JP2006501833A - C−マンノシルトランスフェラーゼに関するアッセイ - Google Patents

C−マンノシルトランスフェラーゼに関するアッセイ Download PDF

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Abstract

本発明は、C−マンノシルトランスフェラーゼ(CMT)活性を検出するための細胞に基づくアッセイ、およびCMT活性の調節に有効な薬剤に関するスクリーニングアッセイを提供する。

Description

本発明はタンパク質修飾、特にグリコシル化タンパク質、および特定のグリコシル化形態であるC−マンノシル化を触媒する酵素に関する。
[背景技術]
グリコシル化は最も多く、広範囲にわたるタンパク質修飾の一つであり、種々の生体内プロセスにおいて重要な役割を果たすという認識がますます高まっている。最近の例としてはO−フコシル化によるNotchシグナル伝達(Moloney, D.J. et al., 2000, Nature, 406: 369-375; Brueckner, K. et al., 2000, Nature, 406: 411-415)、およびタンパク質折りたたみの質的制御におけるグルコシル化の機能(Ellgaard, L. & Helenius, A., 2001, Curr. Opin. Cell Biol., 13: 431-437)がある。その結果、現在では、複合糖質代謝の欠陥がヒトにおいて種々の病態と関連していることが分かっている。例えば、II型白血球接着不全症はGDP−フコース輸送における分子欠陥によって引き起こされることが示されている(Luhn, K. et al., 2001, Nat. Genet., 28: 69-72)。
タンパク質のグリコシル化のうち最もよく研究されている形態であるN−およびO−グリコシル化は、約40年来知られている。これらの場合、グリカンはそれぞれアミノ酸側鎖のアミド基またはヒドロキシル基を介してタンパク質と結合している。グリコシラーゼに関するin vitroアッセイが文献に記載されている(EP 0272603、EP 1260591、Hendershot et al., 2002, Analytical Biochemistry 307: 273-279参照)。
Hofsteengeおよび共同研究者は、ヒトRNアーゼ2においてα−マンノピラノシル残基と、トリプトファンのC−2原子との結合を含む新規なタンパク質−炭水化物結合を報告している(Hofsteenge, J. et al., 1994, Biochemistry, 33: 13524-13530; de Beer, T. et al., 1995, Biochemistry, 34: 11785-11789)。この複合糖質は典型的なN−またはO−グリコシド結合を含まず、C−C結合を含む。この修飾反応はミクロソームのC−マンノシルトランスフェラーゼ(CMT)により触媒され、このC−マンノシルトランスフェラーゼは糖供与体としてドリコールリン酸マンノース(DPM)を用い、タンパク質アクセプターのTrp−x−x−Trp(WXXW)配列を認識する(Doucey, M.-A. et al., 1998, Mol. Biol. Cell, 9: 291-300; Krieg, J. et al., 1998, Mol. Biol. Cell, 9: 301-309)。
現在、種々の機能を果たす11の異なるタンパク質に由来する49のC−マンノシル化トリプトファンが確認されている(総説としてはFurmanek, A. & Hofsteenge, J., 2000, Acta Biochim. Pol., 47: 781-789参照)。これらのうち、ヒトプロパージンは、その20のトリプトファンのうち15がC−マンノシル化されていることから特殊な位置にある(Hartmann, S. & Hofsteenge, J., 2000, J. Biol. Chem., 275: 28569-28574)。プロパージンは血漿に存在する50kDaのタンパク質であり、微生物に対する宿主の第一線の防御である補体系の正のレギュレーターである。その3つの活性化経路は、C3からC3bへの変換をもたらす工程に収束するタンパク質分解カスケードからなっている。代替経路のヘテロ二量体C3変換酵素、C3bBbの急速な不活性化は、プロパージンとの複合体の形成により妨げられる。産生されたC3bはさらなるC3bの形成に関与するので、プロパージンにより安定化される正のフィードバック ループが存在する。次に、後続反応が補体系の実際の分解成分である膜侵襲複合体(MAC)の形成をもたらす。この複合体は6つの異なるサブユニットからなり、そのうち5つはまた、複数のトリプトファン残基でC−マンノシル化もされている(Hofsteenge, J. et al., 1999, J. Biol. Chem., 274: 32786-32794)。
放射性標識したDPM、肝臓ミクロソーム、およびCMT認識部位(WXXW)を含有する合成ペプチドを用いたin vitro CMTアッセイが記載されている。クロロホルム/メタノールで反応生成物を抽出した後、水相においてC−マンノシル化ペプチドが放射性標識の存在によって検出される(Doucey, M.-A. et al., 1998)。このアッセイは有用ではあるが、アッセイの間およびその後の単離の間の両方のペプチドの安定性、正しい細胞コンパートメントへのペプチドの送達、分析のために修飾された材料が微量しか単離されない、また、細胞間または細胞種間による変動などの技術的な問題があって、全般的にアッセイの再現性に問題があることから、その適用は限られている。従って、CMTならびにその活性のモジュレーターの同定を可能とするハイスループット形式に従うアッセイ、特に細胞に基づくアッセイの必要がなおあり、本発明はその必要を満たすものである。
[発明の概要]
本発明は、C−マンノシルトランスフェラーゼ(CMT)活性をアッセイする方法であって、i)好ましくは細胞内において、CMTおよびCMT基質を準備する工程(例えば、膜貫通ドメインとの融合タンパク質として)、ii)該CMT基質に対する該CMTの作用によりC−マンノシル化CMT基質の形成を誘導し得る条件を提供する工程、iii)C−マンノシル化CMT基質を固定化する工程(例えば、細胞表面結合タンパク質としての発現によって)、およびiv)C−マンノシル化CMT基質を検出する工程を含む方法を提供する。これらの方法はCMT活性を調節する薬剤をスクリーニングするのに特に有用である。
