-HIV融合ペプチドを、溶媒Aとして100mMのTEAA(pH6.5)および 溶媒Bとしてアセトニトリルを使用するVydac Protein C4(25cm×10mm)半分取 HPLCカラムを用いるHPLCにより精製した。カラムを、4ml/分の流速で展開した。 溶媒Bの35〜40%グラジエントを、20分間かけて確立した。架橋されたED-HIV融 合ペプチドを含む画分をプールした。実施例8:HIV-1プロテアーゼインヒビターを決定するためのELISAアッセイフォ ーマット ELISAプレートフォーマットを、キネティックマイクロタイタープレートリー ダーを用いて種々のインヒビターのIC50値(酵素活性の50%減少を生じるインヒ ビター濃度)を決定するために使用した。 HIV gag/polポリペプチドのp6/PR切断部位に相当するHIV-1基質配列VSFNFPQIT Lを含む架橋されたキメラペプチドSED35-HIV p6/PRのストック溶液を、プロテア ーゼアッセイ緩衝液(100mM NaOAc、1M NaCl、0.1%BSA、1mM EDTA、pH5.0)中、 1μg/mlの濃度で調製した。組換えHIVプロテアーゼもまた、プロテアーゼアッセ イ緩衝液中、10μg/mlの濃度で調製した。HIVプロテアーゼインヒビターを、ジ メチルスルホキシド(DMSO)中に溶解し、そして10%のDMSOを含むプロテアーゼ アッセイ緩衝液中で作用濃度に希釈した。β-ガラクトシダーゼ酵素アクセプタ ータンパク質EA22を、β-ガラクトシダーゼアッセイ緩衝液中に調製して、最終 濃度500U/mlにした。CPRGを、3mg/mlの濃度でβ−ガラクトシダーゼアッセイ緩 衝液中に溶解した。 HIVプロテアーゼインヒビター94-001、94-002、94-003、94-004、および94-00 5を、DMSO中に溶解して、ストック濃度394nM、78.8nM、および15.76nMにした。G hoshら、J.Med.Chem.37:1177-88(1994)およびGhoshら、J.Med.Chem.37:2506-8(1 994)を参照のこと。組換えHIV-1プロテアーゼ(ホモダイマー、Mr=22,000)スト ック溶液(10μl、4.54pmol)、プロテアーゼインヒビターストック溶液(10μl )、環状ED-HIVストック溶液(25μl、3.57pmol)、EA22溶液(50μl、25U)、 およびCPRG溶液(50μl)を、ポリスチレンマイクロタイタープレートのウェル 中にピペットした。プレートを、37℃で5分間インキュベートし、次いで、570n mでの吸光度を20分間モニターした。各インヒビターのIC50値を、Vmax対時間の グラフから決定した。(IC50は、インヒビターのKi値に比例する)。各インヒビ ターについて見出された相対IC50値を、表Vに示す。 実施例9:HIV-1プロテアーゼインヒビターを決定するためのCOBAS MIRAアッセ イフォーマット 3つの試薬アッセイシステムを、種々のインヒビターのIC50濃度を決定するた J)を使用した。 サンプル(インヒビター94-001、94-002、94-003または94-004)を、10%DMSO で改変されたHIVプロテアーゼ緩衝液(10mM酢酸ナトリウム、1M NaCl、1mM ED TA、0.1%BSA、pH5.0)で希釈して、10の希釈係数で45.3mMから4.53nMまでの最 終試薬インヒビター濃度を得た。 試薬1(R1)は、HIVプロテアーゼ緩衝液中、45nMの試薬濃度に希釈したHIVプ ロテアーゼを含んだ。 試薬2(R2)は、HIVプロテアーゼ緩衝液中、0.30mMの架橋された酵素ドナーS ED35および43mg/mlのCPRGを含んだ。 試薬3(R3)は、1315U/mlの試薬濃度に希釈したEA22を含んだ。 COBAS MIRA装置を、10μlのサンプルを送るように、そして時刻1(T=0分) に100mlのR1、時刻2(T=2分)に10mlのR2、および時刻3(T=7分)に95mlのR 3を送るようにプログラムした。速度(種々の時間間隔内における吸光度の変化 )は、時刻4(T=9〜11分)で得た。これらの値を使用して速度対インヒビター 濃度の対数のグラフを作成し、IC50値を決定した。全てのアッセイを、37℃で行 った。表VIに示すインヒビター94-001のデータを例として挙げる。 このデータを使用して、速度対インヒビター濃度の対数のグラフを作成し、そ してカーブフィッティングプログラムを適用して、対数の直線方程式を求めた。 この場合、f(x)=-169*ln(x)+602、またはf(y)=-9.19*ln(y)+60.9である。次いで 、速度データの中点(50%応答)を決定し、そしてこの値をf(y)方程式に代入し 、IC50濃度を求めた。ここで、中間値は470mAU/分であり、そしてIC50値は4.35n Mであった。アッセイにおけるこの結果を、表VIIに示す。 本明細書中で言及される全ての刊行物および特許出願は、各刊行物または特許 出願が、参考として援用されるように具体的および個々に示される場合と同じ程 度に、本明細書中で参考として援用される。本発明は十分に記載され、本発明に 対し、多くの変化および改変が添付の請求の範囲の精神または範囲から逸脱する ことなく行われることが当業者に明らかである。
