JP2004500848A - 新しいモータータンパク質とその使用法 - Google Patents

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ベラウド クリストフ
サコウィッチ ローマン
ウッド ケネス ダブリュ.
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Abstract

本発明は、HsKif15の単離された核酸配列およびアミノ酸配列、HsKif15に対する抗体、生物学的に活性のあるHsKif15を用いるHsKif15調節因子のスクリーニング法、ならびにHsKif15調節因子のスクリーニング用のキットを提供する。

Description

【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、あらゆる目的のために全体が参照として本明細書に組み入れられる、2000年5月17日に出願された、米国特許出願第09/572,191号の一部継続出願である。
【0002】
発明の分野
本発明は、HsKif15の単離された核酸配列およびアミノ酸配列、HsKif15を検出する方法、および生物学的に活性のあるHsKif15を用いるHsKif15調節因子のスクリーニング法、ならびにHsKif15調節因子のスクリーニングに用いるキットを提供する。
【0003】
発明の背景
キネシンは、一次アミノ酸配列、ドメイン構造、運動速度、および細胞機能を元に少なくとも8つのサブファミリーに分類可能な50を越えるタンパク質の遍在性の保存されたファミリーである。キネシンスーパーファミリーは、関連性のある微小管モータータンパク質の大規模なファミリーである。このファミリーは、小胞およびオルガネラの順行性の軸索輸送に役割を果たしていると考えられる、ヤリイカの軸索原形質から最初に単離された「真の」キネシンで例示される(例えば、Goldstein、Annu. Rev. Genet. 27:319〜351 (1993)を参照)。キネシンはATPを用いて力を発生し、微小管と結合して一方向に動く(微小管のマイナス端からプラス端に向かうことからキネシンは「プラス端指向性」モーターである)。キネシンスーパーファミリーの分子は、大きさが約340アミノ酸からなり、約35〜45%(またはそれ以上)の同一性を「真の」キネシンモータードメインと共有するキネシン様モーターをもつ分子と定義される。モーターは通常、さまざまなキネシンスーパーファミリーの分子に異なる結合活性をもたらす、さまざまなテールドメインに結合している。
【0004】
マウスのKif15 (ゲンバンクアクセッション番号AB001432)は当初、PCRをベースとした新規マウスキネシンについての検索で同定された(Nakagawaら、1997. Proc Natl Acad Sci USA 94:9654〜9)。MmKif15モータードメインの断片をコードするMmKif15 cDNAの一部はクローニングされており、配列が決定されている。また4週齢マウスの複数の組織におけるMmKif15のmRNAの発現が調べられている。
【0005】
XKlp2は、紡錘体集合に重要な役割を果たすことが明らかにされているアフリカツメガエル(Xenopus laevis)のキネシンである。XKlp2は当初バーノス(Vernos)らにより、新規のツメガエルキネシンをコードするcDNA断片をクローニングするためのPCRをベースとした方法で同定された(Vernosら、1993. Dev Biol 157:232〜9)。XKlp2完全長の配列はボレティ(Boleti)らにより報告されている(Boletiら、1996. Cell 84:49〜59)(ゲンバンクアクセッション番号B48835、AAB26486、1587181、およびCAA63826)。以上の著者らはまた、グルタチオン−S−トランスフェラーゼに融合させたXKlp2のモータードメインを含む組換え融合タンパク質が、微小管に依存して運動可能であり、微小管のプラス端方向に移動することも報告している。ボレティらは、XKlp2が紡錘体の極および動原体に結合していること、またC末端のテールドメインを延長するXKlp2の組換え断片の付加が、インビトロの紡錘体集合反応における二極性の紡錘体集合の用量依存的な抑制を生じることを明らかにしている。XKlp2のC末端のテールドメインに対する抗体は、紡錘体集合を同様に損なう。
【0006】
ウィットマン(Wittman)らは、XKlp2 のC末端のテールドメインが、間期細胞抽出物ではなく有糸分裂細胞抽出物中に集合した星状体の局在化に必要かつ十分であることを示している(Wittmannら、1998. J Cell Biol 143:673〜85)。このような局在化には、テールドメインの二量体化が必要とされた。また、細胞質に存在するダイニンおよびダイナクチン(dynactin)の機能が、有糸分裂細胞抽出物中で集合状態の星状体へのXKlp2の局在化に重要な役割を果たすことが判明している。ウィットマンらはまた、組換えXKlp2のテールドメインと純粋微小管の結合を大きく促進するタンパク質TPX2を同定した。TPX2は、微小管との相互作用に関与するXKlp2のテールドメインの受容体であることが示唆されている。
【0007】
ウォルザック(Walczak)らは、有糸分裂細胞抽出物とDNAでコーティングした磁気ビーズを用いて、XKlp2が二極性の有糸分裂紡錘体の形成に果たす役割を検討している(Walczakら、1998. Curr Biol 8:903〜13)。ボレティらによる観察とは対照的にウォルザックらは、XKlp2のC末端のテールドメインに対する抗体添加時に有糸分裂紡錘体機能の大きな変動を確認していない。
【0008】
新しいキネシンモータータンパク質、およびそれをコードするポリヌクレオチドが発見されれば、癌、神経疾患、および小胞輸送障害の診断、予防、および治療に有用な新しい組成物が提供されることになり、当技術分野におけるニーズが満たされる。
【0009】
発明の概要
本発明は、新しいヒトキネシンモータータンパク質HsKif15、HsKif15をコードするポリヌクレオチド、およびこのような組成物による癌、神経疾患、および小胞輸送障害の診断、治療、または予防における用途の発見に基づく。
【0010】
一つの局面では、本発明は、キネシンスーパーファミリーの、以下の特性を有するモータータンパク質をコードする、単離された核酸配列を提供する:(i)タンパク質の活性が微小管によって活性化されATPアーゼ活性を含む;および(ii)配列比較アルゴリズムで測定時に、タンパク質が配列番号:2に対するアミノ酸配列同一性が70%より大きい配列を有する。一つの態様では、タンパク質はさらに、配列番号:2に対するポリクローナル抗体に特異的に結合する。
【0011】
一つの態様では、核酸はHsKif15またはその断片をコードする。別の態様では、核酸は配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6をコードする。別の態様では、核酸は配列番号:1、配列番号:3、または配列番号:5のヌクレオチド配列を有する。
【0012】
一つの局面では、核酸は以下の一つまたは複数の特性を有するアミノ酸配列をコードする配列を含む:
配列番号:2に対する配列同一性が70%を上回る、好ましくは80%を上回る、より好ましくは90%を上回る、より好ましくは95%を上回る、または別の態様では、配列番号:2に対して98〜100%の配列同一性を有する。
【0013】
一つの態様では、核酸は、以下の一つまたは複数の特性を有する配列を含む:配列番号:1に対する配列同一性が55%または60%を上回る、好ましくは70%を上回る、より好ましくは80%を上回る、より好ましくは85%、90%、95%を上回る、または別の態様では、配列番号:1に対して98〜100%の配列同一性を有する。本明細書で提供される別の態様では、核酸は、配列番号:1の配列または相補的配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリッドを形成する。
【0014】
別の局面では、本発明は、キネシンスーパーファミリーの、以下の特性を有するモータータンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターを提供する:(i)タンパク質の活性が微小管によって活性化されるATPアーゼ活性を含む;および(ii)タンパク質が、配列比較アルゴリズムで測定時に配列番号:2に対するアミノ酸配列同一性が70%より大きい配列を有する。本発明はさらに、このベクターをトランスフェクトさせた宿主細胞を提供する。
【0015】
別の局面では、本発明は、単離されたキネシンスーパーファミリーの、上述の一つまたは複数の特性を有するモータータンパク質を提供する。一つの態様では、タンパク質は、HsKif15のモータードメイン、テールドメイン、または他の断片に対して作製されたポリクローナル抗体に特異的に結合する。別の態様では、タンパク質は配列番号:2、配列番号:4、または配列番号:6のアミノ酸配列を含む。
【0016】
一つの局面では、本明細書で提供されるタンパク質は、以下の一つまたは複数の特性を有するアミノ酸配列を含む:
配列番号:2に対する配列同一性が70%を上回る、好ましくは80%を上回る、より好ましくは85%または90%を上回る、より好ましくは95%を上回る、または別の態様では、配列番号:2に対して98%〜100%の配列同一性を有する。
【0017】
本発明は、配列番号:2のアミノ酸配列、またはその断片、またより具体的には、配列番号:2のアミノ酸配列のモータードメインを含む実質的に精製されたポリペプチドを特徴とする。
【0018】
別の局面では、本発明は、以下の段階を含む、HsKif15の調節因子をスクリーニングする方法を提供する:(i)上記特性の少なくとも一つを有する生物学的に活性のあるモータータンパク質を試験濃度および対照濃度において少なくとも1種の候補薬剤と接触させる段階、ならびにモータータンパク質の活性の変化が、試験濃度と対照濃度の間で生じるか否かを検出する段階であって、変化がモータータンパク質の調節因子の存在を示す段階。一つの態様では、このような活性は、微小管によって活性化されるATPアーゼ活性、および微小管結合活性からなる群より選択される。一つの態様では、この方法はさらに、生物学的に活性のあるHsKif15を細胞試料から単離する段階を含む。別の態様では、生物学的に活性のあるHsKif15は組換え体である。
【0019】
別の局面では、本発明は、以下を含む、HsKif15の調節因子のスクリーニングに用いるキットを提供する:(i)生物学的に活性のあるHsKif15を収める容器;および(ii)微小管結合活性または微小管によって活性化されるATPアーゼ活性であるHsKif15活性のアッセイ法を実施する際の説明書。
【0020】
発明の詳細な説明
I.定義
本明細書で用いる「農業用化合物」は、農業分野に有用で、食用作物もしくは繊維性作物の防護の強化または収量改善に機能する化学的化合物および生物学的化合物を意味する。例えば、1つのこのような化合物は、雑草を選択的にコントロールする除草剤として、植物の病気の拡散をコントロールする殺菌剤として、昆虫およびダニ類を寄せ付けず、また駆除する除虫剤として作用する可能性がある。また、1つのこのような化合物は、植物の調節因子または活性化因子として、発芽中の種子、芽生え、または若い植物の生育環境を改善するための種子の処理に有用性を示す場合がある。
【0021】
「増幅」用プライマーは、選ばれた核酸配列の増幅の基礎として作用しうる天然ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体のいずれかを含むオリゴヌクレオチドである。これには例えば、ポリメラーゼ連鎖反応に用いるプライマー、およびリガーゼ連鎖反応に用いるオリゴヌクレオチドなどが含まれる。
【0022】
「抗体」は、分析物(抗原)と特異的に結合して認識する免疫グロブリン遺伝子(群)またはその断片に実質的にコードされたポリペプチドを意味する。これまで認められている免疫グロブリン遺伝子には、κ、λ、α、δ、ε、およびμの定常領域遺伝子群、ならびに多数の免疫グロブリン可変領域遺伝子群がある。軽鎖は、κまたはλのいずれかに分類される。重鎖は、免疫グロブリンのクラスIgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEをそれぞれ決めるγ、μ、α、δ、またはεに分類される。抗体という用語には、抗体全体の修飾、または組換えDNA法によるデノボ合成によって作製される抗体断片も含まれる。
【0023】
「抗HsKif15」抗体は、HsKif15遺伝子、cDNA、またはそのサブ配列にコードされるポリペプチドに特異的に結合する抗体または抗体断片である。
【0024】
「生物学的に活性のある」HsKif15とは、例えばATPアーゼアッセイ法、微小管滑走アッセイ法、または微小管結合アッセイ法で検討される、微小管によって活性化されるATPアーゼ活性を有するHsKif15を意味する。「ATPアーゼ活性」は、ATPを加水分解する能力を意味する。
【0025】
本明細書で用いる「生物試料」は、HsKif15もしくはその断片、またはHsKif15タンパク質をコードする核酸を含む生体組織または体液の試料である。生物試料はまた、組織学的実験に用いるために採取された凍結切片などの組織切片も含む場合がある。生物試料は少なくとも1個の細胞を含み、好ましくは植物体または脊椎動物である。態様には、真核生物、好ましくは真菌、植物、昆虫、原虫、鳥類、魚類、爬虫類などの真核生物、また好ましくはラット、マウス、ウシ、イヌ、モルモット、またはウサギなどの哺乳類、また最も好ましくはチンパンジーまたはヒトなどの霊長類から得られる細胞が含まれる。
