JPH08507686A - 遺伝子操作酵素及びそれらの診断アッセイ用結合体 - Google Patents

遺伝子操作酵素及びそれらの診断アッセイ用結合体

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JPH08507686A JP6520285A JP52028594A JPH08507686A JP H08507686 A JPH08507686 A JP H08507686A JP 6520285 A JP6520285 A JP 6520285A JP 52028594 A JP52028594 A JP 52028594A JP H08507686 A JPH08507686 A JP H08507686A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、遺伝子操作酵素、そのリガンド結合体、その製造、及びその定性又は定量アッセイでの使用に関する。AP−エピトープのようなハイブリッド酵素は、出発AP酵素の活性部位付近に挿入された外来アミノ酸部分(エピトープ)を有する。外来アミノ酸部分は被分析物質と結合し、この結合の結果、ハイブリッド酵素であるAP−エピトープの酵素活性が変性する。酵素活性の変化は、被分析物質の存在又は量に依存する。他の実施態様では、ハイブリッド酵素は、ハイブリッド酵素生成のためにAPの活性部位付近に導入されたシステインからなる。ハイブリッド酵素上のシステインは、ハイブリッド酵素−リガンド結合体生成のためのリガンド(例えばテオフィリン、フェリチン、チロキシン又はジゴキシゲニン)の結合点として機能する。リガンドは、抗体、被分析物質又は該被分析物質の結合分子と結合し、この結合の結果、ハイブリッド酵素−リガンド結合体の酵素活性が変化又は変性する。

Description

【発明の詳細な説明】 遺伝子操作酵素及びそれらの診断アッセイ用結合体 発明の背景 アルカリ性ホスファターゼ(AP)は、タンパク質操作に適当となる幾つかの 長所を有する酵素である。例えば、野生型タンパク質の配列を維持しつつも(C hang,C.N.,Kuang,W.J.及びChen,E.Y.(1986 )Gene 44,121−125)、DNA配列中に固有の制限部位を有する (Mandecki,W.,Shallcross,M.A.,Sowadsk i,J.及びTomazic−Allen,S.(1991)Protein Engineering ,801−804)、“phoA”の名で知られる 合成AP遺伝子が構築されている。合成phoA遺伝子からは高レベルのAPが 発現される。発現は、Escherichia coli(E.coli)中で lacプロモーター制御下の高コピープラスミドを用いて行われた(Mande cki,W.,Shallcross,M.A.,Sowadski,J.及び Tomazic−Allen,S.(1991)Protein Engine ering ,80 1−804)。ホモダイマータンパク質の結晶構造はX線回折によって決定され ている(Sowadski,J.M.,Handschumacher,M.D .,Murthy,H.M.K.,Foster,B.A.及びWyckoff ,H.W.(1985)J.Mol.Biol.186,417−433;Ki m,E.E.及びWyckoff,H.W.(1991)J.Mol.Bio 218 ,449−464)。構造からは、表面ループの位置、タンパク質の領域 の構造適合性及び溶剤アクセシビリティー、並びにアミノ酸(a.a.)残基の 触媒活性部位からの距離についての情報が得られる。一般に、活性部位の極めて 近傍に点突然変異があってもAP活性は破壊されず、場合によっては触媒速度が 増加されることがある(Butler−Ransohoff,J.E.,Ken dall,D.A,及びKaiser,E.T.(1988)Proc.Nat l.Acad.Sci.USA 85,4276−4278;Chaidaro glou,A.及びKantrowitz,E,R.(1989)Protei n Engineering ,127−132;Mandecki,W., Shallcross,M.A., Sowadski,J.及びTomazic−Allen,S.(1991)P rotein Engineering ,801−804)。最後に、AP の触媒活性は高いが、基質特異性は低い。活性部位周辺領域は広範囲の種々の分 子を受容するが、酵素は基質のリン酸部分のみを認識し結合する(Sowads ki,J.M,,Handschumacher,M.D.,Murthy,H .M.K.,Foster,B.A.及びWyckoff,H.W.(1985 )J.Mol.Bio.186,417−433)。 高レベルのペプチドホルモンを発現するため(Freimuth,P.I., Taylor,J.W.及びKaiser,E.T.(1990)J.Biol .Chem.265,896−901;Langen,H.T.及びTaylo r,J.W.(1992)Proteins:Structure,Funct ion及びGenetics 14,1−9)、抗原表示に及ぼすタンパク質の 構成(contex)の作用を試験するため(Freimuth,P.及びStein man,R.M.(1990)Res.Microbiol.141,995− 1001)、並び に酵素−イムノアッセイ及び酵素−レセプターアッセイに使用するためのレセプ ターに結合するヘビ神経毒を発現するため(Gillet,D.,Ducanc el,F.,Pradel,E.,Lonetti,M.,Mnez,A.及び Boulain,J.−C.(1992)Protein Engineeri ng ,273−278)のベヒクルとして使用すべくAPの内部領域にペプ チドを挿入することが記載され、APの表面適合性及び変動性が示されている( Freimuth,P.I.,Taylor,J.W.及びKaiser,E. T.(1990)J.Biol.Chem.265,896−901)。 15個のアミノ酸からなるホルモンペプチド ダイノルフィンの挿入はアミノ 酸166と167の間及び190と191の間で容認され(Freimuth, P.I.,Taylor,J.W.及びKaiser,E.T.(1990)J .Biol.Chem.265,896−901)、ソマトスタチン−14を含 む11及び19個のアミノ酸からなるペプチドは、酵素活性に有意に影響を及ぼ すことなくAP中のアミノ酸92〜94を置換した(Langen,H.T.及 びTaylor,J.W.(1992)P roteins:Structure,Function,and Genet ics 14,1−9)。AP−ソマトスタチン組換えタンパク質は抗ソマトス タチンポリクローナル抗体及びソマトスタチンレセプターによって結合され、該 ペプチドが組換えタンパク質の生の(native)コンホーメーションにおいて表面 に露出されることが判る。62個のアミノ酸からなるヘビ神経毒エラブトキシン はAPのアミノ6と7の間に挿入された。融合タンパク質においてAP活性は保 持され、神経毒はニコチンアセチルコリンレセプターに結合する生物学的機能を 保持する(Gillet,D.,Ducancel,F.,Pradel,E. ,Lonetti,M.,Mnez,A.及びBoulain,J.−C.(1 992)Protein Engineering ,273−278)。 APは、診断アッセイ、特に特異的結合アッセイ方式における酵素検出試薬と して一般に使用されている。通常、かかる特異的結合アッセイ方式は、結合分子 対の第1結合分子が結合分子対の第2結合分子に特異的に結合し得る能力に依存 するもので、酵素で標識された結合分子の一方を含む結合体を使用してかかる結 合の程度が決定される。例 えばかかる結合分子対が被分析物質とかかる被分析物質に対する抗体である場合 、被分析物質との結合反応に関与したまたはしなかった結合体中に存在する酵素 の量によって結合の程度が決定される。ここで、検出及び測定される酵素の量は 検査試料中に存在する被分析物質の量に相関し得る。 リガンドの分子への結合は当分野において公知の方法に従って従来から行われ ているが、かかる方法は非特異的であり、所望の分子のリガンドへの結合の位置 、向き及び数を正確に制御することはできない。分子が酵素であるならば、リガ ンドが非特異的に結合することで望ましい固有の酵素活性が損なわれることがあ るし、特異的結合アッセイの場合では、結合が酵素の活性部位からはるか遠くで 起こると、結合分子が結合することで形成された結合体の変性は不十分または僅 かでしかなく、アッセイの動的範囲は少なく、バックグラウンドシグナルは高く なり得る。 発明の要約 本発明は、遺伝子操作タンパク質、例えばハイブリッド酵素、その製造、並び に、定性及び定量分析におけるその使用に係わる。かかるハイブリッド酵素の例 としてはAP −エピトープ及びハイブリッド酵素−リガンド結合体がある。本発明は更にハイ ブリッド酵素をコードするDNA配列を提供する。かかるハイブリッド酵素は新 規の特性を有し、被分析物質の定性及び定量両方の分析において新規方法を可能 にする。 本発明の1つの実施態様に従うハイブリッド酵素は、出発酵素と、出発酵素の アミノ酸配列中に置換または挿入された外来アミノ酸部分とを含んで提供される 。出発酵素のアミノ酸配列中に置換または挿入された外来アミノ酸部分は、出発 酵素の活性部位近傍の領域に存在し、出発酵素の酵素活性が場合によっては変性 されたハイブリッド酵素を与える。外来アミノ酸部分には更に結合分子が結合し 得、このような結合により、ハイブリッド酵素の活性は変性または調節され得る 。 本発明の別の実施態様によれば、ハイブリッド酵素は、外来アミノ酸部分が出 発酵素の活性部位近傍のアミノ酸配列に置換または挿入によって導入されている 出発酵素からなる。ハイブリッド酵素上の外来アミノ酸部分は、リガンドのカッ プリングまたは結合のための付着点として作用する。リガンドが酵素と結合した とき、そのリガンドに更に 結合分子が結合することができ、ハイブリッド酵素の酵素活性が変性され得る。 本発明の更に別の実施態様によれば、かかるハイブリッド酵素を定性または定 量分析に使用する方法が提供される。特に本発明方法は、(1)被分析物質を含 む検査試料と、本発明のハイブリッド酵素と、被分析物質の結合分子とを接触さ せ、反応混合物を形成するステップ;(2)前記反応混合物を、出発酵素に対す る基質と接触させるステップ;及び(3)反応混合物中に存在する被分析物質の 種類または量に従い、ハイブリッド酵素の酵素活性の変化をモニターするステッ プを含む。ステップ(2)は、反応混合物を定常または平衡状態としてから実施 することもできるし、またステップ(1)は順次または同時に実施することがで きる。 本発明によれば、酵素活性の変化は検査試料中の被分析物質の存在または量に 依存する。即ちハイブリッド酵素は、(1)抗体の存在または量を直接に、また は(2)結合分子への結合の競合によって抗原の存在または量を間接的に検出す るアッセイの基礎をなす。 図面の簡単な説明 図1は、変性のために選択される領域にラベルを付けたAPの3次元構造図で ある。 図2A〜図2Cは、構築に使用したユニーク制限部位を含む合成phoA遺伝 子のDNA配列を示す。 図2D〜2Eは、成熟APのアミノ酸配列を示す。 図3A〜3Dは、pAPI(AP−エピトープをコードするプラスミド)の構 築に使用されるオリゴデオキシリボヌクレオチドのヌクレオチド配列を示す。 図4は、エピトープ挿入または置換領域のAP−エピトープのアミノ酸配列を 示す。 図5A〜図5Bは精製AP−エピトープのウェスターンブロットを示す。一次 抗体は抗gp120MAbであり、二次抗体は西洋ワサビペルオキシダーゼ標識 ヤギ抗マウスIgGであった。図5A.)天然ゲル:レーン1,ヘモグロビンタ ンパク質マーカー;レーン2,ブランク;レーン3,AP(1mg);レーン4 ,API1(1mg);レーン5,API6(1mg);レーン6,API7( 1mg)。図5B.)SDSゲル:レーン1,分子量マーカー;レーン2,AP (0.2mg);レーン3,API1(0.2mg);レーン4,API6(0 .2mg);レーン 5,API7(0.2mg);レーン6,ブランク。 図6は、基質としてp−ニトロフェニルホスフェート(PNPP)を使用した ときの種々の濃度の抗gp120MAbによるAP−エピトープ酵素活性の変性 を示す。AP−エピトープは5nM存在し、活性は、抗gp120MAbの不在 下でのPNPPの加水分解の初速度に対して表わしてある。 図7は、基質としてFDPを使用したときの種々の濃度の抗gp120MAb によるAP−エピトープ酵素活性の変性を示す。AP−エピトープは5nM存在 し、活性は、抗gp120MAbの不在下でのFDPの加水分解の初速度に対し て表わしてある。 図8は、基質として4−メチルウンベリフェリルホスフェート(MUP)を使 用したときの抗gp120MAbによるAPI1酵素活性の変性を示す。API 1は0.05nM存在し、活性は、抗gp120MAbの不在下でのMUPの加 水分解の初速度に対して表わしてある。 図9は、PNPPを基質としたときの抗gp120MAbによるAPI1酵素 活性の変性に及ぼすHIV−1 gp120ペプチドの作用を示す。API1( 5nM)とペ プチドを前混合してから抗gp120MAb(20nM)を添加した。活性は、 所与の濃度のペプチドの存在下で且つ抗gp120MAbの不在下でAPI1を アッセイしたときの活性に対して表わしてある。 図10Aは、抗gp120MAb(20nM)及びペプチド(pep)245 010(4μM)の存在下または不在下でのAPI1(5μM)による基質PN PPの経時的加水分解速度を示す。API1及びペプチドを含む反応(記号“A PI1+pep”で示す)においてはAPI1とペプチドを相互に混合した。A PI1、ペプチド及び抗gp120MAbを含む反応(記号“API1+pep +MAb”で示す)においては、API1とペプチドを前混合してから抗gp1 20MAbを添加した。API1と抗gp120MAbを含む反応(記号“AP I1+MAb”で示す)においては、API1と抗gp120MAbを相互に混 合した。API1、抗gp120MAb及びペプチドを含む反応(記号“API 1+MAb+pep”で示す)においては、API1及び抗gp120MAbを 前混合してからペプチドを添加した。 図10Bは、API1−抗gp120MAb複合体の解 離速度定数の決定を示す。データポイントは、図10Aのごとく実施した2つの 独立の試験の結果を表わす。 図11A及び11Bは、AP1と抗gp120MAbとの間の複合体形成に対 するゲルシフトアッセイを示す。図11A.)12.5%天然ゲル:レーン1, ヘモグロビンタンパク質マーカー;レーン2,AP(1.1μM);レーン3, AP(1.1μM)+抗gp120MAb(0.67μM);レーン4,API 1(1,1μM);レーン5,API1(1.1μM)+抗gp120MAb( 0.67μM)。図11B.)7.5%天然ゲル:レーン1,ヘモグロビンタン パク質マーカー;レーン2,API1(0.5μM);レーン3,API1(0 ,5μM)+抗gp120MAb(0.1μM);レーン4,API1(0.5 μM)+抗gp120MAb(0.2μM);レーン5,API1(0.5μM )+抗gp120MAb(0.3μM);レーン6,API1(0,5μM)+ 抗gp120MAb(0.5μM);レーン7,API1(0.5μM)+抗g p120MAb(1.0μM);レーン8,AP(0.5μM)。 図12は、AP−エピトープによる、試料中の抗体の存 在に対する直接ホモジニアスアッセイの概略図である。 図13は、AP−エピトープによる、試料中の抗原の存在に対する競合ホモジ ニアスアッセイの概略図である。 図14は、ハイブリッド酵素−リガンド結合体による、試料中の被分析物質の 存在に対する競合ホモジニアスアッセイの概略図である。ハイブリッド酵素−リ ガンド結合体は図では「触媒−ハプテン」と示されている。 図15A〜15Cは、AP及び天然残基(下線部)がシステインで置換されて いるハイブリッド酵素(システイン突然変異体)のアミノ酸配列を示す。 図16A及び16Bは、リガンド誘導体の構造式を示す。Tnは、リンカーア ーム中のメチレンの数が異なるテオフィリン誘導体を指す。Thyはチロキシン 誘導体を示しており、ThyA、ThyB及びThyCはリンカーアーム中のメ チレン数が異なるものを表わし、Dはジゴキシゲンを表わし、DA、DB、DC はリンカーアーム中のメチレン数が異なるものを表わし、FDP、DMFDP及 びPNPPはAPの種々の基質を表わす。 図17は、テオフィリンハイブリッド酵素−リガンド結合体の酵素活性を示す 。 図18A及び18Bは、テオフィリン誘導体が種々の長さのリンカー基を介し てハイブリッド酵素の種々の位置に付着しているハイブリッド酵素−リガンド結 合体における飽和量の抗体の存在下での残留酵素活性を示す。図18Aはヒツジ ポリクローナル抗体の作用を示し、図18Bはマウスモノクローナル抗体の作用 を示す。 図19は、種々のメチレンリンカー基を有するリガンドとしてチロキシン誘導 体を含むハイブリッド酵素−リガンド結合体に、モノクローナル抗体を添加する ことの作用を示す。Thy−3、ThyA−3、ThyB−3及びThyC−3 はAPKJ3に結合した種々のチロキシン誘導体を指す。 図20は、種々の濃度のヒツジ抗体の存在下で、μl量の血清ベースのテオフ ィリン校正試薬をテオフィリンハイブリッド酵素−リガンド結合体(T1−3) に添加することの作用を示す。 図21は、テオフィリン試料中に投入された内在AP試料の相関図を示す。 図22は、ハイブリッド酵素−リガンド結合体、CTP−APKJ4、抗体及 びhCG標準を使用したヒト絨毛性 性腺刺激ホルモン(hCG)の校正曲線を示す。 図23は、フェリチンハイブリッド酵素−リガンド結合体の酵素活性減退を示 す。 発明の詳細 使用する記号は以下の通りとする: ヌクレオチド: A アデノシン C シトシン G グアニン T チミン アミノ酸: Ala A アラニン Arg R アルギニン Asn N アスパラギン Asp D アスパラギン酸 Cys C システイン Gln Q グルタミン Glu E グルタミン酸 Gly G グリシン His H ヒスチジン Ile I イソロイシン Leu L ロイシン Lys K リシン Met M メチオニン Phe F フェニルアラニン Pro P プロリン Ser S セリン Thr T トレオニン Trp W トリプトファン Tyr Y チロシン Val V バリン a.a. アミノ酸 AP アルカリ性ホスファターゼ ATP アデノシン三リン酸 BSA ウシ血清アルブミン BCIP 5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸 DMFDP ジメチル−フルオレセインジホスフェート DMSO ジメチルスルホキシド DTT ジチオトレイトール EDTA エチレンジアミン四酢酸 FDP フルオレセインジホスフェート HPLC 高速液体クロマトグラフイー IPTG イソプロピルD−チオガラクトピラノシド MAb モノクローナル抗体 MUP 4−メチルウンベリフェリルホスフェート PNPP p−ニトロフェニルホスフェート SDS ドデシル硫酸ナトリウム X−gal 5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル β−D−ガラクトピラノシド 本発明は広義にはタンパク質に適用可能であるが、特に遺伝子操作タンパク質 、例えば酵素並びにその定性及び定量分析における使用に係わる。酵素以外のタ ンパク質の例としては、ヘムタンパク質、担体及びレセプタータンパク質が挙げ られる。挿入または置換外来アミノ酸部分を受容し、遺伝子操作タンパク質の変 化に影響する結合分子を結合するよう遺伝子操作し得る任意のタンパク質を使用 し得る。 本発明によれば、好ましくはタンパク質安定性及び触媒活性が高い酵素を、ハ イブリッド酵素に変性するための 「出発」酵素として使用し得る。出発酵素は、天然酵素、天然酵素の酵素活性フ ラグメント、または遺伝子操作酵素とし得る。出発酵素は、ポリペプチド、リボ チームまたは触媒性抗体(catalytic antibodies)の形態であり得る。出発酵素 としては、限定的ではないが、アデノシンデアミナーゼ;アルカリ性ホスファタ ーゼ;α−アミラーゼ;細菌ルシフェラーゼ;β−ガラクトシダーゼ;β−ガラ クトシダーゼフラグメント;β−ラクタマーゼ;カルボニックアンヒドラーゼ; カタラーゼ;ホタルルシフェラーゼ;グルコースオキシダーゼ;グルコース−6 −ホスフェートデヒドロゲナーゼ;グルコシダーゼ;ヘキソキナーゼ;西洋ワサ ビペルオキシダーゼ;インベルターゼ;イソクエン酸デヒドロゲナーゼ;リゾチ ーム;リンゴ酸デヒドロゲナーゼ;マイクロペルオキシダーゼ;6−ホスホフラ クターゼ;ホスホグルコムターゼ;ホスホリパーゼC;ピルビン酸キナーゼ;ウ レアーゼ;及びキサンチンオキシダーゼなどが挙げられる。 本明細書において使用される「活性部位」なる用語は、特異的基質に結合し、 それを触媒的またはその他の方式で生成物に変換する酵素の部分を意味する。酵 素の活性部位 は触媒中心と基質結合部位とからなる。活性部位は、キモトリプシンのように酵 素分子の表面に存在することもあるし、リゾチーム、パパイン、カルボニックア ンヒドラーゼまたはリボヌクレアーゼのように裂溝中に存在することもある。活 性部位は通常は限定数のアミノ酸残基のみを含む。外来アミノ酸部分は、出発酵 素の活性部位の触媒機構に関与する位置にあるアミノ配列中には置換または挿入 されないのが好ましい。外来アミノ酸部分は、活性部位の中心から通常は約1〜 約50=、好ましくは約2〜約25=、最も好ましくは約3〜15=離れた位置 にある配列中に置換または挿入される。タンパク質の表面にあるループ中の位置 及び残基は、出発タンパク質のアミノ酸配列中に外来アミノ酸部分を置換または 挿入するのによい位置である。更に、活性部位が出発酵素の腔部内にある場合、 腔部を取り囲む領域は、出発タンパク質のアミノ酸配列中に外来アミノ酸部分を 置換または挿入するのによい位置である。ある酵素に対して、かかる挿入または 置換外来アミノ酸部分のために「アロステリック部位」を選択することができる 。アロステリック部位は、その部位での結合事象により酵素の酵素活性が調節さ れるように分子に結合し得る。 