JP2002513289A - チロシンホスファターゼ関連疾患の診断および治療および関連する方法 - Google Patents

チロシンホスファターゼ関連疾患の診断および治療および関連する方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ホスファターゼおよびキナーゼ、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのような核酸を含有する細胞、組織および動物、そのようなポリペプチドに対する抗体、そのようなポリペプチドを用いるアッセイ、および上述のすべてに関連する方法に関する。ホスファターゼまたはキナーゼとその結合相手との間の異常な相互作用により特徴づけられるホスファターゼまたはキナーゼ関連疾患または状態を治療、診断、およびスクリーニングするための方法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】 チロシンホスファターゼ関連疾患の診断および治療および関連する方法発明の分野 本発明は、蛋白質チロシンホスファターゼに関する。詳細には、本発明は、我 々がPTP04,SAD,PTP05,PTP10,ALP,およびALK−7 と命名した蛋白質、これらの蛋白質をコードするヌクレオチド配列、および種々 の産物、およびこれらの蛋白質に関連する種々の疾患および状態、例えば細胞増 殖性疾患の診断および治療に有用な化合物を同定するために用いることができる アッセイ方法に関する。発明の背景 以下の記述は、理解を助けるためにのみ提供されるものであり、本発明に対す る先行技術であると認めるものではない。 細胞シグナル伝達は、多様な細胞過程を調節する外部刺激が細胞内部へ中継さ れる基本的機構である。シグナル伝達の生化学的機構の鍵となるものの一つは蛋 白質の可逆的リン酸化を含み、これは成熟蛋白質の構造および機能を変化させる ことにより成熟蛋白質の活性の制御を可能とする。真核生物において最もよく特 徴づけされている蛋白質キナーゼは、セリン、トレオニンおよびチロシン残基の アルコール部分で蛋白質をリン酸化する。これらのキナーゼは、おおまかに2つ の群に分けられる。すなわち、セリンおよびトレオニンのリン酸化に特異的なキ ナーゼ、およびチロシンのリン酸化に特異的なキナーゼである。 ある基質のリン酸化状態はまた、蛋白質キナーゼによりある基質に付加された リン酸基の除去を行う一群の蛋白質により制御される。蛋白質ホスファターゼは また、セリン/トレオニンまたはチロシンのいずれかに特異的であるものとして 分類することができる。既知の酵素は、2つの群、すなわちレセプターおよび非 レセプタータイプ蛋白質に分けることができる。ほとんどのレセプタータイプ蛋 白質チロシンホスファターゼ(RPTP)は、2つの保存された触媒チロシンホ スファターゼドメインを含有し、その各々は、240アミノ酸残基のセグメント を包含する(Saito et al,Cell Growth and Diff.2:59-65,1991)。RPTPは 、その細胞外ドメインのアミノ酸配列の相違に基づいてさらに細分類することが できる(Saito,et al,上掲;Krueger,et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7417-74 21,1992)。両方のタイプの既知のPTPaseの一次ペプチド配列のアライメ ントは、触媒ドメインにおけるある程度の配列コンセンサスを示し、このことに よりチロシンリン酸化活性を有する蛋白質をコードするcDNAをポリメラーゼ 連鎖反応(PCR)により同定することが可能となった。 多くのキナーゼおよびホスファターゼは、制御カスケードに関与しており、こ こでは、その基質は、活性がそのリン酸化状態により制御される他のキナーゼお よびホスファターゼを含む。最終的には、そのような経路の活性化に起因するリ ン酸化によりいくつかの下流のエフェクターの活性が調節される。 チロシンキナーゼおよび/またはチロシンホスファターゼの異常なまたは不適 切な活性が、細胞増殖性疾患、例えば癌,繊維症疾患、免疫系の疾患、および糖 尿病等の代謝疾患を含む種々のヒトの疾患において役割を果たしていることはよ く確立されている。したがって、疾患プロセスを理解し、次に疾患を治療するた めの治療薬を同定する最初の工程として、新規なチロシンキナーゼおよびホスフ ァターゼを同定する必要が存在する。発明の概要 本発明は、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、AlpおよびAL K−7ポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのような核 酸を含有する細胞、組織および動物、ポリペプチドに対する抗体、ポリペプチド を用いるアッセイ、および上述のすべてに関連する方法に関する。 本発明の第1の観点は、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、AL PまたはALK−7ポリペプチドをコードする、単離された、濃縮された、また は精製された核酸分子を特徴とする。 核酸に関連して”単離された”とは、互いにコンジュゲートされた14,17 ,21またはそれ以上のヌクレオチドのポリマーを意味し、天然起源から単離さ れたまたは合成されたDNAまたはRNAが含まれる。本発明の単離された核酸 は、 純粋なまたは分離された状態で天然に見いだされないという意味においてユニー クである。用語”単離された”とは、天然に生ずる配列がその通常の細胞環境( 例えば染色体)から除去されていることを示す。すなわち、配列は、無細胞溶液 中にあってもよく、異なる細胞環境中に置かれていてもよい。この用語は、配列 が存在する唯一のヌクレオチド配列であることを意味するものではなく、天然に これに関連している非ヌクレオチド物質が本質的になく(少なくとも約90−9 5%の純度)、したがって単離された染色体とは区別されることを意味する。 核酸に関して"濃縮された"との用語を使用することは、特定のDNAまたはR NA配列が、正常のまたは疾患細胞におけるより、またはその配列が由来する細 胞におけるより、目的とする細胞または溶液中に存在する全DNAまたはRNA の顕著に高い割合(2−5倍)を占めることを意味する。これは、存在する他の DNAまたはRNAの量の優先的減少により、または特定のDNAまたはRNA 配列の優先的増加により、またはこれら2つの組み合わせにより、人により引き 起こすことができる。しかし、"濃縮された"とは、他のDNAまたはRNA配列 が存在しないことを意味するものではなく、目的とする配列の相対的な量が顕著 に増加していることを意味することに注意すべきである。本明細書において、" 顕著に"との用語は、増加のレベルがそのような増加をもたらした者にとって有 用であることを示し、一般に他の核酸に対する相対的な増加が少なくとも約2倍 、好ましくは少なくとも5−10倍またはそれ以上であることを意味する。この 用語はまた、他の起源からのDNAまたはRNAが存在しないことを意味するも のではない。他の起源のDNAとは、例えば、酵母または細菌のゲノム、または pUC19等のクローニングベクターからのDNAを含む。この用語は、配列を 1つのmRNAのレベルが他のmRNA種と比較して自然に増加する天然に生ず る濃縮事象、例えばウイルス感染または腫瘍タイプの成長と区別する。すなわち 、この用語は、人が介在して所望の核酸の比率を上昇させる状況のみをカバーす ることを意味する。 ある目的のためには、ヌクレオチド配列が精製された形態であることが有用で ある。核酸に関して、"精製された"との用語は、絶対的な純度(例えば均質な調 製物)を必要とするものではなく、配列が天然の環境におけるよりも比較的純 粋であることを示す(このレベルは天然のレベルと比較して少なくとも2−5倍 (例えばmg/mLで)高くあるべきである)。cDNAライブラリから単離さ れた個々のクローンを精製して電気泳動的に均質にすることができる。これらの クローンから得られた本発明のDNA分子は、全DNAまたは全RNAから直接 得ることができる。cDNAクローンは、天然に生じないが、好ましくは部分的 に精製した天然に生ずる物質(メッセンジャーRNA)の操作を介して得る。m RNAからのcDNAライブラリの構築は、合成物質(cDNA)の作成を含み 、純粋な個々のcDNAクローンは、cDNAライブラリを有する細胞のクロー ン選択により合成ライブラリから単離することができる。すなわち、mRNAか らのcDNAライブラリの構築および別々のcDNAクローンの単離を含むプロ セスにより、天然のメッセンジャーが約106倍に精製される。すなわち、少な くとも1桁、好ましくは2−3桁、より好ましくは4−5桁の精製が明示的に意 図される。この用語はまた、既に存在する、PTP04,SAD,PTP05, PTP10,ALP,またはAlk−7をコードするかもしれないが、クローン のライブラリ中の他のクローンから単離されていないクローンを区別するために も選択される。すなわち、この用語は、他の非PTP04,非SAD,非PTP 05,非PTP10,非ALPまたは非ALK−7クローンから単離された、P TP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7をコー ドするクローンをカバーする。 PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALPまたはALK−7ポリ ペプチドは、全長核酸配列または全長核酸配列の任意の部分によりコードされる ことができる。好ましい態様においては、単離された核酸は、配列番号:1,配 列番号:2,配列番号:3,配列番号:4,配列番号:5,配列番号:6,配列 番号:7,または配列番号:8に記載される核酸配列、配列番号:1,配列番号 :2,配列番号:3,配列番号:4,配列番号:5,配列番号:6,配列番号: 7,または配列番号:8に記載される核酸配列にハイブリダイズする核酸配列、 またはこれらのいずれかの機能的誘導体(以下に定義される)を含むか、本質的 にこれらからなるか、またはこれらからなる。核酸は、cDNAクローニングま たは差異ハイブリダイゼーションにより天然起源から単離することができ、天然 起源 は哺乳動物(ヒト)血液、精液、または組織であってもよく、核酸は、トリエス テルまたは他の方法により、または自動化DNA合成機を用いることにより合成 してもよい。 "ハイブリダイズ"との用語は、核酸配列を、溶液中でまたは固体支持体(例え ばセルロースまたはニトロセルロース)上で、DNAまたはRNA分子と相互作 用させる方法を表す。核酸配列がDNAまたはRNA分子に高い親和性をもって 結合する場合、これはDNAまたはRNA分子に"ハイブリダイズ"すると言われ る。探索配列とその標的との間の相互作用の強度は、ハイブリダイゼーション条 件のストリンジェンシーを変化させることにより評価することができる。所望の 特異性および選択性に応じて種々の低または高ストリンジェンシーハイブリダイ ゼーション条件を用いることができる。ストリンジェンシーは、塩または変性剤 の濃度を変化させることにより調節する。 一般的ガイドラインとして、約90%より高い相補性を有する領域を有する核 酸配列の間のハイブリダイゼーションを得るために、高ストリンジェンシー条件 (50−65℃、5XSSPC、50%ホルムアミドでのハイブリダイゼーショ ン、50−65℃、0.5XSSPCでの洗浄)を用いることができる。35− 45%より高い相補性を有する領域を有する配列をプローブにハイブリダイズさ せるためには、低ストリンジェンシー条件(35−37℃、5XSSPC、40 −45%ホルムアミドでのハイブリダイゼーション、42℃、SSPCでの洗浄 )を用いることができる。これらの条件はストリンジェンシー条件の例にすぎず 、当業者は、これらの条件は特定の実施モードに応じて変更しうることを認識す るであろう。ハイブリダイゼーション条件のさらなる例は、以下の実施例に示さ れる。当業者は、特異性および選択性を変化させるためにどのようにしてそのよ うな条件を変更しうるかを認識するであろう。よりストリンジェンシーの高いハ イブリダイゼーション条件においては、高度に相補的な核酸配列のみがハイブリ ダイズする。好ましくは、そのような条件は、20個の連続するヌクレオチド中 に1つまたは2つのミスマッチを有する核酸のハイブリダイゼーションを防ぐ。 さらに別の好ましい態様においては、核酸は単離された保存もしくはユニーク 領域、例えば、追加のポリペプチドの同定およびクローニングを容易にするハイ ブリダイゼーションプローブの設計に、または追加のポリペプチドのクローニン グを容易にするPCRプローブの設計に有用なものである。 "保存核酸領域"とは、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP またはALK−7ポリペプチドをコードする2つまたはそれ以上の核酸中に存在 する領域であって、特定の核酸配列が低いストリンジェンシーの条件下でこの領 域にハイブリダイズすることができる領域を意味する。PTP04、SAD、P TP05、PTP10、ALP、またはALK−7ポリペプチドをコードする核 酸のスクリーニングに適した低いストリンジェンシーの条件の例は、Abe,e tal.J.Biol.Chem.19:13361(1992)に提供される 。好ましくは、保存領域は20個の連続するヌクレオチド中5個以下で異なる。 "ユニーク核酸領域"とは、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、A LPまたはALK−7ポリペプチドをコードする全長核酸中に存在し、天然に生 ずる他の既知のポリペプチドのいずれをコードする配列中にも存在しない配列を 意味する。そのような領域は、好ましくは、PTP04、SAD、PTP05、 PTP10、ALPまたはALK−7ポリペプチドをコードする全長核酸中に存 在する14,17,21またはそれ以上の連続するヌクレオチドを含む。特に、 ユニーク核酸領域は好ましくはヒト起源のものである。 本発明はまた、試料中の、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、A LPまたはALK−7ポリペプチドをコードする核酸を検出するための核酸プロ ーブを特徴とする。核酸プローブは、配列番号:1に記載される少なくとも14 、好ましくは17,20または22個の連続するヌクレオチドの配列に特異的に ハイブリダイズするであろう核酸またはその機能的誘導体を含有する。プローブ は、好ましくは少なくとも14,17またはそれ以上の塩基の長さであり、PT P04、SAD、PTP05、PTP10、ALPまたはALK−7をコードす る核酸のユニーク領域に特異的にハイブリダイズするように選択される。 好ましい態様においては、核酸プローブは、配列番号:1配列番号:2,配列 番号:3,配列番号:4,配列番号:5,配列番号:6,配列番号:7,または 配列番号:8に記載される全長配列またはその機能的誘導体の少なくとも14個 の連続するアミノ酸をコードする核酸にハイブリダイズする。所望の特異性およ び選択性に応じて、種々の低または高ストリンジェンシーハイブリダイゼーショ ン条件を用いることができる。高度にストリンジェントなハイブリダイゼーショ ン条件下においては、高度に相補的な核酸配列のみがハイブリダイズする。好ま しくは、そのような条件は、20個の連続するヌクレオチド中に1または2個の ミスマッチを有する核酸のハイブリダイゼーションを防ぐ。 プローブを用いる方法には、ハイブリダイゼーションが生じる条件下で、試料 を核酸プローブと接触させ、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、A LP、またはALK−7RNAに結合したプローブの存在または量を検出するこ とにより、試料中のPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、ま たはALK−7RNAの存在または量を検出することを含む。プローブとPTP 04、SAD、PTP05、PTP10、ALPまたはALK−7ポリペプチド をコードする核酸配列との間に形成される核酸デュープレックスを、検出された 核酸の配列の同定において用いることができる(例えば、Nelson et al.,Noniso topic DNA Probe Techniques,p.275 Academic Press,San Diego(Kricka,ed.,199 2)を参照)。そのような方法を実施するキットは、核酸プローブをその中に置い た容器手段を含むように構築することができる。 本発明はまた、組換え核酸、好ましくは細胞または生物中の組換え核酸を特徴 とする。組換え核酸は、配列番号:1配列番号:2,配列番号:3,配列番号: 4,配列番号:5,配列番号:6,配列番号:7,または配列番号:8に記載さ れる配列またはその機能的誘導体、および宿主細胞において転写を開始するのに 有効なベクターまたはプロモーターを含むことができる。あるいは、組換え核酸 は、細胞において機能的な転写開始領域、PTP04、SAD、PTP05、P TP10、ALPまたはALK−7ポリペプチドをコードするRNA配列に相補 的な配列および細胞中において機能的な転写終結領域を含有することができる。 本発明の別の観点は、単離された、濃縮された、または精製されたPTP04 、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7ポリペプチドを 特徴とする。 ”PTP04ポリペプチド”とは、配列番号:9に示される配列またはそのフ ラグメントに実質的に類似するアミノ酸配列を意味する。”SADポリペプチド ” とは、配列番号:10に示される配列またはそのフラグメントに実質的に類似す るアミノ酸配列を意味する。"PTP05ポリペプチド"または"PTP10ポリ ペプチド"とは、配列番号:11,配列番号:12,配列番号:13,または配 列番号:14に示される配列またはそのフラグメントに実質的に類似するアミノ 酸配列を意味する。"ALPポリペプチド"とは、配列番号:15に示される配列 またはそのフラグメントに実質的に類似するアミノ酸配列を意味する。"ALK −7ポリペプチド"とは、配列番号:16に示される配列またはそのフラグメン トに実質的に類似するアミノ酸配列を意味する。2つの実質的に類似する配列は 、好ましくは互いに少なくとも90%の同一性(より好ましくは少なくとも95 %、および最も好ましくは99−100%)を有する。 "同定する"とは、その類似性または関連性を測る配列の特性を意味する。同一 性は、2つの配列中の同一の残基の数を残基の総数で割り、その商に100を乗 ずることにより測ることができる。すなわち、正確に同じ配列の2つのコピーは 100%の同一性を有するが、より低い程度に保存され、欠失、付加または置換 を有する配列は、より低い程度の同一性を有する。当業者は、配列同一性を決定 するいくつかのコンピュータプログラムが利用可能であることを認識するであろ う。 ポリペプチドに関して”単離された”とは、互いにコンジュゲートした6,1 2,18またはそれ以上のアミノ酸のポリマーを意味し、天然起源から単離され たまたは合成されたポリペプチドを含む。本発明の単離されたポリペプチドは、 純粋なまたは分離された形態で自然に見いだされないという意味においてユニー クである。"単離された"との用語の使用は、天然に生ずる配列がその通常の細胞 環境から除去されていることを表す。すなわち、配列は無細胞溶液中にあっても よく、または異なる細胞環境中に置かれていてもよい。この用語は、配列が存在 する唯一のアミノ酸鎖であることを意味するものではなく、これに天然に関連す る物質から本質的に遊離していること(少なくとも約90−95%の純度)を意 味する。 ポリペプチドに関して”濃縮された”との用語の使用は、特定のアミノ酸配列 が、正常のまたは疾患細胞におけるより、またはその配列が由来する細胞におけ るより、目的とする細胞または溶液中に存在する全アミノ酸の顕著に高い割合( 2−5倍)を占めることを意味する。これは、存在する他のアミノ酸の量の優先 的減少により、または特定のアミノ酸配列の優先的増加により、またはこれら2 つの組み合わせにより、人により引き起こすことができる。しかし、"濃縮され た"とは、他のアミノ酸配列が存在しないことを意味するものではなく、目的と する配列の相対的量が顕著に増加していることを意味することに注意すべきであ る。本明細書において、"顕著に"との用語は、増加のレベルがそのような増加を もたらした者にとって有用であることを示し、一般に他のアミノ酸に対する相対 的な増加が少なくとも約2倍、好ましくは少なくとも5−10倍またはそれ以上 であることを意味する。この用語はまた、他の起源からのアミノ酸が存在しない ことを意味するものではない。他の起源のアミノ酸とは、例えば、酵母または細 菌のゲノムまたはpUC19等のクローニングベクターによりコードされるアミ ノ酸を含む。この用語は、人が介在して所望の核酸の比率を上昇させる状況のみ をカバーすることを意味する。 ある目的のためには、アミノ酸配列が精製された形態であることが有用である 。ポリペプチドに関して、"精製された"との用語は、絶対的な純度(例えば均質 な調製物)を必要とするものではなく、配列が天然の環境におけるよりも比較的 純粋であることを示す(このレベルは天然のレベルと比較して少なくとも2−5 倍(例えばmg/mLで)高くあるべきである)。少なくとも1桁、好ましくは 2−3桁、より好ましくは4−5桁の精製が明示的に意図される。この物質は、 好ましくは機能的に有意なレベルの夾雑物を含まず、例えば90%,95%また は99%の純度である。 別の観点においては、本発明は、単離された、濃縮された、または精製された PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7ポリ ペプチドフラグメントを特徴とする。 ”PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALPまたはALK−7ポ リペプチドフラグメント”とは、配列番号:2に示される全長PTP04、SA D、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7アミノ酸配列より短い アミノ酸配列を意味する。フラグメントの例としては、PTP04、SAD、P TP05、PTP10、ALP、またはALK−7ドメイン,PTP04、SA D、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7変異体およびPTP0 4−,SAD−,PTP05−,PTP10−,ALP−,またはALK−7− 特異的エピトープが挙げられる。 ”PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALPまたはALK−7ド メイン”とは、1つまたはそれ以上の既知の蛋白質からのアミノ酸配列にホモロ ジーを有する、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、または ALK−7ポリペプチドの部分を意味し、ここで配列はある共通の機能、相互作 用または活性を予測させる。ドメインのよく知られた例は、SH2(Srcホモ ロジー2)ドメイン(Sadowski,et al,Mol.Cell.Biol.6:4396,1986;Pawson and Schlessinger,Curr.Biol.3:434,1993)、SH3ドメイン(Mayer,et al,Nature 332:272,1988;Pawson and Schlessinger,Curr.Biol.3:434,1993)、およびプレ クストリン(PH)ドメイン(Ponting,TIBS 21:245,1996;Haslam,et al,Nature 363:309,1993)(これらはすべて蛋白質:蛋白質相互作用を媒介するドメイン である)、およびキナーゼ触媒ドメイン(Hanks and Hunter,FASEB J 9:576-595 ,1995)である。そのようなホモロジーを検出するよう設計されたコンピュータ プログラムが当該技術分野においてよく知られている。相対的ホモロジーは少な くとも20%、より好ましくは少なくとも30%、最も好ましくは少なくとも3 5%である。 "PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALPまたはALK−7変 異体"とは、1つまたはそれ以上のアミノ酸が変更、付加または欠失されている 点において天然の配列と異なるPTP04、SAD、PTP05、PTP10、 ALPまたはALK−7ポリペプチドを意味する。アミノ酸の変化は、保存的で あっても非保存的であってもよい。"保存的"とは、アミノ酸が類似の性質、例え ば電荷、疎水性、構造等を有するアミノ酸で置換されていることを意味する。こ の用語に包含されるポリペプチドの例は、(1)非PTP04、非SAD、非P TP05、非PTP10、非ALPまたは非ALK−7ポリペプチド配列、例え ばヘマグルチニン(HA)のポリペプチド配列に融合された、PTP04、SA D、PTP05、PTP10、ALPまたはALK−7ポリペプチド配列の一 部を含むキメラ蛋白質、(2)特異的ドメイン、例えば触媒ドメインを欠失した 、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7蛋 白質および(3)点突然変異を有するPTP04、SAD、PTP05、PTP 10、ALP、またはALK−7蛋白質であるが、これらに限定されない。PT P04、SAD、PTP05、PTP10、ALPまたはALK−7変異体は、 いくつかの有用な機能、例えば、天然の結合相手への結合、触媒活性またはPT P04、SAD、PTP05、PTP10、ALPまたはALK−7特異的抗体 (以下に定義される)に結合する能力を保持しているであろう。 ”PTP04−、SAD−、PTP05−、PTP10−、ALP−またはA LK−7−特異的エピトープ”とは、抗原性がありかつPTP04,SAD,P TP05,PTP10,ALP,またはALK−7にユニークであるアミノ酸の 配列を意味する。以下により詳細に記載するように、PTP04−、SAD−、 PTP05−、PTP10−、ALP−またはALK−7−特異的エピトープを 用いて、PTP04−、SAD−、PTP05−、PTP10−、ALP−また はALK−7−特異的抗体を生成することができる。特に好ましいエピトープは 、以下の実施例に示される。 ”組換えPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはAL K−7ポリペプチド”とは、その存在場所(例えば、天然に見いだされるものと は異なる細胞または組織中に存在する)、純度または構造のいずれかにおいて天 然に生ずるポリペプチドと区別されるように、組換えDNA技術により生成され るポリペプチドを含むことを意味する。一般に、そのような組換えポリペプチド は、天然に通常観察される量とは異なる量で細胞中に存在するであろう。 さらに別の観点においては、本発明は、PTP04、SAD、PTP05、P TP10、ALPまたはALK−7ポリペプチドまたはポリペプチドフラグメン トに対して特異的結合親和性を有する抗体(例えば、モノクローナル抗体または ポリクローナル抗体)を特徴とする。"特異的結合親和性"とは、特定の条件下で 抗体が他のポリペプチドに結合するよりも高い親和性をもって標的ポリペプチド に結合することを意味する。抗体または抗体フラグメントは、他のポリペプチド に結合しうる領域を含有するポリペプチドである。"特異的結合親和性"との 用語は、特定の条件下で、他のポリペプチドに結合するよりも高い親和性をもっ てPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALPまたはALK−7ポリ ペプチドに結合する抗体を表す。 ”ポリクローナル”との用語は、抗原またはその抗原性機能的誘導体で免疫感 作した動物の血清から得られる抗体分子の異種集団である抗体を表す。ポリクロ ーナル抗体の生成のためには、抗原を注射することにより種々の宿主動物を免疫 感作することができる。宿主の種に応じて、種々のアジュバントを用いて免疫応 答を増加させることができる。 ”モノクローナル抗体”は、特定の抗原に対する抗体の実質的に均質な集団で ある。これは、連続培養細胞株により抗体分子の生成を与える任意の技術により 得ることができる。モノクローナル抗体は、当業者に知られた方法により得るこ とができる。例えば、Kohler,et al.,Nature 256:495-497(1975),および米国特 許4,376,110を参照されたい。 "抗体フラグメント"との用語は、特定の分子に対する特異的結合親和性を発揮 する抗体の部分、しばしば超可変領域および周囲の重鎖および軽鎖の一部を表す 。超可変領域は、ポリペプチド標的に物理的に結合する抗体の一部である。 PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALPまたはALK−7ポリ ペプチドに対する特異的結合親和性を有する抗体または抗体フラグメントは、抗 体とPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7 ポリペプチドとの間に免疫複合体を形成するのに適当な条件下で試料を抗体で探 索し、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK− 7ポリペプチドにコンジュゲートされた抗体の存在および/または量を検出する ことにより、試料中のPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALPま たはALK−7ポリペプチドの存在および/または量を検出する方法において用 いることができる。そのような方法を実施するための診断キットは、PTP04 、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7に特異的な抗体 または抗体フラグメント、ならびに抗体の結合相手または抗体それ自身のコンジ ュゲートを含むように構築することができる。 PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALPまたはALK−7ポリ ペプチドに対する特異的結合親和性を有する抗体または抗体フラグメントは、原 核生物または真核生物から単離、濃縮または精製することができる。当業者に知 られる日常的な方法により、原核生物および真核生物の両方において抗体または 抗体フラグメントを製造することが可能である。ポリペプチド分子である抗体の 精製、濃縮および単離は上に記載される。 別の観点においては、本発明は、PTP04、SAD、PTP05、PTP1 0、ALPまたはALK−7ポリペプチドに対して特異的結合親和性を有する抗 体を産生するハイブリドーマを特徴とする。"ハイブリドーマ"とは、抗体、例え ばPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALPまたはALK−7抗体 を分泌しうる不死化細胞株を意味する。好ましい態様においては、PTP04、 SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7抗体は、PTP0 4、SAD、PTP05、PTP10、ALPまたはALK−7ポリペプチドに 特異的に結合しうるアミノ酸の配列を含む。 別の態様においては、本発明はPTP04、SAD、PTP05、PTP10 、ALPまたはALK−ポリペプチドをコードする精製された核酸を含有する組 換え細胞または組織を包含する。そのような細胞においては、核酸はその遺伝的 制御要素の制御下にあってもよく、または外来性プロモーターを含む外来性制御 要素の制御下にあってもよい。”外来性”とは、その天然の状態では通常はPT P04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7ポリペプ チドのコード配列に転写的にカップリングしていないプロモーターを意味する。 本発明は、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALPまたはAL K−7ポリペプチドまたは関連する配列を含むヒト細胞を同定する方法を特徴と する。該方法は、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、また はALK−7の同定について本明細書に記載されるような、当該技術分野におい て日常的かつ標準的な技術(例えば、クローニング、サザンまたはノザンブロッ ト分析、インサイチオハイブリダイゼーション、PCR増幅等)を用いて、ヒト 細胞において新規なポリペプチドを同定することを含む。 本発明はまた、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、また はALK−7ポリペプチドの天然の結合相手について細胞をスクリーニングする 方法を特徴とする。 "天然の結合相手"との用語は、細胞中で目的とする蛋白質に結合する分子また はそれらの分子の部分を表す。天然の結合相手は、ポリペプチドまたは脂質であ ってもよいが、グルタチオンは含まれない。天然の結合相手は、蛋白質シグナル 伝達プロセスにおいてシグナルを伝搬する役割を果たすことができる。蛋白質と 天然の結合相手との間の相互作用の変化は、相互作用が形成される増加したまた は減少した可能性、または蛋白質/天然の結合相手の複合体の増加したまたは減 少した濃度として表される。 蛋白質の天然の結合相手は、高い親和性をもって蛋白質の細胞内領域に結合す ることができる。高い親和性とは、平衡結合定数が10-6Mまたはそれより低い ことを表す。さらに、天然の結合相手はまた過渡的に蛍白質の細胞内領域と相互 作用し、これを化学的に修飾することができる。蛋白質の天然の結合相手は、S RCホモロジー2(SH2)または3(SH3)ドメイン、他のホスホリルチロ シン結合(PTB)ドメイン、グアニンヌクレオチド交換因子、蛋白質ホスファ ターゼ、および他の蛋白質キナーゼまたは蛋白質ホスファターゼを含む群より選 択されるが、これらに限定されない。蛋白質とその天然の結合相手との間の相互 作用の変化を判定する方法は、当該技術分野において容易に入手可能である。 別の観点においては、本発明はPTP04、SAD、PTP05、PTP10 、ALP、またはALK−7の活性を調節しうる物質を同定するためのアッセイ を提供する。このようなアッセイはインビトロまたはインビボで実施することが できる、既存のアッセイ、例えばWO96/40276(1996年12月19 日公開)およびWO96/14433(1996年5月17日公開)に記載され るアッセイを改良することにより、得ることができる。他の可能性としては、標 準的基質、例えばSrcキナーゼまたは合成アミノ酸基質に対するホスファター ゼ活性の試験がある。このようにして同定された物質は、PTP04、SAD、 PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7活性の増強剤または阻害剤 であるかもしれず、ペプチド、天然産物(例えばカビ株から単離されたもの)ま たは小分子量の化学化合物でありうる。好ましい物質は、分子量が5,000未 満、より好ましくは1,000未満、最も好ましくは500未満の化合物であろ う。 本発明により企図されるアッセイおよび物質は、以下により詳細に記載される。 好ましい態様においては、本発明は、インビトロでPTP04、SAD、PT P05、PTP10、ALP、またはALK−7機能の調節剤である化合物を投 与することにより、異常な状態を治療または予防する方法を提供する。異常な状 態は好ましくは、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、また はALK−7シグナル伝達経路の異常を含み、最も好ましくは癌である。そのよ うな化合物は、好ましくは問題とする疾病または疾患の治療に対応する活性につ いての1つまたはそれ以上のインビトロアッセイ(例えば、以下の実施例5,1 0,15,20,および21に記載されるアッセイ)において陽性の結果を示す 。望ましい活性についてスクリーニングすることができる物質の例は、以下のX IV節に提供される。 PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7活 性の調節剤として同定される物質は、細胞増殖性疾患の動物モデルにおいて、P TP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7の調節 の影響を研究するために用いることができる。例えば、マウスの皮下異種移植モ デルを用いて、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、または ALK−7活性の阻害剤を、細胞増殖性疾患、例えば白血病またはリンパ腫の治 療薬として試験することができる。 さらに別の観点においては、本発明は、蛋白質活性の調節剤を同定する方法を 提供する。該方法は、以下の工程を含む:a)蛋白質を天然の結合相手と接触さ せることにより捕獲蛋白質を形成し;b)捕獲蛋白質を試験化合物と接触させ; そしてc)蛋白質活性を測定する。