【0026】
「比較ウィンドウ」は、ある配列と同じ数の隣接した位置の参照配列を最適にアライメントして両配列を比較する、25〜600個、通常は約50〜約200個、より一般的には約100〜約150個からなる群より選択される隣接した位置の数のいずれかの一つのセグメントを参照することを含む。比較目的の配列のアライメントの方法は当技術分野で周知である。比較のための最適なアライメントは例えば、スミス(Smith)およびウォーターマン(Waterman)、Adv. Appl. Math. 2:482 (1981)に記載された局所相同性アルゴリズム、ニードルマン(Needleman)およびヴンシュ(Wunsch)、J. Mol. Biol. 48:443 (1970)の相同性アライメントアルゴリズム、ピアソン(Pearson)およびリップマン(Lipman)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似性検索法、以上のアルゴリズムのコンピュータを用いた実行(Wisconsin Genetics Software Package;Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WIのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、またはマニュアルによるアライメントおよび目視判定(例えば、Ausubelらの前記論文を参照)で実施することができる。
【0027】
有用なアルゴリズムの一例がPILEUPである。PILEUPは、プログレッシブ対アライメントを用いて一群の関連配列から複数の配列アライメントを作成する。アライメント作成に用いられるクラスター形成の関係を示すツリーをプロットすることもできる。PILEUPは、フェン(Feng)およびドリトル(Doolittle)、J. Mol. Evol. 35:351〜360 (1987)のプログレッシブアライメント法を単純化している。使用される方法は、ヒギンス(Higgins)およびシャープ(Sharp)、CABIOS 5:151〜153 (1989)に記載された方法に似ている。このプログラムでは最長5,000の最大300個の配列をアライメントすることができる。多重アライメントの手順は、二つの最も類似した配列の対アライメントから始め、二つのアライメントされた配列のクラスターを形成する。次にこのクラスターを、次に最も関連性の大きい配列、またはアライメントされた配列のクラスターとアライメントする。配列の二つのクラスターは、二つの各配列の対アライメントを単純に拡大することでアライメントすることができる。最終的なアライメントは、一連のプログレッシブ対アライメントで達成される。このようなプログラムを用いて、クラスター形成関係の樹状図やツリー表示にプロットすることができる。
【0028】
配列同一性のパーセンテージの決定(実質的な類似か、または同一かの判定)に適したアルゴリズムの別の例が、アルチュール(Altschul)ら、J. Mol. Biol. 215:403〜410 (1990)に記載されているBLASTアルゴリズムである。BLAST解析を実施するソフトウェアは、生物工学情報センター(National Center for Biotechnology)を通して入手することができる。このアルゴリズムでは、データベース配列の同じ長さのワードとアライメントさせたときにマッチするか、またはある程度の正の値をとる閾値スコアTをある程度満たす、問合わせ配列中の短いワードの長さWの同定による高スコアリング配列ペア(HSP)の同定段階が最初に行われる。Tは近傍のワードスコアの閾値を意味する(Altschulら、前記)。初期の近傍ワードのヒットは、それを含む、より長いHSPを見つけるための検索を開始するためのシード(seed)となる。ワードのヒットを次に、累積アライメントスコアが増加する限り、各配列に沿って両方向に拡張してゆく。累積スコアは、ヌクレオチド配列、パラメータM (マッチング残基のペアのリワード(reward)スコア;常に>0)およびN (ミスマッチ残基のペナルティスコア;常に<0)を用いて計算する。アミノ酸配列の場合は、スコア行列を用いて累積スコアを計算する。各方向におけるワードヒットの拡張は以下の時点で終了する:累積アライメントスコアが最大達成値から量Xに低下した場合;一つまたは複数の負のスコアリング残基アライメントが蓄積したために累積スコアがゼロまたはそれ以下となったとき;またはいずれかの配列の末端に達したとき。核酸またはポリペプチドが本発明の範囲にあるか否かを判定する場合は、BLASTプログラムのデフォルトパラメータが適している。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)では、デフォルトのワード長(W)として11、期待値(E)として10、M=5、N=−4を用い、双方の鎖の比較を行う。アミノ酸配列の場合は、BLASTPプログラムは、デフォルトのワード長(W)として3、期待値(E)として10、およびBLOSUM62スコア行列を用いる。BLATNプログラム(ヌクレオチド配列に対するタンパク質配列を用いる)では、デフォルトのワード長(W)として3、期待値(E)として10、およびBLOSUM62スコア行列を用いる(HenikoffおよびHenikoff、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915 (1989)を参照)。
【0029】
配列同一性パーセンテージの計算に加えて、BLASTアルゴリズムでは、二つの配列間の類似性の統計解析も行う(例えば、KarlinおよびAltschul、Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 90:5873〜5787 (1993)を参照)。BLASTアルゴリズムで提供される類似性の一つの尺度は、二つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列間でマッチングが偶然生じる確率の指標となる最小和確率(P(N))である。例えば核酸は、被験核酸と標準核酸との比較時の最小和確率が約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、また最も好ましくは約0.001未満の場合に、参照配列と類似しているとみなされる。
【0030】
「保存的に修飾された異型」は、アミノ酸配列と核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に修飾された異型は、同一または本質的に同一なアミノ酸配列をコードする核酸を意味するか、または核酸が本質的に同一な配列に対するアミノ酸配列をコードしていない核酸を意味する。遺伝暗号の縮重のため、多数の機能的に同一な核酸が任意の複数のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUはいずれもアミノ酸アラニンをコードする。したがってアラニンがコドンで特定されるどの位置においても、このコドンはコードされたポリペプチドを変化させることなく任意の対応コドンに変更することができる。このような核酸の変異は、保存的に修飾された変異の1種である「サイレント変異」である。ポリペプチドをコードする、本明細書に記載されたどの核酸配列も、可能なあらゆる核酸のサイレント変異を含む。核酸の各コドン(通常メチオニンのみを示すコドンAUGを除く)が修飾されても機能的に同一な分子を生じることがあることを当業者であれば理解すると思われる。したがって、あるポリペプチドをコードする核酸の個々のサイレント変異は、個々に記載された配列上明らかにならない。
【0031】
アミノ酸配列に関しては、コード配列中の1個のアミノ酸または少ないパーセンテージのアミノ酸を変化、付加、または欠失させる核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質の配列に対する個々の置換、欠失、または付加が、そのような変化によって、あるアミノ酸と、化学的に類似したアミノ酸との置換を生じる「保存的に修飾された異型」であることを当業者であれば理解すると思われる。機能的に似たアミノ酸についてまとめられた保存的置換の表は当技術分野で周知である。
【0032】
以下の6つのグループはそれぞれ、相互に保存的置換の関係にあるアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リシン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
(例えば、Creighton、Proteins (1984)を参照)。
【0033】
「細胞骨格成分」とは、細胞骨格の構造的完全性の維持または調節に重要な役割を果たしたり、または細胞骨格が関与する運動を仲介したり調節したりする、細胞骨格と関連して見出される任意の分子を意味する。これには細胞骨格重合体(例えば、アクチンフィラメント、微小管、ミオシン断片、フィラメント)、分子モーター、および細胞骨格関連調節タンパク質(例えば、トロポミオシン、α−アクチニン)が含まれる。
【0034】
細胞骨格の「細胞骨格機能」は、構造(例えば、微絨毛、紡錘体)をもたらす、また、細胞内における運動(例えば、筋収縮、有糸分裂時の収縮環、偽足性移動(pseudopodal movement)、活発細胞の表面変形、小胞形成、およびトランスロケーション)を仲介する生物学的な役割を意味する。
【0035】
本明細書で用いる「診断的化合物」は、健康状態または疾患状態の同定および特性解析の一助となる化合物である。診断的化合物は、当技術分野で周知の標準的なアッセイ法で使用することができる。
【0036】
「発現ベクター」は、組換え的、または合成的に、宿主細胞における特定の核酸の転写を可能とする一連の特定の核酸配列とともに作られる核酸コンストラクトである。発現ベクターは、プラスミド、ウイルスの一部、または核酸断片の場合がある。典型的には発現ベクターは、プロモーターに使用可能に連結されて転写される核酸を含む。
【0037】
「HsKif15」は、微小管モータータンパク質のキネシンスーパーファミリーの分子である。HsKif15は、微小管によって活性化されるATPアーゼ活性、および微小管結合活性などの活性をもつ。
【0038】
核酸の一部分に関して用いられる「異種」という表現は、核酸が、天然の状態で相互に同じ関連性で見出されない2個またはそれ以上のサブ配列を含むことを意味する。例えば核酸は典型的には、無関係に配置された遺伝子から新しい機能性核酸を作るように2個またはそれ以上の配列を有するように組換え的に作製される。
【0039】
「ストリンジェンシーの高い条件」は例えば以下のような条件である:(1)洗浄段階に低イオン強度および高温、例えば0.015 M 塩化ナトリウム/0.0015 M クエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを50℃で用いる条件;(2)ハイブリダイゼーション段階で、ホルムアミドなどの変性剤、例えば50% (v/v) ホルムアミド+0.1% ウシ血清アルブミン/0.1% フィコール(Ficoll)/0.1% ポリビニルピロリドン/50 mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH 6.5、および750 mM 塩化ナトリウム、75 mM クエン酸ナトリウムを42℃で用いる条件;または(3)50% ホルムアミド、5×SSC (0.75 M NaCl、0.075 M クエン酸ナトリウム)、50 mM リン酸ナトリウム(pH 6.8)、0.1% ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、超音波処理したサケ精子DNA (50 μg/ml)、0.1% SDS、および10% 硫酸デキストランを42℃で用いる処理、0.2×SSC (塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)を42℃に用いる洗浄、50% ホルムアミド中で55℃における処理に続き、EDTAを含む0.1×SSCを55℃で用いる処理を含むストリンジェンシーの高い洗浄段階を用いる条件。
【0040】
本明細書で用いる「高スループットのスクリーニング」は、同時にスクリーニング対象となる複数の候補薬剤または試料を提供するアッセイ法を意味する。詳しく後述するように、これらのアッセイ法の例には、多数のアッセイ法を少量の試薬および試料を用いて同時に実施可能とするために特に便利なマイクロタイタープレート、および核酸またはタンパク質のアレイの使用が含まれる。
【0041】
「宿主細胞」は、発現ベクターを含み、同ベクターの複製または発現を支持する細胞を意味する。宿主細胞は、大腸菌などの原核細胞の場合や、植物細胞、CHO、HeLaなどの酵母、昆虫、両生類、または哺乳類の細胞などの真核細胞の場合がある。細胞および組織の初代培養物は、この定義に含まれる。
【0042】