本明細書において使用される「被分析物質」とは、本発明を使用して検査試料 において検出される物質である。被分析物質は、それに対する天然結合分子(例 えば抗体)が存在するかまたはそれに対する結合分子を製造し得る任意の物質と し得、被分析物質はアッセイにおいて1つ以上の結合分子に結合し得る。従って 被分析物質としては、抗原性物質、ハプテン、抗体及びこれらの組合せを挙げる ことができる。被分析物質はタンパク質、ペプチド、アミノ酸、炭水化物、ホル モン、ステロイド、ビタミン、脂質、核酸、ペプチド、微量元素、治療目的で投 与されたもの及び不正に投与されたものを含む薬剤、細菌、ウイルス、及びこれ らの物質の代謝物またはそれに対する抗体であり得る。 本明細書において使用される「結合分子」とは、結合分子対、即ち一方の分子 が化学的または物理的手段を介して第2の分子に特異的に結合する2種類の異な る分子の一方である。抗原及び抗体結合分子のほか、他の結合分子としては、ビ オチンとアビジン、炭水化物とレクチン、(核酸配列を検出するためにDNAハ イブリダイゼーションに使用されるプロープと捕捉される核酸配列を含む)相補 的核酸配列、エフェクター分子とレセプター分子、酵素補因子 と酵素、酵素阻害物質と酵素などが挙げられる。更に結合分子は、元の結合分子 の類縁物であるものを含み得る。例えば、被分析物質と共通の少なくとも1つの エピトープまたは結合部位を有する被分析物質の誘導体またはフラグメントのよ うな被分析物質類縁物を使用することもできる。免疫反応性結合分子としては、 抗原、ハプテン、抗体、及び、組換えDNA法またはペプチド合成によって形成 されるものを含むこれらの複合体が挙げられる。 本明細書において使用される「結合」なる用語は、一方の部分が他方に化学的 にカップリングして結合体を形成することを意味する。タンパク質に共有結合す るためのカップリング剤が米国特許第5,053,520号明細書に記載されて おり、該明細書の内容は参照により本明細書に包含されるものとする。酵素を抗 体にカップリングするためのホモ二官能性剤は、1992年4月30日公開PC T国際特許出願公開第WO92/07268号に記載のごとく当分野において公 知である。 本明細書において使用される「外来アミノ酸配列」とは、1つ以上のアミノ酸 またはアミノ酸配列を含むペプチドを意味する。ペプチドは、ポリペプチド、エ ピトープまたは エピトープを模倣し得る構造体であり得る。外来アミノ酸部分が出発タンパク質 のアミノ酸配列中に置換または挿入され、その結果遺伝子操作タンパク質が得ら れる場合、外来アミノ酸部分は、被分析物質用の結合表面またはリガンド用の結 合部位のいずれかを形成し得る。酵素は遺伝子操作タンパク質の一例である。外 来アミノ酸部分が出発酵素のアミノ酸配列中に置換または挿入されるとハイブリ ッド酵素が与えられる。外来アミノ酸部分はハイブリッド酵素の酵素活性に3種 類の態様で影響を及ぼし得る。第1には、外来アミノ酸を出発酵素のアミノ酸配 列中に置換または挿入してもハイブリッド酵素の酵素活性にそれほど影響しない が、被分析物質がハイブリッド酵素に結合するとハイブリッド酵素の酵素活性は 低下する。第2には、外来アミノ酸部分を出発酵素のアミノ酸配列中に置換また は挿入してもハイブリッド酵素の酵素活性にそれほど影響しないが、被分析物質 がハイブリッド酵素に結合するとハイブリッド酵素の酵素活性は増強される。第 3には、外来アミノ酸部分を出発酵素のアミノ酸配列中に置換または挿入すると ハイブリッド酵素の酵素活性に著しく影響し、更に被分析物質がハイブリッド酵 素に結合するとハイブリッド酵素の酵 素活性が増強される。 本明細書において使用される「ハイブリッド酵素」とは、出発酵素のアミノ酸 配列中に置換または挿入された外来アミノ酸部分の産物である。外来アミノ酸部 分は、1つ以上のアミノ酸またはアミノ酸配列を含むペプチドであり得る。外来 アミノ酸部分はエピトープを模倣することもできるし、またはリガンドの結合部 位ともなり得る。 「リガンド」は、別の化学基または分子に結合し得る化学基または分子と定義 される。リガンドは、被分析物質の結合に対して競合するかまたはそれを妨害し 得る分子種である。かかるリガンドは小分子でも巨大分子でもよい。リガンドの 例としてはテオフィリン、抗生物質、ペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質及 び核酸が挙げられる。好ましいのは、被分析物質のエピトープを提示または模倣 する小分子量オリゴペプチドを使用することである。リガンドは、出発酵素のア ミノ酸配列中に挿入または置換された外来アミノ酸部分に化学的リンカーを介し て共有結合される。ヘテロもしくはホモ二官能性または光反応性リンカーを使用 し得る。リンカーの例としてはカルボジイミド、グルタルアルデヒド、ハロホル メート、ヨードアセトアミド、マ レイミド、N−ヒドロキシスクシンイミド、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニ トロベンゼン、イミデート、アジ化アリール、アリール酸ヒドラジド、及びp− ニトロフェニル−2−ジアゾ−3,3,3−トリフルオロプロピオネートが挙げ られる。 本明細書において使用される「反応混合物」とは、検査試料と、検査試料中の 被分析物質を検出すべく本発明を適用するのに使用される他の物質との混合物を 意味する。反応混合物は希釈剤及び緩衝剤を含み得る。 本明細書において使用される「検査試料」とは、本発明を使用して検出及び分 析される被分析物質を含む試料を意味する。検査試料は、被分析物質以外の他の 物質を含み得、液体または固体の物理的特性を有し得、例えば液体移動流を含む 、任意のサイズ及び容積のものとし得る。検査試料は結合分子が被分析物質また は被分析物質類縁物と特異的に結合するのを妨害しない限りは、被分析物質以外 の任意の物質を含み得る。検査試料の例としては、限定的ではないが、血清、血 漿、髄液、痰、精液、羊水、尿、唾液、他の体液、並びに、地下水や廃水、土壌 抽出物及び殺虫剤残留物といった環境サンプルが挙げられる。 本発明の1つの実施態様においては、外来アミノ酸部分はエピトープであり得 る。外来アミノ部分は出発酵素の表面に直接挿入することもできるし、出発酵素 の表面にあるアミノ酸配列の一部を置換するよう使用することもできる。本明細 書において使用される「挿入」なる用語は、N末端またはC末端融合とは逆の、 内部融合を意味する。即ち、外来アミノ酸部分が直鎖状ペプチドである場合、ペ プチドの2つの末端、即ち両端が、出発酵素の表面にある隣り合う2つのアミノ 酸に接続、結合、または融合される。そうすると外来アミノ酸部分は、出発酵素 の表面にある隣り合う2つのアミノ酸の間に位置する。この外来アミノ酸部分か ら形成された結合表面は更に、被分析物質または抗体といった結合分子に結合す ることができる。ハイブリッド酵素の酵素活性は、(1)外来アミノ酸部分が出 発酵素のアミノ酸配列の触媒活性部位の近傍の領域に置換または挿入され、且つ (2)外来アミノ酸部分がその結合分子を結合したときに変性または調節される 。即ち、外来アミノ酸部分から形成された結合表面に結合分子が結合したとき、 外来アミノ酸部分が出発酵素の活性部位の近傍にあるならば、ハイブリッド酵素 の酵素活性は調節される。また、外来ア ミノ酸部分は活性部位から離れた部位にあり得るが、それでも酵素活性を調節し 得る。被分析物質は、テオフィリンのごとき小分子または抗体のごとき巨大分子 とし得る。 本発明の1つの実施態様におけるハイブリッド酵素が定性または定量分析に適 当であるためには、ハイブリッド酵素は以下の基準を満足する必要がある:(1 )外来アミノ酸部分が出発酵素のアミノ酸配列中に置換または挿入されているが 、得られたハイブリッド酵素の酵素活性はそれほど破壊されていない;(2)得 られたハイブリッド酵素内の外来アミノ酸部分が更に結合分子を結合し得る;及 び(3)ハイブリッド酵素の結合部位に結合したとき、結合分子がハイブリッド 酵素の酵素活性を調節する。エピトープとして作用する外来アミノ酸部分を含むハイブリッド酵素(ハイブリ ッド酵素−エピトープ) 本発明は一般にタンパク質に適用可能であるが、特に遺伝子操作タンパク質、 並びに定性及び定量分析におけるそれらの使用に係わる。外来アミノ酸部分が出 発タンパク質のアミノ酸配列中に置換または挿入される。外来アミノ酸部分は、 結合分子に対する結合部位として作用し、結合分子によって結合されると、遺伝 子操作タンパク質の変化が 測定される。 遺伝子操作タンパク質の一例は酵素であり得る。ペプチド配列が出発酵素のア ミノ酸配列中に置換または挿入され得る。抗体を直接検出するための遺伝子操作 酵素を構築するためには、抗原のエピトープを出発酵素のアミノ酸配列中に置換 または挿入し、ハイブリッド酵素−エピトープを得る。例えばHIV−1及びH IV−2に対するハイブリッド酵素−エピトープを用いたアッセイは、出発酵素 のアミノ酸配列中に挿入または置換されたHIV−1及びHIV−2 gp41 ペプチド由来のアミノ酸584〜614によってコードされるHIV−1 gp 120タンパク質のV3ループを含む。 競合によって抗原を検出するハイブリッド抗原−エピトープを構築するために は、抗原上の既定のエピトープに対する親和性を有する抗体が必要であり、既定 エピトープが、出発酵素のアミノ酸配列中に置換または挿入される。 一般にエピトープのごとき外来アミノ酸部分は、出発タンパク質のアミノ酸配 列中に以下のように置換または挿入される。該タンパク質の遺伝子を発現プラス ミド中にクローニングする。これは、ポリメラーゼ連鎖反応(“PCR” )を使用し、原核性または真核性微生物たる天然酵素源由来の遺伝子のDNA配 列を増幅することにより行い得る。PCR増幅過程には、タンパク質の部分アミ ノ酸配列、遺伝子の部分ヌクレオチド配列、またはフランキング配列のいずれか の知識が使用される。遺伝子は、該タンパク質をコードするDNAを直接化学合 成して得ることもできる。これには、全タンパク質配列または遺伝子の全ヌクレ オチド配列のいずれかの知識が必要である。一旦遺伝子をプラスミド中にクロー ニングしたならば、DNA配列決定により全ヌクレオチド配列を得ることができ 、該プラスミドを相容性宿主、例えば細菌、酵母または哺乳動物細胞中に導入す ることによりタンパク質を発現させる。 酵素の3次元構造が既知であるならば、出発酵素のアミノ酸配列中に置換また は挿入されたエピトープの部位は、出発酵素の活性部位近傍にある表面ループの 領域であるように選択されるのが好ましい。遺伝子のヌクレオチド配列から、所 望のハイブリッド酵素−エピトープをコードする遺伝子を構築するように制限フ ラグメントの置換を設計する。ハイブリッド酵素−エピトープの構造が既知でな いならば、エピトープを出発酵素のアミノ酸配列中に、タンパ ク質全体にランダムに置換または挿入し、得られたハイブリッド酵素−エピトー プを酵素活性の保持についてスクリーニングする。出発酵素のアミノ酸配列中に 置換または挿入されたランダムなエピトープは、遺伝子中の制限部位に適当なD NAフラグメントを用いて作製し得る。タンパク質をより完全に走査するために は、構築物ごとにエピトープを酵素の各アミノ酸中に置換または挿入した一連の ハイブリッド酵素−エピトープ遺伝子を構築することができる。そして最終的に 、酵素活性を維持しているハイブリッド酵素−エピトープの抗体結合及び調節を 試験する。 本発明の1つの実施態様においては、APが、結合分子に結合すると共に結合 分子の存在及び量を示すシグナルを生成するハイブリッド酵素−エピトープ(以 降はこれをAp−エピトープと記す)に変性される。結合分子はタンパク質また は抗体のごとき被分析物質であり得る。この方法に基づく診断アッセイはホモジ ニアスであり、単純に実施され、別個のステップを必要としない1ステップアッ セイである。AP−エピトープはE.coli中で産生し、そのあとの化学的変 性を必要としない均一試薬に精製するのが好ましい。 AP−エピトープは、エピトープをコードするDNA配列を出発APのアミノ 酸配列中に置換または挿入することにより生成される。得られたタンパク質AP −エピトープは表面にエピトープを提示し、結合分子として作用する。結合分子 の例としては該エピトープに対する抗体がある。AP−エピトープと結合分子と の複合体は、未結合のAP−エピトープの活性に対する複合体の酵素活性の量を 測定することにより検出される。 上記実施態様においては、APは、AP遺伝子中で、エピトープをコードする DNA配列を出発APのアミノ酸配列中に置換または挿入することにより、抗体 に対する結合タンパク質に構築された。APのアミノ酸配列中に置換または挿入 されたエピトープは、触媒部位の近傍で且つAPの表面にあることが既知の部位 に作製された。このようなエピトープの例としてはHIV−1 gp120タン パク質のV3ループがある。AP−エピトープをE.coli中で発現及び精製 した。 本発明の1つの実施態様から、(1)gp120ペプチドは、酵素活性または タンパク質安定性を有意に変化させることなく出発APのアミノ酸配列中の2つ の領域に置換 または挿入することができ、挿入はAPのアミノ酸407と408の間に、置換 はアミノ酸91〜93で行うことができる;(2)AP−エピトープの表面に提 示されたとき、エピトープはgp120タンパク質に対する抗体に更に結合され ;及び(3)抗gp−120モノクローナル抗体(MAb)のAP−エピトープ ,API1への結合によりAPI1の酵素活性が阻害されることが判る。総合す ると、巨大分子に結合すると共に複合体を検出するためのシグナルを生成するA Pベースの結合タンパク質を形成するためにAP−エピトープが使用されること が判る。 AP−エピトープと抗体とで形成される複合体を検出するには複合体形成時に AP−エピトープの酵素活性が変化される必要があることから、触媒部位近傍に あるAP領域を、結合表面挿入用の部位として選択した。リガンド結合部位として作用する外来アミノ酸部分を含むハイブリッド酵素(ハ イブリッド酵素−リガンド結合体) 本発明の別の実施態様においては、単一の外来アミノ酸を、出発酵素のアミノ 酸配列中の出発酵素の活性部位近傍にある特定の位置に置換または挿入したハイ ブリッド酵素が形成される。次いでリガンドを、ハイブリッド酵素中の 外来アミノ酸部分に適当なリンカーによって結合または付着させ、「ハイブリッ ド酵素−リガンド結合体」を形成する。単純化のため、以下の説明はタンパク質 が酵素である場合について行うが、説明は他のタンパク質及びハイブリッドタン パク質にも適用され得る。リガンドは、活性部位近傍に突然変異によって誘導さ れた部位特異的結合を介してハイブリッド酵素に結合または付着される。部位特 定突然変異誘発を使用することにより官能基、例えばリガンドを出発酵素のポリ ペプチド鎖に沿って正確なアミノ酸残基に付着または導入し得る。付着したリガ ンドはハイブリッド酵素−リガンド結合体の触媒機能に悪影響を及ぼさないのが 好ましい。他方で、付着したリガンドはハイブリッド酵素−リガンド結合体の触 媒機能を増加し得る。付着部位が出発酵素の活性部位または触媒中心の近傍にあ るよう設計すると、結合分子が付着リガンドに結合したとき、ハイブリッド酵素 −リガンド結合体による基質の触媒速度は調節、即ち増加、低下または停止され る。一般には触媒速度は低下される。 幾つかの方法により、単一リガンドを用いて酵素を慎重に誘導体化し得る:( 1)該酵素をコードする対応遺伝子 を点突然変異し、in vivo翻訳によって外来アミノ酸部分を導入する;(2)該 酵素をコードする対応遺伝子を点突然変異し、in vitro翻訳によって外来アミノ 酸部分を導入する(Ellman,J.,Mendel,D.,Anthony −Cahill,S.,Noren,C.J.及びSchultz,P.G., (1991)Methods in Enzymology,202,301− 337);及び(3)出発酵素のアミノ酸配列中に置換または挿入された外来ア ミノ酸部分によって補因子または補因子の誘導体を出発酵素にリンクする。補因 子、阻害物質または基質は、被分析物質、反応性リンカーまたは光ラベルを担い 得る(MacLean,A,I.,Cynkowski,T.及びBachas ,L.G.,(1992)J.Chem.Soc.,Chem.Commun. ,18,1283−85)。反応性リンカーは、リガンドの酵素への付着部位を 与える。 in vivo翻訳法に使用し得る外来アミノ酸部分はシステイン、ヒスチジンまた はアルギニンとし得るが、好ましいのはシステインである。in vitro翻訳法は、 アミノ酸、アジド、ビシナルジオール、ケトン、アルデヒド、アセター ル、ケタール、オルトエステルなどの炭水化物誘導体のごとき外来アミノ酸部分 を使用することにより、より多様となり得る。 酵素活性に変化をもたらす結合事象は幾つかの方法で実現し得る。1つの方法 においては、固有の反応性を示す外来アミノ酸部分を、リガンドを結合されるか またはリガンドによって誘導体化されても酵素活性に大きくは影響しないように 活性部位近傍に導入する。結合分子がリガンドに結合すると基質ターンオーバー が変化することにより、酵素活性が低下する。別の方法においては、固有の反応 性を示す外来アミノ酸部分を、リガンドを結合されるかまたはリガンドによって 誘導体化されても酵素活性に大きくは影響しないように補因子の結合部位近傍に 導入する。結合リガンドに結合分子が結合すると、補因子とハイブリッド酵素− リガンド結合体との会合が低減されることにより酵素活性は低下される。更に別 の方法においては、外来アミノ酸部分を、リガンドを結合されるかまたはリガン ドによって誘導体化されても四次構造に大きくは影響しないようにダイマーまた はマルチマー酵素の境界面近傍に導入し、結合しているリガンドに結合分子が結 合すると、ダイマーま たはマルチマー構造を解離したり、四次構造の再形成を阻害することにより、酵 素活性が低下される。後者の場合、酵素はホモ−もしくはヘテロダイマーまたは マルチマーであり得る。 上記以外の方法も考えられる。例えば活性部位または補因子結合部位の近傍に 固有の反応性を示す外来アミノ酸部分を結合すると、ハイブリッド酵素−リガン ド結合体の活性が阻害され得る。結合しているリガンドに結合分子が結合すると 、リガンドを活性部位または補因子結合部位から引き離すことにより、酵素活性 が増加される。被分析物質の存在下では負のシグナル応答があり、即ち酵素活性 が低下する結果となる。 出発酵素の誘導体化の場所は幾つかの方法で決定し得る。出発酵素の結晶構造 が既知であるならば、モデルを画像及び数式により調査し、溶剤にアクセス可能 な活性部位または補因子結合部位またはマルチマー形態であれば境界結合に関与 するものの近傍の残基を示すことができる。構造は判っていないがアミノ酸配列 は既知であるならば、構造予測プログラムによるかまたはランダムに突然変異を 誘発し、次いで突然変異体を試験し、所望のハイブリッド酵素−リ ガンド結合体に到達し得る。 上記ハイブリッド酵素−リガンド結合体は定性または定量分析に有用である。 そのような例としては、(1)外来アミノ酸部分が出発酵素の表面にあるアミノ 酸配列中に置換または挿入されているものの、得られたハイブリッド酵素の酵素 活性は破壊されておらず;(2)得られたハイブリッド酵素中の外来アミノ酸部 分が更にリガンドを結合し、ハイブリッド酵素−リガンド結合体を形成すること ができ;(3)結合したリガンドが更に、レセプター、抗体または他のタンパク 質分子といった結合分子を結合することができ;(4)被分析物質が結合してい るリガンドと、結合分子について競合し得;及び(5)結合分子が結合リガンド に結合すると、ハイブリッド酵素−リガンド結合体の酵素活性が変性されるハイ ブリッド酵素−リガンド結合体が挙げられる。 実施例 実施例1:AP−エピトープの設計 APの結晶構造を使用し、活性部位セリン102の近傍にあること(典型的に は20=以内の)、構造内のアミノ酸残基の適合性に影響を及ぼす平均温度因子 、アミノ酸残 基の表面アクセシビリティー、活性部位を取り囲む腔部内の位置に基づき、ペプ チドを置換または挿入すべき潜在的部位として酵素の領域を選択した。Sili con GraphicコンピューターにおいてInsightIIソフトウェア (Biosym,San Diego,CA)を使用し、APの3次元構造を画 像化及びモデル化した。更に、E.coli APと哺乳動物源、Bacill us subtilis及び酵母由来の他のAPとのアミノ酸相同性(Hule tt,F.M.,Kim,E.E.,Bookstein,C.,Kapp,N .V.,Edwards,C.W.,及びWyckoff,H.W.(1991 )J.Biol.Chem.266,107−1084)を使用し、種々のタン パク質間であまり保存されていない領域を同定した。全てのAPタンパク質は同 じ一般3次元構造を有すると仮定すると、この比較により、エピトープを出発A Pのアミノ酸配列中に置換または挿入することで欠失または変更され得るE.c oli AP内の領域が同定された。 出発AP中でのペプチド置換または挿入に選択した3つの領域はアミノ酸91 〜93、167〜177及び407 〜408であった(図1)。アミノ酸167と407〜408とは、活性部位を 取り囲む腔部内に突出する小ループの一部であり、セリン102から15=以内 にある。ダイマー境界面の近傍に活性部位とは逆に向いた小ループを形成するア ミノ酸91〜93にはホルモンペプチドが受容されていた(Langen,H. T.及びTaylor,J.W.(1992)Proteins:Struct ure,Function,and Genetics 14,1−9)。E. coli APのアミノ酸169〜177は、システイン168とシステイン1 77の間のジスルフィド橋によってリンクされるα螺旋内にあるが、この構造は 他のAPタンパク質にはない。APのアミノ酸373〜410(38アミノ酸) の領域は他のAPタンパク質より32〜68アミノ酸大きい。 HIV−1抗体に対する結合分子としてAP−エピトープを使用し得る可能性 を示すため、HIV−1IIIBgp120タンパク質のV3ループ由来のエピト ープをAP中に置換または挿入した。V3ループ(アミノ酸303〜338)は gp120の免疫優勢領域であり、ジスルフィド橋を形成するシステイン残基が フランキングする34個のア ミノ酸からなる(LaRosa,J.J.ら(1990)Science 24 ,932−935)。