好ましくは、該方法はまた、蛋白質活性を工 程(a)の蛋白質と同じアミノ酸配列を有するが天然の結合相手のない対照蛋白 質の活性と比較して、調節の程度を判定する工程を含む。 "調節剤"との用語は、蛋白質の活性を変化させる能力を有する化合物を表す。 調節剤は、蛋白質の活性を活性化させてもよく、蛋白質に暴露される化合物の濃 度に依存して蛋白質の活性を活性化または阻害してもよく、または蛋白質の活性 を阻害してもよい。 "調節剤"との用語はまた、蛋白質と天然の結合相手との間に複合体が形成さ れる可能性を増加または減少させることにより、蛋白質の機能を変化させる化合 物を表す。調節剤は、好ましくは、蛋白質と天然の結合相手との間にそのような 複合体が形成される可能性を増加させ、より好ましくは、蛋白質に暴露される化 合物の濃度に応じて蛋白質と天然の結合相手との間に複合体が形成される可能性 を増加または減少させ、最も好ましくは、蛋白質と天然の結合相手との間に複合 体が形成される可能性を減少させる。 本発明の文脈において、”蛋白質の活性”との用語は、細胞内における蛋白質 の天然の機能を規定する。蛋白質機能の例としては、触媒活性および天然の結合 相手への結合が挙げられるが、これらに限定されない。 "活性化する"との用語は、蛋白質の天然の機能を増加することを表す。蛋白質 機能は、好ましくは天然の結合相手との相互作用であり、より好ましくは触媒活 性である。 "阻害する"との用語は、蛋白質の細胞性機能を低下させることを表す。蛋白質 機能は、好ましくは天然の結合相手との相互作用であり、より好ましくは触媒活 性である。 本発明の文脈において、"触媒活性"との用語は、蛋白質が基質と反応する速度 を規定する。触媒活性は、例えば、生成物に変換された基質の量を時間の関数と して決定することにより測定することができる。蛋白質が蛋白質キナーゼまたは 蛋白質ホスファターゼである場合、基質との反応は、それぞれ基質のリン酸化ま たは脱リン酸化である。基質のリン酸化または脱リン酸化は、蛋白質キナーゼま たは蛋白質ホスファターゼの活性部位で生ずる。活性部位は、通常は空洞であり 、ここで基質が蛋白質キナーゼまたは蛋白質ホスファターゼに結合してリン酸化 される。 本明細書において用いる場合、"基質"との用語は、酵素により作用される分子 を表す。酵素が蛋白質キナーゼである場合、基質は蛋白質キナーゼによりリン酸 化される。酵素が蛋白質ホスファターゼである場合、基質は蛋白質ホスファター ゼにより脱リン酸化される。 "化合物"との用語は、少なくとも2つのタイプの原子をその構成中に有する分 子を表す。分子は小有機分子であってもよい。"有機分子"との用語は、その 構造中に少なくとも1つの炭素原子を有する分子を表す。 "複合体"との用語は、互いに結合した少なくとも2つの分子の集合を表す。 シグナル伝達複合体はしばしば互いに結合した少なくとも2つの蛋白質分子を含 有する。例えば、蛋白質チロシンレセプター蛋白質キナーゼ、GRB2,SOS ,RAFおよびRASは、有糸分裂促進リガンドに応答して、集合してシグナル 伝達複合体を形成する。 本明細書において用いる場合、"接触させる"との用語は、化合物と蛋白質との 間の任意の接触を表し、好ましくは化合物を含有する溶液をこの方法の蛋白質が 入っている液体媒体と混合することを表す。接触は化合物と蛋白質との間の相互 作用を含んでもよい。化合物を含有する溶液を、輸送装置、例えばピペット系装 置またはシリンジ系装置を用いることにより、蛋白質が入っている媒体に加えて もよい。 本明細書において用いる場合、"蛋白質"とは、独特の二次および三次構造を有 する、天然に生ずるまたは化学的に修飾されたポリペプチド鎖を表す。化学的修 飾は点突然変異であってもよい。本明細書において用いる場合、"蛋白質"との用 語は、人の介在により別の独特のポリペプチド鎖と共有結合で融合するかまたは 他の方法で結合しているポリペプチド鎖を含まない。例えば、GST−融合蛋白 質は、本明細書において用いられる”蛋白質”との用語に含まれない。 本明細書において用いる場合、"捕獲蛋白質"との用語は、その天然の結合相手 の1つと接触して、天然の結合相手と複合体を形成した蛋白質を表す。天然の結 合相手は、溶液中で遊離であってもよく、固体支持体に結合していてもよく、ま たは固体支持体に結合する能力を有しているが溶液中で遊離であってもよい。 "試験化合物"との用語は、蛋白質の触媒活性に及ぼすその潜在的影響について 研究されている化合物を表す。 "対照蛋白質"との用語は、捕獲蛋白質と同じアミノ酸配列を有するが、試験化 合物により調節されておらず、試験化合物と接触しておらず、または天然の結合 相手と結合していない蛋白質を表す。対照蛋白質の活性は、本発明の技術を用い て測定することができ、そのような活性を、調節された蛋白質の活性と比較する ことができる。2つの測定された活性のレベルの相違により、調節剤による調 節の程度が決定される。 本発明は、蛋白質活性の調節剤を同定する方法を提供する。該方法は、好まし くは非放射性の方法である。蛋白質は好ましくは融合蛋白質ではない。最も好ま しくは、蛋白質はGST−融合蛋白質ではない。蛋白質は、好ましくは酵素、レ セプター酵素または非レセプター酵素、より好ましくは蛋白質キナーゼ、最も好 ましくは蛋白質チロシンキナーゼである。蛋白質チロシンキナーゼは、好ましく はZaP70またはSykである。別の好ましい態様においては、蛋白質は蛋白 質チロシンホスファターゼであり、好ましくは蛋白質はPTP04、SAD、P TP05、PTP10、ALP、またはALK−7である。 "融合蛋白質"との用語は、2つの別々のポリペプチドの共有結合により形成さ れた異種蛋白質を表す。"GST−融合蛋白質"との用語は、ポリペプチドとグル タチオンS−トランスフェラーゼ(GST)の共有結合により形成された異種蛋 白質を表す。 "酵素"との用語は、生物学的反応の触媒として作用することができる蛋白質を 表す。触媒される生物学的反応の例には、新規結合の形成、水の付加、ホスホリ ル基の付加、および有機分子の異性体化が含まれるが、これらに限定されない。 "触媒"との用語は、反応中に消費されずに化学反応の速度を増加させる化合物 または溶解金属イオンを表す。 "レセプター酵素"との用語は、そのアミノ酸配列の一部が細胞膜中にある酵素 を表す。 "非レセプター酵素"との用語は、そのアミノ酸配列のいずれも細胞膜中にない 酵素を表す。非レセプター酵素は相互作用、例えば膜の脂肪酸との共有結合を介 して膜と会合していてもよい。 "蛋白質キナーゼ"との用語は、アデノシン三リン酸の高エネルギーリン酸を、 蛋白質標的中に存在するチロシン、セリンまたはトレオニンのアミノ酸残基に転 移する酵素を表す。 "蛋白質チロシンキナーゼ"もしくはPTKとの用語は、アデノシン三リン酸の 高エネルギーリン酸を蛋白質標的中に存在するチロシン残基に転移する酵素を表 す。 "Zap70"および"Syk"は、Sykファミリーの蛋白質チロシンキナーゼ であり、2つのタンデムに配置されたSrc−ホモロジ−2(SH2)ドメイン が存在しかつ膜局在モティーフがないことにより特徴付けられる。これらの蛋白 質は、おそらく、蛋白質チロシンキナーゼのSrcファミリーによりITAMモ ティーフ中の2つのチロシン残基でリン酸化される。 "ITAMモティーフ"との用語は、"免疫レセプターチロシンに基づく活性化 モティーフ"を表し、T−細胞抗原レセプター(TCR)(Chan,et al.(1995)The EMBO Journal,14:11,2499-2508)のシグナル伝達サブユニットのすべてにおいて 保存されている16アミノ酸のモティーフ(YXXLX6-8YXXL)を表す。 "蛋白質チロシンホスファターゼ"との用語は、蛋白質標的中のホスホチロシン からリン酸基を除去する酵素を表す。 好ましい態様においては、上述の蛋白質の1つの天然の結合相手は、固体支持 体に結合することができる。天然の結合相手は、好ましくはペプチドであり、よ り好ましくはホスホペプチドであり、最も好ましくはホスホペプチドはITAM モティーフを含む。別の好ましい態様においては、天然の結合相手は脂質を含む 。 本明細書において用いる場合、"固体支持体"との用語は、分子がそこに結合し うる不溶性表面を表す。固体支持体の例には、ウエルプレート(例えば96ウエ ルプレート)、ガラスビーズまたは樹脂(例えばセルロース、アガロース、ポリ プロピレン、ポリスチレン等)が含まれるが、これらに限定されない。天然の結 合相手は、蛋白質に結合する前にまたは後に、共有結合または非共有結合相互作 用のいずれかにより固体支持体に結合させることができる。非共有結合相互作用 の例には、水素結合、静電的相互作用および疎水的相互作用が含まれるが、これ らに限定されない。 "ペプチド"との用語は、一方のアミノ酸のカルボキシル末端と他方のアミノ末 端との間のアミド結合を介して互いに結合している2つまたはそれ以上のアミノ 酸の集合を表す。 "ホスホペプチド"との用語は、そのアミノ酸残基の1つに化学的に結合したリ ン酸基を有するペプチドを表す。 "脂質"との用語は、細胞から低極性有機溶媒により抽出することができる水不 溶性物質を表す。脂質の例には、グリセリド、ステロイド、およびテルペンが含 まれるが、これらに限定されない。 本発明の方法により同定される蛋白質活性の調節剤は、好ましくは自己触媒活 性、触媒活性または第2の天然の結合相手との結合を調節する。 酵素の活性は、酵素とその基質が同一である場合"自己触媒活性"である。いく つかのレセプター蛋白質チロシンキナーゼは、自己触媒活性を示すことができる 。 好ましい態様においては、本発明は、蛋白質活性の調節剤を同定する方法を提 供し、該方法は、捕獲蛋白質を、基質、第2の天然の結合相手および抗体からな る群より選択される1つまたはそれ以上の成分と接触させる工程を含む。該方法 は、好ましくは、捕獲蛋白質を形成する前に細胞を溶解させる工程をさらに含む 。最も好ましくは、該方法は、蛋白質を捕獲し、蛋白質:天然の結合相手複合体 を固体支持体に結合した後、蛋白質活性を測定する前に、固体支持体を洗浄する 工程を含む。 別の観点においては、本発明は非レセプター酵素活性の調節剤を同定するため のキットを提供し、該キットは、a)天然の結合相手;b)固体支持体;および c)基質、第2の天然の結合相手および抗体からなる群より選択される1つまた はそれ以上の成分を含む。 上述のキット中の天然の結合相手は、好ましくはペプチドであり、より好まし くはホスホペプチドである。さらに好ましくは、ホスホペプチドはITAMモテ ィーフを含む。別の好ましい態様においては、天然の結合相手は脂質を含む。 上述した本発明の概要は、非限定的なものであり、本発明の他の特徴および利 点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかであろう。図面の簡単な説明 図1は、ヒトPTP04のアミノ酸配列とそれが最も密接に関連する蛋白質で あるネズミZPEPのアミノ酸配列の比較を示す。2つの配列の間の相対的ホモ ロジー(約70%)は、2つの蛋白質が同じPTPファミリーのメンバーである が、種オルソロガスではないことを示唆する。発明の詳細な説明 本発明は、我々がPTP04,SAD,PTP05,PTP10,ALP,お よびALK−7と名付けた新規蛋白質の単離および特徴付け、PTP04、SA D、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7をコードするヌクレオ チド配列、種々のPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、また はALK−7関連疾患および状態、例えば癌の診断および治療に有用な化合物を 同定するために用いることができる種々の生成物およびアッセイ方法に関する。 PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7に由 来するポリペプチド、およびそのようなポリペプチドをコードする核酸は、本明 細書に開示される配列が与えられれば、よく知られる標準的な合成技術を用いて 製造することができる。I.本発明のポリペプチド A.PTP04 PTP04は、見かけ上の分子量が約100kDaのチロシンホスファターゼ である。一次配列分析は、PTP04が3つのドメイン、すなわちN末端ドメイ ン、触媒ドメインおよびC末端ドメインから構成されることを示す。一般に膜貫 通領域に特徴的な疎水性アミノ酸のストレッチがないことは、PTP04が非レ セプターチロシンホスファターゼであることを示す。 全長PTP04は、元々、ヒト白血病細胞株から単離された。続く正常組織お よび癌細胞株の両方での発現分析(以下に詳細に示す)は、PTP04がヒト胸 腺で発現されており、他の正常細胞では非常に発現が低いが、多くの腫瘍、特に 白血病およびリンパ腫において顕著に過剰発現されていることを明らかにした。 このことは、PTP04がこれらの癌の成長および維持に重要な役割を果たすこ とを示唆する。 B.SAD SADは、見かけ上の分子量約55kDaのチロシンキナーゼである。一次配 列分析は、SADが4つのドメイン、すなわちいずれの既知の配列ともホモロジ ーを示さないN末端のドメイン(ユニークドメイン)、SH3ドメイン、SH2 ドメインおよび触媒ドメインから構成されることを示す。一般に膜貫通領域に特 徴的な疎水性アミノ酸のストレッチがないことは、SADが非レセプターチロシ ンキナーゼであることを示す。アミノ酸配列の比較は、SADがFrkファミリ ーのメンバーであることを示唆する。このファミリーのいくつかの他のメンバー と同様に、SADはSrcファミリーのメンバーに特徴的なN末端ミリスチル化 部位およびC末端制御チロシンを欠失している。これはネズミNR-TK Srm(Kohmu ra,et al,Mol.Cell.Bio.14(10):6915,1994)と最も密接に関連しており、触媒ド メインにおいて約85%の配列ホモロジーを有する(以下の実施例において詳細 に議論する)。 SADは、元々、ヒト乳癌細胞株から単離された。続く正常組織および癌細胞 株の両方での発現分析(以下に詳細に示される)は、SADが正常細胞で非常に 限定的にしか発現されないが、多くの腫瘍において顕著に過剰発現されているこ とを明らかにした。このことは、SADがこれらの癌の成長および維持に重要な 役割を果たすことを示唆する。 C.PTP05およびPTP10 PTP05は、見かけ上の分子量約49kDaのチロシンホスファターゼであ る。2つの追加のアイソフォームが同定されており、一方はより大きく(約54 kDa)および一方はより小さい(約47kDa)。一次配列分析は、PTP0 5が3つのドメイン、すなわちN末端ドメイン、触媒ドメインおよびC末端ドメ インから構成されることを示す。一般に膜貫通領域に特徴的な疎水性アミノ酸の ストレッチがないことは、PTP05が非レセプターチロシンホスファターゼで あることを示す。PTP10もまたチロシンホスファターゼであり、PTP05 と顕著なホモロジーを有する。これらは、一緒にPTPの新規なファミリーを規 定する。 D.ALP ALPは、見かけ上の分子量約160−200kDaのチロシンホスファター ゼである。一次配列分析は、ALPが3つのドメイン、すなわちプロリン残基( 30.6%)に富み、リン酸化されることができるいくつかのチロシンを含有す る N末端のドメイン、触媒ドメイン、およびPESTモティーフ(Rogers,et al,S cience 234:364,1986)に類似するプロリンおよびセリンに富む領域(45.6 %)を含有するC末端ドメインから構成されることを示す。これらのプロリンリ ッチ領域は、SH3ドメインがプロリンリッチ領域に結合することが示されてい るため(Morton and Campbell,Curr.Biol.4:614,1994;Ren,et al,Science 259:11 57,1993)、蛋白質:蛋白質相互作用部位であるかもしれない。一般に膜貫通領域 に特徴的な疎水性アミノ酸のストレッチがないことは、ALPが非レセプターチ ロシンホスファターゼであることを示す。 全長ALPは、元々ヒト脳癌細胞株から単離された。続く正常組織および癌細 胞株の両方での発現分析(以下に詳細に示される)は、ALPが正常細胞におい て発現が低いが、多くの腫瘍において顕著に過剰発現されていることを明らかに した。このことは、ALPがこれらの癌の成長および維持に重要な役割を果たす ことを示唆する。 E.ALK−7 ALK−7は、タイプIレセプターセリン/トレオニンキナーゼ(STKレセ プター)である。ラットにおいて若干のホモロジーを有する蛋白質が記載されて いるが(Ryden,et al.J.Biol.Chem.271:30603,1996;Tsuchida,et al.Molec.Cell. Neurosci.7:467,1996)、ヒトALK−7は、ラット蛋白質とは異なり、脳のよ り限定された領域、特に海馬、視床下部核、黒質、下垂体で発現される。この非 常に限定された発現パターンは、ニューロンの成長および/または生存における ヒトALK−7の役割、およびパーキンソン病、ハンチントン病、およびアルツ ハイマー病等の疾患の治療との関連性を強く示唆する。 したがって、本発明のポリペプチドおよびヌクレオチド配列は、種々の細胞増 殖性疾患および状態、特に不適切なPTP04、SAD、PTP05、PTP1 0、ALP、またはALK−7活性に関連する癌の治療薬を開発する上で有用な 、細胞成長および生存の調節剤を同定するために用いることができる。細胞内で PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7活性 を増強または阻害するよう作用する化合物を同定するためのアッセイは、PTP 04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7ヌクレオチ ド 配列を発現する遺伝子工学処理した細胞株を作成することにより開発することが でき、以下により詳細に説明する。II.本発明のポリペプチドをコードする核酸 本発明の第1の観点は、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、AL P、またはALK−7ポリペプチドをコードする核酸配列を特徴とする。本発明 の範囲に含まれるものは、本明細書に記載される単離された核酸分子の機能的等 価物である。機能的等価物または誘導体は、いくつかの方法により得ることがで きる。遺伝コードの縮重により、あるコドンを同じアミノ酸を特定する他のコド ンで置換し、したがって同じ蛋白質を生成することが可能である。メチオニンと トリプトファンを除いて、既知のアミノ酸は2以上のコドンによりコードされる ことができるため、核酸配列は実質的に変更することができる。すなわち、PT P04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7遺伝子の 一部または全部を合成して、配列番号:1配列番号:2,配列番号:3,配列番 号:4,配列番号:5,配列番号:6,配列番号:7,または配列番号:8に示 される配列とは顕著に異なる核酸配列を得ることができる。しかし、コードされ るアミノ酸配列は保存される。 さらに、核酸配列は、配列番号:1,配列番号:2,配列番号:3,配列番号 :4,配列番号:5,配列番号:6,配列番号:7,または配列番号:8に示さ れる核酸の5’末端および/または3’末端への少なくとも1つのヌクレオチド の付加、欠失または置換により生ずるヌクレオチド配列、またはその誘導体を含 んでいてもよい。この点に関して、その付加、欠失または置換がヌクレオチド配 列によりコードされる配列番号:9,配列番号:10,配列番号:11,配列番 号:12,配列番号:13,配列番号:14,配列番号:15,または配列番号 :16のアミノ酸配列を変更しない限り、任意のヌクレオチドまたはポリヌクレ オチドを用いることができる。例えば、本発明は、PTP04、SAD、PTP 05、PTP10、ALP、またはALK−7核酸配列またはその機能的誘導体 の5’末端に開始コドンとしてATGを付加することにより、または本発明のヌ クレオチド配列またはその誘導体の3’末端に終止コドンとしてTTA,TAG またはTGAを付加することにより生ずる任意の核酸配列を含むことを意図する 。さら に本発明の核酸分子は、必要な場合には、その5’末端および/または3’末端 に付加された制限エンドヌクレアーゼ認識部位を有していてもよい。 ある核酸配列のそのような機能的変更は、それに融合された外来核酸配列によ りコードされる異種蛋白質の分泌および/またはプロセシングを促進する機会を 与える。したがって、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、 またはALK−7遺伝子およびそのフラグメントの、遺伝コードにより許容され るヌクレオチド配列のすべての変種は本発明に含まれる。 さらに、コドンを欠失させるかまたは1つまたはそれ以上のコドンを縮重コド ン以外のコドンで置換して、構造的に改変されているが、改変されていない核酸 分子により生成されるポリペプチドと実質的に同じ用途または活性を有するポリ ペプチドを生成することが可能である。当該技術分野において認識されるように 、核酸分子間の相違が遺伝コードの縮重に関係していない場合でも、2つのポリ ペプチドは機能的に等価であり、それらを生成する2つの核酸分子も機能的に等 価である。 PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7の 機能的等価物または誘導体はまた、PTP04、SAD、PTP05、PTP1 0、ALP、またはALK−7ポリペプチドの1つまたはそれ以上の機能的ドメ インをコードする核酸分子を用いることにより得ることができる。 PTP04の触媒ドメインは、チロシンアミノ酸上に結合したリン酸分子の酵 素的除去剤として機能し、触媒ドメインをコードする核酸配列は、単独でまたは 他の異種核酸配列と結合して、PTP04の機能的誘導体であると考えることが できる。PTP04の他の機能的ドメインには、N末端ドメイン中のプロリンリ ッチ領域およびC末端ドメインが含まれるが、これらに限定されない。これらの ドメインをコードする核酸配列は配列番号:1に示される:N末端ドメインは5 3−196;触媒ドメインは197−934,C末端ドメインは935−247 3。 SADのSH2ドメインは、リン酸化されたチロシンの結合ドメインとして機 能し、SH2ドメインをコードする核酸配列は、単独でまたは他の異種核酸配列 と結合して、SADの機能的誘導体であると考えられる。SADの他の機能的ド メインには、ユニークドメイン、SH3ドメインおよび触媒ドメインが含まれる が、これらに限定されない。これらのドメインをコードする核酸配列は配列番号 :2に示される:N末端ユニークドメインはおよそ49−213;SH3ドメイ ンはおよそ214−375;SH2ドメインはおよそ406−684;触媒ドメ インはおよそ736−1488。 PTP05の触媒ドメインは、チロシン残基上に結合したリン酸分子を除去す るよう機能し、触媒ドメインをコードする核酸配列は、単独でまたは他の異種核 酸配列と結合して、PTP05の機能的誘導体であると考えられる。これらの蛋 白質の他の機能的ドメインには、N末端ドメイン中のプロリンリッチ領域および C末端ドメインが含まれるが、これらに限定されない。これらのドメインをコー ドする核酸配列は配列番号:3に示される:N末端ドメインはおよそ199−7 59;触媒ドメインはおよそ760−1458,C末端ドメインはおよそ145 9−1476。 ALPのN末端プロリンリッチドメインは、SH3結合ドメインとして機能し 、N末端プロリンリッチドメインをコードする核酸配列は、単独でまたは他の異 種核酸配列と結合して、ALPの機能的誘導体であると考えることができる。A LPの他の機能的ドメインには、N末端プロリンリッチドメイン中のプロリンリ ッチ領域、C末端プロリン/セリンリッチドメイン、C末端プロリン/セリンリ ッチドメイン中のプロリン/セリンリッチ領域、および触媒ドメインが含まれる が、これらに限定されない。これらのドメインをコードする核酸配列は、配列番 号:7に示される:N末端ドメインは313−2883;プロリンリッチ領域は 1369−2643;触媒ドメインはおよそ2884−3600;C末端プロリ ン/セリンリッチドメインは3601−4134;プロリン/セリンリッチ領域 は3613−4456。 ALK−7の細胞外ドメインは、リガンドまたは共レセプター結合ドメインと して機能し、細胞外ドメインをコードする核酸配列は、単独でまたは他の異種核 酸配列と結合して、ALK−7の機能的誘導体であると考えることができる。A LK−7の他の機能的ドメインには、シグナル配列、膜貫通ドメイン、細胞内ド メインおよび触媒ドメインが含まれるが、これらに限定されない。これらのドメ インをコードする核酸配列は、配列番号:8に示される:シグナル配列は155 −229;細胞外ドメインは155−493;膜貫通ドメインは494−568; 細胞内ドメインは569−1633;触媒ドメインはおよそ731−1609。 成熟蛋白質においては、細胞外ドメインからシグナル配列が切断されることに注 意すべきである。III.本発明の蛋白質を検出するための核酸プローブ 本発明の核酸プローブは、通常のハイブリダイゼーション方法により適当な染 色体またはcDNAライブラリを探索して、本発明の別の核酸分子を得るために 用いることができる。染色体DNAまたはcDNAライブラリは、当該技術分野 において認識されている方法にしたがって、適当な細胞から調製することができ る(例えば"Molecular Cloning:A Laboratory Manual",第2版,Sambrook,Fritsch&Maniat is編集,Cold Spring Harbor Laboratory,1 989を参照)。 別法においては、目的とするポリペプチのアミノ酸配列のN−末端およびC− 末端部分に対応するヌクレオチド配列を有する核酸プローブを得るために化学合 成を実施する。すなわち、合成された核酸プローブをプライマーとして用いて、 認識されているPCR技術にしたがって、本質的にPCR Protocols ,"A Guide to Methods and Application s",Michael et al.編集,Academic Press,1 990にしたがって、適当な染色体またはcDNAライブラリを用いてポリメラ ーゼ連鎖反応(PCR)を実施し、本発明のフラグメントを得ることができる。 当業者は、本明細書に開示される配列に基づいて、当該技術分野において知ら れるコンピュータアライメントおよび配列分析の方法を用いて、そのようなプロ ーブを容易に設計することができる(例えば、"Molecular Clon ing:A Laboratory Manual",第2版、Sambroo k,Fritsch&Maniatis編集,Cold Spring Har bor Laboratory,1989を参照)。本発明のハイブリダイゼー ションプローブは、標準的な標識技術、例えば放射性標識、酵素標識、蛍光標識 、 ビオチン−アビジン標識、化学発光等を用いて標識することができる。ハイブリ ダイゼーションの後、既知の方法を用いてプローブを可視化することができる。 本発明の核酸プローブは、RNAならびにDNAプローブ、およびプローブが 本明細書に記載される条件下で特異的にハイブリダイズする能力を保持するかぎ り、糖、リン酸、または塩基部分で修飾された核酸を含む。このようなプローブ は当該技術分野において知られる技術を用いて生成することができる。核酸プロ ーブは、固体支持体上に固定化することができる。そのような固体支持体の例に は、ポリカーボネート等のプラスチック、アガロースおよびセファロース等の複 合炭水化物およびポリアクリルアミドおよびラテックスビーズ等のアクリル樹脂 が含まれるが、これらに限定されない。核酸プローブをこのような固体支持体に カップリングさせる技術は、当該技術分野においてよく知られている。 本発明の核酸探索方法に適した試験試料としては、例えば、細胞または細胞の 核酸抽出物、または生物学的液体が含まれる。上述の方法において用いられる試 料は、アッセイフォーマット、検出方法、およびアッセイすべき組織、細胞また は抽出物の性質により様々であろう。細胞の核酸抽出物を調製する方法は、当該 技術分野においてよく知られており、用いられる方法に適合した試料を得るため に容易に適用することができる。IV.本発明の蛋白質を検出するための、プローブに基づく方法およびキット 試料中におけるPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、また はALK−7の存在を検出する1つの方法は、次の工程を含む:(a)ハイブリ ダイゼーションが生ずるような条件下で、試料を上述の核酸プローブと接触させ 、そして(b)核酸分子に結合したプローブの存在を検出する。当業者は、上述 したように、当該技術分野において知られる技術にしたがって核酸プローブを選 択することができる。試験すべき試料には、ヒト組織のRNA試料が含まれるが 、これに限定されない。 試料中におけるPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、また はALK−7の存在を検出するためのキットは、上述の核酸プローブがその中に 置かれた少なくとも1つの容器手段を含む。キットはさらに、以下のものの1つ またはそれ以上を含む他の容器を含んでいてもよい:洗浄剤および結合した核酸 プローブの存在を検出しうる試薬。検出試薬の例としては、放射性標識プローブ 、酵素標識プローブ(西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ) 、およびアフィニティー標識プローブ(ビオチン、アビジンまたはストレプトア ビジン)が挙げられるが、これらに限定されない。 詳細には、区画化されたキットには、試薬が別々の容器に入れられている任意 のキットが含まれる。そのような容器には、小さいガラス容器、プラスチック容 器またはプラスチックもしくは紙のストリップが含まれる。そのような容器は、 試料および試薬が相互夾雑しないように、かつ各容器の薬剤または溶液を定量的 様式で1つの区画から他の区画に加えられるように、試薬を1つの区画から他の 区画に効率的に移すことを可能とする。このような容器には、試験試料を受け取 る容器、アッセイにおいて用いられるプローブまたはプライマーを含む容器、洗 浄試薬(リン酸緩衝食塩水、Tris緩衝液等)を含む容器、およびハイブリダ イズしたプローブ、結合した抗体、増幅された産物等を検出するために用いられ る試薬を含む容器が含まれるであろう。当業者は、本発明において記載される核 酸プローブを、当該技術分野においてよく知られている確立されたキットフォー マットの1つに、アッセイにおいてそのような試薬を用いることに関する一組の 指示とともにまたは指示なしで、容易に取り込ませることができることを容易に 認識するであろう。V.PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALPまたはALK−7核 酸分子を含むDNA構築物およびこれらの構築物を含有する細胞 本発明はまた、宿主細胞において転写を開始するのに有効なプロモーターおよ び上述の核酸分子を5’から3’方向に含む組換えDNA分子に関する。さらに 、本発明は、ベクターおよび上述の核酸分子を含む組換えDNA分子に関する。 本発明はまた、細胞において機能的な転写領域、PTP04、SAD、PTP0 5、PTP10、ALP、またはALK−7ポリペプチドまたはその機能的誘導 体に対応するアミノ酸配列をコードするRNA配列に相補的な配列、および前記 細胞において機能的な転写終止領域を含む核酸分子に関する。上述の分子は、単 離されたおよび/または精製されたDNA分子でありうる。 本発明はまた、本明細書に記載されるPTP04、SAD、PTP05、PT P10、ALP、またはALK−7核酸分子を含み、このことによりペプチドを 発現しうる細胞または生物に関する。ポリペプチドは、ポリペプチドを発現する よう変更されている細胞から精製することができる。細胞が、遺伝的操作によっ て、この細胞が通常は産生しない蛋白質または通常は低いレベルで産生する蛋白 質を産生するように作成されるとき、細胞は、"所望のポリペプチドを発現する よう変更される"と言われる。当業者は、ゲノム、cDNA、または合成配列を 真核生物または原核生物細胞内に導入し発現させる方法を容易に適用することが できる。 核酸分子、例えばDNAは、転写および翻訳制御情報を含むヌクレオチド配列 を含有し、かつそのような配列がポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に "動作可能なように連結"されている場合、ポリペプチドを"発現しうる"と言われ る。動作可能な連結とは、制御DNA配列および発現が求められるDNA配列が 、遺伝子配列の発現を許容するように接続されている連結である。遺伝子配列の 発現に必要な制御領域の詳細な性質は生物によって異なるであろうが、一般には 、プロモーター領域を含み、原核生物においてはプロモーター(これはRNA転 写の開始を指示する)ならびにRNAに転写されたときに合成開始を指示するD NA配列を含む。そのような領域は、通常は、転写および翻訳の開始に関与する 5’−非コード配列、例えばTATAボックス、キャピング配列、CAAT配列 等を含む。 所望ならば、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、または ALK−7遺伝子をコードする配列の3’側の非コード領域を上述のクローニン グ方法により得ることができる。この領域は、終止およびポリアデニル化等の転 写終止制御配列を保持していてもよい。すなわち、PTP04、SAD、PTP 05、PTP10、ALP、またはALK−7遺伝子をコードするDNA配列に 天然に連続する3’−領域を保持することにより、転写終止シグナルを与えるこ とができる。転写終止シグナルが発現宿主細胞において十分に機能的ではない場 合、宿主細胞において機能的な3’領域で置き換えることができる。 2つのDNA配列(例えばプロモーター領域配列およびPTP04、SAD、 PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7配列)は、2つのDNA配 列の間の連結の性質が、(1)フレームシフト変異を導入しない、(2)プロモ ーター領域配列がPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、また はALK−7遺伝子配列の転写を指示する能力を妨害しない、または(3)PT P04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7遺伝子配 列がプロモーター領域配列により転写される能力を妨害しない、である場合、動 作可能なように連結されていると言われる。すなわち、プロモーター領域は、プ ロモーターがそのDNA配列の転写を行うことができる場合、DNA配列に動作 可能なように連結されている。すなわち、PTP04、SAD、PTP05、P TP10、ALP、またはALK−7遺伝子を発現させるためには、適当な宿主 により認識される転写および翻訳のシグナルが必要である。 本発明は、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはA LK−7遺伝子(またはその機能的誘導体)を原核生物または真核生物細胞のい ずれかにおいて発現させることを包含する。原核生物宿主は一般に、組換え蛋白 質の製造に非常に有効かつ便利であり、したがって、PTP04、SAD、PT P05、PTP10、ALP、またはALK−7遺伝子について好ましい発現系 の1種である。原核生物は、非常にしばしばE.coliの種々の株で代表され る。しかし、他の細菌株を含む他の微生物株も用いることができる。 原核生物系においては、宿主と適合性のある種に由来する複製部位および制御 配列を含むプラスミドベクターを用いることができる。適当なプラスミドベクタ ーの例には、pBR322、pUC118、pUC119等が含まれ;適当なフ ァージまたはバクテリオファージベクターには、ラムダgt10、ラムダgt1 1等が含まれ、適当なウイルスベクターには、pMAM−neo、pKRC等が 含まれる。好ましくは、本発明の選択されたベクターは、選択された宿主細胞中 において複製する能力を有する。 認められている原核生物宿主には、E.coli、ならびにBacillus 、Streptomyces、Pseudomonas、Salmonella 、Serratia等の属からの細菌が含まれる。しかし、このような条件下で 、ペプチドはグリコシル化されないであろう。原核生物宿主は発現プラスミド中 のレプリコンおよび調節配列と適合性がなければならない。 PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7( またはその機能的誘導体)を原核生物細胞中で発現させるためには、PTP04 、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7配列を機能的原 核生物プロモーターに動作可能なように連結することが必要である。そのような プロモーターは、構成的であってもよく、より好ましくは制御可能である(すな わち、誘導可能または脱抑制可能)。構成的プロモーターの例には、バクテリオ ファージラムダのintプロモーター、pBR322のベータ−ラクタマーゼ遺 伝子配列のblaプロモーター、およびpPR325のクロラムフェニコールア セチルトランスフェラーゼ遺伝子配列のCATプロモーター等が含まれる。