「〜と特異的にハイブリッドを形成する」という表現は、配列が複合混合物(例えば全細胞)のDNAまたはRNA中に存在する場合に、ストリンジェントな条件下で分子が特定のヌクレオチド配列に結合すること、2本鎖を形成すること、またはハイブリッドを形成することを意味する。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、環境が違えば異なることがある。長い配列は、より高い温度で特異的にハイブリッドを形成する。一般にストリンジェントな条件は、特定のイオン強度およびpHにおいて、特定配列の融点(T)より約5℃低い温度になるように選択される。Tは、(特定のイオン強度、pH、および核酸濃度において)標的配列に相補的なプローブの50%が、平衡時に標的配列とハイブリッドを形成する温度である。典型的にはストリンジェントな条件は、塩濃度がナトリウムイオンが約1.0 M未満、典型的にはpH 7.0〜8.3における約0.05〜1.0 Mのナトリウムイオン(または他の塩)の濃度、および温度が、短いプローブ(例えば10〜50ヌクレオチド)について少なくとも約30℃、また長いプローブ(例えば50ヌクレオチドを超える)について少なくとも約60℃という条件である。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤を添加することでも達成することができる。
【0043】
2個またはそれ以上の核酸配列またはポリペプチド配列に関して「同一」または「同一性」パーセンテージという用語は、以下の配列比較アルゴリズムの一つを用いるか、またはマニュアルアライメントおよび目視で測定した場合、比較ウィンドウで最大の一致となるように比較してアライメントさせた際に、アミノ酸残基またはヌクレオチド残基が同じか、または同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドの特定のパーセンテージを有する2個またはそれ以上の配列またはサブ配列を意味する。この定義は、被験配列が指定されているか、または参照配列と実質的な同一性を有する場合に、指定の配列またはサブ配列の相補性のパーセンテージで表される被験配列の相補物も意味する。好ましくは同一性パーセンテージは、長さが少なくとも25アミノ酸の配列領域、より好ましくは長さが50〜100アミノ酸の領域についていう。
【0044】
配列同一性パーセンテージをタンパク質またはペプチドに関して用いる場合、同一でない残基の位置は、アミノ酸残基が化学的特性(例えば電荷や疎水性)が似た他のアミノ酸残基と置換されることによって分子の機能的特性を変化させない保存的アミノ酸置換と異なる場合があることが認識される。保存的置換で配列が異なる場合、配列同一性パーセンテージは、上方に調整されて、置換の保存的な性質に補正されることがある。このような調整を行う手段は当技術分野で周知である。保存的置換のスコアリングは例えばプログラムPC/GENE (Intelligenetics、Mountain View、California)などで実行される、マイヤーズ(Meyers)およびミラーズ(Millers)、Computer Applic. Biol. Sci. 4:11〜17 (1988)に記載されたアルゴリズムで計算される。
【0045】
「免疫アッセイ法」という用語は、抗原に特異的に結合する抗体を用いるアッセイ法である。免疫アッセイ法は、抗原の単離用、標的化用、および/または定量用の特定抗体の特異的な結合特性を使用することを特徴とする。
【0046】
「インビボ」という表現は、生物体の細胞内で生じる適用を意味する。「インビトロ」という表現は、生物体外における適用を意味し、細胞内または無細胞環境における適用を意味する。「インサイチュー」とは、例えば細胞を操作した後に生物体に移すというような、環境を組み合わせる適用を意味する。
【0047】
「単離された」、「精製された」、または「生物学的に純粋な」という表現は、天然の状態で見出されるように通常伴う成分を実質的または本質的に含まない材料を意味する。純度および均質度は、典型的にはポリアクリルアミドゲル電気泳動、または高速液体クロマトグラフィーなどの分析化学的手法で決定される。調製物中に存在する支配的な種であるタンパク質は実質的に精製される。単離されたHsKif15では、核酸は、HsKif15遺伝子に隣接してHsKif15以外のタンパク質をコードする読み枠から分離している。「精製された」という表現は、核酸またはタンパク質が、電気泳動ゲル上に本質的に1本のバンドを生じることを意味する。具体的には、この表現は核酸またはタンパク質の純度が少なくとも85%、より好ましくは少なくとも95%、また最も好ましくは少なくとも99%であることを意味する。
【0048】
「標識」は、分光光度的、光化学的、生化学的、免疫化学的、または化学的な手段で検出可能な組成物である。例えば有用な標識には、緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、青色蛍光タンパク質などの蛍光タンパク質、32P、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素(例えばELISAで通常使用されるもの)、ビオチン、ジゴキシゲニン、またはハプテン、ならびに抗血清またはモノクローナル抗体に使用されるタンパク質などがある(例えば配列番号:2のポリペプチドは、例えば放射標識をペプチドに取り込ませ、そのペプチドに特異的に反応する抗体の検出に用いることで検出可能とすることができる)。
【0049】
「標識された核酸プローブまたはオリゴヌクレオチド」は、共有結合的に、またはリンカーを介して、またはイオン結合、ファンデルワールス結合、もしくは水素結合を介して標識に結合していて、プローブの存在が、プローブに結合した標識の存在の検出によって検出される分子である。
【0050】
「中程度にストリンジェントな条件」は、サンブルック(Sambrook)ら、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」、New York:Cold Spring Harbor Press、1989に記載された手順で決めることが可能であり、上述の条件と比べてストリンジェンシーが弱い洗浄液およびハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、イオン強度、および%SDS)の使用を含む。中程度にストリンジェントな条件の一例は、以下の組成の溶液中で一晩37℃におけるインキュベーション:20% ホルムアミド、5×SSC (150 mM NaCl、15 mM クエン酸三ナトリウム)、50 mM リン酸ナトリウム(pH 7.6)、5×デンハルト溶液、10% 硫酸デキストラン、および20 μg/mL 変性サケ精子DNAによる処理と、それに続く、約37〜50℃で1×SSC中におけるフィルターの洗浄である。プローブ長などの因子を配慮する必要に応じて、温度やイオン強度などを調整する方法を当業者であれば理解すると思われる。
【0051】
「調節因子」、「阻害性物質」、および「HsKif15の活性化因子」は、HsKif15の活性を調べるインビトロおよびインビボのアッセイ法で同定される調節性分子を意味する。このようなアッセイ法では、ATPアーゼ活性、微小管滑走活性、微小管解重合活性、および微小管結合活性などの結合活性、またはヌクレオチド類似体の結合などを調べる。試料または分析対象物は、試験濃度および対照濃度で候補薬剤で処理される。対照濃度はゼロとすることができる。両濃度間でHsKif15活性に変化がみられる場合、そのような変化は、調節因子の存在が認められたことを意味する。上昇または低下することがある活性の変化は、対象に比較して好ましくは少なくとも20〜50%の変化であり、より好ましくは少なくとも50〜75%の変化であり、より好ましくは少なくとも75〜100%の変化であり、より好ましくは150〜200%の変化であり、また最も好ましくは少なくとも2〜10倍の変化である。また変化は結合特異性または基質の変化によって示される場合がある。
【0052】
「分子モーター」は、化学的エネルギーから物理的な力を発生し、細胞骨格の運動特性を誘導する細胞骨格分子を意味する。
【0053】
「モータードメイン」という表現は、真のキネシンのモータードメインに対する約35〜45%の配列同一性によって、モータータンパク質のキネシンスーパーファミリーへ分類する指標となるHsKif15のドメインを意味する。
【0054】
「核酸」という用語は、1本鎖または2本鎖の形状をとるデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、およびこれらの重合体を意味する。具体的に制限しない限り、この用語は、標準核酸と類似の結合を有して天然ヌクレオチドと類似の様式で代謝される、天然ヌクレオチドの既知類似体を含む核酸を含む。特に明記しない限り、特定の核酸配列は、保存的に修飾された異型そのもの(例えば縮重コドン置換)、および相補的配列、ならびに明瞭に指示された配列を暗黙のうちに含む。具体的には、縮重コドン置換は一つまたは複数の選択された(またはすべての)コドンの第3の位置がミックスドアーゼ(mixed−ase)、および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を生じることで達成される場合がある(Batzerら、Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991);Ohtsukaら、J. Biol. Chem. 260:2605〜2608 (1985);Cassolら、1992;Rossoliniら、Mol. Cell. Probes 8:91〜98 (1994))。核酸という用語は遺伝子、遺伝子にコードされるcDNA、およびmRNAと互換的に用いられる。
【0055】
「核酸プローブまたはオリゴヌクレオチド」は、相補的配列をもつ標的核酸に、一つまたは複数の種の化学結合、通常は相補的な塩基対形成、通常は水素結合の形成を介して結合可能な核酸と定義される。本明細書で用いるように、プローブは天然の塩基(A、G、C、もしくはT)、または修飾型塩基を含む場合がある。またプローブ中の塩基は、ハイブリダイゼーションに干渉しない限りは、ホスホジエステル結合を除く結合で連結される場合がある。したがって例えばプローブは、構成される塩基がホスホジエステル結合以外のペプチド結合で連結されるペプチド性核酸の場合がある。プローブが、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに応じてプローブ配列と完全な相補性をもたない標的配列に結合可能であることは当業者であれば理解すると思われる。プローブは好ましくは、放射性同位元素、発色団、ルミフォア、色素原で直接標識されるほか、後にビオチンにストレプトアビジン複合体が結合するように間接的に標識される。プローブの有無を調べることで、選択される配列またはサブ配列の有無を検出することができる。
【0056】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、本明細書ではアミノ酸残基重合体と互換的に用いられる。この用語は、1個または複数のアミノ酸残基が、対応する天然アミノ酸の人工の化学的類似体であるアミノ酸重合体、ならびに天然のアミノ酸重合体に適用される。HsKif15ポリペプチドは、少なくとも微小管によって活性化されるATPアーゼ活性をもつことと、HsKif15に対する抗体と結合することが明らかにされたポリペプチドを含む。本明細書では、アミノ酸は一般に知られている、または命名委員会(Nomenclature Commission)によって決められた3文字の記号のいずれかによって表記される。同様にヌクレオチドは、一般に受け入れられている1文字コード(IUPAC−IUB Biochemicalによって推奨されている1文字記号)で表される。
【0057】
「プロモーター」は、核酸の転写を誘導する一連の核酸対照配列と定義される。本明細書で用いるように、プロモーターは転写部位の近傍に必要な核酸配列を含む(ポリメラーゼII型プロモーターの場合はTATA配列)。プロモーターは、転写開始部位から数千塩基対離れて位置することが可能な遠位のエンハンサー配列またはリプレッサー配列も選択的に含む。「構成的」プロモーターは、大部分の環境条件および発生条件で活性を示すプロモーターである。「誘導性」プロモーターは、環境的または発生的な調節を受けるプロモーターである。「使用可能に連結される」という表現は、核酸の発現対照配列(プロモーター、または一連の転写因子結合部位など)と、第2の核酸配列との間における機能的な連結を意味し、発現対照配列は、第2の配列に対応する核酸の転写を誘導する。
【0058】
抗体に「特異的(または選択的)に結合する」という表現、またはタンパク質またはペプチドに関して「特異的(または選択的)に免疫反応する」という表現は、タンパク質および他の生物製剤の不均一集団におけるタンパク質の存在に決定的な結合反応を意味する。したがって指定の免疫アッセイ条件で特定の抗体は、特定のタンパク質とバックグラウンドの少なくとも2倍結合し、試料中に存在する他のタンパク質に対しては有意な量で実質的に結合しない。特定の結合部分は典型的には、少なくとも互いに10−1の親和性を有する。診断または治療に用いられる好ましい抗体は10−1、10−1、10−1、または1010−1などの高い親和性をもつ場合がある。このような条件下における抗体に対する特異的な結合は、特定のタンパク質に対する特異性から選択される抗体を必要とする場合がある。例えば、配列番号:2にコードされたアミノ酸配列を有するHsKif15に対する抗体は、HsKif15と特異的に免疫反応して他のタンパク質とは反応しない抗体のみを得るように選択することができる(HsKif15の多型異型、相同分子種、対立遺伝子、および関連性の強い相同体は除く)。このような選択は、線虫(C. elegans)のunc−104および哺乳類のKif1などの分子と交差反応する抗体を差引くことで達成することができる。さまざまな免疫アッセイのフォーマットを用いることで、特定のタンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択することができる。例えば固相ELISA免疫アッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応する抗体の選択にルーチンに用いられている(例えば、特異的な免疫反応性の決定に使用可能な免疫アッセイのフォーマットおよび条件についてはHarlowおよびLane、「抗体、実験マニュアル(Antibodies, A Laboratory Manual)」(1988)の記述を参照)。典型的には、特異的または選択的な反応は、バックグラウンドのシグナルまたはノイズの少なくとも2倍であるか、より典型的にはバックグラウンドの10〜100倍である。