エピトープは、それがAP−エプトープ内に位置するご とく、gp120の表面にあるループ内に位置するが故に、このエピトープに対 する抗体はAP−エピトープ内のエピトープを更に認識すると思われる。AP− エピトープにおいて、V3ループの中央の13個のアミノ酸、2つのシステイン 残基がフランキングした13個のアミノ酸、34個のアミノ酸または36個全部 のアミノ酸をAP中に置換または挿入した。V3ループのアミノ酸配列は以下の 通りである(中央の13個のアミノ酸には下線を引いてある): Cys-Thy-Arg-Pro-Asn-Asn-Asn-Thr-Arg-Lys-Ser-Ile-Arg-Ile-Gln-Arg-Gly-Pro- Gly-Arg-Ala-Phe-Val-Thr- Ile-Gly-Lys-Ile-Gly-Asn-Met-Arg-Gln-Ala-His-Cys (配列番号25)。 APはダイマータンパク質であるので、各機能性AP−エピトープ中に置換ま たは挿入された2つのエピトープが存在する。 実施例2:AP−エピトープの構築及び発現 固有の制限部位を有するように合成したphoA遺伝子 を使用して制限フラグメントを置換することにより、AP−エピトープをコード する遺伝子を構築した(Mandecki,W.,Shallcross,M. A.,Sowadski,J.及びTomazic−Allen,S.(199 1)Protein Engineering,801−804)。図2A〜 2Cはそれぞれ合成phoA遺伝子のDNA配列と得られるアミノ酸配列を示す (配列番号1及び2)。 a.合成DNAフラグメント 図3A〜3Dは制限フラグメント置換体として使用した合成DNAフラグメン トを示しており、その結果得られたAP−エピトープの外来アミノ酸部分を図4 に示す。図3A〜3Dはapi1a(配列番号3としても列挙);api1b( 配列番号4);api2a(配列番号5);api2b(配列番号6);api 3a(配列番号7);api3b(配列番号8);api5a(配列番号9); api5b(配列番号10);api6a(配列番号11);api6b(配列 番号12);api7a(配列番号13);api7b(配列番号14);ap i8a(配列番号15);api8b(配列番号16);api8c(配列番 号17);api8d(配列番号18)を示す。図4はAP−エピトープの外来 アミノ酸部分API1(配列番号19);API2(配列番号20);API3 (配列番号21);API5(配列番号22);API16(配列番号23); API7(配列番号24);API8(配列番号25)を示す。 合成オリゴデオキシリボヌクレオチドはApplied Biosystem 394及び380B合成装置(Applied Biosystems,Fo ster City,CA)を使用して合成した。オリゴヌクレチドを10%ア クリルアミド,7M尿素,TBE(89mM Trisホウ酸塩,89mMホウ 酸,2mM EDTA)中のゲル電気泳動によって精製し、Beckman D U7500分光光度計(Beckman Dickinson,San Jos e,CA)で260nmにおける紫外光吸収を測定し、9400M-1cm-1/ア デノシン、5000M-1cm-1/シチジシン、8000M-1cm-1/チミジン、 及び10000M-1cm-1/グアノシンを加算することにより算出した消衰係数 値を使用して定量した。 5pmolのDNAを50mM Tris−HCl p H8.0,10mM MgCl2,5mMジチオトレイトール(DTT),1m Mアデノシン三リン酸(ATP)及び10単位のT4ポリヌクレオチドキナーゼ (GIBCO BRL,Gaithersburg,MD)中37℃で1時間イ ンキュベートすることにより、オリゴヌクレオチドの5’末端をリン酸化した。 リン酸化後、それぞれ1.25pmol(5μl)の各オリゴヌクレオチドを当 量の相補的配列と、混合物を95℃に加熱してからゆっくり室温まで冷却するこ とによりアニーリングした。これらのアニーリングしたフラングメントを結合反 応に直接使用した。 API8をコードするプラスミドpAPI8を構築するため、4種のオリゴヌ クレオチドから制限フラグメント置換物を合成した(図3A〜3D;配列番号1 5〜18)。オリゴヌクレオチドapi8b及びapi8cのみの5′末端をリ ン酸化した。次いで前述したように、api8bをapi8dにアニーリングし 、api8cをapi8aにアニーリングした。アニーリングしたフラグメント api8a:api8c(4pmol)及びapi8b:api8d(4pmo l)を混合し、1単位のT4 DNAリガーゼ(GIBCO BRL)を添加す ることにより連結 し、室温で一晩インキュベートした。2つのフラグメントを連結した後、リガー ゼを65℃で5分間熱失活させ、10単位のT4ポリヌクレオチドキナーゼを添 加し、api8a及びapi8dの5′末端をリン酸化した。キナーゼを熱失活 (65℃,5分間)させてから、フラグメントを後述のごとき線状化したpCB 100に連結した。 b.ベクターの制限酵素消化 合成phoA遺伝子を含む2つのプラスミドを使用した;pUCphoAは、 多重クローニング部位(MCS)のBamH1及びHindIII部位中にクロー ニングされているphoAを含むpUC18(Yanisch−Perron, C.,Viera,J.及びMessing,J.(1988)Gene 33 ,103)であり;pCB100は、Spe1部位が除去され且つ多重クローニ ング部位(MCS)にBamH1/HindIIIフラグメントとしてphoAを 含むpWM528ベクター(Mandecki,M.,Hayden,M.A. ,Shallcross,M.A.及びStotland,E.(1990)G ene 94,103−107)である。pAPI1及びpAPI8を構築する ためには、50μlのNE緩衝液2 (New England Biolabs)及び0.1mg/mlアセチル化 BSA(New England Biolabs)中でKas1(9単位,N ew England Biolabs)及びSph1(10単位,GIBCO BRL)を用いてpCB100(15μg)を切断した。pAPI2、pAP I3及びpAPI5を構築するためには、100μlのREact5緩衝液(G IBCO BRL),1mM DTT中でRsrII(100単位,GIBCO BRL)を用いてpUCphoA(6μg)を切断し、次いでDNAをエタノー ルで沈殿させた。RsrIIで切断したDNAを100μlのREact4緩衝液 (GIBCO BRL)中に再度溶解し、Spe1(20単位,GIBCO B RL)で消化した。pAPI6及びpAPI7を構築するためには、50μlの NE緩衝液4及び0.1mg/mlアセチル化BSA(New England Biolabs)中でSnaB1(8単位,New England Bio labs)及びHpal(5単位,GIBCO BRL)を用いてpUCpho A(10μg)を消化した。線状化したベクターを1単位のウシ腸ホスファター ゼを用いて37℃で15分間処理 してから、フェノール/CHCl3で抽出し、エタノールで沈殿させた。次いで 線状化したベクターをdH2O中に再度溶解した。 c.連結反応 AP−エピトープ遺伝子(AP−エピトープをコードする遺伝子)を構築する ために相互に連結したベクターとフラグメントの組合せを表1に示す。線状化し た脱リン酸化ベクターを5′ リン酸化した合成二本鎖DNAフラグメントに以 下のように連結した。0.2μgのベクターを0.25pmolの合成DNAフ ラグメントと一緒に10μlのT4リガーゼ緩衝液(GIBCO BRL)、1 mM DTT及び1単位のT4 DNAリガーゼ(GIBCO BRL)中で1 6℃で一晩インキュベートした。連結混合物をエタノール沈殿させ、DNAを1 0μlのdH2O中に再度溶解した。連結したベクター(5μl)を50μlの コンピテントE.coli HB101細胞(GIBCO BRL)中に形質転 換した(Maniatis,T.,Fritsch,E.F.及びSambro ok,J.Molecular Cloning A Laboratory Manual (1982)Cold Sprin g Harbor Laboratory,New York)。形質転換細胞 を、150μg/mlのアンピシリン及び200μgの5−ブロモ−4−クロロ −3−インドリルホスフェート(BCIP)(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO.)を含むLB(ルリアブロス)(Mania tis,T.,Fritsch,E.F.及びSambrook,J.Mole cular Cloning A Laboratory Manual (19 82)Cold Spring Harbor Laboratory,New York)プレート上で平板培養した。アンピシリンの存在により、プラスミ ドを含む細胞のみが増殖し得た。またBCIPは活性APの存在の呈色指示薬で ある。 .AP−エピトープ構築物の特性分析 AP活性を示す青色を呈する形質転換反応から得たコロニーを特性分析のため に選択した。プラスミドDNAを単離するため、100μg/mlのアンピシリ ンを含むLB培地5ml中でコロニーを飽和するまで増殖させた。遠心すること により細胞をペレット化し、100μlの25mM Tris−HClpH8. 0,10mM EDTA及び50mMグルコース中に再懸濁させた。2倍容(2 00μl)の0.2M NaOH,1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を混 合物に添加し、氷上で10分間インキュベートし、150μlの3M酢酸カリウ ムpH4.8を添加し、更に混合物を氷上で5分間インキュベートした。混合物 をマイクロ遠心機において15分間遠心し、上清を取り出した。上清に300μ lの2−プロパノールを添加し、混合物を室温で30〜60分間インキュベート し、先のステップと同様に遠心した。ペレットをTE溶液(100μlの10m M Tris−HCl,0.1mM EDTA,pH7.5)中に再度溶解した 。等量の5M酢酸アンモニウムを添加し、混合物を氷上で20分間インキュベー トしてから遠心した。上清を取り出し、それに400μlの1 00%エタノールを添加し、氷上で20分間インキュベートし、遠心した。ペレ ットを、20μg/mlのRNase Aを含むTE溶液中に再度溶解し、37 ℃で15分間インキュベートした。RNase Aで処理したあと、NaCl( 塩化ナトリウム)を終濃度0.1Mまで添加し、混合物をフェノールで2回、C HCl3:イソアミルアルコール(24:1)で1回抽出し、2倍容のエタノー ルを用いてDNAを沈殿させた。DNAを0.3M酢酸ナトリウム中に再度溶解 し、エタノールを用いて再度沈殿させた。DNAペレットを70%エタノールで 洗浄し、乾燥し、50μlのdH2O中に再度溶解した。或いは、アルカリ溶解 法(Maniatis,T.,Fritsch,E.F.及びSambrook ,J.Molecular Cloning;A Laboratory Ma nual (1982)Cold Spring Harbor Laborat ory,New York)によってプラスミドDNAを単離した。 phoA制限フラグメントが合成DNAフラグメントで置換されていることを 検証するため、単離したプラスミドを、上述のごとき(実施例2b)クローニン グ用ベクター の線状化に使用したのと同じ制限酵素を用いて消化した。DNA産物をTris −ホウ酸緩衝液(TBE)中1.5%アガロースまたは10%アクリルアミドゲ ル上で電気泳動することにより分離した。エチジウムブロミドで染色することに よりフラグメントを可視化し、DNA分子量基準(ΦX174 DNA/Hae IIIフラグメント,GIBCO BRL)に対して移動した距離に基づいてサイ ズを決定した。 各構築物に対して、適正サイズの制限フラグメント置換物を含む幾つかのコロ ニーから得たDNAの配列を、Sequenase Version 2.0 T7 DNAポリメラーゼ配列決定キット及び7−デアザ−dGTP試薬(Un ited States Biochemical,Cleveland,OH )を使用し、二本鎖ジデオキシ法(Zhang,H.,Scholl,R.,B rowse,J.及びSomerville,C.NAR(1988)16,1 220)によって決定した。各ベクターの配列は、一方の鎖の置換または挿入D NAフラングメントとその両側を含む領域のみを決定した。 e.AP−エピトープの構築及び発現 表2には、得られたAP−エピトープを挙げ、APにおいて修飾された部位、 修飾の種類(置換または挿入)、AP中に挿入または置換されたエピトープのサ イズ,該タンパク質をコードするプラスミドを含むコロニー(E.coli H B101またはMZ13b)の色、該タンパク質がペリプラズムタンパク質抽出 物中に存在するか否かを示す。AP−エピトープ、API1はAPのアミノ酸4 07と408の間に挿入されたV3ループの中央の13個のアミノ酸(配列番号 19)を含む。API2はAPのアミノ酸167と168の間に挿入されたV3 ループ由来の13個のアミノ酸(配列番号20)を含み、API3はアミノ酸1 68と169の間に挿入された13個のアミノ酸(配列番号21)を含む。AP I5においては、Cys168とCys178によって形成されるジスルフィド 橋の間のアミノ酸169〜177が、V3ループのシステイン残基間の34個の アミノ酸(配列番号22)で置換されている。API6においては、APのアミ ノ酸91〜93がV3ループ由来の13個のアミノ酸(配列番号23)で置換さ れている。API7はAPI6と同様であるが、但し、13個のアミノ酸置換の 両側にシステイン残基が付き、全部で 15個のアミノ酸(配列番号24)で置換されている。API8では、APのア ミノ酸407と408の間に全V3ループ(36アミノ酸)(配列番号25)が 挿入されている。 表2のタンパク質発現はBCIPを使用して決定した。API1、API6、 API7及びAPI8をコードするプラスミドを含む細胞コロニーの青色は、A P−エピトープが発現され、酵素活性を有することを示している。各プラスミド を含むMZ13b(プラスミドのMZ13bへの形質転換は実施例3に記載する )由来のペリプラズム抽出物は、各AP−エピトープの推定分子量でSDSアク リルアミドゲル上を移動したタンパク質を含んだ。 API2、API3及びAPI5をコードする構築物を含む株MZ13bは薄 青色のコロニーを形成し(プラスミドを含まないコロニーは白色)、ペリプラズ ム抽出物は推定分子量のタンパク質の存在を示さなかった。SDSゲル−ウェス ターンブロットを抗AP抗体でプローブしたが、ペリプラズム抽出物中にAPI 2、API3及びAPI5は検出されなかった。API2及びAPI3をコード する構築物に対しては、ポリミキシンBスルフェート処理してペリプラズムタン パク質を放出させた後にペレット化した細胞材料のブロットを抗AP抗体でプロ ーブすると、推定分子量のAP−エピトープが検出された。しかしながら、AP 反応性材料の大部分は低分子量であり、これらのタン パク質が正常に輸送されず、分解されたことが判る。 API1、API6、API7及びAPI8の粗抽出物のAP−エピトープ酵 素活性を、AP−エピトープを天然ゲル上で電気泳動し、AP活性に対してゲル 5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート(BCIP)で染色する ことにより検査した。全てのAP−エピトープは検出可能な酵素活性を有し、A P−エピトープのアミノ酸配列の変化と一致したAPとは別の態様で移動した。 これらのAP−エピトープが抗gp120MAbに結合し得る能力を天然ゲル中 で電気泳動させた粗抽出物を使用して決定した。ゲルは、一次抗体として抗gp −120 MAbを使用してウェスターンブロットした。API1、API6、 API7及びAPI8は抗gp120MAbによって検出されたが、MZ13b ペリプラズムタンパク質及びAPは検出されなかった。このことから、AP−エ ピトープの天然コンホーメーションにおいてはエピトープが表面に露出しており 、抗gp120MAbが認識し結合するコンホーメーションにおいてもそうであ ることが判る。 実施例3:AP−エピトープの発現及び特性分析 AP−エピトープの発現 AP−エピトープを発現及び単離するため、pAPIプラスミドを、phoA が欠失された株であるE.coli MZ13b細胞(Inoue,H.,Pr att,C.,Beckwith,J.及びToriani,A.J.(197 7)J.Mol.Biol.110,75−87)中に形質転換した。MZ13 b細胞を以下の方法によって形質転換コンピテントとした。MZ13bの培養物 をLB培地中で一晩増殖させ、細胞を遠心によってペレット化し、冷たい形質転 換緩衝液(40mM酢酸カリウムpH6.2,40mM MnCl2,60mM CaCl2,100mM塩化ルビジウム,15%スクロース)中に元の容積の 1/4で再懸濁した。細胞を氷上で20分間インキュベートしてから、遠心によ ってペレット化した。細胞を、0.04%ジメチルスルホキシド(DMSO)を 含む形質転換緩衝液中に元の培養物容積の1/40で再懸濁し、−70℃で保存 した。形質転換及びコロニー選択は実施例2cのごとく行った。 タンパク質単離のために、pAPIプラスミドを含むMZ13bを、100μ g/mlのアンピシリンを含むSOB培地(20g/lバクト−トリプトン,5 g/l酵母抽 出物,0.5g/l NaCl,KOHでpH7.5に調整し、オートクレーブ 処理後MgSO4を5mMまで添加した)中で増殖させた。細胞を遠心によって ペレット化し、6mg/mlのポリミキシンBスルフェート(Sigma)を含 む0.15M Tris−HCl,154mM NaCl,pH6.6中に元の 容積の1/40で再懸濁させた。細胞懸濁液を37℃で10分間インキュベート してから13000×gで30分間遠心した。上清は、ポリミキシン処理によっ て細胞周辺腔から放出されたタンパク質を含んでおり、AP−エピトープの粗抽 出物であった。 AP−エピトープの発現は、ペリプラズム抽出物中のタンパク質をゲル電気泳 動によって分離することにより決定した。ペリプラズム抽出物のアリコートを、 等量の125mM Tris−HCl pH6.8,2%SDS,10%グリセ ロール,1%β−メルカプトエタノール及び0.01%ブロモフェノールブルー 中で煮沸することにより変性した。試料を、PhastSystemにおいてP hastGel Homogeneous 12.5ゲル及びPhastGel SDS緩衝液ストリップ(Pharmacia LKB Biotechno logy,Pis cataway,NJ)を使用するか、または標準Laemmli SDS 1 0%または12%アクリルアミドゲル(Laemmli,U.K.(1970) Nature 227,680−685)上で電気泳動した。タンパク質バンド を可視化するために、ゲルを50%メタノール、7%酢酸、0.2%クーマシー R0250中で染色し、次いで25%メタノール及び7%酢酸中で脱色した。タ ンパク質バンドの見掛けのサイズは、それらの移動距離をタンパク質分子量基準 (GIBCO BRL)の移動と比較することにより決定した。 b.ウェスターンブロット法 ウェスターンブロットのために、PhastTransfer装置(Phar macia LKB Biotechnology)を使用してタンパク質をP hastGelゲルからProblot膜(Applied Biosyste ms)に移した(転移緩衝液:25mM Tris基剤,192mM グリシン ,pH8.3,20%メタノール)。転移後、膜をブロット(blotto)[TBS (50mM Tris−HCl,150mM NaCl, pH7.5)中の5 %脱脂粉乳]中で30分間ブロックした。 次いで膜を、ブロットで1/1000に希釈した一次抗体 ウサギ抗細菌AP( BAP)(5 Prime to3 Prime Inc.)と一緒に室温で1 〜2時間インキュベートし、ブロットで5分間ずつ4回洗浄した。次いで、ブロ ットで1/1000に希釈した二次抗体 ヤギ抗ウサギIgG−西洋ワサビペル オキシダーゼ結合体(Signa)を膜に添加し、上記のごとくインキュベート 及び洗浄した。15mlの冷たいメタノール中に溶解した30mgの4−クロロ −1−ナフトール(Sigma)を0.04%過酸化水素を含むTBS60ml と混合することにより、現像液を作製した。膜を現像液中で室温で30分間イン キュベートした後、膜を水中に移すことにより反応を停止させた。 c.天然ゲル中でのAPの活性染色 ペリプラズム抽出物中のタンパク質を天然ゲル中で電気泳動し、AP活性に対 してゲルを染色することにより、AP−エピトープの酵素活性を示した。ペリプ ラズム抽出物のアリコートをPhastGel均一12.5ゲル上にPhast Gel Native緩衝液ストリップ(Pharmacia LKB Bio technology)を 使用して直接添加した。電気泳動後、ゲルを、100mM Tris−HCl, 1mM MgCl2,1mg/ml BCIP,pH8.5中に発色するまで( 2〜60分間)浸漬した。ゲルを脱色溶液(25%メタノール,7%酢酸)中に 移すことにより反応を停止させた。活性AP−エピトープがBCIP基質をBC Iに切断すると、ゲル中のそれが生成された場所に青色の沈殿物が形成され、活 性AP−エピトープの位置が染色された。抗BAPを使用して同一のゲルをウェ スターンブロットし、AP−エピトープの位置を独立に検証した。 d.抗gp120モノクローナル抗体を使用した天然ゲルにおけるAP−エピト ープのウェスターンブロット AP−エピトープ中のHIV−1 gp120エピトープは更に、gp120 エピトープに対する抗体によって認識された。このことは、ペリプラズム抽出物 または精製AP−エピトープを(上述のごとく)PhastGel天然ゲル上で 分離することにより示された。上述のごとくタンパク質をProblot膜に移 し、ウェスターンブロットを実施した。一次抗体は、ブロットで1/1000に 希釈した抗gp120(HIV−1)モノクローナル抗体 (American Bio−Technology,Inc.,Cambri dge,MA)であり、二次抗体は、ブロットで1/1000に希釈した西洋ワ サビペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG(Sigma)であった。