よって、本発明のもう一つの局面では、C−マンノシルトランスフェラーゼ(CMT)の調節において有効な薬剤を同定する方法を提供する。その方法は、i)CMTを含む細胞を薬剤と接触させる工程、ii)CMT活性を検出する工程、およびiii)該薬剤が存在しない場合と比べ、薬剤により誘導されるCMT活性の調節を検出する工程を含む。CMT活性の可能性のあるインヒビターならびにアクチベーターを、これらの方法を用いて同定することができる。
好ましい実施形態では、本発明のスクリーニング方法は細胞に基づく方法であり、細胞において細胞表面結合CMT基質が発現され、細胞表面において、例えばプロテアーゼにより切断した後に細胞表面から遊離した、前記基質のC−マンノシル化を検出する。本発明のこの局面では、C−マンノシル化基質は通常、融合タンパク質として存在する。このC−マンノシル化基質を、抗体、検出可能な標識またはタグなどの種々の手段を用いて検出することができる。
モジュレーターがDPM合成を調節することで望ましくない作用を持たないことを確認するため、より好ましい実施形態では、DPM合成が影響を受けていないことを示すGPIアンカータンパク質(例えば、CD59)などの検出可能なマーカーが検出される。
これらのスクリーニング法によって同定された薬剤も提供される。
また、このような方法を用い、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNAを用いて、とらえにくいCMT遺伝子を同定することもできる。このような核酸の存在下でC−マンノシル化基質が欠如していることは、CMTに特異的な阻害配列が存在することを示し、次にこれをデータベース検索およびCMT遺伝子の同定に用いることができる。
[発明の詳しい説明]
CMT活性アッセイ
C−マンノシルトランスフェラーゼ(CMT)の同定は、その精製に多大な努力が費やされてきたにもかかわらず、依然として分かりにくいままである。本発明は、CMTの同定および特性決定の助けとなる、C−マンノシルトランスフェラーゼ活性を検出する高感度アッセイを提供し、また、その酵素活性を調節する薬剤をスクリーニングする手段を提供する。
その最も広い局面において、本発明は、C−マンノシルトランスフェラーゼ(CMT)活性をアッセイする方法であって、i)CMTおよびCMT基質を準備する工程、ii)CMT基質に対するCMTの作用によりC−マンノシル化CMT基質の形成を誘導し得る条件を提供する工程、iii)C−マンノシル化CMT基質を固定化する工程、およびiv)C−マンノシル化CMT基質を検出する工程を含む方法を提供する。
昆虫、線虫、両生類、鳥類および哺乳類をはじめとする種々の細胞におけるCMT活性の発現が研究され、科学文献で考察されている。これらの細胞および組織供給源またはまだ発見されていない他のものはいずれも、CMTの供給源として用いられ得る。いくつかの目的では、CMTはしばしばHEK293、COS7、CHOまたはNIH3T3細胞などの細胞系から得られる。
本発明の一つの局面では、CMT活性は細胞抽出液の調製後in vitroでアッセイする。細胞抽出液の調製方法は当技術分野で周知である。(例えば、Scopes, 1987, Protein Purification: Principles and Practice, Second Edition, Springer-Verlag, N.Y.参照)。また、肝臓ミクロソームも既報のようなCMTの供給源として使用できる(Doucey, M.-A. et al., 1998)。あるいは、細胞抽出液は、単に細胞サンプルを溶解してCMTを放出することにより、さらなるサンプル調製なく調製することも可能である。
CMTの起源にかかわらず、CMTサンプル(またはそのアリコート)を、CMT基質を含む反応混合物中、その基質のC−マンノシル化を可能とする条件下でアッセイする。in vitroアッセイでは、これは37℃にて生理的pHのバッファー中で反応混合物をインキュベートすることを意味する。好ましくは、さらに以下に記載するように、CMT基質とCMTを含む細胞において反応を行う。各場合において選択された特定のCMT基質は、試験するCMT活性のタイプまたは起源、あるいは用いる検出方法のタイプによっても異なるが、通常には、コンセンサス配列WXXWを含むペプチドまたはポリペプチドである。
CMT基質を、固相(細胞表面を含む)または固相マトリックスへのC−マンノシル化CMT基質の固定化を可能とするように設計する。このCMT基質を、酵素CMTがサンプル(または細胞)に存在する場合にC−マンノシル化が検出され得るように固相支持体に固定化する。固定化は検出が損なわれない限りいずれの様式で達成されてもよく、従って、CMT基質の定方向結合が通常必要となる。このような定方向結合は、タンパク質末端と支持体上の反応基への特異的化学反応、タグと特異的に結合する受容体により捕捉され得るタンパク質の末端へのタグの結合(例えば、GST−抗体、ビオチン−ストレプトアビジン、ビオチン−アビジン、抗体−エピトープ相互作用が受容体−タグ対として使用できる)をはじめとする、当技術分野で既知の種々の方法によって達成することができ、あるいは例えば特異的抗体または化学反応を用い、C−マンノシル化部位を固定化のために使用することもできる。
固相支持体は例えば、マルチウェルプレート、ゲル、マトリックス、ビーズ、メンブランまたはチューブであってよく、限定されるものではないが、セルロース、アガロース、デキストラン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリエチレン、ポリカーボネート、およびガラスをはじめとする種々の材料からなってよい。直径約1μm〜約5mmのポリスチレンビーズ;例えばポリスチレンまたはポリ塩化ビニル製のプレートまたはマイクロタイタープレートのウェル;ガラスビーズ;磁気粒子;多糖類は、例えば抗体でコーティングできる表面の例である。当業者に周知のように他の固定様式も使用できるが、抗体は通常、水性媒体からの吸着により固相マトリックスへ固定される。固相表面にコーティングする抗体の量は、接触溶液中の抗体濃度を調整することにより変えることができる。好ましい実施形態では、固相支持体はリポソームまたは細胞によって提供されるような膜または表面であり得る。