【0059】
「選択的に結びつく」という表現は、核酸が上述の他の分子と「選択的にハイブリッドを形成する」能力、または抗体が上述のようにタンパク質に「選択的(または特異的)に結合する」能力を意味する。
【0060】
「遺伝子産物をコードする配列」という表現は、配列情報を含む核酸を意味する。この表現は具体的には、天然配列、または特定の宿主細胞に導入してコドンの使用頻度を確認することができる配列の縮重コドン(一つのアミノ酸をコードする異なるコドン)を含む。
【0061】
(本明細書で「候補薬剤」および「被験化合物」ならびに「被験薬剤」と互換的に用いられる)「被験組成物」は、2種またはそれ以上の細胞骨格成分間における相互作用に及ぼす作用がアッセイされる分子または組成物を意味する。「被験組成物」は、選択的に含む分子または分子混合物の場合がある。
【0062】
本明細書で用いる「治療用物質」は、ヒトと動物の疾患の両方に適用可能な細胞骨格系をインビボで調節する能力があると考えられている化合物を意味する。細胞骨格系の調節は、以下を含むがこれらに限定されないいくつかの条件で望ましい場合がある:内皮細胞の異常な刺激(例えばアテローム硬化症)、固形腫瘍および造血系腫瘍ならびに腫瘍転移、良性腫瘍、例えば、血管腫、聴神経腫瘍、神経線維腫、化膿性肉芽腫、血管機能不全、創傷治癒異常、炎症性疾患および免疫疾患(慢性関節リウマチ、ベーチェット病など)、痛風または通風性関節炎、血管形成異常(慢性関節リウマチ、乾癬、糖尿病性網膜症、および、網膜色素変性症、角膜移植拒絶、角膜過成長、緑内障などの目の血管原性疾患を伴うもの)、オスラー・ウェーバー(Osler Webber)症候群、心血管疾患(高血圧症、心筋虚血、ならびに収縮能障害および拡張能障害など)、ならびに真菌疾患(アスペルギルス症、カンジダ症、および局所真菌疾患)。
【0063】
II.はじめに
本発明は、HsKif15をコードする核酸を初めて提供する。このタンパク質は、モータータンパク質のキネシンスーパーファミリーの分子で、微小管によって活性化されるATPアーゼ活性を示す。HsKif15は紡錘体の形成に不可欠なことがわかっている。
【0064】
一つの局面では、HsKif15は、以下の機能特性および構造特性の少なくとも一つまたは好ましくは複数を有する分子と定義することができる。機能的にはHsKif15は、微小管によって活性化されるATPアーゼ活性、およびATPに依存した微小管モーター活性をもつ。HsKif15活性は、結合活性に関して説明することもできる。
【0065】
本明細書に記載されている新しいヌクレオチド配列は、HsKif15またはその断片をコードする。したがって一つの局面では、本明細書に記載された核酸は、本明細書に記載された新しいタンパク質と定義される。本明細書に記載されたタンパク質は、以下の一つまたは複数の特性を有するアミノ酸配列を含む:配列番号:2との配列同一性が70%を上回る、好ましくは80%を上回る、より好ましくは90%を上回る、より好ましくは95%を上回る、または別の態様では配列番号:2と98〜100%の配列同一性を有する。上述した通り、ヌクレオチドが配列番号:1に関するという場合は、配列同一性は、同じパーセンテージか、または遺伝子コードの縮重のためにわずかに低い場合がある。本発明はまた配列番号:1に由来する少なくとも10、15、20、25、50、100、1000、または2000の隣接ヌクレオチド、またはその縮重した分子を有する図1に示すヌクレオチド配列の断片も含む。断片の一部は、図2のアミノ酸配列の32〜391位あたりにあるモータードメインを含む。このような断片の一部は、ハイブリダイゼーションのプローブまたはプライマーとして用いることができる。文脈から明らかでない限り、図に示すヌクレオチド配列または配列をいう場合は、この示される配列、つまり2本の鎖の完全な相補物または2重鎖を意味する場合がある。
【0066】
HsKif15の推定構造は、アミノ末端にあるキネシン様の微小管「モーター」ドメインを含む(図4および6を参照)。
【0067】
HsKif15ヌクレオチド配列の一部は、HsKif15の多型異型、相同分子種、対立遺伝子、および相同体の同定に使用することができる。同定は例えばストリンジェントなハイブリダイゼーション条件および配列決定によりインビトロで行われるか、または他のヌクレオチド配列との比較用のコンピュータシステム上の配列情報を用いて行われる。配列比較は、後述する任意の配列比較アルゴリズムを用いて実施することができる。好ましいアルゴリズムはPILEUPである。
【0068】
本明細書に記載されたいずれかのペプチドの活性は、ATPアーゼ活性または微小管結合活性を調べる、本明細書に記載されたアッセイ法でルーチンの手法で確認することができる。一つの態様では、HsKif15の多型異型、対立遺伝子、および相同分子種、相同体を、当技術分野の周知のATPアーゼまたは微小管結合のアッセイ法で確認する。
【0069】
生物学的に活性のあるHsKif15の最初の単離は、このキネシンスーパーファミリーのタンパク質の調節因子を調べるための手段となる。生物学的に活性のあるHsKif15は、微小管滑走アッセイ法、ATPアーゼアッセイ法 (Kodamaら、J. Biochem. 99:1465〜1472 (1986);Stewartら、Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 90:5209〜5213 (1993))、および微小管結合アッセイ法(Valeら、Cell 42:39〜50 (1985))を含む結合アッセイ法などのインビトロアッセイ法による、HsKif15およびその断片、ならびにキネシンスーパーファミリーの分子の調節因子の同定に有用である。インビボアッセイ法およびその用途についても本明細書で提供される。HsKif15に結合する候補薬剤およびその部分を同定する方法も本明細書で提供される。
【0070】
HsKif15のいくつかの部分または断片は、図2に示す配列に由来する少なくとも7残基、10残基、15残基、20残基、35残基、50残基、100残基、250残基、300残基、350残基、500残基、または1000残基の隣接アミノ酸を含む。一部の断片は、図2に示す配列に由来する1000残基、500残基、250残基、100残基、または50残基未満の隣接アミノ酸を含む。例えば、例示的な断片には、15〜50アミノ酸、または100〜500アミノ酸を有する断片が含まれる。一部の断片はモータードメインを含む。このような断片は典型的には、図2のアミノ酸残基の32〜391位の範囲、またはその活性部分を含む。一部の断片はHsKif15のリガンド結合ドメインを含む。
【0071】
後に詳述するように、本明細書に記載された新しい化合物を用いるさまざまなアッセイ法、治療法および診断法が本明細書に記載されている。後に詳述する、本明細書に記載された用途および方法は、インビボ、インサイチュー、およびインビトロにおける適用があり、医学、獣医学、農学、および研究を基礎とした分野の応用に使用することができる。
【0072】
III.HsKif15をコードする遺伝子の単離
A.一般的な組換えDNA法
本発明は、組換え遺伝学分野におけるルーチンの手法に基づく。本発明における用途の一般的な方法を説明した基本的なテキストには、サンブルック(Sambrook)ら、「分子クローニング、実験マニュアル(Molecular Cloning, A Laboratory Manual)」(第2版、1989);クリーガー(Kriegler)、「遺伝子移入と発現:実験マニュアル(Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual)」(1990);および「分子生物学の最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」(Ausubelら編、1994)などがある。
【0073】
核酸については、その大きさはキロ塩基対(kb)または塩基対(bp)で表される。これは、アガロースゲルもしくはポリアクリルアミドゲル電気泳動、核酸の配列決定、または論文に記載されたDNA配列から得られる推定値である。タンパク質については、その大きさはキロダルトン(kDa)またはアミノ酸残基数で表される。タンパク質の大きさは、ゲル電気泳動、質量分析、タンパク質の配列決定、由来するアミノ酸配列、または論文に記載されたタンパク質配列から推定される。
【0074】
市販されていないオリゴヌクレオチドは、べーケージ(Beaucage)およびカルザース(Caruthers)、Tetrahedron Letts. 22:1859〜1862 (1981)によって最初に記載された固相ホスホラミダイトトリエステル法にしたがって、デバンテール(Van Devanter)ら、Nucleic Acids Res. 12:6159〜6168 (1984)に記載された自動合成装置を用いて化学的に合成することができる。オリゴヌクレオチドの精製は、天然のアクリルアミドゲル電気泳動法か、またはピアソン(Pearson)およびレーニエ(Reanier)、J. Chrom. 225:137〜149 (1983)に記載されている陰イオン交換HPLCによって行われる。
【0075】
クローニングされた遺伝子および合成オリゴヌクレオチドの配列は、クローニングした後に、例えばウォレス(Wallace)ら、Gene 16:21〜26 (1981)の2本鎖鋳型の配列決定の鎖停止法で確認することができる。
【0076】
B.HsKif15をコードするヌクレオチド配列を単離するためのクローニング法
一般に、HsKif15および関連する核酸配列の相同体をコードする核酸配列は、cDNAライブラリーおよびゲノムDNAライブラリーからクローニングされ、またはオリゴヌクレオチドプライマーを用いた増幅法で単離される。または発現ライブラリーを用いて、HsKif15相同体をも認識して選択的に結合するHsKif15に対して作製された抗血清または精製抗体によって免疫学的に検出された発現された相同体によってHsKif15およびHsKif15相同体をクローニングすることができる。最後に、プライマーを用いた増幅法で、HsKif15をDNAまたはRNAから増幅および単離することができる。縮重プライマーを用いた増幅法で、HsKif15相同体を増幅および単離することもできる。プライマーを用いた増幅法でHsKif15をコードする核酸を単離することもできる。このようなプライマーは例えば、数百ヌクレオチドからなるプローブの増幅と、それに続く完全長のHsKif15を求めるライブラリーのスクリーニングに用いることができる。
【0077】
他の種のHsKif15をコードする遺伝子の同定に用いられる適切なプライマーおよびプローブは、本明細書に記載された配列との比較を元に作製される。上述した通り、抗体を用いてHsKif15相同体を同定することができる。例えば、HsKif15のモータードメイン、またはタンパク質全体に対して作製された抗体は、HsKif15相同体の同定に有用である。
【0078】
cDNAライブラリーを作製する際には、対象となるmRNA (例えばHsKif15のmRNA)に富む供給源を選択すべきである。例えばHsKif15のmRNAは、精巣、骨髄、また胎児の肝臓に極めて豊富に含まれ、脳、唾液腺、心臓、甲状腺、腎臓、副腎、脾臓、膵臓、肝臓、卵巣、結腸、子宮、肺、前立腺、小腸、皮膚、筋肉、末梢血リンパ球、胃、胎盤で比較的低く発現している。次に逆転写酵素を用いてmRNAからcDNAを作り、組換えベクターに連結し、組換え宿主に導入して増殖させ、スクリーニングおよびクローニングを行う。cDNAライブラリーの作製およびスクリーニングの方法は当技術分野で周知である(例えば、GublerおよびHoffman、Gene 25:263〜269;Sambrookら、前記;Ausubelら、前記を参照)。
【0079】
ゲノムライブラリーについては、DNAを組織から抽出し、機械的に剪断するか酵素を用いて消化して約12〜20 kbの断片を得る。次にこの断片を、勾配遠心法で望ましくない大きさの断片と分離し、バクテリオファージλのベクターに組み込む。ベクターおよびファージのパッケージングはインビトロで行う。組換えファージを、ベントン(Benton)およびデイビス(Davis)、Science 196:180〜182 (1977)に記載されているプラークハイブリダイゼーションで分析する。コロニーハイブリダイゼーションの一般的な記述は、グランステイン(Grunstein)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、72:3961〜3965 (1975)にある。
【0080】