同一の 膜を抗BAP抗体を用いて前述のごとくプローブした。 実施例4:AP−エピトープの精製及び特性分析.タンパク質精製 APIプラスミドを含むE.coli Mz13bを、100μg/mlアン ピシリンを含むSOB培地中で増殖させ、ペルプラズム抽出物を前述のごとく( 実施例3a)作製した。抽出物を、25mM Tris−HCl,1mM Mg Cl2,pH8.5で10倍に希釈するか、またはこの緩衝液中に透析してから 、Q−Sepharose FFカラム(Pharmacia LKB Bio technology)上でFPLC系(Pharmacia LKB Bio technology)を使用したクロマトグラフィーにかけた。25mM T ris−HCl,1mM MgCl2,pH8.5中の0→IM NaClの直 線濃度勾配を使用してAP−エピトープを溶出した。 AP活性を含むフラクションをプールし、YN−30膜を備えたAmicon Ultrafiltrationセル(Amicon,Danvers,MA) を使用して濃縮し、10mM Na3PO4,1mM MgCl2,0.025% アジ化ナトリウム,pH6.8中に透析した。プールをHydroxyapat ite Ultrogelカラム(IBF Biotechnics Inc. ,Columbia,MD)上でクロマトグラフィーにかけ、AP−エピトープ を、10mM Na3PO4,1mMMgCl2,pH6.8→500mM Na3 PO4,10mM MgCl2,pH6.6の直線濃度勾配を使用して溶出した。 AP活性を含むフラクションをプールし、濃縮し、25mM Tris−HCl ,1mM MgCl2,pH8.5中に透析した。Q−Sepharose及び HA Ultrogelカラム処理後にAP−エピトープが(SDSゲル電気泳 動によって判断して)純粋でないならば、Poros R/Hカラム(Perc eptive Biosystems)において50mM Tris−酢酸,2 mM MgCl2,pH8.0中2→80%アセトニトリルの直線濃度勾配を有 するBeckman高速 液体クロマトグラフィー(HPLC)系(Beckman)を使用し、調製物を 更に精製した。最終的なタンパク質調製物は、0.02%アジ化ナトリウムを含 む25mMTris−HCl,1mM MgCl2,pH8.5中に4℃で保存 した。 AP活性に対するアッセイは、2.5mMのPNPP(p−ニトロフェニルホ スフェート)(Sigma)を含む1mlの1M Tris−HCl,1mM MgCl2,0.1mg/ml BSA, pH8.0中で実施した。Beck man DU7500分光光度計(ε=1.62×104-1cm-1)(Bec kman)において410nmの吸収の変化を追跡することにより、PNPPの p−ニトロフェノール(PNP)への変換をモニターした。A410対時間のプロ ットの最初の線形部分を使用し、初速度を計算した。 AP−エピトープの純度は、SDSポリアクリルアミドゲルのクーマシー染色 によって判定した。全てのタンパク質調製物が、全染色タンパク質の95%以上 を占める単一バンドを含んだ。APは、推定モノマーサイズと一致する4600 0ダルトンの見掛けの分子量で移動した。AP− エピトープは、ペプチドを付加したことから推定されるサイズ増加と一致する僅 かに大きなタンパク質として移動した。 タンパク質濃度は、Bio−Rad Protein Assayキット(B io−Rad Chemical Div.,Richmond,CA)により 、BSAをタンパク質標準として使用して決定した。APの酵素活性形態は、各 サブユニットが活性部位を含むダイマーである。AP−エピトープでは活性形態 において2つのエピトープ挿入物が存在する。アッセイにおいて、存在するAP 及びAP−エピトープの濃度は、存在する活性部位及びエピトープの数、即ち存 在するモノマーサブユニットの濃度に関して表わされる。 b.AP−エピトープの速度定数 AP−エピトープのミカエリス−メンテン速度定数Km及びVmaxを、50mM Tris−HCl,1mM MgCl2,0.1mg/ml BSA,pH8 .0中で基質としてPNPPを使用して決定した。酵素濃度は5nmol(nM )(モノマー)であり、PNPP濃度は5〜90μMとした。合計で200μl をアッセイに使用し、 96ウェルマイクロタイタープレートにおいてアッセイを実施した。PNPPの PNPへの変換を、Bio−Rad Model 3550 Micropla te Reader(Bio−Rad)において405nmで測定し、Kine tic Collector 2.0ソフトウェア(Bio−Rad)を使用し てデータ分析した。既知濃度のPNPの吸収を測定し、1.62×104-1c m-1のPNPに対する消衰定数を使用することにより、経路長は経験的に0.6 cmと決定された。A405対時間の最初の線形部分から初速度を決定した。Ea die HofsteeプロットからKm及びVmaxの値を決定した。表3の値は 、少なくとも3回の独立した実験から得られた平均±1標準偏差である。 タンパク質調製物における値を表3にまとめて示す。API8は粗精製物にお いて安定であるが、精製の際に一部分解されている。AP−エピトープのKm及 びVmax値をAPの値と比較すると、いずれの値も有意には変化していないこと が判る。これらの結果は、エピトープをAP中に置換または挿入しても、基質と AP−エピトープの相互作用及び基質ターンオーバー速度とにほとんど影響しな いこ とを示している。 c.AP−エピトープの熱安定性 0.5μM(モノマー)の各AP−エピトープを1MTris−HCl,1m M MgCl2,pH8.0中で24〜92℃の温度で15分間インキュベート し、次いで氷上で急冷することにより、AP−エピトープの熱安定性を評価した 。各AP−エピトープの残留活性を、1M Tris−HCl,1mM MgC l2,pH8.0,2.5mM PNPP中の5nMタンパク質で前述のごとく アッセイした。 AP−エピトープの熱安定性から、エピトープの置換または挿入がAPの全体 構造にほとんど影響しないことが判る。表3には、15分間で酵素活性の50% が失われた温度(T1/2)が与えられている。AP−エピトープAPI6及びA PI7は野生型酵素(78℃)と同様のT1/2値(それぞれ79℃及び77℃) を示したが、API1の熱安定性は若干低下した(67℃)。 総合すると、速度及び熱安定性データから、アミノ酸 407と408の間に13個のアミノ酸を挿入しても、3個のアミノ酸(91〜 93)を13または15個のアミノ酸で置換しても、APの酵素活性または一般 構造にはほとんどまたは全く影響しないことが判る。別のアミノ酸配列をAPの ループ中に収容しても、APの全体的な折り畳み及び構造に局所的な乱れ以上の ものは生じない。AP−エピトープは活性であることから、ダイマー構造は妨害 されていないはずである。 実施例5:抗gp120モノクローナル抗体によるAP−エピトープ酵素活性の 変性 抗gp120(HIV−1)モノクローナル抗体(抗gp120MAb(Am eican Bio−Technologies Inc.,Cambridg e,MA)を付加することにより、AP−エピトープの活性の変性を調査した。 a.抗gp120MAbの透析 リン酸緩衝塩類溶液中に供給した抗gp120MAbを、Centricon 30マイクロ濃縮機(Amicon)を使用してTBS(50mM Tris −HCl,150mM NaCl, pH7.5)中に透析した。Centr icon 30は製造業者指示に従ってBSAで予めブロックした。TBS中1 %BSA2mlをCentricon 30に加え、室温で数時間インキュベー トした。BSAを排出し、Centricon 30をdH2Oで濯いだ。水を 添加し、Centriconを5000×g,4℃で15分間遠心させ、更にこ れを繰り返した。2回目の回転の後、保持液(retentate)を排出した。抗gp 120MAbをTBSで2〜3倍に希釈し、上記のごとく遠心した。200μl のTBSを保持液に添加し、Centriconを再度遠心し、これを4〜5回 繰り返した後、保持液を取り出した。保持液の容積を測定し、SDSポリアクリ ルアミドゲルゲル上で電気泳動させた既知濃度のMAbのクーマシー染色濃度に 対する同じゲル上の染色バンドの濃度から、抗gp120MAbの濃度を決定し た。MAb調製物においてBSAは検出されなかった。 b.変性アッセイ 5nM(モノマー)のAP−エピトープを、50mMTris−HCl,1m M MgCl2,0.1mg/ml BSA,pH8.0中の0〜50nMの抗 gp120MAbと一緒に室温で5〜10分間インキュベートするこ とにより、酵素活性の阻害を測定した。API−抗gp120MAb複合体にお ける酵素活性の量は、PNPPを終濃度100〜200μMまで添加し、分光光 度計で410nmにおける吸収の経時的変化をモニターすることにより測定した 。MAb添加によって阻害された酵素活性の割合を、各抗gp120MAb濃度 でのv0を抗gp120MAb不在下でのv0で除算することで算出した。 図6は典型的な実験を示しており、PNPPを基質として使用し、0〜10n Mの抗gp120MAbの存在下で5nM(モノマー濃度)のAP−エピトープ (API1,API6及びAPI7)及びAPを評価した。野生型AP、API 6及びAPI7の活性は抗gp120MAbによって有意に阻害されることはな かった。実際、API6は抗gp120MAbの存在下で僅かな活性増加を示し た。これに対して、API1の酵素活性は抗gp120MAbによって阻害され た。阻害量は抗gp120MAbの濃度の上昇と共に最高40%まで増加した。 未関連抗体(H110,癌胎児性抗原に対するモノクローナル抗体)を添加した 場合ではAPI1の活性は有意に阻害されることはなかった(約10%の阻害) 。 基質の特性に阻害が依存するかどうか調査するため、APの他の基質を使用し て変性アッセイを実施した。分光光度計で490nm(ε=7.5×104-1 cm-1)において、フルオレセインジホスフェート(93mM FDP,Mg塩 )のフルオレセインへの変換を測定した。Spex(Beckman)蛍光光度 計を使用し、4−メチルウンベリフェリルホスフェート(12μM MUP)を 用いてアッセイを実施した。励起波長362nmでMUPのMU(メチルウンベ リフェリル)への変換を測定し、447nmで放射強度を測定した。 図7は、基質としてFDPを使用した場合で、PNPPのときと同様にAP、 API6及びAPI7は抗gp120MAbによって阻害されないが、API1 は約50%阻害されたことを示している。基質としてFDPを用いた場合のAP I1の阻害は、PNPPの場合より僅かに高いだけであり、抗gp120MAb 濃度を(最高50nMまでに)高めても阻害は増加しなかった。 蛍光性基質MUPを使用し、抗gp120MAbによるAPI1酵素活性の阻 害を検出した(図8)。このアッセイにおいては、シグナル検出感度がより高く 、より少ない 量の酵素活性を検出することができた。API1はnM濃度の抗gp120MA bによって最高32%まで阻害された。MUPアッセイにおいては、分光光度計 アッセイの100分の1である50pMのAPI1を使用した。 分光光度計アッセイにおけるPNPP及びFDP並びに蛍光アッセイにおける MUPにより、pMからnMの濃度のAPI1を使用してnM濃度の抗体を検出 することができる。存在する抗体の量は、一定範囲内で、酵素活性の低下に比例 した。即ち、0.5〜約10nMの範囲で反応混合物中に存在する抗体を定量す ることができる。アッセイは、混合と読取りという単純で且つホモジニアスな方 式で行われる。 天然ゲル及びSDSアクリルアミドゲル上で電気泳動し、抗gp120モノク ローナル抗体(一次抗体)でプローブしたAPI1、API6及びAPI7のウ ェスターンブロットから、天然及び変性コンホーメーションの両方においてエピ トープは認識され、抗gp120MAbによって結合されたことが判った(図5 A〜5B)。APは抗gpl20MAbによって結合されないという事実から、 AP−エピトープにおけるエピトープの存在はAP上の機能的結 合部位であったことが検証された。HIV gp120タンパク質の天然部分か ら取り出され、APの外来部分に与えられたエピトープは抗体に対する結合親和 性を保持していた。 APが阻害されなかったということは、抗gp120MAbによる阻害は、A P−エピトープのエピトープへの結合によるものであったことを示している。更 に、API6とAPI7はエピトープを含んでおり、ウェスターンブロット分析 によると抗gp120MAbを結合するが、それらの酵素活性は抗gp120M Abによって阻害されなかった。このことは、阻害が、エピトープがAP中に置 換または挿入された場所に依存することを示している。 c.ペプチド競合 抗gp120MAbによるAPI1の変性が抗gp120MAbと、AP中に 挿入されたgp120エピトープとの相互作用に因るものであることを判定する ため、該エピトープ配列を含むペプチドの阻害をブロックする能力を試験した。 American Bio−Technologies,Inc.から得たペプ チドは#245010 gp120(アミノ酸302〜324)(配列番号27 ): Thy-Arg-Pro-Asn-Asn-Asn-Thr-Arg-Lys-Ser-Ile-Arg-Ile-Gln-Arg-Gly-Pro-G1y- Arg-Ala-Phe-Val-Thr ;及び#244010 gp120(アミノ酸312〜3 27)(配列番号28);Ile-Arg-Ile-Gln-Arg-Gly-Pro-Gly-Arg-Ala-Phe-Val- Thr -Ile-Gly-Lysであった。下線を引いた配列はAPI1中に挿入されたペプチ ドである。ペプチドが抗gp120MAbによるAPI1の阻害を防止できるか どうか判定するため、API1(5nM)をペプチド(0〜200nM)と混合 し、次いで抗gp120MAb(20nM)を添加し、混合物を10分間インキ ュベートした。インキュベーション後、PNPPを添加し、酵素活性を測定した 。API1(5nM)を抗gp120MAb(20nM)と一緒に5〜10分間 インキュベートし、次いでペプチド(4μM)を複合体に添加し、0〜6時間イ ンキュベートしてからPNPPを添加し、活性を評価することにより、予め形成 したAPI1−抗gp120MAb複合体にペプチドを添加することでAPI1 酵素活性が回復されることを判定した。反応は変性アッセイ緩衝液中で実施し、 酵素活性は分光光度計において前述のごとく測定した(実施例5b)。 API1と前混合してから抗gp120MAbと混合したペプチドは、抗gp 120MAbによるAPI1の活性の阻害をブロックした(図10A)。API 1とペプチドとが抗gp120MAbを結合することにおいて競合することは、 エピトープが誘導された抗原性タンパク質を競合によって検出し得るアッセイの 基礎となる。存在する抗原の量は、一定範囲内で、酵素活性の増加に比例した。 予め形成したAPI1−抗gp120MAb複合体にモル過剰量のペプチドを添 加すると、API1の酵素活性の一部がゆっくり回復された(図10A)。活性 は5〜6時間で完全に回復され、API1−抗gp120MAb複合体が安定で あることが示された。抗gp−120 MAbを添加する前に4mMのペプチド を混合すると、抗gp120MAbによるAPI1の変性が避けられた。また、 このペプチド濃度は、一旦複合体が解離したならば抗gp120MAbがAPI 1へ再結合するのを防止するのに十分であることも判った。複合体の解離速度定 数は、酵素活性の量は抗gp120MAbが結合したAPI1の割合に正比例す ると仮定し、上記データから計算した(即ち、API1の100%に抗gp12 0MAbが結合すると60%の活性 が得られ、0%のAPI1に結合すると100%の活性が得られた)。In(変 性率)対時間のプロットは、解離速度定数(kd)が負であることに相当する傾 斜を有した(図10B)。複合体のkdは1.7×10-4-1(複合体の半減期 は68分)であることが判った(図10B)。 実施例6:API−抗gp120複合体検査用の天然ゲル AP−エピトープと抗gp120MAbとの複合体形成を天然ゲル電気泳動に よって調査した。APIと抗gp120MAbとを50mM Tris−HCl ,1mM MgCl2,pH7.5で希釈し、種々の濃度で混合した。室温で1 0〜15分間インキュベートした後、試料(2μl)をPhastGel均一7 .5%または12.5%ゲル上でPhastGel天然緩衝液ストリップ(Ph armacia LKB Biotechnology,Inc.)を使用して 電気泳動した。電気泳動後、AP活性に対してゲルを発色するまで染色した(実 施例3c)。 API1は最高40〜50%まで阻害され、API6及びAPI7は10倍モ ル過剰量の抗gp120MAbでさえ阻害されなかった。タンパク質調製物中に 存在する全てのAP−エピトープに結合する抗gp120MAbの能力 が天然ゲルを使用して示された。図11Aは、抗gp120MAbを含んでまた は含まずにプレインキュベートし、AP及びAPI1の酵素活性に対して染色し た天然ゲルを示す。APの移動は抗gp120MAbによって変化されておらず 、これは安定な複合体が形成されなかったことを示している。これに対して、A PI1(1.1μM)を0.67μMの抗gp120MAbと一緒にインキュベ ートすると、API1の一部は移動のより遅い種にシフトする結果となった。こ のゲルのシフトは、API1が抗gp120MAbとの複合体であったことを示 している。図11Bは、0.5μMのAPI1を0〜1μMの抗gp120MA bを用いて滴定したものを示す。抗gp120MAb濃度が増加するにつれて、 全てのAPI1は複合体にシフトした(少なくとも3種類の複合体がゲル上に見 ることができる)。抗マウスIgG結合体でプローブした同様のゲルのウェスタ ーンブロットは、抗gp120MAbが複合体で存在することを示した。この結 果から、調製物中の全てのAPI1タンパク質は、活性が40〜50%阻害され ていてさえ、抗gp120MAbによって結合され得ることが判る。抗gp12 0MAbの存在下でのAPI6及 びAPI7の天然ゲルは、全てのAPI6が抗gp120MAbと複合体を形成 したが、API7は安定な複合体を形成しなかったことを示した。API7は抗 gp120MAbを使用したウェスターンブロットにおいて検出されたが、その 活性は抗gp120MAbによって阻害されなかった。天然ゲルは、抗gp12 0MAb存在下でAPI7は不安定な複合体となることを示していた。 実施例7:ホモジニアスアッセイにおけるAP−エピトープの適用 AP−エピトープに基づくアッセイのための結合分子は、抗体、タンパク質抗 原、またはペプチド配列によって模倣され得る任意の抗原といった巨大分子とし 得る。 AP−エピトープは、反応混合物中のエピトープに対する抗体の存在または量 を検出するための直接アッセイに使用し得る。このようなアッセイでは、抗体が 存在すると酵素活性は低下する(図12)。或いは、反応混合物中に存在する抗 体を結合することにおいてAP−エピトープと競合させることにより、エピトー プ配列を含む抗原性タンパク質を検出することもできる。このようなアッセイで は、反応混合物中に抗原が存在するとAP−エピトープに結合 する抗体をブロックまたは低減し、酵素活性が増加する結果となる(図13)。 a.抗体検出 抗体結合によって変性されるAP−エピトープは、定性及び定性ホモジニアス アッセイに使用し得る。エピトープに対する抗体を検出する定性分析においては 、検査試料の存在下でのAP−エピトープの活性を、試料不在下での活性と比較 する。酵素活性が低下すればそれはエピトープに対する抗体が検査試料中に存在 することを示している(図12及び図6〜8)。定量分析においては、検査試料 中の抗体の量、即ち所与の量の検査試料による酵素活性の低下を、校正曲線と比 較する。校正曲線は、既定量の抗体をAP−エピトープに添加し、阻害の程度を 抗体濃度の関数として測定することにより生成された。検査試料中の抗体の量は 、同レベルの阻害を与える校正目盛り内の抗体の濃度に等価であった。 b.抗原検出 エピトープを含む抗原の検出は、AP−エピトープと検査試料とが反応混合物 中に存在する抗体を結合することにおいて競合する競合アッセイである。定性分 析おいては、 検査試料の存在下及び不在下で抗体を添加した時のAP−エピトープの阻害レベ ルを比較する。抗原が検査試料中に存在するならば、それは抗体を結合し、AP −エピトープに結合し得る抗体の量を減らし、従って酵素活性レベルは高くなる 。抗原が試料中に存在しないならば、全ての抗体はAP−エピトープに結合し得 、酵素活性レベルは低くなる。抗原の定量分析においては、試料中の抗原のレベ ルを校正曲線と比較することにより決定する。校正曲線は、既定濃度の抗原を反 応混合物に添加し、AP−エピトープの酵素活性レベルを存在する抗原の量の関 数として測定することによる生成される。 c.ホモジニアスアッセイ方式 ホモジニアスアッセイにAP−エピトープを使用するのは、結合した抗体がA P−エピトープの酵素活性を変性し得ることによる。AP−エピトープは更に、 酵素活性の変性を必要としない方法でヘテロジニアスアッセイに使用することも できる。例えばAPI6及びAPI7は抗体を結合するが、変性はされない。ヘ テロジニアスアッセイ方式においては、AP−エピトープを使用して抗体を酵素 標識する。試料中の抗体を固相上に捕捉し、AP−エピトープ を添加して抗体に結合させ、固相を洗浄し、結合しなかったAP−エピトープを 除去する。エピトープに対する抗体が試料中に存在するならば、AP−エピトー プは捕捉され、洗浄ステップ後にAP活性が検出される。エピトープに対する抗 体が試料中に存在しないならば、AP−エピトープは捕捉されず、酵素活性は検 出されない。 同様に、試料中の抗原を競合によって検出し得る。固相上の抗体を使用して抗 原またはAP−エピトープを捕捉する。試料中に抗原が存在すると抗体によって 捕捉されるAP−エピトープの量は低減し、検出される酵素活性は低下する。試 料中に抗原が存在しなければ全ての抗体は自由にAP−エピトープを結合し得、 酵素活性は高くなる。 両タイプのヘテロジニアスアッセイは、ホモジニアスアッセイに対して記載し たように定性または定量分析であり得る。