よって、本発明の好ましい実施形態では、アッセイは細胞に基づくアッセイとして行い、これに関しては細胞の表面で発現させるためのCMT基質を含む融合タンパク質中に膜貫通ドメインを含むのが有利である。従って、融合タンパク質の一部として発現されるこの膜貫通ドメインは、細胞表面に融合タンパク質を固定化する「タグ」として構想され得る。膜貫通ドメインは、コンピューターを用いたハイドロパシープロットによるなどして同定できる疎水性領域を含み、ペプチドの細胞膜への固定を可能とする。膜貫通ドメインはいずれの起源のものであってもよく、以下ではアミノペプチダーゼN膜貫通ドメインを用いて例示する。以下の実施例1は、CMT活性アッセイにおいてC−マンノシル化されて膜結合CMT基質を生じるCMT基質を発現する構築物を用いて本発明を例示するものである。
この構築物は、CMVプロモーターの制御下で発現される、細胞質テールを含むN末端ドメイン、N末端からC末端の順にヒトアミノペプチダーゼN(APN)の膜貫通領域および主鎖領域の後に、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ部位、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、トロンビン切断部位およびCMT基質、AWAQWA(配列番号1)、またはその複数コピーを有する融合タンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、複数コピーのCMT基質の存在は、例えばリポーターが固定化され、検出される場合、またはアクチベーターが発見できるようにCMTを基質で飽和させるのが望ましい場合に特に望ましい。当業者に明らかなように、この融合タンパク質のデザインのバリエーションは本発明の範囲内である。いくつかの実施形態では、細胞膜への固定が望まれない場合は、タンパク質を培地へ分泌させるシグナル配列をさらに含むポリペプチド発現カセットを使用することもできる。
もう1つの実施形態では、CMT基質はリポーター分子と結合させることができる。リポーター分子(すなわち、シグナル生成分子)は検出可能な変化をもたらし得るいずれの分子であってもよい。このようなリポーター分子としては、蛍光部分(例えば、蛍光タンパク質または化学蛍光標識)、放射活性部分、リン光性部分、抗原、リポーター酵素などが挙げられる。好ましくは、リポーター分子は、その活性が検出可能な変化をもたらすリポーター酵素である。このようなリポーター酵素としては、β-ガラクトシダーゼ、グルコシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、グルクロニダーゼ、ルシフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ、オキシドレダクターゼ、デヒドロゲナーゼ、トランスフェラーゼ、イソメラーゼ、キナーゼ、レダクターゼ、デアミナーゼ、カタラーゼおよびウレアーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の方法の用いられるリポーター分子を選択する上では、リポーター分子が、サンプル中に存在するいずれかのプロテアーゼ活性による不活性化をはじめ、サンプル中のいずれの薬剤によっても不活性化を受けないことが不可欠である。適当なリポーター分子の選択は当業者ならば容易に明らかとなろう。
他の好ましい特性を有するタグ、リポーター、またはポリペプチドもしくはペプチドとCMT基質の結合は、(i)CMT基質がCMTによって認識され、そして(ii)定方向固定化が損なわれない限り、当技術分野で既知のいずれかの手段(またはまだ発見されていない手段)によって達成することができる。従って、結合は化学反応により、融合タンパク質の合成の際にタグ(例えば、ビオチン)を組み込むことにより、または当技術分野で周知のように、例えば膜固定C−マンノシル化CMT基質の細胞外提示を可能とする組換え法を用いるなどの連続合成により達成することができる。
融合タンパク質は、最も一般には組換え手段によって生産され、ここで、この発現構築物は、例えば受動的インターナリゼーションによる、界面活性剤またはブドウ球菌アルファトキシンを用いるマイクロポレーションによる、リポソーム(例えば、市販のリポフェクタミン(商標)、リポフェクチン(商標)、リポフェクトエース(商標))の使用による、バイオリスティックを用いるリン酸カルシウムを介したインターナリゼーションによる、またはエレクトロポレーションによるなど、当技術分野で既知の方法を用いて目的の細胞へ導入することができる。標的DNAが細胞にインターナライズされた後、サンプルをインキュベートして基質の合成およびCMTによるそのC−マンノシル化を可能とする。
従って、インキュベーション後、C−マンノシル化基質は細胞抽出液中か、培地中か(この場合、基質は分泌型である)、または細胞表面上かのいずれかに回収される。C−マンノシル化基質の検出は、基質を固相支持体へ固定化するのに用いる方法により、ある程度統制される。例えば、基質が固相マトリックスに固定化されている場合には、固定化がC−マンノシル化部分を介している場合(例えば、C−マンノシル化基質に特異的な抗体を用いる場合)には、唯一、リポーター分子を用いる検出が可能である。C−マンノシル化以外の部分を介した固定化には、例えばC−マンノシル化基質に特異的な抗体を用いてC−マンノシル化残基を検出する必要がある。このような抗体は非C−マンノシル化形態を認識しない。
細胞表面で示されるC−マンノシル化基質を、特定の抗体、例えば特定の標識抗体を用いて認識することができ、以下の実施例1に記載されるようにFACS分析を用いて同定することができる。あるいは、CMT基質を含む融合タンパク質が、CMT基質をフランキングする1以上のプロテアーゼ切断部位をさらに含む場合には、以下の実施例2に記載されるように、そのCMT基質を単離することができ、質量分析によりC−マンノシル化を同定することができる。よって、例えば、バッファーまたは細胞中に存在するH−マンノースを用いるなど、抗体または標識部分を用い、CMT基質のC−マンノシル化を検出するための多くのバリエーションが存在することは当業者に明らかである。さらに、これらのアッセイはロボットおよび自動化プロセスを用いるハイスループット技術に容易に従うことは明らかである。これらの方法はCMT活性を調節する薬剤のスクリーニングに特に有用である。