HsKif15の核酸およびその相同体を単離する別の方法では、合成オリゴヌクレオチドプライマーの使用とRNAまたはDNAの鋳型の増幅を組み合わせる(米国特許第4,683,195号、および第4,683,202号;「PCRプロトコール:方法と応用についての手引き(PCR Protocols:A guide to Methods and Applications)」(Innisら編、1990)を参照)。ポリメラーゼ連鎖反応およびリガーゼ連鎖反応などの方法で、mRNA、cDNA、ゲノムライブラリー、またはcDNAライブラリーからHsKif15の核酸配列を直接増幅することができる。縮重したオリゴヌクレオチドを設計して、本明細書に記載された配列を用いてHsKif15相同体を増幅することができる。また制限エンドヌクレアーゼ切断部位をプライマーに組み込むことができる。ポリメラーゼ連鎖反応、または他のインビトロ増幅法も、例えば発現させるタンパク質をコードする核酸配列をクローニングする際に、核酸を作製してmRNAをコードするHsKif15の存在を生理学的試料中における検出、核酸の配列決定、または他の目的に使用する際に有用である。PCR反応で増幅された遺伝子をアガロースゲルから精製して、適切なベクターにクローニングすることができる。
【0081】
HsKif15の遺伝子発現は、当技術分野で周知の手法、例えばmRNAの逆転写および増幅、全RNAまたはポリARNAの単離、ノーザンブロット、ドットブロット、インサイチューハイブリダイゼーション、RNaseプロテクション、定量的PCRなどで分析することもできる。
【0082】
合成オリゴヌクレオチドを用いて、プローブとして、またはタンパク質の発現に用いる組換えHsKif15遺伝子を構築することができる。この方法は、一連の重複した、遺伝子のセンスとアンチセンスの両鎖を示す通常は40〜120 bpの長さのオリゴヌクレオチドを用いて行われる。このようなDNA断片を次にアニーリングし、連結してクローニングする。または正確なプライマーを用いた増幅法により、HsKif15遺伝子の特定のサブ配列を増幅することができる。続いて、特定のサブ配列を発現ベクターに連結する。
【0083】
HsKif15の遺伝子を典型的には中間体ベクターにクローニングしてから、原核細胞または真核細胞を形質転換して複製および/または発現させる。中間体ベクターは典型的には、原核細胞のベクターまたはシャトルベクターである。
【0084】
C.原核細胞および真核細胞における発現
HsKif15をコードするcDNAなどの、クローニングされた遺伝子を高レベルで発現させるためには、転写を誘導する強いプロモーター、転写/翻訳のターミネーター、またタンパク質をコードする核酸の場合は、翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含む発現ベクターを構築することが重要である。細菌由来の適切なプロモーターは当技術分野で周知であり、例えばサンブルック(Sambrook)らの文献、およびアウシュベル(Ausubel)らの文献に記載されている。HsKif15タンパク質を発現させるための細菌発現系は例えば、大腸菌、枯草菌、およびサルモネラ菌で使用することができる(Palvaら、Gene 22:229〜235 (1983);Mosbachら、Nature 302:543〜545 (1983))。このような発現系に使用されるキットは市販されている。哺乳類細胞、酵母、および昆虫細胞の真核発現系は当技術分野で周知であり、これも市販されている。好ましい原核生物発現系の一つがpET発現系(Novagen)である。
【0085】
異種核酸の発現誘導に用いられるプロモーターは特定の応用によって変わる。プロモーターは、天然の状態で転写開始部位から離れている距離とほぼ等距離に異種転写開始部位から離れて位置することが好ましい。しかし当技術分野で周知のように、ある程度の距離の変化は、プロモーターの機能を失うことなく許容される。
【0086】
プロモーターに加えて、発現ベクターは通常、核酸をコードするHsKif15の宿主細胞における発現に必要な付加的な配列すべてを含む転写単位または発現カセットを含む。したがって典型的な発現カセットは、HsKif15をコードする核酸配列に使用可能に連結されたプロモーター、および転写物の効率的なポリアデニル化、リボソーム結合部位、および翻訳終結に必要なシグナルを含む。HsKif15をコードする核酸配列には典型的には、切断可能なシグナルペプチド配列を結合させて、コードされたタンパク質が形質転換細胞から容易に分泌されるようにすることができる。このようなシグナルペプチドには、組織プラスミノーゲンアクチベーター、インスリン、および神経成長因子、ならびにオオタバコガ(Heliothis virescens)の幼若ホルモンエステラーゼに由来するシグナルペプチドなどが含まれる場合がある。カセットの他の因子にはエンハンサーなどが含まれ、ゲノムDNAを構造遺伝子として用いる場合は、機能性のドナー部位およびアクセプター部位をもつイントロンが含まれる。
【0087】
プロモーター配列に加えて、発現カセットは、効率的な終結をもたらすために構造遺伝子の下流に転写終結領域も含むべきである。終結領域はプロモーター配列と同じ遺伝子から得られるほか、別の遺伝子からも得られる。
【0088】
細胞への遺伝情報の輸送に用いられる特定の発現ベクターは特に重要ではない。真核細胞または原核細胞における発現に使用される従来のベクターを使用することができる。標準的な細菌発現ベクターには、pBR322をベースとしたプラスミド、pSKF、pET23、ならびにGSTおよびLacZなどの融合発現系などのプラスミドが含まれる。エピトープタグ(例えばc−myc)を組換えタンパク質に付け加えることで、単離を簡便化することもできる。
【0089】
真核細胞に感染するウイルスの調節配列を含む発現ベクターは典型的には、真核発現ベクター(例えば、SV40ベクター、サイトメガロウイルスベクター、パピローマウイルスベクター、およびエプスタインバーウイルスに由来するベクター)中で用いられる。他の例示的な真核ベクターには、pMSG、pAV009/A、pMTO10/A、pMAMneo−5、バキュロウイルスのpDSVE、およびSV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳癌ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または真核細胞における発現に有効な他のプロモーターの支配下にあるタンパク質の発現を可能とする他の任意のベクターがある。
【0090】
いくつかの発現系は、チミジンキナーゼ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ、およびジヒドロ葉酸レダクターゼなどの、遺伝子増幅をもたらすマーカーをもつ。または、ポリヘドリンプロモーターまたは他の強力なバキュロウイルスプロモーター支配下にHsKif15コード配列を含む、昆虫細胞におけるバキュロウイルスベクターを用いた系などの、遺伝子増幅を行わない高収量の発現系も適している。
【0091】
発現ベクターに典型的に含まれる因子には、大腸菌で機能するレプリコン、組換えプラスミドをもつ細菌の選択を可能とする抗生物質耐性をコードする遺伝子、およびプラスミドの非本質的領域にあり、真核生物由来の配列の挿入を可能とする固有の制限酵素切断部位も含まれる。選択される特定の抗生物質耐性遺伝子は重要ではなく、当技術分野で周知の多くの任意の耐性遺伝子のいずれかが適している。原核細胞由来の配列は、好ましくは必要に応じて、真核細胞におけるDNAの複製に干渉しないように選択される。
【0092】
標準的なトランスフェクション法または形質転換法を用いて、HsKif15タンパク質を大量に発現する細菌、哺乳類、酵母、または昆虫細胞の系列を作製する。発現されたタンパク質は後で標準的な手法で精製する(例えば、Colleyら、J. Biol. Chem. 264:17619〜17622 (1989);「タンパク質精製の手引き、酵素学における方法(Guide to Protein Purification, in Methods in Enzymology)」、第182巻、(Deutscher編、1990)を参照)。
【0093】
真核細胞および原核細胞の形質転換は標準的な手法で行う(例えば、Morrison、J. Bact.、132:349〜351 (1977);Clark−CurtissおよびCurtiss、Methods in Enzymology、101:347〜362 (Wuら編、1983)を参照)。
【0094】
外来ヌクレオチド配列を宿主細胞に導入する、既知の任意の手順を用いることができる。このような手順には、リン酸カルシウムトランスフェクション法、ポリブレン、プロトプラスト融合法、エレクトロポレーション法、リポソーム法、マイクロインジェクション法、プラズマベクター、ウイルスベクター、およびクローニングされたゲノムDNA、cDNA、合成DNA、または他の外来遺伝物質を宿主細胞に導入する他の任意の既知の方法の使用などが含まれる(例えばSambrookら、前記を参照)。用いられる特定の遺伝子工学的手法が、少なくとも1種の遺伝子を、HsKif15を発現可能な宿主細胞に良好に導入できることだけが必要である。
【0095】
発現ベクターを細胞に導入後、トランスフェクトした細胞をHsKif15の発現に望ましい条件で培養し、後述する標準的な手法で培養物から回収する。
【0096】
IV.HsKif15タンパク質の精製
天然のHsKif15、または組換えHsKif15のいずれかを、機能アッセイ法用に精製して使用することができる。HsKif15は、硫酸アンモニウムなどの基質を用いる選択的沈殿法;カラムクロマトグラフィー、免役沈殿法などを含む標準的な手段で実質的に純粋になるまで精製することができる(例えば、Scopes、「タンパク質精製:原理と実際(Protein Purification:Principles and Practice)」(1982);米国特許第4,673,641号;Ausubelら、前記;およびSambrookら、前記を参照)。好ましい精製法ではNi−NTAアガロース(Qiagen)を使用する。
【0097】
組換えHsKif15を精製する際には、いくつかの手順を用いることができる。例えば分子吸着特性を有することがわかっているタンパク質は、HsKif15に可逆的に融合させることができる。適切なリガンドを用いることで、HsKif15を精製用カラムに吸着させた後にカラムから比較的純粋な状態で遊離させることで選択することができる。次に融合状態のタンパク質を酵素活性を用いて除く。最後にイムノアフィニティカラムを用いてHsKif15を精製することができる。
【0098】
A.組換え細菌からのHsKif15の精製
組換えタンパク質は、通常はプロモーター誘導後に形質転換細菌で大量に発現されるが、発現は構成的とすることができる。IPTGによるプロモーター誘導は好ましい発現法である。細菌は当技術分野の標準的な手順で増殖させる。新鮮な細菌細胞または凍結細菌細胞をタンパク質の単離に用いる。
【0099】
または、細菌のペリプラズムからHsKif15を精製することができる。細菌を溶解後、HsKif15を細菌のペリプラズムに輸送し、細菌のペリプラズムフラクションを、当技術分野で周知の他の方法に冷却浸透圧ショックを加えた方法で単離することができる。組換えタンパク質をペリプラズムから単離する際には、細菌細胞を遠心してペレットを得る。このペレットを、20% ショ糖を含む緩衝液に再懸濁する。細胞を溶解させるためには、細菌を遠心してペレットを5 mMの冷MgSOに再懸濁し、氷浴に約10分間維持する。この細胞懸濁液を遠心し、上清をデカントして保存する。上清に含まれる組換えタンパク質は、当技術分野で周知の標準的な手法で宿主タンパク質と分離することができる。
【0100】
HsKif15またはその断片は、参照として本明細書に組み入れられる米国特許出願第09/295,612号に記載された手順で調製することもできる。
【0101】
B.HsKif15を精製するための標準的なタンパク質分離法
溶解度による分画
初期の段階では、特にタンパク質混合物が複雑な場合、初期の塩分画で、望ましくない多くの宿主細胞タンパク質(または細胞用培地に由来するタンパク質)を対象組換えタンパク質と分離することができる場合がある。好ましい塩は硫酸アンモニウムである。硫酸アンモニウムは、タンパク質混合物に含まれる水の量を効率的に減少させることでタンパク質を沈殿させる。その後、タンパク質は溶解性に応じて沈殿する。疎水性が大きいタンパク質ほど、低い硫酸アンモニウム濃度で沈殿を生じる可能性が高い。典型的なプロトコルには、飽和硫酸アンモニウムをタンパク質溶液に添加して、結果として生じる硫酸アンモニウム濃度を20〜30%とする段階が含まれる。この濃度では、疎水性の最も高いタンパク質が沈殿する。次に沈殿を廃棄し(対象タンパク質が疎水性でない場合に限る)、対象タンパク質の沈殿が生じることがわかっている濃度まで硫酸アンモニウムを上清に添加する。次に沈殿を緩衝液に溶解し、過剰な塩を必要に応じて透析またはダイアフィルトレーションで除く。冷エタノール沈殿法などの、タンパク質の可溶性を利用する他の方法は当技術分野で周知であり、複雑なタンパク質混合物の分画に用いることができる。
【0102】
大きさの差に基づく濾過
HsKif15の分子量を利用して、さまざまな孔の大きさの膜(例えばAmicon製またはMillipore製の膜)を通す限外濾過法で、大きな、または小さなタンパク質から単離することができる。第1段階ではタンパク質混合物を、対象タンパク質の分子量より低分子量のカットオフ値をもつ孔径の膜を通して限外濾過する。次に限外濾過の保持液(retentate)を、対象タンパク質の分子量より大きい分子カットオフ値をもつ膜で限外濾過する。組換えタンパク質は膜を通過して濾液に移動する。次に濾液を対象に、後述するクロマトグラフィーを行う。
【0103】
カラムクロマトグラフィー
HsKif15は、その大きさ、正味の表面電荷、疎水性、およびリガンドに対する親和性を元に他のタンパク質と分離することもできる。また、タンパク質に対する抗体をカラムマトリックスに結合させ、タンパク質を免疫精製することができる。以上すべての方法は当技術分野で周知である。クロマトグラフィー法を任意の規模で、またさまざまな業者(例えば、Pharmacia Biotech)による装置を用いて実施することができることは当業者には明らかと思われる。