誘導 可能な原核生物プロモーターの例には、バタテリオファージラムダの主要右およ び左プロモーター(PLおよびPR)、E.coliのtrp、recA、lac Z、lacI、およびgalプロモーター、α−アミラーゼ(Ulmanen et al.,J Bacteriol.162:176−182(1985) )およびB.subtilisのシグマ−28−特異的プロモーター(Gilm an et al.,Gene Sequence 32:11−20(198 4))、バチラスのバクテリオファージのプロモーター(Gryczan,Th e Molecular Biology of the Bacilli,A cademic Press,Inc.,NY(1982))、および放線菌プ ロモーター(Ward et al.,Mol.Gen.Genet.203: 468−478(1986))が含まれる。原核生物プロモーターは、Glic k(J.Ind.Microbiot.1:277−282(1987));C enatiempo(Biochimie 68:505−516(1986) );およびGottesman(Ann.Rev.Genet.18:415− 442(1984))により論評されている。 原核生物細胞における正しい発現にはまた、遺伝子配列をコードする配列の上 流に、リボソーム結合部位の存在が必要である。そのようなリボソーム結合部位 は、例えば、Gold et al.(Ann.Rev.Microbiol. 35:365−404(1981))に開示されている。調節配列、発現ベクタ ー、トランスフォーメーション方法等の選択は、遺伝子を発現させるために用い られる宿主細胞のタイプに依存する。 本明細書において用いられる場合、"細胞"、"細胞株"、および"培養細胞"は、 互いに交換可能なように用いられ、すべてのそのような呼称は子孫を含む。すな わち、"トランスフォーマント"または"トランスフォームされた細胞"との用語は 、移動(transfer)の数に関わらず、初代対象細胞およびそれに由来す る培養物を含む。すべての子孫は、意図的なまたは偶然の変異のため、DNA含 有物が精密に同一ではないかもしれないことが理解されるであろう。しかし、定 義されるように、変異体子孫は、最初にトランスフォームされた細胞と同じ機能 性を有する。 本発明の発現系において用いられる宿主細胞は、厳密に限定されるものではな いが、ただし所望のPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、ま たはALK−7ペプチドの発現に適したものである。適当な宿主は、しばしば、 真核生物細胞を含む。好ましい真核生物宿主には、例えば、インビボまたは組織 培養中の、酵母、カビ、昆虫細胞、哺乳動物細胞が含まれる。宿主として有用で ありうる哺乳動物細胞には、HeLa細胞、繊維芽細胞起源の細胞、例えばVE RO、3T3またはCHO−K1、またはリンパ球起源の細胞(例えば32D細 胞)およびそれらの誘導体が含まれる。好ましい哺乳動物宿主細胞には、SP2 /0およびJ558L、ならびに神経芽細胞種細胞株、例えばIMR332およ びPC12が含まれ、これらは正しい翻訳後プロセシングに関してよりよい能力 を提供するであろう。 さらに、植物細胞もまた宿主として利用可能であり、植物細胞に適合可能な調 節配列、例えば、カリフラワーモザイクウイルス35Sおよび19S、およびノ パリンシンターゼプロモーターおよびポリアデニル化シグナル配列が利用可能で ある。別の好ましい宿主は、昆虫細胞、例えばDrosophila larv aeである。昆虫細胞を宿主として用いる場合、Drosophilaアルコー ルデヒドロゲナーゼプロモーターを用いることができる(Rubin,Scie nce 240:1453−1459(1988))。あるいは、バキュロウイ ルスベクターを遺伝子操作して、PTP04、SAD、PTP05、PTP10 、ALP、またはALK−7を昆虫細胞中で大量に発現させることができる(J a sny、Science 238:1653(1987);Miller et al.,Genetic Engineering(1986),Setlow ,J.K.,et al.,eds.,Plenum,Vol.8,pp.27 7−297)。 酵母をグルコースの豊富な培地中で成長させるときに大量に産生される解糖系 酵素をコードする、活発に発現される遺伝子配列からのプロモーターおよび終止 要素を取り込んだ一連の酵母遺伝子配列発現系のいずれも用いることができる。 既知の解糖系遺伝子配列はまた非常に効率的な転写制御シグナルを提供すること ができる。酵母は、翻訳後ペプチド修飾をも実施することができる点において、 実質的な利点を提供する。強いプロモーター配列および高いコピー数のプラスミ ドを用いる多数の組換えDNA戦略が存在し、所望の蛋白質を酵母中で発現させ るためにこれらを用いることができる。酵母は、クローン化された哺乳動物遺伝 子配列産物中のリーダー配列を認識し、リーダー配列を有するペプチド(すなわ ちプレ−ペプチド)を分泌する。哺乳動物宿主については、PTP04、SAD 、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7の発現のために、いくつ かの可能なベクター系が利用可能である。 特に好ましい酵母発現系は、Schizosaccharmocyces p ombeを用いる系である。この系は、Srcファミリー(Superti−F urga,etal,EMBO J.12:2625,1993)のメンバーお よび他のNR−TKの活性を研究するのに有用である。 宿主の性質に依存して、広範な種類の転写および翻訳制御配列を用いることが できる。転写および翻訳制御シグナルは、アデノウイルス、ウシパピローマウイ ルス、サイトメガロウイルス、サルウイルス等の、ウイルス起源に由来するもの でもよい。この場合、制御シグナルは、高いレベルの発現を有する特定の遺伝子 配列と関連している。あるいは、哺乳動物発現産物、例えばアクチン、コラーゲ ン、ミオシン等からのプロモーターを用いることができる。転写開始制御シグナ ルは、遺伝子配列の発現を調節しうるように、抑制または活性化を可能とするよ うに選択することができる。興味あるものは、温度を変化させることにより発現 を抑制または開始させるような温度感受性、または化学的に(代謝物等)制御さ れる制御シグナルである。 PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7の 真核生物宿主における発現には、真核生物制御領域の使用が必要である。このよ うな領域は、一般に、RNA合成の開始を指示するのに十分なプロモーター領域 を含む。好ましい真核生物プロモーターには、例えば、マウスメクロチオネイン I遺伝子配列のプロモーター(Hamer et al.,J.Mol.App l.Gen.1:273−288(1982));ヘルペスウイルスのTKプロ モーター(McKnight,Cell 31:355−365(1982)) ;SV40初期プロモーター(Benoist et al.,Nature( London)290:304−310(1981));酵母gal4遺伝子配 列プロモーター(Johnston et al.,Proc.Natl.Ac ad.Sci.(USA)79:6971−6975(1982);Silver et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)81:5 951−5955(1984))が含まれる。 真核生物mRNAの翻訳は、最初のメチオニンをコードするコドンで開始され る。この理由のため、真核生物プロモーターと、PTP04、SAD、PTP0 5、PTP10、ALP、またはALK−7(またはその機能的誘導体)をコー ドするDNA配列との間の結合が、メチオニンをコードしうる介在コドン(すな わちAUG)を含まないことを確実にすることが好ましい。そのようなコドンの 存在は、融合蛋白質(AUGコドンがPTP04、SAD、PTP05、PTP 10、ALP、またはALK−7コード配列と同じリーディングフレームにある 場合)またはフレームシフト変異(AUGコドンがPTP04、SAD、PTP 05、PTP10、ALP、またはALK−7コード配列と同じリーディングフ レームにない場合)のいずれかを引き起こす。 PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7核 酸分子および動作可能なように連結されたプロモーターは、非複製DNA(また はRNA)分子として、受容原核生物または真核生物細胞に導入することができ 、これは線状分子であってもよく、または好ましくは閉じた共有環状分子(プラ スミド)であってもよい。このような分子は自動複製をすることができないため 、 遺伝子の発現は導入された配列の過渡的発現により生ずるであろう。あるいは、 導入されたDNA配列の宿主染色体中へのインテグレーションにより、永久発現 が生ずるかもしれない。 所望の遺伝子配列を宿主細胞染色体中にインテグレートしうるベクターを用い ることができる。その染色体中に導入されたDNAを安定にインテグレートして 有する細胞は、発現ベクターを含有する宿主細胞の選択を可能とする1つまたは それ以上のマーカーをも導入することにより、選択することができる。マーカー は、栄養要求性宿主への栄養、抗生物質等の殺生物剤または銅等の重金属に対す る耐性を与えることができる。選択マーカー遺伝子配列は、発現すべきDNA遺 伝子配列に直接連結してもよく、またはコトランスフェクションにより同じ細胞 に導入してもよい。一本鎖の結合蛋白質mRNAの最適な合成にはさらなる要素 が必要であろう。これらの要素には、スプライシングシグナル、ならびに転写プ ロモーター、エンハンサー、および終止シグナルが含まれる。このような要素を 取り込んだcDNA発現ベクターには、Okayama(Molec.Cell .Biol.3:280(1983))により記載されたものが含まれる。 導入された核酸分子は、受容宿主において自動複製可能なプラスミドまたはウ イルスベクター中に取り込むことができる。広範な種類のベクターの任意のもの をこの目的に用いることができる。特定のプラスミドまたはウイルスベクターを 選択する上で重要な因子には、ベクターを含む受容細胞をベクターを含まない受 容細胞から認識し選択することの容易さ;特定の宿主中において所望されるベク ターのコピー数;およびベクターを異なる種の宿主細胞間で"シャトル"しうるこ とが望ましいか否かが含まれる。 好ましい原核生物ベクターには、E.coli中で複製可能なプラスミド等の プラスミドが含まれる(例えば、pBR322、ColE1、pSC101、p ACYC184、pVX)。このようなプラスミドは、例えば、Sambroo k(例えば"Molecular Cloning:A Laboratory Manual",第2版,Sambrook,Fritsch&Maniat is編集,Cold Spring Harbor Laboratory(1 989)を参照)により開示されている。バチラスプラスミドには、pC194 、 pC221、pT127等が含まれる。このようなプラスミドは、Grycza n(The Molecular Biology of the Bacil li,Academic Press,NY(1982),pp.307−32 9)により開示されている。適当な放線菌プラスミドには、p1J101(Ke ndall et al.,J Bacteriol.169:4177−41 83(1987)),およびfC31(Chater et al.,Sixt h International Symposium on Actinom ycetales Biology,Akademiai Kaido,Bud apest,Hungary(1986),pp.45−54)等の放線菌バク テリオファージが含まれる。シュードモナスプラスミドは、John et a l.(Rev.Infect.Dis.8:693−704(1986))、お よびIzaki(Jpn.J Bacteriol.33:729−742(1 978))により論評されている。 好ましい真核生物プラスミドには、例えば、BPV、ワクシニア、SV40、 2−ミクロン環等、またはこれらの誘導体が含まれる。このようなプラスミドは 当該技術分野においてよく知られている(Botstein et al.,M iami Wntr.Symp.19:265−274(1982);Broa ch,"The Molecular Biology of the Yea st Saccharomyces:Life Cycle and Inhe ritance",Cold Spring Harbor Laborato ry,Cold Spring Harbor,NY,p.445−470(1 981);Broach,Cell 28:203−204(1982);Bo llon et al.,J Ctin.Hematol.Oncol.10: 39−48(1980);Maniatis,Cell Biology:A Comprehensive Treatise,Vol.3,Gene Se quence Expressison,Academic Press,NY ,pp.563−608(1980)。 構築物を含有するベクターまたは核酸分子が一旦発現用に調製されたら、種々 の適当な手段のいずれか、例えばトランスフォーメーション、トランスフェクシ ョン、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、粒 子銃技術、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション等により、D NA構築物を適当な宿主細胞中に導入する。ベクターを導入した後、ベクターを 含有する細胞の成長を選択する選択培地中で受容細胞を成長させる。クローン化 遺伝子分子の発現は、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、 またはALK−7またはそのフラグメントもしくは機能的誘導体の生成を引き起 こす。これはトランスフォームした細胞においてそのまま起こりうるが、これら の細胞を誘導して分化させた後に行うこともできる(例えば、神経芽細胞種の細 胞にブロモデオキシウラシルを投与することによる等)。本発明のペプチドを形 成するために、種々のインキュベーション条件を用いることができる。最も好ま しい条件は、生理学的条件を模倣するものである。VI.本発明のポリペプチド また、本発明は、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、ま たはALK−7ポリペプチドを特徴とする。当該技術分野において知られる種々 の方法論を用いて、本発明のペプチドを得ることができる。ペプチドは、天然に ペプチドを産生する組織または細胞から精製してもよい。あるいは、上述の単離 された核酸配列を用いて、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、AL P、またはALK−7蛋白質を組換え的に発現させることができる。 起源生物が天然に本発明のペプチドを含有する限り、任意の真核生物を本発明 のペプチドの起源として用いることができる。本明細書において用いられる場合 、"起源生物"とは、その中で蛋白質が発現される生物、および最終的にその生物 から単離される生物にかかわらず、アミノ酸配列がその生物に由来する元の生物 を表す。 当業者は、天然の夾雑物を含まないペプチドを得るために、蛋白質を単離する ための既知の方法に容易にしたがうことができる。これらには、サイズ排除クロ マトグラフィー、HPLC、イオン交換クロマトグラフィー、およびイムノアフ ィニティークロマトグラフィーが含まれるが、限定されるものではない。 PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7蛋 白質は、すべての蛋白質と同様に、異なる機能的ユニットもしくはドメインから 構成される。真核生物においては、いわゆる小胞経路(バルクフロー)を介して 区分けされる蛋白質は、通常N末端にシグナル配列(リーダーペプチドとも称さ れる)を有し、これは、ER(小胞体)膜を通る移動の後に切断除去される。い くつかのN末端シグナル配列は切断除去されず、膜貫通セグメントとして残るが 、このことはこれらの蛋白質がER中に残ることを意味しない。これらの蛋白質 はさらに区分けされベヒクル中に取り込まれることができる。 SAD蛋白質は、疎水的シグナル配列を欠失しており、非レセプター蛋白質と して分類される。蛋白質を特定の細胞の位置に標的化することに関与する他のモ ティーフには、ミトコンドリアマトリックス(Gavel and von Heijne,Prot Eng4 :33,1990)、核(Robbins,et al,Cell 64:615,1991)、ペルオキシゾーム、小胞 体(Jackson,et al,EMBO J 9:3253,1990)、小胞性経路(Bendiak,Biophys Res Comm 170:879,1990)、グリコシル−ホスファチジルイノシトール(GPI)脂 質アンカー、およびリソソームオルガネラに選択的なモティーフ、および標的蛋 白質を脂質膜、例えばミリスチル化(Towler,et al,Annu Rev Biochem 57:69,19 88)およびファルネシル化部位に標的化するモティーフがある。SAD蛋白質の N末端の15アミノ酸は、膜標的化に関与するアルギニン含有量の高いN末端ス トレッチ、および続くミトコンドリア膜内空間への移動のシグナルを与える無極 配列の二部構造を有する、ミトコンドリア膜蛋白質を規定する特徴に適合してい る。 非レセプター蛋白質は、一般に、蛋白質:蛋白質相互作用の部位を提供するか 、またはある触媒活性(触媒ドメイン中に含有される)を有するか、しばしばそ の両方により、細胞中にシグナルを伝達するよう機能する。これらの種々のドメ インの存在を予測する方法は、当該技術分野においてよく知られている。蛋白質 :蛋白質相互作用ドメインは、他の蛋白質と比較することにより同定することが できる。SH2ドメインは、例えば、蛋白質SrcとFpsの間の保存配列領域 として最初に同定された約100アミノ酸の蛋白質ドメインである(Sadowski,e t al,Mol.Cell.Bio.6:4396,1986)。同様の配列は後に多くの他の細胞内シグナ ル伝達蛋白質において見いだされている。SH2ドメインは、配列特異的様式で かつ厳格にリン酸化依存様式で高い親和性をもってホスホチロシン−含有蛋白質 と 相互作用することにより、細胞内シグナリングカスケードの制御モジュールとし て機能する(Mayer and Baltimore,Trends Cell.Biol.3:8,1993)。キナーゼま たはホスファターゼ触媒ドメインは、キナーゼまたはホスファターゼ活性を有す る他の既知の触媒ドメインと比較することにより同定することができる。例えば 、Hanks and Hunter,FASEB J.9:5761-595,1995を参照されたい。 レセプター蛋白質はまた、膜中でαヘリックスであると考えられる疎水的膜貫 通セグメントを有し、ある程度このことにより定義される。膜蛋白質はまた、2 つの側面に関して特異的様式で(細胞質/細胞内または細胞質外/細胞外)細胞 膜中に一体化され、これは膜トポロジーと称される。一体化膜蛋白質の細胞外部 分はしばしばリガンド結合ドメインとして機能するが、一方、細胞内部分は一般 に、蛋白質:蛋白質相互作用の部位を提供することにより、またはある程度の触 媒活性を有することにより(触媒ドメイン中に含有される)、またはしばしばそ の両方により、シグナルを細胞内に伝達するよう機能する。これらの種々のドメ インの存在を予測する方法は、当該技術分野においてよく知られている。例えば 、シグナル配列に関しては、D.J.McGeoch,Virus Research 3:271,1985,またはG. von Heijne,Nucl.Acids Res.14:4683,1986を、膜貫通ドメインに関しては、P.Kl ein,et al.,Biochim.Biophys.Acta 815:468,1985を、膜トポロジーの予測に関し ては、S.J.Singer,Ann.Rev.Cell Biol.6:247,1990またはE.Hartmann,et al.,Pro c.Natl.Acad.Sci.USA,86:5786,1989を参照されたい。キナーゼ触媒ドメインは、 キナーゼ活性を有する他の既知の触媒ドメインと比較することにより同定するこ とができる。例えば、Hanks and Hunter,FASEB J.9:576-595,1995を参照された い。 PTP04アミノ酸配列(配列番号:9に示される)の一次配列分析は、これ がシグナル配列または膜貫通ドメインを有さず、したがって、細胞内蛋白質であ ることを明らかにした。既知の蛋白質配列との比較は、PTP04がいくつかの ユニークドメインから構成されることを明らかにした。これらには、48アミノ 酸のN末端ドメイン(配列番号:9のアミノ酸番号1−48に示される)、24 5アミノ酸の触媒ドメイン(配列番号:9のアミノ酸番号49−294に示され る)および512アミノ酸のC末端ドメイン(配列番号:9のアミノ酸番号29 5−807に示される)が含まれる。 SADアミノ酸配列(配列番号:10に示される)の一次配列分析は、これが 4つの異なるドメインを含有することを明らかにした。これらには、およそ55 アミノ酸のN末端ユニークドメイン(配列番号:10のアミノ酸番号1−55に 示される)、およそ54アミノ酸のSH3ドメイン(配列番号:10のアミノ酸 番号56−109に示される)、およそ93アミノ酸のSH2ドメイン(配列番 号:10のアミノ酸番号120−212に示される)、およそ251アミノ酸の 触媒ドメイン(配列番号:10のアミノ酸番号230−480)および8アミノ 酸のC末端テール(配列番号:10のアミノ酸481−488に示される)が含 まれる。 PTP05アミノ酸配列(配列番号:11に示され、そのアイソフォームは配 列番号:12および配列番号:13に示される)の一次配列分析は、この蛋白質 およびそのアイソフォームがシグナル配列または膜貫通ドメインを含有せず、し たがって、細胞内蛋白質であることを明らかにした。既知の蛋白質配列との比較 は、PTP05がいくつかのユニークドメインから構成されることを明らかにし た。これらには、187アミノ酸のN末端ドメイン(配列番号:11のアミノ酸 番号1−187に示される)、242アミノ酸の触媒ドメイン(配列番号:11 のアミノ酸番号188−420に示される)および5アミノ酸のC末端ドメイン (配列番号:11のアミノ酸番号421−426に示される)が含まれる。 PTP05の2つの追加のアイソフォームも同定された:"長い"型(配列番号 :12)および"C切断"型(配列番号:13)。"長い"型は、N末端ドメインに 37アミノ酸の挿入部(配列番号:12のアミノ酸44−80)を有し、これは このドメインを224アミノ酸に延長する。触媒ドメインは配列番号:12のア ミノ酸225−457に延び、C末端ドメインは配列番号:12のアミノ酸45 8−463に延びる。"C切断"型は、配列番号:3のヌクレオチド1415−1 507の欠失により生じ、これはおそらく代替エクソンスプライシングによるも のであろう。この欠失により、C末端21アミノ酸がユニークな7アミノ酸配列 に置き換わっている。この変化は、触媒ドメインの保存C末端部分を除去してお り、このことは酵素活性に影響を与えるかもしれない。"C切断"型の N末端ドメインは、配列番号:13のアミノ酸1−87に、触媒ドメインは配列 番号:13のアミノ酸188−405に、およびユニークC末端ドメインは配列 番号:13の406−412に延びる。 ALPアミノ酸配列(配列番号:15に示される)の一次配列分析は、これが シグナル配列または膜貫通ドメインを含有せず、したがって、細胞内蛋白質であ ることを明らかにした。既知の蛋白質配列との比較は、ALPがいくつかのユニ ークドメインから構成されることを明らかにした。これらには、857アミノ酸 のN末端プロリンリッチドメイン(配列番号:15のアミノ酸番号1−857に示 される)、この中のプロリンリッチ領域(配列番号:15のアミノ酸番号353 −777)、238アミノ酸の触媒ドメイン(配列番号:15のアミノ酸番号8 58−1096に示される)、および177アミノ酸のC末端プロリン/セリン リッチドメイン(配列番号:15のアミノ酸番号1097−1274に示される )、この中のプロリン/セリンリッチ領域(配列番号:15のアミノ酸番号11 01−1214に示される)が含まれる。 ALK−7アミノ酸配列(配列番号:16に示される)の一次配列分析は、こ れがタイプI STKレセプターに特徴的なすべてのモティーフを含むことを明 らかにした。これには、25アミノ酸のシグナルペプチド(配列番号:16のア ミノ酸番号1−25に示される)、88アミノ酸のシステインリッチ細胞外領域 (配列番号:16のアミノ酸番号26−113に示される)、1つの25アミノ 酸の膜貫通ドメイン(配列番号:16のアミノ酸番号114−136に示される )、およびGSドメインおよび触媒ドメイン(配列番号:16のアミノ酸番号1 93−485)を含む355アミノ酸細胞質ドメイン(配列番号:16のアミノ 酸番号137−493に示される)が含まれる。 細胞外ドメインは、すべてのタイプI STKレセプター(ten Dijke,et al. ,Oncogene 8:2879,1993;Bassinge,et al.,Science 263:87,1994;Massague,Trend s Cell Biol.4:172,1994)中に存在する10個のシステインを保存しており、ま た3つの潜在的N−=結合グリコシル化部位を含む。ALK−7の分岐した細胞 外ドメイン配列(ALK−4およびALK−5に対して28−30%の同一性) は、これがユニークリガンド/タイプII STKレセプター特異性を有するか もしれないことを示唆する。ラットALK−7−様蛋白質は、タイプII TG FベータレセプターおよびACTRIIとの複合体中でTGF−ベータおよびア クチビンに結合することが見いだされている。しかし、これらのリガンドはヒト ALK−7と同じ細胞タイプでは発現されず、このことは代替のリガンドを示唆 する。ALK−7−特異的リガンドの候補には、他のTGF−ベータ、例えばT GF−ベータ2、GDF−1およびGDNFの相同体、例えばニュートリン(n euturin)が含まれ、これらは、ALK−7と同様のパターンでニューロ ンにおいて発現されることが示されている。 細胞内ドメインは、他のALK蛋白質に対していくぶんより相同性があり、特 に触媒ドメインにおいて他のタイプI STKレセプターに対して83%の同一 性を示す。しかし、膜貫通ドメイン(膜近傍ドメイン)の最もN末端の40アミ ノ酸は、他のALKとの比較においてきわめてユニークである。 これらのPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはAL K−7ドメインは種々の用途を有する。そのような用途の例は、PTP04、S AD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7触媒ドメインおよび グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)等の異種蛋白質から構成される ポリペプチドを作成することである。このようなポリペプチドは、PTP04、 SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7基質特異性を研究 するのに、またはPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、また はALK−7触媒活性を調節しうる物質を同定するのに有用な、PTP04、S AD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7触媒活性の生化学的 アッセイにおいて用いることができる。あるいは、当業者は、3つの主要なドメ インの少なくとも1つを欠失したPTP04、SAD、PTP05、PTP10 、ALP、またはALK−7ポリペプチドを作成することができる。そのような ポリペプチドは、細胞内で発現された場合、PTP04、SAD、PTP05、 PTP10、ALP、またはALK−7の天然の結合相手と複合体を形成するこ とができるが、シグナルを細胞内の下流にさらに伝達することができない。すな わち、これはシグナリング不全であり、したがって、PTP04、SAD、PT P05、PTP10、ALP、またはALK−7活性の生物学的関連性を研究す る のに有用であろう(例えば、Gishizky,et al,PNAS:10889,1995を参照)。VII.本発明のポリペプチドに対する結合親和性を有する抗体および抗体を含 有するハイブリドーマ 本発明はまた、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、また はALK−7ポリペプチドに対して特異的結合親和性を有する抗体に関する。ポ リペプチドは、配列番号:2に記載されるアミノ酸配列を有していてもよく、ま たはそのフラグメントであってもよく、またはその少なくとも6個の連続するア ミノ酸であってもよい。このような抗体は、PTP04、SAD、PTP05、 PTP10、ALP、またはALK−7ポリペプチドに対する抗体の結合親和性 を他のポリペプチドに対するその結合親和性と比較することにより同定すること ができる。PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはAL K−7に選択的に結合するものが、PTP04、SAD、PTP05、PTP1 0、ALP、またはALK−7と他のポリペプチドとを区別することを必要とす る方法において用いるために選択されるであろう。このような方法としては、他 のポリペプチドを含む組織における変化したPTP04、SAD、PTP05、 PTP10、ALP、またはALK−7発現の分析および全細胞を用いるアッセ イ系を挙げることができるが、これに限定されるべきではない。 本発明のPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはAL K−7ペプチドを用いて、抗体またはハイブリドーマを製造することができる。 当業者は、抗体が望まれる場合、そのようなペプチドを本明細書に記載されるよ うに生成し、免疫原として用いることができることを認識するであろう。この目 的のために好ましいPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、ま たはALK−7ペプチドは、以下の実施例4に示される。本発明の抗体には、モ ノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、ならびにこれらの抗体のフラグメ ント、およびヒト化形態が含まれる。本発明の抗体のヒト化形態は、キメラ化ま たはCDRグラフト等の、当該技術分野において知られる方法の1つを用いて生 成することができる。本発明はまた、上述のモノクローナル抗体またはその結合 フラグメントを産生するハイブリドーマに関する。ハイブリドーマは特定のモノ クローナル抗体を分泌することができる不死化細胞株である。 一般に、モノクローナル抗体およびハイブリドーマを調製する技術は当該技術 分野においてよく知られている(Campbell、"Monoclonal A ntibody Technology:Laboratory Techni ques in Biochemistry and Molecular B iology",Elsevier Science Publishers, Amsterdam,The Netherlands(1984);St.G roth et al.,J Immunol.Methods 35:1−2 1(1980))。抗体を産生することが知られている任意の動物(マウス、ウ サギ等)を、選択されたポリペプチドで免疫感作することができる。免疫感作の 方法は当該技術分野においてよく知られている。このような方法には、ポリペプ チドの皮下または腹膜内注射が含まれる。当業者は、免疫感作に用いるポリペプ チドの量が、免疫感作される動物、ポリペプチドの免疫原性、および注射部位に より様々であることを認識するであろう。 ポリペプチドは、ペプチドの抗原性を増加させるために、修飾するかまたはア ジュバント中で投与することができる。 ポリペプチドの抗原性を増加させる方法は当該技術分野においてよく知られて いる。このような方法には、抗原を異種蛋白質(例えばグロビンまたはβ−ガラ クトシダーゼ)とカップリングさせること、または免疫感作の間にアジュバント を含有させることが含まれる。 モノクローナル抗体については、免疫した動物からの牌臓細胞を除去し、ミエ ローマ細胞、例えばSP2/0−Agl4ミエローマ細胞と融合させ、モノクロ ーナル抗体産生ハイブリドーマ細胞となるようにする。当該技術分野においてよ く知られている多くの方法の任意のものを用いて、所望の特性を有する抗体を産 生するハイブリドーマ細胞を同定することができる。これらには、ハイブリドー マをELISAアッセイ、ウエスタンブロット分析、またはラジオイムノアッセ イ(Lutz et al.,Exp.Cell Res.175:109−1 24(1988))でスクリーニングすることが含まれる。所望の抗体を分泌す るハイブリドーマをクローニングし、当該技術分野において知られる方法を用い てクラスおよびサブクラスを決定する(Campbell,"Monoclon al Antibody Technology:Laboratory Te chniques in Biochemistry and Molecul ar Biology",上掲(1984))。 ポリクローナル抗体については、免疫した動物から抗体を含有する抗血清を単 離し、上述の方法の1つを用いて、所望の特異性を有する抗体の存在についてス クリーニングする。上述の抗体は、検出可能なように標識することができる。抗 体は、放射性同位体、アフィニティー標識(例えば、ビオチン、アビジン等)、 酵素標識(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等)、 蛍光標識(例えばFITCまたはローダミン等)、常磁性原子等を用いることに より、検出可能なように標識することができる。このような標識を行う方法は当 該技術分野においてよく知られており、例えば、以下のものを参照されたい(S temberger et al.,J.Histochem.Cytoche m.18:315(1970);Bayer et al.,Meth.Enz ym.62:308,1979;Engval,et al.,Immumno 1.109:129(1972);Goding,J Immunol.Met h.13:215(1976))。標識された本発明の抗体は、インビトロ、イ ンビボおよびインサイチオアッセイにおいて用いて、特定のペプチドを発現する 細胞または組織を同定することができる。 上述の抗体はまた、固体支持体上に固定化してもよい。そのような固体支持体 の例には、ポリカーボネート等のプラスチック、アガロースおよびセファロース のような複合炭水化物、ポリアクリルアミドおよびラテックスビーズなどのアク リル樹脂が含まれる。抗体をそのような固体支持体にカップリングさせる技術は 、当該技術分野においてよく知られている(Weir et al.,"Han dbook of Experimental Immunology"4th Ed.,Blackwell Scientific Publicatio ns,Oxford,England.Chapter 10(1986);J acoby et al.,Meth.Enzym.34,Academic Press,N.Y.(1974))。本発明の固定化された抗体は、インビト ロ、インビボおよびインサイチオアッセイ、ならびに免疫クロマトグラフィーに おい て用いることができる。 さらに、当業者は、現在利用可能な方法ならびに抗体に関して上述した技術、 方法およびキットを容易に適用して、合理的に設計された抗ペプチド−ペプチド を生成するために、特定のペプチド配列に結合しうるペプチドを生成することが できる。例えば、Hurby et al.,"Application of Synthetic Peptides:Antisense Peptid es",In Synthetic Peptides,A User’s G uide,W.H.Freeman,NY,pp.289−307(1992) ,およびKaspczak et al.,Biochemistry 28: 9230−8(1989)を参照されたい。VIII.本発明のポリペプチドを検出するための、抗体に基づく方法およびキ ット 本発明は、(a)試料を免疫複合体が形成するような条件下で上述の抗体と接 触させ、そして(b)ポリペプチドに結合した前記抗体の存在を検出することに より、試料中のPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、または ALK−7ポリペプチドを検出する方法を包含する。詳細には、該方法は、試験 試料を1つまたはそれ以上の本発明の抗体とともにインキュベートし、抗体が試 験試料に結合するか否かをアッセイすることを含む。