[スクリーニングアッセイ]
本発明のもう一つの局面では、C−マンノシルトランスフェラーゼ(CMT)の調節に有効な薬剤を同定する方法が提供される。これらの方法は、i)細胞内のCMT(またはその機能的同等物)を薬剤と接触させる工程、ii)CMT活性を検出する工程、およびiii)該薬剤が存在しない場合と比べ、薬剤により誘導されるCMT活性の調節を検出する工程を含む。CMT活性の可能性のあるインヒビターならびにアクチベーターを、これらの方法を用いて同定することができる。従って、アクチベーターおよびインヒビターは本明細書ではまとめてモジュレーターと呼び、好ましくはCMT活性に直接影響を及ぼす(すなわち、DPM経路を阻害しない)。
CMTの機能的同等物または誘導体の例としては、CMTが置換、化学的、酵素的またはその他の適当な手段によって天然アミノ酸以外の部分で共有結合的に修飾されている分子が挙げられる。共通の構造的特徴を保持する誘導体としては、CMTの断片、特に触媒活性を維持する断片であり得る。好ましくは、断片は少なくとも50、少なくとも100以上のアミノ酸長である。CMTの誘導体はまた、CMTの少なくとも1つの特徴、好ましくは触媒活性を維持するためにその必要がある、アミノ酸欠失、付加または置換を含み得るその突然変異体を含む。従って、保存的アミノ酸置換は、末端切断であり得るが、CMTの性質を実質的に変更することなく行われ得る。さらに、欠失および置換を、本発明のスクリーニング方法において、特にCMT触媒活性の増強または他の何らかの望ましい特性の提供に用いられるCMTの断片に対して行ってもよい。
本発明のスクリーニングアッセイにおいては上記のCMT活性アッセイのいずれを用いてもよい。CMT遺伝子の発現を調節する、ならびにその酵素活性を調節する薬剤が本発明のアッセイを用いて同定される。ある好ましい実施形態では、本発明のスクリーニング方法は細胞に基づく方法であり、細胞において細胞表面結合CMT基質が発現され、例えば、細胞表面において、またはプロテアーゼによる切断後に細胞表面から遊離される基質のC−マンノシル化が検出される。本発明のこの局面では、C−マンノシル化基質は通常には融合タンパク質として存在する。C−マンノシル化基質は、抗体、検出可能な標識またはタグなどの種々の手段を用いて検出できる。
モジュレーターがドリコールリン酸マンノース(DPM)合成を調節することで望ましくない作用を持たないことを確認するため、より好ましい実施形態では、DPM合成が影響を受けていないことを示すグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカータンパク質(例えば、CD59)などの検出可能なマーカーが検出される。CD59は種々の細胞の表面に存在する103アミノ酸のタンパク質である。これはGPIアンカーの手段により膜に固定される。このタンパク質はC9と会合して、そのC5b−8への組み込みを妨げることで補体系の膜侵襲複合体の形成を阻害する。これは補体を介した溶解から細胞を保護する(Morgan, B.P. & Harris, C.L., 1999, Complement regulatory proteins, Academic Press, San Diego)。しかしながら、本発明のこの局面では、CD59は単にDPM合成のマーカーとしての機能を果たすに過ぎない。他の好適なマーカーも当業者には明らかである。CD59合成(または同様のGPIアンカー)が低下すれば、本発明の方法はそれによりGPIアンカー合成酵素のモジュレーターの存在を示し、これがまた、GPIの欠損がしばしば重篤な疾病と関連しているという有用な情報を提供する。よって、本発明の方法はまた、GPIアンカー合成酵素のモジュレーターの同定のためにも使用できる。
このスクリーニング系は好ましくは、小分子ライブラリー、ペプチドライブラリー、ファージディスプレーライブラリーまたは天然物ライブラリーに存在し得る薬剤をスクリーニングするために使用される。薬剤は、例えば抗生物質または抗体など、無機または有機物であり得る。投与が容易なため、薬剤は好ましくは小分子である。
薬剤はまた、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNAなどの核酸であってもよい。このような薬剤は、C−マンノシル化基質の減少が、用いた核酸がCMT発現を阻害することを示し、CMTコード配列の同定の候補となる可能性があることから、CMTのコード配列の同定に特に有用である。核酸データベースを検索すれば1以上の候補(またはそれらの相補鎖)を含む配列が同定され、それによりCMT基質のC−マンノシル化において機能的に重要な遺伝子を発見する助けとなる。
本発明によれば、薬剤のスクリーニングに有用なキットも提供され、本質的にスクリーニングに有用なCMTまたはその機能的同等物と使用説明書を含む。通常、このCMTは1以上のCMT基質、(好ましくは本明細書に記載の膜結合融合タンパク質)、CMT活性を検出するための手段および少なくとも1つの薬剤(推定薬剤)とともに提供される。
本発明のキットに用いられるCMTは、例えば溶液、懸濁液または凍結乾燥したタンパク質の形で提供されてもよいし、あるいは、所望によりin situ発現系においてCMTまたはその機能的同等物の生産を可能とする核酸配列の形で提供されてもよい。
また、C−マンノシルトランスフェラーゼ(CMT)の調節に有効な薬剤を同定する方法も提供され、該方法は(a)CMT遺伝子を含む非ヒト野生型または遺伝子操作動物を提供する工程、(b)その非ヒト動物に薬剤を投与する工程、および(c)該薬剤が存在しない場合に比べ、CMT活性が影響を受けたかどうかを判定する工程を含む。
また、本発明のスクリーニング方法によって同定された薬剤も提供される。本発明の薬剤は、前記の技術を用いてスクリーニングすることにより同定され、確立された手順に従って天然供給源から抽出することにより、または特に低分子量の化学薬剤の場合には合成によって調製され得る。タンパク系薬剤は、例えばバキュロウイルス系などの組換え発現系、または細菌系での発現により調製することができる。タンパク系薬剤は主としてCMTの機能に対する研究に有用であるが、それらは治療用途も持ち得る。