実施例8システイン突然変異によるハイブリッド酵素の調製 突然変異誘発に用いるベクターpUCphoAは先に述べたのと同じものとす る。簡単に言えばこのプラスミドは、やはりスクリーニング用のβ−ラクタマー ゼを発現する高コピープラスミド(50〜200/細胞)である市販のプラスミ ドpUC18のマルチクローニング領域に挿入されたAP遺伝子(phoA)か ら成る。phoA遺伝子は発現のための天然リボソーム結合部位と、細胞質ゾル からペリプラズム中への送出の間にタンパク質分解によって切断される先導配列 とを有する。遺伝子全体(1454塩基対)を、pUC18マルチクローニング 領域のBamHI及びHindIIIの制限エンドヌクレアーゼ部位間に挿入した 。pUC18ベクターのBamHI及びHindIII制限部位間に挿入したAP 遺伝子の配列を、前記配列の上側に示す。また、脱字記号(Λ)で示した成熟タ ンパク質の第1残基から始まるアミノ酸配列も、右手に残基数を付して示してあ る。調製した突然変異体は、いずれの場合もシステインに変化した天然残基に下 線を引くことによって示す。(図15A〜15C;配列番号26はヌクレオチド 配列、配 列番号31はアミノ酸配列)。 システイン突然変異体の調製には二つの方法、即ち断片置換による突然変異誘 発とM13突然変異誘発とを用いた。前者の方法で突然変異体pKJ1〜pKJ 7(ハイブリッド酵素KJ1〜KJ7をコードするプラスミド)を調製し、一方 後者の方法では突然変異体pKJ8〜pKJ12(ハイブリッド酵素KJ8〜K J12をコードするプラスミド)を調製した。断片置換法はpKJ3の調製に関 して詳述し、M13突然変異誘発はpKJ9に関して詳述する。 制限エンドヌクレアーゼ及びその他の酵素はいずれも、Bethesda R esearch LaboratoriesまたはNew England B ioLabsから購入した。形質転換用のコンピテント細胞はBethesda Research Laboratoriesから購入した。DNAオリゴマ ーはApplied Biosystems(Ramsey,NJ)から入手可 能な394型または380B型DNA合成装置で、標準的な化学操作を用いて合 成した。突然変異体の特徴解明は、US Biochemical Seque nase V2.0配列決定キットと、Bethesda Researc h Laboratoriesから入手可能な電気泳動装置S2型とで行なうS anger配列決定法を用いて実施した。M13突然変異誘発は、Bio−Ra dから入手可能なMuta−Gene M13 In Vitro突然変異誘発 キットと、このキットにおいて説明されている操作手順とを用いるKunkel 法(T.A.Kunkel,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82 ,pp.488−492,1985)によって行なった。 a.断片置換による突然変異 (i)制限酵素SpeI及びMluIでのpUCphoAの二重消化 4μgのプラスミドpUCphoAをReact #3緩衝液(BRL)中で 制限エンドヌクレアーゼSpel(10U)及びMluI(10U)で処理し、 総量40μlとして37℃で2時間インキュベートした。反応混合物を濃縮し、 これを1%低融点アガロースゲルに適用して電気泳動させた。切断されたベクタ ーに対応するバンドをゲルから切り出し、Prep−a−Geneキット(Bi o−Rad)を用いて精製した。 (ii)突然変異LYS167CYSを有する2本鎖置換体の調製 DNAオリゴマー5′−CTAGTCGCTG CTGCTAGCGT CC GAGCGCGA CCAGTGAAAA ATGTCCGGGT AA−3′ (点突然変異に下線)(配列番号32)、及びその突出末端部を含めた相補的オ リゴマー5′−CGCGTTACCC GGACATTTTT CACTGGT CGC GCTCGGACCG TAGCAGCAGC GA−3′(配列番号 33)をアクリルアミドゲル電気泳動法で精製し、次のようにリン酸化した。オ リゴマー(400pmol)、ATP(10mM)及びT4オリゴヌクレオチド キナーゼ(10U)を40μlの連結緩衝液(BRL)中で37℃で1時間イン キュベートし、その後65℃で2分間熱失活させた。溶液を濃縮し、100pm olの各オリゴマーを取り出して共に20μlの連結緩衝液(BRL)中に存在 させ、70℃に加熱し、2時間にわたってアニールさせた。 (iii)消化したベクター中への断片置換体の連結、形質転換、及び突然変異 体プラスミドの単離 消化したベクター(0.2pmol)、アニールさせた 置換体(10pmol)及びT4 DNAリガーゼ(10U)を共に20μlの 連結緩衝液中に存在させ、16℃で16時間インキュベートした。アニールさせ たオリゴマー以外の上記物質を総て含む陰性対照もインキュベートした。連結混 合物(5μl)を、熱ショックによるHB101コンピテント細胞の形質転換に 直接用いた。形質転換細胞を、150μg/mlのアンピシリン及び200μg のBCIPを伴ったLB寒天培養プレート上に様々な濃度で植え付け、37℃で 一晩インキュベートした。青色コロニーの幾つかのクローンを採取して、150 μg/mlのアンピシリンを伴った5m=のLB培地に接種し、37℃で6時間 増殖させた。突然変異体プラスミドを、標準的なプラスミド単離操作(Mani atis等,Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Press,1989)で単離した。 (iv)所望の突然変異の特徴解明 プラスミドを突然変異の領域において配列決定して、所望の突然変異が存在す ること、及びオリゴマー置換体の領域内に他の突然変異は存在しないことを確認 した。突然変異確認後、所望のプラスミドで、APを欠く大腸菌株であ るMZ13b細胞を形質転換し、これをタンパク質単離のために増殖させた。 b.M13突然変異誘発 (i)制限酵素BamHI及びHindIIIでのpUCphoAの二重消化 4μgのプラスミドpUCphoAをReact #3緩衝液(BRL)中で 制限エンドヌクレアーゼBamHI(10U)及びHindIII(10U)で処 理し、総量40μlとして37℃で2時間インキュベートした。反応混合物を濃 縮し、これを1%低融点アガロースゲルに適用して電気泳動させた。切断された AP遺伝子(1454bp)に対応するバンドをゲルから切り出し、Prep− a−Geneキット(Bio−Rad)を用いて精製した。 (ii)制限酵素BamHI及びHindIIIでのM13mp18の二重消化 4μgのプラスミドM13mp18をReact #3緩衝液(BRL)中で 制限エンドヌクレアーゼBamHI(10U)及びHindIII(10U)で処 理し、総量40μlとして37℃で2時間インキュベートした。反応混合物を濃 縮し、これを1%低融点アガロースゲルに適用して 電気泳動させた。切断されたベクターに対応するバンドをゲルから切り出し、P rep−a−Geneキット(Bio−Rad)を用いて精製した。 (iii)消化したM13mp18ベクター中へのphoA遺伝子の連結、及び 形質転換 消化したベクター(0.5μg)、phoA遺伝子(1μg)及びT4 DN Aリガーゼ1I0U)を共に10μlの連結緩衝液(BRL)中に存在させ、1 6℃で16時間インキュベートした。連結混合物を40μlの水で稀釈し、1μ lの稀釈した連結混合物を用いてコンピテントDH5aF′細胞を形質転換した 。形質転換細胞を、10μlのIPTG(100mM)、50μlの5−ブロモ −4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(Xgal;DM F中に2%)及び50μlのDH5aF′ローン細胞を伴った寒天上に植え付け 、37℃で一晩ィンキュベートした。(1)phoA遺伝子を含まない消化ベク ター、及び(2)ベクターに組み込んでいないphoA遺伝子から成る陰性対照 も連結し、かつ形質転換に用いた。その結果、連結の成功を示す多くの無色のM 13mp18/phoAプラークが得られた一方、陰性対照では プラークは生じなかった。 (iv)M13mp18/phoAファージ及びRF DNAの単離及び特徴解 二つの無色プラークを採取し、5m=の2XYT(Maniatis等,Mo lecular Cloning,Cold Spring Harbor P ress,1989)培地中で37℃で16時間、10μlのDH5aF′ロー ン細胞と共に増殖させた。細胞と上清(ファージ)とを遠心によって分離し、そ の後細胞からRFプラスミドを標準的操作(Maniatis等,Molecu lar Cloning,Cold Spring Harbor Press ,1989)で調製した。2mlのファージ上清を取り置いた。RF DNAをBam HI及びHindIIIで上述の実施例と同様に消化したところ、M13ベ クター中にphoA遺伝子が存在することが判明した。ファージ上清をDH5a F′ローン細胞に対して滴定して、該上清が5×1011pfu/mlを有するこ とが明らかとなった。 (v)ウラシル含有M13mp18/phoAファージ(ssDNA)の調製 及び単離 300mlのCJ236細胞(Bio−Radから入手可能なMuta−Ge ne M13 In Vitro突然変異誘発キット)の増殖培養物に1μlの M13mp18/phoAファージ上清を、感染の多重度(moi)0.1の場 合のOD600=0.3で添加し、37℃で6時間増殖させた。上清を取り置き、 この上清からファージ及び対応するssDNAを、標準的な操作(Maniat is等,Molecular Cloning,Cold Spring Ha rbor Press,1989)を用いて単離した。2mlのファージ上清を 取り置き、これをCJ236細胞とDH5aF′ローン細胞との両方に対して滴 定した。力価に、ウラシル含量が高い場合に特徴的である105の差を測定した 。このように得られたssDNAを総ての突然変異プライマー反応に用いた。 (vi)突然変異体pKJ9の調製;突然変異鎖の合成 突然変異GLU407CYS(下線部)(“GLU407CYS”は残基40 7のグルタミン酸がシステインによって置換されることを示す)に対応するDN Aオリゴマー5′−GTGCTCTTGG CTATCGCATT CGGAG TTCCC G−3′(配列番号34)を先に述 べたようにリン酸化し、最終濃度を4pmol/μlとするべく100μlに稀 釈した。1μlのオリゴマーと0.08pmolのウラシル含有鋳型とをアニー ルさせ、これをMuta−Geneマニュアルに従ったポリメラーゼ反応に添加 した。ポリメラーゼ反応混合物を用いてDH5aF′コンピテント細胞を、Xg alをBCIPに替えた以外は先に述べたようにして形質転換した。陰性対照( 鋳型であるが、突然変異プライマーではない)は四つの青色プラークの形成を実 現し、一方突然変異反応混合物は幾多の青色プラークをもたらした。 (vii)突然変異体ファージ及びRF DNAの単離及び配列決定 幾つかの青色プラークを採取し、3mlの2XYT培地中で37℃で6時間、 20μlのDH5aF′ローン細胞と共に増殖させ、その後上清からssDNA を、また細胞からRF DNAを標準的操作で単離した。ssDNAの配列決定 によって、所望の突然変異を有するクローンを同定した。当該突然変異体に対応 するRF DNAをBamHI及びHindIIIで消化し、突然変異体phoA 遺伝子を先に述べたように単離した。 (viii)突然変異体phoA遺伝子のpUC18中への連結 プラスミドpUC18を、先に述べたのと同様の操作でBamHI及びHin dIIIで消化し、かつ精製した。切断したベクター中に突然変異体phoA遺伝 子を、既述の操作を用いて連結した。連結混合物を用いてMZ13b細胞を、タ ンパク質発現のために直接形質転換した。実施例9ハイブリッド酵素の生成及び抽出 突然変異体プラスミドを導入した大腸菌株MZ13bを、200μg/mlの アンピシリンを伴った2=のLB培地中で37℃で一晩増殖させた。細胞を遠心 によって回収し、20mlの緩衝液(0.15MトリスHCl,0.9%NaC l;pH6.6)中に再懸濁させた。ハイブリッド酵素がペリプラズム中へ送出 されたため、スフェロプラスト化によってペリプラズムタンパク質が放出された 。懸濁細胞を120mgのポリミキシンB(6mg/ml)で処理し、37℃で 15分間インキュベートした。上清を遠心によって細胞破片から分離し、0.2 mmフィルターで濾過した。実施例10ハイブリッド酵素の精製 a)表面スルフヒドリル基の保護もしくは“キャッピング” ハイブリッド酵素粗抽出物中では結合に関与するべきスルフヒドリル基が露出 し、従って酸化または他の望ましくない反応を被った。ハイブリッド酵素の表面 に位置する、導入されたシステインはジスルフィドとして酸化されて、多くの異 なる硫黄含有細胞成分となった。これらの付加物を均質な状態で生成させるべく 、ハイブリッド酵素を還元し、その後別のスルフヒドリル基と反応させた。細胞 抽出物を室温で20分間DTT(最終濃度2mM)で処理した。システインを最 終濃度10mMとなるように添加し、混合物に酸素を2〜6時間通気した。シス テアミン、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロピオン酸、グルタチ オンまたはチオサリチル酸等といった他のスルフヒドリル保有化合物にも同様の 条件を用いた。あるいはまた、還元後に活性チオールを導入することも可能であ る。還元した混合物を室温で1時間、エルマン試薬[または2,2′−ジチオピ リジン、5,5′−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)もしくはジチオサリチル 酸等]で処理した。 b)ハイブリッド酵素の精製 キャッピングしたハイブリッド酵素を含有する抽出物を脱イオン水で1lに稀 釈し、これを蠕動ポンプによって、25mMトリスHCl、1mM MgCl2 、pH8.0で平衡させたDEAEセファローズのカラムに適用した。カラムを 25mMトリスHCl、1mM MgCl2、pH8.0中の50mM NaC lで平衡するまで洗浄した。活性タンパク質の溶離を25mMトリスHCl、1 mMMgCl2、pH8.0中の、濃度勾配50→200mMのNaClで行な った。活性画分を80→120mM塩で溶離した。精製したハイブリッド酵素の 特徴を、標準的な技術を用いてタンパク質に関するA280nmと酵素に関するA4 10 nmとの両方によって解明した。活性画分を一つに合わせ、限外濾過を用いて 濃縮した。 この時点で、ハイブリッド酵素は化学的誘導体生成に十分な純度を有した。比 活性測定のために均質性を得るべく、HPLCを用いて更に精製した。濃縮溶液 (タンパク質1〜2mg/ml)をPOROS R/H逆相HPLCカラム上に 注ぎ、50mMトリスHCl、1mM MgCl2、pH8.0中の、濃度勾配 0→80%のアセトニトリルで20分にわたり溶離した。11分経過時点でハイ ブリッド 酵素を、約30%のアセトニトリルで溶離した。同じ条件を用いて、化学的に結 合させたハイブリッド酵素を精製した。 このようにして12種のハイブリッド酵素を調製した。ハイブリッド酵素の比 活性及び減衰(化学結合後の抗体結合に際しての活性損失率)を測定した。得ら れたデータを表4に示す。小文字の“p”はプラスミドを示すのに用いてあり、 一方“KJ”は任意のアルファベットである。“KJ”に続く数字は突然変異体 の逐次調製を表わしている。略号“pUC”は、発現遺伝子挿入前の初期ベクタ ーの市販フラスミドpUC18を意味する。例えば、pKJ3.pUCは市販プ ラスミドpUC18に挿入された、ハイブリッド酵素3をコードするプラスミド を示す。例えばpKJ3.pUCから得られる、対応するハイブリッド酵素はA PKJ3である。標準的な慣例は“Lys167Cys”などの記号にも適用さ れ、前記記号はAPの残基167のリシンがAPKJ3のシステインによって置 換される突然変異を意味する。 実施例11ハイブリッド酵素にリガンドを結合させる一般的方法 結合反応のための諸条件は用いる架橋剤次第であった。好ましくは、N−ヒド ロキシスクシンイミジル基及びヨードアセトアミド基を各一方の末端に有するヘ テロ二官能性架橋剤を用いることによってリガンドを活性化する。リガンドを最 初にアルカリ性緩衝液中で上記架橋剤で処理し、それによってN−ヒドロキシス クシンイミド基と、ペプチドの1個以上のアミノ官能基との反応を生起させた。 クロマトグラフィーまたは結晶化による精製後、得られた活性リガンドを、好ま しくはその活性部位近傍にシステイン(Cys)置換基を有するハイブリッド酵 素と中性pHにおいて反応させた。得られたハイブリッド酵素−リガンド結合体 を、脱塩カラムに通して過剰な、及び未反応のリガンド並びに他の望ましくない 塩及びイオンを除去することにより大体精製した。この物質は、固定化された抗 リガンド抗体を収容したアフィニティーカラムに通すことによって更に精製可能 である。未結合のハイブリッド酵素はカラムをそのまま通過したが、ハイブリッ ド酵素−リガンド結合体は保持された。保持されたハイブリッド酵素−リガン ド結合体を後に、カオトロピック溶媒または他の特異的溶離剤でカラムから溶離 した。 ハイブリッド酵素−リガンド結合体を、アッセイにおけるその性能について評 価した。基本的には、ハイブリッド酵素−リガンド結合体と、特異的抗体と、分 析対象を含有する標本とから成る混合物をインキュベートした。上記成分は逐次 または同時に混合し得ると理解されるべきである。次に、酵素基質を添加し、酵 素反応に関連する光度変化を測定した。基質濃度は総じて1μMから50mMと したが、0.2〜10mMが好ましかった。結合体の濃度は総じて10ng/m lから1mg/mlとし、その際好ましいのは1〜10μg/mlであった。抗 体濃度は総じて1ng/mlから50μg/mlとし、その際好ましいのは1〜 50μg/mlであった。適当な緩衝液は用いる酵素、及び酵素活性にとって最 適な諸条件に依存する。インキュベーション温度は、基質添加前のインキュベー ションに室温を用い、また酵素反応のために37℃の温度を用いる以外は典型的 には約10〜約45℃とする。インキュベーション時間は、免疫化学結合のため には1分から一晩までとし得、酵素反応のためには30分以下とし得る。好まし いイ ンキュベーション時間は、免疫化学結合のためでも酵素反応のためでも10分間 である。用いる基質は、紫外線検出、可視光検出、蛍光検出、燐光検出、発光検 出または電気化学的検出用であり得る。 ハイブリッド酵素へのリガンドの結合は、脱保護した酵素の水溶液を、スルフ ヒドリル基の硫黄と共有結合する官能基を有するリガンドの誘導体に暴露するこ とによって実現した。最も好ましいのは、上記リガンドのヨードアセトアミドま たはマレイミド誘導体であった。これらの誘導体のうちの幾つかの構造を図16 A及び図16Bに示す。反応性基は、有効に配置されたスルフヒドリル基の位置 でハイブリッド酵素に結合し、安定な共有結合を構成した。結合操作では大過剰 量の活性リガンドを、リガンド誘導体を維持する溶媒、好ましくはジメチルホル ムアミドに溶解させた。活性リガンドはハイブリッド酵素及び脱保護剤に比較し てモル過剰量で存在させなければならない。次に、作製した溶液を、新たに脱保 護したハイブリッド酵素の溶液に添加した。反応完了までに必要な時間は主とし て、いずれのハイブリッド酵素を用いるかに依存した。APKJ3では反応は1 5分以内に完了したが、APKJ4の場合は 6時間にも及ぶ時間が必要なことも有った。得られた混合物をゲル濾過カラムに 通して、有機溶媒及び余分のリガンド誘導体を除去した。タンパク質濃度をクー マシーブルー(Pierce)タンパク質試薬で測定した。 精製したハイブリッド酵素をヨードアセトアミド−リガンドに室温で結合させ た。1mlの精製ハイブリッド酵素に10μlの100mM DTTを添加した 。DTTは0.1Mトリス(pH7.5)に溶解させた。この混合物を3〜4時 間反応させ、反応後に100μlの、リガンド−ヨードアセトアミド成分(例え ばアミノメチルテオフィリンヨードアセトアミドまたはアミノプロピルテオフィ リンヨードアセトアミド)の500mM DMF溶液を添加した。結合腕(li nker arm)の長さは、突然変異の活性部位からの距離に応じて様々とな り得る。典型的には、上記反応には室温で約30分掛かり、その後反応混合物を 脱塩カラムに通して余分のリガンド−ヨードアセトアミドを除去した。上記カラ ム内に用いる緩衝液は通常50mMトリス及び1mM MgCl2(pH7.5 )とした。高タンパク質画分を一つに合わせてタンパク質濃度を、クーマシーア ッセイ(Pierce)を用いるA594nm読み 取りによって測定した。得られた結合体を濃度0.15μg/ml(またはCo bas Mira,RocheDiagnostics,Montclair, NJなどの分析機において0.1の吸光単位)で用いた。稀釈緩衝液は、0.1 Mトリス、1mM MgCl2、0.1mM ZnCl2及び0.5% BSA( pH7.5)とした。実施例12ハイブリッド酵素−リガンドを評価する一般的方法 結合体 調製したハイブリッド酵素−リガンド結合体を特異的抗体で試験して、前記抗 体が酵素活性に影響する程度を測定した。図17に、テオフィリン誘導体T1及 びT4に結合させたハイブリッド酵素APKJ3に関する結果を示す。ハイブリ ッド酵素−リガンド結合体を、テオフィリンに対するヒツジポリクローナル抗体 及びマウスモノクローナル抗体の両方で試験した。抗体がハイブリッド酵素−リ ガンド結合体の活性を減衰させる一般的傾向が認められたが、異なるハイブリッ ド酵素−リガンド結合体間、及び同じハイブリッド酵素−リガンド結合体に対し て用いられた異な る抗体間の著しい相違が明らかとなった。酵素活性は抗体の添加と共に、抗体濃 度がハイブリッド酵素−リガンド結合体の濃度とほぼ等しくなるまで低下し、そ れ以後は活性低下は起こらなかった。抗体もハイブリッド酵素−リガンド結合体 も二価であるので、観察された化学量論的に1:1の反応は予測されていた。抗 体飽和時の酵素活性の減衰度は、抗体とハイブリッド酵素−リガンド結合体との 両方の構造的特徴に依存する一特性であった。図18A及び図18Bに、ハイブ リッド酵素の三つの異なる部位にテオフィリン誘導体が様々な長さの結合基(l inker group)を介して結合したハイブリッド酵素−リガンド結合体 の、飽和量の抗体の存在下に残留する酵素活性を示す。