試料中のPTP04、SA D、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7の、正常レベルと比較 して変化した(増加または減少)レベルは、疾患を表すであろう。 抗体を試験試料とともにインキュベートする条件は様々である。インキュベー ト条件は、アッセイにおいて用いられるフォーマット、用いられる検出方法、お よびアッセイにおいて用いられる抗体のタイプおよび性質に依存する。当業者は 、慣用的に利用可能な免疫学的アッセイフォーマット(例えばラジオイムノアッ セイ、酵素結合イムノソルベントアッセイ、拡散系オクタロニー、またはロケッ ト免疫蛍光アッセイ)の任意のものを容易に適用して、本発明の抗体を用いるこ とができることを認識するであろう。このようなアッセイの例は、Chard, "An Introduction to Radioimmunoassay and Related Techniques",Elsevier Sc i ence Publishers,Amsterdam,The Nether lands(1986);Bullock et al.,"Techniqu es in Immunocytochemistry",Academic Press,Orlando,FL Vol.1(1982),Vol.2(1 983),Vol.3(1985);Tijssen,"Practice a nd Theory of Enzyme Immunoassays:Lab oratory Techniques in Biochemistry a nd Molecular Biology",Elsevier Scien ce Publishers,Amsterdam,The Netherla nds(1985)に見られる。 本発明の免疫学的アッセイ試験試料には、細胞、蛋白質または細胞の膜抽出物 、または血液、血清、血漿、または尿等の生物学的液体が含まれる。上述の方法 において用いられる試験試料は、アッセイフォーマット、検出方法、およびアッ セイすべき試料として用いられる組織、細胞または抽出物の性質により様々であ ろう。細胞の蛋白質抽出物または膜抽出物を調製する方法は当該技術分野におい てよく知られており、用いられる系に適合しうる試料を得るために、容易に適用 することができる。 キットは、先に記載した検出の方法を実施するために必要な試薬のすべてを含 む。キットは、(i)上述の抗体を含む第1の容器手段、および(ii)抗体の 結合パートナーおよび標識を含むコンジュゲートを含む第2の容器手段を含むこ とができる。別の好ましい態様においては、キットはさらに、洗浄試薬および結 合した抗体の存在を検出しうる試薬の1つまたはそれ以上を含む1つまたはそれ 以上の他の容器を含む。 検出試薬の例には、標識二次抗体が含まれるが、これに限定されるものではな く、あるいはまた、一次抗体が標識されている場合、標識された抗体と反応する ことができる発色団、酵素、または抗体結合試薬が含まれる。区画化されたキッ トは、核酸プローブキットについて上述したとおりである。当業者は、本発明に おいて記載される抗体を、当該技術分野においてよく知られた確立されたキット フォーマットの1つの中に容易に取り込ませることができることを容易に認識す るであろう。IX.本発明のポリペプチドの天然の結合相手の単離 本発明はまた、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、また はALK−7ポリペプチドに結合しうる天然の結合相手を検出する方法に関する 。PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7の 天然の結合相手は、例えば、シグナリングカスケードの一部として脱リン酸化さ れる基質蛋白質でありうる。結合相手は、複雑な混合物、例えば血清、体液また は細胞抽出物中に存在していてもよい。 一般に、天然の結合相手を同定する方法は、物質をPTP04、SAD、PT P05、PTP10、ALP、またはALK−7とともにインキュベートし、P TP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7に結合 した物質の存在を検出することを含む。好ましい方法は、Flelds and Song(上 掲)の2−ハイブリッド系および共免疫沈殿を含む。X.本発明のポリペプチドの活性を調節しうる物質の同定および使用 本発明はまた、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、また はALK−7活性を調節しうる物質を検出する方法に関する。そのような物質は 、活性を増強するか(アゴニスト)または活性を阻害する(アンタゴニスト)こ とができる。アゴニストおよびアンタゴニストは、ペプチド、抗体、天然起源( 例えば真菌または植物抽出物)からの産物、または小分子量有機化合物でありう る。一般に、小分子量有機化合物が好ましい。PTP04、SAD、PTP05 、PTP10、ALP、またはALK−7の調節活性について試験することがで きる化合物群の例は、チアゾール類(例えば継続中の米国特許出願60/033 ,522,08/660,900)およびナフトピロン類(米国特許5,602 ,171)であるが、これらに限定されない。 一般に、該方法は、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、 またはALK−7を産生する細胞を試験物質の存在下でインキュベートし、PT P04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7活性また はPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7結 合相手の活性のレベルの変化を検出することを含む。活性の変化は、PTP04 、 SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7ポリペプチドの増 加したまたは減少したリン酸化、PTP04、SAD、PTP05、PTP10 、ALP、またはALK−7基質の増加したまたは減少したリン酸化、または細 胞における増加したまたは減少した生物学的応答により表すことができる。人工 的基質のリン酸化を用いてPTP04、SAD、PTP05、PTP10、AL P、またはALK−7活性の調節を検出する方法が以下の実施例に示される。生 物学的応答には、例えば、増殖、分化、生存または運動性が含まれうる。このよ うにして同定された物質は、物質のアゴニスト性またはアンタゴニスト性を示す 活性の変化を生成するであろう。いったん物質が同定されれば、精製された形態 で既に利用可能でない場合には、当該技術分野においてよく知られた技術を用い てこれを単離することができる。本発明はまた、哺乳動物においてPTP04、 SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7関連活性をアゴナ イズ(刺激)またはアンタゴナイズする方法を包含する。該方法は、前記哺乳動 物にPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7 に対するアゴニストまたはアンタゴニストを、前記アゴニズムまたはアンタゴニ ズムをもたらすのに十分な量で投与することを含む。また、本願発明は、哺乳動 物において、PTP04−、SAD−、PTP05−、PTP10−、ALP− またはALK−7−関連活性のアゴニストまたはアンタゴニストで疾患を治療す る方法を包含する。該方法は、哺乳動物に、PTP04、SAD、PTP05、 PTP10、ALP、またはALK−7関連機能をアゴナイズまたはアンタゴナ イズするのに十分な量でアゴニストまたはアンタゴニストを投与することを含む 。特定の化合物を、それ自身でまたは化合物が適当な担体または賦形剤と混合物 されている医薬組成物中で患者に投与することができる。患者の治療においては 、治療的に有効な用量の化合物が投与される。治療的に有効な用量とは、患者に おいて症状の改善または生存の延長をもたらす化合物の量を表す。 そのような化合物の毒性および治療的有効性は、例えば、LD50(集団の50 %に致死的な用量)およびED50(集団の50%に治療上有効な用量)を決定す るために、培養細胞または実験動物における標準的薬理学的方法により決定する ことができる。毒性と治療効果の間の用量比は治療の指標であり、LD50/ED5 0 の比率で表すことができる。高い治療指標を示す化合物が好ましい。これらの 培養細胞アッセイおよび動物研究から得られるデータを、ヒトにおいて用いるた めの用量の範囲の処方に用いることができる。そのような化合物の用量は、好ま しくは毒性がほとんどないか全くないED50を含む循環濃度の範囲内にある。用 量は、用いられる投与形態および用いられる投与経路に応じて、この範囲内で変 化しうる。 本発明の方法において用いられるいずれの化合物についても、治療上有効な用 量は、最初に培養細胞アッセイから見積もることができる。例えば、動物モデル においてある用量を処方して、培養細胞において決定されたIC50を含む循環血 漿濃度範囲(すなわち、蛋白質複合体の最大の破壊の半分または細胞レベルおよ び/または複合体成分の活性の最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)を 達成することができる。そのような情報を用いて、ヒトにおいて有用な用量をよ り正確に決定する。血漿中のレベルは、例えば、HPLCにより測定することが できる。 実際の処方、投与の経路および用量は、個々の医師により、患者の状態に基づ いて選択される(例えば、Fingl et al.,1975,in"The Pharmacological Basis o f Therapeutics",Ch.1 p1を参照)。 担当の医師は、毒性または臓器不全のために、いつどのようにして投与を終了 、中断または調節すべきかがわかることに注意すべきである。逆に、担当の医師 はまた、臨床応答が適当でない場合には(除外毒性)、治療をより高いレベルに 調節することがわかる。投与される用量の程度は、問題とする癌疾患の管理にお いて、治療されるべき状態の重篤度および投与の経路により変化するであろう。 ??? 状態の重篤度は、例えば、標準的な予後評価方法により部分的に評価することが できる。さらに、用量、およびおそらくは投与頻度もまた、個々の患者の年齢、 体重、および応答により様々であろう。上で議論したことに適合するプログラム を獣医薬において用いることができる。 治療されるべき特定の状態に応じて、そのような薬剤を処方し、全身または局 所的に投与することができる。処方および投与の技術は、"Remingtons Pharmaceutical Sciences,"1990,18th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA.に 見いだすことができる。適当な経路としては、若干の例を挙げると、経口、直腸 、経皮、経膣、経粘膜、または腸内投与;筋肉内、皮下、随内注射、ならびに髄 腔内、直接脳室内、腹膜内、鼻腔内、または眼内注射等の非経口輸送がある。 注射用には、本発明の薬剤は、水性溶液、好ましくは生理学的に適合性のある 緩衝液、例えばハンクス溶液、リンゲル溶液または生理学的緩衝化食塩水中で処 方することができる。そのような経粘膜投与のためには、障壁を透過させるのに 適当な透過剤が処方中に用いられる。そのような透過剤は一般に当該技術分野に おいて知られている。 本明細書に開示される化合物を、薬学的に許容しうる担体を用いて本発明の実 施のために全身投与に適当な用量に処方することは、本発明の範囲内である。担 体の適切な選択および適当な製造の実施により、本発明の組成物、特に溶液とし て処方されたものは、例えば静脈内注射により非経口投与することができる。化 合物は、当該技術分野においてよく知られる薬学的に許容しうる担体を用いて、 経口投与に適当な用量に容易に処方することができる。そのような担体は、本発 明の化合物を、治療されるべき患者による経口摂取のための錠剤、丸薬、カプセ ル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として処方することを可能とす る。 細胞内に投与することが意図される薬剤は、当業者によく知られる技術を用い て投与することができる。例えば、そのような薬剤は、リポソーム中に封入し、 次に上述するように投与する。リポソームは水性の内部を有する球状の脂質二重 層である。リポソーム形成時に水性溶液中に存在するすべての分子は、水性内部 に取り込まれる。リポソーム成分は、外部微小環境から保護され、かつ、リポソ ームが細胞膜と融合するために効率的に細胞質内に運搬される。さらに、その疎 水性のため、小有機分子は直接細胞内に投与することができる。 本発明において用いるのに適した医薬組成物には、活性成分がその意図される 目的を達成するのに有効な量で含まれている組成物が含まれる。有効量の決定は 、特に本明細書に提供される開示に基づいて、当業者の能力の範囲内である。 活性成分に加えて、これらの医薬組成物は、活性化合物を薬学的に用いること ができる製剤にするプロセシングを容易にする賦形剤および補助剤を含む薬学的 に許容しうる適当な担体を含んでいてもよい。経口投与用に処方された製剤は、 錠剤、糖衣錠、カプセルまたは溶液の形態であろう。 本発明の医薬組成物は、それ自体知られる方法、例えば、慣用の混合、溶解、 顆粒化、糖衣錠形成、すりつぶし、乳化、封入、取り込み、または凍結乾燥の工 程により製造することができる。 非経口投与のための医薬処方には、水溶性形態の活性化合物の水性溶液が含ま れる。さらに、活性化合物の懸濁液を適当に油性の注射懸濁液として調製するこ とができる。適当な親油性溶媒またはベヒクルには、脂肪油(例えばゴマ油)、 または合成脂肪酸エステル(例えばオレイン酸エチルまたはトリグリセリド)、 またはリポソームが含まれる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物 質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキ ストランを含んでいてもよい。懸濁液はまた任意に、適当な安定化剤または化合 物の溶解性を増加させて高度に濃縮された溶液を調製することを可能とする試薬 を含んでいてもよい。 経口使用のための医薬調製物は、活性化合物を固体賦形剤と混合し、得られた 混合物を任意にすりつぶし、所望の場合には適当な補助剤を加えた後に顆粒の混 合物を加工して、錠剤または糖衣錠コアを得ることにより得ることができる。適 当な賦形剤は、特に、糖等の充填剤であり、例えば、ラクトース、スクロース、 マンニトール、またはソルビトール;セルロース調製物、例えばトウモロコシデ ンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカ ントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキ シメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン(PVP) が挙げられる。所望の場合には、分散剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン、寒 天、またはアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム等のアルギン酸塩を加えても よい。 糖衣錠コアは、適当なコーティングを施して提供される。この目的のために、 濃縮した糖溶液を用いることができ、これは任意に、アラビアゴム、タルク、ポ リビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/ま たは二酸化チタン、ラッカー溶液、および適当な有機溶媒または溶媒混合物を含 んでいてもよい。確認のために、または活性化合物用量の異なる組み合わせを特 徴づけるために、色素または顔料を錠剤または糖衣錠コーティングに加えてもよ い。 経口的に用いることができる医薬調製物としては、ゼラチンから形成されるプ ッシュフィットカプセル、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビト ールなどの可塑剤から形成される軟質の密封カプセルが挙げられる。プッシュフ ィットカプセルは、ラクトース等の充填剤、デンプン等の結合剤、および/また はタルクまたはステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤、および任意に、安定化剤 の混合物中に活性成分を含むことができる。軟質カプセルにおいては、活性化合 物は脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコール等の適当な液 体に溶解するかまたは懸濁することができる。さらに安定化剤を加えてもよい。XI.トランスジェニック動物 本発明はまた、インビボ系での複合体中のPTP04、SAD、PTP05、 PTP10、ALP、またはALK−7活性の研究に有用なトランスジェニック 動物を企図する。本発明に関連したトランスジェニック動物の生産には種々の方 法が利用可能である。PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、 またはALK−7をコードするDNA配列を、オスおよびメス前核融合の前に、 受精卵の前核内に注入でき、または細胞分割後の胚細胞の前核(例えば、二細胞 胚の前核)内に注入できる(Brinster et al.,Proc.Na t.Acad.Sci.USA 82:4438−4442(1985))。胚 は、本発明の無機イオンレセプターヌクレオチド配列を運ぶように修飾されたウ イルス(特にレトロウイルス)で感染することができる。 胚の内部細胞塊から誘導され、培養で安定化された多分化能性幹細胞は培養物 中で本発明のヌクレオチド配列を取り込むように操作できる。そのような細胞を 胚盤胞内へ移植し、それを偽母内へ移植して出産させることによりトランスジェ ニック動物が生産できる。トランスジェニック実験に適した動物はCharle s River(Wilmington,MA)、Taconic(Germa ntown,NY)、Harlan Sprague Dawley(Indi anapolis,IN)その他の普通の商業的供給源から入手可能である。 齧歯類胚の操作および接合体の前核内へのDNAのマイクロインジェクション の方法は当業者にはよく知られている(Hogan et al.,前記文献) 。魚、両生類卵および鳥類のためのマイクロインジェクション法はHoudeb ine and Chourrout,Experientia 47:897 −905(1991)に詳述されている。動物の組織内へDNAを導入する他の 方法が米国特許第4,945,050号(Sandfordら、1990年7月 30日)に記載されている。 例示のためのみに示すのであるが、トランスジェニックマウスを製造するには メスを過排卵に誘導する。メスをオスとともに置き、交尾したメスをCO2窒息 または断頭により殺して切除した卵管から胚を回収する。取り囲んでいる卵丘細 胞を取り除く。前核胚は次に洗浄し、インジェクションの時まで保存する。不定 周期の成体メスマウスを精管切除したオスと対にする。受容メスは供与メスと同 じ時に交尾させる。胚は手術により移される。トランスジェニックラットを発生 させる方法はマウスと同様である。Hamrner et al.,Cell 63:1099−1112(1990)を参照されたい。 胚幹(ES)細胞を培養し、続いてエレクトロポレーション、リン酸カルシウ ム/DNA沈殿および直接的注入のような方法を用いたES細胞内へのDNA導 入によるトランスジェニック動物の製造も当業者にはよく知られている。例えば 、Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells,A Practical Approach,E.J.Robe rtson編,IRL Press(1987)。 ランダム遺伝子インテグレーションが関与する場合、本発明の配列を含むクロ ーンは耐性をコードしている遺伝子とともにコトランスフェクトされる。もしく は、ネオマイシン耐性をコードしている遺伝子が本発明の配列に物理的に連結さ れる。所望のクローンのトランスフェクションおよび単離は、当業者にはよく知 られているいくつかの方法の一つにより実施される(E.J.Robertso n、上記文献)。 ES細胞内へ導入されたDNA分子は相同的組換えの過程を通して染色体内へ 組込むこともできる。Capecchi,Science 244:1288− 1292(1989)。組込みの陽性選択(即ちneo耐性)および二重陽性− 陰性選択(即ちneo耐性およびガンシクロビル耐性)および続いてのPCRに よる所望のクローンの同定のための方法はCapecchi(前記文献)および Joyner et al.,Nature 338:153−156(198 9)に記載されており、それらの教示は本明細書において援用される。本方法の 最後の段階は胚盤胞内への標的化されたES細胞の注入および偽妊娠メスへの胚 盤胞の移送である。得られたキメラ動物を繁殖させ、子孫をサザンブロッティン グにより分析してトランスジンを運んでいる個体を同定する。非齧歯類哺乳類お よび他の動物生産のための方法は別のところに記載されている。Houdebi ne and Chourrout(前記文献);Pursel et al. ,Science 244:1281−1288(1989)およびSimms et al.,Bio/Technology 6:179−183(198 8)を参照されたい。 すなわち、本発明はPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、 またはALK−7ポリペプチドをコードしているトランスジン、またはPTP0 4、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7ポリペプチド の発現に影響している遺伝子を含むトランスジェニック非ヒト哺乳類を提供する 。そのようなトランスジェニック非ヒト哺乳類は、PTP04、SAD、PTP 05、PTP10、ALP、またはALK−7ポリペプチドを導入する、PTP 04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7ポリペプチ ドの発現を調節する(即ち、追加の遺伝子、アンチセンス核酸またはリボザイム の導入を通して)影響を研究するためのインビボ試験系として特に有用である。 ”トランスジェニック動物”とは、人工的に細胞内へ挿入され、動物のゲノム の一部となり、細胞から発現されるDNAを含む細胞を持っている動物である。 好適なトランスジェニック動物は霊長類、マウス、ラット、ウシ、ブタ、ウマ、 ヤギ、ヒツジ、イヌおよびネコである。トランスジェニックDNAは、ヒトPT P04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7ポリペプ チドをコードしていてもよい。動物における天然の発現は、レセプターの発現を 減少させるのに有効量のアンチセンスRNAまたはDNAを提供することにより 減少するであろう。XII.遺伝子治療 PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7、 またはその遺伝的配列(変異したものも変異していないものも含む)はまた、遺 伝子治療(Miller,Nature 357:455-460、(1992 )に概説されている)にも有用であろう。Millerは実用的な最初の結果を 示したヒト遺伝子治療へ実際に応用されるまでに進歩したことを述べている。遺 伝子治療の基本的科学はMulligan,Science 260:926− 931,(1993)に記載されている。 一つの好適な態様において、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、 ALP、またはALK−7をコードする配列または上述のPTP04、SAD、 PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7変異体をコードする配列を 含む発現ベクターが細胞内へ挿入され、細胞はインビトロで増殖され、多数の細 胞が患者に注入される。別の好適な態様においては、選択されたプロモーター( 例えば、強力なプロモーター)を含んでいるDNAセグメントが、内在性PTP 04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7を含んでい る細胞内へ、プロモーターセグメントが内在性PTP04、SAD、PTP05 、PTP10、ALP、またはALK−7遺伝子の発現を促進するような様式で 細胞内へ導入される(例えば、プロモーターセグメントは内在性PTP04、S AD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7遺伝子へ直接連結す る様に細胞へ導入される)。 遺伝子治療は、適当な細胞タイプを標的としたPTP04、SAD、PTP0 5、PTP10、ALP、またはALK−7cDNAを含有するアデノウイルス の使用、遺伝子工学処理した細胞の移植によるPTP04、SAD、PTP05 、PTP10、ALP、またはALK−7の全身的増加、PTP04、SAD、 PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7ウイルスの注射,または裸 のPTP04,SAD,PTP05,PTP10,ALP,orALK−7DN Aの適当な細胞または組織、例えばニューロンへの注射を含むであろう。 レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス 、ヘルペスウイルス、いくつかのRNAウイルス、またはウシパピローマウイル スのようなウイルスから誘導される発現ベクターは、組換えPTP04、SAD 、PTP05、PTP10、ALP、またはALK−7蛋白質をコードしている ヌクレオチド配列(例えば、cDNA)を標的細胞集団(例えば、腫瘍細胞また はニューロン)内へ送達するために使用することができる。当業者によく知られ る方法を用いて、コード配列を含有する組換えウイルスベクターを構築すること ができる。例えば、Maniatis et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory,N.Y.(1989),およびAusubel et al.,Current Pr otocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates and Wiley Inte rscience,N.Y.(1989)に記載されている技術を参照されたい。もしくは、蛋白質 配列をコードしている組換え体核酸分子は裸のDNAとして、または再構築系( 例えば、標的細胞へ送達するためのリポソームまたはその他の脂質系)で使用で きる(例えば、Felgner et al.,Nature 337:387 −8,1989を参照されたい)。ヒト遺伝子治療で使用するための、蛋白質へ のプラスミドDNAの複合体化による細胞上のレセプターへのDNAの標的化を 含む、細胞内へのプラスミド直接送達のためのいくつかの他の方法が存在する。 例えば、Miller、前記文献、を参照されたい。 その最も単純な形において、遺伝子導入はマイクロインジェクション法により 、単に微量のDNAを細胞の核内へ注入することにより実施できる。Capec chi MR,Cell 22:479−88(1980)。組換え体遺伝子が 一度細胞内へ導入されたら、転写および翻訳のための細胞の通常機構により認識 でき、遺伝子産物が発現されるであろう。多数の細胞にDNAを導入するための 他の方法も試みられた。これらの方法には以下のものが含まれている:DNAは CaPO4と沈殿され、ピノサイトーシスにより細胞内へ取り込まれるトランス フェクション(Chen C.and Okayama H,Mol.Cell Biol.7:2745−52(1987));膜内に穴をあけるために細胞 が高電圧パルスに曝されるエレクトロポレーション(Chu G.et al. ,Nucleic Acids Res.,15:1311−26(1987) ); DNAが親油性ベシクル内へ包み込まれ、それが標的細胞と融合するリポフェク ション/リポソーム融合(Felgner PL.,et al.,Proc. Natl.Acad.Sci.USA.84:7413−7(1987));お よび小さな弾丸に結合されているDNAを用いる粒子衝撃法(Yang NS. et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.87:9568−72 (1990))。細胞内へDNAを導入する別の方法は、DNAを化学的に修飾 した蛋白質に結合させるものである。 アデノウイルス蛋白質はエンドソームを不安定化して細胞内へのDNAの取り 込みを促進させることも示されている。DNA複合体を含んでいる溶液へのアデ ノウイルスの混合、または蛋白質架橋剤を用いるアデノウイルスへ共有結合で結 合されているポリリジンへのDNAの結合は実質的に組換え体遺伝子の取り込み および発現を改良する。Curiel DT et al.,Am.J.Res pir.Cell.Mol.Biol.,6:247−52(1992)。 本明細書で使用される場合、”遺伝子導入”とは細胞内へ外来核酸分子を導入 する過程を意味している。遺伝子導入は通常、遺伝子によりコードされている特 定の生成物の発現を可能にするために実施される。生成物には蛋白質、ポリペプ チド、アンチセンスDNAまたはRNAまたは酵素的に活性なRNAが含まれる 。遺伝子導入は培養細胞または動物への直接投与で実施できる。一般的に、遺伝 子導入は非特異的またはレセプター媒介相互作用による標的細胞と核酸の接触過 程、膜を通してのまたはエンドサイトーシスによる細胞内への核酸の取り込み、 および原形質膜またはエンドソームから細胞質内への核酸の放出を含んでいる。 加えて発現は、細胞核内への核酸の移動および転写のための適当な核因子への結 合を必要とするであろう。 本明細書で使用される場合、”遺伝子治療”とは遺伝子導入の一つの形であり 、本明細書で使用される遺伝子導入の定義内に含まれており、特に、インビボま たはインビトロにおいて細胞から治療的生成物を発現するための遺伝子導入を指 している。遺伝子導入は細胞にエクスビボでも実施でき、それは次に患者に移植 されるか、または患者への核酸または核酸−蛋白質複合体の直接投与により実施 できる。 別の好ましい態様においては、PTP04、SAD、PTP05、PTP10 、ALP、またはALK−7をコードする核酸配列を有するベクターが提供され 、そこでは核酸配列は特定の組織でのみ発現される。組織特異的遺伝子発現を達 成するための方法は例えば、1993年5月13日に公開されたWO93/09 236に示されている。 上に示した前記ベクターのすべてにおいて、本発明の別の観点は、ベクターに 含まれている核酸配列が、前に定義されたように核酸の配列のいくつかまたはす べてに付加、欠失または修飾を含んでいてもよいことである。 別の好ましい態様においては、遺伝子置換の方法が記載される。本明細書で使 用される場合、”遺伝子置換”とは動物でインビボ発現させることができる核酸 配列を供給し、それにより動物に失われているまたは欠損している内在性遺伝子 機能を提供または増大させることを意味している。XIII.PTP04,SAD,PTP05,PTP10,ALP,またはAL K−7蛋白質の機能を調節する化合物 疾患の新規な治療を開発するために、生物医学の研究者および化学者は、蛋白 質キナーゼの機能を阻害する分子を設計し、合成し、試験してきた。いくつかの 小有機分子は、蛋白質キナーゼの機能を調節する一群の化合物を形成する。蛋白 質キナーゼの機能を阻害すると報告されている分子の例としては、ビス一環、二 環または複素環芳香族化合物(PCT WO92/20642(Maguire 、1992年11月26日公開))、ビニレン−アザインドール誘導体(PCT W094/14808(Ballinariら、1994年7月7日公開)) 、1−シクロプロピル−4−ピリジルキノロン類(米国特許5,330,992 )、スチリル化合物(米国特許5,217,999),スチリル置換ピリジル化 合物(米国特許5,302,606)、ある種のキナゾリン誘導体(欧州特許出 願0566266A1)、セレノインドール類およびセレニド類(PCT WO 94/03427(Dennyら、1994年2月17日公開))、三環ポリヒ ドロキシ化合物(PCT WO92/21660(Dow、1992年10月1 0日公開))、およびベンジルホスホン酸化合物(PCT WO91/1549 5(Dowら、1991年10月17日公開))が挙げられるが、これらに限定 されな い。細胞膜を横切ることができ、かつ酸加水分解に耐性である化合物は、患者に 経口投与された後に生物学的利用性が高くなるため、利点がある可能性がある。 しかし、これらの蛋白質キナーゼ阻害剤の多くは、蛋白質キナーゼの機能を弱く しか阻害しない。さらに、多くのものは種々の蛋白質キナーゼを阻害し、したが って、疾患の治療剤として多くの副作用を引き起こすであろう。 しかし、いくつかのインドリノン化合物は、酸耐性かつ膜透過性有機分子の一 群を形成する。BallinariらのPCT WO96/22976(199 6年8月1日公開)は、オキシインドール環に縮合したテトラリン、ナフタレン 、キノリンおよびインドール置換基を有する水溶性インドリノン化合物を記載す る。これらの二環置換基は、さらに水酸化アルキル、リン酸、およびエーテル部 分等の極性部分で置換されている。Ballinariらの国際公開WO96/ 22976(1996年8月1日公開)は、オキシインドール環に縮合した他の 二環部分ならびに一環部分を有するインドリノン化合物のインドリノン化学ライ ブラリを記載する。BallinariらのWO96/22976(1996年 8月1日公開)は、インドリノンを合成する方法、細胞におけるインドリノン化 合物の生物学的活性を試験する方法、およびインドリノン誘導体の阻害パターン を教示する。 PTP04,SAD,PTP05,PTP10,ALP,またはALK−7活 性を調節しうる物質の別の例としては、チロホスチン,キナゾリン,キノキソリ ン,およびキノリンが挙げられるが、これらに限定されない。 上述したキナゾリン,チロホスチン,キノリン,およびキノキソリンには、文 献に記載されるもののようなよく知られた化合物が含まれる。例えば、キナゾリ ンを記載する代表的な刊行物には、Barker et al.,EPO Publication No.0 520 7 22 Al;Jones et al.,U.S.Patent No.4,447,608;Kabbe et al.,U.S.Patent No.4, 757,072;Kaul and Vougioukas,U.S.Patent No.5,316,553;Kreighbm and Comer,U .S.Patent No.4,343,940;Pegg and Wardleworth,EPO Publication No.0 562 734 Al;Barker et al.,Proc.of Am.Assoc.for Cancer Research 32:327(1991);Bert ino,J.R.Cancer Research 3:293-304(1979);Bertino,J.R.,Cancer Research 9(2 part1):293-304(1979);Curtin et al.,Br.J.Cancer 53:361-368 (1986);Fernandes et al.,Cancer Research 43:1117-1123(1983);Ferris et al. J.Org.Chem.44(2):173-178;Fry et al.,Science 265:1093-1095(1994);Jackman et al.,Cancer Research 51:5579-5586(1981);Jones et al.J.Med.Chem.29(6):1 114-1118;Lee and Skibo,Biochemistry 26(23):7355-7362(1987);Lemus et al., J.Org.Chem.54:3511-3518(1989);Ley and Seng,Synthesis 1975:415-522(1975); Maxwell et al.,Magnetic Resonance in Medicine 17:189-196(1991);Mini et a l.,Cancer Research 45:325-330(1985);Phillips and Castle,J.Heterocyclic C hem.17(19):1489-1596(1980);Reece et al.,Cancer Research 47(11):2996-2999 (1977);Sculier et al.,Cancer Immunol.and Immunother.23:A65(1986);Sikorae tal.,Cancer Letters 23:289-295(1984);Sikora et al.,Analytical Biochem.17 2:344-355(1988)が含まれる。 