一方、低分子量薬剤は好ましくは確立された手順に従う化学合成によって生産される。それらは主として治療薬として指示される。低分子量薬剤および有機薬剤は一般に、CMT活性に依存する疾病または状態の処置に用いられる薬剤として有用であり得る。CMT活性のモジュレーターは研究ツールとして、また種々の臨床の場で有用であり、従って、CMT活性の調節が望ましい場合であればいつでも使用することができる。例えば、補体系の種々の成分がC−マンノシル化されていることが示されており、CMTインヒビターを種々の病理または治療状況下で補体系を操作するために使用できる。例えば、補体の活性化は臓器移植後の移植片拒絶反応(Bos, I.G., et al., 2002, Transfus. Med. Rev., 16: 251-264)、または虚血心筋の再潅流傷害(Monsinjon, T. et al., 2001, Fundam. Clin. Pharmacol., 15: 293-306)に関連づけられている。このような阻害は、著しくC−マンノシル化されていることが示されているプロパージンおよびMACのような補体の必須成分を不活性化することにより達成することができる。
同様に、細胞外マトリックスタンパク質(トロンボスポンジ−1および−2)、軸索誘導タンパク質、F−スポンジン、M−スポンジン、SCO−スポンジン、セマフォリンFおよびG、RNアーゼ2、血管形成に関与するタンパク質(例えば、脳特異的アンジオゲニンインヒビターBAI−1、−2および−3)、メタロプロテアーゼ(ADAMTS)、アグレカナーゼ、GON−1、プロコラーゲンI N−プロテイナーゼ、ラクニン(lacunin)、TRAP、およびサイトカイン受容体(例えば、エリスロポエチン、成長ホルモン、プロラクチン、インターロイキン−2、−3、−4、−5、−6、−7、−9、−11、−13、GM−CSF、G−CSF、白血病阻害因子、オンコスタチン−M、毛様体神経栄養因子、トロンボポエチン(thrombopoieitin)、カルシトニンおよびレプチンの受容体)のC−マンノシル化も、所望の作用を達成するために調節できる。よって、CMT活性のモジュレーターは細胞増殖、シグナル伝達、神経再生および神経変性、血管形成、アポトーシス、免疫炎症、細胞輸送、タンパク質合成および輸送、ならびに寄生体−宿主相互作用の調節に有用である。
CMT モジュレーター(アクチベーターまたはインヒビター)は、そのモジュレーターの厳密な性質に応じて常法に従って処方され得、通常には生物学的に許容される担体とともにモジュレーターまたはその前駆体を含む。種々の治療法を考慮する上で、そのような治療法はCMTを発現することが実証されている組織にターゲッティングすることができると解される。
罹患細胞および組織へのこのモジュレーターの送達は、適当なパッケージングまたは投与系を用いて達成することができる。例えば、このモジュレーターは、治療用として医薬投与に許容される薬剤とともに処方され、所望の生理作用をもたらすよう、許容される経路によって被験体に送達することができる。有効量とは、所望の生理作用をもたらす量である。
本発明はまた、CMT活性に依存する疾病または状態の治療処置または予防処置のための薬剤の製造のための、CMT活性の特異的インヒビターも提供する。
[実施例]
これらの実施例は例示を目的として記載するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。アッセイのデザインおよび検出におけるバリエーションは、当業者には明らかである。
本開示および実施例に明示されてはいないが言及される分子遺伝学、タンパク質およびペプチドの生化学ならびに免疫学の方法は科学文献で報告されており、当業者に周知のものである。例えば、遺伝子操作の標準的な方法は、本質的にSambrook et al., Molecular Cloning: A laboratory manual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor NY, 1989に記載されているようにして行われる。
実施例1:細胞に基づくCMT活性に関するアッセイ
本発明者らはCMT活性の効率的アッセイを考慮した細胞に基づく系をデザイン、構築および特性決定した。この系はここでは、修飾された場合に特異的抗体によって認識され得るC−マンノシル化モチーフを含む表面結合マーカータンパク質を用いて例示する。
cDNA構築物
可溶型GST−AWAQWA
PCRを用いて、そのC末端に、トロンビン切断部位とC−マンノシルトランスフェラーゼ(CMT)の基質であるAWAKWAを含む、分泌型グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST、Schistosoma japonicum製)をコードする構築物を作製した。好酸球由来神経毒由来のシグナル配列(EDN;太字で示されている)を有するフォワードプライマー
Figure 2006501833
(配列番号2)(Newton, D.L. et al., 1994, J. Biol. Chem., 269: 26739-26745)を、pGEX−2T(Pharmacia)のGSTのN末端にアニーリングし、CMT基質部位AWAKWA(配列番号1)をコードするリバースプライマー 5'-ATATGAATTCTCAGTCAGTCAAGCCCATTTAGCCCAAGCGGATCCACGCGGAACC-3'(配列番号3)をpGEX−2TのGSTのC末端のトロンビン配列にアニーリングした。このPCR産物を、pSMCiのHind IIIおよびEcoR I部位にサブクローニングし(Asselbergs, F.A. & Grand, P., 1993, Anal. Biochem., 209: 327-331)、pSMCi−ssEDN−GST−AWAKWA(配列番号1)を得た。縮重プライマーを用いた部位特異的突然変異誘発によりいくつかの異なるCMT基質を作製した。これらの構築物のうちの1つがタンパク質GST−AWAQWA(配列番号1)をコードしており、これはHEK−293細胞内で発現された後、CMTにより効率的にC−マンノシル化(90%)されることが分かり、修飾特異的抗体α5−10(Krieg, J. et al., 1997, J. Biol. Chem., 272: 26687-26692)により認識された。この構築物を、このCMT基質の膜結合型をコードするpSMCi−APN−GST−AWAQWA(配列番号1)を作製するための鋳型として用いた。