【0104】
V.HsKif15の免疫学的検出法
核酸ハイブリダイゼーション法によるHsKif15遺伝子の検出、および遺伝子発現に加えて、免疫アッセイでHsKif15を検出することもできる。免疫アッセイ法では、HsKif15を量的または質的に分析することができる。適用可能な手法に関する一般的な概説は、ハーロウ(Harlow)およびレーン(Lane)、「抗体:実験マニュアル(Antibodies:A Laboratory Manual)」(1988)に記載されている。
【0105】
A.HsKif15に対する抗体
HsKif15に特異的に反応するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を作製する方法は当技術分野で周知である(例えば、Coligan、「免疫学の最新プロトコール(Current Protocols in Immunology)」(1991);HarlowおよびLane、前記;Goding「モノクローナル抗体:原理と実際(Monoclonal Antibodies:Principles and Practice)」(第2版、1986);およびKohlerおよびMilstein、Nature 256:495〜497 (1975)を参照)。このような手法には、ファージまたは同様のベクター上における組換え抗体のライブラリーの抗体選択による抗体の調製、ならびにウサギまたはマウスの免疫化によるポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の調製が含まれる(例えば、Huseら、Science 246:1275〜1281 (1989);Wardら、Nature 341:544〜546 (1989)を参照)。
【0106】
ヒト化状態のマウス抗体は、非ヒト抗体のCDR領域をヒト抗体の定常領域に組換えDNA技術で連結することで作製することができる。この手法については、クイーン(Queen)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86、10029〜10033 (1989)および参照として組み入れられる国際公開公報第90/07861号を参照されたい。
【0107】
ヒト抗体はファージディスプレイ法で得られる。これについては例えば、ダワー(Dower)ら、国際公開公報第91/17271号;マッカファティ(McCafferty)ら、国際公開公報第92/01047号を参照されたい。この方法では、ファージのライブラリーを、ライブラリーの構成分子が異なる抗体を外表面に提示するように作製する。抗体は通常Fv断片またはFab断片として提示される。所望の特異性を保持してファージにより提示される抗体は、HsKif15またはその断片に対するアフィニティ濃縮で選択される。HsKif15に対するヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン座位および不活性化された内因性免疫グロブリン座位の少なくとも一つのセグメントをコードする導入遺伝子を有する非ヒトトランスジェニック哺乳類から作製することもできる。この手法については例えば、いずれも参照として全体が本明細書に組み入れられるロンボーグ(Lonberg)ら、国際公開公報第93/12227号(1993);クチェルラパティ(Kucherlapati)、国際公開公報第91/10741号(1991)を参照されたい。ヒト抗体は、競合結合実験で、またそれ以外では特定のマウス抗体と同じエピトープ特異性を有するものを選択することができる。このような抗体は特に、マウス抗体の有用な機能的特性を共有している可能性が高い。ヒトのポリクローナル抗体は、免疫原性物質で免疫化されたヒトの血清の状態でも提供される。選択的に、このようなポリクローナル抗体は、アフィニティ試薬としてHsKif15を用いたアフィニティ精製により濃縮することができる。
【0108】
免疫原を含むいくつかのHsKif15を用いて、HsKif15と特異的に反応する抗体を作製することができる。例えば、組換えHsKif15またはモータードメインなどの抗原断片を本明細書に記載された手順で単離する。組換えタンパク質を真核細胞または原核細胞で上述の通りに発現させ、上述の一般的な手順で精製することができる。組換えタンパク質は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を産生させるための好ましい免疫原である。または、本明細書に開示された配列に由来し、担体タンパク質に結合させた合成ペプチドを免疫原として使用することができる。天然のタンパク質は、純粋な状態、または不純な状態のいずれの状態でも用いることができる。次にこの産物を、抗体を産生可能な動物に注入する。モノクローナル抗体、またはポリクローナル抗体のいずれかを作製し、続く免疫アッセイで使用してタンパク質を測定することができる。
【0109】
ポリクローナル抗体を作製する方法は当技術分野で周知である。近交系のマウス(例えばBALB/Cマウス)またはウサギを同タンパク質で、フロインドアジュバントなどの標準的なアジュバントを用いて、また標準的な免疫化プロトコルで免疫化する。免疫原調製物に対する動物の免疫応答は、採血を行ってHsKif15に対する反応性の力価を決定することでモニタリングする。免疫原に対して適切に高い力価の抗体が得られる場合は、動物から血液を採取して抗血清を調製する。望ましいならば、対象タンパク質に反応する抗体を濃縮するために、さらに抗血清の分画を行う(HarlowおよびLaneによる前記論文を参照)。
【0110】
モノクローナル抗体は、当業者になじみのあるさまざまな手法で得られる。簡単に説明すると、所望の抗原で免疫化した動物の脾臓細胞を、通常はミエローマ細胞と融合させることで不死化する(KohlerおよびMilstein、Eur. J. Immunol. 6:511〜519 (1976)を参照)。または、不死化する方法には、エプスタインバーウイルス、癌遺伝子、もしくはレトロウイルスによる形質転換、または当技術分野で周知の方法もある。不死化した細胞1個から生じるコロニーを、抗原に対する所望の特異性および親和性を有する抗体を産生するものについてスクリーニングを行い、このような細胞によって作製されるモノクローナル抗体の収量を、脊椎動物宿主の腹腔への注入を含むさまざまな手法で高めることができる。またはモノクローナル抗体またはその結合断片をコードするDNA配列を、ヒューズ(Huse)ら、Science 246:1275〜1281 (1989)で概説されている一般的なプロトコルにしたがって、ヒトB細胞に由来するDNAライブラリーのスクリーニングを行うことで単離することができる。
【0111】
モノクローナル抗体およびポリクローナル血清を回収し、例えば固相支持体上に固定された免疫原を用いる固相免疫アッセイなどの免疫アッセイで免疫原タンパク質に対する力価を測定する。典型的には、力価が10またはそれ以上のポリクローナル抗血清を選択し、非HsKif15タンパク質、さらには他の生物に由来する他の相同タンパク質(例えば線虫(C. elegans)のunc−104または哺乳類のKif1)に対する交差反応性を競合結合免疫アッセイで検討する。特異的なポリクローナル抗血清およびモノクローナル抗体は通常Kが少なくとも約0.1 mM、より一般的には少なくとも約 1 μM、好ましくは少なくとも約0.1 μMまたはそれ以上、また最も好ましくは0.01 μMまたはそれ以上で結合する。
【0112】
HsKif15に特異的な抗体が得られたら、さまざまな免疫アッセイ法でHsKif15を検出することができる。免疫学的手法および免疫アッセイの手順に関する総説は、「基礎臨床免疫学(Basic and Clinical Immunology)」(StitesおよびTerr編、第7版、1991)を参照されたい。また本発明の免疫アッセイは、「酵素免疫測定法(Enzyme Immunoassay)」(Maggio編、1980);およびハーロウ(Harlow)およびレーン(Lane)、前記論文で広範囲に概説されている、任意の複数の構成で実施することができる。
【0113】
B.結合アッセイ法
抗体は、治療に使用できるほか、上述の配列同一性の特性を有するHsKif15の存在を確認する際に使用することができる。また抗体を用いて、後に詳述するように抗体とHsKif15との間における相互作用の調節因子を同定することができる。以下の考察は、結合アッセイ法における用途における抗体の使用を意図しているが、「非競合的な」アッセイ法または「競合的な」アッセイ法について記載されたフォーマットなどの同様の一般的なアッセイ法のフォーマットが、微小管または米国特許出願第60/070,772号に記載された化合物などのHsKif15に結合する任意の化合物とともに使用できることは言うまでもない。
【0114】
好ましい態様では、HsKif15は、任意の複数の十分に認められた免疫学的結合アッセイ法で検出および/または定量される(例えば、米国特許第4,366,241号;4,376,110号;第4,517,288号;および第4,837,168号を参照)。一般的な免疫アッセイの総説は、「細胞生物学における方法、37巻:細胞生物学における抗体(Methods in Cell Biology, Volume 37:Antibodies in Cell Biology)」(Asai編、1993);「基礎臨床免疫学(Basic and Clinical Immunology)」(StitesおよびTerr編、第7版、1991)を参照されたい。免疫学的結合アッセイ法(免疫アッセイ法)では、典型的には、選択用のタンパク質または抗原(この場合はHsKif15またはその抗原性サブ配列)に特異的に結合する抗体が用いられる。抗体(例えば抗HsKif15)は、当技術分野で周知の、また上述の任意のいくつかの手段で作製することができる。
【0115】
免疫アッセイでは、標識薬剤を用いて、抗体と抗原で形成される複合体に特異的に結合させて標識することもある。標識試薬は、そのものが抗体/抗原複合体を含む部分の一つである。したがって標識薬剤は、標識されたHsKif15ポリペプチド、または標識された抗HsKif15抗体の場合がある。または標識試薬は、抗体/HsKif15複合体に特異的に結合する二次抗体などの第3の部分の場合がある(二次抗体は通常、一次抗体が由来する種の抗体に特異性をもつ)。免疫グロブリンの定常領域に特異的に結合可能な他のタンパク質(タンパク質Aやタンパク質Gなど)も標識薬剤として使用することができる。これらのタンパク質は、さまざまな種の免疫グロブリンの定常領域に強い非免疫原性反応を示す(一般的には、クロンバル(Kronval)ら、J. Immunol. 111:1401〜1406 (1973);アカーストーム(Akerstrom)ら、J. Immunol. 135:2589〜2542 (1985)を参照)。標識薬剤は、ストレプトアビジンなどの別の分子が特異的に結合するビオチンなどの検出用部分で修飾することができる。さまざまな検出用部分が当技術分野で周知である。
【0116】
アッセイ法を通して、試薬をそれぞれ混合した後にインキュベーション段階および/または洗浄段階が必要とされる場合がある。インキュベーション段階は約5秒間〜数時間を変動する場合があり、好ましくは約5分間〜約24時間である。しかし、インキュベーション時間は、アッセイ法のフォーマット、抗原、溶液の容量、濃度などによって変わる。通常、アッセイ法は外界温度で実施されるが、10〜40℃などの温度範囲で実施される場合がある。
【0117】
非競合的なアッセイ法のフォーマット
試料に含まれるHsKif15を検出する免疫アッセイ法は、競合的または非競合的なアッセイ法とすることができる。非競合的な免疫アッセイ法では抗原量を直接測定する。一つの好ましい「サンドイッチ」アッセイ法では、例えば抗HsKif15抗体を、固定化用の固体基質に直接結合させることができる。固定化された抗体は次に、被験試料に含まれるHsKif15を捕捉する。したがってHsKif15は固定化された後に、標識を含む二次HsKif15抗体などの標識薬剤と結合する。または、二次抗体は標識を含まない場合があるが、二次抗体が由来する種の抗体に特異的な標識された三次抗体に順に結合する場合がある。二次抗体または三次抗体は典型的には、ストレプトアビジンなどの別の分子が特異的に結合して検出用部分となる、ビオチンなどの検出用部分で修飾される。
【0118】
競合的アッセイ法のフォーマット
競合的なアッセイ法では、試料に含まれるHsKif15の量は、試料に含まれる未知のHsKif15による抗HsKif15抗体と置換された(競合された)既知の添加された(外因性の)HsKif15の量を測定することで、間接的に測定される。一つの競合的なアッセイ法では、既知量のHsKif15を試料に添加した後に、HsKif15に特異的に結合する抗体を試料に接触させる。抗体に結合した外因性HsKif15の量は、試料に含まれるHsKif15の濃度に反比例する。特に好ましい態様では、抗体は固体基質に固定される。抗体に結合したHsKif15の量は、HsKif15/抗体複合体に含まれるHsKif15量を測定することによって、またはその代わりに複合体を形成していない残りのタンパク質量を測定することによって決定される場合がある。HsKif15の量は、標識されたHsKif15分子を提供することで検出することができる。
【0119】