キノキサリンは、Kaul and Vougioukas,U.S.Patent No.5,316,553に記載され ている。 キノリンは、Dolle et al.,J.Med.Chem.37:2627-2629(1994);MaGuire,J.Med.C hem.37:2129-2131(1994);Burke et al.,J.Med.Chem.36:425-432(1993);およびBu rke et al.BioOrganic Med.Chem.Letters 2:1771-1774(1992)に記載されている 。 チロホスチンは、Allen et al.,Clin.Exp.Immunol.91:141-156(1993);Anafi e t al.,Blood 82:12:3524-3529(1993);Baker et al.,J.Cell Sci.102:543-555(19 92);Bilder et al.,Amer.Physiol.Soc.pp.6363-6143:C721-C730(1991);Brunton et al.,Proceedings of Amer.Assoc.Cancer Rsch.33:558(1992);Bryckaert et a l.,Experimental Cell Research 199:255-261(1992);Dong et al.,J.Leukocyte Biology 53:53-60(1993);Dong et al.,J.Immunol.151(5):2717-2724(1993);Gazi t et al.,J.Med.Chem.32:2344-2352(1989);Gazit et al.,"J.Med.Chem.36:3556- 3564(1993);Kaur et al.,Anti-Cancer Drugs 5:213-222(1994);Kaur et al.,Kin g et al.,Biochem.J.275:413-418(1991);Kuo et al.,Cancer Letters 74:197-20 2(1993);Levitzki,A.,The FASEB J.6:3275-3282(1992);Lyall et al.,J.Biol.Ch em.264:14503-14509(1989);Peterson et al.,The Prostate 22:335-345(1993);P illemer et al.,Int.J.Cancer 50:80-85 (1992);Posner et al.,Molecular Pharmacology 45:673683(1993);Rendu et al. ,Biol.Pharmacology 44(5):881-888(1992);Sauro and Thomas,Life Sciences 53 :371-376(1993);Sauro and Thomas,J.Pharm.and Experimental Therapeutics 26 7(3):119-1125(1993);Wolbring et al.,J.Biol.Chem.269(36):22470-22472(1994 );およびYoneda et al.,Cancer Research 51:4430-4435(1991)に記載されている 。 調節剤として用いることができる他の化合物にはオキシインドリノンが含まれ る。実施例 下記実施例は限定を目的とするものではなく、本発明の種々の局面と特徴を示 すためだけのものである。下記実施例は新規タンパク質の単離と特性化、正常細 胞および腫瘍細胞中でのタンパク質発現、タンパク質特異抗体の生成、および哺 乳動物と酵母系における組換え発現について示す。また、タンパク活性を調整す る化合物の同定に有用なアッセイ法について示す。実施例1: PTP04をエンコードするcDNAクローンの単離 下記実施例は原発性癌組織からの新規PTP配列の単離と同定および引き続い てのヒトPTP04の全長クローニングについて記載する。また、細胞または組織 中でのPTP04の検出に有用なプローブにつき記載する。材料と方法 ポリA+RNAをヒトの原発性肺癌および結腸癌の凍結サンプル30μM低温維 持切片から単離した(マイクロ−ファーストトラック、インビトロゲン、サンデ ィエゴ、カリフォルニア)。このRNAはスーパースクリプト・プリアンプリフ ィケーション・システム(ギブコBRL、ゲイザーズバーグ、メリーランド;ジ ェラード(Gerard,GF)ら(1989)、FOCUS 11、66)を用い、製造業者推 奨の条件下で一本鎖cDNAを産生させるのに用いた。代表的な反応では60μL の反応容量中、全量RNA 10μgまたはポリ(A)RNA2μgをオリゴ(dT)12 〜18 1.5μgとともに使用した。生成物をRNアーゼHで処理し、H2Oで希 釈して100μLとした。次工程PRC増幅のために、このss cDNA1〜4μ Lを各反応に用いた。 変性オリゴヌクレオチドを、確立されたホスファーアミダイトの化学に従い、 アプライド・バイオシステムズ394DNAシンセサイザーにより合成し、エタノ ールで沈殿させ、未精製のままPCRに用いた。変性オリゴヌクレオチド・プラ イマーの配列は以下のとおりである: これらのプライマーはペプチド配列DFWXMXW(E/D)(配列番号19)(PTP触媒 ドメインからのセンス鎖)およびHCXAGXG(PTP触媒ドメインからのアンチセン ス鎖)(配列番号20)からそれぞれ誘導した。変性ヌクレオチド残基の指定は: N=A、C、GまたはT;R=AまたはG;また、Y=CまたはT、である。 PCR反応は上に掲げた一本鎖cDNAに適用した変性プライマーを用い実施 した。プライマーはそれぞれ最終濃度5μMとして、10mMトリスHCl(pH 8.3)、50mM KCl、1.5mM MgCl2、200μM各デオキシヌクレオシド 三リン酸、0.001%ゼラチン、1.5UアンプリタックDNAポリメラーゼ(パー キン−エルマ−/シータス)、およびcDNA1〜4μLからなる混合物に加えた 。95℃、3分間の変性に続き、サイクル条件を94℃30秒、50℃1分、および72℃1 分45秒を35サイクルとした。350〜400bp間に移入するPCRフラグメントは、 ジーンクリーン・キット(バイオ101)を用いて2%アガロースゲルから単離し、 T−Aを製造業者のプロトコールに従いpCRIIベクター(インビトロゲン・コ ープ、米国)にクローン化した。 キアゲン(Qiagen)カラムを用い、コロニーをミニプラスミドDNA調製用に 選択し、プラスミドDNAはサイクル配列決定色素ターミネーターキットを用い 、アンプリタックDNAポリメラーゼ、FS(ABI、フォスターシティ、カリ フォルニア)により配列決定した。配列決定反応生成物はABIプリズム377D NAシーケンサーにかけ、ブラスト(BLAST)アラインメント・アルゴリズ ム(アルツシュル、S.F.ら、J.MOl.Biol.215:403〜10)を用い分析した 。新規クローン1種(G77−4a−117)(PTP04と命名)をヒトHLT370原 発性肺癌サンプルから単離した。 新規のホスファターゼをエンコードする全長cDNAを得るために、当初PC Rフラグメントから誘導したセンスまたはアンチセンス・オリゴヌクレオチドに より、レース(RACE:迅速cDNA末端増幅)を実施した。ヒト・MOLT 4白血病細胞から作製したヒト・マラソン−レディ(Marathon−Ready)cDN A(クロンテック、パロアルト、カリフォルニア)を以下のプライマーとともに レース反応に使用した。 レース・プライマー: AP−1およびAP−2(クロンテック)。 PTP04用RT−PCRプライマー: PTP04をエンコードする単離cDNAフラグメントをDNA配列決定により 確認し、次いでヒト白血球cDNAライブラリーのスクリーニング用プローブと して用いた。 ヒト白血球cDNAライブラリー(1トリプレックス、クロンテック)および MOLT4白血病細胞ライブラリー(1g t11、クロンテック)を次いでスクリー ニングし、PTP04をエンコードする全長転写物を単離した。5'−または3'−レ ースフラグメントをランダム・プライミングにより32P−標識し、ライブラリー スクリーニングの標準技法に従い、2×106cpm/mLでハイブリッド形成プロ ーブとして用いた。5×SSC、5×デンハート溶液、2.5%硫酸デキストラン、 50mM Na2PO4/NaHPO4[pH7.0]、50%ホルムアミド中、変性サケ 精子DNA100mg/mLとともに、42℃で前ハイブリッド形成(3時間)および ハイブリッド形成(一夜)を実施した。緊縮洗浄を0.1×SSCおよび0.1%S DS中65℃で実施した。数種のオーバラップ・クローンを単離し、それがPCR フラグメント(G77−4a−117)の配列に及んでいることを見出した。最終配列 はサ イクル配列決定色素ターミネーターキットを用い、アンプリタックDNAポリメ ラーゼ、FS(ABI、フォスターシティ、カリフォルニア)による両系統の配 列決定により正しいことを確認した。配列決定反応産物はABIプリズム377D NAシーケンサーにかけた。結果 : 3,580bPのヒトPTP04ヌクレオチド配列は807のアミノ酸からなるポリペ プチドをエンコードする。PTP04コード配列には52のヌクレオチド5−非翻訳 領域とポリ(A)尾部で終結する1086のヌクレオチド3−非翻訳領域が隣接して いる。フレーム停止コドンには上流がないが、ヌクレオチド53位置で始まる最初 のATGは開始メチオニンのコザック共通配列に一致する。この予測された最初 の6アミノ酸はマウスZPEP(スイスプロット:P29352、ジーンバンク:M9 0388)のアミノ酸に一致し、これはさらにこのものが真の翻訳開始部位であるこ とを支持している。cDNAクローンの一つは、5'UTRのヌクレオチド30位の 後に挿入断片を有していたが、他は配列に差がなかった。 807アミノ酸の配列はシグナル配列も膜透過ドメインも示さず、従って、PT P04は細胞内タンパクである。PTP04はアミノ酸1〜48位からのN−末端領域 、アミノ酸49〜294位からの触媒ドメイン、およびアミノ酸295〜807位からのC −末端尾部を有する。PTP04はマウスZPEPにもっとも関係があり、全体の 相同性は70%である。ZPEPはPTP類亜科の一員であり、PTP亜科はPT P−PEST、HSC、BDP1およびPTP20を含み、そのすべてが単一の触 媒ドメインとPro、Glu、SerおよびThr残基に富む領域(PESTドメイン)をも つ細胞質PTPである。また、PTP04はアミノ酸495〜807のC−末端PEST ドメインを有し、そこには57個のセリン残基(18%)および35個のプロリン残基 がある。PTP04およびZPEPのアミノ酸配列を比較して図1に示す。 PTP04およびZPEPの相同性は該タンパク質のN−末端とC−末端終末に 集中しているが、中間部でも有意な差がある。PTP04のN−末端領域、アミノ 酸1〜48位はマウスZPEPに81%相同である。PTP04の触媒ドメイン、ア ミノ酸49〜294位はマウスZPEPに89%相同である。PTP04の領域294〜600 位はマウスZPEPに約50%相同である。PTP04のC−末端領域、アミノ酸68 0〜817位はマウスZPEPに80%相同である。ヒトSuPTP04配列はPTP類 のPTP−PEST亜科の新メンバーと定義する。実施例2: PTP04の発現 下記実施例は正常ヒト組織および癌細胞系におけるPTP04発現の評価につい て示す。材料と方法 以下より単離した全RNAを1レーンあたり20μg付加し、ノーザンブロット を作製した:成人22人の正常組織(胸腺、肺、十二指腸、結腸、精巣、脳、小脳 、唾液腺、心臓、肝臓、膵臓、腎臓、脾臓、胃、子宮、前立腺、骨格筋、胎盤、 乳腺、膀胱、リンパ節、脂肪組織)、ヒト胎児2検体正常組織(胎児肝臓、胎児 脳)、およびヒト24検体腫瘍細胞系(HOP−92、EKVX、NCI−H23、N CI−H226、NCI−H322M、NCI−H460、A549、HOP−62、OVCA R−3、OVCAR−4、OVCAR−5、OVCAR−8、IGROV1、SK− OV−3、SNB−19、SNB−75、U25LSF−268、SF−295、SF−539、 CCRF−CEM、SR、DU−145、PC−3)(入手先:ニック・スクイデロ (Nick Scuidero)、国立癌研究所、開発促進治療プログラム、ロックビル、メ リーランド)。全RNAサンプルを変性ホルムアルデヒド1%アガロースゲル上 走行させ、ニトロセルロース膜(バイオラッド、カリフォルニア)に移入した。 さらなるヒト正常組織ノーザンブロットは、レーンあたり2μgの8種の異なる ヒト癌細胞系(NCI−H522、K−562、MOLT−4、HL−60、S3、Ra ji、SW480、G361)のポリA+mRNAを電荷修飾ナイロン膜(ヒト癌細胞 系ブロット#7757、クロンテック、パロアルト、カリフォルニア)上に含んでお り、これをハイブリッド形成させた。 全RNAサンプルのために、ニトロセルロース膜を、pCR2.1ミニ298の579 bp・Stul−BstXIフラグメントから合成したランダム・プライマー[ a−32P]dCTP−標識プローブとハイブリッド形成させた。4×SSPE、 2.5×デンハート溶液、50%ホルムアミド、変性サケ精子DNA0.2mg/mL 、酵母tRNA(ベーリンガーマンハイム、インディアナ)0.1mg/mL、0. 2%SDS中、[a−32P]dCTP−標識DNAプローブ5×106cpm/mL とともに、テタネ・ハイブリダイザーHB−1上42℃で一夜ハイブリッド形成を 実施した。ブロットを2×SSC、0.1%SDSにより65℃で20分間2回洗浄し 、次いで、0.5×SSC、0.1%SDSにより65℃で20分間洗浄した。ブロット をリン画像スクリーンに24時間露光し、モレキュラー・ダイナミック・ホスホイ メージャーSF上走査した。 G77-4a−117の351bpのEcoRI−HindIIIフラグメントを用い、ク ロンテック・ナイロン膜上、ポリA+mRNAサンプル2μg用プローブを生成 させた。5×SSC、2%SDS、10×デンハート溶液、50%ホルムアミド、変性 サケ精子DNA100μg/mL中、[a−32P]dCTP−標識DNAプローブ1 〜2×106cpm/mLとともに、42℃で一夜ハイブリッド形成を実施した。膜を2 ×SSC/0.05%SDSにより室温で30分間洗浄し、次いで、0.2×SSC/0. 1%SDSにより50℃で30分間2回洗浄し、コダックXAR−2フィルム上48時間 露光した。 新規PTP類のRT−PCR検出 全RNAを種々の細胞系または新鮮な凍結組織から塩化セシウムクッションに よる遠心により単離した。全RNA20μgをランダム・ヘキサマーおよびモロニ ーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(スーパー−スクリプトII、ギブコBRL、 ゲイザーズバーグ、メリーランド)により逆転写した。SuPTP04をエンコー ドするcDNAを増幅するために、次いでPCRを用いた。逆転写酵素のみを欠 如するRT−PCRを対照として実施した。PCR産物を3%アガロースゲル上 電気泳動し、臭化エチジウム染色により可視化し、UVライトボックス上写真撮 影した。PTP04に特異的な270bpフラグメントの吸光度を異なるRNAサン プル間で比較した。結果 約4.5kbの単−SuPTP04mRNA転写産物をノーザン分析により同定し 、専ら胸腺に存在することを見出した。23種のヒト正常組織の残部(胎児脳、胎 児肝臓、肺、十二指腸、結腸、精巣、脳、小脳、唾液腺、心臓、肝臓、膵臓、腎 臓、脾臓、胃、子宮、前立腺、骨格筋、胎盤、乳腺、膀胱、リンパ節、脂肪組織 )はすべて陰性であった。ヒト腫瘍細胞系の6種(CCRF−CEM、K−562 、MOLT−4、HL−60、SR、Raji)は陽性であった。26種のヒト腫瘍 細胞系の残部は陰性であった。遺伝子特異プライマー対でのRT−PCRは、S uPTP04をエンコードする転写産物の発現がノーザン分析の結果を確認するも のであり、以下の組織においては検出レベルも低いことを示した:脂肪、腎臓、 小腸、造血組織および種々の細胞型(脾臓、胸腺、リンパ節、骨髄、末梢白血球 およびリンパ球)。 ヒト正常胸腺および数種の白血病細胞系を含む造血系起源の細胞におけるPT P04の選択的発現は、T細胞とB細胞の生存、分化または共刺激、および/また は炎症、免疫抑制または自己免疫疾患を含む免疫調整に強く関わっていることを 示唆する。さらに、脂肪組織での発現は糖尿病などの代謝異常においての可能な 役割を示唆する。実施例3: PTP04の組換え発現 以下の実施例は、組換えPTP04の発現用ベクターの構築とPTP04を発現す る組換え細胞系の創製につき説明する。 発現ベクターの構築 発現構築物はPCR介助変異誘発により生成させたが、ここではPTP04の全 コードドメインの、そのカルボキシ末端末尾にインフルエンザ菌の赤血球凝集素 (HA)エピトープYPYDVPDYAS(配列番号55)(パティ(Pati)、1992)を付加 した。構築物は2種の哺乳動物発現ベクター、すなわち、ウイルス生産系統生成 用pLXSN(ミラーおよびロスマン(Miller,AD.& Rosman,G.J.)、Biotechni ques 7、980〜988、1989)および哺乳動物での一過性発現用pRK5に導入した 。 また、優性陰性(シグナル送達不全)PTP04構築物は、保存配列HCSAG(配 列番号56)モチーフの非変異体CysをPCR変異誘発によりAlaに変異することに よってpLXSNおよびpRK5に導入した。 開始メチオニンを除く全PTP04オープン読み枠(HA付加なし)をPCRに より生成させ、抗体生産用ウサギの免疫に使用するGST−融合タンパクのバク テリア生産用pGEXベクター(ファルマシア・バイオテック、ウプサラ、スウ ェーデン)に結合した。開始メチオニンを除く全PTP04オープン読み枠をPC Rにより生成させ、抗体生産用ウサギの免疫に使用するGST−融合タンパクの バクテリア生産用pGEXベクターに結合した。このベクターはグルタチオン− S−トランスフェラーゼのコード配列と、その後に続く組換え融合タンパク質を 産生するポリリンカーを含んでいる。GST部分は融合タンパク質のN−末端部 位を含んでなる。哺乳動物細胞での一過性発現 HA−付加PTP04遺伝子を含むpRK5発現プラスミド(10μgDNA/100 mmプレート)はCOS細胞およびリポフェクタミンをもつ293の細胞(ギブコ BRL)に導入することができる。72時間後、細胞を0.5mL可溶化バッファー (20mM HEPES pH7.35、150mM NaCl、10%グリセリン、1%トリ トンX−100、1.5mM MgCl2、1mM EGTA、2mM弗化フェニルメチル スルホニル、1μg/mLアプロチニン)中に採取した。サンプルの一部を15%ア クリルアミド/0.5%ビスアクリルアミドゲル上SDSポリアクリルアミドゲル 電気泳動(PAGE)により分割し、電気泳動的にニトロセルロースに移動させ た。非特異結合をブロット(Blotto;5%w/v非脂肪ドライミルクおよび0.2%v/ vノニデットP-40(シグマ)含有リン酸緩衝塩溶液)中でのブロット予備培養に よりブロックし、組換えタンパク質はHAデカペプチド付加マウスMabを用い 検出した。別法として、組換えタンパク質は種々のPTP04−特異抗血清を用い 検出することもできる。 ウイルス産生細胞系の生成 PTP04遺伝子を含むpLXSN組換え構築物は、CaCl2介在トランスフ ェクションを用い、両種性ヘルパー細胞系PA317に移入した。G418上選択した 後、細胞をG418不含正常培地に張り付けた(500μg/mL)。抵抗性細胞から の上清を用い、エコトロピック・ヘルパー細胞系GP+E86に感染させ、細胞を 再度G418上で選択した。抵抗性細胞を再度G418から離し、その上清を8〜12時 間ごとに採取し、ウイルス原液としてプールした。レデマン(Redemann)ら、19 92、Mol.Cell Biol.12:491〜498。ウイルス原液の力価は一般に〜106/mLであ った。 哺乳動物細胞での安定な発現 NIH−3T3およびBALB/3T3細胞を10%ウシ胎児血清(FCS)含有D MEM(ギブコ)保持100mmプレートで増殖させた。該細胞はウイルス上清約3 mLを培地15mLに加えることにより、PTP04レトロウイルスで約24時間重感 染させた。レトロウイルス構築物を発現する細胞は、次いで500μg/mL G418 添加DMEM/10%FCS中増殖することにより選択した。実施例4: 抗−PTP04抗体の生成 PTP04−特異免疫試薬はヒトPTP04に存在するユニーク配列に相当する3 種のKLH−結合合成ペプチド混合物に対してウサギで作製した。ペプチド類( 下記参照)はそのC−末端残基をKLHと結合させた。 他の免疫試薬はGST−融合タンパク質として発現されるPTP04のバクテリ ア発現全コード領域によりウサギを免疫することによって生成させた。GST融 合タンパク質はスミス(Smith)らがGene 67:31、1988に記載のとおりにDH5 −アルファ大腸菌バクテリア中で産生させた。バクテリアタンパク質溶解物 はスミス(上記)ら記載のとおりに、グルタチオン−セファロース・マトリック ス上で精製した。実施例5: PTP04活性のアッセイ 材料と方法 : 組換え野生型および優性陰性(シグナル送達不全)PTP04(上記実施例3参 照)をGST−融合タンパク質としてバクテリアから精製した。溶解液をグルタ チオン−セファロース・マトリックスに結合させ、1×HNTGにて2度洗浄し 、次いで100mM 2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)pH6.8 、150mM NaCl、および1mM EDTA含有バッファーにて1度洗浄した。 ホスファターゼ活性のアッセイは一般のPTP基質としてp−ニトロフェノー ルリン酸エステル(PNPP)を用い、実質的にペイ(Pei)らの記載(1993) に従い実施した。簡単には、最終洗浄工程の後に、マトリックス結合タンパクに アッセイバッファー50mL(100mM MES pH6.8、150mM NaCl、10 mM DTT、2mM EDTA、および50mM PNPP)を加え、反応を開始し た。サンプルを23℃にて20分間培養した。反応は各サンプル40μLと1N NaO H960μLとを混合することにより終結させ、p−ニトロフェノールの吸収を450 nmで定量した。沈殿中に存在するPTP04を制御するために、SDSサンプル バッファー中にて沈殿を煮沸し、SDS−PAGEにより分析した。PTP04の 存在は抗−PTP04抗体による免疫ブロット分析により検出した。実施例6: SADの単離および特性化 この実施例は非レセプター・チロシンキナーゼSADの単離と特性化について 記載する。当初、我々はSrc族の新メンバーを同定することから着手した。こ のものは9種の関連する細胞質チロシンキナーゼの一群であり、数種のシグナル 導入経路において重要な役割を果たしている。すべての既知チロシンキナーゼを 比較することによって、我々はSrc族メンバーと、さらに3種のより遠い関係 にあるタンパク質、Srm、BrkおよびMKK3またはFrk(Srm/Brk /Frk群という)を特異的に認識する一対の変性オリゴヌクレオチドプライマ ー を企画した。配列FGE/DVW(配列番号30)はキナーゼドメインのアミノ端 末近辺に位置し、Src族メンバーとSrm/Brk/Frk群にユニークである 。配列WTAPE(配列番号31)はチロシンキナーゼの高度保存DVWSモチーフの末端 アミノそのものに位置しており、Src族およびSrm/Brk/Frk群ならび にEph、Csk、Abl、およびFes族に含まれている。 我々はFGE/DVWおよびWTAPEプライマーをPCR増幅反応に鋳型としての HME(ヒト乳房上皮)細胞ss cDNAとともに用いたとき、既知Src関連 物と、他のキナーゼに相同性を有する483bpの新規DNAフラグメント(HME 1264)とを単離した。新規配列はマウスSrm(ジーンバンク受け入れ番号#D2 6186)に非常によく似ており、そのクローンをヒトSADと命名した。 SADプローブを使用し、ヒト乳癌細胞系mRNAから構築したcDNAライ ブラリーをスクリーンして、2種の重なり合った独立クローンを単離した;この ものはキナーゼドメインに及んでいるが、見掛け上のイントロンを含んでおり、 恐らく不完全にプロセッシングを受けた転写産物から生じたものである。次いで 、連続的なレース反応によりMCF7 RNAからコーディング領域の5'端末を単 離し、全コーディング領域をHME cDNAからPCRにより再単離した。材料と方法 総RNAはコムジンスキーとサッキー(P.Chomczynski and N.Sacchi,Anal.Bi ochem.162、156(1987))のグアニジン塩/フェノール抽出プロトコールを用いて 、HME(ヒト乳房上皮)細胞から単離した。このRNAを鋳型として用い、ギ ブコBRLから購入した第一鎖合成キット用スーパースクリプト・プリアンプリ フィケーション・システムにより(ライフ・テクノロジー、米国;ジェラード( Gerard,GF)ら、FOCUS 11:66(1989))、製造業者推奨の条件下で一本鎖 cDNAを産生させた。代表的な反応では、60μLの反応容量中、総RNA10μ gまたはポリ(A)+RNA2μgをオリゴ(dT)12 〜181.5μgとともに使用 した。生成物をRNアーゼHで処理し、H2Oで希釈して100μLとした。次工程 PRC増幅のために、これらのss cDNA 1〜4μLを各反応に用いた。 オリゴヌクレオチドを、確立されたホスファーアミダイトの化学に従い、アプ ライド・バイオシステムズ394DNAシンセサイザーにより合成し、エタノール で沈殿させた後、未精製のまま用いた。変性オリゴヌクレオチド・プライマーは 以下のとおりである: (センス)および (アンチセンス)。 これらのプライマーはペプチド配列GQFG(E/D)VW(配列番号32)(センス鎖) およびWTAPEALL(配列番号32)(アンチセンス鎖)からそれぞれ誘導した。変性 ヌクレオチド残基の指定は:N=A、C、GまたはT;R=AまたはG;また、 Y=CまたはT、である。Srcを鋳型として用い、これらのプライマーは480 bpの産物を産生する。 PCR反応はHME細胞cDNAに適用したプライマーFGE/DVWおよび WTAPEを用い実施した。プライマーはそれぞれ最終濃度0.5μMとして、10 mMトリスHCl(pH8.3)、50mM KCl、1.5mM MgCl2、200μM 各デオキシヌクレオシド三リン酸、0.001%ゼラチン、1.5UアンプリタックD NAポリメラーゼ(パーキン−エルマー/シータス)、およびcDNA1〜4μL からなる混合物に加えた。94℃、3分間の変性に続き、サイクル条件を94℃30秒 、37℃1分、72℃での2分間のランプ、および72℃1分を最初の3サイクルとし、 その後、94℃30秒、60℃1分、そして72℃1分を35サイクルとした。450〜550bp 間に移入するPCRフラグメントは2%アガロースゲルから単離し、リン酸化し 、T4ポリヌクレオチド・キナーゼとクレノウフラグメントで処理することによ り修復し、平滑末端をベクター・pブルースクリプトSK+(ストラータジーン 、米国)のEcoRV部位にクローン化した。 キアゲン(Qiagen)カラムを用い、DNAミニ調製により単一コロニーからプ ラスミドDNAを単離し、サイクル配列決定色素ターミネーターキットを用い、 アンプリタックDNAポリメラーゼ、FS(ABI、フォスターシティ、カリフ ォルニア)により配列決定した。配列決定反応生成物はABIプリズム377DN Aシーケンサーにかけ、ブラスト(BLAST)アラインメント・アルゴリズム (アルツシュル、S.F.ら、J.Mol.Biol.215:403〜10、1990)を用い分析し た。新規クローン1種(HME1264)はHME細胞からの鋳型としての一本鎖c DNA上、プライマーFGE/DVWおよびWTAPEでのPCRにより単離し た。次いで、このクローンをヒトSADフラグメントとした。 ラムダZapII(ストラータジーン・クローニング・システム、ラホーラ、カ リフォルニア)cDNAライブラリーは、オリゴ(dT)およびランダムプライムに よる第一鎖cDNA合成用の鋳型として乳癌細胞系プールからのmRNAを用い 構築した(ライブラリーはクロンテック・カスタム・ライブラリー合成部門(パ ロアルト、カリフォルニア)が創製した)。プールに使用した細胞系はMCF7 、HBL100、MDA−MB231、MDA−MB175IIV、MDA−MB435、MD A−MB453、MDA−MB468、BT20、T47DおよびSKBR3であり、その そべてがATCCから入手可能である。ファージはニトロセルロースフィルター 上、HME1264からのランダムプライマー32P−標識挿入産物2×106cpm/m Lにより、6×SSPE、50%ホルムアミド、2×デンハート試薬、0.1%SD S、変性断片化サケ精子DNA0.05mg/mLを含むハイブリッド形成バッファ ー中でスクリーンした。42℃でのハイブリッド形成一夜後、フィルターを1×S SCと0.1%SDS中65℃で洗浄した。2つの重なり合った部分クローンを単離 し、T7ポリメラーゼおよびオリゴヌクレオチドプライマーによる手動配列決定 により、コーディング領域を経て配列決定した(テイバーおよびリチャードソン (Tabor and Richardson)、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84:4767〜71、1987)。 これらの単離体はSADのキナーゼドメインを包含し、見掛け上イントロン5'内 からキナーゼドメインに伸長しており、3'では枠内終止コドンに伸長しているが 、さらに4つの見掛け上イントロンにより中断されている。 2つの連続した5'レース(RACE;cDNA末尾の迅速増幅)反応(フロー マン(Frohman)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:8998、1988)を次いで用い 、コーディング領域の5'末尾を単離した。一本鎖cDNAをスーパースタリプト ・プリアンプリフィケーション・システム(ギブコBRL)を用い、上記のとお りに調製したが、その際、逆転写を開始するために鋳型としてMCF7からの総 RNA6μgとレース1用遺伝子特異プライマー5556(5'- AGTGAGCTTCATGTTGGCT−3'(配列番号34))またはレース2用5848(5'−GGTAGAG GCTGCCATCAG−3'(配列番号35))を使用した。RNアーゼHでの処理後、ss c DNAを2度連続の酢酸アンモニウムとエタノール沈殿により回収し、デオキシ 末端トランスフェラーゼ(ギブコBRL)での処理によりdAの担体グリコーゲ ン・ホモポリマー尾部を添加し、2つの反応混合物をTEで希釈し50μLとした 。アンプリタックDNAポリメラーゼ(パーキン−エルマー/シータス)による 第二鎖cDNA合成は、鋳型として尾部cDNA1〜5μLおよび上記のバッファ ー条件を用い、0.2μM PENN(dT)17(5−GACGATCGGAATTCGCGA(dT)17 −3')(配列番号36)で開始した。94℃5分間の変性、50℃1分間のアニーリン グ、および72℃40分間の拡張に続き、プライマーPENN(5'−GACGATCGGAATTC GCGA−3')(配列番号37)および5555(5'−CCCAGCCACAGGCCTTC−3')(配列番 号38)を1μMの濃度で加え、PCRは94℃30秒、49℃1分、および72℃1分、45 秒40サイクルのサイクル条件で実施した。第二のネストPCRは鋳型として当初 PCR反応物0.2μLおよびプライマーPENN(配列番号37参照)と5554(5' −CCACACCTCCCCAAAGTA−3')(配列番号39)1μMで使用して初期3分間の変性 を94℃で実施し、次いで94℃30秒、49℃1分、および72℃1分、45秒35サイクルの サイクル条件とした。PCR産物を1%アガロースゲル上で分離し、臭化エチジ ウム染色および32P−末端標識したオリゴヌクレオチド5557(5'−TGGGAGCGGCCA CA CTCCGAATTCGCCCTT−3')(配列番号40)を用いサザーンハイブリッド形成し て可視化した。500〜700bpの反応生成物をpブルースクリプトSK+(ストラ ータジーン、米国)のEcoRI部位にクローン化し、陽性クローンをプローブ としてのオリゴヌクレオチド5557によるコロニーハイブリッド形成により同定し た。クローン16A1(配列番号10のヌクレオチド195〜783を包含する)を単離し 、ABIと手動配列決定の組合わせにより配列決定した。 第二セットの5'レース反応は、記載した場合は別として、上記の手法を用いク ローン16A1の配列に基づき実施した。遺伝子特異プライマーは第一鎖合成のた めの5848(配列番号35)、第一PCRのための6118(5'−GCCTG CGTGCGAAGATG−3')(配列番号41)、および第二PCRのための6119(5'−CTTC GAGGGCACAGAGCC−3')(配列番号42)であり、サザーンおよびコロニーハイブリ ッド形成のためのプローブは16A1からのランダムプライマー32P−標識挿入産 物であった。250〜450bp間に移入するPCRフラグメントは2%アガロースゲ ルから単離し、リン酸化し、T4ポリヌクレオチド・キナーゼとクレノウフラグ メントで処理することにより修復し、平滑末端をベクター・pブルースクリプト SK+(ストラータジーン、米国)のEcoRV部位にクローン化した。クロー ン20E2(配列番号10のヌクレオチド1〜267を包含する)を単離し、ABIと手 動配列決定の組合わせにより配列決定した。 次いで、SADのコーディング領域を2つの重なり合ったPCRフラグメント としてHME cDNAから単離した。一本鎖cDNAはHME細胞からのポリ (A)+RNAから、上記のようにスーパースクリプト・プリアンプリフィケー ション・システム(ギブコBRL)を用い調製した。アンプリタックDNAポリ メラーゼ(パーキン−エルマー/シータス)でのPCRは、鋳型としてのcDN A1〜2μLを用い、初期3分間の変性を94℃で実施し、次いで94℃30秒、55℃1 分、および72℃1分、45秒30サイクルのサイクル条件および上記バッファー条件 とした。プライマー6642(5'−ATGGAGCCGTTCCT CAGGAGG−3')(配列番号43)お よび6644(5'−TCACCCAGCTTCCTC CCAAGG−3')(配列番号44)はSADの約710 bP5'フラグメントの増幅に使用し、プライマー6643(5'−AGGCCAACTGGAAGCTGA TCC−3')(配列番号45)および6645(5'−GCTGGAGCCCAGAGCGTTGG−3')(配列 番号46)はSADの約860bp3'フラグメントの増幅に使用した。PCRフラグ メントは1%アガロースゲルから単離し、リン酸化し、T4ポリヌクレオチド・キ ナーゼとクレノウフラグメントで処理することにより修復し、平滑末端をベクタ ー・pブルースクリプトSK+(ストラータジーン、米国)のEcoRV部位に クローン化した。陽性クローンはプローブとしての16A1からのランダムプライ ム32P−標識挿入産物(5'フラグメント用)およびHME1264からのランダムプ ライム32P−標識挿入産物または32P−標識オリゴヌクレオチド5557(3'フラグ メント用)とのコロニーハイブリッド形成により同定した。重なり合う5'および 3'PCRフラグメントはユ ニークEcoRI部位を介してともに結合させ、全長SADコーディング領域と した。ヒトSADコーディング領域の完全配列は、HME細胞から調製したcD NAを増幅し、得られる重なり合う5'および3'PCRクローンから決定した。5' 非コーディング配列は重なり合うレースフラグメント16A1から決定した。配列 はサイクル配列決定色素ターミネーターキットを用い、アンプリタックDNAポ リメラーゼ、FS(ABI、フォスターシティ、カリフォルニア)により両鎖上 、手動で決定した。結果 配列番号10に示した1,548bPヒトSAD(SAD_h)ヌクレオチド配列は 、488アミノ酸のポリペプチドをエンコードする単一オープン読み枠を含む。S AD_hコーディング領域は、開始メチオニン4コドン前の枠内終止コドンを含 む48ヌクレオチド5'−非翻訳領域と、2つの枠内終止コドンを含む33ヌクレオチ ド3'−非翻訳領域が先行している。 SAD cDNAの配列は、正常HME細胞cDNAからの重なり合うPCR −増幅フラグメント(ヌクレオチド49〜1548)、乳癌細胞ラムダcDNAライブ ラリーからのクローン(ヌクレオチド694〜1548)、およびMCF7cDNAか らの重なり合う5'レース産物(ヌクレオチド1〜783)から決定したが、これらは 恐らくある多形部位を含む以下の配列差異を有している。曖昧さはヌクレオチド 636(配列番号10参照)においてHME PCRクローンのCがMCFとレース( RACE)産物のTに変わっていること、ヌクレオチド1477においてHME PC RクローンのTが乳癌ライブラリーのCに変わっていること、乳癌ライブラリー の919〜920位でヌクレオチドGTが欠失していること、および乳癌ライブラリー の694、995、1117、および1334位置(配列番号10に関して)に挿入された見掛け 上のイントロンがあることなどである。 