細胞表面結合APN−GST−AWAQWA
ヒトアミノペプチダーゼN(APN)のN末端膜アンカードメインをコードするcDNAを、Spe I制限部位を介してGST−AWAQWA(配列番号1)をコードするcDNAと連結し、Hind III/EcoRI制限部位を用いて哺乳類発現ベクターpSMCiへサブクローニングすることにより、細胞表面型のGST−AWAQWA(配列番号1)を作製した。
ヒトアミノペプチダーゼN(APN,204bp)の細胞質領域、膜貫通領域および主鎖領域を含む融合タンパク質のN末端部分を、フォワードプライマー
Figure 2006501833
(配列番号4)およびリバースプライマー
Figure 2006501833
(配列番号5)を用いて、鋳型pTEJ4−ヒトAPN(Vogel, L.K. et al., 1992, J. Biol. Chem., 267: 2794-2797)からのPCRによりクローニングした。このフォワードプライマーは、Hind III制限部位(下線)とKozak配列(太字)を含む。タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ部位(21bp、太字)をリバースプライマーを介して導入し、それにSpe I制限部位(下線)が続いている。
融合タンパク質のC末端部分はGSTを含み、その後にトロンビン切断部位およびCMT基質部位AWAQWA(配列番号1)が続いていた。Spe I制限部位(下線)を含むフォワードプライマー5'-GACTAGTTCCCCTATACTAGGTTATTGG-3'(配列番号6)およびリバースプライマー5'-GCTCTAGAGAATTCCTATCAAGCCCACTGAGCCCAAGCGGAT-3'(配列番号7)を用いるPCRにより、pSMCi−ssEDN−GST−AWAQWA cDNAに由来する699bpの断片が得られた。このリバースプライマーはAWAQWA基質、停止シグナルおよびEcoRI制限部位(下線)を含んでいた。
PCR産物をQiaExII(Qiagen)を用いてゲル精製し、Hind III/EcoRI制限部位を介してpSMCi哺乳類発現ベクターに連結した。形質転換後、制限エンドヌクレアーゼで切断してクローンを選択し、その挿入部を両方向とも完全に配列決定した。この構築物をpSMCi−APN−GST−AWAQWA(配列番号1)と呼ぶ。
pSMCi−APN−GST−AWAQWA(配列番号1)由来の挿入部を切り出し、Hind III/EcoRI制限部位を介してpcDNA3.1に連結した。得られた構築物pcDNA3.1−APN−GST−AWAQWA(配列番号1)を用い、ネオマイシンの存在下で形質転換体を選択することにより安定細胞系統を確立した。pSMCi−APN−GST−AWAQWA(配列番号1)挿入部のcDNA配列(924bp)を以下に示す。
ATGGCCAAGGGCTTCTATATTTCCAAGTCCCTGGGCATCCTGGGGATCCTCCTGGGCGTGGCAGCCGTGTGCACAATCATCGCACTGTCAGTGGTGTACTCCCAGGAGAAGAACAAGAACGCCAACAGCTCCCCCGTGGCCTCCACCACCCCGTCCGCCTCAGCCACCACCAACCCCGCCTCGGCCACCACCTTGGACCAAAGTGAGAATTTGTATTTTCAGGGTACTAGTTCCCCTATACTAGGTTATTGGAAAATTAAGGGCCTTGTGCAACCCACTCGACTTCTTTTGGAATATCTTGAAGAAAAATATGAAGAGCATTTGTATGAGCGCGATGAAGGTGATAAATGGCGAAACAAAAAGTTTGAATTGGGTTTGGAGTTTCCCAATCTTCCTTATTATATTGATGGTGATGTTAAATTAACACAGTCTATGGCCATCATACGTTATATAGCTGACAAGCACAACATGTTGGGTGGTTGTCCAAAAGAGCGTGCAGAGATTTCAATGCTTGAAGGAGCGGTTTTGGATATTAGATACGGTGTTTCGAGAATTGCATATAGTAAAGACTTTGAAACTCTCAAAGTTGATTTTCTTAGCAAGCTACCTGAAATGCTGAAAATGTTCGAAGATCGTTTATGTCATAAAACATATTTAAATGGTGATCATGTAACCCATCCTGACTTCATGTTGTATGACGCTCTTGATGTTGTTTTATACATGGACCCAATGTGCCTGGATGCGTTCCCAAAATTAGTTTGTTTTAAAAAACGTATTGAAGCTATCCCACAAATTGATAAGTACTTGAAATCCAGCAAGTATATAGCATGGCCTTTGCAGGGCTGGCAAGCCACGTTTGGTGGTGGCGACCATCCTCCAAAATCGGATCTGGTTCCGCGTGGATCCGCTTGGGCTCAGTGGGCT(配列番号8)
このcDNAによってコードされる翻訳配列(308aa)は
MAKGFYISKSLGILGILLGVAAVCTIIALSVVYSQEKNKNANSSPVASTTPSASATTNPASATTLDQSENLYFQGTSSPILGYWKIKGLVQPTRLLLEYLEEKYEEHLYERDEGDKWRNKKFELGLEFPNLPYYIDGDVKLTQSMAIIRYIADKHNMLGGCPKERAEISMLEGAVLDIRYGVSRIAYSKDFETLKVDFLSKLPEMLKMFEDRLCHKTYLNGDHVTHPDFMLYDALDVVLYMDPMCLDAFPKLVCFKKRIEAIPQIDKYLKSSKYIAWPLQGWQATFGGGDHPPKSDLVPRGSAWAQWA(配列番号9)である。