もう一つの好ましい競合的なアッセイ法がハプテン阻害アッセイ法である。このアッセイ法では、既知のHsKif15を固体基質上に固定する。既知量の抗HsKif15を試料に添加した後に、固定されたHsKif15を試料に接触させる。既知の固定化されたHsKif15に結合した抗HsKif15抗体の量は、試料に含まれるHsKif15の量に反比例する。また固定化抗体量は、固定化された抗体フラクションか、溶液中に残存する抗体のフラクションのいずれかを検出することで決定することができる。検出は、抗体が標識されている場合に直接的なものとなり、上述の抗体に特異的に結合する標識部分の後の添加によって間接的なものとなる。
【0120】
交差反応性の判定
競合的な結合フォーマットにおける免疫アッセイは、交差反応性の判定にも用いることができる。例えば、少なくとも配列番号:2により部分的にコードされたタンパク質を固相支持体に固定することができる。タンパク質(例えば線虫のunc−104または哺乳類のKif1)を、固定化抗原に対する抗血清との結合と競合するアッセイ系に添加する。添加されたタンパク質のもつ、固定化タンパク質に対する抗血清の結合と競合する能力を、配列番号:2にコードされたHsKif15がもつ、その自身と競合する能力と比較する。上記のタンパク質に関する交差反応性のパーセンテージは標準的な計算法で算出することができる。上述の添加された個々のタンパク質との交差反応性が10%未満の抗血清を選択してプールする。交差反応する抗体は、プールされた抗血清から、添加された対象タンパク質(例えば遠縁の相同体)と免疫吸着させることで選択的に除去する。
【0121】
免疫吸着されてプールされた抗血清を次に、上述の通りに競合的な結合免疫アッセイに用いて、本発明のタンパク質と考えられる第2のタンパク質と、免疫原タンパク質(配列番号:2のHsKif15)との比較を行う。この比較を行うためには、二つのタンパク質をそれぞれ広い濃度範囲で検討し、固定されたタンパク質に対する抗血清との結合を50%阻害するのに必要な各タンパク質量を決定する。50%阻害に必要な第2のタンパク質の量が、結合を50%抑制するのに必要な配列番号:2にコードされたタンパク質量の10分の1に満たない場合は、第2のタンパク質は、HsKif15免疫原に対するポリクローナル抗体に特異的に結合するといえる。
【0122】
他のアッセイ法のフォーマット
ウェスタンブロット(イムノブロット)分析で、試料に含まれるHsKif15の存在を検出および定量する。この手法は一般的に、試料タンパク質をゲル電気泳動で分子量を元に分離する段階、分離したタンパク質を(ニトロセルロースフィルター、ナイロンフィルター、または誘導体化されたナイロンフィルターなどの)適切な固相支持体に移す段階、およびHsKif15に特異的に結合する抗体と試料をともにインキュベートする段階を含む。抗HsKif15抗体は、固相支持体上のHsKif15に特異的に結合する。このような抗体は直接標識されたり、または抗HsKif15抗体に特異的に結合する標識抗体(例えば標識されたヒツジ抗マウス抗体)を用いて後に検出される場合がある。
【0123】
他のアッセイ法のフォーマットには、特定の分子(例えば抗体)に結合して内部の試薬またはマーカーを放出するように設計されたリポソームを用いるリポソーム免疫アッセイ法(LIA)などがある。放出された化学物質は、後に標準的な手法で検出される(Monroeら、Amer. din. Prod. Rev. 5:34〜41 (1986)を参照)。
【0124】
非特異的な結合の低下
免疫アッセイにおける非特異的な結合を極めて小さくすることが望ましい場合があることを当業者であれば理解すると思われる。特にアッセイ法に、固体基質上に固定化された抗原または抗体がかかわる場合は、基質に対する非特異的な結合の量を極めて少なくすることが望ましい。非特異的な結合を低下させる手段は当技術分野で周知である。典型的には、このような手法には、基質をタンパク質性組成物でコーティングする段階が含まれる。特にウシ血清アルブミン(BSA)、脱脂粉乳、およびゼラチンなどのタンパク質組成物は広く用いられており、なかでも粉末乳が最も好ましい。
【0125】
標識
アッセイ法に用いられる特定の標識、または検出用官能基は、アッセイ法で使用される抗体との特定の結合に大きく干渉しない限り、本発明の重要な局面ではない。検出用官能基は、検出用の物理的特性または化学的特性を有する任意の材料とすることができる。検出用標識は免疫アッセイの分野で開発が進んでおり、一般に、このような方法に有用な大部分の任意の標識を本発明に適用することができる。したがって標識は、分光光度的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、または化学的な手段で検出される任意の組成物である。本発明の有用な標識には、磁気ビーズ(例えばDYNABEADS(商標))、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアナート、テキサスレッド、ローダミンなど)、放射性標識(例えば、H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびELISAで一般的に用いられる他の酵素)、ならびに金コロイドもしくは色ガラスなどの比色性標識、またはプラスチックビーズ(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)がある。
【0126】
標識は、当技術分野で周知の方法で、アッセイ系の所望の成分に直接または間接的に結合させることができる。上述の通り、さまざまな標識を使用することが可能であり、標識の選択は要求される感度、化合物との結合の容易さ、安定性に関する要件、使用可能な器具、および廃棄規定に依存する。
【0127】
非放射性標識は間接的な手段で結合させることが多い。一般的に、リガンド分子(例えばビオチン)は共有結合で分子に結合される。次にリガンドは別の分子(例えばストレプトアビジン)に結合し、本質的に検出されるか、または検出用酵素、蛍光化合物、または化学発光化合物などのシグナル系に共有結合させることができる。リガンドとその標的は、HsKif15を認識する抗体、または抗HsKif15を認識する二次抗体の任意の適切な組み合わせで使用することができる。
【0128】
このような分子は、シグナル発生化合物に、例えば酵素やフルオロフォアと結合させることで直接結合させることもできる。標識となる対象酵素の主なものは、加水分解酵素、特にホスファターゼ、エステラーゼ、およびグリコシダーゼ、または酸化酵素、特にペルオキシダーゼである。蛍光化合物には、フルオレセインとその誘導体、ローダミンとその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロンなどがある。化学発光化合物には、ルシフェリン、および2,3−ジヒドロフタラジンジオン、例えばルミノールがある。使用可能なさまざまな標識またはシグナルの発生系に関する総説は、米国特許第4,391,904号を参照されたい。
【0129】
標識を検出する手段は当技術分野で周知である。したがって例えば、標識が放射性標識の場合、検出手段には、シンチレーションカウンターやオートラジオグラフィにおける写真フィルムなどが含まれる。標識が蛍光標識の場合、蛍光色素を適切な波長の光で励起させて結果として生じる蛍光を検出して標識を検出することができる。蛍光は、写真フィルムを用いる手段によって、電荷結合素子(CCD)などの電子検出器または光電子増倍管などを使用することで視覚的に検出することができる。同様に酵素標識は、酵素に対する適切な基質を提供して結果として生じる反応物を検出することで検出することができる。最後に単純な比色標識は、標識に関連する色を単に観察することで検出することができる。したがって、さまざまなディップスティックアッセイ法では、結合状態の金が桃色になることがあるが、結合状態のさまざまなビーズがビーズの色を示すことがある。
【0130】
一部のアッセイ法のフォーマットでは標識化合物の使用は必要とされない。例えば凝集アッセイ法では、標的抗体の有無を判定することができる。この場合、抗原でコーティングされた粒子は、標的抗体を含む試料と凝集する。このフォーマットでは、どの成分も標識される必要はなく、標的抗体の有無は目視で単純に判定される。
【0131】
VI.HsKif15の調節因子のアッセイ法
生物学的に活性のあるHsKif15の活性は、さまざまなインビトロアッセイ法およびインビボアッセイ法、例えば微小管滑走アッセイ法、微小管結合アッセイ法などの結合アッセイ法、微小管解重合アッセイ法、およびATPアーゼアッセイ法で評価することができる(Kodamaら、J. Biochem. 99:1465〜1472 (1986);Stewartら、Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 90:5209〜5213 (1993);Lombillo ら、J. Cell Biol. 128:107〜115 (1995);Valeら、Cell 42:39〜50 (1985))。高スループットスクリーニングの好ましいアッセイ法は、例えばエンドポイント検出用のマラカイトグリーン、または連続的な速度モニタリング用の結合型PK/LDHなどの比色を検出するATPアーゼアッセイである。このアッセイ法では、HsKif15活性の上昇または低下のいずれかを検出することができる。活性を上昇させる化合物は作用物質と呼び、活性を低下させる化合物は拮抗物質と呼ぶことができる。
【0132】
このようなアッセイ法では、内因性供給源、または組換え体供給源から単離されたHsKif15の活性を調べることができる。また、このようなアッセイ法でHsKif15の調節分子を検討することができる。
【0133】
運動性に関するアッセイ法を実施する方法は当技術分野で周知である(例えば、Hallら、1996、Biophys. J.、71:3467〜3476、Turnerら、1996、Anal. Biochem. 242 (1):20〜5;Gittesら、1996、Biophys. J. 70(1):418〜29;Shirakawaら、1995、J. Exp. Biol. 198:1809〜15;Winkelmannら、1995、Biophys. J. 68:2444〜53;Winkelmannら、1995、Biophys. J. 68:72Sなどを参照)。
【0134】
ATPアーゼ活性を決定する際には、当技術分野で周知のさまざまな方法を用いることができる。例えば、キネシンからのPiの放出を定量することができる。一つの好ましい態様では、ATPアーゼ活性のアッセイ法では0.3 M PCA (過塩素酸)およびマラカイトグリーン試薬 (8.27 mM モリブデン酸ナトリウムII、0.33 mM シュウ酸マラカイトグリーン、および0.8 mM トライトン X−100) を使用する。このアッセイ法を行う際には、10 Lの反応を90 Lの冷0.3 M PCA中で急冷する。リン酸の標準を用いることで、データをmM単位の放出無機リン酸に換算することができる。すべての反応物および標準がPCA中で急冷されたら、100 Lのマラカイトグリーン試薬を、例えばマイクロタイタープレートの該当ウェルに添加する。この混合物を10〜15分間反応させ、プレートを650 nmの吸光度で読み取る。リン酸標準を使用した場合は、吸光度の読み値を、mM Piに換算して経時的にプロットする。また、当技術分野で周知のATPアーゼアッセイ法にはルシフェラーゼアッセイ法も含まれる。
【0135】
例示的なアッセイ法は、以下の二つの特定の溶液を用いて実施することができる。溶液Aの組成は、1 mM ATP、2 mM ホスホエノールピルビン酸(溶媒はワーキング緩衝液;25 mM Pipes pH 6.8、2 mM MgCl、1 mM EGTA、1 mM DTT、5 Mタキソール、25 ppm 泡止め剤、pH 6.8)であり、溶液Bの組成は0.6 mM NADH、0.2 mg/ml BSA、1:100 PK/LDH希釈混合液(Sigma)、200 μg/ml 微小管、100 nM HsKip15(〜2.5 g/ml)である。
【0136】
実験を開始するにあたり、被験化合物の1 lのDMSOストックを96ウェルのハーフエリアプレートの最下列の各ウェルに添加する。対照のウェルにはDMSOのみを添加する。次に50 lの溶液Aを各ウェルに添加する。溶液を繰り返しピペッティングして混合した後に、50 lの溶液の一連の希釈液を列の間に繰り返し移す。反応は、50 lの溶液Bを添加して開始する。次にプレートをリーダーに挿入し、340 nMにおける吸光度を5分間モニタリングする。ハーフエリアプレートで50 lの溶液A+50 lの溶液Bについて認められた速度は約100 mOD/分となるはずである。選択的に一連の希釈液を調製して吸光度を同様に測定する。同様の手順を用いて、被験化合物がHsKif15の基礎(すなわち微小管に依存しない)ATPアーゼ活性に及ぼす阻害作用を調べることができる。以上のアッセイ法では、微小管は溶液Bに含めず、HsKif15濃度は少なくとも2 mMまで上昇させる。
【0137】
一部の方法では分子モーター活性を、全体が参照として本明細書に組み入れられる「タンパク質修飾物質検出のためにADPまたはホスフェートを用いた組成物またはアッセイ法(Composition and assay utilizing ADP or phosphate for detecting protein modulators)」と題して1999年5月18日に申請された米国特許出願第09/314,464号に開示された手順で測定する。より具体的には、このアッセイ法では、微小管との相互作用からATPの加水分解までの範囲におけるキネシンモーター機能の任意の局面の調節因子を検出する。ADPまたはリン酸をタンパク質活性の読み出された情報として使用する。
【0138】