SADのドメイン構造はN−末端ユニークドメインとそれに続くSH3ドメイ ン、SH2ドメインおよびキナーゼドメインからなる。この全体のトポロジーは Src、Srm/Brk/Mkk3、およびCskの系統群が分担している。SA DはマウスSrmにもっとも近似しているが(ジーンバンク受け入れ番号#D 26186)(コームラ(Kohmura)ら、Mol.Cell.Biol.14:6915〜6925、1994)、こ れは機能未知の遠隔SRC類縁体である。SADおよびSrmは個々のドメイン における配列同一性を分け持っており、それぞれ55%(ユニーク領域)、72%( SH3ドメイン)、78%(SH2ドメイン)、および85%(キナーゼドメイン)で ある。真のSrc族メンバーと違って、SADおよびSrmはN−末端膜付着配 列および潜在的なC−末端陰性調整チロシンの両方を欠いている。さらに、Sr c族キナーゼドメインに特徴的なHRDLRXAN(配列番号47)は、SADおよび他の Srm/Brk/Mkk3グループメンバーにおいてはHRDLAXRN(配列番号48)で ある。殆どの他のチロシンキナーゼ同様、SADおよびSrm両方ともに潜在的 な自己リン酸化部位(SADの380Y)を含んでいる。SADおよびSrmのN −末端配列は最初の22個のアミノ酸の内20残基が同一であって類似しているが、 C−最末端は全く異なっている。 入手可能な証拠は、SAD_hおよびSrm_mが種オルトログー(orthologue) というよりもむしろ異なる遺伝子であることを示唆している。全体として、上に 掲げたSAD_hおよびSrm_m間の相同性レベルは緊密なSrc族メンバーの ものに匹敵する(例えば、Src_hとYes_h)が、種対象物のものよりも低 い。また、SAD_hおよびSrm_mは異なる発現パターンを示し、SAD_h の発現はPCRにより十二指腸および多分精巣に検出されるが、他の試験した組 織には検出されず、他方、Srm_mの発現はノーザンにより肺、肝臓、脾臓、 腎臓および精巣に最高レベルで検出された(コームラ(Kohmura)ら、Mol.Cell.Bio l.14:6915〜6925、1994)。最後に、マウスのSrm遺伝子を分断しても検出し 得る表現型を示さないが(コームラ(Kohmura)ら、Mol.Cell.Biol.14:6915)、 このことは他の関連タンパク質がその機能を補っていることを示唆している。実施例7: SAD発現分析 材料と方法 RNAは種々のヒト細胞系および新鮮な凍結正常組織から単離した。(腫瘍細 胞系はニック・スクイデロ(Nick Sculdero)、国立癌研究所、開発促進治療プ ログラム、ロックビル、メリーランドから入手した)。一本鎖cDNAはスーパ ー スクリプト・プリアンプリフィケーション・システム(ギブコBRL)を使用し 、上記のよに各RNA10μgから合成した。これらの一本鎖鋳型はアニーリング 温度65℃として35サイクルのPCR反応に使用した;その際2種のSAD−特異 オリゴヌクレオチド(5284:5'−TCGCCAAGGAGATCCAGACAC−3'(配列番号49)お よび5285:5−GAAGTCAGCCACCTTGCAGGC−3'(配列番号50))を使用した。反応生 成物を2%アガロースゲル上電気泳動し、臭化エチジウムにより染色、UVライ トボックス上で写真撮影した。約320bpのSAD−特異バンドの相対強度をサ ンプルごとに評価した。結果は4を最高相対発現とし、0を最低として数値で見 積った。結果 正常ヒト組織および多様な新生物性起源の複数細胞系におけるSAD発現プロ フィールを、キナーゼドメインの配列からのプライマーを使用し、準定量的PC Rアッセイにより決定した。表1および2はその結果を示す。正常組織サンプル において(表1)、中程度のSAD発現が十二指腸に、また多分低レベルでは精 巣にも検出されたが、他のすべてのサンプルでは陰性であった。はるかに高い発 現がサブセットの癌細胞系(表2)に認められたが、ある種ヒト結腸腫瘍細胞系 (HCT−15、SW480、およびHT−29)、卵巣癌(IGROV1)、および腸癌( SNU−C2B)では最高レベルで認められた。表2に示すように、より弱いS ADの発現も幾つかの他の腫瘍細胞系、例えば、結腸、乳房、肺、卵巣、および 腎臓から誘導された細胞系に見られた。 実施例8: SAD に特異的な免疫試薬の作成 SADのC末端(SEQ ID No:35のアミノ酸配列478から488)で、ジェントリーと ロートン(Gentry and Lawston)がウイルス学雑誌(Virology)152巻421ページ、 1984年に記載しているように、486番目のCをSに置換したものに由来する合成 アミノ酸をKLHに結合してウサギを免疫し、SADに特異的な抗血清を作成した。実施例9: SAD の組換え発現 ベクターの構築 発現コンストラクトはPCRによる突然変異誘発を使って作成し、5'非翻訳配列 が5'-GGATCCCCGGACC-3'(SEQ ID NO:51)になるように開始メチオニンの上流にBam HIサイトを導入した。N末端にヘキサヒスチジンでタグを付けたコンストラクト も、SADコード配列の2番目のヌクレオチド(グルタミン酸)を後につけたMRGSH HHHHH(SEQ ID NO:52)(ATGAGAGGATCGCATCACCATCACCATCAC,SEQ ID NO:53)に対する コード配列によるPCRを用いて作成した。この配列でタグを付けられたタンパク はRGS-HIS抗体(キアゲン社)で認識でき、Ni-NTA樹脂(キアゲン社)でアフィ ニティ精製できる。これらのコンストラクトはpBluescriptSK+(ストラタジーン USA)の5'-BamHIと3'-EcoRIサイト、および哺乳類の発現ベクターpcDNA3(イン ビトロゲン)の5'BamHIと3'XhoIサイトにクローニングし、一過性の発現の分析 に用いた。 SpeI-XhoI完全長のSADコンストラクトもpBluescriptSK+(ストラタジーンUSA) から酵母の発現ベクターpRSPにクローニングした(Superti-Furgaらエンボジャー ナル12巻2625-2634ページ)。このベクターは分裂酵母ポンベにおける誘導発現の ためのシャトルベクターでチアミン抑制性のプロモーターを含んでいる。このシ ステムは、CSKによる負の調節を調べるためにSRCファミリーメンバーを研究する のに、調節因子を更にスクリーニングするために、あるいは組換えタンパクを生 成するのに役立ってきた(Superti-Furgaらエンボジャーナル12巻2625-2634ペー ジ;Superti-Furgaらネイチャー バイオテクノロジー14巻600-605ページ)。哺乳類細胞におけるSADの一過性の発現 修飾していない、ヘキサヒスチジンでタグをつけたSAD遺伝子を含むpcDNA3発 現プラスミド(5μg DNA/60mmプレート)をリポフェクトアミン(ギブコBRL)で29 3細胞に導入した。48時間後、0.25mLのRIPA(20mM Tris-Cl pH 7.5,150mM NaCl, 1%トリトンX-100,1%デオキシコール酸エステル、1%SDS、1mM DTT,1mMバナ ジン酸ナトリウム、1mMフェニルメチルフッ化スルホン酸、2μg/mLアプロチニ ン,1μg/mLリューペプチンおよび25μg/mLト リプシン阻害剤)で回収した。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によ り10%アクリルアミドゲル上で試料を展開し、ニトロセルロース膜に電気的に移 した。非特異的な結合はBlotto(5% w/vの脱脂粉乳と0.1% v/vのツイーン20を 含むトリス緩衝生理食塩水)に膜を事前に浸すことによって阻止した。組換えタ ンパクはアフィニティ精製したSADに特異的なポリクローナル抗体とペルオキシ ターゼを結合した二次抗体をECLキット(アマシャム ライフサイエンス)と共 に用いて検出した。ヘキサヒスチジンのタグを付けたタンパクはRGS-His抗体( キアゲン社)を用いて検出した。リン酸化チロシンを含むタンパクは非特異的結 合阻止試薬として3% BSAを用い、モノクローナル抗体4G10でウエスタンブロッ ティングを行うことにより検出した。 SADのC末端(実施例8参照)に対して作製し、アフィニティ精製した抗ペプチ ド抗体は、遺伝子導入した293細胞の〜55kDaのタンパクを認識したが、発現して いるタンパクの90%以上がRIPA不溶性であった。この分子量はSADの一次構造か ら予測された分子量(54.510kD)に一致していた。SAD遺伝子を導入した細胞は チロシンがリン酸化された約55kDaタンパクを顕著に含んでいるが、それは対照 ベクターには存在しないものである。抗SADのみでは免疫沈降できないものの、 プロテインAに結合した抗SADとブロッティング抗体としての4D10を用いたIP-ウ エスタンでバンドが明瞭に検出されるため、リン酸化されたタンパクは、多分SA Dそのものである。分裂酵母ポンベにおける組換えSADの発現 分裂酵母ポンベは、このシステムがサークファミリーメンバーを研究するのに 有用であることが判っているので、組換えSADを発現させその機能と調節を研究 するために用いた(Superti-Furga et al.,エンボジャーナル12巻、2625-2634ペ ージ;Superti-Furga et al.,ネイチャー バイオテクノロジー 14巻、600-605 ページ)。分裂酵母ポンベのSP200株(h-s leul.32 ura4 ade210)は文献記載に 従って増殖させ、酢酸リチウム法によってpRSP発現プラスミドで形質転換を行っ た(モレノMorenoら、1991;Superti-Furga et al.,エンボジャーナル12巻、2625- 2634ページ)。細胞はnmtlプロモーターからの発現を抑制するために1μM のチアミン存在下で、また発現を誘導するためにはチアミンの非存在下で増殖さ せた。 抑制的な条件下では、SADを発現している株は液体培養でも固相培養でも対照 ベクターに比べて増殖に欠陥は見られない。この結果はSrcやFrkを含むそのほか のチロシンキナーゼの発現によって毒性を誘発することとは対照的である。この 株ではSADタンパクはC末端に対する抗体を用いたウエスタンブロッティングに よって弱いバンドとして検出することができる。抗リン酸化チロシンを用いたウ エスタンブロッティングではSADそのものだけがリン酸化チロシンを含むタンパ クとして検出されるが、パーバナデイトの存在下では細胞性のタンパクもリン酸 化される。この結果は、SrcやMKK3がホスファターゼ阻害剤の非存在下でも多く の酵母タンパクをリン酸化するというものと対照的である。このような知見は、 SADが比較的限られた基質特異性を持ち、自身を自己リン酸化することを示唆し ている。このような結果は293細胞における一過性発現実験とは矛盾しない。実施例10: SAD キナーゼ活性の測定 以下の実施例ではSADキナーゼ活性の試験管内での測定について記載する。測 定はSAD活性の調節因子を同定するのに有用である。材料と方法 ヘキサヒスチジンでタグを付けたSADを発現している分裂酵母ポンベを遠心分 離によって回収し、ガラスビーズ法によってNP40溶解緩衝液中(50mM Tris-Cl pH 7.5,150mM NaCl,1% NP40,5mM 2-メルカプトエタノール、1mMバナジン酸 ナトリウム、1mMフェニルメチルフッ化スルホン酸、2μg/mLアプロチニン、1 μg/mLリューペプチンおよび25μg/mLトリプシン阻害剤)で溶解した(Superti- Furgaetal.,エンボジャーナル12巻、2625-2634ページ)。酵母抽出物(100μL N P40溶解緩衝液中で100μgの全タンパク)と0.6μgのRGS His抗体(キアゲン社) および10μLのプロテインA/Gアガロース(アップステート バイオテクノロジー )を混合し、4℃で3時間反応することによっ て免疫沈降を行った。IP複合体は1mLの溶解緩衝液で4回洗浄し、1mLのキナー ゼ緩衝液(20mM Na-HEPES pH 7.5,10mM MnCl2,2mM 2-メルカプトエタノールおよ び10μMバナジン酸ナトリウム)で1回洗浄した。キナーゼ活性の測定は15μM A TP,0.5μCig-32P-ATPを含む40μLのキナーゼ緩衝液に基質として3μgの変性エ ノラーゼあるいは10μgのポリ−Glu-Tyr(4:1)を加え30℃で10分間行った。抽出 物の測定には反応当たり2-10μgの全タンパクを用い、IP複合体の測定には測定 当たり5μLのプロテインA/Gビーズを用いた。反応はSDS試料緩衝液を加えるこ とによって止め、10%SDSポリアクリルアミドゲルで展開し、オートラジオグラ フィで観察した。結果 SADは試験管内で変性エノラーゼおよびポリ-Glu-Tyrの両方をリン酸化するこ とができた。両基質のリン酸化はSADを発現している酵母の粗溶解物で検出され たが、対照のベクター株の溶解物では検出されなかった。さらに、SADを発現し ている株からの抗His IP複合体は変性エノラーゼおよびポリ-Glu-Tyrの両方をリ ン酸化したが、対照株由来の抗His IP複合体はリン酸化しなかった。実施例11: PTP05 およびPTP10をコードしているcDNAクローンの単離 以下の実施例で、主としてマウス脂肪、およびラットの前脳基部からの新しい PTP配列およびそれに続く完全長のPTP05配列のクローニングに関する単離と同定 を記載する。また細胞や組織におけるPTP05および/あるいはPTP10を検出するの に有用なプローブも記載する。 材料と方法 ob/obマウスの脂肪およびそれとは別にラットの前脳基部からの全RNAは、Chom czynskiとSacchiのグアニジン塩/フェノール抽出プロトコールを用いて単離し た(P.ChomczynskiおよびN.Sacchiアナリティカル バイケミストリーAnal Bioh em 162巻156ページ1987年)。これらのRNAを用いてスーパースクリプト事前増幅 システム(ギブコBRL,ゲーサースバーグ,MD;Gerard らフォーカス11巻66ページ1989年)により取り扱い説明書の条件に従って1本鎖 cDNAを作成した。標準的な反応には反応用量60μLに対し10μgの全RNAを1.5μg のオリゴ(dT)12-18と共に用いた。産物はRnaseHで処理し、水で100μLに希釈し た。次のPCRの増幅については各反応に1-4μLのこのsscDNAを用いた。 変性オリゴヌクレオチドはできあがっているホスホラミダイト化合物を用いて アプライド バイオシステム394 DNAシンセサイザーで台成し、エタノールで沈 殿させ、精製せずにPCRに用いた。変性オリゴヌクレオチドプライマーの配列は 以下の通りである: および これらのプライマーはそれぞれ、ペプチド配列DFWXMXW(E/D)(SEQ ID NO:19)(P TPの触媒ドメインからのセンス鎖)およびHCXAGXG(SEQ ID NO:20)(PTPの触媒ド メインからのアンチセンス鎖)に由来した。変性残基の呼称に関する標準UIPAC 名はN=A,C,G,あるいはT;R=AあるいはG;Y:CあるいはT;V=A,C,あるいはG;W=Cある いはT;S=CあるいはG;M=AあるいはC;およびH=A,CあるいはTである。 PCR反応は上述した1本鎖cDNAに適用した変性プライマーを用いて行った。10m M Tris HCl(pH 8.3),50mM KCl,1.5mM MgCl2,200μMの各デオキシヌクレオシド3 リン酸、0.001%のゼラチン、1.5UのアンプリタックDNAポリメラーゼ(パーキン エルマー/シータス)および1-4μLのDNAを含む各混合物に最終濃度が5μMにな るようにプライマーを加えた。続いて95℃で3分間変性し、サイクル条件は94℃ で30秒、50℃で1分、72℃で1分45秒を35サイクルで行った。ジーンクリーンキ ット(バイオ101)を用いて2%アガロースゲルによって分離するとPCR断片は35 0-400塩基対のところに移動し、説明書に従ってT-AをpCRIIベクター(インビトロ ゲン社USA)にクローニングした。 ミニプラスミドDNA調製のためにキアゲンカラムを用いてクローンを選抜し、 アンプリタックDNAポリメラーゼFS(ABI フォスターシティCA)を用い、サイク ル配列決定色素停止キットによってプラスミドDNAの配列を決めた。配列決定反 応はABIプリズム377DNAシーケンサーで実行し、BLAST調整アルゴリズム(Altsch ul,S.F.らJ.Mol.Biol.215巻403-410ページ)で分析した。SuPTP05と名付けた新 規のPTP(R90-2-22)をコードするクローンの数コピーをマウスの脂肪組織から単 離し、関連したクローンPTP10をラットの前脳基部から単離した。 新規のホスファターゼPTP05をコードする完全長のcDNAを得るために、元々のP CR断片に由来するセンスおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドと共にRACE(cD NA末端の迅速増幅)を行った。マウスの精巣から作成したマラソンレディcDNA( クロノテック、パロアルトCA)を以下のプライマーと共にRACE反応に用いた。 RACEプライマー:AP-1およびAP-2(クロノテック) PTP05の配列決定をするためのRT-PCRのプライマー 単離されたSuPTP05をコードしているcDNA断片はDNAの配列によって確認し、続 いてマウス精巣のcDNAライブラリーをスクリーニングするためのプローブとして 用いた。 PTP05をコードしている完全長の転写物を単離するために、2つのマウス精巣c DNAライブラリー(lZapII,ストラタジーン、ラホヤ、CAおよびlgt10、クロノテッ ク)をスクリーニングした。5'あるいは3'-RACE断片をランダムプライムによって32 P標識し、2x106cpm/mLでハイブリッド形成のプローブとして用い、標準的方 法にてライブラリーをスクリーニングした。事前ハイブリッド形成(3時間)お よびハイブリッド形成(一晩)は、5 x SCC,5xデンハーツ溶液、2.5%硫酸デキ ストラン、50mM Na2PO4/NaHPO4(pH 7.0),50%ホルムアミドおよび100μg/mLの変 性サーモン精子DNAの中で42℃にて行った。0.1 x SSCおよび0.1% SDSにて65℃ で洗浄を十分行った。重複する数個のクローンを単離し、PCR断片(R90-2-22)とR ACE産物の共通の配列を補うことが判った。最終的な配列は、アンプリタックDNA ポリメラーゼ,FS(ABI、フォスターシティCA)と共にサイクル配列決定色素停 止キットを用いて両方の株の配列により確認した。配列決定反応はABIプリズム3 77DNAシーケンサーにより実行した。完全長のPTP10も同じ方法で得ることができ る。 結果: マウスのPTP05主な転写産物は、1785個のヌクレオチドで、予測された分子量494 22ダルトン(SEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:11)で予測された426個のアミノ酸ペ プチドをコードしている。PTP05をコードしている配列には198ヌクレオチドの5' 側非翻訳領域があり、3'側には279ヌクレオチドの非翻訳領域があり、ポリAで終 了している。主要なオープンリーディングフレームの上流の3つのフレームには すべてインフレーム停止コドンがある。199番目のヌクレオチドがATGで始まって いるのは開始コドンがメチオニンであるというコザックのコンセンサスに一致し ている。あるクローン(#6.1)は328番目の塩基で111塩基対の挿入があり、コード 配列に37個のアミノ酸をインフレームで付加している。2番目のクローン(#10.1 )は1415番目から93塩基対の欠失があり、フレームシフトが起きて読み取りは早 期に終了している。198番目の5'UTRの上流では 多数のクローンが2つのグループに分かれ、5'UTRをさらに98-153塩基対に伸ば している。さらにあるクローン(#15.3)では1758番目でポリA配列を欠き、他 の300のヌクレオチドで3'UTRを伸ばしている。 アミノ酸配列にはシグナル配列も膜貫通ドメインも見当たらず、PTP05は細胞 内タンパクであろうと思われる。マウスのPTP05のN末端ドメインはアミノ酸配列 の1から187までで独特のものである、すなわち重複しないタンパクのデータベ ースでどのタンパクとも十分な相同性を持たない。重複しないタンパクのデータ ベースとはGenBank Genpept,PIRおよびスイスプロットからのペプチド配列で構 成されているものである。アミノ酸配列188-420番目でタンパクチロシンホスフ ァターゼの触媒ドメインが1つある。触媒ドメインは5つのほかのファミリーに おけるPTPとの間にアミノ酸レベルで相対的には低いけれども同一性(40-47%) がある:すなわちZPEP(マウス)(46.7%),PTP-BAS(ヒト)(45.6%),DEP( ヒト)(40.5%),PTP-g(ヒト)(40.6%)で、このことはそれが新しいPTPフ ァミリーであることを示唆している。触媒ドメインを越えた421-426番目がPTP05 のC末端配列になるが、ほかのタンパクチロシンホスファターゼとの相同性はな い。PTP05には存在しない、ほかの哺乳類PTPの細胞質ドメインで見つかったモチ ーフにはSH2,タリン/エゼリン様、PEST,GLGFおよびレチナールデハイド結合タン パクドメインがある。ほかとは異なった触媒ドメインであり、良く知られた非触 媒モチーフが存在しないことから、我々はPTP05を新しい別のタンパクチロシン ホスファターゼと呼ぶことにした。 マウスPTP05で別のタイプのものではN末端コード領域に111塩基対の挿入があ り、37個のアミノ酸を増やしている(SEQ ID NO:4およびSEQ ID NO:12)。この189 6塩基対の“長い”型のマウスPTP05は463個のアミノ酸をコードし、予想分子量 は53716ダルトンである。挿入はアミノ酸配列の44-80番目にあり、重複しないタ ンパクのデータベースのどのタンパクとも十分な相同性はない。 PTP05の第三の型は、1415-1507塩基対で欠失があり、その結果フレームシフト が起きC末端で切断されて406-412番目のアミノ酸が変わっている(SEQ ID NO:5お よびSEQ ID NO:13)。1692塩基対の“C端が短い”マウスのPTP05は412個のアミノ 酸をコードし、予想分子量は47233ダルトンである。 ラットのPTP10クローンはマウスのPTP05との間でDNAレベルで92%(320個の ヌクレオチド)およびアミノ酸レベルで85%(107個のアミノ酸)の同一性を持っ ている(図1参照)。2つの触媒ドメインの相同性レベルによってPTP05とPTP10 は別のしかし関連ある遺伝子であることが示唆され、PTP10は新しいPTPファミリ ーの第二のメンバーであると見なされる。ラットPTP10配列の一部をSEQ ID NO:6 (核酸)およびSEQ ID NO:14(アミノ酸)に示す。実施例12: PTP05 の発現 以下の実施例では正常なマウスの組織におけるPTP05およびPTP10の発現の評価 を示す。ヒトのPTP05あるいはPTP10を用いてヒトの組織で同様の分析を行うこと ができる。材料と方法: 成獣マウスの8つの組織(肺、精巣、脳、心臓、肝臓、腎臓、脾臓、骨格筋) で、レーン当たり2μgのポリA+mRNAを用いた、電荷を修飾したナイロン膜上で のノーザンブロット法はクロノテック(#7762-1、パロアルト、CA)から入手し た。 R90-2-22(上記参照)のEcoRI断片241塩基対から合成し、ランダムプライムで [a32P]dCTPを標識したプローブと膜をハイブリッド形成させた。5 x SCC,2% S DS,10xデンハーツ溶液,1-2 x 106cpm/mLの32Pを標識したDNAプローブと共 に100μg/mLの変性サーモン精子DNA、50%ホルムアミドを含む中でハイブリッド 形成は42℃にて一晩かけて行った。膜は室温にて2 x SSC/0.05% SDSで30分間洗 浄し、さらに50℃にて0.2 x SSC/0.1% SDSで30分洗浄してコダックXAR-2フィル ムに一晩感光した。 同様の分析としてラットの正常組織を用い、ラットのPTP10断片320塩基対をプ ローブとしてノーザンブロットを行った。新規PTPのRT-PCRによる検出 新鮮に凍結したマウスあるいはラット(別々に)の組織から塩化セシウム層を 介した遠心分離によって全RNAを単離した。20μgの全RNAはランダムヘキサマー とモロニーマウス白血病ウイルスの逆転写酵素(スーパースクリプトIIギブコBRL ,ゲーサーズバークMD)によって逆転写した。SuPTP05をコードしているcDNAを増 幅するためにPCRを用いた。逆転写酵素だけを欠いているRT-PCRを対照として行 った。PCR産物は3%アガロースゲル上で電気泳動を行い、臭化エチジウム染色に より観察し、UV光箱の中で写真を撮影した。マウスのPTP05に特異的な161塩基対 断片の濃度をほかのRNA試料と比較した。3というランク付けはノーザンブロッ ト分析で確認されたPTP05の転写物が多量にあることを示し、0というランクで は転写物がほとんどないか、まったくないことを示す。結果 ノーザン分析ではおよそ3.4kbの単一のマウスPTP05 mRNA転写物が確認され、 もっぱら精巣に発現していることが判明した。肺、脳、心臓、肝臓、腎臓、脾臓 、骨格筋には発現していなかった。PTP10はやや小さいサイズのバンドとハイブ リッド形成したが、この分析でもやはり精巣にだけ発現していた。ノーザン分析 によればラットPTP10は2つのmRNA転写物およそ3.3kbと1.8kbが確認され、精巣 にのみ発現していた。ラットの心臓、脳、脾臓、肺、肝臓、骨格筋および腎臓か らの試料には発現していなかった。 プライマー対に特異的な遺伝子を用いたRT-PCRによれば、PTP05をコードして いる転写物の発現はノーザン分析の結果を裏付け、また低いレベルではあるが、 脂肪、腎臓、小腸および造血系や免疫系の細胞や組織でも検出された。造血系と 免疫系には脾臓、胸腺、リンパ節、骨髄、および末梢血リンパ球が含まれる。プ ライマーに特異的なラットPTP10遺伝子を用いたRT-PCRでは、ノーザン分析の結 果が確認され、ラットの精巣sscDNAのみに強いシグナルが検出され、ラットの骨 格筋、心臓、腎臓、脾臓、副腎、肺、腸、子宮、脊髄、脳、外皮および卵巣に相 当するテンプレートには検出されなかった。 PTP05が造血系や免疫系の細胞に相対的な選択的発現を示したということは、 T細胞やB細胞の生存、分化、共刺激、および/あるいは炎症、免疫抑制または 自 己免疫疾患にこれが含まれる可能性を示唆している。さらに脂肪組織(PTP05が元 々単離された組織でもある)における発現は、これが糖尿病のような代謝性疾患 に関わる可能性を示唆している。実施例13: PTP05 の組換え発現 以下の実施例では組換えPTP05発現のためのベクター構築とPTP05を発現してい る組換え細胞株の作成を示す。同様のベクターと組換え細胞株はここに記載する 方法とPTP10を用いても作成することができる。発現ベクターの構築 発現コンストラクトは、PCRを用いた突然変異誘発法によって作成し、カルボ キシ末端にインフルエンザ菌の血球凝集素(HA)エピトープYPYDVPDYAS(SEQ ID NO :55)(Pati,上記)をタグとしてPTP05全体のコードドメインに目印をつけた。こ のコンストラクトを2つの哺乳類発現ベクターに導入した:ウイルス産生株の作 成にはpLXSN(MillaerA.D.& Rosman G.J.Biotechniques 7巻、980-988ページ,1 989年);および哺乳類細胞における一過性の発現のためにはpRK5である。 保守的なHis-Cys-Ser-Ala-Glyモチーフで変異のないCysをPCRの突然変異誘発 法によりAlaに変えることによる顕性不活性PTP05コンストラクトをpLXSNとpRK5 の両方で作成した。 開始メチオニンを除くPTPO5の全オープンリーディングフレームをPCRで作成し 、ウサギに免疫して抗体を取る目的で、GST融合タンパクの細菌産生のためにpGE Xベクターに結合した。このベクターはグルタチオンSトランスフェラーゼのコー ド配列とそれに続く組換え融合タンパクを生成するためのポリリンカーを含んで いる。GST部分は融合タンパクのN末端部を構成している。哺乳類細胞における一過性の発現 HAでタグを付けたPTP05遺伝子を含むpRK5発現プラスミド(10μgDNA/100mmプレ ート)をリポフエクトアミン(ギブコ BRL)によってCOS細 胞と293細胞に導入した。72時間後、細胞は0.5mLの溶解緩衝液(20mM HEPES pH 7.35,150mM NaCl,10%グリセロール、1%トリトンX-100,1.5mM MgCl2,1mM EGT A,2mMフェニルメチルフッ化スルホン酸、1μg/mlアプロチニン)中に回収した 。試料溶液は15%アクリルアミド/0.5%ビスアクリルアミドのSDSポリアクリル アミドゲル(PAGE)電気泳動で展開し、電気的にニトロセルロースに移した。非特 異的な結合はBlotto(5% w/v脱脂粉乳および0.2%v/vノニデットP-40を含むリン 酸緩衝液生理食塩水)に事前に浸すことによって阻止し、組換えタンパクはHAデ カペプチドタグに対するマウスのモノクローナル抗体を用いることによって検出 した。別の方法としてはPTP05に特異的な抗血清を用いて組換えタンパクを検出 することもできる。ウイルス産生細胞株の作成 PTP05遺伝子を含んでいるpLXSN組換えコンストラクトを塩化カルシウム法によっ て広宿主性ヘルパー細胞株PA317に形質移入した。G418(500μg/mL)で選抜した のち、G418を含まない通常の培養液に細胞を入れた。抵抗性細胞の培養上清を狭 宿主性のヘルパー細胞株GP+E86に感染させ、再び細胞をG418で選抜した。抵抗性 の細胞からG418を除き、培養上清を8-12時間毎に回収し、ウイルスストックとし て集めた。Redemannら1992年、Mol.Cell.Biol.12巻491-498ページ。ウイルスス トックの力価は通常〜106/mLである。哺乳類細胞における安定的な発現 NIH-3T3およびBAL/3T3を100mmプレートにて10%牛胎児血清(FCS)を含むDMEM( ギブコ)培地で培養した。15mLの培養液に3mLのウイルス培養上清をおよそ24時 間加えることによってPTP05レトロウイルスを細胞に感染させた。500μg/mLのG4 18を添加したDMEM中で増殖させることによってレトロウイルス由来のコンストラ クトを発現している細胞を選抜した。実施例14: 抗PTP05抗体の作成 ヒトPTP04にあるユニーク配列に相当する3種の合成ペプチドにKLHを結合 してプールしたものに対してウサギでPTP05特異的な免疫試薬を作成した。ペプ チド(下記参照)はC末端残基でKLHと結合した。 ウサギを免疫するのに用いたペプチド PTP05: PTP05のコード領域全体を含む融合タンパクを精製したものでウサギを免疫して 別の免疫試薬も作成した。GST融合タンパクはSmithら、Gene 67巻31ページ1988 年にあるように大腸菌株DH5αで作った。細菌タンパク溶解物は上記Smithらに従 ってグルタチオン-セファロース樹脂で精製した。実施例15: PTP05 活性の測定 材料と方法: 組換え野生型と顕性不活性型(シグナル伝達不能)のPTP05(上記の実施例13 参照)はGST融合タンパクとして細菌から精製した。溶解物をグルタチオン-セフ ァロース樹脂に結合させ、1 x HNTGで2回洗浄したのち、100mM 2-(N-モルフォ リノ)エタンスルホン酸(MES)、pH 6.8,150mM NaClおよび1mM EDTAを含む緩衝液 で1回洗浄した。 ホスファターゼ活性の測定は一般的なPTPの基質としてp-ニトロフェノールリ ン酸(PNPP)を用いて、Peiら(1993)に従って行った。手短に言えば、最終洗浄 の段階ののち、50mLの測定緩衝液(100mM MES pH 6.8,150mM NaCl,10mM DTT,2mM EDTAおよび50mM PNPP)を樹脂に結合したタンパクに加えることによって反応を 開始させた。試料は23℃にて20分反応させた。40μLの各試料に960μLの1N NaOH を混合することにより反応を停止し、p-ニトロフェノールの吸収を450nmで測定 した。沈殿物にPTP05があることを確かめる ためには、沈殿物をSDS試料緩衝液中で煮沸し、SDS-PAGEで分析した。PTP05の存 在は抗PTP05抗体を用いた免疫ブロット分析で検出した。実施例16: ALP をコードしているcDNAクローンの単離 以下の実施例ではマウスの組織からの新しいPTP配列の単離と同定およびそれ につづく完全長のヒトALPのクローニングを記載する。また、細胞や組織でALPを 検出するために有用なプローブについても記載する。材料と方法: 正常マウスの脂肪およびラットの下垂体からの全RNAは、一般に知られている グアニジン塩/フェノール抽出プロトコールを用いて単離した。 ChomczynskiおよびSacchi 1987年 アナリティカル バイケミストリーAnal Bio hem 162巻156ページ。これらのRNAを用いてスーパースクリプト事前増幅システ ム(ギブコBRL,ゲーサースバーグ,MD;Gerardらフォーカス11巻66ページ 1989年) により取り扱い説明書の条件に従って1本鎖cDNAを作成した。標準的な反応には 反応用量60μLに対し10μgの全RNAを1.5μgのオリゴ(dT)12-18と共に用いた。産 物はRnaseHで処理し、水で100μLに希釈した。次のPCRの増幅については各反応 に1-4μLのこのsscDNAを用いた。 変性オリゴヌクレオチドはできあがっているホスホラミダイト化合物を用いて アプライド バイオシステム394 DNAシンセサイザーで合成し、エタノールで沈 殿させ、精製せずにPCRに用いた。変性オリゴヌクレオチドプライマーの配列は 以下の通りである: これらのプライマーはそれぞれ、ペプチド配列DFWXMXW(EID)(SEQ ID NO:19)(P TPの触媒ドメインからのセンス鎖)およびHCXAGXG(SEQ ID NO:20)(PTPの触媒ドメ インからのアンチセンス鎖)、およびIPGSDYI(N/H)A(SEQ ID NO:61)に由来した。 変性残基の呼称に関する標準UIPAC名はN=A,C,G,あるい はT;R=AあるいはG;Y=CあるいはT;V=A,C,あるいはG;W=CあるいはT;S=CあるいはG; M=AあるいはC;およびH=A,CあるいはTである。 PCR反応は上述した1本鎖cDNAに適用した変性プライマーを用いて行った。10m M Tris HCl(pH8.3),50mM KCl,1.5mM MgCl2,200μMの各デオキシヌクレオシド3 リン酸、0.001%のゼラチン、1.5UのアンプリタックDNAポリメラーゼ(パーキン エルマー/シータス)および1-4μLのDNAを含む各混合物に最終濃度が5μMに なるようにプライマーを加えた。続いて95℃で3分間変性し、サイクル条件は94 ℃で30秒、50℃で1分、72℃で1分45秒を35サイクルで行った。ジーンクリーン キット(バイオ101)を用いて2%アガロースゲルによって分離するとPCR断片は 350-400塩基対のところに移動し、説明書に従ってT-AをpCRIIベクター(インビ トロゲン社)にクローニングした。 ミニプラスミドDNA調製のためにキアゲンカラムを用いてクローンを選抜し、 アンプリタックDNAポリメラーゼFS(ABI フォスターシティCA)を用い、サイク ル配列決定色素停止キットによってプラスミドDNAの配列を決めた。配列決定 反応はABIプリズム377DNAシーケンサーで実行し、BLAST調整アルゴリズムで分析 した。Altschul,S.F.らJ.Mol.Biol.215巻403-410ページ。新規PTP(s50-151)をコ ードしている1つのクローンをマウスALPと名付け、変性オリゴヌクレオチドPTP DFW(SEQ ID NO:17)とPTPHCSA(SEQ ID NO:18)を用いてマウスの脂肪組織から単離 し、関連したラットのALPクローンは変性オリゴヌクレオチドPTPYINA(SEQ ID NO :60)とPTPHCSA(SEQ ID NO:18)を用いてラット下垂体から単離した。 完全長のヒトのALPを単離するために、ヒト神経芽細胞腫IMR32から得たポリA+ RNAからラムダZapII(ストラタジーン、ラホヤ、CA)にヒトcDNAライブラリーを 構築した。ALPをコードしている転写物を単離するためにライブラリーをスクリ ーニングした。マウスのALP断片を32Pで標識し、2 x 106cpm/mLでハイブリッド 形成のプローブとして、以下のような標準的な方法でライブラリーをスクリーニ ングした。事前ハイブリッド形成と(3時間)とハイブリッド形成(一晩)は5 x SSC,5xデンハーッ溶液、2.5%硫酸デキストラン、50mM Na2PO4/NaHPO4[pH7.0 ],100mg/mLの変性サーモン精子DNA、50%ホルムア ミド中で42℃にて行った。0.1% SDSを含む0.1 x SSCで65℃にて十分洗浄した。 複数のクローンを単離した。ひとつは4.5kbのクローンで、ALPの全コード領域を 含んでいた。最終的な配列は、アンプリタックDNAポリメラーゼ,FS(ABI、フォス ターシティCA)と共にサイクル配列決定色素停止キットを用いて両方の鎖の配列 により確認した。配列決定反応はABIプリズム377DNAシーケンサーにより実行し た。結果: 4,456塩基対のヒトALPヌクレオチドは1,274個のポリペプチドをコードしてい る。