これらの翻訳配列で、KSLGILGILLGVAAVCTIIALSVVYSQ(配列番号9のアミノ酸9〜35)はAPNの膜貫通領域であり、EKNKNANSSPVASTTPSASATTNPASATTLDQS(配列番号9のアミノ酸36〜68)はAPNの主鎖ドメインであり、ENLYFQG(配列番号9のアミノ酸69〜75)はTEV切断部位であり、LVPRGS(配列番号9のアミノ酸297〜302)はトロンビン切断部位であり、また、AWAQWA(配列番号9のアミノ酸303〜308)はCMT基質である。
細胞培養およびトランスフェクション
ヒト胎児腎細胞(HEK−293T)およびベビーハムスター腎細胞(Py−BHK)は10%FCSを添加したDMEMで維持し、リポフェクタミン(Invitrogen)を用い、pSMCi−APN−GST−AWAQWA(配列番号1)cDNAでトランスフェクトした。トランスフェクションの前日、細胞を2.5×10細胞/100mmディッシュに播種した。DNA−リポフェクタミン混合物を製造業者の説明書に従って調製した。各ディッシュにつき、8mlのOpti−MEM1(Invitrogen)に10μgのプラスミドDNAおよび50μlのリポフェクタミンを加えた。7時間後、20%FCSを添加した同量のDMEMを加え、一晩インキュベートした。翌朝、トランスフェクト細胞を新鮮培地でインキュベートし、さらに48時間インキュベートした後、PBS−0.05%EDTA中に回収した。細胞をPBSで洗浄し、フローサイトメトリーにより分析するか、またはTEVプロテアーゼで消化してGST−融合タンパク質を回収した。細胞をpcDNA3.1−APN−GST−AWAQWA(配列番号1)およびpcDNA3.1/HygroCD59で同時トランスフェクトし、ネオマイシンとハイグロマイシンを含有する培地でクローンを選択することにより、細胞表面でAPN−GST−AWAQWA(配列番号1)とCD59を発現する安定細胞系統を作製した。
フローサイトメトリー
細胞表面タンパク質発現を検出するためのウサギ抗GST(Sigma)か、マンノシル化CMT基質を同定するためのウサギα5−10抗体かいずれかで細胞を標識した。発明者らはこれまでに、α5−10抗体がマンノシル化型のCMT基質に特異的であり、修飾されていないタンパク質は認識しないことを実証している(Krieg, J. et al., 1997)。細胞を40μmのストレイナー(Falcon)で濾過し、計数し、ブロッキングバッファー(PBS、1% BSA、10mM NaN、5%正常ヤギ血清)中に10細胞/mlで再懸濁した。氷上で30分インキュベーションした後、100μlの細胞を、ブロッキングバッファー中に5μg/mlに希釈した100μlの一次抗体とともに4℃で30分間インキュベートした。細胞を洗浄バッファー(PBS、1%BSA、10mM NaN)で洗浄した後、それらをブロッキングバッファー中に1:200希釈した100μlのヤギ抗ウサギIgG−FITC(Jackson ImmunoResearch)とともに4℃で30分間インキュベートした。染色された細胞を洗浄し、500μlの氷冷PBSに再懸濁させ、Becton Dickinson FacsCaliburにて、CellQuestソフトウエアを用いて分析した。陰性対照は、正常ウサギIgGでプローブしたトランスフェクト細胞、または特定の抗体とともにインキュベートした非トランスフェクト細胞からなった。この抗GST抗体は、約50%の細胞がそれらの表面上でGST−CMT基質融合タンパク質を発現したことを示した。このタンパク質の大部分は、α5−10抗体での染色によって示されるように、C−マンノシル化されていた。陰性対照は低いバックグラウンド染色を示した。このように、細胞表面で発現されたCMT基質のC−マンノシル化が初めて確立され、細胞に基づくアッセイの簡単な形式が提供された。
実施例2:細胞に基づくCMT活性に関するアッセイ
この系はここでは、タンパク質化学分析によって認識され得るC−マンノシル化モチーフを含む表面結合マーカータンパク質を用いて例示する。その方法論は、タンパク質化学分析が上記で用いたフローサイトメトリーに取って代わるか、または補足すること以外は、本質的に実施例1に記載した通りである。
タンパク質化学分析
発現したCMT基質をトランスフェクト細胞から精製し、LC−MSにより、本質的に次のようにしてC−マンノシル化ペプチドの存在に関して分析した。約5×10細胞をpSMCi−APN−GST−AWAQWA(配列番号1)cDNAでトランスフェクトし、上記のように回収した。細胞を氷冷PBSで洗浄した後、細胞ペレットを最終量500μlのTEVバッファー(50mM Tris−HCl、pH8.0、0.5mM EDTA、5mM DTT)に再懸濁した。100単位のTEVプロテアーゼ(Invitrogen)を加え、16℃で7時間穏やかに混合した。FACS分析によれば、インキュベーション5分後に、70%を超えるGST−AWAQWAタンパク質(配列番号1)が細胞表面から遊離したことが示された。
細胞をペレットとし、上清を遠心分離によりさらに明澄化した。この上清を、10%FCSおよびプロテアーゼインヒビターカクテル(1ml 40%DMSO、60%エタノール中、5mgのベンズアミジン、1mgのペプスタチンA、1mgのロイペプチン、1mgのアンチペイン、1mgのアンチキモトリプシン、20mgのPMSFを含有する500倍保存溶液20μl)を含有するDMEM10mlで希釈し、回転機上、4℃で一晩、グルタチオン−アガロースビーズ(Amersham Pharmacia)とともにインキュベートした。このサンプルをBioRadカラムに移し、ビーズを3mlのバッファーA(5mM EDTA、2mM DTTを含有するPBS)、次いで3mlのバッファーB(250mM NaClを含むバッファーA)で洗浄し、3mlの50mM Tris−HCl、pH8.0の最終洗浄を行った。次に、洗浄したビーズを200μlの50mM Tris−HCl、pH8.0、20mM 還元型グルタチオン、2mM DTT中、37℃で1時間振盪しながらインキュベートした。このカラムをMicrocon UltraFree tube上に置き、3分間1000rpmで遠心分離した。溶出したGST融合タンパク質を含む濾液をさらにC4カラムを用いて逆相HPLCにより精製した。このカラムを溶媒A(0.1%トリフルオロ酢酸TFA)で平衡化し、20%溶媒B(0.1%TFA、80%CHCN)で洗浄し、30分にわたり溶媒Bの直線的配を用いて溶出させた。このタンパク質を214nmでモニタリングした。CMT基質ペプチドを、トロンビンでの切断によりGST融合タンパク質から遊離した。乾燥させたタンパク質のピーク(約10μg)を5μlの9M尿素に溶解した後、43μlの50mM Tris−HCl、pH8.0および2μl(4単位)のトロンビンを添加し、室温で1時間インキュベートした。ペプチドの分析は、0.05%TFA、2%CHCNで平衡化したC18カラムを用いてLC−MSにより行い、30分にわたり20〜80%の溶媒B(0.045%TFA、80%CHCN)の直線勾配を用いて展開した。このHPLCを、API300質量分光光度計のインターフェースと接続した。GSA(マンノース)WAQWA(1038Da;配列番号9のアミノ酸304〜308)およびGSAWAQWA(876Da;配列番号9のアミノ酸301〜308)に関して期待された質量のペプチドが認められた。