ハイブリッド酵素APK J5では、結合基は活性部位凹部内に最も深く位置する。ハイブリッド酵素AP KJ3では結合基は中くらいの深さに位置し、ハイブリッド酵素APKJ4では 凹部の開口付近に位置する。図18Aには、ヒツジポリクローナル抗体及びマウ スモノクローナル抗体に関する結果を示す。 図示のグラフから、結合基がテオフィリン基を活性部位から十分隔てて配置し た場合にのみ抗体がハイブリッド酵 素−リガンド結合体活性を減衰させることが明らかとなった。ハイブリッド酵素 APKJ3−リガンド結合体は中くらいの長さの結合基を必要とし、ハイブリッ ド酵素APKJ4−リガンド結合体は最も短い結合基の下で抗体による活性減衰 を示した。興味深いことに、ヒツジポリクローナル抗体はハイブリッド酵素−リ ガンド結合体の活性を、マウスモノクローナル抗体よりも短い結合基の下で減衰 させた。このことは、用いたモノクローナル抗体の特殊性の影響ではなく、抗体 を取得した種の影響であると考えられ、なぜなら他のリガンド及び様々な抗体に 関して同じ依存性が観察されたからである。 結合基長に関する結果は本発明の系のモデルと整合した。上記モデルによれば 、嵩高な抗体の立体干渉は基質が酵素の活性部位に近づくことを妨げる。リガン ドが活性部位凹部内にあまりに深く配置された時、抗体は該抗体自体の嵩高さが 原因で結合し得なかった。リガンドが活性部位凹部からあまりに遠く配置された 時には抗体も、基質の接近を大幅に制限するにはあまりにハイブリッド酵素から 離れた位置で結合することになった。抗体の結合を可能にし、かつ最大の減衰を 実現する最適の距離が見いだされた。PN PP以外の様々な基質、小型分子、及びAPにとっての普通の基質に関して得ら れた結果を比較することによって、上記モデルは更に支持された。ハイブリッド 酵素−リガンド結合体に対する抗体結合の制限的な作用は、基質が大型であるほ ど顕著となろう。 表5に、様々な基質、即ち4−ニトロ−フェニルホスフェート(PNPP)、 フルオレセインジホスフェート(FDP)及びジメチル−フルオレセインジホス フェート(DMFDP)を用いて測定した、飽和抗体濃度におけるテオフィリン ハイブリッド酵素−リガンド結合体(リガンドとしてテオフィリンを使用)の残 留活性を示す。PNPPより大型のFDPの場合にはるかに大幅な減衰が実現し たことが明らかとなった。最大の基質DMFDPの場合に最も大幅な減衰が実現 した。表5中に掲げた数字は対照(抗体結合せず=1)を基準とした比率である 。 活性変化が常に減衰であるとは限らない。図19に、様々な結合基を有するリ ガンドとしてのチロキシン誘導体を伴ったハイブリッド酵素APKJ3(20p M)に付加したモノクローナル抗体の、pH8.0におけるPNPPの存在下で の作用を示す。最も短い結合基を有するハイブリッド酵素−リガンド結合体Th y−3は、抗体を付加すると通常の活性低下を示した。より長い結合基を有する ハイブリッド酵素−リガンド結合体ThyA−3、ThyB−3、ThyC−3 は、抗体を付加すると活性の上昇を示し た。抗体によるこのような活性上昇は、APKJ3とリガンドとしてのフルオレ セインとの結合体に関しても、フルオレセインに対するモノクローナル抗体を用 いて確認した。幾つかのハイブリッド酵素−リガンド結合体の酵素活性は、先の 試験で酵素活性の低下を招いた抗体の存在下でよりも不在下での方が低かった。 このことは、チロキシン(またはフルオレセイン)リガンド自体がハイブリッド 酵素−リガンド結合体の活性部位に干渉したこと、及び抗体がリガンドに結合す ることによって前記干渉が除去されたことを示すものであった。試験したリガン ドのうちでチロキシン及びフルオレセインのみがフェノール性ヒドロキシル基を 有した。フェノール性ヒドロキシル基と、触媒中心に位置する反応性基との水素 結合は低活性の原因となり得た。 イムノアッセイでは、抗体によって惹起される酵素活性の減衰は分析対象の存 在によって影響されるはずである。図20に、様々な濃度のヒツジ抗体の存在下 にテオフィリンハイブリッド酵素−リガンド結合体(T1−3;20mM)にμ l量の、血清主体のテオフィリン検量物質を添加することの影響を示す。T1− 3とは、T1(アミノメチルテオフィリン)に結合したハイブリッド酵素APK J 3のことである。抗体不在下では、酵素活性はテオフィリン濃度と無関係に高か った。抗体を付加すると、テオフィリン濃度0の時の活性は飽和抗体濃度に達す るまで低下した。テオフィリンの付加によって酵素活性は、テオフィリン量に応 じて回復し、その際回復した最高活性は抗体不在下にみられた活性に類似した。 アッセイフォーマットでの使用のために、試料量並びに抗体及びハイブリッド 酵素−リガンド結合体の濃度を所望の感度が得られるように選択した。成分同士 を好ましくは次のように混合した。試料と結合分子とを合わせて0〜30分間イ ンキュベートし、その後ハイブリッド酵素−リガンド結合体を添加して混合物を 0〜30分間インキュベートした。基質を添加し、反応を5秒間から30分間監 視した。アッセイを、既知濃度の分析対象を含有する溶液で検量した。未知物質 の試料を上記アッセイ操作で扱い、その分析対象濃度は、シグナルを検量物質に 関する結果から決定した曲線と比較することによって決定した。実施例13結合基を有するリガンドの一般的な調製 リガンドのハイブリッド酵素への結合には通常、ヨードアセトアミド官能基が 適当であった。リガンドの適当なア ミン誘導体から出発して対応するヨードアセトアミドを、好ましくはメタノール または水性メタノール中で基本条件下に行なうヨード酢酸無水物への、またはヨ ード酢酸の活性エステル(好ましくはN−ヒドロキシスクシンイミドエステル) への暴露により容易に調製した。リガンドのヨードアセトアミドは通常アミンほ ど水溶液に易溶でないので、生成物はしばしば沈澱によって反応混合物から単離 可能であるが、場合によってはクロマトグラフィーでの精製が必要となることも 有る。単純なヨードアセトアミドを用いた場合よりも、結合基を有効アミンから 離して配置したリガンドを調製するには、ヨードアセトアミド活性エステルの拡 張形態を用い得た。上記のような拡張結合基の一つを調製するべく、ヨード酢酸 のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルをグリシンに暴露してグリシンのN− ヨードアセトアミドを調製した。次に、化合物のカルボキシレート基を同じN− ヒドロキシスクシンイミドで再エステル化した。グリシンの相同体(例えばβ− アラニン、γ−アミノ酪酸)またはそのダイマーもしくはマルチマーを用いるこ とによって、より長い結合腕を得ることができた。加えて、結合基分子に特徴的 な何等かの所望の溶解性または活性を実現 する側鎖を有する他のアミノ酸を用いることも可能であった。これらの活性リガ ンドの調製に用いる反応は単純であるので、ほとんどの生成物の同等性及び純度 の確認には薄層クロマトグラフィー(TLC)が適当であった。実施例14A8−アミノエチルテオフィリンヨードアセトアミド(T2)の 調製 a.8−N−t−BOC−アミノエチルテオフィリン 3.4g(20mmol)の5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシルヒ ドレートと5.0g(26mmol)のN−t−BOC−β−アラニンとをフラ スコ内で混合し、これを、30分を越える時間加熱して155℃とした油浴に入 れた。40℃で固体が融解し、100℃より高温で発砲が生起した。この反応プ ロセスに続いて、クロロホルム:メタノール:酢酸溶媒(50:4:2)を用い るシリカゲル上での薄層クロマトグラフィーを行なった。155℃で20分経過 後、反応は完了したと思われた。混合物を冷却し、10mlの6N NaOHを 加えた35mlの水に溶解させ、20分間加熱して還流させた。TLCによって テオフィリン誘導体への変換の完了を確認した。溶液を6N HClで滴定した 。6mlのHClの添加によって重い 沈澱物を生じさせ、50mlの水を添加した。更に3mlのHClを添加してp Hを5.85とした。固体を濾過によって回収し、3mlの6N NaOHを加 えた50mlの水に溶解させ、3mlの6N HClで再沈澱させた。固体を濾 過によって回収し、かつ乾燥して3.8gの淡黄色の粉末を得た。 b.8−アミノエチルテオフィリン塩酸塩 3.23gの上記生成物を120mlの還流エタノールに溶解させた。少量の 物質が溶解せず、これは廃棄した。3mlの濃縮HClを添加し、混合物を約6 0分間加熱してほぼ還流温度とし、その後室温まで冷ました。固体を濾過によっ て回収し、20mlのエタノールで洗浄し、かつ乾燥して2.11gのオフホワ イトの結晶を得た。 c.8−アミノエチルテオフィリンヨードアセトアミド 125mg(0.5mmol)の上記結晶の大部分を1.0mlの水、4.0 mlのメタノール及び0.12mlの6N NaOH(pH10.18)に溶解 させた。130mgのヨード酢酸無水物を急速攪拌下に添加した。5分掛かって pHが5.6に低下し、その間に溶液は透明となり、新たな沈澱物が生じた。N aOHを添加してpHを7.0 〜7.5に維持しながら、さらに64mgのヨード酢酸無水物を添加した。10 mlの水を添加し、固体を濾過によって回収し、10mlの水で洗浄し、かつ乾 燥して123mgの固体を得た。実施例14B8−アミノメチルテオフィリンヨードアセトアミド(T1)の 調製 a.8−N−t−BOC−アミノメチルテオフィリン 8.5gのN−t−BOCグリシンと8.5gの5,6−ジアミノ−1,3− ジメチルウラシルとを一緒に乳鉢内で粉砕した。粉末をフラスコに移し、このフ ラスコを油浴に入れて回転しつつ温度を徐々に130℃まで高めた。130℃で 30分経過後、得られた濃厚シロップを冷却して脆性ガラスとした。20mlの 6N NaOHを添加し、加熱還流によって固体を溶解させた。冷却によって生 じた、厚く堆積した沈澱物を、80mlの水を添加して溶解させた。10mlの 濃縮HClでpHを6.4に調節した(pH9.8において沈澱物生成)。固体 を濾過によって回収し、150mlの水で洗浄し、かつ減圧デシケーターで乾燥 して8.37gの淡黄色の粉末を得た。 他の8−N−t−BOC−アミノアルキルテオフィリン を同じ操作で調製した。変更した条件は、155℃に高めた反応温度、及び60 分に延長した加熱時間などであった。場合によっては、より稀薄なNaOHをよ り大量に用いた。この反応の収量は、理論値の約60%をけっして上回らなかっ た。 b.8−アミノメチルテオフィリン塩酸塩 7.73gの8−N−t−BOC−アミノメチルテオフィリンを50mlのエ タノール、6mlの濃縮HCl及び15mlの水に加え、これを30分間加熱し て還流させ、その際時折フラスコ頂部からの蒸気を吹き散らした。50mlのエ タノールを添加して沈澱物を生じさせ、これを5mlの水の添加によって溶解さ せた。混合物を室温まで冷まし、次いで氷浴中で0℃に冷却した。50mlのエ タノールを添加して混合物を、注げるように稀釈した。固体を濾過によって回収 し、50mlのエタノールで洗浄し、かつ乾燥して5.50gの白色の結晶を得 た。 他の8−アミノアルキルテオフィリン塩酸塩を同じ操作で調製した。T4に対 応する生成物はエタノール/HClから析出しないので、水酸化アンモニウムの 添加により混合物を塩基性とした。生じた固体を濾過によって回収した。 c.ヨード酢酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル溶液 190mgのヨード酢酸及び120mgのN−ヒドロキシスクシンイミドを6 00μlのジメチルホルムアミドに溶解させた。得られた溶液に、210mgの ジシクロヘキシルカルボジイミドを400μlのジメチルホルムアミドに溶解さ せた溶液を添加した。混合物を渦巻き混合によって攪拌し、その後室温で60分 間インキュベートした。混合物を遠心してジクロヘキシルウレア(dicloh exylurea)を沈降させた。上清をこれ以上精製せずに用いた。 d.8−アミノメチルテオフィリンヨードアセトアミド 117mgの8−アミノメチルテオフィリン塩酸塩を10mlのメタノールに 溶解させ、約170μlの6N NaOHの添加によってpHを11.25に調 節した。急速攪拌下に700μlのヨード酢酸N−ヒドロキシスクシンイミドエ ステル溶液を添加し、pHを急速に8.25まで低下させた。100μlの6N HClを溶液に添加した。量い沈澱物が生じ、これを濾過によって回収し、水 及びメタノールで洗浄し、かつ乾燥して107mgの白色の固体 を得た。 他の8−アミノアルキルテオフィリンヨードアセトアミドを同じ方法で調製し 、ただし場合によってはヨード酢酸無水物を用いた。N−ヒドロキシスクシンイ ミドエステルの方が反応条件下でソルボリシスを受けにくいと考えられるので好 ましかった。生成物がメタノール/水洗液から析出しない場合も有ったが、メタ ノールを蒸発させることによって固体を回収した。 これらの反応は総て、反応物及び生成物の極性に応じて50:4:2または5 0:8:2のクロロホルム:メタノール:酢酸から成る溶媒系を用いるシリカゲ ルプレート上でのTLCによって好ましく監視した。実施例15Aチロキシン−N−ヨードアセトアミド(Thy)の調製 78mg(0.1mmol)のL−チロキシンを1.0mlのメタノールに、 34ml(0.2mmol)の6N NaOHの添加と、浴音波処理装置での音 波処理とによって溶解させた。48mgのヨード酢酸N−ヒドロキシスクシンイ ミドエステルを添加し、混合物を渦巻き攪拌(vortex)した。8.5ml の6N NaOHを添加し、 混合物を渦巻き攪拌した。TLC(シリカゲル上で50:6:2のクロロホルム :メタノール:酢酸による)によって反応の完了を確認した。50mlの6N HCl、次いで4mlの水を添加して沈澱物を生成させた。沈澱物を遠心によっ て回収し、1mlのメタノール及び4mlの水で洗浄した。遠心後、ペレットを 真空下に乾燥して82mgのオフホワイトの固体を得た。実施例15Bチロキシン−N−(グリシル−N−ヨードアセトアミド)(T hyA)の調製 a.N−グリシルチロキシン 380mgのL−チロキシンを2.0mlのメタノールに、174.5μlの 6N NaOHの添加及び音波処理によって溶解させた。140mgのN−t− BOC−グリシン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを添加し、混合物を 渦巻き攪拌した。TLCによって、反応が10分以内に完了したことを確認した 。190μlの6N HCl及び5mlの水を添加し、混合物を渦巻き攪拌した 。混合物から粘着質の沈澱物を、3mlのクロロホルムでの抽出を3回行なって 分離した。有機画分を無水硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を蒸発させると470 mgのオフホワイ トの固体が残った。これを2mlの塩化メチレン及び2mlのトリフルオロ酢酸 に溶解させた。10分後に溶媒を蒸発させ、残留物を5mlのメタノールに溶解 させた。溶媒を蒸発させて500mgの淡褐色の固体を得た。 b.チロキシン−N−(グリシル−N−ヨードアセトアミド) 95mgのN−グリシルチロキシンを、51μlの6N NaOHを加えた1 .0mlのメタノールに溶解させた。(上記NaOHは予測より1モル当量多く 、このことは用いたN−グリシルチロキシンがトリフルオロ酢酸塩として存在す ることを示した)。61mgのヨード酢酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステ ル及び8.5μlの6N NaOHを添加した。TLCによって反応の完了を確 認した。60mlの6N HCl,次いで4mlの水を添加した。遠心後、上清 を廃棄し、沈澱物を1mlのメタノール中に分散させ、4mlの水で洗浄した。 混合物を再び遠心し、ペレットを減圧デシケーターで乾燥して79mgの白色の 固体を得た。 ThyB及びThyCに対応するリガンドをThyの場合と同様に、ただしヨ ード酢酸N−ヒドロキシスクシンイ ミドエステルの替わりにN−ヨードアセチル−β−アラニンN−ヒドロキシスク シンイミドエステル及びN−ヨードアセチル−γ−アミノ酪酸N−ヒドロキシス クシンイミドエステルを用いて調製した。同じ反応条件下に類似の収量を達成し た。実施例16Aヨードアセトアミド−β−アラニンアミド−3−アミノジゴキ シゲニン(DA)の調製 92mg(0.25mmol)の3−アミノジゴキシゲニンを1.0mlのメ タノールに溶解させた。91mgのN−ヨードアセトアミド−β−アラニンN− ヒドロキシスクシンイミドエステル及び15mlのトリエチルアミンを添加し、 20分後に薄層クロマトグラフィーを行なって反応の完了を確認した。混合物を 、30mlの10%炭酸ナトリウム及び3×10mlのクロロホルム(第一の抽 出ステップでは粘着質油の生成を防止するべく5mlのメタノールを添加)間に 分配した。クロロホルム層を一つに合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、かつ 蒸発させてフラスコ面上に150mgの膜を得た。これを0.2mlのメタノー ル及び2mlのクロロホルムに溶解させ、クロロホル ム:メタノール:酢酸(100:12:2)溶媒中でTLCプレートに適用した 。rf=0.5において所望の生成物を含有するバンドをプレートから掻き取っ てメタノールで溶離し、溶媒を蒸発させて100mgの蝋質固体を得た。実施例16Bジゴキシゲニンリガンドの調製 a.3−ケトジゴキシゲニン 1.0gのジゴキシゲニンに酸化白金(IV)(0.5g)を加え、これを10 0mlの水及び150mlのアセトンに溶解させた。混合物を加圧して酸素2気 圧とし、72時間振盪した。触媒を濾過によって除去し、溶媒を蒸発させると1 .01gの白色の固体が残った。これを100mlの塩化メチレンに溶解させ、 70mlの水で抽出した。水を50mlの塩化メチレンで2回逆洗浄(back −wash)した。有機画分を集め、無水硫酸ナトリウムで脱水し、かつ溶媒を 蒸発させて0.75gの白色の固体を得た。 b.3−アミノジゴキシゲニン 穏やかな加熱下に、300mgの3−ケトジゴキシゲニンを20mlのメタノ ールに溶解させた。2.0gの酢酸アンモニウムを添加し、溶液を氷浴中で冷却 し、攪拌下に90mgのシアノホウ水素化ナトリウムを添加した。TL Cによって、反応が5分以内に完了したことを確認した。混合物を氷中で冷却し ながら、102滴の濃縮HClを添加して混合物をpH紙に従い酸性化した。6 00mgの固体を濾過によって除去し、濾液のpHを20%水酸化カリウム(K OH)で10.5に調節した。混合物を30mlのクロロホルムで3回抽出した 。有機画分を無水硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を蒸発させて304mgの黄白 色の固体を得た。 c.3−ヨードアセトアミドジゴキシゲニン(D) 180mgの3−アミノジゴキシゲニン及び70μlのトリエチルアミンを8 mlのメタノールに溶解させた。急速攪拌下に135mgのヨード酢酸無水物を 添加した。TLCによって、出発物質のより移動性の生成物への変換が完了した ことを確認した。溶媒を蒸発させて残留物を、幾分かのメタノールを含有する3 0mlのクロロホルムに溶解させた。クロロホルム溶液を30mlの0.1N HClで洗浄し、水性層を30mlのクロロホルムで2回逆洗浄した。有機層を 無水硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を蒸発させると240mgの油状残留物が得 られた。油状残留物を3mlのテトラヒドロフランに溶解させ、30mlの ヘキサンを添加し、沈澱物を濾過によって回収し、かつ乾燥して110mgのオ フホワイトの粉末を得た。実施例16C3−(ヨードアセトアミド−β−アラニル)−アミノジゴキシ ゲニン(DB)の調製 92mgの3−アミノジゴキシゲニン及び15mlのトリエチルアミンを1. 0mlのメタノールに溶解させた。91mgのヨードアセトアミド−β−アラニ ンN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを添加した。TLCによって、反応が 20分以内に完了したことを確認した。混合物を、30mlの10%炭酸ナトリ ウム、及び5mlのメタノールを加えた3×10mlのクロロホルム間に分配し た。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を蒸発させると150mgの残 留物が得られた。残留物を200μlのメタノール及び2mlのクロロホルムに 溶解させ、これをシリカゲル分取TLCプレートに適用した。プレートをクロロ ホルム:メタノール:酢酸(100:12:2)中で展開した。所望の生成物に 対応するバンドを掻き取り、メタノールで溶離し、溶媒を蒸発させて100mg の蝋質固体を得た。 a.4′,5′−ジメチルフルオレセイン 5.92gの無水フタル酸及び9.92gの2−メチルレゾルシノールを一緒 に粉砕した。5.3mlの濃硫酸を添加し、混合物を30分間加熱して135℃ とした。得られた黄赤色(yellow−red)の固体を水に、破砕によって 溶解させ、全部で21gの50% NaOHを添加した。溶液を水で稀釈して9 00mlとし、その後20mlの酢酸で酸性化した。厚く堆積した橙色の沈澱物 を20分間沸騰させた。混合物を室温まで冷却してから濾過し、11.9gの乾 燥固体を得た。 b.4′,5′−ジメチルフルオレセインジホスフェート(DMFDP) 36mgの4′,5′−ジメチルフルオレセイン(DMF)を100mlのピ リジンに溶解させた。溶液を、100μlのピリジン中の50μlのオキシ塩化 リンに添加し、5分間攪拌した。溶液を10mlの、急速に渦巻く水に添加した 。3mlの2M塩化マグネシウムを7mlの溶液に添加した。12滴の6N N aOHを添加してpHを8.0に調節し、混合物を遠心して沈澱物を沈降させた 。上清の公称4′,5′−ジメチルフルオレセインジホスフェー ト濃度は7mMであった。稀釈(280μM)と、AP添加後の500nmにお ける吸光度の監視とによって生成物の特徴を解明した。 表6に、調製したハイブリッド酵素−リガンド結合体を掲げる。リガンドはハ イブリッド酵素に、先に述べたようにして結合させた。括弧内の数字は、対照( 抗体結合せず=100)に基づくパーセンテージとして表わした、過剰なモノク ローナル抗体の存在下での正規化残留活性である。