【手続補正書】 【提出日】1997年12月25日 【補正内容】 請求の範囲 1.式W-(CH2) n -X-CH(OY)-(CH2)n-Zの架橋剤であって、ここで: 各WおよびZは、マレイミド、スクシンイミド、およびチオシアネートからなる 群から独立して選択される官能基であり; nは、1〜10の数であり; Xは、酸素、イオウ、または窒素であり;そして Yは、グリコシド、ホスフェート、ブチレート、およびアセテートからなる群 から選択される酵素的に切断可能な部分である。 2.前記酵素的に切断可能な部分が、必要に応じてアセチル化されているグリコ シドである、請求項1に記載の架橋剤。 .前記酵素的に切断可能な部分が、ガラクトース、マンノース、およびグルコ ースからなる群から選択される、請求項2に記載の架橋剤。 .以下の式の、請求項1または2に記載の架橋剤: ここで、各Rは独立して、ヒドロキシまたはアセテートである。 .1,7-ビスマレイミド-4-O-(テトラアセチル-β-D-ガラクトピラノシル)-5-オ キサヘプタンおよび1,7-ビスマレイミド-4-O-(β-D-ガラクトピラノシル)-5-オ キサヘプタンからなる群から選択される化合物である、請求項1に記載の架橋剤 .架橋タンパク質を形成する方法であって、該タンパク質を、請求項1〜の いずれかに記載の架橋剤と接触させる工程を含む、方法。 .前記タンパク質が、酵素の一部である、請求項に記載の方法。 .前記タンパク質が、β-ガラクトシダーゼの酵素ドナーである、請求項に 記載の方法。 .請求項1〜のいずれかに記載の架橋剤を用いて架橋した酵素部分。10 .サンプル中の酵素の存在または量を測定する方法であって、該サンプル中 の任意の酵素を、請求項1〜のいずれかに記載の架橋剤を用いて架橋されてい 酵素部分と接触させる工程を包含し、ここで、該架橋剤の前記酵素的に切断可 能な部分が、測定されるべき該酵素により切断可能である、方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ, VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.式W-(CH2)2-X-CH(OY)-(CH2)n-Zの架橋剤であって、ここで: 各WおよびZは、マレイミド、スクシンイミド、およびチオシアネートからなる 群から選択される官能基であり; nは、1〜10の数であり; Xは、酸素、イオウ、または窒素であり; Yは、グリコシド、ホスフェート、ブチレート、およびアセテートからなる群 から選択される酵素的に切断可能な部分である。 2.前記酵素的に切断可能な部分が、グリコシドである、請求項1に記載の架橋 剤。 3.前記酵素的に切断可能な部分が、アセタールグリコシドである、請求項2に 記載の架橋剤。 4.前記酵素的に切断可能な部分が、ガラクトース、マンノース、およびグルコ ースからなる群から選択される、請求項2に記載の架橋剤。 5.前記酵素的に切断可能な部分が、ホスフェート、ブチレート、およびアセテ ートからなる群から選択される、請求項1に記載の架橋剤。 6.WおよびZがマレイミドであり、そしてYがガラクトースである、前述の請求 項のいずれかに記載の架橋剤。 7.以下の式の架橋剤: ここで、各Rは独立して、ヒドロキシまたはアセテートである。 8.化合物 1,7-ビスマレイミド-4-O-(テトラアセチル-β-D-ガラクトピラノシ ル)-5-オキサヘプタン。 9.化合物 1,7-ビスマレイミド-4-O-(β-D-ガラクトピラノシル)-5-オキサヘプ タン。 10.架橋タンパク質を形成する方法であって、該タンパク質を、請求項1〜9 のいずれかに記載の架橋剤と接触させる工程を含む、方法。 11.前記タンパク質が、酵素の一部である、請求項10に記載の方法。 12.前記タンパク質が、β-ガラクトシダーゼの酵素ドナーである、請求項1 1に記載の方法。 13.請求項1〜9のいずれかに記載の架橋剤を用いて架橋した酵素部分。 14.サンプル中の酵素の存在または量を測定する方法であって、該サンプル中 の任意の酵素を、請求項1〜9のいずれかに記載の架橋剤を用いて架橋した酵素 部分と接触させる工程を包含し、ここで、該架橋剤の前記酵素的に切断可能な部 分が、測定されるべき該酵素により切断可能である、方法。
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