他の方法には、HsKif15タンパク質と候補薬剤を組み合わせる段階、および候補薬剤とHsKif15タンパク質との結合を判定する段階が含まれる。一般に複数のアッセイ混合物を、異なる薬剤濃度で平行して実行することで、さまざまな濃度に対する異なる反応が得られる。典型的には、濃度の一つが負の対照、すなわちゼロ濃度または検出レベル以下となる。
【0139】
一部の方法では、HsKif15タンパク質に結合可能な候補薬剤を最初に検出するようにスクリーンを設計し、このような薬剤、およびHsKif15を調節することが既知である薬剤を、候補薬剤がHsKif15活性を調節する能力を評価するアッセイ法に用いる。
【0140】
候補薬剤は数多くの化学的クラスを含むが、典型的には有機分子であり、好ましくは100ダルトン以上で約2,500ダルトン未満の分子量を有する低分子量の有機化合物である。候補薬剤は、タンパク質との構造的相互作用、具体的には水素結合に必要な機能性官能基を含み、典型的には少なくとも一つのアミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基、好ましくは少なくとも二つの機能性官能基を含む。候補薬剤は、上記の機能性官能基の一つまたは複数が置換された環状炭素構造または複素環構造、および/または芳香族または多芳香族の構造を含むことがある。候補薬剤はまた、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、これらの誘導体、構造類似物、または組み合わせを含む生体分子中にも見出される。特に好ましいのはペプチドである。
【0141】
コンビナトリアルライブラリーを、段階的に合成可能な多くの種類の化合物について作製することができる。このような化合物には、ポリペプチド、タンパク質、核酸、βターン模倣体、多糖類、リン脂質、ホルモン、プロスタグランジン、ステロイド、芳香族化合物、複素環化合物、ベンゾジアゼピン、オリゴマーのN−置換グリシン、およびオリゴカルバミン酸などが含まれる。化合物の大規模コンビナトリアルライブラリーは、いずれも参照として全体が本明細書に組み入れられる、アフィマックス(Affymax)による国際公開公報第95/12608号、アフィマックスによる国際公開公報第93/06121号、コロンビア大学による国際公開公報第94/08051号、薬局方、国際公開公報第95/35503、およびスクリプス(Scripps)による国際公開公報第95/30642号に記載されているコード合成ライブラリー(ESL)法で構築することができる。ペプチドライブラリーもファージディスプレイ法で作製することができる。これについては例えば、デブリン(Devlin)による国際公開公報第91/18980号を参照されたい。スクリーニングの対象となる化合物は、例えば米国立癌研究所(NCI)の自然物貯蔵所(Natural Product Repository)(Bethesda、MD)、NCI公開合成化合物コレクション(NCI Open Synthetic Compound Collection)(Bethesda、MD)、NCIの発生薬物療法学プログラム(Developmental Therapeutics Program)などを含む政府または民間の提供先からも得られる。
【0142】
候補薬剤は、合成化合物または天然化合物のライブラリーを含むさまざまな供給源から得られる。好ましい態様では、候補薬剤は有機化合物の一部分であり、文献に記載されたさまざまな分子を使用できる。
【0143】
提供されるアッセイ法では、本明細書に記載されているようにHsKif15タンパク質が用いられる。一つの態様では、HsKif15タンパク質の一部が使用され、好ましい態様では、本明細書に記載されているHsKif15活性を有する部分が用いられる。また本明細書に記載されたアッセイ法は、単離されたHsKif15タンパク質、またはHsKif15タンパク質を含む細胞もしくは動物モデルのいずれかを用いる場合がある。
【0144】
他のさまざまな試薬をスクリーニングアッセイ法に含めることができる。これらには、最適なタンパク質間結合の促進、および/または非特異的な相互作用もしくはバックグラウンド相互作用の抑制に使用可能な塩類、中性タンパク質(例えばアルブミン)、または界面活性剤などの試薬が含まれる。それ以外ではアッセイ法の効率を高める試薬(プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、抗菌剤など)が使用される場合もある。化合物の混合物は、必要とされる結合がもたらされるように任意の順序で添加することができる。
【0145】
VII.診断アッセイ法およびキット
上述した通り、HsKif15およびその相同体はインビトロにおける有用な診断ツールでもある。このアッセイ法では、HsKif15の核酸に特異的にハイブリッドを形成する、HsKif15に特異的な試薬(HsKif15のプローブおよびプライマーなど)、およびHsKif15タンパク質に特異的に結合する、HsKif15に特異的な試薬(例えばHsKif15抗体)を使用する。
【0146】
試料に含まれるHsKif15のDNAおよびRNAの有無を調べる核酸アッセイ法は、有用な診断アッセイ法である。サザン分析、ノーザン分析、ドットブロット、RNaseプロテクション、S1分析、PCRおよびLCRなどの増幅法、ならびにインサイチューハイブリダイゼーションを含む数多くの手法が当技術分野で周知である。インサイチューハイブリダイゼーションでは、例えば標的核酸を細胞環境から解放して、後の解釈および分析のために細胞形態を保ちつつ、細胞内でハイブリダイゼーションに使用できるようにする。以下の記事でインサイチューハイブリダイゼーションについて概説されている:シンガー(Singer)ら、Biotechniques 4:230〜250 (1986);ハーセ(Haase)ら、「ウイルス学における方法(Methods in Virology)」、vol. VII、189〜226 (1984);および「核酸ハイブリダイゼーション:実際のアプローチ(Nucleic Acid Hybridization:A Practical Approach)」(Hamesら編、1987)。またHsKif15タンパク質を上述のさまざまな免疫アッセイ法で検出することができる。被験試料は典型的には、正の対照(例えば組換えHsKif15を発現する試料)と負の対照(例えば酵母に由来する負の試料)の両方と比較する。
【0147】
本発明は、Hskif15の調節因子のスクリーニングに用いるキットも提供する。このようなキットは、容易に入手できる材料および試薬から調製することができる。例えば、このようなキットは、任意の一つまたは複数の以下の材料を含む場合がある:生物学的に活性のあるHsKif15、反応チューブ、およびHsKif15活性の検討法を記載した説明書。好ましくはキットは、生物学的に活性のあるHsKif15を含む。さまざまなキットおよび成分は、意図されたキット使用者、および使用者の特定のニーズに応じて本発明で調製することができる。例えばキットは、ATPアーゼアッセイ法、微小管滑走アッセイ法、または微小管結合アッセイ法に仕様を合わせることができる。
【0148】
本発明のキネシン、および特にそのモータードメインを、スチュワート(Stewart)による米国特許第5,830,659号に記載された手順で水溶液中の異種混合物からの特定のリガンドの分離に使用することができる。スチュワートによって記載された系では、キネシンモータードメインが、ストレプトアビジンなどのリガンド結合部分に連結されている。キメラのキネシンモータードメインを、固定化されて並べられた微小管をもつチャンネルによって受入チャンバーに連結した、異種混合物を含むローディングチャンバー内に配置させる。ATPをローディングチャンバーに添加すると、所望のリガンドにリガンド結合部分を介して非共有結合で結合した状態にあるキネシンモータードメインがローディングチャンバーから受入チャンバーへ移動する。したがって、キネシンモータードメインのATP駆動性の運動活性によって、所望のリガンドと異種混合物が分離される。スチュワートはさらに、すべてのキネシンモータードメインがこの分離系における使用に適していると述べている。
【0149】
本明細書に記載された例および態様は、すべて説明目的であって、それに関してさまざまな変形形態または変更が当業者に示唆され、本出願および添付の特許請求の範囲の精神および範囲に含まれることは言うまでもない。本明細書で引用された全ての出版物、特許、および特許出願は、その全体が参照として本明細書に組み入れられる
【図面の簡単な説明】
【図1】HsKif15をコードする核酸配列の一つの態様を示す(開始コドンおよび終止コドンを下線および太字で示す)。
【図2】HsKif15の推定アミノ酸配列を示す。
【図3】HsKif15のモータードメイン断片HsKif15M1A367をコードする核酸配列の一つの態様を示す(開始コドンおよび終止コドンを下線および太字で示し、非天然残基を太い字体で示す)。このコンストラクトの産物は、細菌培養物1 Lあたり20 mgを上回るレベルで発現され、精製して微小管によって活性化されるATPアーゼ活性のアッセイ時に活性が認められた。
【図4】HsKif15のモータードメイン断片HsKif15M1A367の推定アミノ酸配列を示す。精製を容易に行うために付加された残基は太い字体で示す。
【図5】HsKif15のモータードメイン断片HsKif15M1P401をコードする核酸配列の一つの態様を示す(開始コドンおよび終止コドンを下線および太字で示し、非天然残基を太い字体で示す)。このコンストラクトの産物は、細菌培養物1 Lあたり20 mgを上回るレベルで発現され、精製して微小管によって活性化されるATPアーゼ活性のアッセイ時に活性が認められた。
【図6】HsKif15のモータードメイン断片HsKif15M1P401の推定アミノ酸配列を示す。

Claims (19)

  1. 以下の特性を有する微小管モータータンパク質をコードする単離された核酸配列:(i)タンパク質の活性が微小管によって活性化されるATPアーゼ活性を含み;および(ii)配列比較アルゴリズムによる測定時に、タンパク質配列が配列番号:2に対して70%を上回るアミノ酸配列の同一性を有する。
  2. タンパク質が配列番号:2を含むタンパク質に対するポリクローナル抗体に特異的に結合する、請求項1記載の単離された核酸配列。
  3. 配列番号:2をコードする、請求項 1記載の単離された核酸配列。
  4. 配列番号:1のヌクレオチド配列を有する、請求項1記載の単離された核酸配列。
  5. ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号:1と選択的にハイブリッドを形成する、請求項1記載の単離された核酸配列。
  6. 以下の特性を有する微小管モータータンパク質をコードする核酸を含む発現ベクター:(i)タンパク質の活性が微小管によって活性化されるATPアーゼ活性を含み;および(ii)配列比較アルゴリズムによる測定時に、タンパク質配列が配列番号:2に対して70%を上回るアミノ酸配列の同一性を有する。
  7. 請求項6記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
  8. 配列比較アルゴリズムによる測定時に、配列番号:4または配列番号:6に対して70%を上回るアミノ酸配列の同一性をもつ、単離された微小管モータータンパク質。
  9. HsKif15に対するポリクローナル抗体に特異的に結合する、請求項8記載の単離されたタンパク質。
  10. HsKif15である、請求項8記載の単離されたタンパク質。
  11. 配列番号:2のアミノ酸配列を有する、請求項8記載の単離されたタンパク質。
  12. HsKif15のモータードメインに対して作製されたポリクローナル抗体に特異的に結合する、請求項8記載の単離されたタンパク質。
  13. 配列番号:2、または配列番号:4、または配列番号:6のHsKif15のモータードメインのアミノ酸配列を含む、請求項8記載の単離されたタンパク質。
  14. 以下の段階を含む、HsKif15の調節因子をスクリーニングする方法:
    (i)以下の特徴をもつ、生物学的に活性のあるHsKif15を提供する段階:(i)微小管によって活性化されるATPアーゼ活性を含む活性;および(ii)配列比較アルゴリズムによる測定時に、配列番号:2のHsKif15に対するアミノ酸配列の同一性が70%を上回る配列;
    (ii)生物学的に活性のあるHsKif15を試験濃度および対照濃度で候補薬剤に接触させる段階;および
    (iii)結合活性またはATPアーゼ活性からなる群より選択されるHsKif15の活性レベルをアッセイする段階であって、試験濃度と対照濃度間における活性の変化が調節因子の存在を示す段階。
  15. スクリーニングが、高スループットスクリーニングの一部としてマルチウェルプレートで行われる、請求項14記載の方法。
  16. 生物学的に活性のあるHsKif15が、配列番号:4または配列番号:6記載のHsKif15モータードメインのアミノ酸配列を含む、請求項14記載の方法。
  17. 請求項14記載の方法で同定される、HsKif15を調節する化合物。
  18. 以下を含む、HsKif15の調節因子のスクリーニング用のキット;
    (i)生物学的に活性のあるHsKif15を収容する容器;および
    (ii)HsKif15活性(微小管結合活性、または微小管によって活性化されるATPアーゼ活性)のアッセイ法について記載した説明書。
  19. ヌクレオチドの配列番号:1、配列番号:3、または配列番号:5との配列同一性が60%を上回る配列を含む、単離された核酸。
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