この実施例はC−マンノシル化CMT基質と修飾されていない同等物の質量を確認することにより本発明を例示するものであるが、当業者には、他の方法が、例えば検出可能な標識または抗体を用い、細胞表面から遊離した修飾CMT基質の存在を確認するためのハイスループット形式のために容易に考案できることが明らかである。
実施例3:細胞に基づくCMT活性に関するアッセイ
この実施例では、細胞基質からCMT基質を遊離させるためにプロテアーゼを用いる代わりに、分泌型のCMT基質が用いられる。GST−AWAQWA(配列番号1)融合タンパク質は、実施例1に記載のpSMCi−ssEDN−GST−AWAQWA(配列番号1)でトランスフェクトされた細胞のコンディショニング培地から得られた。このコンディショニング培地を、Centricon plus−80チューブ(Millipore)を用いる限外濾過により35倍に濃縮した。GST融合タンパク質の精製、およびその後のペプチドの遊離は実施例2に記載のように行った。
実施例4:細胞に基づくCMTインヒビターに関するスクリーニング
CMTインヒビターとしての薬剤の効率的なスクリーニングのためには、実施例1に記載のアッセイを用いることができる。阻害剤は、細胞への抗体の結合が存在しない、または低下していることによって検出できる。さらに、C−マンノシル化はDPMを必要とする。グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーを含む、CD59などの第2のリポーター分子を所望により含めてもよく、これはDPM合成経路のインヒビターを排除する陽性マーカーとして機能する。
要するに、APN−GST−WAQWA、また所望によりCD59を安定発現するヒト胎児腎細胞(HEK293T)を、約20%のコンフルエンシーで384ウェルマイクロタイタープレートのウェルに播種する。試験薬剤または試験薬剤の組合せをDMSO中の保存液として最終濃度1mM〜10mMまで、または当業者には明らかなように、他の好適な濃度または溶媒を加えることができる。薬剤を添加した後、細胞を約90%のコンフルエンシーまで増殖させ、洗浄し、APCで蛍光標識されたα5−10抗体、およびFITC標識でされた抗CD59抗体で染色する。抗体の結合2100 Envision装置(Perkin Elmer)で測定する。非処理対照に比べてα5−10の結合が低下したが、抗CD59の結合には作用しない薬剤がCMT活性の可能性のある特異的インヒビターであり、すなわち、それらはさらなる細胞機能を有するドリコールリン酸マンノース(DPM)合成経路には影響を及ぼさない。
実施例5:細胞に基づくCMTインヒビターに関する
APN−GST−WAQWAとCD59を安定発現するHEK293T細胞を実施例2に記載のようにTEVプロテアーゼで処理する。プロテアーゼを洗い流した後、細胞を約50%のコンフルエンシーで384ウェルマイクロタイタープレートのウェルに播種する。DMSO中の保存液として最終濃度1mM〜10mMまで加え、18時間および36時間インキュベーションを続ける。抗体の結合およびインヒビターの確認については、実施例4に記載のようにアッセイする。
【配列表】
Figure 2006501833
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Figure 2006501833

Claims (10)

  1. C−マンノシルトランスフェラーゼ(CMT)活性をアッセイする方法であって、
    i)CMTと融合タンパク質を含む細胞を準備する工程(該融合タンパク質はCMT基質と膜貫通ドメインを含む)、
    ii)該細胞において該CMT基質に対する該CMTの作用によりC−マンノシル化CMT基質の形成を誘導し得る条件を提供する工程、および
    iii)該細胞表面上で該C−マンノシル化CMT基質を検出する工程
    を含む方法。
  2. 該基質の該C−マンノシル化が抗体を用いて検出される、請求項1に記載の方法。
  3. 該抗体がC−マンノシル化CMT基質に特異的である、請求項2に記載の方法。
  4. 該基質の該C−マンノシル化が標識を用いて検出される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 該融合タンパク質をプロテアーゼで切断することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  6. C−マンノシルトランスフェラーゼ(CMT)活性の調節に有効な薬剤を同定する方法であって、推定薬剤の存在下において請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法の工程を行い、かつC−マンノシル化CMT基質の量の増加または減少を検出する段階を含む方法。
  7. C−マンノシル化の量の低下が達成され、該調節がCMT活性の阻害である、請求項6に記載の方法。
  8. C−マンノシル化の量の増加が達成され、該調節がCMT活性の活性化である、請求項6に記載の方法。
  9. GPIアンカーの存在を検出することをさらに含む、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 請求項6〜9のいずれか一項によって同定された薬剤。
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