アミノ酸配列にはシグナル配列や膜貫通ドメインは見られないので、細胞内 タンパクである。N末端はアミノ酸の1-857番目でチロシンのリン酸化部位と思わ れる部位が数個あり、プロリン−リッチ領域(30.6%がプロリン)は353-777番目 である。このプロリン−リッチ領域は、遠く離れた植物の進展タンパクと関連が あり(スミス−ウオーターマン アライメントによればトウモロコシの進展様タ ンパクGB:z34465と30.2%の同一性がある。)、SH3モチーフに含まれているタン パク相互作用のための部位と同様にタンパク相互作用のドメインを意味している のかも知れない。ALPのC末端領域はアミノ酸の1097-1274番目にあたり、PESTモ チーフに似たプロリンlセリンリッチ領域を含んでいる(アミノ酸配列の1101-1 214番目でセリンとプロリンは45.6%)。この領域はまたSH3モチーフを介した結 合タンパクの標的として働きうる。 触媒ドメインはアミノ酸配列858-1096番目で複数のサブファミリーのPTPと32- 37%の同一性があり:TC-PTP(P17706:37.1%)PTP-BAS(D21209:32.9%),PTPα(M34 668:34.2%),PTPβ(P23467:34.2%),PTPδ(A49104:33.2%),PTPIB(P20417:34.9 %)、これがPTPの新しいファミリーであることを示唆している。ほかのすべての 細胞質PTPではその触媒ドメインはN末端部分かC末端部分のどちらかにあるの に対して、ALPの触媒ドメインは中央部にあり大きなN末端とC末端に挟まれて いる。触媒ドメインではほかのPTPにあるようにほとんどの残基は変異なく保存 されているが、いくつか非定型のものもある。ALPでは、アミノ酸配列HCSAG(SEQ ID NO:56)はHCSSG(SEQ ID NO:75)に変わ っている(アミノ酸配列番号1029-1033)。このモチーフはPTP1BおよびPTPaの結 晶構造の触媒部位にあり、AlaからSerへの変換は触媒活性や特異性に影響するか も知れない。触媒ドメインでは表面ループと予想される部位でALPではWPDからWP Eへの変換がある(アミノ酸配列993-995番目)。PTP1Bではこのアスパラギンは 塩橋に関わり、特異的なペプチド基質と結合するという点で触媒ドメインに入る 。このAspからGluへの変換はほかにも3つの哺乳類PTP(PTPD1,PCP2,PTPS31)で認 められる。実施例 17: ALP の発現 以下の実施例では正常なヒト組織および数多くの種類の癌におけるALP発現の評 価を示す。材料と方法: 60種の腫瘍細胞株(HOP-92,EKVX,NCI-H23,NCI-H226,NCI-H322M,NCI-H522,A549 ,HOP-62,OVCAR-3,OVCAR-4,OVCAR-5,OVCAR-8,IGROV1,SK-OV-3,SNB-19,SNB-75,U25 1,SH268,SF-295,SF-539,CCFR-CEM K562,MOLT-4,HL-60,RPMI 8226,SR,DU-145,PC- 3,HT-29,HCC-2998,HCT-116,SW620,CoLo 205,HTC15,KM-12,UO-31,SN12C,A498,CaK il,RXF-393,ACHN,786-0,TK-10,LOX IMVI,Malme-3M,SK-MEL-2,SK-MEL-5,SK-MEL-2 8,UACC-62,UACC-257,M14,MCF-7,MCF-7/ADR,RES,Hs578T,MDA-MB-231,MDA-MB-435, MDA-N,BT-549,T47D)(NickScuidero,米国国立ガン研究所、開発治療プログラ ム、ロックビル,MDから入手した。)を用い、レーン当たり20μgの全RNAを使っ てノーザンブロットを行った。全RNA試料を変性ホルムアルデヒド1%アガロー スゲル上で展開し、ニトロセルロース膜(バイオラッドCA)上に移した。さらに ヒトの16種の正常組織(胸腺、肺、大腸、精巣、脳、心臓、肝臓、膵臓、腎臓、 脾臓、子宮、前立腺、骨格筋、末梢血白血球、胎盤、小腸)を用い、レーン当た り2μgのポリA+mRNAで、荷電を修飾したナイロン膜(多臓器ブロット#7760-1お よび#7766-1、クロノテック、パロアルト、CA)上にてノーザンブロットを行っ た。 ALPのEco-RI-NotIの1kb断片から合成し、ランダムプライムで[γ-32P]dCTP標 識したプローブと全RNA試料が乗ったニトロセルロース膜をハイブリッド形成さ せた。ハイブリッド形成は、4 x SSPE,2.5 x デンハーツ溶液、50%ホルムアミ ド、200μg/mL変性サーモン精子DNA,100μg/mL酵母tRNA(ベーリンガー マンハ イムIN)、0.2% SDS,および5 x 106cpm/mLの[γ-32P]dCTP標識DNAプローブに 入れてTechneハイブリダイザーH-1上で42℃にて行った。ブロットは2 x SSC,0.1 % SDSで65℃にて20分間2回洗浄し、さらに0.5 x SSC 0.1% SDSで65℃にて20 分間洗浄した。ブロットを写真画像画面に24時間感光し、モレキュラーダイナミ クスフォトイメージャーSFにて観察した。 クロノテックのナイロン膜のブロットについては、ハイブリッド形成は5 x SS C,2% SDS,10xデンハーツ溶液,50%ホルムアミド、100μg/mLの変性サーモン精 子DNAおよび1-2 x 106cpm/mLの[γ-32P]dCTP標識DNAプローブ中で42℃にて行 った。ブロットは室温にて2 x SSC/0.05% SDSで30分間洗浄し、続いて0.2 x SS C/0.1% SDSで50℃にて30分間洗浄し、コダッタXAR-2フィルムに48時間感光した 。 逆転写酵素を用いたPCRによる発現の分析については、様々な細胞株および新 鮮凍結組織から塩化セシウム層を介した遠心分離によって全RNAを単離した。ラ ンダムヘキサマーとモロニー白血病ウイルスの逆転写酵素(スーパースクリプト II、ギブコBRL、ゲーサーズバーグ、MD)によって20μgの全RNAを逆転写した。 それからALPをコードしているcDNAを増幅するためにPCRを用いた。逆転写酵素だ けを欠いた逆転写PCR(RT-PCR)を対照として行った。PCR産物は3%アガロースゲ ル上で電気泳動し、臭化エチジウムで染色して観察し、UV光箱にて写真を撮影し た。 ALPに特異的な断片の濃さをいろいろなRNA試料で比較した。4というランク付 けはALPの転写物が大量にあることを示し、0というランクは検出できる転写物 がほとんどないかないことを示す。RT-PCRでは全RNAを用いるのに対してノーザ ンブロット分析は濃縮したRNA(mRNA)をもとにするために、RT-PCRで検出される タンパクの方がノーザンブロットよりも相対的に量が多くなることに注意すべき である。結果 ノーザンブロットでおよそ5.0kbの単一のALPmRNA転写物が観察された。この転 写物は調べた正常組織試料のほとんどで同定された。しかしながら、表1に示し たノーザン分析の結果によれば、ALPのmRNAの相対的な量は極めて様々である。 正常組織では、膵臓に続いて心臓、精巣および骨格筋で高いレベルのALPが検出 された。低いレベルのALP転写物は胎盤、胸腺、肺、脳、肝臓、脾臓、子宮、前 立腺および小腸で確認された。ALP転写物が検出されなかったのは大腸、腎臓お よび末梢血白血球であった。ALPの発現はRT-PCR法で正常ヒト脂肪細胞でも検出 された。 ヒト腫瘍細胞株から得た全RNAのノーザンブロットではALPのRNA転写物は、NCI -H226(肺癌)、SK-OV-3(卵巣癌)、およびRPMI8226(白血病)細胞株で最も多く 検出された。転写物のレベルが低かったのは、SNB-19(CNS腫瘍)、SF-268(CNS腫 瘍)、SN12C(腎臓癌)、SK-MEL-2(メラノーマ)、UACC-62(メラノーマ)、およ びUACC-257(メラノーマ)だった。残りの44のヒト腫瘍細胞株ではALP転写物は 検出されなかった。ALP発現の要約を以下の表1に示す *ノーザンブロットmRNA ALPは腫瘍細胞における発現の方が、相当する正常組織に比べて増えることを示 している。発現にこのような差があるということは、形質転換の発生や維持にAL Pが含まれる、あるいはそこでALPが調節できなくなるという可能性を示唆してい る。実施例18: ALP の組換え体発現 以下の実施例は組換え体ALPの発現のためのベクターの構造およびALPを発現す る組換え体細胞系の創造を説明する。発現ベクターの構造 発現構造物はPCR支援突然変異生成により生成され、その場合にALPの全体 の遺伝暗号を指定する領域が一時的発現分析のために哺乳類の発現ベクターpcDN AIII(インビトロゲン)に導入された。別のALP構造物はオリゴヌクレオチドに 基づくPCR突然変異生成により造られ、PTP関連ドメインの非定型残基を他の触媒 的に活性なPTPにもっと普通に存在するアミノ酸に変換する。これらの変換は次 の通りである:アミノ酸861の位置でHisをTyrへ変換(配列ID番号2参照);ア ミノ酸902でAlaをGlyへ変換;アミノ酸941でPheをtrpへ変換;アミノ酸995でGlu をAspへ変換;およびアミノ酸1032でSerをAlaへ変換。上記のように対の突然変 異を有する別の構造物はアミノ酸の位置941/1032および602/1032に対して生成さ れた。これらの構造体はCMVプロモーターの後ろにあるpcDNAII哺乳類発現ベクタ ーの中に結紮された。 イニシエーションのメチオニンを除く全ALP読みとり枠はPCRにより生成され、 抗体生成のためウサギの免疫感作用GST融合タンパク質のバクテリアによる製造 のためにpGEXベクター(スエーデン、ウプサラ、ファーファシア・バイオテック 社)に結紮された。このベクターはグルタチオン-S-トランスフェラーゼの遺伝 暗号を指定する配列を有し、その後に組換え体融合タンパク質を生成するための ポリリンカーを有する。GST部分は融合タンパク質のN-末端部分を有する。様々 なALP突然変異体がまた組換え体タンパク質反応物の生成のためにpGEXベクター の中に挿入された。哺乳類細胞における一時的発現 ALP遺伝子の野生型および突然変異形を有するpcDNAIII発現プラスミド(10μg のDNA/100mmのプレート)がリポフェクタミン(Gibco BRL)と共に293細胞中に導 入された。72時間後に、その細胞が0.5mLの可溶化緩衝液(20mMのHEPES・pH7.35 、150mMのNaCl、10%グリセロール、1%トリトンX-100、1.5mMのMgCl2、1mMのE GTA、2mMのフェニルメチルスルホニルフッ化物、1g/mLのアプロチニン)中に採 取された。試料のアプリコートが15%アクリルアミド/0.5%ビスアクリルアミ ドのゲル上にSDSポリアクリルアミドゲル電子泳動により分離され、電子泳動に よりニトロセルロースへ運ばれた。非特定の結合がブロット(Blotto:5%w/vの脱 脂乾燥ミルクと0.2%v/vのノニデットP -40を含有する燐酸塩緩衝食塩水(シグマ社))中でブロットを予め培養すること により阻止され、組換え体タンパク質がアミノ末端352残基に特定の抗血清を使 って検出された(下記参照)。組換え体ALPタンパク質が約180kDa移動し、1274 アミノ酸タンパク質の予測された分子量と一致した。 内生的なALPが、ヒト神経膠芽細胞種(U87MG,ATCC HTB 14;U118MG,ATCC HTB 15 ;U138MG,ATCC HTB 16;A172,ATCC CRL 1620;Hs683,ATCC HTB 138)、齧歯類動物神 経膠腫(C6、ATCC 107)、齧歯類動物下垂体腫瘍(ATT20,ATCC CCL 89;GH3,ATCC C CL 82.1)、ヒト神経芽腫(SKNMC、ATCC HTB 10;IMR 32,ATCC CCL 127)および齧歯 類動物の副腎の褐色細胞腫(PC12,ATCC CRL 1721)を含む様々な腫瘍細胞系から由 来する溶解物のウエスターンブロットにおいて200kDタンパク質として検出され た。ALPタンパク質は非形質転換細胞系NIH3T3(ATCC CRL 1658)から免疫沈降でき なかった。 本来のALPタンパク質(200kDa)がトランスフェクション293細胞(180kDa)にお いて検出された組換え体ALPより大きいように見える理由は不明である。その差 は代わりのRNAスプライシングの結果であるか、または内生的に発現される場合 の細胞系における翻訳後の変更の結果である。予備実験は、ALPは血清上で燐酸 化され、トランスフェクションされた293細胞においてはトレオニン残基である ことを示している。さらに、いくつかのチロシン燐酸化タンパク質は、抗ホスホ チロシン抗体を使用し、その後でホスファターゼ阻害剤過バナジウム酸塩で処理 した後で例えばIMR32などのヒト腫瘍細胞系から内生的ALPを免疫沈降させること によりウエスターンブロット法で検出されるので、ALPと関連がある。ウイルス生成細胞系の発生 ALP遺伝子を含むpLXSN組換え体構造物はCaCl2媒介トランスフェクションを使 って両性酸ヘルパー細胞系PA317の中にトランスフェクトされる。G418上での選 択の後で、その細胞はG418なしで通常の媒体上で培養される(500μg/mL)。耐性 細胞からの上澄み液が使用されて外生性ヘルパー細胞系GP+E86に感染させ、細胞 は再びG418上で選ばれる。耐性細胞は再びG418から採取され、 その上澄み液は8-12時間ごとに採取され、ウイルスの原料としてプールされる。 レデマンら、1992年、Mol.Cell.Biol.12:491-498.。ウイルス原料の滴定濃度は 、典型的には106/ml以下である。哺乳類細胞における安定な発現 NIH-3T3、BALB13T3または他の適当な細胞を10%の子牛の血清(FCS)を含むDMEM (ギブコ)を入れた100mmのプレートで培養する。細胞は約3mLのウイルスの上澄 み液を15mLの培養地に加えることにより約24時間にわたりALPレトロウイルスで 重感染される。レトロウイルス構造物を発現する細胞は次にDMEM/500μg/mLの G418を補った10%FCSにおける成長により選択される。実施例19: 抗Alp抗体の発生 ALP特定免疫反応物は、GST-融合タンパク質として発現されたALPのバクテリア により発現されたN-末端352アミノ酸部分でウサギを免疫化することにより生成 された。融合タンパク質はグルタチオン−セファロースのカラムを使って親和力 精製された(ファーマシア)。ALPのN-末端部分に対する多クローン性抗血清は 精製されたGST融合タンパク質でウサギを繰り返し免疫化することにより生成さ れた。親和力精製されたALP抗体はグルタチオンーセファロース上で固定されたA LP-GST融合タンパク質に血清IgGを結合し、低いpHおよび高塩で溶離することに より得られた。実施例20: 触媒活性のモジュレーター用のALP活性検定のための検定 材料と方法: 組換え体野生型および突然変異ALPタンパク質はバクテリアからGST融合タンパ ク質として精製される。溶解物はグルタチオン−セファロース・マトリックスに 結合され、グルタチオンで溶離される。精製されたタンパク質は次に2x1mLのH NTGで洗浄され、その後で100mMの2-(N-モルフォリノ)エタンスルホン酸(MES)、p H6.8、150mMのNaCl、および1mMのEDTAを含有する緩衝液1mLで1回洗浄する。ホ スファターゼ活性についての検定は一般的PTP基質 としてp-ニトロフェノール燐酸塩(PNPP)を使ってペイら(1993年)により説明され るように本質的に行われる。要するに、最後の洗浄工程の後で、反応は50mLの検 定緩衝液(100mMのMES、pH6.8、150mMのNaCl、10mMのDTT、2mMのEDTA、および50 mMのp-ニトロフェニル燐酸塩)を沈降物に加えることにより開始される。試料は 23℃で20分間培養される。反応は各試料(ビーズなし)の40μLを1NのNaOH 960 μLと混合することにより終了され、p-ニトロフェノールの吸光度は450nmで測定 された。沈降物中にALPの存在を制御するために、沈降物はSDS試料緩衝液中で沸 騰され、SDS-PAGEにより分析される。ALPの存在は次にALP抗体で免疫ブロット分 析により検出された。実施例21: ZAP70 キナーゼ活性の首尾一貫した測定方法 下記の議定書は、読み出されたようにバンドIII-GSTのホスホリル化を測定す るZap70タンパク質キナーゼ活性を決定するために使用された反応物と方法を説 明している。この検定はZap70の抑制剤を求める場合に使用される。材料と反応物 1.Zap70の突然変異により活性化された形について遺伝暗号を指定するバキ ュロウイルス(ファーミンゲン社、カリフォルニア)の場合、492の位置のチロ シン残基がフェニルアラニン残基(Y492F)と置き換えられ、C-末端HAタグおよびN -末端GSTタグ(GST-Zap70-HA)を含有するものが使用されている。変性タンパク 質はGZHと名付けられている(すなわち、Y492F GST-Zap70-HA=GZH)。 2.細胞溶解物;SF9細胞は96時間にわたり10のMOIでGZHウイルスに感染され た。その細胞は次に1回PBSで洗浄され、溶解緩衝液において溶解された。不溶 解性材料は遠心分離により除去された(10000 x gで5分)。溶解物のアリコ ートは乾燥した氷/エタノール上に凍結され、使用するまで-80℃で貯蔵された 。 3.バンドIII-GST:バンドIII-GAT融合タンパク質(アミノ酸配列:MEELQDYE DMMEEN(配列ID番号:62))はpGEX-2TK-バンドIIIで形質転換されたXLIブルー細胞 において発現された。タンパク質発現は25℃で18時間にわ たりバクテリア培養基を振動させながら0.5mMのIPTGを添加することにより引き 起こされた。バンドIII-GST byはカリフォルニア州アラメダにあるファーマシア 社のグルタチオン親和カクロマトグラフィにより精製された。 4.ビオチニル化ITAMペプチド242(ZETA-pY)、 配列:YQQGQNQLpYNELNLGRREEpYDVLDKRRGRD(配列ID番号:63)(タンパク質化学 研究所、カリフォルニア州レッドウッド市のスゲン社)。 5.DMSO、ミズーリ州セントルイスのシグマ社。 6.96個のくぼみを有するELISAプレート:コーニング96くぼみ付きイージイ 洗浄、変形平底プレート。カタログ番号25805-96。 7.NUNC、96個のくぼみを有するV字形底のポリプロピレン製プレート、化合 物の希釈用、適用化学カタログ番号AS-72092。 8.ストレプトアビジン:シグマS-8276 9.精製されたウサギ抗GST抗血清。AMRADカタログ番号9001605 10.山羊抗ウサギ−IgG-HRP。アメルシャムカタログ番号V010301緩衝溶液: 溶解物緩衝液: キナーゼ緩衝液: 10mMトリス、pH7.5 10mM MgCl2 150mM NaCl 10mM MnCl2 1%NP40 10mM DTT 1mM PMSF 20mM HEPES/Cl,pH7.5 0.4mM Na3VO4 20mM β-グリセロ燐酸塩 2mg/mlロイペプチン 100mM Na3VO4 2mg/mlアプロチニン 阻止緩衝液: 洗浄緩衝液(TBST): 10mMトリスpH7.5 50mMトリスpH7.5 100mM NaCl 150mM NaCl 0.1%ツイーン20 0.1%ツイーン20 方法ストレプトアビジン被覆ELISAプレートの調製 : 0.1Mの硼酸を0.1Mのホウ酸ナトリウムと共に滴定することにより硼酸塩緩衝液 をpH8.7に調整する。アジ化ナトリウムを加えて最終濃度を0.05%とし、4℃で 貯蔵する。硼酸塩緩衝液1ml当たり1mgのストレプトアビジンを調製し、-80℃で 100μLのアリコートで貯蔵する。100μLの硼酸塩緩衝液中で1つのくぼみ当た り0.1μgのストレプトアビジンを室温で18時間にわたり被覆する。くぼみを200 μLの低温TBSTで2回洗浄する。そのプレートを逆さにしてフィルターに吸着さ せて乾燥させ、パラフィルムで覆い、4℃で1週間ほど貯蔵する。さらに長期間 貯蔵するために、プレートは-80℃で貯蔵されるべきである。ホスホチロシン抗体被覆ELISAプレートの調製 : 4℃で一晩100μLのPBSにおいて4G10(ニューヨーク州のアップステート・バ イオテクノロジー)を1つのくぼみ当たり1μgを被覆し、少なくとも時間にわ たり200μLの阻止緩衝液で阻止する。キナーゼ検定方法 ビオチン化ペプチド242は、100μLのPBS中でくぼみ当たり1μgを一晩4℃で ストレプトアビジン被覆ELISAプレートで培養することによりELISAプレートに結 合された(上記参照)。くぼみは室温で30分間にわたり200μLの阻止緩衝液で 阻止され、その後で阻止緩衝液が吸引により除去された。Zap70融合タンパク質( GZH)を含有する昆虫細胞溶解物が加えられ(1つのくぼみ当たり30μg、溶解物 緩衝液でくぼみ当たり100μLになるように容量を調節し)、4℃で2時間にわた り培養させた。溶解物は吸引により除去され、くぼみはTBSTで洗浄された。基質 および試験化合物(もしあれば)が加えられ、15分間放置された(GST-バンドII I、90μLの最終容量中でくぼみ当たり5μg)。キナーゼ反応は最終濃度10μL となるようにくぼみ当たり0.1mMのATPの10μLを加えることにより開始された。9 6個のくぼみを有するプレートは室温で(振動させな がら)30分間放置された後、90μLの反応液が予め抗ホスホチロシン抗体(UB40 、アップステート・バイオテクノロジ、ニューヨーク州)で被覆された96個のく ぼみプレートのくぼみに移された。このプレートは室温で30分間放置された後、 その液体は除去され、そのくぼみはTBSTで洗浄された。山羊抗ウサギIgG-HRPが 室温で30分間、100μLの阻止緩衝液に加えられ、1:40,000の割合で希釈された後 、除去され、くぼみがTBSTで洗浄され、ABTSで現像された。次に、プレートは41 0nmでELISAプレート読みとり装置で読みとられる。試験されるタンパク質が補足 されたタンパク質である場合は、ELISAプレート読みとり装置から読みとられた データは、対照タンパク質の活性と比較すると、試験化合物の調節活性に関連し ているはずである。実施例22: ALK−7の単離および特徴づけ ALK−7を単離するため、本発明者らは、全ての既知の哺乳類STKリセプ ターに共通しているキナーゼサブドメインIIおよびVI内のアミノ酸モチーフをコ ード化している変性オリゴヌクレオチドを設計した(HanksおよびHunter,FASEB J.9:576-595,1995)。サブドメインIIはキナーゼドメインのN末端にあり、酵 素活性に必須でありかつ構造が明らかにされている全てのキナーゼのa−および b−リン酸塩と相互作用することでATP結合に必要とされる、不変のリジン残 基を含んでいる。サブドメインVIは触媒ループと呼ばれており、一致するモチー フHRDLKXXN(SEQID NO:64)を含む。アスパラギン酸残基は、 全てのプロテインキナーゼの鍵となるリン酸基転位プロセスの間に、ヒドロキシ ル基からプロトンを受け取ることに深く関わっている。全てのSTKリセプター の比較を基に、本発明者らはI型およびII型の両STKリセプターを認識すると 考えられるこれらのサブドメインに対する変性オリゴヌクレオチドプライマーを 設計した。 このPCR戦術を、鋳型としてのヒト神経芽腫細胞系(SY5Y)のss cD NAに適用した場合、他のSTKリセプターと有意な相同性を示す新規なDNA フラグメント(ALK−7)の多数のコピーが単離された。この新 規な配列はALK−4(Franzenら、Cell 75(4):681,1993)およびALK−5(t en Dijkeら、Oncogene 8(10):2879,1993)に最も類似しており、ALK−7と名 付けた。材料および方法 正常なヒトの組織、ヒト脳の局所切片、培養されたヒトの腫瘍細胞系、および 原発性の新生児ラットの交感、運動、および感覚ニューロン細胞、ならびに視床 中間部のドーパミン作動性ニューロンから、ChomczynskiおよびSacchiのグアニ ジンソルツ/フェノール(Guanidine Salts/phenol)抽出プロトコール(P.Cho mczynskiおよびN.Sacchl,Anal.Biochem.162,156(1987)を用いて全RNAを単 離した。 これらのRNAを鋳型として用い、ギブコBRL(GibcoBRL)より購入したファ ーストストランドシンセシス(First Strand Synthesis)キット用のスーパース クリプトプレアンプリフィケイションシステム(Superscript Preamplification System)(Life Technologies,U.S.A.;Gerard,G.F.ら、(1989),FOCUS 11,66 )を用いて、製造業者により推奨された条件下で一本鎖cDNAを産生した。典 型的な反応は、60μLの反応容積中で、10μgの全RNAかまたは2μgのポリ (A)+RNAを1.5μgのオリゴ(dT)12-18と共に用いた。産生物をRNアー ゼHで処理し、H2Oを用いて希釈し100μLとした。その後のPCR増幅には、 これらのssDNAの1〜4μLを各々の反応に用いた。 オリゴヌクレオチドは、確立されたホスホロアミダイド化学を用い、アプライ ドバイオシステムズ(Applied Biosystems)394DNAシンセサイザーで合成し 、エタノールで沈殿させた後に精製せずに用いた。変性オリゴヌクレオチドプラ イマーは: STK1=5'-GARRGRGT6GC6GT6AARRT6TT-3'(SEQ ID NO:65)(セン ス) STK3−=5'-TTRATRTC6CKRTG6GM6AT6GM6GGYTT-3'(SEQ ID NO:66 )(アンチセンス)である。 これらのプライマーは、ペプチド配列E(K/E)VAVK(V/I)F(SEQ ID NO:67)(キナーゼサブドメインIIからのセンス鎖)および KP(A/S)I(A/S)HRDIK(SEQ ID NO:68)(キナーゼサブ ドメインVIからのアンチセンス鎖)から各々由来したものである。変性ヌクレオ チドの名称は:N=A、C、G、またはT;R=AまたはG;Y=CまたはT; M=AまたはC;K=GまたはT;および6=イノシンである。鋳型としてAL K1を用いると、これらのプライマーは321bpの産生物を生じる。 PCR反応は、前文にリストした、一本鎖の供給源に対して適用されたSTK 1およびSTK3−を用いて行なった。当該プライマーを、10mMトリスHCl(p H8.3)、50mM KCl、1.5mM MgCl2、200μMの各デオキシヌクレオチド三リ ン酸、0.001%ゼラチン、および1.5UのAmpIiTaqDNAポリメラーゼ(パーキ ンエルマー/シータス(Perekin-Elmer/Cetus))、および1〜4μlのcDNA を含んでいる混合物に対して加え、各々最終濃度を5μMとした。95℃にて3分間 の変性に続く繰り返しの条件は、最初の3サイクルについては、94℃で30秒、37 ℃で1分、72℃への傾斜2分、および72℃で1分であり、それに続く94℃30秒、 50℃1分、および ℃45秒の35サイクルである。〜320bpに移動したPCRフ ラグメントをジーンクリーン(GeneClean)(Bio101)を用いて2%アガロースゲル より単離し、T−Aを、pCRIIベクター(インヴィトロジェン社(Invltrogen Corp.)米国)内に、製造業者のプロトコールに従ってクローン化した。 Qiagcnカラムを用いてミニプラスミドDNA標品からコロニーを選択し、サイ クルシーケンシングダイターミネーター(Cycle sequencing dyeterminator) キットをAmpliTaqDNAポリメラーゼ、FS(ABI、フォレスターシティ、カリ フォルニア州)と共に用いて当該プラスミドDNAをシークエンスした。シーク エンス反応の産生物をABIプリズム(Prism)377DNAシークエンサーに流し 、BLASTアラインメントアルゴリズム (Altschul,S.F.ら、J.Mol.Biol.215.403-10)を用いて分析した。プライマーS TK1およびSTK3−を用いたPCRにより、新規なクローン(STKR6.22 )が、鋳型としてのヒトSY5Y細胞からの一本鎖cDNAについて単離された 。このクローンはその後、ヒトALK−7のフラグメントと名付けられた。 ラムダgt11(クロンテック(Clontcch)、パロウアルトウ(Palo Altou)、カ リフォルニア州)cDNAライブラリーを、9個のヒト全脳下垂体のプールから のmRNAを用いて構築した。ファージは、ニトロセルロースフィルター上にて 、ヒトALK−7をコード化しているSTKR6.22からのランダムにプライムし た32P標識インサートを用い、6 x SSC、1x Denhardt's試薬、0.1%SDS 、および0.1mg/mLの変性し、フラグメント化したサケ精子DNAを含んでいる ハイブリダイゼイションバッファー中で、2x106cpm/mLにてスクリーニン グした。65℃にて一晩のハイブリダイゼーションの後、フィルターを0.1 x S SC、0.1%SDS中で65℃にて洗浄した。T7ポリメラーゼとオリゴヌクレオ チドプライマーとを用いたマニュアルのシークエンシング法(TaborおよびRichar dson,1987,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84:4767-71)を用い、完全な長さのcD NAクローンを両方の鎖についてシークエンスした。結果 1794ヌクレオチドにおよぶ二つの重複するcDNAクローン(P6およびP7)が 、ヒト脳下垂体のライブラリーから単離された。この配列は156位に、翻訳開始 のためのコザッタコンセンサスに適合するATGを含んでおり、493アミノ酸か ら成るポリペプチドをコード化する収容能力のある、1482ヌクレオチドのオープ ンリーディングフレームがこれに続いている。156位に位置するATGの5'には 、他の開始コドンはない。ヒトALK−7をコード化している領域は、155個およ び157個の非翻訳領域にそれぞれ5'および3'を接している。ポリアデニル化され た領域はないが、SEQ ID NO:8に示した配列の3'末端は著しくATに 富む(3'の非翻訳領域からの配列に特 徴的)。付加的なcDNAクローン(P4)は、この配列の3'に付加的な1kb を伸長していた。 配列2.0.を用いて、ジデオキシターミネーターによるDNA配列決定を行な った。両鎖についてプライマーウォーキング戦略を用い、完全なヌクレオチド配 列を確認した。オリゴヌクレオチドプライマーは、ABI348DNAシンセサイ ザーを用いて作成した。 公開非重複核酸およびESTデータベースから成るヒトALK−7遺伝子配列 についてのスミスーウォーターマン検索は、全く同一の適合配列がないことを明 らかにし、これが新規なヒト遺伝子であることを確証している。ヒトALK−7 配列に最もよく適合するもの(85%核酸の同一性)は、最近登録されたもの(Ge nBank ACC:U69702)であり、ヒトALK−7についてのラットのオルソロガス 遺伝子であるらしい。 493アミノ酸のヒトALK−7配列は、1〜25および114〜138の二つの疎水性領 域を含む(SEQ ID NO:16参照)。最初の疎水領域はシグナルペプチド ドメインの基準に合致し、マクジーオック(MacGeoch)法(D.J.MacGeoch,Virus Research,3,271,1985)を用いた判別スコアは5.76であり、フォンハイジンアル ゴリズム(von Heljne、Nucl.Acids Res.,14,4683,1986)を用いたウェイトマ トリックススコアは+6.75(閾値=3.5)であった。二番目の疎水領域は、ク ライン(Klein)らのALOM法(P.Klein,M.Kanehisa、およびC.DeLisi,Diochi m.Biophys.Acta,815,468,1985)を用いてスコアー9.34の尤度を生じ、トランス メンブランドメインが予想される。このアルゴリズムは、トランスメンブランド メインの最大範囲が108〜138のアミノ酸であると予想している。 この分析を基に、ALK−7はN末端のシグナルペプチドの開裂後に52.35k Dの分子量を有するIa型の内在性膜タンパク質であることが予想される。実施例23: ALK−7の発現 元々はプローブとして上記のSY5Y細胞よりクローン化した新規なフラ グメントについてのノーザンブロットおよびPCR分析を用いて、本発明者らは 、多数の腫瘍細胞系および多くのヒト組織からのRNAをスクリーニングし、脳 下脳下垂体および黒質からのニューロン細胞におけるALK−7発現の明らかな 選択性を証明した。材料および方法 ノーザンブロット分析 成人の16の異なる組織(脾臓、胸腺、前立腺、精巣、卵巣、小腸、結腸粘膜、 心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、膵臓、および末梢血白血球)と、4 つの異なるヒト胎児組織(脳、肺、肝臓、および腎臓)からの2μgのポリA+ RNAを電荷を変えたナイロン膜上に含んでいるノーザンブロットを、クロンテ ック(Clontech)(パロウアルトウ、カリフォルニア州)より入手した。追加のノ ーザンブロットでは、20μgの全RNAを、ホルムアルデヒド1.2%アガロース ゲル上に流し、ナイロン膜に移すことにより調製した。 フィルターを、ヒトALK−7のクローンSTKR6.22からの320bpのイン サートから合成したランダムプライム[32P]dCTP標識プローブとハイブリ ダイズした。ハイブリダイセイションは、6 x SSC、0.1%SDS、1 x De nhard's溶液、100mg/mLの変性したニシン精子DNA中で、1〜2x106cp m/mLの32P標識DNAプローブと共に、60℃にて一晩行なった。フィルター を65℃にて0.1 x SSC/0.1%SDS中で洗浄し、コダック(Kodak)XAR −2フィルム上に一晩露出した。半定量的なRT−PCR検出法 ALK−7の発現パターンもPCR技術を用いて研究し、前文に詳しく述べた 通り、種々のヒト細胞系、新鮮な凍結組織、および原発腫瘍からRNAを単離し た。一本鎖cDNAは、10ugの上記のような各RNAから、スーパースクリプ トプレアンプリフィケイションシステム(Superscript Preamplification Syste m)(ギブコBRL)を用いて合成した。次いでこれ らの一本鎖の鋳型を、ヒトALK−7に特異的な二つのオリゴヌクレオチドを用 いた35サイクルのPCR反応に使用した: ALK−7a:5'-AACTTTGGCTGGTATCTGAATATC-3'(SEQ ID NO:69 )、および ALK−7b:5'-CCTTGTGTACCAACAATCTCCATA-3'(SEQ ID NO:70 )。 反応産物を2%アガロースゲル上で電気泳動し、エチジウムブロミドで染色し 、UVライトボックス上で写真撮影した。ALK−7に特異的な−150bpのバン ドの相対的な強さを各々の試料について算定した。ラットのALK−7の検出の ために、同様のオリゴヌクレオチドのペアを設計した: 4076:5'-CTCCAGAGATGAGAGATCTTGG-3'(SEQ ID NO:71)、および 4077:5'-TTCCAGCCACGGTCACTATGTT-3'(SEQ ID NO:72)であり、 ラット遺伝子の−210bp領域を含んでいる。 結果 ノーザン分析では、ALK−7mRNAの転写物は多くのヒト組織の供給源か らは検出することができず、その発現が高度に限定されていることを示唆してい る。さらに感度のよいPCRに基づく検出法を用いて、ALK−7はヒトの黒質 、脳下垂体前葉、およびCalu−6肺癌細胞系に発現されることがわかった( 以下参照)。全脳、小脳、および前立腺を含む他のいくつかの部位に弱い発現が 検出された。他の多数の正常なヒトの組織ならびに腫瘍細胞系は、ALK−7の 検出可能な発現を示さなかった。 ヒトALK−7RNAの発現分析 中程度(++) 陰性 黒質 IMR-32(神経芽腫) 脳下垂体前葉 SY5Y(神経芽腫) Calu−6(肺癌) SK-N-SH(神経芽腫) SWI763(星状細胞腫) SW1388(星状細胞腫)弱い(+) U-138(グリア芽腫) U87MG(グリア芽腫) 脳 Menirigioma(1°の腫瘍) 脳下垂体後葉 SKOV-3(卵巣癌) 小脳 ASPC(膵臓癌) 卵巣 CAPAN-1(膵臓癌) 前立腺 HS766T(膵臓癌) 胎児腸管 PANC(膵臓癌) 十二指腸 HOS(骨肉腫) T48(大腸癌) KHOS(骨肉腫) HTB227(乳癌) HTB131(乳癌) LS123(大腸癌) LS147T(大腸癌) SkC04(大腸癌) SW11E(大腸癌) HTC15(大腸癌) SW403(大腸癌) HT29(大腸癌) SW627(大腸癌) SW948(大腸癌) HUVEC(h.内皮系) 線維芽細胞(原発) 膵臓 精巣 胸腺 肝臓 心臓 胎盤 肺 骨格筋 腎臓 脾臓 卵巣 大腸 白血球ラットALK−7のインシトウでの発現プロフィール ラットALK−7の細胞外ドメインのフラグメントをプローブとして用いて、 ニューロンにおけるALK−7の発現を、新生児および成体ラットの脳からの矢 状および冠状断面におけるインシトゥでの分析により査定した。この領域が選ば れたのは、関連するALK−4およびALK−5との不同性からである。