100未満の数字はハイブリ ッド酵素−リガンド結合体活性の、抗体によって惹起された減衰を示す。100 より大きい数字は活性化を示す。 本明細書では、表6のT1に結合させたハイブリッドAPKJ3をT1−3と 呼称し、またAPKJ4に結合させたT2をT2−4と呼称しており、このよう な分類法は他の結合体にも同様に適用してある。T1とはリガンドとし てのアミノメチルテオフィリンであり、T2とはリガンドとしてのアミノエチル テオフィリンであり、T3とはリガンドとしてのアミノプロピルテオフィリンで あり、T4とはリガンドとしてのアミノブチルテオフィリンであり、T6とはリ ガンドとしてのアミノヘキシルテオフィリンである。Thyとはリガンドとして のチロキシンのヨード酢酸性アミドであり、ThyAとは結合基のグリシンと結 合させたチロキシンであり、ThyBとは結合基のβ−アラニンと結合させたチ ロキシンであり、ThyCとは結合基のγ−アミノ酪酸と結合させたチロキシン である。Dとはリガンドとしてのジゴキシゲニンのヨード酢酸性アミドであり、 DAとは結合基のグリシンと結合させたジゴキシゲニンであり、DBとは結合基 のβ−アラニンと結合させたジゴキシゲニンであり、DCとは結合基のγ−アミ ノ酪酸と結合させたジゴキシゲニンである。 実施例17:システイン突然変異を有する酵素ハイブリッドの保護及び精製 250mlのAPKJ3を10mMのL−システインと共に1時間インキュベ ートした。次いで、試料をエルマン試薬を用いたスルフヒドリル試験陰性になる まで混合物中の空気をバブリングした。次いで、この混合物をDEAEカラムに 導入し、0→500mMのNaCl勾配で溶離した。8.43U/mgの特異的 AP活性を示すタンパク質を1.886mg/ml含んでいる120mlの溶離 液を収集した。 実施例18:ハイブリッド酵素の脱保護及びテオフィリンリガンドとの結合 システインで保護したAPKJ3及びAPKJ4それぞれ7.0mlを窒素と 共に短時間バブリングし、次いで35mlの200mM DTTと混合し、室温 で60分間インキュベートした。18mgのリガンド誘導体T1、T2、T3、 T4又はT6を12×75mmの試験管内の400mlのDMFに溶解した。若 干の誘導体を溶解するには短時間の加熱が必要であった。脱保護したハイブリッ ド酵素溶液1.0mlを200mlのDMF溶液に添加した。9 0分後、この混合物を、1g/Lのアジ化ナトリウムを含む50mMトリス(p H8.0)と共に、5mlのPierce Kwikカラム(Pierce,R ockford,IL)に通過させた。2.0mlのタンパク質溶液を収集し、 これを100mMの塩化マグネシウム及び10mMの塩化亜鉛を含む20μlの 溶液と混合した。誘導体T1〜T6を用いてハイブリッド酵素−リガンド結合体 を調製した。標準BSA溶液で検量したPierceクーマシーブルータンパク 質試薬を用いて、タンパク質濃度を決定した。 実施例19:ハイブリッド酵素−リガンド結合体の評価 ハイブリッド酵素−リガンド結合体の試料T1−3及びT4−3(表5)を5 mg/mlのBSA,50mMトリス(pH8.0)中で43ug/mlに希釈 した。酵素の分子量を86kDと想定すると、濃度は0.5mMであるテオフィ リンに対するヒツジポリクローナル抗体及びマウスモノクローナル抗体の溶液を 1.0mMで調製した。VP(Abbott Laboratories,Ab bott Park,IL)マルチキュベットに、5mg/mlのBSAを20 μl→0μl、1.0mMの抗体を0μ l→20μl導入し、各ポジションの総容量を20μlに維持した。抗体は、テ オフィリンに特異的なヒツジポリクローナル又はマウスモノクローナルからなっ ており、その濃度は、既知濃度の蛍光テオフィリン誘導体溶液内での滴定により 決定されている。0.5mMハイブリッド酵素−リガンド結合体T1−3又はT 4−3 10μlを各ポジションのマルチキュベットに添加した。マルチキュベ ットをVP機器(Abbott Labs)上に置き、5mg/mlのPNPP ,50mMトリス,1.0mM MgCl2,0.1mM ZnCl2(pH8. 0)からなる基質を用い、415/450nmのフィルターの組み合わせにより 37℃で処理した。吸光度値を時間=0(キュベットへの基質添加時)との差と して収集した。10分後の結果を図20に示す。 実施例20:アッセイ方法 本発明は、分光光度分析能力を有する多数のランダムアクセス及び臨床化学ア ナライザーに適応可能である。例としては、Cobas Mira(Hoffm ann−LaRoche,Nutley,NJ)、Hitachi(Hitac hi Scientific Instrume nts,Mountain View,CA)、Monarch(Instru mentation Laboratory,Lexington,MA)又は EPx/Spectrum(R)(Abbott Laboratories)が 挙げられる。これらのアナライザーでは容量の少ない試料を使用することができ 、測時はアナライザーによって4〜20分の間で変動し得る。3種の混合物(基 質、結合体及び抗血清(又は抗体))を使用することができる。アッセイでは、 被分析物質は、結合分子に対する酵素−リガンド結合体と競合する。反応混合物 中に被分析物質が存在しなければ、吸光度のようなシグナルは低い。それは、結 合分子がハイブリッド酵素−リガンド結合体と相互反応して、基質−ハイブリッ ド酵素リガンド結合体の相互作用によるシグナルの生成が少なくなるからである 。被分析物質が存在すれば、結合分子と被分析物質が相互作用して、ハイブリッ ド酵素−リガンド結合体上の活性部位は有効なままである。これにより、より多 くの基質が活性部位内に入って相互作用し、吸光度の上昇に見られるようにより 多くのシグナルが生成し、またハイブリッド酵素−リガンド結合体の特異活性が 高くなる。被分析物質の濃度が増すと、 シグナルも増す。これにより、試験試料中の被分析物質濃度を決定できる曲線が 得られる。減衰(attenuation)量は、基質量、結合分子の量や種類、ハイブリ ッド酵素−リガンド結合体で使用するリンカーアーム、使用する発現ハイブリッ ド酵素、及び存在する被分析物質の量によって調整される。この技術がうまく適 用されているもののひとつは、Cobas Mira上のテオフィリンハイブリ ッド酵素−リガンド結合体である。ジゴキシン及びフェニトインのような他の小 さな被分析物質もこの技術に適応し得る。TSH an hCGのような大きな 分子をこのアッセイ方式で使用することもできる。 本発明の一アッセイを、T1−3及びテオフィリンポリクローナルヒツジ抗血 清#664−43(Abbott Laboratories)を用いて、3試 薬の形態でCobas Miraで実施した。アッセイ実施時に、Cobas Mira機器は2試薬又は3試薬の形態を使用することができる。この機器は、 2つのプローブ(試薬プローブ及び試料プローブ)で作動する。試薬プローブが 試薬#1を吸収し、試料プローブが試験試料を吸収する。試薬#1及び試料の両 方をキュベット内に分配する。次に、試 薬プローブが試薬#2を吸収してキュベット内に分配する。(3試薬アッセイで は)試薬プローブが試薬#3を吸収して、キュベット内に分配する。Cobas Miraアッセイの構成を以下に示す: 試薬#1:1mM MgCl2,0.1mM ZnCl2及び0.5%BSAを含 む0.1Mトリス緩衝液(pH7.5)中の5mg/mlのPNPP 250μ l。 試料:98μlの蒸留水で洗浄した、(TDx(R)テオフィリンキャリブレータ ー及びコントロールを用いる)試料2μl。 試薬#2:2μlの蒸留水で洗浄した、1×10-6Mのポリクローナルヒツジ抗 血清35μl。 試薬#3:2μlの蒸留水で洗浄した、(A450nmが0.1の0.1mM ZnCl2及び1mM MgCl2を含む0.1Mトリス緩衝液に溶解した)T1 −3 10μl。 アッセイはCobas Mira機器で以下の方法により実施した。 試薬#1を試薬プローブで吸収し、次いで試験試料及び洗浄水を試料プローブ で吸収した。試薬#1をキュベット 内に分配し、次いで試験試料及び洗浄水を分配した。次いで、この混合物を試薬 プローブと混合した。次いで、試薬プローブで試薬#2を吸収して、キュベット 内に分配し、混合した。約20秒後に、試薬#3を試薬プローブで吸収して、キ ュベット内に分配して混合した。次いで、全混合物を計4〜10分間インキュベ ートした。Cobas Mira機器で検量曲線が得られ、次いでこの曲線から 試料を読み取った。 Cobas Mira機器で更に以下のような2試薬系を試験した。 試薬#1:前述と同一緩衝液中のPNPP/テオフィリンポリクローナルヒツ ジ抗血清混合物280μl。 試料:10mlの水で洗浄した試料2μl。 試薬#2:2mlの蒸留水で洗浄したT1−3 10μl。 試薬#3を使用しないことを除いて、前述の方法で2試薬系を実施した。 内因性AP試料では、80mMのL−フェニルアラニン及び3mMのレバミゾ ールを5mg/mlのPNPP基質に添加した。 Cobas Miraで判明した2つの相関関係を以下に示す。 図21は、テオフィリン試料内にスパイクされた内因性AP試料のスパイクド 試料の相関を示す。この相関は前述のCobas Miraアッセイ対TDxテ オフィリンIIアッセイ(Abbott Laboratories)を示して いる。図21に示す阻害剤を用いるデータの線形回帰では、相関係数0.997 、傾き0.971、y切片0.373が得られた。このアッセイの精度は、1. 0に非常に近い傾き値及び相関係数で示されるようなテオフィリンレベルを明示 している。阻害剤を用いないデータの線形回帰の相関係数は0.970、傾きは 1.199、y切片は−0.693であった。これらのデータの傾きの増加は、 阻害剤が存在しなければ内因性APが積極的な干渉(positive interference) を生じることを示している。 感受性も、20個の同型のヒト血清非含有テオフィリン試料を用いてCoba s Miraアッセイで試験し、吸光度及び曲線あてはめプログラムを用いて平 均−2標準偏差を決定した。感受性は0.79mg/mlであり、これは、TD xテオフィリンの規定値0.82mg/mlに匹 敵していた。 回収もCobas Mira機器で実施した。1組のキャブレーターを血漿及 びTDx緩衝液礎質の両方で作成した。試料を並行処理すると、互いに+/−1 0%であった。内因性患者試料を1:2又は1:4に希釈したときも、試料は+ /−10%で回収された。 実施例21:ヒト絨毛膜ゴナドトロピン(hCG)ハイブリッド酵素−リガン ド結合体の調製 GF5脱塩カラム(Pierce)を0.1Mトリス,1mM DTT(pH 8.0)を含む脱ガス緩衝液で平衡化した。カラムを使用する直前に、エルマン 反応による溶出液の試験が陰性になるまで、0.1Mトリス(pH8.0)を含 む脱ガス緩衝液で洗浄した(Ellman,G.L.(1958)Arch.B iochem.Biophys.74,443)。BioGel P−2カラム (0.9×7.5cm)を、0.1Mトリス(pH7.0)で平衡化した。0. 69mlの50mMトリス,100mM NaCl(pH8.0)中の2mg( 20nmol)の精製APJK4及び1mM DTT溶液を室温で30分間イン キュベートした。反応混合物をGF5カラムのクロマト グラフィーで処理した。空隙容量(void volume)の画分をプールした。300 μlの0.1Mリン酸ナトリウム(pH7.0)中の1mg(0.24μmol )のCTPペプチド(配列番号29)(Asp−Pro−Arg−Phe−Gl n−Asp−Ser−Ser−Ser−Ser−Lys−Ala−Pro−Pr o−Pro−Ser−Leu−Pro−Ser−Pro−Ser−Arg−Le u−Pro−Gly−Pro−Ser−Asp−Thr−Pro−Ile−Le u−Pro−Gln−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys)(Bidar t,J.M.等(1985)J.Immunology,134,457)溶液 を、同一緩衝液中の30μlの28mMスルホスクシンイミジル(4−ヨードア セチル)アミノベンゾエート(Pierce)で処理した。この混合物を30℃ で30分間反応させた。次いで、この混合物をP−2カラムに通した。空隙容量 の画分をプールした。各カラムからプールした2種の画分を合わせた。得られた 溶液のpHを1N NaOHでpH8.0に調整した。混合物を2〜8℃で一晩 、次いで室温で3時間転倒式に回転させた。全反応混合物を、0.1Mトリス, 1mM MgCl2,0.1mM ZnCl2(pH8.0)に対して完全に透析した。透析した物質を2〜8℃ で保存した。 実施例22:ヒト絨毛膜ゴナドトロピン(hCG)のアッセイ アッセイで使用した抗体は、固定したCTPペプチドを含むカラムでヤギ抗β −ヒト絨毛膜ゴナドトロピンから親和性精製した。0.1Mトリス,1mM M gCl2,0.1mM ZnCl2(pH8.0)中の1%ウシ血清アルブミンに より、抗体試薬及び結合体をそれぞれ0.17μg/μl及び5.4μg/μl の処理濃度に希釈した。ウシ血清中に0、25、50、100及び200mIU /mlのhCGを含む検量標準液を、Abbott β−HCG 15/15T est KitTM(Abbott Laboratories)から得た。それ ぞれ25mlの標準液を50μlの抗体及び50μlの結合体と混合した。混合 物を室温で約10分間放置した。その後、1Mトリス(pH8.5)中の0.2 mM PNPP 250μlを添加した。8分後、Abbott VPTMアナラ イザー(Abbott Laboratories)により二色OD読み取り値 (415/450nm)を測定した。別の アッセイでは、17μg/mlの抗体濃度を使用することを除き、実験方法は殆 ど同じであった。両アッセイで観察されたOD値を標準液の既知濃度に対してプ ロットした(図22参照)。 実施例23:APハイブリッド酵素−リガンド結合体のフェリチン結合体の調 GF5脱塩カラム(Pierce)を、0.1Mトリス,1mM DTT(p H8.0)を含む脱ガス緩衝液で平衡化した。カラムを使用する前に、エルマン 反応による溶出液の試験が陰性になるまで、0.1Mトリス(pH8.0)を含 む脱ガス緩衝液で洗浄した(Ellman,G.L.(1958)Arch,B iochem.Biophys.74,443)。BioGel P−2カラム (0.9×7.5cm)を、0.1Mトリス(pH7.0)で平衡化した。0. 51mlの50mMトリス,100mM NaCl(pH8.0)中の1mg( 10nmol)の精製APJK4及び1mM DTT溶液を室温で30分間イン キュベートした。反応混合物をGF5カラムのクロマトグラフィーで処理した。 空隙容量の画分をプールした。300μlの0.1Mリン酸ナトリウム(pH7 .0)中の1m g(0.24μmol)のノナペプチド(配列番号30)(Lys−Pro−A sp−Glu−Asp−Asp−Trp−Glu−Ser、ヒト脾臓アポフェリ チンのa.a.83〜91)(Addison,J.M.等(1984)Feb s Letters 175,333)溶液を、同一緩衝液中の40mMスルホ スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート(Pierce) 50μlで処理した。混合物のpHを1N NaOHで7.0に調整した。この 溶液を30℃で30分間放置した。次いで、混合物をP−2カラムに通した。空 隙容量の画分をプールした。各カラムからプールした2種の画分を合わせた。得 られた溶液を室温で30分間放置し、その後2〜8℃で一晩転倒式に回転させた 。全反応混合物を0.1Mトリス,1mM MgCl2,0.1mM ZnCl2 (pH8.0)に対して完全に透析した。約2mlの透析物質を回収し、これを 2〜8℃で保存した。 実施例24:APハイブリッド酵素−リガンド結合体のフェリチン結合体の活 性の抗体誘導変性 モノクローナル抗フェリチン抗体試薬(10mg/ml)を0.1Mトリス, 1mM MgCl2,0.1mM Z nCl2(pH8.0)中の1%ウシ血清アルブミンで1:10、1:30、1 :100、1:300及び1:1000に希釈した。ハイブリッド酵素−リガン ド結合体(0.5mg/ml)を同一の希釈剤で1:200に希釈した。それぞ れ50μlの希薄抗体溶液を同一容量のハイブリッド酵素−リガンド結合体と混 合した。この混合物を室温で約10分間ィンキュベートした。その後、1Mトリ ス(pH8.5)中の0.2mM PNPP 250μlを添加した。10分後 、Abbott VPTMアナライザーにより、二色OD測定(415:450n m)を実施した。OD観測値を既知濃度の抗体に対してプロットした(図23参 照)。 本発明の好ましい実施態様に関する上記記載は例示的なものであって、添付の クレーム及びその同等内容によって限定される本発明の範囲を制限するものでは ない。前述の内容から好ましい実施態様には様々な変形や変更が可能であり、こ れは当業者には自明であろう。このような変形及び変更は、本発明の範囲を逸脱 するものではなく、従って本発明の範囲は、あらゆる同等内容を包含する添付の クレームによって限定されるものとする。 配列表 (1)一般情報: (i)出願人:Brate,E.M. Brennan,C.A. Bridon,D.P. Jaffe,K.D. Krafft,G.A. Mandecki,W. March,S.C. Russell,J.R. Yue,V.T. (ii)発明の名称: 遺伝子操作酵素及びそれらの 診断アッセイ用結合体 (iii)配列の数:34 (iv)連絡住所: (A)住所:ABBOTT LABORATORIES (B)通り:One Abbott Park Road (C)市:Abbott Park (D)州:Illinois (E)国:USA. (F)郵便番号(ZIP):60064-3500 (v)コンピューターの読取り可能形態 (A)媒体の型:フロッピーディスク (B)コンピューター:IBM PCコンパチブル (C)オペレーティングシステム:PC-DOS/ MS-DOS (D)ソフトウェア:SoftPC (vi)現出願データ: (A)出願番号: (B)出願日: (C)分類: (viii)弁理士/代理人情報: (A)氏名:Wong,Wean Khing (B)登録番号:33,561 (C)参照/事件整理番号:5324.PC.01 (ix)電気通信情報: (A)電話:(708)938-3517 (B)ファックス:(708)938-2623 (C)テレックス: (2)配列番号1の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:1454ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:二本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名:Escherichia coli (xi)配列番号1の配列: (2)配列番号2の情報 (i)配列の特徴: (A)長さ:449アミノ酸残基 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数: (D)トポロジー:不明 (ii)配列の種類:タンパク質 (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号2の配列: (2)配列番号3の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:132ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号3の配列: (2)配列番号4の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:124ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:二本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号4の配列: (2)配列番号5の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:57ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:二本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号5の配列: (2)配列番号6の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:56ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:二本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号6の配列: (2)配列番号7の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:57ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:二本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号7の配列: (2)配列番号8の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:56ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:二本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号8の配列: (2)配列番号9の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:127ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:二本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号9の配列: (2)配列番号10の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:127ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:二本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号10の配列: (2)配列番号11の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:85ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:二本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号11の配列: (2)配列番号12の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:85ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:二本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号12の配列: (2)配列番号13の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:91ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:二本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号13の配列: (2)配列番号14の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:91ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:二本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号14の配列: (2)配列番号15の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:98ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:二本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号15の配列: (2)配列番号16の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:103ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:二本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号16の配列: (2)配列番号17の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:88ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:二本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号17の配列: (2)配列番号18の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:105ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:二本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号18の配列: (2)配列番号19の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:13アミノ酸残基 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数: (D)トポロジー:不明 (ii)配列の種類:ペプチド (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号19の配列: (2)配列番号20の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:13アミノ酸残基 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数: (D)トポロジー:不明 (ii)配列の種類:ペプチド (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号20の配列: (2)配列番号21の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:13アミノ酸残基 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数: (D)トポロジー:不明 (ii)配列の種類:ペプチド (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号21の配列: (2)配列番号22の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:34アミノ酸残基 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数: (D)トポロジー:不明 (ii)配列の種類:ペプチド (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号22の配列: (2)配列番号23の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:13アミノ酸残基 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数: (D)トポロジー:不明 (ii)配列の種類:ペプチド (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号23の配列: (2)配列番号24の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:15アミノ酸残基 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数: (D)トポロジー:不明 (ii)配列の種類:ペプチド (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号24の配列: (2)配列番号25の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:36アミノ酸残基 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数: (D)トポロジー:不明 (ii)配列の種類:ペプチド (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号25の配列: (2)配列番号26の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:1455ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:二本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号26の配列: (2)配列番号27の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:23アミノ酸残基 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数: (D)トポロジー:不明 (ii)配列の種類:ペプチド (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号27の配列: (2)配列番号28の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:16アミノ酸残基 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数: (D)トポロジー:不明 (ii)配列の種類:ペプチド (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号28の配列: (2)配列番号29の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:39アミノ酸残基 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数: (D)トポロジー:不明 (ii)配列の種類:ペプチド (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号29の配列: (2)配列番号30の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:9アミノ酸残基 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数: (D)トポロジー:不明 (ii)配列の種類:ペプチド (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号30の配列: (2)配列番号31の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:471アミノ酸残基 (B)型:アミノ酸 (C)鎖の数: (D)トポロジー:不明 (ii)配列の種類:タンパク質 (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号31の配列: (2)配列番号32の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:53ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号32の配列: (2)配列番号33の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:53ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号33の配列: (2)配列番号34の情報: (i)配列の特徴: (A)長さ:31ヌクレオチド (B)型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類: (vi)起源: (A)生物名: (xi)配列番号34の配列:
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12Q 1/42 6807−4B G01N 33/566 8310−2J //(C12N 9/16 B C12R 1:19) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),AU,CA,JP,KR (72)発明者 ブレナン,キヤサリン・エー アメリカ合衆国、イリノイ・60048、リバ テイービル、イースト・リンカーン・アベ ニユー・634 (72)発明者 ブライドン,ドミニク・ピー アメリカ合衆国、イリノイ・60053、モー トン・グローブ、カプリナ・5717 (72)発明者 ジヤフエ,キーブ・デイー アメリカ合衆国、ウイスコンシン・53179、 トレバー、トウー・ハンドレツド・セブン テイ・フアースト・アベニユー・9761 (72)発明者 クラフト,グラント・エー アメリカ合衆国、イリノイ・60025、グレ ンビユー、サラナク・コート・2433 (72)発明者 マンデクキー,ウラジミール アメリカ合衆国、イリノイ・60048、リバ テイービル、ヘムロツク・レーン・516 (72)発明者 マーチ,ステイーブン・シー アメリカ合衆国、イリノイ・60048、リバ テイービル、ウインチエスター・ロード・ 1307 (72)発明者 ラツセル,ジヨン・シー アメリカ合衆国、ウイスコンシン・53221、 グリーンフイールド、ウエスト・イオナ・ テラス・3925 (72)発明者 ユエ,ビンセント・テイー アメリカ合衆国、イリノイ・60015、デイ アフイールド、サミツト・ドライブ・870

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.出発酵素と、 該出発酵素のアミノ酸部分の置換又は該出発酵素中に挿入される外来アミノ酸部 分 とを含んでなるハイブリッド酵素であって、前記置換又は挿入によってハイブリ ッド酵素が得られ、ハイブリッド酵素が出発酵素の酵素活性を示し、結合分子が 挿入又は置換された外来アミノ酸部分と結合すると、ハイブリッド酵素の酵素活 性が変性することを特徴とするハイブリッド酵素。 2.外来アミノ酸部分が、出発酵素の活性部位に十分近い領域にある出発酵素の アミノ酸配列中に置換又は挿入されるために、結合分子が挿入又は置換された外 来アミノ酸部分と結合し、ハイブリッド酵素による基質の触媒反応速度が変化す る請求項1に記載のハイブリッド酵素。 3.挿入又は置換された外来アミノ酸部分がエピトープである請求項1に記載の ハイブリッド酵素。 4.結合分子が高分子である請求項1に記載のハイブリッド酵素。 5.結合分子が抗体である請求項1に記載のハイブリッド酵素。 6.出発酵素がアルカリ性ホスファターゼ(AP)である請求項1に記載のハイ ブリッド酵素。 7.エピトープが、HIV−1 IIIB gp120タンパク質のV3ループ である請求項3に記載のハイブリッド酵素。 8.挿入又は置換された外来アミノ酸部分が、 (a)出発酵素APのアミノ酸407−408間に挿入されたIle−Arg− Ile−Gln−Arg−Gly−Pro−Gly−Arg−Ala−Phe− Val−Thr; (b)出発酵素APのアミノ酸167−168間に挿入されたIle−Arg− Ile−Gln−Arg−Gly−Pro−Gly−Arg−Ala−Phe− Val−Thr; (c)出発酵素APのアミノ酸168−169間に挿入されたIle−Arg− Ile−Gln−Arg−Gly−Pro−Gly−Arg−Ala−Phe− Val−Thr; (d)出発酵素APのアミノ酸169−177と置換されたThr−Arg−P ro−Asn−Asn−Asn−T hr−Arg−Lys−Ser−Ile−Arg−Ile−Gln−Arg−G ly−Pro−Gly−Arg−Ala−Phe−Val−Thr− Ile− Gly−Lys−Ile−Gly−Asn−Met−Arg−Gln−Ala− His; (e)出発酵素APのアミノ酸91−93と置換されたIle−Arg−Ile −Gln−Arg−Gly−Pro−Gly−Arg−Ala−Phe−Val −Thr; (f)出発酵素APのアミノ酸91−93と置換されたCys−Ile−Arg −Ile−Gln−Arg−Gly−Pro−Gly−Arg−Ala−Phe −Val−Thr−Cys;及び (g)出発酵素APのアミノ酸407−408間に挿入されたCys−Thr− Arg−Pro−Asn−Asn−Asn−Thr−Arg−Lys−Ser− Ile−Arg−Ile−Gln−Arg−Gly−Pro−Gly−Arg− Ala−Phe−Val−Thr−Ile−Gly−Lys−Ile−Gly− Asn−Met−Arg−Gln−Ala−His−Cys からなる群の中から選択されるアミノ酸配列を含んでなる 請求項6に記載のハイブリッド酵素。 9.組換えDNA分子が、請求項8に記載の挿入又は置換された外来アミノ酸部 分をコードする合成DNA断片を含んでいる組換えDNA分子。 10.前記の挿入された合成配列が、 からなる群の中から選択される、挿入された合成配列を含むphoA遺伝子。 11.前記合成配列が、 からなる群の中から選択される、置換された合成配列を含むphoA遺伝子。 12. からなる群の中から選択される配列を含んでいるDNA断片。 13.出発酵素と、該出発酵素の表面上のアミノ酸配列中に置換又は挿入されて ハイブリッド酵素を生成する外来ア ミノ酸部分とを含んでなるハイブリッド酵素であって、該ハイブリッド酵素が出 発酵素の酵素活性を示し、被分析物質が外来アミノ酸部分と結合すると、ハイブ リッド酵素の酵素活性が変性するハイブリッド酵素と、被分析物質を含む試験試 料とを接触させて、反応混合物を生成し、 反応混合物を順次又は同時にハイブリッド酵素の基質と接触させ、 反応混合物中の被分析物質の存在又は量に依存するハイブリッド酵素による基質 の触媒反応速度の変化を監視する ことからなる試験試料中の被分析物質の存在又は量を決定する方法。 14.被分析物質を含む試験試料;被分析物質の結合分子;及び出発酵素と、該 出発酵素の表面上のアミノ酸配列中に置換又は挿入されてハイブリッド酵素を生 成する外来アミノ酸部分とを含んでなるハイブリッド酵素であって、該ハイブリ ッド酵素が出発酵素の酵素活性を示し、被分析物質が外来アミノ酸部分と結合す ると、ハイブリッド酵素の酵素活性が変性するハイブリッド酵素 を反応混合物中で定常状態又は免疫平衡せしめ、 反応混合物を順次又は同時にハイブリッド酵素の基質と接 触させ、 反応混合物中の被分析物質の存在又は量に依存するハイブリッド酵素による基質 の触媒反応速度の変化を監視する ことからなる試験試料中の被分析物質の存在又は量を決定する方法。 15.出発酵素の表面上のアミノ酸配列中に置換又は挿入される外来アミノ酸部 分を含み、かつリガンドと共有結合してハイブリッド酵素−リガンド結合体を生 成するための手段を有するハイブリッド酵素であって、ハイブリッド酵素−リガ ンド結合体が出発酵素の酵素活性を示し、外来アミノ酸部分に結合したリガンド に結合分子が結合すると、ハイブリッド酵素−リガンド結合体の酵素活性が変性 することを特徴とするハイブリッド酵素。 16.出発酵素がAPである請求項15に記載のハイブリッド酵素。 17.外来アミノ酸部分がヒスチジン、システイン及びアルギニンからなる群の 中から選択される請求項16に記載のハイブリッド酵素。 18.出発酵素の表面上のアミノ酸配列中に置換又は挿入される外来アミノ酸部 分が、出発酵素の活性部位に十分近 い領域にあるため、外来アミノ酸部分に共有結合したリガンドが、ハイブリッド 酵素による基質の触媒反応速度を変化させる請求項15に記載のハイブリッド酵 素。 19.出発酵素がAPであり、ハイブリッド酵素が出発酵素APの酵素活性を示 し、ハイブリッド酵素中では、 (a)出発酵素APの261位のアミノ酸アスパラギンがシステインで置換され るか、 (b)出発酵素APの263位のアミノ酸アスパラギン酸がシステインで置換さ れるか、 (c)出発酵素APの167位のアミノ酸リシンがシステインで置換されるか、 (d)出発酵素APの177位のアミノ酸リシンがシステインで置換されるか、 (e)出発酵素APの209位のアミノ酸リシンがシステインで置換されるか、 (f)出発酵素APの328位のアミノ酸リシンがシステインで置換されるか、 (g)出発酵素APの291位のアミノ酸グルタミンがシステインで置換される か、 (h)出発酵素APの294位のアミノ酸アスパラギン酸 がシステインで置換されるか、 (i)出発酵素APの407位のアミノ酸グルタミン酸がシステインで置換され るか、 (j)出発酵素APの408位のアミノ酸アスパラギン酸がシステインで置換さ れるか、 (k)出発酵素APの380位のアミノ酸アスパラギン酸がシステインで置換さ れるか、又は (h)出発酵素APの117位のアミノ酸アスパラギンがシステインで置換され る 請求項15に記載のハイブリッド酵素。 20.請求項19に記載のハイブリッド酵素をコードする合成DNA断片配列を 含み、APをコードする組換えDNA分子。 21.出発酵素と、 該出発酵素の表面上のアミノ酸配列中に置換又は挿入されてハイブリッド酵素を 生成する外来アミノ酸部分と、 外来アミノ酸部分と共有結合してハイブリッド酵素−リガンド結合体を生成する リガンド とを含んでなるハイブリッド酵素−リガンド結合体であって、該ハイブリッド酵 素−リガンド結合体が出発酵素の酵 素活性を示し、外来アミノ酸部分に結合したリガンドに結合分子が結合すると、 ハイブリッド酵素−リガンド結合体の酵素活性が変性することを特徴とするハイ ブリッド酵素−リガンド結合体。 22.出発酵素がAPである請求項21に記載のハイブリッド酵素−リガンド結 合体。 23.外来アミノ酸部分がヒスチジン、アルギニン及びシステインからなる群の 中から選択される請求項21に記載のハイブリッド酵素−リガンド結合体。 24.出発酵素の表面上のアミノ酸配列中に置換又は挿入される外来アミノ酸部 分が、出発酵素の活性部位に十分近い領域にあるため、外来アミノ酸部分に共有 結合したリガンドが、ハイブリッド酵素−リガンド結合体による基質の触媒反応 速度を変化させる請求項21に記載のハイブリッド酵素−リガンド結合体。 25.外来アミノ酸部分を出発酵素の表面上のアミノ酸配列中に置換又は挿入し て、リガンドと共有結合する手段を有するハイブリッド酵素を調製し、 リガンドを外来アミノ酸部分と共有結合して、ハイブリッド酵素−リガンド結合 体を生成する ことからなり、該ハイブリッド酵素−リガンド結合体が出発酵素の酵素活性を示 し、外来アミノ酸部分に結合したリガンドに結合分子が結合すると、ハイブリッ ド酵素−リガンド結合体の酵素活性が変性するハイブリッド酵素−リガンド結合 体の製造方法。 26.被分析物質を含む試験試料; 被分析物質の結合分子;及び 出発酵素と、該出発酵素の表面上のアミノ酸配列中に置換又は挿入されてハイブ リッド酵素を生成する外来アミノ酸部分と、外来アミノ酸部分と共有結合してハ イブリッド酵素−リガンド結合体を生成するリガンドとを含んでなるハイブリッ ド酵素−リガンド結合体であって、該ハイブリッド酵素−リガンド結合体が出発 酵素の酵素活性を示し、外来アミノ酸部分に結合したリガンドに結合分子が結合 すると、ハイブリッド酵素−リガンド結合体の酵素活性が変性するハイブリッド 酵素−リガンド結合体とを得られた反応混合物中で定常状態又は免疫平衡せしめ 、 反応混合物を順次又は同時にハイブリッド酵素−リガンド結合体の基質と接触さ せ、 反応混合物中に存在する被分析物質に依存するハイブリッ ド酵素−リガンド結合体による基質の触媒反応速度の変化を監視する ことからなる試験試料中の被分析物質の存在を決定する方法。
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