他のグル ープは、ラットALK−7の触媒ドメインについてインシトウで行なっており、 新生児組織(小脳、海馬、および脳幹核)、腎臓、精巣、肺、側背および腹側前 立腺、および脂肪組織における特異的な発現を証明している。しかしながら、こ れらの研究で使用されたプローブは、関連するALK−4およびALK−5とも交 差反応してよいALK−7触媒ドメイン含んでおり(ラットALK−7に対し27/ 29および25/26のbpの同一性のある範囲をもち、ヌクレオチド配列の77%が同 一)、それにより発現プロフィールの範囲が広げられている。発明者らの分析は 、より選択的なALK−7プローブを用いることにより、さらに限定された発現 を明らかにした。矢状断面では、中程度の粒子の帯が、海馬のCA2およびCA3 領域、歯状ダイラス(dyrus)、嗅結節、皮質の背側外層、および前頭皮質領域2 を外側から脳梁にかけて横切る帯の中に見られた。尾状被殻および視床核中には 、中程度のシグナルが検出された。さらに、外側視床下部の大細胞核お よび内側灰白隆起核の領域に、中程度のシグナルが検出された。同様のシグナル が、小脳の前縁上の楔状核領域に観察された。小脳にはALK−7のハイブリダ イズが全くなかった。 冠状断面は、海馬のCA2およびCA3領域、歯状回、尾状被殻、および皮質外 側の下にある領域においての発現の所見を支持する。さらに、視床下部腹内側核 の背内側部には、中程度のシグナルが検出された。扁桃梨状移行部には、さらに 弱い分散した核のシグナルが検出された。実施例24: ALK−7に特異的な抗体 ALK−7に特異的な免疫試薬を、KLHをコンジュゲイトした、ALK−7の 細胞質ドメインの膜近接部位に由来する合成ペプチドYRKKKRPNVEEPL(SEQ ID NO:76)に対し、ウサギで産生した。この領域は、他のI型STKリセ プターと比較して独特であり、それによりALK−7に特異的な抗血清の産生が 可能になる。GST融合物として発現されたALK−7のN末端細胞外ドメイン も、ウサギにおいてポリクローナル抗体を産生させるため、およびマウスにおい て前文に述べた技術を用いてモノクローナル抗体を産生させるための免疫原とし て用いた。これらの抗体を用いて内在性の、および以下に述べるような組換えタ ンパク質の発現を局在化した。実施例25: 組換えALK−7の発現 以下の実施例は、哺乳類の細胞における一過性および安定発現のためのベクタ ーの構築について述べている。発現構築物を産生して、野性型ALK−7ならび に、シグナリング不能なALK−7(ALK−7DN)と、構造的に活性化された ALK−7(ALK−7TA)とを作成した。材料および方法 ベクターの構築 発現構築物は、PCRに補助された突然変異誘発法によって産生したが、その 中でALK−7の全コーディングドメインには、そのカルボキシ末端に ヘモフィルスインフルエンザヘマグルチニン(HA)エピトープYPYDVPDYAS(S EQ ID NO:77)(Patl,Gene 114:285,1992)でタグをつけた。この構築 物を二つの哺乳類の発現ベクターに導入した:pAdRSVOES−、組換えタ ンパク質を産生するウイルスの産生のためのアデノウイルスベクター、および一 過性発現の分析のためのpRK5。 組換えアデノウイルスは、インヴィヴォの連結によって以下のように生成した 。 使用したトランスベクターは、以下のDNA配列をこの順に含んでいる:パッ ケージング配列をコード化しているアデノウイルス5型の左端領域(アデノウイル ス5型ヌクレオチド1−454);プラスミドpREP(インヴィトロジェン社)か ら発現カセットとして単離された、ラウス肉腫ウイルスのLTRプロモーターお よびSV40ポリA領域;5型アデノウイルスゲノムの3320−5790のヌクレオチド; および大腸菌プラスミドpBluscriptに由来するoriおよびβラクタ マーゼ遺伝子。二つの付加的なプラスミドの形状が産生された。第一は、pAd RSVlacZであり、RSVプロモータとSV40ポリA配列との間のBamH I部位に、二本鎖の合成オリゴヌクレオチドが挿入されており、以下のヌクレオ チド配列を有していた(上側の鎖を示す):5' CTTCGAAAGCTTGAAATCGGTACCATCGATTCTAGAGTTAACTTCGAA(SEQ ID NO:73 )。大腸菌lacZ遺伝子を、酵素NotIを用いて発現プラスミドpCMVb (クロンテック社)より切り出し、プロモーターとポリA配列との間のNotI 部位に挿入した。これによりlacZ遺伝子を発現し、かつlacZ遺伝子とポ リA領域との間に二つのBStBI制限部位を有するプラスミドが産生された。 第二のプラスミド(pAdRSVOES−)は、二本鎖の合成ヌクレオチドを前 文と同じ領域に挿入することにより産生した。そのヌクレオチド配列は、以下の ようであった:5'CTCTAGAACGCGTTAAGGCGCGCCAATATCGATGAATTCTTCGAAGC(SEQ ID NO:74)。このプラスミドは、当該プラスミド内に外来性cDNAを 、発現を目的として導入することを可能にした。 組換えウイルスの産生のために使用したウイルスDNAは、アデノウイルスゲ ノムの左端がpAdRSVlacZの同一の領域で置換されているウイルス(A dlacZBstBI)に由来したものであった。これを行なうため、Ad5 d1327系アデノウイルス(JonesおよびShenk,Ccll,1978)(E3領域に欠失)から DNAを単離し、ClaI酵素で開裂し、リン酸カルシウムによる共沈により、 pAdRSVlacZプラスミドと共にHEK2394細胞系内に同時ランスフェク トした。このトランスフェクションの結果生じた組換えアデノウイルスのプラー クを、lacZ遺伝子を発現する能力について、X−Galを用いた組織化学染 色によりスクリーニングした。結果として生じた組換えアデノウイルス(Adl acZBstBI)は、付加的なアデノウイルス構築物のためのバックボーンが 供給され、さらなる組換えが、同時トランスフェクトされたcDNAを用いてl acZ遺伝子を置換することになるという点で、lacZ活性の有無に基づく組 換えプラークのスクリーニングを可能にする。これを成し遂げるためには、トラ ンスファーベクター構築物をBstBIを用いた消化によって直鎖化し、すでに BstBIにより開裂されているAdlacZBstBIDNAと同時トランス フェクトする。典型的には、5mgのトランスファーベクタープラスミドDNAを2 mgのトランスフェクション用のウイルスDNAと同時トランスフェクトする;ウ イルスDNAと直鎖化したトランスファーベクターとのインヴィヴォでの連結は 、新たなトランスジーンの発現を命令する新規な組換えウイルスを産生する。 シグナリング不能のALK−7構築物も、pAdRSVOES−およびpRK 5の両ベクターにおける、ALK−7コード化領域の触媒ドメインIIの直後の、23 0位のアミノ酸におけるHAタグの挿入により作成した。他のI型STKRの類 似した位置における切断は、優性ネガティブな様式で機能した。この構築物をA LK−7DNと呼んだ。構造的に活性化した形のALK−7は、触媒ドメインIの GXGXXGモチーフのすぐ上流のアミノ酸194におけるトレオニンからアスパラギン 酸への突然変異によって産生された。他のI型STKRでは、この残基はII型S TKRと結合することによりリガン ド依存性のリン酸基転位反応を受け、結果としてリセプターが活性化され、シグ ナリングカスケードを開始することになる。他のI型STKRにおける同様な突 然変異は、結果としてリガンドに無関係な、構造的に活性化されたリセプターを 生じる。この構築物をALK−7TDと名付けた。ALK−7−アデノウイルスの組換え体の産生 HEK293細胞(Grahamら、J.Gen.Virol.36:59,1977)を、10%子ウシ血清を 加えたダルベッコ(Dulbecco's)変法イーグル(Eagles)培地において、早めの継 代を維持した。単層のHEK293を、ALK−7をコード化しているトランスファ ーベクターを用いてトランスフェクトし、プラークが見えるようにするため5日 から7日間培養した。次にこの単層を、25mg/mLの5−ブロモ−4−クロロ73−イ ンドリル−b−D−ガラクトピラノシドを用いて数時間染色し、非組換え(青色 に染色された)プラークを同定した。推定される組換えプラークは、トランスジ ーンの発現について、HEK293培養物の感染およびそれに続く、HAエピトー プを認識するモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学とによりスクリーニング した。トランスジーンタンパク質の発現に関して陽性であったウイルスを採集し 、増幅と塩化セシウム勾配上での精製とに先立ち、数回のプラーク精製を行なっ た。バンド状のウイルスを希釈用緩衝液(Curielら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8 8:8850-8854,1991)を用いて5倍に希釈し、−80℃に貯蔵した。ウイルス標品 のおよその力価は、HEK293培養物についての免疫組織化学により測定した。 以下のウイルスが産生された:AdRSVALK−7−HA;AdRSVALK −7−DN;およびAdRSVALK−7−TD。一過性発現 KAをタグしたALK−7、ALK−7DN、およびALK−7TD構築物を含 んでいるpRK5発現プラスミドを、リポフェクタミン(lipophectamine)(ギブ コBRL)と共にCOSおよび293細胞に導入した。72時間後に、細胞を0.5mlの可 溶化緩衝液(20mMHEPES pH7.35、 150mM NaCl、10%グリセロール、1%トリトンX−100、1.5mM MgCl2、 1mMEGTA、2mMフェニルメチルスルフォニルフロリド、1μg/mLのアプロ チニン)中に収穫した。サンプルのアリコートを、15%アクリルアミド/0.5% ビスアクリルアミドゲル上でのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAG E)により解析し、エレクトロプリクレティカリーにニトロセルロースに移した 。非特異的な結合は、ブロットを、ブロット(Blotto)(5%W/Vの脱脂粉乳、お よび0.2%v/vのノニデットP−40を含んでいるリン酸緩衝液(シグマ))中でプ レインキュベートすることにより阻止し、組換えタンパク質は、HAデカペプチ ドのタグに対するマウスMabを用いて検出した。別法として、組換えタンパク 質は種々のALK−7に特異的な抗血清を用いて検出することができる。ニューロン細胞における発現 前文に述べた組換えALK−7タンパク質は、アデノウイルスを媒介とした感 染により、PC12細胞およびラットニューロンの初代培養物において発現された 。これらの細胞は、ALK−7の機能についてのさらなる研究を可能にするであ ろう。組換えタンパク質の発現は、抗HA抗体を用いた免疫染色により確認され た。 PC12培養物(Greeneら、Methods Enzymol.147:207,1987)を、10%ウマ血 清および5%ウシ胎児血清を含んでいるRPMI培地中に維持した。分化の実験用には 培地を、1xN2サプリメントおよび0.1%BSAを含んでいるRPMIに 変え、コラーゲンIの基体の上で細胞を育成した。PC12細胞の生存用には、細 胞を0.1%BSAを含んでいるRPMI中で育成した。培養物はすべて、1xペニ シリン/ストレプトマイシンを含んでいた。アデノウイルス感染用にはPC21細 胞を、組換えウイルスと共に、1と10の間の感染多重度(MOI)で一晩インキ ュベートした。次いで細胞を洗浄し、二日間にわたる分化または生存用のいずれ かの条件に播きなおした。神経成長因子(50ng/mL)はポジティブな対照として 役立った。分化用には、培養物を2%パラホルムアルデヒドを用いて固定し、一 個の細胞の直径より も長い突起のある細胞のパーセンテージを決定した。生存用には、培養物を0.0 5%MTTと共に1.5時間インキュベートして生きている細胞を染色し、各々の 条件の中で生きている細胞の相対数を測定した。 交感および感覚ニューロンを、詳述されているように単離し(HawrotおよびPa tterson,Methods Enzymol.53:574,1979;Ficldsら、Cell 14:43,1978)、合成 培地(HawrotoおよびPatterson、前述)にて培養した。交感神経ニューロンは、 ラット胎児E20−E21から切り出した上頚神経節から単離し、一方、後根神経節 の感覚ニューロンは、E16−E18ラットから得た。神経節を0.25%トリプシン で10分間処理し、洗浄し、すりつぶして単細胞の懸濁液を得た。感覚ニューロン は、組織培養プラスティック上にあらかじめ1時間播いておき、接着性のある細 胞を除去する。ドーパミン作動性ニューロンは、詳述されているように単離し( Shimodaら、Brain Research 586:319-331,1992)、B27サプリメント(ライフテ クノロジーズ(Life Technologies))を補給したニューロベイサル(Neurobasal )培地中で培養した。ニューロンは、コラーゲンIでコートした組織培養プラス ティック(感覚およびシナプスニューロン用にはNGFを補給した)の上で、ア デノウイルスを用いて2時間感染させ、次いで細胞を洗浄し、さらに2ないし4 時間にわたり回復ができるようにした(もし適切であればNGFと共に)。回復 期の後、細胞を広範囲に洗浄して成長因子を除去し、ポリリジン−ラミニンをコ ートしたチャンバースライドに播種した。NGFの50ng/mLでの添加は、感 覚および交感神経ニューロンの生存についてのポジティブな対照として役立った 。さらなる2日ないし3日の後、感覚および交感神経培養物をカルセイン(calc ein)AM(1mg/mL)を用いて45分間染色し、包埋し、免疫蛍光法により調べた 。一般的には、五つの分散した視野(ウエルの7%を表す)の写真を撮り、生存 しているニューロンを定量した。ドーパミン作動性ニューロンの生存を測定する ためには、培養物を固定し、チロシンヒドロキシラーゼ陽性のニューロンの数を 測定した。
【手続補正書】 【提出日】平成11年11月4日(1999.11.4) 【補正内容】 請求の範囲 1. PTP04分子をコードする、単離された、濃縮されたまたは精製された 核酸分子であって、 (a) 配列番号:1に記載される配列を有し; (b) 高度にストリンジェントな条件下で配列番号:1に記載される配列にハ イブリダイズし;または (c) 配列番号:9に記載されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコード し; (d) 配列番号:9に記載される配列を有するPTP04ドメインポリペプチ ドをコードするが、ただしアミノ酸残基1−48、49−294、295−80 7のセグメントの全部ではないが少なくとも1つを欠失している、 ことを特徴とする核酸分子。 2. 核酸分子が、ヒトから単離された、濃縮された、または精製されたもので ある、請求項1記載の核酸分子。 3. 前記分子が、 (a) 配列番号:9のアミノ酸配列を有しかつアミノ酸残基:1−48、49 −294、295−807のセグメントの少なくとも1つを欠失しているポリペ プチドをコードするヌクレオチド配列; (b) 配列番号:10のアミノ酸配列を有し、かつアミノ酸残基:1−55、 56−109、120−212、230−480、481−488のセグメント の少なくとも1つを欠失しているポリペプチドをコードするヌクレオチド配列; (c) 配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13または配列番号:1 4のアミノ酸配列を有し、かつアミノ酸残基のセグメントの少なくとも1つを欠 失しているポリペプチドをコードするヌクレオチド配列; (d) 配列番号:15のアミノ酸配列を有し、かつアミノ酸残基:1−857 、353−777、858−1096、1097−1274、1101−121 4のセグメントの少なくとも1つを欠失しているポリペプチドをコードするヌク レ オチド配列; (e) 配列番号:16のアミノ酸配列を有し、かつアミノ酸残基:1−25、 26−113、114−493、193−483のセグメントの少なくとも1つ を欠失しているポリペプチドをコードする;または (f) ストリンジェントな条件下で(a)−(f)のヌクレオチド配列にハイ ブリダイズする を含む、請求項1記載の核酸分子。 4. 配列番号:9に記載される配列を有するPTP04ポリペプチドをコード し、宿主細胞において転写を開始させるのに有効なベクターまたはプロモーター を含有する組換え核酸分子。 5. (a) 配列番号:9に記載される配列を有するPTP04ポリペプチド ;または (b) 配列番号:9に記載される配列を有するがアミノ酸残基:1−48、4 9−294、295−807のセグメントの全部ではないが少なくとも1つを欠 失しているPTP04ドメインであって、前記PTP04ドメインは、異種ポリ ペプチドに融合されている、 をコードする組換え核酸分子。 6. (a) 配列番号:9に記載される配列を有するPTP04ポリペプチド ; (b) 配列番号:9に記載される配列を有するがアミノ酸残基:1−48、4 9−294、295−807のセグメントの全部ではないが少なくとも1つを欠 失しているPTP04ポリペプチド;または (c) 配列番号:9に記載される配列を有するがアミノ酸残基:1−48、4 9−294、295−807のセグメントの全部ではないが少なくとも1つを欠 失している、それぞれ異種ポリペプチドに融合されたPTP04ポリペプチドを コードする核酸分子を含む組換え細胞。 7. 配列番号:9に記載される配列を有する、単離された、濃縮されたまたは 精製されたPTP04ポリペプチド 8. 配列番号:9に記載される配列を有するが、ただし、アミノ酸残基:1− 48、49−294、295−807のセグメントの全部ではないが少なくとも 1つを欠失している、単離された、濃縮されたまたは精製されたPTP04ポリ ペプチド。 9. 前記ポリペプチドが、 (a) 配列番号:9のアミノ酸配列; (b) 高度にストリンジェントな条件下で配列番号:1の核酸分子にハイブリ ダイズする核酸分子によりコードされるアミノ酸配列;または (c) 配列番号:9に記載される配列を有するが、ただし、アミノ酸残基1− 48、49−294および295−807のセグメントの全部ではないが少なく とも1つを欠失しているPTP04ポリペプチド、 である、請求項7記載のPTP04ポリペプチド。 10. 配列番号:9に記載される配列を有するがアミノ酸残基:1−48、4 9−294および295−807のセグメントの全部ではないが少なくとも1つ を欠失しているPTP04ポリペプチドに対して特異的結合親和性を有する抗体 。 11. 配列番号:9に記載される配列を有するPTP04ポリペプチドに対し て特異的結合親和性を有する抗体を産生するハイブリドーマ。 12. PTP04の活性を調節しうる物質を同定する方法であって、 (a) 配列番号:9に記載される配列を有するPTP04ポリペプチドを試験 物質と接触させ、そして (b) 前記物質が前記ポリペプチドの活性を変化させるか否かを判定するの各 工程を含む方法。 13. 細胞中においてPTP04の活性を調節しうる物質を同定する方法であ って、 (a) 細胞中で配列番号:9に記載される配列を有するPTP04ポリペプチ ドを発現させ、 (b) 試験物質を前記細胞に加え、そして (c) 細胞表現型、細胞増殖、細胞分化、PTP04の触媒活性、またはPT P04ポリペプチドと天然の結合相手との間の相互作用の変化をモニターするの 各工程を含む方法。 14. 治療を必要とする患者に、インビトロで、配列番号:9に記載される配 列を有するPTP04ポリペプチドの機能を調節する化合物を投与することによ り、異常な状態を予防または治療する方法。 15. 前記異常な状態に、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ま たはALPシグナル伝達経路の異常が関与する、請求項14記載の方法。 16. 前記異常な状態が癌である、請求項15記載の方法。 17. 治療を必要とする患者に、インビトロでALK−7の活性を調節する物 質を投与することにより、ニューロンの生存を促進する方法。 18. 配列番号:9に記載される配列を有するPTP04の蛋白質活性の調節 剤を同定する方法であって、 a) 配列番号:9に記載される配列を有するPTP04を天然の結合相手と接 触させ、このことにより捕獲蛋白質を形成し; b) 前記捕獲蛋白質を試験化合物と接触させ; c) 前記蛋白質活性を測定し;そして d) 前記蛋白質活性を対照蛋白質の活性と比較して調節の程度を判定し、ここ で、前記対照蛋白質は前記天然の結合相手を有しない工程a)の蛋白質と同じア ミノ酸配列を有する、 の各工程を含む方法。 19. 前記方法が、非放射活性試薬を用いる、請求項18記載の方法。 20. 前記PTP04が融合蛋白質ではない、請求項19記載の方法。 21. 前記蛋白質がGST−融合蛋白質ではない、請求項20記載の方法。 22. 前記蛋白質が、酵素、レセプター酵素、または非レセプター酵素である 、請求項21記載の方法。 23. 前記蛋白質が蛋白質キナーゼである、請求項22記載の方法。 24. 前記蛋白質キナーゼが蛋白質チロシンキナーゼである、請求項23記載 の方法。 25. 前記蛋白質チロシンキナーゼがZap70またはSykである、請求項 24記載の方法。 26. 前記天然の結合相手が固体支持体に結合しうる、請求項19記載の方法 。 27. 前記天然の結合相手がペプチドである、請求項26記載の方法。 28. 前記ペプチドがホスホペプチドを含む、請求項27記載の方法。 29. 前記ホスホペプチドがITAMモティーフを含む、請求項28記載のの 方法。 30. 前記天然の結合相手が脂質を含む、請求項26記載の方法。 31. 前記固体支持体が、ウエルプレート、ガラスビーズ、または樹脂を含む 、請求項26記載の方法。 32. 前記活性が、自己触媒活性、基質の触媒的ターンオーバー、または第2 の天然の結合相手の結合を含む、請求項26記載の方法。 33. 前記捕獲蛋白質を、基質、第2の天然の結合相手、および抗体からなる 群より選択される1つまたはそれ以上の成分と接触させる工程をさらに含む、請 求項26記載の方法。 34. 工程(a)の前に、前記蛋白質を含有する細胞を溶解させる工程をさら に含む、請求項26記載の方法。 35. a) 天然の結合相手; b) 固体支持体;および c) 結合剤 を含む、非レセプター酵素活性の調節剤を同定するためのキット。 36. 前記結合剤が、基質、第2の天然の結合相手、および抗体からなる群よ り選択される、請求項35記載のキット。 37. 前記天然の結合相手がペプチドである、請求項36記載のキット。 38. 前記ペプチドがホスホペプチドである、請求項37記載のキット。 39. 前記ホスホペプチドがITAMモティーフを含む、請求項38記載のキ 40. 前記天然の結合相手が脂質を含む、請求項35記載のキット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12N 9/16 B 9/12 C12Q 1/42 9/16 1/48 Z C12Q 1/42 C12N 15/00 ZNAA 1/48 5/00 A (31)優先権主張番号 60/049,477 (32)優先日 平成9年6月11日(1997.6.11) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/049,756 (32)優先日 平成9年6月11日(1997.6.11) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/049,914 (32)優先日 平成9年6月18日(1997.6.18) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/063,595 (32)優先日 平成9年10月23日(1997.10.23) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR, NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL ,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU ,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL ,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK, SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 ジャラル,バイジャ アメリカ合衆国カリフォルニア州94025, メンロ・パーク,オキーフェ・ストリート 101 (72)発明者 ペレス,エリオール イスラエル国レホボット 76303,ハンサ イ・ハリション 51 (72)発明者 オンラスト,スーザン ニュージーランド国 オークランド 3, マウント・アルバート,サミット・ドライ ブ 6 (72)発明者 マークビー,デイブ アメリカ合衆国カリフォルニア州94131, サンフランシスコ,バーネット・アベニュ ー 477,アパートメント エイ (72)発明者 コートネイジ,サラ・エイ アメリカ合衆国カリフォルニア州94010, バーリンゲーム,アルヴァラード・アベニ ュー 1408 (72)発明者 アップ,ハラルド アメリカ合衆国カリフォルニア州94116, サンフランシスコ,フォーティーンス・ア ベニュー 2000 (72)発明者 ヒューイ,テレンス・エイチ アメリカ合衆国カリフォルニア州94015, ダリー・シティー,スカイライン・ドライ ブ 363

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK− 7ポリペプチドをコードする、単離された、濃縮されたまたは精製された核酸分 子。 2. (a)配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列 番号:5、配列番号:6、配列番号:7、または配列番号:8に記載される配列 を有する; (b)高度にストリンジェントな条件下で配列番号:1、配列番号:2、配列番 号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、または配 列番号:8に記載される配列にハイブリダイズする; (c)配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列 番号:13、配列番号:14、配列番号:15、または配列番号:16に記載さ れるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする;または (d)PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK− 7ドメインポリペプチドをコードする、 請求項1記載の核酸分子。 3. 核酸分子が、ヒトから単離された、濃縮されたまたは精製されたものであ る、請求項1記載の核酸分子。 4.前記分子が、 (a)配列番号:9のアミノ酸配列を有しかつアミノ酸残基:1−48、49− 294、295−807のセグメントの少なくとも1つを欠失しているポリペプ チドをコードするヌクレオチド配列; (b)配列番号:10のアミノ酸配列を有し、かつアミノ酸残基:1−55、5 6−109、120−212、230−480、481−488のセグメントの 少なくとも1つを欠失しているポリペプチドをコードするヌクレオチド配列; (c)配列番号:11.配列番号:12、配列番号:13または配列番号:14 のアミノ酸配列を有し、かつアミノ酸残基のセグメントの少なくとも1つを欠失 しているポリペプチドをコードするヌクレオチド配列; (d)配列番号:15のアミノ酸配列を有し、かつアミノ酸残基:1−857、 353−777、858−1096、1097−1274、1101−1214 のセグメントの少なくとも1つを欠失しているポリペプチドをコードするヌクレ オチド配列; (e)配列番号:16のアミノ酸配列を有し、かつアミノ酸残基:1−25、2 6−113、114−493、193−483のセグメントの少なくとも1つを 欠失しているポリペプチドをコードする;または (f)ストリンジェントな条件下で(a)−(f)のヌクレオチド配列にハイブ リダイズする を含む、請求項2記載の核酸分子。 5. 試料中の、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、また はALK−7ポリペプチドをコードする核酸の検出のための核酸プローブ。 6. 前記ポリペプチドが、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、 配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、または配 列番号:16に記載されるアミノ酸配列の少なくとも6個の連続するアミノ酸を 含む、請求項5記載のプローブ。 7. PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK− 7ドメインポリペプチドをコードする、単離された、濃縮されたまたは精製され た核酸配列。 8. PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK− 7ポリペプチドまたはPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、 またはALK−7ドメインポリペプチド、および宿主細胞において転写を開始さ せるのに有効なベクターまたはプロモーターをコードする組換え核酸分子。 9.(a)PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはAL K−7ポリペプチド;または (b)異種ポリペプチドに融合されたPTP04、SAD、PTP05、PTP 10、ALP、またはALK−7ドメインポリペプチド をコードする組換え核酸分子。 10. (a)PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、または ALK−7ポリペプチド; (b)PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK− 7ドメインポリペプチド;または (c)異種ポリペプチドに融合された、PTP04、SAD、PTP05、PT P10、ALP、またはALK−7ポリペプチドまたはPTP04、SAD、P TP05、PTP10、ALP、またはALK−7ドメインポリペプチド をコードする核酸分子を含む組換え細胞。 11. 単離された、濃縮されたまたは精製された、PTP04、SAD、PT P05、PTP10、ALP、またはALK−7ポリペプチド。 12. 単離された、濃縮されたまたは精製された、PTP04、SAD、PT P05、PTP10、ALP、またはALK−7ドメインポリペプチド。 13. 前記ポリペプチドが、 (a)配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列 番号:13、配列番号:14、配列番号:15、または配列番号:16のアミノ 酸配列; (b)高度にストリンジェントな条件下で、配列番号:1、配列番号:2、配列 番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、または 配列番号:8の核酸分子にハイブリダイズする核酸分子によりコードされるアミ ノ酸配列;または (c)PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK− 7ドメインポリペプチド を含む、請求項11記載のPTP04、SAD、PTP05、PTP10、AL P、またはALK−7ポリペプチド。 14. PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK −7ポリペプチドまたはPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP 、またはALK−7ドメインポリペプチドに対して特異的結合親和性を有する抗 体。 15. PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK −7ポリペプチドに対して特異的結合親和性を有する抗体を産生するハイブリド ーマ。 16. PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK −7の活性を調節しうる物質を同定する方法であって、 (a)PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、またはALK− 7ポリペプチドを試験物質と接触させ、そして (b)前記物質が前記ポリペプチドの活性を変化させるか否かを判定する の各工程を含む方法。 17. 細胞中においてPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP 、またはALK−7の活性を調節しうる物質を同定する方法であって、 (a)細胞中でPTP04、SAD、PTP05、PTP10、ALP、または ALK−7ポリペプチドを発現させ、 (b)試験物質を前記細胞に加え、そして (c)細胞表現型、細胞増殖、細胞分化、PTP04、SAD、PTP05、P TP10、ALP、もしくはALK−7の触媒活性、またはPTP04、SAD 、PTP05、PTP10、ALP、もしくはALK−7ポリペプチドと天然の 結合相手との間の相互作用の変化をモニターする の各工程を含む方法。 18.治療を必要とする患者に、インビトロでPTP04、SAD、PTP05 、PTP10、またはALPポリペプチドの機能を調節する化合物を投与するこ とにより、異常な状態を予防または治療する方法。 19. 前記異常な状態が、PTP04、SAD、PTP05、PTP10、ま たはALPシグナル伝達経路の異常を含む、請求項18記載の方法。 20. 前記異常な状態が癌である、請求項19記載の方法。 21. 治療を必要とする患者に、インビトロでALK−7の活性を調節する物 質を投与することにより、ニューロンの生存を促進する方法。 22. 蛋白質活性の調節剤を同定する方法であって、 a)蛋白質を天然の結合相手と接触させ、このことにより捕獲蛋白質を形成し; b)前記捕獲蛋白質を試験化合物と接触させ; c)前記蛋白質活性を測定し;そして d)前記蛋白質活性を対照蛋白質の活性と比較して調節の程度を判定し、ここで 、 前記対照蛋白質は前記天然の結合相手を有しない工程a)の蛋白質と同じアミノ 酸配列を有する、 の各工程を含む方法。 23. 前記方法が、非放射活性試薬を用いる、請求項22記載の方法。 24. 前記蛋白質が融合蛋白質ではない、請求項23記載の方法。 25. 前記蛋白質がGST−融合蛋白質ではない、請求項24記載の方法。 26. 前記蛋白質が、酵素、レセプター酵素、または非レセプター酵素である 、請求項25記載の方法。 27. 前記蛋白質が蛋白質キナーゼである、請求項26記載の方法。 28. 前記蛋白質キナーゼが蛋白質チロシンキナーゼである、請求項27記載 の方法。 29. 前記蛋白質チロシンキナーセがZap70またはSykである、請求項 28記載の方法。 30. 前記蛋白質が蛋白質ホスファターゼである、請求項26記載の方法。 31. 前記蛋白質ホスファターゼが蛋白質チロシンホスファターゼである、請 求項30記載の方法。 32. 前記蛋白質チロシンホスファターゼが、PTP04、SAD、PTP0 5、PTP10、ALP、またはALK−7である、請求項31記載の方法。 33. 前記天然の結合相手が固体支持体に結合しうる、請求項23記載の方法 。 34. 前記天然の結合相手がペプチドである、請求項33記載の方法。 35. 前記ペプチドがホスホペプチドを含む、請求項34記載の方法。 36. 前記ホスホペプチドがITAMモティーフを含む、請求項35記載の方 法。 37. 前記天然の結合相手が脂質を含む、請求項33記載の方法。 38. 前記固体支持体が、ウエルプレート、ガラスビーズ、または樹脂を含む 、請求項33記載の方法。 39. 前記活性が、自己触媒活性、基質の触媒的ターンオーバー、または第2 の天然の結合相手の結合を含む、請求項23記載の方法。 40. 前記捕獲蛋白質を、基質、第2の天然の結合相手、および抗体からなる 群より選択される1つまたはそれ以上の成分と接触させる工程をさらに含む、請 求項23記載の方法。 41. 工程(a)の前に、前記蛋白質を含有する細胞を溶解させる工程をさら に含む、請求項23記載の方法。 42. a)天然の結合相手; b)固体支持体;および c)結合剤 を含む、非レセプター酵素活性の調節剤を同定するためのキット。 43. 前記結合剤が、基質、第2の天然の結合相手、および抗体からなる群よ り選択される、請求項42記載のキット。 44. 前記天然の結合相手がペプチドである、請求項43記載のキット。 45. 前記ペプチドがホスホペプチドである、請求項44記載のキット。 46. 前記ホスホペプチドがITAMモティーフを含む、請求項45記載のキ ット。 47. 前記天然の結合相手が脂質を含む、請求項42記載のキット。
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